JP7414452B2 - アルミニウム合金材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強度の異方性を抑制した高強度アルミニウム合金材に関する。
近年、例えば電気機器の筐体等の各種製品において、高強度化及び軽量化を実現するためにアルミニウム合金材を用いることが求められている。強度のより高いアルミニウム合金材を用いることで、製品の強度を従来同等に維持したまま、アルミニウム合金材の使用量を低減できることから、製品の軽量化が可能である。
ここで、高強度のアルミニウム合金としては、例えば6000系合金、7000系合金等が一般的である。しかし、上記した合金は熱処理型の合金であり、熱処理型の合金には、溶体化及び時効熱処理工程が必要なため、生産効率が低いという課題がある。また、7000系合金ではZn及びCuを多く含むため、使用環境によっては腐食が発生し易いという課題がある。
上記の観点から、非熱処理型のアルミニウム合金が使用されることがある。非熱処理型のアルミニウム合金としては、最も高強度を有する種類の5000系合金が代表的である。5000系合金は、一般に耐食性が優れ、溶体化及び時効熱処理が不要なため生産効率が高い。また、5000系合金に添加元素を増加することで、6000系合金以上の強度を達成することが可能である。このようなことから、主要添加元素であるMgを5重量%以上含有する5000系アルミニウム合金材が提案されている(特許文献1~3参照)。
特開2007-186747号公報 特開2001-98338号公報 特開平7-197170号公報
上記した特許文献1~3に記載されたアルミニウム合金材では、高強度化するためにMgの含有量を5重量%以上に増加させている。しかしながら、アルミニウム合金材における強度の異方性については何ら考慮されていない。
アルミニウム合金材では、強度の異方性が強い場合、最終製品において特定の方向の剛性が低くなってしまい、信頼性が低下するおそれがある。また、成形等の製品製造プロセスにおいて、寸法精度等に不良が生じるおそれがある。特に、加工硬化されたことにより強度が増加したアルミニウム合金材(H材)では、焼きなましされたアルミニウム合金材(O材)に比べ、強度の異方性が顕著に表れ易いという課題がある。
本発明の一態様は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、金属組織の制御によって高い強度を確保し、且つ強度の異方性を抑制したアルミニウム合金材を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るアルミニウム合金材は、Mg:7.0~10.0%、Ca:0.1%以下、を含有し、残部アルミニウム及び不可避不純物からなるアルミニウム合金材であって、引張強さが500MPa以上、破断伸びが3%以上10%未満である。
前記アルミニウム合金材は、Mn:0.05~1.0%を含有することが好ましい。
また、前記アルミニウム合金材は、前記アルミニウム合金材の最終加工方向と板幅方向とのなす平面内において、前記最終加工方向である0°方向、前記最終加工方向から前記板幅方向へ前記0°方向と45°をなす45°方向、及び前記最終加工方向から前記板幅方向へ前記0°方向と90°をなす90°方向の引張強さの標準偏差が20以下であることが好ましい。
前記アルミニウム合金材は、結晶方位分布関数(ODF)を用いて算出される{013}<100>及び{011}<100>の方位密度が5以下であることが好ましい。
前記アルミニウム合金材は、結晶方位分布関数(ODF)を用いて算出される{011}<211>の方位密度が{112}<111>の方位密度の0.4倍以上であることが好ましい。
本発明の一態様によれば、高い強度を確保し、且つ強度の異方性を抑制したアルミニウム合金材を製造することができる。
本実施形態におけるアルミニウム合金材の引張強さの測定方向を示す図である。
本発明者等は、Mg(マグネシウム)を多く含有する高強度アルミニウム合金材において、強度の異方性を抑制可能な合金組成と金属組織について鋭意調査研究した。その結果、合金組成と製造プロセスを調整して、適切な金属組織を制御することで強度の異方性の抑制が可能であることを見出した。
以下、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金材について、詳細に説明する。なお、本実施形態のアルミニウム合金材は、家電製品、建築物、構造物、輸送機器等の強度及び強度の等方性が求められる部材に用いられるものとする。また、以下の文中では、単位の記載に関し、「質量%」を単に「%」と省略して記載する。
(アルミニウム合金に必ず含有させる元素)
[Mg]
Mg(マグネシウム)は、主に、固溶元素として存在し、強度を向上するという効果を有する。アルミニウム合金中のMgの含有量を7.0%以上とすることによって、強度向上の効果を十分に得ることができる。
しかしながら、アルミニウム合金中のMgの含有量が10.0%を超えると、熱間圧延時に割れが発生し製造が困難となるおそれがある。このことから、アルミニウム合金中のMgの含有量は、7.5%以上9.0%以下の範囲が好ましく、7.5%以上8.5%以下の範囲がより好ましい。
[Ca]
Ca(カルシウム)は、主に、化合物としてアルミニウム合金中に存在し、微量でも熱間加工中の割れを引き起こし、加工性を低下させるおそれがある。アルミニウム合金中のCaの含有量が0.1%以下であれば、熱間加工中の割れを抑制することが可能である。アルミニウム合金中のCaの含有量は、0.05%以下とすることがより好ましい。
(アルミニウム合金に選択的に含有させる元素)
[Si]
Si(シリコン)は、主に、第二相粒子(例えば、単体Si、Al-Si-Fe-Mn系化合物)を生成し、再結晶核生成サイトとして作用することで、結晶粒を微細化するという効果を有する。アルミニウム合金中のSiの含有量を0.02%以上とすることによって、結晶粒を微細にする効果を良好に得ることができる。
しかしながら、アルミニウム合金中のSiの含有量が0.3%を超えると、粗大な第二相粒子が多数生成し、製造されるアルミニウム合金材の破断伸びが低下するおそれがある。このことから、アルミニウム合金中のSiの含有量は、0.02%以上0.2%以下の範囲が好ましく、0.02%以上0.15%以下の範囲がより好ましい。
[Fe]
Fe(鉄)は、主に、第二相粒子(Al-Fe系化合物等)として存在し、再結晶核生成サイトとして作用することで、結晶粒を微細化するという効果を有する。アルミニウム合金中のFeの含有量を0.02%以上とすることによって、結晶粒を微細にする効果を得ることができる。
しかしながら、アルミニウム合金中のFeの含有量が0.5%を超えると、粗大な第二相粒子が多数生成し、製造されるアルミニウム合金材の破断伸びが低下するおそれがある。このことから、アルミニウム合金中のFeの含有量は、0.02%以上0.25%以下の範囲が好ましく、0.02%以上0.2%以下の範囲がより好ましい。
[Cu]
Cu(銅)は、主に、固溶元素として存在し、強度を向上するという効果を有する。アルミニウム合金中のCuの含有量を0.05%以上とすることによって、強度向上の効果を十分に得ることができる。
しかしながら、アルミニウム合金中のCuの含有量が1.0%を超えると、熱間圧延時に割れが発生し製造が困難となるおそれがある。このことから、アルミニウム合金中のCuの含有量は、0.05以上0.5%以下の範囲が好ましく、0.10%以上0.3%以下の範囲がより好ましい。
[Mn]
Mn(マンガン)は、主に第二相粒子(Al-Mn系化合物)として存在し、再結晶核生成サイトとして作用することで、結晶粒を微細化するという効果を有する。具体的には、アルミニウム合金中のMnの含有量が0.05%以上であることによって、結晶粒を微細にするという効果を十分に得ることができる。
しかしながら、アルミニウム合金中のMnの含有量が1.0%を超えると、粗大な第二相粒子が多数生成し、製造されるアルミニウム合金材の破断伸びが低下するおそれがある。このことから、アルミニウム合金中のMnの含有量は、0.1%以上0.5%以下の範囲が好ましく、0.15%以上0.3%以下の範囲がより好ましい。
[Cr,V,Zr]
Cr(クロム)、V(バナジウム)、Zr(ジルコニウム)は、主に第二相粒子(Al-Fe-Mn系化合物、Al-Cr系化合物、Al-V系化合物、Al-Zr系化合物等)として存在し、再結晶核生成サイトとして作用することで、結晶粒を微細化するという効果を有する。具体的には、アルミニウム合金中のCr,Vの含有量が0.05%以上、又はZrの含有量が0.02%以上であることによって、結晶粒を微細にするという効果を十分に得ることができる。
しかしながら、アルミニウム合金中のCr,V含有量が0.3%を超える、又はZrの含有量が0.2%を超えると、粗大な第二相粒子が多数生成し、製造されるアルミニウム合金材の破断伸びが低下するおそれがある。
このことから、アルミニウム合金中のCr,Vの含有量は、0.2%以下であることが好ましい。また、アルミニウム合金中のZrの含有量は、0.1%であることが好ましい。
なお、アルミニウム合金中のCr、V、Zrの含有率は上記に限られず、アルミニウム合金中に、Cr、V、Zrのうち少なくとも1つが含有されていればよい。
[Ti]
Ti(チタン)は、鋳造時に形成される凝固アルミニウム相の成長を抑制し、鋳造組織を微細化することで鋳造時の割れ等の不具合を抑制する効果を有する。しかしながら、アルミニウム合金中のTiの含有量が多過ぎると、第二相粒子が粗大化し、製造されるアルミニウム合金材の破断伸びを低下させるおそれがある。
このことから、アルミニウム合金中のTiの含有量を0.2%以下とすることによって、製造されるアルミニウム合金材の破断伸びの低下を抑制することができる。アルミニウム合金中のTiの含有量は、0.1%以下とすることがより好ましい。なお、上記した各元素の他は、基本的には、Al及び不可避的な不純物であるとする。
(引張強さ及び破断伸び)
本実施形態では、上記した組成で構成されるアルミニウム合金に対し、後述する製造処理を行うことにより、引張強さが500MPa以上で、破断伸びが3%以上10%未満のアルミニウム合金材(H材)を作製することができる。これにより、引張強さが500MPaを下回り、最終製品に強度不足が生じることを防止できる。また、破断伸びが3%を下回り、最終製品の加工時に割れ等の不具合が発生することを防止できる。
なお、アルミニウム合金材の引張強さは、550MPa以上であることがより好ましい。また、アルミニウム合金材の破断伸びは、5%以上10%未満であることがより好ましい。
(強度の異方性)
図1に示すように、本実施形態のアルミニウム合金材1は、1組のロール2による最終圧延時の圧延方向(最終加工方向)と板幅方向とのなす平面において、圧延方向から板幅方向へ0°方向、圧延方向から板幅方向へ45°方向、圧延方向から板幅方向へ90°方向(板幅方向)の引張強さの標準偏差が20[MPa]以下となるように設定されている。これは、引張強さの標準偏差が20[MPa]を超えると、強度の異方性が高すぎて最終製品の特定の方向の強度が低くなり、信頼性が低下するおそれがあることを考慮している。ここで、引張強さの標準偏差は、後述する式(1)により算出される。
アルミニウム合金材1の引張強さの標準偏差は、15[MPa]以下が好ましく、12[MPa]以下がより好ましい。
(集合組織)
本実施形態のアルミニウム合金材では、結晶方位分布関数(ODF:Crystallite Orientation Distribution Function)を用いて算出される{013}<100>及び{011}<100>の方位密度が、5以下(例えば、1程度)となるように設定されている。これは、{013}<100>及び{011}<100>の方位密度が5を超えると、強度の異方性が顕著になり、最終製品の特定方向の強度が低下するおそれがあることを考慮している。
また、本実施形態のアルミニウム合金材では、結晶方位分布関数(ODF)を用いて算出される{011}<211>の方位密度を、{112}<111>の方位密度で除した比が0.4以上となるように設定されている。これは、{011}<211>の方位密度が{112}<111>の方位密度の0.4倍を下回ると、強度の異方性が顕著になり、最終製品における特定方向の強度が低下するおそれがあることを考慮している。
ここで、結晶方位分布関数(ODF)を用いた方位密度の算出方法について詳しく説明する。本実施形態では、製造されたアルミニウム合金材に対し、結晶方位分布関数(ODF)を用いた三次元方位解析法(軽金属学会誌、1992年、第42巻、第6号、358頁~367頁参照)を使用して方位密度を算出している。まず、アルミニウム合金材の加工方向(圧延方向)に垂直な断面をX線回折法で測定する。この時、傾斜角が15度~90度の範囲で、Schlzによる反射法(軽金属学会誌、1983年、第33巻、第4号、230頁~239頁参照)を用いて、(111)面、(220)面、(200)面の不完全局点図を測定する。次に、級数展開を行い、結晶方位分布関数(ODF)を求める。これにより、各方位の方位密度は、ランダムな集合組織を有する標準試料の方位密度に対する比として算出される。
(アルミニウム合金材の製造方法)
次に、本実施形態に係るアルミニウム合金材の製造方法について説明する。本実施形態のアルミニウム合金材の製造は、鋳造工程、均質化工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、及び、焼きなまし工程の順に行われる。この製造工程は一例であり、これに限定されない。
まず、鋳造工程では、例えばDC(Direct Chill)鋳造法、ホットトップ法等の半連続鋳造法でスラブを鋳造する。鋳造工程時には、粗大な第二相粒子が形成することを防ぐため、鋳造速度が20mm/分~100mm/分であることが好ましい。
鋳造工程が完了すると、均質化工程が行われる。処理温度は、400℃以上490℃以下に設定する。これは、処理温度が400℃以下であると、均質化が十分になされないおそれがあるからである。また、処理温度が490℃を超えると、再固溶されずに残存したAl-Mg系化合物が溶解し、熱間圧延時に割れ等の不具合が生じるおそれがあるからである。また、第二相粒子の粗大化が過度に進行し、以後の再結晶過程で特定の方位の結晶粒が優先的に成長しやすくなり、強度の異方性が低下するおそれがある。
本実施形態の均質化工程では、2段階の均質化処理を施してもよい。その場合は、1段階目の処理温度は、400℃以上450℃以下に設定する。これは、1段階目の処理温度が400℃以下であると、均質化が十分になされないおそれがあるからである。また、1段階目の処理温度が450℃を超えると、再固溶されずに残存したAl-Mg系化合物が溶解し、熱間圧延時に割れ等の不具合が生じるおそれがあるからである。
また、1段階目の処理時間は、5時間以上20時間以下の範囲内に設定する。これは、1段階目の処理時間が5時間未満では、均質化が十分になされないからである。また、1段階目の処理時間が20時間を超えてしまうと、生産性が低下するからである。上記したように処理温度及び処理時間を適切に設定して、1段階目の均質化処理を行うことで、Al-Mg系化合物が固溶し、更に高温で均質化することができる。
続いて、2段階目の処理温度は、450℃以上490℃以下に設定する。これは、2段階目の処理温度が450℃未満であると均質化が十分になされないからである。また、2段階目の処理温度が490℃を超えてしまうと、表面のMgの酸化が進行することにより、表層のMgの濃度が低下するおそれがあるからである。
また、2段階目の処理時間は、5時間以上20時間以下の範囲内に設定する。これは、2段階目の処理時間が5時間未満では、均質化が十分になされないからである。また、2段階目の処理時間が20時間を超えると、第二相粒子の粗大化が過度に進行し、以後の再結晶過程で特定の方位の結晶粒が優先的に成長しやすくなり、強度の異方性が低下するおそれがある。
次に、熱間圧延工程が行われる。熱間圧延工程では、熱間圧延の開始温度を350℃以上480℃以下の範囲内に設定するものとする。これは、熱間圧延の処理温度が350℃未満であると、変形抵抗が高すぎて圧延が困難となるおそれがあるからである。また、熱間圧延の処理温度が480℃を超えてしまうと、材料が部分的に溶融することにより、割れが発生するおそれがあるからである。なお、均質化工程を省略して、熱間圧延工程を実施してもよい。
続いて、熱間圧延工程が完了すると、冷間圧延工程が行われる。冷間圧延工程では、熱間圧延工程完了時の板厚から冷間圧延工程完了時の板厚までの加工度(加工前の板厚に対する加工後の板厚の割合)が50%以上となるように冷間圧延を行う。加工度は、50%以上であればよく、適宜変更可能である。
なお、冷間圧延工程の前、又は途中で中間焼きなましを施してもよい。この場合にも、中間焼きなまし完了時の板厚から冷間圧延完了時の板厚までの加工度を50%以上となるように冷間圧延を行う。中間焼きなましの処理温度は、300℃以上400℃以下の範囲内とすることが好ましい。また、中間焼きなましの保持時間は、1時間以上10時間以下の範囲内とすることが好ましい。これは、高温で長時間の中間焼きなましを施すと、表面の酸化が進行することにより、外観品質が低下するおそれがあるからである。
以上説明した本実施形態におけるアルミニウム合金材によれば、アルミニウム合金の組成及び製造プロセスを調整して、金属組織を適切に制御することにより、高強度且つ強度の異方性の抑制されたアルミニウム合金材を製造することができる。これにより、アルミニウム合金材の製造性の向上、及び最終製品の信頼性の向上を図ることができる。
以下、本実施形態の実施例1について、表1及び表2を参照して説明する。
(アルミニウム合金の組成)
実施例1に用いたアルミニウム合金の組成を表1に示す。
Figure 0007414452000001
表1に示すように、実施例1のアルミニウム合金の組成は、組成が規定の範囲内となっている。ここで、規定の範囲とは、Mgが7.0~10.0%、Caが0.1%以下の範囲である。
(製造方法)
表1に示される組成で構成されたアルミニウム合金を溶解してDC鋳造した後、均質化工程、熱間圧延工程、及び冷間圧延工程を行う。そして、冷間圧延工程完了後の板厚が、1.0mmのアルミニウム合金材とする。
実施例1では、熱間圧延工程前の均質化工程時に、465℃で12hの加熱を行う。冷間圧延工程では、熱間圧延完了時の板厚から冷間圧延完了時の板厚までの加工度を80%とする。
(アルミニウム合金材の特性)
表1に示した組成で構成された実施例1のアルミニウム合金に対し、上記処理を施して製造されたアルミニウム合金材の強度特性、強度の異方性、及び製造性を表2にまとめた。
Figure 0007414452000002
(引張強さ及び破断伸び)
表2に示すように、実施例1において製造されたアルミニウム合金材は、引張強さ及び破断伸びが、規定の範囲内である。すなわち、実施例1において製造されたアルミニウム合金材は、引張強さが500MPa以上、破断伸びが3%以上10%未満の範囲である。
なお、製造したアルミニウム合金材の引張強さ及び破断伸びは、JIS規格Z-2241-2011に従って測定する。図1に示すように、製造したアルミニウム合金材1の引張強さ及び破断伸びは、1組のロール2による圧延方向(最終加工方向)と板幅方向とのなす平面内において、圧延方向である0°方向、圧延方向から板幅方向へ前記0°方向と45°をなす45°方向、及び圧延方向から板幅方向へ前記0°方向と90°をなす90°方向の引張強さと破断伸びを測定し、平均値で定義する。
(強度の異方性)
強度の異方性は、圧延方向(最終加工方向)と板幅方向とのなす平面内において、圧延方向である0°方向、圧延方向から板幅方向へ前記0°方向と45°をなす45°方向、及び圧延方向から板幅方向へ前記0°方向と90°をなす90°方向の引張強さを測定し、以下に示す式(1)を用いて算出した標準偏差[MPa]で定義する。
Figure 0007414452000003
ここで、TS[MPa]は、各方向の引張強さである。TS[MPa]は、各方向の引張強さの平均値である。nは、引張強さのデータ総数である。
(集合組織)
実施例1のアルミニウム合金材に対し、上述した結晶方位分布関数(ODF)を用いた三次元方位解析法を使用して方位密度を算出する。具体的には、製造したアルミニウム合金材の一部に対し、アルミニウム合金材の加工方向(圧延方向)に垂直な断面をX線回折法で測定する。この時、傾斜角が15度~90度の範囲で、上述したSchlzの反射法により、(111)面、(220)面、(200)面の不完全局点図を測定した後、級数展開を行い、結晶方位分布関数(ODF)を求める。
これにより得られた各方位の方位密度は、ランダムな集合組織を有する標準試料の方位密度に対する比として算出する。表2には、{013}<100>及び{011}<100>方位密度が5以下であるものを「○」とし、「5」を超えるものを「×」とする評価結果を示す。また、{011}<211>の方位密度を{112}<111>の方位密度で除した比(方位密度2とする)が0.4以上であるものを「○」とし、0.4を下回るものを「×」とする。
表2に示す通り、実施例1では、良好に強度の異方性が抑制されたことが分かる。また、実施例1では、製造性に問題がない結果である。
(比較例)
上記実施例1に対する比較例として、表3に示す組成を有する比較例1~比較例5のアルミニウム合金に、実施例1と同様の処理を施すことにより製造されたアルミニウム合金材の特性を表4にまとめる。ただし、比較例1~3では、均質化処理時に500℃、8hの処理を行った。
Figure 0007414452000004
Figure 0007414452000005
比較例1では、Mgが少な過ぎるため、製造されたアルミニウム合金材の引張強さが規定の範囲を下回り、良好な機械的特性が得られない。
比較例2では、Mgが少な過ぎるため、製造されたアルミニウム合金材の引張強さが規定の範囲を下回り、良好な機械的特性が得られない。また、均質化処理温度が高過ぎるため、強度異方性が規定の範囲を上回り、良好な機械的性質が得られない。
比較例3では、Mgが少な過ぎるため、製造されたアルミニウム合金材の引張強さが規定の範囲を下回り、良好な機械的特性が得られない。
比較例4では、Mgの含有量が多過ぎるため、熱間圧延時に割れが発生し、圧延が困難となるため製造できない。
比較例5では、Caの含有量が多過ぎるため、熱間圧延時に割れが発生し、圧延が困難となるため製造できない。
なお、本発明は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 アルミニウム合金材
2 ロール

Claims (4)

  1. Mg:7.0~10.0%、Ca:0%超え0.01%未満、を含有し、
    残部アルミニウム及び不可避不純物からなるアルミニウム合金材であって、
    引張強さが500MPa以上、破断伸びが3%以上10%未満であり、
    前記アルミニウム合金材は、前記アルミニウム合金材の最終加工方向と板幅方向とのなす平面内において、前記最終加工方向である0°方向、前記最終加工方向から前記板幅方向へ前記0°方向と45°をなす45°方向、及び前記最終加工方向から前記板幅方向へ前記0°方向と90°をなす90°方向の引張強さの標準偏差が20以下であることを特徴とするアルミニウム合金材。
  2. 前記アルミニウム合金材は、Mn:0.05~1.0%を含有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金材。
  3. 前記アルミニウム合金材は、結晶方位分布関数(ODF)を用いて算出される{013}<100>及び{011}<100>の各々の方位密度が5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金材。
  4. 前記アルミニウム合金材は、結晶方位分布関数(ODF)を用いて算出される{011}<211>の方位密度が{112}<111>の方位密度の0.4倍以上であることを特徴とする請求項またはに記載のアルミニウム合金材。
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