以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図である。
図1を参照して、実施の形態1に係る無停電電源システム100は、複数の無停電電源装置(UPS)U1~Un(nは2以上の整数)と、複数のバッテリB1~Bnと、通信線10と、制御装置40とを備える。以下の説明では、無停電電源装置U1~Unを包括的に「無停電電源装置U」と称し、バッテリB1~Bnを包括的に「バッテリB」と称する場合がある。
各無停電電源装置Uは、入力端子T1と、バッテリ端子T2と、出力端子T3とを有する。入力端子T1は、商用交流電源30から供給される商用周波数の交流電圧を受ける。バッテリB1~Bnは、無停電電源装置U1~Unのバッテリ端子T2にそれぞれ接続される。無停電電源装置U1~Unの出力端子T3はともに負荷31に接続される。負荷31は、無停電電源装置U1~Unから供給される交流電力によって駆動される。各無停電電源装置Uは、他の各無停電電源装置Uおよび制御装置40と通信線10によって互いに接続されている。
各無停電電源装置Uは、複数のパワーモジュールM1~Mm(mは2以上の整数)と、バイパスモジュールBPとをさらに有する。各パワーモジュールM1~Mmは、コンバータおよびインバータを有する電力変換モジュールである。以下の説明では、パワーモジュールM1~Mmを包括的に「モジュールM」を称する場合がある。各モジュールMは、入力端子T11と、バッテリ端子T12と、出力端子T13とを有する。
バイパスモジュールBPは、入力端子T21と、出力端子T22と、図示しないバイパススイッチとを有する。バイパススイッチは入力端子T21と出力端子T22との間に接続される。
モジュールM1~Mmの入力端子T11およびバイパスモジュールBPの入力端子T21はともに入力端子T1に接続される。モジュールM1~Mmのバッテリ端子T12はともにバッテリ端子T2に接続される。モジュールM1~Mmの出力端子T13およびバイパスモジュールBPの出力端子T13はともに出力端子T3に接続される。すなわち、各無停電電源装置Uにおいて、モジュールM1~MmおよびバイパスモジュールBPは、入力端子T1と出力端子T3との間に並列に接続されている。
このような無停電電源装置Uは、「モジュール型無停電電源装置」と称される。モジュール型無停電電源装置は、無停電電源装置の容量に応じた台数のモジュールの並列回路を内部に構築している。無停電電源装置による電源供給にN台のモジュールが必要な場合、(N+1)台のモジュールを実装し、冗長化を図ることにより、電源品質を向上させることができる。このように単一の無停電電源装置においてモジュール単位で冗長化を図る方式は、「ホットスワップ方式」とも称される。ホットスワップ方式とは、無停電電源装置の運用中にモジュールを停止し、当該モジュールを引出および挿入可能な構造を意味する。これによると、モジュールの故障や点検時に無停電電源装置による給電を継続した状態でモジュールを交換することができる。
図2は、図1に示したモジュールMの構成を示す回路ブロック図である。図2に示すように、モジュールMは、入力端子T11、バッテリ端子T12および出力端子T13に加え、スイッチSW1~SW3、電流検出器CD1,CD2、コンデンサC1,C2,3、リアクトルL1,L2、コンバータ1、直流ライン2、抵抗素子4、双方向チョッパ5、インバータ6、および制御回路7を有する。
入力端子T11は、入力端子T1を介して商用交流電源30から商用周波数の交流電圧を受ける。商用周波数の交流入力電圧(入力端子T11の電圧)VIの瞬時値は、制御回路7によって検出される。制御回路7は、例えば、交流入力電圧VIが下限値よりも高い場合には、商用交流電源30から交流入力電圧VIが正常に供給されていると判定し、交流入力電圧VIが下限値よりも低下した場合には商用交流電源30の停電が発生したと判定する。また、制御回路7は、交流入力電圧VIに同期してコンバータ1およびインバータ6を制御する。
スイッチSW1の第1端子は入力端子T11に接続され、第2端子はリアクトルL1を介してコンバータ1の入力ノードに接続される。コンデンサC1は、スイッチSW1の第2端子に接続される。スイッチSW1は、対応するモジュールMの使用時にオンされ、例えばモジュールMのメンテナンス時にオフされる。
コンデンサC1およびリアクトルL1は、交流フィルタF1を構成する。交流フィルタF1は、低域通過フィルタであり、商用交流電源30からコンバータ1に商用周波数の交流電流を流し、コンバータ1で発生するスイッチング周波数の信号が商用交流電源30側に流れることを防止する。電流検出器CD1は、商用交流電源30から入力端子T11を介してモジュールMに流入する電流I1を検出し、その検出値を示す信号φI1を制御回路7に与える。
コンバータ1は、制御回路7によって制御され、入力端子T11から交流電力が供給されている場合(商用交流電源30の健全時)には、供給される交流電力を直流電力に変換して直流ライン2に出力する。交流電力の供給が停止された場合(商用交流電源30の停電時)には、コンバータ1の運転は停止される。コンバータ1および交流フィルタF1は、交流電力を直流電力に変換する順変換器を構成する。
直流ライン2は、コンバータ1、双方向チョッパ5およびインバータ6に接続される。直流ライン2に現れる直流電圧VDCは制御回路7によって検出される。制御回路7は、モジュールMの使用時には、コンバータ1の直流出力電圧VDCが参照電圧VDCrになるようにコンバータ1を制御する。
コンデンサ3は、直流ライン2に接続され、直流ライン2の直流電圧VDCを平滑化および安定化させる。抵抗素子4は、コンデンサ3に並列接続される。抵抗素子4は、モジュールMが故障した場合に直流電圧VDCを低下させ、無停電電源システム100の使用者を保護するために設けられている。抵抗素子4の抵抗値は、コンバータ1の運転が停止された場合に、コンデンサ3の端子間電圧VDCを短時間で0Vに低下させることが可能な値に設定されている。
双方向チョッパ5の高電圧側ノードは直流ライン2に接続され、その低電圧側ノードはスイッチSW2を介してバッテリ端子T12に接続されている。双方向チョッパ5は、制御回路7によって制御され、商用交流電源30の健全時には、コンバータ1によって生成された直流電力をバッテリBに蓄え、商用交流電源30の停電時には、バッテリBの直流電力をインバータ6に供給する。スイッチSW2は、モジュールMの使用時にオンされ、例えばバッテリBのメンテナンス時にオフされる。
バッテリBの端子間電圧(バッテリ端子T12の電圧)VBの瞬時値は、制御回路7によって検出される。制御回路7は、商用交流電源30の健全時には、バッテリBの端子間電圧VBが参照電圧VBrになるように双方向チョッパ5を制御し、商用交流電源30の停電時には、直流ライン2の直流電圧VDCが参照電圧VDCrになるように双方向チョッパ5を制御する。
インバータ6は、制御回路7によって制御され、商用交流電源30の健全時には、コンバータ1によって生成された直流電力を商用周波数の交流電力に変換し、商用交流電源30の停電時には、バッテリBから双方向チョッパ5を介して供給される直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。
リアクトルL2の第1端子はインバータ6の出力ノードに接続され、第2端子はスイッチSW3を介して出力端子T3に接続される。コンデンサC2は、リアクトルL2の第2端子に接続される。コンデンサC2およびリアクトルL2は、交流フィルタF2を構成する。
交流フィルタF2は、低域通過フィルタであり、インバータ6から負荷31側に商用周波数の交流電流を流し、インバータ6で発生するスイッチング周波数の信号が負荷31側に通過することを防止する。換言すると、交流フィルタF2は、インバータ6から出力される矩形波状の電圧を正弦波状の電圧に変換する。インバータ6および交流フィルタF2は、直流電力を交流電力に変換する逆変換器を構成する。
リアクトルL2の第2端子に現れる交流出力電圧VOの瞬時値は、制御回路7によって検出される。電流検出器CD2は、モジュールMから出力端子T13を介して負荷31に流れる電流I2を検出し、その検出値を示す信号φI2を制御回路7に与える。
スイッチSW3は、制御回路7によって制御される。制御回路7は、対応するモジュールMを運転状態にする場合にはスイッチSW3をオンし、対応するモジュールMを停止状態にする場合にはスイッチSW3をオフする。
制御回路7は、他の各モジュールMの制御回路7および制御装置40と通信線10によって互いに接続されており、他の各モジュールMの制御回路7および制御装置40と情報の授受を行う。制御回路7は、交流入力電圧VI、直流電圧VDC、バッテリBの端子間電圧VB、交流出力電流IOおよび交流出力電圧VOなどに基づいて、対応するモジュールMを制御する。すなわち、制御回路7は、交流入力電圧VIの検出値に基づいて停電が発生したか否かを検出し、交流入力電圧VIの位相に同期してコンバータ1およびインバータ6を制御する。
図1に戻って、電流検出器32は、無停電電源システム100から負荷31に流れる負荷電流ILを検出し、その検出値を示す信号φILを制御装置40に与える。
制御装置40は、無停電電源システム100に含まれる複数の制御回路7との間で情報を授受することにより、複数の無停電電源装置U1~Unの各々に含まれる複数のモジュールM1~Mmの運転を統括制御する。
具体的には、各モジュールMの制御回路7は、自己が属するモジュールMの状態を示す運転情報を生成し、生成した運転情報を通信線10を経由して制御装置40へ送信する。この運転情報には、モジュールMが現在、運転状態であるか停止状態であるかを示す情報、ならびに、モジュールMの連続運転時間、連続停止時間および積算運転時間を示す情報などが含まれる。連続運転時間とは、運転状態であるモジュールMについて、直近にモジュールMを起動した時点から現在までの運転時間に相当する。連続停止時間とは、停止状態であるモジュールMについて、直近にモジュールMの運転を停止した時点から現在までの停止時間に相当する。積算運転時間とは、モジュールMが無停電電源装置Uに実装された時点から現在までの運転時間の積算値に相当する。連続運転時間、連続停止時間および積算運転時間は、制御回路7に内蔵されるタイマにより計測することができる。
制御装置40は、電流検出器32の検出結果に基づいて、負荷電流ILを供給するために必要なモジュールMの適正運転台数Nrを求める。制御装置40はさらに、求めた適正運転台数Nrに基づいて適正運転パターンを求める。運転パターンとは、複数の無停電電源装置U1~UnのモジュールMの運転台数の組合せを特定したものである。適正運転パターンは、適正運転台数NrのモジュールMを運転するのに適正な運転パターンに相当する。
制御装置40は、現在の運転台数Ncと、適正運転台数Nrと、適正運転パターンと、複数の制御回路7から受信した複数のモジュールMの運転情報とに基づいて、各無停電電源装置Uの各モジュールMを運転状態および停止状態のうちの何れの状態にするかを判定する。この判定方法については後述する。
制御装置40は、運転状態にすると判定したモジュールMに対する運転を指示するための運転指令と、停止状態にすると判定したモジュールMに対する停止を指示するための停止指令とを生成する。制御装置40は、生成した運転指令および停止指令を、通信線10を経由して、対応するモジュールMの制御回路7(図2)に送信する。
運転指令を受信した制御回路7は、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6を運転し、スイッチSW3をオンする。一方、停止指令を受信した制御回路7は、自己が属するモジュールMのコンバータ1およびインバータ6の運転を停止し、スイッチSW3をオフする。
ここで、モジュールMの運転台数を制御する理由について説明する。図3は、図2に示したモジュールMの負荷率と効率との関係を示す図である。図3において、負荷率が20~100%である場合には95%以上の高い効率を得ることができるは、負荷率が20%よりも低くなると、効率が急に低下することが分かる。
P台のモジュールMを並列運転している場合、負荷電流ILがP台のモジュールMに均等に分担され、各モジュールMの分担電流IDはID=IL/Pとなる。P台のモジュールMが並列運転している場合において、各モジュールMの負荷率が20%以下になり、効率が低いときには、Q台(Q<P)のモジュールMの運転を停止することにより、各モジュールMの分担電流ID=IL/(P-Q)を大きくし、各モジュールMの効率を大きくすることができる。例えば、4台のモジュールMを並列運転しており、負荷率が20%である場合、2台のモジュールMの運転を停止することにより、負荷率を40%にし、効率を高めることができる。
したがって、効率の良い負荷率になるように、例えば図3では負荷率が30~60%になるようにモジュールMの運転台数を制御することにより、無停電電源システム100全体の効率を向上させることができる。
次に、複数のモジュールMの運転パターンを制御する理由について説明する。
従来の無停電電源システムでは、システム容量の電源供給にN台の無停電電源装置が必要な場合に(N+1)台の無停電電源装置を設置する、並列冗長システムを採用することにより、無停電電源装置1台の故障や点検時においても、残りの健全な無停電電源装置によって給電を継続することができる。その一方で、冗長性のために余分に1台の無停電電源装置を設置するため、システム構成が大型になることが懸念される。
実施の形態1に係る無停電電源システム100において、複数の無停電電源装置U1~Unの各々は、ホットスワップ方式のモジュール型無停電電源装置により構成されている。すなわち、各無停電電源装置Uは、モジュールM単位で冗長化が図られている。これによると、モジュールMの故障や点検時でも無停電電源装置Uは給電を継続できるため、上述した従来の並列冗長システムのように、(N+1)台の無停電電源装置を設置することが不要となる。この無停電電源システム100において冗長性を確保するためには、複数の無停電電源装置U1~Unが並列運転しながら負荷31に給電することが望ましい。
そこで、実施の形態1に係る無停電電源システム100では、適正運転台数NrのモジュールMを複数の無停電電源装置U1~Unが分担して運転するように、無停電電源装置Uごとの運転台数を定めた適正運転パターンを求める。これによると、無停電電源システム100全体の効率の向上させるとともに、信頼性を高めることができる。
図4は、実施の形態1に係る無停電電源システム100の制御構成を示すブロック図である。図4には、制御装置40、および制御回路7のうちのコンバータ1、インバータ6およびスイッチSW3の制御に関連する部分の構成が示される。
図4を参照して、制御装置40は、通信部41、制御部42、記憶部43および演算部44を有する。制御回路7は、制御部8、通信部9およびタイマ12を有する。通信部41と、各無停電電源装置Uの各モジュールMの通信部9とは通信線10を介して接続されている。
各モジュールMにおいて、制御部8は、制御装置40からの運転指令を通信部9を介して受信したときには、コンバータ1およびインバータ6を運転し、スイッチSW3をオンする。このとき、制御部8は、交流入力電圧VI、交流入力電流I1および直流電圧VDCに基づき、コンバータ1の直流出力電圧VDCが参照電圧VDCrになるようにコンバータ1を制御する。また、制御部8は、交流入力電圧VI、交流出力電圧VOおよび交流出力電流I2に基づき、交流入力電圧VIに同期してインバータ6を制御し、商用周波数の交流電圧VOを生成する。また、制御部8は、電流検出器32の出力信号φILに基づき、負荷電流ILを現在の運転台数Ncで除することにより、自己のモジュールMの分担電流IDを求め、インバータ6の出力電流I2が分担電流IDになるように、コンバータ1およびインバータ6を制御する。
また、制御部8は、交流入力電圧VIが正常に供給されているか否かを判定する。制御部8は、交流入力電圧VIが下限値よりも低い場合には、交流入力電圧VIが正常に供給されておらず、停電が発生したと判定し、コンバータ1の運転を停止する。さらに、制御部8は、直流電圧VDCが下限値よりも低下した場合には、バッテリBの直流電力が下限値よりも低下したと判定し、インバータ6の運転を停止し、スイッチSW3をオフする。
タイマ12は、自己のモジュールMが運転状態にされた時間(運転時間)および停止状態にされた時間(停止時間)を計測する。具体的には、タイマ12は、運転状態であるモジュールMについての連続運転時間、および停止状態であるモジュールMについての連続停止時間を計測する。なお、連続運転時間は、モジュールMが運転状態から停止状態になると、初期値0にクリアされる。連続停止時間は、モジュールMが停止状態から運転状態になると、初期値0にクリアされる。
タイマ12はさらに、モジュールMが無停電電源装置Uに実装された時点から現在までの運転時間の計測値を積算することにより積算運転時間を算出する。制御部8は、タイマ12の計測値に基づいた連続運転時間、連続停止時間および積算運転時間を含む運転情報を、通信部9から通信線10を経由して制御装置40に送信する。
制御装置40において、制御部42は、通信部41を経由して各モジュールMの運転情報(連続運転時間、連続停止時間および積算運転時間)を受信する。
演算部44は、電流検出器32の出力信号φILを受信する。演算部44は、出力信号φILが示す負荷電流ILに基づいて適正運転台数Nrを求める。演算部44は、求めた適正運転台数Nrを制御部42に出力する。
図5は、演算部44の動作を示す図である。図5の横軸は負荷31の容量(VA)を示し、縦軸は適正運転台数Nrを示している。負荷31の容量は負荷電流ILに電源電圧を乗算することにより求めることができる。図5には、1台のモジュールMの容量が100kVAである場合の負荷31の容量と適正運転台数Nrとの関係が例示されている。図5の例では、負荷31の容量が100kVA以上200kVA未満であるときの適正運転台数NrはNr=2であり、負荷31の容量が200kVA以上300kVA未満であるときの適正運転台数NrはNr=3である。このように負荷31の容量に応じて適正運転台数NrのモジュールMを運転することにより、無停電電源システム100全体の効率を高めることができる。
記憶部43には、適正運転パターンを示すテーブルが格納されている。図6は、適正運転パターンを示すテーブルの一例を示す図である。図6には、無停電電源システム100におけるn,mをそれぞれn=3,m=4とした場合の適正運転台数Nrに対する適正運転パターンが示されている。すなわち、図6は、無停電電源システム100は3台の無停電電源装置U1~U3を有しており、3台の無停電電源装置U1~U3の各々は4台のモジュールM1~M4を有している場合の適正運転パターンを示している。
図6のテーブルでは、適正運転台数Nrごとに、3台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数の組合せが設定されている。なお、当該組合せは、3台の無停電電源装置U1~U3におけるモジュールMの運転台数の分担を示したものであり、どの無停電電源装置Uが何台のモジュールMを運転させるかを設定したものではない。例えば、適正運転台数Nr=4のときの適正運転パターンは、3台の無停電電源装置U1~U3のうちの何れか1台の無停電電源装置Uが2台のモジュールMを運転させ、かつ、残り2台の無停電電源装置Uの各々が1台のモジュールMを運転させるように設定されている。
制御部42は、記憶部43に格納されるテーブルを参照することにより、適正運転台数Nrに基づいて適正運転パターンを求める。制御部42は、求めた適正運転パターンと、複数の制御回路7から受信した複数のモジュールMの運転情報とに基づいて、各無停電電源装置Uの各モジュールMを運転状態および停止状態のうちの何れの状態にするかを判定する。
図7は、図4に示した制御装置40の動作を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、所定周期で繰り返し実行される。制御装置40が動作するときには、無停電電源システム100の電源がオンされ、無停電電源装置U1~Unの各々において所定台数のモジュールMが運転状態にされているものとする。
図7を参照して、制御装置40は、ステップS01により、電流検出器32の出力信号φILに基づいて負荷電流ILを検出する。制御装置40は、ステップS02では、ステップS02で検出した負荷電流ILに基づいて、負荷31を運転するために必要な適正運転台数Nrを求める。具体的には、制御装置40は、負荷電流ILから負荷31の容量を算出し、算出した負荷31の容量に基づいて、図5に示した負荷31の容量と適正運転台数Nrとの関係を参照することにより、適正運転台数Nrを求める。
ステップS03により、制御装置40は、ステップS02で求めた適正運転台数Nrに基づいて、適正運転パターンを求める。具体的には、制御装置40は、記憶部43に記憶されるマップ(図6参照)を参照することにより、適正運転台数Nrに対応する適正運転パターンを求める。n=3,m=4である場合、適正運転パターンは、3台の無停電電源装置U1~U3におけるモジュールMの運転台数の組合せを示している。
制御装置40は、ステップS04により、各無停電電源装置Uに含まれる4台のモジュールM1~M4から通信線10を経由して各モジュールMの運転情報を取得する。運転情報は、モジュールMの連続運転時間、連続停止時間および積算運転時間を含む。
ステップS05では、制御装置40は、現在のモジュールMの運転台数(現運転台数とも称する)Ncと、ステップS02で求めた適正運転台数Nrとを比較する。適正運転台数Nrが現在の運転台数Ncよりも大きい場合、すなわち、負荷31の容量の増加によって適正運転台数Nrが増加した場合(S05のYES判定時)、制御装置40は、ステップS06により、停止状態のモジュールMのうち連続停止時間が最大であるモジュールMを起動する。具体的には、制御装置40は、最大連続停止時間のモジュールMに対する運転指令を生成し、生成した運転指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、運転指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6を運転するとともにスイッチSW3をオンする。この結果、現在の運転台数Ncは1台増加する。
ステップS07では、制御装置40は、現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとが一致しない場合(S07のNO判定時)、制御装置40は、ステップS06に戻り、停止状態のモジュールMのうち連続停止時間が最大であるモジュールMを起動する。制御装置40からの運転指令を受けて最大連続停止時間のモジュールMが運転状態になると、制御装置40は、ステップS07にて、再び現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。制御装置40は、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまでステップS06,S07の処理を繰り返し実行する。このようにステップS06,S07の処理を繰り返し実行することにより、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまで、連続停止時間が最大のモジュールMから順番に起動されて運転状態とされる。
ステップS05に戻って、適正運転台数Nrが現在の運転台数Ncよりも小さい場合、すなわち、負荷31の容量の減少によって適正運転台数Nrが減少した場合(S08のYES判定時)、制御装置40は、ステップS09により、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大であるモジュールMの運転を停止する。具体的には、制御装置40は、最大連続運転時間のモジュールMに対する停止指令を生成し、生成した停止指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、停止指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6の運転を停止するとともにスイッチSW3をオフする。この結果、現在の運転台数Ncは1台減少する。
ステップS10では、制御装置40は、現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとが一致しない場合(S10のNO判定時)、制御装置40は、ステップS09に戻り、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大であるモジュールMの運転を停止する。制御装置40からの停止指令を受けて最大連続運転時間のモジュールMが停止状態になると、制御装置40は、ステップS10にて、再び現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。制御装置40は、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまでステップS09,S10の処理を繰り返し実行する。このようにステップS09,S10の処理を繰り返し実行することにより、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまで、連続運転時間が最大のモジュールMから順番に運転が停止されて停止状態とされる。
現在の運転台数が適正運転台数Nrに一致すると(S07またはS10のYES判定時)、制御装置40は、ステップS11において、現在の運転パターン(現運転パターンとも称する)とステップS03で求めた適正運転パターンとを比較する。ステップS11では、制御装置40は、現在の無停電電源装置U1~UnにおけるモジュールMの運転台数の組合せと、適正運転パターンが示す無停電電源装置U1~UnにおけるモジュールMの運転台数の組合せとを比較する。例えば、n=3,m=4であり、かつ適正運転台数Nr=4である場合、図6に示すように、適正運転パターンは、1台の無停電電源装置Uが2台のモジュールMを運転させ、かつ、残り2台の無停電電源装置Uの各々が1台のモジュールMを運転させるように設定されている。制御装置40は、3台の無停電電源装置U1~U3の各々のモジュールMの運転台数の組合せがこの設定に一致しているか否かを判定する。現在の運転パターンが適正運転パターンに一致している場合(S11のYES判定時)、制御装置40は処理を終了する。
一方、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致していない場合(S11のNO判定時)には、制御装置40は、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致するように、運転状態にするモジュールMを変更する。具体的には、制御装置40は、ステップS12において、停止状態のモジュールMのうち連続停止時間が最大であるモジュールMを起動する。具体的には、制御装置40は、最大連続停止時間のモジュールMに対する運転指令を生成し、生成した運転指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、運転指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6を運転するとともにスイッチSW3をオンする。この結果、現在の運転台数Ncは適正運転台数Nrから1台だけ増加する。
ステップS12により最大連続停止時間のモジュールMが運転状態になると、制御装置40は、ステップS13において、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大であるモジュールMの運転を停止する。具体的には、制御装置40は、最大連続運転時間のモジュールMに対する停止指令を生成し、生成した停止指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、停止指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6の運転を停止するとともにスイッチSW3をオフする。この結果、現在の運転台数Ncは1台減少して適正運転台数Nrに一致する。
ステップS12,S13の処理によって運転状態のモジュールMが変更されると、制御装置40は、ステップS11に戻り、現在の運転パターンと適正運転パターンとを比較する。現在の運転パターンが適正運転パターンに一致していれば(S11のYES判定時)、制御装置40は処理を終了する。一方、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致していなければ(S11のNO判定時)、再びステップS12,S13の処理を実行することにより、運転状態のモジュールMを変更する。制御装置40は、ステップS11~S13の処理を繰り返し実行することにより、現在の運転パターンを適正運転パターンに一致させる。
図8は、図7に示した制御装置40の動作の第1の例を示す図である。図8では、n=3,m=4である場合の制御装置40の動作を説明する。
図8(A)は、現在の運転台数Ncおよび現在の運転パターンを示している。現在の運転台数Ncは5台である。図中に白丸で示すように、無停電電源装置U1では、2台のモジュールM1,M3が運転状態である。無停電電源装置U2では、1台のモジュールM4が運転状態である。無停電電源装置U3では、2台のモジュールM1,M2が運転状態である。すなわち、現在の運転パターンは、2台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が2台であり、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が1台である。現在の運転パターンは、図6に示される適正運転台数Nr=5のときの適正運転パターンに一致している。
次に、図8(A)の状態において、負荷31の容量の増加によって適正運転台数Nrが5台から8台に増加した場合を想定する。
この場合、図7のステップS06,S07の処理が実行されることにより、停止状態のモジュールMのうち、連続停止時間が最大のものから順番に3台のモジュールMが起動される。その結果、図中に黒丸で示すように、無停電電源装置U1のモジュールM2,M4と、無停電電源装置U3のモジュールM3が新たに起動されて、停止状態から運転状態になる。
図8(B)では、現在の運転台数Ncは5台から8台に増加している。現在の運転パターンは、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が4台であり、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が3台であり、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が1台である。現在の運転パターンは、図6に示される適正運転台数Nr=8のときの適正運転パターンに一致していない。したがって、図7のステップS11ではNO判定となり、ステップS12,S13の処理が実行されることになる。
具体的には、図8(C)に示すように、最初に、停止状態のモジュールMのうち連続停止時間が最大のモジュールMが起動される。図8(C)では、無停電電源装置U2のモジュールM2が起動されて、停止状態から運転状態になる。これにより、無停電電源装置U2におけるモジュールMの運転台数は1台から2台に増加する。また、現在の運転台数Ncは8台から9台に増加する。
次に、図8(D)に示すように、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大のモジュールMの運転が停止される。図8(D)では、無停電電源装置U1のモジュールM3の運転が停止されて、運転状態から停止状態になる。これにより、無停電電源装置U1におけるモジュールMの運転台数は4台から3台に減少する。また、現在の運転台数Ncは9台から8台に減少する。
図8(D)において、現在の運転パターンは、2台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が3台であり、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が2台である。現在の運転パターンは、図6に示される適正運転台数Nr=8のときの適正運転パターンに一致している。
図8に示すように、負荷31の容量が増加して適正運転台数Nrが増加した場合には、制御装置40は、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するように、停止状態のモジュールMのうち連続停止時間が最大のモジュールMから順番に起動する。そして、制御装置40は、適正運転台数NrのモジュールMが運転している状態で、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致するように、運転状態のモジュールMを変更する。これによると、無停電電源システム100では、適正運転台数NrのモジュールMを適正運転パターンで運転することができるため、システム全体の効率を向上させるとともに、信頼性を向上させることができる。
図9は、図7に示した制御装置40の動作の第2の例を示す図である。図9では、図8と同様に、n=3,m=4である場合の制御装置40の動作を説明する。
図9(A)は、現在の運転台数Ncおよび現在の運転パターンを示している。図9(A)は図8(A)と同一である。現在の運転台数Ncは5台である。現在の運転パターンは、図6に示される適正運転台数Nr=5のときの適正運転パターンに一致している。
次に、図9(A)の状態において、負荷31の容量の減少によって、適正運転台数Nrが5台から3台に減少した場合を想定する。
この場合、図7のステップS09,S10の処理が実行されることにより、運転状態のモジュールMのうち、連続運転時間が最大のものから順番に2台のモジュールMの運転が停止される。その結果、図中に破線で示すように、無停電電源装置U2のモジュールM4と、無停電電源装置U3のモジュールM2の運転が停止されて、運転状態から停止状態になる。
図9(B)では、現在の運転台数Ncは5台から3台に減少している。現在の運転パターンは、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が2台であり、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が1台であり、1台の無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が0台である。現在の運転パターンは、図6に示される適正運転台数Nr=3のときの適正運転パターンに一致していない。したがって、図7のステップS11ではNO判定となり、ステップS12,S13の処理が実行されることになる。
具体的には、図9(C)に示すように、最初に、停止状態のモジュールMのうち連続停止時間が最大のモジュールMが起動される。図9(C)では、無停電電源装置U2のモジュールM2が起動されて、停止状態から運転状態になる。これにより、無停電電源装置U2におけるモジュールMの運転台数は0台から1台に増加する。また、現在の運転台数Ncは3台から4台に増加する。
次に、図9(D)に示すように、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大のモジュールMの運転が停止される。図9(D)では、無停電電源装置U1のモジュールM3の運転が停止されて、運転状態から停止状態になる。これにより、無停電電源装置U1におけるモジュールMの運転台数は2台から1台に減少する。また、現在の運転台数Ncは4台から3台に減少する。
図9(D)において、現在の運転パターンは、各無停電電源装置UにおけるモジュールMの運転台数が1台である。現在の運転パターンは、図6に示される適正運転台数Nr=3のときの適正運転パターンに一致している。
図9に示すように、負荷31の容量が減少して適正運転台数Nrが減少した場合には、制御装置40は、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するように、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大のモジュールMから順番に運転を停止する。そして、制御装置40は、適正運転台数NrのモジュールMが運転している状態で、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致するように、運転状態のモジュールMを変更する。これによると、図8に示す第1の例と同様に、無停電電源システム100では、適正運転台数NrのモジュールMを適正運転パターンで運転することができる。
さらに、図8および図9のように、各モジュールMの連続運転時間および連続停止時間に基づいて、モジュールMを運転状態にするか停止状態にするかを判定する構成としたことにより、一部のモジュールMのみが連続して運転することを回避することができ、当該モジュールMの劣化の進行を抑制することができる。また、一部のモジュールMが運転されずに長期間放置されることを回避できるため、停止中のモジュールMに故障が発生した場合であっても、その故障を速やかに見つけることができる。
[実施の形態2]
上述した実施の形態1では、制御装置40は、負荷31の容量の変化によって適正運転台数Nrが変化したときに、適正運転パターンに一致するように、各無停電電源装置Uに含まれる複数のモジュールMを運転状態または停止状態に制御するように構成されている。そのため、負荷31の容量が変化せず、適正運転台数Nrが一定値に維持されている場合には、一部のモジュールMが運転状態に固定されてしまうことになる。この場合、当該一部のモジュールMは、連続運転されるために劣化が進行することが懸念される。また、残りのモジュールMについては、運転されずに長時間放置される間に故障が発生した場合、故障の発見が遅れることが懸念される。
そこで、実施の形態2では、制御装置40は、適正運転台数Nrが所定の閾値時間に亘って一定である場合には、各無停電電源装置Uにおいて運転状態のモジュールMを変更するように構成される。このような構成とすることにより、一部のモジュールMが連続運転され、かつ、残りのモジュールMが運転されずに長時間放置されることを防止する。
なお、実施の形態2に係る無停電電源システム100の構成は、図1および図2に示した実施の形態1に係る無停電電源システム100の構成と共通するため説明を省略する。
図10は、実施の形態2に係る無停電電源システム100の制御構成を示すブロック図である。図10には、制御装置40、および制御回路7のうちのコンバータ1、インバータ6およびスイッチSW3の制御に関連する部分の構成が示される。図10の制御構成が図4の制御構成と異なる点は、制御装置40がタイマ45を有する点である。
タイマ45は、負荷31の容量が一定である時間をカウントする。具体的には、タイマ45は、常に時間を計測し続けるタイマであり、適正運転台数Nrが増加または減少した場合、または、各無停電電源装置Uにおいて運転状態のモジュールMが変更された場合にカウント値が「0」にクリアされる。タイマ45は、カウント値が「0」にされてからの時間を計測することで、適正運転台数Nrが一定である時間をカウントする。
制御部42は、タイマ45のカウント値と予め定められた閾値とを比較する。カウント値が閾値以上になったときには、制御部42は、各無停電電源装置Uにおいて、運転させるモジュールMを変更する。
図11は、図10に示した制御装置40の動作を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、所定周期で繰り返し実行される。図11のフローチャートが図7のフローチャートと異なる点は、ステップS20~S26が追加されている点である。
図11を参照して、制御装置40は、図7と同じステップS01~S03により、負荷31の容量に基づいて適正運転台数Nrを求めるとともに、適正運転台数Nrに基づいて適正運転パターンを求める。
制御装置40は、図7と同じステップS04により、各無停電電源装置Uの複数のモジュールMとの間で通信を行うことにより、各モジュールMの運転情報(連続運転時間、連続停止時間、積算運転時間など)を取得する。
制御装置40は、ステップS20により、タイマ45のカウント値を取得する。上述したように、タイマ45のカウント値は適正運転台数Nrが一定である時間を示している。
制御装置40は、図7と同じステップS05により、現在のモジュールMの運転台数と、ステップS02で求めた適正運転台数Nrとを比較する。適正運転台数Nrが現在の運転台数Ncよりも大きい場合、すなわち、負荷31の容量の増加によって適正運転台数Nrが増加した場合(S05のYES判定時)、ステップS21に進み、タイマ45はカウント値を「0」にクリアする。そして、制御装置40は、図7と同じステップS06以降の処理を実行する。
適正運転台数Nrが現在の運転台数Ncよりも小さい場合、すなわち、負荷31の容量の減少によって適正運転台数Nrが減少した場合(S08のYES判定時)には、制御装置40は、ステップS22に進み、タイマ45はカウント値を「0」にクリアする。そして、制御装置40は、図7と同じステップS09以降の処理を実行する。
一方、適正運転台数Nrが前回と同じ値である場合(S08のNO判定)には、ステップS23に進み、制御装置40は、タイマ45のカウント値と所定の閾値とを比較する。タイマ45のカウント値が閾値未満である場合(S23のNO判定時)、制御装置40は処理を終了する。一方、タイマ45のカウント値が閾値以上である場合(S23のYES判定時)には、制御装置40は、ステップS24により、各無停電電源装置Uにおいて、停止状態のモジュールMのうち連続停止時間が最大であるモジュールMを起動することにより、当該モジュールMを運転状態にする。具体的には、制御装置40は、各無停電電源装置Uの最大連続停止時間のモジュールMに対する運転指令を生成し、生成した運転指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、運転指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6を運転するとともにスイッチSW3をオンする。
次に、制御装置40は、ステップS25により、各無停電電源装置Uにおいて、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大であるモジュールMの運転を停止することにより、当該モジュールを停止状態にする。具体的には、制御装置40は、各無停電電源装置Uの最大連続運転時間のモジュールMに対する停止指令を生成し、生成した停止指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、停止指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6の運転を停止するとともにスイッチSW3をオフする。
ステップS26において、タイマ45は、カウント値を「0」にクリアし、処理を終了する。
以上のように実施の形態2では、適正運転台数Nrが一定である時間が閾値に到達した場合には、図11のステップS24,S25の処理により、各無停電電源装置Uにおいて、運転状態のモジュールMの運転が停止されるとともに、停止状態のモジュールMが運転される。これによると、一部のモジュールMのみが連続運転されることを防ぐことができる。その結果、モジュールMの劣化の進行を抑制できるとともに、モジュールMの故障を迅速に見つけることが可能となる。
なお、負荷31の容量が常時一定である無停電電源システム100においては、タイマ45のカウント値が閾値に達するごとに、図11のステップS24,S25の処理が実行されるため、運転状態のモジュールMが定期的に変更されることになる。よって、一部のモジュールMのみが連続運転されることを防ぐことができる。
[実施の形態3]
上述した実施の形態1では、各モジュールMの連続運転時間および連続停止時間に基づいて、モジュールMを運転状態にするか停止状態にするかを判定する構成について説明したが、実施の形態3では、各モジュールMの積算運転時間に基づいて、モジュールMを運転状態にするか停止状態にするかを判定する構成について説明する。
なお、実施の形態3に係る無停電電源システム100の構成は、実施の形態1に係る無停電電源システム100の構成と共通であるため説明を省略する。
図12は、実施の形態3に係る無停電電源システム100における制御装置40の動作を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、所定周期で繰り返し実行される。図12のフローチャートが図7のフローチャートと異なる点は、ステップS06,S09,S12,S13がそれぞれ、S06A,S09A,S12A,S13Aに置換されている点である。
図12を参照して、制御装置40は、図7と同じステップS01~S03により、負荷31の容量に基づいて適正運転台数Nrを求めるとともに、適正運転台数Nrに基づいて適正運転パターンを求める。
制御装置40は、図7と同じステップS04により、各無停電電源装置Uの複数のモジュールMとの間で通信を行うことにより、各モジュールMの運転情報(連続運転時間、連続停止時間、積算運転時間など)を取得する。
制御装置40は、図7と同じステップS05において、現在のモジュールMの運転台数Ncと、ステップS02で求めた適正運転台数Nrとを比較する。適正運転台数Nrが現在の運転台数Ncよりも大きい場合、すなわち、適正運転台数Nrが増加した場合(S05のYES判定時)、制御装置40は、ステップS06Aにより、停止状態のモジュールMのうち積算運転時間が最小であるモジュールMを起動する。具体的には、制御装置40は、最小積算運転時間のモジュールMに対する運転指令を生成し、生成した運転指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、運転指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6を運転するとともにスイッチSW3をオンする。
図7と同じステップS07では、制御装置40は、現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとが一致しない場合(S07のNO判定時)、制御装置40は、ステップS06Aに戻り、停止状態のモジュールMのうち積算運転時間が最小であるモジュールMを起動する。制御装置40からの運転指令を受けて最小積算運転時間のモジュールMが運転状態になると、制御装置40は、ステップS07にて、再び現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。制御装置40は、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまでステップS06A,S07の処理を繰り返し実行する。このようにステップS06A,S07の処理を繰り返し実行することにより、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまで、停止状態のモジュールMのうち積算運転時間が最小のモジュールMから順番に起動されて運転状態とされる。
これに対して、適正運転台数Nrが現在の運転台数Ncよりも小さい場合、すなわち、適正運転台数Nrが減少した場合(S08のYES判定時)、制御装置40は、ステップS09Aにより、運転状態のモジュールMのうち積算運転時間が最大であるモジュールMの運転を停止する。具体的には、制御装置40は、最大積算運転時間のモジュールMに対する停止指令を生成し、生成した停止指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、停止指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6の運転を停止するとともにスイッチSW3をオフする。
ステップS10では、制御装置40は、現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとが一致しない場合(S10のNO判定時)、制御装置40は、ステップS09Aに戻り、運転状態のモジュールMのうち積算運転時間が最大であるモジュールMの運転を停止する。制御装置40からの停止指令を受けて最大積算運転時間のモジュールMが停止状態になると、制御装置40は、ステップS10にて、再び現在の運転台数Ncと適正運転台数Nrとを比較する。制御装置40は、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまでステップS09A,S10の処理を繰り返し実行する。このようにステップS09A,S10の処理を繰り返し実行することにより、現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致するまで、運転状態のモジュールMのうち連続運転時間が最大のモジュールMから順番に運転が停止されて停止状態とされる。
現在の運転台数Ncが適正運転台数Nrに一致すると(S07またはS10のYES判定時)、制御装置40は、図7と同じステップS11において、現在の運転パターンとステップS03で求めた適正運転パターンとを比較する。現在の運転パターンが適正運転パターンに一致している場合(S11のYES判定時)、制御装置40は処理を終了する。
一方、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致していない場合(S11のNO判定時)には、制御装置40は、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致するように、運転状態にするモジュールMを変更する。
具体的には、制御装置40は、ステップS12Aにおいて、停止状態のモジュールMのうち積算運転時間が最小であるモジュールMを起動する。具体的には、制御装置40は、最小積算運転時間のモジュールMに対する運転指令を生成し、生成した運転指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、運転指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6を運転するとともにスイッチSW3をオンする。
ステップS12Aにより最小積算運転時間のモジュールMが運転状態になると、制御装置40は、ステップS13Aにおいて、運転状態のモジュールMのうち積算運転時間が最大であるモジュールMの運転を停止する。具体的には、制御装置40は、最大積算運転時間のモジュールMに対する停止指令を生成し、生成した停止指令を当該モジュールMの制御回路7に送信する。制御回路7は、停止指令を受信すると、自己のモジュールMのコンバータ1およびインバータ6の運転を停止するとともにスイッチSW3をオフする。
ステップS12A,S13Aの処理によって運転状態のモジュールMが変更されると、制御装置40は、ステップS11に戻り、現在の運転パターンと適正運転パターンとを比較する。現在の運転パターンが適正運転パターンに一致していれば(S11のYES判定時)、制御装置40は処理を終了する。一方、現在の運転パターンが適正運転パターンに一致していなければ(S11のNO判定時)、再びステップS12A,S13Aの処理を実行することにより、運転状態のモジュールMを変更する。制御装置40は、ステップS11,S12A,S13Aの処理を繰り返し実行することにより、現在の運転パターンを適正運転パターンに一致させる。
以上のように実施の形態3では、各モジュールMの積算運転時間に基づいて、モジュールMを運転状態にするか停止状態にするかを判定する構成としたことにより、無停電電源システム100に含まれる複数のモジュールMの間で積算運転時間の平準化を実現することができる。例えば、無停電電源システム100の運用中に、何れかの無停電電源装置U内でモジュールMが交換された場合には、当該モジュールMは他のモジュールMに比べて積算運転時間が短いため、優先して運転されることになる。一方、他のモジュールMに比べて積算運転時間が長いモジュールMは優先して停止されることになる。
なお、上述した実施の形態1~3では、制御装置40が複数の無停電電源装置U1~Unを制御する構成例について説明したが、複数の無停電電源装置U1~Unに含まれる複数の制御回路7が1つの制御装置を構成してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。