JP7409055B2 - 検出器の出力を補正する方法、および多角度光散乱検出器 - Google Patents
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Description
バンドブロードニングが発生すると、クロマトピーク信号の裾の部分では濃度を過小(または過大)評価することとなり、分子量が過大(または過小)に算出されてしまい、クロマトピーク信号内で一定であるはずの分子量との誤差がクロマトピーク信号の裾の部分で大きくなるといった問題が発生する。
そこで、このようなバンドブロードニングの影響を補正するために、クロマトピーク波形を数学的に拡大する方法が提案されている(特許文献1)。
(1)調節可能なパラメータαj(jは0,・・・,l、ここでlは調節可能な数)のセットを含む、拡大モデルB(α0,α1,・・・,αl,τ)を選択するステップ、
(2)分子量が単一の試料(参照用サンプル)を通液するステップ、
(3)試料由来のピーク信号を複数のディテクタ(紫外線吸光度検出器、MALS検出器、RI検出器)により検出し、そのときの信号をDi(t)(iは、1~n、nはディテクタの数)として集めるステップ、
(4)物理量(分子量)算出にあたり必要となる複数のDi(t)のうち、時間的に最も拡がったものを参照用信号Dn(t)として規定するステップ、
(5)Dn(t)と拡大関数B(αj, τ)とのコンボリューションによりDi(t)を拡大し、ピーク内でのDn(t)とDi(t)の差を最小化する最適フィットパラメータ(βi,τi,αij)を、以下の数式を用いて、最小二乗法により算出するステップ、
を含むものが記載されている。
ここで、βiはディテクタiのスケールファクタであり、αijはディテクタiとパラメータjについての拡大の程度を表している。
そして、紫外線吸光度検出器またはRI検出器の出力が濃度cを表すように構成するためには、それぞれの検出器のセル内で濃度が一様であることが条件となるところ、クロマトグラフィのような通液しながらの測定の場合、セル内で濃度が一様になるとは限らないため、算出される分子量は誤差が大きくなるといった問題があった。
また、特許文献1に記載のバンドブロードニングの補正方法では、分子量が単一である必要があるため、補正に使用する試料は一般にタンパク質に限定されていた。つまり、例えば高分子化合物のように、重合比のばらつきにより分子量に分散があるような試料に対しては、バンドブロードニングの補正が適用できないといった問題もあった。
また、かかる課題は、分級装置として液体クロマトグラフィを用いた場合に限らず、フィールド・フロー・フラクショネーション装置など他の分級装置を用いた場合にも同様に生じていた。
測定の対象となる試料は、インジェクタ114から導入され、ポンプ112で送液される溶媒110(例えば、水、メタノールなど)中に注入され、カラム116で分離され、UV検出器200、MALS検出器300、RI検出器400に順次導入され、廃液容器(不図示)に送られる。
制御装置500は、UV検出器200、MALS検出器300及びRI検出器400に接続され、UV検出器200、MALS検出器300及びRI検出器400からデータを収集すると共に、後述の最適フィッティングパラメータの算出、およびバンドブロードニングの補正を行う装置である。
なお、本明細書においては、UV検出器200、MALS検出器300及びRI検出器400を総称して「検出器」という。
光源201から出た光(紫外光又は可視光)はミラー202で反射され、入射スリット203を通って、回折格子204に入射する。回折格子204で分光された光のうち、特定の波長の光が出射スリット205を通り、ミラー206で反射されて、ビームスプリッタ210によって2つの光路に分岐される。一方の光は、フローセル207に入射され、フローセル207を透過した光は検出光として第1光検出器209で検出される。もう一方の光は、参照光として第2光検出器208で検出される。検出光と参照光の光強度は制御装置500に伝達され、吸光度が求められる。インジェクタ114から導入された試料は、カラム116で分離され、フローセル207内に順次導入され、MALS検出器300に送られる。カラム116で分離された各成分について特定波長における吸光度の時間変化を計測することで各成分の濃度を求めることができる。
光源320としては、通常、可視レーザ光が用いられる。光の進行方向からの角度θが水平面上(XY平面上)の散乱角として定義され、異なる散乱角を検出するようにフローセル310および流路中心を通る水平面上(XY平面上)にディテクタ330が複数配置される。各ディテクタ330の出力は制御装置500(図3及び図4において不図示)に伝達される。そして、制御装置500によって、ディテクタ330の散乱光強度の角度依存性を測定することにより、粒子径や分子量が算出される。なお、MALS検出器300による分子量Mの計算には、下式(1)が用いられる。
ここで、cは濃度であり、K*は光学定数と呼ばれる定数であり、下式(2)で定義される。
式(1)に示すように、分子量Mを算出するためには、試料の濃度c(t)を別の検出器で測定する必要がある。このため、本実施形態の高速液体クロマトグラフィシステム1においては、試料の濃度c(t)を求めるために、UV検出器200およびRI検出器400を使用している。
フローセル402の前方にはレンズ410が配置され、フローセル402の後方にはフローセル402を透過した光を反射させるミラー412が配置されている。ミラー412により反射された測定光406の光路上にフォトダイオードなどの受光素子416が設けられており、ミラー412で反射してフローセル402を透過した測定光406が受光素子416上に結像されるようになっている。反射後の測定光406の光路上のレンズ410と受光素子416との間に、受光素子416上でのスリット像を平行移動させるためのゼログラス414が配置されている。
光源4から発せられた光はスリット408を通って測定光406となり、レンズ410を通ってフローセル402に照射され、フローセル402を透過してミラー412で反射される。ミラー412からの反射光は再びフローセル402を透過してレンズ410によって受光素子416上にスリット像として結像される。受光素子416は2つの受光領域416Aと416Bを備え、それぞれの受光領域への入射光量に基づく検出信号が制御装置500(図3及び図4において不図示)に出力されるようになっている。
試料セル402a内と参照セル402b内の屈折率差が0であるときに、スリット像が受光領域416A、416Bの境界部分を跨ぐようにして受光素子416の受光面上に結像されるように調整されており、試料セル402a内に試料成分が導入されて試料セル402a内の屈折率が変化すると、試料セル402a内と参照セル402b内の屈折率差が変化し、受光素子416の受光面に結像するスリット像が変位する。その変位を受光領域416Aと416Bの検出信号値の差分をとることにより検出し、試料セル402a内と参照セル402b内の屈折率差を求める。そして、制御装置500によって、分離カラム116で分離された各成分について屈折率差の時間変化を計測することで各成分の濃度を求めることができる。
図6は、本実施形態のUV検出器200、MALS検出器300及びRI検出器400から出力されるクロマトピーク信号を示す図である。図6に示すように、本実施形態の高速液体クロマトグラフィシステム1は、UV検出器200、MALS検出器300及びRI検出器400が直列に配置されているため、各検出器のセル容量や検出器間の配管容量により試料が拡散し、後段の検出器ほどクロマトピーク信号が遅れ、かつピークの時間幅は拡大する(つまり、バンドブロードニングが発生する)。
そして、バンドブロードニングが発生すると、クロマトピーク信号の裾の部分では濃度を過小(または過大)評価することとなり、分子量が過大(または過小)に算出されてしまい、クロマトピーク信号内で一定であるはずの分子量との誤差がクロマトピーク信号の裾の部分で大きくなるといった問題が発生する。
そこで、かかる問題を解決するため、本実施形態の高速液体クロマトグラフィシステム1では、各検出器の出力を補正する機能(以下、「出力補正機能」又は「出力補正方法」という。)を備える構成を採っている。
本実施形態の出力補正方法は、高速液体クロマトグラフィシステム1で実行される、各検出器のキャリブレーション方法であり、以下の(a)~(d)のステップを含む。
(a)分子量Mが既知の試料を高速液体クロマトグラフィシステム1に注入する。
(b)制御装置500によって、試料のピークを各検出器によって検出し、そのときのUV検出器200及びRI検出器400の出力信号をそれぞれ、時間の関数Di(t)(iは検出器の数を示す添字)として収集する。
(c)制御装置500によって、MALS検出器300の複数のディテクタ330の少なくとも1つの信号に基づいて、UV検出器200及びRI検出器400における分子量相当値Mi(t)を時間の関数として求める。
(d)制御装置500によって、分子量相当値Mi(t)が、既知の分子量Mの時間の関数M(t)に近づくように、UV検出器200及びRI検出器400の出力信号Di(t)を補正する。より具体的には、UV検出器200及びRI検出器400について、下式(3)のχi 2モデルを形成し、制御装置500によって、UV検出器200及びRI検出器400の出力信号Di(t)と、調節可能なパラメータαj(jは0,・・・,l、ここでlは調節可能な数)のセットを含む拡大モデルB(α0,α1,・・・,αl,β,τ)とのコンボリューションを計算し、ピーク内で試料の分子量Mの時間の関数M(t)と分子量相当値Mi(t)との差を最小化するパラメータαij、βi、γiを最小二乗法により算出し、パラメータαij、βi、γiに基づいてUV検出器200及びRI検出器400の出力信号Di(t)を補正する。
ここで、βiは検出器iのスケールファクタであり、αijは検出器iとパラメータjについての拡大の程度を表す係数であり、γiは比例係数である。
図7は、分子量が単一の試料(ウシ血清アルブミン(BSA))に対して、本発明を適用した結果を示す図であり、UV検出器200の出力信号に対して最適フィッティングパラメータを求めたときの、MALS検出器300の出力信号D90°(t)と、式(4)、(5)によって求めた分子量相当値Mi(t)を示す図である。なお、図7の分子量相当値Mi(t)は、式(4)、(5)によって求めた分子量相当値Mi(t)を試料の分子量Mの時間の関数M(t)(既定値:67,000g/mol)で割った値とした。また、UV検出器200の出力信号は波長280nmにおける吸光度である。また、γはBSAの波長280nmにおけるモル吸光係数ε 0.67[mL/mg]から、γ= 1/εを用いた。
図7に示すように、分子量相当値Mi(t)は、ピーク範囲内において略1.0となり、試料の分子量Mの時間の関数M(t)(既定値:67,000g/mol)と略一致していることが分かる。
図8は、分子量が単一の試料(ウシ血清アルブミン(BSA))に対して、本発明を適用した結果を示す図であり、RI検出器400の出力信号Di(t)に対して最適フィッティングパラメータを求めたときの、RI検出器400の信号Di(t)と、式(4)、(5)によって求めた分子量相当値Mi(t)を示す図である。なお、図8の分子量相当値Mi(t)は、式(4)、(5)によって求めた分子量相当値Mi(t)を試料の分子量Mの時間の関数M(t)(既定値:67,000g/mol)で割った値とした。また、タンパク質の屈折率増分dn/dcは0.185[mL/g]から、γ = 1 /(dn/dc)を用いた。
図8に示すように、分子量相当値Mi(t)は、ピーク範囲内において略1.0となり、試料の分子量Mの時間の関数M(t)(既定値:67,000g/mol)と略一致していることが分かる。
図9は、分子量に分散がある試料(Mw / Mn = 1.2)に対して、本発明を適用した結果を示す図であり、MALS検出器300の出力信号D90°(t)と、RI検出器400の出力信号Di(t)と、式(4)、(5)によって求めた分子量相当値Mi(t)を示す図である。なお、図9の分子量相当値Mi(t)は、式(4)、(5)によって求めた分子量相当値Mi(t)を試料のピークトップ分子量Mpで割った値とした。
図9に示すように、MALS検出器300をバンドブロードニングする場合、分子量に幅がある(分散がある)試料に対しても補正が可能である。
ここで、tcはクロマトグラムの保持時間、wはガウス分布の標準偏差、t0は指数分布の時定数、Aはピーク面積であり、tc、w、t0は、拡大関数Bのαの一例である。
このように、濃度c(t)を補正することにより、通液時のセル内での濃度ムラによる出力値と濃度算出値との差を補償することができる。
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
分級装置(1)の後段に配置されるn個(nは2以上の整数)の検出器i(iは1~n)を有するシステムにおいて、前記検出器iの出力を補正する方法であって、
前記検出器iは、前記分級装置を通過した試料が流れるセルと前記セルの周囲に配置される複数の光検出部を有する多角度光散乱検出器を含み、
分子量Mが既知の試料を前記分級装置に注入するステップ(ステップ(a))と、
前記検出器iの出力信号Di(t)を時間の関数として収集するステップ(ステップ(b))と、
前記多角度光散乱検出器の複数の光検出器の少なくとも1つの出力信号に基づいて、前記検出器iに対応する分子量相当値Mi(t)を時間の関数として求めるステップ(ステップ(c))と、
前記分子量相当値Mi(t)が、前記既知の分子量Mの時間の関数M(t)に近づくように、前記検出器iの出力信号Di(t)を補正するステップ(ステップ(d))と、を含む。
前記検出器iの出力信号Di(t)を補正するステップは、前記検出器iについて、下式(1)のχi 2モデルを形成し、前記検出器iの出力信号Di(t)と、調節可能なパラメータαj(jは0,・・・,l、ここでlは調節可能な数)のセットを含む拡大モデルB(α0,α1,・・・,αl,β,τ)とのコンボリューションを計算し、ピーク内で前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)と前記分子量相当値Mi(t)との差を最小化するパラメータαij、βi、γiを最小二乗法により算出する。
前記分子量相当値Mi(t)を時間の関数として求めるステップは、前記多角度光散乱検出器が有する複数の光検出部(330)のうち、90°の位置に配置された光検出部の出力信号D90°(t)に基づいて、下式(2)、(3)によって分子量相当値Mi(t)を求める。
前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの出力信号Di(t)の方がピークの拡がりが小さい場合、前記式(1)は、下式(4)に展開され、
前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの出力信号Di(t)の方がピークの拡がりが大きい場合、前記式(1)は、下式(5)に展開される。
前記試料は、分子量に分散がある試料であり、
下式(6)、(7)より、Mn/Mwを算出し、該算出したMn/Mwが前記試料の既知のMn/Mwと一致するように、下式(8)のρを求め、下式(8)より前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)を算出するステップをさらに含む。
前記試料は、単一分子量の試料であり、前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)が時間に依存しない定数である。
前記拡大モデルBは、下式(9)によって与えられる指数-ガウス分布関数である。
前記拡大モデルBは、下式(10)によって与えられるガウス分布関数である。
ここで、tcはクロマトグラムの保持時間、wはガウス分布の標準偏差、t0は指数分布の時定数、Aはピーク面積である。
前記検出器iの出力信号Di(t)を補正するステップは、前記検出器iの出力信号Di(t)を拡幅する処理である。
液体の試料中の微粒子を検出するための多角度光散乱検出器(300)であって、
前記試料を保持する透明なフローセル(310)と、
前記フローセルにコヒーレント光を照射する光源(320)と、
前記フローセルから周囲に異なる散乱角を以て散乱する光を受光する複数の光検出部(330)と、
前記複数の光検出部からの信号を受信し、前記試料の分子量を求める制御手段(500)と、
を備え、
前記制御手段(500)は、
前記多角度光散乱検出器に直列に接続されるn個(nは1以上の整数)の検出器i(iは1~n)からの出力信号Di(t)を時間の関数として収集する信号収集手段(ステップ(b))と、
前記複数の光検出部の少なくとも1つの信号に基づいて、前記検出器iに対応する分子量相当値Mi(t)を時間の関数として求める分子量算出部(ステップ(c))と、
前記分子量相当値Mi(t)が、前記既知の分子量Mの時間の関数M(t)に近づくように、前記検出器iの出力信号Di(t)を補正する補正部(ステップ(d))と、
を有する。
前記補正部(ステップ(d))は、前記検出器iについて、下式(1)のχi 2モデルを形成し、前記検出器iの出力信号Di(t)と、調節可能なパラメータαj(jは0,・・・,l、ここでlは調節可能な数)のセットを含む拡大モデルB(α0,α1,・・・,αl,β,τ)とのコンボリューションを計算し、ピーク内で前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)と前記分子量相当値Mi(t)との差を最小化するパラメータαij、βi、γiを最小二乗法により算出する。
前記分子量算出部は、前記複数の光検出部のうち、90°の位置に配置された光検出部の出力信号D90°(t)に基づいて、下式(2)、(3)によって分子量相当値Mi(t)を求める。
ここで、Naはアボガドロ数、dn/dcは試料の屈折率増分、n0は溶媒の屈折率、λ0は真空における入射光の波長、σは比例係数である。
前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの出力信号Di(t)の方がピークの拡がりが小さい場合、前記式(1)は、下式(4)に展開され、
前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの信号Di(t)の方がピークの拡がりが大きい場合、前記式(1)は、下式(5)に展開される。
前記試料は、分子量に分散がある試料であり、
前記補正部は、下式(6)、(7)より、Mn/Mwを算出し、該算出したMn/Mwが前記試料の既知のMn/Mwと一致するように、下式(8)のρを求め、下式(8)より前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)を算出する。
ここで、Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量、Mpは前記検出器iの出力信号が最大値となるときのピークトップ分子量、C(t)は前記検出器iの出力信号Di(t)から求まる濃度、ρは比例定数である。
前記試料は、単一分子量の試料であり、前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)が時間に依存しない定数である。
前記拡大モデルBは、下式(9)によって与えられる指数-ガウス分布関数である。
前記拡大モデルBは、下式(10)によって与えられるガウス分布関数である。
ここで、tcはクロマトグラムの保持時間、wはガウス分布の標準偏差、t0は指数分布の時定数、Aはピーク面積である。
前記補正部は、前記検出器iの出力信号Di(t)を拡幅する。
前記補正部は、前記検出器iの出力信号Di(t)を拡幅した後の出力信号をDi*(t)としたときに、下式(11)を満たすように、前記検出器iの出力信号Di(t)を補正する。
110 :溶媒
112 :ポンプ
114 :インジェクタ
116 :カラム
200 :UV検出器
201 :光源
202 :ミラー
203 :入射スリット
204 :回折格子
205 :出射スリット
206 :ミラー
207 :フローセル
208 :第2光検出器
209 :第1光検出器
210 :ビームスプリッタ
300 :MALS検出器
310 :フローセル
320 :光源
330 :ディテクタ
340 :ビームダンパ
400 :RI検出器
402 :フローセル
402a :試料セル
402b :参照セル
404 :光源
406 :測定光
408 :スリット
410 :レンズ
412 :ミラー
414 :ゼログラス
416 :受光素子
416A :受光領域
416B :受光領域
500 :制御装置
Claims (18)
- 分級装置の後段に配置されるn個(nは2以上の整数)の検出器i(iは1~n)を有するシステムにおいて、前記検出器iの出力を補正する方法であって、
前記検出器iは、前記分級装置を通過した試料が流れるセルと、前記セルの周囲に配置される複数の光検出部を有する多角度光散乱検出器と、濃度検出器とを含み、
分子量Mが既知の試料を前記分級装置に注入するステップと、
前記濃度検出器の出力信号Di(t)を時間の関数として収集するステップと、
前記多角度光散乱検出器の複数の光検出部の少なくとも1つの出力信号に基づいて、前記濃度検出器に対応する分子量相当値Mi(t)を時間の関数として求めるステップと、
前記分子量相当値Mi(t)が、前記既知の分子量Mの時間の関数M(t)に近づくように、前記出力信号Di(t)を補正するステップと、を含み、
前記検出器iの出力信号D i (t)を補正するステップは、前記検出器iについて、下式(1)のχ i 2 モデルを形成し、前記検出器iの出力信号D i (t)と、調節可能なパラメータα j (jは0,・・・,l、ここでlは調節可能な数)のセットを含む拡大モデルB(α 0 ,α 1 ,・・・,α l ,β,τ)とのコンボリューションを計算し、ピーク内で前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)と前記分子量相当値M i (t)との差を最小化するパラメータα ij 、β i 、γ i を最小二乗法により算出する、方法。
- 前記分子量相当値Mi(t)を時間の関数として求めるステップは、前記多角度光散乱検出器が有する複数の光検出部のうち、90°の位置に配置された光検出部の出力信号D90°(t)に基づいて、下式(2)、(3)によって分子量相当値Mi(t)を求める、請求項1に記載の方法。
- 前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの出力信号Di(t)の方がピークの拡がりが小さい場合、前記式(1)は、下式(4)に展開され、
前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの出力信号Di(t)の方がピークの拡がりが大きい場合、前記式(1)は、下式(5)に展開される、
請求項2に記載の方法。
- 前記試料は、分子量に分散がある試料であり、
下式(6)、(7)より、Mn/Mwを算出し、該算出したMn/Mwが前記試料の既知のMn/Mwと一致するように、下式(8)のρを求め、下式(8)より前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)を算出するステップをさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料は、単一分子量の試料であり、前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)が時間に依存しない定数である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記拡大モデルBは、下式(9)によって与えられる指数-ガウス分布関数である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記拡大モデルBは、下式(10)によって与えられるガウス分布関数である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記検出器iの出力信号Di(t)を補正するステップは、前記検出器iの出力信号Di(t)を拡幅する処理である、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記検出器iの出力信号Di(t)を拡幅する処理の後の出力信号をDi*(t)としたときに、下式(11)を満たす、請求項8に記載の方法。
- 液体の試料中の微粒子を検出するための多角度光散乱検出器であって、
前記試料を保持する透明なフローセルと、
前記フローセルにコヒーレント光を照射する光源と、
前記フローセルから周囲に異なる散乱角を以て散乱する光を受光する複数の光検出部と、
前記複数の光検出部からの信号を受信し、前記試料の分子量を求める制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記多角度光散乱検出器に直列に接続されるn個(nは1以上の整数)の検出器i(iは1~n)からの出力信号Di(t)を時間の関数として収集する信号収集手段と、
前記複数の光検出部の少なくとも1つの信号に基づいて、前記検出器iに対応する分子量相当値Mi(t)を時間の関数として求める分子量算出部と、
前記分子量相当値Mi(t)が、既知の分子量Mの時間の関数M(t)に近づくように、前記検出器iの出力信号Di(t)を補正する補正部と、
を有し、
前記補正部は、前記検出器iについて、下式(1)のχ i 2 モデルを形成し、前記検出器iの出力信号D i (t)と、調節可能なパラメータα j (jは0,・・・,l、ここでlは調節可能な数)のセットを含む拡大モデルB(α 0 ,α 1 ,・・・,α l ,β,τ)とのコンボリューションを計算し、ピーク内で前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)と前記分子量相当値M i (t)との差を最小化するパラメータα ij 、β i 、γ i を最小二乗法により算出する、多角度光散乱検出器。
- 前記分子量算出部は、前記複数の光検出部のうち、90°の位置に配置された光検出部の出力信号D90°(t)に基づいて、下式(2)、(3)によって分子量相当値Mi(t)を求める、請求項10に記載の多角度光散乱検出器。
- 前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの出力信号Di(t)の方がピークの拡がりが小さい場合、前記式(1)は、下式(4)に展開され、
前記出力信号D90°(t)よりも前記検出器iの出力信号Di(t)の方がピークの拡がりが大きい場合、前記式(1)は、下式(5)に展開される、
請求項11に記載の多角度光散乱検出器。
- 前記試料は、分子量に分散がある試料であり、
前記補正部は、下式(6)、(7)より、Mn/Mwを算出し、該算出したMn/Mwが前記試料の既知のMn/Mwと一致するように、下式(8)のρを求め、下式(8)より前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)を算出する、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の多角度光散乱検出器。
- 前記試料は、単一分子量の試料であり、前記試料の分子量Mの時間の関数M(t)が時間に依存しない定数である、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の多角度光散乱検出器。
- 前記拡大モデルBは、下式(9)によって与えられる指数-ガウス分布関数である、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の多角度光散乱検出器。
- 前記拡大モデルBは、下式(10)によって与えられるガウス分布関数である、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の多角度光散乱検出器。
- 前記補正部は、前記検出器iの出力信号Di(t)を拡幅する、請求項10から請求項16のいずれか一項に記載の多角度光散乱検出器。
- 前記補正部は、前記検出器iの出力信号Di(t)を拡幅した後の出力信号をDi*(t)としたときに、下式(11)を満たすように、前記検出器iの出力信号Di(t)を補正する請求項17に記載の多角度光散乱検出器。
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