JP7406987B2 - 便器装置 - Google Patents

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Description

本開示は、便器装置に関する。
特許文献1は、便鉢部と、便鉢部の上端開口部が開口する上面部と、上面部の外周縁部から下方において外部露出面を形成する外周壁部とを有する便器本体を開示する。この便器本体は、外周壁部において下向きに設けられる段差部を備える。この段差部の下面は、水平面に対して平行に設けられる。
特開2017-66818号公報
本願発明者は、特許文献1の開示技術に関して検討したところ、次の点で改善の余地があるとの認識を得た。外周壁部を尿等の水が下向きに伝わる場合がある。特許文献1の構造のもとでは、表面張力の影響によって、外周壁部の段差部よりも上側の部分から、段差部の下面を経由して、その段差部よりも下側の部分まで水が伝わり易くなっている。このため、外周壁部と床の間の小さい隙間(以下、床上隙間という)に水が浸入する可能性がある。床上隙間に浸入する水は清掃器具で除去し難いため、床上に長期間に亘り残り易い。これは問題の原因となり得るため、その改善が望まれる。
本開示の目的の1つは、床上隙間への水の浸入対策を実現できる技術を提供することにある。
前述の課題を解決するための本開示のある態様は便器装置である。ある態様の便器装置は、便鉢部を有し、前記便鉢部の上端開口部が開口する上面部を有する便器本体と、前記上面部の外周縁部から下方において外部露出面を形成する外周壁部と、前記外周壁部において下向きに設けられ、外側の低位箇所と内側の高位箇所が形成された段差部と、前記外周壁部において前記段差部よりも下側の部分を構成し、前記低位箇所の最低位部分よりも内側に収まる位置に配置される下側部分と、を備える。
第1実施形態の便器装置の一部を示す側面図である。 第1実施形態の便器装置の一部を示す前面図である。 第1実施形態の便器装置の一部を示す下面図である。 第1実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。 図4の一部の拡大図である。 第1実施形態の便器装置に関する効果の説明図である。 図1のA-A断面図である。 第2実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。 第1変形例の便器装置の一部を示す側面断面図である。 第3実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。 第4実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。 図11の一部の拡大図である。 第5実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。 図13の一部の拡大図である。 第2変形例の便器装置の一部を示す側面断面図である。 第3変形例の便器装置の一部を示す前面図である。
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小したりする。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する形状には、言及している形状に厳密に一致する形状のみでなく、寸法誤差、製造誤差等の誤差の分だけずれた形状も当然に含まれる。
(第1実施形態)図1~図4を参照する。以下、各構成要素の位置関係に関して、互いに直交する三つの方向を用いて説明する。この方向とは、前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zである。前後方向X及び左右方向Yは水平方向となり、上下方向Zは鉛直方向となる。前後方向X及び左右方向Yは、便器本体12に取り付けられる便座(不図示)に通常の姿勢で座るユーザの前後左右と対応する。この他に、外周壁部24の「径方向」、「周方向」を用いて説明する。「周方向」は、平面視において外周壁部24がなす外形の中心を通る鉛直線を中心線CLとしたとき、その中心線CL周りを回る方向をいう。「径方向」は、その中心線CLに直交する方向をいう。
便器装置10は、洋風大便器を構成する便器本体12を備える。便器装置10は、この他に、便器本体12の上面部16(後述する)上に配置される便座(不図示)を備える。
本実施形態の便器本体12は陶器を素材とする。便器本体12の素材は特に限られず、たとえば、樹脂等でもよい。本実施形態の便器本体12は、トイレ室の床F上に配置される床置き式であり、固定部品(不図示)を用いて床Fに固定される。
便器本体12は、汚物を受けるための便鉢部14と、便鉢部14の上端開口部が開口する上面部16と、便鉢部14の底部に接続される便器排水路18とを備える。便器排水路18は、不図示の配管部材を介して建物に設置される排水管(不図示)に接続される。便器排水路18は、封水20を貯留する封水貯留部22を備える。封水20は、便器排水路18内での空気の流れを遮断する。
便器装置10は、上面部16の外周縁部16aから下方において外部露出面を形成する外周壁部24を備える。外部露出面は、外部空間26に露出する面をいう。本明細書でいう外部空間26とは、トイレ室に便器本体12を固定する前の状態にあるとき、便器本体12の外部に設けられる空間をいう。本実施形態の外周壁部24の全体は、便器本体12の一部として設けられる。外周壁部24は、床F上に置かれ、外周壁部24と一体化される便鉢部14等の荷重を支持する。
本実施形態の外周壁部24は、便鉢部14との間に空洞部28を形成する。空洞部28は、便鉢部14の前方から便鉢部14の左右両側に広がるように形成される(図示せず)。本実施形態の外周壁部24は、便器排水路18に対して間隔を空けて配置され、便器排水路18を取り囲んでいる。
外周壁部24は、便鉢部14に対して前側に設けられる前壁部30と、便鉢部14に対して左右両側に設けられる一対の側壁部32と、便鉢部14に対して後側に設けられる後壁部34を備える。本実施形態の前壁部30は、側壁部32に対して、外向きに凸となる前側曲げ部31を介して接続されている。本実施形態の後壁部34は、側壁部32に対して、外向きに凸となる後側曲げ部33を介して接続されている。本実施形態の外周壁部24は、その中心線CL周りの全周に亘る範囲に設けられる。
本実施形態の便器装置10は、便鉢部14の後方において、外周壁部24の内側に形成される収容部36を備える。収容部36は、便器本体12の上面部16に開口している。収容部36には、不図示の被収容物が収容される。被収容物は、例えば、ケーシングと、ケーシング内に収容される少なくとも一つの内部機器とを備える機能装置である。内部機器は、例えば、便座に着座する着座者の局部を洗浄する局部洗浄装置等である。
便器装置10は、外周壁部24において下向きに設けられる段差部40と、外周壁部24において段差部40の外周縁部40aから上側の部分を構成する上側部分42と、外周壁部24において段差部40よりも下側の部分を構成する下側部分44とを備える。本実施形態において、上側部分42、段差部40及び下側部分44のそれぞれは便器本体12の一部が構成する。
本実施形態の上側部分42は、外周壁部24において上面部16の外周縁部16aから下側の部分を構成する。本実施形態の上側部分42は、下側に向かう途中において、外側に突き出る箇所が設けられていない。この条件は、本実施形態において、外周壁部24の前端部から後方に向かう一部の周方向範囲において満たされる。これにより、外周壁部24の上側部分42に関して、すっきりとした外観を得られる。これを実現するうえで、本実施形態の上側部分42は、下側に向かうに連れて内側に延びる形状である。この他にも、これを実現するうえで、上側部分42は、鉛直下向きに延びる形状であってもよい。つまり、上側部分42は、下側に向かうに連れて内側に延びる形状と、鉛直下向きに延びる形状との組み合わせから構成されてもよい。
下側部分44は、外周壁部24において段差部40よりも下側の部分であって、外周壁部24の下端24aから上側の部分を構成する。本実施形態の下側部分44は、下方に向かうに連れて、内側に延びるように設けられる。
段差部40は、上側部分42と下側部分44との間で外径寸法に差を持たせるように設けられる。本実施形態の段差部40は、外周壁部24の下部、詳しくは、外周壁部24の下端部に設けられる。外周壁部24の上下方向Zの全長をLh(図2参照)とする。外周壁部24の下部とは、外周壁部24の下端位置からLh×0.5となる位置Paまでの範囲をいう。外周壁部24の下端部とは、外周壁部24の下端位置からLh×0.2となる位置Pbまでの範囲をいう。
段差部40は、外周壁部24の前壁部30、側壁部32のそれぞれに設けられる。段差部40は、外周壁部24の前端部から後方に向かう一部の周方向範囲において、外周壁部24に設けられると捉えることができる。本実施形態の段差部40は、外周壁部24の後壁部34にも設けられる。本実施形態の段差部40は、外周壁部24の中心線CL周りの全周に亘る範囲で設けられると捉えることができる。
図5を参照する。下側部分44は、床Fとの間に外部空間26に露出する床上隙間Gを形成する。
段差部40は、段差部40の外周縁部40aに連続する下向きの下面40bと、外周壁部24の内側の内部空間46と外部空間26を隔てる壁部40cとを備える。段差部40の下面40bには、外側の低位箇所48と内側の高位箇所50が形成される。本明細書での「外側」「内側」とは、径方向における外側、内側をいう。高位箇所50は、径方向に沿って切断した断面において、低位箇所48よりも高い位置に設けられる。
本実施形態の段差部40は、低位箇所48の最低位部分48aから高位箇所50の最高位部分50aに延びる第1斜面部52を備える。本実施形態の第1斜面部52は、径方向に沿って切断した断面において、平坦状をなす。本実施形態の第1斜面部52は、外側から内側に向かって同等の厚みを持った壁部の下面に形成される。第1斜面部52は、上側部分42との間で下向きに凸となる角部を形成する。この角部は、段差部40の低位箇所48を構成し、本実施形態において曲面状をなす。
本実施形態の外周壁部24は、段差部40の高位箇所50の最高位部分50aよりも内側に設けられ、下向きに延びるとともに下側部分44に連続する第2斜面部54を備える。第2斜面部54は、第1斜面部52との間で上向きに凹となる隅部を形成する。この隅部は、段差部40の高位箇所50を構成する。
下側部分44は、低位箇所48の最低位部分48aよりも内側に収まる位置に配置される。下側部分44は、低位箇所48の最低位部分48aから外側にはみ出ないということである。この条件は、径方向に沿って切断した断面において満たされる。
以上の工夫点に関する効果を説明する。図6を参照する。外周壁部24の上側部分42を尿等の水Wが下向きに伝わるケースを考える。このケースは、例えば、便鉢部14内に排尿する場合、便鉢部14内で生じた飛沫が上面部16を外向きに伝わることで生じる。
本実施形態の段差部40には外側の低位箇所48と内側の高位箇所50が形成される。よって、段差部40において低位箇所48から高位箇所50に表面張力で水Wが伝わり難くなる。これに伴い、段差部40の低位箇所48から自重で下向きに水Wが分離し易くなる。この結果、外周壁部24の上側部分42から段差部40の下面40bを経由して下側部分44に水が伝わり難くなる。
この他に、外周壁部24の下側部分44は、段差部40の低位箇所48よりも内側に収まる位置に配置される。よって、段差部40の低位箇所48から分離した水Wを外周壁部24の下端24aよりも外側に離れた位置に落とすことができる。この結果、段差部40の低位箇所48から分離した水Wが下側部分44に直接に当たる事態を避け易くなる。
(A)以上が相まって、床上隙間Gに水が浸入する事態を避け易くなり、その水の浸入に起因する問題を避けることができる。この問題とは、例えば、床下隙間G内の水に起因する汚れ、汚臭、腐食等である。本実施形態によれば、床Fに対して床下隙間Gから外側に離れた位置に水を落とすことができる。このような位置は、床下隙間Gと比べて、布巾等の清掃器具を届かせ易い。よって、このような位置に水Wを落とすことで容易に除去でき、床F上に長期間に亘り水Wが残る事態を避け易くなる。
水の浸入対策を実現するうえで、この他にも、床上隙間Gを塞ぐコーキング、テープ等の目地材を用いる方法も考えられる。しかしながら、目地材を用いる場合、便器装置10の設置後に目地材の施工を要する。この他にも、定期的な目地材の交換も要する。本実施形態の便器装置10によれば、水の浸入対策を実現するうえで、外周壁部24の断面形状を工夫するだけでよい。よって、目地材の施工、交換に要する労力を削減でき、水の浸入対策に要する労力を削減できる。この他に、便器装置10の外観に目地材が現われないため、良好な意匠性を得られる。
段差部40は、下側から指を掛ける手掛けとして利用でき、便器装置10を持ち運び易くなる。これにより、便器装置10の上方から下向きに手を伸ばした場合に、外周壁部24の下端24aを手掛けとして利用するケースと比べ、その指先を手掛けとなる箇所に届かせ易くなる。これに伴い、便器装置10の運搬作業、設置作業の容易化を実現できる。特に、外周壁部24の上側部分42に外側に突き出る箇所がない場合でも、段差部40を手掛けとして利用することで、便器装置10を持ち運び易くできる。
このような用途で用いる場合、高位箇所50は、段差部40の外周縁部40aに指の関節部を当てたとき、その指の末節部が当たる位置に設けられると好ましい。ここでの関節部とは、ユーザの第二指~第五指の何れかの指の第1関節部及び第2関節部の何れかをいう。ここでのユーザは、便器装置10が実施される国で平均体格を持つ成人を想定している。これにより、段差部40の外周縁部40aに指の関節部を当てるように段差部40に下側から指を掛けたとき、その指先を高位箇所50に当てることができる。よって、段差部40の下面40bに対して指を当てる範囲を広くできる。これに伴い、便器装置10の荷重を指の広い範囲で受けることができ、便器装置10を持ち上げた状態で安定して取り扱い易くなる。
(B)外周壁部24の下側部分44は、下方に向かうに連れて、内側に延びるように設けられる。これにより、段差部40の低位箇所48から内側に離れた位置に外周壁部24の下端24aを配置できる。よって、低位箇所48で分離した水Wが床上隙間Gに浸入する事態を更に避け易くできる。
段差部40は、低位箇所48から内側に向かうに連れて上向きに延びる第1斜面部52を備える。よって、高位箇所50と低位箇所48を段差部40に形成するうえで、小さい突起部(後述する)を形成する場合と比べ、低位箇所48の周囲で局所的な断面形状の変化を生じ難くできる。これに伴い、低位箇所48の周囲で強度を確保し易くなる。
(C)段差部40は、外周壁部24の下端部に設けられる。よって、立位姿勢にあるユーザによって段差部40を視認し難くでき、良好な意匠性を得られる。
図5を参照する。便器本体10は、床Fに接触する平坦状の床接触面74を備える。外周壁部24の下側部分44の外周面の下縁部には、便器本体10の床接触面74に連続するとともに凸曲面状をなす外側曲面部76が設けられる。これにより、床下隙間Gに清掃器具を入れ易くなり、その床下隙間Gに浸入した汚れを除去し易くなる。
図5、図7を参照する。前壁部30を通る径方向に沿って切断した断面において、外周壁部24の上側部分42の外周面と下側部分44の外周面とに接する第1接線をLt1とし、水平面Phに対して第1接線Lt1のなす角度をθ1とする。側壁部32を通る径方向に沿って切断した断面において、外周壁部24の上側部分42の外周面と下側部分44の外周面とに接する接線をLt2とし、水平面Phに対して第2接線Lt2のなす角度をθ2とする。このとき、前壁部30に関する角度θ1は、側壁部32に関する角度θ2よりも小さくなる。これにより、前壁部30において外周壁部24の下側部分44が上側部分42より内側の奥まった位置に配置されることになる。
便器本体12の前方では便器本体12の側方よりも小便等の水が落ち易い。前述の構成によれば、便器本体12の前方において床Fに水が落ちたとしても、その飛沫を外周壁部24の上側部分42で受け易くなる。ひいては、その飛沫が床下隙間Gまで浸入する事態を避け易くなる。
(第2実施形態)図8を参照する。本実施形態の段差部40の下面40bは、径方向に沿った切断面において、平坦状をなす。本実施形態において下面40bは、水平面と平行に設けられる。本実施形態の段差部40は、段差部40の下面40bから下向きに突き出る突起部56を備える。突起部56は、段差部40の低位箇所48を構成する。本実施形態の突起部56は段差部40の外周縁部40aに設けられる。本実施形態の突起部56は周方向に延びる突条である。本実施形態の突起部56は下向きに凸となる円弧状をなす。
これにより、段差部40の下面に部分的に突起部56を設けるだけで、高位箇所50と低位箇所48を段差部40に形成できる。よって、外周壁部24の外径寸法を大型化せずとも、高位箇所50と低位箇所48を段差部40に形成し易くなる。これに伴い、外周壁部24の小型化を実現しつつ、水の浸入対策を実現できる。
この他に、本実施形態の便器装置10は、前述した(A)~(C)で説明した効果に対応する構成を備え、その説明した効果を得られる。
図9を参照する。図8の実施形態と同様の効果を得るうえで、突起部56は段差部40の下面40bにおいて外周縁部40aよりも内側に離れた位置に設けられてもよい。このように突起部56を設ける位置は特に限定されない。
(第3実施形態)図10を参照する。本実施形態の床接触面74には下向きに開放する溝部78が形成される。溝部78は、例えば、外周壁部24において環状に連続してもよい。溝部78の外周側下縁部には、床接触面74に連続するとともに凸曲面状をなす内側曲面部80が設けられる。本実施形態の外側曲面部76の曲率半径は、径方向に沿って切断した断面において、内側曲面部80の曲率半径よりも大きくなる。
床接触面74は、外側曲面部76から内側曲面部80までの範囲に連続する連続領域82を備える。床接触面74の連続領域82と床Fとの間には、床接触面74及び床Fの微細な凹凸の影響によって微小な間隙が形成される場合がある。この場合、床下隙間Gに浸入した水が、表面張力の影響によって、微小間隙を通して内側に入り込む恐れがある。この入り込み量が余りに大きくなると、床Fの広い範囲にシミが生じる恐れがある。
これを避ける観点から、連続領域82の水平寸法L1は、小さければ小さいほど好ましい。この観点から、径方向に沿って切断した断面において、連続領域82の水平寸法L1は、段差部40の水平寸法L2(図5参照)よりも小さくなると好ましい。この他にも、径方向に沿って切断した断面において、連続領域82の水平寸法L1は、単数の曲率半径を持つ外側曲面部76の水平寸法L3と、単数の曲率半径を持つ内側曲面部80の水平寸法L4との合計値よりも小さくなると好ましい。ここで言及している水平寸法は、水平方向に沿った寸法をいう。ここでの連続領域82の水平寸法L1とは、外側曲面部76と連続領域82の間の変曲点から内側曲面部80と連続領域82の間の変曲点までの寸法をいう。連続領域82の水平寸法L1は、局所的な集中荷重に対する強度を確保する観点から、0.6mm以上であると好ましい。
(第4実施形態)図11を参照する。本実施形態の外周壁部24の下側部分44は、下方に向かって、鉛直下向きに延びるように設けられる。
便器装置10は、便器本体12を床Fに固定する固定部品58を備える。本実施形態の固定部品58は、全体としてL字状をなす。固定部品58は、第1ねじ部材60によって床Fに固定される。固定部品58には、便器本体12の外周壁部24を貫通する第2ねじ部材62がねじ込まれる。便器本体12は、固定部品58及び各ねじ部材60、62を介して床Fに固定される。
外周壁部24には、段差部40の低位箇所48よりも内側に貫通孔64が形成される。貫通孔64は、外周壁部24の内側の内部空間46と外部空間26を通じさせる。本実施形態の貫通孔64は、被挿通物66を通す挿通孔として機能する。ここでの被挿通物66とは、本実施形態では、前述の第2ねじ部材62である。本実施形態の貫通孔64は、この条件を満たす位置として、外周壁部24の下側部分44に形成される。
外周壁部24における貫通孔64の開口位置では、前述の通り、外周壁部24の上側部分42を下向きに伝わる水Wが伝わり難い。よって、外周壁部24に貫通孔64を形成した場合でも、貫通孔64を通して、外周壁部24の内側に水Wが入り込む事態を避け易くなる。
この他にも、外周壁部24における貫通孔64の開口位置は、外周壁部24の上側部分42と比べて、視認し難い位置となる。よって、外周壁部24に貫通孔64を形成した場合でも、その貫通孔64が目立ち難くなり、良好な意匠性を得られる。
図12を参照する。本実施形態の下側部分44の内周面の下縁部には、外周壁部24の床接触面74に連続するとともに凸曲面状をなす内側曲面部80が設けられる。床接触面74は、外側曲面部76から内側曲面部80までの範囲に連続する連続領域82を備える。本実施形態の連続領域82も第1実施形態と同様の水平寸法L1~L4に関する条件を満たす。
この他に、本実施形態の便器装置10は、前述した(A)、(C)で説明した効果に対応する構成を備え、その説明した効果を得られる。
(第5実施形態)図13、図14を参照する。本実施形態の便器装置10は、便器本体12に付属する付属部品68を備える。本実施形態の付属部品68は、ケーシング70と、ケーシング70に収容される少なくとも一つの機器72とを備える。機器72は、便器本体12に付随する所定の機能を発揮する。機器72は、例えば、暖房、冷房、空気清浄機、脱臭機、発光体等である。この空気清浄機は、プラズマ放電によって生成した活性種を放出することによって空気清浄機能を発揮してもよい。本実施形態の付属部品68は、不図示の装着機構を介して便器本体12に着脱可能に装着される。装着機構は、例えば、ねじ構造、複数の磁石、スナップフィット構造等である。
付属部品68は、低位箇所48よりも内側において、外周壁部24の一部を構成する。この条件は、本実施形態において、付属部品68のケーシング70が満たしている。本実施形態の付属部品68は、この条件を満たす箇所として、外周壁部24の下側部分44を構成する。外周壁部24は、便器本体12と付属部品68が構成することになる。
本実施形態の付属部品68は、外周壁部24の前壁部30、側壁部32のそれぞれの一部を構成する。付属部品68は、外周壁部24の前端部から後方に向かう一部の周方向範囲において、外周壁部24の一部を構成すると捉えることができる。本実施形態の付属部品68は、外周壁部24の後壁部34の一部も構成する。本実施形態の付属部品68は、外周壁部24の全周に亘る範囲において、外周壁部24の一部を構成すると捉えることができる。
本実施形態の外周壁部24の段差部40にも、図5の実施形態で説明した第1斜面部52、第2斜面部54が設けられる。本実施形態の第1斜面部52は、外側から内側に向けて徐々に減少する厚みを持った壁部の外面に形成される。
付属部品68は、低位箇所48よりも内側において、外周壁部24の一部を構成する。付属部品68が設けられる位置では、前述の通り、外周壁部24の上側部分42を下向きに伝わる水Wが伝わり難い。よって、外周壁部24の一部を付属部品68が構成した場合でも、付属部品68が汚れる事態を避け易くなる。
付属部品68は、外周壁部24の一部を構成する。よって、外周壁部24の内側に付属部品68を配置する場合と比べ、便器本体12に対して付属部品68を着け外しし易くできる。
この他にも、外周壁部24における付属部品68が設けられる位置は、外周壁部24の上側部分42と比べ、視認し難い位置となる。よって、外周壁部24を付属部品68が構成する場合でも、付属部品68が目立ち難くなり、良好な意匠性を得られる。
この他に、本実施形態の便器装置10は、前述した(A)~(C)で説明した効果に対応する構成を備え、その説明した効果を得られる。
各構成要素の他の変形例を説明する。
便器本体12は、トイレ室の床Fではなく、トイレ室の床Fから立ち上がる壁体に固定されてもよい。
外周壁部24の上側部分42の一部も便器本体12とは別体に設けられてもよい。外周壁部24は、後壁部34を備えなくともよい。
段差部40は、外周壁部24に設けられていればよく、その具体的な位置は特に限定されない。段差部40は、例えば、外周壁部24の上部に設けられてもよいし、外周壁部24の下端部よりも上方において外周壁部24の下部に設けられてもよい。
便鉢部14内の水Wが上面部16を外向きに伝わった場合、外周壁部24の後壁部34と比べて、その前壁部30及び側壁部32に水が届き易い。よって、床上隙間Gへの水の浸入対策を実現するうえで、段差部40は、前壁部30及び側壁部32に設けられると好ましい。段差部40は、後壁部34に設けられていなくともよいということである。この他にも、段差部40は、一対の側壁部32のうちの何れか一方のみに設けてもよいし、前壁部30のみに設けてもよい。
低位箇所48と高位箇所50を段差部40に形成するうえで具体的な構成は実施形態の内容に限定されない。段差部40には斜面部52、54と突起部56の両方を設けてもよい。
貫通孔64は、挿通孔の他にも、例えば、気流を通す通気孔として機能してもよい。この通気孔は、便器装置10の内部にファンが配置される場合に、ファンが生成する気流の給気経路及び排気経路の何れかとなる。このファンは、例えば、脱臭機、暖房、冷房等に組み込まれる。このファンは、付属部品68の機器72に組み込まれてもよい。これは、例えば、付属部品68のケーシング70に貫通孔64を形成する場合を想定している。
貫通孔64は、低位箇所48よりも外周壁部24の内側において形成されていればよい。この条件を満たす位置として、実施形態とは異なり、貫通孔64は、外周壁部24の段差部40の高位箇所50に形成されていてもよい。
被挿通物66の具体例は特に限定されない。被挿通物66は、例えば、便器装置10に組み込まれる機器と外部機器を接続する索状部材でもよい。この索状部材は、可とう性を持つとともに索状に長い物体である。索状部材は、たとえば、外部機器としての止水栓に接続されるホース、外部機器としての外部電源に接続されるケーブル等である。
付属部品68は、便器本体12に付属していればよく、その具体例は特に限られない。付属部品68は、前述の機器72そのものでもよいし、前述の固定部品58でもよい。
付属部品68は、実施形態とは異なり、低位箇所48よりも内側において、段差部40の高位箇所50を構成していてもよい。
付属部品68は、実施形態とは異なり、外周壁部24の一部の周方向範囲のみを構成していてもよい。付属部品68は、例えば、外周壁部24の前壁部30、側壁部32のそれぞれのみを構成していてもよい。
図15を参照する。段差部40の下面40bには、第1照明器86Aが取り付けられていてもよい。第1照明器86Aは、低位箇所48の最低位部分48aよりも上方に収まるように配置される。この他に、段差部40の下側部分44には、第2照明器86Bが取り付けられてもよい。照明器86A、86BはLED等である。ここで説明した照明器86A、86Bの代わりに、同様の箇所に人体検知センサ等のセンサが取り付けられてもよい。
図16を参照する。径方向に沿って切断した断面において、水平面Phに対して60°の角度をなす内向きかつ下向きの方向を基準方向Pgという。この基準方向Pgはユーザの視線方向を想定している。下側部分44は、この基準方向Pgから見たとき、上側部分42によって隠れた位置に配置されてもよい。これにより、便器装置10を外部から観察したときに下側部分44を視認し難くでき、便器装置10の意匠性を高めることができる。
この基準方向Pgは次の考え方に基づき設定している。便器本体12に対して側方にあるトイレ室壁部Wと便器本体12との間には側方空間90が形成される。便器本体12の中心線CLの位置からトイレ室壁部Wまでの間隔は、通常、大きくとも435mmとなる。この側方空間90を作業空間として、一般的な体格の成人女性が膝をついて前屈みの姿勢で清掃する場合を考える。この成人女性の身長は160cmであり、その視点は床面Fから上方に40cm(160cm×0.25)だけ間隔を空けた位置にあると想定する。この場合に、下側部分44を最も視認し易くなる位置は、この視点Vpがトイレ室壁部W上にある場合となる。
ここに視点Vpがあると想定した場合、この視点Vpを通るとともに上側部分42の下端部に接する面を基準面Psとする、この基準面Psの水平面Phに対する角度θ0は、この例では56.5°となる。このとき、この基準面Psよりも上方の範囲は、この視点Vpから見た場合に、上側部分42によって隠れた位置に配置されることになる。言い換えると、ここよりも上方の範囲は、一般的な体格の成人が清掃する場合に、上側部分42によって隠れた位置に配置される。
この考えをもとに、角度θ0よりも視認し難くなる角度として60°を設定し、その角度から設定した概念が前述の基準方向Pgとなる。この清掃箇所は側方空間90を想定した。この他にも、側方空間90よりも狭隘となる便器本体12に対して後方の空間の場合も同様の効果が得られる。
以上、実施形態及び変形例について詳細に説明した。前述した実施形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎない。実施形態及び変形例の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。たとえば、実施形態に対して他の実施形態及び変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。この他にも、変形例に対して実施形態及び他の変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。例えば、図8の実施形態の貫通孔64は図11の付属部品68と組み合わせてもよい。
10…便器装置、12…便器本体、14…便鉢部、16…上面部、16a…外周縁部、24…外周壁部、40…段差部、40a…外周縁部、40b…下面、44…下側部分、48…低位箇所、48a…最低位部分、50…高位箇所、52…斜面部、56…突起部、64…貫通孔、68…付属部品。

Claims (8)

  1. 便鉢部を有し、前記便鉢部の上端開口部が開口する上面部を有する便器本体と、
    前記上面部の外周縁部から下方において外部露出面を形成する外周壁部と、
    前記外周壁部に設けられる段差部と、を備える便器装置であって、
    前記段差部は、下向きの下面を備え、
    前記下面には、外側の低位箇所と内側の高位箇所が形成され
    前記便器装置は、前記外周壁部において前記段差部よりも下側の部分を構成し、前記低位箇所の最低位部分よりも内側に収まる位置に配置される下側部分を備える便器装置。
  2. 前記下側部分は、下方に向かうに連れて、内側に延びるように設けられる請求項1に記載の便器装置。
  3. 前記下面は、前記低位箇所から前記高位箇所に延びる斜面部を備える請求項1から2のいずれか1項に記載の便器装置。
  4. 前記下面は、向きに突き出るとともに前記低位箇所を構成する突起部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の便器装置。
  5. 前記外周壁部には、前記低位箇所よりも内側に貫通孔が形成される請求項1から4のいずれか1項に記載の便器装置。
  6. 前記便器本体に付属する付属部品を備え、
    前記付属部品は、前記低位箇所よりも内側において、前記外周壁部の一部を構成する請求項1から5のいずれか1項に記載の便器装置。
  7. 前記便器本体は、床に接触する床接触面を備え、
    前記段差部は、前記床接触面よりも上方において前記外周壁部の下端部に設けられる請求項1から6のいずれか1項に記載の便器装置。
  8. 前記下側部分の外周面の下縁部には凸曲面状の外側曲面部が設けられる請求項1から7のいずれか1項に記載の便器装置。
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