JP7404350B2 - ポリイソプレンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイソプレンの製造方法に関するものである。
従来、天然ゴムに代表されるポリイソプレンは、タイヤ等のゴム製品に広く利用されている。天然のポリイソプレンである天然ゴムは、シス-1,4-結合量が略100mol%であり、耐久性を始めとして、優れた物理特性を有する。
これに対して、ポリイソプレンのビニル結合量を増減することで、物性を制御することが期待でき、例えば、ビニル結合量の高い合成のポリイソプレンが知られている(下記特許文献1)。また、ビニル結合量の高い市販の合成ポリイソプレンとしては、KARBOCHEM社製の商品名「Isogrip」が知られている。
特開平1-174547号公報
しかしながら、従来のビニル結合量の高いポリイソプレンは、アニオン重合で製造されるのが一般的であり、該アニオン重合では、ビニル結合量を制御することは困難であった。また、アニオン重合では、生成するポリイソプレンの分岐度を制御することも困難であった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、ビニル結合量が高く、且つ分岐度が低いポリイソプレンを効率的に得ることができる、ポリイソプレンの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のポリイソプレンの製造方法は、下記一般式(I):
Figure 0007404350000001
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR’は、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル又は置換フルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示し、[B]は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を含む重合触媒組成物の存在下で、イソプレンを重合させる工程を含み、
前記一般式(I)中のCpR’としての、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル及び置換フルオレニルが、Siを含む置換基を少なくとも1つ有することを特徴とする。
かかる本発明のポリイソプレンの製造方法によれば、ビニル結合量が高く、且つ分岐度が低いポリイソプレンを効率的に得ることができる。
本発明のポリイソプレンの製造方法の好適例においては、上記一般式(I)中のCpR’が、置換インデニルであり、該置換インデニルが、2つ以上の置換基を有する。この場合、ビニル結合量が更に高く、分岐度が更に低いポリイソプレンを得ることができる。
本発明のポリイソプレンの製造方法の他の好適例においては、上記一般式(I)中のCpR’が、置換インデニルであり、該置換インデニルの少なくとも1つの置換基が、当該置換インデニルの五員環上に存在する。この場合も、ビニル結合量が更に高く、分岐度が更に低いポリイソプレンを得ることができる。
本発明のポリイソプレンの製造方法の他の好適例においては、前記重合触媒組成物が、ハロゲン化合物を含まない。この場合、ビニル結合量が更に高いポリイソプレンを得ることができる。
本発明によれば、ビニル結合量が高く、且つ分岐度が低いポリイソプレンを効率的に得ることができる、ポリイソプレンの製造方法を提供することができる。
GPC-MALSで得られるデバイプロットの説明図である。
以下に、本発明のポリイソプレンの製造方法を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<ポリイソプレンの製造方法>
本発明のポリイソプレンの製造方法は、上記一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を含む重合触媒組成物の存在下で、イソプレンを重合させる工程を含み、上記一般式(I)中のCpR’としての、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル及び置換フルオレニルが、Siを含む置換基を少なくとも1つ有することを特徴とする。
上記一般式(I)で表され、式中のCpR’が、Siを含む置換基を少なくとも1つ有する置換シクロペンタジエニル、置換インデニル又は置換フルオレニルであるハーフメタロセンカチオン錯体においては、CpR’が嵩高いため、立体障害によって、重合されるイソプレンが、ハーフメタロセンカチオン錯体の触媒中心である金属Mに対してX側から接近することとなり、イソプレンが、3,4-結合で重合し易くなる。そのため、CpR’が、Siを含む置換基を少なくとも1つ有する場合、ビニル結合量(特には、3,4-ビニル結合量)が増加する。また、ハーフメタロセンカチオン錯体により、立体規則的に重合が進み、生成するポリイソプレンが線状になり易いため、分岐が少なくなる。
従って、本発明のポリイソプレンの製造方法によれば、ビニル結合量が高く、且つ分岐度が低いポリイソプレンを効率的に得ることができる。
上記一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCpR’は、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル又は置換フルオレニルであり、これらの中でも、置換インデニルが好ましい。
一般式(I)において、シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR’(置換シクロペンタジエニル)は、C5-yで示され得る。
ここで、yは、シクロペンタジエニル環上の置換基Rの数であり、1~5の整数である。yは、2以上であることが好ましく、即ち、置換基Rの数が2つ以上であることが好ましい。置換基Rの数が2つ以上である場合、CpR’が更に嵩高くなり、イソプレンが中心金属Mに接近する際の立体障害としての影響が大きくなり、ビニル結合量が更に増加し易く、また、分岐度も更に低くなり易い。
また、置換基Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましく、但し、少なくとも1つの置換基Rは、Siを含む。Siを含む置換基Rは、錯体の安定性を維持しつつ、CpR’を嵩高くできる。ヒドロカルビル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることがより一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、シリルSiに加えて、ゲルミルGe、スタニルSnが挙げられ、また、メタロイド基は、ヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等のSiを含む置換基が挙げられる。これらの中でも、少なくとも1つの置換基Rは、tert-ブチルジメチルシリル基等の嵩高い置換基であることが好ましい。置換基Rが嵩高い置換基であると、CpR’が一層嵩高くなり、重合されるイソプレンが中心金属Mに接近する際の立体障害としての影響が大きくなって、ビニル結合量が更に増加し易く、また、分岐度も更に低くなり易い。
一般式(I)において、インデニル環を基本骨格とするCpR’(置換インデニル)は、C7-y又はC11-yで示され得る。
ここで、yは、インデニル環上の置換基Rの数であり、1~7又は1~11の整数である。yは、2以上であるのが好ましく、即ち、置換インデニルは、2つ以上の置換基を有することが好ましい。置換インデニルが2つ以上の置換基Rを有する場合、CpR’が更に嵩高くなり、イソプレンが中心金属Mに接近する際の立体障害としての影響が大きくなり、ビニル結合量が更に増加し易く、また、分岐度も更に低くなり易い。
また、置換基Rの少なくとも1つは、置換インデニルの五員環上に存在することが好ましい。置換インデニルは、五員環側で中心金属Mに配位するため、置換基Rが五員環上に存在すると、イソプレンが中心金属Mに接近する際に、CpR’(置換インデニル)による立体障害の影響が大きくなり、ビニル結合量が更に増加し易く、また、分岐度も更に低くなり易い。
置換基Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましく、但し、少なくとも1つの置換基Rは、Siを含む。Siを含む置換基Rは、錯体の安定性を維持しつつ、CpR’を嵩高くできる。ヒドロカルビル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることがより一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、シリルSiに加えて、ゲルミルGe、スタニルSnが挙げられ、また、メタロイド基は、ヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等のSiを含む置換基が挙げられる。これらの中でも、少なくとも1つの置換基Rは、tert-ブチルジメチルシリル基等の嵩高い置換基であることが好ましい。置換基Rが嵩高い置換基であると、CpR’が一層嵩高くなり、重合されるイソプレンが中心金属Mに接近する際の立体障害としての影響が大きくなって、ビニル結合量が更に増加し易く、また、分岐度も更に低くなり易い。
置換インデニルとして、具体的には、1,3-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)インデニル、1-tert-ブチルジメチルシリル-3-トリメチルシリルインデニル、1,3-ビス(トリメチルシリル)インデニル、1-tert-ブチルジメチルシリル-3-ベンジルインデニル、1-tert-ブチルジメチルシリル-3-フェニルインデニル、2-tert-ブチルジメチルシリルインデニル、2-トリメチルシリルインデニル等が挙げられる。
一般式(I)において、フルオレニル環を基本骨格とするCpR’(置換フルオレニル)は、C139-y又はC1317-yで示され得る。
ここで、yは、フルオレニル環上の置換基Rの数であり、1~9又は1~17の整数である。yは、2以上であるのが好ましく、即ち、置換基Rの数が2つ以上であることが好ましい。置換基Rの数が2つ以上である場合、CpR’が更に嵩高くなり、イソプレンが中心金属Mに接近する際の立体障害としての影響が大きくなり、ビニル結合量が更に増加し易く、また、分岐度も更に低くなり易い。
また、置換基Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましく、但し、少なくとも1つの置換基Rは、Siを含む。Siを含む置換基Rは、錯体の安定性を維持しつつ、CpR’を嵩高くできる。ヒドロカルビル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることがより一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、シリルSiに加えて、ゲルミルGe、スタニルSnが挙げられ、また、メタロイド基は、ヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等のSiを含む置換基が挙げられる。これらの中でも、少なくとも1つの置換基Rは、tert-ブチルジメチルシリル基等の嵩高い置換基であることが好ましい。置換基Rが嵩高い置換基であると、CpR’が一層嵩高くなり、重合されるイソプレンが中心金属Mに接近する際の立体障害としての影響が大きくなって、ビニル結合量が更に増加し易く、また、分岐度も更に低くなり易い。
一般式(I)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57~71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。ここで、中心金属Mは、原子半径が小さい方が好ましく、原子半径が小さい中心金属Mを使用することで、ポリイソプレンのビニル結合量が更に増加し易くなる。上記の中心金属Mの中でも、反応性の観点から、ネオジムNd、ガドリニウムGd、ホルミウムHoが好ましく、更に、原子半径の観点から、ガドリニウムGd、ホルミウムHoがより好ましく、ホルミウムHoが特に好ましい。
一般式(I)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基を示す。ここで、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
一般式(I)において、Xが表すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられ、これらの中でも、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基が好ましい。
一般式(I)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn-ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec-ブトキシ基、チオtert-ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルチオフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基等が挙げられ、これらの中でも、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
一般式(I)において、Xが表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルアミド基、2,6-ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6-ジネオペンチルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェニルアミド基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビス(トリメチルシリル)アミド基等のビス(トリアルキルシリル)アミド基;ビス(ジメチルシリル)アミド基等のビス(ジアルキルシリル)アミド基等が挙げられ、これらの中でも、ビス(トリメチルシリル)アミド基、ビス(ジメチルシリル)アミド基が好ましい。
一般式(I)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
一般式(I)において、Xが表す炭素数1~20の一価の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
一般式(I)において、Xとしては、ビス(トリメチルシリル)アミド基、ビス(ジメチルシリル)アミド基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基が好ましい。
一般式(I)において、[B]で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0~3個、好ましくは0~1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応により得ることができる。
Figure 0007404350000002
ここで、一般式(II)又は(III)で表される化合物において、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR’は、それぞれ独立して置換シクロペンタジエニル、置換インデニル又は置換フルオレニルを示し、Xは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す。また、一般式[A][B]で表されるイオン性化合物において、[A]は、カチオンを示し、[B]は、非配位性アニオンを示す。
[A]で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン(「トリチルカチオン」ともいう)、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
上記反応に用いる一般式[A][B]で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(「トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート」ともいう)等が好ましい。また、一般式[A][B]で表されるイオン性化合物は、一般式(II)又は(III)で表される化合物に対して0.1~10倍mol加えることが好ましく、約1倍mol加えることが更に好ましい。なお、一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(II)又は(III)で表される化合物と一般式[A][B]で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中において一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。
上記一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することができる。
なお、重合反応系において、重合触媒組成物に含まれるハーフメタロセンカチオン錯体の濃度は、0.0001~0.1mol/Lの範囲であることが好ましい。
前記重合触媒組成物は、更に、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。ここで、メタロセン錯体は、一つ又は二つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、本発明においては、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体(インデニル、フルオレニル等)が一つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称する。
上記重合触媒組成物に用いることができる助触媒は、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物の助触媒として用いられる成分から任意に選択することができる。該助触媒としては、例えば、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物、上記のイオン性化合物等が好適に挙げられる。これら助触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO-3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、上記重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、ハーフメタロセンカチオン錯体の中心金属Mに対する、アルミノキサンのアルミニウム元素Alの元素比率(Al/M)が、10~1000程度、好ましくは100程度となるようにすることが好ましい。
一方、上記有機アルミニウム化合物としては、一般式AlR(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子であり、Rは炭素数1~10の炭化水素基である)で表される有機アルミニウム化合物が好ましい。上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、水素化ジアルキルアルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられ、水素化ジアルキルアルミニウムとしては、水素化ジイソブチルアルミニウム等が挙げられる。なお、上記重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、ハーフメタロセンカチオン錯体に対して1~50倍molであることが好ましく、約10倍molであることが更に好ましい。
上記重合触媒組成物においては、一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を、適切な助触媒と組み合わせることで、得られるポリイソプレンのビニル結合量や分子量を増大させることができる。
なお、本発明のポリイソプレンの製造方法においては、前記重合触媒組成物が、ハロゲン化合物を含まないことが好ましい。従来の、ハーフメタロセンカチオン錯体やメタロセン錯体を用いた重合反応では、助触媒として、有機アルミニウム化合物を用いる場合、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド等のハロゲン化合物が使用されることが多いが、一般式(I)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を、ハロゲン化合物と併用しないことで、ビニル結合量が更に高いポリイソプレンを得ることができる。
本発明のポリイソプレンの製造方法は、上記重合触媒組成物の存在下で、イソプレンを重合させる工程(以下、重合工程とも呼ぶ)を含み、更に、必要に応じて、カップリング工程、洗浄工程、その他の工程を含んでもよい。
重合工程における、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、ヘキサン(例えば、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン)等が挙げられる。中でも、ヘキサンが好ましい。ヘキサンを溶媒として用いて重合を行うと、環境負荷を低減することができる。
上記重合触媒組成物の存在下では、反応条件を制御することによって、製造されたポリイソプレン中における結合含量(シス-1,4結合量、トランス-1,4結合量、3,4-ビニル結合量及び1,2-ビニル結合量)を制御することができる。
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。重合反応の重合温度は、特に限定しないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。重合反応の圧力は、0.1~10.0MPaの範囲とすることが好ましい。重合反応の反応時間は、特に限定しないが、例えば、1秒~10日の範囲が好ましく、得られるポリイソプレンについて所望するミクロ構造、触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
前記カップリング工程は、前記重合工程において得られたポリイソプレンの少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。
前記カップリング工程において、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
前記カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、ポリイソプレンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、並びに、後述する重量平均絶対分子量(Mw’)を増加させることができる。
前記洗浄工程は、前記重合工程において得られたポリイソプレンを洗浄する工程である。なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、また、これらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸)を加えて使用することもできる。添加する酸の量は、溶媒に対して15mol%以下が好ましい。これ以上では、酸がポリイソプレン中に残存してしまうことで混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼす可能性がある。
この洗浄工程により、ポリイソプレン中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
<ポリイソプレン>
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、ビニル結合量が高く且つ分岐度が低い。
ここで、本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、ビニル結合量が30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることが更に好ましい。ビニル結合量が30mol%以上であるポリイソプレンをタイヤに使用することで、タイヤの湿潤路面でのグリップ性能を向上させることができ、また、ビニル結合量が50mol%以上の場合、タイヤの湿潤路面でのグリップ性能を更に向上させることができる。また、本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、ビニル結合量が100mol%でもよいが、85mol%以下であることが好ましい。本発明の製造方法によれば、ビニル結合量が85mol%以下であるポリイソプレンが得られ易い。
前記ビニル結合量は、1,2-ビニル結合量(即ち、1,2-結合単位の含有量)と、3,4-ビニル結合量(即ち、3,4-結合単位の含有量)との和であるが、本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、1,2-ビニル結合量が、1mol%以下であることが好ましく、0.5mol%以下であることが更に好ましく、0mol%(NMRでの検出下限以下)であってもよい。従来の方法で製造されるビニル結合量が高いポリイソプレンは、1,2-ビニル結合量が高く、1mol%を超えていたが、本発明の製造方法によれば、1,2-ビニル結合量が1mol%以下であるポリイソプレンが得られ易い。
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、GPC-MALSで測定した重量平均絶対分子量と、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量との比[(重量平均絶対分子量)/(ポリスチレン換算重量平均分子量)]が0.850以下であることが好ましい。
前記GPC-MALSは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)と、多角度光散乱検出器(Multi Angle Light Scattering:MALS)と、を組み合わせた分析手法であり、ポリイソプレンの絶対分子量を測定することができる。そして、測定される絶対分子量に対して、重量平均による重み付けを行って算出される絶対分子量の重量平均値、即ち、重量平均絶対分子量(Mw’)は、物性への影響が大きい、分子量の大きな成分の影響をより反映した平均分子量である。
GPCにより分離された各成分をMALS検出器を用いて測定し、デバイ(Debye)プロットすることにより、重量平均絶対分子量(Mw’)及び回転半径(Rg)が得られる(図1参照)。
図1中、Mw’は重量平均絶対分子量、Kは光学パラメータ、Cは濃度、R(θ)は過剰散乱のレイリー比、Rgは回転半径、<Rg>は回転半径の二乗平均を示す。この際、通常は、示差屈折率(RI)検出器を用いて、可溶成分の濃度を測定する。ここで、デバイプロットの切片から重量平均絶対分子量(Mw’)を算出でき、また、傾きから回転半径(Rg)を算出できる。
一方、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質として算出した換算分子量(相対分子量)に対して、重量平均による重み付けを行って算出される分子量である。
GPCによるカラム分離では、分子サイズにより分離が行われ、分子サイズの大きなポリイソプレンから先に溶出するが、分岐の多いポリイソプレンは、分岐の少ないポリイソプレンよりも球状に近づくため、同一分子量であっても、相対的に分子サイズが小さくなり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が相対的に小さな値となる。一方、GPC-MALSでは、換算分子量ではなく、絶対分子量が測定されるため、分岐度の影響を受け難い。従って、GPC-MALSで測定した重量平均絶対分子量(Mw’)と、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)との比[(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))]は、分岐度が高い程、高く、分岐度が低い程、低い値となる。従来の方法で製造されるビニル結合量が高いポリイソプレンは、分岐度の指標となる(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))が0.850を超えていたが、本発明の製造方法によれば、(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))が0.850以下であるポリイソプレンが得られ易い。
上述の、(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))は、0.800以下であることが更に好ましく、また、0.550以上であることが好ましい。(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))が0.800以下であると、ポリイソプレンの分岐度が更に低くなり、また、本発明の製造方法によれば、(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))が0.550以上であるポリイソプレンが得られ易い。
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、GPC-MALSで求めた、重量平均で見た分岐インデックス(g値)が、0.42以上であることが好ましい。
前記GPC-MALSは、GPCとMALSとを組み合わせた分析手法であり、上述のようなポリイソプレンの絶対分子量に加えて、各絶対分子量におけるポリイソプレンの回転半径の二乗平均を測定することができ、該回転半径の二乗平均は、分子サイズに対応する。
そして、測定試料の回転半径の二乗平均(<Rg試料)を、理論上(基準)の同一絶対分子量の直鎖ポリイソプレンの回転半径の二乗平均(<Rg直鎖)で除した値を分岐インデックス(g値)とすると、分岐インデックス(g値)は、以下の通りである。
分岐インデックス(g値)=<Rg試料/<Rg直鎖
ここで、分岐インデックス(g値)が1に近づく程、測定試料の分岐度が低いことを意味する。
そして、各絶対分子量における分岐インデックス(g値)に対して、重量平均による重み付けを行って算出される分岐インデックス(g値)、即ち、重量平均で見た分岐インデックス(g値)は、物性への影響が大きい、分子量の大きな成分の影響をより反映した分岐インデックスである。なお、重量平均による重み付けは、絶対分子量Mにおける分岐インデックスをgとすると、Σg/ΣMによって行うことができる。
ここで、直鎖ポリイソプレンの回転半径は、分岐の多い同一分子量のポリイソプレンの回転半径よりも大きく、直鎖ポリイソプレンの回転半径の二乗平均は、分岐の多い同一分子量のポリイソプレンの回転半径の二乗平均よりも大きくなるため、測定試料の分岐度が低くなる程、分岐インデックス(g値)は大きくなり、1に近づく。従って、分岐インデックス(g値)が0.42以上であるポリイソプレンは、分岐度が更に低いことを意味する。
上述の、重量平均で見た分岐インデックス(g値)は、0.45以上であることが更に好ましく、また、0.80以下であることが好ましい。重量平均で見た分岐インデックス(g値)が0.45以上であると、ポリイソプレンの分岐度が更に低くなり、また、本発明の製造方法によれば、重量平均で見た分岐インデックス(g値)が0.80以下であるポリイソプレンが得られ易い。
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が100,000~4,000,000であることが好ましく、230,000~3,000,000であることがより好ましい。ポリイソプレンをゴム組成物に使用した際、Mwが100,000以上であると、ゴム組成物の機械的強度を向上させることができ、また、Mwが4,000,000以下であると、ゴム組成物の作業性を向上させることができる。
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が50,000~2,000,000であることが好ましく、125,000~1,500,000であることがより好ましい。ポリイソプレンをゴム組成物に使用した際、Mnが50,000以上であると、ゴム組成物の機械的強度を向上させることができ、また、Mnが2,000,000以下であると、ゴム組成物の作業性を向上させることができる。
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、分子量分布(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)/ポリスチレン換算数平均分子量(Mn))が1~4であることが好ましい。ポリイソプレンの分子量分布が4以下であれば、ポリイソプレンの物性に十分な均質性をもたらすことができる。
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、重量平均絶対分子量(Mw’)が80,000~3,000,000であることが好ましく、155,000~2,500,000であることがより好ましい。ポリイソプレンをゴム組成物に使用した際、Mw’が80,000以上であると、ゴム組成物の機械的強度を向上させることができ、また、Mw’が3,000,000以下であると、ゴム組成物の作業性を向上させることができる。
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が-60℃~20℃であることが好ましく、-35℃~20℃であることがより好ましい。ポリイソプレンのガラス転移温度が-60℃以上であれば、ビニル結合量が高くなり易い。また、本発明の製造方法によれば、ガラス転移温度が20℃以下のポリイソプレンが得られ易い。
ここで、該ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して測定した値である。
<ポリイソプレンの用途>
本発明の製造方法で得られるポリイソプレンは、ゴム組成物のゴム成分として利用することができる。該ポリイソプレンを含むゴム組成物は、ヒステリシスロスが小さく、また、タイヤに使用することで、タイヤの転がり抵抗を低減して、低燃費性能を向上させることができる。また、該ゴム組成物は、タイヤに用いることで、タイヤの湿潤路面でのグリップ性能を向上させることもできる。
前記ゴム組成物は、ゴム成分として、前記ポリイソプレンを含み、更に必要に応じて、その他のゴム成分、充填剤、架橋剤、その他の成分を含むことができる。
前記ゴム成分中の、前記ポリイソプレンの含有率は、10~100質量%の範囲が好ましく、20~100質量%の範囲が更に好ましく、30~100質量%の範囲がより一層好ましい。ゴム成分中の、前記ポリイソプレンの含有率が10質量%以上であれば、ポリイソプレンによる作用が十分に発揮され、ゴム組成物のヒステリシスロスが更に小さくなり、また、タイヤに使用することで、タイヤの低燃費性能を更に向上させることができ、更には、タイヤの湿潤路面でのグリップ性能を向上させることもできる。
なお、その他のゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-非共役ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記ゴム組成物が充填剤を含む場合、ゴム組成物の補強性を向上させることができる。該充填剤としては、特に制限はなく、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられるが、これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記充填剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、10~100質量部が好ましく、20~80質量部がより好ましく、30~60質量部が特に好ましい。前記充填剤の配合量が10質量部以上であることにより、充填剤を配合したことによる補強性向上の効果が得られ、また、100質量部以下であることにより、良好な作業性を保持することができる。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム-ニトロソアミン系架橋剤等が挙げられる。なお、タイヤ用ゴム組成物としては、これらの中でも硫黄系架橋剤(加硫剤)がより好ましい。
前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.1~10質量部が好ましい。
前記加硫剤を用いる場合には、更に加硫促進剤を併用することもできる。前記加硫促進剤としては、グアニジン系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が挙げられる。
また、前記ゴム組成物には、必要に応じて、軟化剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤など公知のものをその使用目的に応じて使用することができる。
前記ゴム組成物は、後述するタイヤ用途以外にも、防振ゴム、免震ゴム、コンベヤベルト等のベルト、ゴムクローラ、各種ホース等に用いることができる。
前記ゴム組成物を用いたタイヤは、転がり抵抗が小さく、低燃費性能に優れ、また、湿潤路面でのグリップ性能にも優れる。なお、タイヤにおける前記ゴム組成物の適用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラー等が挙げられる。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴム組成物及び/又はコードからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
十分に乾燥した1L耐圧ガラス反応器に、イソプレン100gを含むトルエン溶液460gと、トルエン35gと、を加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{1,3-[(t-Bu)MeSi]Gd[N(SiHMe}0.005mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.005mmol、トリイソブチルアルミニウム0.1mmol及び水素化ジイソブチルアルミニウム1.9mmolを仕込み、トルエン5mLを加えて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、前記1L耐圧ガラス反応器に加え、50℃で300分反応させた。
その後、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記1L耐圧ガラス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、重合体(ポリイソプレン)96gを得た。
(実施例2)
十分に乾燥した1L耐圧ガラス反応器に、イソプレン100gを含むトルエン溶液461gと、トルエン31gと、を加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ホルミウム錯体{1,3-[(t-Bu)MeSi]Ho[N(SiHMe}0.010mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.010mmol、トリイソブチルアルミニウム0.20mmol及び水素化ジイソブチルアルミニウム1.8mmolを仕込み、トルエン5mLを加えて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、前記1L耐圧ガラス反応器に加え、50℃で900分反応させた。
その後、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記1L耐圧ガラス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、重合体(ポリイソプレン)90gを得た。
(実施例3)
十分に乾燥した1L耐圧ガラス反応器に、イソプレン125gを含むトルエン溶液576gと、トルエン36gと、を加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ホルミウム錯体{1,3-[(t-Bu)MeSi]Ho[N(SiHMe}0.015mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.015mmol、トリイソブチルアルミニウム0.30mmol及び水素化ジイソブチルアルミニウム6.0mmolを仕込み、トルエン5mLを加えて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、前記1L耐圧ガラス反応器に加え、50℃で900分反応させた。
その後、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記1L耐圧ガラス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、重合体(ポリイソプレン)108gを得た。
(実施例4)
十分に乾燥した1L耐圧ガラス反応器に、イソプレン125gを含むトルエン溶液576gと、トルエン38gと、を加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ホルミウム錯体{1,3-[(t-Bu)MeSi]Ho[N(SiHMe}0.0125mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.0125mmol、トリイソブチルアルミニウム0.25mmol及び水素化ジイソブチルアルミニウム6.0mmolを仕込み、トルエン5mLを加えて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、前記1L耐圧ガラス反応器に加え、50℃で900分反応させた。
その後、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記1L耐圧ガラス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、重合体(ポリイソプレン)89gを得た。
(実施例5)
十分に乾燥した1L耐圧ガラス反応器に、イソプレン100gを含むトルエン溶液460gと、トルエン34gと、を加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{1,3-[(t-Bu)MeSi]Gd[N(SiHMe}0.010mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.010mmol、トリイソブチルアルミニウム0.20mmol及び水素化ジイソブチルアルミニウム1.5mmolを仕込み、トルエン5mLを加えて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、前記1L耐圧ガラス反応器に加え、室温で240分反応させた。
その後、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記1L耐圧ガラス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、重合体(ポリイソプレン)95gを得た。
(実施例6)
十分に乾燥した1L耐圧ガラス反応器に、イソプレン100gを含むトルエン溶液460gと、トルエン34gと、を加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体{1,3-[(t-Bu)MeSi]Gd[N(SiHMe}0.010mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.010mmol、トリイソブチルアルミニウム0.20mmol及び水素化ジイソブチルアルミニウム0.15mmolを仕込み、トルエン5mLを加えて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、前記1L耐圧ガラス反応器に加え、室温で900分反応させた。
その後、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを、前記1L耐圧ガラス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、重合体(ポリイソプレン)99gを得た。
<重合体の分析>
得られた重合体について、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、重量平均絶対分子量(Mw’)、重量平均で見た分岐インデックス(g値)、ビニル結合量(1,2-ビニル結合量、3,4-ビニル結合量)、ガラス転移温度(Tg)を、下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
(1)ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC-8320GPC、カラム:東ソー社製GMHHL×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、得られた各重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃、測定流速は1mL/min、移動相はテトラヒドロフラン(THF)、溶液濃度は1mg/mL、注入量は100μLである。
(2)重量平均絶対分子量(Mw’)、重量平均で見た分岐インデックス(g値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC-8320GPC、カラム:東ソー社製GMHHL×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]と、多角度光散乱検出器(MALS:Wyatt社製のDawn Heleos II)と、を用いて、得られた各重合体の重量平均絶対分子量(Mw’)を求めた。更に、重合体の回転半径の二乗平均(<Rg>)から分岐インデックス(g値)を求め、更に、重量平均による重み付けを行って、重量平均で見た分岐インデックス(g値)を算出した。
(3)ビニル結合量(1,2-ビニル結合量、3,4-ビニル結合量)
得られた各重合体について、NMR(Bruker社製、AVANCE 600)を用いてNMRスペクトルを得た。H-NMR及び13C-NMRの測定により得られたピーク(H-NMR:δ 4.6-4.8(3,4-ビニルユニットの=CH)、5.0-5.2(1,4-ユニットの-CH=)、5.6-5.8(1,2-ユニットの-CH=)、4.8-4.9(1,2-ユニットの=CH)、13C-NMR:δ 23.4(1,4-シスユニット)、15.9(1,4-トランスユニット、18.6(3,4-ユニット))の積分比から、1,2-ビニル結合量、3,4-ビニル結合量を算出し、その合計からビニル結合量を算出した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、重合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。
(比較例1)
KARBOCHEM社製の商品名「Isogrip」に対して、上記の方法で、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、重量平均絶対分子量(Mw’)、重量平均で見た分岐インデックス(g値)、ビニル結合量(1,2-ビニル結合量、3,4-ビニル結合量)、ガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007404350000003
表1から、比較例1の市販のポリイソプレンは、ビニル結合量が高いものの、重量平均絶対分子量とポリスチレン換算重量平均分子量との比[(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))]が0.850を超えており、分岐度が高いことが分かる。
これに対して、本発明の製造方法に従って得られた実施例のポリイソプレンは、ビニル結合量が30mol%以上で、且つ重量平均絶対分子量とポリスチレン換算重量平均分子量との比[(重量平均絶対分子量(Mw’))/(ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw))]が0.850以下であり、分岐度が低いことが分かる。
<ゴム組成物の調製と評価>
表2に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を、145℃で33分間加硫して、加硫ゴム試験片を作製し、下記の方法で、低燃費性能及び湿潤路面でのグリップ性能を評価した。結果を表3に示す。
(5)低燃費性能
加硫ゴム試験片に対して、TA Instruments社製「ARES G2」を用いて、歪0.1~30%、周波数15Hzの条件下で、50℃におけるtanδ(損失正接)を測定した。比較例2の歪10%でのtanδの逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、tanδが小さく(即ち、ヒステリシスロスが小さく)、低燃費性能に優れることを示す。
(6)湿潤路面でのグリップ性能
23℃で、ブリティッシュ・ポータブル・スキッド・テスター(BPST)にて、湿潤路面上を加硫ゴム試験片でこすって測定した際の抵抗値を測定した。比較例2の抵抗値を100として指数表示した。指数値が大きい程、抵抗値が大きく、湿潤路面でのグリップ性能に優れることを示す。
Figure 0007404350000004
*1 ゴム成分: 使用したゴム成分を表3に示す。
*2 シリカ: 東ソー・シリカ工業社製、商品名「Nipsil AQ」
*3 アロマオイル: 富士興産社製、商品名「アロマックス#3」
*4 シランカップリング剤: ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製、商品名「Si75」(登録商標)
*5 ワックス: マイクロクリスタリンワックス、精工化学社製
*6 老化防止剤: N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
*7 加硫促進剤DPG: 1,3-ジフェニルグアニジン、三新化学工業社製、商品名「サンセラーD」
*8 加硫促進剤DM: ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業社製、商品名「サンセラーDM」
*9 加硫促進剤NS: N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業社製、商品名「サンセラーNS」
Figure 0007404350000005
*10 SBR: JSR株式会社製、商品名「#1500」、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)=519×10、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)=150×10、分子量分布(Mw/Mn)=3.46、スチレン結合量=23.5質量%、ブタジエン部分のビニル結合量=16mol%、ガラス転移温度(Tg)=-56℃
表3から、本発明の製造方法に従って得られたポリイソプレンを含む実施例のゴム組成物は、従来の(方法で製造された)ポリイソプレンを含むゴム組成物に比べて、低燃費性能と、湿潤路面でのグリップ性能とに優れることが分かる。
本発明のポリイソプレンの製造方法は、ゴム組成物のゴム成分として利用することが可能なポリイソプレンの製造に利用できる。

Claims (4)

  1. ビニル結合量が30mol%以上であるポリイソプレンの製造方法であって、
    下記一般式(I):

    (式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR’置換インデニル示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1~20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示し、[B]は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を含む重合触媒組成物の存在下で、イソプレンを重合させる工程を含み、
    上記一般式(I)中のCpR’として置換インデニル、Siを含む置換基を少なくとも1つ有することを特徴とする、ポリイソプレンの製造方法。
  2. 前記置換インデニルが、2つ以上の置換基を有する、請求項1に記載のポリイソプレンの製造方法。
  3. 前記置換インデニルの少なくとも1つの置換基が、当該置換インデニルの五員環上に存在する、請求項1又は2に記載のポリイソプレンの製造方法。
  4. 前記重合触媒組成物が、ハロゲン化合物を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリイソプレンの製造方法。
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