JPWO2019163230A1 - ゴム組成物、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホース - Google Patents

ゴム組成物、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホース Download PDF

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Abstract

耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れるゴム物品を作製することができるゴム組成物を提供する。ゴム組成物は、重合体中のビニル結合含量が20〜100質量%であるジエン系重合体(a1)、及び、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体(a2)を含むゴム成分(a)を含有し、前記ゴム成分(a)における前記多元共重合体(a2)の割合が5〜40質量%である、ことを特徴とする。

Description

本発明は、ゴム組成物、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホースに関する。
一般に、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置、ホース等のゴム物品には、高い耐久性が求められており、かかる要求を満たすために、高耐久性のゴム材料の開発が望まれている。
そのようなゴム材料として、本発明者らは、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有する多元共重合体が、ゴム物品の耐摩耗性及び耐亀裂成長性等を向上させ得ることを見出した(下記特許文献1)。
国際公開第2015/190072号
ここで、ゴム業界においては、種々のゴムに特有の諸性質を具備させるために、2種以上のゴム成分を配合して用いることが一般的に行われている。このような状況下、本発明者らが更に検討したところ、上述の多元共重合体と他のゴム成分とを混合したときには、耐摩耗性及び耐亀裂成長性の向上効果が得られ難い場合があることが分かった。そのため、上記多元共重合体を含む複数のゴム成分を含有するゴム組成物には、耐摩耗性及び耐亀裂成長性の向上の点で、改良の余地があった。
そこで、本発明は、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れるゴム物品を作製することができるゴム組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホースを提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のゴム組成物は、重合体中のビニル結合含量が20〜100質量%であるジエン系重合体(a1)、及び、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体(a2)を含むゴム成分(a)を含有し、
前記ゴム成分(a)における前記多元共重合体(a2)の割合が5〜40質量%である、ことを特徴とする。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明のコンベヤベルトは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明のゴムクローラは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明の防振装置は、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明の免震装置は、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明のホースは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れるゴム物品を作製することができるゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホースを提供することができる。
(1)ゴム組成物
本発明の一実施形態に係るゴム組成物(以下、「本実施形態のゴム組成物」と称することがある。)は、重合体中のビニル結合含量が20〜100質量%であるジエン系重合体(以下、「ハイビニルジエン系重合体」と称することがある。)(a1)、及び、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体(a2)を含むゴム成分(a)を含有する。また、本実施形態のゴム組成物においては、ゴム成分(a)における多元共重合体(a2)の割合が、5〜40質量%である。そして、本実施形態のゴム組成物は、更に必要に応じて、架橋剤(b)、その他の成分を含有することができる。
なお、本明細書において、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体(a2)は、ハイビニルジエン系重合体(a1)に含まれないものとする。
本発明者らは、多元共重合体と他のゴム成分とを混合したときに耐摩耗性及び耐亀裂成長性の向上効果が得られ難い理由の一つとして、多元共重合体が他のゴム成分に比べて一般に剛性が高いがゆえに生じる剛性段差にあることを突き止めた。即ち、この剛性段差のため、ゴム組成物全体に歪が印加されたとしても、その中の多元共重合体に対しては歪の印加が効率的になされず、多元共重合体に特有の高い耐摩耗性及び耐亀裂成長性が効果的に発揮できなくなるものと考えられる。
このような知見の下、本発明者らは更に検討し、上記多元共重合体と併用するゴム成分として、20質量%以上のビニル結合含量を有するジエン系重合体を採用することで、剛性段差を低減して、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を効果的に向上させることができることを見出した。この理由は、必ずしも明らかではないが、20質量%以上のビニル結合含量を有するジエン系重合体(ハイビニルジエン系重合体(a1))が、硫黄等の架橋剤との反応性が高いことに一因するものと考えられる。より具体的に述べると、上記多元共重合体(a2)に当該ハイビニルジエン系重合体(a1)と架橋剤とを配合してゴム組成物を調製した場合に、架橋剤が、当該架橋剤との反応性が高いハイビニルジエン系重合体(a1)側に分配され易くなり、これにより、上記多元共重合体の架橋密度が相対的に低減されて、剛性段差を効果的に低減することができるものと考えられる。
よって、本実施形態のゴム組成物によれば、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れるゴム物品を作製することができる。
本実施形態のゴム組成物は、上記ハイビニルジエン系重合体(a1)が連続相を構成し、上記多元共重合体(a2)が分散相を構成することが好ましい。このように、多元共重合体(a2)がゴム組成物中で分散相(比較的小さなドメイン)を構成することで、歪による結晶崩壊が促進されるため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を一層向上させることができる。また、ハイビニルジエン系重合体(a1)がゴム組成物中で連続相を構成することで、ハイビニルジエン系重合体(a1)由来の低い粘度を効果的に発現することができる。
なお、ハイビニルジエン系重合体(a1)の連続相及び多元共重合体(a2)の分散相の存在の有無は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
また、ゴム組成物におけるハイビニルジエン系重合体(a1)の連続相及び多元共重合体(a2)の分散相は、通常は、ハイビニルジエン系重合体(a1)及び多元共重合体(a2)を常法に従って混練することで、形成することができる。
本実施形態のゴム組成物においては、上記ハイビニルジエン系重合体(a1)と上記多元共重合体(a2)とが、互いに非相溶性又は半相溶性を有することが好ましい。上記多元共重合体(a2)が上記ハイビニルジエン系重合体(a1)に相溶せずに存在することで、歪による結晶崩壊が促進されるため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を一層向上させることができる。
なお、ハイビニルジエン系重合体(a1)と多元共重合体(a2)とが互いに非相溶性又は半相溶性を有するか否かは、ゴム組成物に関しての、(1)目視、(2)動的粘弾性カーブ、(3)走査型電子顕微鏡(SEM)により、総合的に判断することができる。
(1)については、ゴム組成物の透明度を目視により確認し、透明である場合には相溶性、不透明な箇所が存在する場合には半相溶性、ほぼ全面的に不透明である場合には非相溶性、と判断することができる。
(2)については、動的粘弾性測定で得られるtanδのカーブにおいて、ガラス転移温度(Tg)ピークが1つであり且つシャープである場合には相溶性、Tgピークが1つであるがブロードである場合には半相溶性、Tgピークが2つ以上存在する場合には非相溶性、と判断することができる。
(3)については、SEM画像において、1相のみ観察される場合には相溶性、2相以上観察される場合には半相溶または非相溶性、と判断することができる。
なお、非相溶性又は半相溶性を有するか否かの判断は、原則的には(1)及び(2)のみにより行い、(1)及び(2)のみによっては明確な判断ができなかった場合に、(3)により最終判断を行うこととする。
また、上記の非相溶性又は半相溶性は、通常は、ハイビニルジエン系重合体(a1)及び多元共重合体(a2)を常法に従って混練することで、達成することができる。
以下、本実施形態のゴム組成物が含有し得る各成分について説明する。
(重合体中のビニル結合含量が20〜100質量%であるジエン系重合体(a1))
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分(a)として、重合体中のビニル結合含量が20〜100質量%であるジエン系重合体(ハイビニルジエン系重合体)(a1)を含有する。ここで、上記ジエン系重合体としては、共役ジエン系重合体が挙げられ、例えば、天然ゴム等の天然系;ポリイソプレン、ポリブタジエン(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリクロロプレン(CR)等の合成系;が挙げられる。なお、合成系の共役ジエン系重合体は、少なくともブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物を単量体として用い、これを重合させることにより得られる。これらジエン系重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、上記ジエン系重合体は、耐摩耗性及び耐亀裂成長性をより向上させる観点から、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。換言すれば、上記ハイビニルジエン系重合体(a1)は、耐摩耗性及び耐亀裂成長性をより向上させる観点から、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
なお、本明細書において、ジエン系重合体中のビニル結合含量とは、ジエン系重合体全体における、ビニル結合しているジエン単位の割合である。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体中のビニル結合含量とは、スチレン−ブタジエン共重合体全体における、1,2−ビニル結合しているブタジエン単位の割合であり、また、ポリイソプレン中のビニル結合含量とは、ポリイソプレン全体における、1,2−ビニル結合しているイソプレン単位及び3,4−ビニル結合しているイソプレン単位の合計の割合である。そして、重合体中のビニル結合含量は、1H−NMRスペクトルの積分比より求める。
上述の通り、ハイビニルジエン系重合体(a1)は、当該ハイビニルジエン系重合体中のビニル結合含量が、20質量%以上であるが、剛性段差及び加硫度差を低減して耐摩耗性及び耐亀裂成長性をより向上させる観点から、45質量%以上であることが好ましい。
ハイビニルジエン系重合体(a1)は、芳香族ビニル単位の割合が0〜20質量%である(即ち、20質量%以下の芳香族ビニル単位を有するか、又は、芳香族ビニル単位を有しない)ことが好ましい。より具体的に、例えば、ハイビニルジエン系重合体(a1)としてスチレン−ブタジエン共重合体を用いる場合、当該スチレン−ブタジエン共重合体は、スチレン単位の割合が20質量%以下であることが好ましい。上記割合が20質量%以下であることにより、多元共重合体(a2)との非相溶性を高めて、耐摩耗性及び耐亀裂成長性をより向上させることができる。同様の観点から、ハイビニルジエン系重合体(a1)における芳香族ビニル単位の割合は、0〜10質量%であることがより好ましい。
なお、本明細書において、芳香族ビニル単位は、ジエン単位に含まれないものとする。換言すれば、重合体中の芳香族ビニル単位は、重合体中のビニル結合含量としてカウントされないものとする。
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分(a)におけるハイビニルジエン系重合体(a1)の割合が、60〜95質量%であることが好ましい。上記割合が60〜95質量%であることにより、多元共重合体(a2)との非相溶性又は半相溶性をもたらし易く、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を一層向上させることができる。同様の観点から、ゴム成分(a)におけるハイビニルジエン系重合体(a1)の割合は、80質量%以下であることがより好ましい。
(多元共重合体(a2))
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分(a)として、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体(a2)を含有する。
ここで、本明細書において、「共役ジエン単位」とは、多元共重合体における、共役ジエン化合物に由来する構成単位に相当する単位を意味し、「非共役オレフィン単位」とは、多元共重合体における、非共役オレフィン化合物に由来する構成単位に相当する単位を意味し、「芳香族ビニル単位」とは、多元共重合体における、芳香族ビニル化合物に由来する構成単位に相当する単位を意味する。
また、本明細書において、「共役ジエン化合物」とは、共役系のジエン化合物を意味し、「非共役オレフィン化合物」とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する非共役系の化合物を意味し、「芳香族ビニル化合物」とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を意味し、且つ、共役ジエン化合物には含まれないものとする。
そして、本明細書において、「多元共重合体」とは、3種類以上の単量体を重合してなる共重合体を意味する。
多元共重合体(a2)は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。これにより、耐亀裂成長性をより向上させることができる。なお、共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環〜五員環については、10〜24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
<共役ジエン単位>
多元共重合体(a2)は、共役ジエン単位を有する。共役ジエン単位は、通常、単量体としての共役ジエン化合物に由来する。多元共重合体(a2)は、単量体として共役ジエン化合物を用いて重合され得るものであるため、例えば公知であるEPDMのような非共役ジエン化合物を用いて重合してなる共重合体に比べ、架橋特性、フィラー補強性に優れる。従って、多元共重合体(a2)は、これを用いて製造されるゴム組成物やゴム物品の機械特性をより向上させることができるという利点も有する。
共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。即ち、多元共重合体(a2)は、共役ジエン単位を1種単独で有してもよく、2種以上を有してもよい。
前記共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることが好ましい。共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。多元共重合体(a2)の単量体としての共役ジエン化合物は、ゴム組成物及びゴム物品の耐摩耗性及び耐亀裂成長性をより効果的に向上させる観点から、1,3−ブタジエン及びイソプレンの少なくともいずれかを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン及びイソプレンのみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエンのみからなることが更に好ましい。換言すれば、多元共重合体(a2)における共役ジエン単位は、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位の少なくともいずれかを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位のみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位のみからなることが更に好ましい。
多元共重合体(a2)における共役ジエン単位の割合は、1mol%以上であることが好ましく、また、50mol%以下であることが好ましい。共役ジエン単位の割合が1mol%以上であることで、伸びに優れるゴム組成物及びゴム物品を得ることができ、また、50mol%以下であることで、ゴム物品の耐候性を良好に維持することができる。同様の観点から、多元共重合体(a2)における共役ジエン単位の割合は、3mol%以上であることがより好ましく、また、40mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることが更に好ましく、20mol%以下であることが一層好ましく、15mol%以下であることが特に好ましい。
<非共役オレフィン単位>
多元共重合体(a2)は、非共役オレフィン単位を有する。非共役オレフィン単位は、通常、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する。
非共役オレフィン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。即ち、多元共重合体(a2)は、非共役オレフィン単位を1種単独で有してもよく、2種以上を有してもよい。
前記非共役オレフィン化合物は、炭素数が2〜10であることが好ましい。非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、ビバリン酸ビニル、1−フェニルチオエテン、若しくはN−ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。多元共重合体(a2)の単量体としての非共役オレフィン化合物は、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を効果的に高める結晶構造を多元共重合体(a2)内に形成する観点から、環状構造を有しないことが好ましく、α−オレフィンであることがより好ましく、エチレンを含むことが更に好ましく、エチレンのみからなることが一層好ましい。換言すれば、多元共重合体(a2)における非共役オレフィン単位は、環状構造を有しないことが好ましく、α−オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むことが更に好ましく、エチレン単位のみからなることが一層好ましい。
多元共重合体(a2)における非共役オレフィン単位の割合は、40mol%以上であることが好ましく、また、97mol%以下であることが好ましい。非共役オレフィン単位の割合が40mol%以上であることで、共役ジエン単位及び芳香族ビニル単位の割合が過度に高くなることによる、耐候性の悪化、及び高温での耐破壊性(特に破断強度(Tb))の悪化を抑制することができる。また、97mol%以下であることで、共役ジエン単位及び芳香族ビニル単位の割合が過度に低くなることによる、高温での耐破壊性(特に破断強度(Tb))の悪化を抑制することができる。同様の観点から、多元共重合体(a2)における非共役オレフィン単位の割合は、45mol%以上であることがより好ましく、55mol%以上であることが更に好ましく、60mol%以上であることが一層好ましく、また、95mol%以下であることがより好ましく、90mol%以下であることが更に好ましい。
<芳香族ビニル単位>
多元共重合体(a2)は、芳香族ビニル単位を有する。芳香族ビニル単位は、通常、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する。
芳香族ビニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。即ち、多元共重合体(a2)は、芳香族ビニル単位を1種単独で有してもよく、2種以上を有してもよい。
前記芳香族ビニル化合物は、芳香環に直接結合したビニル基を有し、且つ、炭素数が8〜10であることが好ましい。芳香族ビニル化合物として、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。多元共重合体(a2)の単量体としての芳香族ビニル化合物は、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を効果的に高める結晶構造を多元共重合体(a2)内に形成する観点から、スチレンを含むことが好ましく、スチレンのみからなることがより好ましい。換言すれば、多元共重合体(a2)における芳香族ビニル単位は、スチレン単位を含むことが好ましく、スチレン単位のみからなることがより好ましい。
多元共重合体(a2)における芳香族ビニル単位の割合は、2mol%以上であることが好ましく、また、35mol%以下であることが好ましい。芳香族ビニル単位の割合が2mol%以上であることで、高温における耐破壊性を向上させることができ、また、35mol%以下であることで、作業性をより向上させることができる。同様の観点から、多元共重合体(a2)における芳香族ビニル単位の割合は、3mol%以上であることがより好ましく、また、30mol%以下であることがより好ましく、25mol%以下であることが更に好ましい。
多元共重合体(a2)の単量体の種類の数としては、多元共重合体(a2)が共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する限り、特に制限はない。多元共重合体(a2)は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位以外の、その他の構成単位を有してもよい。但し、多元共重合体(a2)におけるその他の構成単位の割合は、所望の効果を得る観点から、30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%%以下であることが更に好ましく、0mol%、即ち、その他の構成単位を有しないことが一層好ましい。
多元共重合体(a2)は、少なくとも、一種の共役ジエン単位、一種の非共役オレフィン単位、及び一種の芳香族ビニル単位を有する。また、所望の効果を得る観点から、多元共重合体(a2)は、単量体として、一種の共役ジエン化合物、一種の非共役オレフィン化合物、及び一種の芳香族ビニル化合物を少なくとも用いて重合してなる共重合体であることが好ましい。
そして、多元共重合体(a2)は、一種の共役ジエン単位、一種の非共役オレフィン単位、及び一種の芳香族ビニル単位のみからなる三元共重合体であることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、及びスチレン単位のみからなる三元共重合体であることが更に好ましい。ここで、「一種の共役ジエン単位」には、異なる結合様式の共役ジエン単位が包括されていることとする。
多元共重合体(a2)は、上記共役ジエン単位の割合が1〜50mol%であり、上記非共役オレフィン単位の割合が40〜97mol%であり、且つ上記芳香族ビニル単位の割合が2〜35mol%であることが好ましい。この場合、耐摩耗性及び耐亀裂成長性及を更に向上させることができる。
多元共重合体(a2)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃であることが好ましい。融点が30℃以上であることにより、耐亀裂成長性をより向上させることができ、また、130℃以下であることにより、ゴム組成物の混練の際に、結晶性の高い非共役オレフィン単位が融解し易く、作業性を向上させることができる。
なお、多元共重合体(a2)の融点は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して測定することができる。
多元共重合体(a2)は、DSCで測定した0〜120℃における吸熱ピークのエネルギーが10〜150J/gであることが好ましい。吸熱ピークのエネルギーが10J/g以上であることにより、ゴム物品の剛性をより高めることができ、また、150J/g以下であることにより、作業性をより向上させることができる。
なお、多元共重合体(a2)の吸熱ピークのエネルギーは、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して測定することができる。
多元共重合体(a2)は、DSCで測定したガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃以下であることにより、作業性をより向上させることができる。
なお、多元共重合体(a2)のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して測定することができる。
多元共重合体(a2)は、結晶化度が0.5〜50%であることが好ましい。結晶化度が0.5%以上であることにより、ゴム物品の剛性をより高めることができ、また、50%以下であることにより、作業性をより向上させることができる。
なお、多元共重合体(a2)の結晶化度は、具体的には、100%結晶成分からなるポリエチレンの結晶融解エネルギーと、JIS K 7121−1987に準拠してDSCで測定した多元共重合体の融解ピークエネルギーとの比率から、算出することができる。
多元共重合体(a2)は、重量平均分子量(Mw)が10,000以上であることが好ましく、また、10,000,000以下であることが好ましい。多元共重合体(a2)のMwが10,000以上であることにより、ゴム材料及びゴム物品としての機械的強度を十分に確保することができ、また、10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。同様の観点から、多元共重合体(a2)のMwは、100,000以上であることがより好ましく、150,000以上であることが更に好ましく、また、9,000,000以下であることがより好ましく、8,000,000以下であることが更に好ましい。
多元共重合体(a2)は、数平均分子量(Mn)が10,000以上であることが好ましく、また、10,000,000以下であることが好ましい。多元共重合体(a2)のMnが10,000以上であることにより、ゴム材料及びゴム物品としての機械的強度を十分に確保することができ、また、10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。同様の観点から、多元共重合体(a2)のMnは、50,000以上であることがより好ましく、100,000以上であることが更に好ましく、また、9,000,000以下であることがより好ましく、8,000,000以下であることが更に好ましい。
多元共重合体(a2)は、分子量分布(Mw/Mn)が1.00以上であることが好ましく、また、4.00以下であることが好ましい。多元共重合体(a2)の分子量分布が4.00以下であることにより、多元共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。同様の観点から、多元共重合体(a2)の分子量分布は、1.50以上であることがより好ましく、1.80以上であることが更に好ましく、また、3.50以下であることがより好ましく、3.00以下であることが更に好ましい。
なお、上述した重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布は、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求められる。
<多元共重合体の製造方法>
上記多元共重合体(a2)は、例えば、少なくとも共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を単量体として用い、これらを共重合させる工程(重合工程)を実施することで、製造することができる。また、多元共重合体(a2)の製造では、上記重合工程のほか、更に、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程等のその他の工程を実施することができる。ここで、多元共重合体(a2)の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらを重合させることが好ましい。特に後述の重合触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物より共役ジエン化合物の方が反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合させることが困難となりやすい。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となりやすい。
重合工程では、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の重合方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、重合温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス−1,4結合の選択性が低下することがある。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、上記重合反応の反応時間は、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、1秒〜10日の範囲が好ましい。
また、重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、及びその他の単量体、好ましくは、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、残る種類の単量体や前記1種類又は2種類の単量体の残部を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階〜最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、多元共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
重合工程では、少なくとも芳香族ビニル化合物を含む第1単量体原料と、重合触媒とを混合して重合混合物を得る工程(第1工程)と、上記重合混合物に対し、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2単量体原料を導入する工程(第2工程)とを実施することが好ましい。更に、上記第1単量体原料が共役ジエン化合物を含まず、且つ上記第2単量体原料が共役ジエン化合物を含むことがより好ましい。
第1工程で用いる第1単量体原料は、芳香族ビニル化合物とともに、非共役オレフィン化合物を含有してもよい。また、第1単量体原料は、使用する芳香族ビニル化合物の全量を含有してもよく、一部のみを含有してもよい。また、非共役オレフィン化合物は、第1単量体原料及び第2単量体原料の少なくともいずれかに含有される。
第1工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第1工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、第1工程における圧力は、特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第1工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、反応温度を25〜80℃とした場合には、5分〜500分の範囲が好ましい。
第1工程において、重合混合物を得るための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
第2工程で用いる第2単量体原料は、共役ジエン化合物のみである、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物のみである、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物のみである、又は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物であることが好ましい。なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、あらかじめこれらの単量体原料を溶媒等とともに混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(いわゆるミ−夕リング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
第2工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第2工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス−1,4結合の選択性が低下することがある。また、第2工程における圧力は、特に制限はないが、共役ジエン化合物等の単量体を十分に重合反応系に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第2工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、0.1時間〜10日の範囲が好ましい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
カップリング工程は、重合工程において得られた多元共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を、カップリング剤などを用いて変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。カップリング工程は、重合反応が100%に達した際に行うことが好ましい。カップリング工程を行うことにより、多元共重合体の数平均分子量(Mn)を増加させることができる。
カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクテルスズ(lV)等のスズ含有化合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、反応効率の向上及びゲル生成の低減の観点から、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクテルスズ(IV)が好ましい。
洗浄工程は、重合工程又はカップリング工程で得られた多元共重合体を洗浄する工程である。洗浄工程を行うことにより、多元共重合体中の触媒残さ査量を好適に低下させることができる。なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ルなどの溶媒が挙げられ。また、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際には、特に、上述した溶媒に対して酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸など)を添加して用いることができる。なお、添加する酸の量は、当該酸が多元共重合体中に残存して混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼすことを回避する観点から、溶媒に対して15mol%以下であることが好ましい。
ここで、上記重合工程は、下記に示す第一の重合触媒組成物、第二の重合触媒組成物、第三の重合触媒組成物、又は第四の重合触媒組成物の存在下で行うことが好ましい。以下、第一の重合触媒組成物、第二の重合触媒組成物、第三の重合触媒組成物、及び第四の重合触媒組成物について説明する。
−第一の重合触媒組成物−
第一の重合触媒組成物(以下、「第一重合触媒組成物」ともいう)について説明する。
第一重合触媒組成物としては、
(A1)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない、該希土類元素化合物又は反応物と、
(B1)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B1−1)、アルミノキサン(B1−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B1−3)よりなる群から選択される少なくとも一種と、を含む重合触媒組成物が挙げられる。
第一重合触媒組成物が、イオン性化合物(B1−1)及びハロゲン化合物(B1−3)よりなる群から選択される少なくとも一種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(C1)成分:下記一般式(I):
YR1 a2 b3 c ・・・ (I)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は水素原子であり、R3は炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、R1、R2、R3はそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a、b及びcは1である)で表される有機金属化合物を含む。
上記イオン性化合物(B1−1)及び上記ハロゲン化合物(B1−3)は、(A1)成分へ供給するための炭素原子が存在しないため、該(A1)成分への炭素供給源として、上記(C1)成分が必要となる。なお、上記重合触媒組成物が上記アルミノキサン(B1−2)を含む場合であっても、該重合触媒組成物は、上記(C1)成分を含むことができる。また、上記第一重合触媒組成物は、通常の希土類元素化合物系の重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば、助触媒等を含んでいてもよい。
なお、重合反応系において、第一重合触媒組成物に含まれる(A1)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
更に、該重合触媒組成物は、アニオン性配位子となり得る添加剤(D1)を含有することが好ましい。
上記第一重合触媒組成物に用いる(A1)成分は、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であり、ここで、希土類元素化合物及び該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さない。該希土類元素化合物及び反応物が希土類元素−炭素結合を有さない場合、化合物が安定であり、取り扱い易い。ここで、希土類元素化合物とは、希土類元素(M)、即ち、周期律表中の原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素又はスカンジウム若しくはイットリウムを含有する化合物である。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(A1)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記希土類元素化合物は、希土類金属が二価若しくは三価の塩又は錯体化合物であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有する希土類元素化合物であることがより好ましい。更に、上記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、下記一般式(II)又は一般式(III):
1111 2・L11w ・・・ (II)
1111 3・L11w ・・・ (III)
(それぞれの式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す)で表されることが好ましい。
上記希土類元素化合物の希土類元素に結合する基(配位子)として、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基(アルコールの水酸基の水素を除いた基であり、金属アルコキシドを形成する。)、チオラート基(チオール化合物のチオール基の水素を除いた基であり、金属チオラートを形成する。)、アミノ基(アンモニア、第一級アミン、又は第二級アミンの窒素原子に結合する水素原子を1つ除いた基であり、金属アミドを形成する。)、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基が挙げられる。具体的には、水素原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等の芳香族アルコキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルチオフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;フェニルアミノ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミノ基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミノ基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基;ビストリメチルシリルアミノ基等のビストリアルキルシリルアミノ基;トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等のシリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。更には、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフトアルデヒド等のアルデヒドの残基;2’−ヒドロキシアセトフェノン、2’−ヒドロキシブチロフェノン、2’−ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノンの残基;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のジケトンの残基;イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ピバル酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸の残基;ヘキサンチオ酸、2,2−ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸等のチオカルボン酸の残基;リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基;ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホスフィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基を挙げることもできる。
なお、これらの基(配位子)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第一重合触媒組成物に用いる(A1)成分において、上記希土類元素化合物と反応するルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記希土類元素化合物が複数のルイス塩基と反応する場合(一般式(II)及び(III)においては、wが2又は3である場合)、ルイス塩基L11は、同一であっても異なっていてもよい。
好適には、上記希土類元素化合物は、下記一般式(IV):
M−(NQ1)(NQ2)(NQ3) ・・・(IV)
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム、イットリウムから選択される少なくとも一種であり、NQ1、NQ2及びNQ3は、アミノ基であり、同一であっても異なっていてもよく、但し、M−N結合を有する)で表される化合物を含有することが好ましい。
即ち、上記一般式(IV)で表される化合物は、M−N結合を3つ有することを特徴とする。M−N結合を3つ有することにより、各結合が化学的に等価となるため構造が安定的であり、それゆえに取り扱いが容易である、という利点を有する。
上記一般式(IV)において、NQ(NQ1、NQ2、及びNQ3)が表すアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などの脂肪族アミノ基;フェニルアミノ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミノ基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミノ基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基;ビストリメチルシリルアミノ基などのビストリアルキルシリルアミノ基のいずれでもよいが、ビストリメチルシリルアミノ基が好ましい。
上記第一重合触媒組成物に用いる(B1)成分は、イオン性化合物(B1−1)、アルミノキサン(B1−2)及びハロゲン化合物(B1−3)よりなる群から選択される少なくとも一種である。なお、上記第一重合触媒組成物における(B1)成分の合計の含有量は、(A1)成分に対して0.1〜50倍molであることが好ましい。
上記イオン性化合物(B1−1)は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、上記(A1)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。
ここで、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられる。
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等を挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、より具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン)等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。
従って、イオン性化合物(B1−1)としては、上述の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、これらのイオン性化合物(B1−1)は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第一重合触媒組成物におけるイオン性化合物(B1−1)の含有量は、(A1)成分に対して0.1〜10倍molであることが好ましく、約1倍molであることがより好ましい。
上記アルミノキサン(B1−2)は、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物であり、例えば、一般式:(−Al(R’)O−)で示される繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサン(式中、R’は炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、一部の炭化水素基はハロゲン原子及びアルコキシ基よりなる群から選択される少なくとも1つで置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上がより好ましい)を挙げることができる。ここで、R’として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。また、アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びその混合物等が挙げられ、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。例えば、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンを好適に用いることができる。なお、上記第一重合触媒組成物におけるアルミノキサン(B1−2)の含有量は、(A1)成分を構成する希土類元素Mに対する、アルミノキサンのアルミニウム元素Alの元素比率Al/Mが、10〜1,000程度となるようにすることが好ましい。
上記ハロゲン化合物(B1−3)は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種からなり、例えば、上記(A1)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応して、カチオン性遷移金属化合物やハロゲン化遷移金属化合物や遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。なお、上記第一重合触媒組成物におけるハロゲン化合物(B1−3)の合計の含有量は、(A1)成分に対して1〜5倍molであることが好ましい。
上記ルイス酸としては、B(C653等のホウ素含有ハロゲン化合物、Al(C653等のアルミニウム含有ハロゲン化合物を使用できる他、周期律表中の第3族、第4族、第5族、第6族又は第8族に属する元素を含有するハロゲン化合物を用いることもできる。好ましくは、アルミニウムハロゲン化物又は有機金属ハロゲン化物が挙げられる。また、ハロゲン元素としては、塩素又は臭素が好ましい。
上記ルイス酸として、具体的には、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化錫、四塩化チタン、六塩化タングステン等が挙げられ、これらの中でも、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイドが特に好ましい。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチルヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1molに対し、好ましくは0.01〜30mol、より好ましくは0.5〜10molの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
上記第一重合触媒組成物に用いる(C1)成分は、下記一般式(I):
YR1 a2 b3 c ・・・ (I)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は水素原子であり、R3は炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、R1、R2、R3はそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a、b及びcは1である)で表される有機金属化合物であり、下記一般式(V):
AlR123 ・・・ (V)
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は水素原子であり、R3は炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、R1、R2、R3はそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。
一般式(V)で表される有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C1)成分としての有機金属化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
なお、上記第一重合触媒組成物における有機金属化合物の含有量は、(A1)成分に対して1〜50倍molであることが好ましく、約10倍molであることがより好ましい。
アニオン性配位子となり得る添加剤(D1)の添加は、より高いシス−1,4結合含量の多元共重合体を高収率で合成することが可能となる、という効果を奏するため好ましい。
上記添加剤(D1)としては、(A1)成分のアミノ基と交換可能なものであれば特に限定されないが、OH基、NH基、SH基のいずれかを有することが好ましい。
具体的な化合物として、OH基を有するものとしては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール等が挙げられる。具体的には、2−エチル−1−ヘキサノール、ジブチルヒドロキシトルエン、アルキル化フェノール、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチリルチオジプロピオネート等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えばヒンダードフェノール系のものとして、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール等を挙げることができる。また、ヒドラジン系として、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンを挙げることができる。
NH基を有するものとしては、アルキルアミン、アリールアミン等の第1級アミン又は第2級アミンを挙げることができる。具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピロール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)アミン等が挙げられる。
SH基を有するものとしては、脂肪族チオール、芳香族チオール等のほか、下記一般式(VI)、(VII)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2019163230
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して−O−Cj2j+1、−(O−Ck2k−)a−O−Cm2m+1又は−Cn2n+1で表され、j、m及びnは、それぞれ独立して0〜12の整数であり、k及びaは、それぞれ独立して1〜12の整数であり、R4は、炭素数1〜12であって、直鎖、分岐、若しくは環状の、飽和若しくは不飽和の、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、シクロアルケニルアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、シクロアルキルアルケニレン基、シクロアルケニルアルケニレン基、アリーレン基又はアラルキレン基である。)
一般式(VI)で示されるものの具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、(メルカプトメチル)ジメチルエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Figure 2019163230
(式中、Wは、−NR8−、−O−又は−CR910−(ここで、R8及びR9は−Cp2p+1であり、R10は、−Cq2q+1であり、p及びqは、それぞれ独立して0〜20の整数である。)で表され、R5及びR6は、それぞれ独立して−M−Cr2r−(ここで、Mは−O−又は−CH2−であり、rは1〜20の整数である。)で表され、R7は、−O−Cj2j+1、−(O−Ck2k−)a−O−Cm2m+1又は−Cn2n+1で表され、j、m及びnは、それぞれ独立して0〜12の整数であり、k及びaは、それぞれ独立して1〜12の整数であり、R4は、炭素数1〜12であって、直鎖、分岐、若しくは環状の、飽和若しくは不飽和の、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、シクロアルケニルアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、シクロアルキルアルケニレン基、シクロアルケニルアルケニレン基、アリーレン基又はアラルキレン基である。)
一般式(VII)で示されるものの具体例としては、3−メルカプトプロピル(エトキシ)−1,3−ジオキサ−6−メチルアザ−2−シラシクロオクタン、3−メルカプトプロピル(エトキシ)−1,3−ジオキサ−6−ブチルアザ−2−シラシクロオクタン、3−メルカプトプロピル(エトキシ)−1,3−ジオキサ−6−ドデシルアザ−2−シラシクロオクタンなどが挙げられる。
また、添加剤(D1)としては、好適には下記一般式(VIII)で表されるアニオン性三座配位子前駆体を使用できる。
1−T1−X−T2−E2 ・・・(VIII)
(式中、Xは、周期律表第15族原子から選択される配位原子を含むアニオン性の電子供与基を示し、E1及びE2は、それぞれ独立して、周期律表第15族及び16族原子から選択される配位原子を含む中性の電子供与基を示し、T1及びT2は、それぞれ、XとE1及びE2とを架橋する架橋基を示す)
添加剤(D1)は、前記希土類元素化合物1molに対して、0.01〜10mol添加することが好ましく、0.1〜1.2mol添加することがより好ましい。添加量が0.1mol以上であると、単量体の重合反応が十分に進行する。また、添加量は、希土類元素化合物と当量(1.0mol)とすることが好ましいが、過剰量添加されていてもよい。添加量が1.2mol以下であると、試薬のロスが少ないので好ましい。
上記一般式(VIII)中、中性の電子供与基E1及びE2は、周期律表第15族及び第16族から選択される配位原子を含む基である。また、E1及びE2は同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。該配位原子としては、窒素N、リンP、酸素O、硫黄Sなどが例示されるが、好ましくはPである。
前記E1及びE2に含まれる配位原子がPである場合には、中性の電子供与基E1又はE2としては、ジフェニルホスフィノ基、ジトリルホスフィノ基等のジアリールホスフィノ基;ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基等のジアルキルホスフィノ基;メチルフェニルホスフィノ基等のアルキルアリールホスフィノ基が例示され、好ましくはジアリールホスフィノ基である。
前記E1及びE2に含まれる配位原子がNである場合には、中性の電子供与基E1又はE2としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基等のジアルキルアミノ基及びビス(トリアルキルシリル)アミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;メチルフェニルアミノ基等のアルキルアリールアミノ基などが例示される。
前記E1及びE2に含まれる配位原子がOである場合には、中性の電子供与基E1又はE2としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基等のアリールオキシ基などが例示される。
前記E1及びE2に含まれる配位原子がSである場合には、中性の電子供与基E1又はE2としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、トリルチオ基等のアリールチオ基などが例示される。
アニオン性の電子供与基Xは、周期律表第15族から選択される配位原子を含む基である。該配位原子として、好ましくはリンP又は窒素Nが挙げられ、より好ましくはNが挙げられる。
架橋基T1及びT2は、XとE1及びE2を架橋することができる基であればよく、アリール環上に置換基を有していてもよいアリーレン基が例示される。また、T1及びT2は同一の基でも異なる基であってもよい。
前記アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、チエニレン基が例示され、好ましくはフェニレン基、ナフチレン基である。また、前記アリーレン基のアリール環上には任意の基が置換されていてもよい。該置換基としてはメチル基、エチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;フルオロ、クロロ、ブロモなどのハロゲン基;トリメチルシリル基などのシリル基などが例示される。
前記アリーレン基として、更に好ましくは1,2−フェニレン基が例示される。
−第二の重合触媒組成物−
次に、第二の重合触媒組成物(以下、「第二重合触媒組成物」ともいう)について説明する。第二重合触媒組成物としては、下記一般式(IX):
Figure 2019163230
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換若しくは置換インデニルを示し、Ra〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(X):
Figure 2019163230
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換若しくは置換インデニルを示し、X’は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基又は炭素数1〜20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。)で表されるメタロセン錯体、並びに下記一般式(XI):
Figure 2019163230
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR’は、無置換若しくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基又は炭素数1〜20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示し、[B]−は、非配位性アニオンを示す。)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体よりなる群から選択される少なくとも1種類の錯体を含む重合触媒組成物が挙げられる。
第二重合触媒組成物は、更に、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば、助触媒等を含んでいてもよい。ここで、メタロセン錯体は、1つ又は2つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体が1つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。
なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(IX)及び(X)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-xx又はC911-xxで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(IX)及び(X)における2つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCpR'は、無置換若しくは置換のシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルであり、これらの中でも、無置換若しくは置換のインデニルであることが好ましい。
上記一般式(XI)において、シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'は、C55-xxで示される。ここで、Xは、0〜5の整数である。また、Rは、それぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'として、具体的には、以下のものが例示される。
Figure 2019163230
(式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)
一般式(XI)において、上記インデニル環を基本骨格とするCpR'は、一般式(IX)及び(X)のCpRと同様に定義され、好ましい例も同様である。
一般式(XI)において、上記フルオレニル環を基本骨格とするCpR'は、C139-xx又はC1317-xxで示され得る。ここで、Xは0〜9又は0〜17の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
一般式(IX)、(X)及び(XI)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
一般式(IX)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(IX)におけるRa〜Rf)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、Ra〜Rfのうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。Ra〜Rfのうち少なくとも1つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィン化合物や芳香族ビニル化合物が導入され易くなる。同様の観点から、Ra〜Rcのうち少なくとも1つが水素原子であり、Rd〜Rfのうち少なくとも1つが水素原子であることがより好ましい。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(X)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[−SiX’3]を含む。シリル配位子[−SiX’3]に含まれるX’は、下記で説明される一般式(XI)のXと同様に定義される基であり、好ましい基も同様である。
一般式(XI)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基及び炭素数1〜20の一価の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
一般式(XI)において、Xが表すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシ基が挙げられ、これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
一般式(XI)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルチオフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基が挙げられ、これらの中でも、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
一般式(XI)において、Xが表すアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;フェニルアミノ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミノ基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミノ基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基;ビストリメチルシリルアミノ基等のビストリアルキルシリルアミノ基が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミノ基が好ましい。
一般式(XI)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
また、一般式(XI)において、Xが表す炭素数1〜20の一価の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
一般式(XI)において、Xとしては、ビストリメチルシリルアミノ基又は炭素数1〜20の一価の炭化水素基が好ましい。
一般式(XI)において、[B]-で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記一般式(IX)及び(X)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(IX)及び(X)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式(IX)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシリル)アミンの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(IX)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 2019163230
(式中、X’’はハライドを示す。)
上記一般式(X)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(X)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 2019163230
(式中、X’’はハライドを示す。)
上記一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応により得ることができる。
Figure 2019163230
ここで、一般式(XII)で表される化合物において、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR'は、それぞれ独立して無置換若しくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオラート基、アミノ基、シリル基又は炭素数1〜20の一価の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。また、式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物において、[A]+は、カチオンを示し、[B]-は、非配位性アニオンを示す。
[A]+で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
上記反応に用いる一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1〜10倍mol加えることが好ましく、約1倍mol加えることが更に好ましい。なお、一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(XII)で表される化合物と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中で一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。また、一般式(IX)又は(X)で表されるメタロセン錯体と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中で一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
上記一般式(IX)及び(X)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することが好ましい。
上記第二重合触媒組成物に用いることができる助触媒は、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物の助触媒として用いられる成分から任意に選択され得る。該助触媒としては、例えば、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物、上記のイオン性化合物等が好適に挙げられる。これら助触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルミノキサンとしては、アルキルアルミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソー・ファインケム(株)製)等が好ましい。なお、上記第二重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、メタロセン錯体の中心金属Mに対する、アルミノキサンのアルミニウム元素Alの元素比率Al/Mが、10〜1,000程度となるようにすることが好ましく、100程度となるようにすることがより好ましい。
一方、上記有機アルミニウム化合物としては、一般式AlRR’R’’(式中、R及びR’はそれぞれ独立して炭素数1〜10の一価の炭化水素基、ハロゲン原子、又は水素原子であり、R’’は炭素数1〜10の一価の炭化水素基である)で表される有機アルミニウム化合物が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、塩素原子が好ましい。上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。なお、上記重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍molであることが好ましく、約10倍molであることがより好ましい。
更に、上記重合触媒組成物においては、上記一般式(IX)及び(X)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(XI)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそれぞれ、適切な助触媒と組み合わせることで、シス−1,4結合含量や得られる重合体の分子量を増大できる。
−第三の重合触媒組成物−
次に、第三の重合触媒組成物(以下、「第三重合触媒組成物」ともいう)について説明する。
第三の重合触媒組成物としては、希土類元素含有化合物として、下記一般式(XIII):
aMXbQYb・・・(XIII)
(式中、Rはそれぞれ独立して無置換若しくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である)で表されるメタロセン系複合触媒を含む重合触媒組成物が挙げられる。
上記メタロセン系複合触媒の好適例においては、下記一般式(XIV):
Figure 2019163230
(式中、M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換若しくは置換インデニルを示し、RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基を示し、該RA及びRBは、M1及びAlにμ配位しており、RC及びRDは、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素原子を示す)で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系複合触媒を用いることで、多元共重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、多元共重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、多元共重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10モル当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5モル当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
上記メタロセン系複合触媒において、上記一般式(XIII)中の金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記一般式(XIII)において、Rは、それぞれ独立して無置換インデニル又は置換インデニルであり、該Rは上記金属Mに配位している。なお、置換インデニルの具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基等が挙げられる。
上記一般式(XIII)において、Qは、周期律表第13族元素を示し、具体的には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等が挙げられる。
上記一般式(XIII)において、Xは、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記一般式(XIII)において、Yは、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素原子を示し、該Yは、Qに配位している。ここで、炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記一般式(XIV)において、金属M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属M1としては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記一般式(XIV)において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(XIV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XIV)において、RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基を示し、該RA及びRBは、M1及びAlにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記一般式(XIV)において、RC及びRDは、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素原子である。ここで、炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
なお、上記メタロセン系複合触媒は、例えば、溶媒中で、下記一般式(XV):
Figure 2019163230
(式中、M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換若しくは置換インデニルを示し、RE〜RJは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体を、AlRKLMで表される有機アルミニウム化合物と反応させることで得られる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンやヘキサンを用いればよい。なお、上記メタロセン系複合触媒の構造は、1H−NMRやX線構造解析により決定することが好ましい。
上記一般式(XV)で表されるメタロセン錯体において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルであり、上記一般式(XIV)中のCpRと同義である。また、上記一般式(XV)において、金属M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムであり、上記一般式(XIV)中の金属M1と同義である。
上記一般式(XV)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(RE〜RJ基)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、RE〜RJのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。RE〜RJのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になる。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
上記一般式(XV)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(XV)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
一方、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物は、AlRKLMで表され、ここで、RK及びRLは、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素原子で、RMは炭素数1〜20の一価の炭化水素基であり、但し、RMは上記RK又はRLと同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これら有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物の量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍molであることが好ましく、約10倍molであることがより好ましい。
前記第三重合触媒組成物は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含んでもよく、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。前記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各単量体成分の重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
上記第三重合触媒組成物において、2成分触媒を構成するホウ素アニオンとして、具体的には、4価のホウ素アニオンが挙げられる。例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
なお、上記ホウ素アニオンは、カチオンと組み合わされたイオン性化合物として使用することができる。上記カチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンがより好ましい。従って、上記イオン性化合物としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。なお、ホウ素アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物は、上記メタロセン系複合触媒に対して0.1〜10倍mol加えることが好ましく、約1倍mol加えることがより好ましい。
なお、上記一般式(XV)で表されるメタロセン錯体と有機アルミニウム化合物を反応させる反応系に、ホウ素アニオンが存在していると、上記一般式(XIV)のメタロセン系複合触媒を合成することができない。従って、上記第三重合触媒組成物の調製には、該メタロセン系複合触媒を予め合成し、該メタロセン系複合触媒を単離精製してからホウ素アニオンと組み合わせる必要がある。
上記第三重合触媒組成物に用いることができる助触媒としては、例えば、上述のAlRKRLRMで表される有機アルミニウム化合物の他、アルミノキサン等が好適に挙げられる。上記アルミノキサンとしては、アルキルアルミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソー・ファインケム(株)製)等が好ましい。なお、これらアルミノキサンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
−第四の重合触媒組成物−
第四の重合触媒組成物は、希土類元素化合物と、シクロペンタジエン骨格を有する化合物を含む。
第四の重合触媒組成物は、
・希土類元素化合物(以下、「(A2)成分」ともいう)と、
・置換又は無置換のシクロペンタジエン、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び置換又は無置換のフルオレンよりなる群から選択される化合物(以下、「(B2)成分」ともいう)と、
を含むことを必要とする。
この第四の重合触媒組成物は、
・有機金属化合物(以下、「(C2)成分」ともいう)
・アルミノキサン化合物(以下、「(D2)成分」ともいう)
・ハロゲン化合物(以下、「(E2)成分」ともいう)
を更に含んでもよい。
第四の重合触媒組成物は、脂肪族炭化水素に高い溶解性を有することが好ましく、脂肪族炭化水素中で均一系溶液となることが好ましい。ここで、脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン等が挙げられる。
そして、第四の重合触媒組成物は、芳香族炭化水素を含まないことが好ましい。ここで、芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
なお、「芳香族炭化水素を含まない」とは、重合触媒組成物に含まれる芳香族炭化水素の割合が0.1質量%未満であることを意味する。
(A2)成分は、金属−窒素結合(M−N結合)を有する、希土類元素含有化合物又は該希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物とすることができる。
なお、希土類元素含有化合物としては、例えば、スカンジウム、イットリウム、又は原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素を含有する化合物等が挙げられる。ランタノイド元素とは、具体的には、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムである。
また、ルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。
ここで、希土類元素含有化合物又は該希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有しないことが好ましい。希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物が希土類元素−炭素結合を有さない場合、反応物が安定であり、取り扱いが容易である。
なお、上記(A2)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、(A2)成分は、一般式(XVI)
M−(AQ1)(AQ2)(AQ3) ・・・(XVI)
(式中、Mは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し;AQ1、AQ2及びAQ3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい官能基であり、ここで、Aは、窒素、酸素又は硫黄からなる群から選択される少なくとも1種を表し;但し、少なくとも1つのM−A結合を有する)
で表される化合物であることが好ましい。
なお、ランタノイド元素とは、具体的には、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムである。
上記化合物によれば、反応系における触媒活性を向上させることができ、反応時間を短くし、反応温度を高くすることが可能となる。
上記一般式(XVI)中のMとしては、特に、触媒活性及び反応制御性を高める観点から、ガドリニウムが好ましい。
上記一般式(XVI)中のAが窒素である場合、AQ1、AQ2、及びAQ3(即ち、NQ1、NQ2、及びNQ3)で表される官能基としては、アミノ基等が挙げられる。そして、この場合、3つのM−N結合を有する。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;フェニルアミノ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミノ基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミノ基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミノ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミノ基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基;ビストリメチルシリルアミノ基等のビストリアルキルシリルアミノ基が挙げられ、特に、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素に対する溶解性の観点から、ビストリメチルシリルアミノ基が好ましい。上記アミノ基は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記構成によれば、(A2)成分を3つのM−N結合を有する化合物とすることができ、各結合が化学的に等価となり、化合物の構造が安定となるため、取り扱いが容易となる。
また、上記構成とすれば、反応系における触媒活性を更に向上させることができる。そのため、反応時間を更に短くし、反応温度を更に高くすることができる。
上記一般式(XVI)中のAが酸素である場合、一般式(XVI)で表される(A2)成分としては、特に制限されないが、例えば、下記一般式(XVII)
(RO)3M・・・(XVII)
で表される希土類アルコラート、
下記一般式(XVIII)
(R−CO23M・・・(XVIII)
で表される希土類カルボキシレート等が挙げられる。ここで、上記一般式(XVII)及び(XVIII)中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基である。
なお、(A2)成分としては、希土類元素と炭素との結合を有しないことが好ましいため、上述した一般式(XVII)で表される化合物又は一般式(XVIII)で表される化合物を好適に使用できる。
上記一般式(XVI)中のAが硫黄である場合、一般式(XVI)で表される(A2)成分としては、特に制限されないが、例えば、下記一般式(XIX)
(RS)3M・・・(XIX)
で表される希土類アルキルチオラート、
下記一般式(XX)
(R−CS23M・・・(XX)
で表される化合物等が挙げられる。ここで、上記一般式(XIX)及び(XX)中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基である。
なお、(A2)成分としては、希土類元素と炭素との結合を有しないことが好ましいため、上述した化合物(XIX)又は化合物(XX)を好適に使用できる。
(B2)成分は、置換又は無置換のシクロペンタジエン、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び置換又は無置換のフルオレンよりなる群から選択される化合物である。
上記(B2)成分の化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
置換シクロペンタジエンとしては、例えば、ペンタメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、トリメチルシリル−テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられる。
置換又は無置換のインデンとしては、例えば、インデン、2−フェニル−1H−インデン、3−ベンジル−1H−インデン、3−メチル−2−フェニル−1H−インデン、3−ベンジル−2−フェニル−1H−インデン、1−ベンジル−1H−インデン等が挙げられ、特に、分子量分布を小さくする観点から、3−ベンジル−1H−インデン、1−ベンジル−1H−インデンが好ましい。
置換フルオレンとしては、例えば、トリメチルシリルフルオレン、イソプロピルフルオレン等が挙げられる。
上記構成によれば、シクロペンタジエン骨格を有する化合物が具える共役電子を増加させることができ、反応系における触媒活性を更に向上させることができる。そのため、反応時間を更に短くし、反応温度を更に高くすることができる。
有機金属化合物((C2)成分)は、一般式(XXI):
YR4 a5 b6 c ・・・(XXI)
(式中、Yは、周期律表の第1族、第2族、第12族及び第13族の元素からなる群から選択される金属元素であり、R4及びR5は炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は水素原子であり、R6は炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、但し、R4、R5及びR6はそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、また、Yが第1族の金属元素である場合には、aは1であり且つb及びcは0であり、Yが第2族又は第12族の金属元素である場合には、a及びbは1であり且つcは0であり、Yが第13族の金属元素である場合には、a,b及びcは1である)で表される化合物である。
ここで、触媒活性を高める観点から、一般式(XXI)において、R1、R2及びR3は少なくとも1つが異なっていることが好ましい。
詳細には、(C2)成分は、一般式(XXII):
AlR789 ・・・(XXII)
(式中、R7及びR8は、炭素数1〜10の一価の炭化水素基又は水素原子であり、R9は、炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、R7、R8及びR9は、同一であっても異なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましく、水素化ジイソブチルアルミニウムがより好ましい。
上記有機アルミニウム化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルミノキサン化合物((D2)成分)は、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物である。
(D2)成分を用いることによって、重合反応系における触媒活性を更に向上させることができる。そのため、反応時間を更に短くし、反応温度を更に高くすることができる。
ここで、有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、及びその混合物等が挙げられ、特に、トリメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物が好ましい。
縮合剤としては、例えば、水等が挙げられる。
(D2)成分としては、例えば、一般式(XXIII):
−(Al(R10)O)n− ・・・(XXIII)
(式中、R10は、炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、ここで、炭化水素基の一部はハロゲン及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく;R10は、繰り返し単位間で同一であっても異なっていてもよく;nは5以上である)で表されるアルミノキサンを挙げることができる。
上記アルミノキサンの分子構造は、直鎖状であっても環状であってもよい。
一般式(XXIII)中のnは、10以上であることが好ましい。
また、一般式(XXIII)中のR10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、特に、メチル基が好ましい。上記炭化水素基は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。R10の炭化水素基としては、メチル基とイソブチル基との組み合わせが好ましい。
上記アルミノキサンは、脂肪族炭化水素に高い溶解性を有することが好ましく、芳香族炭化水素に低い溶解性を有することが好ましい。例えば、ヘキサン溶液として市販されているアルミノキサンが好ましい。
ここで、脂肪族炭化水素とは、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
(D2)成分は、特に、一般式(XXIV):
−(Al(CH3x(i−C49yO)m− ・・・(XXIV)
(式中、x+yは1であり;mは5以上である)で表される修飾アルミノキサン(以下、「TMAO」ともいう)としてよい。TMAOとしては、例えば、東ソー・ファインケム(株)製の製品名:TMAO341が挙げられる。
また、(D2)成分は、特に、一般式(XXV):
−(Al(CH30.7(i−C490.3O)k− ・・・(XXV)
(式中、kは5以上である)で表される修飾アルミノキサン(以下、「MMAO」ともいう)としてよい。MMAOとしては、例えば、東ソー・ファインケム(株)製の製品名:MMAO−3Aが挙げられる。
更に、(D2)成分は、特に、一般式(XXVI):
−[(CH3)AlO]i− ・・・(XXVI)
(式中、iは5以上である)で表される修飾アルミノキサン(以下、「PMAO」ともいう)としてよい。PMAOとしては、例えば、東ソー・ファインケム(株)製の製品名:TMAO−211が挙げられる。
(D2)成分は、触媒活性を向上させる効果を高める観点から、上記MMAO、TMAO、PMAOのうち、MMAO又はTMAOであることが好ましく、触媒活性を向上させる効果を更に高める観点から、TMAOであることがより好ましい。
ハロゲン化合物((E2)成分)は、ルイス酸であるハロゲン含有化合物(以下、「(E2−1)成分」ともいう)、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物(以下、「(E2−2)成分」ともいう)、及び活性ハロゲンを含む有機化合物(以下、「(E2−3)成分」ともいう)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
これらの化合物は、(A2)成分、即ち、M−N結合を有する、希土類元素含有化合物又は該希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物と反応して、カチオン性遷移金属化合物、ハロゲン化遷移金属化合物、及び/又は遷移金属中心において電子が不足した状態の遷移金属化合物を生成する。
(E2)成分を用いることによって、共重合体のシス−1,4結合含量を向上させることができる。
(E2−1)成分としては、例えば、第3族、第4族、第5族、第6族、第8族、第13族、第14族又は第15族の元素を含むハロゲン含有化合物等が挙げられ、特に、アルミニウムのハロゲン化物又は有機金属のハロゲン化物が好ましい。
ルイス酸であるハロゲン含有化合物としては、例えば、四塩化チタン、六塩化タングステン、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、アルミニウムトリブロマイド、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ジブチル錫ジクロライド、四塩化錫、三塩化リン、五塩化リン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等が挙げられ、特に、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイドが好ましい。
ハロゲンとしては、塩素又は臭素が好ましい。
上記ルイス酸であるハロゲン含有化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E2−2)成分に用いられる金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化亜鉛、塩化マンガン、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化マンガン、塩化銅がより好ましい。
(E2−2)成分に用いられるルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコールが好ましい。
例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチルヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、特に、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基のモル数は、上記金属ハロゲン化物1モルに対して、好ましくは0.01〜30モル、より好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物((E2−2)成分)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E2−3)成分としては、例えば、ベンジルクロライド等が挙げられる。
以下、第四の重合触媒組成物の各成分間の質量割合について記載する。
(B2)成分(置換又は無置換のシクロペンタジエン、置換又は無置換のインデン、及び置換又は無置換のフルオレンよりなる群から選択される化合物)の(A2)成分(希土類元素化合物)に対するモルにおける割合は、触媒活性を十分に得る観点から、0超であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1以上であることが更に好ましく、触媒活性の低下を抑制する観点から、3以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.2以下であることが更に好ましい。
(C2)成分(有機金属化合物)の(A2)成分に対するモルにおける割合は、反応系における触媒活性を向上させる観点から、1以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、反応系における触媒活性の低下を抑制する観点から、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、具体的には、約10であることが更に好ましい。
(D2)成分(アルミノキサン)中のアルミニウムの、(A2)成分中の希土類元素に対するモルにおける割合は、反応系における触媒活性を向上させる観点から、10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、反応系における触媒活性の低下を抑制する観点から、1,000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましい。
(E2)成分(ハロゲン化合物)の(A2)成分に対するモルにおける割合は、触媒活性を向上させる観点から、0以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましく、(E2)成分の溶解性を保持し、触媒活性の低下を抑制する観点から、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
そのため、上記範囲によれば、共重合体のシス−1,4結合含量を向上させる効果を高めることができる。
なお、第四の重合触媒組成物は、非配位性アニオン(例えば、4価のホウ素アニオン等)とカチオン(例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等)とからなるイオン性化合物を含まないことが好ましい。ここで、イオン性化合物は、芳香族炭化水素に高い溶解性を有し、炭化水素に低い溶解性を有する。そのため、イオン性化合物を含まない重合触媒組成物とすれば、環境負荷及び製造コストを更に低減させつつ、共重合体を製造することができる。
なお、「イオン性化合物を含まない」とは、重合触媒組成物に含まれるイオン性化合物の割合が0.01質量%未満であることを意味する。
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分(a)における多元共重合体(a2)の割合が5〜40質量%である。上記割合が5質量%未満であると、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を十分に向上させることができない。一方、上記割合が40質量%を超えると、全体としてバランスのよい剛性がもたらされない。同様の観点から、ゴム成分(a)における多元共重合体(a2)の割合は、20質量%以上であることがより好ましい。
(その他のゴム成分)
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分(a)として、上述したハイビニルジエン系重合体(a1)及び多元共重合体(a2)以外のその他のゴム成分を含有してもよい。その他のゴム成分としては、特に制限はなく、例えば、非ジエン系重合体;上述したようなジエン系重合体であって、ビニル結合含量が20質量%未満であるジエン系重合体;等が挙げられる。これらその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、本実施形態のゴム組成物は、所望の効果を十分に得る観点から、上述したハイビニルジエン系重合体(a1)及び多元共重合体(a2)以外のその他のゴム成分を含有しないことが好ましい。
(架橋剤(b))
本実施形態のゴム組成物は、架橋剤(b)を含有することができる。架橋剤(b)としては、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤等が挙げられる。特に、架橋剤(b)としては、ハイビニルジエン系重合体(a1)との反応性の観点から、硫黄系架橋剤(加硫剤)を用いることが好ましく、硫黄を用いることがより好ましい。
架橋剤(b)の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分(a)100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましい。架橋剤の含有量が0.1質量部以上であることにより、より確実に架橋を進行させることができ、また、20質量部以下であることにより、一部の架橋剤による混練り中の過剰な架橋を抑制することができる。
(その他の成分)
また、本実施形態のゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、充填剤、架橋促進剤(加硫促進剤)、架橋促進助剤(加硫促進助剤)、老化防止剤、亜鉛華(ZnO)、ワックス類、酸化防止剤、発泡剤、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、石油系樹脂、紫外線吸収剤、分散剤、相溶化剤、均質化剤等の成分を、適宜含有することができる。
充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、シリカ及びカーボンブラックから選択される1種以上を含むことが好ましい。
なお、カーボンブラックとしては、特に制限されず、例えば、SAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPF、SRF、CF、FT、MTグレードのカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカとしては、特に制限されず、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。シリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本実施形態のゴム組成物は、充填剤としてシリカを含有する場合には、当該シリカの配合効果を向上させるために、シランカップリング剤を更に含有することが好ましい。
本実施形態のゴム組成物における上記充填剤の含有量は、ゴム成分(a)100質量部に対して、10〜100質量部であることが好ましい。上記含有量が10質量部以上であることにより、耐摩耗性及び耐亀裂成長性の向上効果を得ることができ、また、100質量部以下であることにより、耐摩耗性及び耐亀裂成長性の悪化を十分に抑制することができる。
(ゴム組成物の製造)
本実施形態のゴム組成物の製造方法としては、特に制限されず、例えば、常法に従って上述した各成分を配合して混練することにより、本実施形態のゴム組成物を得ることができる。なお、配合及び混練に際しては、全ての成分を一度に配合して混練してもよく、2段階又は3段階等の多段階に分けて各成分を配合して混練してもよい。なお、混練に際しては、ロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。更に、ゴム組成物をシート状や帯状等に成形する際には、押出成形機、プレス機等の公知の成形機を用いることができる。
また、本実施形態のゴム組成物は、架橋して製造してもよい。架橋条件としては、特に制限されず、通常は140〜180℃の温度、及び5〜120分間の時間を採用することができる。
本実施形態のゴム組成物は、後述するタイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホース等の、各種ゴム物品に利用することができる。
(2)タイヤ
本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のタイヤは、上述したゴム組成物を用いているため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる。
一実施形態において、タイヤは、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラー等の部位を備える。そして、一実施形態においては、上述したゴム組成物を、上述した部位の少なくともいずれかに用いることができる。特には、上述したゴム組成物を、トレッドに好適に用いることができる。
上記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴム組成物及び/又はコードからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
(3)コンベヤベルト
本発明のコンベヤベルトは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のコンベヤベルトは、上述したゴム組成物を用いているため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる。
一実施形態において、コンベヤベルトは、スチールコード等からなる補強材の下側の、駆動プーリー、従動プーリー、保形ローター等と接触する内周側の表層ゴム(下面カバーゴム)、及び、補強材の上側の、輸送物品と接触する外周側の表層ゴム(上面カバーゴム)を備える。そして、一実施形態においては、上述したゴム組成物を、上述した部位の少なくともいずれかに用いることができる。
本発明のコンベヤベルトは、例えば、上述のゴム組成物からなるシートで補強材を挟み込んだ後、このゴム組成物を加熱圧着して加硫させて、補強材にゴム組成物の接着及び被覆を行うことで、製造することができる。
(4)ゴムクローラ
本発明のゴムクローラは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のゴムクローラは、上述したゴム組成物を用いているため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる。
一実施形態において、ゴムクローラは、スチールコードと、該スチールコードを被覆する中間ゴム層と、該中間ゴム層の上に配置された芯金と、前記中間ゴム層と芯金とを囲む本体ゴム層とを具え、更に、本体ゴム層の接地面側に複数のラグを有している。そして、一実施形態においては、上述したゴム組成物を、上述した部位の少なくともいずれかに用いることができる。特には、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れるため、上述したゴム組成物を、本体ゴム層、特には、ラグに好適に用いることができる。
(5)防振装置
本発明の防振装置は、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明の防振装置は、上述したゴム組成物を用いているため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる。
防振装置の種類としては、特に限定されず、例えば、エンジンマウント、トーショナルダンパー、ラバーブッシュ、ストラットマウント、バウンドバンパー、ヘルパーラバー、メンバマウント、スタビブッシュ、空気ばね、センターサポート、ゴム入りプロペラシャフト、防振レバー、コンパニヨンダンパー、ダンピングラバー、アイドラーアームブッシュ、ステアリングコラムブッシュ、カップリングラバー、ボデーマウント、マフラーサポート、ダイナミックダンパー、パイピングラバー等が挙げられる。
(6)免震装置
本発明の免震装置は、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明の免震装置は、上述したゴム組成物を用いているため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる。
一実施形態において、免震装置は、軟質層と硬質層とが交互に積層された積層体、及び、当該積層体の中心に形成された中空部に圧入されるプラグを備える。そして、一実施形態においては、上述したゴム組成物を、軟質層及びプラグの少なくともいずれかに用いることができる。
(7)ホース
本発明のホースは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。かかる本発明のホースは、上述したゴム組成物を用いているため、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる。
一実施形態において、ホースは、径方向内側に位置する内面ゴム層(内管ゴム)と、径方向外側に位置する外面ゴム層と、必要に応じて上記内面ゴム層及び上記外面ゴム層の間に位置する補強層とを備える。そして、一実施形態においては、上述したゴム組成物を、内面ゴム層及び外面ゴム層の少なくともいずれかに用いることができる。また、上述したゴム組成物は、単一ゴム層からなるホースに用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<共重合体A(多元共重合体)の製造>
十分に乾燥した1,000mL耐圧ステンレス反応器に、芳香族ビニル化合物としてのスチレン160g及びトルエン600mLを加えた。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3−tert−ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体(1,3−[(t−Bu)Me2Si]295Gd[N(SiHMe222)0.25mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C654]0.275mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.1mmolを仕込み、トルエン40mLを加えて触媒溶液を得た。
得られた触媒溶液を、上記の耐圧ステンレス反応器に加え、70℃に加温した。
次いで、上記の耐圧ステンレス反応器に、非共役オレフィン化合物としてのエチレンを圧力1.5MPaで投入し、更に、共役ジエン化合物としての1,3−ブタジエン20gを含むトルエン溶液80mLを8時間かけて投入し、70℃で計8.5時間共重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて重合反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体A(多元共重合体)を得た。
得られた共重合体Aについて、JIS K 7121−1987に準拠した示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)で、融点、ガラス転移温度、0〜120℃での吸熱ピークのエネルギーを測定した。なお、吸熱ピークのエネルギーの測定に関し、具体的には、まず、10℃/分の昇温速度で−150℃から150℃まで昇温し、その時(1st run)の0〜120℃における吸熱ピーク(エンタルピー緩和)を求めることにより、吸熱ピークのエネルギーを測定した。その結果、融点は63℃であり、ガラス転移温度は−28℃であり、吸熱ピークのエネルギーは36.1J/gであった。
更に、100%結晶成分からなるポリエチレンの結晶融解エネルギーと、DSCで測定した共重合体Aの融解ピークエネルギーとの比率から、共重合体Aの結晶化度を求めたところ、12.3%と算出された。
更に、得られた共重合体Aについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、ポリスチレン換算の分子量を求めたところ、数平均分子量(Mn)が163,000であり、重量平均分子量(Mw)が399,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.4であった。
更に、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より、共重合体Aは、ブタジエン単位の割合が14molであり、エチレン単位の割合が69mol%であり、スチレン単位の割合が17mol%であることが確認された。
更に、共重合体Aの13C−NMRスペクトルチャートでは、10〜24ppmにピークが観測されなかったことから、共重合体Aは、主鎖が非環状構造のみからなることが確認された。
<ゴム組成物の調製及び評価>
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて比較例A及び実施例1のゴム組成物を製造した。表1、表2に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて比較例A及び実施例1以外の例のゴム組成物を製造する。なお、実施例1のゴム組成物について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、共役ジエン系重合体が連続相を構成し、多元共重合体が分散相を構成していることを確認した。実施例1以外の実施例のゴム組成物について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、共役ジエン系重合体が連続相を構成し、多元共重合体が分散相を構成していることを確認する。また、実施例1のゴム組成物について、(1)目視、(2)動的粘弾性カーブ、(3)走査型電子顕微鏡(SEM)により総合的に判断した結果、ハイビニルジエン系重合体(a1)と多元共重合体(a2)とが、互いに非相溶性又は半相溶性を有していることを確認した。実施例1以外の実施例のゴム組成物について、(1)目視、(2)動的粘弾性カーブ、(3)走査型電子顕微鏡(SEM)により総合的に判断し、ハイビニルジエン系重合体(a1)と多元共重合体(a2)とが、互いに非相溶性又は半相溶性を有していることを確認する。
比較例A及び実施例1のゴム組成物を用いて、下記の方法で、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を評価した。また、比較例A及び実施例1以外の例のゴム組成物を用いて、下記の方法で、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を評価する。結果を表1、表2に示す。
(1)耐摩耗性
比較例A及び実施例1のゴム組成物につき、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%で摩耗量を測定した。比較例A及び実施例1以外の例のゴム組成物につき、ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%で摩耗量を測定する。
測定値の逆数を用い、表1に示すカーボンブラックを用いた例においては、比較例Aを100としたときの指数で表示し、表2に示すシリカを用いた例においては、比較例Bを100として、測定値を指数化する。この指数値が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(2)耐亀裂成長性
比較例A及び実施例1のゴム組成物から、JIS3号試験片を作製した。次いで、この試験片の中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温で0〜100%の一定ひずみで繰返し疲労を与え、試験片が切断するまでの回数を測定した。比較例A及び実施例1以外の例のゴム組成物から、JIS3号試験片を作製する。次いで、この試験片の中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温で0〜100%の一定ひずみで繰返し疲労を与え、試験片が切断するまでの回数を測定する。
表1に示すカーボンブラックを用いた例においては、比較例Aを100としたときの指数で表示し、表2に示すシリカを用いた例においては、比較例Bを100として、測定値を指数化する。この指数値が大きいほど、耐亀裂成長性に優れることを示す。
Figure 2019163230
Figure 2019163230
*1 重合体B:ポリブタジエン、旭化成株式会社製、商品名「NF35」、ビニル結合含量:12質量%、芳香族ビニル結合含量:0質量%
*2 重合体C:ポリブタジエン、バイエル製、商品名「BUNA Vi 70−0 HM」、ビニル結合含量:70質量%、芳香族ビニル結合含量:0質量%
*3 重合体D:スチレン−ブタジエン共重合体、JSR株式会社製、商品名「#1500」、ガラス転移温度=−60℃、スチレン含有量=24質量%、ビニル結合含量=19質量%
*4 カーボンブラック:HAFカーボン、旭カーボン株式会社製、商品名「#70」
*5 シリカ:東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニプシールAQ(登録商標)」
*6 シランカップリング剤:ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド、Evonik社製、商品名「Si75(登録商標)」、平均硫黄鎖長:2.35
*7 軟化剤:プロセスオイル
*8 老化防止剤6PPD:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C(登録商標)」
*9 ワックス:精工化学株式会社製、商品名「サンタイト(登録商標)」
*10 加硫促進剤MBTS:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーDM」
*11 加硫促進剤TBBS:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
*12 加硫促進剤DPG:1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD」
表1、表2から、本発明に従う実施例のゴム組成物を用いることで、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れるゴム物品を作製することができることが分かる。
本発明によれば、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れるゴム物品を作製することができるゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、耐摩耗性及び耐亀裂成長性に優れる、タイヤ、コンベヤベルト、ゴムクローラ、防振装置、免震装置及びホースを提供することができる。

Claims (20)

  1. 重合体中のビニル結合含量が20〜100質量%であるジエン系重合体(a1)、及び、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体(a2)を含むゴム成分(a)を含有し、
    前記ゴム成分(a)における前記多元共重合体(a2)の割合が5〜40質量%である、ことを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記多元共重合体(a2)は、
    前記共役ジエン単位の割合が1〜50mol%であり、
    前記非共役オレフィン単位の割合が40〜97mol%であり、且つ
    前記芳香族ビニル単位の割合が2〜35mol%である、
    請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ジエン系重合体(a1)と前記多元共重合体(a2)とが、互いに非相溶性又は半相溶性を有する、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ジエン系重合体(a1)が連続相を構成し、前記多元共重合体(a2)が分散相を構成する、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記ジエン系重合体(a1)は、芳香族ビニル単位の割合が0〜20質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記ジエン系重合体(a1)が、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. 前記多元共重合体(a2)は、示差走査熱計(DSC)で測定した融点が30〜130℃である、請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 前記多元共重合体(a2)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した0〜120℃における吸熱ピークのエネルギーが10〜150J/gである、請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 前記多元共重合体(a2)は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が0℃以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
  10. 前記多元共重合体(a2)は、結晶化度が0.5〜50%である、請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物。
  11. 前記多元共重合体(a2)は、前記非共役オレフィン単位が環状構造を有しない、請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
  12. 前記多元共重合体(a2)は、前記非共役オレフィン単位がエチレン単位のみからなる、請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
  13. 前記多元共重合体(a2)は、前記芳香族ビニル単位がスチレン単位を含む、請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物。
  14. 前記多元共重合体(a2)は、前記共役ジエン単位が、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位の少なくともいずれかを含む、請求項1〜13のいずれかに記載のゴム組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、コンベヤベルト。
  17. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、ゴムクローラ。
  18. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、防振装置。
  19. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、免震装置。
  20. 請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、ホース。
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