以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図1を参照して、本実施形態に係る車両制御装置の構成を説明する。車両制御装置は、物体検出装置1と、自車位置推定装置2と、地図取得装置3と、マイクロコンピュータ5とを有している。
車両制御装置は、自動運転機能を有する車両に適用されている。しかしながら、車両制御装置は、自動運転と手動運転とを切り替えることが可能な車両に適用されてもよい。また、車両制御装置は、自動運転機能を有しない車両に適用されてもよい。以下、車両制御装置が適用された車両を自車両という。
自動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどのアクチュエータのうち、少なくとも一つのアクチュエータが乗員の操作なしに制御されている状態のことを指す。そのため、その他のアクチュエータが乗員の操作により作動していたとしても構わない。また、自動運転とは、加減速制御、横位置制御などのいずれかの制御が実行されている状態であればよい。また、本実施形態における手動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングを乗員が操作している状態のことを指す。
物体検出装置1は、自車両に搭載された、レーザレーダ、ミリ波レーダ、カメラなどの複数の物体検出センサを備える。物体検出装置1は、複数の物体検出センサを用いて自車両周囲の物体を検出する。物体検出装置1は、他車両、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び駐車車両、建物を含む静止物体を検出する。例えば、物体検出装置1は、移動物体及び静止物体の自車両に対する位置、姿勢(ヨー角)、大きさ、速度、加速度、減速度、ヨーレートを検出する。
自車位置推定装置2は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)、オドメトリなどの位置推定技術を利用して、自車両の絶対位置を計測する。自車位置推定装置2は、位置検出センサを用いて、自車両の絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する自車両の位置、車速、加速度、操舵角、姿勢を計測する。自車位置推定装置2には、GPS受信器、慣性航法装置、ブレーキペダルやアクセルペダルに設けられたセンサ、車輪速センサやヨーレートセンサなど車両の挙動を取得するセンサ、レーザレーダ、カメラなどが含まれている。
地図取得装置3は、自車両が走行する道路の構造を示す地図情報を取得する。地図取得装置3が取得する地図情報には、車線の絶対位置、車線の接続関係、相対位置関係などの道路構造の情報、交通規則、道路標識などが含まれる。また、地図取得装置3が取得する地図情報には、道路脇の私有地である駐車場、ガソリンスタンドなどの施設情報も含まれる。地図取得装置3は、地図情報を格納した地図データベースを所有してもよいし、クラウドコンピューティングにより地図情報を外部の地図データサーバから取得してもよい。また、地図取得装置3は、車車間通信、路車間通信を用いて地図情報を取得してもよい。
マイクロコンピュータ5は、物体検出装置1の検出結果、自車位置推定装置2による推定結果、及び地図取得装置3の取得結果に基づいて、自車両の周囲の物体の挙動を予測する。また、マイクロコンピュータ5は、予測した物体の挙動に基づいて、自車両の走行状態を制御する。
マイクロコンピュータ5は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、車両制御装置として機能させるためのコンピュータプログラム(挙動予測プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、車両制御装置が備える複数の情報処理回路として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって車両制御装置が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
マイクロコンピュータ5は、複数の情報処理回路として、検出統合部6と、物体追跡部7と、地図内位置推定部8と、挙動予測部10と、車両制御部17とを備えている。
検出統合部6は、物体検出装置1が備える複数の物体検出センサの各々から得られた複数の検出結果を統合して、各物体に対して一つの検出結果を出力する。具体的には、物体検出センサの各々から得られた物体の挙動から、各物体検出センサの誤差特性などを考慮した上で最も誤差が少なくなる合理的な物体の挙動を算出する。具体的には、既知のセンサ・フュージョン技術を用いることにより、複数の物体検出センサで取得した検出結果を総合的に評価して、より正確な検出結果を得る。
物体追跡部7は、検出統合部6によって検出された物体を追跡する。具体的に、物体追跡部7は、異なる時刻に出力された物体の挙動から、異なる時刻間における物体の同一性の検証(対応付け)を行い、かつ、その対応付けを基づいて物体を追跡する。
地図内位置推定部8は、自車位置推定装置2により得られた自車両の絶対位置、及び地図取得装置3により取得された地図情報から、地図上における自車両の位置を推定する。具体的には、地図内位置推定部8は、自車両が地図上のどの車線を走行しているかを推定する。
挙動予測部10は、自車両の周囲の物体、具体的には、他車両、他車両以外の移動体(歩行者など)の挙動を予測する。また、挙動予測部10は、予測した挙動に基づいて、各種の処理を行う。挙動予測部10は、車線判定部11と、進路予測部12と、第1進路比較部13と、第2進路比較部14と、前方情報取得部15と、判断部16とを有している。
車線判定部11は、他車両が地図上のどの車線に位置しているのかを判定する。また、車線判定部11は、歩行者が地図上のどの位置(歩道、交差点の周囲)にいるのかを判定する。車線判定部11は、検出統合部6及び物体追跡部7で得られた物体の追跡結果と、地図内位置推定部8において得られた地図上での自車両の位置(車線)とに基づいて判定を行う。
本実施形態において、他車両には、自車両が走行する自車線において自車両の後方(自車両からみて後方)を走行する後続車両、及び自車線において自車両の前方(自車両からみて前方)を走行する先行車両、並びに、対向車線を走行する対向車両が含まれる。
進路予測部12は、物体の進路を予測する。物体の進路は、検出統合部6及び物体追跡部7で得られた物体の追跡結果、車線判定部11で判定された他車両の位置(車線)、他車両の方向指示器の点灯状態などに基づいて予測される。
第1進路比較部13は、自車両の進路と他車両の進路とを比較する。具体的には、第1進路比較部13は、自車両の進路と対向車両の進路とを比較する。これにより、第1進路比較部13は、自車両の進路と対向車両の進路とが交わるか否かを判断することができる。また、第1進路比較部13は、自車両の進路と後続車両の進路を比較する。これにより、第1進路比較部13は、自車両の進路と後続車両の進路とが異なるか否かを判断することができる。
第2進路比較部14は、物体同士の進路を比較する。これにより、第2進路比較部14は、物体同士の進路が交わるか否かを判断することができる。
前方情報取得部15は、自車両の前方に存在するスペースの情報として取得する。スペースの情報は、検出統合部6及び物体追跡部7で得られた物体の追跡結果、車線判定部11で判定された他車両の位置(車線)などに基づいて取得される。
判断部16は、車線判定部11、進路予測部12、第1進路比較部13、第2進路比較部14、及び前方情報取得部15の各演算結果に基づいて、自車両が対向車両に対して進路を譲るか否かを判断する。自車両が対向車両に対して進路を譲るとは、自車両の進路と対向車両の進路とが交差する場合に、自車両が進路に沿って走行する行為よりも他車両が進路に沿って走行する行為を優先させることをいう。また別な言い方をすれば、自車両が対向車両に対して進路を譲るとは、自車両前方のスペースに対向車両が進入することを許容することでもある。
車両制御部17は、対向車両に対して進路を譲るための車両制御を自車両に対して行う。この場合、車両制御部17は、挙動予測部10の判断結果に基づいて、車両制御を行うか否かを決定する。
なお、車両制御装置は、図示しない通信装置を備えていてもよい。この場合、挙動予測部10は、路車間通信を用いて自車両の周囲の情報(道路構造、物体の状況など)を取得してもよい。また、挙動予測部10は、車車間通信を用いて他車両の情報(他車両の位置、他車両の進路、他車両の方向指示器の点灯状態など)を取得してもよい。
つぎに、図2を参照し、本実施形態に係る車両制御方法の処理の流れを説明する。この処理は、イグニッションスイッチ(IGN)のオンをトリガーとして呼び出され、マイクロコンピュータ5によって実行される。なお、自車両が電気自動車である場合、イグニッションスイッチの代わりに、パワースイッチのオンをトリガーとすればよい。
以下の説明では、図3、図4、図6から図16に示すように、自車両Vaが交差点を通過する状況を例に挙げる。自車線L1は、自車両Vaが走行する車線であり、対向車線L2は、自車線L1に対して隣接し、自車線L1に対して進行方向が対向する車線である。自車両Vaの周囲の他車両には、自車線L1において自車両Vaの後方を走行する後続車両、及び自車線L1において自車両Vaの前方を走行する先行車両が含まれる。また、他車両には、対向車線L2を走行する対向車両が含まれる。図3、図4、図6から図16において、対向車線L2には3台の対向車両が示されている。これらの対向車両は、自車両Vaの前方に存在している。
ステップS10において、検出統合部6は、物体検出装置1から、自車両周囲の物体の情報を取得する。物体情報が取得されると、検出統合部6は、物体情報に基づいて物体の挙動を算出する。また、物体追跡部7は、検出統合部6によって検出された物体を追跡する。
ステップS11において、地図内位置推定部8は、地図取得装置3から地図情報を取得する。
ステップS12において、地図内位置推定部8は、自車位置推定装置2から自車両の位置情報を取得する。
これらの情報が取得されると、地図内位置推定部8は、地図上における自車両の位置(車線)を推定する。車線判定部11は、他車両が地図上のどの車線に属しているかを判定する。また、車線判定部11は、歩行者が地図上のどの位置にいるのかを判定する。
ステップS13において、進路予測部12は、他車両の進路を予測する。進路予測部12は、車線内における他車両の位置、他車両の減速度合、他車両の方向指示器の点灯状態などに基づいて、他車両の進路を予測する。自車両の周囲に複数の他車両が存在する場合、進路予測部12は、複数の他車両毎に進路を予測する。
例えば、他車両が車線内の中央に位置している場合、他車両は直進する傾向が高く、他車両が車線内の片方に寄っている場合には、他車両は寄っている方向へと曲がる可能性がある。また、他車両が加速している又は等速で走行している場合、他車両は直進する傾向が高く、他車両が減速している場合には、他車両は左右のどちらかへと曲がる可能性がある。同様に、他車両が左右どちらの方向指示器も点灯していない場合、他車両は直進することが予想され、他車両が左右どちらかの方向指示器を点灯している場合には、他車両は方向指示器の点灯する方向へと曲がることが予想される。
進路予測部12は、このような傾向を考慮して、車線内における他車両の位置、他車両の減速度合、他車両の方向指示器の点灯状態を判断要素として、他車両の進路を予測する。また、進路予測部12は、これらの判断要素のうち、1つの判断要素のみを用いて進路を予測してもいいし、複数の判断要素を組み合わせて進路を予測してもよい。
進路予測部12は、自車両の周囲を撮像するカメラなどを用いることで、他車両の方向指示器の状態を検出することができる。具体的には、例えば、進路予測部12は、自車両の周囲を撮像するカメラによって撮像した周囲画像から、ウインカーの点滅周期相当の所定周期で明度が増減変化する画素の存在の有無を判定することによってウインカーの点灯状態を検出することができる。また、進路予測部12は、ウインカーの点灯状態を検出した際には、周囲画像において、他車両に対応した画素位置と、方向指示器の画素位置とをそれぞれ特定する。これにより、進路予測部12は、方向指示器の点灯方向(他車両の左右いずれかの方向指示器が点灯しているのか)を検出することができる。
また、ステップS13において、進路予測部12は、他車両以外の移動体(歩行者など)の進路も予測する。
ステップS14において、判断部16は、対向車線L2を走行する対向車両を特定する。演算負荷の軽減を図るため、判断部16は、自車両Vaの前方に存在する全ての範囲を対象とせずに、自車両Vaから所定の距離までの限られた範囲の中で対向車両を特定することが好ましい。
ステップS15において、判断部16は、特定した対向車両の中で、第1対向車両Vbが存在するか否かを判断する。以下に示す判定条件が満たされる対向車両が、第1対向車両Vbに該当する。判定条件は、第1条件及び第2条件を含む。第1条件と第2条件との両方が満たされる場合に、判定条件が満たされると判断される。一方、第1条件と第2条件との一方又は両方が満たされない場合には、判定条件が満たされないと判断される。ここで、図3では、3台の対向車両のうち先頭を走行する対向車両が第1対向車両Vbである状況が示されている。第1対向車両Vbについて予測される進路Cbは、第1対向車両Vbからみて交差点において右折する進路である。
第1条件は、対向車両の速度が停止状態を判定するための判定速度以下であることである。ここで、停止状態とは、対向車両が完全に停止している状態のみをいうのではなく、停止していると見なせる状況、例えば停止としている状況に相当する低速状態も含む。判断部16は、対向車両の速度と、判定速度とを比較することで、第1条件が満たされるか否かを判断する。対向車両の速度が判定速度以下である場合、すなわち、対向車両の速度がゼロ又は低速状態である場合、判断部16は、第1条件を満たすと判断する。対向車両の速度が判定速度よりも大きい場合、判断部16は、第1条件を満たさないと判断する。
第2条件は、対向車両について予測される進路Cbが自車両Vaの進路Caに対して交わることである。自車両Vaの進路Caは、例えば外部装置によって作成された経路情報から特定することができる。第1進路比較部13は、第1対向車両Vbについて予測される進路Cbと自車両Vaの進路Caとを比較する。判断部16は、第1進路比較部13の比較結果を参照し、第2条件が満たされるか否かを判断する。
自車両Vaの進路Caは、自車線L1を直進する進路である。交差点において対向車両が右折する場合には、対向車両について予測される進路と自車両Vaの進路Caとが交わる。よって、判断部16は、第2条件を満たすと判断する。一方、交差点において対向車両が直進する場合、又は交差点において対向車両が左折する場合には、対向車両について予測される進路と自車両Vaの進路Caとが交わらない。よって、判断部16は、第2条件を満たさないと判断する。
判定条件が満たされる場合、すなわち、第1対向車両Vbが存在する場合には、ステップS15において肯定判定され、ステップS16の処理に進む。一方、判定条件が満たされない場合には、すなわち、第1対向車両Vbが存在しない場合には、ステップS15において否定判定され、ステップS10に戻る。
ステップS16において、判断部16は、第1対向車両Vbの進路Cbに基づいて、第1対向車両Vbの走行を妨げる対象物が存在するか否かを判断する。すなわち、判断部16は、第1対向車両Vbが進路Cbを走行した場合に、第1対向車両Vbを減速させたり、停止させたりする要因となる対象物を特定する。この対象物には、自車両Vaは含まれず、自車両Vaの周囲に存在する全ての物体が候補となる。
図4に示すように、対象物としては、第1対向車両Vbが右折した先の道路を横断する歩行者Peが挙げられる。第2進路比較部14は、歩行者Peの進路Cpと第1対向車両Vbの進路Cbとが交わるか否かを判断する。判断部16は、第2進路比較部14において進路が交わると判断される場合に、歩行者Peを対象物と判断する。あるいは、第2進路比較部14は、歩行者Peの進路Cpと第1対向車両Vbの進路Cbとが交わる進路交点を特定する。また、第2進路比較部14は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ったと仮定して、第1対向車両Vbが現在の位置から進路交点に到達するまでの到達時間を予測する。第2進路比較部14は、到達時間が経過したときに歩行者Peが進む位置Pe1を予測し、この位置Pe1と進路交点との距離が近いか否かを判断する。判断部16は、第2進路比較部14において位置Pe1と進路交点との距離が近いと判断される場合に、歩行者Peを対象物と判断する。
なお、対象物は、歩行者Peに限らず、例えば他車両であってもよい。例えば、図3に示すような交差点を走行する状況では、第1対向車両Vbが右折した先の道路上に発生する渋滞末尾の他車両などが対象物となり得る。また、図5に示すように、第1対向車両Vbが自車線L1を横切って、自車線L1に隣接する領域(例えば、店舗の駐車場、ガソリンスタンドなど)に進入する状況を想定する。この状況では、自車線L1に隣接する領域に停車している他車両Obも対象物となる。
対象物が存在しない場合には、ステップS16で否定判定され、ステップS17に進む。一方、対象物が存在する場合には、ステップS16で肯定判定され、ステップS24に進む。
ステップS17において、判断部16は、対向車線L2において第1対向車両Vbよりも後方(第1対向車両Vbからみて後方)を走行する他車両である第2対向車両が存在するか否かを判断する。図6及び図7では、第1対向車両Vbの後方を走行する2台の対向車両が第2対向車両Vcに該当する。また、第2対向車両Vcが存在する場合、判断部16は、第2対向車両Vcについて予測される進路Ccが自車両Vaの進路Caに対して交わらないか否かを判断する。第2対向車両Vcの進路Ccと自車両Vaの進路Caとの比較は、第1進路比較部13において行われる。
図6に示すように、交差点において第2対向車両Vcが直進する場合には、第2対向車両Vcの進路Ccは自車両Vaの進路Caに対して交わらない。また、図示しないが、交差点において第2対向車両Vcが左折する場合にも、第2対向車両Vcの進路Ccは自車両Vaの進路Caに対して交わらない。一方、図7に示すように、交差点において第2対向車両Vcが右折する場合には、第2対向車両Vcの進路Ccは自車両Vaの進路Caに対して交わる。
第2対向車両Vcが存在しない場合には、ステップS17で否定判定され、ステップS24に進む。また、自車両Vaの進路Caに対して交わらない進路Ccが予測される第2対向車両Vcが存在しない場合には、ステップS17で否定判定され、ステップS24に進む。一方、自車両Vaの進路Caに対して交わらない進路Ccが予測される第2対向車両Vcが存在する場合には、ステップS17で肯定判定され、ステップS18に進む。
ステップS18において、判断部16は、第2対向車両Vcの台数が、判定台数以上であるか否かを判断する。第2対向車両Vcの台数が少ない状況であれば、第1対向車両Vbが対向車線L2の交通流に与える影響は小さいので、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲る必要性は低い。一方、第2対向車両Vcの台数が多い状況であれば、第1対向車両Vbが対向車線L2の交通流に与える影響が大きいので、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることが望まれる。そこで、対向車線L2における交通流の円滑化を考慮した所定の台数が判定台数として設定されている。判定台数は、例えば5台である。
第2対向車両Vcの台数が判定台数以上である場合には、ステップS18で肯定判定され、ステップS19に進む。一方、第2対向車両Vcの台数が判定台数よりも少ない場合には、ステップS18で否定判定され、ステップS24に進む。
ステップS19において、判断部16は、自車線L1において自車両Vaの後方を走行する他車両である後続車両Vdが存在するか否かを判断する。後続車両Vdが存在する場合には、ステップS19で肯定判定され、ステップS20に進む。一方、後続車両Vdが存在しない場合には、ステップS19で否定判定され、ステップS23に進む。
ステップS20において、判断部16は、後続車両Vdと自車両Vaとの車間距離Da(図8)が第1判定距離以上であるか否かを判断する。自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲る場合には、自車両Vaが減速したり、一時停止したりすることが考えられる。車間距離Daが大きい場合には、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ったとしても、後続車両Vdの走行に影響を与える可能性は低い。一方、車間距離Daが小さい場合には、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることで、後続車両Vdの走行に影響を与える可能性がある。そこで、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ったとしても後続車両Vdの走行に与える影響が小さいと考えられる所定の車間距離が、第1判定距離として予め設定されている。
車間距離Daが第1判定距離以上である場合には、ステップS20で肯定判定され、ステップS23に進む。一方、車間距離Daが第1判定距離よりも小さい場合には、ステップS20で否定判定され、ステップS21に進む。
ステップS21では、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる状況か否かを判定する判定処理を行う。この判定処理には、以下に示す第1から第3までの各態様が考えられる。
図9及び図10を参照し、第1の態様に係る判定処理の流れを説明する。ステップS210において、判断部16は、第1進路比較部13の演算結果に基づいて、後続車両Vdについて予測される進路Cdと自車両Vaの進路Caとが異なるか否かを判断する。図10に示すように、後続車両Vdの進路Cdと自車両Vaの進路Caとが異なる場合、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ったとしても、後続車両Vdの走行に影響を与える可能性は低い。そこで、判断部16は、は、後続車両Vdの進路Cdと自車両Vaの進路Caとに基づいて、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる状況か否かを判断する。
この場合、第1進路比較部13は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲った際に、自車両Vaの存在によって後続車両Vdの走行に影響が及ぶと考えられる範囲内で、後続車両Vdの進路Cdと自車両Vaの進路Caとを比較すればよい。例えば、第1進路比較部13は、後続車両Vdの現在位置から自車両Vaの現在位置までの範囲、或いは、後続車両Vdの現在位置から第1対向車両Vbが停止している位置までの範囲において、進路の比較を行う。
後続車両Vdの進路Cdと自車両Vaの進路Caとが異なる場合には、ステップS210において肯定判定され、ステップS211に進む。一方、後続車両Vdの進路Cdと自車両Vaの進路Caとが同じ場合には、ステップS210において否定判定され、ステップS212に進む。
ステップS211において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる状況にあることを示す譲り判定を行う。
ステップS222において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲らなくともよい状況にあることを示す非譲り判定を行う。
図11及び図12を参照し、第2の態様に係る判定処理の流れを示す。第2の態様に係る判定処理は、第1の態様に係る判定処理において後続車両Vdについて予測される進路Cdと自車両Vaの進路Caとが同じである場合に追加的に実施することができる処理である。もっとも、この判定処理を単独で用いてもよい。図12において、自車線L1上には、2台の後続車両Vdが示され、自車両Vaの前方には、2台の先行車両Veが示されている。
ステップS220において、判断部16は、前方情報取得部15が取得した情報に基づいて、自車両Vaから先行車両Veまでの間に規定スペースSが存在するか否かを判定する。規定スペースSとは、自車線L1上において、自車線L1に沿って自車両Vaの前方に形成される、所定の広さのスペースをいう。
自車両Vaの前方に、自車両Va以外の他車両が入る大きなスペースがある場合には、自車両Vaが進路を譲らなくとも、第1対向車両Vbは進路を進むことができる。一方、自車両Vaの前方に大きなスペースがない場合には、自車両Vaが進路を譲らなければ、第1対向車両Vbは進路を進むことができない。規定スペースSは、自車両Va以外の他車両が入ることができる程度に大きなスペースとして、予め決定されている。規定スペースSは、例えば車両2台以上のスペースである。
規定スペースSが存在しない場合には、ステップS220において否定判定され、ステップS221に進む。一方、規定スペースSが存在する場合には、ステップS220において肯定判定され、ステップS222に進む。
ステップS221において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる状況にあることを示す譲り判定を行う。
ステップS222において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲らなくともよい状況にあることを示す非譲り判定を行う。
図13及び図14を参照し、第3の態様に係る判定処理の流れを示す。第3の態様に係る判定処理は、第1の態様に係る判定処理において後続車両Vdについて予測される進路Cdと自車両Vaの進路Caとが同じである場合に追加的に実施することができる処理である。もっとも、この判定処理を単独で用いてもよい。
ステップS230において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲らない場合に、第2対向車両Vcが所定地点Psを通過するまでの通過時間T1を算出する。ここで、所定地点Psは、自車両Vaと第1対向車両Vbとの間に設定される地点であり、より具体的には、第1対向車両Vbが自車両Vaの通過を待っている位置である。もっとも、交差点を走行する場合であれば、交差点の中心位置を所定地点Psとしてもよい。
判断部16は、自車両Vaが進路を譲らない、後続車両Vd、Vdも譲らないと仮定し、自車両Va及び後続車両Vd、Vdの全部が所定地点Psを通過するまでの時間を算出する。また、判断部16は、第1対向車両Vbが右折を開始してから、第2対向車両Vcの全部が所定地点Psを通過するまでの時間を算出する。判断部16は、これらの時間を合算し、第2対向車両Vcの通過時間T1を算出する。
第2対向車両Vcの通過時間T1を算出する場合、判断部16は、自車線L1及び対向車線L2における渋滞の有無を考慮して演算を行ってもよい。また、自車両Vaの前方にあるスペースの大きさから、自車両Vaが通過する前に交差点を右折することができる状況を考慮して演算を行ってもよい。
ステップS231において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲った場合に、後続車両Vd,Vdが所定地点Psを通過するまでの通過時間T2を算出する。
判断部16は、第1対向車両Vbが所定の加速度(例えば0.5G)で動き出すと仮定し、自車両Vaの前方を通過するまで時間を算出する。また、判断部16は、第1対向車両Vbが自車両Vaの前方を通過してから自車両が所定の加速度(例えば0.5G)で動き出すと仮定し、所定地点Psを通過するまでの時間を算出する。同様に、判断部16は、後続車両Vd、Vdが所定地点Psを通過するまでの時間を算出する。判断部16は、これらの時間を合算し、後続車両Vd,Vdの通過時間T2を算出する。
ステップS232において、判断部16は、第2対向車両Vcの通過時間T1と、後続車両Vd,Vdの通過時間T2とを比較する。具体的には、判断部16は、第2対向車両Vcの通過時間T1から、後続車両Vd,Vdの通過時間T2を減算した値、すなわち、通過時間の差が正となるか否かを判断する。
第2対向車両Vcの通過時間T1が後続車両Vd,Vdの通過時間T2よりも大きい場合には、自車両Vaが進路を譲らない場合に第2対向車両Vcが受ける待ち時間の方が、自車両Vaが進路を譲った場合に後続車両Vdが受ける待ち時間よりも大きい。よって、自車両Vaが進路を譲った方がいい状況と推測される。一方、後続車両Vd,Vdの通過時間T2が第2対向車両Vcの通過時間T1よりも大きい場合には、自車両Vaが進路を譲った場合に後続車両Vdが受ける待ち時間の方が、自車両Vaが進路を譲らない場合に第2対向車両Vcが受ける待ち時間よりも大きい。よって、自車両Vaが進路を譲らない方がいい状況と推測される。
通過時間の差が正の場合には、ステップS232において肯定判定され、ステップS233に進む。一方、通過時間の差がゼロ以下の場合には、ステップS232において否定判定され、ステップS234に進む。
ステップS233において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる状況にあることを示す譲り判定を行う。
ステップS234において、判断部16は、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲らなくともよい状況にあることを示す非譲り判定を行う。
ステップS21における判定処理では、第1から第3の態様に示すいずれか1つの判定処理、又は、第1から第3の態様の中から選択される2つ以上の判定処理がそれぞれ並列的に行われる。2つ以上の判定処理を並列的に行う場合、いずれか1つの判定処理で譲り判定が得られた場合には、その譲り判定を最終的な結果としてもよい。また、2つ以上の判定処理の中に優先順位を定め、優先順位の高い判定処理の結果を、最終的な結果としてもよい。
図2に示すように、ステップS22において、判断部16は、ステップS21における判定処理の結果が譲り判定であるか否かを判断する。判定処理の結果が譲り判定である場合には、ステップS22において肯定判定され、ステップS23に進む。一方、判定処理の結果が非譲り判定である場合には、ステップS22において否定判定され、ステップS24に進む。
ステップS23において、判断部16は、第1対向車両Vbに対して進路を譲ると決定する。一方、ステップS24において、判断部16は、第1対向車両Vbに対して進路を譲らないと決定する。
ステップS25において、車両制御部17は、判断部16の判断結果に応じて制御の内容を決定する。具体的には、判断部16が第1対向車両Vbに対して進路を譲ると決定した場合、車両制御部17は、第1対向車両Vbに対して進路を譲るための車両制御を自車両Vaに対して行う。一方、判断部16が第1対向車両Vbに対して進路を譲らないと決定した場合、車両制御部17は、第1対向車両Vbに対して進路を譲るための車両制御を自車両Vaに対して行わない。
車両制御の一例は、自動運転であり、具体的には、減速制御である。図15及び図16に示すように、車両制御部17は、第1対向車両Vbと自車両Vaとの間の距離Dbを演算する。図15に示すように、距離Dbが大きい場合には、車両制御部17は、自車両Vaの速度を減少させる制御を行う。一方、図16に示すように、距離Dbが小さい場合には、車両制御部17は、自車両Vaを一時停止させる制御を行う。
もっとも車両制御の方法は、減速制御に限らない。車両制御部17は、自車両Vaの前照灯を複数回点滅させる制御を行ってもよい。また、車両制御部17は、自車両Vaに搭載されたディスプレイ又はスピーカを利用して、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることを報知する制御を行ってもよい。また、車両制御部17は、車車間通信を利用して、第1対向車両Vbが進路を進むように指示するための情報を、第1対向車両Vbに送信する制御を行ってもよい。これらの制御は、それぞれ単独で行ってもよいし、幾つかの手法を組み合わせて行ってもよい。
ステップS26において、車両制御部17は、イグニッションスイッチがオフされたか否かを判断する。イグニッションスイッチがオフされた場合には、ステップS26において肯定判定され、一連の処理を終了する(END)。一方、イグニッションスイッチ(IGN)がオンのまま場合には、ステップS26において否定判定され、ステップS10に戻る。
このように本実施形態の車両制御方法は、対向車線L2(他車線の一例)を走行する対向車両(他車両の一例)を特定し、対向車両の速度が停止状態を判定するための判定速度以下であるという第1条件と、対向車両について予測される進路が自車両Vaの進路Caに対して交わるという第2条件との両方が満たされる他車両を第1対向車両Vbとして特定する。また、本実施形態の車両制御方法は、対向車線L2において第1対向車両Vbよりも後方を走行する他車両である第2対向車両Vcが存在するか否かを判断する。そして、本実施形態の車両制御方法は、第2対向車両Vcが存在する場合、第1対向車両Vbに対して進路を譲るための車両制御を自車両Vaに対して行い、第2対向車両Vcが存在しない場合、車両制御を自車両Vaに対して行わない。
この方法によれば、第1対向車両Vb及び第2対向車両Vcが存在する場合には、自車両Vaが第1対向車両Vbに対して進路を譲ることとなる。このため、第2対向車両Vcの進行を阻害する要因を解消することができるので、第2対向車両Vcが通常の走行に復帰することができる。これにより、第1対向車両Vbのみならず、第2対向車両Vcを円滑に走行させることができる。その結果、交通流の円滑化を図ることができる。
また、本実施形態の車両制御方法は、自車両Vaの進路に対して交わらない進路が予測される第2対向車両Vcが存在する場合に、車両制御を自車両Vaに対して行う。一方、第2対向車両Vcが存在していても、第2対向車両Vcについて予測される進路Ccが自車両Vaの進路に対して交わる場合には、車両制御を自車両Vaに対して行わない。
この方法によれば、第1対向車両Vbの存在によって第2対向車両Vcの進路が妨げられる状況を選別することができる。これにより、交通流の円滑化が見込まれる状況において、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる。なお、第2対向車両Vcを特定する要件として、第2対向車両Vcの速度が停止状態を判定するための判定速度以下であるとしてもよい。これにより、第1対向車両Vbの存在によって走行が阻害されている第2対向車両Vcを抽出して、処理を行うことができる。
また、本実施形態の車両制御方法は、第2対向車両Vcが存在する場合には、第2対向車両Vcの台数が判定台数以上であるか否かを判断する。そして、第2対向車両Vcの台数が判定台数以上である場合に、車両制御を自車両Vaに対して行う。一方、第2対向車両Vcの台数が判定台数よりも少ない場合に、車両制御を自車両Vaに対して行わない。
この方法によれば、第2対向車両Vcの台数が多い状況であるのか、それとも第2対向車両Vcの台数が少ない状況であるのかを区別することができる。このため、第2対向車両Vcの数の大小に応じて、車両制御を行うのか、それとも行わないのかを切り分けることができる。これにより、交通流の円滑化が見込まれる状況において、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる。
なお、判定台数は、対向車線L2の走行状況に応じて切り替えてもよい。対向車線L2の走行状況は、具体的には、第1対向車両Vbよりも前方(第1対向車両Vbからみて)の状況であり、例えば渋滞である。渋滞の有無は、第1対向車両Vbよりも前方を走行する対向車両の速度、又は単位距離内に存在する対向車両の台数より判断することができる。渋滞が発生している状況においては、第1対向車両Vbに対して進路を譲ったとしても、第2対向車両Vcの環境は大きく変わらない。よって、対向車線L2が渋滞している状況であれば、判定台数を大きな値に切り替えるといった如くである。
この方法によれば、対向車線L2の走行状況を判定台数に反映することができる。これにより、交通流の円滑化が見込まれる状況を考慮して、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる。
また、対向車線L2に隣接し、且つ、対向車線L2と進行方向が同じとなる他の対向車線が存在している場合には、判定台数を多くしてもよい。この場合は、第2対向車両Vcが他の対向車線へと車線変更することで、走行を継続することができるからである。
また、自車線L1における自車両Vaの前方の走行状況に応じて、判定台数を切り替えてもよい。すなわち、自車両Vaの前方で渋滞が発生している状況においては、第1対向車両Vbに対して進路を譲ったとしても、後続車両Vdの走行環境は大きく変わらないからである。
なお、上述した実施形態では、第2対向車両Vcの台数に基づいて、車両制御の可否を切り替えている。しかしながら、第1対向車両Vbの後方で第2対向車両Vcが待機している待機時間に基づいて、車両制御の可否を切り替えてもよい。すなわち、予測した待機時間が判定時間以上である場合に、車両制御を自車両Vaに対して行う。一方、予測した待機時間が判定時間よりも短い場合に、車両制御を自車両Vaに対して行わない。なお、待機時間は、第1対向車両Vbの後方で第2対向車両Vcが停止状態であると見なしてからの経過時間として特定される。また、第2対向車両Vcと車車間通信をして、第2対向車両Vcから待機時間を取得してもよい。
この方法によれば、待機時間が長い状況であるのか、それとも待機時間が短い状況であるのかを区別することができる。このため、待機時間の大小に応じて、車両制御を行うのか、それとも行わないのかを切り分けることができる。これにより、交通流の円滑化が見込まれる状況において、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる。
この場合、上述した判定台数と同様の概念で、判定時間を切り替えてもよい。また、待機時間に代えて、第2対向車両Vcが第1対向車両Vbの停止していた位置を通過するのに要すると予測される所要時間を用いてもよい。
また、本実施形態の車両制御方法は、第2対向車両Vcが存在する場合には、第1対向車両Vbの進路Cbに基づいて、第1対向車両Vbの走行を妨げる対象物が存在するか否かを判断する。そして、対象物が存在しない場合に、車両制御を自車両Vaに対して行う。一方、対象物が存在する場合に、車両制御を自車両Vaに対して行わない。
この方法によれば、対象物の存在を考慮することで、第1対向車両Vbが進路に沿って支障なく走行できる状況であるかどうかを判断することができる。これにより、第1対向車両Vbが支障なく走行が状況において、車両制御が自車両Vaに対して行われる。その結果、交通流の円滑化が見込まれる状況において、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができる。
また、本実施形態の車両制御方法は、第2対向車両Vcが存在する場合には、自車線L1において自車両Vaの後方を走行する後続車両Vdと自車両Vaとの車間距離Daが第1判定距離以上であるか否かを判断する。そして、車間距離Daが第1判定距離以上である場合に、車両制御を自車両Vaに対して行う。
この方法によれば、車間距離Daが長い状況であるのか、それとも車間距離Daが短い状況であるのかを区別することができる。このため、後続車両Vdへの影響が少ない状況を選択して、車両制御を行うことができる。これにより、後続車両Vdへの影響を考慮しつつ、対向車線L2における交通流の円滑化を図ることができる。なお、車間距離Daには、単純な距離のみならず、車間時間であってもよい。
また、本実施形態の車両制御方法は、車間距離が第1判定距離よりも小さい場合には、後続車両Vdについて予測される進路Cdと自車両Vaの進路Caとが異なるか否かを判断する。後続車両Vdについて予測される進路Cdと自車両Vaの進路Caとが異なる場合に、車両制御を自車両Vaに対して行う。
この方法によれば、自車両Vaの挙動が後続車両Vdに影響を与えるか否かを判断することができる。このため、後続車両Vdへの影響が少ない状況を選択して、車両制御を行うことができる。これにより、後続車両Vdへの影響を考慮しつつ、対向車線L2における交通流の円滑化を図ることができる。
また、本実施形態の車両制御方法は、後続車両Vdについて予測される進路Cdと自車両Vaの進路Caとが同じである場合には、後続車両Vdの通過時間T2と、第2対向車両Vcの通過時間T1との通過時間の差を予測する。そして、本実施形態の車両制御方法は、予測した通過時間の差に基づいて、車両制御を自車両Vaに対して行うか否かを判断する。
この方法によれば、通過時間の差を考慮することができるので、車両制御の実施の可否を適切に判断することができる。これにより、後続車両Vdへの影響を考慮しつつ、対向車線L2における交通流の円滑化を図ることができる。
また、本実施形態の車両制御方法は、後続車両について予測される進路と自車両Vaの進路とが同じである場合には、自車線L1上において自車両Vaの前方に延在するスペースの広さに基づいて、車両制御を自車両Vaに対して行うか否かを判断する。
この方法によれば、自車両Vaの前方に延在するスペースの広さを考慮することができるので、車両制御の実施の可否を適切に判断することができる。これにより、後続車両Vdへの影響を考慮しつつ、対向車線L2における交通流の円滑化を図ることができる。
また、本実施形態の車両制御方法は、第1対向車両Vbの減速度合に基づいて、第1対向車両Vbの進路Cbを予測している。
この方法によれば、第1対向車両Vbの進路を適切に予測することができる。なお、本実施形態では、第1対向車両Vbの減速度合を用いているが、第1対向車両Vbの向きを用いてよく。すなわち、第1対向車両Vbの挙動を用いて第1対向車両Vbの進路を予測することができる。
また、本実施形態の車両制御方法は、第1対向車両Vbが備える方向指示器の点灯状態に基づいて、第1対向車両Vbの進路を予測している。
この方法によれば、第1対向車両Vbの進路を適切に予測することができる。
また、本実施形態の車両制御方法において、第1対向車両Vbと自車両Vaとの間の距離が、第2判定距離以上である場合、車両制御は、自車両Vaの速度を減少させる制御である。
この方法によれば、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができるので、対向車線L2における交通流の円滑化を図ることができる。
また、本実施形態の車両制御方法において、第1対向車両Vbと自車両Vaとの間の距離が、第2判定距離よりも小さい場合、車両制御は、自車両Vaを一時停止させる制御である。
この方法によれば、第1対向車両Vbに対して進路を譲ることができるので、対向車線L2における交通流の円滑化を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、第1対向車両Vbの直後に第2対向車両Vcが存在している状況を説明した。しかしながら、第1対向車両Vbから規定の台数だけ後ろにいる対向車両から、第2対向車両Vcとして取り扱うものであってもよい。例えば、図17に示すように、第1対向車両Vbから数えて2台目以降の対向車両を、第2対向車両Vcとして取り扱うといった如くである。
また、本実施形態では、自車両Vaに対して最も近い対向車両を第1対向車両Vbとして説明した。しかしながら、図18に示すように、自車両Vaに対して最も近い対向車両よりも後方の対向車両が第1対向車両Vbであってもよい。
また、本実施形態に係る車両制御装置は、上述の車両制御方法と対応する技術事項を有しており、車両制御方法と同様の作用、効果を奏するものである。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。