JP7397392B1 - 走行模擬試験設備 - Google Patents
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Abstract
Description
走行模擬は、通常、風洞外の測定室に車両を配置し、車輪を床面下方に設置するダイナモローラーの回転により回転させつつ、車両の前方から後方に向けてジェット気流を流して、走行中の風速を模擬することにより行われる。
この場合、風洞内で発生させる車両の前後方向のジェット気流は、走行中の車両が受ける風速を模擬するもので、平行流であり、車両の下面と床面との間のスペースにも、車両の前後方向に流れる。
ダイナモローラーは、通常、風洞内の床面に設けられた開口から上方に臨むように、開口に対して非接触態様で設けられ、開口とダイナモローラーの周縁との間に不可避的に隙間を設けざるを得ないところ、測定室から引き込む連行気流や、測定室へ流出する連行気流が不可避的に発生し、連行気流は、床面の開口を介して、車両の下面と床面との間のスペース内に斜流として、風洞内のジェット気流と同様、車両の前後方向へ流れる。
その際、第1に、床面下方へのダイナモローラーの設置に伴い、第2に、風洞設備の利用に伴い、以下のような技術的問題が引き起こされる。
それにより、スペース内で、風洞内の気流が乱され、精確に走行模擬した試験を行うことが困難となる。
この走行模擬装置は、床面に設けられた開口と、開口に対して、非接触式に回転可能に設けられる円筒状ダイナモローラーと、ダイナモローラーを円筒の中心軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段とを有し、ダイナモローラーは、円筒の中心軸線が床面下方に位置するように配置され、ダイナモローラーの開口から臨む外周面に、車両の車輪を載置した状態で、ダイナモローラーを回転駆動することにより、車両の走行を模擬する走行模擬装置であって、車両は、円筒の中心軸線に対して、直交する向きに、風洞内に配置され、風洞内で、車両の前方から後方に向かって、床面から少なくとも車高までの高さに亘って、気流を送るように構成され、ダイナモローラーの回転に伴われて発生する連行気流が、開口を通じて、車両下面と床面との間のスペースに及ぶのを抑制する連行気流抑制手段を、開口とダイナモローラーとの間の隙間に設ける、構成としている。
その際、ダイナモローラーの回転に伴われて連行気流が不可避的に発生するところ、連行気流は、風洞内の気流と同様に、車両の後方に向かう向きであるが、風洞内の気流が平行流なのに対して、床面の開口から車両の下面に向かう斜流であることから、車両下面と床面との間のスペース内で風洞内の気流が乱されるところ、開口とダイナモローラーとの間の隙間に連行気流抑制手段を設けることにより、このような連行気流が床面の開口を通じて、車両下面と床面との間のスペースに及ぶのを抑制することが可能であり、以て、車両の走行に応じて生じる風速を模擬する風洞内の気流が車両の下面と床面との間のスペース内で乱されることを低減することが可能である。
ここに、境界層とは、床面表面付近の主流空気の流れにおいて、速度が床面表面上から主流空気の流速にまで急激に変化する範囲の層をいい、例えば主流空気の流速を100%とした時、流速が99%以下に減速する層をいう。
この境界層制御装置は、環状に連続する送風路を通じて、送風機によりジェット気流を循環回流させ、吹出口を 通じて測定部に前記ジェット気流を吹き出す際、ジェット気流の主流空気が床界面側で発生する境界層をジェット気流の主流方向に対して鉛直軸方向に吸込み、排出する 吸込みダクトを有する境界層制御装置であって、吸込みダクト内に吸込まれたジェット気流の淀み圧を低減し、ジェット気流の主流方向の流れの阻害を低減するのに、吸込みダクトの上流側に形成され、ジェット気流の一部を吸込みダクト内に導く導風部や、吸込みダクトの吸込み口の下流側の縁近傍に湾曲部を設けたり、吸込みダクトの吸込み口の下流側に鍔部を設けたりすることにより、ジェット気流の主流空気が床界面側で発生する境界層をジェット気流の主流方向に対して鉛直軸方向に吸込み、排出する吸込みダクト内に吸込まれたジェット気流の淀み圧を低減することができるため、ジェット気流の主流方向の流れの阻害を低減することができる。
この場合、車両の下面に相当する床面に、同様に境界層制御装置を設けるとすれば、車両の下面と床面の間の静圧分布を考慮しないと境界層吸込み面において部分的な境界層の吸込みムラが生じる。
単に車両まわりの風速分布を測定するのではなく、実走行を模擬した燃費、電費(EV車)、エアコン試験、熱マネージメント試験、吹雪試験、雨試験等を行うには、走行模擬車両まわりの精度の高い風速分布および/または流れ方向の再現が必須であるところ、このような主流への阻害により、信頼性の高い評価が困難となる。
一方、走行車両の車両後部背面での吹き上がり現象を模擬するには、図6に示すように、車両後部背面に生じ得る渦の再現が必要であり、この意味において、気流の風速分布および/または流れ方向が重要となる。
この境界層制御装置は、風洞内で発生させるジェット気流を車両に吹き付ける場合において、車両下面と床面との間のスペース内に生じるジェット気流の境界層を吸い込み可能なように、車両が覆うように上方に配置される境界層吸い込み面が床面に設けられ、床面の下方には、該境界層吸い込み面に臨む吸い込みダクトが設けられ、境界層吸い込み面を介して、境界層を吸い込む吸い込み手段と、吸い込み手段により吸い込む境界層の吸い込み量を調整する吸い込み量調整手段とを、有し、さらに、ジェット気流が車両下面と床面との間のスペースを車両の前後方向に流れる際に発生する車両下面と床面との間のスペースの車両前後方向の静圧分布を調整可能な静圧分布調整手段を有する、構成としている。
この場合、車両の下面と床面との間のスペースと吸い込みダクト内との静圧差に起因する車両の下面と床面との間のスペースを流れる気流の乱れ、および車両の下面と床面との間のスペースとダイナモ設置室39内との静圧差に起因する連行気流による車両の下面と床面との間のスペースを流れる気流の乱れそれぞれを個別の技術的手段により解消するとすれば、車両の下面に対向する限られた床面スぺ―スの範囲内に、これらの個別の技術的手段を設けるのは、技術的に困難であるか、設備のコスト増を引き起こす。
以上を契機として、本発明者は、境界層吸い込みに伴う弊害と連行気流の発生とによる車両の下面と床面との間のスペースを流れる気流の乱れの一挙解決を企図するものである。
静止車両を走行模擬する走行模擬試験設備であって、
走行模擬試験設備は、風洞内で発生させるジェット気流を静止車両に吹き付ける風洞設備と、静止車両の車輪を回転駆動する走行模擬設備とを有し、
該走行模擬設備は、各車輪下方の床面に配置され、
床面に設けられた開口と、
該開口に対して、非接触式に回転可能に設けられる円筒状ダイナモローラーと、
該ダイナモローラーを円筒の中心軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段とを有し、
該ダイナモローラーは、円筒の中心軸線が床面下方に位置するように配置され、
前記ダイナモローラーの前記開口から臨む外周面に、車両の車輪を載置した状態で、前記ダイナモローラーを回転駆動することにより、車両の走行を模擬し、
さらに、前記走行模擬設備の後方に、境界層制御装置が設けられ、
該境界層制御装置は、
車両下面と床面との間のスペース内に生じるジェット気流の境界層を吸い込み可能なように、車両が覆うように上方に配置される境界層吸い込み面が床面に設けられ、
床面の下方には、該境界層吸い込み面に臨む吸い込みダクトが設けられ、
該境界層吸い込み面を介して、境界層を吸い込む吸い込み手段と、吸い込み手段により吸い込む境界層の吸い込み量を調整する吸い込み量調整手段とを、有し、
さらに、ジェット気流が車両下面と床面との間のスペースを車両の前後方向に流れる際、該吸い込み量調整手段により調整された吸い込み量に基づいて、該吸い込み手段により境界層を吸い込むことに起因して発生する車両下面と床面との間のスペースの車両前後方向の静圧分布を調整可能な静圧分布調整手段を有し、
前記境界層吸い込み面は、車両の下面に対向する床面において、前記ダイナモローラーの前記開口の後方の所定位置に位置決めされ、
前記境界層制御装置の前記境界層吸い込み手段が、前記ダイナモローラーの回転によって発生する連行気流、および/またはダイナモ設置室と車両下面と床面との間の静圧差によりダイナモ設置室側からの流入空気によって発生する連行気流が、前記開口を通じて、車両下面と床面との間のスペースに及ぶのを抑制する連行気流抑制手段を兼ねる、構成としている。
さらに、前記静圧差調整手段は、車両下面と床面との間のスペースの静圧に対して、床面下方の該吸い込みダクト内の静圧を調整する手段を有するのがよい。
加えて、前記静圧差調整手段は、前記境界層吸い込み面の幅方向に亘って延びることにより、前記吸い込みダクトを複数の領域に仕切る仕切板であり、それにより、前記吸い込みダクトは、車両の前後方向に複数の領域に仕切られ、
該仕切り板の車両の前後方向位置に応じて定まる分割された境界層吸い込み面の面積に応じて、前記吸い込み量調整手段により、各領域において、境界層の吸い込み量を調整するのがよい。
さらに、前記抵抗体は、多孔体であり、異なる抵抗係数の抵抗体が積層され、それにより、前記境界層吸込み面における吸込風速分布ムラおよび/または流れ方向ムラを低減するのがよい。
さらにまた、前記吸い込みダクトは、前記吸い込み手段に連通接続される吸い込み管を有し、該吸い込み管には、ダンパーが付設されるのがよい。
加えて、前記吸込みダクト内に吸込まれるジェット気流の淀み圧を低減する淀み圧低減手段をさらに有するのがよい。
さらに、前記開口の後方の所定位置に位置決めされる前記境界層吸い込み面の車両幅方向の幅は、前記開口の車両幅方向の幅より狭く、前記開口の後方の所定位置に位置決めされる前記境界層吸い込み面は、前記開口の対応する車両前後方向に沿う内縁部および/または外縁部を跨ぐように位置決めされるのがよい。
さらにまた、前記ダイナモローラーの前記開口の後方の所定位置の前記境界層吸い込み面は、車両の前輪に対応する前記ダイナモローラーの前記開口に対して設けられるのがよい。
加えて、前記ダイナモローラーの前記開口の後方の所定位置の前記境界層吸い込み面は、一対設けられ、それぞれ車両の一対の前輪各々に対応する前記ダイナモローラーの前記開口に対して設けられ、前記一対の前記境界層吸い込み面間の床面に、車両の前後方向に延びる境界層吸い込み面が設けられるのがよい。
さらに、前記ダイナモローラーの前記開口の後方の所定位置の前記境界層吸い込み面は、単一であり、前記境界層吸い込み面は、車両の幅方向に、車両の一対の前輪各々に対応する前記ダイナモローラーの前記開口に亘って延びるのでもよい。
走行模擬試験設備100は、風洞内で発生させるジェット気流を静止車両Vに吹き付ける風洞設備と、静止車両Vの車輪を回転駆動する走行模擬設備とを有し、以下、風洞設備、走行模擬設備の順に説明する。
風洞設備は、内部にジェット気流MFを発生する風洞Tと、風洞Tの吹き出し口106と流入口108との間に設けられる測定室109に設けられる境界層制御装置10A,10Bおよび走行模擬設備34を有し、境界層制御装置10および走行模擬設備34いずれも、測定室109の床面FLの下方に設けられる。
図1に示すように、風洞設備は、回流式であり、風洞T内にジェット気流MFを供給するファン( 送風機)101が設けられ、吸込口( コレクタ)で収集されたジェット気流MFをファン101により風速調整して、ほぼ環状に連続する送風路103を通じて強制的に循環回流させ、吹出口106を通じて測定室109 に対しジェット気流MFを吹き出すものであり、測定室109 から吸込口108 を通じてジェット気流MFを収集し、送風路103を通じて再びジェット気流MF を循環回流させるようになっている。吹出口106での風速は、ファン101の回転数により、送風路103を流れるジェット気流MFの定常流量として決定される。
ファン101によって送風された気流は、いったん気流全体としての風速(動圧)を低下させて中間胴部における圧力(静圧)を上昇させた後、縮流洞104を通過させることで、測定するのに必要十分な風量(風速)の気流を吹出し口から測定室に吹き出すことができるようにしている。
これにより、後に説明するように、測定室109内において、静止車両Vを走行模擬する際、設定する走行速度に応じて、車両Vの前方から後方に流れる平行気流を模擬するようにしており、設定する走行速度に応じて、ファン101により気流の風速を調整することにより、静止車両Vでありながら走行車両Vを模擬できるようにしている。
走行模擬設備34は、風洞Tにより内部に気流を流す測定室109の床面FL下方に設置され、測定室109内には、測定対象である車両Vが設置され、静止車両Vの車輪WHが走行模擬設備34により回転駆動されるように構成している。
測定室109内に、一対の前輪FWおよび一対の後輪RWそれぞれに対して、走行模擬設備34が対応して設けられている。これらの走行模擬設備34を用いて、測定室109上に進めた自動車の各種特性が測定される 。
各開口36について、開口36の上流縁24および下流縁28の直下方には、中実バー状のセンタリングパイプ35が開口36の幅方向Wに亘って設けられ、各センタリングパイプ35は、開口36の床面FLの長手方向中心位置から等距離に位置決めされ、車両Vを測定室109内で位置決めする際、車両Vの車輪WHを対応する開口36に対してセンタリングして、対応するダイナモローラー38により回転駆動可能なように、その目安として利用される。
より詳細には、開口36は矩形状であり、連行気流抑制手段21は、開口36の上流側縁24と対応するダイナモローラー38との隙間C、および開口36の下流側縁28と対応するダイナモローラー38との隙間Cそれぞれに配置される平板である
平板の材質、大きさは、連行気流抑制手段21により連行気流を有効に抑制する観点から、適宜定めればよく、たとえば、材質は、柔軟性が確保される限り任意であり、金属製、樹脂製等、大きさについて、幅は、開口36の幅に亘ることにより、床面FLに常設固定されるのでよく、車両Vの前後方向の長さは、開口36の上下流縁24、28それぞれから最上部23までの半分を覆う程度でよい。常設固定であれば、車両Vが上を通過する際、耐える程度の厚みが必要である。なお、常設固定でなく、取り外し式としてもよい。
この場合、図3に示すように、ダイナモローラー38の開口36から、車両Vの下面LSと床面FLとの間のスぺースに向かう吹き出し(流入空気)流による連行気流B1に対しては、開口36の上流側縁24に設けられる平板21Aがスぺースに及ぶのを抑制する一方、ダイナモローラー38の開口36からの下向きの回転により発生する、車両Vの下面LSと床面FLとの間のスぺースからの吸い込み連行気流B2に対しては、開口36の下流側縁28に設けられる平板21Bが吸い込まれるのを抑制することが可能である。
さらなる変形例として、連行気流抑制手段21は、床面FLを構成する床躯体構造を利用して支持され、床面FLの下面LSレベルからダイナモローラー38の上部外周面レベルまで及び、開口縁の延び方向に沿って延びる堰き止め面を備えた連行気流堰き止め部材でもよい。
さらなる変形例として、連行気流抑制手段21は、床面FLを構成する床躯体構造を利用して支持され、 吸い込み開口36を上流側に臨むように差し向けた、連行気流Bを吸い込む吸い込み管であり、吸い込み開口36は、床面FLとダイナモローラー38の上部外周面レベルとの間に設けられるのでもよい。
さらなる変形例として、連行気流抑制手段21は、床面FLを構成する床躯体構造を利用して支持され、開口36の対向側縁26に沿って延びる堰き止め板であり、堰き止め板の上縁は、床面FLレベルに設定され、下縁は、ダイナモローラー38の上部外周面に接触しない範囲に設定されるのでもよい。
先に、第2境界層制御装置10Bについて説明すれば、車両の上流側の床面に構成する境界層吸い込み面12からジェット気流MFを吸い込み、吸い込み管26を介してファン29により大気に放出することにより、境界層の影響を減少させるものであり、ジェット気流MFの一部を吸込みダクト内に導く導風部(図示せず)を設け、吸込んだジェット気流MFの流れの向きを転向させて、吸込みダクトに導くことにより、吸込んだジェット気流MFがジェット気流MFの主流方向に対して鉛直軸方向に転向する際の流れの転向角度を低減する結果、吸込みダクト内に吸込まれたジェット気流MFの淀み圧を低減し、以て、ジェット気流MFの主流方向の流れの阻害を低減するのでもよい。
風洞の吹き出し口直後に設けられる第2境界層制御装置10Bは、吸込みダクト内に吸込まれたジェット気流MFの淀み圧を低減する淀み圧低減手段(図示せず)を有し、それにより、ジェット気流MFの車両Vへの吹き出し前に、ジェット気流MFの主流方向の流れの阻害を低減するのでもよい。
吸い込みダクト14は、上面が床面FLを構成する床躯体構造に設けられる凹部により構成される。
図4に示すように、第1境界層制御装置10Aにおいては、車両Vの一対の前輪FWそれぞれに対応する開口36の後方に、開口36の車両Vの幅方向の両側に配置される境界層吸い込み面12R1、12R2(右前輪側)、および境界層吸い込み面12L1、12L2(左前輪側)と、車両Vの一対の前輪FWそれぞれに対応する開口36の間と車両Vの一対の後輪RWそれぞれに対応する開口36の間を、車両Vの前後方向に延びる境界層吸い込み面12Aの計5つの境界層吸い込み面12が設けられている。
5つの境界層吸い込み面12は、すべて矩形状であり、境界層吸い込み面12は、車両Vの下面LSに対向する床面FLにおいて、開口36以外の領域に設けられる。なお、境界層吸い込み面12は、角部のない、車両の前後方向に細長の楕円形状、台形や多角形状でもよい。
吸い込みダクト14は、車両Vの前後方向に複数の領域16に仕切られ、各領域16は、境界層吸い込み面12を介して、境界層を吸い込む吸い込み手段18と、吸い込み手段18により吸い込む境界層の吸い込み量を調整する吸い込み量調整手段20とを、有する。境界層の吸い込み量は、仕切板22により仕切られ、複数の領域16(後述)の各領域に対応する境界層吸い込み面12の面積に応じて、調整する。
複数の領域16において、仕切り板は、境界層吸い込み面12の幅方向Wに亘って延びる。
各仕切板22の車両前後方向位置は、車両下面と床面の間の前後方向の静圧分布、複数の領域16それぞれの必要容積、あるいは、車両前後方向の長さに応じて決定すればよく、たとえば、走行模擬状態での車両の下面と床面との間の気流を精緻に模擬したい場合には、隣接する仕切り板の車両前後方向の間隔を狭め、その分、仕切板22の枚数を増やしてもよい。特に、車両Vの下面LSと床面FLの間の車輪に相当する領域の静圧は他の領域よりも低いことから、車輪に相当する領域は仕切板22にて分割するのがよい。
たとえば、抵抗体24としては、多孔な通気体、特に、多孔板により、開口率を変えた組み合わせが好ましく、多孔板のみでは強度がない場合は、多孔板の下部に強度のあるグリッドやグレーチング等で補強するのがよい。この場合、ジェット気流MFに直交する方向には、このような強度部材を設けないのが好ましい。
抵抗体24は、異なる抵抗係数の抵抗体24が積層され、各領域16ごとに、抵抗体24の種類および/または積層数が調整され、それにより、各領域において、車両Vの下面LSと床面FLとの間の静圧分布に応じて、抵抗体の抵抗係数が異なるようにして、各領域内の境界層吸込み面12における部分的な吸込風速分布ムラを低減する。
仕切りおよび/または抵抗体24は、車両Vの前後方向に可動であり、それにより、複数の領域16の各領域16の車両Vの前後方向の隣接する仕切り間の間隔が調整可能である。
これにより、試験目的、車型、同じ車型での走行模擬速度の変動等に応じて、各領域16の車両Vの前後方向の隣接する仕切り間の間隔を調整してもよい。
吸い込み手段18は、ファンであり、吸い込み量調整手段20は、ファンの回転数を制御するインバータ(図示せず)により、吸い込み量を調整するのでもよい。
複数の領域16において、ファンが共用されるのでもよく、たとえば、抵抗体24およびダンパー27との組み合わせにより、各領域16において境界層の適切な吸い込みが可能である限り、複数の領域16すべてについて、ファンを共用するのでもよい。
実走行の車両において、ジェット気流MFが車両Vの下面LSと床面との間のスペース内に前後方向に静圧分布が生じるところ、境界層吸込みに起因して、走行模擬車両においては、このような前後方向静圧分布から乖離する。より詳細には、仕切り板22により仕切られた各領域において、境界層吸い込み面12を介する吸い込み気流の風速ムラおよび/または流れ方向ムラが、スペース内の前後方向静圧分布に影響を及ぼすことから、車両Vの下面LSと床面との間のスペース内の静圧と、吸い込みダクト14内の静圧との差を調整することにより、このような吸い込み気流の風速ムラおよび/または流れ方向ムラを低減し、以て、走行模擬車両における車両Vの下面LSと床面との間のスペース内の前後方向の静圧分布を、実走行のそれに近似させるために、静圧分布調整手段を設けるものであり、静圧分布調整手段は、ジェット気流が車両Vの下面LSと床面との間のスペースを車両Vの前後方向に流れる際の、車両Vの下面LSと床面との間のスペースの静圧と、床面下方の吸い込みダクト14内の静圧との静圧差を調整可能な静圧差調整手段32を有し、そのために、車両下面と床面との間のスペースの第1静圧を測定する第1静圧測定手段と、床面下方の吸い込みダクト14内の第2静圧を測定する第2静圧測定手段とを有する。
静圧差調整手段32は、具体的には、抵抗体24の抵抗係数を異ならせたり、同抵抗係数または異なる抵抗係数のものを積層させて構成する。
いずれの場合においても、車両Vの下面と床面FLとの間のスペースの静圧分布が車種によって異なる場合に備えて、基本となる抵抗体24を固定設置し、取り外し可能に、調整用抵抗体24を追加積層するのでもよい。
車両を配置しない状態で、ジェット気流MFの速度を変えながら、車両V設置エリアに生じる境界層の厚みを各領域16に対応する境界層吸い込み面12の部分において測定する段階と、
測定した境界層の厚みに基づいて、境界層吸い込み面12における吸い込む風速ムラを低減するように、各領域16において、抵抗係数および/または境界層の吸い込み量を調整する段階と、
各領域16において境界層の吸い込み量を調整した状態で、風洞内に発生するジェット気流MFを風洞外の測定室109に配置される静止車両Vに向かって吹き出し、車両Vまわりの風速分布を測定し、各種試験を行う。
より詳細には、さらに、車両Vの前後方向の各位置の車両下面と床面FLとの間の静圧と、吸い込みダクト14内静圧とを測定する段階と、
および/またはジェット気流MFの風速に応じて吸込み風量を調整しながら、抵抗体22の各々の抵抗係数を調整する段階とを有し、
それにより、吸い込みダクト14内の静圧を車両下面と床面FLとの間の静圧よりも低くする。
このような最大吸い込み能力を具備する吸い込み手段を用いる際、仕切板により仕切られた各領域において、各領域における境界層吸い込み面の面積に応じて、境界層吸い込み面における吸い込み気流の流速(面風速)が定まるところ、境界層吸い込み面の面積が過小であると、吸い込み気流の流速が過大となり、それにより、車両下面と床面との間のスペースにおいて、各領域に対応する部分の静圧が高くなり、実走行の車両V周囲の静圧場から乖離することになるので、仕切板により仕切られた各領域の車両前後方向の長さは、このような影響がない程度に確保するのが好ましい。
さらに、車両後部側の境界層吸い込み面12では、車両前部側および/または車両中央部の境界層吸い込み面12よりも、吸い込み量を小さく設定するのがよい。これにより、車両Vの後部での風の吹き上がり現象を再現しやすくすることが可能である(図6参照)。
なお、境界層吸い込み面12R1、12R2(右前輪側)、および境界層吸い込み面12L1、12L2(左前輪側)それぞれには、境界層吸い込み面12Aと同様に、対応する吸い込みダクトに、境界を吸い込む吸い込み手段、吸い込み量調整手段、および静圧分布調整手段が設けられている。
ダイナモローラー38の周縁と開口36の周縁との間には、所定隙間が設けられ、ダイナモ設置室39と車両Vの下面LSと床面FLとの間の静圧差によりダイナモ設置室39側からの流入空気によって発生する連行気流は、主として、所定隙間を通じて、特に、ダイナモローラ―の各端面と対応する開口36の周縁との間の隙間を通して、車両Vの下面LSと床面FLとの間のスペースに及ぶ。
この場合、車両Vの下面LSに対向する床面FLにおいて、ダイナモローラー38の開口36の後方の所定位置に、境界層吸い込み面12が位置するように、境界層制御装置10を設け、境界層制御装置10の境界層吸い込み手段18が、ダイナモローラー38の回転によって発生する連行気流、および/またはダイナモ設置室39と車両Vの下面LSと床面FLとの間の静圧差によりダイナモ設置室39側からの流入空気によって発生する連行気流が、開口36を通じて、車両Vの下面LSと床面FLとの間スペースに及ぶのを抑制する連行気流抑制手段を兼ねるのが好ましい。
ダイナモローラー38の開口36の後方の所定位置の境界層吸い込み面12は、車両Vの前輪FWに対応するダイナモローラー38の開口36に対して設けられる。
ダイナモローラー38の開口36の後方の所定位置の境界層吸い込み面12は、車両の右前輪および左前輪に対応して、一対(12Rおよび12L)設けられ、それぞれ車両Vの一対の前輪FW各々に対応するダイナモローラー38の開口36の後方で、車両Vの前後方向に延びる。境界層吸い込み面12Rおよび12Lそれぞれにおいて、対応する開口36の車両V前後方向に沿う内縁部35および外縁部37それぞれに対応して、境界層吸い込み面12R2および12L1、境界層吸い込み面12R1および12L2が設けられる。
開口36の車両Vの幅方向の両側に配置される境界層吸い込み面12R1、12R2(右前輪側)、および境界層吸い込み面12L1、12L2(左前輪側)は、大きさおよび内部構造が共通である。
より具体的には、開口36の後方の所定位置に位置決めされる境界層吸い込み面12の車両V幅方向の幅は、開口36の車両V幅方向の幅より狭く、開口36の後方の所定位置に位置決めされる境界層吸い込み面12は、開口36の対応する車両V前後方向に沿う内縁部35および外縁部37を跨ぐように位置決めされる。境界層吸い込み面12R1と12R2との間隔、および境界層吸い込み面12L1と12L2との間隔は、車輪幅に対応する幅であるのがよく、境界層吸い込み面12R1および12R2それぞれは、外縁部37および内縁部35を中心軸線として、車両幅方向に広がるのがよい。
これにより、ダイナモローラー38の各端面と開口36の対応する車両V前後方向に沿う縁部との間の所定隙間を通じて車両V下面と床面との間のスペースに及ぶ連行気流に対して、有効に吸い込み機能を奏することが可能となる。
境界層吸い込み面12Rおよび境界層吸い込み面12Lはそれぞれ、境界層吸い込み面12Aとは異なり、車両の前後方向に、仕切板22を設けず、抵抗体24は境界層吸い込み面12Aで採用の抵抗体24と同じものを用いる。車両Vの下面と床面FLとの間のスペースの気流をより精緻に模擬する場合には、図5と同様に、適宜、車両の前後方向に、仕切板22を設けるとともに、静圧差に応じた異なる抵抗体24を設置するのでもよい。
変形例として、境界層吸い込み面12Rの内縁部35の境界層吸い込み面12R2と、境界層吸い込み面12Lの内縁部35の境界層吸い込み面12L1とは、同じ大きさおよび/または同じ抵抗体24、境界層吸い込み面12Rの外縁部37の境界層吸い込み面12R1と、境界層吸い込み面12Lの外縁部37の境界層吸い込み面12L2とは、同じ大きさおよび/または同じ抵抗体24とするが、内縁部35の境界層吸い込み面と、外縁部37の境界層吸い込み面とにおいて、大きさおよび/または抵抗体24とを異ならせるのでもよい。
さらなる変形例として、車輪の向きを変えてコーナー走行を静止車両Vにより模擬する場合、左右車輪が異なる回転数となることから、車輪と同角度にダイナモローラー38とダイナモローラー38の後方の境界吸込み面12の設置向きを移動可能とすることを前提に、内縁部35の境界層吸い込み面12R2と内縁部35の境界層吸い込み面12L1とにおいて、異なる吸込み量、および外縁部37の境界層吸い込み面12R1と外縁部37の境界層吸い込み面12L2とにおいて、は異なる吸込み量をそれぞれ設定してもよい。
なお、さらなる変形例として、境界層吸い込み面12Rおよび境界層吸い込み面12Lそれぞれについて、開口36の車両Vの幅方向の両側に配置される境界層吸い込み面12R1、12R2(右前輪側)、および境界層吸い込み面12L1、12L2(左前輪側)を設けずに、単一な境界層吸い込み面として構成し(図12参照)、内縁部35および外縁部37を跨ぐように、車両Vの幅方向に、車両の一対の前輪各々に対応するダイナモローラー38の開口36に亘って延びるようにしてもよく、車両Vの幅方向に静圧分布が生じる場合には、車両Vの幅方向に間隔を隔てて仕切板22を設けるのがよい。
なお、ダイナモローラー38の開口36に対応するダイナモ設置室39と、その後方の所定位置の境界層吸い込み面12に対応する吸い込みダクトとは、床面の下方に設けられる別個のスペースであるが、変形例として、単一のスペースとして設け、車種に応じて車両Vの前後方向に可動な仕切板により仕切られるのでもよい。
たとえば、車輪FWの回転を停止した試験の場合には、ダイナモローラー38を回転させないことから、ダイナモローラー38の回転に伴う連行気流は発生しないが、ダイナモ設置室39と車両Vの下面LSと床面FLとの間の静圧差により、静圧が高いダイナモ設置室39側からダイナモローラー38のローラー端面と開口36との隙間を介する流入空気による連行気流が発生し、車両Vの下面LSと床面FLとの間の気流を大きく乱す場合があり、この場合には、境界層吸い込み面12Rおよび12Lが、特に有効に機能し、車両Vの下面LSと床面FLとの間の境界層を吸い込むとともに、このような流入空気を吸い込みダクト14内へ吸い込み可能とし、車両Vの下面LSと床面FLとの間の気流の乱れを抑制することも可能となる。
走行模擬設備34を用いる走行模擬方法は、概略的には、風洞T外の測定室109の床面FLに設けられた開口36から外周面40が臨むダイナモローラー38に、車両Vの車輪WHを載置する段階と、開口36とダイナモローラー38の周縁との間の隙間Cを狭める段階と、
風洞T内でジェット気流MFを車両Vの前方から後方に向けて流しつつ、ダイナモローラー38の回転により車輪WHを回転させる車両Vの走行模擬段階とから構成され、隙間Cを狭める段階は、連行気流抑制手段21により実現可能である。
この場合、隙間を狭める段階は、連行気流抑制手段21を用いて行うが、連行気流抑制手段21は、取り外し式または可動式であり、車輪WHが対応する開口36に位置決めされるように、車両Vを床面FL上で移動する際は、連行気流抑制手段21を取り外し、または可動として、車両Vの移動後に、取り付ける段階を有するのがよい。
その際、ダイナモローラー38の回転によって発生する連行気流、および/またはダイナモ設置室39と車両Vの下面LSと床面FLとの間の静圧差によりダイナモ設置室39側からの流入空気によって発生する連行気流が、不可避的に発生し、車両Vの下面LSと床面FLとの間のスぺース内で風洞T外の測定室109のジェット気流MFが乱されるところ、開口36とダイナモローラー38の周縁との間の隙間Cに連行気流抑制手段21を設けることにより、および/または、ダイナモローラー38の開口36の後方の所定位置に、境界層吸い込み面12が位置するように境界層制御装置10を設けることにより、このような連行気流が床面FLの開口36を通じて、車両V下面LSと床面FLとの間のスぺースに及ぶのを抑制することが可能であり、以て、車両Vの走行に応じて生じる風速を模擬する風洞T内のジェット気流MFが車両Vの下面LSと床面FLとの間のスぺース内で乱されることを低減することが可能である。
なお、車両Vが四輪駆動の場合には、ダイナモローラー38を利用して、前輪FWおよび後輪RWを同時に回転させることから、各車輪WHに対応する開口36に対して、連行気流抑制手段21を適用するのがよいが、車両VがFFまたはFRの場合には、 駆動されない後輪RWまたは前輪FWに対応する開口36に対しては、ダイナモローラー38を利用する必要がなく、車両Vの床下気流を重視する試験の場合には、開口36とダイナモローラー38とを一体で移動したり、開口36に蓋をするのがよい。
コンピューターによる数値シミュレーション用の3次元モデルを図7に示す。
流動解析ソフトは、市販されているFluent (version 19.2)である。
図7および図12に示すように、床面に配置される車両、前輪および後輪、および吸い込みダクトをモデル化しており、吸い込みダクトは、各前輪の下方に設置するダイナモローラ―用開口の後方(12Fおよび12G)、および一対の前輪の間と一対の後輪の間を延びるスペース(12A)、および一対の前輪の前部と一対の後輪の後部とをカバーする各車輪と境界層吸い込み面の縁との間のスペースに設置され、車両の前後方向に延びる中心線に関して軸対称であることから、車両の前後方向に延びる中心線に関して、一方の側のみをモデル化している。
ダイナモローラ―用開口の後方の吸い込みダクト(12Fおよび12G)の有無、ダイナモローラ―用開口における連行気流抑制手段の有無、一対の前輪の間と一対の後輪の間を延びる中央部の吸い込みダクト(12A)の有無および仕切りの有無、境界吸い込み面における抵抗体の有無、および各区画における吸い込み量をパラメータとしている。
床面に配置される車両に向かって、前後方向に流れる気流を前提に、吸い込みダクトから空気を吸い込む点を模擬している。
シミュレーション結果として、車両まわりの静圧分布の側面図を図8および図9、車両まわりの風速分布の側面図を図10および図11、車両下面の風速分布の平面図を図13ないし図15に示す。
図13によれば、各前輪の後方エリアの風速の低いゾーン(青色)の両側において後方に向かう風速の低いゾーン(緑色)が形成されており、これが連行気流を示す。
図8に示すように、車両下面に対向する床面の下方に、車両の前部から後部に亘って吸い込みダクトを設ける場合には、車両下面と床面との間のスペース内において、車両前後方向の中央部あたりの境界層吸い込み面には、スペース内の他の部位に比べて静圧の低い部分が存在する。
このような静圧の低い部分の存在により、車両下面と床面との間のスペース内静圧と、対応する床面下方の吸い込みダクト内の静圧との差が、車両前後方向の位置により、異なる。それにより、図10に示すように、境界層吸込み面における吸込み気流の風速ムラが生じ、このために車両下面と床面との間のスペース内の気流に実走行と異なる風速分布および/または流れ方向が引き起される。このような風速分布および/または流れ方向が発生している状態では、床面近傍の境界層吸い込みはなされるとしても、静止車両による走行模擬した精緻な試験を行うことが困難である。
図14によれば、ダイナモローラー開口の隙間に設けた連行流抑制、およびダイナモローラー開口の後方に設けた連行流抑制兼境界層吸込みにより、各前輪の後方エリアの風速の低いゾーン(青色)の両側において後方に向かう風速の低いゾーン(緑色)が風速の高いゾーン(黄色)に変わっている。一方、車両前後方向の中央部の気流は、境界層吸込みの未設定による実走行と異なる風速分布および/または流れ方向が引き起される状態となっている。
図9に示すように、12Aにおいて、車両下面に対向する床面の下方に、車両の前部から後部に亘って吸い込みダクトを設け、吸い込みダクトを車両の前後方向に仕切る(5区画)とともに、12Gおよび12Fも含め、吸い込み量を設定し、各区画に対応する境界層吸い込み面に、所与抵抗係数の抵抗体を設ける場合には、車両下面と床面との間のスペース内静圧は、境界層吸い込み面近傍に亘って車両の前後方向に一様に、区画それぞれのダクト内静圧よりも高い状態が明示され、車両前後方向の中央部あたりの境界層吸い込み面には、静圧の低い部分が解消されている点が明示されている。
よって、図11に示すように、車両下面と床面との間のスペース内の気流に実走行と異なる風速分布および/または流れ方向が発生するのが抑制され、床面近傍の境界層吸い込みを行うことにより、静止車両による走行模擬した精緻な試験を行うことが可能となる。
図15によれば、境界層吸込み設定の適正化により、各前輪の後方エリアの風速の低いゾーン(青色)の両側において後方に向かう風速の低いゾーン(緑色)が風速の高いゾーン(赤、橙色)に変わっている。
よって、境界層吸込み設定の適正化により、実走行と異なる風速分布および/または流れ方向が発生するのが抑制され、床面近傍の境界層吸い込みを行うことにより、静止車両による走行模擬した精緻な試験を行うことが可能となる。
たとえば、本実施形態においては、車両Vの一対の前輪FWそれぞれに対応する開口36の後方に、開口36の車両Vの幅方向の両側に配置される境界層吸い込み面12R1、12R2(右前輪側)、および境界層吸い込み面12L1、12L2(左前輪側)を設けるものとして説明したが、それに限定されることなく、境界層吸い込み手段が、開口36を通じて、車両下面と床面との間のスペースに及ぶのを抑制する連行気流抑制手段を兼ねることが可能である限り、境界層吸い込み面12R1、12R2のいずれか一方、境界層吸い込み面12L1、12L2のいずれか一方でもよく、一方の前輪には、いずれか一方、他方の前輪には、両方設けるのでもよい。
たとえば、本実施形態においては、各車輪に対してダイナモが床面下方に配置されているものとして説明したが、ダイナモが床面下方でなく、測定室内の床面よりも上部に設置される場合もあり、この場合には、ダイナモローラーによりダイナモを回転することにより、車輪が回転するのでなく、ダイナモがタイヤの回転軸と直結となることから、境界層吸込み面は、ダイナモローラーが無いので、各車輪を外したエリアに配置されることになる。
たとえば、本実施形態においては、境界層制御装置において、吸い込みダクトの仕切られた各領域において、境界層の吸い込み量を制御するのに、境界層吸い込み面に設ける抵抗体、吸い込む管に設けるダンパー27、吸い込みに利用する送風機の回転数または送風機内のダンパー27、いずれかを調整することにより行うものとして説明したが、各領域において、主流に阻害が生じないように境界層を適切に吸い込み可能である限り、各領域において、たとえば、ある領域は境界層吸い込み面に設ける抵抗体、別の領域は吸い込む管に設けるダンパー27等、異なる調整方法を用いてもよく、また、同じ領域において、境界層吸い込み面に設ける抵抗体、および送風機の回転数等の複数の調整方法を用いてもよい。
T 風洞
WH 車輪
RW 後輪
FW 前輪
W 幅方向
B1,B2 連行気流
C 隙間
LS 下面
FL 床面
MF ジェット気流
SW 渦
10A 第1境界層制御装置
10B 第2境界層制御装置
12 境界層吸い込み面
14 吸い込みダクト
16 複数の領域
18 吸い込み手段
20 吸い込み量調整手段
21 連行気流抑制板
22 仕切板
24 抵抗体
26 吸い込み管
27 ダンパー
29 送風機
30 インバータ
32 静圧差調整手段
34 走行模擬設備
36 開口
38 ダイナモローラー
39 ダイナモ設置室
23 最上部
24 上流側縁
28 下流側縁
35 センタリングパイプ
100 走行模擬試験設備
101 ファン
102 整流洞
103 送風路
104 縮流洞
105 コーナーベーン
106 吹出し口
107 流入部
108 流入口
109 測定室
Claims (3)
- 静止車両を走行模擬する走行模擬試験設備であって、
走行模擬試験設備は、風洞内で発生させるジェット気流を静止車両に吹き付ける風洞設備と、静止車両の車輪を回転駆動する走行模擬設備とを有し、
該走行模擬設備は、各車輪下方の床面に配置され、
床面に設けられた開口と、
該開口に対して、非接触式に回転可能に設けられる円筒状ダイナモローラーと、
該ダイナモローラーを円筒の中心軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段とを有し、
該ダイナモローラーは、円筒の中心軸線が床面下方に位置するように配置され、
前記ダイナモローラーの前記開口から臨む外周面に、車両の車輪を載置した状態で、前記ダイナモローラーを回転駆動することにより、車両の走行を模擬し、
さらに、前記走行模擬設備の後方に、境界層制御装置が設けられ、
該境界層制御装置は、
車両下面と床面との間のスペース内に生じるジェット気流の境界層を吸い込み可能なように、車両が覆うように上方に配置される境界層吸い込み面が床面に設けられ、
床面の下方には、該境界層吸い込み面に臨む吸い込みダクトが設けられ、
該境界層吸い込み面を介して、境界層を吸い込む吸い込み手段と、吸い込み手段により吸い込む境界層の吸い込み量を調整する吸い込み量調整手段とを、有し、
さらに、ジェット気流が車両下面と床面との間のスペースを車両の前後方向に流れる際、該吸い込み量調整手段により調整された吸い込み量に基づいて、該吸い込み手段により境界層を吸い込むことに起因して発生する車両下面と床面との間のスペースの車両前後方向の静圧分布を調整可能な静圧分布調整手段を有し、
前記境界層吸い込み面は、車両の下面に対向する床面において、前記ダイナモローラーの前記開口の後方の所定位置に位置決めされ、
前記境界層制御装置の前記境界層吸い込み手段が、前記ダイナモローラーの回転によって発生する連行気流、および/またはダイナモ設置室と車両下面と床面との間の静圧差によりダイナモ設置室側からの流入空気によって発生する連行気流が、前記開口を通じて、車両下面と床面との間のスペースに及ぶのを抑制する連行気流抑制手段を兼ね、
前記静圧分布調整手段は、ジェット気流が車両下面と床面との間のスペースを車両の前後方向に流れる際の、車両下面と床面との間のスペースの第1静圧を測定する第1静圧測定手段と、床面下方の該吸い込みダクト内の第2静圧を測定する第2静圧測定手段と、第1静圧と第2静圧との静圧差を調整可能な静圧差調整手段とを有する、ことを特徴とする走行模擬試験設備。
- 静止車両を走行模擬する走行模擬試験設備であって、
走行模擬試験設備は、風洞内で発生させるジェット気流を静止車両に吹き付ける風洞設備と、静止車両の車輪を回転駆動する走行模擬設備とを有し、
該走行模擬設備は、各車輪下方の床面に配置され、
床面に設けられた開口と、
該開口に対して、非接触式に回転可能に設けられる円筒状ダイナモローラーと、
該ダイナモローラーを円筒の中心軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段とを有し、
該ダイナモローラーは、円筒の中心軸線が床面下方に位置するように配置され、
前記ダイナモローラーの前記開口から臨む外周面に、車両の車輪を載置した状態で、前記ダイナモローラーを回転駆動することにより、車両の走行を模擬し、
さらに、前記走行模擬設備の後方に、境界層制御装置が設けられ、
該境界層制御装置は、
車両下面と床面との間のスペース内に生じるジェット気流の境界層を吸い込み可能なように、車両が覆うように上方に配置される境界層吸い込み面が床面に設けられ、
床面の下方には、該境界層吸い込み面に臨む吸い込みダクトが設けられ、
該境界層吸い込み面を介して、境界層を吸い込む吸い込み手段と、吸い込み手段により吸い込む境界層の吸い込み量を調整する吸い込み量調整手段とを、有し、
さらに、ジェット気流が車両下面と床面との間のスペースを車両の前後方向に流れる際、該吸い込み量調整手段により調整された吸い込み量に基づいて、該吸い込み手段により境界層を吸い込むことに起因して発生する車両下面と床面との間のスペースの車両前後方向の静圧分布を調整可能な静圧分布調整手段を有し、
前記境界層吸い込み面は、車両の下面に対向する床面において、前記ダイナモローラーの前記開口の後方の所定位置に位置決めされ、
前記境界層制御装置の前記境界層吸い込み手段が、前記ダイナモローラーの回転によって発生する連行気流、および/またはダイナモ設置室と車両下面と床面との間の静圧差によりダイナモ設置室側からの流入空気によって発生する連行気流が、前記開口を通じて、車両下面と床面との間のスペースに及ぶのを抑制する連行気流抑制手段を兼ね、
前記吸い込みダクトは、前記吸い込み手段に連通接続される吸い込み管を有し、該吸い込み管には、ダンパーが付設される、ことを特徴とする走行模擬試験設備。
- 静止車両を走行模擬する走行模擬試験設備であって、
走行模擬試験設備は、風洞内で発生させるジェット気流を静止車両に吹き付ける風洞設備と、静止車両の車輪を回転駆動する走行模擬設備とを有し、
該走行模擬設備は、各車輪下方の床面に配置され、
床面に設けられた開口と、
該開口に対して、非接触式に回転可能に設けられる円筒状ダイナモローラーと、
該ダイナモローラーを円筒の中心軸線を中心に回転駆動する回転駆動手段とを有し、
該ダイナモローラーは、円筒の中心軸線が床面下方に位置するように配置され、
前記ダイナモローラーの前記開口から臨む外周面に、車両の車輪を載置した状態で、前記ダイナモローラーを回転駆動することにより、車両の走行を模擬し、
さらに、前記走行模擬設備の後方に、境界層制御装置が設けられ、
該境界層制御装置は、
車両下面と床面との間のスペース内に生じるジェット気流の境界層を吸い込み可能なように、車両が覆うように上方に配置される境界層吸い込み面が床面に設けられ、
床面の下方には、該境界層吸い込み面に臨む吸い込みダクトが設けられ、
該境界層吸い込み面を介して、境界層を吸い込む吸い込み手段と、吸い込み手段により吸い込む境界層の吸い込み量を調整する吸い込み量調整手段とを、有し、
さらに、ジェット気流が車両下面と床面との間のスペースを車両の前後方向に流れる際、該吸い込み量調整手段により調整された吸い込み量に基づいて、該吸い込み手段により境界層を吸い込むことに起因して発生する車両下面と床面との間のスペースの車両前後方向の静圧分布を調整可能な静圧分布調整手段を有し、
前記境界層吸い込み面は、車両の下面に対向する床面において、前記ダイナモローラーの前記開口の後方の所定位置に位置決めされ、
前記境界層制御装置の前記境界層吸い込み手段が、前記ダイナモローラーの回転によって発生する連行気流、および/またはダイナモ設置室と車両下面と床面との間の静圧差によりダイナモ設置室側からの流入空気によって発生する連行気流が、前記開口を通じて、車両下面と床面との間のスペースに及ぶのを抑制する連行気流抑制手段を兼ね、
前記吸い込みダクト内に吸い込まれるジェット気流の淀み圧を低減する淀み圧低減手段をさらに有する、ことを特徴とする走行模擬試験設備。
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2023
- 2023-03-14 JP JP2023533972A patent/JP7397392B1/ja active Active
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