以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。まず、第1の実施形態について説明する。なお、以下で説明する各実施形態について、同様の構成又は処理については同じ符号を付して説明を省略することがある。
[混注装置1]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る混注装置1は、混注制御部100、薬品装填部200、混注処理部300、収容ユニット700、及び攪拌装置32を備える。前記混注装置1は、病院などの医療施設に設置される。そして、前記混注装置1では、前記混注制御部100により調製データに基づいて前記混注処理部300及び前記収容ユニット700の動作が制御されることによって、注射器で、調製データに示された抗がん剤などの薬品を既定量の薬品が収容された一又は複数のアンプル又はバイアル瓶などの第1容器から輸液バッグなどの第2容器に注入する混注処理が実行される。また、前記混注処理には、注射器でアンプル又はバイアル瓶などの第1容器から薬品を吸引して他のアンプル又はバイアル瓶などの第2容器に注入する処理なども含まれる。
[混注制御部100]
まず、図1を参照しつつ前記混注制御部100の概略構成について説明する。前記混注制御部100は、通信可能に接続された第1制御部400及び第2制御部500を備える。前記第1制御部400は、前記薬品装填部200側に設けられ、前記第2制御部500は、前記混注処理部300側に設けられている。また、前記第2制御部500には、モノクロプリンタ、カラープリンタ、又はラベルプリンタなどのプリンタ506(印刷装置)が接続され、当該プリンタ506は、紙又はラベルなどに対する各種情報の印刷に用いられる。
本実施形態で説明する前記第1制御部400及び前記第2制御部500各々の処理分担は一例に過ぎず、前記混注制御部100で実行される各処理は前記第1制御部400及び前記第2制御部500のいずれかによって実行されればよい。また、他の実施形態として、前記混注制御部100が、一つの制御部であること、又は三つ以上の制御部を有することも考えられる。なお、前記第1制御部400及び前記第2制御部500で実行される処理の一部又は全部が、ASIC又はDSPなどの電子回路により実行されてもよい。
また、前記第1制御部400は、前記混注装置1に調製データを入力する電子カルテシステム又は調剤管理システムなどの上位システム600との間で通信可能である。前記調製データは、処方データに基づいて生成される調製用のデータ又は前記処方データそのものである。前記処方データには、例えば処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量など)、剤形情報(内服、外用など)、用法情報(1日3回毎食後など)、診療種別(外来、入院など)、診療科、病棟、及び病室などが含まれる。また、前記調製データには、例えば調製ID、患者情報(患者ID、患者名など)、医師情報、薬品情報、薬品の処方量、薬品容器の種類(薬液入りアンプル、薬液入りバイアル瓶、又は粉薬入りバイアル瓶など)、調製内容情報(混注処理に使用する薬品容器、注射器、注射針の種類及び本数等)、調製手順情報(作業内容、溶解薬、溶媒、溶解薬量、溶媒量、抜取量)、調製日、処方箋区分、投薬日、診療科、病棟、調製終了指定時期(又は開始予定時間)、所要時間などが含まれる。
前記第1制御部400は、CPU401、ROM402、RAM403、データ記憶部404、及び操作部405などを備えるパーソナルコンピュータである。また、前記第1制御部400には、前記薬品装填部200に設けられた後述のタッチパネルモニタ203、バーコードリーダ204、及び空気清浄装置205などの各種の電気部品が接続されている。
前記CPU401は、各種の制御プログラムに従って処理を実行するプロセッサーである。前記ROM402は、前記CPU401により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM403は、前記CPU401による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
前記データ記憶部404は、前記CPU401に各種の処理を実行させるための各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク等の不揮発性の記憶装置である。例えば、前記データ記憶部404には、前記上位システム600から入力される前記調製データが記憶される。
なお、前記第1制御部400は、前記上位システム600から入力された前記調製データと共に、前記調製データごとに対応する後述のトレイ101の識別情報を前記データ記憶部404に記憶する。具体的に、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応付けは、前記第1制御部400によって行われる。また、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応関係を示す情報が、前記調製データと共に前記上位システム600から前記混注装置1に入力されることも考えられる。
また、前記データ記憶部404には、例えば医薬品マスター、患者マスター、医師マスター、処方箋区分マスター、診療科マスター、及び病棟マスターなどの各種データベースが記憶されている。前記医薬品マスターには、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬(粉薬)、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、抗がん剤、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、薬品容器の種別(アンプル、バイアル瓶)、薬品容器単位の薬品の収容量(既定量)、薬品容器の容器形状情報、及び薬品容器の重量などの情報が含まれる。また、前記医薬品マスターでは、残薬として使用する薬品には残薬保存対象薬品である旨が予め登録されており、前記第1制御部400は、前記残薬保存対象薬品として登録された前記薬品容器10を残薬として使用する対象と判断することが考えられる。
さらに、前記データ記憶部404には、前記CPU401に各種の処理を実行させるための第1混注制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記第1混注制御プログラムは、前記第1制御部400が備える不図示の読取装置によって、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体から読み取られて前記データ記憶部404にインストールされてもよい。
前記操作部405は、前記第1制御部400における各種のユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス、又はタッチパネルなどの各種の操作部を含む。
前記第2制御部500は、CPU501、ROM502、RAM503、データ記憶部504、操作部505などを備えるパーソナルコンピュータである。前記第2制御部500には、前記混注処理部300に設けられた後述の第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22、トレイ搬送部110、タッチパネルモニタ14、ICリーダ101c、ICリーダ15a、トレイ確認カメラ41、注射器確認カメラ42などの各種の電気部品が接続されている。
前記CPU501は、各種の制御プログラムに従って処理を実行するプロセッサーである。前記ROM502は、前記CPU501により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM503は、前記CPU501による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
前記データ記憶部504は、前記CPU501に各種の処理を実行させるための各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク等である。具体的に、前記データ記憶部504には、前記CPU501に後述の混注処理などを実行させるための第2混注制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記第2混注制御プログラムは、前記第2制御部500が備える不図示の読取装置によって、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体から読み取られて前記データ記憶部504にインストールされてもよい。また、前記データ記憶部504にも、前記データ記憶部404と同様の前記医薬品マスターが記憶されており、前記第2制御部500は前記医薬品マスターを参照可能である。他の実施形態としては、前記第2制御部500が、前記第1制御部400を介して前記医薬品マスターの情報を取得可能な構成であってもよい。
なお、本発明は、前記混注制御部100において前記CPU401及び前記CPU501に各種の処理を実行させるための前記第1混注制御プログラム、前記第2混注制御プログラム、若しくは前記第1混注制御プログラム及び前記第2混注制御プログラムを統合した混注制御プログラムの発明として捉えてもよい。また、本発明は、前記第1混注制御プログラム、前記第2混注制御プログラム、若しくは前記第1混注制御プログラム及び前記第2混注制御プログラムを統合した混注制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の発明として捉えてもよい。さらに、本発明は、前記混注装置1において実行される一又は複数の処理手順を含む混注方法の発明として捉えてもよい。
前記操作部505は、前記第2制御部500における各種のユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス、又はタッチパネルなどの各種の操作部を含む。
[薬品装填部200]
次に、図2及び図3を参照しつつ、前記薬品装填部200の概略構成について説明する。なお、図3は、前記薬品装填部200の内部構成の要部を示す図であり、前記収容ユニット700の記載は省略されている。
図2及び図3に示すように、前記薬品装填部200は、扉201、作業テーブル202、タッチパネルモニタ203、バーコードリーダ204、及び空気清浄装置205を備えるクリーンベンチである。なお、前記薬品装填部200と前記混注処理部300とは、前記混注処理部300の側面に形成されたトレイ装填口114(図6参照)及びトレイ排出口701(図21参照)で連通している。
前記作業テーブル202は、前記混注装置1により実行される混注処理の準備作業を行うために用いられ、前記作業テーブル202には、前記バーコードリーダ204及び前記トレイ101などが載置される。また、前記作業テーブル202の前面には、前記収容ユニット700から排出される前記トレイ101を取り出す際に開閉されるトレイ排出口206が設けられている。また、前記作業テーブル202内には、前記作業テーブル202に載置された前記トレイ101の前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能なICリーダ207(図21参照)が設けられている。なお、前記ICリーダ207による読取結果は前記第1制御部400に入力される。
前記タッチパネルモニタ203は、前記第1制御部400からの制御指示に応じて各種の情報を表示させる液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部と、ユーザーのタッチ操作を受け付けるタッチパネルなどの操作部とを含む。具体的に、前記タッチパネルモニタ203には、前記混注装置1における混注対象の候補となる調製データなどが表示される。なお、前記第2制御部500が、前記第1制御部400を介して前記タッチパネルモニタ203に情報を表示可能であり、前記第1制御部400を介して前記タッチパネルモニタ203に対する操作入力を受付可能であってもよい。
また、前記バーコードリーダ204は、処方箋又は調製指示書などに記載されたバーコードを読み取って、前記バーコードの内容を前記第1制御部400に入力する。前記空気清浄装置205は、前記薬品装填部200内に所定のフィルターを通じて空気を供給する。なお、前記タッチパネルモニタ203は、例えば前記収容ユニット700が備える前面パネル700A(図18~図21参照)に支持されていてもよい。
前記扉201は、前記薬品装填部200の前面に設けられており、鉛直上下方向に開閉可能な透明な部材である。なお、前記扉201は省略されてもよい。ユーザーは、図2に示すように、前記扉201を少し開いて手を前記薬品装填部200内に入れた状態で、前記混注装置1により実行される混注処理の準備作業を行う。具体的に、前記作業テーブル202上に載置されているトレイ101には、図5に示すように、前記混注装置1で実行される混注処理で使用する薬品容器10(第1容器の一例)、注射器11、及び輸液バッグ12(第2容器の一例)などが収容される。なお、前記輸液バッグ12には、前記輸液バッグ12の種別に対応する既定量の生理用食塩水、ブドウ糖、又は高カロリー輸液などの輸液が収容されている。また、前記薬品容器10に収容されている薬品は、例えば抗がん剤であるが、抗がん剤以外の薬品であってもよい。前記準備作業には、例えば前記トレイ101の所定の位置に前記薬品容器10、前記注射器11、及び前記輸液バッグ12を載置させ、前記トレイ101を前記収容ユニット700に装填する装填作業が含まれる。以下では、前記薬品容器10がアンプルである場合には、前記薬品容器10をアンプル10Aと称し、前記薬品容器10がバイアル瓶である場合には、前記薬品容器10をバイアル瓶10Bと称することがある。
図5に示すように、前記トレイ101は、患者名(患者識別情報)、レジメン名(レジメン識別情報)、及び施用などが文字表示される電子ペーパー101aと、各種の情報が読み書き可能なRFID(Radio Frequency Identification)タグのようなICタグ101bとを有する。前記ICタグ101bは、前記トレイ101の底面に設けられており、前記ICタグ101bは、前記トレイ101を識別するための識別情報が記憶される記録媒体である。
前記トレイ101は、前記薬品容器10及び前記注射器11(シリンジ11a、注射針11c、キャップ11d)が載置される器材載置部102(図9参照)と、前記輸液バッグ12を保持する輸液バッグ保持部103(図5参照)とを有する。前記器材載置部102及び前記輸液バッグ保持部103は前記トレイ101に対して個別に着脱可能である。
前記器材載置部102には、図5に示すように、前記アンプル10Aを傾斜した状態で支持する支持部102Aが設けられている。そして、前記アンプル10Aは、前記支持部102Aで斜めに立てられた状態でセットされる。これにより、前記アンプル10Aの首部に薬品が溜まらない。また、前記アンプル10Aの他、前記キャップ11dが装着された注射針11cなども前記支持部102Aに斜めに立てられた状態でセットされる。
前記バイアル瓶10B及び前記注射器11は、図5及び図9に示すように、前記器材載置部102に寝かせた状態でセットされる。なお、このとき前記注射器11は、シリンジ11a及び注射針11cが分離した状態である。もちろん、ここで説明する前記器材載置部102内の配置形態は例示であり、これに限定されるものではない。
前記輸液バッグ保持部103には、図5に示すように、前記輸液バッグ12の混注口(首部)を固定するためのチャック部140が設けられている。前記準備作業では、ユーザーが前記輸液バッグ12を前記チャック部140で保持させた状態で前記輸液バッグ保持部103にセットする。また、前記輸液バッグ保持部103には、前記輸液バッグ保持部103を昇降させる際に使用される係合穴部103aが設けられている。
そして、前記トレイ101は、ユーザーにより前記薬品容器10、前記注射器11及び前記輸液バッグ12などの器材がセットされた後、前記収容ユニット700に収容される。なお、後述するように、前記収容ユニット700には複数の前記トレイ101が収容可能であり、前記収容ユニット700から必要に応じて前記トレイ101が前記トレイ排出口701及び前記トレイ装填口114を通じて前記混注処理部300に自動的に供給される。その後、前記トレイ101は、前記混注処理部300における前記混注処理の終了後、前記輸液バッグ12が収容された状態で、前記混注処理部300のトレイ排出口15(図3参照)から排出され、又は、前記収容ユニット700を介して前記薬品装填部200のトレイ排出口206(図3参照)から排出される。
[混注処理部300]
続いて、前記混注処理部300の概略構成について説明する。
図2~図4に示すように、前記混注処理部300の前面には、主扉301、注射器取出扉302、ゴミ収容室扉13、タッチパネルモニタ14、及びトレイ排出口15などが設けられている。
前記主扉301は、例えば前記混注処理部300に設けられた混注処理室104内の清掃、又は前記薬品容器10の取り出しなどの目的で、前記混注処理室104内にアクセスするために開閉される。薬品が注入された前記輸液バッグ12を払い出す他に、薬品が充填された状態で前記注射器11を払い出すことも可能であり、前記注射器取出扉302は、前記混注処理室104から前記注射器11を取り出す際に用いられる。
前記ゴミ収容室扉13は、前記混注処理室104における混注処理で使用された後の前記薬品容器10及び前記注射器11などの廃棄物が収容されるゴミ収容室13aから前記廃棄物を除去するために開閉される。また、前記トレイ排出口15は、前記混注処理室104における混注処理により薬品が混注された後の前記輸液バッグ12が載置された前記トレイ101を取り出すために開閉される。
前記タッチパネルモニタ14は、前記第2制御部500からの制御指示に応じて各種の情報を表示させる液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部と、ユーザーのタッチ操作を受け付けるタッチパネルなどの操作部とを含む。前記タッチパネルモニタ14には、例えば後述の各種カメラによって撮影される画像又は映像が表示可能である。なお、前記第1制御部400が、前記第2制御部500を介して前記タッチパネルモニタ14に情報を表示可能であり、前記第2制御部500を介して前記タッチパネルモニタ14に対する操作入力を受付可能であってもよい。
また、図4に示されるように、前記ゴミ収容室13aには、前記輸液バッグ12に収容された輸液などの液体を廃棄するための廃棄容器13bと、前記廃棄容器の重量を計測する秤量計13cとが設けられている。なお、前記廃棄容器13bは、前記ゴミ収容室扉13が開かれた状態で、前記ゴミ収容室13aに対して着脱可能である。また、前記混注処理室104内の底面には、前記廃棄容器13bの上方に、前記廃棄容器13bに連通する連通口(不図示)が形成されている。そして、後述の第2ロボットアーム22は、前記注射器11を操作して前記注射器11内の液体を前記連通口から前記廃棄容器13b内に廃棄することが可能である。
前記秤量計13cは、例えば前記廃棄容器13bの重量に対応する電気信号を前記第2制御部500に入力するロードセルを有する。これにより、前記第2制御部500は、前記廃棄容器13bへの液体の廃棄前後の前記秤量計13cによる前記廃棄容器13bの秤量結果に基づいて、液体の廃棄時にその液体の廃棄量を取得することが可能である。例えば、前記第2制御部500は、前記注射器11から廃棄される液体の量を、前記調製データ等に基づいて定まる廃棄量と照合し、照合結果が不一致である場合にエラーを前記タッチパネルモニタ14等に表示してユーザーに報知する。また、前記第2制御部500は、前記照合結果を前記混注処理の履歴情報として前記データ記憶部504に記録する。これにより、前記注射器11からの廃棄量の整合性チェック及び廃液量の管理を正確に行うことが可能である。
[混注処理室104]
図3及び図4に示すように、前記混注処理室104には、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22、アンプルカッター31、前記攪拌装置32、載置棚33、薬品読取部34、秤量計35、針曲り検知部36、混注連通口37、針挿入確認透明窓38、及びゴミ蓋132aなどが設けられている。さらに、図6に示すように、前記混注処理室104の天井側には、トレイ確認カメラ41、注射器確認カメラ42、注射針着脱装置43、針挿入確認カメラ44、殺菌灯45などが設けられている。
[第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22]
前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22は、多関節構造を有する駆動部であり、前記混注処理室104の天井側に基端部を固定して垂下状に設けられている。例えば、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の関節はそれぞれ5軸~8軸である。そして、前記混注装置1では、双腕型の前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により混注処理における各作業工程が実行される。
具体的に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の各関節に設けられた駆動モーターを個別に駆動させ、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22に前記混注処理における各作業を実行させる。なお、前記混注処理部300は、前記混注処理を実行することができる構造であれば、例えば1本のロボットアームを有する構成、3本以上のロボットアームを含む構成、又はロボットアームを用いない構成であってもよい。
図6に示すように、前記第1ロボットアーム21は、前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材を保持することが可能な保持部25を備え、前記保持部25を予め定められた可動範囲内において任意の位置に移動させることが可能である。前記第2ロボットアーム22は、前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材を保持することが可能な保持部26を備え、前記薬品容器10及び前記注射器11などを予め定められた可動範囲内において任意の位置に移動させることが可能である。また、前記保持部26は、前記注射器11による薬品の吸引及び注入の操作を実行することが可能である。
図7に示すように、前記第1ロボットアーム21の前記保持部25は、一対の把持爪25aと、モーター251と、前記モーター251によって回転される2本のねじシャフト252、253と、前記ねじシャフト252、253に螺合されたナットブロック254、255とを備える。前記一対の把持爪25aは、前記ナットブロック254、255にそれぞれ固定されている。そして、前記ねじシャフト252、253の回転によって前記ナットブロック254、255が移動し、前記一対の把持爪25aが相互に近接及び離間して前記保持部25で前記薬品容器10等を保持し又はその保持を解放する。
また、前記一対の把持爪25aは、前記バイアル瓶10Bの保持に適した凹部を有すると共に、先端側には前記アンプル10Aの保持に適した凹部を有する把持部である。図7では、前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bの両方が保持されている様子を示しているが、実際には一つの前記アンプル10A又は前記バイアル瓶10Bを保持する。
また、前記保持部25は、前記一対の把持爪25aによって、キャップ11dが装着された注射針11c又は前記注射器11を保持することも可能である。ところで、前記第2制御部500は、前記保持部25の前記一対の把持爪25aで前記注射器11を保持した際の前記モーター251の駆動量に応じて、前記注射器11の直径を測定することが可能である。従って、前記第2制御部500は、前記注射器11が前記調製データの調製内容情報で指定された注射器であるかどうかを判断することができる。
図8に示すように、前記第2ロボットアーム22の前記保持部26は、注射器保持部261、プランジャ保持部262及び移動部263を備える。前記注射器保持部261は、前記注射器11のシリンジ11aを保持する一対の把持爪261aを備えている。前記一対の把持爪261aは、前記保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、相互に近接及び離間して前記注射器11の前記シリンジ11aを保持及び解放する把持部である。また、前記一対の把持爪261aにおいては、互いに対向する対向面に、前記把持爪261aの上端面から前記対向面へ向けて下り傾斜する傾斜部261bが形成されている。
前記プランジャ保持部262は、前記注射器11のプランジャ11bの鍔部を保持する一対の把持爪262aを備えている。前記一対の把持爪262aは、前記保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、相互に近接及び離間して前記注射器11の前記プランジャ11bの鍔部を保持及び解放する把持部である。前記把持爪262a各々の上面には把持爪262bが固定されている。前記把持爪262b各々は、前記一対の把持爪262aを近接及び離間させることで近接及び離間し、前記注射器11だけではなく前記薬品容器10などの他の器材を把持する把持部である。なお、前記一対の把持爪262aの対向側の上面には前記プランジャ11bの鍔部が入り込むための凹部が形成されている。また、前記一対の把持爪262bの先端は前記一対の把持爪262aよりも前方に突出しており、前記一対の把持爪262bによる前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bなどの器材の把持が容易である。なお、前記把持爪262bは前記把持爪261aに設けられていてもよい。
前記移動部263は、前記プランジャ保持部262を前記注射器11のプランジャ11bの移動方向に移動させることが可能である。前記移動部263は、例えば、モーター、前記モーターによって回転されるねじシャフト、前記ねじシャフトに螺合されたナットブロック、ガイド等の駆動機構により前記プランジャ11bを移動させる。前記プランジャ保持部262は、前記ナットブロックに固定されており、前記ナットブロックの移動によって移動する。
[トレイ搬送部110]
また、前記混注処理部300には、図6における右側端部の前記トレイ装填口114と左側端部のトレイ搬送終端部110aとの間で前記トレイ101を往復搬送可能なトレイ搬送部110が設けられている。
ここに、図9は、前記トレイ搬送部110における前記トレイ101の搬送経路の一例を示す平面模式図である。なお、前記トレイ搬送部110内は前記混注処理室104内よりも陽圧に設定されている。図9に示すように、前記トレイ搬送部110は、前記トレイ101を、前記混注処理室104の下方であって前記ゴミ蓋132aの下に位置する前記ゴミ収容室13aの後方側を通過させて搬送するように設けられている。これにより、前記混注装置1の正面側から前記ゴミ収容室13aにアクセスすることができる。図9では、前記トレイ搬送部110の搬送経路を示すために、前記トレイ搬送部110内を移動する前記トレイ101を二点鎖線で示しており、前記トレイ搬送部110内に同時に複数の前記トレイ101が存在するわけではない。なお、前記トレイ搬送部110が、前記トレイ搬送部110内において前記トレイ装填口114と前記トレイ搬送終端部110aとの間で、複数の前記トレイ101を同時に搬送可能な構成であってもよい。
前記トレイ搬送部110の前記トレイ搬送開始部110bには、前記トレイ装填口114から挿入される前記トレイ101を内部に引き込み、又は前記トレイ装填口114から前記トレイ101を排出することが可能な不図示のベルトコンベアーが設けられている。また、前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部10に設けられた前記ICタグ101bから情報を読み取り可能なICリーダ101c及びICリーダ15aが設けられている。例えば、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ15aは、RFIDタグから情報を読み取るRFIDリーダである。前記ICリーダ101cは、前記トレイ装填口114から前記トレイ101が装填されるトレイ搬送開始部110bに設けられており、前記ICリーダ15aは、前記トレイ101が前記トレイ排出口15から排出される前記トレイ搬送終端部110aに設けられている。
そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ装填口114から前記トレイ搬送開始部110bに挿入されたことを不図示のセンサ出力に基づいて判断すると、前記ICリーダ101cにより前記ICタグ101bから情報を読み取る。また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送終端部110aに挿入されたことを不図示のセンサ出力に基づいて判断すると、前記ICリーダ15aにより前記ICタグ101bから情報を読み取る。同様に、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送開始部110bから前記トレイ装填口114を介して前記収容ユニット700に向けて搬送される際にも、前記ICリーダ101cにより前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能である。そして、前記第2制御部500は、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ15aによる読取結果に応じて前記トレイ101の適否などを判断するトレイ照合処理などを実行する。
また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ装填口114を通って前記トレイ搬送部110内の所定位置に達したことを、例えばセンサ(不図示)の出力に基づいて判断すると、前記トレイ搬送部110及び前記混注処理室104を連通及び遮蔽させるシャッター111を水平方向にスライドさせて開放する。前記シャッター111が開けられると、前記器材載置部102が前記混注処理室104内に露出される。図9では、前記器材載置部102が前記混注処理室104内に露出された状態が示されている。
前記トレイ搬送部110には、図10に示されているように、前記トレイ装填口114を通って前記トレイ搬送部110内に移動された前記トレイ101における前記器材載置部102を昇降させるトレイ昇降部112が設けられている。前記トレイ昇降部112は、例えば昇降可能に設けられた4本のシャフト112aの上下方向の駆動により、前記器材載置部102を下から上方に持ち上げる。
そして、前記第2制御部500は、前記トレイ昇降部112によって前記器材載置部102を上昇させた後、前記トレイ確認カメラ41による撮影を行う。前記トレイ確認カメラ41は、予め定められた前記器材載置部102に載置された前記薬品容器10及び前記注射器11等を上方から撮影する。前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41の撮影画像を用いて画像認識処理を実行し、前記調製データで示されている数の前記薬品容器10及び前記注射器11(シリンジ11a及び注射針11c)などが前記器材載置部102上に存在しているかどうか等の判断を行う。
また、図10に示すように、前記混注処理室104の左側空間に位置する前記トレイ搬送終端部110aには、前記輸液バッグ保持部103を昇降させるバッグ昇降部113が設けられている。前記第2制御部500は、前記トレイ101を前記バッグ昇降部113の前まで搬送させた後、前記バッグ昇降部113のフック部113aを前記係合穴部103aに下から引っかける。そして、前記第2制御部500は、前記フック部113aが形成された円弧ギア部113bをモーター113cで回転駆動させることにより、前記輸液バッグ保持部103を上昇させ、前記輸液バッグ12の混注口を前記混注連通口37に位置させる。また、前記第2制御部500は、前記モーター113cを制御することにより、前記バッグ昇降部113を駆動させて前記輸液バッグ保持部103を傾斜させ、前記輸液バッグ12の混注口を上向き又は下向きにすることができる。
また、図6に示すように、前記トレイ搬送終端部110aの上方には、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12を照明するドーム型ライト120及び輸液用カメラ121が設けられている。前記輸液用カメラ121は、前記ドーム型ライト120内の中心部に設けられ、前記輸液バッグ12の表面に付されているバーコードを読み取る。これにより、前記第2制御部500では、前記輸液用カメラ121により読み取られた前記バーコードの情報に従って前記輸液バッグ12の適否を判断することが可能である。
[アンプルカッター31]
図11に示すように、前記アンプルカッター31には、ヤスリ部31a、屑トレイ31b、頭部差し込み部31c、駆動ボックス31f、屑ボックス31g、及び把持部31hが設けられている。
前記ヤスリ部31aは、前記アンプル10Aの首にノッチ加工をするための部材であり、前記屑トレイ31bには前記ヤスリ部31aにおけるノッチ加工で生じる屑が落下する。具体的に、前記混注装置1では、前記第1ロボットアーム21が前記アンプル10Aを保持し、前記アンプル10Aの首を前記ヤスリ部31aに当てた状態で摺動することにより前記アンプル10Aの首にノッチ加工が施される。
前記頭部差し込み部31cは、前記ノッチ加工が施された前記アンプル10Aの頭部が下方から差し込まれる孔31dと、前記孔31dから上方に突出された前記アンプル10Aの頭部の側方に位置するプッシャー31eとを有する。一方、前記駆動ボックス31fは、内部に設けられたカム及び前記カムを駆動する駆動モーターを有しており、前記駆動モーターにより前記カムが駆動されると、前記カムによって前記プッシャー31eが前記アンプル10Aの頭部に近接及び離間する方向に往復動作する。
そして、前記混注装置1では、前記第1ロボットアーム21が前記把持爪25aにより前記アンプル10Aを保持し、前記アンプル10Aの頭部を前記孔31dに下から差し込んで首部より上の頭部を上方に突出させる。その後、前記第2制御部500により、前記駆動ボックス31fの前記駆動モーターが駆動されて前記プッシャー31eが前記アンプル10Aの頭部を押す方向に移動されると、前記プッシャー31eにより前記頭部が押されて折れられる。このとき、前記プッシャー31eで折られた頭部は前記屑ボックス31g内に落ちる。なお、前記把持部31hは、前記アンプルカッター31を摺動可能に支持するレール31i(図4参照)に沿って前記アンプルカッター31を摺動させる際にユーザーが把持するために用いられる。
[攪拌装置32]
前記攪拌装置32は、前記バイアル瓶10Bに粉薬(散薬)などの溶解が必要な薬品が収容されている場合に、前記バイアル瓶10B内に輸液又は薬品などを注入して前記薬品を溶解させ、混合薬品を生成するときに使用される。具体的に、前記攪拌装置32は、前記バイアル瓶10B内の薬品を攪拌する攪拌工程で用いられる。なお、前記攪拌装置32は、前記主扉301が開放された場合に、ユーザーがアクセス可能な位置に配置されている。
前記攪拌装置32には、図12に示すように、ローラー32a、押さえ部32b、回動支持部32c、支持台32d、水平揺動機構32e、支持部32f、及び駆動モーター32gなどが設けられている。二つの前記ローラー32aは、所定の間隔だけ離間して対向配置されている。一方の前記ローラー32aは回動自在に支持され、他方の前記ローラー32aは前記駆動モーター32gに連結されている。なお、前記ローラー32a各々は軸方向に長尺状であり、前記攪拌装置32では、前記ローラー32aの軸方向の両端に載置される二つの前記バイアル瓶10Bを同時に攪拌することが可能である。
また、前記押さえ部32bは、前記ローラー32aに載置された前記バイアル瓶10Bを上から押さえるために用いられ、前記バイアル瓶10Bの回転に伴って回転する従動ローラーである。前記回動支持部32cは、不図示の駆動モーターによって前記押さえ部32bを前記バイアル瓶10Bに対して接触又は離間する方向に回動させる。
前記支持台32dは、前記ローラー32a、前記押さえ部32b、及び前記回動支持部32cなどを支持する。前記水平揺動機構32eは、例えばクランク機構を有しており、前記支持台32dを前記ローラー32aの軸方向に揺動させることが可能である。
前記支持部32fは、前記ローラー32aの軸方向の両端部に前記バイアル瓶10Bの首が嵌められるU字状の切り欠きを有する。前記ローラー32aに前記バイアル瓶10Bが載置される場合は、前記バイアル瓶10Bの首が前記切り欠きに係合される。これにより、前記支持台32dが前記水平揺動機構32eによって前記ローラー32aの軸方向に揺動される場合に、前記バイアル瓶10Bが前記ローラー32aの軸方向の揺動に追随して揺動し、前記バイアル瓶10B内の薬品が水平方向に攪拌される。
一方、二つの前記ローラー32aの間に、前記バイアル瓶10Bが載置され、前記駆動モーター32gが駆動されると、前記駆動モーター32gに連結された前記他方のローラー32aにより前記バイアル瓶10Bが回転され、前記バイアル瓶10B内の薬品が攪拌される。なお、このとき前記一方のローラー32aは、前記バイアル瓶10Bの回転により前記他方のローラー32aと同方向に回転する。また、前記ローラー32aの少なくとも一方が偏心駆動されるものであれば、前記ローラー32aに載置された前記バイアル瓶10Bを縦方向(上下方向)にも攪拌することが可能である。
[載置棚33]
図4に示すように、前記載置棚33は、前記混注装置1において実行される混注処理において前記薬品容器10及び前記注射器11などを仮置きするために用いられる。また、前記載置棚33には、前記混注処理で使用された薬品が残った前記薬品容器10の保存にも用いられる。前記載置棚33は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の双方がアクセス可能な位置に設けられている。前記載置棚33において、前記バイアル瓶10Bは予め定められた位置に立てた状態で載置される。一方、前記載置棚33には、前記アンプル10Aを傾斜した状態で保持するための傾斜保持部が設けられており、前記アンプル10Aは、前記傾斜保持部に傾斜した状態で載置される。また、前記載置棚33には、前記注射器11の首部が嵌る予め定められた所定径の首保持穴が形成されており、前記注射器11は、注射針11cが付けられていない状態で首部を下向きにして仮置きされる。
[薬品読取部34]
前記薬品読取部34は、前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bなどの前記薬品容器10に貼付されたラベルに記載され、収容された薬品の薬品情報を示すバーコードを読み取る。具体的に、前記薬品読取部34は、図13に示すように、二つのローラー34a、及びバーコードリーダ34bを備える。前記ローラー34aは、所定の間隔だけ離間して対向配置されている。一方の前記ローラー34aは回動自在に支持され、他方の前記ローラー34aは不図示の駆動モーターに連結されている。二つの前記ローラー34aは、前記駆動モーターによって駆動されることにより、前記ローラー34aの間に載置された前記薬品容器10を周方向に回転させる。これにより、前記薬品容器10を周方向に1回転させることができるため、前記薬品容器10に貼付されたラベルの全域を前記バーコードリーダ34bに向けることができる。そして、前記バーコードリーダ34bは、前記ローラー34aにより回転される前記薬品容器10のラベルからバーコードを読み取る。
[秤量計35]
前記秤量計35は、前記混注装置1において実行される混注処理において前記注射器11の重量を測定するために用いられ、前記秤量計35による測定結果は前記第2制御部500に入力される。なお、前記秤量計35は、前記第2ロボットアーム22の可動範囲内に配置されており、前記第2ロボットアーム22により載置された前記注射器11の重量を測定する。また、前記秤量計35とは別に、前記薬品容器10又は前記注射器11などを秤量する秤量計が前記載置棚33に設けられていることも考えられる。
[針曲り検知部36]
図14に示すように、前記針曲り検知部36には、前記注射器11の前記注射針11cを挿入して移動させることが可能な長穴36aが形成されている。また、前記針曲り検知部36は、前記長穴36aを挟んで検出光を照射及び受光し、互いの検出光が非平行となるように配置された第1光センサ361及び第2光センサ362を備える。即ち、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362の検出光の照射方向は異なっている。前記第1光センサ361及び第2光センサ362による検知結果は前記第2制御部500に入力される。
そして、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11に装着されている前記注射針11cが前記長穴36aに挿入されて上下方向に移動される。このとき、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362各々の検出光が前記注射針11cによって遮られると、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362各々はオフする。
これにより、前記第2制御部500では、前記検出光を遮るときの前記注射針11cの位置情報を用いて前記注射針11cの曲りなどを検知することが可能である。なお、前記注射針11cをカメラで撮影し、この撮影した画像に対する画像認識で針曲りなどを検知することも他の実施形態として考えられる。そして、前記注射針11cに曲りが生じている場合、前記第2制御部500は、前記注射針11cの曲り量に基づいて、例えば前記第2ロボットアーム22により前記注射針11cで前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓を穿刺する際の針先位置などを調整することが可能である。
[混注連通口37]
前記混注連通口37は、図3に示すように、前記混注処理室104の側壁における外側に突出するドーム状箇所に形成されており、且つ前記ドーム状箇所には上下方向に前記輸液バッグ12の混注口を通すための切欠きが形成されている。そのため、前記輸液バッグ保持部103が上昇すると、前記輸液バッグ12の混注口が前記混注処理室104内に位置することになる。これにより、前記第2ロボットアーム22で保持された前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12の混注口に挿通可能となる。
[針挿入確認透明窓38]
前記針挿入確認透明窓38は、前記トレイ搬送終端部110aの前記輸液バッグ12を前記混注処理部300から視認可能な窓であり、前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12に挿入された状態を確認するための画像撮影時に使用される。
[注射器確認カメラ42]
また、前記注射器確認カメラ42は、図6に示すように、前記混注処理部300の天井部に配置されている。そして、前記注射器確認カメラ42は、前記注射器11に吸引された薬品の有無及び量などを確認するために前記注射器11を撮影するために用いられる。前記注射器確認カメラ42は、予め固定された撮影範囲内の画像を撮影するものであってもよいが、前記第2制御部500によって制御されることにより前記撮影範囲の位置及びサイズを任意に変更可能なものであってもよい。また、後述するように、前記混注装置1では、前記注射器確認カメラ42により、前記注射器11及び前記薬品容器10が一度に撮影され、信憑性の高い鑑査画像が提供される。前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42による前記撮影画像を、例えば前記混注装置1で実行される混注処理の適否を画像で鑑査するために、前記データ記憶部404、前記データ記憶部504、又は前記混注装置1の外部に設けられたハードディスク等の記憶部に記録させる。そして、前記第2制御部500は、ユーザーによる前記鑑査の際に、前記注射器確認カメラ42による撮影画像を前記タッチパネルモニタ14又は前記タッチパネルモニタ203などの表示装置に表示させる。
[注射針着脱装置43]
前記注射針着脱装置43は、図15及び図16に示すように、切り込み部が形成されたチャック部43aの穴部43bにキャップ11dが装着された注射針11cの先端が上向きで差し込まれる。モーター43cが駆動されると、図示しないカム機構によって前記チャック部43aの穴部43bが拡がって、前記キャップ11dと共に前記注射針11cが差し込み可能となる。前記モーター43cの駆動が停止されると、バネ43dによって前記キャップ11d及び前記注射針11cの保持状態が維持される。針回しモーター43eが駆動されると、ギア43f及びギア43gが回転し、前記チャック部43aが回転して、前記キャップ11d及び前記注射針11cが回転される。
前記注射針11c及び前記キャップ11d各々には、前記キャップ11dが前記注射針11cに装着された状態で周方向に回転したときに接触するリブが設けられている。そのため、前記注射針11cは、前記チャック部43aによって前記注射針11cの前記キャップ11dが回転されたときに前記キャップ11dと共に回転し、前記シリンジ11aに対して着脱される。また、前記注射針着脱装置43では、前記チャック部43aによって前記キャップ11dが保持された状態で、前記第2ロボットアーム22によって前記注射器11を前記チャック部43aに接近又は離間させることにより前記注射針11cに対する前記キャップ11dの着脱を自動で行うことも可能である。なお、前記注射針着脱装置43では、前記注射針11cの先端が上に向くので、前記注射針11cが外された前記シリンジ11aの先端開口は上向きとなり、前記シリンジ11aの首部開口からの液垂れを防止することができる。
[針挿入確認カメラ44]
また、前記針挿入確認カメラ44は、前記混注処理室104外に位置する前記輸液バッグ12と、前記混注処理室104内の前記注射器11を一つの画像内に収まるように撮影する。前記第2制御部500は、前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓を前記注射針11cで穿刺した際に、前記針挿入確認カメラ44によって前記針挿入確認透明窓38の方向を撮影する。そして、前記針挿入確認カメラ44による撮影画像は、例えば前記タッチパネルモニタ14に表示される。ここに、図17は、前記針挿入確認カメラ44による撮影画像の一例である。これにより、ユーザーは、前記注射針11cの先端側が前記輸液バッグ12内に位置しているか否かを前記撮影画像によって確認することができる。なお、前記撮影画像は、例えば最終鑑査のために前記混注装置1の内部又は外部に設けられたハードディスク等の記憶部に保存される。そして、前記撮影画像が表示されている前記タッチパネルモニタ14で、ユーザーによりOKボタンが操作されて適切に混注処理が終了したと判断されると、前記輸液バッグ12が前記バッグ昇降部113によって降下され、前記トレイ101に戻される。
[殺菌灯45]
前記殺菌灯45は、例えば前記混注処理の開始の3時間前から点灯される。図6に示すように、二つの前記殺菌灯45のうち1つは前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の間の位置に設けられている。そのため、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22に遮られる殺菌光の量は少なくなり、前記混注処理室104内を満遍なく殺菌することができる。また、前記混注処理部300には、前記混注処理室104内の空気を当該混注処理室104の側壁の下部に形成されたスリット104b(図3、図4参照)から吸引して前記混注処理室104の上方に設けられた不図示の排気ファンから排出する排気システムが設けられている。また、前記混注処理室104の天井部に形成された吸気口から外気を清浄にして前記混注処理室104等に導く給気システムも設けられている。
続いて、図18~図21を参照しつつ、前記収容ユニット700について説明する。なお、図18は前記薬品装填部200及び前記収容ユニット700の正面図、図19は図18におけるI-I断面図、図20は図18におけるII-II断面図である。また、図21は、前記収容ユニット700の内部構成を示す模式図である。なお、以下では、図18~図21に示す上下左右及び前後の方向を用いて説明することがある。
前記収容ユニット700は、トレイ搬入部710、昇降ユニット800、及びトレイ搬送部900などを備え、前記混注制御部100によって制御される。前記トレイ搬入部710及び前記昇降ユニット800は、前記作業テーブル202の後方に配置されており、前記トレイ搬送部900は、前記作業テーブル202の下方に配置されている。前記収容ユニット700には、複数の前記トレイ101が収容可能であり、前記混注制御部100は、任意の前記トレイ101を前記収容ユニット700から搬出させることが可能である。なお、前記収容ユニット700の具体的構成については、同様の機能を達成することができれば、ここで説明する構成に限らない。
前記トレイ搬入部710は、前記収容ユニット700内に前記トレイ101を搬入するために用いられるトレイ装填口711を開閉するシャッター712と、前記シャッター712の開閉に用いられる駆動部713とを備える。前記駆動部713は、例えばモーター、ギア、張架ローラー、及びベルトを含むベルトコンベヤーであり、前記モーター及び前記ギアによって前記張架ローラーが回転された場合に、前記ベルトに連結された前記シャッター712が開閉される。前記シャッター712が開かれると、ユーザーは、前記作業テーブル202上で前記トレイ101を後方側にスライド移動させることにより、前記トレイ101を前記収容ユニット700の昇降ユニット800内に装填することが可能となる。なお、前記トレイ装填口711は、前記トレイ排出口206に対して上下方向に離間した位置に配置されている。具体的に、前記トレイ装填口711は、前記トレイ排出口206よりも高い位置に配置されている。
前記昇降ユニット800は、上下方向に昇降可能に支持された移動筐体810と、前記移動筐体810内において上下方向に配置された複数段のトレイ収容部811と、前記トレイ収容部811に対する前記トレイ101の搬入及び搬出に用いられる駆動部812及び813と、前記移動筐体810を上下方向に昇降させる昇降機構820とを備える。なお、前記移動筐体810は、例えば前記収容ユニット700の筐体内面に形成されたレール部(不図示)によって上下方向にスライド可能に支持されている。前記移動筐体810は、少なくとも最上段の前記トレイ収容部811が前記トレイ装填口711よりも上方に位置する状態と、最下段の前記トレイ収容部811が前記トレイ装填口711よりも下方に位置する状態との間で昇降可能である。特に、前記移動筐体810は、前記トレイ収容部811各々を、前記トレイ収容部811及び前記トレイ搬入部710の間で前記トレイ101が移動可能な状態と、前記トレイ収容部811及び前記トレイ搬送部900の間で前記トレイ101が移動可能な状態とに位置させることが可能な範囲で昇降する。
前記トレイ収容部811は、前記トレイ101を支持可能な左右一対のベルト814と、前記ベルト814各々を走行可能に支持する複数の張架ローラー815と、前記張架ローラー815のいずれか一つに連結されたマグネットギア816とを含むベルトコンベヤーである。前記駆動部812及び前記駆動部813は、マグネットギア812a、813aを正転方向及び逆転方向に回転させることが可能なモーターである。前記マグネットギア812a、813aは、対向する位置に配置されている前記マグネットギア816を磁力によって同期回転させることが可能である。即ち、前記駆動部812、813の駆動力は、前記マグネットギア812a、813aから非接触で前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に伝達される。そして、前記マグネットギア816は、前記張架ローラー815及び前記ベルト814を走行させる。
従って、前記昇降ユニット800では、3段以上の前記トレイ収容部811を備える場合であっても、二つの前記駆動部812、813を用いて前記トレイ収容部811各々を駆動させることが可能である。そのため、前記混注装置1では、前記トレイ収容部811ごとにモーター等の駆動部を設ける場合に比べて、前記昇降ユニット800における発塵及びコストを抑制することができると共に、上下方向に移動する前記移動筐体810を軽量化することが可能である。
ここで、前記マグネットギア812a及び前記マグネットギア813aは、上下方向において異なる位置に配置されている。具体的に、前記マグネットギア812aは、前記作業テーブル202から前記トレイ装填口711を介して前記トレイ101が装填可能な位置に配置された前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に対向する位置に配置されている。また、前記マグネットギア813aは、前記マグネットギア812aの下方であって、前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101が移動可能な位置に配置された前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に対向する位置に配置されている。
これにより、前記収容ユニット700では、前記作業テーブル202の下方の領域を有効に利用して、例えば前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101を搬送することが可能である。以下、前記作業テーブル202から前記トレイ収容部811に前記トレイ101を搬入可能な前記トレイ収容部811の位置を第1移動位置と称し、前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101が移動可能な前記トレイ収容部811の位置を第2移動位置と称することがある。
前記昇降機構820は、モーター821と、左右一対のベルト822と、複数の張架ローラー823とを備えるベルトコンベヤーである。前記モーター821は、前記張架ローラー823を駆動させることにより、前記ベルト822各々を上下方向に走行させる。前記ベルト822各々は、前記移動筐体810に連結されている。そして、前記昇降機構820は、前記モーター821の正回転又は逆回転によって前記ベルト822各々を上下方向に走行させることにより前記移動筐体810を上下方向に移動させる。
前記トレイ搬送部900は、第1搬送部910、第2搬送部920、ICリーダ930、及び第3搬送部940を備える。前記第1搬送部910は、前記トレイ101を前後方向に搬送可能であり、前記第2搬送部920は、前記トレイ101を左右方向に搬送可能である。例えば、前記第1搬送部910、前記第2搬送部920、及び前記第3搬送部940各々は、モーター、ギア、張架ローラー、ベルト等を備えるベルトコンベヤーであり、前記ベルトが前記モーター、前記ギア、及び前記張架ローラーによって駆動されることにより、前記ベルト上で保持されている前記トレイ101を搬送可能である。
より具体的に、前記第1搬送部910は、前記トレイ収容部811に収容されている前記トレイ101を前記トレイ排出口206に向けて搬送することが可能である。また、前記第1搬送部910は、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に収容することが可能である。前記第2搬送部920は、上下方向に移動可能に構成されており、前記第1搬送部910上に載置された前記トレイ101を左右方向に搬送可能な使用可能状態と、前記使用可能状態から下方に退避した退避状態(図21参照)との間で移動可能である。前記第3搬送部940は、前記第2搬送部920が前記使用可能状態である場合に、前記第2搬送部920と前記トレイ排出口701との間で前記トレイ101を搬送可能である。
例えば、前記第2搬送部920は、前記退避状態から前記使用可能状態に移行する際、前記第1搬送部910上の予め定められた位置に載置されている前記トレイ101を保持しつつ上方に移動することにより、前記トレイ101を前記第3搬送部940との間で搬送可能な状態となる。また、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態から前記退避状態に移行する際には、前記第2搬送部920に載置されている前記トレイ101を保持しつつ前記第1搬送部910よりも下方に移動して、前記トレイ101を前記第1搬送部910に受け渡す。
これにより、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態において、前記トレイ収容部811から前記第1搬送部910上に排出された前記トレイ101を、前記第3搬送部940に搬送することが可能である。また、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態において、前記混注処理部300から前記トレイ排出口701を介して供給される前記トレイ101を、前記第3搬送部940を介して受け取り、前記第1搬送部910に搬送することが可能である。
前記ICリーダ930は、前記トレイ搬送部900の前記第1搬送部910に載置されている前記トレイ101の前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能である。前記ICリーダ930により前記ICタグ101bから読み取られる前記トレイ101の識別情報は、前記第2制御部500に入力される。
また、前記ストック棚には、前記トレイ101各々が個別に収容される個別収容部に対して前記収容ユニット700側とは異なる位置から前記トレイ101を取り出すために開閉される鍵付きの扉が設けられることが考えられる。これにより、例えばユーザーが前記ストック棚から必要に応じて前記トレイ101各々を取り出して纏めて鑑査することが可能であると共に、前記トレイ101を取り出し可能なユーザーを前記扉の鍵を保有する特定のユーザーに制限することが可能である。
[混注処理]
次に、前記混注装置1において、前記混注制御部100によって前記混注処理部300が制御されることによって実行される混注処理の基本的な処理手順の一例について説明する。前記混注処理では、以下に説明するように、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22などを制御することにより、前記調製データに基づいて一又は複数の前記薬品容器10から前記注射器11で薬品を吸引すると共に前記注射器11から前記輸液バッグ12などの他の容器に前記薬品を注入する。
[バイアル瓶10Bを使用する混注処理]
続いて、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のある粉薬のような薬品である場合に、その薬品を輸液と混合してから前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理の基本動作について説明する。また、ここでは前記混注処理のうち前記トレイ101が前記収容ユニット700から前記混注処理部300に供給された後の処理について説明する。なお、前記アンプル10Aを使用する混注処理の説明は省略する。
前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送部110に供給されると、前記ICリーダ101cによって前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報が、当該混注処理の前記調製データに予め対応付けられた識別情報に一致する場合、前記シャッター111を開く。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101の前記器材載置部102を、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により上昇させて前記混注処理室104に露出させる。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102を前記トレイ確認カメラ41により撮影する。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理によって、前記器材載置部102に載置された前記バイアル瓶10B及び前記注射器11などの器材の位置や向きを把握する。特に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102から前記バイアル瓶10B又は前記注射器11を取り出す度に、前記トレイ確認カメラ41で前記器材載置部102を撮影し、その撮影画像から最新の前記バイアル瓶10B及び前記注射器11の位置や向きを把握する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記混注処理室104内に露出された前記器材載置部102に載置された前記注射器11を前記載置棚33に仮置きする。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記バイアル瓶10Bを前記薬品読取部34にセットする。そして、前記第2制御部500は、前記薬品読取部34により、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品の種類などの情報を読み取る。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の全ての器材を取り出すと、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により前記器材載置部102を下降させて前記トレイ101に戻す。なお、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の器材が全て取り出されたか否かを前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理により確認する。
その後、前記第2制御部500は、前記シャッター111を閉めて、前記トレイ搬送部110により前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aに搬送させる。次に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記バッグ昇降部113により前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部103で保持されている前記輸液バッグ12の混注口を前記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記薬品読取部34にセットされた前記バイアル瓶10Bを前記載置棚33に移動させる。一方、この移動処理と並行して、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記注射器11の前記注射針11cを前記キャップ11dが装着された状態のままで前記注射針着脱装置43にセットする。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記注射器11を取り出し、前記第2ロボットアーム22にセットする。続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて前記注射器11に前記注射針11cをセットさせる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。なお、前記注射針11cが前記注射器11のシリンジ11aに装着された状態で前記トレイ101にセットされることも考えられる。この場合には、前記注射器11に前記注射針11cにセットする工程は省略される。
続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記輸液バッグ12から前記調製データで示された溶解量の輸液を吸引する。一方、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33に載置されている前記バイアル瓶10Bを取り出す。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記バイアル瓶10Bと前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記バイアル瓶10Bに穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記注射器11内の前記輸液を前記バイアル瓶10B内に注入する。このように、前記薬品が粉薬である場合には、前記混注処理において、前記注射器11で前記輸液バッグ12から輸液を抜き取ると共に前記注射器11から前記バイアル瓶10Bに前記輸液を注入する溶解工程が実行される。これにより、前記バイアル瓶10B内の薬品が前記輸液で溶解される。このとき、前記注射器11及び前記バイアル瓶10Bの姿勢は、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直下方向に向けられ、前記バイアル瓶10Bの口部が鉛直上方向に向けられた状態である。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記輸液が注入された前記バイアル瓶10Bを前記攪拌装置32にセットする。これにより、前記攪拌装置32では、前記バイアル瓶10B内の薬品及び輸液が攪拌される攪拌工程が実行される。前記攪拌工程における攪拌時間は、例えば前記薬品の種別によって予め定められている。また、前記攪拌時間は、前記薬品及び前記輸液の組み合わせごとに予め定められていてもよく、前記バイアル瓶10B内の薬品量によって変更されてもよい。前記攪拌装置32による攪拌工程が終了すると、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記攪拌装置32から前記バイアル瓶10Bを取り出す。
ここで、前記第2制御部500は、前記攪拌工程の終了後に前記攪拌工程による攪拌結果を鑑査する攪拌鑑査処理を実行する。前記攪拌鑑査処理において、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御して、前記バイアル瓶10Bの底部又は側面がユーザーによって視認可能な姿勢及び位置に前記バイアル瓶10Bを移動させ、前記タッチパネルモニタ14等に対するユーザーによる確認操作を待ち受ける。また、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ14に対する所定の操作に応じて、前記第1ロボットアーム21を制御し、ユーザーが前記バイアル瓶10Bの底部又は側面を異なる角度から視認可能となる複数の状態(姿勢及び位置)に前記バイアル瓶10Bを移動させる揺動処理を実行する。これにより、ユーザーは、前記バイアル瓶10B内の薬品の溶解度合いを異なる角度から確認することが可能である。
その後、前記第2制御部500は、前記確認操作が行われると、前記混注処理の処理工程を次に進める。一方、前記第2制御部500は、予め定められた再攪拌操作が行われると、前記混注処理の処理工程を次に進めることなく、前記バイアル瓶10Bを前記攪拌装置32に再度セットして前記攪拌工程を再実行する。なお、前記第2制御部500は、前記攪拌鑑査処理において、前記攪拌工程後に撮影された前記薬品容器10の底部又は側面などの撮影画像を前記タッチパネルモニタ14に表示してもよい。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記バイアル瓶10Bと前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記バイアル瓶10Bに穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記バイアル瓶10B内の混合薬を前記注射器11で吸引する。このとき、前記注射器11及び前記バイアル瓶10Bの姿勢は、前記バイアル瓶10Bの口部が鉛直下方向に向けられ、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直上方向に向けられた状態である。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22のいずれか一方又は両方を制御して、前記薬品が吸引された後の前記バイアル瓶10B及び前記薬品を吸引した状態の前記注射器11を前記注射器確認カメラ42の撮影範囲内に移動させる。そして、前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42により前記バイアル瓶10B及び前記注射器11を一度に撮影し、その撮影画像を鑑査画像として前記データ記憶部504に記録する。例えば、前記注射器確認カメラ42は、予め定められた前記撮影範囲を撮影するものである。一方、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により移動された後の前記バイアル瓶10B及び前記注射器11が一度に撮影可能になるように前記注射器確認カメラ42の前記撮影範囲を変更可能であることも考えられる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記注射器11内の混合薬を前記輸液バッグ12に注入する。このように、前記混注処理では、前記バイアル瓶10Bから前記注射器11で前記薬品を吸引すると共に前記注射器11から前記輸液バッグ12に前記薬品を注入する注入工程が実行される。
一方、前記第2制御部500は、前記ゴミ蓋132aを開き、前記第1ロボットアーム21により前記バイアル瓶10Bを前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。また、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射器11の前記注射針11cに前記キャップ11dを装着させた後、前記注射器11を前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。
その後、前記第2制御部500は、前記混注処理の終了後に前記混注処理の結果を鑑査するための調製鑑査処理を実行する。前記調製鑑査処理において、前記第2制御部500は、例えば前記混注処理で撮影された各種の撮影画像を前記タッチパネルモニタ14に表示させ、前記混注処理についての鑑査完了の操作を受け付ける。これにより、ユーザーは、前記タッチパネルモニタ14を見ながら前記混注処理の適否について鑑査を行うことができる。そして、前記第2制御部500は、前記鑑査完了の操作を受け付けると、前記トレイ101を前記トレイ排出口15に搬送して前記トレイ101を取り出し可能な状態にする。
なお、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のない薬液のような薬品であることも考えられる。この場合の前記混注処理は、前記攪拌工程が実行されない点を除いて、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のある粉薬のような薬品である場合の前記混注処理と同様であるため説明を省略する。また、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が液体である場合でも前記薬品の種類によっては前記攪拌工程が実行されてもよい。
また、前記バイアル瓶10Bに収容された薬液をそのまま前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理は、前記輸液バッグ12から前記輸液を吸引して前記バイアル瓶10Bに注入して攪拌する混合薬品を生成するための工程が実行されない点を除いて、前記バイアル瓶10Bに収容された散薬を前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理と同様である。
以下、図22~図30を参照しつつ、前記混注装置1において、前記混注制御部100によって実行される混注管理処理及び混注制御処理の手順の一例について説明する。
[混注管理処理]
まず、図22を参照しつつ、前記混注管理処理について説明する。
<ステップS21>
ステップS21において、前記第1制御部400は、ユーザーによる前記タッチパネルモニタ203を用いた装填準備開始操作を待ち受ける(S21:No)。具体的に、前記第1制御部400は、前記混注装置1に入力されている前記調製データの一覧を示す処方選択画面M1を前記タッチパネルモニタ203に表示させる。そして、前記処方選択画面M1において、ユーザーにより処理対象となる前記調製データが選択されて確定されると、前記装填準備開始操作が行われたと判断し(S21:Yes)、処理がステップS22に移行する。なお、以下では、ここで選択された処理対象の調製データを対象調製データと称することがある。
ここに、図23は、前記処方選択画面M1の一例を示す図である。図23に示されるように、図23に示す前記処方選択画面M1には、前記選択候補を絞り込むための検索条件の入力欄が配置された検索条件表示部D1、及び前記選択候補の前記調製データが並べて配置された処方表示部D2などが含まれる。前記検索条件表示部D1には、前記検索条件に従って前記調製データの選択候補を絞り込む抽出処理を開始させるための抽出キーD11が配置されている。
前記混注装置1における混注処理の対象となる前記調製データの選択候補が複数存在する場合、前記処方選択画面M1では、選択候補の前記調製データが予め設定されたソート条件に従って並べられた状態で表示される。前記ソート条件は、例えば、前記混注装置1による調製日時、投与日時、処方箋区分、及び調製データの発行日時のいずれか一つ又は複数の組み合わせによって定められたものである。そして、ユーザーは、前記処方選択画面M1を参照し、前記処方選択画面M1で選択した前記対象調製データで必要な数の前記薬品容器10、前記注射器11、及び前記輸液バッグ12などの器材を前記トレイ101に載置し、前記トレイ101を前記収容ユニット700に装填することになる。
また、前記処方表示部D2には、前記調製データ各々について、当該調製データに基づく前記混注処理よりも前に実行される他の調製データに基づく前記混注処理において前記薬品容器10内に残存する残薬と同種の薬品を処方薬に含む調製データであるか否かが表示される残薬有無表示部D21が含まれる。即ち、前記残薬有無表示部D21には、前記調製データ(第1調製データ)各々について、当該調製データに基づく混注処理において注入される薬品として、当該調製データとは異なる他の調製データ(第2調製データ)に基づく混注処理で残る前記薬品容器10内の薬品が割り当て可能であるであるか否かが示される。例えば、前記残薬有無表示部D21には、文字、記号、図形、又はイラストなどの情報により、前記残薬が使用可能な調製データであるか否かが示される。
なお、先の混注処理で生じた残薬を後の混注処理で使用するという運用が必要ない場合も考えられる。そのため、前記第1制御部400は、先の混注処理で生じた残薬を後の混注処理で使用する残薬使用機能のON/OFFを初期設定などにおけるユーザー操作に応じて変更することが可能である。また、前記第1制御部400が、前記処方選択画面M1におけるユーザー操作に応じて前記調製データごとに前記残薬使用機能のON/OFFを切り替えることが可能な構成であってもよい。
さらに、前記第1制御部400が、前記調製データに基づいて前記残薬使用機能のON/OFFを自動的に切り替えてもよい。具体的には、前記調製データに前記診療種別(外来、入院など)が含まれており、前記第1制御部400が、前記診療種別に応じて前記残薬使用機能のON/OFFを自動的に切り替えることが考えられる。例えば、前記第1制御部400は、前記診療種別が外来である場合には残薬使用機能をOFFに設定し、前記診療種別が入院である場合には残薬使用機能をONに設定することが考えられる。
ところで、前記第1制御部400は、前記装填準備開始操作として、前記対象調製データに基づく前記混注処理を即時に実行する即時開始操作を受ける他、前記対象調製データについて前記混注処理の完了時刻又は完了時間帯などを示す完了予定時間を予約する予約混注操作を受け付けることも可能である。具体的に、前記第1制御部400は、前記処方選択画面M1において前記対象調製データが選択されると、当該対象調製データに基づく前記混注処理を予約するための予約登録画面P10を前記タッチパネルモニタ203に表示させる。
ここに、図24は、前記予約登録画面P10の一例を示す図である。図24では、前記予約登録画面P10が、前記トレイ101への器材の装填を支援するための装填チェック画面M2上にポップアップ表示されている。なお、前記装填チェック画面M2には、前記対象調製データを識別可能な情報が表示される表示領域A11と、前記対象調製データに基づく前記混注処理で必要な前記薬品容器10及び前記輸液バッグ12などの器材が表示される表示領域A12とが含まれる。
そして、図24に示されるように、前記予約登録画面P10では、前記対象調製データに関する情報として、例えば患者を識別するための患者ID及び患者名と、前記対象調製データを識別するための管理番号又は調製IDと、当該対象調製データに基づく混注処理の所要時間とが表示される。なお、前記混注処理の所要時間は、前記対象調製データで指示される調製内容(レジメン)ごとに前記データ記憶部404に記憶されている。また、前記データ記憶部404に前記所要時間を算出するための演算情報が記憶されており、前記第1制御部400が、当該演算情報に基づいて前記混注処理の所要時間を算出してもよい。
さらに、前記予約登録画面P10では、前記対象調製データの予約条件の選択操作を受け付けるための操作キーK11~K13、前記対象調製データの予約の実行操作を受け付けるための操作キーK14、及び残薬の利用の可否の設定を受け付けるための操作キーK15などが表示されている。
前記操作キーK11は、前記対象調製データに基づく混注処理を、当該対象調製データが入力された順で実行させる時間指定無し予約を予約条件として選択するための操作キーである。そして、前記対象調製データについて前記時間指定無し予約が行われた場合、前記第1制御部400は、前記割込み予約が行われた他の調製データに基づく混注処理、及び前記時間指定有り予約が行われた他の調製データに基づく混注処理が実行されていない場合に、前記時間指定無し予約が行われた順で当該時間指定無し予約が行われた前記対象調製データに基づく混注処理を前記第2制御部500に実行させる。
前記操作キーK12は、前記対象調製データに基づく混注処理を、前記時間指定無し予約及び後述の時間指定有り予約によって予約された他の調製データよりも優先して実行させる割込み予約を予約条件として選択するための操作キーである。なお、前記操作キーK12が選択されたとき、既に前記割込み予約で予約された前記調製データが存在する場合には、その複数の割込み予約対象の調製データについての実行順番が選択可能であってもよい。そして、前記対象調製データについて前記割込み予約が行われた場合、前記第1制御部400は、当該対象調製データに基づく混注処理を他の調製データよりも優先して前記第2制御部500に実行させる。より具体的に、前記第1制御部400は、前記混注装置1において、現在、他の調製データに基づく混注処理が実行されていない場合には、前記割込み予約が行われた前記対象調製データに基づく混注処理を前記第2制御部500に即時に実行させる。なお、既に予約されている前記調製データに基づく混注処理が存在する場合、前記混注処理の実行開始タイミングを少なくとも前記割込み予約に係る前記対象調製データに基づく混注処理の実行後のタイミングに再設定する。
前記操作キーK13は、前記対象調製データに基づく混注処理を、ユーザー操作によって予め設定された実行開始タイミングに基づいて実行させる時間指定有り予約を予約条件として選択するための操作キーである。なお、前記実行開始タイミングの設定は、前記混注処理の完了予定時間を示す調製終了時刻の入力、又は、前記混注処理の開始予定時間を示す開始予定時刻の入力などによって行われる。より具体的に、前記操作キーK13が選択された場合、前記予約登録画面P10では、当該対象調製データに基づく混注処理を実行する日時が設定可能である。例えば、図24に示された前記予約登録画面P10は、8月22日の19時00分までに前記混注処理が実行される旨の時間指定有り予約の設定が行われる状態である。
また、前記予約登録画面P10において、時間指定有り予約が行われる場合には、前記混注処理の完了予定時間に対する余裕時間も設定可能である。前記余裕時間は、前記完了予定時間の設定後に前記混注処理の実行タイミングを早める場合などにおける変更可能範囲を示しており、例えば前記医薬品マスターにおいて薬品毎に設定された時間、又は前記予約登録画面P10においてユーザー操作に応じて入力される時間である。例えば、前記対象調製データの完了予定時間が19時00分であり、余裕時間が30分である場合、当該対象調製データに基づく混注処理の実行タイミングは、前記完了予定時間の30分前の18時30分以降であって19時00分以前に前記混注処理が完了する範囲で変更可能である。また、前記完了予定時間が19時00分であり、前記余裕時間が30分である場合、前記混注処理の実行タイミングが、前記完了予定時間の30分前の18時30分以降に前記混注処理が開始される範囲で変更可能であってもよい。
そして、前記対象調製データについて前記時間指定有り予約が行われた場合、前記第1制御部400は、前記時間指定有り予約で設定された前記完了予定時間に当該対象調製データに基づく混注処理が終了するように前記実行開始タイミングを設定する。なお、前記第1制御部400は、前記トレイ収容部811の数と同じ予め設定された最大予約数以下の前記調製データの予約を設定可能である。例えば、前記完了予定時間から前記混注処理の所要時間を引いた時間が前記実行開始タイミングとして設定され、複数の前記混注処理の実行時間が重複する場合には、一又は複数の前記混注処理の実行開始タイミングを早めることにより複数の前記混注処理の実行時間が重複しないように前記実行開始タイミングを設定する。なお、前記完了時間帯が予約される場合には、前記混注処理が完了するべき時間的な範囲として、例えば11時~12時の間などのように1時間単位の予約が受け付けられる。
前記第1制御部400は、前記完了予定時間が設定された場合、前記対象調製データに基づいて前記混注処理の所要時間を自動的に推定し、前記完了予定時間から前記所要時間を引いた時期を前記混注処理の実行開始タイミングとして設定する。例えば、前記データ記憶部404に、前記混注処理の内容に応じて前記所要時間を算出するための情報として前記混注処理の各工程の所要時間などが前記混注処理の内容ごとに予め設定された所要時間テーブル情報が記憶されている。そして、前記第1制御部400は、前記所要時間テーブル情報に基づいて前記所要時間を算出する。
前記操作キーK15は、前記対象調製データに基づく前記混注処理における残薬の利用の可否の設定を受け付けるための操作部である。そして、前記第1制御部400は、前記操作キーK15により残薬の利用の可否によって残薬の利用の有無を制御する。さらに、前記第1制御部400は、前記対象調製データに対応する患者の情報に基づいて、前記対象調製データに基づく前記混注処理における残薬の利用の可否を自動判定することも考えられる。具体的に、前記第1制御部400は、前記対象調製データのうち入院患者に対応する調製データについては、前記混注処理における残薬の利用を許可し、前記調製データのうち外来患者に対応する調製データについては、前記混注処理における残薬の利用を許可しないことも考えられる。また、これとは逆に、前記対象調製データのうち外来患者に対応する調製データについては、前記混注処理における残薬の利用が許可され、前記調製データのうち入院患者に対応する調製データについては、前記混注処理における残薬の利用が許可されないことも考えられる。
また、前記予約登録画面P10において、前記対象調製データに基づく前記混注処理で生じる残薬を、その後の他の前記調製データに基づく混注処理で利用可能であるか否かが設定可能であることも他の実施形態として考えられる。さらに、前記第1制御部400は、前記対象調製データに対応する患者の情報に基づいて、前記対象調製データに基づく前記混注処理で生じる残薬をその後の他の前記調製データに基づく混注処理で利用可能であるか否かを自動判定することも考えられる。具体的に、前記第1制御部400は、前記対象調製データのうち入院患者に対応する調製データについては、前記混注処理で生じる残薬をその後の他の前記混注処理で利用可能であると判断し、前記調製データのうち外来患者に対応する調製データについては、前記混注処理で生じる残薬をその後の他の前記混注処理で利用可能でないと判断することも考えられる。また、これとは逆に、前記対象調製データのうち外来患者に対応する調製データについては、前記混注処理で生じる残薬がその後の他の前記混注処理で利用可能であると判断し、前記調製データのうち入院患者に対応する調製データについては、前記混注処理で生じる残薬がその後の他の前記混注処理で利用可能でないと判断することも考えられる。
<ステップS23>
ステップS23において、前記第1制御部400は、前記対象調製データについて、前記混注装置1の前記混注処理室104内に保存されている残薬を利用可能であるか否かを、当該残薬の情報を示す残薬情報D30に基づいて判定する。前記残薬情報D30は、後述のステップS26において編集される情報であって前記データ記憶部404に記憶される。なお、前記予約登録画面P10において、前記対象調製データについて、残薬を利用しない旨の設定がなされている場合には、ステップS23~S25は省略される。
具体的に、前記第1制御部400は、前記対象調製データに基づく混注処理で使用される前記薬品容器10内の薬品と同種の薬品について、予め設定された基準時点において前記混注装置1に残薬として保存されている使用可能な薬品の残量が、当該対象調製データに基づく混注処理で必要な薬品量以上である場合に、その残薬が利用可能であると判断する。例えば、前記基準時点は、当該対象調製データに基づく混注処理の開始時又は当該対象調製データについての前記装填準備開始操作が行われたとき等である。なお、前記対象調製データに含まれる処方薬と前記残薬とが一致するか否かが判断される際には、前記薬品容器10の規格量が同一であるか否かが判断されず、薬品の種類が同一であるか否かが判断される。これにより、同じ薬品であって規格量だけが異なる場合であっても、その薬品が残薬として使用可能であると判断されることになる。例えば、残薬の薬品の種類が「5-FU注」、規格量が「1000mg」であって、前記対象調製データに基づく混注処理で使用される当該薬品容器10の薬品名が「5-FU注」、規格量が「500mg」である場合には、同一の薬品であると判断される。
また、前記第1制御部400は、前記対象調製データに基づく混注処理で使用される前記薬品容器10内の薬品と同種の薬品について、前記基準時点において前記混注装置1内に存在する残薬を利用することにより前記対象調製データに対応する前記トレイ101の装填数が減少する場合に、その残薬が利用可能であると判断してもよい。例えば、前記対象調製データに基づく混注処理で前記薬品容器10が2本必要である場合に、前記残薬を利用することにより、当該対象調製データに対応する前記トレイ101への前記薬品容器10の装填本数が1本になる場合に、当該残薬を利用可能であると判断する。一方、前記対象調製データに基づく混注処理で前記薬品容器10が2本必要である場合であって、前記残薬を利用しても当該対象調製データに対応する前記トレイ101への前記薬品容器10の装填本数が2本である場合には、当該残薬が利用可能でないと判断する。
ところで、前記薬品容器10への前記注射針11cの穿刺回数が多くなるとコアリングが発生するおそれがある。そこで、前記第1制御部400は、前記基準時点において前記混注装置1内に残薬として利用可能な前記薬品容器10のうち、当該基準時点において前記注射針11cの穿刺回数が予め設定された上限回数以上に達する前記薬品容器10は、残薬として利用できないと判断することが考えられる。具体的に、前記第1制御部400は、前記調製データ各々に基づいて、当該調製データ各々に基づく前記混注処理における前記薬品容器10各々への前記注射針11cの穿刺回数を予測する。その後、前記第1制御部400は、前記穿刺回数に応じて、前記基準時点において前記混注装置1内に残薬として利用可能な前記薬品容器10の利用の可否を判断する。
ここで、前記混注装置1内に存在する残薬の残量とは、前記対象調製データに基づく混注処理が実行される際に、前記混注装置1において使用可能な残薬として保存されている薬品の量の合計である。より具体的に、前記残薬の残量は、前記対象調製データについて前記装填準備開始操作が行われた時点で前記載置棚33に残薬として保存されている前記薬品容器10の残量と、前記対象調製データに基づく混注処理が実行されるまでの間に実行される一又は複数の他の混注処理に対応する他の調製データに付けて前記混注装置1内に装填された前記薬品の量との合計量から、前記対象調製データに基づく混注処理が実行されるまでの間に実行される一又は複数の他の混注処理で使用される前記薬品の合計(使用量の合計)を引いた量である。特に、前記残薬の残量は、前記対象調製データに基づく混注処理の開始時又は終了時に使用期限が到来しない残薬の量であり、当該混注処理の開始時又は終了時までに使用期限が到来する残薬の量は引かれた値である。
また、前記第1制御部400は、前記対象調製データに投与日時の情報が含まれている場合には、前記残薬情報D30に示された残薬のうち当該投与日時よりも前に前記使用期限が到来する前記薬品は使用可能でないと判断することも考えられる。即ち、前記残薬の残量は、前記残薬情報D30に示された残薬の残量から前記投与日時よりも前に前記使用期限が到来する薬品の残量を除外した値となる。なお、前記残薬の残量の単位は重さ又は体積などであることが考えられるが、これらに限らず、例えば予め設定された特定の前記薬品容器10に収容される前記薬品の既定量に基づいて、当該薬品容器10の本数単位で前記残薬の残量が表示されてもよい。
ここに、図28(A)には、前記残薬情報D30の一例が示されており、図28(B)は、前記収容ユニット700に装填されている前記トレイ101に対応する調製データを示す対応情報D31の一例が示されている。なお、前記残薬情報D30及び前記対応情報D31は、前記データ記憶部404に記憶され、前記第1制御部400によって更新される。一方、前記第2制御部500も、前記第1制御部400のデータ記憶部404にアクセスして、当該データ記憶部404に記憶されている前記残薬情報D30及び前記対応情報D31を参照及び編集することが可能である。
図28(A)に示されるように、前記残薬情報D30では、前記調製データの識別情報である「調製No.」と、当該調製データに基づく混注処理で残った薬品の薬品名、残量、開封日時、使用期限、使用予定調製データなどが対応付けて記憶される。前記使用予定調製データは、残薬を使用する予定の調製データを識別するための識別情報であり、前記第1制御部400は、前記残薬情報D30に記録された残薬を他の前記調製データに割り当て、その割当結果を前記残薬情報D30に記録する。また、前記残薬が混合薬品である場合、前記残薬情報D30には、例えば前記混合薬品の成分(薬品名、溶媒名)、溶媒量、残量、開封日時、使用期限、及び使用予定調製データ情報などの各種の情報が含まれる。なお、前記残薬情報D30には、前記残薬が収容された前記薬品容器10が載置される前記載置棚33における位置情報等の他の情報も含まれる。
具体的に、図28(A)に示される前記残薬情報D30では、現在既に前記載置棚33に残薬として保存されている調製データ「Rp11」に対応する前記薬品容器10の情報と、今後実行される前記混注処理で前記載置棚33に残薬として保存される調製データ「Rp21」、「Rp22」に対応する前記薬品容器10の情報とが含まれる。具体的に、前記残薬情報D30では、「3.00ml」の「5-FU注1000mg」が収容された前記薬品容器10、と「5.00ml」の「5-FU注1000mg」が収容された前記薬品容器10と、「2.00ml」の「5-FU注1000mg」が収容された前記薬品容器10との合計3本の前記薬品容器10が前記載置棚33に残薬として保存されることが示されている。なお、ここでは、現在時刻が前記調製データ「Rp11」に基づく混注処理の終了後であって、前記調製データ「Rp21」、「Rp22」に基づく混注処理の開始前であるとする。
図28(B)に示されるように、前記対応情報D31では、前記調製データの識別情報「調製No.」と、前記トレイ101の識別情報「トレイID」と、前記トレイ101の収容先の前記トレイ収容部811の識別情報「収容部No.」とが対応付けられている。なお、図28(B)に示される前記対応情報D31では、前記調製データ各々が、先に混注処理が実行される順で上位から表示されている。また、前記対応情報D31では、前記調製データ各々に、当該調製データに基づく混注処理で使用される薬品の薬品名、使用量、既定量、残薬利用有無、薬品装填有無、実行開始タイミングなどの情報も対応付けられている。
ここでは、図28(B)に示されるように、既に前記収容ユニット700に前記トレイ101が装填された二つの前記調製データに対応して、「5-FU注1000mg」が「20ml」収容された二つの前記薬品容器10が前記収容ユニット700内に装填されているものとする。図28(B)に示されるように、当該二つの調製データでは、それぞれ「15ml」、「18ml」の薬品が使用される。この場合、最初の前記調製データ「Rp21」に基づく前記混注処理の開始時に前記載置棚33に載置されている前記薬品の残量は「3.00ml」であり、前記調製データ「Rp22」に基づく前記混注処理の開始時に前記載置棚33に載置されている前記薬品の残量は、「3ml」+「5ml」により「8.00ml」となる。そして、前記調製データ「Rp22」に基づく前記混注処理では、前記薬品について「2ml」が残量として生じることになる。
ここで、前記調製データ「Rp22」の後に処理される前記対象調製データが図28(C)に示す調製データ「Rp23」である場合を例に挙げて考える。この場合、前記調製データ「Rp23」に基づく前記混注処理の開始時に前記載置棚33に載置されている前記薬品の残量は、「3ml」+「5ml」+「2ml」により「10.00ml」となる。そのため、前記調製データ「Rp23」が前記対象調製データである場合には、前記ステップS23において、前記対象調製データについて、前記混注装置1の前記混注処理室104内に保存されている残薬が利用可能であると判断されることになる。この場合、前記第1制御部400は、前記残薬を、前記対象調製データに基づく前記混注処理において注入される薬品として割り当てることが可能である。なお、前記残薬情報D30において、前記使用予定調製データに残薬を使用する調製データの情報が入力されている場合、当該残薬は当該使用予定調製データとは異なる他の調製データで使用できないと判断される。
<ステップS24>
そして、ステップS24において、前記第1制御部400は、前記ステップS23の判定処理で残薬が利用可能であると判断されると(S24:Yes)、処理をステップS25に移行させ、残薬が利用可能でないと判断されると(S24:No)、処理をステップS26に移行させる。
<ステップS25>
ステップS25において、前記第1制御部400は、前記ステップS23で利用可能であると判断された残薬に対応する前記薬品容器10を装填する必要がない旨のメッセージを含む残薬利用案内画面P20(図25参照)を前記タッチパネルモニタ203に表示させる。なお、前記残薬利用案内画面P20において確認操作が行われると、当該残薬利用案内画面P20が閉じられて処理がステップS26に移行する。
ここに、図25は、前記残薬利用案内画面P20の一例を示す図である。図25に示されるように、「5-FU注1000mg」について残薬利用で省略することが可能である場合には、前記残薬利用案内画面P20に、前記薬品容器10を装填する必要が無い旨が表示される。これにより、ユーザーは、前記調製データに基づく前記混注処理で必要な器材のうち、残薬利用で省略することが可能な前記薬品容器10を除く器材を前記トレイ101に装填することになる。
例えば、前記残薬利用案内画面P20は、前記薬品容器10に付されている識別情報の読み取りを指示するためのメッセージ等が表示される装填チェック画面M2(図26参照)上にポップアップ表示によって当該装填チェック画面M2よりも優先して表示される。また、図25及び図26に示されるように、前記残薬利用案内画面P20が表示される際には、前記装填チェック画面M2には、前記薬品容器10及び前記輸液バッグ12の読み取りを促すメッセージが表示されておらず、前記残薬利用案内画面P20が表示された後、前記装填チェック画面M2に、前記薬品容器10及び前記輸液バッグ12の読み取りを促すメッセージが表示される。なお、前記残薬利用案内画面P20が表示された後、前記装填チェック画面M2が表示されてもよい。
ここで、前記残薬利用案内画面P20において、前記対象調製データに基づく混注処理で用いることが可能な残薬が生じる前記調製データの識別情報又は当該調製データに対応する患者の識別情報などを表示させ、その残薬の利用の有無を選択することが可能な構成も考えられる。これにより、例えば利用可能な残薬がキャンセルの多い患者に対応する前記調製データに基づく前記混注処理で生じた残薬である場合に、当該残薬の利用をしないことを選択することが可能である。さらに、前記第1制御部400は、前記対象調製データに基づく混注処理で用いる残薬として選択可能な残薬リストを前記タッチパネルモニタ203等に表示させ、前記調製対象データに基づく混注処理で用いる残薬をユーザー操作に応じて任意に選択可能であることも考えられる。
<ステップS26>
ステップS26において、前記第1制御部400は、前記ステップS22で設定された前記調製データの予約内容と、当該調製データについての残薬利用の有無とに基づいて前記残薬情報D30及び前記対応情報D31を編集する。
具体的に、前記第1制御部400は、前記対象調製データを対象とする前記混注処理が行われた場合に使用される前記薬品容器10内に薬品が残存するか否かを判断する。例えば、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく混注処理における薬品の使用量と、前記薬品容器10に収容された薬品の既定量とに基づいて、前記薬品容器10内に薬品が残存するか否かを前記混注処理の終了前に判断することが可能である。そして、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内の残薬の有無に基づいて前記残薬情報D30を編集する。
例えば、前記薬品の使用量が20mlであり、前記薬品容器10の既定量が30mlである場合、前記第1制御部400は、1本の前記薬品容器10の既定量である30mlと前記使用量である20mlとの差分により、前記薬品容器10に10mlの薬品が残存すると判断する。また、前記薬品の使用量が40mlであり、前記薬品容器10の既定量が30mlである場合、前記第1制御部400は、2本の前記薬品容器10の合計量である60mlと前記使用量である40mlとの差分により、前記薬品容器10に20mlの薬品が残存すると判断する。
また、前記第1制御部400は、前記ステップS23で残薬を使用することが可能であると判定された場合には、当該残薬が使用される調製データを識別可能な情報を、前記残薬情報D30における当該残薬に対応する使用予定調製データの項目に入力する。具体的に、図28(A)~(C)を用いて上述した例では、当該ステップS26において、前記調製データ「Rp11」、「Rp21」、「Rp22」に対応する残薬が、前記調製データ「Rp23」で使用される予定である旨が前記残薬情報D30の使用予定調製データに記録され(図28(D)参照)、前記対応情報D31には前記調製データ「Rp23」について、残薬利用有無が「有」であって薬品装填有無が「無」である旨が記録される(図28(E)参照)。即ち、前記対応情報D31には、前記調製データ「Rp23」に基づく前記混注処理では残薬が利用され、前記調製データ「Rp23」に対応する前記トレイ101には前記薬品容器10の装填が不要である旨が記録される。なお、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく前記混注処理で残薬が使用されることにより当該混注処理で必要な複数の薬品容器10のうち一部の薬品容器10の装填が不要である場合には、当該薬品容器10の種類及び本数などが前記対応情報D30に記憶される。そして、前記第1制御部400は、前記対応情報D30に基づいて前記装填チェック画面M2に、装填が必要な薬品容器10及び装填が不要な薬品容器10などを表示させる。
ところで、前記第1制御部400は、前記データ記憶部404に記憶された前記残薬情報D30において、前記使用期限が経過した残薬のデータを削除すると共に、その残薬情報D30に対応する前記薬品容器10を廃棄させるための制御信号を前記第2制御部500に入力することが考えられる。これにより、前記第2制御部500は、前記制御信号の受信に応じて、前記第1ロボットアーム21又は前記第2ロボットアーム22を制御し、前記使用期限が経過した残薬が収容されている前記薬品容器10を廃棄する。
また、前記第1制御部400は、前記データ記憶部404に記憶された前記残薬情報D30において、前記薬品容器10への前記注射針11cの穿刺回数が予め設定された上限回数以上に達した残薬のデータを削除する。さらに、前記第1制御部400は、前記穿刺回数が前記上限回数に達した残薬の前記薬品容器10を廃棄させるための制御信号を前記第2制御部500に入力して当該薬品容器10を廃棄させる。ここに、係る処理を実行するときの前記第1制御部400が廃棄処理部の一例である。そして、前記第2制御部500は、前記制御信号の受信に応じて、前記第1ロボットアーム21又は前記第2ロボットアーム22を制御し、前記穿刺回数が前記上限回数以上に達した前記薬品容器10を廃棄する。具体的に、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記調製データ各々に基づく混注処理における前記薬品容器10各々への前記注射針11cの穿刺回数をカウントして記憶する。例えば、前記上限回数は、前記医薬品マスターにおいて前記薬品容器10の種類ごとに個別に設定されている。なお、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記混注処理の実行中に前記薬品容器10の穿刺回数をカウントしてもよいが、前記混注処理の開始前に前記調製データに基づいて前記薬品容器10の穿刺回数を予測してもよい。
なお、前記第1制御部400は、前記薬品容器10の使用期限が経過した場合、又は前記薬品容器10の穿刺回数が上限回数以上に達した場合に、当該薬品容器10について、廃棄、保存延長、回収のいずれかをユーザーに選択させるための操作画面を表示させることが考えられる。そして、前記第1制御部400は、ユーザーによって廃棄が選択された場合には、前記薬品容器10を廃棄する廃棄処理を前記第2制御部500に実行させる。また、前記第1制御部400は、ユーザーによって保存延長が選択された場合には、前記薬品容器10を更に予め設定された延長期間だけ継続して前記載置棚33に保存することが考えられる。さらに、前記第1制御部400は、ユーザーによって回収が選択された場合には、前記薬品容器10を前記攪拌装置32などのユーザーがアクセス可能な位置に移動させる回収処理を前記第2制御部500に実行させる。
<ステップS27>
ところで、前記ステップS22の予約設定処理で前記対象調製データに基づく前記混注処理が予約されることにより、既に登録されている他の調製データに基づく前記混注処理の実行順序が変更されることがある。この場合、前記他の調製データに基づく前記混注処理で残薬が使用される予定だった場合に、その残薬が前記対象調製データに基づく前記混注処理で使用されることになり、前記他の調製データに基づく前記混注処理で前記残薬を利用することができなくなる場合がある。
そのため、ステップS27において、前記第1制御部400は、前記残薬情報D30及び前記対応情報D31の編集により、前記混注処理で前記残薬を使用することができなくなった調製データがあるか否かを判断する。ここで、前記残薬を使用することができなくなった前記調製データがあると判断されると(S27:Yes)、処理がステップS28に移行し、前記残薬を使用することができなくなった前記調製データがないと判断されると(S27:No)、処理がステップS31に移行する。
また、前記第1制御部400は、ユーザー操作に応じて、前記混注管理処理で対応する前記トレイ101が前記収容ユニット700に既に装填された前記調製データに基づく混注処理の実行順序の変更又は実行キャンセルなどの変更処理を実行することが可能であることが考えられる。この場合、前記変更処理に伴って、前記他の調製データに基づく前記混注処理で前記残薬を利用することができなくなり、当該混注処理で薬品が不足することがある。そのため、前記第1制御部400は、前記変更処理に伴って、前記他の調製データに基づく前記混注処理で前記残薬を利用することができなくなった場合にも、後述のステップS28~S30、及びステップS40~S41の処理を実行する。即ち、前記調製データに基づく混注処理の実行順序の変更又は実行キャンセルなどの変更処理に伴って前記他の調製データに基づく前記混注処理で前記残薬を利用することができなくなった時点で、後述のステップS41により前記トレイ101への前記薬品容器10の再装填を支援するための処理が実行されることが考えられる。
<ステップS28>
ステップS28において、前記第1制御部400は、他の調製データに基づく混注処理で薬品に不足が生じる旨を示すメッセージを含む警告表示画面P31を前記タッチパネルモニタ203に表示させて、その旨をユーザーに報知する。ここに、係る報知処理を実行するときの前記第1制御部400が報知処理部の一例である。なお、他の調製データに基づく混注処理で前記残薬を使用することができなくなる他の調製データが複数存在する場合には、当該他の調製データ各々に対応して複数の前記警告表示画面P31が表示されること、又は当該他の調製データの一覧が一つの前記警告表示画面P31に表示される。
ここに、図27は、前記警告表示画面P31の一例を示す図である。図27に示されるように、前記警告表示画面P31には、薬品が不足する旨を示すメッセージと、前記ステップS22による前記調製データの予約処理を実行するか否かを選択するための操作キーとが表示される。例えば、図27に示されるように、前記警告表示画面P31は、前記調製データ各々の実行スケジュールが表示されるスケジュール表示画面P30上にポップアップ表示される。なお、図27では、薬品が不足する旨を示すメッセージとして、前記警告表示画面P31に「予定変更で新たに残薬不一致が発生します。処理を実行しますか?」と表示されているが、当該メッセージの内容は一例に過ぎない。例えば、薬品が不足する旨を示すメッセージとして、「予約処理を実行すると他の混注処理で薬品が不足しますが、予約処理を継続しますか?」のようなメッセージが表示されてもよい。
また、前記第1制御部400は、前記処方選択画面M1のような調製データの一覧画面において、前記残薬を使用することができなくなる調製データである旨を識別可能な文字又は記号などの識別情報を当該調製データに対応付けて表示することも考えられる。これにより、ユーザーは、前記残薬を使用することができなくなる前記調製データ及び前記トレイ101などを把握することが可能となる。
<ステップS29>
ステップS29において、前記第1制御部400は、前記調製データの予約処理を実行する旨の操作が行われたか否かが判断される。ここで、前記調製データの予約処理を実行する旨の操作が行われたと判断されると(S29:Yes)、処理がステップS30に移行する。一方、前記調製データの予約処理を実行しない旨の操作が行われると(S29:No)、処理がステップS291に移行する。
<ステップS291>
ステップS291において、前記第1制御部400は、前記ステップS22の予約をキャンセルし、処理を前記ステップS21に戻す。具体的に、前記第1制御部400は、前記ステップS26における前記残薬情報D30及び前記対応情報D31の変更を取り消し、処理を前記ステップS21に戻す。
<ステップS30>
一方、ステップS30において、前記第1制御部400は、前記残薬を使用することができなくなる前記調製データに対応する前記トレイ101に前記薬品容器10を装填させるための処理を実行する旨を示す再装填情報を当該調製データに対応付けて前記データ記憶部404に記憶する。
<ステップS31>
その後、ステップS31~S35において、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく前記混注処理に必要な前記薬品容器10、前記注射器11、前記輸液バッグ12などを前記トレイ101にセットする作業を支援するための処理を実行する。
具体的に、ステップS31において、前記第1制御部400は、前記輸液バッグ12又は前記薬品容器10に付されているGS1データバーなどの識別情報の読み取りを指示するためのメッセージ及び画像などを含む前記装填チェック画面M2を前記タッチパネルモニタ203に表示する。具体的に、前記装填チェック画面M2には、前記調製データに含まれる前記輸液バッグ12の種別及び前記薬品容器10の種類などが表示される。ここで、前記装填チェック画面M2では、前記対応情報D30に基づいて、残薬を使用するため装填が省略されると判断された前記薬品容器10については、該当する領域A121に「省略」などの文字、記号、又はマークを表示させると共に、当該薬品容器10に対応する文字色又は背景色などの表示態様を他の表示態様と異なる態様で表示させる。これにより、ユーザーは、装填の必要のない前記薬品容器10を容易に把握することが可能である。
そして、前記第1制御部400は、前記バーコードリーダ204によって前記輸液バッグ12又は前記薬品容器10の識別情報が読み取られ、前記調製データとの照合結果が一致すると、処理をステップS32に移行させる。なお、前記第1制御部400は、前記輸液バッグ12又は前記薬品容器10の識別情報と前記調製データとの照合結果が一致しない場合には、例えばエラーメッセージを表示させる。
<ステップS32>
ステップS32において、前記第1制御部400は、前記ステップS31で識別情報が読み取られた前記輸液バッグ12又は前記薬品容器10の前記トレイ101における配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記タッチパネルモニタ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記輸液バッグ12又は前記薬品容器10を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。なお、前記トレイ101に装填が必要な前記輸液バッグ12及び前記薬品容器10が複数の場合は、前記トレイ101に装填が必要な前記輸液バッグ12及び前記薬品容器10の識別情報の読み取りが完了するまで、前記ステップS31~S32が繰り返し実行される。但し、前記対象調製データに基づく前記混注処理で必要な前記薬品容器10のうち前記残薬を利用すると判断された薬品容器10は装填が不要であると判断され、当該薬品容器10の識別情報が読み取られた場合には、装填が不要である旨のメッセージ等が表示される。
<ステップS33>
ステップS33において、前記第1制御部400は、前記トレイ101における前記注射器11の配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記タッチパネルモニタ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記注射器11を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。なお、複数の前記注射器11が必要な場合は、前記ステップS33が繰り返し実行される。
また、なお、前記調製データに対応する器材を、複数の前記トレイ101に分割して装填する必要がある場合、前記第1制御部400は、前記ステップS31~S33の処理を前記トレイ101ごとに繰り返して実行する。これにより、前記トレイ101各々に必要な器材をセットするための作業が支援される。なお、複数の前記トレイ101に分割して装填する必要がある場合、前記トレイ101各々に対して前記調製データに含まれる器材は、予め設定された規則に従って分配される。例えば、一つの前記トレイ101に載置可能な前記薬品容器10の数が10個であることが予め定められており、前記調製データに基づく前記混注処理において必要な前記薬品容器10が14個である場合には、一つ目の前記トレイ101に前記薬品容器10が10個割り当てられ、二つ目の前記トレイ101に前記薬品容器10が4個割り当てられる。なお、前記ステップS31~S33において、処理対象の前記トレイ101について、前記薬品容器10、前記注射器11、又は前記輸液バッグ12の装填が不要な場合、その装填を促す表示処理は省略される。
<ステップS34>
前記調製データに基づく前記混注処理に必要な器材についての装填案内が終了すると、続くステップS34において、前記第1制御部400は、前記調製データについての装填準備が完了した旨を表示すると共に、その旨の確認操作を受け付けるための操作キーなどを表示する。
<ステップS35>
ステップS35において、前記第1制御部400は、前記確認操作の有無を判断し、前記確認操作が行われた場合は(S35:Yes)、処理をステップS36に移行させ、前記確認操作が行われるまでの間は(S35:No)、処理をステップS35で待機させる。
<ステップS36>
ステップS36において、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700の前記シャッター712を開放させる。具体的に、前記第1制御部400は、前記第2制御部500に対して、前記シャッター712の開放指示を送信する。これにより、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御して前記シャッター712を開放させ、ユーザーは、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に収容することが可能である。
なお、前記第2制御部500は、前記シャッター712を開放する前に、前記対応情報D31に基づいて、未使用の前記トレイ収容部811が前記第1移動位置に配置されるように前記移動筐体810の位置を制御する。具体的に、前記トレイ101に対応する前記トレイ収容部811として前記対応情報D31に記憶されていない前記トレイ収容部811が未使用であると判断される。なお、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811への前記トレイ101の装填時、及び前記トレイ収容部811からの前記トレイ101の排出時などに、前記対応情報D31を編集する。
例えば、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700の待機中(非動作中)は、未使用の前記トレイ収容部811が前記第1移動位置に配置されるように前記収容ユニット700を制御することが考えられる。また、前記第2制御部500は、前記ステップS36で前記第1制御部400から送信される前記開放指示を受信した後に、前記移動筐体810を移動させて未使用の前記トレイ収容部811を前記第1移動位置に配置させてもよい。なお、前記第2制御部500は、未使用の前記トレイ収容部811が複数存在する場合には、その複数の前記トレイ収容部811のうち前記第1移動位置への移動に要する前記移動筐体810の移動量が最も少ない前記トレイ収容部811を選択して当該トレイ収容部811を前記第1移動位置へ移動させることが考えられる。
<ステップS37>
そして、ステップS37において、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811に前記トレイ101が収容されると、前記調製データと前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811とを対応付ける処理を実行する。具体的に、前記第1制御部400は、前記調製データと、前記トレイ101の識別情報と、前記トレイ収容部811との対応関係示す前記対応情報D31を更新する。ここに、係る処理を実行するときの前記第1制御部400が記憶処理部の一例である。これにより、前記第1制御部400及び前記第2制御部500は、前記対応情報D31に基づいて前記調製データ、前記トレイ101の識別情報、及び前記トレイ収容部811の対応関係を認識することが可能である。
例えば、前記第1制御部400は、前記作業テーブル202に設けられた前記ICリーダ207を用いて、前記作業テーブル202に載置された前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第1制御部400は、前記ICタグ101bから読み取られた前記識別情報を、処理対象として選択された前記調製データに対応する前記トレイ101の識別情報として前記データ記憶部404の前記対応情報D31に記憶する。また、前記対応情報D31では、前記調製データ各々に対応する前記トレイ101に当該調製データに基づく混注処理で残薬を使用するか否かを示す残薬利用情報が記憶されてもよい。
なお、前記調製データと前記トレイ101との対応関係、前記調製データ又は前記トレイ101と前記トレイ収容部811との対応関係、前記調製データと前記残薬利用情報との対応関係が、それぞれ個別のデータベースで管理されてもよい。また、前記調製データと前記トレイ101との対応関係が前記第1制御部400のデータ記憶部404に記憶され、前記調製データ又は前記トレイ101と前記トレイ収容部811との対応関係が前記第2制御部のデータ記憶部504に記憶されていてもよい。
なお、前記調製データに基づく前記混注処理において必要な前記薬品容器10、前記注射器11、前記輸液バッグ12などの器材が一つの前記トレイ101に載置できない場合には、前記第1制御部400は、処理対象として選択された前記調製データと複数の前記トレイ101とを対応付けて対応情報D31に記憶する処理を実行する。そして、前記調製データに基づく前記混注処理では、複数の前記トレイ101から供給される前記薬品容器10などの器材が用いられる。
<ステップS38>
次に、ステップS38において、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700を制御して、前記トレイ収容部811に収容された前記トレイ101と前記調製データとの対応関係を確認する確認動作を実行する。これにより、誤った前記トレイ101が前記トレイ収容部811に収容されることが防止される。
具体的に、前記第1制御部400は、前記ステップS36で前記シャッター712が開放されたときに前記第1移動位置に配置されていた前記トレイ収容部811が前記第2移動位置に配置されるように前記移動筐体810を下方に移動させる。その後、前記第1制御部400は、前記トレイ収容部811に収容されている前記トレイ101を前記トレイ搬送部900の前記第1搬送部910に排出し、前記第1搬送部910に設けられた前記ICリーダ930によって前記トレイ101のタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第1制御部400は、前記ICリーダ930によって読み取られた前記トレイ101の識別情報と、前記トレイ収容部811に対応付けて前記対応情報D31に記憶されている前記調製データに対応する前記トレイ101の識別情報とを照合する。ここで、照合結果が一致であると、前記第1制御部400は、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に戻し、一連の当該混注管理処理を終了して処理を前記ステップS39に移行させる。一方、照合結果が不一致である場合、前記第1制御部400は、前記第1制御部400を介して前記タッチパネルモニタ203等にエラーを通知させて前記トレイ101を前記トレイ排出口206に向けて排出する。これにより、ユーザーは、前記トレイ101を前記トレイ排出口206から取り出すことが可能である。
<ステップS39>
ステップS39において、前記第1制御部400は、前記対象調製データを前記第2制御部500に送信する。なお、前記第1制御部400は、前記対象調製データそのものに限らず、前記対象調製データに基づいて前記混注処理部300に混注処理を実行させるための混注制御データを生成し、前記混注制御データを前記第2制御部500に送信するものであってもよい。また、前記対象調製データを識別可能な調製データ識別情報が前記第2制御部500に送信されて、当該第2制御部500によって前記調製データ識別情報に対応する前記対象調製データが前記データ記憶部404から読み出されることも考えられる。
<ステップS40>
ステップS40において、前記第1制御部400は、前記再装填情報が前記データ記憶部404に記憶されているか否かを判断する。ここで、前記再装填情報が記憶されていると判断されると(S40:Yes)、処理がステップS41に移行し、前記再装填情報が記憶されていないと判断されると(S40:No)、処理が前記ステップS21に戻される。
<ステップS41>
ステップS41において、前記第1制御部400は、前記再装填情報に基づいて、前記残薬の使用ができなくなった前記調製データに対応する前記トレイ101への前記薬品容器10の再装填を支援するための処理を実行し、前記再装填情報を前記データ記憶部404から消去する再装填処理を実行する。具体的に、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700を制御し、前記残薬の使用ができなくなった前記調製データに対応する前記トレイ101を前記トレイ排出口206から取り出し可能な位置まで排出する。そして、前記第1制御部400は、前記タッチパネルモニタ203に、前記残薬が使用できなくなった前記調製データに対応する前記トレイ101への前記薬品容器10の装填を促す旨を表示する。例えば、前記第1制御部400は、前記装填チェック画面M2を再度表示させ、不足している前記薬品容器10に対応する前記領域A121に「不足」などの文字、記号、又はマークを表示させると共に、当該薬品容器10に対応する文字色又は背景色などの表示態様を他の表示態様と異なる態様で表示させる。なお、前記トレイ101は、前記移動筐体810において、前記シャッター712が開放されたときに当該トレイ101が取り出し可能な位置に移動され、当該シャッター712が開放されることも考えられる。
また、前記第1制御部400は、前記残薬の使用ができなくなった前記調製データに対応付けられた前記トレイ101とは別に、新たな前記トレイ101に前記薬品容器10を載置して前記収容ユニット700に装填する旨の案内表示を行い、当該トレイ101が装填された場合に当該トレイ101を前記調製データに対応付けることも考えられる。この場合、当該調製データに基づく前記混注処理では、当該調製データに対応付けられた複数の前記トレイ101が前記収容ユニット700から前記混注処理部300に供給されて用いられることになる。
さらに、前記ステップS40~S41に代えて、後述の混注制御処理のステップS53において、前記トレイ101への前記薬品容器10の補充動作が行われることも考えられる。具体的には、前記第2制御部500が、前記収容ユニット700を制御し、前記残薬の使用ができなくなった前記調製データに対応する前記トレイ101を前記トレイ排出口206から取り出し可能な位置まで排出する。そして、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ203に、前記残薬が使用できなくなった前記調製データに対応する前記トレイ101への前記薬品容器10の装填を促す旨を表示することが考えられる。これにより、ユーザーによって前記薬品容器10が前記トレイ101に装填されると、前記第2制御部500は、前記トレイ101を用いて前記混注処理を実行する。なお、本実施形態では、前記ステップS40において、前記再装填動作の有無が判断され、前記ステップS41において、前記再装填処理が必要に応じて実行される場合について説明するが、前記再装填処理が前記ステップS30等の他のタイミングで実行されてもよい。
[混注制御処理]
続いて、図29を参照しつつ、前記第2制御部500によって実行される前記混注制御処理の手順の一例について説明する。
<ステップS50>
ステップS50において、前記第2制御部500は、前記対応情報D31に登録されている調製データのいずれかについて前記混注処理の実行開始タイミングが到来したか否かを判断する。そして、前記実行開始タイミングが到来したと判断すると(S50:Yes)、処理がステップS51に移行し、前記実行開始タイミングが到来していなければ(S50:No)、処理がステップS50で待機する。
また、前記第1制御部400が、ユーザーが、前記操作部405を用いて前記調製データの選択操作及び前記調製データに基づく前記混注処理の即時開始操作を行った場合に、前記調製データについての前記混注処理の実行開始要求を前記第2制御部500に送信することが考えられる。さらに、前記第1制御部400は、前記予約混注操作によって前記調製データに基づく前記混注処理の実行開始タイミングが予約されていた場合、前記実行開始タイミングが到来した場合に、前記調製データについての前記混注処理の実行開始要求を前記第2制御部500に送信することが考えられる。この場合、前記第2制御部500は、前記実行開始要求を受信した場合に、前記実行開始タイミングが到来したと判断する。
また、前記第2制御部500は、前記調製データのうち前記混注処理において残薬を使用すると設定されている調製データについて、前記混注装置1内に残薬として保存されている一又は複数の前記薬品容器10(残薬容器の一例)内の薬品量が、前記調製データに基づく前記混注処理に必要な薬品量に達するまでの間、当該調製データに基づく前記混注処理を保留することが考えられる。具体的に、前記第2制御部500は、前記調製データの実行開始タイミングが到来した場合であって、前記混注装置1内に残薬として保存されている一又は複数の前記薬品容器10内の薬品量が、前記調製データに基づく前記混注処理に必要な薬品量に達していない場合は、前記ステップS50で前記実行開始タイミングが到来していないと判断する。そして、前記第2制御部500は、前記混注装置1内に残薬として保存されている一又は複数の前記薬品容器10内の薬品量が、前記調製データに基づく前記混注処理に必要な薬品量に達していない前記調製データをスキップして他の前記調製データに基づく前記混注処理を開始する。一方、前記第2制御部500は、前記調製データの実行開始タイミングが到来した場合であって、前記混注装置1内に残薬として保存されている一又は複数の前記薬品容器10内の薬品量が、前記調製データに基づく前記混注処理に必要な薬品量に達していている場合は、当該調製データに基づく前記混注処理の実行開始タイミングが到来したと判断する。
<ステップS51>
ステップS51において、前記第2制御部500は、前記対象調製データに基づく前記混注処理において、過去に実行された前記混注処理で残存した残薬を使用するか否かを判断する。具体的に、前記第2制御部500は、前記残薬情報D30及び前記対応情報D31に基づいて、前記混注処理における残薬利用の有無を判断する。例えば、前記第2制御部500は、前記対応情報D31において前記対象調製データについて残薬利用が有りに設定され、前記対象調製データが前記使用予定調製データとして前記残薬情報D30に登録されており、且つ前記残薬情報D30の内容が予め設定された使用条件を満たす場合に前記対象調製データに基づく前記混注処理で残薬を利用すると判断する。前記使用条件は、例えば前記残薬情報D30に記憶された前記残薬の使用期限が経過していないこと、前記残薬の開封日時から所定時間が経過していないこと、又は前記薬品容器10への注射針11cの穿刺回数が上限回数に達していないこと等である。ここで、前記第2制御部500は、残薬を使用すると判断すると(S51のYes側)、処理をステップS53に移行させ、前記残薬を使用できないと判断すると(S51のNo側)、処理をステップS52に移行させる。
<ステップS52>
ステップS52において、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から入力された前記調製データに基づいて前記混注処理部300を制御することにより、当該調製データに対応する前記トレイ101に載置されていた前記薬品容器10から前記輸液バッグ12に薬品を注入する通常の前記混注処理を実行する。
具体的に、ステップS52において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、前記実行開始タイミングが到来した前記調製データに対応付けられている前記トレイ101を前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811から前記混注処理部300に自動的に供給する。そして、前記混注処理において、前記第2制御部500は、前記調製データに示された薬品を前記トレイ101に載置された一又は複数の前記薬品容器10から前記注射器11によって吸引し、前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入する。
<ステップS53>
一方、ステップS53において、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から入力された前記調製データ、前記残薬情報D30、及び前記対応情報D31に基づいて前記混注処理部300を制御することにより、前記残薬を使用して前記輸液バッグ12に薬品を注入する例外的な前記混注処理を実行する。即ち、前記第2制御部500は、処理対象の調製データ(第1調製データ)各々について、当該調製データに基づく混注処理において、当該調製データとは異なる他の調製データ(第2調製データ)に基づく混注処理で残る前記薬品容器10内の薬品を前記混注処理部300に使用させることが可能である。従って、例えば混注処理後に薬品が前記薬品容器10に残存する場合に、当該薬品が有効に利用され、当該薬品の無駄が抑制される。
具体的に、ステップS53において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、前記実行開始タイミングが到来した前記調製データに対応付けられている前記トレイ101を前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811から前記混注処理部300に自動的に供給する。そして、前記混注処理において、前記第2制御部500は、前記調製データに示された薬品を前記載置棚33に載置されている前記薬品容器10から前記注射器11によって吸引し、前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入する。なお、前記対象調製データに基づく前記混注処理では、前記載置棚33に残薬として保存されている前記薬品容器10と共に、前記トレイ101に載置された一又は複数の前記薬品容器10が用いられることもある。
また、前記ステップS53において実行される前記混注処理では、残薬として保存されている前記薬品容器10が使用され、当該混注処理の処理対象である前記調製データに対応する前記トレイ101に載置されていた前記薬品容器10が余って使用されない状況も考えられる。この場合、前記第2制御部500は、その未使用の前記薬品容器10を残薬として前記載置棚33に保存することも考えられるが、前記第2制御部500は、その未使用の前記薬品容器10を前記トレイ101に載置して排出することが考えられる。例えば、前記第2制御部500は、前記薬品容器10が使用されなかった場合に、ユーザーに前記薬品容器10の取り出しの有無を確認するためのメッセージを前記タッチパネルモニタ203に表示させる。そして、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ203に対するユーザー操作によって前記薬品容器10の取り出し要求が行われた場合には、前記薬品容器10を取り出すための前記トレイ101の装填を促すメッセージを前記タッチパネルモニタ203に表示させる。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101を取り込んで前記薬品容器10を載置し、当該トレイ101を前記トレイ排出口206又は前記トレイ排出口15に向けて排出する。
なお、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御することにより、前記薬品容器10を前記載置棚33から前記攪拌装置32に移動させること、若しくは、前記薬品容器10を前記主扉301又は前記注射器取出扉302の近傍まで移動させることにより、ユーザーによる前記薬品容器10の取り出しを可能とすることも他の実施形態として考えられる。なお、前記第1ロボットアーム21には、前記保持部25による前記薬品容器10の把持を手動で解除することが可能な調整部が設けられており、ユーザーは当該調整部を用いて前記保持部25から前記薬品容器10を取り出すことが可能である。
また、前記ステップS53において前記調製データに基づく前記混注処理が終了すると、前記第2制御部500は、当該混注処理における残薬の使用の有無及びその内容を示す残薬使用情報を当該調製データに対応付けて前記データ記憶部504に記憶し、前記調製鑑査処理において、前記残薬使用情報を前記タッチパネルモニタ14などに表示可能であることが考えられる。さらに、前記第2制御部500は、前記残薬使用情報を印字内容に含む調製記録用紙などを前記プリンタ506で印刷することも可能である。ここに、図30は、前記調製記録用紙として印刷された印刷物M3の一例を示す図である。図30に示されるように、前記印刷物M3では、前記混注処理が実行された前記調製データに対応する患者情報及び処方内容などの各種の情報と共に、前記混注処理で使用された薬品が残薬であるか否かを示す情報も印刷されている。具体的に、図30に示す例では、領域A31に「5-FU注1000mg(DVO)」と記載されており、薬品名「5-FU注1000mg」の薬品が残薬であることを示す「DVO」の文字が含まれている。一方、図30に示す例では、領域A32では、「5-FU注1000mg-1」と記載されており、薬品名「5-FU注1000mg」の薬品が残薬であることを示す「DVO」の文字が含まれていない。なお、もちろん、残薬の使用の有無を示す情報は、「DVO」のような略称に限らず、「残薬」などの文字、若しくは、予め定められたマーク又は記号などであってもよい。
<ステップS54>
前記混注処理が終了すると、ステップS54において、前記第2制御部500は、前記薬品容器10に薬品が残存したか否かを判断する。前記ステップS54における残薬の発生の有無の判断処理は、前記第1制御部400で実行される前記ステップS26と同様の処理であってもよいが、前記第2制御部500が前記混注処理の内容に基づいて判断してもよい。ここで、前記第2制御部500は、前記薬品が残存したと判断すると(S54のYes側)、処理をステップS55に移行させ、前記薬品が残存しなかったと判断すると(S54のNo側)、処理をステップS541に移行させる。
<ステップS55>
ステップS55において、前記第2制御部500は、前記薬品容器10を残薬として前記載置棚33に保存するか否かを判定する判定処理を実行する。具体的に、前記第2制御部500は、予め設定された保存条件を満たす場合に、前記薬品容器10を残薬として保存すると判定する。前記保存条件には、予め設定される一又は複数の判定条件が含まれる。例えば、前記判定条件は、前記薬品容器10が前記バイアル瓶10Bであること、前記薬品容器10が前記医薬品マスターにおいて残薬保存対象薬品として登録されていること、前記薬品容器10内の残薬の残量が予め設定された最小残量以上であること、前記薬品容器10の識別情報が前記バーコードリーダ34bによって正常に読み取られたこと、前記薬品容器10の穿刺回数が上限回数以内であること、又は前記薬品容器10の使用期限が経過していないこと等である。なお、前記保存条件として複数の前記判定条件が設定されている場合には、当該判定条件の全てを満たす場合に前記保存条件を満たすと判定される。
ところで、前記判定条件のうち、前記薬品容器10の識別情報が前記バーコードリーダ34bによって正常に読み取られたこと、前記薬品容器10の穿刺回数が上限回数以内であること、前記薬品容器10の使用期限が経過していないこと等については、条件が満たされていない場合でも当該薬品容器10を廃棄せずに取り出したいというユーザーの要望も考えられる。特に、前記第2制御部500は、前記混注処理の実行中などに当該混注処理で発生する残薬が収容された前記薬品容器10の任意の取り出し操作(取出予約操作)を受け付けることが可能な構成が考えられる。この場合、前記第2制御部500は、前記取出予約操作の対象である前記薬品容器10に、回収対象である旨を示す回収フラグを対応付けて前記データ記憶部504に記憶させる。なお、前記第2制御部500は、前記混注処理が実行されていない場合のように前記混注処理部300を制御して前記薬品容器10をユーザーの取り出し可能な位置まで移動させる回収処理が実行可能なタイミングで、前記回収フラグが対応付けられた前記薬品容器10について前記回収処理を実行する。そして、前記ステップS55では、前記判定条件のうち、前記薬品容器10の識別情報が前記バーコードリーダ34bによって正常に読み取られたこと、前記薬品容器10の穿刺回数が上限回数以内であること、前記薬品容器10の使用期限が経過していないことの条件については、その条件が満たされていない場合であっても、前記回収フラグが対応付けられている前記薬品容器10については、当該判定条件が満たされていると判断されることが考えられる。
また、前記混注装置1では、残薬として利用可能な薬品が収容されている前記薬品容器10が前記載置棚33に載置されるが、当該載置棚33に載置可能な前記薬品容器10の数には限界がある。そのため、前記第2制御部500は、前記保存条件が満たされている場合であって、新たに保存する対象となる前記薬品容器10を前記載置棚33に載置しても、前記薬品容器10の数が前記載置棚33に載置可能な予め設定された上限数を超えない場合には、当該薬品容器10を前記載置棚33に載置させる。一方、前記保存条件が満たされている場合であって、新たに保存する対象となる前記薬品容器10を前記載置棚33に載置すると、前記薬品容器の数が前記上限数を超える場合、前記第2制御部500は、予め設定された保存優先度に従って前記薬品容器10の前記載置棚33への保存の有無を判定することが考えられる。なお、前記載置棚33は、前記混注処理における器材の一時保管にも用いられるため、前記上限数は、前記載置棚33に載置可能な最大数よりも少ない数であることが考えられる。また、前記載置棚33とは別に残薬が収容された前記薬品容器10を保存する残薬専用棚が設けられている構成も他の実施形態として考えられる。
より具体的に、前記第2制御部500は、前記混注処理で残薬が生じる場合であって、前記載置棚33に載置される前記薬品容器10の数が予め設定された上限数を超える場合には、今回残薬が生じる前記薬品容器10と既に残薬として前記載置棚33に載置されている前記薬品容器10との中で最も前記保存優先度が低い薬品の前記薬品容器10を前記ゴミ収容室13aに廃棄し、当該薬品容器10よりも前記保存優先度が高い前記薬品容器10を前記載置棚33に載置させることが考えられる。即ち、前記第2制御部500は、予め設定された条件に従って、前記混注処理で前記薬品容器10に薬品が残った前記薬品容器10を前記載置棚33に既に保存されている前記薬品容器10と入れ替えて保存することが可能である。
なお、前記保存優先度は、前記医薬品マスターで設定されていることが考えられる。また、前記医薬品マスターにおいて複数の薬品について同一の前記保存優先度を設定することが可能であってもよい。但し、前記載置棚33に載置される前記薬品容器10の数が上限数に達しており、今回残薬が生じた前記薬品容器10と前記載置棚33に既に残薬として保存されている前記薬品容器10との中で最も前記保存優先度が低い薬品容器10が複数存在する場合には、前記載置棚33に載置する前記薬品容器10を選択することができない。そこで、前記第2制御部500は、最も前記保存優先度が低い廃棄候補の前記薬品容器10が複数存在する場合には、予め設定された保存優先条件に従って、前記薬品容器10各々を残薬として保存するか否かを判定することが考えられる。具体的に、前記保存優先条件は、薬価、残量、開封時間、穿刺回数などの項目に関する条件が含まれることが考えられる。なお、前記開封時間は、前記混注処理において前記薬品容器10に最初に注射針11cが穿刺された時間として前記第1制御部400又は前記第2制御部500によって前記残薬情報D30に記憶される時間である。例えば、前記保存優先条件では、複数の前記薬品容器10について、薬価が高いものを優先すること、残量が多いものを優先すること、開封時間が遅いものを優先すること、穿刺回数が少ないものを優先すること等が考えられる。また、前記保存優先条件に複数の項目の条件が含まれる場合には、当該項目各々の適用の優先順位が予め設定可能であることが考えられる。
また、他の実施形態として、前記第2制御部500は、前記混注処理で生じた残薬が収容されている前記薬品容器10(以下「対象薬品容器10C」と称することがある)を前記載置棚33に配置して残薬として保存するか否かを、下記(1)~(7)の保存手順に従って判定することも考えられる。なお、前記第2制御部500は、下記(1)~(7)の保存手順についてこの順序に沿って判定処理を実行し、いずれかの保存手順で前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に載置すると判定した場合には、それよりも後の保存手順についての判定処理は実行しない。
(1)前記第2制御部500は、前記載置棚33に空きがあるか否かを判定し、空きがある場合には、前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に保存する。
(2)前記第2制御部500は、前記残薬情報D30に含まれる前記薬品容器10のうち既に廃棄処理が予約されている薬品容器10が存在する場合には、当該薬品容器10を廃棄して、前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に保存する。具体的に、前記第2制御部500は、前記混注処理の実行中などに当該混注処理で発生する残薬が収容された前記薬品容器10の任意の廃棄操作(廃棄予約操作)を受け付けることが可能な構成が考えられる。この場合、前記第2制御部500は、前記廃棄予約操作の対象である前記薬品容器10に、廃棄対象である旨を示す廃棄フラグを対応付けて前記データ記憶部504に記憶させる。なお、前記第2制御部500は、前記混注処理が実行されていない場合のように前記混注処理部300を制御して前記薬品容器10を前記ゴミ収容室13aまで移動させて廃棄する廃棄処理が実行可能なタイミングで、前記廃棄フラグが対応付けられた前記薬品容器10について前記廃棄処理を実行する。
(3)前記第2制御部500は、前記取出予約操作に応じた回収対象である旨を示す前記回収フラグが対応付けて記憶されておらず、使用期限が経過した薬品容器10が存在する場合には、当該薬品容器10を廃棄して、前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に保存する。
(4)前記第2制御部500は、前記回収フラグが対応付けて記憶された薬品容器10が存在する場合には、当該薬品容器10をユーザーが回収可能な位置に移動させる回収動作を実行し、前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に保存する。
(5)前記第2制御部500は、前記回収フラグが対応付けて記憶されており、使用期限が経過した薬品容器10が存在する場合には、当該薬品容器10を廃棄して、前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に保存する。但し、廃棄対象の前記薬品容器10であっても、ユーザーによって回収操作が行われた場合には、当該薬品容器10を廃棄せずにユーザーが回収可能な前記攪拌装置32などの位置に移動させる回収動作が実行される。
(6)前記第2制御部500は、前記載置棚33に残薬として載置されている前記薬品容器10のうち、前記保存優先度が最も低い薬品容器10を比較対象容器として特定する。なお、前記第2制御部500は、前記保存優先度が最も低い薬品容器10が複数存在する場合には、その中で残量が最も少ない薬品容器10を前記比較対象容器として特定する。さらに、前記第2制御部500は、前記保存優先度が最も低い薬品容器10が複数存在し、且つ、その複数の薬品容器10の残量が同じである場合には、その中で前記開封時間が早い薬品容器10を前記比較対象容器として特定する。そして、前記第2制御部500は、前記対象薬品容器10Cと前記比較対象容器との前記保存優先度を比較し、前記対象薬品容器10Cの前記保存優先度が低ければ当該対象薬品容器10Cを廃棄し、前記対象薬品容器10Cの前記保存優先度が高ければ前記比較対象容器を廃棄して前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に保存する。即ち、前記対象薬品容器10Cが前記比較対象容器と入れ替えて前記載置棚33に保存される。
(7)前記第2制御部500は、前記載置棚33に残薬として載置されている前記薬品容器10のうち、前記対象薬品容器10Cと薬品の種類が同一の薬品容器10を比較対象容器として特定する。なお、前記第2制御部500は、前記薬品の種類が同一の薬品容器10が複数存在する場合には、その中で残量が最も少ない薬品容器10を前記比較対象容器として特定する。さらに、前記第2制御部500は、前記薬品の種類が同じ薬品容器10が複数存在し、且つ、その複数の薬品容器10の残量が同じである場合には、その中で前記開封時間が早い薬品容器10を前記比較対象容器として特定する。そして、前記第2制御部500は、前記対象薬品容器10Cと前記比較対象容器とにおける残量を比較し、前記対象薬品容器10Cの残量が少なければ当該対象薬品容器10Cを廃棄し、前記対象薬品容器10Cの残量が多ければ前記比較対象容器を廃棄して前記対象薬品容器10Cを前記載置棚33に保存する。即ち、前記対象薬品容器10Cが前記比較対象容器と入れ替えて前記載置棚33に保存される。一方、ここで前記対象薬品容器10Cを保存すると判断されなかった場合には、前記対象薬品容器10Cが廃棄される。
なお、前記(2)~(7)において前記対象薬品容器10Cと入れ替えて廃棄すると判断された前記薬品容器10について前記回収フラグが対応付けて記憶されている場合、前記第2制御部500は、前記薬品容器10について廃棄又は回収のいずれかを選択するための操作画面を表示させ、ユーザー操作に応じて廃棄動作又は回収動作を実行することが考えられる。また、残薬として保存されている前記薬品容器10のうちユーザーによって予め任意に廃棄対象として薬品容器10が選択されている場合には、ユーザーの確認操作を行うことなく当該薬品容器10が廃棄される。
また、前記(2)~(7)に基づいて入れ替え対象の前記薬品容器10が存在しないと判断された場合でも、ユーザーによって回収操作が行われた場合には、当該対象薬品容器10Cが廃棄されず、当該対象薬品容器10Cについて回収動作が行われてもよい。なお、(2)、(3)の入れ替え処理はユーザーの確認作業を要することなく実行され、(4)~(7)の入れ替え処理は、ユーザーの確認作業に応じて実行されることも考えられる。また、前記ステップS55における判定処理は、前記第1制御部400によって実行される前記混注管理処理の前記ステップS26で実行されてもよく、前記混注管理処理又は前記混注制御処理とは独立して適宜実行されてもよい。
さらに、前記薬品容器10に収容されている薬品が粉薬であって、当該粉薬が生理用食塩水などの溶媒で溶解された状態である場合、当該薬品容器10が前記載置棚33に載置された後は、見た目では前記薬品容器10内の溶媒及び濃度を判断することができないことがある。そのため、前記第2制御部500は、前記載置棚33に、薬品の種類が同一であって溶媒又は濃度の少なくとも一方が異なる前記薬品容器10が2つ以上存在しないように前記薬品容器10の前記載置棚33への載置の有無などを制御することが考えられる。具体的に、前記医薬品マスターでは、薬品各々について、残薬としての利用を許可する場合の溶媒として予め定められた一種類の溶媒及び濃度(溶媒量)が対応付けて記憶されていることが考えられる。そして、前記第2制御部500は、前記薬品容器10の薬品と当該薬品容器10に注入される溶媒との組み合わせが前記医薬品マスターで定められた組み合わせである場合にのみ、当該薬品の残薬としての利用を許可し、他の組み合わせである場合には、当該薬品の残薬としての利用を禁止する。なお、他の実施形態として、前記第2制御部500が、前記ステップS55において、前記載置棚33に載置させる対象となっている前記薬品容器10と薬品の種類が同一であって溶媒又は濃度の少なくとも一方が異なる他の薬品容器10が既に前記載置棚33に載置されている場合に、前記薬品容器10を前記載置棚33に載置させずに廃棄することが考えられる。また、前記第2制御部500は、前記載置棚33に既に載置されている他の薬品容器10と、前記ステップS55において前記載置棚33に載置させる対象となっている前記薬品容器10とのうち、前記優先度又は前記優先条件などに従っていずれか一方を選択して前記載置棚33に載置し、他方を廃棄することも考えられる。
<ステップS56>
ステップS56において、前記第2制御部500は、前記薬品容器10内の薬品を再度利用可能な状態で前記混注処理室104内に保存する。より具体的に、前記第2制御部500は、前記混注処理部300の前記第1ロボットアーム21を制御することにより、前記薬品容器10を再度利用可能な状態で前記載置棚33に載置させる。即ち、前記混注処理部300は、前記調製データに基づく前記混注処理で薬品が残った前記薬品容器10を残薬容器として前記混注装置1内に保存し、当該残薬容器内の薬品を前記対象調製データに基づく前記混注処理で使用することが可能である。また、前記第2制御部500は、前記残薬情報D30に登録されている各種の情報を必要に応じて更新する。
<ステップS541>
一方、前記薬品容器10に薬品が残存しない場合、前記第2制御部500は、ステップS541において、前記第1ロボットアーム21により前記薬品容器10を前記ゴミ収容室13aに廃棄する。即ち、基本的に、前記薬品容器10内の薬品を使い切っていない場合は前記薬品容器10が前記載置棚33に戻され、前記薬品容器10内の薬品が使い切られた場合は前記薬品容器10が廃棄される。
[他の実施形態]
ところで、前記混注装置1の混注処理室104内に残薬として保存されている前記薬品容器10は、ユーザーの所望のタイミングで取り出し可能であることが考えられる。具体的に、前記第1制御部400は、ユーザーによる特定の操作に応じて前記残薬情報D30を前記タッチパネルモニタ203に表示させる。
その後、前記第1制御部400は、前記残薬情報D30に含まれる残薬のいずれかが選択されて取り出し操作が行われると、前記第1ロボットアーム21又は前記第2ロボットアーム22などを制御し、当該残薬に対応する前記薬品容器10を前記載置棚33から取り出し、ユーザーが前記主扉301を開放したときに当該薬品容器10を取り出し可能な位置に移動させる。例えば、前記第1制御部400は、前記薬品容器10を前記主扉301の近傍に配置されている前記攪拌装置32に載置させる。
また、前記第1制御部400は、取り出し対象となった前記薬品容器10に関するラベル印刷情報を前記プリンタ506に送信し、当該プリンタ506で当該ラベル印刷情報をラベルに印刷させる。ここに、係る処理を実行するときの前記第1制御部400が印刷処理部の一例である。前記ラベル印刷情報には、前記薬品容器10の薬品の種類、残量、使用期限、穿刺回数など、当該薬品容器10その後に使用するために必要な各種の情報が含まれる。これにより、ユーザーは、前記ラベルを前記薬品容器10に貼付することにより、当該薬品容器10を前記混注装置1から取り出した後も、当該薬品容器10内の残薬の情報を容易に把握して使用することが可能である。なお、前記ラベルは、前記混注装置1の前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22などによって前記薬品容器10に自動的に貼付されてもよい。また、前記混注装置1が、前記ラベルを前記薬品容器10に自動的に貼付する貼付装置を別途備えてもよい。
さらに、前記ラベルには、前記ラベル印刷情報を示す一次元コード又は二次元コード等のコード情報が印刷されることも考えられる。そして、前記第1制御部400は、前記ラベルの前記コード情報が読み取られた場合に、当該コード情報に基づいて当該コード情報に対応する前記薬品容器10を前記混注装置1で再度利用可能な状態にすることが考えられる。具体的に、前記第1制御部400は、前記ラベル印刷情報に基づいて、前記残薬情報D30を更新することが考えられる。これにより、前記第1制御部400は、前記薬品容器10に収容されている薬品と前記調製データとの照合処理、当該薬品の残量の情報の取得、当該薬品の使用期限のチェック、前記穿刺回数のチェックなどを実行することが可能である。なお、前記第1制御部400は、前記薬品容器10について取り出し処理を実行した後、当該薬品容器10を残薬として使用可能な前記調製データについて前記混注管理処理が実行される場合に、前記薬品容器10の存在を前記タッチパネルモニタ203に表示させることも考えられる。
また、業務終了時刻などの予め設定された時刻になった場合、又はユーザーにより前記混注装置1に対して所定の業務終了操作が行われた場合などに、前記混注装置1に残薬として利用可能な薬品が収容された前記薬品容器10が残っていることが考えられる。そこで、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、予め設定された時刻又は業務終了操作が行われた場合などに、前記残薬情報D30に基づいて前記混注処理室104内に前記薬品容器10が残っているか否かを判断し、前記混注処理室104内に前記薬品容器10が残っている場合には、その旨を前記タッチパネルモニタ14又は前記タッチパネルモニタ203等の表示手段に表示させることによってユーザーに報知することが考えられる。
さらに、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記混注処理室104内に残っている前記薬品容器10について、廃棄、取出し、保留のいずれかをユーザー操作に応じて選択することが考えられる。そして、前記薬品容器10の廃棄が選択されると、前記第2制御部500によって当該薬品容器10が廃棄され、前記薬品容器10の薬品の情報が前記残薬情報D30から消去される。また、前記薬品容器10の取り出しが選択されると、前記第2制御部500によって、前記攪拌装置32、前記主扉301の近傍、又は前記注射器取出扉302などのようにユーザーが当該薬品容器10を取り出し可能な位置まで当該薬品容器10が移動され、前記薬品容器10の薬品の情報が前記残薬情報D30から消去される。さらに、前記薬品容器10の保留が選択されると、当該薬品容器10がそのまま前記混注処理室104内に保存される。
[注入工程の一例]
ここで、前記注射器11内の輸液又は薬液などの液体を前記薬品容器10に注入する際に、前記第2制御部500が前記第2ロボットアーム22を制御することによって実行される注入工程の一例について説明する。なお、前記注射器11内の液体を前記輸液バッグ12に注入する際も同様である。
なお、図31(A)に示されるように、前記注射器11の注射針11cの先端が鉛直下方に向けられ、前記注射器11内に液体MD1が充満した状態で、当該液体MD1を全量押し出す動作が前記注射器11で行われる場合には、最後に前記プランジャ11bを往復させるフラッシュ動作が行われたとしても、図31(B)に示されるように、前記プランジャ11bの先端面11b-1と前記シリンジ11aの先端面11a-1とに付着した前記液体MD1が残ることがある。
これに対し、前記第2制御部500は、前記注射器11内の前記液体MD1を前記薬品容器10に全量注入する際には、まず、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11内に空気AR1を取り込む空気吸引動作を実行する。これにより、図31(C)に示すように、前記シリンジ11a内では、下層に前記液体MD1、上層に前記空気AR1が存在することになり、前記液体MD1と前記プランジャ11bの先端面11b-1とが離間する。なお、前記空気吸引動作は、前記注射器11の注射針11cが前記薬品容器10に穿刺された状態で行われてもよいが、前記空気吸引動作は、前記注射器11の注射針11cが前記薬品容器10に穿刺される前の状態で行われてもよい。特に、前記薬品容器10に穿刺される前の状態で前記空気吸引動作が行われると、前記注射器11の注射針11cを前記薬品容器10に穿刺するまでの時間を、前記注射器11内で前記液体MD1を前記プランジャ11bの先端面11b-1から離間させるための時間として利用することが可能である。
その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11内の前記液体MD1を全量押し出す動作を実行する。これにより、図31(D)に示されるように、前記注射器11内の前記液体MD1は、その上層に存在する前記空気AR1によって押し出されることになるため、当該空気AR1が存在しない場合に比べて、前記注射器11内の前記液体MD1の残存を抑制することが可能である。
また、例えば前記注射器11から前記輸液バッグ12に前記液体MD1が注入される場合など、図31(E)に示されるように、当該注射器11が鉛直方向に対して傾斜した状態で当該注射器11の操作が行われることがある。この場合、前記注射器11が、少なくとも前記プランジャ11bの先端面11b-1に前記液体MD1が接触しない角度で傾斜していれば、前記空気吸引動作の効果が奏される。また、前記第2制御部500は、前記注射器11の角度が急になるほど前記注射器11内に吸引する前記空気AR1の量を増加させて、前記プランジャ11bの先端面11b-1と前記液体MD1との接触を回避することも考えられる。なお、ここでは前記注射器11から前記輸液容器10又は前記輸液バッグ12に注入する場合について説明したが、前記プランジャ11bの操作により前記注射器11内の液体を前記混注装置1に設けられたゴミ箱又はバケツのような廃液部に全量廃棄する場合にも、同様に前記プランジャ11bを押す前に前記空気吸引動作が行われてもよい。
[一括気泡排出機能]
図32(A)に示されるように、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11で前記薬品容器10から薬液MD2が吸引される場合、当該注射器11内に気泡AR2が発生することがある。これに対し、前記第2制御部500は、前記気泡AR2を消すことが可能な気泡排出機能を備えることが考えられる。
具体的に、前記注射器11で前記薬品容器10から薬液MD2を吸引した後に、当該注射器11の注射針11cの先端を鉛直下方向に向けた状態で前記プランジャ11bを所定量だけ引くことで前記シリンジ11a内に空気AR3を取り込めば、図32(B)に示されるように、空気AR3に気泡AR2を合体させて気泡AR2を消すことが可能である。その後、図32(C)に示されるように、前記注射器11の注射針11cの先端を鉛直上方向に向けた状態で前記プランジャ11bを所定量だけ押し出すれば、図32(D)に示されるように、前記空気AR3を排出することが可能である。以下、このような動作を気泡排出動作という。
一方、前記混注処理では、前記第2制御部500が、前記第2ロボットアーム22を制御することにより、前記注射器11で複数の前記薬品容器10から薬液MD2を吸引することがある。この場合、前記薬品容器10各々から薬液MD2を吸引する度に、前記気泡排出動作を行うと、前記混注処理の所要時間が長くなる。
そこで、前記第2制御部500は、複数の前記薬品容器10から薬液MD2を吸引する場合には、複数の前記薬品容器10からの薬液MD2の吸引が終わった後に、一度だけ前記気泡排出動作を実行する一括気泡排出機能を備えることが考えられる。これにより、前記薬品容器10ごとに個別に前記気泡排出動作を実行する場合に比べて時間が短縮される。
なお、前記第2制御部500は、前記薬液MD2を吸引する対象となる前記薬品容器10の数が多ければ、前記薬液MD2の吸引を繰り返す過程において、前記気泡AR2の数が多くなり、当該気泡AR2が合体する可能性がある。そこで、前記第2制御部500は、予め定められた所定数以上の前記薬品容器10から前記薬液MD2を吸引する場合には、前記空気AR3を吸引する工程を省略し、前記所定数未満の前記薬品容器10から前記薬液MD2を吸引する場合には、前記空気AR3を吸引する工程を実行することも他の実施形態として考えられる。
[輸液注入工程の一例]
前記注射器11内の液体が前記輸液バッグ12に注入される輸液注入工程では、当該注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12のゴム栓に穿刺された状態で、前記プランジャ11bが押されることにより前記シリンジ11a内の液体が前記輸液バッグ12に注入される。ここで、図33に示されるように、前記注射針11cが前記輸液バッグ12のゴム栓12aに穿刺されたときに、当該注射針11cの先端が前記ゴム栓12aの内側面12bに接触している場合、又は当該内側面12bに刺さっている場合には、前記プランジャ11bが押されても前記シリンジ11a内の液体が排出されず、当該シリンジ11a内が陽圧になる可能性がある。この状態で、前記注射針11cが前記ゴム栓12aから抜かれると、陽圧となっている前記シリンジ11a内の液体が前記注射針11cから押し出されるおそれがある。
そこで、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11の注射針11cを前記ゴム栓12aに穿刺し、液体の注入量に応じて前記プランジャ11bを押す動作を行った後、前記注射針11cを前記ゴム栓12aから抜く前に、前記プランジャ11bを所定量だけ引く圧力調整動作を行うことが考えられる。これにより、前記注射器11のシリンジ11a内の陽圧の程度が小さくなるため、当該注射器11の注射針11cが前記ゴム栓12aから抜かれたときに当該注射針11cから液体が漏れる可能性を低減することが可能である。
なお、前記第2制御部500は、前記移動部263に設けられたモーター等の駆動部の負荷(トルク)を検出し、当該負荷が予め設定された上限値以上である場合に、前記シリンジ11aから液体が排出されなかったと判断してもよい。そして、前記第2制御部500は、前記シリンジ11aから液体が排出されなかったと判断した場合には、前記圧力調整動作を実行し、前記シリンジ11aから液体が排出されたと判断した場合には、前記圧力調整動作を実行しない。これにより、必要な場合にのみ前記圧力調整動作が実行されることになる。また、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11のプランジャ11bを押し出す動作を行った後、前記注射針11cが前記ゴム栓12aから抜ける前に、前記プランジャ保持部262による前記プランジャ11bの保持を解除して当該プランジャ11bが自由に移動可能な状態で所定時間待機することが考えられる。これにより、前記シリンジ11a内が陽圧である場合には、前記プランジャ11bが自然に押し出されることになり、当該シリンジ11a内の陽圧が解消される。
[注射器落下機能]
前記第2制御部500は、使用後の前記注射器11を前記第2ロボットアーム22により前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄することになる。より具体的に、前記第2制御部500は、前記注射器11を保持する前記第2ロボットアーム22の保持部26に設けられている一対の前記把持爪261a(図8参照)を離間させることにより、当該保持部26から前記ゴミ収容室13aに前記注射器11を落下させる。
ところで、図34(A)に示されるように一対の前記把持爪261aで前記注射器11が保持されている状態で、図34(B)に示されるように一対の前記把持爪261aを離間させた場合に、いずれか一方の前記把持爪261aに前記注射器11が引っ掛かって当該注射器11が落下しないおそれがある。
そこで、前記第2制御部500は、前記ゴミ収容室13aの投入口の縁部に前記注射器11を接触させて当該注射器11を前記把持爪261aから落下させる注射器落下処理を実行する注射器落下機能を備えることが考えられる。
具体的に、前記第2制御部500は、図34(C)に示されるように、前記保持部26で保持されている前記注射器11を前記ゴミ収容室13aに排出する際、まず、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11のシリンジ11a又は注射針11cなどの少なくとも一部が前記ゴミ収容室13aの投入口13a-1内に位置するように、前記把持部26を移動させる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11の一部が前記投入口13a-1の縁部13a-2に接触するように、前記把持部26を前後左右のいずれか一又は複数の方向に移動させる。これにより、前記注射器11を前記縁部13a-2に接触させ、前記注射器11と前記把持部26との位置関係を相対的に変化させることができ、当該注射器11を前記把持部26から前記ゴミ収容室13aに落下させることが可能である。
また、前記ゴミ収容室13aに、当該ゴミ収容室13a内への物体の投入を検知するための光学センサ又は超音波センサなどの投入検出部が設けられていることが考えられる。この場合、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22の把持部26を開いて前記注射器11を前記ゴミ収容室13aに落下させるための排出工程を実行した後、予め設定された時間内に前記投入検出部により前記注射器11が前記ゴミ収容室13aに落下したことが検出されなかった場合に、前記注射器落下処理を実行することが考えられる。一方、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22の把持部26を開いて前記注射器11を前記ゴミ収容室13aに落下させるための排出工程を実行した後、予め設定された時間内に前記投入検出部により前記注射器11が前記ゴミ収容室13aに落下したことが検出された場合には、前記注射器落下処理を実行しない。これにより、無駄に前記注射器落下処理が実行されることが防止される。また、前記注射器落下処理において、前記ゴミ収容室13a内における前記把持部26の前後左右のいずれか一又は複数の方向への移動は、前記投入検出部により前記注射器11の落下が検出されるまで実行されることにより、当該注射器11の移動回数を最小限に抑えることが可能である。
[溶解工程の実施形態]
ところで、前記溶解工程において、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記注射器11内の前記輸液を前記バイアル瓶10B内に注入する。このとき、前記第2制御部500は、前記バイアル瓶10B内が陽圧にならないように、前記注射器10内の輸液を前記バイアル瓶10B内に注入する前に、前記プランジャ11bを引いて前記バイアル瓶10B内の空気を吸引し、その後に、前記プランジャ11bを押して前記注射器10内の輸液を前記バイアル瓶10Bに注入する置換工程を実行することが考えられる。一方、粉薬が収容される各種の前記バイアル瓶10Bの中には、入荷時に当該バイアル瓶10B内が陰圧の状態となっているものがあり、この種の前記バイアル瓶10Bであれば、前記置換工程が不要である。
そこで、前記データ記憶部404又は前記データ記憶部504などに記憶される前記医薬品マスターには、薬品各々について前記置換工程の必要性を判定するための置換判定情報が含まれていることが考えられる。例えば、前記置換判定情報は、前記置換工程の要否を示すフラグ情報、前記バイアル瓶10B内が陰圧であるか否かを示すフラグ情報、又は前記バイアル瓶10B内が圧力状態(圧力値)を示す情報などである。
そして、前記第2制御部500は、前記溶解工程の対象となる薬品の前記バイアル瓶10Bについて前記医薬品マスターに記憶されている前記置換判定情報に基づいて、当該バイアル瓶10Bに対する輸液の注入時における前記置換工程の実行の有無を切り替えることが考えられる。これにより、前記置換工程が必要な前記バイアル瓶10Bについては、前記置換工程により当該バイアル瓶10B内が陽圧になることが防止され、前記置換工程が不要な前記バイアル瓶10Bについては、前記置換工程の省略により前記混注処理の所要時間を短縮することが可能である。
また、入荷時に陰圧の状態となっている前記バイアル瓶10Bであっても、一部の薬種については、当該バイアル瓶10Bごとの個体差により陰圧の度合いが異なることがある。この場合、前記バイアル瓶10B内に輸液が注入された場合に、当該バイアル瓶10B内が陽圧になることも考えられる。そこで、陰圧の度合いに個体差があるか否かを判定するための個体差情報が、前記バイアル瓶10Bに収容される薬品ごとに予め設定されて前記医薬品マスターに登録されていることが考えられる。そして、前記第2制御部500は、前記置換判定情報に基づいて前記置換工程が不要であると判定した場合であっても、前記固定差情報に基づいて前記バイアル瓶10Bが陰圧度合いに個体差があると判定した場合には、前記置換工程を省略せずに実行する。これにより、前記個体差により前記バイアル瓶10Bが陽圧になることを抑止することが可能である。
さらに、入荷時に陰圧の状態となっている前記バイアル瓶10Bであっても、当該バイアル瓶10B内に注入される輸液量によっては、当該バイアル瓶10B内が陽圧になる可能性がある。そこで、前記閾値が前記バイアル瓶10Bに収容される薬品ごとに予め設定されて前記医薬品マスターに登録されていることが考えられる。なお、前記閾値は予め設定された一定値であってもよい。そして、前記第2制御部500は、前記置換判定情報に基づいて前記置換工程が不要であると判定した場合であっても、前記閾値に基づいて前記バイアル瓶10Bに注入する輸液量が予め定められた閾値以上であると判定した場合には、前記置換工程を省略せずに実行することが考えられる。
また、前記医薬品マスターには、前記バイアル瓶10Bの陰圧の程度を示す情報が含まれており、前記第2制御部500が前記バイアル瓶10Bの陰圧の程度に応じて前記置換工程における置換量を変更することが考えられる。具体的に、前記第2制御部500は、前記バイアル瓶10Bの陰圧の程度が小さいほど、前記置換工程において吸引する空気量が多く、前記バイアル瓶10Bの陰圧の程度が大きいほど、前記置換工程において吸引する空気量が少なくなるように調整することが考えられる。これにより、前記バイアル瓶10Bが陽圧になることを抑制しつつ、前記混注処理で前記置換工程に要する時間をできるだけ短縮することが可能である。
[シリンジ内攪拌機能]
前記注射器11を用いて前記輸液バッグ12に注入される薬液の粘性が高い場合には、当該輸液バッグ12内で薬液が輸液で溶解されにくい。そのため、前記第2制御部500は、前記注射器11内の薬液が前記輸液バッグ12に全量注入される際に、当該注射器11のシリンジ11a内で薬液と輸液とを攪拌して混和させてから前記輸液バッグ12に注入するシリンジ内攪拌処理を実行するシリンジ内攪拌機能を有することが考えられる。なお、前記シリンジ内攪拌処理は、前記混注処理の対象となっている薬品が前記医薬品マスターで粘性が高い薬品として登録されている場合にのみ実行されてもよい。また、全ての薬品について前記シリンジ内攪拌処理が実行されてもよい。
具体的に、前記シリンジ内攪拌処理において、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22を制御して、下記の(11)~(17)の工程を順に実行することが考えられる。
(11)前記輸液バッグ12のゴム栓に前記注射器11の注射針11cを穿刺し、前記注射器11で前記輸液バッグ12内の輸液を吸引可能な状態にする。
(12)前記第2制御部500は、前記注射器11により前記輸液バッグ12から輸液が予め設定された第1吸引量だけ吸引されるように前記プランジャ11bを引く。
(13)前記第2制御部500は、前記第1吸引量と同じ又は前記第1吸引量よりも少ない予め設定された第1注入量だけ前記シリンジ11a内の薬液が前記輸液バッグ12に注入されるように前記プランジャ11bを押し込む。なお、前記所定量は、前記シリンジ11a内に収容されている薬液量に応じてその都度変更されてもよい。
(14)前記第2制御部500は、前記(12)及び前記(13)の工程を所定回数だけ繰り返す。このとき、前記第1注入量は同じであってもよいが、前記第1注入量が徐々に減少してもよい。
(15)前記第2制御部500は、前記注射器11により前記輸液バッグ12から輸液が予め設定された第2吸引量だけ吸引されるように前記プランジャ11bを引く。なお、前記第1吸引量及び前記第2吸引量は、同じであってもよいが、異なる値であってもよい。
(16)前記第2制御部500は、前記第2吸引量よりも多い予め設定された第2注入量だけ前記シリンジ11a内の薬液が前記輸液バッグ12に注入されるように前記プランジャ11bを押し込む。
(17)前記第2制御部500は、前記(15)、(16)の工程を前記シリンジ11a内の薬液がなくなるまで繰り返す。このとき、前記第2注入量は同じであってもよいが、前記第2注入量が徐々に増加してもよい。
ここで、前記シリンジ11a内に10mlの薬液が収容されている状態で、当該薬液の全量が前記シリンジ11aから前記輸液バッグ12に注入される場合であって、前記シリンジ内攪拌処理が実行される場合を例に挙げて説明する。なお、前記第1吸引量は4ml、前記第1注入量は3ml、前記第2吸引量は3ml、前記第2注入量は5mlであるとする。また、前記(12)、(13)は合計で3回実行されるものとする。
この場合、前記(11)~(14)では、前記シリンジ11a内の薬液量が、10ml→14ml→11ml→15ml→12ml→16ml→13mlと変化する。
その後、前記(15)~(17)では、前記シリンジ11a内の薬液量が、13ml→16ml→11ml→14ml→9ml→12ml→7ml→10ml→5ml→8ml→3ml→6ml→1ml→4ml→0mlと変化する。
このように、前記シリンジ内攪拌処理が実行されると、前記シリンジ11a内で薬液と輸液とが攪拌によって混和した後に前記輸液バッグ12に注入することが可能となり、当該輸液バッグ12内における薬液と輸液との混和性を高めることが可能である。
[攪拌鑑査処理の実施形態]
前記攪拌鑑査処理では、前記第2制御部500により、前記バイアル瓶10Bの底部又は側面がユーザーによって視認可能な姿勢及び位置(混注装置1の前面側)に前記バイアル瓶10Bが移動する。ところで、前記攪拌工程により前記バイアル瓶10B内で薬品及び輸液が攪拌された後の状態でも、当該バイアル瓶10B内の液面付近に粉薬が集まりやすく、且つ、当該バイアル瓶10B内の薬液の色が濃くなる薬品などの特定薬品については、当該バイアル瓶10Bの底部又は側面からでは溶解度合いを確認しづらいことがある。
そこで、前記データ記憶部404又は前記データ記憶部504などに記憶される前記医薬品マスターには、薬品各々について、前記特定薬品であるか否かを示す特定薬品情報が含まれることが考えられる。そして、前記第2制御部500は、前記混注処理の対象となる薬品が前記特定薬品であるか否かを前記医薬品マスターの前記特定薬品情報に基づいて判定し、当該特定薬品であると判定した場合には、前記攪拌鑑査処理における前記バイアル瓶10Bの姿勢及び位置を、当該特定薬品でない場合とは変更することが考えられる。
具体的に、前記第2制御部500は、前記混注処理の対象となる薬品が前記特定薬品である場合、前記攪拌鑑査処理において、前記バイアル瓶10Bの位置を、前記混注処理の対象となる薬品が前記特定薬品でない場合に比べて低い位置になるように前記第1ロボットアーム21を制御することが考えられる。これにより、ユーザーが前記バイアル瓶10B内の液面を上方から確認することが可能であり、前記混注処理の対象となる薬品が前記特定薬品である場合でも、前記バイアル瓶10B内の粉薬の溶解度合いが把握しやすくなる。また、前記第2制御部500は、前記混注処理の対象となる薬品が前記特定薬品である場合には、前記攪拌鑑査処理において、前記バイアル瓶10Bの位置を、前記混注処理の対象となる薬品が前記特定薬品でない場合と同じ位置に移動させた後、さらに、当該位置よりも低い位置になるように前記第1ロボットアーム21を制御してもよい。なお、前記攪拌鑑査処理において、前記バイアル瓶10Bの写真が撮影される場合には、同様に当該バイアル瓶10Bが上方から撮影されることが考えられる。
[コアリング防止機能]
前記薬品容器10又は前記輸液バッグ12のゴム栓の表面には凹凸が形成されることがある。例えば、前記ゴム栓には、文字、記号、又は図形が凹凸によって形成されることがある。この場合、前記ゴム栓に前記注射器11の注射針11cが穿刺される際に、その穿刺位置が前記凹凸の位置である場合には、当該ゴム栓の一部が削り取られるコアリングが発生しやすくなる。そこで、前記第2制御部500は、前記ゴム栓に前記注射器11の注射針11cが穿刺される際に、前記凹凸の位置を避けて前記注射針11cを穿刺することが可能なコアリング防止機能を備えることが考えられる。
具体的に、前記データ記憶部404又は前記データ記憶部504などに記憶される前記医薬品マスターに、前記薬品容器10又は前記輸液バッグ12各々について、前記凹凸の位置を示す凹凸情報が含まれることが考えられる。この場合、前記第2制御部500は、前記混注処理の処理対象となる前記薬品容器10又は前記輸液バッグ12に対応して前記医薬品マスターに登録された前記凹凸情報に基づいて、前記薬品容器10又は前記輸液バッグ12のゴム栓における前記凹凸の位置を取得することが考えられる。
また、前記第2制御部500は、前記薬品容器10又は前記輸液バッグ12のゴム栓の表面を、前記トレイ確認カメラ41又は前記注射器確認カメラ42などのように前記混注装置1に設けられる撮影部によって撮影し、当該撮影部で撮影される画像に基づいて前記凹凸の位置を取得してもよい。
そして、前記第2制御部500は、前記ゴム栓における前記凹凸の位置を避けて前記注射針11cを穿刺する。例えば、前記輸液バッグ12が前記輸液バッグ保持部103に所定の姿勢でセットされる場合、前記第2制御部500は、当該所定の姿勢を基準に前記輸液バッグ12の前記ゴム栓における前記注射針11cの穿刺位置を調整することが考えられる。なお、前記第2制御部500は、前記薬品容器10又は前記輸液バッグ12のゴム栓の表面を、前記トレイ確認カメラ41又は前記注射器確認カメラ42などのように前記混注装置1に設けられる撮影部によって撮影し、当該撮影部で撮影される画像に基づいて前記注射針11cの穿刺位置を調整してもよい。また、前記第2制御部500は、前記薬品容器10のバーコードを前記薬品読取部34で読み取る際に、当該バーコードが読み取られた際に、前記薬品読取部34による前記薬品容器10の回転を停止させることにより、前記第1ロボットアーム21により前記薬品容器10を所定の姿勢で把持することが可能であり、当該姿勢を基準に前記注射針11cの穿刺位置を調整してもよい。
[バーコード破損対応機能]
前述したように、前記混注装置1では、前記対象調製データに基づく前記混注処理において、過去に実行された前記混注処理で残存した残薬が使用されることがある。ところで、前記載置棚33に残薬として載置される前記バイアル瓶10Bに付されているバーコードが、何らかの原因で破損して読み取り不能になる可能性がある。例えば、前記第1ロボットアーム21により前記バイアル瓶10Bが前記把持爪25aで把持されるときに当該バイアル瓶10Bのラベルに引っ掛かって当該ラベルが破れるおそれがある。なお、前述したように、前記バイアル瓶10Bに付されているバーコードは、前記バイアル瓶10Bが前記トレイ101にセットされる際に、前記第1制御部400によって実行される前記ステップS31で、前記バーコードリーダ204によって読み取られて前記調製データと照合される。
一方、前記混注装置1では、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22で保持されているときの前記バイアル瓶10Bの姿勢が、前記薬品読取部34による当該バイアル瓶10Bのバーコードの読み取りタイミングによって所定の姿勢に制御されることがある。例えば、残薬として保存されている前記バイアル瓶10Bへの前記注射針11cの穿刺位置が1回目と重ならないように、前記注射針11cが穿刺される前記バイアル瓶10Bの上面における穿刺位置が決定されることがある。例えば、前記バイアル瓶10Bごとに、1回目の前記所定の姿勢における穿刺位置が前記データ記憶部504に記憶され、当該穿刺位置に基づいて2回目の穿刺位置が重ならないように制御される。この場合、前記薬品読取部34により前記バイアル瓶10Bのバーコードが読み取られた場合に当該薬品読取部34による前記バイアル瓶10Bの回転動作を停止させ、当該バイアル瓶10Bを前記第1ロボットアーム21で把持すれば、当該第1ロボットアーム21で保持されているときの前記バイアル瓶10Bの上面の周方向の位置関係を一定にすることが可能である。しかしながら、残薬として前記載置棚33に保存される前記バイアル瓶10Bのバーコードが読み取り不能な状態であれば、当該バーコードを用いて当該バイアル瓶10Bの上面の周方向の位置関係が不明となる。
これに対し、前記第2制御部500は、1回の前記混注処理において、同種の薬品について複数の前記バイアル瓶10Bが使用され、当該混注処理で残薬として前記バイアル瓶10Bが残される場合に、前記バーコードが破損した前記バイアル瓶10Bが残薬として残されないように制御するバーコード破損対応機能を備えることが考えられる。
具体的に、前記第2制御部500は、前記混注処理において、前記第1ロボットアーム21により前記器材載置部102から前記バイアル瓶10Bを順に取り出し、前記薬品読取部34により前記バイアル瓶10Bのバーコードを読み取る。その後、前記第2ロボットアーム22により前記薬品読取部34にセットされた前記バイアル瓶10Bを前記載置棚33に載置する。このとき、前記バイアル瓶10B各々について前記バーコードが正常に読み取られたか否かについての破損有無情報を前記データ記憶部504に記憶する。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により前記載置棚33から使用する前記バイアル瓶10Bを順に取り出して使用することになる。このとき、前記第2制御部500は、前記データ記憶部504に記憶されている前記破損有無情報に基づいて、前記バイアル瓶10Bのうち前記薬品読取部34によって前記バーコードが正常に読み取れなかった前記バイアル瓶10Bを先に選択して使用する。これにより、複数の前記バイアル瓶10Bのうち前記バーコードが破損していない前記バイアル瓶10Bが後に使用され、残薬が生じる場合には、前記バーコードが破損していない前記バイアル瓶10Bが前記載置棚33に残されることになる。そのため、その後の前記混注処理において前記載置棚33に残薬として保存されている前記バイアル瓶10Bが使用される際には、前述したように前記バイアル瓶10Bの穿刺位置を前記バーコードの位置に基づいて制御することが可能であり、当該バイアル瓶10Bの同じ位置に前記注射針11cが2回穿刺されることが抑止される。
例えば、前記第2制御部500は、同種の薬品が5ml収容された同一規格の前記バイアル瓶10Bを前記混注処理で2本使用する場合であって、当該混注処理で残存する3mlの薬品が収容された1本の前記バイアル瓶10Bを次回以降に使用する残薬として前記載置棚33に保存する場合について考える。この場合、前記バイアル瓶10B各々を前記器材載置部102から順に取り出して前記バーコードを読み取り前記載置棚33に移動させる。ここで、例えば先に前記器材載置部102から取り出された前記バイアル瓶10B(以下、「第1バイアル瓶10B1」と称する)から前記バーコードが正常に読み取られず、後に前記器材載置部102から取り出された前記バイアル瓶10B(以下、「第2バイアル瓶10B2」と称する)から前記バーコードが正常に読み取られたとする。この場合、前記混注処理では、後に前記器材載置部102から取り出された前記第2バイアル瓶10B2が先に前記載置棚33から取り出されて使用され、次に、先に前記器材載置部102から取り出された前記第1バイアル瓶10B1が前記載置棚33から取り出されて使用される。これにより、前記混注処理の終了時には、前記バーコードが正常に読み取られた前記第1バイアル瓶10B1が残薬として前記載置棚33に保存されることになる。従って、その後に実行される前記混注処理で前記第1バイアル瓶10B1を使用する際に、前記第2制御部500は、前記第1バイアル瓶10B1への前記注射針11cの穿刺位置が前回と同じ位置に穿刺されないように前記所定の姿勢を基準にして制御することが可能である。