以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[混注装置1]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る混注装置1は、混注制御部100、薬品装填部200、混注処理部300、収容ユニット700、及び攪拌装置32を備える。そして、前記混注装置1では、前記混注制御部100により調製データに基づいて前記混注処理部300及び前記収容ユニット700の動作が制御されることによって、注射器で、調製データに示された抗がん剤などの薬品を既定量の薬品が収容された一又は複数のアンプル又はバイアル瓶などの第1容器から輸液バッグなどの輸液容器に注入する混注処理が実行される。また、前記混注処理には、注射器でアンプル又はバイアル瓶などの第1容器から薬品を吸引して他のアンプル又はバイアル瓶などの第2容器に注入する処理なども含まれる。
[混注制御部100]
まず、図1を参照しつつ前記混注制御部100の概略構成について説明する。前記混注制御部100は、本発明における混注制御装置の一例であって、通信可能に接続された第1制御部400及び第2制御部500を備える。前記第1制御部400は、前記薬品装填部200側に設けられ、前記第2制御部500は、前記混注処理部300側に設けられている。
なお、本実施形態で説明する前記第1制御部400及び前記第2制御部500各々の処理分担は一例に過ぎず、前記混注処理などの各処理手順は前記第1制御部400及び前記第2制御部500のいずれかによって実行されればよい。また、前記混注制御部100が、一つの制御部のみ又は三つ以上の制御部を有することも他の実施形態として考えられる。さらに、前記第1制御部400及び前記第2制御部500で実行される処理の一部又は全部が、ASIC又はDSPなどの電子回路により実行されてもよい。
また、前記第1制御部400は、前記混注装置1に調製データを入力する電子カルテシステム又は調剤管理システムなどの上位システム600との間で通信可能である。前記調製データは、処方データに基づいて生成される調製用のデータ又は前記処方データそのものである。前記処方データには、例えば処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量など)、剤形情報(内服、外用など)、用法情報(1日3回毎食後など)、診療種別(外来、入院など)、診療科、病棟、及び病室などが含まれる。また、前記調製データには、例えば調製ID、患者情報(患者ID、患者名など)、医師情報、薬品情報、薬品容量(薬品の使用量)、薬品容器の種類(薬液入りアンプル、薬液入りバイアル瓶、又は粉薬入りバイアル瓶など)、調製内容情報(混注処理に使用する薬品容器、注射器、注射針の種類及び本数等)、調製手順情報(作業内容、溶解薬、溶媒、溶解薬量、溶媒量、抜取量)、調製日、処方箋区分、投薬日、診療科、病棟、調製終了指定時期(又は開始予定時間)、所要時間などが含まれる。なお、前記薬品容量は、薬品の体積を示す情報である。
前記第1制御部400は、CPU401、ROM402、RAM403、データ記憶部404、及び操作部405などを備えるパーソナルコンピュータである。また、前記第1制御部400には、前記薬品装填部200に設けられた後述のディスプレイ203、バーコードリーダ204、及び空気清浄装置205などの各種の電気部品が接続されている。
前記CPU401は、各種の制御プログラムに従って処理を実行するプロセッサーである。前記ROM402は、前記CPU401により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM403は、前記CPU401による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
前記データ記憶部404は、前記CPU401に各種の処理を実行させるための各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク等の不揮発性の記憶装置である。例えば、前記データ記憶部404には、前記上位システム600から入力される前記調製データが記憶される。
なお、前記第1制御部400は、前記上位システム600から入力された前記調製データと共に、前記調製データごとに対応する後述のトレイ101(容器載置部の一例)の識別情報を前記データ記憶部404に記憶する。例えば、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応付けは、前記第1制御部400によって行われる。また、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応関係を示す情報が、前記調製データと共に前記上位システム600から前記混注装置1に入力されることも考えられる。
また、前記データ記憶部404には、例えば注射針マスター、薬品マスター、患者マスター、医師マスター、処方箋区分マスター、診療科マスター、及び病棟マスターなどの各種データベースが記憶されている。前記注射針マスターには、注射針の種類ごとに注射針の針先部の形状及び長さなどの情報が記憶されている。また、前記薬品マスターには、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬(粉薬)、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、抗がん剤、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、薬品容器の種別(アンプル、バイアル瓶)、薬品容器単位の薬品の収容量(既定量)、薬品容器の重量などの情報が含まれる。なお、前記薬品マスターには、生理用食塩水又はブドウ糖などの輸液が収容される輸液バッグ12の情報として、例えば前記輸液バッグ12の容器種別(ソフトバッグ、ハードタイプ、ALタイプ)、前記輸液バッグ12に収容されている輸液量、及び前記輸液バッグ12に注入可能な液体量などの情報も含まれる。
また、前記薬品マスターでは、薬品が輸液バッグ12に注入される際に後述の分割注入処理を実行するべき薬品に該当するか否かを示す分割注入フラグも記憶されている。例えば、前記分割注入フラグは、ユーザー操作に応じて前記第1制御部400によって設定される。また、他の実施形態として、前記薬品マスターに薬品の粘度、溶解度、又は溶解性などの溶解情報が記憶されており、その情報と薬品が輸液バッグ12の混注口部に付着し易いか否かを判断するために前記溶解情報について予め設定された判定基準とに基づいて自動的に設定されてもよい。
さらに、前記データ記憶部404には、前記CPU401に各種の処理を実行させるための第1混注制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記第1混注制御プログラムは、前記第1制御部400が備える不図示の読取装置によって、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体から読み取られて前記データ記憶部404にインストールされてもよい。
前記操作部405は、前記第1制御部400における各種のユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス、又はタッチパネルなどの各種の操作部を含む。
前記第2制御部500は、CPU501、ROM502、RAM503、データ記憶部504、操作部505などを備えるパーソナルコンピュータである。前記第2制御部500には、前記混注処理部300に設けられた後述の第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22、トレイ搬送部110、タッチパネルモニタ14、ICリーダ101c、ICリーダ15a、トレイ確認カメラ41、注射器確認カメラ42などの各種の電気部品が接続されている。
前記CPU501は、各種の制御プログラムに従って処理を実行するプロセッサーである。前記ROM502は、前記CPU501により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM503は、前記CPU501による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
前記データ記憶部504は、前記CPU501に各種の処理を実行させるための各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク等である。具体的に、前記データ記憶部504には、前記CPU501に後述の混注処理などを実行させるための第2混注制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記第2混注制御プログラムは、前記第2制御部500が備える不図示の読取装置によって、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体から読み取られて前記データ記憶部504にインストールされてもよい。また、前記データ記憶部504にも、前記データ記憶部404と同様の前記薬品マスターが記憶されており、前記第2制御部500は前記薬品マスターを参照可能である。他の実施形態としては、前記第2制御部500が、前記第1制御部400を介して前記薬品マスターの情報を取得可能な構成であってもよい。
なお、本発明は、前記混注制御部100において前記CPU401及び前記CPU501に各種の処理を実行させるための前記第1混注制御プログラム、前記第2混注制御プログラム、若しくは前記第1混注制御プログラム及び前記第2混注制御プログラムを統合した混注制御プログラムの発明として捉えてもよい。また、本発明は、前記第1混注制御プログラム、前記第2混注制御プログラム、若しくは前記第1混注制御プログラム及び前記第2混注制御プログラムを統合した混注制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の発明として捉えてもよい。さらに、本発明は、前記混注装置1において実行される一又は複数の処理手順を含む混注方法の発明として捉えてもよい。
前記操作部505は、前記第2制御部500における各種のユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス、又はタッチパネルなどの各種の操作部を含む。
[薬品装填部200]
次に、図2及び図3を参照しつつ、前記薬品装填部200の概略構成について説明する。なお、図3は、前記薬品装填部200の内部構成の要部を示す図である。また、図2及び図3において、前記収容ユニット700の図示は省略している。
図2及び図3に示すように、前記薬品装填部200は、扉201、作業テーブル202、ディスプレイ203、バーコードリーダ204、及び空気清浄装置205を備えるクリーンベンチである。なお、前記薬品装填部200と前記混注処理部300とは、前記混注処理部300の側面に形成されたトレイ装填口114(図6参照)及びトレイ搬出部701(図21参照)により連通されている。
前記作業テーブル202は、前記混注装置1により実行される混注処理の準備作業を行うために用いられ、前記作業テーブル202には、前記バーコードリーダ204及び前記トレイ101などが載置される。また、前記作業テーブル202の前面には、前記収容ユニット700から排出される前記トレイ101を取り出す際に開閉されるトレイ排出扉206が設けられている。
前記トレイ排出扉206には、ソレノイド又はモーター等の駆動部を含み、当該駆動部から伝達される駆動力により当該トレイ排出扉206のロックの有無を切替可能なロック機構が設けられている。具体的に、前記ロック機構は、前記第1制御部400又は前記第2制御部500によって制御可能である。例えば、前記第2制御部500は、前記調製データについての鑑査完了の操作が行われ、当該調製データに対応する前記トレイ101が前記トレイ排出扉206まで搬送された場合に、前記トレイ排出扉206のロックを解除する。なお、前記第2制御部500は、前記トレイ排出扉206の開閉後に当該トレイ排出扉206を再度ロックする。また、前記作業テーブル202内には、前記作業テーブル202に載置された前記トレイ101の前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能なICリーダ207(図21参照)が設けられている。なお、前記ICリーダ207による読取結果は前記第1制御部400に入力される。
前記ディスプレイ203は、前記第1制御部400からの制御指示に応じて各種の情報を表示させる液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。具体的に、前記ディスプレイ203には、前記混注装置1における混注対象の候補となる調製データなどが表示される。また、前記バーコードリーダ204は、処方箋又は調製指示書などに記載されたバーコードを読み取って、前記バーコードの内容を前記第1制御部400に入力する。前記空気清浄装置205は、前記薬品装填部200内に所定のフィルターを通じて空気を供給する。なお、前記ディスプレイ203は、例えば前記収容ユニット700が備える前面パネル700A(図18〜図21参照)に支持されていてもよい。
前記扉201は、前記薬品装填部200の前面に設けられており、鉛直上下方向に開閉可能な透明な部材である。ユーザーは、図2に示すように、前記扉201を少し開いて手を前記薬品装填部200内に入れた状態で、前記混注装置1により実行される混注処理の準備作業を行う。具体的に、前記作業テーブル202上に載置されているトレイ101には、図5に示すように、前記混注装置1で実行される混注処理で使用する薬品容器10(第1容器の一例)、注射器11、及び輸液バッグ12(輸液容器の一例)などが収容される。なお、前記輸液バッグ12には、前記輸液バッグ12の種別に対応する規定量の生理用食塩水、ブドウ糖、又は高カロリー輸液などの輸液が収容されている。また、前記薬品容器10に収容されている薬品は、例えば抗がん剤であるが、抗がん剤以外の薬品であってもよい。前記準備作業には、例えば前記トレイ101の所定の位置に前記薬品容器10、前記注射器11、及び前記輸液バッグ12を載置させ、前記トレイ101を前記収容ユニット700に装填する装填作業が含まれる。以下では、前記薬品容器10がアンプルである場合には、前記薬品容器10をアンプル10Aと称し、前記薬品容器10がバイアル瓶である場合には、前記薬品容器10をバイアル瓶10Bと称することがある。
図5に示すように、前記トレイ101は、患者名及び施用などが文字表示される電子ペーパー101aと、各種の情報が読み書き可能なRFID(Radio Frequency Identification)タグのようなICタグ101b(記録媒体の一例)とを有する。前記ICタグ101bは、前記トレイ101の底面に設けられており、前記ICタグ101bには、前記トレイ101を識別するための識別情報が記憶されている。
また、前記トレイ101は、前記薬品容器10及び前記注射器11(シリンジ11a、プランジャ11b、注射針11c、キャップ11d)が載置される器材載置部102(図9参照)と、前記輸液バッグ12を保持する輸液バッグ保持部103(図5参照)とを有する。前記器材載置部102及び前記輸液バッグ保持部103は前記トレイ101に対して個別に着脱可能である。
前記器材載置部102には、図5に示すように、前記アンプル10Aを傾斜した状態で支持する支持部102Aが設けられている。そして、前記アンプル10Aは、前記支持部102Aで斜めに立てられた状態でセットされる。これにより、前記アンプル10Aの首部に薬品が溜まらない。また、前記アンプル10Aの他、前記キャップ11dが装着された注射針11cなども前記支持部102Aに斜めに立てられた状態でセットされる。
前記注射針11cには、シリンジフィルター付きの注射針も含まれる。具体的に、前記アンプル10Aを使用する場合は、前記アンプル10Aの首が折られたときの破片が前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入されること、又は前記破片が前記注射器11に流入することを防止するためにシリンジフィルター付きの注射針が使用される。前記シリンジフィルターは、一般にコマ型フィルターとも称されるフィルターであり、薬品以外の異物の通過を防止する機能を有する。例えば、一般には日本ポール社製のシリンジフィルターが知られている。
一方、前記バイアル瓶10B及び前記注射器11は、図5及び図9に示すように、前記器材載置部102に寝かせた状態でセットされる。なお、このとき前記注射器11は、シリンジ11a及び注射針11cが分離した状態である。もちろん、ここで説明する前記器材載置部102内の配置形態は例示であり、これに限定されるものではない。
前記輸液バッグ保持部103には、図5に示すように、前記輸液バッグ12の混注口部(首部)を固定するためのチャック部140が設けられている。前記準備作業では、ユーザーが前記輸液バッグ12を前記チャック部140で保持させた状態で前記輸液バッグ保持部103にセットする。また、前記輸液バッグ保持部103には、前記輸液バッグ保持部103を昇降させる際に使用される係合穴部103aが設けられている。
そして、前記トレイ101は、ユーザーにより前記薬品容器10、前記注射器11及び前記輸液バッグ12がセットされた後、前記収容ユニット700に収容される。なお、後述するように、前記収容ユニット700には複数の前記トレイ101が収容可能である。これにより、後述するように、前記トレイ101は、必要に応じて前記収容ユニット700から前記トレイ搬出部701及び前記トレイ装填口114を通じて前記混注処理部300に自動的に供給される。その後、前記トレイ101は、前記混注処理部300における前記混注処理の終了後、前記輸液バッグ12が収容された状態で、前記混注処理部300のトレイ排出扉15(図3参照)から排出され、又は、前記収容ユニット700を介して前記薬品装填部200のトレイ排出扉206(図3参照)から排出される。なお、前記混注処理部300には、ユーザーが前記薬品装填部200から前記混注処理部300に前記トレイ101を直接供給可能な搬入口が設けられていてもよい。
[混注処理部300]
続いて、前記混注処理部300の概略構成について説明する。
図2〜図4に示すように、前記混注処理部300の前面には、主扉301、注射器取出扉302、ゴミ収容室扉13、タッチパネルモニタ14、及びトレイ排出扉15などが設けられている。
前記主扉301は、例えば前記混注処理部300に設けられた混注処理室104内の清掃などの際に、前記混注処理室104内にアクセスするために開閉される。また、前記混注装置1では、薬品が注入された前記輸液バッグ12を払い出す他に、薬品が充填された状態で前記注射器11を払い出すことも可能である。前記注射器取出扉302は、前記混注処理室104から前記注射器11を取り出す際に開閉される。
前記ゴミ収容室扉13は、前記混注処理室104における混注処理で使用された後の前記薬品容器10及び前記注射器11などの廃棄物が収容されるゴミ収容室13aから前記廃棄物を除去するために開閉される。また、前記トレイ排出扉15は、前記混注処理室104における混注処理により薬品が混注された後の前記輸液バッグ12が載置された前記トレイ101を取り出すために開閉される。
前記タッチパネルモニタ14は、前記第2制御部500からの制御指示に応じて各種の情報を表示させる液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。また、前記タッチパネルモニタ14は、ユーザーによるタッチ操作を受け付けるタッチパネルを有する。前記タッチパネルモニタ14には、例えば後述の各種カメラによって撮影される画像又は映像が表示可能である。
また、図4に示されるように、前記ゴミ収容室13aには、前記輸液バッグ12に収容された輸液などの液体を廃棄するための廃棄容器13bと、前記廃棄容器の重量を計測する秤量計13cとが設けられている。なお、前記廃棄容器13bは、前記ゴミ収容室扉13が開かれた状態で、前記ゴミ収容室13aに対して着脱可能である。また、前記混注処理室104内の底面には、前記廃棄容器13bの上方に、前記廃棄容器13bに連通する連通口(不図示)が形成されている。そして、後述の第2ロボットアーム22は、前記注射器11を操作して前記注射器11内の液体を前記連通口から前記廃棄容器13b内に廃棄することが可能である。前記秤量計13cは、例えば前記廃棄容器13bの重量に対応する電気信号を前記第2制御部500に入力するロードセルを有する。
これにより、前記第2制御部500は、前記廃棄容器13bへの液体の廃棄前後の前記秤量計13cによる前記廃棄容器13bの秤量結果に基づいて、液体の廃棄時にその液体の廃棄量を取得することが可能である。例えば、前記第2制御部500は、前記注射器11から廃棄される液体の量を、前記調製データ等に基づいて定まる廃棄量と照合し、照合結果が不一致である場合にエラーを前記タッチパネルモニタ14等に表示してユーザーに報知する。また、前記第2制御部500は、前記照合結果を前記混注処理の履歴情報として前記データ記憶部504に記録する。これにより、前記注射器11からの廃棄量の整合性チェック及び廃液量の管理を正確に行うことが可能である。
なお、前記注射器11を用いた液体の廃棄が行われるケースとしては、例えば前記混注処理において前記輸液バッグ12内の液体量が前記輸液バッグ12に対応して予め設定された最大許容量を超える場合に、予め前記輸液バッグ12から輸液を抜き取って廃棄する場合が考えられる。また、このような場合、前記第2制御部500は、前記注射器11により前記輸液バッグ12から抜き取られた液体量を、前記混注処理室104に設けられた秤量計35等を用いて秤量し、前記調製データと照合してもよい。さらに、前記第2制御部500は、前記秤量計35による秤量結果と前記秤量計13cによる秤量結果とを照合してもよい。
[混注処理室104]
図3及び図4に示すように、前記混注処理室104には、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22、アンプルカッター31、前記攪拌装置32、載置棚33、薬品読取部34、秤量計35、針曲り検知部36、混注連通口37、針挿入確認透明窓38、及びゴミ蓋132aなどが設けられている。さらに、図6に示すように、前記混注処理室104の天井側には、トレイ確認カメラ41、注射器確認カメラ42、注射針着脱装置43、針挿入確認カメラ44、殺菌灯45などが設けられている。
[第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22]
前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22は、多関節構造を有する駆動部であり、前記混注処理室104の天井側に基端部を固定して垂下状に設けられている。例えば、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の関節はそれぞれ5軸〜8軸である。そして、前記混注装置1では、双腕型の前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により混注処理における各作業工程が実行される。
具体的に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の各関節に設けられた駆動モーターを個別に駆動させ、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22に前記混注処理における各作業を実行させる。なお、前記混注処理部300は、前記混注処理を実行することができる構造であれば、例えば1本のロボットアームを有する構成、3本以上のロボットアームを含む構成、又はロボットアームを用いない構成であってもよい。
図6に示すように、前記第1ロボットアーム21は、前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材を保持することが可能な保持部25を備え、前記保持部25を予め定められた可動範囲内において任意の位置に移動させることが可能である。前記第2ロボットアーム22は、前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材を保持して任意の位置に移動させることが可能であると共に、前記注射器11による薬品の吸引及び注入の操作を実行することのできる保持部26を備える。また、前記第2ロボットアーム22は、前記薬品容器10及び前記注射器11などを予め定められた可動範囲内において任意の位置に移動させることが可能である。
図7に示すように、前記第1ロボットアーム21の前記保持部25は、一対の把持爪25aと、モーター251と、前記モーター251によって回転される2本のねじシャフト252、253と、前記ねじシャフト252、253に螺合されたナットブロック254、255とを備える。前記一対の把持爪25aは、前記ナットブロック254、255にそれぞれ固定されている。そして、前記ねじシャフト252、253の回転によって前記ナットブロック254、255が移動し、前記一対の把持爪25aが相互に近接及び離間して前記保持部25を保持及び解放する。
また、前記一対の把持爪25aは、前記バイアル瓶10Bの保持に適した凹部を有すると共に、先端側には前記アンプル10Aの保持に適した凹部を有する把持部である。図7では、前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bの両方が保持されている様子を示しているが、実際には一つの前記アンプル10A又は前記バイアル瓶10Bを保持する。
また、前記保持部25は、前記一対の把持爪25aによって、キャップ11dが装着された注射針11c又は前記注射器11を保持することも可能である。ところで、前記第2制御部500は、前記保持部25の前記一対の把持爪25aで前記注射器11を保持した際の前記モーター251の駆動量に応じて、前記注射器11の直径を測定することが可能である。従って、前記第2制御部500は、前記注射器11が前記調製データの調製内容情報で指定された注射器であるかどうかを判断することができる。
図8に示すように、前記第2ロボットアーム22の前記保持部26は、注射器保持部261、プランジャ保持部262及び移動部263を備える。前記注射器保持部261は、前記注射器11のシリンジ11aを保持する一対の把持爪261aを備えている。前記一対の把持爪261aは、前記保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、相互に近接及び離間して前記注射器11の前記シリンジ11aを保持及び解放する把持部である。また、前記一対の把持爪261aにおいては、互いに対向する対向面に、前記把持爪261aの上端面から前記対向面へ向けて下り傾斜する傾斜部261bが形成されている。
前記プランジャ保持部262は、前記注射器11のプランジャ11bの鍔部を保持する一対の把持爪262aを備えている。前記一対の把持爪262aは、前記保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、相互に近接及び離間して前記注射器11の前記プランジャ11bの鍔部を保持及び解放する把持部である。前記把持爪262a各々の上面には把持爪262bが固定されている。前記把持爪262b各々は、前記一対の把持爪262aを近接及び離間させることで近接及び離間し、前記注射器11だけではなく前記薬品容器10などの他の器材を把持する把持部である。なお、前記一対の把持爪262aの対向側の上面には前記プランジャ11bの鍔部が入り込むための凹部が形成されている。また、前記一対の把持爪262bの先端は前記一対の把持爪262aよりも前方に突出しており、前記一対の把持爪262bによる前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bなどの器材の把持が容易である。なお、前記把持爪262bは前記把持爪261aに設けられていてもよい。
前記移動部263は、前記プランジャ保持部262を前記注射器11のプランジャ11bの移動方向に移動させることが可能である。前記移動部263は、例えば、モーター、前記モーターによって回転されるねじシャフト、前記ねじシャフトに螺合されたナットブロック、ガイド等の駆動機構により前記プランジャ11bを移動させる。前記プランジャ保持部262は、前記ナットブロックに固定されており、前記ナットブロックの移動によって移動する。
[トレイ搬送部110]
また、前記混注処理部300には、図6における右側端部の前記トレイ装填口114と左側端部のトレイ搬送終端部110aとの間で前記トレイ101を往復搬送可能なトレイ搬送部110が設けられている。
ここに、図9は、前記トレイ搬送部110における前記トレイ101の搬送経路の一例を示す平面模式図である。なお、前記トレイ搬送部110内は前記混注処理室104内よりも陽圧に設定されている。図9に示すように、前記トレイ搬送部110は、前記トレイ101を、前記混注処理室104の下方であって前記ゴミ蓋132aの下に位置する前記ゴミ収容室13aの後方側を通過させて搬送するように設けられている。これにより、前記混注装置1の正面側から前記ゴミ収容室13aにアクセスすることができる。図9では、前記トレイ搬送部110の搬送経路を示すために、前記トレイ搬送部110内を移動する前記トレイ101を二点鎖線で示しており、前記トレイ搬送部110内に同時に複数の前記トレイ101が存在するわけではない。なお、前記トレイ搬送部110が、前記トレイ搬送部110内において前記トレイ装填口114と前記トレイ搬送終端部110aとの間で、複数の前記トレイ101を同時に搬送可能な構成であってもよい。
前記トレイ搬送部110の前記トレイ搬送開始部110bには、前記トレイ装填口114から挿入される前記トレイ101を内部に引き込み、又は前記トレイ装填口114から前記トレイ101を排出することが可能な不図示のベルトコンベアーが設けられている。また、前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部10に設けられた前記ICタグ101bから情報を読み取り可能なICリーダ101c及びICリーダ15aが設けられている。例えば、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ15aは、RFIDタグから情報を読み取るRFIDリーダである。前記ICリーダ101cは、前記トレイ装填口114から前記トレイ101が装填されるトレイ搬送開始部110bに設けられており、前記ICリーダ15aは、前記トレイ101が前記トレイ排出扉15から排出される前記トレイ搬送終端部110aに設けられている。
そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ装填口114から前記トレイ搬送開始部110bに挿入されたことを不図示のセンサ出力に基づいて判断すると、前記ICリーダ101cにより前記ICタグ101bから情報を読み取る。また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送終端部110aに挿入されたことを不図示のセンサ出力に基づいて判断すると、前記ICリーダ15aにより前記ICタグ101bから情報を読み取る。同様に、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送開始部110bから前記トレイ装填口114を介して前記収容ユニット700に向けて搬送される際にも、前記ICリーダ101cにより前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能である。そして、前記第2制御部500は、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ15aによる読取結果に応じて前記トレイ101の適否などを判断するトレイ照合処理などを実行する。
また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ装填口114を通って前記トレイ搬送部110内の所定位置に達したことを、例えばセンサ(不図示)の出力に基づいて判断すると、前記トレイ搬送部110及び前記混注処理室104を連通及び遮蔽させるシャッター111を水平方向にスライドさせる。前記シャッター111が開けられると、前記器材載置部102が前記混注処理室104内に露出される。図9では、前記器材載置部102が前記混注処理室104内に露出された状態が示されている。
前記トレイ搬送部110には、図10に示されているように、前記トレイ装填口114を通って前記トレイ搬送部110内に移動された前記トレイ101における前記器材載置部102を昇降させるトレイ昇降部112が設けられている。前記トレイ昇降部112は、例えば昇降可能に設けられた4本のシャフト112aの上下方向の駆動により、前記器材載置部102を下から上方に持ち上げる。
そして、前記第2制御部500は、前記トレイ昇降部112によって前記器材載置部102を上昇させた後、前記トレイ確認カメラ41による撮影を行う。前記トレイ確認カメラ41は、予め定められた前記器材載置部102に載置された前記薬品容器10及び前記注射器11等を上方から撮影する。前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41の撮影画像を用いて画像認識処理を実行し、前記調製データで示されている数の前記薬品容器10及び前記注射器11(シリンジ11a及び注射針11c)などが前記器材載置部102上に存在しているかどうか等の判断を行う。
また、図10に示すように、前記混注処理室104の左側空間に位置する前記トレイ搬送終端部110aには、前記輸液バッグ保持部103を昇降させるバッグ昇降部113が設けられている。前記第2制御部500は、前記トレイ101を前記バッグ昇降部113の前まで搬送させた後、前記バッグ昇降部113のフック部113aを前記係合穴部103aに下から引っかける。そして、前記第2制御部500は、前記フック部113aが形成された円弧ギア部113bをモーター113cで回転駆動させることにより、前記輸液バッグ保持部103を上昇させ、前記輸液バッグ12の混注口部を前記混注連通口37に位置させる。
また、前記混注処理部300では、前記輸液バッグ12の姿勢を変位させる変位動作を実行可能である。具体的に、前記第2制御部500は、前記混注処理部300の前記モーター113cを制御することにより、前記バッグ昇降部113を駆動させて前記輸液バッグ保持部103を傾斜させ、前記輸液バッグ12の混注口部を上向き又は下向きにすることができる。より具体的に、前記第2制御部500は、前記モーター113cを制御して前記バッグ昇降部113の駆動量を調整することにより、前記輸液バッグ12の姿勢を、予め設定される少なくとも2種類の第1姿勢及び第2姿勢に変位させることが可能である。
前記第1姿勢は、前記輸液バッグ12が当該輸液バッグ12の混注口部から当該輸液バッグ12の底部に向けて上方に傾斜する姿勢、又は前記輸液バッグ12が概ね水平状態となる姿勢であり、前記輸液バッグ12に薬品が注入される注入動作時の姿勢として用いられる。前記第2姿勢は、前記輸液バッグ12に薬品が注入された後に当該薬品を当該輸液バッグ12の底部に向けて移動させるための姿勢として用いられる姿勢である。具体的に、前記第2姿勢は、前記輸液バッグ12が、当該輸液バッグ12の混注口部から当該輸液バッグ12の底部に向けて下方に傾斜する姿勢である。また、前記第1姿勢は、前記第2姿勢と同様に前記輸液バッグ12が当該輸液バッグ12の混注口部から当該輸液バッグ12の底部に向けて下方に傾斜する姿勢であってもよく、この場合、前記第2姿勢が前記第1姿勢よりも水平に対する傾斜角度が大きければよい。なお、前記輸液バッグ12の前記第1姿勢及び前記第2姿勢の間の姿勢変位については、後述の分割注入処理において説明する。
また、図6に示すように、前記トレイ搬送終端部110aの上方には、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12を照明するドーム型ライト120及び輸液用カメラ121が設けられている。前記輸液用カメラ121は、前記ドーム型ライト120内の中心部に設けられ、前記輸液バッグ12の表面に付されているバーコードを読み取る。これにより、前記第2制御部500では、前記輸液用カメラ121により読み取られた前記バーコードの情報に従って前記輸液バッグ12の適否を判断することが可能である。
[アンプルカッター31]
図11に示すように、前記アンプルカッター31には、ヤスリ部31a、屑トレイ31b、頭部差し込み部31c、駆動ボックス31f、屑ボックス31g、及び把持部31hが設けられている。
前記ヤスリ部31aは、前記アンプル10Aの首にノッチ加工をするための部材であり、前記屑トレイ31bには前記ヤスリ部31aにおけるノッチ加工で生じる屑が落下する。具体的に、前記混注装置1では、前記第1ロボットアーム21が前記アンプル10Aを保持し、前記アンプル10Aの首を前記ヤスリ部31aに当てた状態で摺動することにより前記アンプル10Aの首にノッチ加工が施される。
前記頭部差し込み部31cは、前記ノッチ加工が施された前記アンプル10Aの頭部が下方から差し込まれる孔31dと、前記孔31dから上方に突出された前記アンプル10Aの頭部の側方に位置するプッシャー31eとを有する。一方、前記駆動ボックス31fは、内部に設けられたカム及び前記カムを駆動する駆動モーターを有しており、前記駆動モーターにより前記カムが駆動されると、前記カムによって前記プッシャー31eが前記アンプル10Aの頭部に近接及び離間する方向に往復動作する。
そして、前記混注装置1では、前記第1ロボットアーム21が前記把持爪25aにより前記アンプル10Aを保持し、前記アンプル10Aの頭部を前記孔31dに下から差し込んで首部より上の頭部を上方に突出させる。その後、前記第2制御部500により、前記駆動ボックス31fの前記駆動モーターが駆動されて前記プッシャー31eが前記アンプル10Aの頭部を押す方向に移動されると、前記プッシャー31eにより前記頭部が押されて折れられる。このとき、前記プッシャー31eで折られた頭部は前記屑ボックス31g内に落ちる。なお、前記把持部31hは、前記アンプルカッター31を摺動可能に支持するレール31i(図4参照)に沿って前記アンプルカッター31を摺動させる際にユーザーが把持するために用いられる。
[攪拌装置32]
前記攪拌装置32は、前記バイアル瓶10Bに粉薬(散薬)などの溶解が必要な薬品が収容されている場合に、前記バイアル瓶10B内に輸液又は薬品などを注入して前記薬品を溶解させ、混合薬品を生成するときに使用される。具体的に、前記攪拌装置32は、前記バイアル瓶10B内の薬品を攪拌する攪拌工程で用いられる。
前記攪拌装置32には、図12に示すように、ローラー32a、押さえ部32b、回動支持部32c、支持台32d、水平揺動機構32e、支持部32f、及び駆動モーター32gなどが設けられている。二つの前記ローラー32aは、所定の間隔だけ離間して対向配置されている。一方の前記ローラー32aは回動自在に支持され、他方の前記ローラー32aは前記駆動モーター32gに連結されている。なお、前記ローラー32a各々は軸方向に長尺状であり、前記攪拌装置32では、前記ローラー32aの軸方向の両端に載置される二つの前記バイアル瓶10Bを同時に攪拌することが可能である。
また、前記押さえ部32bは、前記ローラー32aに載置された前記バイアル瓶10Bを上から押さえるために用いられ、前記バイアル瓶10Bの回転に伴って回転する従動ローラーである。前記回動支持部32cは、不図示の駆動モーターによって前記押さえ部32bを前記バイアル瓶10Bに対して接触又は離間する方向に回動させる。
前記支持台32dは、前記ローラー32a、前記押さえ部32b、及び前記回動支持部32cなどを支持する。前記水平揺動機構32eは、例えばクランク機構を有しており、前記支持台32dを前記ローラー32aの軸方向に揺動させることが可能である。
前記支持部32fは、前記ローラー32aの軸方向の両端部に前記バイアル瓶10Bの首が嵌められるU字状の切り欠きを有する。前記ローラー32aに前記バイアル瓶10Bが載置される場合は、前記バイアル瓶10Bの首が前記切り欠きに係合される。これにより、前記支持台32dが前記水平揺動機構32eによって前記ローラー32aの軸方向に揺動される場合に、前記バイアル瓶10Bが前記ローラー32aの軸方向の揺動に追随して揺動し、前記バイアル瓶10B内の薬品が水平方向に攪拌される。
一方、二つの前記ローラー32aの間に、前記バイアル瓶10Bが載置され、前記駆動モーター32gが駆動されると、前記駆動モーター32gに連結された前記他方のローラー32aにより前記バイアル瓶10Bが回転され、前記バイアル瓶10B内の薬品が攪拌される。なお、このとき前記一方のローラー32aは、前記バイアル瓶10Bの回転により前記他方のローラー32aと同方向に回転する。また、前記ローラー32aの少なくとも一方が偏心駆動されるものであれば、前記ローラー32aに載置された前記バイアル瓶10Bを縦方向(上下方向)にも攪拌することが可能である。
[載置棚33]
図4に示すように、前記載置棚33は、前記混注装置1において実行される混注処理において前記薬品容器10及び前記注射器11などを仮置きするために用いられる。前記載置棚33は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の双方がアクセス可能な位置に設けられている。前記載置棚33において、前記バイアル瓶10Bは予め定められた位置に立てた状態で載置される。一方、前記載置棚33には、前記アンプル10Aを傾斜した状態で保持するための傾斜保持部が設けられており、前記アンプル10Aは、前記傾斜保持部に傾斜した状態で載置される。また、前記載置棚33には、前記注射器11の首部が嵌る予め定められた所定径の首保持穴が形成されており、前記注射器11は、注射針11cが付けられていない状態で首部を下向きにして仮置きされる。なお、前記載置棚33のサイズは、前記収容ユニット700に収容可能な前記トレイ101の数によって予め定められることが望ましい。例えば、前記載置棚33のサイズは、前記収容ユニット700に収容可能な前記トレイ101の数に対応する前記混注処理で使用される前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材が同時に載置可能なサイズであることが考えられる。
[薬品読取部34]
前記薬品読取部34は、前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bなどの前記薬品容器10に貼付されたラベルに記載され、収容された薬品の薬品情報を示すバーコードを読み取る。具体的に、前記薬品読取部34は、図13に示すように、二つのローラー34a、及びバーコードリーダ34bを備える。前記ローラー34aは、所定の間隔だけ離間して対向配置されている。一方の前記ローラー34aは回動自在に支持され、他方の前記ローラー34aは不図示の駆動モーターに連結されている。二つの前記ローラー34aは、前記駆動モーターによって駆動されることにより、前記ローラー34aの間に載置された前記薬品容器10を周方向に回転させる。これにより、前記薬品容器10を周方向に1回転させることができるため、前記薬品容器10に貼付されたラベルの全域を前記バーコードリーダ34bに向けることができる。そして、前記バーコードリーダ34bは、前記ローラー34aにより回転される前記薬品容器10のラベルからバーコードを読み取る。
[秤量計35]
前記秤量計35は、前記混注装置1において実行される混注処理において前記注射器11の重量を測定するために用いられ、前記秤量計35による測定結果は前記第2制御部500に入力される。具体的に、前記秤量計35は、重量に対応する電気信号を前記第2制御部500に入力するロードセルを有する。なお、前記秤量計35は、前記第2ロボットアーム22の可動範囲内に配置されており、前記第2ロボットアーム22により載置された前記注射器11の重量を測定する。また、前記秤量計35とは別に、前記薬品容器10又は前記注射器11などを秤量する秤量計が前記載置棚33に設けられていることも考えられる。
[針曲り検知部36]
図14に示すように、前記針曲り検知部36には、前記注射器11の前記注射針11cを挿入して移動させることが可能な長穴36aが形成されている。また、前記針曲り検知部36は、前記長穴36aを挟んで検出光を照射及び受光し、互いの検出光が非平行となるように配置された第1光センサ361及び第2光センサ362を備える。即ち、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362の検出光の照射方向は異なっている。前記第1光センサ361及び第2光センサ362による検知結果は前記第2制御部500に入力される。
そして、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11に装着されている前記注射針11cが前記長穴36aに挿入されて上下方向に移動される。このとき、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362各々の検出光が前記注射針11cによって遮られると、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362各々はオフする。
これにより、前記第2制御部500では、前記検出光を遮るときの前記注射針11cの位置情報を用いて前記注射針11cの曲りなどを検知することが可能である。なお、前記注射針11cをカメラで撮影し、この撮影した画像に対する画像認識で針曲りなどを検知することも他の実施形態として考えられる。そして、前記注射針11cに曲りが生じている場合、前記第2制御部500は、前記注射針11cの曲り量に基づいて、例えば前記第2ロボットアーム22により前記注射針11cで前記輸液バッグ12の混注口部のゴム栓を穿刺する際の針先位置などを調整することが可能である。
[混注連通口37]
前記混注連通口37は、図3に示すように、前記混注処理室104の側壁における外側に突出するドーム状箇所に形成されており、且つ前記ドーム状箇所には前記輸液バッグ12の混注口部を通すための切欠きが上下方向に形成されている。そのため、前記輸液バッグ保持部103が上昇すると、前記輸液バッグ12の混注口部が前記混注処理室104内に位置することになる。これにより、前記第2ロボットアーム22で保持された前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12の混注口部に挿通可能となる。
[針挿入確認透明窓38]
前記針挿入確認透明窓38は、前記トレイ搬送終端部110aの前記輸液バッグ12を前記混注処理部300から視認可能な窓であり、前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12に挿入された状態を確認するための画像撮影時に使用される。
[注射器確認カメラ42]
また、前記注射器確認カメラ42は、図6に示すように、前記混注処理部300の天井部に配置されている。そして、前記注射器確認カメラ42は、前記注射器11に吸引された薬品の有無及び量などを確認するために前記注射器11を撮影するために用いられる。前記注射器確認カメラ42は、予め固定された撮影範囲内の画像を撮影するものであってもよいが、前記第2制御部500によって制御されることにより前記撮影範囲の位置及びサイズを任意に変更可能なものであってもよい。また、後述するように、前記混注装置1では、前記注射器確認カメラ42により、前記注射器11及び前記薬品容器10が一度に撮影され、信憑性の高い鑑査画像が提供される。前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42による前記撮影画像を、例えば前記混注装置1で実行される混注処理の適否を画像で鑑査するために、前記データ記憶部404、前記データ記憶部504、又は前記混注装置1の外部に設けられたハードディスク等の記憶部に記録させる。そして、前記第2制御部500は、ユーザーによる前記鑑査の際に、前記注射器確認カメラ42による撮影画像を前記タッチパネルモニタ14又は前記ディスプレイ203などの表示装置に表示させる。
[注射針着脱装置43]
前記注射針着脱装置43は、図15及び図16に示すように、切り込み部が形成されたチャック部43aの穴部43bにキャップ11dが装着された注射針11cの先端が上向きで差し込まれる。モーター43cが駆動されると、図示しないカム機構によって前記チャック部43aの穴部43bが拡がって、前記キャップ11dと共に前記注射針11cが差し込み可能となる。前記モーター43cの駆動が停止されると、バネ43dによって前記キャップ11d及び前記注射針11cの保持状態が維持される。針回しモーター43eが駆動されると、ギア43f及びギア43gが回転し、前記チャック部43aが回転して、前記キャップ11d及び前記注射針11cが回転される。
前記注射針11c及び前記キャップ11d各々には、前記キャップ11dが前記注射針11cに装着された状態で周方向に回転したときに接触するリブが設けられている。そのため、前記注射針11cは、前記チャック部43aによって前記注射針11cの前記キャップ11dが回転されたときに前記キャップ11dと共に回転し、前記シリンジ11aに対して着脱される。また、前記注射針着脱装置43では、前記チャック部43aによって前記キャップ11dが保持された状態で、前記第2ロボットアーム22によって前記注射器11を前記チャック部43aに接近又は離間させることにより前記注射針11cに対する前記キャップ11dの着脱を自動で行うことも可能である。なお、前記注射針着脱装置43では、前記注射針11cの先端が上に向くので、前記注射針11cが外された前記シリンジ11aの先端開口は上向きとなり、前記シリンジ11aの首部開口からの液垂れを防止することができる。
[針挿入確認カメラ44]
また、前記針挿入確認カメラ44は、前記混注処理室104外に位置する前記輸液バッグ12と、前記混注処理室104内の前記注射器11を1つの画像内に収まるように撮影する。前記第2制御部500は、前記輸液バッグ12の混注口部のゴム栓を前記注射針11cで穿刺した際に、前記針挿入確認カメラ44によって前記針挿入確認透明窓38の方向を撮影する。そして、前記針挿入確認カメラ44による撮影画像は、例えば前記タッチパネルモニタ14に表示される。ここに、図17は、前記針挿入確認カメラ44による撮影画像の一例である。これにより、ユーザーは、前記注射針11cの先端側が前記輸液バッグ12内に位置しているか否かを前記撮影画像によって確認することができる。なお、前記撮影画像は、例えば最終鑑査のために前記混注装置1の内部又は外部に設けられたハードディスク等の記憶部に保存される。そして、前記撮影画像が表示されている前記タッチパネルモニタ14で、ユーザーによりOKボタンが操作されて適切に混注処理が終了したと判断されると、前記輸液バッグ12が前記バッグ昇降部113によって降下され、前記トレイ101に戻される。
ところで、前記混注装置1には、前記混注処理の適否を鑑査するための鑑査作業を支援するための各種のカメラが設けられているが、さらに前記混注装置1内で実行される前記混注処理の様子を動画で撮影する動画撮影部が設けられることも考えられる。そして、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記動画撮影部によって撮影される動画を、前記データ記憶部404又は504のような予め設定された記憶部に記憶させる。これにより、前記第1制御部400、前記第2制御部500、又は外部の情報処理装置などのコンピューター(以下、表示用コンピューターという)は、前記動画撮影部で撮影された動画を前記記憶部から動画を読み出し、例えば医療機関の受付場所又は待合室などに設置される液晶ディスプレイ等の表示部に表示させることが可能である。より具体的に、前記表示用コンピューターは、前記記憶部に記憶されている動画データを古いものから順に読み出して前記表示部に表示させた後、当該動画データを前記記憶部から消去することが考えられる。また、前記表示用コンピューターは、前記動画撮影部で撮影された動画のうち表示日当日に撮影された動画のみを古いものから順に表示させることも考えらえる。
なお、前記表示用コンピューターは、前記動画撮影部で撮影される動画をリアルタイムで液晶ディスプレイ等の表示部にリアルタイムで表示させてもよい。但し、前記混注処理の途中でエラーが発生した場合、又は前記混注処理の結果が正常でない場合に、そのときの動画が表示されるおそれがある。そこで、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記混注装置1における前記混注処理の結果が正常に実行された場合に、当該混注処理に対応する動画が表示可能となるように処理することが考えられる。例えば、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記動画データが撮影された際に実行されていた前記混注処理の処理対象である前記調製データの識別情報と前記動画撮影部で撮影された動画データとを対応付けると共に、当該動画データに読み出し不可のロックをかけた状態で前記記憶部に記憶させる。その後、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記調製データに対応する混注処理についての適否を確認する鑑査処理においてユーザーによって行われる鑑査完了の操作に応じて、当該調製データに対応付けられている前記動画データの読み出し不可のロックを解除する。これにより、正常に行われなかった前記混注処理の状況が前記表示部に表示されることが防止される。
[殺菌灯45]
前記殺菌灯45は、例えば前記混注処理の開始の3時間前から点灯される。図6に示すように、二つの前記殺菌灯45のうち1つは前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の間の位置に設けられている。そのため、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22に遮られる殺菌光の量は少なくなり、前記混注処理室14内を満遍なく殺菌することができる。
ところで、図2に示されるように、前記混注処理部300の天井部には、吸気口300a及び排気口300bが形成されている。また、図1に示されるように、前記混注処理部300は、前記吸気口300aを介して外部から吸気するための第1ファン300cと、前記排気口300bを介して外部へ排気するための第2ファン300dとを備える。ここで、前記第1ファン300c及び前記第2ファン300dは、前記薬品装填部200側に配置された前記第1制御部400によって制御可能である。さらに、前記混注処理部300には、前記第1ファン300cによって外部からフィルターを介して吸気された空気を前記混注処理室104及び前記トレイ搬送終端部110a等に導く吸気経路と、前記第2ファン300dによって前記混注処理室104内からフィルターを介して外部に空気を排出する排気経路とが形成されている。
一方、前記秤量計35などの秤量計にロードセルが用いられる場合には、当該秤量計の精度が環境湿度に応じて変化するおそれがある。また、前記混注処理部300内の湿度が高ければ結露が生じるおそれがある。これらの高湿度に起因する問題に対し、前記第1ファン300c及び前記第2ファン300dを常に駆動させることが考えられるが、省電力の観点からは好ましくない。そのため、前記混注処理部300に、環境湿度を検出する湿度計が設けられ、前記第1制御部400が、当該湿度計による検出湿度が予め設定された特定湿度以上である場合に前記第1ファン300c及び前記第2ファン300dを駆動することが考えられる。これにより、前記湿度計の環境湿度が前記特定湿度以上である場合にのみ、前記第1ファン300c及び前記第2ファン300dが駆動するため、省電力化を図りつつ高湿度に起因する問題を改善することが可能である。
特に、前記第1制御部400は、前記混注処理部300が省電力状態(待機状態)又は電源遮断状態などの非稼働状態であっても前記湿度計による検出湿度に基づいて前記第1ファン300c及び前記第2ファン300dを制御することが望ましい。これにより、前記混注処理部300内の湿度が前記特定湿度未満に保たれるため、当該混注処理部300の稼働開始の時点で結露が発生している可能性を低減することが可能となり、高湿度に起因する問題が改善される。
続いて、図18〜図21を参照しつつ、前記収容ユニット700について説明する。なお、図18は前記薬品装填部200及び前記収容ユニット700の正面図、図19は図18におけるI−I断面図、図20は図18におけるII−II断面図である。また、図21は、前記収容ユニット700の内部構成を示す模式図である。なお、以下では、図18〜図21に示す上下左右及び前後の方向を用いて説明することがある。
前記収容ユニット700は、トレイ搬入部710、昇降ユニット800、及びトレイ搬送部900などを備え、前記混注制御部100によって制御される。前記トレイ搬入部710及び前記昇降ユニット800は、前記作業テーブル202の後方に配置されており、前記トレイ搬送部900は、前記作業テーブル202の下方に配置されている。前記収容ユニット700には、複数の前記トレイ101が収容可能であり、前記混注制御部100は、任意の前記トレイ101を前記収容ユニット700から搬出させることが可能である。即ち、前記収容ユニット700には、前記トレイ101に載置される前記輸液バッグ12が複数収容可能であり、前記収容ユニット700は、例えば前記混注処理の終了後の前記輸液バッグ12を複数貯留するために用いられる。なお、前記収容ユニット700の具体的構成については、同様の機能を達成することができれば、ここで説明する構成に限らない。
前記トレイ搬入部710は、前記収容ユニット700内に前記トレイ101を搬入するために用いられるトレイ装填口711を開閉するシャッター712と、前記シャッター712の開閉に用いられる駆動部713とを備える。前記駆動部713は、例えばモーター、ギア、張架ローラー、及びベルトを含むベルトコンベヤーであり、前記モーター及び前記ギアによって前記張架ローラーが回転された場合に、前記ベルトに連結された前記シャッター712が開閉される。前記シャッター712が開かれると、ユーザーは、前記作業テーブル202上で前記トレイ101を後方側にスライド移動させることにより、前記トレイ101を前記収容ユニット700の昇降ユニット800内に装填することが可能となる。なお、前記トレイ装填口711は、前記トレイ排出扉206に対して上下方向に離間した位置に配置されており、具体的に、前記トレイ装填口711は前記トレイ排出扉206よりも高い位置に配置されている。
前記昇降ユニット800は、上下方向に昇降可能に支持された移動筐体810と、前記移動筐体810内において上下方向に配置された複数段のトレイ収容部811と、前記トレイ収容部811に対する前記トレイ101の搬入及び搬出に用いられる駆動部812及び813と、前記移動筐体810を上下方向に昇降させる昇降機構820とを備える。なお、前記移動筐体810は、例えば前記収容ユニット700の筐体内面に形成されたレール部(不図示)によって上下方向にスライド可能に支持されている。前記移動筐体810は、少なくとも最上段の前記トレイ収容部811が前記トレイ装填口711よりも上方に位置する状態と、最下段の前記トレイ収容部811が前記トレイ装填口711よりも下方に位置する状態との間で昇降可能である。特に、前記移動筐体810は、前記トレイ収容部811各々を、前記トレイ収容部811及び前記トレイ搬入部710の間で前記トレイ101が移動可能な状態と、前記トレイ収容部811及び前記トレイ搬送部900の間で前記トレイ101が移動可能な状態とに位置させることが可能な範囲で昇降する。
前記トレイ収容部811は、前記トレイ101を支持可能な左右一対のベルト814と、前記ベルト814各々を走行可能に支持する複数の張架ローラー815と、前記張架ローラー815のいずれか一つに連結されたマグネットギア816とを含むベルトコンベヤーである。前記駆動部812及び前記駆動部813は、マグネットギア812a、813aを正転方向及び逆転方向に回転させることが可能なモーターである。前記マグネットギア812a、813aは、対向する位置に配置されている前記マグネットギア816を磁力によって同期回転させることが可能である。即ち、前記駆動部812、813の駆動力は、前記マグネットギア812a、813aから非接触で前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に伝達される。そして、前記マグネットギア816は、前記張架ローラー815及び前記ベルト814を走行させる。
従って、前記昇降ユニット800では、3段以上の前記トレイ収容部811を備える場合であっても、2つの前記駆動部812、813を用いて前記トレイ収容部811各々を駆動させることが可能である。そのため、前記混注装置1では、前記トレイ収容部811ごとにモーター等の駆動部を設ける場合に比べて、前記昇降ユニット800における発塵及びコストを抑制することができると共に、上下方向に移動する前記移動筐体810を軽量化することが可能である。
ここで、前記マグネットギア812a及び前記マグネットギア813aは、上下方向において異なる位置に配置されている。具体的に、前記マグネットギア812aは、前記作業テーブル202から前記トレイ装填口711を介して前記トレイ101が装填可能な位置に配置された前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に対向する位置に配置されている。また、前記マグネットギア813aは、前記マグネットギア812aの下方であって、前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101が移動可能な位置に配置された前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に対向する位置に配置されている。
これにより、前記収容ユニット700では、前記作業テーブル202の下方の領域を有効に利用して、例えば前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101を搬送することが可能である。以下、前記作業テーブル202から前記トレイ収容部811に前記トレイ101を搬入可能な前記トレイ収容部811の位置を第1移動位置と称し、前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101が移動可能な前記トレイ収容部811の位置を第2移動位置と称することがある。
前記昇降機構820は、モーター821と、左右一対のベルト822と、複数の張架ローラー823とを備えるベルトコンベヤーである。前記モーター821は、前記張架ローラー823を駆動させることにより、前記ベルト822各々を上下方向に走行させる。前記ベルト822各々は、前記移動筐体810に連結されている。そして、前記昇降機構820は、前記モーター821の正回転又は逆回転によって前記ベルト822各々を上下方向に走行させることにより前記移動筐体810を上下方向に移動させる。
前記トレイ搬送部900は、第1搬送部910、第2搬送部920、ICリーダ930、及び第3搬送部940を備える。前記第1搬送部910は、前記トレイ101を前後方向に搬送可能であり、前記第2搬送部920は、前記トレイ101を左右方向に搬送可能である。例えば、前記第1搬送部910、前記第2搬送部920、及び前記第3搬送部940各々は、モーター、ギア、張架ローラー、ベルト等を備えるベルトコンベヤーであり、前記ベルトが前記モーター、前記ギア、及び前記張架ローラーによって駆動されることにより、前記ベルト上で保持されている前記トレイ101を搬送可能である。
より具体的に、前記第1搬送部910は、前記トレイ収容部811に収容されている前記トレイ101を前記トレイ排出扉206に向けて搬送することが可能である。また、前記第1搬送部910は、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に収容することが可能である。前記第2搬送部920は、上下方向に移動可能に構成されており、前記第1搬送部910上に載置された前記トレイ101を左右方向に搬送可能な使用可能状態と、前記使用可能状態から下方に退避した退避状態(図21参照)との間で移動可能である。前記第3搬送部940は、前記第2搬送部920が前記使用可能状態である場合に、前記第2搬送部920と前記トレイ搬出部701との間で前記トレイ101を搬送可能である。
例えば、前記第2搬送部920は、前記退避状態から前記使用可能状態に移行する際、前記第1搬送部910上の予め定められた位置に載置されている前記トレイ101を保持しつつ上方に移動することにより、前記トレイ101を前記第3搬送部930との間で搬送可能な状態となる。また、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態から前記退避状態に移行する際には、前記第2搬送部920に載置されている前記トレイ101を保持しつつ前記第1搬送部910よりも下方に移動して、前記トレイ101を前記第1搬送部910に受け渡す。
これにより、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態において、前記トレイ収容部811から前記第1搬送部910上に排出された前記トレイ101を、前記第3搬送部940に搬送することが可能である。また、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態において、前記混注処理部300から前記トレイ搬出部701を介して供給される前記トレイ101を、前記第3搬送部940を介して受け取り、前記第1搬送部910に搬送することが可能である。
前記ICリーダ930は、前記トレイ搬送部900の前記第1搬送部910に載置されている前記トレイ101の前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能である。前記ICリーダ930により前記ICタグ101bから読み取られる前記トレイ101の識別情報は、前記第2制御部500に入力される。
[混注処理]
次に、前記混注装置1において、前記混注制御部100によって前記混注処理部300が制御されることによって実行される混注処理の基本的な処理手順の一例について説明する。前記混注処理では、以下に説明するように、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22などを制御することにより、前記調製データに基づいて一又は複数の前記薬品容器10から前記注射器11で薬品を吸引すると共に前記注射器11から前記輸液バッグ12などの他の容器に前記薬品を注入する。
[アンプル10Aを使用する混注処理]
まず、前記アンプル10Aに収容された薬品を前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理の基本動作について説明する。
前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送部110に供給されると、前記ICリーダ101cによって前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報が、当該混注処理の前記調製データに予め対応付けられた識別情報に一致する場合、前記シャッター111を開く。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101の前記器材載置部102を、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により上昇させて前記混注処理室104に露出させる。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102を前記トレイ確認カメラ41により撮影する。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理によって、前記器材載置部102に載置された前記アンプル10A及び前記注射器11などの器材の位置や向きを把握する。特に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102から前記アンプル10A又は前記注射器11を取り出す度に、前記トレイ確認カメラ41で前記器材載置部102を撮影し、その撮影画像から最新の前記アンプル10A及び前記注射器11の位置や向きを把握する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記混注処理室104内に露出された前記器材載置部102に載置された前記注射器11を前記載置棚33に仮置きする。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記アンプル10Aを前記薬品読取部34にセットする。そして、前記第2制御部500は、前記薬品読取部34により、前記アンプル10Aに収容された薬品の種類などの情報を読み取る。
また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、1本目の前記注射針11cを前記注射針着脱装置43にセットし、2本目の前記注射針11cを前記載置棚33に仮置きする。ここで、1本目の前記注射針11cは、シリンジフィルターなしの注射針であり、2本目の前記注射針11cは、シリンジフィルター付きの注射針である。なお、前記器材載置部102に載置されている前記注射針11cにはキャップ11dが付けられており、前記キャップ11dは前記注射針着脱装置43で着脱される。また、前記注射針11cが前記注射器11のシリンジ11aに装着された状態で前記トレイ101にセットされることも考えられる。この場合には、前記注射器11に前記注射針11cにセットする工程は省略される。
そして、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の全ての器材を取り出すと、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により前記器材載置部102を下降させて前記トレイ101に戻す。なお、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の器材が全て取り出されたか否かを前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理により確認する。
その後、前記第2制御部500は、前記シャッター111を閉めて、前記トレイ搬送部110により前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aに搬送させる。次に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記バッグ昇降部113により前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部103で保持されている前記輸液バッグ12の混注口部を前記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記薬品読取部34にセットされた前記アンプル10Aを前記載置棚33に移動させる。次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記注射器11を取り出し、前記第2ロボットアーム22にセットする。続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて前記注射器11に前記注射針11cをセットさせる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。なお、前記注射針11cが前記注射器11に装着された状態で前記トレイ101にセットされることも考えられる。この場合には、前記注射器11に前記注射針11cにセットする工程は省略される。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記アンプル10Aを取り出し、前記アンプルカッター31を用いて前記アンプル10Aの頭部を折る。そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記アンプル10Aと前記注射器11とを接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記アンプル10A内に挿入する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記プランジャ11bを操作して前記アンプル10Aから前記調製データにより予め定められた量の薬品を前記注射器11で吸引する。
このとき、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22は、前記アンプル10A及び前記注射器11の姿勢を徐々に斜めにする。例えば、前記アンプル10Aの混注口部が鉛直上方向、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直下方向に向けられた状態で、前記アンプル10Aからある程度の薬品を吸い上げ、その後、前記アンプル10Aを、鉛直方向を基準に10度程度傾斜させて前記混注口部の側(首部)に薬品を移動させた状態を形成させる。これにより、前記注射器11の前記注射針11cの先端を前記アンプル10Aの底に着けないで薬品を極力残さずに吸い上げることが可能になる。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22のいずれか一方又は両方を制御して、前記薬品が吸引された後の前記アンプル10A及び前記薬品を吸引した状態の前記注射器11を前記注射器確認カメラ42の撮影範囲内に移動させる。そして、前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42により前記アンプル10A及び前記注射器11を一度に撮影し、その撮影画像を鑑査画像として前記データ記憶部504に記録する。例えば、前記注射器確認カメラ42は、予め定められた前記撮影範囲を撮影するものである。一方、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により移動された後の前記アンプル10A及び前記注射器11が一度に撮影可能になるように前記注射器確認カメラ42の前記撮影範囲を変更可能であることも考えられる。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11の前記注射針11cを交換する。具体的に、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。そして、前記第2ロボットアーム22は、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射針11cに前記キャップ11dを装着させる。そして、前記第2制御部500は、前記注射針着脱装置43により前記キャップ11dを回転させて、前記注射器11から前記注射針11cを取り外す。なお、前記注射針11cの取り外しは、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22による前記キャップ11dの回転動作によって行われてもよい。
そして、前記第2制御部500は、前記ゴミ蓋132aを開き、前記第1ロボットアーム21により前記注射針着脱装置43が掴んでいる前記注射針11cを前記注射針11cに装着されている前記キャップ11dと共に前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記シリンジフィルター付きの前記注射針11cを前記注射針着脱装置43にセットさせる。そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射器11に前記注射針11cを装着させる。この場合も、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。このように、前記混注装置1では、前記アンプル10Aから薬品を吸引するときと、前記輸液バッグ12に輸液を注入するときとで前記注射針11cが交換され、前記アンプル10Aの破片が前記輸液バッグ12に混入することが防止される。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口部のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記注射器11内の混合薬を前記輸液バッグ12に注入する。一方、前記第2制御部500は、前記ゴミ蓋132aを開き、前記第1ロボットアーム21により前記アンプル10Aを前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。また、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射器11の前記注射針11cに前記キャップ11dを装着させた後、前記注射器11を前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。
その後、前記第2制御部500は、前記混注処理の終了後に前記混注処理の結果を鑑査するための調製鑑査処理を実行する。前記調製鑑査処理において、前記第2制御部500は、例えば前記混注処理で撮影された各種の撮影画像を前記タッチパネル14に表示させ、前記混注処理についての鑑査完了の操作を受け付ける。これにより、ユーザーは、前記タッチパネルモニタ14を見ながら前記混注処理の適否について鑑査を行うことができる。そして、前記第2制御部500は、前記鑑査完了の操作を受け付けると、前記トレイ101を前記トレイ排出口15に搬送して前記トレイ101を取り出し可能な状態にする。
[バイアル瓶10Bを使用する混注処理]
続いて、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のある粉薬のような薬品である場合に、その薬品を輸液と混合してから前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理の基本動作について説明する。
前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送部110に供給されると、前記ICリーダ101cによって前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報が、当該混注処理の前記調製データに予め対応付けられた識別情報に一致する場合、前記シャッター111を開く。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101の前記器材載置部102を、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により上昇させて前記混注処理室104に露出させる。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102を前記トレイ確認カメラ41により撮影する。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理によって、前記器材載置部102に載置された前記バイアル瓶10B及び前記注射器11などの器材の位置や向きを把握する。特に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102から前記バイアル瓶10B又は前記注射器11を取り出す度に、前記トレイ確認カメラ41で前記器材載置部102を撮影し、その撮影画像から最新の前記バイアル瓶10B及び前記注射器11の位置や向きを把握する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記混注処理室104内に露出された前記器材載置部102に載置された前記注射器11を前記載置棚33に仮置きする。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記バイアル瓶10Bを前記薬品読取部34にセットする。そして、前記第2制御部500は、前記薬品読取部34により、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品の種類などの情報を読み取る。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の全ての器材を取り出すと、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により前記器材載置部102を下降させて前記トレイ101に戻す。なお、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の器材が全て取り出されたか否かを前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理により確認する。
その後、前記第2制御部500は、前記シャッター111を閉めて、前記トレイ搬送部110により前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aに搬送させる。次に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記バッグ昇降部113により前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部103で保持されている前記輸液バッグ12の混注口部を前記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記薬品読取部34にセットされた前記バイアル瓶10Bを前記載置棚33に移動させる。一方、この移動処理と並行して、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記注射器11の前記注射針11cを前記キャップ11dが装着された状態のままで前記注射針着脱装置43にセットする。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記注射器11を取り出し、前記第2ロボットアーム22にセットする。続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて前記注射器11に前記注射針11cをセットさせる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。なお、前記注射針11cが前記注射器11のシリンジ11aに装着された状態で前記トレイ101にセットされることも考えられる。この場合には、前記注射器11に前記注射針11cにセットする工程は省略される。
続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口部のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記輸液バッグ12から前記調製データで示された溶解量の輸液を吸引する。一方、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33に載置されている前記バイアル瓶10Bを取り出す。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記バイアル瓶10Bと前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記バイアル瓶10Bに穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記注射器11内の前記輸液を前記バイアル瓶10B内に注入する。このように、前記薬品が粉薬である場合には、前記混注処理において、前記注射器11で前記輸液バッグ12から輸液を抜き取ると共に前記注射器11から前記バイアル瓶10Bに前記輸液を注入する溶解工程が実行される。これにより、前記バイアル瓶10B内の薬品が前記輸液で溶解される。このとき、前記注射器11及び前記バイアル瓶10Bの姿勢は、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直下方向に向けられ、前記バイアル瓶10Bの混注口部が鉛直上方向に向けられた状態である。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記輸液が注入された前記バイアル瓶10Bを前記攪拌装置32にセットする。これにより、前記攪拌装置32では、前記バイアル瓶10B内の薬品及び輸液が攪拌される攪拌工程が実行される。前記攪拌工程における攪拌時間は、例えば前記薬品の種別によって予め定められている。また、前記攪拌時間は、前記薬品及び前記輸液の組み合わせごとに予め定められていてもよく、前記バイアル瓶10B内の薬品量によって変更されてもよい。前記攪拌装置32による攪拌工程が終了すると、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記攪拌装置32から前記バイアル瓶10Bを取り出す。
ここで、前記第2制御部500は、前記攪拌工程の終了後に前記攪拌工程による攪拌結果を鑑査する攪拌鑑査処理を実行する。前記攪拌鑑査処理において、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御して、前記バイアル瓶10Bの底部又は側面がユーザーによって視認可能な姿勢及び位置に前記バイアル瓶10Bを移動させ、前記タッチパネルモニタ15等に対するユーザーによる確認操作を待ち受ける。また、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ15に対する所定の操作に応じて、前記第1ロボットアーム21を制御し、ユーザーが前記バイアル瓶10Bの底部又は側面を異なる角度から視認可能となる複数の状態(姿勢及び位置)に前記バイアル瓶10Bを移動させる揺動処理を実行する。これにより、ユーザーは、前記バイアル瓶10B内の薬品の溶解度合いを異なる角度から確認することが可能である。
その後、前記第2制御部500は、前記確認操作が行われると、前記混注処理の処理工程を次に進める。一方、前記第2制御部500は、予め定められた再攪拌操作が行われると、前記混注処理の処理工程を次に進めることなく、前記バイアル瓶10Bを前記攪拌装置32に再度セットして前記攪拌工程を再実行する。なお、前記第2制御部500は、前記攪拌鑑査処理において、前記攪拌工程後に撮影された前記薬品容器10の底部又は側面などの撮影画像を前記タッチパネルモニタ15に表示してもよい。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記バイアル瓶10Bと前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記バイアル瓶10Bに穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記バイアル瓶10B内の混合薬を前記注射器11で吸引する。このとき、前記注射器11及び前記バイアル瓶10Bの姿勢は、前記バイアル瓶10Bの混注口部が鉛直下方向に向けられ、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直上方向に向けられた状態である。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22のいずれか一方又は両方を制御して、前記薬品が吸引された後の前記バイアル瓶10B及び前記薬品を吸引した状態の前記注射器11を前記注射器確認カメラ42の撮影範囲内に移動させる。そして、前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42により前記バイアル瓶10B及び前記注射器11を一度に撮影し、その撮影画像を鑑査画像として前記データ記憶部504に記録する。例えば、前記注射器確認カメラ42は、予め定められた前記撮影範囲を撮影するものである。一方、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により移動された後の前記バイアル瓶10B及び前記注射器11が一度に撮影可能になるように前記注射器確認カメラ42の前記撮影範囲を変更可能であることも考えられる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口部のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記注射器11内の混合薬を前記輸液バッグ12に注入する。このように、前記混注処理では、前記バイアル瓶10Bから前記注射器11で前記薬品を吸引すると共に前記注射器11から前記輸液バッグ12に前記薬品を注入する注入工程が実行される。
一方、前記第2制御部500は、前記ゴミ蓋132aを開き、前記第1ロボットアーム21により前記バイアル瓶10Bを前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。また、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射器11の前記注射針11cに前記キャップ11dを装着させた後、前記注射器11を前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。
その後、前記第2制御部500は、前記混注処理の終了後に前記混注処理の結果を鑑査するための調製鑑査処理を実行する。前記調製鑑査処理において、前記第2制御部500は、例えば前記混注処理で撮影された各種の撮影画像を前記タッチパネル14に表示させ、前記混注処理についての鑑査完了の操作を受け付ける。これにより、ユーザーは、前記タッチパネルモニタ14を見ながら前記混注処理の適否について鑑査を行うことができる。そして、前記第2制御部500は、前記鑑査完了の操作を受け付けると、前記トレイ101を前記トレイ排出口15に搬送して前記トレイ101を取り出し可能な状態にする。
なお、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のない薬液のような薬品であることも考えられる。この場合の前記混注処理は、前記攪拌工程が実行されない点を除いて、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のある粉薬のような薬品である場合の前記混注処理と同様であるため説明を省略する。また、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が液体である場合でも前記薬品の種類によっては前記攪拌工程が実行されてもよい。
[調製鑑査処理]
前記第2制御部500は、前記調製鑑査処理を前記混注処理のユーザーによる画像鑑査を実現するために下記の調製鑑査処理を実行する。ここに、図22は、前記調製鑑査処理の手順の一例を示すフローチャートである。
<ステップS101>
まず、ステップS101において、前記第2制御部500は、前記注射器11による前記薬品容器10内の薬品の吸引終了を待ち受ける(S101:No)。ここで、前記注射器
11による薬品の吸引が終了したと判断されると(S101:Yes)、処理はステップS102に移行する。
<ステップS102>
ステップS102において、前記第2制御部500は、前記注射器11により前記薬品容器10から薬品が吸引された後の前記薬品容器10及び前記薬品を吸引した状態の前記注射器11を、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の一方又は両方を制御することにより、前記注射器確認カメラ42の撮影範囲内に移動させる。このとき、前記第2制御部500は、前記注射器11により前記薬品容器10から前記薬品が吸引されてから前記注射器確認カメラ42により前記薬品容器10及び前記注射器11が撮影されるまでの間、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22に
よる前記薬品容器10及び前記注射器11の保持状態を継続させる。即ち、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により保持した前記薬品容器10及び前記注射器11を一度も離すことなく前記撮影範囲内に移動させる。これにより、前記注射器確認カメラ42による撮影画像における前記注射器11内の薬品が前記薬品容器10内の薬品であることの信憑性が高まる。
ここで、前記注射器11は、前記第1ロボットアーム21により前記撮影範囲内に移動されたときに前記注射器11の目盛りの文字が前記撮影範囲内に収まる状態に調整されている。同じく、前記薬品容器10は、前記第1ロボットアーム21により前記撮影範囲内に移動されたときに前記薬品容器10の薬品名の文字が前記撮影範囲内に収まる状態に調整されている。
また、前記第2制御部500は、前記ステップS102において、前記薬品容器10及び前記注射器11を前記薬品容器10の薬品名の文字及び前記注射器11の目盛りの文字の向きが揃うように前記撮影範囲内に配置する。特に、前記第2制御部500は、前記薬品容器10の薬品名の文字及び前記注射器11の目盛りの文字の上下方向と前記撮影範囲における上下方向とが揃うように前記薬品容器10及び前記注射器11を前記撮影範囲内に配置する。
そして、前記注射器11による前記薬品容器10からの薬品の吸引が終了すると、前記ステップS102により、前記薬品容器10及び前記注射器11は、前記注射器確認カメラ42の撮影領域内に収まる位置に移動する。また、前記ステップS102において前記第2制御部500により移動された前記薬品容器10及び前記注射器11では、前記薬品容器10の薬品名の文字及び前記注射器11の目盛りの文字の向きが揃えられている。特に、前記注射器11の目盛りの文字及び前記薬品容器10の薬品名の文字の上下方向と前記撮影範囲における上下方向とが揃えられている。また、前記第2制御部500は、前記薬品容器10及び前記注射器11を前記注射器11の長手方向に垂直な方向に並べた状態で前記撮影範囲内に配置する。これにより、前記撮影範囲の長尺化を防止することができる。もちろん、前記薬品容器10及び前記注射器11が前記注射器11の長手方向に並べられることも他の実施形態として考えられる。
<ステップS103>
次に、前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42を制御することにより、前記注射器確認カメラ42により前記撮影範囲を撮影する。即ち、前記第2制御部500は、前記撮影範囲内に収まっている前記薬品容器10及び前記注射器11を一度に撮影する。これにより、前記注射器11を複数回撮影して合成する場合に比べて前記注射器11の鑑査画像として信憑性の高い画像を得ることができる。また、前記薬品容器10と前記注射器11とが同時に撮影されるため、前記薬品容器10と前記注射器11とを個別に撮影する場合に比べて、前記薬品容器10と前記注射器11との対応関係の信憑性も確保される。
<ステップS104>
そして、前記第2制御部500は、前記ステップS103で撮影された前記注射器確認カメラ42による撮影画像を鑑査画像として前記データ記憶部504に記録する。なお、前記第2制御部500は、前記混注装置1に通信網を介して接続される他のサーバー装置などに前記鑑査画像を記憶させてもよい。
<ステップS105>
次に、前記第2制御部500は、前記混注処理における調製対象の前記調製データで示された前記薬品容器10の薬品に対応する採取方法が全量採取であるか否かを判断する。前記全量採取は、前記薬品容器10内の薬品を全て採取する場合の採取方法である。他に、前記採取方法には、前記薬品容器10内の薬品を前記調製データに示された所定量だけ採取する端数採取がある。なお、前記薬品ごとの採取方法は、前記薬品マスターなどに予め登録されている。ここで、前記採取方法が全量採取であると判断されると(S105:Yes)、処理はステップS106に移行し、前記採取方法が全量採取でないと判断されると(S106:No)、処理はステップS107に移行する。
なお、前記薬品容器10が、溶解が必要な薬品が収容された前記バイアル瓶10Bである場合には、前記バイアル瓶10Bに前記輸液バッグ12内の輸液が注入されて溶解された後、その全量を抜き取る全量採取又はその一部を抜き取る端数採取が行われる。一方、前記薬品容器10が、溶解が不要な薬品が収容された前記バイアル瓶10B又は前記アンプル10Aである場合には、前記バイアル瓶10B又は前記アンプル10Aから前記調製データで示された薬品容量の薬品だけが抜き取られる端数採取が行われる。
<ステップS106>
ステップS106において、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記注射器確認カメラ42を制御し、前記薬品容器10の底部を撮影する。ここに、前記注射器確認カメラ42が全量採取時撮影手段の一例である。なお、前記混注装置1が、前記注射器確認カメラ42とは別に前記混注処理室104の下面に設けられ、前記薬品容器10の底部を撮影する容器撮影カメラを備えることも考えられる。
なお、前記第2制御部500が、前記薬品容器10の底部の撮影画像に基づく画像処理を実行することにより前記薬品容器10内に薬品が残っているか否かを自動的に判断し、判断結果を報知することも考えられる。例えば、前記第2制御部500は、前記撮影画像内において前記薬品容器10の底部に薬品が残っている場合に現れる液表面の水平線の有無に応じて、薬品が残っているか否かを判断することが可能である。
<ステップS107>
ステップS107において、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22及び前記秤量計35を制御することにより、前記注射器11の重量を前記秤量計35によって測定する。ここで測定された前記注射器11の重量は吸引後重量として前記第2制御部500の前記RAM503に記憶される。
<ステップS108>
その後、ステップS108において、前記第2制御部500は、前記混注処理における前記注射器11から前記輸液バッグ12への薬品の注入工程の終了を待ち受ける(S108:No)。そして、前記第2制御部500は、前記注射器11から前記輸液バッグ12への薬品の注入工程が終了すると(S108:Yes)、処理をステップS109に移行させる。
<ステップS109>
ステップS109において、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22及び前記秤量計35を制御することにより、前記注射器11の重量を前記秤量計35によって測定する。ここで測定された前記注射器11の重量は注入後重量として前記第2制御部500の前記RAM503に記憶される。
<ステップS110>
そして、ステップS110において、前記第2制御部500は、前記ステップS107で測定された前記吸引後重量と前記ステップS109で測定された前記注入後重量との差分を算出することにより、実際に前記輸液バッグ12に注入された薬品の重量を取得する。ここで算出された前記薬品の重量は実重量として前記第2制御部500の前記RAM503に記憶される。なお、係る処理を実行するときの前記第2制御部500が測定処理部の一例である。また、前記第2制御部500が、前記薬品容器10から薬品を吸引する前の前記注射器11の重量と前記薬品容器10から薬品を吸引した後の前記注射器11の重量との差分を前記薬品容器10から前記輸液バッグ12に注入された薬品の重量として取得することも考えられる。
<ステップS111>
その後、ステップS111において、前記第2制御部500は、前記混注処理の鑑査の開始タイミングを待ち受ける(S111:No)。そして、前記混注処理の鑑査の開始タイミングが到来すると(S111:Yes)、処理がステップS112に移行する。なお、前記混注処理の鑑査の開始タイミングは、例えば前記混注処理が終了してから前記輸液バッグ12が払い出される前のタイミングである。また、前記混注処理の鑑査の開始タイミングは、複数の前記混注処理が実行された後、前記タッチパネルモニタ14に対して鑑査対象の前記混注処理(調製データ)の選択操作が行われたタイミングであってもよい。
<ステップS112>
ステップS112において、前記第2制御部500は、前記混注処理の画像鑑査を行うための鑑査画面を前記タッチパネルモニタ14に表示させる。なお、前記鑑査画面には、鑑査される複数の画像を順に表示させるための操作部と、鑑査完了(鑑査承認)、鑑査否認、鑑査中断などの操作を行うための操作部とが表示される。そして、前記第2制御部500は、前記鑑査画面において、前記鑑査完了の操作が行われた場合に、当該調製データについての混注処理が正常に行われたと判断する。
前記鑑査画面には、目標容量として、前記調製データに含まれる薬品容量が表示されると共に、目標重量として、前記目標容量と前記薬品の比重とに基づいて算出される前記薬品の重量に対する許容範囲を示す値が表示される。ここに、前記目標容量と前記薬品の比重とに基づいて前記薬品の重量を算出するときの前記第2制御部500が算出処理部の一例である。なお、前記目標重量に代えて、前記目標容量と前記薬品の比重とに基づいて算出される前記薬品の重量(例えば8.0g)とその重量に対応する許容誤差の範囲(例えば±3%など)とが表示されることも考えられる。また、前記鑑査画面には、前記ステップS110で算出された前記薬品の実重量が表示されてもよい。また、前記薬品容器10から前記シリンジ11aに吸引された薬品量と前記薬品の比重とに基づいて前記薬品の重量が算出され、当該薬品の重量が前記実重量に代えて前記鑑査画面に表示されてもよい。係る算出処理を実行するときの前記第2制御部500も算出処理部の一例である。
ところで、前記第2制御部500は、前記薬品の目標容量(mL)から前記薬品の目標重量(g)を算出する際に前記薬品の比重を考慮する。具体的に、前記薬品各々の比重は、前記第1制御部400の前記データ記憶部404の前記薬品マスターなどに予め記憶されており、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から前記薬品各々の比重の情報を取得する。
ここで、前記薬品容器10に収容されている薬品が溶解の必要のない液剤などの薬品である場合には、前記薬品容器10内に収容されている薬品の比重に基づいて前記目標重量を算出することが可能である。これに対し、前記薬品容器10に収容されている薬品が溶解の必要のある粉薬などの薬品である場合には、前記薬品容器10内に収容されている薬品の比重だけでなく、前記薬品を溶解する溶媒の比重を考慮して前記目標重量を算出する必要がある。そのため、前記第2制御部500では、前記薬品マスターに記憶される薬品ごとの比重に加えて、溶解の必要のある薬品と前記薬品の溶解に使用される溶媒との組み合わせごとに対応する予め設定された比重が前記データ記憶部504に記憶されている。より具体的に、前記薬品容器10の薬品に対して溶解に使用される溶媒量は前記薬品容器10に収容される薬品の種類ごとに予め指定されている。そのため、前記薬品と前記溶媒との各組み合わせに対応する比重は、前記薬品を前記薬品の溶解に使用される前記溶媒量として指定された量の前記溶媒で溶解した場合に対応する比重である。これにより、前記混注装置1では、前記バイアル瓶10Bに収容されている粉薬などの溶解が必要な薬品を輸液で溶解して前記輸液バッグ12に注入する際にも、前記輸液バッグ12に注入された薬品量を重量で鑑査することができる。
一方、前記許容範囲は、例えば前記混注処理で使用される前記注射器11の規格容量に応じて予め設定された範囲である。具体的に、前記注射器11の規格容量ごとに前記許容範囲が定められている。例えば、前記注射器11の規格容量が「5ml以上10ml」未満である場合、前記許容範囲は、「±3%」であり、その値は「±0.15ml」である。また、即ち、前記許容範囲は、前記薬品の注入量に応じて定まるのではなく、前記注射器11の規格容量に応じて定められる。
そして、前記第2制御部500は、前記薬品の比重に基づいて前記許容範囲の値を重量
に変換する。具体的に、前記対応情報において、前記混注処理で使用する前記注射器11の規格容量が「10ml」であり、前記許容範囲が、「±3%」の「±0.3ml」であるとする。ここで、前記混注処理で使用される薬品の比重を「1」とすると、前記許容範囲である「±0.3ml」の重量換算値は「±0.3g」となる。そのため、前記重量換算値に基づいて算出された前記目標重量の値として、「7.7〜8.3g」が表示される。なお、前記薬品の比重が「1.1」である場合、前記重量換算値は、「±0.33g」となる。また、前記目標容量に対応する前記許容範囲の値である「7.7〜8.3ml」が表示されることも他の実施形態として考えられる。
[事前攪拌機能]
ところで、前記混注処理において実行されることのある前記攪拌工程には比較的長い時間を要することがあり、前記攪拌工程が終了するまでの待ち時間が前記混注処理の効率化を阻害することがある。これに対し、本実施形態に係る前記混注装置1は、前記混注処理における前記攪拌工程を前記混注処理の実行開始タイミングよりも前に予め実行可能な事前攪拌機能を有する。具体的に、前記混注制御部100は、前記第1制御部400又は前記第2制御部500を用いて前記第1混注制御プログラム又は前記第2混注制御プログラムに従って、後述の装填準備処理及び混注制御処理を実行することにより、前記事前攪拌機能を実現する。ここに、前記装填準備処理及び前記混注制御処理を実行するときの前記混注制御部100が事前攪拌処理部の一例である。なお、前記第1制御部400及び前記第2制御部500は、前記薬品容器10が前記バイアル瓶10Bである場合に前記事前攪拌機能を有効に設定してもよい。
[装填準備処理]
まず、図23を参照しつつ、前記混注制御部100によって実行される前記装填準備処理の一例について説明する。
<ステップS1>
ステップS1において、前記第1制御部400は、ユーザーによる前記操作部405を用いた装填準備開始操作を待ち受ける(S1:No)。例えば、前記第1制御部400は、ユーザーにより前記調製データの選択操作が実行された場合に、前記装填準備開始操作が行われたと判断する。そして、前記装填準備開始操作が行われると(S1:Yes)、処理がステップS2に移行する。
ところで、前記第1制御部400は、前記装填準備開始操作として、前記調製データに基づく前記混注処理を即時に実行する操作を受ける他、前記調製データについて前記混注処理の完了時刻又は完了時間帯などを示す完了予定時間の予約を受け付けることが可能である。なお、前記完了時間帯が予約される場合には、前記混注処理が完了するべき時間的な範囲として、例えばT1時〜T2時の間などのように1時間単位の予約が受け付けられる。例えば、前記第1制御部400は、前記トレイ収容部811の数と同じ予め設定された最大予約数以下の前記調製データの予約を設定可能である。なお、当該予約の処理は、当該装填準備処理の開始時に限らず、当該装填準備処理の終了時に実行されてもよい。
前記第1制御部400は、前記完了予定時間が設定された場合、前記調製データに基づいて前記混注処理の所要時間を自動的に推定し、前記完了予定時間から前記所要時間を引いた時期を前記混注処理の実行開始タイミングとして設定する。例えば、前記所要時間は、前記データ記憶部404に記憶された所要時間テーブル情報に基づいて算出される。前記所要時間テーブルには、前記混注処理の内容に応じて前記所要時間を算出するための情報として前記混注処理の各工程の所要時間などが前記混注処理の内容ごとに予め設定されている。
また、前記第1制御部400は、前記調製データについて、前記完了予定時間に限らず、前記混注処理の開始時刻又は完了時間帯などを示す開始予定時間の予約を受け付けることが可能であってもよい。なお、前記開始時間帯が予約される場合には、前記混注処理が開始されるべき時間的な範囲として、例えばT1時〜T2時の間などのように1時間単位の予約が受け付けられる。例えば、前記調製データについて前記開始予定時間が設定された場合、前記第1制御部400は、前記開始予定時間を前記混注処理の実行開始タイミングとして設定する。さらに、前記混注処理の開始から完了までの時間的な範囲として、例えばT1時〜T2時の間などのように1時間単位で実行時間帯の予約が受け付けられることも考えられる。前記調製データについて前記実行時間帯が設定された場合には、前記第1制御部400は、前記実行時間帯内で前記混注処理が完了するように前記混注処理の実行開始タイミングを設定する。なお、前記第1制御部400は、一つの前記調製データについての前記混注処理のみを予約可能であってもよい。また、予約対象は、前記混注処理の完了予定時間、開始予定時間、又は実行時間帯に限らず、前記混注処理のうち前記薬品容器10から採取した薬液を輸液バック12に注入する注入工程の完了予定時間、開始予定時間、実行時間帯が予約可能であってもよい。
<ステップS2>
ステップS2において、前記第1制御部400は、処理対象として選択された前記調製データと前記トレイ101の識別情報とを対応付ける処理を実行する。具体的に、前記第1制御部400は、前記作業テーブル202に設けられた前記ICリーダ207を用いて、前記作業テーブル202に載置された前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第1制御部400は、前記ICタグ101bから読み取られた前記識別情報を、処理対象として選択された前記調製データに対応する前記トレイ101の識別情報として前記データ記憶部404に記憶する。例えば、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応関係はテーブル情報によって管理される。また、前記第1制御部400は、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応関係を示す情報を前記第2制御部500にも送信し、前記データ記憶部504に記憶させる。これにより、前記第1制御部400及び前記第2制御部500は、前記対応関係に基づいて前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応関係を認識することが可能である。
<ステップS3>
その後、ステップS3〜S8において、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく前記混注処理に必要な前記薬品容器10、前記注射器11、前記輸液バッグ12などを前記トレイ101にセットする作業を支援するための処理を実行する。具体的に、まずステップS3において、前記第1制御部400は、前記輸液バッグ12に付されているGS1データバーなどの識別情報の読み取りを指示するためのメッセージ及び画像などを、前記調製データに含まれる前記輸液バッグ12の種別などを含む情報と共に前記ディスプレイ203に表示させる。そして、前記第1制御部400は、前記バーコードリーダ204によって前記輸液バッグ12の識別情報が読み取られ、前記調製データとの照合結果が一致すると、処理をステップS4に移行させる。なお、前記第1制御部400は、前記輸液バッグ12の識別情報と前記調製データとの照合結果が一致しない場合には、例えばエラーメッセージを表示させる。
<ステップS4>
ステップS4において、前記第1制御部400は、前記トレイ101における前記輸液バッグ12の配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記ディスプレイ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記輸液バッグ12を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。
<ステップS5>
ステップS5において、前記第1制御部400は、前記薬品容器10に付されているGS1データバーなどの識別情報の読み取りを指示するためのメッセージ及び画像などを、前記調製データに含まれる前記薬品容器10の種別などを含む情報と共に前記ディスプレイ203に表示させる。そして、前記第1制御部400は、前記バーコードリーダ204によって前記薬品容器10の識別情報が読み取られ、前記調製データとの照合結果が一致すると、処理をステップS6に移行させる。なお、前記第1制御部400は、前記薬品容器10の識別情報と前記調製データとの照合結果が一致しない場合には、例えばエラーメッセージを表示させる。
<ステップS6>
ステップS6において、前記第1制御部400は、前記トレイ101における前記薬品容器10の配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記ディスプレイ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記薬品容器10を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。なお、複数の前記薬品容器10が必要な場合は、前記ステップS5〜S6が繰り返し実行される。
<ステップS7>
ステップS7において、前記第1制御部400は、前記トレイ101における前記注射器11の配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記ディスプレイ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記注射器11を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。なお、複数の前記注射器11が必要な場合は、前記ステップS7が繰り返し実行される。
<ステップS8>
前記調製データに基づく前記混注処理に必要な器材の全ての案内が終了すると、続くステップS8において、前記第1制御部400は、前記調製データについての装填準備が完了した旨を表示すると共に、その旨の確認操作を受け付けるための操作キーなどを表示する。
<ステップS9>
ステップS9において、前記第1制御部400は、前記確認操作の有無を判断し、前記確認操作が行われた場合は(S9:Yes)、処理をステップS10に移行させ、前記確認操作が行われるまでの間は(S9:No)、処理をステップS9で待機させる。
<ステップS10>
ステップS10において、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700の前記シャッター712を開放させる。具体的に、前記第1制御部400は、前記第2制御部500に対して、前記シャッター712の開放指示を送信する。これにより、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御して前記シャッター712を開放させる。
なお、前記第2制御部500は、前記シャッター712を開放する前に、未使用の前記トレイ収容部811が前記第1移動位置に配置されるように前記移動筐体810の位置を制御する。例えば、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700の待機中(非動作中)は、未使用の前記トレイ収容部811が前記第1移動位置に配置されるように前記収容ユニット700を制御することが考えられる。また、前記第2制御部500は、前記ステップS10で前記開放指示を受信した後に、前記移動筐体810を移動させて未使用の前記トレイ収容部811を前記第1移動位置に配置させてもよい。なお、前記第2制御部500は、未使用の前記トレイ収容部811が複数存在する場合には、その複数の前記トレイ収容部811のうち前記第1移動位置への移動に要する前記移動筐体810の移動量が最も少ない前記トレイ収容部811を選択して前記第1移動位置へ移動させることが考えられる。
例えば、前記データ記憶部504には、前記トレイ収容部811各々が使用中であるか否かを示す収容テーブル情報が記憶されている。前記収容テーブル情報では、前記トレイ収容部811各々に対応付けて前記トレイ収容部811各々に収容されている前記トレイ101の識別情報が記憶されており、対応する前記トレイ101の識別情報が記憶されていない前記トレイ101は未使用である。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811への前記トレイ101の装填時、及び前記トレイ収容部811からの前記トレイ101の排出時に、前記収容テーブル情報を更新する。
<ステップS11>
そして、ステップS11において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811に前記トレイ101が収容されると、前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811とを対応付ける処理を実行する。具体的に、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811との対応関係に基づいて、前記データ記憶部504に記憶されている前記収容テーブル情報を更新する。これにより、前記第2制御部500は、前記収容テーブル情報に基づいて前記トレイ101各々の収容先の前記トレイ収容部811を認識することが可能である。なお、前記トレイ101が前記トレイ収容部811に収容されたか否かは、前記トレイ収容部811に設けられる不図示の光学センサなどによって検知される。
ところで、停電しているとき又は前記混注装置1の電源がOFFの状態であるときに、手動で前記収容ユニット700内の前記トレイ101の位置の入れ替え、又は取り出しなどが行われる可能性を考えると、停電発生時又は電源OFF/ONが行われた場合には、前記データ記憶部404に記憶されている前記収容テーブル情報の信頼性が低下する。そこで、前記第1制御部400は、前記混注装置1の状態が予め設定された特定状態から復帰した場合に前記収容テーブル情報の適否を確認する確認処理を実行する。具体的に、前記特定状態は、前記混注装置1の電源OFF状態である。また、前記収容ユニット700には、通常動作時に開閉する前記シャッター712又は前記トレイ排出扉206等とは別に、当該収容ユニットのメンテナンス時等に開閉される前面扉又は背面扉などのメンテナンス扉が設けられる。そのため、前記特定状態は、前記メンテナンス扉の開放状態であることも考えられる。
具体的に、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811各々に収容されている前記トレイ101を順に前記トレイ搬送部900の前記第1搬送部910に排出し、前記第1搬送部910に設けられた前記ICリーダ930によって前記トレイ101のタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記ICリーダ930によって読み取られた前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811との対応関係に基づいて前記収容テーブルを更新する。これにより、前記収容テーブルにおける前記トレイ101と前記トレイ収容部811との対応関係が最新の状態に更新されるため、前記特定状態からの復帰時における当該収容テーブルの信頼性を高めることが可能である。
<ステップS12>
次に、ステップS12において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御して、前記トレイ収容部811に収容された前記トレイ101と前記調製データとの対応関係を確認する確認動作を実行する。これにより、誤った前記トレイ101が前記トレイ収容部811に収容されることが防止される。
具体的に、前記第2制御部500は、前記ステップS11で前記トレイ101が収容されていると判断された前記トレイ収容部811が前記第2移動位置に配置されるように前記移動筐体810を下方に移動させる。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811に収容されている前記トレイ101を前記トレイ搬送部900の前記第1搬送部910に排出し、前記第1搬送部910に設けられた前記ICリーダ930によって前記トレイ101のタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記ICリーダ930によって読み取られた前記トレイ101の識別情報と前記第1制御部400から受信した前記調製データに対応する前記トレイ101の識別情報とを照合する。ここで、照合結果が一致であると、前記第2制御部500は、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に戻し、一連の当該装填準備処理を終了して処理を前記ステップS1に戻す。一方、照合結果が不一致である場合、前記第2制御部500は、前記第1制御部400を介して前記ディスプレイ203等にエラーを通知させて前記トレイ101を前記トレイ排出扉206に向けて排出すると共に、当該トレイ排出扉206のロックを解除する。これにより、ユーザーは、前記トレイ101を前記トレイ排出扉206から取り出すことが可能である。
[混注制御処理]
続いて、図24を参照しつつ、前記混注制御処理の一例について説明する。
<ステップS21>
ステップS21において、前記第2制御部500は、前記混注処理の実行開始タイミングが到来したか否かを判断する。具体的に、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から実行開始要求を受信した場合に前記混注処理の実行開始タイミングが到来したと判断する。そして、前記実行開始タイミングが到来したと判断すると(S21:Yes)、処理がステップS211に移行し、前記実行開始タイミングが到来していなければ(S21:No)、処理がステップS22に移行する。
例えば、前記第1制御部400は、ユーザーが、前記操作部405を用いて前記調製データの選択操作及び前記調製データに基づく前記混注処理の即時開始操作を行った場合に、前記調製データについての前記混注処理の実行開始要求を前記第2制御部500に送信する。また、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく前記混注処理の実行開始タイミングが予約されていた場合、前記実行開始タイミングが到来した場合に、前記調製データについての前記混注処理の実行開始要求を前記第2制御部500に送信する。
なお、前記実行開始要求には、例えば前記調製データに基づく前記混注処理の実行手順などが含まれる。また、前記調製データに基づく前記混注処理の実行手順が予め前記第1制御部400から前記第2制御部500に送信されて前記データ記憶部504に記憶されており、前記実行開始要求には前記調製データの識別情報が含まれることも考えられる。
<ステップS22>
ステップS22において、前記第2制御部500は、前記第1制御部400で予約された前記調製データに、予め前記攪拌工程を実行する事前攪拌処理の対象となる調製データが存在するか否かを判断する。具体的に、前記薬品マスターには、前記薬品ごとに対応付けて、前記事前攪拌処理の対象であるか否かを示す事前攪拌対象フラグが記憶されている。そして、前記第2制御部500は、前記事前攪拌対象フラグによって前記事前攪拌処理の対象として設定された薬品が前記調製データに含まれる場合に、当該調製データが前記事前攪拌処理の対象であると判断する。また、前記第2制御部500は、前記攪拌工程で攪拌される前記薬品容器10内の薬品と前記輸液バッグ12内の輸液との組み合わせに応じて前記事前攪拌処理の対象であるか否かを判断してもよい。なお、前記第2制御部500は、任意の前記調製データを前記事前攪拌処理の対象として選択するためのユーザー操作が事前に行われていた場合に、その選択された前記調製データが前記事前攪拌処理の対象であると判断することも考えられる。そして、前記事前攪拌処理の対象が存在すると判断された場合は(S22:Yes)、処理がステップS23に移行し、前記事前攪拌処理の対象が存在しないと判断されると(S22:No)、処理が前記ステップS21に戻される。
<ステップS23>
ステップS23において、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理が実行可能であるか否かを判断する。例えば、前記第2制御部500は、前記混注処理の実行中であるか否かを判断し、前記混注処理が実行されていない場合に前記事前攪拌処理が実行可能であると判断することが考えられる。さらに、前記第2制御部500は、予め設定された夜間又は深夜などの特定の時間帯において前記事前攪拌処理が実行可能であると判断することも考えられる。なお、前記事前攪拌処理が実行可能であるか否かの判断指標はここで説明するものに限らない。そして、前記事前攪拌処理が実行可能であると判断された場合は(S23:Yes)、処理がステップS24に移行し、前記事前攪拌処理が実行可能でないと判断されると(S23:No)、処理が前記ステップS21に戻される。なお、前記第2制御部500が、前記調製データを選択して前記事前攪拌処理を開始させるためのユーザー操作が行われた場合に、前記調製データについての前記事前攪拌処理を実行してもよい。
また、前記ステップS23において、前記第2制御部500が、前記薬品マスターにおいて前記薬品容器10の薬品に対応付けられた前記攪拌工程の所要時間が予め定められた下限所要時間以上であることを条件に前記事前攪拌処理を実行すると判断することも考えられる。即ち、前記攪拌工程の所要時間が前記下限所要時間未満である場合には、前記事前攪拌処理の対象から除外される。これにより、前記攪拌工程に長時間を要する場合にのみ前記事前攪拌処理が実行されることになり、前記事前攪拌処理が不要に実行されることが抑制される。なお、前記第2制御部500は、前記下限所要時間はユーザー操作に応じて任意に設定可能である。一方、前記第2制御部500は、前記薬品マスターにおいて前記薬品容器10の薬品に対応付けられた前記攪拌工程の所要時間が予め定められた上限所要時間未満であることを条件に前記事前攪拌処理を実行すると判断することも考えられる。即ち、前記攪拌工程の所要時間が前記上限所要時間以上である場合には、前記事前攪拌処理の対象から除外されることが考えられる。この場合、前記攪拌工程に長時間を要しない場合にのみ前記事前攪拌処理が実行されることになり、前記事前攪拌処理に起因して、他の前記調製データに基づく前記混注処理などが遅延することなどが抑制される。なお、前記第2制御部500は、前記上限所要時間はユーザー操作に応じて任意に設定可能である。
<ステップS24>
ステップS24において、前記第2制御部500は、前記混注処理部300及び前記収容ユニット700を制御して前記事前攪拌処理を実行する。なお、前記事前攪拌処理の対象となる前記調製データが複数予約されている場合には、前記ステップS21〜S24において、処理対象の前記調製データが順に選択されて前記事前攪拌処理が実行される。
なお、前記事前攪拌処理の処理対象として選択される前記調製データの順番は、前記調製データに対応して予め設定される前記完了予定時間又は前記実行開始タイミングなどの時間的要素に基づく順番に限らない。例えば、前記調製データが前記上位システム6からの受信順に選択されること、又は前記調製データがランダムに選択されることも他の実施形態として考えられる。また、予め設定された前記攪拌工程の所要時間が長い薬品を含む前記調製データが優先して選択されること、又は同一の薬品又は輸液を使用する前記調製データが連続するように前記調製データの順番が決定されることが考えられる。さらに、前記薬品マスターに前記攪拌工程の実行後の凝固のしやすさを示す指標値が記憶されており、前記指標値に基づいて凝固しづらい薬品から順に前記調製データが選択されることも考えられる。
ここで、前記事前攪拌処理の具体的な処理例について説明する。
まず、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、処理対象として選択された前記調製データに対応付けられている前記トレイ101を前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811から前記混注処理部300の前記トレイ搬送部110に自動的に搬送する。なお、前記第2制御部500は、前記収容テーブル情報に基づいて、前記調製データに対応する前記トレイ101が収容されている前記トレイ収容部811を特定する。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御し、前記トレイ101に載置された前記薬品容器10を前記攪拌装置32にセットして前記攪拌装置32で前記薬品容器10内の薬品を攪拌する前記攪拌工程を実行する。
具体的に、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送部110に供給されると、前記ICリーダ101cによって前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報が、当該混注処理の前記調製データに予め対応付けられた識別情報に一致する場合、前記シャッター111を開く。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101の前記器材載置部102を、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により上昇させて前記混注処理室104に露出させる。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102を前記トレイ確認カメラ41により撮影する。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理によって、前記器材載置部102に載置された前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材の位置や向きを把握する。特に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102から前記薬品容器10又は前記注射器11を取り出す度に、前記トレイ確認カメラ41で前記器材載置部102を撮影し、その撮影画像から最新の前記薬品容器10及び前記注射器11の位置や向きを把握する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記混注処理室104内に露出された前記器材載置部102に載置された前記注射器11を前記載置棚33に仮置きする。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記薬品容器10を前記薬品読取部34にセットする。そして、前記第2制御部500は、前記薬品読取部34により、前記薬品容器10に収容された薬品の種類などの情報を読み取る。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の全ての器材を取り出すと、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により前記器材載置部102を下降させて前記トレイ101に戻す。なお、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の器材が全て取り出されたか否かを前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理により確認する。
その後、前記第2制御部500は、前記シャッター111を閉めて、前記トレイ搬送部110により前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aに搬送させる。次に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記バッグ昇降部113により前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部103で保持されている前記輸液バッグ12の混注口部を前記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記薬品読取部34にセットされた前記薬品容器10を前記載置棚33に移動させる。一方、この移動処理と並行して、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記注射器11の前記注射針11cを前記注射針着脱装置43にセットする。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記注射器11を取り出し、前記第2ロボットアーム22にセットする。続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて前記注射器11に前記注射針11cをセットさせる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口部のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記輸液バッグ12から前記調製データで示された溶解量の輸液を吸引する。一方、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33に載置されている前記薬品容器10を取り出す。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記薬品容器10と前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記薬品容器10に穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記注射器11内の前記輸液を前記薬品容器10内に注入する。
なお、前記混注処理室104内に、前記事前攪拌処理で用いられる輸液が収容された専用容器が収容されており、前記事前攪拌処理では、前記専用容器内の輸液が前記薬品容器10に注入されてもよい。また、前記トレイ101に予め前記事前攪拌処理で用いられる輸液などが収容されたプラスチックアンプルがセットされ、前記事前攪拌処理において前記プラスチックアンプル内の輸液が用いられることも考えられる。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記輸液が注入された前記薬品容器10を前記攪拌装置32にセットする。これにより、前記攪拌装置32では、前記薬品容器10内の薬品及び輸液が攪拌される攪拌工程が実行される。前記攪拌装置32による攪拌工程が終了すると、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記攪拌装置32から前記薬品容器10を取り出す。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御し、前記薬品容器10を前記混注処理部300内の前記載置棚33に移動させて載置すると共に、前記薬品容器10の前記載置棚33における位置を前記調製データの識別情報と対応付けて前記データ記憶部504に記憶する。なお、前記載置棚33は、複数の前記薬品容器10が載置可能な第1載置部の一例であり、前記攪拌工程の実行後の前記薬品容器10を前記載置棚33に載置させるための処理を実行するときの前記第2制御部500が第1載置処理部の一例である。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22を制御し、前記注射器11を前記混注処理部300内の前記載置棚33に移動させて載置すると共に、前記注射器11の前記載置棚33における位置を前記調製データの識別情報と対応付けて前記データ記憶部504に記憶する。これにより、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理において使用する前記薬品容器10及び前記注射器11の位置を特定することが可能である。なお、前記事前攪拌処理で使用される前記注射器11は、前記事前攪拌処理で使用される専用注射器として前記輸液の種別ごとに前記載置棚33に予め設けられたものであってもよい。
一方、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110を制御して、前記輸液バッグ12を前記トレイ101に戻し、前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aから前記トレイ搬送開始部110bまで移動させる。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記トレイ搬送開始部110bに設けられた前記ベルトコンベアー(不図示)を制御し、前記トレイ装填口114を介して前記収容ユニット700側に前記トレイ101を供給する。そして、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に収容させる。このとき使用される前記トレイ収容部811は、前記収容テーブル情報において前記トレイ101の識別情報に対応付けられたものである。なお、この場合にも、前記第2制御部500が、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ930を用いて前記トレイ101の識別情報と前記調製データとの対応関係を照合する。このように、前記事前攪拌処理では、前記トレイ101が前記収容ユニット700から前記混注処理部300側に移動するが、前記トレイ101は前記混注処理室104内に搬入されることなく前記収容ユニット700に戻されることになる。従って、前記事前攪拌処理における前記トレイ101の汚染が防止され、前記混注処理部300から戻った前記トレイ101が載置される前記トレイ収容部811の汚染が防止される。
前記混注装置1では、前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11及び前記プラスチックアンプルなどが前記載置棚33に載置可能であり、その専用の前記注射器11及び前記プラスチックアンプルなどを用いて前記事前攪拌処理が実行されてもよい。例えば、前記混注装置1において、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11又は前記プラスチックアンプル等の補充要求操作が行われると共に、前記混注処理部300に前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11又は前記プラスチックアンプル等が載置されたトレイが装填された場合に、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11又は前記プラスチックアンプルを前記載置棚33にセットさせる。また、前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11又は前記プラスチックアンプルは、ユーザーによって前記載置棚33の予め定められた位置に載置されてもよい。
ところで、現在予約中の前記調製データの中に、前記事前攪拌処理で攪拌される薬品と溶解液との組み合わせ及び濃度などが共通する前記調製データが複数存在する場合には、その調製データの合計数よりも少ない数の前記調製データのみについて前記事前攪拌処理が実行されることが考えられる。これにより、複数の前記調製データのいずれかに対応する前記混注処理について、前記事前攪拌処理後の前記薬品容器10を使用することが可能になる。具体的に、前記第2制御部500は、一の前記調製データに対応する前記薬品容器10を、他の前記調製データで使用する薬品容器10として再割り当てを実行することが考えられる。これにより、前記調製データのいずれかに基づく前記混注処理がキャンセルされた場合における前記薬品容器10の無駄が、全ての前記調製データについて前記事前攪拌処理が実行される場合に比べて抑制される。なお、前記第2制御部500は、前記薬品容器10と前記調製データとの再割り当てに際し、予め設定されたユーザーによる確認操作を要することが考えられる。例えば、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理の開始時に、前記調製データに含まれる薬品と輸液との組み合わせ及び濃度が共通する前記薬品容器10が前記載置部33に既に載置されている場合に、前記調製データに基づく前記混注処理で前記薬品容器10を使用するか否かを選択させるための操作画面を表示させる。そして、前記第2制御部500は、前記操作画面に対して前記薬品容器10を使用する旨の操作が行われた場合に、前記混注処理において前記薬品容器10を使用する。
<ステップS211>
一方、前記混注処理の実行開始タイミングが到来した場合(S21:Yes)、前記第2制御部500は、続くステップS211〜S212で前記混注処理を実行する。前述したように、前記第2制御部500は、例えば前記ユーザーによる前記即時開始操作が行われた場合、又は、予約された前記実行開始タイミングが到来した場合に前記混注処理を実行する。即ち、前記混注処理の実行開始タイミングには、予約された前記実行開始タイミングが到来したとき、又はユーザーによる前記即時開始操作が行われたときが含まれる。具体的に、ステップS211において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、前記実行開始タイミングが到来した前記調製データに対応付けられている前記トレイ101を前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811から前記混注処理部300に自動的に供給する。
このとき、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811から搬出されて前記第1搬送部910上に載置されている前記トレイ101のICタグ101bから読み取られる前記トレイ101の識別情報と、前記調製データに対応付けられている前記トレイ101の識別情報とを照合することが考えられる。そして、前記第2制御部500は、前記照合結果が一致である場合に、前記トレイ101を前記混注処理部300に供給し、前記照合結果が不一致である場合には、エラーを通知して前記トレイ101を前記トレイ排出扉206に向けて排出し、当該トレイ排出扉206のロックを解除する。これにより、前記トレイ101と前記調製データとの対応関係の正確性が担保される。
<ステップS212>
ステップS212において、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理を実行する。但し、前記調製データが、前記事前攪拌処理により前記攪拌工程が既に実行されている調製データである場合には、前記事前攪拌処理によって攪拌された後の前記薬品容器10を用いて前記混注処理が実行され、前記攪拌工程が省略される。
具体的に、前記混注処理において、前記事前攪拌処理の対象となっていた前記薬品容器10については、前記トレイ101から取り出す処理が実行されず、前記事前攪拌処理時に前記載置棚33に載置された攪拌工程後の前記薬品容器10が用いられる。同じく、前記混注処理においては、前記事前攪拌処理で用いられた前記注射器11についても、前記トレイ101から取り出す処理が実行されず、前記事前攪拌処理時に前記載置棚33に載置された前記注射器11が用いられる。
そして、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理において前記攪拌工程が実行されて既に攪拌されている前記薬品容器10を用いる前記混注処理では、前記薬品容器10についての前記攪拌工程を省略する。これにより、前記混注処理の実行開始タイミング到来後の所要時間が短縮される。なお、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理において攪拌された前記薬品容器10については、前記混注処理における前記攪拌工程を、前記事前攪拌処理が実行されなかった場合に比べて実行時間を短縮して実行することも考えられる。
以上、説明したように、前記混注装置1では、前記調製データに基づく前記混注処理について、前記事前攪拌処理を前記混注装置1の不使用時などの時間を利用して実行することが可能である。従って、前記事前攪拌処理が実行された前記調製データに基づく前記混注処理がその後に実行される場合の前記混注処理の所要時間が短縮され、前記混注処理を効率的に実行することが可能となる。
[事後調製鑑査機能]
ところで、前述したように、前記混注装置1では、前記混注処理の終了後に前記混注処理の結果を鑑査するために前記調製鑑査処理が実行される。しかしながら、この場合には、前記混注処理の終了ごとに前記調製鑑査処理が実行され、ユーザーはその都度、前記調製結果を確認する必要がある。
これに対し、前記混注装置1は、前述したように複数の前記トレイ101が収容可能な前記収容ユニット700を備える。そこで、前記混注装置1は、前記混注処理の実行後の複数の前記トレイ101を前記収容ユニット700に貯留しておき、前記トレイ101各々に対応する前記調製データについて纏めて前記調製鑑査処理を実行する事後調製鑑査機能を備えることが考えられる。具体的に、前記混注制御部100は、前記第1制御部400又は前記第2制御部500を用いて前記第1混注制御プログラム又は前記第2混注制御プログラムに従って、後述の事後調製鑑査処理を実行することにより、前記事後調製鑑査機能を実現する。なお、前記第2制御部500は、前記事後調製鑑査機能の有効及び無効をユーザー操作に応じて切り替え可能であり、前記混注装置1が備える他の機能についても同様である。ここに、前記事後調製鑑査処理を実行するときの前記混注制御部100が収容処理部及び調製鑑査処理部の一例である。
[事後調製鑑査処理]
以下、図25を参照しつつ、前記事後調製鑑査機能が有効である場合に前記混注装置1で実行される前記事後調製鑑査処理の一例について説明する。なお、前記事後調製鑑査機能が有効に設定されている場合、前記調製鑑査処理(図22参照)では、前記ステップS110で処理が終了する。
<ステップS31>
まず、ステップS31において、前記第2制御部500は、前記混注処理が終了したか否かを判断し、前記混注処理が終了したと判断すると(S31:Yes)、処理をステップS32に移行させ、前記混注処理が終了していないと判断する(S31:No)、処理をステップS33に移行させる。
<ステップS32>
ステップS32において、前記第2制御部500は、前記混注処理後の前記輸液バッグ12が収容された前記トレイ101を前記収容ユニット700に貯留するための処理を実行する。具体的に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110を制御して、前記輸液バッグ12を前記トレイ101に戻し、前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aから前記トレイ搬送開始部110bまで移動させる。続いて、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110を制御して、前記トレイ装填口114を介して前記収容ユニット700側に前記トレイ101を供給する。
その後、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御して、前記トレイ101を前記昇降ユニット800の前記トレイ収容部811に収容する。即ち、前記混注処理部300によって薬品が前記輸液バッグ12に注入される混注処理が終了した後の当該輸液バッグ12が前記収容ユニット700に貯留される。このとき、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811との対応関係を示す前記収容テーブル情報を更新する。また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811に収容される前に前記ICリーダ930で前記トレイ101の識別情報を読み取り、当該識別情報を前記調製データに対応付けられた前記トレイ101の識別情報と照合する。
<ステップS33>
ステップS33において、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ14などに対して、予め定められた調製鑑査開始操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記第2制御部500は、ユーザー操作に応じて、図26に示されるように、前記タッチパネルモニタ14に前記混注処理が実行済みの前記調製データの一覧画面P11を表示させる。そして、前記第2制御部500は、一又は複数の前記調製データを鑑査処理の実行対象として選択するための操作部P111が操作された場合に、一又は複数の当該調製データについて前記調製鑑査開始操作が行われたと判断する。即ち、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700に貯留されている前記輸液バッグ12のうち前記操作部P111の操作によって選択された前記調製データに対応する前記輸液バッグ12を前記混注処理の適否を確認する鑑査処理の実行対象として選択する。なお、前記一覧画面P11において、一つの前記調製データのみが選択可能な構成であってもよい。ここで、前記調製鑑査開始操作が行われたと判断すると(S33:Yes)、処理がステップS34に移行し、前記調製鑑査開始操作が行われていなければ(S33:No)、処理が前記ステップS31に戻される。
なお、本実施形態に係る前記混注装置1は、前記操作部405及び前記ディスプレイ203等を用いて作業を行う作業者とは異なる位置で他の作業者が操作可能な位置に配置されたタッチパネルモニタ208(図2参照)を備える。前記タッチパネルモニタ208は、前記第1制御部400からの制御指示に応じて各種の情報を表示させる液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示部と、前記表示部に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル等の操作部とを備える。そして、前記ステップS33における調製鑑査処理が前記タッチパネルモニタ208を用いて行われてもよい。
<ステップS34>
ステップS34において、前記第2制御部500は、前記ステップS33で鑑査処理の実行対象として選択された前記調製データに対応する前記トレイ101を、前記収容ユニット700において優先して排出可能な位置に移動させる事前搬送処理を開始する。具体的に、前記事前搬送処理では、前記トレイ101が前記収容ユニット700のトレイ収容部811に収容されている状態よりも早期に前記トレイ排出扉206から排出可能な状態まで搬送される。例えば、前記第2制御部500は、前記トレイ101を前記トレイ排出扉206から取り出し可能な位置まで搬送する。ここに、係る処理を実行するときの前記第2制御部500が搬送制御部の一例である。これにより、前記トレイ101に対応する前記調製データについて前記鑑査処理が行われている間も、前記トレイ101の前記トレイ排出扉206に向けて搬送されることになる。従って、前記調製データについての鑑査処理が終了してから前記トレイ101の搬送を開始する場合に比べて、前記鑑査処理の終了後当該トレイ101を早期に取り出すことが可能となる。なお、前述したように、前記第2制御部500は、この時点では、前記トレイ排出扉206のロックを解除していないため、ユーザーは、当該トレイ排出扉206から前記都連101を取り出すことはできない。
<ステップS35>
ステップS35において、前記第2制御部500は、一又は複数の前記調製データを対象に当該調製データについての混注処理の適否を確認するための鑑査処理を実行する。具体的に、前記第2制御部500は、前記調製鑑査開始操作が行われる際に選択された一又は複数の前記調製データについて前記調製鑑査処理(図22)におけるステップS112と同様の処理を実行する。
<ステップS36>
ステップS36において、前記第2制御部500は、前記調製データに対応する前記調製鑑査処理において前記混注処理の結果が適正である旨を示す前記鑑査完了の操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記鑑査完了の操作が行われたと判断されると(S36:Yes)、処理がステップS36に移行し、前記鑑査完了の操作が行われるまで処理が待機する(S36:No)。
<ステップS37>
ステップS37において、前記第2制御部500は、前記調製鑑査処理において計測された前記薬品の実重量と、前記調製データにおける薬品容量とに基づいて、前記薬品マスターに登録されている当該薬品の比重を設定するための比重設定処理を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記第2制御部500が設定処理部の一例である。
具体的に、前記第2制御部500は、前記実重量を前記薬品容量で除した解を前記薬品の比重候補として前記タッチパネルモニタ14に表示させる。また、前記第2制御部500は、前記比重候補を前記薬品の比重として前記薬品マスターに登録するか否かを選択するための操作部を前記タッチパネルモニタ14に表示させ、前記操作部に対するユーザー操作に応じて前記比重候補の採否を判断する。そして、前記第2制御部500は、前記比重候補を前記薬品の比重として登録する旨の操作が行われると、当該比重候補を前記薬品マスターにおける薬品の比重として設定(新規登録又は更新登録)する。これにより、前記第2制御部500は、例えば比重が登録されていない薬品については比重を容易に新規登録することが可能となり、既に比重が登録されている薬品については比重を容易に更新登録することが可能となる。
なお、前記第2制御部500は、既に前記薬品マスターに登録されている比重と前記比重候補との平均値等を算出し、当該算出値を前記薬品マスターにおける前記薬品の比重として設定することも考えられる。また、前記第2制御部500は、前記薬品についての比重候補を累積して記憶しておき、所定期間における当該比重候補の平均又は分散などの統計情報に基づいて前記薬品マスターにおける前記薬品の比重を設定してもよい。なお、前記第2制御部500は、前記比重候補が予め設定される範囲内(所定の最小値以上で所定の最大値以下)でない場合にはその旨をユーザーに報知することが考えられる。
さらに、前記第2制御部500は、前記ステップS36において前記鑑査完了の操作が行われた場合に、前記比重候補をユーザーの確認操作なく自動的に前記薬品マスターにおける前記薬品の比重として設定することも考えられる。また、前記第2制御部500は予め設定された実行条件が充足する場合にのみ前記比重設定処理を実行することも考えられる。例えば、前記第2制御部500は、前記薬品マスターに前記薬品の比重が登録されていない場合、又は前記薬品の比重が初期値である「1」に登録されている場合に、当該比重設定処理を実行することが考えられる。
ところで、前記比重設定処理では、前記調製データにおける薬品容量に代えて、実際の混注処理で使用された薬品量が用いられてもよい。例えば、前記第2制御部500は、前記混注処理において前記第2ロボットアーム22により前記プランジャ11bを操作して前記薬品容器10から薬品を吸引したときの前記注射器11のプランジャ11bの操作量(引き量)と前記注射器11の種別とに基づいて導出される前記薬品の使用量を用いて前記比重設定処理を実行することが考えられる。より具体的には、注射器11の種別ごとに単位引き量当たりの使用量が前記データ記憶部504に記憶されており、前記第2制御部500は、前記混注処理で使用される前記注射器11の種別に対応する前記単位引き量当たりの使用量と前記注射器11のプランジャ11bの操作量(引き量)とに基づいて前記薬品の使用量を導出する。
また、前記第2制御部500は、前記薬品マスターにおける前記薬品が、当該薬品が輸液に溶解して用いられる薬品である場合には、当該輸液との比率(濃度)ごとに対応付けて前記比重を設定可能であることが考えられる。この場合、前記第2制御部500は、前記調製鑑査処理において、前記調製データで示される前記薬品と前記輸液との比率(濃度)に対応する比重を用いて前記混注処理の適否を判定すればよい。
<ステップS38>
ステップS38において、前記第2制御部500は、前記トレイ排出扉206のロックを解除して当該トレイ排出扉206から前記トレイ101を取り出し可能にする。これにより、ユーザーは、前記トレイ101を前記トレイ排出扉206から取り出すことが可能である。なお、前記鑑査完了の操作が行われるまでの間は、前記トレイ排出扉206がロックされているため前記トレイ101を取り出すことができない。即ち、前記第2制御部500は、前記調製鑑査処理において前記混注処理の結果が適正であると判断された場合に、当該混注処理の実行後の前記トレイ101の取り出しの制限を解除する。
なお、前記ステップS38において、前記トレイ排出扉206のロックが解除されず、前記一覧画面P11(図26参照)において、前記調製データのうち前記調製鑑査処理が完了した調製データについて前記トレイ101を取り出す旨の操作が操作部P112に対して行われた場合に、当該トレイ101が前記トレイ排出扉206に搬送されると共に、前記トレイ排出扉206のロックが解除されてもよい。
<ステップS39>
ステップS39において、前記第2制御部500は、予め定められた前記事後調製鑑査処理を継続するか否かをユーザー操作に応じて判断する。ここで、前記事後調製鑑査処理の継続操作が行われたと判断されると(S39:Yes)、処理がステップS33に移行し、前記事後調製鑑査処理の終了操作が行われたと判断されると、当該事後調製鑑査処理を終了させる。
このように、前記混注装置1では、前記事後調製鑑査機能により、前記調製データ各々について前記調製鑑査処理を纏めて順に実行することが可能である。従って、前記混注処理が終了するごとにユーザーが確認操作を行う必要がなく、ユーザー操作の負荷が軽減される。
[分割注入機能]
ところで、前記混注処理では、図27Aに示されるように、前記輸液バッグ12が概ね水平状態まで傾倒された状態で前記注射器11から当該輸液バッグ12に薬品が注入される。この場合、前記輸液バッグ12に注入される薬品の粘度が高い場合には、図27Bに示されるように、薬品が当該輸液バッグ12の混注口部近傍に付着して輸液に溶けずに残るおそれがある。例えば、ドセタキセルが粘度の高い薬品として知られている。なお、図27A、図27B、図29A〜図29Dは、前記輸液バッグ12の混注口部が前記バッグ昇降部113で上下方向に昇降可能な状態を前記混注処理部300の正面側から見た状態を示す図(図4と同様の方向から見た図)である。即ち、図27A、図27B、図29A〜図29Dには、前記輸液バッグ12を側方から見た状態が示されている。
そして、本実施形態に係る前記混注装置1では、以下に説明するように、前記輸液バッグ12の混注口部近傍への薬品の残存を抑制することが可能である。具体的に、前記混注装置1は、前記混注処理が実行される際に前記混注制御部100によって分割注入処理が実行されることで実現される分割注入機能を備える。ここに、図28は、前記分割注入処理の一例を示すフローチャートである。前記分割注入処理は、前記ステップS212における前記混注処理の開始時に実行される。ここに、前記分割注入処理を実行するときの前記第2制御部500が分割注入処理部の一例である。
<ステップS2601>
ステップS2601において、前記第2制御部500は、前記混注処理の対象である前記調製データと前記薬品マスターとに基づいて、当該混注処理の対象の薬品が分割対象薬品であるか否かを判定する。具体的に、前記第2制御部500は、前記薬品マスターにおいて、前記分割注入フラグがオンに設定されている薬品を分割対象薬品であると判定する。ここで、前記分割対象薬品であると判定されると(S2601:Yes)、処理がステップS2602に移行し、前記分割対象薬品でないと判定されると(S2601:No)、当該分割注入処理が終了する。なお、前記分割注入処理において、前記分割対象薬品でないと判定された場合には、前記混注処理において、前記注射器11による前記輸液バッグ12への薬品の注入動作は一度で行われる。
<ステップS2602>
ステップS2602において、前記第2制御部500は、前記混注処理で前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入される薬品量が、前記分割注入処理の対象となる第1特定量以上であるか否かを判定する。前記第1特定量は、前記薬品が前記輸液バッグ12の混注口部に付着しやすいか否かを判定するために予め設定される指標値である。また、前記第1特定量は、前記薬品の種類に応じて予め個別に設定されていることも考えられる。
ここで、前記薬品量が前記第1特定量以上であると判断されると(S2602:Yes)、処理がステップS2603に移行し、前記薬品量が前記第1特定量未満であると判断されると(S2602:No)、当該分割注入処理が終了する。なお、前記分割注入処理において、前記薬品量が前記第1特定量未満であると判定された場合には、前記混注処理において、前記注射器11による前記輸液バッグ12への薬品の注入動作は一度で行われる。なお、前記ステップS2601又はS2602のいずれか一方が省略されることも考えられる。
<ステップS2603>
ステップS2603において、前記第2制御部500は、前記混注処理部100による前記注入動作が少なくとも2回以上に分割して実行されるように前記注入動作の分割回数を設定するための処理を実行する。以下、分割して実行される注入動作各々を分割注入動作と称することがある。
具体的に、前記第2制御部500は、前記薬品量に基づいて、前記混注処理部100による前記注入動作を1回の注入量が予め設定された第2特定量未満となる回数に分割する。なお、前記第2特定量は、前記第1特定量以下の値であればよく、例えば当該第1特定量と同じ値であってもよい。また、1回の注入量が前記第2特定量未満となる値であれば、前記分割注入動作における注入量は異なる値に設定されてもよい。例えば、後になるほど前記注入量が増加又は減少するように前記分割注入動作各々における注入量が設定されてもよい。また、前記第2制御部500は、前記注入動作を予め定められた特定の回数を分割回数として設定することも考えられる。さらに、前記第2制御部500は、前記薬品ごとに前記分割回数が予め定められていてもよい。なお、前記分割注入動作各々は、前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12の混注口部に穿刺されてから抜かれるまでの間に実行される動作であり、前記分割回数分の前記分割注入動作が実行されるまでの間は前記注射針11cが前記輸液バッグ12の混注口部に穿刺された状態である。即ち、前記分割注入動作各々は、前記注射器11内に収容されている薬品を複数回に分けて前記輸液バッグ12に注入するための動作である。
<ステップS2604>
ステップS2604において、前記第2制御部500は、前記薬品量を前記ステップS2603で設定された分割回数で割った注入量を前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入する分割注入処理を前記混注処理部300に実行させる。ここに、図29Aは、1回目の前記分割注入処理が実行された状態を示す。
<ステップS2605>
ステップS2605において、前記第2制御部500は、前記ステップS2603で設定された分割回数に相当する分割注入動作が終了したか否かが判定される。ここで、前記分割回数の前記分割注入動作が実行されたと判定されると(S2605:Yes)、当該分割注入処理が終了し、前記分割回数の前記分割注入動作が実行されていないと判定されると(S2605:No)、処理がステップS2606に移行する。
<ステップS2606>
ステップS2606において、前記第2制御部500は、前記輸液バッグ12の姿勢を前記第1姿勢から前記第2姿勢に変位させる変位動作を前記混注処理部300に実行させる。具体的に、前記第2制御部500は、前記注射器11を把持している前記第2ロボットアーム22と前記輸液バッグ12を保持する前記バッグ昇降部113のモーター113cとを制御することにより、前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12に穿刺されたままの状態で前記輸液バッグ12を前記第1姿勢から前記第2姿勢に変位させる。これにより、前記輸液バッグ12は、前記輸液バッグ12の混注口部から前記輸液バッグ12の底部に向けて下方に傾斜する姿勢に変位することになり、前記混注口部から注入された薬品の底部への移動が促される。ここに、図29Bは、1回目の前記分割注入動作が実行された後、前記第2姿勢で前記薬品が前記輸液バッグ12の底部に移動した状態を示す。
<ステップS2607>
ステップS2607において、前記第2制御部500は、前記輸液バッグ12の混注口部から注入された薬品を底部に向けて移動させるために予め設定された待機時間だけ処理を待機させる。即ち、前記第2制御部500は、前記分割注入動作各々の間に前記待機時間を設ける。これにより、前記輸液バッグ12の混注口部から注入された薬品が底部に向けて移動することになる。ここに、図29Cは、1回目の前記分割注入動作後の当該輸液バッグ12内の薬品が底部に向けて移動した後、2回目の前記分割注入動作が実行された状態を示す図である。また、図29Dは、2回目の前記分割注入動作後の当該輸液バッグ12内の薬品が底部に向けて移動された後の状態を示す図である。
<ステップS2608>
ステップS2608において、前記第2制御部500は、前記輸液バッグ12の姿勢を前記第2姿勢から前記第1姿勢に変位させる変位動作を前記混注処理部300に実行させ、処理を前記ステップS2604に戻す。具体的に、前記第2制御部500は、前記注射器11を把持している前記第2ロボットアーム22と前記輸液バッグ12を保持する前記バッグ昇降部113のモーター113cとを制御することにより、前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12に穿刺されたままの状態で前記輸液バッグ12を前記第2姿勢から前記第1姿勢に変位させる。これにより、前記輸液バッグ12は、前記輸液バッグ12の混注口部から前記輸液バッグ12の底部に向けて上方に傾斜する姿勢に変位することになる。このように、前記分割注入動作各々の間で前記第2姿勢に変位させる変位動作を実行させるときの前記第2制御部500が動作変位処理部の一例である。
以上説明したように、前記分割注入処理によれば、前記注射器11から前記輸液バッグ12への薬品の注入動作が分割して実行され、その分割注入動作各々の間に、前記輸液バッグ12の混注口部が上向きとなるように前記輸液バッグ12の姿勢が変位し、当該輸液バッグ1内に注入された薬品が底部に向けて移動する。これにより、前記注射器11から前記輸液バッグ12に薬品を一度に注入する場合に比べて、当該薬品が前記輸液バッグ12の混注口部に付着して輸液に溶けない可能性を抑制することができる。また、前記輸液バッグ12の混注口部付近に粘度の高い薬品が滞留した場合には、前記輸液バッグ12への薬品の注入時の負荷が大きくなるが、前記分割注入処理により、前記輸液バッグ12の混注口部付近の薬品の滞留が抑制されるため、前記輸液バッグ12への薬品の注入時の負荷を軽減することが可能である。
なお、他の実施形態として、前記ステップS2606及び前記ステップS2608の処理が省略されることも考えられる。例えば、前記輸液バッグ12が当該輸液バッグ12の混注口部から前記輸液バッグ12の底部に向けて下方に傾斜する姿勢で、前記注射器11から前記輸液バッグ12に薬品が注入される場合には、前記ステップS2607において前記分割注入動作各々の間に前記待機時間が設けられることにより、薬品が前記輸液バッグ12の混注口部に付着して輸液に溶けない可能性を抑制することができる。
また、他の実施形態として前記ステップS2607の処理が省略されることも考えられる。この場合でも、前記分割注入動作各々の間には、前記ステップS2606及び前記ステップS2608の処理による前記変位動作が実行され、当該変位動作の所要時間が前記待機時間として前記分割注入動作各々の間に介在することとなる。この場合でも前記変位動作が実行される間に薬品が底部に向けて移動するため、当該変位動作が実行されない場合に比べて、薬品が前記輸液バッグ12の混注口部に付着して輸液に溶けない可能性を抑制することができる。
[攪拌注入機能]
前記第2制御部500は、前記注射器11内で事前に薬品の溶解を図る撹拌注入機能を備えることが考えられる。ここに、図30は、前記撹拌注入機能を実現するために前記第2制御部500によって実行される撹拌注入処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、前記撹拌注入処理において、前記分割注入処理と同様の処理には同じ符号を付してその説明を省略する。また、当該撹拌注入処理は、輸液に溶けにくい粘度の高い薬品だけでなく、予め設定された種類の薬品又は全ての薬品について実行されてもよい。
<ステップS2701>
ステップS2701において、前記第2制御部500は、前記ステップS2604における分割注入動作の前に、前記輸液バッグ12から前記注射器11のシリンジ11a内に予め設定された第3特定量の輸液を吸引する吸引動作を前記混注処理部300に実行させる。なお、前記第3特定量は、前記シリンジ11aの容量と前記シリンジ11a内の薬品量とに基づいて、前記シリンジ11aに吸引可能な量である。これにより、前記シリンジ11a内で対流が生じて前記薬品の輸液への溶解が促されることにより、前記シリンジ11a内の液体の粘性が低下する。
<ステップS2702>
ステップS2702において、前記第2制御部500は、予め設定された第4特定量だけ前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入する動作を前記混注処理部300に実行させる。具体的に、前記第4特定量は、前記薬品量を前記ステップS2603で設定された分割回数で割った注入量に、前記ステップS2701で前記輸液バッグ12から吸引した前記第3特定量を足すことによって算出される値であり、前記第3特定量よりも多い値である。なお、前記第4特定量は、前記分割注入処理の実行回数が進むにつれて増加又は減少してもよい。
<ステップS2703>
ステップS2703において、前記第2制御部500は、前記ステップS2603で設定された分割回数に相当する分割注入動作が終了したか否かを判定する。ここで、前記分割回数の前記分割注入動作が実行されたと判定されると(S2703:Yes)、当該撹拌注入処理が終了し、前記分割回数の前記分割注入動作が実行されていないと判定されると(S2703:No)、処理がステップS2701に移行する。
以上説明したように、前記撹拌注入処理によれば、前記注射器11から前記輸液バッグ12への薬品の注入作業が分割して実行され、その分割注入動作各々の前に、前記輸液バッグ12内の輸液が前記シリンジ11a内に吸引される。これにより、前記注射器11から前記輸液バッグ12に薬品をそのまま注入する場合に比べて、当該薬品が前記輸液バッグ12の混注口部に付着して輸液に溶けない可能性を抑制することができる。また、前記撹拌注入処理により、前記シリンジ内11aにおける薬品の粘性の低下が図られるため、前記輸液バッグ12への薬品の注入時の負荷を軽減することが可能である。
ところで、前記撹拌注入処理が、前記分割注入処理と同時に行われてもよい。即ち、前記分割注入処理における前記ステップS2604に代えて前記ステップS2701、S2702が実行される。また、前記ステップS2701が前記ステップS2605と前記ステップS2606との間に実行されることが考えられる。これにより、前記シリンジ11a内に輸液が吸引された状態で前記注射器11の姿勢が前記輸液バッグ12と共に変化する際に当該シリンジ11a内で薬品の輸液への溶解がより効果的に促される。また、前記攪拌注入処理は、前記分割注入処理が実行される場合に限らず、前記分割注入処理が実行されない場合に実行されてもよい。即ち、前記シリンジ11a内の薬品を前記輸液バッグ12に注入する前に当該輸液バッグ12から前記シリンジ11a内に輸液を取り込み、その後に当該シリンジ11aから前記輸液バッグ12に輸液及び薬品が一挙に注入されることも考えられる。
[薬品吸引速度制御機能]
前記混注処理では、図32Aに示されるように、前記薬品容器10及び前記注射器11が鉛直方向に対して傾倒した状態で、前記注射器11で前記薬品容器10内の薬品が吸引されることが考えられる。ここで、前記薬品容器10は、図32Aに示されるように、前記注射器11よりも上に位置しており、前記注射器11は針先が上斜め方向に向いた状態である。また、当該混注処理では、以下の手順で前記薬品容器10から前記シリンジ11a内に薬品が吸引されることがある。まず、前記注射器11のシリンジ11a内に空気が取り込まれた後、前記薬品容器10に前記注射器11の注射針11cが穿刺される。そして、前記注射器11のプランジャ11bが所定量だけ引かれて前記薬品容器10内の薬品が前記注射器11のシリンジ11aに吸引される薬品吸引動作が実行される。次に、前記注射器11のシリンジ11a内から薬品容器10内に空気が注入される空気注入動作が実行される。その後、前記薬品吸引動作及び前記空気注入動作が繰り返し実行される。
ところで、前記混注処理の前記薬品吸引動作における前記薬品の吸引速度が早すぎれば、薬品が前記注射器11の内壁に沿って吸引されず、図32Aの矢印R1で示されるように当該内壁から離れた位置に弧を描いて内壁に向けて落下し、薬品の泡立ちの要因となる。一方、前記混注装置1で扱われる薬品には、前記注射器11による吸引の際に泡立ちやすい薬品が10%程度ある。そのため、泡立ちやすい薬品が前記混注処理の対象となる場合には、薬品が前記注射器11の壁面に沿って吸引されるように前記注射器11の操作速度を遅くすることが考えられる。しかしながら、この場合には、前記注射器11による薬品の吸引作業に時間を要することになる。これに対し、前記第2制御部500は、泡立ちやすい薬品を前記注射器11で極力早く吸引することが可能な薬品吸引速度制御機能を備えることが考えられる。
具体的に、前記薬品マスターには、前記薬品ごとについて泡立ちやすいか否かを示す泡立ちフラグが記録されている。また、薬品が前記薬品容器10から前記シリンジ11aに流入する速度は、前記薬品容器10と前記シリンジ11aとの内圧の差(薬品容器10の内圧−シリンジ11aの内圧)が大きいほど早くなる。そのため、前記吸引動作の実行済み回数が少なく、前記シリンジ11a内の空気層の体積が大きい場合には、前記プランジャ11cの引き速度が早くても当該シリンジ11aの内圧の低下量が少なく、前記内圧の差が大きくならない。従って、前記実行済み回数が少ないときは前記プランジャ11cの引き速度が速くても薬品が弧を描きにくい。
そこで、前記第2制御部500は、前記混注処理の対象となる薬品が前記薬品マスターにおいて前記泡立ちフラグがオンに設定されている薬品である場合、前記薬品吸引動作の実行済み回数が少ない場合は前記実行済み回数が多い場合よりも当該薬品吸引動作における前記薬品の吸引速度を早くする。換言すれば、前記第2制御部500は、前記薬品吸引動作の実行済み回数の増加に応じて当該薬品吸引動作における前記薬品の吸引速度を段階的に遅くする。即ち、前記注射器11の注射針11cが前記薬品容器10に穿刺された後、最初に実行される前記薬品吸引動作における前記プランジャ11cの引き速度が最も早く、前記薬品容器10内の薬品が前記注射器11のシリンジ11a内に吸引されるほど前記薬品吸引動作における前記プランジャ11cが引かれる速度が遅くなる。これにより、前記シリンジ11a内に吸引される薬品が弧を描くことなく、図32Bの矢印R2で示されるように当該シリンジ11aの内壁に沿って吸引され、前記薬品が弧を描いて前記シリンジ11a内に吸引される場合に比べて泡立つ可能性を抑制することができる。従って、前記薬品吸引動作各々において前記薬品吸引動作における前記薬品の吸引速度を遅くする場合に比べて、当該吸引動作の所要時間を薬品の泡立ちを防止しつつ短縮することができる。なお、前記泡立ちフラグがオフである薬品については、例えば一定の速度で前記薬品吸引動作が行われることが考えられる。一方、前記泡立ちフラグがオンであるか否かにかかわらず、全ての薬品について、前記薬品吸引動作の実行済み回数が少ない場合は前記実行済み回数が多い場合よりも当該薬品吸引動作における前記薬品の吸引速度を早くすることも他の実施形態として考えられる。
[収容ユニット手動操作機能]
前記収容ユニット700の故障時又は停電時などの要因によって前記収容ユニット700が動作不能となっている場合には、前記トレイ収容部811各々に収容されている前記トレイ101が取り出すことができない場合がある。例えば、前記収容ユニット700の前面又は背面などが開放可能であっても、前記モーター821の非稼働状態で当該モーター821のブレーキ機能が作用する場合には、作業者が手動で前記移動筐体810を移動させることが困難な場合がある。
そこで、前記張架ローラー823のうち前記モーター821に連結されていない張架ローラー823の回転軸が作業者による操作が可能な予め定められた位置まで延設されることが考えられる。また、前記回転軸は、作業者が前記回転軸を容易に回転させるためのワンウェイクラッチを用いた治具又は工具が取り付け可能であることが考えられる。これにより、作業者は、治具又は工具を用いて手動で前記回転軸を正転方向又は逆転方向に回転させることにより前記移動筐体810を容易に移動させることが可能である。
また、前記収容ユニット700では、前記移動筐体810と前記モーター821との連結の有無が切替可能であり、前記モーター821と前記張架ローラー823との連結を解除し、前記移動筐体810の手動操作が可能な構成が考えられる。例えば、前記移動筐体810に設けられるレバーなどの手動操作部の操作により、前記モーター821と前記張架ローラー823との連結が解除可能な構成が考えられる。これにより、作業者は、前記手動操作部を操作することにより前記移動筐体810を手動で容易に移動させることが可能となる。
[トレイ配置制御機能]
前記混注装置1の混注処理部300には、複数の前記収容ユニット700が装着可能であることが考えられる。ここに、図31は、前記混注処理部300に2つの前記収容ユニット700が連結される場合の構成の平面模式図である。以下、特に前記収容ユニット700を区別する場合、前記混注処理部300に連結される前記収容ユニット700(図31における左側)を収容ユニット770A、当該収容ユニット700Xに連結される前記収容ユニット700(図31における右側)を収容ユニット700Yと称する。
前記収容ユニット700Xにおいて、前記トレイ搬出部701の反対側には、他の前記収容ユニット700の前記トレイ搬出部701と連結するための連通部701Aと、前記連通部701Aとの間で前記トレイ101の搬送を行うための搬送部701Bとが設けられている。前記搬送部701Bは、モーター、ギア、張架ローラー、ベルト等を備えるベルトコンベヤーであり、前記ベルトが前記モーター、前記ギア、及び前記張架ローラーによって駆動されることにより、前記ベルト上で保持されている前記トレイ101を搬送可能である。なお、前記搬送部701Bは前記収容ユニットに着脱可能なオプションユニットである。また、前記搬送部701Bが、前記収容ユニット700X、700Y各々に設けられていてもよい。
また、前記収容ユニット700Yの前面には前記トレイ排出扉206が設けられている。なお、前記トレイ排出扉206が前記収容ユニット700に着脱可能なオプションユニットである。また、前記収容ユニット700X、700Y各々に前記トレイ排出扉206が設けられていてもよい。
そして、前記収容ユニット700Xのトレイ搬出部701は、前記混注処理部300のトレイ装填口114と連結して配置され、前記収容ユニット700Yのトレイ搬出部701は、前記収容ユニット700Xのトレイ搬入部701Aと連結して配置される。また、前記収容ユニット700X及び前記収容ユニット700Y各々は、前記第1制御部400と通信ケーブルで接続されており、当該第1制御部400によって動作が制御される。なお、前記収容ユニット700Xが前記第1制御部400と通信ケーブルで接続され、前記収容ユニット700Yが前記収容ユニット700Xと通信ケーブルで接続される構成であってもよい。
このように、前記混注装置1に複数の前記ユニット収容部700が接続される構成では、前記トレイ101各々の前記収容ユニット700各々への収容位置によって、前記混注装置1の稼働効率が変化する。以下、前記混注装置1の稼働効率を高めることが可能な前記トレイ101の収容位置制御について説明する。
具体的に、前記第1制御部400は、前記混注処理の実行前の前記トレイ101を前記混注処理部に近い側の前記収容ユニット700Xに優先して収容させ、前記混注処理の実行後の前記トレイ101を前記混注装置1から遠い側の前記収容ユニット700Yに優先して収容させる。
そして、前記第1制御部400は、前記混注処理の実行後の前記輸液バッグ12が載置され、前記収容ユニット700から取り出し可能な任意の前記トレイ101を取り出すためのユーザー操作に応じて、当該トレイ101を前記収容ユニット700X及び前記収容ユニット700Yのいずれかから前記トレイ排出扉206まで搬送する。このとき、前記混注処理後の前記トレイ101は、前記収容ユニット700各々のうち、前記混注装置1から遠い位置の前記収容ユニット700に収容されている。そのため、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700から前記混注装置1への前記トレイ101の搬送経路と、前記収容ユニット700から前記トレイ排出扉206への搬送経路との同時利用が必要となる可能性が低い。従って、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700から前記混注装置1への前記トレイ101の搬送と、前記収容ユニット700から前記トレイ排出扉206への搬送とを並行して実行可能である可能性が高くなる。例えば、前記混注処理における前記トレイ101の前記混注装置1への搬送又は前記収容ユニット700への前記トレイ101の装填作業と前記トレイ101の取り出し作業とが並行可能となり、前記混注装置1の稼働効率を高めることができる。