JP7394497B2 - 制御された接着に用いる構造化表面を有する成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、物体の又は表面における制御された接着に用いる構造化表面を有する成形体に関する。この接着は、構造化表面の構造的特徴によって制御することができる。
2つの物体間の分子接着は、繊維状の表面構造によって制御及び/又は強化することができる。この原理は、ヤモリ効果(gecko effect)として知られている。構造化されたエラストマー表面を或る特定の押圧力で比較的平坦な表面に押し付けた場合、ファンデルワールス相互作用が発生し得る。可逆的な接着、すなわち、意図的に接着と脱離とを切り替えることの可能性も自然界から知られている。しかしながら、ヤモリは接着繊維を剥離することによる脱離を行うが、技術的な構造体の場合、これが可能でないことが多く、通常、剪断接着、すなわち、基材/物体表面の方向における接着が利用される場合にしか意味がない。法線接着と呼ぶものの場合、これは、物体表面に対して垂直な接着力のことであり、脱離は異なる方法で開始しなければならない。
目的とするのは、接着(接触面積が大きい)と脱離(接触面積が小さい)との間を切り替えることによって、選択的な脱離を可能にするように、接着構造体と物体表面との間の有効な接触面積を意図的に変更することである。
アスペクト比が大きい、例えば、アスペクト比が3を超える構造体を使用する場合、基材からの脱離にオイラー座屈と呼ばれる現象を利用することが可能であることが知られている。接触面積の低減は、圧縮負荷によるピラーの座屈によってもたらすことができることが知られている。圧縮負荷が十分であると、弾性の不安定性により、ピラーが捩れる。これもオイラー座屈と呼ばれる。臨界力は以下となる。
F=(nπ/L)EI
ここで、Eは、弾性率であり、Iは、面積慣性モデルであり、Lは、ピラーの長さ(高さ)であり、nは、ピラーの機械的制約に依存する前因子である。円柱構造体の面積慣性モーメントは、I=(πd)/64である。これにより、以下の関係が得られる。高さが大きい、直径が小さい、又は弾性率が低いピラーは、長さが短い、直径が大きい、又は弾性率が高いピラーよりも小さい力で座屈する。ここでは、物体の方向における付加的な圧力により、構造体が座屈し、したがって、表面との接触面積が低減する。これが接着の低減をもたらす。しかしながら、このために、脱離を開始するには物体方向における圧力が必要となる。このことは、繊細な物体の場合に特に問題となる。
本発明の目的は、特に法線接着の場合に、簡単な脱離を可能にする構造体を提供することである。
この目的は、独立請求項の特徴を有する発明によって達成される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項において特徴付けられている。これによって、全ての特許請求の範囲の文面は、引用することにより本明細書の一部をなす。本発明はまた、独立請求項及び/又は従属請求項の全ての合理的な組合せ、特に全ての指定された組合せを包含する。
上記目的は、構造化表面を有する成形体であって、構造化表面の構造は、複数のピラー(突起)を含み、複数のピラーは、それぞれ、少なくとも1つのステムを有するとともに、表面とは反対を向く少なくとも1つの端面を有する、成形体によって達成される。この端面により、ピラーは、接着する物体の表面に接触し、少なくとも1つのピラーは、少なくとも1つの構造的特徴を有し、この構造的特徴は、ピラーに負荷を与えると、接着の変化によるピラーの指向性の変形をもたらす。
ピラーに負荷を与えることは、突起の端面に対して法線方向に、ピラーに負荷を与えることであることが好ましい。これは、ピラーをステムに沿って圧縮することを含むことが好ましい。
ピラーに十分な負荷を与えると、結果として起こるピラーの座屈により、接触面積の変化、すなわち、接着の変化がもたらされることが知られている。したがって、この装置は、接着状態から非接着状態へと可逆的に切り替えることができる。使用すべき力は、ピラーの有効複素弾性率を含む因子に応じて決まる。
同時に、所与の構造体の場合、使用すべき力は、材料又は構造体における変化によってのみ可能である。把持される物体及び/又は接触する表面への柔軟な適合を達成するのは困難である。
さらに、負荷を与えると、ピラーの制御されない変形が生じ、変形の方向及び範囲は制御することが困難である。これの別の結果として、横変位が起こる場合があるか、又は保持された物体が不安定状態になる、例えば、滑り落ちることになる。
驚くことに、構造的特徴を導入することにより、切替えに必要な法線方向における力を容易に制御及び適合することができることがわかっている。
ピラーの弾性率は、一定であることが好ましいが、軸方向又は横方向に勾配を呈する場合もある。
端面の垂直高さは、ピラーが配置される表面からの端面までの距離を指す。
本発明の1つの好ましい実施の形態において、本発明の構造化表面の突起は、柱状形態を有する。これは、これらの突起が、表面に対して垂直に構成され、ステム及び端面を有するピラーであることが好ましく、ステム及び端面は、所望の断面(例えば、円形、楕円形、矩形、正方形、菱形、六角形、五角形等)を有することができることを意味する。
ピラーは、ピラーの基部領域上への端面の垂直投影が基部領域に重なる領域を形成し、この重なり領域及び端面上への重なり領域の投影が、ピラー内に完全に収まる本体を形成するように構成されることが好ましい。本発明の1つの好ましい実施の形態において、重なり領域は、基部領域の少なくとも50%、好ましくは基部領域の少なくとも70%を含み、より好ましくは、重なり領域は、基部領域の全体を含む。したがって、ピラーは、傾斜していないことが好ましいが、傾斜していてもよい。ピラーは、少なくとも1つの構造的特徴を除いて、垂直構成を有することが好ましい。
1つの好ましい実施の形態において、端面は、基部領域及び表面に対して平行に向けられる。端面が表面に対して平行に向けられず、したがって、異なる垂直高さを有する場合、端面の平均垂直高さがピラーの垂直高さとみなされる。これに関して、端面を含む存在し得る構造的特徴は無視される。
1つの実施の形態において、ピラーの端面は、基部領域よりも大きい。
本発明の1つの好ましい実施の形態において、ピラーのステムは、その平均直径に関して、直径に対する高さのアスペクト比が2~15、好ましくは2~10であり、より好ましくは3~5である。
1つの実施の形態において、このアスペクト比は、最大10、更に特には最大5である。
ここで、平均直径は、構造的特徴を除いて、ピラーの全高にわたって平均した、ピラーの対応する断面と同じ面積を有する円の直径を指す。
本発明の更なる実施の形態において、ピラーの全高にわたる或る特定の高さにおける直径に対するピラーの垂直高さの比は、常に2~15、好ましくは2~10、より好ましくは3~5である。1つの実施の形態において、このアスペクト比は、最大10、更に特には最大5である。これは、ピラーの最小直径にも当てはまることが好ましい。これは、ピラーが楕円形の基部領域を有する場合、例えば、最小直径及び最大直径を有する場合に関係する。構造的特徴を有する領域は、ここでは無視される。
ピラーは、マッシュルーム構造と呼ばれる広がった端面を有することができる。広がった端面は、対称でも非対称でもよく、ステム上に対称に配置されても非対称に配置されてもよい。これにより、例えば、広がり部分が優先的に片側に向いている場合、構造体の脱離の開始を促進することができる。
ピラーの端面は、それ自体が表面積を増大させるように構造化することができる。その場合、ピラーの垂直高さは、端面の平均垂直高さとみなされる。
1つの好ましい実施の形態において、全てのピラーの垂直高さは、1μm~10mmの範囲、好ましくは1μm~5mmの範囲、更に特には1μm~2mmの範囲であり、好ましくは1μm~1mmの範囲である。この場合の直径は、アスペクト比に従って選択される。
別の好ましい実施の形態において、全ての突起の垂直高さは、10μm~1mmの範囲、好ましくは10μm~800μmの範囲、更に好ましくは50μm~600μmの範囲であり、非常に好ましくは100μm~500μmの範囲である。この場合の直径は、アスペクト比に従って選択される。
1つの好ましい実施の形態において、ピラーの基部領域は、面積に関して、直径が1μm~5mm、好ましくは1μm~2mm、特に好ましくは1μm~500μm、より好ましくは5μm~200μmの円に対応する。1つの実施の形態において、ピラーの基部領域は、直径が1μm~500μm、好ましくは10μm~200μmの円である。
ステムの平均直径は、好ましくは0.1μm~5mm、好ましくは0.1μm~2mm、特に好ましくは1μm~500μm、好ましくは5μm~200μmである。高さ及び平均直径は、好ましいアスペクト比に従って適合されることが好ましい。
1つの好ましい実施の形態において、広がった端面を有する場合、ピラーの端面の表面積は、ピラーの基部領域の面積の少なくとも1.01倍、好ましくは少なくとも1.4倍である。ピラーの端面の表面積は、例えば、1.01倍~2倍大きいものとすることができる。
別の実施の形態において、端面は、ピラーの基部領域よりも5%~100%大きく、より好ましくはピラーの基部領域よりも5%~20%大きい。
1つの好ましい実施の形態において、2つのピラー間の距離は、2mm未満、更に特には1mm未満である。500μm未満の距離が好ましく、更に特には10μm~400μmの距離が好ましい。ここで、この距離は、ピラーの基部領域の縁部から次のピラーの基部領域の縁部までの最小距離を指す。
少なくとも1つの構造的特徴は、局所的な構造的特徴であることが好ましい。これは、構造的特徴が、ピラーの基部構造体に関して、ピラーの画定可能な領域のみに常に関連することを意味する。少なくとも1つの構造的特徴は、ピラーの高さに関して、ピラーの高さの80%以下に関連することが好ましい。その結果、構造的特徴は、ピラーに負荷を与えると、局所的に機械的に弱化するか又は強化される。
少なくとも1つの構造的特徴は、ピラーの基本形状に対する凹部及び/又は隆起部であることが好ましい。ピラーの屈曲部は、凹部と隆起部との組合せである。
本発明の1つの好ましい実施の形態において、構造的特徴は、ノッチ、スロット、屈曲部、面取り部(ベベル)、突出部、及び/又は隆起部から選択される。
少なくとも1つの構造的特徴は、ノッチ、スロット、若しくは面取り部等の凹部、又は屈曲部から選択されることが好ましい。
ピラーは、複数の構造的特徴又は複数の異なる構造的特徴を有することもできる。
少なくとも1つの構造的特徴は、指向性の変形をもたらす。このために、構造的特徴は、ピラーの片側に配置されることが好ましい。これにより、変形がその側に向かう又は反するように操作することが可能になる。結果として、表面に対する成形体の向きに僅かに不正確な部分があっても、脱離挙動の変更が生じる可能性はない。
少なくとも1つの構造的特徴により、所与の負荷に際してより早期にピラーに変形、更に特には座屈が生じることが好ましい。これにより、変形に必要な押圧力が低下する。また、変形により、ピラーの接着の強度に低減が生じ、端面の接触面積の低減につながる。結果として、成形体は、比較的低い負荷レベルでも非接着状態に切り替わることができる。これにより、成形体がより脱離しやすくなる。さらに、脱離のために消費される力もより小さくなる。
ピラーは、複数の構造的特徴、特に異なる構造的特徴を有することもできる。これらの特徴は、相補的又は建設的な効果を有することができる。これらの構造的特徴を合わせると、その構造的特徴が全体としてピラーの変形の結果を決定付ける。この結果は、相互作用の総体によって予め決まる。
構造的特徴の使用により、成形体の接着特性を容易に適合及び変更することが可能になる。これらの特徴は、特定の使用に対して特に精密に適合させることができる。材料を変更する必要がないため、1つの製造技術を用いて多数の異なる変形形態を生み出すことができる。
1つの好ましい実施の形態において、少なくとも1つの構造的特徴は、ピラーのステム上の凹部、更に特には少なくとも1つのノッチ又は少なくとも1つのスロットである。
この実施の形態において、少なくとも1つの構造的特徴は、ピラーの局所的な弱化をもたらす。この結果、ピラーは、負荷を受けて弱化の側とは反対側に優先的に座屈する。少なくとも1つの構造的特徴は、中央に配置されることが好ましい。これは、ピラーの垂直高さの10%~90%の高さに位置することが好ましいことを意味する。屈曲部の場合、最大となる屈曲部は、ピラーの高さの40%~60%の範囲に位置することが好ましい。好ましい範囲は、弱化構造体に応じて異なる場合がある。
凹部の最大深さは、好ましくは凹部の高さにおけるピラーの直径の50%であり、好ましくは40%以下である。この場合、深さは、ピラーの外面に対する法線に関して凹部の最も内側の点を指す。
凹部の最大範囲は、好ましくは凹部の高さにおけるピラーの直径の少なくとも10%であり、この範囲は、凹部がないピラーの表面における距離として定義される。
凹部は、その形状に関して非常に異なり得る。凹部は、内側に向かって一定して狭くなる凹部であることが好ましい。ピラー内の凹部によって包囲される体積は、ノッチの場合、球、円柱、好ましくは正円柱、楕円体、円錐、角錐、又は立方体等の幾何学的形状の一部とすることができる。球、円柱、又は楕円形等の辺を有しない形状が好ましい。特に好ましい形状は、円柱、楕円形、又は円形の一部であり、凹部の領域は、円柱の外面の一部である。円柱の軸は、ピラーに対して垂直であることが好ましい。この場合、凹部は、丸い内面を有する細長い窪みとして説明することができる。
スロットの場合、この体積は、フィンの形状を有することができる。スロットは、水平とすることができるが、傾斜していてもよい。このセクションの開放角度は、好ましくは0度~70度、好ましくは0度~50度、より好ましくは10度~40度である。
本発明の別の実施の形態において、少なくとも1つの構造的特徴は、屈曲部である。これは、ピラーのステムが鉛直に延在せず、代わりに、好ましくはピラーの高さの20%~80%の領域において、ピラーが片側に対して増減する変位を呈することを意味する。これは、ピラーのステムに沿った局所的な屈曲部をもたらす。端面と基部領域との間の関係はここでは維持される。屈曲部の領域におけるピラーの断面形状には変化がないことが好ましい。これは、ピラーが構造的特徴に沿って変化する直径を有せず、ピラーがその代わりに屈曲部を有することを意味する。屈曲部の始点及び終点におけるそれぞれの断面領域は、ピラーの基部領域と合同である。屈曲の過程で、基部領域に対するそれぞれの断面の重なりは、最大20%、好ましくは最大30%低減することが好ましい。ピラーの長手方向軸に沿った屈曲部の外形は、対称的であることが好ましい。屈曲部は、一定の外形を有し、すなわち、ピラーの高さに沿った縁部又は角部を有しないことが好ましい。屈曲部は、後の変形を規定し、したがって、指向性の変形をもたらす。したがって、片側に向かってのみ曲がることが好ましい。
本発明の別の実施の形態において、少なくとも1つの構造的特徴は、ピラーの端面の部分を含む。
ピラーの端面は、構造的特徴を有しない端面の面積の少なくとも30%を含むことが好ましい。これにより、接着に利用可能な十分な面積が依然として存在することが保証される。少なくとも40%~80%の領域が好ましい。この場合の凹部は、端面の縁部の少なくとも一部を含む。端面の残りの部分は、連続的な領域であることが好ましい。
この場合の構造的特徴は、凹部であることが好ましい。これは、ピラーが片側において負荷なしで表面に接触する端面を有しないことを意味する。負荷を与えると、変形がこの側の方向に優先的に起こる。
この場合、凹部の表面は、異なる形状を有することができる。この場合、凹部は、端面と共通の真っ直ぐな縁部を呈する平坦な表面を有することが好ましい。負荷を与えると、凹部の表面が変形する結果、表面に接触することが可能になる。これにより、ピラーのこれらの2つの表面間の切替えが可能になる。
ここでは、凹部の表面と端面との間の角度は、10度~70度であることが好ましい。
この実施の形態の場合、端面は、直接影響を受ける場合がある。したがって、接着力及びこれを超えると変形が起こるという負荷を、非常に広い範囲で制御することも可能である。また、ピラーの接触面積がステム上の構造的特徴に対して小さいことから、変形ははるかに早期に起こる。
ステム上の凹部とは対照的に、端面を含む凹部は、凹部の方向に変形をもたらす。ステム上の凹部の場合、変形により、凹部とは反対側の座屈をもたらす。好ましいピラーは、選択された条件下で、構造的特徴のタイプに関わらず、限定的な変形方向を示すピラーである。
ピラーの弾性率は、50kPa~1GPa、好ましくは500kPa~20MPa、より好ましくは1MPa~10MPaであることが好ましい。ピラーの弾性率は、一定であることが好ましい。ピラーは、代替的に、異なる弾性率を有する材料を含むことができる。したがって、例えば、特に軟質の材料による端面を含む領域を形成することが可能である。
ピラーの弾性は、使用される材料、好ましくはエラストマーの硬度によって規定することもできる。ピラーの材料の好ましい硬度は、ショアA20~ショアA100、好ましくはショアA40~ショアA80である。
ピラーは、多くの異なる材料からなることができるが、エラストマーが好ましい。弾性率をより高めるために、熱硬化性物質を使用することも可能である。
したがって、ピラーは、以下の材料を含むことができる:エポキシ-及び/又はシリコーンベースのエラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリレート系、メタクリレート系、ホモポリマー及びコポリマーの形態のポリアクリレート、ホモポリマー及びコポリマーの形態のポリメタクリレート(PMMA、AMMA アクリロニトリル/メチルメタクリレート)、ポリウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン、シリコーン樹脂、Rゴム(NR 天然ゴム、IR ポリイソプレンゴム、BR ブタジエンゴム、SBR スチレン-ブタジエンゴム、CR クロロプレンゴム、NBR ニトリルゴム)、Mゴム(EPM エテン-プロペン(ethene-propene)ゴム、EPDM エチレン-プロピレンゴム)等のゴム、不飽和ポリエステル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ビニルエステル樹脂、ホモポリマー又はコポリマーの形態のポリエチレン、並びに更には、上述の材料の混合物及びコポリマー。また、EU(2011年1月15日に公開された2011年1月14日付のEU規則10/2011)若しくはFDAにより包装、薬物、及び食品部門における使用が承認されているエラストマー、又は、PVD及びCVD処理技術からのシリコーン非含有UV硬化性樹脂が好ましい。ポリウレタン(メタ)アクリレートは、ここでは、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリウレタン(アクリレート)を表し、また、それらの混合物及び/又はコポリマーも表す。
エポキシ-及び/又はシリコーンベースのエラストマー、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリウレタン、シリコーン、シリコーン樹脂(UV硬化性PDMS等)、ポリウレタン(メタ)アクリレート、又はゴム(EPM、EPDM等)が好ましい。
ピラーは、構造的特徴を除いて一様であることが好ましい。
成形体は、複数のピラーを有することができる。複数のピラーは、規則的な配置を有することが好ましい。成形体のピラーの全ては、少なくとも1つの構造的特徴を有することが好ましい。
必要な接触面積に応じて、成形体は、3本~50本のピラーを有し、更に特には3本~20本のピラーを有する。ピラーの群を有する2つ以上の成形体を組み合わせて、共通の接着装置を形成することも可能である。
1つの好ましい実施の形態において、ピラーの構造的特徴は、少なくとも1つの方向における変形が横変位をもたらさないように配置される。これは、この方向において互いに打ち消されるピラーの相対的な変形によって達成することができる。これは、例えば、ピラーの変形の結果として側方力が互いに打ち消されるように、個々のピラー上に構造的特徴を配置することによって達成することができる。これは、例えば、変形の方向、すなわち、ピラーの座屈の方向が、或る点、共通の対称平面又は回転軸に向かう又は反することによって達成することができる。これは、例えば、ピラーを同心円上に配置することによって、及び座屈方向がこの円に対してそれぞれ径方向であることによって達成することができる。その場合、それぞれのピラー上の凹部は、変形によってピラーの外方の座屈又は内方の座屈がもたらされるように配置される。
本発明は、本発明の成形体を表面上に可逆的に接着する方法に更に関する。
単数の物体又は2つ以上の物体を把持するために、本発明の成形体を2つ以上並列して使用することも可能である。
個々の方法ステップを、以下により詳細に記載する。これらのステップは、必ずしも記載の順序で行う必要はなく、概説される本方法は、記載されていない更なるステップを有することもできる。
このために、本発明の成形体のピラーの端面は、表面に接触し、したがって、成形体と表面との間に接着接合が生じる。
成形体の脱離のために、成形体は、表面の方向に負荷を受ける(法線負荷)。
この動きの結果、ピラーの変形が生じ、それにより、端面が少なくとも部分的に脱離する。これにより、接着に寄与する接触面積が低減し、完全に脱離するほどに接着力が低下する。特に凹部の形態の構造的特徴に起因して、変形のための力は、材料を変更する必要なく物体に対して適切に調整することができる。
特に、マイクロチップ、集積回路、ディスプレイ、又はタッチスクリーン等の非常に小さく繊細な部品の場合、本発明の成形体は、物体に大きな負荷を与えずに、選択的に接着及び脱離することを可能にする。また、この方法では、従来の吸引装置を介して更なる手段を用いなければ取得することができない物体に対処することが可能である。
更なる詳細及び特徴が、従属請求項と併せて、好ましい例示的な実施形態の以下の記載から明らかとなる。ここで、それぞれの特徴は、それぞれ単独で又は互いに組み合わせて集合的に実現することができる。目的を達成するための可能性は、例示的な実施形態に限定されない。例えば、範囲の数値には、全ての(記載されていない)中間値及び全ての想定可能な下位区間が常に包含される。
例示的な実施形態は、図面で概略的に図示されている。個々の図における同じ参照符号は、ここでは同一の要素若しくは機能的に同一の要素又はそれらの機能の点で互いに対応する要素を示す。図面は、具体的には以下を示している。
構造体A2及びA2の顕微鏡写真(左)及び三次元表現(右)を示す図である。 構造体A3、A4、及びA5の顕微鏡写真(左)及び三次元表現(右)を示す図である。 構造体A6及びA7の顕微鏡写真(左)及び三次元表現を示す図である。 2×3構成のピラーである構造体の顕微鏡写真(左)及び三次元表現を示す図である。 基準構造体A、B、C、D、Eの概略図である。 ノッチ(ノッチA~ノッチE)を有する様々な構造体の概略図及び断面図である。 1つのスロット又は2つ以上のスロット(スロットA~スロットE)を有する様々な構造体の概略図及び断面図である。 角部及びノッチを有する様々な構造体の概略図、並びに角部構造(角部A~角部E)を通る断面図である。 湾曲(S字形)を有する構造体の三次元表現及び断面図である。 6本のコラムを有する構造体、すなわち、基準F、ノッチF、角部F、及びS字形構造体Fの概略図である。 角部のパラメーターの概略図である。 構造体、すなわち、角部G、角部H、角部I、角部J、角部K、及び角部Lの概略図である。 オイラー座屈を伴う構造体の画像を示す図である。 様々なサンプルに関するx方向における方位差の関数としての、25%の圧縮の場合の接着力(F)の測定値を示す図である。 異なるサンプルに対する接着の測定値を示す図である。a)は、250mNの力測定センサー、速度100μm/s、基準B及びA1の場合であり、b)は、2Nの力測定センサー、速度5μm/s、基材との接触における保持時間なし、圧縮力500μmの場合である。 2Nの力測定センサー、速度10μm/sの場合で測定した構造体A2(a)及びA1(b)の力変位図である。 250mNの力測定センサー、速度100μm/sの場合の、基準A、ノッチA、ノッチBについての距離の関数としての押圧力の測定値を示す図である。 15%の圧縮(250mNの力測定センサー、速度10μm/s)における様々な構造体(基準A及びスロット付き構造体)の接着力の減少パーセンテージを示す図である。 基準構造体Fの圧縮の関数としての接着力プロファイルを示す図である。 基準構造体Fの一連の測定値を示す図である。ここで、接着力(F)、押圧力(F)、並びに前進及び除去からの遷移における標準化された接触面積(A/A)、250mNの力測定センサー、前進及び後退速度10μm/s、接触における保持時間なし、各測定間の待機時間は3分である。 ノッチ構造体Fの図20と同様の一連の測定値を示す図である。 角部構造体Fの図20と同様の一連の測定値を示す図である。 S字形構造体Fの図20と同様の一連の測定値を示す図である。 10%、25%、及び45%の圧縮の場合の構造体、すなわち、a)基準F、b)ノッチFの力変位図である。 10%、25%、及び45%の圧縮の場合の構造体、すなわち、a)角部F、b)S字形構造体Fの力変位図である。 10%、25%、及び45%の圧縮、a)基準F、b)ノッチF、250mNの力測定センサー、前進速度10μm/s、脱離速度5μm/s~500μm/sの場合の、接着力に対する脱離における速度の影響を示す図である。 10%、25%、及び45%の圧縮、a)角部F、b)S字形構造体F、250mNの力測定センサー、前進速度10μm/s、脱離速度5μm/s~500μm/sの場合の、接着力に対する脱離における速度の影響を示す図である。 表9に記載の角部の角度と接着力との間の依存関係に関連する一連の測定値を示す図である(各第1の縦棒:使用範囲内の接着力、各第2の縦棒:最大圧縮力、各第3の縦棒:剥離する圧縮率)。 表9に記載の角部寸法と接着力との間の依存関係に関連する一連の測定値を示す図である(各第1の縦棒:使用範囲内の接着力、各第2の縦棒:最大圧縮力、各第3の縦棒:剥離する圧縮率)。
製造
構造体は、3つのステップにおいて製造した。まず、2光子重合(2PP)によってポジ型構造体を製造し、その後、この構造体を、エラストマー(好ましくはシリコーン)を使用して型取り、ネガ型形状を形成した。最後に、更なるエラストマー(ポリウレタン又はシリコーン)を使用して、ポジ型構造体のこのネガ型形状から型を取った。
2光子重合(2PP)
基材の表面をプラズマ炉内で3分間にわたって活性化した。その後、試薬であるメタクリル酸3-(トリメトキシリル)プロピル(MPTS)を用いて、数滴の試薬を基材上に配置することによってシラン化を行った。60分後、エタノールによって試薬を洗い流し、基材を乾燥させた。
これらの構造体は、Nanoscribe社のPhotonic Professional GT又はGT2(PPGT又はPPGT2)を使用して描画した(written)。描画は、倍率10倍(NA0.3)、25倍(NA0.8)、及び63倍(NA1.4)のZeiss社製レンズを使用して行った。Nanoscribe社製フォトレジストIP-S、IP-Dip、IP-Q、IP-G 780を使用した。使用する基材は、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス(25×25×0.7)mm、又は酸化インジウムスズ(ITO)によってコーティングされたガラスとした。描画パラメーターは、構造体を、欠陥がなく、可能な限り正確に再現することができるように適合した。
例えば、描画は、IP-Sを伴ったITOコーティングガラスに対して、倍率25倍(NA0.8)のレンズを用いて、26mWのレーザー出力及び100000μm/sの描画スピードで行った。構造体の崩壊を防止するために、型取りには安定性が必要とされるため、構造体は固体の形態で描画した。
2PPを使用して製造される構造体は、未重合のフォトレジストが溶解するまで、溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1-メトキシ-2-プロピルアセテート(MPA))中で現像した。その後、MPA溶媒をイソプロパノールによって置換した。イソプロパノール溶媒中に留まっている描画した構造体を、UVランプを用いて窒素雰囲気下で5分間にわたって後重合させた。続いて、構造体をイソプロパノールから慎重に取り出し、濯ぎを行った。
ネガ型形状の製造
最初に、描画した構造体の表面をプラズマ炉内で1分間にわたって活性化した。続いて、試薬である(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリメトキシシランを数滴、構造体及び基材上に配置し、45分後にエタノールによって洗い流し、構造体を乾燥させた。
例えば、Koeraform A40(CHT Bezema社製)又はElastosil(商標)M4601(Wacker社製)のようなシリコンエラストマーを使用して、基材の型を取った。
ポジ型構造体の製造
モデルは、硬化の結果として接着する好適な基材(例えば、構造体のハンドリングに用いる金属釘)上に直接型取りすることができるか、又は硬化が起こった後に初めてホルダーに接着接合することができる。使用する材料は、特に、ショアA硬度80のPMC-780(Smooth-On社製)、ショアA硬度70のPMC-770(Smooth-On社製)といったポリウレタン(PU)、又は、Sylgard 184(Dow社製)、Silopren(商標)LSR 7060(Momentive社製)、若しくはKER-4690(Shin-Etsu社製)等のシリコーンを含むものとした。少量の材料を対応する型の上に慎重に配置した。次いで、この型を、減圧下で完全に充填するのに応じてカバーした。型取りして得られた構造体の特徴は、顕微鏡を用いて明らかにした。
製造された構造体
ピラーに影響を与える異なる特徴を有する構造体を製造した。特に、ノッチ、スロット、及び屈曲部を有する構造体、更には接触面積の意図的な変更のために端面(接触領域)に角部を有する変更を伴う構造体を製造した。製造された構造体の概要を対応する寸法とともに以下に示す。
表1は、タイプA1~A7の様々な構造体の寸法を示している。図1、図2、及び図3は、様々な構造体の顕微鏡写真及び三次元表現を示している。
表2は、個々の構造体のそれぞれの特徴を記している。
表3は、図4の構造体の寸法及び特徴を示している。
表4は、図5の製造された基準構造体の特徴を示している。
表5は、ノッチを有する様々な構造体を示している。それぞれの構造体の概略図及び断面図が図6によって示されている。ノッチの典型的な形状は、14.4μm(コラム直径の20%)、28.8μm(コラム半径の40%)の半径、又は楕円形のノッチ半径を有する半球である。ノッチの典型的な位置は、中央、接触領域(端面)付近、又はバッキング層付近であるが、座屈が起こる場所であることから中央が好ましい。
表6は、スロットを有する様々な構造体を示している。それぞれの構造体の概略図及び断面図が図7によって示されている。典型的な切込み角度は30度である。スロットの位置は、中央、接触領域(端面)付近、バッキング層付近のコラムの両側である。通例、1つ~3つのスロットが存在することができる。スロットは、内側及び/又は外側に配置することができる。
表7及び図8は、端面に角部を有するとともに、更なる構造的な特徴としてノッチを有する構造体を示している。図8に示されている断面図は、角部を有する上側領域を通る断面を示している。典型的な角部の角度は45度である。典型的な角部の寸法は、角部のない端面の直径の35%である(直径100μmの場合、35μm)。
図9は、S字形のタイプに製造された構造体を示している。屈曲部の典型的な半径は、コラム高さの略半分に対応する約134μmである。断面図内の数字は、ミリメートルに対応する。
図10は、それぞれ6本のコラムを有する構造体を示している。外側のコラムの中心点が位置する円の直径は、いずれも300μmである。表8に寸法が示されている。
図11は、角部Fに基づく構造体の異なる角部のパラメーター(表9におけるパラメーター)の定義を示している。
図12は、角部構造体G~Lのパラメーター(表9におけるパラメーター)及び概略図を示している。
表10は、異なる構造体の座屈挙動を示している。基準構造体A~Dは、常に外方に又は完全に座屈する。この結果は、構造体の特徴が座屈挙動、特に座屈方向(例えば、内側又は外側、すなわち、中心に対して内方又は外方)に影響を与えることを示している。スロットが接触領域に非常に近い場合(スロットD)のみ、構造体は外方に座屈しない。2つ以上の異なる特徴(内側角部、内側ノッチ)を有する構造体の場合、構造体A~Cの場合では角部が座屈挙動を左右する。より大きな直径を有するノッチ(D)又は楕円形ノッチ(E)の場合のみ、ノッチが座屈挙動を左右する。このことは、ノッチの半径がこの影響を決定付けることを示している。スロットが接触領域の近傍にある場合、不規則表面に対する構造体の適合性を増すことが可能となり得る。
図13は、様々な構造体の座屈時の画像を示している。基準構造体Aは、予測不能に座屈する。この方向は、基材に対する構造体の向き及び構造体の品質等の影響因子によって決まる。ノッチ構造体Aは、予期どおり構造体の中心点に対して外方に座屈する。これにより、接着に利用可能な端面の接触面積が低減する。より大きなノッチ半径を有するノッチ構造体Bは、より一層大きく座屈する。これにより、接触面積がより一層大きく低減する。接着は、より一層大きく弱まる。S字形構造体Aは、既定の形状に従って外方に座屈する。
オフセットしたキャップ(内側又は外側)を有するノッチ構造体の座屈挙動は、常にノッチによって左右される。
2×3構成の構造体も、ノッチの配置に応じて選択的に外方に座屈する。
構造体Fについて、x方向における傾斜が接着力及び座屈挙動に及ぼす影響を測定した。全ての構造体について、最大3度の傾斜角で接着力が低下する。基準構造体Fは、傾斜方向に従って完全に一方向に座屈する。他の構造体(ノッチF、角部F、及びS字形構造体F)は、常に中心に対して外方に座屈する。接着力の減少は、ノッチ構造体の場合、他の構造体の場合よりも小さい(図14:接着力(F)、圧縮力(F))。
図15は、S字形構造体A1の湾曲が接着力に及ぼす影響を示している(図15のa)及びb))。同じ接触面積の場合、曲がった構造体(A1)では、同等の押圧力でより低い接着力が測定される。これは、軽量の部品の脱離に有利である。
図16から、構造体A2は、構造体A1と比較して変化した力変位プロファイルを有することが明らかである。構造体A1の場合、コラムの座屈による力の低下(押圧力の低下)は生じない。
同様の結果が、図4の構造体の場合に測定された。接着力は、10回のサイクルを経ても依然として一定である。さらに、構造体において未だ座屈が起こっていなければ、脱離速度の増大に伴って接着力も上昇する。
図17は、ノッチ半径が押圧力に及ぼす影響を示している。ノッチ半径が増大するにつれて、コラムの座屈はより早期に起こり、最大押圧力が低減する。このことは、自動化動作にとって利点であり、結果として、繊細な部品へと精密に前進させる必要がなくなる。
図18は、15%の圧縮における接着力の低減を示している(見た目は座屈しているが、接触面積の損失はない)。したがって、接着力は、5mNの押圧力で20%~50%低下させることができるが、基準Aの場合は約15%しか低下することができない(図18)。接着力は、脱離速度(5μm/s~100μm/s)の増大に伴い、30%~40%増大する。座屈のない状態では、保持時間(0秒~10秒)は、接着力に影響を与えない。15%の圧縮では、保持時間(0秒~10秒)も同様に接着力に影響を与えない。
図19は、圧縮の関数としての典型的な接着力プロファイルを示している。圧縮が増大するとともに、上部の平坦域と、力の低下と、下部の平坦域と、更なる力の低下とが見て取れる。接着力の低減には、構造体を25%圧縮することが特に好ましい。これにより、繊細な物体の脱離も可能になる。第1の平坦部は、座屈の効果である。第2の平坦部では、コラムが粘弾性的に大きく変形し、したがって、除去の際に、接触領域が完全に接触をもたらすことができなくなり、結果として、接着力が低減する。
図20は、基準構造体Fについて、異なる押圧力(2.5%の圧縮~45%の圧縮)における接着力を確定する一連の測定値を示している。各圧縮について、新たに測定を行い、これに関して、前進と除去との間の遷移における接着力F、押圧力F、及び接触面積を評価した。ここで、FH,Ptは、25%の圧縮における接着力を表し、FH,maxは、最大接着力を表し、κは、圧縮率を表す。
見た目上の座屈は、z≒7.5%で生じ、構造体の剥離による接触面積の低減は、z≒18.75%で生じる。可能な最大圧縮力は、FP,max≒33.3mNであり、圧縮率がκ(FP,max)≒19.25%のときに得られる。最大接着力は、FH,max≒13.3mNであり、圧縮率がκ(FH,max)≒12.5%のときに得られる。接触面積は、77.6%の最大値(Amin≒22.4%)での座屈及び剥離の結果として減少する。百分率基準で、接着力は、座屈によって最大接着力に対してFH,min=44%まで低下することができる。
図21は、ノッチ構造体Fについて、異なる押圧力(2.5%の圧縮~45%の圧縮)における接着力を確定する一連の測定値を示している。各圧縮について、新たに測定を行い、これに関して、前進と除去との間の遷移における接着力F、押圧力F、及び接触面積を評価した。
見た目上の座屈は、z≒9.25%で生じる。剥離の開始は、z≒18.5%において起こる。可能な最大圧縮力は、FP,max≒27.6mNであり、圧縮率がκ(FP,max)≒19.0%のときに得られる。最大接着力は、FH,max≒10.8mNであり、圧縮率がκ(FH,max)≒6.25%のときに得られる。接触面積は、81.7%の最大値(Amin≒18.3%)での座屈及び剥離の結果として減少する。百分率基準で、接着力は、座屈によって最大接着力に対してFH,min=45.8%まで低下することができる。
基準構造体と比較して、より早期の座屈は観察されなかった。低減された圧縮力及び低減された接着力が測定された。
図22は、角部構造体Fについて、異なる押圧力(2.5%の圧縮~45%の圧縮)における接着力を確定する一連の測定値を示している。各圧縮について、新たに測定を行い、これに関して、前進と除去との間の遷移における接着力F、押圧力F、及び接触面積を評価した。
見た目上の座屈は、z≒4.75%で生じる。剥離の開始は、z≒12.5%において起こる。可能な最大圧縮力は、FP,max≒21.9mNであり、圧縮率がκ(FP,max)≒15.75%のときに得られる。最大接着力は、FH,max≒6.1mNであり、圧縮率がκ(FH,max)≒11.75%のときに得られる。百分率基準で、接着力は、座屈によって最大接着力に対してFH,min=54.2%まで低下することができる。接触面積は、zKFW,A≒13.0%からzKFW,Ω≒22.5%の圧縮範囲内で切り替わる。接触面積は、48.1%の最大値(Amin≒51.9%)だけ減少する。
構造体は早期に座屈する。使用範囲内の圧縮力は、約35%低減する。使用範囲内の接着力は、約50%低減する。
図23は、S字形構造体Fについて、異なる押圧力(2.5%の圧縮~45%の圧縮)における接着力を確定する一連の測定値を示している。各圧縮について、新たに測定を行い、これに関して、前進と除去との間の遷移における接着力F、押圧力F、及び接触面積を評価した。
見た目上の座屈は、z≒3.75%の圧縮で生じる。剥離の開始は、z≒10.5%の圧縮において起こる。可能な最大圧縮力は、FP,max≒14.3mNであり、圧縮率がκ(FP,max)≒22.5%のときに得られる。最大接着力は、FH,max≒8.8mNであり、圧縮率がκ(FH,max)≒10.0%のときに得られる。接触面積は、81%の最大値(Amin≒19.0%)での座屈及び剥離の結果として減少する。百分率基準で、接着力は、座屈によって最大接着力に対してFH,min=4.5%まで低下することができる。
基準構造体と比較して、構造体は早期に座屈する。圧縮力は、使用範囲内で約55%低減する。使用範囲内の接着力は、約40%低減する。
図24及び図25は、様々な構造体の力変位図を示している。
図26及び図27は、接着力と脱離速度との間の依存関係を示している。
図28は、構造体の角部の角度を15度から60度まで変化させた一連の測定値を示している。角部の寸法は、一定に維持した(表9)。角部の角度が大きいことは、この場合、最低値の圧縮で座屈が始まり、最大圧縮力が最低となり、接着力の低下が最大となるため、最も有利である。しかしながら、この一連の測定値からの最良の構造体、すなわち、構造体Iは、構造体Fと比較して大幅な向上を呈しない。
図29は、構造体の角部の寸法を25μmから55μmまで変化させた一連の測定値を示している。角部の角度は、一定に維持した(表9)。角部の寸法がピラーの直径の35%~45%の範囲であると、ここでは、最低値の圧縮で座屈が始まり、最大圧縮力が最低となり、接着力の低下が最大となるため、最も有利である。この一連の測定値からの最良の構造体、すなわち、構造体Kは、構造体Fと比較して再び向上を示す。
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Claims (8)

  1. 構造化表面を有する成形体であって、前記構造化表面の構造は、複数のピラーを含み、前記複数のピラーは、少なくとも1つのステムと、前記表面とは反対を向く少なくとも1つの端面とをそれぞれ有し、少なくとも1つのピラーは、少なくとも1つの構造的特徴を有し、前記構造的特徴は、前記ピラーに負荷を与えた際の指向性の変形をもたらすことを特徴とする、成形体。
  2. 前記少なくとも1つの構造的特徴は、前記ピラーの基本形状に対する凹部及び/又は隆起部であることを特徴とする、請求項1に記載の成形体。
  3. 前記少なくとも1つの構造的特徴は、前記ピラーの片側に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の成形体。
  4. 少なくとも1つの構造的特徴は、凹部であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の成形体。
  5. 少なくとも1つの構造的特徴は、前記ピラーの前記端面の部分を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の成形体。
  6. 少なくとも1つの構造的特徴は、屈曲部であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の成形体。
  7. 前記構造的特徴は、前記変形の側方力が互いに打ち消されるように個々の前記ピラーに配置されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の成形体。
  8. 制御された接着に用いる、請求項1~7のいずれか1項に記載の成形体の使用。
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