JP2021020332A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インプリントプロセスによる成形体の製造において、成形体に意図せぬ「シワ」を生じにくくすること。【解決手段】加熱された被転写材を、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の転写面に押し当てる押圧工程を含み、被転写材は、加熱により軟化する性質を有し、押圧工程においては、被転写材の金型とは反対側の面に、静摩擦係数が10以下の低摩擦部材(好ましくは樹脂フィルム)が接している、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、成形体の製造方法に関する。より具体的には、いわゆるインプリントプロセスによる成形体の製造方法に関する。
いわゆる「インプリントプロセス」により、微細凹凸構造を有する成形体を製造する方法が知られている。
インプリントプロセスの流れは、例えば以下の通りである。
(1)まず、樹脂材料を加熱して軟化させる。
(2)次に、その軟化した樹脂を、金型表面に設けられた微細構造を有する転写面に押し当て加圧成形する。
(3)そのまま(加圧が維持されたまま)樹脂を冷却する。
(4)樹脂が冷えた後、金型から樹脂を離型することで、金型の転写面の微細構造が転写された樹脂成形体を得る。
先行技術の一例として、特許文献1には、インプリントプロセスにより、半硬化の状態のドライフィルムに、成形型を加熱された状態で押圧し、押圧後に冷却して、成形型の凹凸の形状が反転して転写されたフレネルレンズを形成する方法が開示されている。
別の先行技術の例として、特許文献2には、インプリントプロセスにより、液体試料検査キットに用いられる凹部微細構造を有する膜担体を形成する方法が開示されている。
国際公開第2012/043573号 国際公開第2016/098740号
本発明者は、インプリントプロセスの改良検討を行う中で、インプリントプロセスにより微細凹凸構造を有する成形体を製造する際に、成形体に意図せぬ「シワ」が生じ、所望の成形体が得られない場合があることを見出した。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、インプリントプロセスによる成形体の製造において、成形体に意図せぬ「シワ」を生じにくくすることである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
加熱された被転写材を、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の前記転写面に押し当てる押圧工程を含み、
前記被転写材は、加熱により軟化する性質を有し、
前記押圧工程においては、前記被転写材の前記金型とは反対側の面に、静摩擦係数が10以下の低摩擦部材が接している、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法
が提供される。
本発明によれば、インプリントプロセスによる成形体の製造において、成形体に意図せぬ「シワ」が生じにくくなる。
成形体の製造方法について説明するための図である。 成形体の製造方法について説明するための図である。 「金型」について説明するための模式図である。 実施例および比較例におけるシワの状態を可視化したものである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「x〜y」との表記は、特に断らない限り、x以上y以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<成形体の製造方法>
図1のI.〜III.および図2は、本実施形態の成形体の製造方法について説明するための模式的な図である。より具体的には、図1のI.〜III.および図2は、本実施形態の成形体の製造方法を行うための「装置」やその動作、手順などを示す概略断面図ということができる。図1のI.〜III.および図2で説明されるような手順により、微細凹凸構造を有する成形体を製造することができる。
図1のI.において、被転写材20は、シリコンウェハ33および低摩擦部材15を介してプレス上板31に設置されている。低摩擦部材15はシリコンウェハ33と被転写材20との間に存在する。シリコンウェハ33はプレス上板31と低摩擦部材15との間に存在する。
被転写材20は、加熱により軟化する性質を有する。
低摩擦部材15の表面(被転写材20と接する面)の静摩擦係数は、10以下である。
念のため述べておくと、プレス上板31の下面、シリコンウェハ33の両面、低摩擦部材15の両面、および、被転写材20の少なくとも上面が、十分に平坦であれば、図1のI.のように、シリコンウェハ33、低摩擦部材15および被転写材20が重力により「下に落ちない」ようにすることができる(各部材の間に空気が入らないため)。もちろん、これらのうち一部または全部は、何らかの手段により、落下しないように物理的に固定されてもよい。
図1のI.において、金型10は、シリコンウェハ34を介してプレス下板32に設置されている。
図1のI.において、金型10の転写面10a(微細凹凸構造が設けられている)は、被転写材20の表面20aと向かい合っている。
図1のI.において、プレス上板31及びプレス下板32は、金型10の転写面10aに、被転写材20の表面20aを押し当てることができるものである。
通常、プレス上板31およびプレス下板32の少なくとも一方(好ましくは両方)は、加熱手段を内蔵している。加熱手段により、金型10や被転写材20などを加熱できるようになっている。そして、金型10および/または被転写材20を加熱しながら押圧できるようになっている。
なお、被転写材20および低摩擦部材15の配置位置は、図1のI.のようなプレス上板31の側ではなく、図2のように、プレス下板32の側であってもよい。つまり、プレス下板32の上面に、シリコンウェハ34、金型10、被転写材20および低摩擦部材15がこの順に重ねられてもよい。
図1のII.は、図1のI.または図2の状態を変化させて、加熱されて軟化した被転写材20を、金型10の転写面10aに押し当てている状態(押圧工程)を模式的に表した図である。
被転写材20は、加熱により軟化しているため、金型10の転写面10aに押し当てられることで塑性変形する。そして、被転写材20には、転写面10aの微細凹凸構造が転写される。
この際、被転写材20の、金型10とは反対側の面に、低摩擦部材15が接していることにより、被転写材20にシワが発生することが抑えられる。この推定メカニズムについては以下のように説明される(以下説明により本発明が限定されるものではない)。
被転写材20が加熱された際、被転写材20は「膨張」し、「たわみ」「ゆがみ」等が生じると推測される。その「たわみ」「ゆがみ」等がある被転写材20を転写面10aに押し当てると、「たわみ」「ゆがみ」に起因して、被転写材20にシワが発生してしまうと推測される。
しかし、被転写材20の、金型10とは反対側の面に、低摩擦部材15が接しているならば、低摩擦部材15の「低摩擦性」により、被転写材20の「たわみ」「ゆがみ」がうまく逃がされて、シワが生じにくくなると推測される。
被転写材20を加熱する方法やタイミングについては、被転写材20に転写面10aの微細凹凸構造が転写される限り、特に限定されない。
被転写材20を加熱する方法について具体的には、(i)プレス上板31に内蔵された加熱手段を用いて被転写材20を加熱する方法、(ii)プレス下板32に内蔵された加熱手段を用いて金型10を加熱しておき、被転写材20の押圧時に被転写材20に熱を伝える方法、(iii)上記(i)と(ii)の併用、つまり、プレス上板31とプレス下板32の「両方」を利用する方法、などが挙げられる。
(iii)の場合、プレス上板31による加熱の温度と、プレス下板32による加熱の温度は同じであっても異なっていてもよい。例えば、プレス上板31による加熱の温度を、被転写材20のガラス転移温度以下とし、プレス下板32による加熱の温度を、被転写材20のガラス転移温度以上とすることが考えられる。こうすることで、押圧工程前の被転写材20の「たわみ」「ゆがみ」発生を抑えつつ、押圧後速やかに被転写材20を変形させて微細凹凸構造を転写することができる。
被転写材20や金型10を加熱するタイミング(加熱開始のタイミング)については、(i)押圧の前(図1のI.または図2の段階)から加熱を開始してもよいし、(ii)転写面10aに被転写材20を押し当てた後、または転写面10aに被転写材20を押し当てたと同時に、加熱を開始してもよい。(i)のタイミングのほうが、工業的生産性などの点で好ましい。
図1のIII.は、図1のII.の押圧工程の後に、金型10から被転写材20(微細凹凸構造が転写されている)を離型する離型工程を模式的に表した図である。図1のIII.において、被転写材20および金型10以外の構成要素の記載は省略されている。
離型工程は、通常、押圧工程の後、被転写材20が十分に冷えてから行われる。被転写材20を冷やす方法は特に限定されない。例えば、大気下で放置しておく方法であってもよいし、風を当てる方法であってもよい。
以上、図1のI.〜III.および図2で説明されるような手順により、微細凹凸構造を有する成形体を製造することができる。特に、押圧工程において、被転写材20の金型10とは反対側の面に、低摩擦部材15が接していることにより、成形体にシワが生じることが抑えられる。
本実施形態の成形体の製造方法の「概要」は以上のとおりである。
以下、本実施形態の成形体の製造方法についてより具体的な説明を加える。
(被転写材)
被転写材20は、加熱により軟化する性質を有し、金型10の転写面10aに押圧することで微細凹凸構造を形成可能なものである限り、任意の素材、形状等であることができる。
被転写材20は、好ましくは第一の樹脂フィルムである(低摩擦部材15も「樹脂フィルム」である場合があるため、「第一の」樹脂フィルムと表記して区別している)。被転写材20がフィルム状であることにより、押圧工程の際に被転写材20に均一に圧力をかけやすく、寸法精度が良好な成形体を製造しやすい。
被転写材20は、通常、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含む。離型工程における離型しやすさ、製造される成形体のその後の加工しやすさ等を考慮すると、被転写材20は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
被転写材20は、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリノルボルネン、ポリエチレンテレフタレート等を含むことができる。これらは通常は熱可塑性樹脂に分類される。
別観点として、被転写材20は、非晶性の樹脂を含むことが好ましい。非晶性の材料は、成形温度幅が広いため成形性が良好であり、寸法安定性の向上に効果的である。非晶性の樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリロニトリル・スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などが挙げられる。
被転写材20は、1種のみの樹脂を含んでもよいし、2種以上の樹脂を含んでもよい。
被転写材20は、特に、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびポリスチレンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含むことが好ましい。とりわけ、ポリシクロオレフィンが、良好な離型性の点から好ましい。加えて、ポリシクロオレフィンは、成形体を後述する成形体の用途(バイオチップ等)に適用する際の光学特性の点で好ましい。
被転写材20のガラス転移温度Tgは、典型的には50〜300℃、好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは70〜200℃である。
ガラス転移温度としては、例えば、被転写材20を動的粘弾性測定したときの、貯蔵弾性率の下がり始めの変曲点の温度を採用することができる。動的粘弾性測定の測定モードはせん断モード、周波数は1Hz、昇温速度は5℃/分とすることができる。
被転写材20が第一の樹脂フィルムである場合、その厚みは、0.01〜10mmが好ましく、0.02〜5mmがより好ましく、0.04〜2mmがさらに好ましい。
被転写材20の厚さを0.01mm以上にすることにより、被転写材20にシワが発生することを一層抑制することができる。また、被転写材の厚さを10mm以下にすることにより、被転写材20の冷却性が高まり、製造効率化/製造時間短縮などを図ることができる。
被転写材20については、合成樹脂メーカ、フィルムメーカなどから入手可能な市販品を用いることができる。
(金型)
図3は、図1における金型10について説明するための模式図である。具体的には、図2A.は、金型10の転写面10aを示す上面図である。また、図2B.は、金型10のX−X縦断面図である。
金型10の転写面10aは、通常、複数の凸部を有している。個々の凸部の形状は、例えば、柱状、錐状、半球状、これら形状の角部を面取りした形状、各形状同士を連結した形状、各形状同士を合成した形状などであることができる。ここでの「柱状」は、円柱状や四角柱状などを含む。
また、転写面10aは、ストライプ状の凹凸の微細構造を有するものであってもよい。
金型10は、Ni電鋳モールドであることが好ましい。別の言い方として、金型10の少なくとも転写面10aは、Ni電鋳処理されたものであることが好ましい。Ni電鋳モールドは、耐摩耗性などの点で好ましい。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部のピッチ(図3A.におけるp)は、例えば0.02〜6000μm、具体的には0.04〜4000μm、より具体的には0.06〜2000μmである。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部が円柱状である場合、円柱の直径(図3A.におけるd)は、例えば0.1〜3000μm、具体的には0.2〜2000μm、より具体的には0.3〜1000μmである。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部の高さ(図3B.におけるh)は、例えば0.01〜3000μm、具体的には0.02〜2000μm、より具体的には0.03〜1000μmである。
金型10は、公知の製造方法により製造することができる。
(低摩擦部材)
低摩擦部材15の材質、形状等は、成形体にシワが生じにくくなる効果が得られる限り、特に限定されない。
低摩擦部材15は、好ましくは、第二の樹脂フィルムである(被転写材20も「樹脂フィルム」である場合があるため、「第二の」樹脂フィルムと表記して区別している)。
低摩擦部材15が第二の樹脂フィルムである場合、その厚みは、1〜1000μmが好ましく、10〜800μmがより好ましく、20〜500μmがさらに好ましい。
低摩擦部材15は、好ましくは、ポリイミド、ポリエステルおよびポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含む。これら樹脂の1または2以上を低摩擦部材15の素材として採用することで、低摩擦部材15の摩擦係数を小さくしやすい。また、これら樹脂は、比較的高耐熱性であるため、押圧工程において低摩擦部材15が変形してしまう事態を避けやすい。また、高耐熱性であるため、繰返し使用の点でも好ましい。
ちなみに、低摩擦部材15の変形を確実に避ける点では、被転写材20のガラス転移温度<押圧工程時の温度<低摩擦部材のガラス転移温度となるように、押圧工程時の温度を調整したり、各部材について適切なガラス転移温度を有するものを選択したりすることが好ましい。
低摩擦部材15の静摩擦係数(正確には、低摩擦部材15の、被転写材20と接する面の静摩擦係数)は、10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。
静摩擦係数の下限は特になく、基本的には静摩擦係数が小さいほど成形体にシワは生じにくくなる。ただし、現実的な観点から、静摩擦係数は例えば0.01以上、具体的には0.1以上である。
静摩擦係数は、被転写材20(例えばポリシクロオレフィンの樹脂フィルム)と低摩擦部材15とを重ね合わせ、JIS K 7125に準じ、200gの負荷をかけた状態で、100mm/minの速度にて摩擦試験を実施することにより求めることができる。このときの測定環境は、23℃、50%RHに設定されることが好ましい。
低摩擦部材15については、合成樹脂メーカ、フィルムメーカなどから入手可能な市販品(フィルム)の中から、静摩擦係数が10以下のものを選択して用いることができる。
(シリコンウェハ)
図1のI.やII.において、シリコンウェハ33は、通常、プレス上板31の損傷を抑えるために用いられる。また、シリコンウェハ34は、通常、プレス下板32の損傷を抑えるために用いられる。つまり、シリコンウェハ33およびシリコンウェハ34は、成形体の製造に「必須」ではない。しかし、プレス上板31およびプレス下板32の損傷を抑えて装置の寿命を延ばす等の目的で、シリコンウェハ33やシリコンウェハ34は用いられることが好ましい。また、シリコンウェハを介して押圧工程を行うことで、プレス上板31やプレス下板32の表面に凹凸が存在する場合であっても、押圧力を均一にしやすいということも言える。
シリコンウェハ33およびシリコンウェハ34については、市場で入手可能なものを適宜用いることができる。
ちなみに、プレス上板31/プレス下板32の損傷を抑えるという点では、シリコン以外の適当な素材による、何らかの「当て板」が用いられてもよい。本実施形態では、市場で比較的容易に入手可能な、平面性の高い板材として、シリコンウェハを用いている。
(押圧工程における圧力、温度等)
押圧工程における圧力は、被転写材20を十分に変形させる観点と、金型10の損傷防止の観点から、好ましくは0.1〜50MPa、より好ましくは1〜20MPaである。圧力は、プレス上板31およびプレス下板32によるプレス圧を変更することで調整することができる。
押圧工程において被転写材20が熱せられる温度は、被転写材20が十分に軟化する限り特に限定されない。被転写材20の素材、軟化点、ガラス転移温度などを踏まえて適当な加熱温度を設定すればよい。
押圧工程において、被転写材20の、少なくとも転写面10aに押し当てられている面は、典型的には50〜300℃、好ましくは60〜250℃、より好ましくは80〜200℃に熱せられる。より具体的には、被転写材20がポリシクロオレフィンを含む場合、被転写材20は、好ましくは100〜180℃に熱せられる。
別観点として、押圧工程において被転写材20の転写面10aに押し当てられている面が熱せられる温度は、(i)被転写材20のガラス転移温度よりも若干高いこと、かつ、(ii)被転写材20のガラス転移温度に比べて高すぎないことが好ましい。(i)により、押圧で被転写材20が十分に変形し、転写面10aに忠実な微細凹凸構造を有する成形体を製造しやすい。また、(ii)により、被転写材20が軟らかくなりすぎることが抑えられ、被転写材20の意図せぬ変形等が抑えられる。
具体的には、押圧工程において被転写材20の転写面10aに押し当てられている面が熱せられる温度をT(℃)とし、被転写材20のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、式「Tg+5℃≦T≦Tg+60℃」の関係を充足することが好ましく、式「Tg+10℃≦T≦Tg+50℃」の関係を充足することがより好ましく、式「Tg+15℃≦T≦Tg+40℃」の関係を充足することが特に好ましい。
ガラス転移温度としては、例えば、被転写材20を動的粘弾性測定したときの、貯蔵弾性率の下がり始めの変曲点の温度を採用することができる。動的粘弾性測定の測定モードはせん断モード、周波数は1Hz、昇温速度は5℃/分とすることができる。
押圧工程において温度が安定した状態における「被転写材20の転写面10aに押し当てられている面が熱せられる温度」は、通常、金型10の温度と同じと見做すことができる。特に、被転写材20が第一の樹脂フィルムである場合(つまり、被転写材20が薄い場合)には、押圧工程において、被転写材20の温度は速やかに金型10の温度に到達すると考えられる。
(製造された成形体の用途)
上述のようにして得られた微細凹凸構造を有する成形体の用途は、特に限定されない。
用途の例として、バイオチップ等が挙げられる。すなわち、成形体の凹部部分(転写面10aの凸部に相当)に、特異抗体などの認識物質を固定することで、バイオチップを得ることができる。
バイオチップの具体的態様については、例えば特開2015−49161号公報、特開2015−49162号公報などを参照することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<準備>
金型、被転写材、低摩擦部材およびシリコンウェハとして、それぞれ以下を準備した。
(金型)
図2に示されるような、転写面に円柱状の凸部が設けられたNi電鋳モールドを準備した。
円柱状の凸部の直径(図2のd)は10μm、高さ(図2のh)は10μm、ピッチ(図2のp)は20μmであった。
(被転写材)
以下の「COP」を用いた。
・COP:ポリシクロオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製ゼオノアフィルムZF−14、厚
さ:0.19mm、ガラス転移温度:136℃)
なお、ガラス転移温度については、以下条件の動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率(G')の下がり始めの変曲点からガラス転移温度を求めた。
・測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製ARES−2KFRTN1−FCO−HR
・サンプルサイズ:パラレルプレートφ25mm、ギャップ2mm
・測定温度範囲:100〜180℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
・モード:せん断モード
(低摩擦部材、または、比較用の摩擦係数が大きい部材)
・PI(ポリイミド)、125μm厚、静摩擦係数0.35
・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、500μm厚、静摩擦係数0.59
・PET(ポリエチレンテレフタレート)、100μm厚、静摩擦係数0.44
・PC(ポリカーボネート)、300μm厚、静摩擦係数10.41(比較用)
・PES(ポリエーテルサルフォン)、200μm厚、静摩擦係数14.49(比較用)
なお、低摩擦部材の静摩擦係数は、前述のように、被転写材(COP)と各低摩擦部材とを重ね合わせ、JIS K 7125に準じ、200gの負荷をかけた状態で、100mm/minの速度にて摩擦試験を実施することにより求めた。測定環境は、23℃、50%RHに設定した。
各低摩擦部材において、3回の測定を実施し、得られた3つの値の平均を静摩擦係数として採用した。
(シリコンウェハ)
市販の6インチシリコンウェハ
<実施例1:成形体の製造>
以下手順で行った。
(1)図2に示されるように、プレス上板とプレス下板(加熱手段を内蔵する)との間に、金型、被転写材、低摩擦部材であるPIおよびシリコンウェハを配置した。
(2)プレス下板の加熱手段を用いて、金型を155℃に加熱した(この加熱により、被転写材はそのガラス転移温度Tg以上に加熱された)。
(3)上記温度を維持したまま、プレス上板とプレス下板とにより、被転写材COPを金型の転写面に押し当て、4MPaの圧力で2分間押圧した。
(4)その後、同じ圧力で押圧したまま、金型および被転写材COPの温度を、135℃まで約3分間かけて冷却した。
(5)プレス上板を上げて、プレス下板の上にある金型と被転写材が一体となったものに、上から冷風を当て、被転写材を十分に(少なくともTg以下の温度に)冷却した。
(6)金型から被転写材COPを離型して、微細凹凸構造を有する成形体を得た。
<実施例2、3および比較例1、2:成形体の製造>
実施例2:低摩擦部材としてPIでなくPETを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
実施例3:低摩擦部材としてPIでなくPEEKを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
比較例1:低摩擦部材PIの代わりに、摩擦係数の大きいPCを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
比較例2:低摩擦部材PIの代わりに、摩擦係数の大きいPESを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
<目視によるシワの評価>
得られた成形体を目視で注意深く観察し、シワが全く確認されなかったものを○(良い)、1本でもシワが観察されたものを×(悪い)と評価した。評価結果を表1に示す。
表1より、微細凹凸構造を有する成形体を製造するにあたり、成形体に意図せぬ「シワ」が生じにくくなることが理解される。
<圧力測定フィルムによるシワの確認>
参考のため、圧力測定フィルム(富士フイルム株式会社のプレスケール(登録商標))により、シワの状態を可視化したものを図4に示す。
図4A.は、摩擦係数の大きいPESを用いた場合の、シワの状態を可視化したものである。矢印で示す部分に大きなシワが発生している。
図4B.は、低摩擦部材としてPEEKを用いた場合の、シワの状態を可視化したものである。目立ったシワは見られない。
10 金型
10a 転写面
15 低摩擦部材
20 被転写材
20a 表面(被転写材の表面)
31 プレス上板
32 プレス下板
33 シリコンウェハ
34 シリコンウェハ

Claims (10)

  1. 加熱された被転写材を、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の前記転写面に押し当てる押圧工程を含み、
    前記被転写材は、加熱により軟化する性質を有し、
    前記押圧工程においては、前記被転写材の前記金型とは反対側の面に、静摩擦係数が10以下の低摩擦部材が接している、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の成形体の製造方法であって、
    前記被転写材は、第一の樹脂フィルムである、成形体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の成形体の製造方法であって、
    前記被転写材は、熱可塑性樹脂を含む、成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記被転写材は、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびポリスチレンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含む、成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記低摩擦部材は、第二の樹脂フィルムである、成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記低摩擦部材は、ポリイミド、ポリエステルおよびポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含む、成形体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記押圧工程において、前記被転写材の前記転写面に押し当てられている面は、50〜300℃に加熱される、成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記金型は、Ni電鋳モールドである、成形体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記転写面に設けられた微細凹凸構造の凸部の高さは、0.01〜3000μmである、成形体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記押圧工程の後に、前記金型から前記被転写材を離型する離型工程を含む、成形体の製造方法。
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