JP2021020332A - 成形体の製造方法 - Google Patents
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- Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
Abstract
Description
インプリントプロセスの流れは、例えば以下の通りである。
(1)まず、樹脂材料を加熱して軟化させる。
(2)次に、その軟化した樹脂を、金型表面に設けられた微細構造を有する転写面に押し当て加圧成形する。
(3)そのまま(加圧が維持されたまま)樹脂を冷却する。
(4)樹脂が冷えた後、金型から樹脂を離型することで、金型の転写面の微細構造が転写された樹脂成形体を得る。
加熱された被転写材を、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の前記転写面に押し当てる押圧工程を含み、
前記被転写材は、加熱により軟化する性質を有し、
前記押圧工程においては、前記被転写材の前記金型とは反対側の面に、静摩擦係数が10以下の低摩擦部材が接している、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法
が提供される。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
図1のI.〜III.および図2は、本実施形態の成形体の製造方法について説明するための模式的な図である。より具体的には、図1のI.〜III.および図2は、本実施形態の成形体の製造方法を行うための「装置」やその動作、手順などを示す概略断面図ということができる。図1のI.〜III.および図2で説明されるような手順により、微細凹凸構造を有する成形体を製造することができる。
被転写材20は、加熱により軟化する性質を有する。
低摩擦部材15の表面(被転写材20と接する面)の静摩擦係数は、10以下である。
念のため述べておくと、プレス上板31の下面、シリコンウェハ33の両面、低摩擦部材15の両面、および、被転写材20の少なくとも上面が、十分に平坦であれば、図1のI.のように、シリコンウェハ33、低摩擦部材15および被転写材20が重力により「下に落ちない」ようにすることができる(各部材の間に空気が入らないため)。もちろん、これらのうち一部または全部は、何らかの手段により、落下しないように物理的に固定されてもよい。
図1のI.において、金型10の転写面10a(微細凹凸構造が設けられている)は、被転写材20の表面20aと向かい合っている。
通常、プレス上板31およびプレス下板32の少なくとも一方(好ましくは両方)は、加熱手段を内蔵している。加熱手段により、金型10や被転写材20などを加熱できるようになっている。そして、金型10および/または被転写材20を加熱しながら押圧できるようになっている。
被転写材20は、加熱により軟化しているため、金型10の転写面10aに押し当てられることで塑性変形する。そして、被転写材20には、転写面10aの微細凹凸構造が転写される。
被転写材20が加熱された際、被転写材20は「膨張」し、「たわみ」「ゆがみ」等が生じると推測される。その「たわみ」「ゆがみ」等がある被転写材20を転写面10aに押し当てると、「たわみ」「ゆがみ」に起因して、被転写材20にシワが発生してしまうと推測される。
しかし、被転写材20の、金型10とは反対側の面に、低摩擦部材15が接しているならば、低摩擦部材15の「低摩擦性」により、被転写材20の「たわみ」「ゆがみ」がうまく逃がされて、シワが生じにくくなると推測される。
(iii)の場合、プレス上板31による加熱の温度と、プレス下板32による加熱の温度は同じであっても異なっていてもよい。例えば、プレス上板31による加熱の温度を、被転写材20のガラス転移温度以下とし、プレス下板32による加熱の温度を、被転写材20のガラス転移温度以上とすることが考えられる。こうすることで、押圧工程前の被転写材20の「たわみ」「ゆがみ」発生を抑えつつ、押圧後速やかに被転写材20を変形させて微細凹凸構造を転写することができる。
離型工程は、通常、押圧工程の後、被転写材20が十分に冷えてから行われる。被転写材20を冷やす方法は特に限定されない。例えば、大気下で放置しておく方法であってもよいし、風を当てる方法であってもよい。
以下、本実施形態の成形体の製造方法についてより具体的な説明を加える。
被転写材20は、加熱により軟化する性質を有し、金型10の転写面10aに押圧することで微細凹凸構造を形成可能なものである限り、任意の素材、形状等であることができる。
別観点として、被転写材20は、非晶性の樹脂を含むことが好ましい。非晶性の材料は、成形温度幅が広いため成形性が良好であり、寸法安定性の向上に効果的である。非晶性の樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリロニトリル・スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などが挙げられる。
被転写材20は、1種のみの樹脂を含んでもよいし、2種以上の樹脂を含んでもよい。
ガラス転移温度としては、例えば、被転写材20を動的粘弾性測定したときの、貯蔵弾性率の下がり始めの変曲点の温度を採用することができる。動的粘弾性測定の測定モードはせん断モード、周波数は1Hz、昇温速度は5℃/分とすることができる。
被転写材20の厚さを0.01mm以上にすることにより、被転写材20にシワが発生することを一層抑制することができる。また、被転写材の厚さを10mm以下にすることにより、被転写材20の冷却性が高まり、製造効率化/製造時間短縮などを図ることができる。
図3は、図1における金型10について説明するための模式図である。具体的には、図2A.は、金型10の転写面10aを示す上面図である。また、図2B.は、金型10のX−X縦断面図である。
金型10の転写面10aは、通常、複数の凸部を有している。個々の凸部の形状は、例えば、柱状、錐状、半球状、これら形状の角部を面取りした形状、各形状同士を連結した形状、各形状同士を合成した形状などであることができる。ここでの「柱状」は、円柱状や四角柱状などを含む。
また、転写面10aは、ストライプ状の凹凸の微細構造を有するものであってもよい。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部が円柱状である場合、円柱の直径(図3A.におけるd)は、例えば0.1〜3000μm、具体的には0.2〜2000μm、より具体的には0.3〜1000μmである。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部の高さ(図3B.におけるh)は、例えば0.01〜3000μm、具体的には0.02〜2000μm、より具体的には0.03〜1000μmである。
低摩擦部材15の材質、形状等は、成形体にシワが生じにくくなる効果が得られる限り、特に限定されない。
低摩擦部材15が第二の樹脂フィルムである場合、その厚みは、1〜1000μmが好ましく、10〜800μmがより好ましく、20〜500μmがさらに好ましい。
ちなみに、低摩擦部材15の変形を確実に避ける点では、被転写材20のガラス転移温度<押圧工程時の温度<低摩擦部材のガラス転移温度となるように、押圧工程時の温度を調整したり、各部材について適切なガラス転移温度を有するものを選択したりすることが好ましい。
静摩擦係数の下限は特になく、基本的には静摩擦係数が小さいほど成形体にシワは生じにくくなる。ただし、現実的な観点から、静摩擦係数は例えば0.01以上、具体的には0.1以上である。
図1のI.やII.において、シリコンウェハ33は、通常、プレス上板31の損傷を抑えるために用いられる。また、シリコンウェハ34は、通常、プレス下板32の損傷を抑えるために用いられる。つまり、シリコンウェハ33およびシリコンウェハ34は、成形体の製造に「必須」ではない。しかし、プレス上板31およびプレス下板32の損傷を抑えて装置の寿命を延ばす等の目的で、シリコンウェハ33やシリコンウェハ34は用いられることが好ましい。また、シリコンウェハを介して押圧工程を行うことで、プレス上板31やプレス下板32の表面に凹凸が存在する場合であっても、押圧力を均一にしやすいということも言える。
シリコンウェハ33およびシリコンウェハ34については、市場で入手可能なものを適宜用いることができる。
押圧工程における圧力は、被転写材20を十分に変形させる観点と、金型10の損傷防止の観点から、好ましくは0.1〜50MPa、より好ましくは1〜20MPaである。圧力は、プレス上板31およびプレス下板32によるプレス圧を変更することで調整することができる。
具体的には、押圧工程において被転写材20の転写面10aに押し当てられている面が熱せられる温度をT(℃)とし、被転写材20のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、式「Tg+5℃≦T≦Tg+60℃」の関係を充足することが好ましく、式「Tg+10℃≦T0≦Tg+50℃」の関係を充足することがより好ましく、式「Tg+15℃≦T0≦Tg+40℃」の関係を充足することが特に好ましい。
上述のようにして得られた微細凹凸構造を有する成形体の用途は、特に限定されない。
用途の例として、バイオチップ等が挙げられる。すなわち、成形体の凹部部分(転写面10aの凸部に相当)に、特異抗体などの認識物質を固定することで、バイオチップを得ることができる。
バイオチップの具体的態様については、例えば特開2015−49161号公報、特開2015−49162号公報などを参照することができる。
金型、被転写材、低摩擦部材およびシリコンウェハとして、それぞれ以下を準備した。
図2に示されるような、転写面に円柱状の凸部が設けられたNi電鋳モールドを準備した。
円柱状の凸部の直径(図2のd)は10μm、高さ(図2のh)は10μm、ピッチ(図2のp)は20μmであった。
以下の「COP」を用いた。
・COP:ポリシクロオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製ゼオノアフィルムZF−14、厚
さ:0.19mm、ガラス転移温度:136℃)
・測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製ARES−2KFRTN1−FCO−HR
・サンプルサイズ:パラレルプレートφ25mm、ギャップ2mm
・測定温度範囲:100〜180℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
・モード:せん断モード
・PI(ポリイミド)、125μm厚、静摩擦係数0.35
・PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、500μm厚、静摩擦係数0.59
・PET(ポリエチレンテレフタレート)、100μm厚、静摩擦係数0.44
・PC(ポリカーボネート)、300μm厚、静摩擦係数10.41(比較用)
・PES(ポリエーテルサルフォン)、200μm厚、静摩擦係数14.49(比較用)
各低摩擦部材において、3回の測定を実施し、得られた3つの値の平均を静摩擦係数として採用した。
市販の6インチシリコンウェハ
以下手順で行った。
(1)図2に示されるように、プレス上板とプレス下板(加熱手段を内蔵する)との間に、金型、被転写材、低摩擦部材であるPIおよびシリコンウェハを配置した。
(2)プレス下板の加熱手段を用いて、金型を155℃に加熱した(この加熱により、被転写材はそのガラス転移温度Tg以上に加熱された)。
(3)上記温度を維持したまま、プレス上板とプレス下板とにより、被転写材COPを金型の転写面に押し当て、4MPaの圧力で2分間押圧した。
(4)その後、同じ圧力で押圧したまま、金型および被転写材COPの温度を、135℃まで約3分間かけて冷却した。
(5)プレス上板を上げて、プレス下板の上にある金型と被転写材が一体となったものに、上から冷風を当て、被転写材を十分に(少なくともTg以下の温度に)冷却した。
(6)金型から被転写材COPを離型して、微細凹凸構造を有する成形体を得た。
実施例2:低摩擦部材としてPIでなくPETを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
実施例3:低摩擦部材としてPIでなくPEEKを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
比較例1:低摩擦部材PIの代わりに、摩擦係数の大きいPCを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
比較例2:低摩擦部材PIの代わりに、摩擦係数の大きいPESを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
得られた成形体を目視で注意深く観察し、シワが全く確認されなかったものを○(良い)、1本でもシワが観察されたものを×(悪い)と評価した。評価結果を表1に示す。
参考のため、圧力測定フィルム(富士フイルム株式会社のプレスケール(登録商標))により、シワの状態を可視化したものを図4に示す。
図4A.は、摩擦係数の大きいPESを用いた場合の、シワの状態を可視化したものである。矢印で示す部分に大きなシワが発生している。
図4B.は、低摩擦部材としてPEEKを用いた場合の、シワの状態を可視化したものである。目立ったシワは見られない。
10a 転写面
15 低摩擦部材
20 被転写材
20a 表面(被転写材の表面)
31 プレス上板
32 プレス下板
33 シリコンウェハ
34 シリコンウェハ
Claims (10)
- 加熱された被転写材を、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の前記転写面に押し当てる押圧工程を含み、
前記被転写材は、加熱により軟化する性質を有し、
前記押圧工程においては、前記被転写材の前記金型とは反対側の面に、静摩擦係数が10以下の低摩擦部材が接している、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法。 - 請求項1に記載の成形体の製造方法であって、
前記被転写材は、第一の樹脂フィルムである、成形体の製造方法。 - 請求項1または2に記載の成形体の製造方法であって、
前記被転写材は、熱可塑性樹脂を含む、成形体の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
前記被転写材は、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびポリスチレンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含む、成形体の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
前記低摩擦部材は、第二の樹脂フィルムである、成形体の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
前記低摩擦部材は、ポリイミド、ポリエステルおよびポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含む、成形体の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
前記押圧工程において、前記被転写材の前記転写面に押し当てられている面は、50〜300℃に加熱される、成形体の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
前記金型は、Ni電鋳モールドである、成形体の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
前記転写面に設けられた微細凹凸構造の凸部の高さは、0.01〜3000μmである、成形体の製造方法。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
前記押圧工程の後に、前記金型から前記被転写材を離型する離型工程を含む、成形体の製造方法。
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