JP2021024140A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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剛 古川
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Abstract

【課題】インプリントプロセスによる成形体の製造において、成形体に意図せぬ「シワ」を生じにくくすること。【解決手段】樹脂を含む被転写材を、特定の温度以下の状態で、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の転写面に、0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てる低圧プレス工程と、その後、被転写材を転写面に0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てながら、被転写材の温度を特定温度以上とする昇温工程と、その後、被転写材の温度を特定温度以上に維持しながら、被転写材を転写面に0.5MPa以上の圧力で押し当てる高圧プレス工程と、を含む、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、成形体の製造方法に関する。より具体的には、いわゆるインプリントプロセスによる成形体の製造方法に関する。
いわゆる「インプリントプロセス」により、微細凹凸構造を有する成形体を製造する方法が知られている。
インプリントプロセスの流れは、例えば以下の通りである。
(1)まず、樹脂材料を加熱して軟化させる。
(2)次に、その軟化した樹脂を、金型表面に設けられた微細構造を有する転写面に押し当て加圧成形する。
(3)そのまま(加圧が維持されたまま)樹脂を冷却する。
(4)樹脂が冷えた後、金型から樹脂を離型することで、金型の転写面の微細構造が転写された樹脂成形体を得る。
先行技術の一例として、特許文献1には、インプリントプロセスにより、半硬化の状態のドライフィルムに、成形型を加熱された状態で押圧し、押圧後に冷却して、成形型の凹凸の形状が反転して転写されたフレネルレンズを形成する方法が開示されている。
別の先行技術の例として、特許文献2には、インプリントプロセスにより、液体試料検査キットに用いられる凹部微細構造を有する膜担体を形成する方法が開示されている。
国際公開第2012/043573号 国際公開第2016/098740号
本発明者は、インプリントプロセスの改良検討を行う中で、インプリントプロセスにより微細凹凸構造を有する成形体を製造する際に、成形体に意図せぬ「シワ」が生じ、所望の成形体が得られない場合があることを見出した。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、インプリントプロセスによる成形体の製造において、成形体に意図せぬ「シワ」を生じにくくすることである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させた。
本発明によれば、
樹脂を含みガラス転移温度がTg[℃]である被転写材を、Tg未満の状態で、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の前記転写面に、0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てる低圧プレス工程と、
前記低圧プレス工程の後、前記被転写材を前記転写面に0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てながら、前記被転写材の温度をTg[℃]以上とする昇温工程と、
前記昇温工程の後、前記被転写材の温度をTg[℃]以上に維持しながら、前記被転写材を前記転写面に0.5MPa以上の圧力で押し当てる高圧プレス工程と、
を含む、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法
が提供される。
本発明によれば、インプリントプロセスによる成形体の製造において、成形体に意図せぬ「シワ」が生じにくくなる。
成形体の製造方法について説明するための模式的な図である。 成形体の製造方法について説明するための模式的な図である。 成形体の製造方法について説明するための模式的な図である。 成形体の製造方法について説明するための模式的な図である。 図1、図2、図3および図4における「金型」について説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X〜Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
以下説明で、「図1」との表記は、特に断らない限り、図1のI.とII.とを包含する意味で用いられる。
<成形体の製造方法>
図1(I.およびII.)、図2、図3および図4は、本実施形態の成形体の製造方法について説明するための模式的な図である。より具体的には、図1、図2、図3および図4は、本実施形態の成形体の製造方法を行うための「装置」やその動作、手順などを示す概略断面図ということができる。図1、図2、図3および図4に示されるような手順により、意図せぬシワの発生が抑えられた、微細凹凸構造を有する成形体を製造することができる。
図1、図2、図3および図4のうち、特に図2が「低圧プレス工程」および「昇温工程」を説明するための図である。また、特に図3が「高圧プレス工程」を説明するための図である。さらに、特に図4が「離型工程」を説明するための図である。
図1は、「低圧プレス工程」を行う前の、装置や各部材の配置を表す図である(図1は、低圧プレス工程の前の「準備工程」の図であると言うこともできる)。
(図1:低圧プレス工程の前の準備)
図1のI.において、被転写材20は、シリコンウェハ33を介してプレス上板31に設置されている。シリコンウェハ33はプレス上板31と被転写材20との間に存在する。
被転写材20のガラス転移温度をTg[℃]とする。Tgは被転写材20の材質などによるが、例えば80〜180℃の範囲内にある。被転写材20は、通常、加熱により軟化する性質を有する。
念のため述べておくと、プレス上板31の下面、シリコンウェハ33の両面および被転写材20の少なくとも上面が、十分に平坦であれば、図1のように、シリコンウェハ33および被転写材20が重力により「下に落ちない」ようにすることができる(各部材の間に空気が入らないため)。もちろん、これらのうち一部または全部は、何らかの手段により、落下しないように物理的に固定されてもよい。
あるいは、被転写材20の配置位置は、図1のI.のようなプレス上板31の側ではなく、図1のII.のように、プレス下板32の側であってもよい。つまり、プレス下板32の上面に、シリコンウェハ34、金型10および被転写材20がこの順に重ねられてもよい。
図1において、金型10は、シリコンウェハ34を介してプレス下板32に設置されている。
図1において、金型10の転写面10a(微細凹凸構造が設けられている)は、被転写材20の表面20aと向かい合っている。
図1において、プレス上板31及びプレス下板32は、金型10の転写面10aに、被転写材20の表面20aを押し当てることができるものである。
通常、プレス上板31およびプレス下板32の少なくとも一方(好ましくは両方)は、加熱手段を内蔵している。加熱手段により、金型10や被転写材20などを加熱できるようになっている。そして、金型10および/または被転写材20を加熱しながら押圧できるようになっている。
(図2:低圧プレス工程および昇温工程)
図2は、図1の状態を変化させて、被転写材20を、金型10の転写面10aに、0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てる工程(低圧プレス工程)、および、その後、被転写材20を転写面10aに0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てながら、被転写材20の温度を特定温度以上とする工程(昇温工程)を説明するための図である。
低圧プレス工程と昇温工程とは、好ましくは連続的に行われる。「連続的」とは、低圧プレス工程と昇温工程との間で、押圧が一時的に解除されて被転写材20と転写面10aとが離れることがない、ということを意味する。
低圧プレス工程においては、被転写材20の温度がTg未満の状態にある。製造の短時間化の観点では、低圧プレス工程における被転写材20の温度は、Tg未満ではあるがTgにできるだけ近いことが好ましい。具体的には、低圧プレス工程における被転写材20の温度は、Tg−5[℃]以上、Tg−0.1[℃]以下であることが好ましい。
別の態様として、後述する「固定」の効果を特に得る観点では、低圧プレス工程における被転写材20の温度は、Tg−50[℃]以下、好ましくはTg−60[℃]以下、より好ましくはTg−70[℃]以下である。これの下限については、例えばTg−110[℃]以上である。
さらに別の態様として、低圧プレス工程における被転写材20の温度は、136℃未満、好ましくは135℃以下である。下限については、例えば室温以上、好ましくは30[℃]以上である。この温度設定は、特に、被転写材20としてポリシクロオレフィンを用いる場合に好ましく適用される。
一態様として、昇温工程では、被転写材20の温度は、Tg[℃]以上、好ましくはTg+5[℃]以上、より好ましくはTg+10[℃]以上となるまで昇温される。これの上限については、例えばTg+100[℃]以下である。
別の態様として、昇温工程では、被転写材20の温度は、136[℃]以上、好ましくは140[℃]以上、より好ましくは150[℃]以上となるまで昇温される。これの上限については、例えば250[℃]以下である。
被転写材20の温度は、例えば、プレス上板31および/またはプレス下板32に内蔵された加熱手段により調節することができる。
低圧プレス工程においては、被転写材20が軟化するよりも低い温度(例えば、Tg[℃]未満または136[℃]未満)の被転写材20を、転写面10aに、比較的小さい圧力で押し当てておく。その後、比較的小さい圧力での押圧を維持しながら昇温工程を行い、そしてさらに後述の高圧プレス工程を行う。
このような一連の工程中の特に昇温工程においては、被転写材20の「熱膨張」が不可避的に生じる。しかし、転写面10aにより押圧された状態で被転写材20が加熱される(別の言い方として、被転写材20が、転写面10aにより「固定された状態」で加熱される)ため、熱膨張による「たわみ」や「ゆがみ」が特定箇所に集中することが抑えられると推測される。
そして、「たわみ」や「ゆがみ」が抑えられた状態で高圧プレス工程が行われることで、成形体に意図せぬ「シワ」が生じにくくなると推測される。
上述のとおり、低圧プレス工程における圧力は、0.01MPa以上0.5MPa未満であればよい。低圧プレス工程における圧力は、好ましくは0.03MPa以上0.4MPa以下、より好ましくは0.05MPa以上0.3MPa以下である。
低圧プレス工程における圧力が0.01MPa以上であることで、上述の「被転写材20の固定」が十分になされると考えられる。また、低圧プレス工程における圧力が0.5MPa未満であることで、金型10の損傷が抑えられ、金型10の寿命を延ばすことができると考えられる。
ちなみに、「圧力」は、通常、プレス装置(プレス上板31とプレス下板32とを備える)に備え付けられている計器の数値から求めることができる。通常のプレス装置では、全体としての押圧力が「加圧力」またはこれに類する項目として表示されるため、これを、金型10と被転写材20との接触面積で除して圧力を求めることができる。
低圧プレス工程の「時間」は特に限定されない。被転写材20の温度がTg未満または136[℃]未満となる限り、特に限定されない。
低圧プレス工程においては、被転写材20は加熱されることが好ましい。一方、低圧プレス工程においては、被転写材20は加熱されず、雰囲気と同じ温度で、金型10の転写面10aにより押圧されるのみであってもよい。要は、被転写材20の温度がTg未満または136[℃]未満となるならば、被転写材は加熱されてよいし加熱されなくてもよい。
昇温工程において、昇温速度は、例えば1〜300℃/分である。昇温速度が20℃/分以上であることで、生産性の向上を図ることができる。昇温速度が500℃/分以下であることで、被転写材20の加熱ムラ等が抑えられ、転写される凹凸模様の歪み等が抑えられる可能性がある。
(図3:高圧プレス工程)
図3は、図2の状態を変化させて、被転写材20を、転写面10aに、0.5MPa以上の圧力で押し当てる工程(高圧プレス工程)を説明するための図である。
高圧プレス工程は、好ましくは昇温工程の後に連続的に行われる。「連続的」とは、昇温工程と高圧プレス工程との間で、押圧が解除されて被転写材20と転写面10aとが離れることがない、ということを意味する。
一態様として、高圧プレス工程において、被転写材20の温度は、Tg[℃]以上、好ましくはTg+5[℃]以上、さらに好ましくはTg+10[℃]以上に維持される。これの上限については、例えばTg+100[℃]以下である。
別の態様として、高圧プレス工程における被転写材20の温度は、136[℃]以上、好ましくは140[℃]以上、さらに好ましくは150[℃]以上に維持される。これの上限については、例えば250[℃]以下である。この温度設定は、特に、被転写材20としてポリシクロオレフィンを用いる場合に好ましく適用される。
被転写材20の温度は、例えば、プレス上板31および/またはプレス下板32に内蔵された加熱手段により調節することができる。
高圧プレス工程においては、十分に加熱されて軟化した被転写材20が、転写面10aに、0.5MPa以上の圧力で押し当てられる。これにより、被転写材20は塑性変形する。そして、被転写材20には、転写面10aの微細凹凸構造が転写される。この際、被転写材20にシワが発生することが抑えられる(シワ発生が抑えられる推定メカニズムについては前述のとおりである)。
上述のとおり、高圧プレス工程における圧力は、0.5MPa以上であればよい。高圧プレス工程における圧力は、好ましくは0.8MPa以上30MPa以下、より好ましくは1MPa以上20MPa以下である。
高圧プレス工程における圧力が0.5MPa以上であることで、被転写材20が十分に変形し、成形体を適切に製造することができる。また、高圧プレス工程における圧力が50MPa以下であることで、金型10の損傷が抑えられ、金型10の寿命を延ばすことができると考えられる。
高圧プレス工程の時間は特に限定されない。生産効率と、被転写材20を十分に塑性変形させる観点から、例えば0.5〜10分程度である。
(図4:離型工程)
高圧プレス工程の後に、金型10から被転写材20を離型することで(離型工程)、微細凹凸構造を有する成形体を得ることができる。
図4は、離型工程を模式的に表した図である。図4において、被転写材20および金型10以外の構成要素の記載は省略されている。
離型工程は、通常、高圧工程の後、押圧を解除し、そして被転写材20が十分に冷えてから行われる。被転写材20を冷やす方法は特に限定されない。例えば、大気下で放置しておく方法であってもよいし、風を当てる方法であってもよい。
以上、図1、図2、図3および図4に示されるような手順により、微細凹凸構造を有する成形体を製造することができる。
本実施形態の成形体の製造方法の一連の流れは以上のとおりである。
以下、本実施形態の成形体の製造方法についてより具体的な説明を加える。
(被転写材)
被転写材20は、加熱により軟化する性質を有し、高圧プレス工程において金型10の転写面10aに押圧された際に微細凹凸構造を形成可能なものである限り、任意の素材、形状等であることができる。
被転写材20は、好ましくは樹脂フィルムである。被転写材20がフィルム状であることにより、被転写材20に均一に圧力をかけやすく、寸法精度が良好な成形体を製造しやすい。
被転写材20は、通常、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含む。離型工程における離型しやすさ、製造される成形体のその後の加工しやすさ等を考慮すると、被転写材20は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
被転写材20は、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリノルボルネン、ポリエチレンテレフタレート等を含むことができる。これらは通常は熱可塑性樹脂に分類される。
別観点として、被転写材20は、非晶性の樹脂を含むことが好ましい。非晶性の材料は、成形温度幅が広いため成形性が良好であり、寸法安定性の向上に効果的である。非晶性の樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリロニトリル・スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などが挙げられる。
被転写材20は、1種のみの樹脂を含んでもよいし、2種以上の樹脂を含んでもよい。
被転写材20のガラス転移温度Tgは、典型的には50〜300℃、好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは70〜200℃である。
ガラス転移温度としては、例えば、被転写材20を動的粘弾性測定したときの、貯蔵弾性率の下がり始めの変曲点の温度を採用することができる。動的粘弾性測定の測定モードはせん断モード、周波数は1Hz、昇温速度は5℃/分とすることができる。
被転写材20は、特に、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびポリスチレンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含むことが好ましい。とりわけ、ポリシクロオレフィンが、良好な離型性の点から好ましい。加えて、ポリシクロオレフィンは、成形体を後述する成形体の用途(バイオチップ等)に適用する際の光学特性の点で好ましい。
被転写材20が樹脂フィルムである場合、その厚みは、0.01〜10mmが好ましく、0.02〜5mmがより好ましく、0.04〜2mmがさらに好ましい。
被転写材20の厚さを0.01mm以上にすることにより、被転写材20にシワが発生することを一層抑制することができる。また、被転写材の厚さを10mm以下にすることにより、被転写材20の冷却性が高まり、製造効率化/製造時間短縮などを図ることができる。
被転写材20については、合成樹脂メーカ、フィルムメーカなどから入手可能な市販品を用いることができる。
(金型)
図5は、図1、図2、図3および図4における金型10について説明するための模式図である。具体的には、図5A.は、金型10の転写面10aを示す上面図である。また、図5B.は、金型10のX−X縦断面図である。
金型10の転写面10aは、通常、複数の凸部を有している。個々の凸部の形状は、例えば、柱状、錐状、半球状、これら形状の角部を面取りした形状、各形状同士を連結した形状、各形状同士を合成した形状などであることができる。ここでの「柱状」は、円柱状や四角柱状などを含む。
また、転写面10aは、ストライプ状の凹凸の微細構造を有するものであってもよい。
金型10は、Ni電鋳モールドであることが好ましい。別の言い方として、金型10の少なくとも転写面10aは、Ni電鋳処理されたものであることが好ましい。Ni電鋳モールドは、耐摩耗性などの点で好ましい。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部のピッチ(図5A.におけるp)は、例えば0.02〜6000μm、具体的には0.04〜4000μm、より具体的には0.06〜2000μmである。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部が円柱状である場合、円柱の直径(図5A.におけるd)は、例えば0.1〜3000μm、具体的には0.2〜2000μm、より具体的には0.3〜1000μmである。
転写面10aに設けられた微細凹凸構造の凸部の高さ(図5B.におけるh)は、例えば0.01〜3000μm、具体的には0.02〜2000μm、より具体的には0.03〜1000μmである。
金型10は、公知の製造方法により製造することができる。
(シリコンウェハ)
図1、図2および図3において、シリコンウェハ33は、通常、プレス上板31の損傷を抑えるために用いられる。また、シリコンウェハ34は、通常、プレス下板32の損傷を抑えるために用いられる。つまり、シリコンウェハ33およびシリコンウェハ34は、成形体の製造に「必須」ではない。しかし、プレス上板31およびプレス下板32の損傷を抑えて装置の寿命を延ばす等の目的で、シリコンウェハ33やシリコンウェハ34は用いられることが好ましい。また、シリコンウェハを介して押圧工程を行うことで、プレス上板31やプレス下板32の表面に凹凸が存在する場合であっても、押圧力を均一にしやすいということも言える。
シリコンウェハ33およびシリコンウェハ34については、市場で入手可能なものを適宜用いることができる。
ちなみに、プレス上板31/プレス下板32の損傷を抑えるという点では、シリコン以外の適当な素材による、何らかの「当て板」が用いられてもよい。本実施形態では、市場で比較的容易に入手可能な、平面性の高い板材として、シリコンウェハを挙げている。
(加熱手段に関する補足)
低圧プレス工程、昇温工程、高圧プレス工程などにおいて被転写材20を加熱する方法については、具体的には、(i)プレス上板31に内蔵された加熱手段を用いて被転写材20を加熱する方法、(ii)プレス下板32に内蔵された加熱手段を用いて金型10を加熱しておき、被転写材20の押圧時に被転写材20に熱を伝える方法、(iii)上記(i)と(ii)の併用、つまり、プレス上板31とプレス下板32に内蔵された加熱手段の「両方」を利用する方法、などが挙げられる。
(iii)の場合、プレス上板31による加熱の温度と、プレス下板32による加熱の温度は同じであっても異なっていてもよい。
ちなみに、低圧プレス工程、昇温工程および高圧プレス工程において、温度が安定した状態における「被転写材20の転写面10aに押し当てられている面が熱せられる温度」は、通常、金型10の温度と同じと見做すことができる。特に、被転写材20がフィルム状である場合(つまり、被転写材20が薄い場合)には、上記各工程において、被転写材20の温度は速やかに金型10の温度に到達すると考えられる。
(製造された成形体の用途)
上述のようにして製造された微細凹凸構造を有する成形体の用途は、特に限定されない。
用途の例として、バイオチップ等が挙げられる。すなわち、成形体の凹部(転写面10aの凸部に相当)に、特異抗体などの認識物質を固定することで、バイオチップを得ることができる。
バイオチップの具体的態様については、例えば特開2015−49161号公報、特開2015−49162号公報などを参照することができる。
(参考形態)
以下に、本発明の参考形態を付記しておく。
樹脂を含む被転写材を、136[℃]未満の状態で、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の前記転写面に、0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てる低圧プレス工程と、
前記低圧プレス工程の後、前記被転写材を前記転写面に0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てながら、前記被転写材の温度を136[℃]以上とする昇温工程と、
前記昇温工程の後、前記被転写材の温度を136[℃]以上に維持しながら、前記被転写材を前記転写面に0.5MPa以上の圧力で押し当てる高圧プレス工程と、
を含む、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法。
この参考形態は、例えば、被転写材のガラス転移温度が136℃である場合、被転写材が後述の実施例で用いられているポリシクロオレフィン樹脂フィルムである場合などに好ましい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<準備>
金型、被転写材、低摩擦部材およびシリコンウェハとして、それぞれ以下を準備した。
(金型)
図2に示されるような、転写面に円柱状の凸部が設けられたNi電鋳モールドを準備した。
円柱状の凸部の直径(図5のd)は10μm、高さ(図5のh)は10μm、ピッチ(図5のp)は20μmであった。
(被転写材)
以下を用いた。
・COP:ポリシクロオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製ゼオノアフィルムZF−14、厚さ:0.19mm、ガラス転移温度:136℃)
被転写材のガラス転移温度については、以下条件の動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率(G')の下がり始めの変曲点からガラス転移温度を求めた。
・測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製ARES−2KFRTN1−FCO−HR
・サンプルサイズ:パラレルプレートφ25mm、ギャップ2mm
・測定温度範囲:100〜180℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
・モード:せん断モード
(シリコンウェハ)
市販の6インチシリコンウェハ
<実施例1:成形体の製造>
以下手順で行った。
(1)準備
図1のII.に示されるように、プレス上板とプレス下板(加熱手段を内蔵する)との間に、金型、被転写材およびシリコンウェハを配置した。
(2)低圧プレス工程
図2に示されるように、被転写材を、金型の転写面に、0.1MPaの圧力で押圧した。この際、プレス上板および/またはプレス下板からの加熱を適切に調整して、被転写材の温度は135℃となるようにした。
(3)昇温工程
上記(2)の圧力による押圧を維持したまま、プレス上板および/またはプレス下板からの加熱を適切に調整して、被転写材COPが155℃になるように加熱した。
(4)高圧プレス工程
上記(3)の温度を維持したまま、プレス上板とプレス下板とにより、被転写材COPを金型の転写面に押し当て、4MPaの圧力で2分間押圧した。
その後、同じ圧力で押圧したまま、金型および被転写材COPの温度を、135℃まで約3分間かけて冷却した。
(5)冷却工程
プレス上板を上げて、プレス下板の上にある金型と被転写材が一体となったものに、上から冷風を当て、被転写材を十分に冷却した。
(6)離型工程
金型から被転写材COPを離型して、微細凹凸構造を有する成形体を得た。
<比較例1:成形体の製造>
(1)準備
実施例1の(1)準備と同様に、各部材を配置した。
(2)昇温工程
被転写材を押圧することなく、プレス上板および/またはプレス下板からの加熱を適切に調整して、被転写材COPが155℃になるように加熱した。そして、各温度を維持した。
(3)高圧プレス工程
実施例1の(4)高圧プレス工程と同様にして、押圧などを行った。
(4)冷却工程
実施例1の(5)冷却と同様にして、被転写材を十分に冷却した。
(5)離型工程
実施例1の(6)離型工程と同様にして、微細凹凸構造を有する成形体を得た。
<目視によるシワの評価>
得られた成形体を目視で注意深く観察した。
実施例1で得られた成形体には、シワが全く確認されなかった。
一方、比較例1で得られた成形体には、目視で認識可能なシワが観察された。
実施例1と比較例1の対比より、低圧プレス工程を行うことで、成形体に意図せぬシワが生じにくくなることが理解される。
10 金型
10a 転写面
20 被転写材
20a 表面
31 プレス上板
32 プレス下板
33 シリコンウェハ
34 シリコンウェハ

Claims (8)

  1. 樹脂を含みガラス転移温度がTg[℃]である被転写材を、Tg未満の状態で、微細凹凸構造が設けられた転写面を有する金型の前記転写面に、0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てる低圧プレス工程と、
    前記低圧プレス工程の後、前記被転写材を前記転写面に0.01MPa以上0.5MPa未満の圧力で押し当てながら、前記被転写材の温度をTg[℃]以上とする昇温工程と、
    前記昇温工程の後、前記被転写材の温度をTg[℃]以上に維持しながら、前記被転写材を前記転写面に0.5MPa以上の圧力で押し当てる高圧プレス工程と、
    を含む、微細凹凸構造を有する成形体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の成形体の製造方法であって、
    前記Tgは、80〜180[℃]である、成形体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の成形体の製造方法であって、
    前記被転写材は、樹脂フィルムである、成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記被転写材は、熱可塑性樹脂を含む、成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記被転写材は、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートおよびポリスチレンからなる群より選ばれる1または2以上の樹脂を含む、成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記金型は、Ni電鋳モールドである、成形体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記転写面に設けられた微細凹凸構造の凸部の高さは、0.01〜3000μmである、成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記高圧プレス工程の後に、前記金型から前記被転写材を離型する離型工程を含む、成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007116469A1 (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Fujitsu Limited パターン転写方法およびパターン転写装置
JP2017030357A (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 東レ株式会社 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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