JP7390307B2 - 携帯型の手持ち式電子肺活量計 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯型の手持ち式電子肺活量測定装置、または肺活量計、ならびに、例えば、米国胸部学会(ATS)および欧州呼吸器学会(ERS)の肺活量測定基準によって定義される完全な肺活量測定中に、前記装置を使用して肺機能パラメータを判定する方法に関する。
肺活量測定は、強制的にまたは通常の呼吸下で吸い込みおよび吐き出すことができる空気の量(体積)および/または速度(流量または流速)に関する肺機能パラメータに関して肺機能を判定または評価するために使用される最も一般的な試験の1つである。肺活量測定で測定される一次信号は、体積および/または流量とすることができる。結果は、生データ(リットル、毎秒リットル)および予測されたパーセントとして、すなわち、身長、年齢、性別、体重および時には民族性などの類似のパラメータの健常人についての予測値に関連して提供される。予測値の複数の出版物が利用可能であるため、結果の解釈は、僅かに異なることがあるが、一般的に言えば、予測される100%に近いまたはそれを上回る結果が最も普通であり、80%以上の結果もまた通常は普通とみなされる。一般に、結果は、体積-時間曲線(Y軸上のリットル単位の体積およびX軸上の秒単位の時間)および/または流量ループ(Y軸上の空気流の速度およびX軸上の吸い込まれたまたは吐き出された総体積を表す)を示すグラフ、いわゆる呼吸運動曲線またはニューモタコグラフとしてさらに表示される。
いわゆる肺活量計(すなわち、換気、肺の内外への空気の移動を測定するためのデバイスまたは装置)によって行われる試験は、異常な換気パターン、すなわち閉塞的および制限的パターンを識別することができることから、肺活量測定は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、肺気腫、肺線維症(PF)、また、嚢胞性線維症(CF)などの様々な閉塞性または制限性肺疾患の評価における重要なツールである。
肺活量測定および/または肺活量計を使用して判定され得る肺機能パラメータは、例えば以下を含む:肺活量(VC;最も深い吸い込み後に吐き出された体積);強制肺活量(FVC;最大強制呼気の試みからの肺活量の判定);ゆっくり排気して測定する肺活量(SVC);強制呼気流量(FEF)、ピーク呼気流量(PEF;ピーク流量計または肺活量計によって測定される最大強制呼気流量);強制呼気量(FEV;最初のX秒間に強制条件下で吐き出された空気の体積;例えば、FEV=第1の秒以内に強制的に吐き出された体積);強制呼気時間(FET)、吸気肺活量(IVC;最大呼気後に吸い込まれる最大体積);強制吸気肺活量(FIVC);一回換気量(TV;静かな呼吸中に肺に出入りする空気の体積);吸気または呼気予備量(IRVおよびERV;吸気終末レベルまたは呼気終末レベルのそれぞれから吸い込みまたは吐き出すことができる最大体積);深吸気量(IC;IRVおよびTVの合計);最大換気量(MVV;最大呼吸量とも呼ばれる);およびその他。
上述したように、試験手順は、肺活量計を使用して行われる。単純な機械的操作から完全に電子的なものまで、様々な種類のこれらの装置が知られており、前記装置は、水位計、「風車」型ローター(タービンとも呼ばれる)または圧力トランスデューサなど、多くの異なる測定原理を使用している。ほとんどの従来の肺活量計は、膜、毛細管、または既知の抵抗を有する他の形態の流れ制限部の前後の圧力差を(例えば、差圧センサを使用して)測定することによって、またはタービンの回転によって流体の流れを評価している。過去においては、例えば患者またはユーザが自分で肺活量測定を実施できるようにすることによって治療効果のより詳細で簡潔な監視を得て、それによって医師の診療所や病院を訪れる必要性をなくすために、装置を携帯型および/またはハンドヘルドにする努力が増えている。これらの携帯型装置のいくつかは、例えば患者のスマートフォンに接続可能であることをさらに目的としている。
例えば、Vitalographのasma-1デバイスは、PEFおよびFEVの値を測定して記憶するための、小型の携帯型のAAAバッテリ式装置である。装置は、回転可能なタービンおよび使い捨て可能なマウスピースを備えており、携帯電話、PDA、PCまたは家庭用ハブにUSBまたはブルートゥースを介して接続され得る。残念なことに、装置は、限られた数の測定値(最大で600)しか記憶することができず、PEFおよびFEV以外のパラメータは測定することができない。換言すれば、米国胸部学会(ATS)および欧州呼吸器学会の肺活量測定規格によって定義されている完全肺活量測定は、装置によって実行することができない;「肺活量測定の規格」;Eur Respir J 2005;26:319‐338を参照のこと(例えば、これらの規格は、肺活量計が正しく特定しなければならない24個のATS波形を定義しており、これらのうちのいくつかは、37℃の高温および高湿度で生成され、さらに、0~14.0L/sにおける空気流に対する総抵抗は、<0.15kPa/(L/s)でなければならない)。
Medical International Research(MIR)は、呼吸パラメータの測定のための広範囲の装置を提供し、それらのいくつかは携帯用であり、いくつかは携帯電話に接続可能である。例えば、SmartOne(登録商標)装置は、必要に応じてMIRの慣習的な使い捨てFlowMIR(登録商標)タービンおよびボール紙のマウスピースを使用する、携帯型タービン流量計である。装置は、各SmartOne(登録商標)アプリ(iOSおよびAndroidで利用可能)および測定された呼吸データが記憶されるスマートフォンにブルートゥースを介して接続され得る。装置は、例えば、PEFおよびFEVを判定することができる;しかしながら、完全肺活量測定は、装置によっては実行することができない。
MIRのSpirodoc(登録商標)およびSpirobank(登録商標)IIスマートデバイスは、完全肺活量測定を実行して最大で10,000個の肺活量測定試験を記憶することができる携帯型のポケットサイズのスタンドアロン(すなわち、コンピュータを必要としない)のタービン流量計装置である。Spirodoc(登録商標)装置は、LCDタッチスクリーンディスプレイを有するほぼ手のひらサイズの本体と、双方向デジタルタービン(例えば、使い捨てのFlowMIR(登録商標)タービン)を収容する取り付け可能な流量計ヘッドと、FVC測定値(すなわち、体温および水蒸気で飽和した周囲圧力においてリットルで表される最大強制呼気努力時の肺活量)のBTPS変換用の温度センサとを備える。Spirobank(登録商標)IIスマートデバイスは、Spirodoc(登録商標)のタッチスクリーンの代わりにキーボードが使用される点と、流量計ヘッドが恒久的に固定される点で主に異なる。キーボードの代わりに、Spirobank(登録商標)IIスマートデバイスはまた、タブレットコンピュータ(iPad(商標))を介して操作することもできる。ただし、スマートフォンの接続は提供されていない。
双方の装置は、別個の構成要素としてケーブルを介して本体に取り付けることができる指先パルス酸素濃度計を必要に応じてさらに備えてもよい。指先酸素濃度計によって測定された酸素飽和度レベル(%SpO2)をユーザの身体活動と相関させるために、内蔵の3軸運動センサが装置に設けられる。例えば関連するWinspiroPRO(登録商標)ソフトウェアを実行しているパーソナルコンピュータ(PC)、-またはSpirobank(登録商標)スマートの場合にはiOSベースのMIR Spiro(登録商標)アプリを実行しているiPad/iPad mini-へのデータ伝送は、ブルートゥースまたはUSB接続を介して実現することができる。PCまたはiPadに接続されている場合に限り、各ソフトウェアは、リアルタイムの肺活量測定および酸素測定試験、すなわちリアルタイム曲線表示を可能にする。残念なことに、この例えばタブレットコンピュータなどの必要性は、これらの装置のコストを増大させる。
MIRの製品範囲内のさらなる携帯型のポケットサイズの在宅ケア用肺活量計は、取り付け可能で再利用可能な双方向デジタルタービンと、USBケーブルまたはブルートゥースを介してパーソナルコンピュータ(PC)に接続可能な本体における小型タッチスクリーンとを使用し、ソフトウェアアプリケーション(WinspiroPro Home Care)がデータを抽出してサーバに送信するSpirotel(登録商標)である。Spirodoc(登録商標)およびSpirobank(登録商標)IIスマートデバイスと同様に、Spirotel(登録商標)は、ケーブルを介して本体に取り付けられ得る指先パルス酸素濃度計、および測定された酸素飽和度レベル(%SpO2)をユーザの身体活動と相関させるための内蔵の3軸運動センサを必要に応じてさらに備えることができる。それ自体は携帯型であるが、Spirotel(登録商標)装置は、スタンドアロンとしては使用することができず、スマートフォンには接続できないが、代わりにPCを使用する必要がある。
上記挙げた装置の大部分の1つの一般的な欠点は、ガス流を測定するために可動部品、すなわちタービンまたは回転翼を使用することである。これは、例えば毎年または隔年などの定期的な外部校正を必要とする。さらにまた、大多数にはまた、FEV、SVCまたはMVVなどの肺活量測定パラメータを測定する選択肢もない。さらに、FVC測定の精度は、特に呼気の終わりに非常に少ない流量を有する長時間の呼気を特徴とする重度の閉塞のある患者では、多くの場合に制限される。
可動部分を有しないガス流量センサを使用する携帯型のバッテリ式装置は、(ThorSoft肺診断PCソフトウェアを記憶する)PCに対するブルートゥースまたはUSB接続を有する肺機能診断および監視装置であるThor LaboratoriesによるSpiroTubeモバイル版である。ブルートゥースおよびWIFI接続は、SpiroTubeをiPad/iPhone(登録商標)、Androidスマートフォン、PDAデバイス、ならびにJAVA(登録商標)対応のモバイル装置に接続するための選択肢として利用可能である。SpiroTubeは、独自のIDEGEN(商標)マルチパス測定原理を使用し、流量測定は、超音波およびドップラー効果を使用して測定されたガス分子の量とおよびエネルギーに依存する。流管の内面は、それが容易に消毒され得るように連続的であっていかなる障害もない。しかしながら、消費電力が大きく、その重量とサイズが大きいため、この装置は、携帯型の手持ち式、またはポケットサイズの装置としての使用には適していない。
可動部分を有しないさらなる装置は、ヘッドフォンジャックを介してスマートフォンにケーブル接続することができ且つPEF(ピーク呼気流量)およびFEV(1秒後に吐き出される体積)を測定する米国に本拠を置くSparo LabsによるWING装置である。測定されたデータは、暗号化された形式で「クラウド」と同期され、専用のスマートフォンアプリケーションを使用して分析され得る。残念なことに、PEFおよびFEV以外のパラメータは測定することができない(例えば、強制肺活量(FVC)、FVCの25%~75%での強制呼気流量(FEF25-75)など)。換言すれば、米国胸部学会(ATS)および欧州呼吸器学会の肺活量測定規格によって定義されている完全肺活量測定は、例えば上述したasma-1デバイスと同様に実行することができない。また、WINGは、電話機のバッテリの残量が少ない場合にデータを正しく測定できないリスクがあるため、(ヘッドフォンジャックを介して)電話機のバッテリで動作する。
あるいは、MEMSベースの熱流体流量センサ(MEMS;微小電気機械システム)などの加速度センサ(加速度計とも呼ばれる)もまた、人工呼吸器、睡眠時無呼吸装置、肺活量計などを含む医療機器における流量測定のために従来技術において提案されている。これらのMEMSベースの熱流体流量センサは、熱電対などの温度センサ、および抵抗加熱素子を介して加熱されたガス分子を使用する。加速を受けると、加熱されたガス中の密度の低い分子は加速方向に移動し、冷たく密度の高い分子は反対方向に移動し、温度センサによって測定された加速に比例した温度差を生じさせる。しかしながら、発明者の知る限りでは、医療機器における流量測定にMEMSベースの熱流体流量センサを使用するというこの概念上の考えは、完全肺活量測定を可能にするのに十分な感度があるこれまでの、すなわち本発明に至るまで、既存の操作可能な機能的な、最も重要なことには携帯型の手持ち式肺活量計に変換されたことはなく、例えば、完全肺活量測定を実行するために、その概念が実際に実施され得るかどうか、およびどのようにして正確且つ再現可能な、または正確な肺活量測定流量測定が達成され得るかは明確でなかった。
おそらくMEMSベースの熱流量センサまたは同様のセンサタイプを使用する医療機器の一例は、流量計を備えた人工呼吸器システムを記載する欧州特許出願公開第0552916号明細書に提供され、流量計は、とりわけ、質量空気流量集積回路チップセンサなどの小型化された熱ブリッジタイプの線形質量流量センサ(例えば、MICROBRIDGEの商標でMicroswitchから市販されている)を使用することができる。他の同様のタイプの流量センサも適していると言われている。欧州特許出願公開第0552916号明細書の流量計は「肺活量計」と呼ばれるが、この用語は、人工呼吸器または呼吸器、すなわち、呼吸補助を必要とする挿管された被験者に使用されるシステムがこの文献において記載されているという点で誤解を招く可能性がある。これらの被験者または患者は、自発呼吸をしていないため、強制的な吸気および呼気の呼吸操作を含む完全な肺活量測定などの診断用肺機能パラメータテストを実行することができない。換言すれば、欧州特許出願公開第0552916号明細書は、本発明の意味での「肺活量測定」を指すのではなく、より一般的には、挿管および人工呼吸された被験者ではなく、人工呼吸器によって生成される、被験者の肺に出入りする空気流のあらゆる種類の流量測定を指す。さらに、欧州特許出願公開第0552916号明細書は、所望の空気流範囲が300SLMまで測定されることを教示しており、対照的に、本発明の意味での肺活量測定は、例えば、最大840SLM、場合によっては最大1000SLMまでの流量の強制呼気の評価を必要とし、欧州特許出願公開第0552916号明細書に記載されている流量計のセットアップを本発明の対象となる携帯型の手持ち式電子肺活量計での使用には不適切にする。さらにまた、ベンチュリ要素を使用しているため、装置は、吸気流と呼気流とを区別することができない。
本発明の目的は、例えば、医学的にトレーニングされたスタッフなしで使用することができ、且つFEV、FVC、PEF、およびFEV1%などの主肺活量測定パラメータの測定だけでなく、FEV、SVCまたはMVVなどのパラメータも含む、完全肺活量測定を実行することができる測定感度の高い装置など、従来技術の装置の欠点を克服する改良された携帯型肺活量計を提供することである。この目的は、特許請求の範囲に記載の本発明の主題によって、すなわち、測定原理としてMEMSベースの双方向熱流体流量センサなどのMEMSベースの熱流体流量センサを使用する携帯型肺活量計によって達成される。本発明のさらなる目的は、好ましくは監視されていない患者によっても、正確で再現性のある、または正確な肺活量測定を可能にするために装置内の流動特性に関して最適化されたMEMSベースの熱流体流量センサを有する携帯型肺活量計を提供することである。
第1の態様では、本発明は、肺機能パラメータを評価するための、請求項1に記載の携帯型の手持ち式電子肺活量計を提供する。この肺活量計の1つの例示的な実施形態は、例えば図2に示されている。
第2の態様では、本発明は、被験者の肺機能関連健康パラメータ(例えば、強制肺活量(FVC)、強制呼気量(FEV)、ピーク呼気流量(PEF)、強制呼気流量(FEF)、最大自発換気量(MVV)、平均呼気流量(MEF)、ゆっくり排気して測定する肺活量(SVC)、最大呼気速度、強制吸気量(FIV)、強制吸気肺活量(FIVC)、ピーク吸気流量(PIF)、またはこれらの任意の組み合わせから選択される健康パラメータ)を測定する方法であって、上述したような携帯型の手持ち式電子肺活量計を介して被験者が呼吸操作を行うステップを備える方法を提供する。
第3の態様では、本発明は、以下を備えるシステムまたはキットを提供する:
-本発明の第1の態様にかかる携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)と、
-携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)および/または別個のコンピューティングユニットとデータ交換するように適合された通信手段を備える第1の空気質測定装置であって、第1の空気質測定装置の場所で空気質を判定するために、1つまたは複数の空気質センサ、好ましくは、湿度センサ、温度センサ、大気圧センサ、MOS型ガスセンサ(金属酸化物半導体)、浮遊粒子センサ、花粉センサ、オゾン(O)センサ、二酸化窒素(NO)センサ、二酸化硫黄(SO)センサおよび一酸化炭素(CO)センサ、または他の種類のガスセンサからなる群から選択される空気質センサを備える、第1の空気質測定装置と、
-少なくとも本発明の第1の態様にかかる肺活量計(1)および第1の空気質測定装置から得られたデータを収集および分析するように適合された別個のコンピューティングユニット。
前記システム、またはキットを使用して、本発明の第2の態様にかかる方法は、空気質に関するデータ(汚染物質、オゾン、花粉など)および/または地理的位置データなどの追加のデータによって補完することができ、それによってこれらの追加データと(上述したように、FVC、FEV、PEF、FIV、FIVC、PIFなどの)被験者の肺機能関連健康パラメータを比較および/または相関付けることを可能にする。
換言すれば、本発明の第4の態様は、被験者の1つまたは複数の肺機能関連健康パラメータ(例えば、本発明の第2の態様について記載したように選択された健康パラメータ)が、本発明の第1の態様にかかる携帯型の手持ち式電子肺活量計を介して呼吸操作を行う被験者によって測定される方法であって、1つまたは複数の肺機能関連健康パラメータが、本発明の第3の態様にかかる、システムまたはキットから導出された空気質データ、および任意選択で地理的局在化データと比較および/または相関される、方法を提供する。
本発明のさらなる目的、態様、有用な実施形態、用途、有益な効果および利点は、以下の詳細な説明、実施例および特許請求の範囲に基づいて明らかになるであろう。
参照符号の概要
図1Aは、平面図(A)で肺活量計(1)の管状マウスピース(2)の一実施形態を示している。 図1Bは、側面図(B)で肺活量計(1)の管状マウスピース(2)の一実施形態を示している。 図1Cは、斜視図(C)で肺活量計(1)の管状マウスピース(2)の一実施形態を示している。マウスピース(2)は、それらの間に延びる主流路(5)を有する基端開口(3)および先端開口(4)、第1および第2の横開口(6および7)、ならびに流路の長手方向軸に対して垂直に且つ2つの横開口(6および7)の間において主流路(5)の断面方向に配置された有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部を備える。図示の実施形態では、有孔ディスク(8)は、図3Aにおいてより詳細にわかるように、55個の正六角形の穿孔を備えている。 図2は、肺活量計(1)の一実施形態の斜視断面図を示している。主流路(5)、有孔ディスク(8)、ならびに第1および第2の横開口(6および7)を有する管状マウスピース(2)の上部には、第1および第2の流体開口(10および11)ならびにそれらの間に延びるバイパス流路(12)を有する着脱可能な本体(9)がある。呼気温度センサ(28)としても作用するMEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)は、バイパス流路(12)の上面または上側に配置される。図示のバージョンでは、第1および第2の流体開口(10および11)は、管状マウスピース(2)の第1および第2の横開口(6および7)に接続されている。 図3Aは、正六角形の穿孔(8.1;図3A、ここでは55個)を有する、肺活量計(1)の特定の実施形態で使用される、有孔ディスク(8)の位置での肺活量計(1)の4つの実施形態の断面を示している。 図3Bは、円形、または実質的に円形の穿孔(8.1;図3B、ここでは37個)を有する、肺活量計(1)の特定の実施形態で使用される、有孔ディスク(8)の位置での肺活量計(1)の4つの実施形態の断面を示している。 図4は、平面図で、肺活量計(1)の一実施形態のメインボード(27)、ならびにセンサ(13、13.1、13.2、15、15.1、18、19、20、28)、マイクロコントローラ(14)、無線通信手段(21、21.1)、NFC手段(21.2)、ケーブル通信手段(22、22.1)、および光シグナリング手段(23、23.1)の位置を示している。 図5Aは、本発明にかかる携帯型肺活量計の較正の標準手順として測定された定常流波形を示している。 図5Bは、本発明の範囲内にない比較のための携帯型肺活量計の較正の標準手順として測定された定常流波形を示している。 図5Cは、本発明の範囲内にない比較のための携帯型肺活量計の較正の標準手順として測定された定常流波形を示している。 図5Dは、本発明の範囲内にない比較のための携帯型肺活量計の較正の標準手順として測定された定常流波形を示している。0.15L/s(x軸の左側)から始まり、18L/s(x軸の右側)まで徐々に増加する合計64個の波形が測定され、記録されたMEMSベースの熱流体流量センサの生信号(y軸)が得られた。4つの肺活量計は、同じ本体(9)(したがって、同じバイパス流路および同じMEMSベースの熱流体流量センサ)、ならびに同じ本体(9)に収まるような同じまたは非常に類似した外側寸法の管状マウスピース(2)を使用する。4つの携帯型肺活量計は、管状マウスピース内で使用される流れ制限部が異なる。図5Aは、有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部を有する管状マウスピース(2)を備える本発明にかかる肺活量計(1)の定常流波形を示している一方で、図5Bおよび図5Cは、2つの異なるベンチュリ要素の形態の流れ制限部を有する管状マウスピース(2)を備える肺活量計(1)の定常流波形を示している。図5Dは、可動の「フラップ型」流れ制限部を有する管状マウスピース(2)を備える肺活量計(1)の定常流波形を示している。(詳細な入力については、以下の実施例1および比較例1~3を参照のこと)
定義
本明細書で使用される以下の用語または表現は、通常、説明によって定義されない限りまたは特定の文脈が他を示すもしくは要求しない限り、このセクションで概説されるように解釈されるべきである:
本明細書で使用される全ての技術用語は、関連技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有するものと理解されるべきである。
「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」という語および類似の表現は、本明細書および特許請求の範囲において「含むが、それらに限定されない」として開放的且つ包括的な意味で解釈されるべきである。
単数形「a」、「an」および「the」は、複数の指示対象を含むものとして理解されるべきである。換言すれば、本開示の単一の特徴または限定事項への全ての言及は、対応する複数の特徴または限定事項を含むものとし、その逆もまた同様である。したがって、用語「a」、「an」および「the」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」と同じ意味を有する。例えば、「成分」への言及は、成分の混合物などを含む。
「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」などの表現は、各表現と組み合わせて言及されるように、特定の機能、特性もしくは特徴、または特定の群または機能、特性もしくは特徴の組み合わせが本発明の実施形態の少なくとも1つに存在することを意味する。本明細書を通して様々な場所に現れるこれらの表現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の機能、特性または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
数字の文脈における全ての百分率、部および/または比率は、特に指定されない限り、または文脈によって示されるかもしくは要求されない限り、各項目の総数に対する相対として理解されるべきである。さらにまた、全ての百分率部および/または比率は、総重量の重量によるものであることが意図されており、例えば、特に指定されない限り、または文脈によって示されるかもしくは要求されない限り、「%」は、「重量%」と読み替えられるべきである。
属性または値に関連する「本質的に(Essentially)」、「約(about)」、「およそ(approximately)」(approx.)、「頃(circa)」(ca.)などは、正確な属性または正確な値、ならびに典型的には問題の技術分野において認められている通常の範囲または変動に含まれるとみなされる任意の属性または値を含む。
「前(Front)」、ならびに「左(left)」、「右(right)」、「後(rear)」、「後(back)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(up)」、「下(down)」などの位置、向き、または方向を指定する全ての類似用語は、通常の動作条件下での肺活量計またはその構成要素の向きを参照して理解されるべきである。「横(Lateral)」または「横方向に(laterally)」は、装置または装置構成要素の中央、中心、または中心軸から離れていることを意味する。
用語「センサ」および「トランスデューサ」は、特に指定されない限り、本明細書において同義的に使用され、パラメータ(例えば、力、温度または音)を測定し、例えばコンピュータまたは同様のデータ分析ユニットによって受信、読み取り、記憶および分析され得る電気信号などの関連する信号をデータ分析ユニットに送信することができる手段を指す。その点に関して、「・・・センサから得られた信号」などの文言は、厳密に言えば、コンピュータに送信された信号を指し、それゆえに、必ずしも実際の測定パラメータ、または各信号をトリガする力などの測定量を指すわけではないことが理解されるべきである。
「肺活量測定」または「完全肺活量測定」という用語は、吸気または呼気中、ならびに強制的なまたは静かな呼吸操作中の双方における、呼吸対象の肺の呼吸能力または肺機能に関連する測定全体を指す。これらの測定は、定性的にも定量的にも行われる。したがって、本明細書で使用される「肺活量計」という用語は、これらの測定を実行することができる装置を指す。(完全)肺活量測定において測定される最も一般的なパラメータの例は、肺活量(VC)、強制肺活量(FVC)、強制吸気肺活量(FIVC)、秒単位の時間間隔での強制呼気量(FEV)(例えば、FEV=1秒間でのFEV)、強制呼気流量(FEF)、ピーク呼気流量(PEF;ピーク流量とも呼ばれる)、強制呼気時間(FET)および最大自発換気量(MVV;最大呼吸容量とも呼ばれる)である。換言すれば、肺活量測定は、ピーク流量測定を含むかまたは包含する;したがって、本発明にかかる肺活量計は、ピーク流量計としても使用できるが、この機能のみに限定されるものではないことが理解される。その逆の場合は、必ずしも有効ではない;すなわち、ピーク流量を測定する機能に限定される場合、ピーク流量計は肺活量計ではない。同様に、本発明の意味における「肺活量計」は、理論的には、いわゆるインセンティブ肺活量測定(例えば肺手術後または寝たきり患者など、肺を膨張させて小さな気道を開いたままにするために、ゆっくりと繰り返し吸い込み、必要に応じて息を止めるように被験者が指示される技術)に使用することができ、全てのインセンティブ肺活量計は、必ずしも肺機能パラメータの上述した定性的および定量的測定を実行することができるわけではなく、したがって、名称が類似しているにもかかわらず、本発明の意味において必ずしも「肺活量計」として認められるわけではない。
本明細書で使用される「携帯型」という用語は、製品、特に肺活量計を指し、それらのサイズおよび重量は、例えば、単に片手で持ったりまたはズボンやコートのポケットもしくはハンドバッグに入れたりすることにより、さらなる助けを借りずに前記製品のユーザがそれらを快適に且つ長期間(一日中および/または毎日など)持ち運ぶのに適した状態にする。したがって、ポケットサイズおよび/またはハンドヘルドなどの用語は、同義であると理解される。典型的には、約200×60×50mm以下のサイズおよび約250g以下、好ましくは約150gまたはさらに約100g以下の全重量を有する製品が携帯型と考えられる。「携帯型」という用語は、さらに、使用中および/または「移動中」に、付属ケーブル電源がなくてもおよび/または(専用のドッキングステーション、パーソナルコンピュータなどの)固定ワークステーションに接続する必要がなくても装置が完全に動作可能であることを意味する;例えば、本発明の携帯型肺活量計は、ユーザが完全肺活量測定を実行できるようにするために電源ソケットに差し込まれる必要はない。
臨床現場で一般的に使用されている、いわゆる卓上型装置、特に卓上型肺活量計は、本発明の意味において「携帯型」とはみなされない。理論的には、これらの卓上型装置のいくつかは、さらなる助けを借りずにユーザが持ち上げて持ち運ぶこともできるが、典型的には、長期間(例えば一日中)快適であるとは考えられず、および/または専用ケース(例えばスーツケース)の使用および/または両手の使用を必要とする。
「配置された(positioned at)」という表現-例えば、「MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)は、バイパス流路(12)に配置されている」において本明細書において使用される場合-は、センサが前記バイパス流路(12)の近くにあるだけでなく、バイパス流路(12)を通過する流体の流れと流体接続していることを意味する。この目的のために、バイパス流路(12)は、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)が配置される側壁に開口を呈する。MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)は、例えば、バイパス流路(12)の側壁と同一平面に配置されることができるか、または代替的に、バイパス流路(12)の側壁におよびバイパス流路(12)の内腔に開口を介してさらに突出することができる。
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、図面のいずれかに表される実施形態に対する限定として解釈されるべきではない。
第1の態様では、本発明は、肺機能パラメータの評価のための携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)であって、(a)ユーザの口に挿入するための近位開口(3)と、遠位開口(4)と、近位開口(3)と遠位開口(4)との間に延在し且つ約200mmから約1400mmの範囲の断面積(A)を呈する主流路(5)と、第1の横開口(6)と、第1に対して長手方向距離に配置された第2の横開口(7)と、第1および第2の横開口(6および7)の間において主流路(5)内で断面方向に配置された有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部とを備えた管状マウスピース(2)と、(b)マウスピース(2)の第1の横開口(6)に接続可能な第1の流体開口(10)と、マウスピース(2)の第2の横開口(7)に接続可能な第2の流体開口(11)と、第1および第2の流体開口(10および11)の間に延在し且つ約1mmから約16mmの範囲の断面積(A)を呈するバイパス流路(12)と、バイパス流路(12)内の流体の流れに応答して信号を生成するためにバイパス流路(12)に配置されたMEMSベースの熱流体流れセンサ(13)と、流量センサ(13)によって生成された信号から流量を計算するために流量センサ(13)に接続されたマイクロコントローラ(14)と、肺活量計(1)のマイクロコントローラ(14)によって生成された流量に関連するデータを交換するための通信手段とを備えた本体(9)と、を備え、
i)主流路(5)の断面に対するバイパス流路(12)の断面、および
ii)有孔ディスク(8)が、肺活量計(1)の流れ抵抗が0.15kPa/(L/s)を超えないように適合または構成されている、携帯型の手持ち式電子肺活量計を提供する。この肺活量計(1)の1つの例示的な実施形態は、例えば図2に示されている。
必要に応じて、管状マウスピース(2)および本体(9)は、互いに着脱可能とすることができる。さらに必要に応じて、本体(9)の第1の流体開口(10)とマウスピース(2)の第1の横開口(6)との間および/または本体(9)の第2の流体開口(11)とマウスピース(2)の第2の横開口(7)と間の接続は、スナップ嵌合機構によって達成され得る。好ましくは、マウスピース(2)は、一方または一方向にのみ本体(9)に嵌合するように設計されており、2つの部品の誤った配置および/または誤った組み立てを防止する。
本発明によれば、肺活量計(1)の流れ抵抗は、例えば、「肺活量測定の規格」(Eur Respir J 2005;26:319‐338)によって記載されているFVCおよびFEVの測定の要件であるため、>0SLMから約840SLM(またはSLPM;標準リットル/分;または0~14L/s)の範囲内の任意の流体流量において、0.15kPa/(L/s)の最大値を超えてはならない。この要件は、そこから選択された単一の流量値だけでなく、>0SLMから約840SLMの流体流量範囲全体にわたって流れ抵抗が0.15kPa/(L/s)を超えてはならないことを意味する;または換言すれば、テストされた肺活量計の流れ抵抗が、例えば1L/sのより低い流量において0.15 kPa/(L/s)未満であるが、例えば800L/sのより高い流量において0.15kPa/(L/s)を超える場合、要件に準拠していない。
しかしながら、肺活量測定(すなわち、本明細書において使用されるように、肺機能パラメータの評価のための測定)中に、最大約900SLM、または最大約960SLM、時には最大約1000SLMまでの流量が、被験者または患者が肺活量計(1)を介して力強く呼吸するときに達成されることができる。したがって、好ましい実施形態の1つでは、肺活量計(1)の流れ抵抗が、>約840SLMから約900SLMのこれらのより高い範囲内、または好ましくは>約840SLMから約960SLMの範囲内、またはより好ましくは>約840SLMから約1000SLMの範囲内の流体流量においてさえも0.15kPa/(L/s)を超えないような方法で、主流路(5)の断面に対するバイパス流路(12)の断面、および有孔ディスク(8)が適合または構成される。
本明細書に記載の流体流量に関して、本発明にかかる肺活量計(1)は、呼気流量および吸入流量の双方を測定することができることをさらに理解されたい。したがって、特に明記されていない限り、本明細書で提供される流量値は、絶対値として、また+840SLMおよび-840SLMなど、または、呼気および吸入流量の場合、それぞれ、>0SLMから約+840SLMの範囲内、および<0SLMから約-840SLMの範囲内の呼気および吸入流量の双方を指すものとして理解されるべきである。
本発明の一実施形態では、i)主流路(5)の断面(A)に対するバイパス流路(12)の断面(A)、および
ii)有孔ディスク(8)は、バイパス流路(12)に約1:2.5から約1:200、または1:4.5から約1:200、または約1:10から約1:200の主流路(5)内の流体の流れを引き起こすように適合または構成されている。
あるいは、またはそれに加えて、i)主流路(5)の断面(A)に対するバイパス流路(12)の断面(A)、および
ii)有孔ディスク(8)は、バイパス流路(12)に約0.3SLMから約350SLM、または約0.3SLMから約200SLM、または約0.3SLMから約90SLMの範囲の流体の流れを引き起こすように適合または構成されている。
一実施形態では、肺活量計(1)は、>0SLMから約840SLM(またはSLPM;標準リットル/分)の範囲内の任意の流体流量において約0.01から約0.14kPa/(L/s)、または好ましくは約0.01から約0.12kPa/(L/s)、またはより好ましくは約0.01から約0.1kPa/(L/s)の範囲の流れ抵抗またはインピーダンスを呈する。換言すれば、肺活量計(1)の流れ抵抗は、>0SLMから約840SLMの範囲内の任意の流体流量において0.14kPa/(L/s)、好ましくは0.12kPa/(L/s)、より好ましくは0.10kPa/(L/s)の最大値を超えてはならない。さらなる実施形態では、肺活量計(1)は、より高い流体流量、例えば、>約840SLMから約900SLMの範囲内、または好ましくは>約840SLMから約960SLMの範囲内、またはより好ましくは>約840SLMから約1000SLMの範囲内の流体流量においても、約0.01~0.14kPa/(L/s)、または好ましくは約0.01~0.12kPa/(L/s)、またはより好ましくは約0.01~0.1kPa/(L/s)の範囲内の上述した流れ抵抗値を呈する。
本発明にかかる肺活量計(1)の1つの利点は、約115×55×45mmのサイズおよび100g未満の重量で、装置が軽量且つ小型のポケットサイズのハンドヘルドであり、したがって、ユーザ(例えば、コートポケット、ズボンポケットまたはハンドバッグ)によって容易に持ち運ぶことができ、同時に、非常に高い精度で、米国胸部学会(ATS)、欧州呼吸器学会の肺活量測定規格(例えば、Eur Respir J 1997;10:Suppl.24,2s-8s;または「肺活量測定の規格」;Eur Respir J 2005;26:319-338を参照)または(10kgを超える体重のヒトにおける肺機能の評価を目的とした肺活量計の要件を規定する)ISO 26782:2009によって定義されるような完全肺活量測定を可能にし、吸気および呼気の双方の間の測定を含み、病院環境で使用されるような肺活量計の全ての機能を提供するということである。装置は、さらに、ERSによるピーク呼気流量の記述を満たすことができる(例えば、「ピーク呼気流量:欧州呼吸器学会の作業部会の結論および勧告」を参照)。
肺活量計(1)の基本機能は、呼気および吸気流体流量、呼気および吸気の時間および量の測定、ならびに以下の最も一般的なものを含む、対象となる全ての肺活量測定パラメータの計算を含む:ユーザ(呼吸器疾患を患っている患者、または運動選手など)の呼吸機能を評価するために、FVC、FEV、PEFおよびFEV%だけでなく、FEV、SVCまたはMVVなどのパラメータ。
さらに、肺活量計(1)は、以下にさらに詳細に説明するように、温度、圧力および周囲空気湿度などの局所的環境パラメータを連続的に監視する。これは、例えば、事前定義された監視頻度で局所的環境パラメータを監視すること、またはインターバル(例えば、1時間毎、30分毎または15分毎に10秒など)を監視することによって達成され得る。このように、肺活量計(1)のユーザは、自己の肺機能に関する肺活量測定データを測定して受信するだけでなく、例えば肺活量測定時点またはその周辺の環境パラメータに特定のデータ点を一致させることもできる。さらに、これらの環境センサは、例えば、FVC測定値のいわゆるBTPS変換(BTPS:体温圧力飽和)、すなわち、異なる温度、圧力および湿度条件にわたる比較可能性を可能にするために、ATS/ERS肺活量測定規格によって要求されるように、体温および水蒸気で飽和された周囲圧力においてリットルで表される最大強制呼気努力時の肺活量、すなわち、環境条件の標準化(例えば、「肺活量測定の規格」;Eur Respir J 2005;26:319-338を参照)のために使用されてもよい。従来技術の携帯型肺活量計は、これらのセンサを組み込んでいない。したがって、ユーザは、これらのデータを手動で入力する必要があり、これにより、装置の汎用性が低下し、特に一般の人々の場合、誤った測定やデータ解釈のリスクが高まる。
さらなる利点は、肺活量計(1)が一般の人々によって使用することができること、すなわち、医師の診療所および/または病院環境におけるほとんどの肺活量測定試験に現在必要とされる医療スタッフまたは同様のトレーニングを受けたスタッフなしで使用することができ、したがって、自身で使用できる「在宅」肺活量計をユーザに提供するということである。その点に関して、本発明の文脈において、ユーザは、必ずしも呼吸器疾患に苦しんでいる患者ではないことが理解されるべきである。例えば定期的にトレーニングする運動選手について、気道を検査するために使用されるパラメータもまた有用であり、トレーニングの進捗状況を監視してパフォーマンスを追跡することを可能にし、または禁煙の恩恵を評価したい喫煙者についても有用である。
有利なことに、肺活量計(1)は、マイクロコントローラ(14)によって生成された流体の流れに関連するデータを交換するための肺活量計の通信手段を使用して、ユーザのパーソナルコンピュータおよび/またはスマートフォンに接続されることができる。好ましくは、前記接続は、独自の予測アルゴリズムを備えた専用の独自の肺活量計アプリケーション(「アプリ」)によって、または、iOSまたはAndroidスマートフォンで利用可能な既存のヘルスケアアプリに統合された「アドオン」としてサポートされる。
さらにまた、本発明の肺活量計(1)は、完全に電子式であり、従来技術の肺活量計において流量を測定するのに一般的な、回転タービンまたは振動カンチレバーなどの可動部分を備えず、それゆえに、定期的で頻繁な外部校正の必要がない。さらに、肺活量計(1)をオンに切り替えてから装置の使用準備ができるまでに7秒以内ですぐにオンになる。これは、エネルギー効率が良く、したがってバッテリ寿命を節約するだけでなく、例えば、病棟回診、往診中など、装置を医師などの医療スタッフによって「外出先で」使用されるのに適した状態にする。
MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、流体流量測定に対して高い感度を提供するが、同時に振動に対する固有の有害な感受性を被る;すなわち、いかなる流量測定の試みも、例えば使用中にユーザが肺活量計を移動したときなど、流れに関係しない振動が起こるときに、それらによってそれ自体影響を受ける。これは、-本発明者らの現在の知識によれば-MEMSベースの熱流体流量センサを備える携帯型の手持ち式でさらに動作可能で完全に機能的な肺活量計が実際にはこれまで開発されていない理由の1つであり得る。本発明は、多くの他の装置が吸気および呼気肺機能評価の双方をさらに可能にするのとは異なり、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は携帯型の電子手持ち式肺活量計に組み込むことができ、正確且つ再現可能な、または正確な(完全)肺活量測定が可能になるという予期せぬ発見に基づいている。これは、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)を約1mmから約16mmの範囲の断面積(A)を呈するバイパス流路(12)に配置し、主流路(5)内の空気流の特定の部分をバイパス流路(12)にリダイレクトするために、約200mmから約1400mmの範囲の断面積(A)を呈する主流路(5)に断面方向に配置された有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部を設けることによって達成される。主流路およびバイパス流路(5、12)の主張された表面積範囲を選択するとき、およびこのように肺活量計(1)にMEMSベースの熱流体流量センサ(13)を組み込むとき、センサ(13)は、ファンベースのトランスデューサ(タービン)など、従来の携帯型肺活量計において通常使用されている異なる流量センサよりも高い精度、再現性、および感度を提供する。さらに、肺活量計(1)の本体(9)に含まれるバイパス流路(12)にMEMSベースの熱流体流量センサ(13)を配置することによって、それはまた、それを損傷するか、または測定の正確さおよび/または精度に影響を与える可能性がある唾液および/または生体粒子への直接的な曝露から保護される。
精度、再現性、および感度は、主に以下を注意深く適合または構成することによって達成される:i)主流路(5)の断面(A)に対するバイパス流路(12)の断面(A)、およびii)有孔ディスク(8);適切な選択に関するさらなる入力については、以下により詳細に記載される。それにもかかわらず、前記MEMSベースの熱流体流量センサ(13)に加えて、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)とは異なり且つ主流路(5)またはバイパス流路(12)に接続されていない加速度センサ(15)を使用することにより、精度、再現性、および感度をさらに高めることができる。この加速度センサ(15)、好ましくは携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)内、特に携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)の本体(9)内に組み込まれる加速度センサ(15)は、以下にさらに詳述するように計算された流量の補正を可能にする。加速度センサ(15)は、さらに、測定中に動きが検出された場合にユーザに警告すること、および必要に応じてユーザに自身の位置を修正し且つ測定を反復するように指示すること、および/または長期分析において誤って実行された操作(例えば、大幅な頭の動きをともなう操作)を無視することを可能にする;それにより、単一の操作の質ならびに肺機能パラメータの長期分析を改善する。最終結果において、加速度センサ(15)はまた、肺活量計(1)の肺活量測定の感度、精度、および再現性、または精度の臨床的に適切な改善を可能にする。
一実施形態では、肺活量計(1)の平均精度は、ATS/ERS基準を満たす;すなわち、本発明の肺活量計(1)を用いて判定されたパラメータは、せいぜい基準流量曲線からの許容値だけ異なる(「肺活量測定の企画」における肺活量計の精度試験;Eur Respir J 2005;26:319-338のページ333;または10kgを超えるヒトの体重における肺機能の評価を目的とした肺活量計の要件を規定するISO 26782:2009を参照)。0.3L/秒未満の低流量であっても、精度は最大で±3%である。反復性、または換言すれば再現性または精度は、±0.5%である。
実際、特許請求の範囲に記載の本発明の肺活量計(1)、および好ましくは前記MEMSベースの熱流体流量センサ(13)に加えて主流路(5)またはバイパス流路(12)に接続されていない加速度センサ(15)を有する肺活量計(1)におけるMEMSベースの熱流体流量センサ(13)の使用は、装置が心拍によって気管を出入りする空気の微小移動をさらに測定するのに十分な感度を有する状態にし、従来の肺活量計では利用できなかった新たな医療用途を可能にする。発明者の知る限りでは、従来技術の他の携帯型肺活量計はこれほど敏感ではない。
本発明の肺活量計(1)のさらに他の利点は、特にマウスピース(2)と本体(9)とが互いに着脱可能である実施形態の場合、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)が本体(9)に含まれるバイパス流路(12)に配置されていることから、マウスピース(2)が、前記流量センサ(13)を損傷する可能性がある、あるいはその測定の正確さおよび/または精度に影響を及ぼすというリスクなしに、本体(9)から容易に且つ安全に取り外すことができるということである。これは、本体内への着脱可能なマウスピースの正確な(再)配置のみが例えば圧力センサなどの流量センサの適切な機能ならびに正確さおよび精度を保証するという従来技術の装置の制限を克服する。本発明の肺活量計(1)は、本体(9)に一方または一方向にのみ嵌合するように設計されたマウスピース(2)を備え、上述したように、2つの部品の誤った配置および/または誤った組み立てを防止する。
管状マウスピース(2)の主流路(5)は、主流路を介して吸い込むまたは吐き出す際にユーザの開口の形状に部分的に類似するように、典型的には中空円柱、または実質的に円柱または楕円柱として整形される。必要に応じて、円筒は、先端開口(4)に向かって僅かに先細になっていてもよい;例えば、基端開口(3)における約31mmの外径から先端開口(4)における約29mmの外径まで、約110から120mmの長さにわたって徐々に狭まる。
一般に、基端開口(3)における主流路(5)の直径は、意図するユーザの口に快適にフィットし、ユーザがマウスピース(2)を唇で効果的にシールできるように選択されるべきである。例えば、成人のユーザにとって約30mmの基端開口(3)における外径は、乳児または小児にとって適切でより小さな直径であろう。必要に応じて、唇とマウスピース(2)との間のシール性を向上させるために、ユーザの歯に小さな溝または隆起部を設けてもよい。
同時に、遠位開口(4)の主流路(5)の内径は、流れ抵抗が大きくなりすぎないように十分に大きく選択される必要があり、例えば、前記内径は、好ましくは、ユーザの気管よりも小さくてはならない。
上述した肺活量計(1)の一実施形態では、主流路(5)の断面積(A)は、約250mmから約1300mm、または約350mmから約1100mm、または約450mmから約800mm、または約530mmから約760mmの範囲である。好ましい実施形態の1つでは、主流路(5)の断面積(A)は、587mmなど、約550mmから約630mmの範囲である。管状マウスピース(2)が先細りの形状を示す場合(通常、上流端の近位開口のより大きな直径から下流端の遠位開口まで徐々に狭くなる)、少なくとも有孔ディスク(8)の位置での主流路(5)の断面積(A)は、上述した範囲内にあり、例えば、特定の実施形態では、有孔ディスク(8)の位置での主流路(5)の断面積(A)は、587mmなど、約550mmから約630mmの範囲にある。
図1A~図1Cに示す実施形態では、管状マウスピース(2)の前端(2.1)、すなわち、基端開口(3)を含む端部は、管状マウスピース(2)の一体部品として構成される。あるいは、この前端(2.1)は、管状マウスピース(2)の着脱可能な部品として構成されてもよく、ユーザの唇や舌に触れた後、それを清掃するために、または破棄もしくは交換するために、マウスピース(2)のこの前端部(2.1)を除去することを可能にしてもよい。着脱可能な前端(2.1)は、清掃を容易にし、(該当する場合には)複数の患者環境における使い捨て部品の使用を可能にする。
あるいは、または上述した選択された主流路(5)の断面積(A)に加えて、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mmから約12mm、または約1mmから約11mm、または約1mmから約10mm、または約1mmから約9mm、または約1mmから約8mm、または約1mmから約7mm、または約1mmから約6mm、または約1mmから約5mm、または約1mmから約4mmの範囲内で選択されることができる。例えば、一実施形態では、主流路(5)の断面積(A)は、約250mmから約1300mmの範囲であり、および/またはバイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mmから約9mmの範囲である。好ましい実施形態の1つでは、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mm、または約1.1mm、または約1.2mm、または約1.3mm、または約1.4mm、または約1.5mm、または約1.6mm、または約1.7mm、または約1.8mm、または約1.9mm、または約2mm、または約2.1mm、または約2.2mm、または約2.3mm、または約2.4mm、または約2.5mm、または約3.2mm、または約4mmから選択される。
一実施形態では、バイパス流路(12)の断面積(A)に対する主流路(5)の断面積(A)の比は、約12から約1400まで、または約15から約1300まで、または約21から約1100まで、または約28から約800まで、または約33から約760までの範囲内で選択され得る。特定の実施形態では、バイパス流路(12)の断面積(A)に対する主流路(5)の断面積(A)の比は、約22から約1400まで、または約27から約1300まで、または約38から約1100まで、または約50から約800まで、または約58から約760までの範囲である。さらに特定の実施形態では、バイパス流路(12)の断面積(A)に対する主流路(5)の断面積(A)の比は、約50から約1400まで、または約62から約1300まで、または約87から約1100まで、または約112から約800まで、または約132から約760までの範囲である。
さらに別の特定の実施形態では、バイパス流路(12)の断面積(A)に対する主流路(5)の断面積(A)の比は、約100から約800まで、または約115から約700まで、または約130から約600までの範囲である。
好ましい実施形態の1つでは、主流路(5)の断面積(A)は、約530mmから約760mm、または約550mmから約630mm(例えば、約587mm)の範囲内で選択され、
バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mmから約4mmの範囲である。例えば、主流路(5)の断面積(A)は、約587mmとすることができ、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約3.2mm、または約4mmから選択されることができる。
特定の実施形態では、主流路(5)の断面積(A)は、約530mmから約760mm、または約550mmから約630mm(例えば、約587mm)の範囲であり、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約9mmであり、バイパス流路(12)内の流体の流れは、約0.3SLMから約350SLMの範囲である。さらに特定の実施形態では、主流路(5)の断面積(A)は、約530mmから約760mm、または約550mmから約630mm(例えば、約587mm)の範囲であり、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約4mmであり、バイパス流路(12)内の流体の流れは、約0.3SLMから約200SLMの範囲である。
さらに特定の実施形態では、主流路(5)の断面積(A)は、約530mmから約760mm、または約550mmから約630mm(例えば、約587mm)の範囲であり、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mmであり、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約9mmであり、バイパス流路(12)内の流体の流れは、約0.3SLMから約90SLMの範囲である。
バイパス流路の(12)断面は、円形、または実質的に円形、半円形、楕円形、長方形、または実質的に長方形、または多角形、あるいは丸い「底」と平らな「天井」を備えたU字形などの「混合形状」を呈することができる。形状の選択は、肺活量計(1)の使用中に、準備プロセス、およびバイパス流路(12)内、またはバイパス流路(12)内に配置されたMEMSベースの熱流体流量センサ(13)においてもしくはその周辺で層流を達成するための優先度によって部分的に導かれることができる。
一実施形態では、バイパス流路(12)は、長方形または実質的に長方形の断面を有する。特定の実施形態では、バイパス流路(12)は、二次、または実質的に二次の断面を有し、これは、長方形または実質的に長方形の断面よりも、バイパス流路(12)において、僅かに安定した、より均一に分布した、より層流の流体の流れを提供し得ると推定される。
さらに特定の実施形態では、バイパス流路(12)は、約1×1mmから約4×4mmの範囲の二次または実質的に二次の断面を呈する。さらに別の特定の実施形態では、バイパス流路(12)は、約1×1mmから約3×3mmの範囲、または約1×1mmから約2×2mmの範囲の二次または実質的に二次の断面を呈する。好ましい実施形態の1つでは、バイパス流路(12)は、約1×1mm、約1.05×1.05mm、約1.10×1.10mm、約1.14×1.14mm、約1.18×1.18mm、約1.22×1.22mm、約1.26×1.26mm、約1.30×1.30mm、約1.34×1.34mm、約1.38×1.38mm、約1.41×1.41mm、約1.45×1.45mm、約1.48×1.48mm、約1.52×1.52mm、約1.55×1.55mm、約1.58×1.58mm、約1.78×1.78mm、または約2×2mmから選択される二次または実質的に二次の断面を呈する。
上述したように、有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部はまた、MEMSベースの熱流体流量センサ(13;または、以下では流量センサ(13)とも略称される)によって-バイパス流路(12)と組み合わせて-主流路(5)内の空気流の正確且つ再現可能な、または正確な測定を可能にする肺活量計(1)に備えられる。
有孔ディスク(8)は、バイパス流路(12)へとおよび流量センサ(13)を越えて主流路(5)を通過する流体の流れの一部、すなわち吸い込まれたまたは吐き出された空気流を方向付けるために使用される。これは、流量センサ(13)が非常に敏感であるために重要である。すなわち、主流路(5)内の流量のほんの一部のみをバイパス流体流路(12)に向け直すことによって、流量センサ(13)は、主流路(5)内の流量と高い相関を有する信号を生成することが可能にされる。さらにまた、流量センサ(13)は、装置の移動または加速度から生じる可能性がある振動またはノイズに敏感である;したがって、それを主流路(5)から遮蔽することは、さらに、高精度且つ正確な流量測定を確実にするのに役立つ。
一実施形態では、有孔ディスク(8)は、主流路(5)内で固定されているか、動かないか、または動くことができない。換言すれば、それは、流体の流れにさらされたときに主流路(5)内で移動または変形しないのに十分な剛性を示す機械的流れ制限部(8)である(例えば、欧州特許出願公開第0552916号明細書の図18のような可動の「フラップ型」流れ制限部とは異なる)。
一実施形態では、有孔ディスク(8)は、ディスク(8)の穿孔(8.1)を介してのみ流体が流れることを可能にするように、主流路(5)の内径と一致する直径を呈する。
必要に応じて、例えば図2に示されるように、有孔ディスク(8)は、主流路(5)の長手方向軸に垂直に配置される。
有孔ディスク(8)は、例えば、例えば(成人、小児、乳児など)流量制限値を調整するためにより容易に交換可能である点で、主流路内のベンチュリ部と比較して有利である。必要に応じて、管状マウスピース(2)は、肺活量計(1)の輸送および/または使用中にマウスピース(2)内に固定状態でそこに保持または不動化されるように有孔ディスク(8)をスライドさせることができる専用溝を含むことができる。有孔ディスク(8)は、さらに、主流路(5)およびバイパス流路(12)内の予測されない乱流を回避するのに不可欠な空気層流を維持することを可能にする。さらにまた、有孔ディスクは、乱流がほとんどなく非常に滑らかな空気流を可能にし、主流路(5)内のノイズが限られている信号を可能にするという点で好ましい場合がある。さらに、有孔ディスクは、通常、準備が簡単であり、例えば、成形または3D印刷技術を使用する。
一実施形態では、有孔ディスク(8)は、約15から約100個の穿孔(8.1)を呈する。例えば、有孔ディスク(8)は、約20個から約90個の穿孔、または約20個から約80個の穿孔、または約25個から約80個の穿孔、または約25個から約75個の穿孔、または約30個から約75個の穿孔、または約30個から約70個の穿孔、または約35個から約65個の穿孔を呈することができる。これらの穿孔(8.1)は、実質的に円形、楕円形、または多角形の形状とすることができる。多角形の穿孔(8.1)の場合、正六角形、正八角形などの正多角形、すなわち、エッジの長さが等しい多角形が好ましい。必要に応じて、複数の形状の穿孔(8.1)は、多数の正六角形の穿孔(8.1)と多数の円形の穿孔(8.1)などを互いに組み合わせることができる。さらに必要に応じて、穿孔(8.1)は、全ての穿孔に対して同じサイズを有するか、または異なるサイズの穿孔(8.1)のセットを呈することができる。
代替的にまたは追加的に、これらの穿孔(8.1)は、有孔ディスク(8)の位置での主流路(5)の断面積の約26%から約72%、または約28%から約60%、または約28%から約50%、または約30%から約50%、または約32%から約48%、または約34%から約46%、または約36%から約44%、または約38%から約42%の範囲の全ての穿孔(8.1)の合計面積を呈することができる。換言すれば、約28%から約35%(例えば、約30%、または約32%、または約34%)または約40%から約50%(例えば、約43%、または約45%、または約47%、または約49%)など、有孔ディスク(8)の断面積の約26%から約72%、または約28%から約60%、または約28%から約50%、または約30%から約50%、または約32%から約48%、または約34%から約46%、または約36%から約44%、または約38%から約42%が開口/穿孔され、したがって、空気または流体を通過させる(この面積はまた、本明細書では「有孔面積」(A)とも呼ばれる)。
全ての実施形態について、「有孔面積」(A)は、穿孔(8.1)の数の調整および/または穿孔(8.1)のサイズもしくは表面積の調整を介して双方制御可能である。
特定の実施形態では、有孔ディスク(8)は、約35個から約80個、または約45個から約70個の穿孔、または約50個から約60個の穿孔(8.1)を備えており、前記穿孔(8.1)は、有孔ディスク(8)の総表面積の約26%から約72%の「有孔表面積」(A)を呈する。さらに特定の実施形態では、有孔ディスク(8)は、約587mmなどの約550mmから約630mmの範囲、約40個から約70個の穿孔(8.1)(例えば、55個)の総表面積を呈し、前記穿孔(8.1)は、穿孔の約160mmから約205mm(例えば、約175mm)、または穿孔ディスクの(8)総表面積の約28%から約35%(例えば、約30%)の「有孔表面積」(Ap)を呈する。さらに他の特定の実施形態では、穿孔(8.1)は、図3Aに例示的に示されているように正六角形として整形される。
他の特定の実施形態では、有孔ディスク(8)は、約587mmなどの約550mmから約630mmの範囲、約35個から約50個の穿孔(8.1)(例えば、37個)の総表面積を呈し、前記穿孔(8.1)は、穿孔の約235mmから約285mm(例えば、約262mm)、または穿孔ディスクの(8)総表面積の約40%から約50%(例えば、約45%)の「有孔表面積」(A)を呈する。より具体的な実施形態では、穿孔(8.1)は、図3Bに例示的に示されるように円形、または実質的に円形を呈する。必要に応じて、全ての円形または実質的に円形の穿孔は、3mmの直径を呈することができる。
さらに特定の実施形態では、主流路(5)の断面積(A)は、約530mmから約760mmの範囲であり、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mmから約4mmの範囲である。
有孔ディスク(8)は、円形、または実質的に円形、または正多角形の形状を有する約30個から約70個の穿孔(8.1)、および有孔ディスク(8)の位置での主流路(5)の断面積の約30%から約50%の全ての穿孔(8.1)の合計面積を呈する。
例えば、好ましい実施形態の1つでは、主流路(5)の断面積(A)は、587mmなど、約550mmから約630mmの範囲である。
バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mm、または約1.5mm、または約2mm、または約2.5mm、または約3.2mm、または約4mmなど、約1mmから約4mmの範囲内で選択されることができ、必要に応じて、長方形または実質的に長方形の断面(例えば、二次、または実質的に二次)を呈することができる。
有孔ディスク(8)は、約35個から約50個の円形または実質的に円形の穿孔(8.1)、および有孔ディスク(8)の位置での主流路(5)の断面積の約40%から約50%の全ての穿孔(8.1)の合計面積を呈する。
さらに好ましい実施形態の1つでは、主流路(5)の断面積(A)は、約587mmなどの約550mmから約630mmの範囲であり、バイパス流路(12)の断面積(A)は、約1mmまたは約4mmから選択され、有孔ディスク(8)は、約35個から約50個の穿孔(例えば、37個)の円形または実質的に円形の穿孔(8.1)、および有孔ディスク(8)の位置での主流路(5)の断面積の約40%から約50%(例えば、約45%)の全ての穿孔(8.1)の合計面積を呈する。
有孔ディスク(8)の「有孔面積」(A)に関して、この面積はまた、その断面積(A)などのバイパス流路(12)の寸法、より具体的には、主流路(5)の断面積(A)に対するバイパス流路(12)の断面積(A)に依存する、および/またはそれに関連して調整されることを理解されたい。例えばバイパス流路(12)の断面積(A)が大きいほど、より多くの空気をそこに向け直されることができ、そのため、有孔ディスク(8)は、同様により大きな「有孔面積」(A)を呈する必要がある。一実施形態では、バイパス流路(12)の断面積(A)に対する有孔ディスク(8)の「有孔面積」(A)の比率は、250など、約150から約350の範囲である。しかしながら、バイパス流路(12)の断面積(A)に対する有孔ディスク(8)の「有孔面積」(A)の正確な比率は、上述したように、有孔ディスク(8)が、主流路(5)内の流体の流れの約1:2.5から約1:200、または約1:4.5から約1:200、または約1:10から約1:200、および/または約0.3SLMから約350SLM、または約0.3SLMから約200SLM、または約0.3SLMから約90SLMの範囲のバイパス流路(12)内の流体の流れを引き起こす限り、関連性が低いことを理解されたい。
有孔ディスク(8)は、約0.01から約0.15kPa/(L/s)の範囲の流れ抵抗またはインピーダンスを提供するのに必要とされる所望の形状およびサイズの穿孔を提供するために;および/または主流路(5)内の流量の約1:2.5から約1:200まで、または約1:4.5から約1:200まで、または約1:10から約1:200までの流量をバイパス流路(12)内に生じさせるために適した任意の技術によって調製され得る。これは、例えば、レーザカッターまたはウォータージェットカッター、ダイカッター、パンチなどを使用して穿孔(8.1)をディスク(8)に切断するまたは打ち抜くことによって達成され得る。あるいは、ディスク(8)は、3D印刷技術などによって成形されるか、あるいは「能動的に」形成されてもよい。換言すれば、「穿孔」という用語は、本明細書では「開口」または「孔」などと同義的に使用され、切断、パンチングまたは打ち抜きまたはブランクディスクから材料を除去することによって穿孔を形成する同様の技術を必然的に含む特定の調製方法を暗示することを意図しない。
有孔ディスク(8)は1つの部品として有利に成形することを可能にするために、例えば工業用ガス流量測定用途において使用されるものと比較して変更された。一実施形態では、有孔ディスク(8)は、約1mmから約4mmの幅または厚さを備えている。さらなる実施形態では、有孔ディスク(8)は、成形または3D印刷され、約1mmから約4mmの幅または厚さを呈する。さらに別の実施形態では、有孔ディスク(8)は、約1から4mmの幅または厚さ、約587mmなどの約550mmから約630mmの範囲の総表面積、例えば37個などの35個から50個の穿孔(8.1)、有孔ディスク(8)の総表面積の約40から50%(例えば、45%)の「有孔表面積」(Ap)を呈する。
一実施形態では、肺活量計(1)の主流路(5)の長手方向軸に沿った有孔ディスク(8)と第1の横開口(6)との間の距離は、約5mmから約15mm、好ましくは約8mmから約12mm、例えば10.0mmであり、有孔ディスク(8)と第2の横開口(7)との間の距離は、約25mmから約45mm、好ましくは約30mmから約40mm、例えば34.2mmである。しかしながら、第1の横開口(6および7)の間の有孔ディスク(8)の正確な間隔は、上述したように、有孔ディスク(8)が、主流路(5)内の流体の流れの約1:2.5から約1:200、または約1:4.5から約1:200、または約1:10から約1:200、および/または約0.3SLMから約350SLM、または約0.3SLMから約200SLM、または約0.3SLMから約90SLMの範囲であるバイパス流路(12)内の流体の流れを引き起こす限り、関連性が低いことを理解されたい。
本発明によれば、肺活量計(1)は、バイパス流路(12)内の流体の流れに応答して信号を生成するためのMEMSベースの熱流量センサ(13)を備えている。この目的のために、MEMSベースの熱流量センサ(13)およびバイパス流路(12)の双方が、肺活量計(1)の本体(9)の一部であるか、またはその内部に収容され、MEMSベースの熱流量センサ(13)は、バイパス流路(12)に配置される。
好ましい実施形態の1つでは、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、バイパス流路(12)の長手方向軸の1つに垂直であるバイパス流路(12)の横軸の1つに中央に配置される。例えば、特定の実施形態では、バイパス流路(12)は、1×1mmまたは2×2mmの二次または実質的に二次の断面を有し、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、0.7mmの側面の長さまたは-センサの形状に応じて-直径を有し、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、それぞれ0.15mmまたは0.65mmのバイパス流路(12)の2つの隣接する側壁のそれぞれに距離を有するように中央に配置される。そのような中央位置決めは、従来技術の携帯型肺活量計と比較した場合、本発明の第1の態様にかかる肺活量計(1)で観察される高精度、再現性および感度を提供するタスクにおける重要な貢献であると考えられる。
必要に応じて、好ましい実施形態の1つでは、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、それを通って前記流路(12)の「管腔」に到達し且つ前記「管腔」およびそれを通過する流体の流れと流体的に接続する、バイパス流路(12)の壁と同一平面になるように配置されることができる。換言すれば、バイパス流路(12)は、その側壁に開口を呈し、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)が、バイパス流路(12)の側壁と同一平面になるように、または少なくとも前記開口を直接取り囲むバイパス流路(12)の側壁と同一平面にあるように配置される。バイパス流路(12)の側壁と同一平面になるようにMEMSベースの熱流体流量センサ(13)を配置することは、センサがバイパス流路(12)を通る層流との干渉を最小にし、したがって、感度および精度が向上するという利点を提供するという点で好ましい。
あるいは、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、例えば、バイパス流路(12)のほぼ中央の長手方向軸に且つ周囲の全てのバイパス流路(12)の壁にほぼ等距離に配置されるように、バイパス流路(12)の「管腔」にさらに到達することができる。
さらに必要に応じて、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、バイパス流路(12)の長手方向軸の1つに垂直であるバイパス流路(12)の横軸の一方の中央、およびバイパス流路(12)の長手方向軸の1つの中央の双方に配置されることができる。
一実施形態では、肺活量計(1)のMEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、吸気および呼気の双方の間の測定などを可能にする双方向流量センサ(13.1)である。この構成では、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1)は、以下の関連する全ての肺活量パラメータを判定することができる:FVC、FEV1、FEV1%、PEF、FEF25-75%、FET、EVOL、ELA、VC、IVC、IC、ERV、FEV/FVC、FEV0.5、FEV0.5/FVC、FEV0.75、FEV0.75/FVC、FEV、FEV/FVC、FEV、FEV/FVC、FEV、FEV/FEV6%、FEF25%、FEF0.50%、FEF0.75%、FEF75-85、FIVC、FIV、FIV/FIVC、FIF0.25%、FIF50%。最も一般的に評価されるパラメータは、FVC、FEV、FEV、PEFである。
より具体的な実施形態では、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、センサチップを備えるモノリシックCMOS流量センサ(13.2;相補型金属酸化膜半導体)であり、チップは、カプセル化された気泡と、気泡を加熱するためのマイクロヒータと、気泡の第1の側に配置された第1の複数の熱電対列と、第1の側とは反対側の気泡の第2の側に配置された第2の複数の熱電対列とを備える(例えば、それぞれ、上流および下流側と称される)。熱電対は、例えば、アルミニウム/ポリシリコン熱電対とすることができる。
電気熱電対を使用するこの特定の種類のMEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、熱電変換を介して動作し、以下の差動測定を可能にする:流体の流れがゼロの場合、温度は、上流の熱電対と下流の熱電対の双方で同じであり、双方とも同じ電圧を出力させる。ゼロ以外の流体の流れの下では、流体の流れの速度がマイクロヒータ全体の温度プロファイルを乱し、熱の非対称性または温度勾配を引き起こし、その結果、上流の熱電対と下流の熱電対の電圧出力を異ならせる。そのような電気変換差動測定を使用して、オフセットやドリフトのない優れた感度とバイアスのない出力電圧を有することを可能にし、これは、上述した全ての関連する肺活量パラメータの信頼できる測定に必要とされる。対照的に、他のほとんどの「熱量測定タイプの流量センサ」(例えば、空気流によって冷却されている間に抵抗器の抵抗を測定するように動作する熱抵抗センサ)は、本発明の肺活量計(1)での使用には不適切である。
さらに特定の実施形態では、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、センサチップを備えるモノリシックCMOS流量センサ(13.2;相補型金属酸化膜半導体)であり、チップは、カプセル化された気泡と、気泡を加熱するための複数の動的に制御される熱抵抗を備える加熱ロッドの形態のマイクロヒータと、列状に配置され且つ気泡の第1の側に位置する第1の複数の熱電対列と、列状に配置され且つ第1の側とは反対側の気泡の第2の側に位置する第2の複数の熱電対列とを備える。この場合も、熱電対は、例えば、アルミニウム/ポリシリコン熱電対とすることができる。
さらに特定の実施形態では、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、センサチップを備える双方向モノリシックCMOS流量センサ(13.1、13.2)であり、チップは、カプセル化された気泡と、気泡を加熱するための複数の動的に制御される熱抵抗器を備える加熱ロッドの形態のマイクロヒータと、列状に配置され且つ気泡の第1の側に位置する第1の複数の熱電対列と、列状に配置され且つ第1の側とは反対側の気泡の第2の側に位置する第2の複数の熱電対列とを備える。特定の実施形態では、加熱ロッドは、気泡を加熱するための4つの動的に制御される熱抵抗器を備える。熱電対は、例えば、アルミニウム/ポリシリコン熱電対とすることができる。
気泡を加熱するための複数の動的に制御される熱抵抗器(例えば、4つの熱抵抗器)を備える加熱ロッドの形態のマイクロヒータとともにこの種のMEMSベースの熱流体流量センサ(13)を使用する利点の1つは、バイパス流路(12)内の流体の流れが増加すると、それに応じてヒータ電力が飽和するまでヒータ電力が増加することである。複数の動的に制御される熱抵抗器により、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)はまた、例えば海抜0~3000メートルおよび-5℃から+40℃の範囲の温度などの非常に広範囲の環境条件でも使用されることができる。さらに、複数の動的に制御される熱抵抗器により、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)はまた、例えば、1つのみの熱抵抗器を有するMEMSベースの熱流体流量センサから約0~200SLMの測定範囲から約0~800SLMの範囲まで、さらには4つの熱抵抗器によって0~1000SLMまでなど、この複数の抵抗器が4~6倍の測定範囲の増加を可能にするため、より広い範囲の流量で使用されることができる。さらにまた、この種のMEMSベースの熱流体流量センサ(13)を使用して、熱電対を列状または直列に配置すると、精度と測定範囲が大幅に向上する。熱電対は、例えば、アルミニウム/ポリシリコン熱電対とすることができる。
好ましい実施形態では、熱電対列(例えば、アルミニウム/ポリシリコン熱電対列)は、流体の流れまたはガス流の存在下で熱電対列がa)流量が計算され得る、およびb)呼気温度が判定され得る温度差を示すように、マイクロヒータの上流および下流に、好ましくは流れ方向(すなわち、流体の流れの方向に平行)に対称的に配置される;すなわち、そのようなモノリシックCMOS流量センサ(13.2)はまた、呼気温度センサ(26)としても機能する。センサチップは、例えば図4に示すようにマイクロコントローラ(14)とともに印刷回路基板上に実装され得る。
さらに好ましい実施形態の1つでは、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、上述したようにカプセル化された気泡を有するセンサチップを含む双方向モノリシックCMOS流量センサ(13.1、13.2)であり、バイパス流路(12)は、長方形または実質的に長方形(例えば、二次または実質的に二次)の断面を有し、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)がバイパス流路(12)の「管腔」と流体接続する前記バイパス流路(12)の側壁の幅が、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)の位置において、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)よりも数ミリメートルしか大きくない、より具体的には、約0.1~6mmしか大きくないように、好ましくは、約0.2から4mmしか、より好ましくは、約0.3から3mmしか大きくないように適合される。例示的な実施形態では、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)は、0.8mmの幅を呈し、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)がバイパス流路(12)の「管腔」と流体接続するバイパス流路(12)の側壁は、MEMSベースの熱流体流量センサ(13)の位置において、1.0mmの幅を呈し、したがって、センサ内の気泡が最適化された方法で流体の流れと相互作用することを可能にし、したがって、測定の精度を最大化する。
特定の実施形態では、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)とマイクロコントローラ(14)との通信は、いわゆるSPIバス(シリアル周辺インターフェース)を介して達成される。
MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)-または以下では流量センサ(13、13.1、13.2)と略称-は、バイパス流路(12)内の流量に応じて信号を生成するためにバイパス流路(12)に配置される。上述したように、バイパス流路(12)は、第1から第2の流体開口(10、11)まで延びており、したがって、-肺活量計(1)の管状マウスピース(2)および本体(9)が互いに取り付けられる限り-主流路(5)とバイパス流路(12)との間の流体連通が提供されるように、管状マウスピース(2)の第1から第2の横開口(6および7)までも延びている。一実施形態では、バイパス流路(12)は、主流路(5)の長手方向部分に対して平行な向きを有して延びている。これは図2からわかる。
一実施形態では、肺活量計(1)は、例えば図4に示すように、流量センサ(13、13.1、13.2)とは異なる加速度センサ(15)をさらに備える。換言すれば、この実施形態の携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)は、以下を備える:
(a)ユーザの口に挿入するための近位開口(3)と、遠位開口(4)と、近位開口(3)と遠位開口(4)との間に延在し且つ約200mmから約1400mmの範囲の断面積(A)を呈する主流路(5)と、第1の横開口(6)と、第1の横開口(6)に対して長手方向距離に配置された第2の横開口(7)と、第1および第2の横開口(6および7)の間において主流路(5)内で断面方向に配置された有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部とを備えた管状マウスピース(2)と、
(b)マウスピース(2)の第1の横開口(6)に接続可能な第1の流体開口(10)と、マウスピース(2)の第2の横開口(7)に接続可能な第2の流体開口(11)と、第1および第2の流体開口(10および11)の間に延在し且つ約1mmから約16mmの範囲の断面積(A)を呈するバイパス流路(12)と、バイパス流路(12)内の流体の流れに応答して信号を生成するためにバイパス流路(12)に配置されたMEMSベースの熱流体流れセンサ(13、13.1、13.2)と、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)とは異なる加速度センサ(15、15.1)と、流量センサ(13、13.1、13.2)によって生成された信号から流量を計算するために流量センサ(13、13.1、13.2)に接続されたマイクロコントローラ(14)と、肺活量計(1)のマイクロコントローラ(14)によって生成された流量に関連するデータを交換するための通信手段とを備えた本体(9)と、を備え、
i)主流路(5)の断面に対するバイパス流路(12)の断面、およびii)有孔ディスク(8)は、肺活量計(1)の流れ抵抗が0.15kPa/(L/s)を超えないような方法で適合または構成されている。
この加速度センサ(15)は、通常は、例えば印刷基板上など、肺活量計の本体(9)の一部として、肺活量計(1)の内部および/またはその一体部に組み込まれることが好ましいことが理解されるべきである;換言すれば、加速度センサ(15)は、肺活量計(1)とは別にまたは外部に設けられていない。この設定は、流量センサ(13、13.1、13.2)とは異なるが、加速度センサ(15)が依然として流量センサ(13、13.1、13.2)と同一または非常に類似した外部の影響(温度、移動、振動など)にさらされることを確実にするように;および/または、達成された感度が高精度肺活量測定に必要とされる感度と一致することを確実にするように選択される。流量センサ(13、13.1、13.2)と同様に、この加速度センサ(15)は、マイクロコントローラ(14)が加速度センサ(15)からの信号を受信することができるように、マイクロコントローラ(14)と直接的または間接的に接続されている。加速度センサ(15)は、例えば、図4に示すように流量センサ(13、13.1、13.2)およびマイクロコントローラ(14)とともに印刷回路基板上に実装され得る。しかしながら、流量センサ(13、13.1、13.2)とは異なり、この加速度センサ(15)は、肺活量計(1)の移動、または加速度によって引き起こされる振動、またはノイズに主に関連する信号を生成するように主流路(5)またはバイパス流路(12)に接続されていない。
上述した好ましい実施形態における流れを制限する有孔ディスク(8)は、前述の有孔ディスク(8)のいずれか1つ、好ましくは約15個から約100個の穿孔(8.1)または30個から約70個の穿孔(8.1)を含む有孔ディスク(8)、例えば、約587mmなどの約550mmから約630mmの範囲の総表面積、約160mmから約205mm(例えば、約175mm)、またはディスクの総表面積の約28%から約35%(例えば、30%)の「有孔表面積」(Ap)を有する約40個から約70個の六角形の穿孔(8.1)(例えば55個)を有する有孔ディスク(8)、または約235mmから約285mm(例えば、262mm)、またはディスクの総表面積の約40%から約50%(例えば、約45%)の「有孔表面積」(Ap)を有する約35個から約50個の穿孔(例えば、37個)の円形、または実質的に円形の穿孔(8.1)を有する有孔ディスクとすることができる。
上述したように、流量センサ(13、13.1、13.2)は、例えば肺活量計(1)の移動または加速度から生じる振動またはノイズに対してかなり敏感である。したがって、主流路(5)にもバイパス流路(12)にも接続されていないが肺活量計(1)の内部、特に肺活量計(1)の本体(9)の内部に組み込まれている追加の加速度センサ(15)は、それらがそのような流れに関連しない振動またはノイズを検出し、それを流量センサ(13、13.1、13.2)によって生成された流量信号から差し引くことを可能にする、および/または流量センサ(13、13.1、13.2)の測定が適切な条件下(著しいノイズがないおよび/またはユーザが呼吸操作中に動くことによって引き起こす可能性があるために線形加速がないなど)で行われたことの検証を可能にするように、場合によっては、肺活量計(1)のユーザが不適切な測定を繰り返すように案内するように、計算された流量の補正を可能にする。換言すれば、加速度センサ(15)は、計算された流体の流れの値を修正できるようにすることで、肺活量測定の質を確認するために使用される(例えば、ユーザまたは患者が肺活量計を介して呼吸するときに通常発生する、より小さく規則的な動きの場合)一方で、より大きく、より強力な動きの場合、加速度センサ(15)は、より少ない動きで呼吸操作を繰り返すようにユーザまたは患者に警告するのに役立つ。
一実施形態では、肺活量計(1)のマイクロコントローラ(14)は、流量センサ(13、13.1、13.2)によって生成された信号および加速度センサ(15)によって生成された信号から補正された流体流量を計算するようにプログラムされている。特定の実施形態では、マイクロコントローラ(14)は、流量センサ(13、13.1、13.2)および加速度センサ(15、15.1)の双方に接続され、流量センサ(13、13.1、13.2)によって生成された信号からおよび加速度センサ(15、15.1)によって生成された信号から補正された流量を計算するようにプログラムされている。
より具体的な実施形態では、加速度センサ(15)は、3軸のそれぞれについて少なくとも973カウント/g±5%の感度(So)を有する3軸センサ(15.1)である;典型的には、感度は、例えば1024カウント/gなど、973から1075カウント/gの範囲である;例えば、Freescale Semidconductorsによって供給されるMMA8491QR1ユニットなどである。このMMA8491QR1ユニットは、3×3mmのケースに収容された低電圧、多機能デジタル3軸、14ビット±8g加速度計であり、共通集積回路間バス(ICバス)、またはICインターフェースを介してマイクロコントローラ(14)と通信することができる。MMA8491QR1ユニットは、軸あたり±8の加速度範囲をカバーし、1mg/LSBの感度でセンサからデータを読み取ることができる。
驚くべきことに、請求項に記載の本発明の肺活量計(1)におけるMEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)の使用は、内蔵加速度センサ(15、15.1)および流れ制限部としての有孔ディスク(8)とともに、本発明の肺活量計(1)に対して著しく高い精度を提供することを見出した。実際に、心拍によって気道内外に移動する空気の微小移動を測定するのにも十分に装置を敏感にし、それゆえに、例えば患者の心拍数を同時に監視する可能性に関連した高精度完全肺活量測定などの意図したような完全肺活量測定のみならず従来技術の肺活量計ではこれまで利用できなかった新たな医療用途も可能にする。発明者らの知見によれば、既知の抵抗(例えば、差圧センサ)によって、またはタービンの回転によって、流れ制限部の前後の圧力差のいずれかを測定することによって流量を評価している従来技術の携帯装置によっては、過去においてそのような高い精度は達成できなかった。
さらに、本装置は、容易に且つ低い製造コストで製造することができ、大きなおよび/または重いエネルギー源を必要としない、低価格、軽量、高エネルギー効率であるが高精度の携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)を提供することを可能にする。
一実施形態では、加速度センサ(15、15.1)は、さらに、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)と同様に、呼気の温度を測定するために使用される。
一実施形態では、電子肺活量計(1)は、好ましくは加速度センサ(15、15.1)に加えて、ジャイロスコープ(29)をさらに備え、または換言すれば、電子肺活量計(1)は、MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)および加速度センサ(15、15.1)とは異なるジャイロスコープ(29)をさらに備える。ジャイロスコープ(29)は、肺活量計(1)の水平方向を検出し、肺活量測定操作中に装置の非垂直方向を検出するために使用することができる(例えば、ユーザまたは患者が呼吸操作中に頭を胸まで曲げ下げる場合)。これは、自身の位置を修正するようにユーザに自動的に警告することを可能にし、したがって、肺機能パラメータの長期的な分析だけでなく、単一の操作、特に、監督されていないおよび/または素人の肺活量測定操作の質をさらに向上させることを可能にする。加速度センサ(15、15.1)と同様に、ジャイロスコープ(29)はまた、流量センサ(13、13.1、13.2)の測定が適切な条件下(ほぼ水平の肺活量計(1)の保持からの大きな逸脱がない場合など)で行われたことを検証することができ、場合によっては、不適切な測定を繰り返すように肺活量計(1)のユーザに案内することができる。
その点で、フローセンサ(13、13.1、13.2)および/またはジャイロスコープ(29)とは異なる加速度センサ(15、15.1)の双方は、それぞれ、より信頼性が高く正確な肺活量流量測定を容易にし、したがって、本発明にかかる肺活量計(1)を一般のユーザに特に適したものにする、「内蔵質管理システム」の一部として理解されることができる。
一実施形態では、肺活量計(1)は、心拍数センサ(16)、血中酸素飽和度センサ(17;パルスオキシメトリセンサまたはSpO2センサとも呼ばれる)、環境の温度を測定するための温度センサ(18)、大気圧センサ(19)、および/または水分センサ(20;湿度センサとも呼ばれる)をさらに備える。これらの1つまたは複数のセンサ(16~20)のそれぞれは、マイクロコントローラ(14)が1つまたは複数のセンサ(16~20)のそれぞれから信号を受信することができるように、マイクロコントローラ(14)と直接的または間接的に接続され得る。
一実施形態では、心拍数センサ(16)および血中酸素飽和度(17)は、1つの同じ検知手段、すなわち、例えば図2に示すような複合センサ内に含まれる。特定の実施形態では、この複合センサは、血管新生組織からの2つの異なる波長-通常は赤色(約600~750nm)および赤外(約780nm~1mm)-の光波を反射し、受光フォトダイオードによって再放射された光(すなわち、反射または散乱)を測定することによって動作する。通常、これらの組み合わせたセンサは、以下の2つの動作モードが可能である:SpO2(赤と赤外線ダイオードが交換可能にオンになる)または心拍数のみ(赤外線ダイオードのみがオンになる)。より具体的な実施形態では、心拍数および血中酸素飽和度の組み合わせ(16、17)は、Maxim Integratedによって供給されるMAX30100モジュールである。システムは、赤色ダイオード、赤外ダイオードおよびフォトダイオード、ならびにフィルタリングブロックおよびIC(TWI)デジタルインターフェースを含むデジタル信号処理ユニットを備える。センサとの通信は、双方の光ダイオードのサンプリングパラメータおよび電流を制御することを可能にし、出力信号の振幅を動的に補正する可能性を提供する。サンプリング周波数は、50Hzから1kHzの範囲であり、200μsから1600μsのダイオードの点灯時間に対応する。
必要に応じて、血中酸素飽和度(17)-または組み合わされた心拍数および血中酸素飽和度(16、17)-は、図2に示すように、吸気および/または呼気操作中に肺活量計(1)を手に保持したままユーザの指が自然に血中酸素飽和度(17)を覆うように肺活量計(1)の本体(9)に収容される。
一実施形態では、肺活量計(1)は、3つ全ての環境センサ、すなわち、温度センサ、大気圧センサおよび水分センサ(18~20)を備える。より具体的な実施形態では、これらの環境センサ(18~20)のうちの1つまたは全てには、3.3Vが供給され、共通のICバスを介してマイクロコントローラ(14)と通信する。
一実施形態では、温度センサ(18)および湿度センサ(20)は、1つの同じ検知手段、すなわち、図4に示すような複合センサ内に収容されている。特定の実施形態では、複合センサは、12ビットの測定分解能で2Hzまでのサンプリング周波数を可能にするSensirionによって供給されるようなデジタルセンサSHT21D(バージョン3)である。
一実施形態では、大気圧センサ(19)は、少なくとも約800hPaから約1100hPa、または約0.8barから約1.1barの範囲の圧力を測定することができる任意のセンサから選択され、ピエゾ抵抗圧力センサなどの特に携帯用途向けに設計されたセンサが好ましい。特定の実施形態では、大気圧センサ(19)は、Boschによって供給されるようなデジタルBMP280センサである。
メインボード(27)上の3つの環境センサ(18、19、20)の配置を図4に示す。前述したように、これらの環境センサ(18、19、20)は、例えば、FVC測定値のBTPS変換(BTPS:体温圧力飽和)、すなわち、異なる温度、圧力および湿度条件にわたる比較可能性を可能にするために、ATS肺活量測定規格によって要求されるように、体温および水蒸気で飽和された周囲圧力においてリットルで表される最大強制呼気努力時の肺活量、すなわち、環境条件の標準化(例えば、「肺活量測定の規格」;Eur Respir J 2005;26:319-338を参照)のために使用されてもよい。従来技術の携帯型肺活量計は、これらのセンサを組み込んでいない。したがって、ユーザは、これらのデータを手動で入力する必要があり、これにより、装置の汎用性が低下し、特に一般の人々の場合、誤った測定やデータ解釈のリスクが高まる。
一実施形態では、マイクロコントローラ(14)は、図4に示すようにメインボード(27)とも呼ばれる印刷回路基板(PCB)上にいわゆるシステムオンチップ(SoC)ユニットの形態で設けられる。特定の実施形態では、マイクロコントローラ(14)は、Nordic Semiconductorから入手可能であり且つBLE無線モジュール、内蔵の256kBのフラッシュメモリおよび32kBのRAMを備えるARM Cortex-M0コアに同梱されるnRF51822-QFAC(rev.3)SoCユニットである。
本発明によれば、肺活量計(1)は、肺活量計(1)をユーザのパーソナルコンピュータおよび/またはスマートフォンまたはデータを収集、記憶、分析、交換および/または表示するように適合された任意の他のコンピューティングユニットに接続するために、通信手段、好ましくはワイヤレス通信手段、より好ましくは無線通信手段(21)を備える。通信手段は、肺活量計(1)によって、好ましくは肺活量計(1)のマイクロコントローラ(14)によって生成された流量に関するデータの交換のために使用される。
ワイヤレス接続または特に無線接続は、測定中に動作可能であり、それにより、測定されたデータのリアルタイム表示を可能にする。あるいは、肺活量計(1)は、後の時点でユーザのパーソナルコンピュータおよび/またはユーザのスマートフォンに接続され、測定されて記憶されたデータを肺活量計(1)からコンピュータおよび/またはスマートフォンに転送またはコピーすることができる。特定の実施形態では、無線通信手段(21)は、例えばブルートゥース4.0接続部などのブルートゥース接続部(21.1)である。さらなる特定の実施形態では、無線通信手段(21)は、いわゆる近距離無線通信(NFC)手段(21.2)またはワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)手段(21.3)である。必要に応じて、例えば、図4のメインボード(27)に描かれているように、NFC手段(21.2)とともにブルートゥース接続部(21.1)など、異なる種類の無線通信手段(21)を装置に組み合わせることができる。
測定されたパラメータは、デジタル化された後、必要に応じて「クラウド」とも呼ばれる1つまたは複数のリモートデータサーバを介して、ユーザのパーソナルコンピュータおよび/またはスマートフォンまたはデータを収集、記憶、分析、交換および/または表示するように構成された任意の他のコンピューティングユニットにワイヤレス送信される。クラウドに関しては、他の従来技術の装置とは異なり、本発明の肺活量計(1)もまた、クラウドを使用することができるが、測定を実行するためにおよび/または結果を得るために装置が動作可能であることを必要とせず、全ての計算は、スマートフォン上でローカルに行われる。
さらに代替として、または無線通信手段(21、21.1、21.2、21.3)に加えて、肺活量計(1)は、USB接続(22.1)などのシリアルバスを介したケーブル通信手段(22)をさらに備えることができる。
これらの双方の通信手段(ワイヤレスまたはケーブル接続を使用する)は、さらに、ファームウェアの更新に使用してもよい。
一実施形態では、肺活量計(1)は、測定データを記憶するためにRAM(ランダムアクセスメモリ)およびフラッシュメモリをさらに備える。
上述したように、肺活量計(1)は、好ましくは独自の予測医療アルゴリズムを使用する専用の肺活量計アプリケーション(「アプリ」)を介して、またはGoogleFit、HealthKit、CareKit(すなわち、医療および一般的なフィットネス目的で接続されたサードパーティ製電子アクセサリ用の個人用および中央データ収集ポイント用のアプリであり、ユーザは例えば重要な医療詳細情報を有する医療IDを作成することができる)など、iOSまたはAndroidの携帯電話で利用可能な他の既存のヘルスケアアプリに統合された「アドオン」として、測定された肺活量測定データの分析、視覚化、さらには記憶のために、ユーザのパーソナルコンピュータおよび/またはユーザのスマートフォンに接続されてもよい。
専用の独自アプリは、肺活量計(1)からの信号の受信、リアルタイムでの結果の測定および分析、適切なパラメータの表示、過去の結果の記憶、診断サポートの提供、紙を保存するための印刷可能ファイル(例えばPDF)/コンピュータフォーマットログの生成、および必要に応じて医師への結果の送信に使用される。携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)および関連するアプリの助けを借りて、したがって、ユーザは、個人の呼吸パラメータ、ならびに投薬に対する反応性および妥当性を、例えば病院環境において達成可能なものよりはるかに密接に網羅する方法で追跡することができる。
一実施形態では、肺活量計(1)から収集されたデータ(最大で1,000,000個の結果)は、ユーザがオフラインであっても、データがユーザにとって容易に利用可能になるように、アプリのローカルの内部データベースにおいてログ履歴の形態で記憶される。ユーザがアプリケーションをアンインストールした場合、データベースもまた削除される;しかしながら、AndroidのバックアップサービスおよびiOSのCloudKitサービスは、アプリケーションデータおよび設定についての復元ポイントを提供するために、ユーザが永続的なアプリケーションデータをリモートクラウドストレージにコピーすることを可能にする。出荷時設定へのリセットを実行したりまたは新たな装置に変換したりすると、システムは、ユーザが以前のデータまたは設定を再現する必要がないように、アプリが再インストールされたときに自動的にバックアップデータを復元する。代替として、またはローカルストレージに加えて、クラウドストレージをユーザの「オプトイン」オプションとして提供することができる。
必要に応じて、肺活量計(1)によって測定されて収集されたデータは、地理的データとさらに組み合わされた後、例えば喘息ユーザまたはアレルギー患者についての所与の領域および時間における状況の特定の変化のマップを作成するために、複数のユーザのデータがリモートサーバ上でまとめて分析され得る。そのような地理的位置を介して収集されたデータは、分析的知識を構築し、データを特定領域に相関付け、-便宜上考えられる場合には-例えばユーザのパーソナルコンピュータおよび/またはスマートフォンに送信される今後の急性増悪および/またはアレルギーリスクの増大についての警告の形態で、この知識を所与の領域のユーザおよび/または医師に提供するためのフレームワークを提供する。このオプションの機能は、匿名でユーザのためにユーザに提供される。
肺活量計(1)は、自己管理をユーザに促すために動機付けメッセージをユーザにさらに提供してもよい。肺活量計(1)はまた、肺活量測定(例えば、可聴的または視覚的)を実行している間に、正しいタイミングでの迅速な呼気などの所望の肺活量測定呼吸操作を行うようにユーザに指示および/または促すことを可能にする即時のフィードバックをユーザに提供することができる。他の市販の肺活量計は、実際の測定中における正しい肺活量測定の実行方法、または呼吸操作、および/または次の操作で改善するものについてユーザに指導していないため、これは、肺活量計に特有であると考えられる。このフィードバックおよび/または動機付けの手段は、特に監視なしの使用を容易にする。
さらに、専用アプリに含まれるデータマイニングおよび機械学習アルゴリズムに基づいて、肺活量計(1)は、例えば予測的な方法で今後の喘息発作および/または疾患の進行に関連する可能性がある臨床的および環境的パターン(温度、圧力および周囲空気湿度など)を識別することができる。最終的には、したがって、ユーザは、急性および慢性の増悪による重度の入院を排除または少なくとも軽減することが可能にされる。しかしながら、上述したように、呼吸パラメータの検査はまた、トレーニングの進行状況を監視する運動選手にとってまたは禁煙の恩恵を監視する喫煙者にとっても有用であり得る。
一実施形態では、肺活量計(1)は、リチウムイオンポリマー(LiPo)電池またはリチウムイオン(LiOn)電池などの長寿命バッテリで動作する。LiPo電池は、小型サイズに比べて高容量で、高速充電を提供する。特定の実施形態では、バッテリは、(再)充電可能な3.7V/300mAhのLiPo電池である;例えば、内蔵NTC 10kΩサーミスタおよび過負荷に対するトランジスタ保護を備えたLP-402933―IS-3バッテリである。そして、低ドロップアウト(LDO)タイプの電圧安定化装置は、肺活量計(1)がスイッチオンされたときに、例えば、マイクロコントローラ(14)および全てのセンサ(13、15~20)に対して150mAの連続電流および3.3VのDC出力電圧を供給する。特定の実施形態では、電圧安定化装置は、Texas Instrumentsによって供給されるようなTPS706ユニットである。さらに、肺活量計(1)の特定の構成要素に向けられる電圧が特定の値を超えることができない場合、分圧器を使用することができる;例えばマイクロコントローラ(14)によってサンプリングされた電圧は、1.2Vを超えない。
一実施形態では、バッテリは、誘導NFC充電システムを介しておよび/またはUSBもしくはミニUSBコネクタ(22.1)を介して充電される。特定の実施形態では、ワイヤレス充電モジュールの基本構成要素は、4.2Vの最大電圧まで充電する、Texas Instrumentsによって供給されるような5Wユニット(BQ51050B)である。受信コイル(Wurth Elektronikのコイル760308103205)は、11μHの誘導性でユニットに接続されている。ユニットは、NTCサーミスタ(10キロオーム)を使用して温度を監視する機能を備えたLiPoおよびLiOn電池の充電器を備える。ユニットはまた、充電源の優先順位を選択する可能性を提供する;例えば、接続されたミニUSBポートを介してUSB充電が利用可能な場合、充電ユニットは、ワイヤレス充電を停止し、USB充電に切り替える。さらに特定の実施形態では、充電モジュールの基本構成要素は、4.2Vの電圧まで充電するLiPoおよびLiOnバッテリ充電器であるテキサスインスツルメンツによって供給されるBQ24040ユニットである。最大充電電流は、800mAであり、肺活量計(1)の1つの実施形態で使用されるバッテリなどの300mAhバッテリを備えたデバイスの場合、デフォルトによる最大初期充電は300mAになる。
充電源(例えば、ワイヤレス対USB)を検出することを担うモジュールはまた、LED(23.1)によって充電状態についてユーザに知らせるために必要であれば、充電中に肺活量計(1)を自動的に始動するタスクを実行する;すなわち、ユーザは、充電状態を見るためにオン/オフボタン(25)を介して肺活量計(1)を手動で始動する必要はない。マイクロコントローラ(14)は、モジュールを使用して充電源および状態をチェックし、この情報もまた、アプリを介してユーザに提供され得る。充電が完了すると、装置は自動的にオフになる。
一実施形態では、肺活量計(1)の本体(9)は、オン/オフ状態、バッテリ状態などの使用関連情報をユーザに提供する光(23)および/または音響(24)シグナリング手段をさらに備える。特定の実施形態では、肺活量計(1)の本体(9)には、例えば図2に示すように本体(9)の上部に配置された一組の青色LED(23.1)などの発光ダイオード(LED)が取り付けられる。LEDは、装置の始動、データ転送、低バッテリ(例えば、全てのダイオードが点滅)またはバッテリ充電状態(例えば、引き続き点灯するダイオード)などの特定の状態情報を表示する。
より具体的な実施形態では、これらのLEDの直接制御は、TLC59108ユニットによって提供される。各ダイオードは、(光強度に応じて)約5mAの電流しか消費しないが、マイクロコントローラ(14)は、最大で約120mAを供給することができる。マイクロコントローラ(14)はまた、内蔵PWMモジュール(パルス幅変調)を使用して照明の明るさを設定すること、ならびに特定の周波数および照明のオン/オフ時間の長さでダイオードの点滅モードを設定することを可能にする。
一実施形態では、肺活量計(1)は、その動作中に、合計で約90mA以下の平均エネルギー消費量または電流消費量を呈する。好ましくは、全ての発光ダイオード(LED)が照明されていても、平均エネルギー消費量は約50mAを超えない。平均して、新たに充電された300mAhバッテリを備えた肺活量計(1)は、待機モードでは約120日間、単一のユーザでは約56日間、および例えば医師の診療所において複数の患者に使用される場合には約5.6日間動作可能である。1回の充電で連続した中断のない動作にかかる推定時間は約6時間である。換言すれば、本発明の肺活量計(1)は、著しく高い精度での肺活量測定を可能にするだけでなく、同時に非常にエネルギー効率がよく、それによって高価で重いエネルギー源の必要性を低減する。
ユーザの皮膚と接触する肺活量計の(1)主要構成要素、すなわち、管状のマウスピース(2)および本体(9)は、生体適合性ポリマーを含む任意の生体適合性材料から調製され得る。一実施形態では、30日を超える長時間の皮膚接触および24時間までの短期間の粘膜接触に適しており、ラピッドプロトタイピングにも適している剛性医療材料である生体適合性PolyJetフォトポリマー(MED610)が使用される。MED610は、高い寸法安定性および無色透明性を特徴としている。また、純粋な形態では生体適合性であり且つガンマ線照射またはエチレンオキシドによって滅菌可能な高強度熱可塑性材料(滅菌方法ET0)であるポリカーボネート-ISO(PC-ISO)も使用することができる。PC-ISOは、医薬品の包装や医療機器の製造に広く使用されている。
前述したように、管状マウスピースの前端、すなわち、基端開口を含む端部は、必要に応じて、管状マウスピースの着脱可能な部品として構成されてもよく、それにより、例えば、ユーザの唇および/または舌に触れた後に清掃するまたは破棄および交換するために、マウスピースのこの前端部を取り外すことを可能にする。そのような使い捨ての前端部(または必要に応じて複数の患者環境における他の使い捨て部品)の場合、材料はまた、ボール紙などのより単純な生体適合性材料を含むことができる。あるいは、またはさらに、マウスピースの着脱可能な前端部は、浮遊粒子、唾液滴および/または細菌を除去するための1つまたは複数のフィルタを備えていてもよい;それにより、敏感なMEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)を汚染する危険性をさらに低減する。そのようなフィルタ-マウスピースは、低コストで入手可能であり、したがって、複数の患者環境において各患者のために交換することができる。
さらに、必要に応じて、肺活量測定を実行しながら、ユーザが鼻を塞ぐことを可能にするように、肺活量計を鼻クリップとともにユーザに提供することができる。一実施形態では、鼻クリップおよび肺活量計はキットとして提供され、必要に応じて、肺活量計および/または鼻クリップの正しい使用に関する可読指示をさらに備える。
第2の態様では、本発明は、被験者の肺機能関連健康パラメータを測定するための方法であって、上述したように携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)を介して呼吸操作を実行する被験者のステップを備える方法を提供する。この方法の一実施形態では、前記健康パラメータは、以下から選択される。
a)強制肺活量(FVC)、b)1秒間の強制呼気量(FEV1)などの強制呼気量(FEV)、
c)ピーク呼気流量(PEF)、d)FVCの25%~75%での強制呼気流量(FEF25-75)などの強制呼気流量(FEF)、e)最大換気量(MVV)、f)平均呼気流量(MEF)、g)ゆっくり排気して測定する肺活量(SVC)、h)最大呼気速度、i)1秒間の強制吸気量(FIV1)などの強制吸気量(FIV)、
i)強制吸気肺活量(FIVC)、k)ピーク吸気流量(PIF)、またはこれらの任意の組み合わせ(例えば、吸気ティフノー値:FIV1/FIVC)。実際の呼吸操作は、従来技術の肺活量計によって行われるものと同じである;仕様は、判定されることになる実際の肺機能パラメータに依存する。例は、例えば米国胸部学会(ATS)または欧州呼吸器学会(ERS)によって刊行された「肺活量測定の規格」(Eur Respir J 2005;26:319-338)またはISO 26782:2009(10kgを超える体重のヒトの肺機能の評価を目的とした肺活量計の要件を規定)に見ることができる。
完全肺活量測定を超えて、肺活量計(1)は、様々な臨床シナリオにおいてさらなる潜在的なアプリケーションまたは用途を提供する。例えば、肺活量計(1)は、呼吸困難の鑑別診断に使用することができる;すなわち、本装置は、心臓病対呼吸困難を区別することを可能にする。患者が胸痛および呼吸困難のために救急科に入院した場合、これは、一般に、冠状動脈機能不全(虚血)、心不全(肺鬱血)または気管支閉塞(COPD)のいずれかによって引き起こされる。一般に、鑑別診断は、虚血性心疾患(冠状動脈疾患)患者およびCOPD患者の約30%の有意な重複によって妨げられる。肺活量計(1)は、重大な障害があるかどうかを理解することを可能にし、その場合、肺活量測定パラメータは良好にならない。したがって、肺活量測定パラメータは良好であるが、心臓パラメータがそうではない場合、胸痛およびさらなる症状は心臓由来である可能性が最も高いが、その逆の場合、症状は気管支に起因する可能性が最も高い。呼吸と心臓の双方のパラメータが良好でない場合、胸痛と呼吸困難は、冠状動脈機能不全(虚血)、心不全(肺鬱血)または気管支閉塞(COPD)のいずれかの組み合わせによって引き起こされる。
その態様では、この種の鑑別診断は、従来技術の装置でも可能であることが理解されるべきである;しかしながら、病院で一般的に見られるような卓上肺活量計は、通常かなり大きく、より長い準備時間を必要とする。対照的に、小型のハンドヘルド肺活量計(1)は、はるかに実用的であり、より短い準備時間しか必要とせず、緊急治療室および/または集中治療室での使用により適したものにしている。
さらにまた、肺活量計(1)は、抜管の失敗を防ぐための1つの重要な要素である呼吸器系患者の抜管前評価中に病院で使用され得る。肺活量計(1)は、人工呼吸器がオフにされている間に自発呼吸によって引き起こされる流量を測定するためなど、流量センサ(13、13.1、13.2)を挿管に直接適用することによっておよび/または肺活量計(1)を挿管と結合することによって、挿管された患者の自発呼吸の有効性を判定するために使用され得る。
また、心停止患者の評価は、心臓の血行力学的機能と同様に電気的活動の評価を必要とし、後者は、通常は脈拍を使用して評価される。しかしながら、末梢動脈疾患を有する患者および/または重度の末梢浮腫を有する患者においては、心臓の良好な血行動態機能にもかかわらず、脈拍を感じることは困難なことがある。肺活量計(1)は、心拍によって引き起こされる肺および気管内の空気の非常に目立たない動きを検知することによって心臓の収縮を間接的に評価することを可能にする。
第3の態様では、本発明は、以下を備えるシステムを提供する:
-本発明の第1の態様にかかる携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)と、
-携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)および/または別個のコンピューティングユニットとデータ交換するように適合された通信手段を備える第1の空気質測定装置であって、第1の空気質測定装置の場所で空気質を判定するために、1つまたは複数の空気質センサ、好ましくは、湿度センサ、温度センサ、大気圧センサ、MOS型ガスセンサ(金属酸化物半導体)、浮遊粒子センサ、花粉センサ、オゾン(O)センサ、二酸化窒素(NO)センサ、二酸化硫黄(SO)センサおよび一酸化炭素(CO)センサ、または他の種類のガスセンサからなる群から選択される空気質センサを備える、第1の空気質測定装置と、
-少なくとも本発明の第1の態様にかかる肺活量計(1)および第1の空気質測定装置から得られたデータを収集および分析するように適合された別個のコンピューティングユニット。
大気汚染は、健康な成人および小児における肺機能の低下に関連し、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎および嚢胞性線維症(CF)などの様々な急性および慢性の肺疾患に悪影響を及ぼすことが知られている。大気汚染は、肺の細胞性反応を引き起こし、細胞毒性、炎症、および突然変異誘発を引き起こす可能性がある。肺疾患を患っている患者からの気管支上皮細胞は、健康な気管支細胞よりもはるかに低い用量で浮遊粒状物質誘導酸化ストレスおよびアポトーシスに非常に敏感である。したがって、大気汚染によって引き起こされた酸化ストレスに対する激しい反応は、依然として疾患の進行と悪化の根拠となっている。この病理学的メカニズムは、年間平均大気汚染曝露レベルが肺機能の低下および増悪の可能性の増加と関連していることを示す観察研究において確認された。肺の増悪は、肺機能、生活の質、健康システムのコストに悪影響を及ぼす、病気の負担に大きく寄与する。
特に、粒状物質(PM)、花粉、オゾン(O)、二酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO)、一酸化炭素(CO)が健康を害する主要な汚染物質として特定されている。例えば、死亡率または罹患率の増加(毎日および長期間の双方)と、高濃度の吸入可能な粗粒子(2.5~10μm;PM10)、および吸入可能な微粒子(≦2.5μm;PM2.5)への曝露との間には密接な量的関係がある。実際に、PM10およびPM2.5の汚染は、非常に低い濃度でも健康に影響を与える;実際に、それ以下では健康被害が観察されない閾値は特定されていない。したがって、世界保健機関(WHO)などによるガイドラインは、最低の可能なPM濃度を達成することを目的とし、最大で10μg/m(PM2.5)または最大で20μg/m(PM10)の年間平均値、および最大で25μg/m(PM2.5)または50μg/m(PM10)の24時間平均を推奨する。
また、空気中の過剰なオゾン(O)は、人の健康に著しい影響を与える可能性がある。空気中の過剰なオゾン(O)は、呼吸の問題を引き起こし、喘息を引き起こし、肺機能を低下させ、肺疾患を引き起こす可能性がある。欧州では、現在最も懸念されている大気汚染物質の1つである。いくつかの欧州の研究は、オゾン曝露の10μg/mの増加あたり、1日の死亡率は0.3%上昇し、心疾患は0.4%上昇すると報告している。最大で100μg/mの8時間平均がガイドラインによって推奨されている。
疫学的研究は、喘息の小児における気管支炎の症状が二酸化窒素(NO)への長期曝露に関連して増加することを示している。200μg/mを超える短期間の濃度では、二酸化窒素(NO)はさらに有毒であり、気道の重大な炎症を引き起こす。最大で200μg/mの1時間平均がガイドラインによって推奨されている。
二酸化硫黄(SO)は、呼吸器系や肺機能に影響を及ぼし、気道の炎症を引き起こし、咳嗽、粘液分泌の増加、喘息の悪化、慢性気管支炎、および気道感染症のリスク増加を引き起こす可能性がある。研究は、10分という短い曝露期間でも、肺機能と呼吸器症状の変化を経験している喘息患者の割合が既に増加していることを示している。SOで汚染された空気中で運動している喘息患者は、0.25ppmという低いレベルでさえも数分以内に気管支収縮を発症する。FEV1などの肺機能パラメータは、わずか0.4から1.0ppmのSOへの曝露に応じて減少した。さらにまた、心臓病による入院および死亡は、1日のSOレベルが最大で20μg/mという推奨される24時間平均または最大で500μg/mという推奨される10分間平均を上回ると増加する。
一酸化炭素(CO)は、喘息の入院を引き起こす2番目に最も相関の強い大気汚染物質のままである。
第1の空気質測定装置は、例えば肺活量計(1)を使用して被験者の家内などの第1の空気質測定装置の場所において任意の時点で存在する大気汚染物質(オゾン、花粉、粒状物質など)の性質および/または程度などの空気質(またはその欠如)に関するデータを生成するために使用される。
この目的のために、第1の空気質測定装置は、湿度センサ、温度センサ、大気圧センサ、MOS型ガスセンサ(金属酸化物半導体)、浮遊粒子センサ、花粉センサ、オゾン(O)センサ、二酸化窒素(NO)センサ、二酸化硫黄(SO)センサ、一酸化炭素(CO)センサ、および他の種類のガスセンサからなる群から選択される1つまたは複数のセンサを備える。これらのセンサは、別個に(換言すれば、各測定量について1つのセンサ)設けられてもよい。あるいは、複数の測定量に対して1つのセンサを使用するようにセンサを組み合わせてもよい。これらのセンサの例示的且つ非限定的な実施形態を以下に説明する。
一実施形態では、湿度センサ、温度センサおよび圧力センサは、組み合わせた形態で提供されてもよい。特定の実施形態では、センサは、低消費電力で小型(2.5×2.5×0.93mm)の高性能複合デジタル湿度、圧力、および温度センサであるBosch(登録商標)のBME280センサである。湿度センサは、広い温度範囲にわたって非常に速い応答時間および高い全体的な精度を提供する。圧力センサは、非常に高い精度と分解能、および劇的に低いノイズを備えた絶対気圧センサである。内蔵温度センサは、最低のノイズと最高の分解能を実現するように最適化されている。その出力は、圧力センサおよび湿度センサの温度補正に使用され、周囲温度の推定にも使用可能である。
一実施形態では、MOS型ガスセンサは、シリコン基板上に金属酸化物半導体(MOS)層および一体型ヒータを有するセンシングチップを備えるFIGARO(登録商標)のTGS8100空気質センサである。センサは、標準の表面実装セラミックパッケージに収容されており、15mWのヒータ電力消費しか必要としない。検出可能なガス(水素、エタノール、一酸化炭素(CO)、イソブタン、メタン、タバコ煙、台所臭など)の存在下では、センサの導電率は、空気中のガス濃度に応じて増加する。単純な電気回路は、導電率の変化をガス濃度に対応する出力信号に変換することができる。
一実施形態では、空中浮遊粒子センサは、Sharp(登録商標)のGP2Y1030AU0Fなどの内蔵マイクロコンピュータによって動作する高感度空中浮遊粒子センサ(例えば、ダストセンサとも呼ばれる)、および例えばPM2.5およびPM10のような粒状物質を検出することができる光検知システムである。赤外線放射ダイオード(IRED)およびフォトトランジスタがセンサ内に対角線上に配置され、出力電圧のパルス状パターンによってこれら2つを区別することができるセンサによって塵埃および/またはタバコ煙などの空中浮遊粒子によって反射された光を検出する。
一実施形態では、オゾン(O)センサは、SPECセンサによる3SP-O3-20センサなどの小型(15×15×3mm)の印刷されたオゾンセンサである。
一実施形態では、二酸化窒素(NO)センサは、FigfaroのFECS 42-20センサなどの電気化学センサである。
一実施形態では、二酸化硫黄(SO)センサは、同じくSPECセンサによって提供される電流測定ガスセンサ、すなわち、作用電極(または検出電極)においてSOガスの体積分率に比例した電流を生成する電気化学センサである。作用(または検出)電極およびその対向電極の他に、センサは、安定性、信号対雑音比、および応答時間を改善するための基準電極を備える。
好ましい実施形態の1つでは、第1の空気質測定装置は、その内蔵センサを介して空気質に関するデータを生成する役割を果たすだけでなく、少なくとも携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)用の充電ドックまたはドッキングステーション、好ましくは近距離無線通信(NFC)充電ドックとしてさらに機能する。このように、肺活量計(1)は、例えば一晩、再充電するために第1の空気質測定装置の上部に配置される必要があるのみである。
空気質を判定するためのセンサの他に、第1の空気質測定装置は、マイクロコントローラと、通信手段、好ましくはワイヤレス通信手段、さらに好ましくはブルートゥース4.0などのブルートゥース接続部とをさらに備える。特定の実施形態では、マイクロコントローラは、256kBのフラッシュおよび32kBのRAMを有する32ビットARM(登録商標)Cortex(商標)M0中央処理装置(CPU)ならびに埋め込み2.4GHzトランシーバを備える、Nordic Semiconductorによって製造されているnRF51422-CEAAである。マイクロコントローラは、ブルートゥース(登録商標)ローエナジー(BLE;以前はブルートゥーススマートと呼ばれていた)ワイヤレス接続およびANT(商標)ワイヤレス接続の双方を可能にする。ブルートゥース2.4GHz用のセラミックアンテナが受信の向上およびより安定した接続のために使用される。
上述したように、別個のコンピューティングユニットは、少なくとも肺活量計(1)および第1の空気質測定装置から得られたデータを収集して分析するように構成されている。別個のコンピューティングユニットの目的は、例えば、肺活量計(1)によって実行される肺活量測定肺機能試験の悪い結果の日をそのような日に第1の空気質測定装置によって測定された空気質データと相関付けるためなど、例えば呼吸器疾患の病因などのより深い洞察を得るために、肺活量計(1)から得られたデータと第1の空気質測定装置から得られたデータ(および必要に応じてさらなるデータ)との比較および/または相関付けを可能にすることである。
この目的のために、一実施形態における別個のコンピューティングユニットは、データ収集およびデータ分析を実行するためのマイクロコントローラと結合された通信手段(例えば、印刷回路基板(PCB)上のいわゆるシステムオンチップ(SoC)ユニットの形態のマイクロコントローラ)と、少なくとも肺活量計(1)および第1の空気質測定装置から得られた収集および/または分析されたデータ(以下では、それぞれ、「肺活量計データ」および「第1の空気質データ」と短く呼ぶ)、および必要に応じてさらなるデータを記憶するためのデータ記憶手段(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/またはフラッシュメモリ)とを備える。
さらにまた、別個のコンピューティングユニットは、典型的には、本発明のシステムのユーザ(例えば、肺活量計(1)のユーザ、ユーザの医師または世話人)と通信し、「肺活量計データ」および「第1の空気質データ」ならびに「肺活量計データ」および「第1の空気質データ」を比較するおよび/または相関付けることから得られる情報のいずれかについての情報をユーザに提供するように構成されたインターフェースを備える。一実施形態では、このインターフェースは、視覚的ディスプレイである。
一実施形態では、別個のコンピューティングユニットは、例えばブルートゥース接続部または近距離無線通信(NFC)手段などのワイヤレス通信手段、好ましくは無線通信手段を備える。
一実施形態では、別個のコンピューティングユニットは、パーソナルコンピュータ(ラップトップおよびハンドヘルドPCを含む)および/またはスマートフォンである。
さらなる実施形態では、システムは、必要に応じてパーソナルコンピュータ(ラップトップおよびハンドヘルドPCを含む)および/またはスマートフォンの形態の2つまたはそれ以上の別個のコンピューティングユニットを備えることができる。
一実施形態では、別個のコンピューティングユニットは、さらに、1つまたは複数のリモートデータサーバに通信可能に結合されている。前記リモートサーバは、「肺活量計データ」および「第1の空気質データ」、「肺活量計データ」および「第1の空気質データ」を比較するおよび/または相関付けることから得られる情報、および必要に応じてさらなるデータを記憶および分析するために使用され得る。
好ましい実施形態の1つでは、少なくとも「肺活量計データ」および「第1の空気質データ」の比較および/または相関付けを実行するために、専用のソフトウェアアプリケーション(「アプリ」)が別個のコンピューティングユニットおよび/またはリモートデータサーバに提供される。特定の実施形態では、アプリはまた、「肺活量計データ」、「第1の空気質データ」および/またはそれらの本発明のシステムのユーザとの比較および/または相関付けから得られた情報を(例えば、1つまたは複数のコンピューティングユニットのインターフェースを介したデータのグラフィカルな解釈として)表示すること、前記データおよび情報ならびにユーザの薬物治療を経時的に監視すること、データ分析結果の印刷可能ファイル形式を作成すること、(例えば、投薬時点、スモッグ警告などに関する)リマインダまたは警告通知をユーザに送信すること、および/または医師、介護者、ヘルスケア組織、および/または「アプリ」の他のユーザ(必要に応じて匿名形式で)などのヘルスケアプロバイダと情報を共有することなどのさらなるタスクを実行するようにプログラムされ得る。
必要に応じて、上述したシステムは、肺活量測定を実行しながらユーザが鼻を塞ぐことを可能にするように鼻クリップをさらに備える。さらに必要に応じて、システムは、肺活量計および/または鼻クリップの正しい使用に関する可読指示をさらに備える。
一実施形態では、上述したシステムは、第2の空気質測定装置をさらに備え、第2の空気質測定装置は、携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)および/または別個のコンピューティングユニットとデータ交換するように適合され、第2の空気質測定装置の場所で空気質を判定するために、1つまたは複数の空気質センサ、好ましくは湿度センサ、温度センサ、大気圧センサ、MOS型ガスセンサ(金属酸化物半導体)、浮遊粒子センサ、花粉センサ、オゾン(O)センサ、二酸化窒素(NO)センサ、二酸化硫黄(SO)センサおよび一酸化炭素(CO)センサからなる群から選択される空気質センサを備える。この第2の空気質測定装置は、第1の空気質測定装置に加えて、または必要に応じて第1の空気質測定装置の代わりに(例えば旅行中に)使用され得る。選択されたセンサに関して、上述した第1の空気質測定装置について説明されたのと同じ規定が適用され得る。
典型的にはより静止している(例えば、ユーザの家に設置されている)第1の空気質測定装置とは異なり、第2の空気質測定装置は、第1の装置よりさらに小型でコンパクトであるという点でより容易に携帯することができる。例えば、第2の空気質測定装置は、例えばキーチェーンへの取り付けを可能にするサイズおよび形状を有することができる一方で、第1の空気質測定装置は、外付けハードドライブに似たサイズおよび形状(例えば、長さ約7~17cm、幅約4~8cm)を有することができる。このように、第2の空気質測定装置は、例えば旅行中に使用することができ、または装置は、職場、車内または肺活量計(1)を使用している被験者が空気質を判定したい場所などの任意の他の関心のある場所で使用することができる。第2空気質測定装置を外部に配置することも可能である。
一実施形態では、上述したシステムの別個のコンピューティングユニットはまた、第2の空気質測定装置から得られたデータを収集して分析する。この場合、第2の空気質測定装置から得られたデータ(略して「第2の空気質データ」)は、例えば「肺活量計データ」と比較するおよび/または相関付けられるなど、第1の装置から得られたデータと同様に扱うことができる。
一実施形態では、別個のコンピューティングユニットは、さらに、少なくとも第1の空気質測定装置から得られた空気質データ、および必要に応じて第2の空気質測定装置から得られた空気質データの地理的位置特定を可能にする。地理的位置特定機能は、好ましくは各ユーザのプライバシーを保持するような匿名形式で、全てのユーザに対して提供され得る。この機能に基づいて、本発明のシステムは、例えば、(例えば、ユーザの肺機能および/または呼吸器の健康に影響を及ぼし得るスモッグ、花粉および/または他のアレルゲンについて)警告をユーザに提供する、および/または任意の所与の時間における各肺機能および/または呼吸器の健康状態の変化とともに全てのユーザの地理的地図を作成することができる。したがって、地理的位置特定を通じて収集されたデータは、例えば現象かどうかを指定するために特定の領域との相関付けなど、提供されたデータのさらに分析的な知識を構築するためのフレームワークを提供することができる。
これは、本発明の第3の態様にかかるシステムを使用することによって、本発明の第2の態様にかかる方法を空気質に関するデータ(汚染物質、オゾンなど)および/または地理的位置データなどの追加データによって補完することができ、それにより、被験者の健康パラメータ(FVC、FEVまたはPEFなど)をこれらの追加データと相関付けることを可能にすることを意味する。
換言すれば、第4の態様では、本発明は、被験者の1つまたは複数の肺機能関連健康パラメータを測定するための方法であって、本発明の第1の態様として上述したように肺活量計(1)を介して呼吸操作を実行する被験者のステップを備える方法を提供する。
一実施形態では、健康パラメータが、a)強制肺活量(FVC)、b)1秒間の強制呼気量(FEV1)などの強制呼気量(FEV)、c)ピーク呼気流量(PEF)、d)FVCの25%~75%における強制呼気流量(FEF25‐75)などの強制呼気流量(FEF)、e)最大自発換気量(MVV)、f)平均呼気流量、g)ゆっくり排気して測定する肺活量(SVC)、h)最大呼気速度、i)1秒間の強制吸気流量(FIV1)などの強制吸気流量(FIV)、j)強制吸気肺活量(FIVC)、k)ピーク吸気流量(PIF)、またはこれらの任意の組み合わせ(例えば、吸気ティフノー値:FIV1/FIVC)から選択される被験者の1つまたは複数の肺機能関連健康パラメータを測定するための方法であって、本発明の第1の態様として上述したように肺活量計(1)を介して呼吸操作を実行する被験者のステップを備え、1つまたは複数の健康パラメータが、本発明の第3の態様として上述したようにシステムから導出された空気質データ、および必要に応じて地理的局在化データと相関している、方法が提供される。
実施例1-流量制限のための有孔ディスク(8.1)を備えた、本発明にかかる例示的な肺活量計(1)の性能
本発明にかかる例示的な肺活量計(1)の性能を調べるために、米国胸部学会(ATS)および欧州呼吸器学会(ERS)ならびにISO 26782:2009によって定義された肺活量測定規格に従って、流量/体積シミュレータ(ここでは、Hans-Rudolphによるシリーズ1120;S/N:122-079)を用いて装置をテストした。
それぞれが3mmの直径、587mmの総表面積、および有孔ディスク(8)の総表面積の約40%から約50%(例えば、約45%)の有孔面積(A)を有する約37個の円形または実質的に円形の穿孔を有する有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部を備える、3D印刷された取り外し可能な管状マウスピース(2)が提供された。同様の有孔ディスク(8)が図3Bに示されている。有孔ディスク(8)は、第1および第2の横開口(6および7)の間の主流路(5)において主流路の長手方向軸にほぼ垂直に不動に且つ断面方向に配置された。
肺活量計の本体(9)に収容されたバイパス流路(12)は、1×1mmの2次または実質的に2次の断面(すなわち、断面積(A)1mm)を有していた。
実際の肺活量測定の前に、管状マウスピース(2)を本体(9)に取り付けることによって肺活量計(1)を組み立てた。組み立てられた肺活量計(1)は、流量/体積シミュレータと同じ部屋で周囲温度、圧力、相対湿度に順応することが可能にされた後、前記シミュレータに接続されて、シミュレータから肺活量計(1)を介して排出される0.15L/s~18L/sの範囲の64個の定常流波形を含む一連の標準較正テストを行い、流量関連の信号を測定した。
較正に続いて、少なくとも11個の周囲空気波形またはISO規格によって定義されたテストプロファイルC1-C11がシミュレータから肺活量計を介して放出され、FEV、FEV、PEFおよびFVCが各波形/テストプロファイルごとに3回測定された。同様に、ATS規格(例えば、ATS「肺活量測定の規格」、Am.J.Respir.Crit.Care Med.1995;152:1107-1136を参照)によって定義された24個の波形がシミュレータから肺活量計を介して放出され、FEVおよびFVCが波形/テストプロファイルごとに5回測定された。実施例1(例1)の結果を以下に示す。
比較例1~3-他の種類の流れ制限部を備えた本発明にかかる肺活量計(1)の性能
上記例1で説明したのと同じ較正および測定を、3D印刷された取り外し可能な管状マウスピース(2)内に取り付けられた、異なる流れ制限部(すなわち、有孔ディスク(8)以外);より具体的には、欧州特許出願公開第0552916号明細書に示されているものと同様の流れ制限部を備えるという点でのみ実施例1のものとは異なる3つのほぼ同一の肺活量計(1)によって繰り返した:
比較例1:チューブ1は、欧州特許出願公開第0552916号明細書の図2に示されているものに似たベンチュリ要素であり、近位内径が100%と見なされ、ベンチュリ部分または狭窄は比例して小さかった。
比較例2:チューブ2は、欧州特許出願公開第0552916号明細書の図2に示されているものに似たベンチュリ要素であり、近位外径が100%と見なされ、ベンチュリン部分または狭窄は比例して小さかった。
比較例3:チューブ3は、欧州特許出願公開第0552916号明細書の図18に示されているものに似ており、実施例1の有孔ディスク(8)と同様の総表面積、向き、および位置を呈する、可動に配置された「フラップ型」非有孔ディスクであった。
管状マウスピース(2)またはバイパス流路(12)およびMEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)を備えた本体(9)などの肺活量計(1)の他の部分は、4つの実験(実施例1および比較例1~3)の全てについて一定に保たれた。
比較例1~3(比較例1~3)の結果を以下に示す。
実施例1と比較例1~3の結果:
図5A、B、C、およびDは、4つの携帯型肺活量計の標準的な較正手順として測定された定常流波形を示している。0.15L/s(x軸の左側)から始まり、18L/s(x軸の右側)まで徐々に増加する64個の波形が測定され、記録されたMEMSベースの熱流体流量センサの生信号(y軸)が得られた。図5Aは、実施例1に記載されるように、有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部を備えた管状マウスピース(2)を備える本発明にかかる肺活量計(1)の定常流波形を示している。図5Bおよび図5Cは、それぞれ、比較例1および2に記載されているように、2つの異なるベンチュリ要素の形態の流れ制限部を備えた管状マウスピース(2)を備える肺活量計(1)の定常流波形を示している。図5Dは、比較例3に記載されているように、可動「フラップ型」流れ制限部を備えた管状マウスピース(2)を備える肺活量計(1)の定常流波形を示している。
較正結果:
これらのグラフからわかるように、流れ制限部として有孔ディスク(8)を備えた本発明の肺活量計(1)のみが信頼できる較正結果をもたらし、呼気流量および吸入流量の双方が、0.15~18L/sの範囲のテストされた流量のいずれに対しても等しい大きさのセンサ信号を生成した;例えば、双方の+/-信号範囲における同様の振幅を参照のこと。対照的に、比較例1~2の「ベンチュリ肺活量計」は、それぞれ、呼気および吸入の双方の流れが正または負ではなく正の信号値を生み出したため、双方の流量の測定には適していなかった。比較例3の「フラップ型肺活量計」では、較正中に非常に特異的な定常流信号が得られた(他のチューブと比較して最低流量と最高流量との差が比較的小さい);これはおそらく、測定シーケンス中に可動式流れ制限部(「フラップ」)が元の垂直位置に確実に戻らず、マウスピース(2)内の基準流れ抵抗が絶えず変化するためである。したがって、以下の表1および2から明らかなように、比較例3の「フラップ型肺活量計」では信頼できる流量測定は不可能であった。
ISO 26782:2009(E)規格およびATS/ERS規格の測定結果:
全ての数値結果を以下の表1および2に示す;太字で表示されている計算値は、ISO 26782:2009(E)規格およびATS/ERS規格において定義されている基準を満たしていない。
見てわかるように、流れ制限部として有孔ディスク(8)を備えた本発明の肺活量計(1)のみが、ISO 26782:2009(E)基準およびATS/ERS基準に従った精度および再現性の全ての基準を満たす一方で、流れ制限部としてベンチュリ要素または可動「フラップ」を使用した比較例1~3の他の肺活量計は、規格において定義された基準を反復的に満たしていない。
さらに、上述したように、流れ制限部として有孔ディスク(8)を備えた本発明の肺活量計(1)のみが、呼気および吸入流量の双方を確実に測定することを可能にした。


Claims (18)

  1. 肺機能パラメータを評価するための携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)であって、
    (a)管状マウスピース(2)であって、
    -ユーザの口に挿入するための近位開口(3)、
    -遠位開口(4)、
    -前記近位開口(3)と前記遠位開口(4)との間に延び、200mmから1400mmの範囲の断面積(A)を呈する主流路(5)、
    -第1の横開口(6)、
    -前記第1の横開口(6)から長手方向距離に配置された第2の横開口(7)、および、
    -前記第1および第2の横開口(6および7)の間の前記主流路(5)において断面方向に配置された有孔ディスク(8)の形態の流れ制限部
    を有する管状マウスピースと、
    (b)本体(9)であって、
    -前記マウスピース(2)の前記第1の横開口(6)に接続可能な第1の流体開口(10)、
    -前記マウスピース(2)の前記第2の横開口(7)に接続可能な第2の流体開口(11)、
    -前記第1および第2の流体開口(10および11)の間に延び、1mmから16mmの範囲の断面積(A)を呈するバイパス流路(12)、
    -前記バイパス流路(12)内の流体の流れに応答して信号を生成するために前記バイパス流路(12)に配置されたMEMSベースの熱流体流量センサ(13)、および、
    -前記流量センサ(13)によって生成された前記信号から流体の流れを計算するための前記流体流量センサ(13)に接続されたマイクロコントローラ(14)および、
    -前記肺活量計(1)の前記マイクロコントローラ(14)によって生成された前記流体の流れに関連するデータを交換するための通信手段
    を有する本体と、を備え、
    i)前記主流路(5)の断面に対する前記バイパス流路(12)の断面、および
    ii)前記有孔ディスク(8)が、前記肺活量計(1)の流れ抵抗が0.15kPa/(L/s)を超えないように適合または構成されている、肺活量計。
  2. i)前記主流路(5)の断面に対する前記バイパス流路(12)の断面、および
    ii)前記有孔ディスク(8)が、前記主流路(5)の流体の流れの1:2.5から1:200の前記バイパス流路(12)の流体の流れを引き起こすように、および/または、
    0.3SLMから350SLMの範囲の前記バイパス流路(12)の流体の流れを引き起こすように、適合または構成されている、請求項1に記載の肺活量計(1)。
  3. 前記肺活量計(1)が、>0SLM~840SLMの範囲内の任意の流体流量において0.01から0.14kPa/(L/s)の範囲の流れ抵抗を呈する、請求項1または2に記載の肺活量計(1)。
  4. 前記主流路(5)の断面積(A)が250mmから1300mmの範囲であり、および/または、
    前記バイパス流路(12)の断面積(A)が1mmから9mmの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  5. 前記主流路(5)の断面積(A)と前記バイパス流路(12)の断面積(A)との比率が100から800の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  6. -前記有孔ディスク(8)が、15個から100個の穿孔(8.1)を呈し、および/または、
    -全ての穿孔(8.1)の合計面積が、前記有孔ディスク(8)の位置での前記主流路(5)の断面積の26%から72%である、請求項5に記載の肺活量計(1)。
  7. 前記穿孔(8.1)が、円形、または実質的に円形、楕円形、または多角形である、請求項6に記載の肺活量計(1)。
  8. 前記主流路(5)の断面積(A)が530mmから760mmの範囲であり、
    前記バイパス流路(12)の断面積(A)が1mmから4mmの範囲であり、
    さらに、前記有孔ディスク(8)が、円形、または実質的に円形、または正多角形の形状を有する30個から60個の穿孔(8.1)、および前記有孔ディスク(8)の位置での前記主流路(5)の断面積の30%から50%の全ての穿孔(8.1)の合計面積を呈する、請求項1から7のいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  9. 前記バイパス流路(12)が長方形または実質的に長方形の断面を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  10. 前記MEMSベースの熱流体流量センサ(13)が、前記バイパス流路(12)の長手方向軸の1つに垂直な前記バイパス流路(12)の横軸の1つの上に中央に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  11. 前記MEMSベースの熱流体流量センサ(13)が、センサチップを備える双方向モノリシックCMOS流量センサ(13.1、13.2)であり、前記チップが、カプセル化された気泡と、前記気泡を加熱するための複数の動的に制御される熱抵抗器を備える加熱ロッドの形態のマイクロヒータと、列状に配置され且つ前記気泡の第1の側に位置する第1の複数の熱電対列と、列状に配置され且つ前記第1の側とは反対側の前記気泡の第2の側に位置する第2の複数の熱電対列とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  12. 前記MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)とは異なる加速度センサ(15)をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  13. 前記MEMSベースの熱流体流量センサ(13、13.1、13.2)および前記加速度センサ(15、15.1)とは異なるジャイロスコープ(29)をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  14. (a)心拍数センサ(16)、
    (b)血中酸素飽和度センサ(17)、
    (c)環境の温度を測定するための温度センサ(18)、
    (d)大気圧センサ(19)、
    (e)水分センサ(20)
    のセンサのうちの1つまたは複数をさらに備え、
    前記マイクロコントローラ(14)が前記1つまたは複数のセンサのそれぞれから信号を受信することができるように、前記1つまたは複数のセンサ(16~20)のそれぞれが、前記マイクロコントローラ(14)と直接的または間接的に接続されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の肺活量計(1)。
  15. 被験者の肺機能関連健康パラメータを測定するための方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の肺活量計(1)を介して呼吸操作を実行する前記被験者のステップを備える方法。
  16. -請求項1から14のいずれか一項に記載の携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)と、
    -前記携帯型の手持ち式電子肺活量計(1)および/または別個のコンピューティングユニットとデータ交換するように適合された通信手段を備える第1の空気質測定装置であって、前記第1の空気質測定装置の場所で空気質を判定するために、1つまたは複数の空気質センサを備える、第1の空気質測定装置と、を備える、システムまたはキット。
  17. 少なくとも、請求項1から14のいずれか一項に記載の肺活量計(1)および前記第1の空気質測定装置から得られたデータを収集および分析するように適合された別個のコンピューティングユニット、をさらに備える、請求項16に記載のシステムまたはキット。
  18. 前記1つまたは複数の空気質センサが、湿度センサ、温度センサ、大気圧センサ、MOS型ガスセンサ(金属酸化物半導体)、浮遊粒子センサ、花粉センサ、オゾン(O )センサ、二酸化窒素(NO )センサ、二酸化硫黄(SO )センサおよび一酸化炭素(CO)センサおよび他の種類のガスセンサからなる群から選択される、請求項16または17に記載のシステムまたはキット。
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