JP7388304B2 - 車両の走行制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両の走行制御装置に関し、特に、車輪を駆動する走行用モータを搭載した車両の走行制御装置に関するものである。
旋回走行中にアクセルペダルを戻すことで車両を減速させ過ぎると、ハンドルを切っている方向に急激に切れ込むタックインという現象や、荷重が前に掛かって後輪が浮き気味になることでグリップ力の低下を招き、車両が内側に切れ込んでしまうオーバーステアという現象が生じることが従来から知られている。
このようなタックインやオーバーステアを抑えるために、例えば特許文献1には、タイヤのグリップ状態を推定するグリップ状態推定手段を備え、旋回状態に応じて自車両を減速させる場合に、グリップ状態推定手段で推定したタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、自車両を減速させるときの減速度を制限するようにした車両用旋回走行制御装置が開示されている。
特開2006-281935号公報
ところで、電気自動車や燃料電池自動車等といった走行用モータを搭載した電動車両や、エンジンに加えて走行用モータを搭載したハイブリッド車両では、従来のエンジン車両に比して、ユーザのアクセル操作に対するトルク応答性が向上している。
それ故、電動車両やハイブリッド車両では、ユーザのアクセル操作による短時間での高減速度が実現可能であることから、旋回走行中の車両に高横G(高横加速度)が生じている状況下においては、ユーザのアクセル戻し操作によって車両挙動の乱れ(タックインやオーバーステア)が誘発され易い傾向にある。
ここで、特許文献1のものでは、タイヤのスリップ率に応じて減速度を低減させるフィードバック制御を行うことで、タックインやオーバーステア等を抑制するようにしているが、このような手法を、短時間での高減速度が実現可能な電動車両やハイブリッド車両に適用した場合には、応答遅れにより、タックインやオーバーステア等を抑制することが困難となるおそれがある。
そこで、減速度を低減させる制御の開始時期を早めることが考えられるが、闇雲に開始時期を早めると、タックインやオーバーステアが生じ難い状況であるにも拘わらず、減速を行おうとしているユーザの意思に反して減速度を制限してしまうという事態も生じ得るため、ドライバビリティを損ねるおそれがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車輪を駆動する走行用モータを搭載した車両において、車両挙動の安定とドライバビリティとを両立する技術を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る車両の走行制御装置では、スピン(タックインやオーバーステア)に不利な状況下においてのみ、アクセルオフのタイミングで、車両の減速度を制限する制御を開始するようにしている。
具体的には、本発明は、車輪を駆動する走行用モータを搭載した車両の走行制御装置を対象としている。
そして、この車両の走行制御装置は、車両の車速を検出する車速検出手段と、車両に発生した横加速度を検出する横加速度検出手段と、アクセルオフを検出するアクセルオフ検出手段と、上記車速検出手段によって検出された車速と、上記横加速度検出手段によって検出された横加速度と、に基づいて旋回半径を推定する旋回半径推定手段と、アクセル開度に応じて上記走行用モータを制御するモータ制御手段と、を備え、上記モータ制御手段は、上記横加速度検出手段によって検出された横加速度が所定加速度以上で且つ上記旋回半径推定手段によって推定された旋回半径が所定半径以上の場合には、上記車輪のスリップ率とは無関係に、上記アクセルオフ検出手段によってアクセルオフが検出されたときに、当該横加速度に応じて車両の減速度を制限する減速度制限制御を行うように構成されており、上記減速度制限制御では、車両のアンダーステアに対する注意を要する領域として規定された運転領域を「アンダーステア注意領域」とし、オーバーステアが生じ易い領域として規定された運転領域を「オーバーステア限界領域」とし、車両挙動の乱れが誘発され難い領域として規定された運転領域を「通常領域」とした場合に、上記「アンダーステア注意領域」から上記「オーバーステア限界領域」に移行させることなく上記「通常領域」に移行させる制御が行われるように、上記アクセルオフが検出された後、車体スリップ角が、スピンを発生させないための目標スリップ角以上に維持された状態での等減速度運動を行わせる減速度に制限することを特徴とするものである。
この構成では、横加速度検出手段によって検出された横加速度が所定加速度以上であることを、車両の減速度を制限する制御(以下、「減速度制限制御」ともいう。)の開始条件の一つとしていることから、換言すると、スピンに不利な高横G状態でのみ、車両の減速度を制限することから、過度に減速度を制限することでドライバビリティが損なわれるのを抑えることができる。
また、旋回半径が相対的に小さい場合には、スピンが生じ難いところ、この構成では、旋回半径推定手段によって推定された旋回半径が所定半径以上であることを、減速度制限制御の開始条件の一つとしていることから、換言すると、仮に高横G状態であっても、旋回半径が相対的に小さい場合には、車両の減速度を制限しないことから、ドライバビリティが損なわれるのをより一層抑えることができる。
その一方で、横加速度が所定加速度以上で且つ旋回半径が所定半径以上の場合、すなわち、スピンが発生し易い状況下においては、アクセルオフ検出手段によってアクセルオフが検出されたときに、モータ制御手段が減速度制限制御を開始する。このように、フィードバックとしての車輪のスリップ率とは無関係に、車輪がスリップする前から、フィードフォワード的に減速度制限制御を開始することで、ユーザのアクセル操作に対するトルク応答性が高い、走行用モータを搭載した車両においても、応答遅れなくタックインやオーバーステアを抑制することができる。
もっとも、モータ制御手段は、減速度制限制御を実行する場合にも、車両挙動の安定に大きく影響する横加速度に応じて減速度を制限することから、換言すると、横加速度が相対的に大きければ減速度を厳しく制限する一方、横加速度が相対的に小さければ減速度を緩やかに制限することから、車両挙動の安定を図りつつ、ドライバビリティに配慮した木目細かな減速度制限制御を実現することができる。
以上説明したように、本発明に係る車両の走行制御装置によれば、車輪を駆動する走行用モータを搭載した車両において、車両挙動の安定とドライバビリティとを両立することができる。
本発明の実施形態に係る走行制御装置を模式的に示すブロック図である。 タックインを模式的に説明する図である。 オーバーステアを模式的に説明する図である。 横加速度と減速度との関係を表したマップである。 横軸に横加速度をとり、縦軸に減速度をとって表した、旋回半径ごとの旋回限界を模式的に示す図である。 走行制御装置により実施される処理の一例を示すフローチャートである。 減速度制限制御を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。 横軸に横加速度をとり、縦軸に前後加速度をとって表した、車両に発生している加速度様態を示すG-Gダイアグラムである。 従来の走行制御装置を模式的に示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
-走行制御装置の全体構成-
図1は、本実施形態に係る走行制御装置10を模式的に示すブロック図である。この走行制御装置10は、電気自動車1(図2および図3参照)に搭載されていて、図1に示すように、パワートレイン11と、モータECU13と、車輪速センサ15と、横Gセンサ17と、アクセル開度センサ19と、を備えている。
パワートレイン11は、電動モータ12の他、図示省略する、減速機や、走行中は直流電流を交流に変換して電動モータ12を駆動する一方、減速時には交流電流を直流に変換してエネルギーを回収するインバータや、交流電流をバッテリ(図示せず)へ充電するための充電器や、高電圧を低電圧へ変換するDC/DCコンバータ等を有している。
電動モータ12は、走行用の動力を発生するとともに、減速時の回生ブレーキにより制動力を発生する。減速機は、電動モータ12が発生した走行用の動力を調節して車輪3(図2および図3参照)に伝達するように構成されている。それ故、本実施形態では、電動モータ12が、本発明でいうところの「車輪を駆動する走行用モータ」に相当する。
車輪速センサ15は、各車輪3,5の回転速度を検出する。また、横Gセンサ(横加速度検出手段)17は、電気自動車1(以下、「車両1」ともいう。)に発生した横加速度a(m/s2)を検出する。さらに、アクセル開度センサ19は、ユーザ(運転者)のペダル操作によるアクセル開度Acc(=0~100(%))を検出する。それ故、本実施形態では、アクセル開度センサ19が、本発明でいうところの「アクセルオフ(アクセル開度Acc=0(%))を検出するアクセルオフ検出手段」に相当する。
モータECU(モータ制御手段)13は、CPU(Central Processing Unit)を中心とするマイクロプロセッサとして構成されていて、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や、データを一時的に記憶するRAM(Random access memory)や、入出力ポートや、通信ポート等を備えている。そうして、車輪速センサ15によって検出された各車輪3,5の回転速度や、横Gセンサ17によって検出された横加速度aや、アクセル開度センサ19によって検出されたアクセル開度Accは、モータECU13に入力されるようになっている。モータECU13は、ROM等に記憶された制御マップ等を用いて、これらの入力情報に基づいてトルク指令値を設定し、当該トルク指令値により電動モータ12を制御するように構成されている。
また、モータECU13は、車輪速センサ15によって検出された各車輪3,5の回転速度から、車速V(m/s)を算出するように構成されている。それ故、本実施形態では、モータECU13および車輪速センサ15が、本発明でいうところの「車両の車速を検出する車速検出手段」に相当する。
以上のように構成された走行制御装置10では、ユーザがアクセルペダル(図示せず)を踏み込むと、モータECU13が、アクセル開度Accに応じてトルク指令値を設定し、当該トルク指令値に基づいて電動モータ12が走行用の動力を発生し、かかる動力が減速機を介して車輪3に伝達されることで、車両1が加速するようになっている。
一方、ユーザがアクセルペダルを戻すと、モータECU13が、アクセル開度Accに応じてトルク指令値の低減量(トルクダウン量)を設定し、電動モータ12が回生ブレーキとして機能することで、車両1が減速するとともに、インバータによって回生エネルギーが回収されるようになっている。
-減速度制限制御-
図2は、タックインを模式的に説明する図であり、図3は、オーバーステアを模式的に説明する図である。なお、図2および図3では、本来の車両1の進行方向を実線矢印で示し、スピンが生じた場合の車両1の進行方向を破線矢印で示し、旋回走行中に車両1に発生している横G(横加速度)を白抜き矢印で示している。
旋回走行中の車両1に高横Gが生じている状況下において、アクセルペダルを戻すことで車両1を減速させ過ぎると、図2の黒塗り矢印で示すように、前輪3に内向きの力が働くことによって、図2の破線矢印で示すように、ハンドルを切っている方向に車両1が急激に切れ込むタックインという現象が生じることが知られている。また、同様の状況において車両1を減速させ過ぎると、荷重が前に掛かって後輪5が浮き気味になることでグリップ力の低下を招き、図3の黒塗り矢印で示すように、後輪5に外向きの力が働くことによって、図3の破線矢印で示すように、車両1が内側に切れ込んでしまうオーバーステアという現象が生じることも知られている。
そうして、本実施形態の電気自動車1のように、走行用の電動モータを搭載した車両では、従来のエンジン車両に比して、ユーザのアクセル操作に対するトルク応答性が向上しているため、ユーザのアクセル操作による短時間での高減速度が実現可能であることから、旋回走行中の車両に高横Gが生じている状況下においては、ユーザのアクセル戻し操作によって車両挙動の乱れが誘発され易い傾向にある。
ここで、本発明を理解し易くするために、従来の走行制御装置について説明する。図9は、従来の走行制御装置110を模式的に示すブロック図である。図9に示すように、従来の走行制御装置110も、本実施形態の走行制御装置10と同様に、電動モータ112を含むパワートレイン111と、モータECU113と、車輪速センサ115と、横Gセンサ117と、アクセル開度センサ119と、を備えている。
もっとも、従来の走行制御装置110では、車輪速センサ115によって検出された各車輪の回転速度や、横Gセンサ117によって検出された横加速度aや、アクセル開度センサ119によって検出されたアクセル開度Accは、本実施形態の走行制御装置10とは異なり、モータECU113ではなくVSC-ECU114に入力されるようになっている。VSC-ECU114は、これらの入力情報に基づいて、タイヤ(車輪)のスリップ率を検出し、ユーザのアクセル戻し操作に従って減速を行った場合に、車両挙動の乱れ(タックインやオーバーステア)が生じるか否かを判定するように構成されている。
VSC-ECU114は、CAN通信回線116を介して、モータECU113と接続されていて、タックインやオーバーステアが生じると判定した場合には、モータECU113に対して、減速度(トルクダウン)の抑制を要求するように構成されている。このように、VSC-ECU114からトルクダウン抑制要求が出されると、モータECU113がそれに応じてトルクダウン量を制限し、パワートレイン111(電動モータ112)を制御することで、車両挙動の乱れを発生させるような減速が抑えられるようになっている。つまり、従来の走行制御装置110では、タイヤのスリップ率に応じて減速度を低減させるフィードバック制御をVSC-ECU114が実行することで、タックインやオーバーステア等が抑制されるようになっている。
しかしながら、電気自動車においてはユーザのアクセル操作による短時間での高減速度が実現可能であるところ、かかる従来の走行制御装置110では、タイヤのスリップを検出してから減速度の制限を開始することに加え、CAN通信回線116による通信遅れが生じることから、大きな応答遅れが発生してしまい、タックインやオーバーステア等を抑制することが困難となるおそれがある。
そのため、車両の減速度を制限する制御の開始時期を早めることも考えられるが、闇雲に開始時期を早めると、タックインやオーバーステア等が生じ難い状況であるにも拘わらず、減速を行おうとしているユーザの意思に反して減速度を制限してしまうという事態も生じ得ることから、ドライバビリティを損ねるおそれがある。
そこで、本実施形態の走行制御装置10では、スピン(タックインやオーバーステア)に不利な状況下においてのみ、アクセルオフのタイミングで、車両1の減速度dを制限する制御(以下、「減速度制限制御」ともいう。)を開始するようにしている。
具体的には、本実施形態では、(1)横Gセンサ17によって検出された横加速度aが所定加速度at以上で、且つ、(2)推定された車両1の旋回半径Rが所定半径Rt以上の場合には、(3)車輪3,5のスリップ率とは無関係に、アクセル開度センサ19によってアクセルオフが検出されたときに、(4)横加速度aに応じて車両1の前後方向の減速度dを制限するように、モータECU13を構成している。以下、モータECU13が実行する減速度制限制御について詳細に説明する。
(1)横加速度
図4は、横加速度aと減速度dとの関係を表したマップである。図4に示すように、横加速度aが相対的に高い領域では、横Gによる車両挙動の乱れが誘発され易い限界域が支配的である一方、横加速度aが相対的に低い領域では、横Gによる車両挙動の乱れが誘発され難い常用域が支配的である。つまり、横加速度aが相対的に高い場合には、ユーザのアクセル戻し操作による車両1の減速により、限界域に入り易い(タックインやオーバーステア等が発生し易い)一方、横加速度aが相対的に低い場合には、ユーザのアクセル戻し操作による減速度dが相対的に高くても、常用域に留まり易い(タックインやオーバーステア等が発生し難い)傾向にある。このため、横加速度aが相対的に高い領域では、車両挙動の安定化を優先すべきである一方、横加速度aが相対的に低い領域では、ドライバビリティを優先すべきであるといえる。
それ故、本実施形態では、横Gセンサ17によって検出された横加速度aが所定加速度at以上であることを、減速度制限制御の開始条件の一つとしている。換言すると、横Gセンサ17によって検出された横加速度aが所定加速度at未満であれば、車両1の減速度dを制限しないようにしている。このように、スピンに不利な高横G状態でのみ、車両1の減速度dを制限することから、過度に減速度dを制限することでドライバビリティが損なわれるのを抑えることが可能となっている。
なお、所定加速度atとしては、例えば7.5(m/s2)を挙げることができる。また、図4に示すマップは、モータECU13のROM等に記憶されていて、後述するように、トルク指令値(減速度d)を決定する際に、参照されるようになっている。
(2)旋回半径
図5は、横軸に横加速度aをとり、縦軸に減速度dをとって表した、旋回半径Rごとの旋回限界を模式的に示す図である。図5に示すように、旋回半径Rが相対的に小さい場合(60R)には、旋回半径Rが相対的に大きい場合(100R)に比して、スピンが生じ難い。それ故、本実施形態では、推定された車両1の旋回半径Rが所定半径Rt以上であることを、減速度制限制御の開始条件の一つとしている。
具体的には、モータECU13は、算出された車速Vと、横Gセンサ17によって検出された横加速度aと、を用いて、下記の数式1に基づいて、車両の旋回半径R(m)を推定するように構成されている。
R=V2/a・・・・・・(数式1)
それ故、本実施形態では、モータECU13が、本発明でいうところの「車速検出手段によって検出された車速と、横加速度検出手段によって検出された横加速度と、に基づいて旋回半径を推定する旋回半径推定手段」にも相当する。
ここで、数式1を見れば分かるように、車速Vと旋回半径Rとは、横加速度aが同じであれば、車速Vが高い程、旋回半径Rが大きくなる関係にある。それ故、本実施形態では、制御の簡略化のため、算出された車速Vが所定車速Vt(=(Rt×at)1/2)以上であることを、減速度制限制御の開始条件の一つとしている。なお、所定車速Vtとしては、例えば80(km/h)を挙げることができる。
このように、旋回半径R(車速V)が所定半径Rt(所定車速Vt)以上であることを、減速度制限制御の開始条件の一つとしていることから、換言すると、仮に高横G状態であっても、旋回半径Rが相対的に小さい低速走行時には、車両1の減速度dを制限しないことから、ドライバビリティが損なわれるのをより一層抑えることが可能となっている。
(3)減速度制限制御の開始時期
横加速度aが所定加速度at以上で且つ旋回半径R(車速V)が所定半径Rt(所定車速Vt)以上の場合、すなわち、スピンが発生し易い状況下においては、モータECU13は、アクセル開度センサ19によってアクセルオフが検出されたときに、減速度制限制御を開始するように構成されている。このように、フィードバックとしての車輪3,5のスリップ率とは無関係に、車輪3,5がスリップする前から、フィードフォワード的に減速度制限制御を開始することで、ユーザのアクセル操作に対するトルク応答性が高い電気自動車1においても、応答遅れなくタックインやオーバーステアを抑制することが可能となっている。
しかも、本実施形態の走行制御装置10では、従来の走行制御装置110とは異なり、VSC-ECU114による判定を介することなく、モータECU13がトルク指令値の低減量を抑制することから、通信遅れ(約24(ms))に起因する応答遅れをも解消することができる。
(4)減速度制限態様
モータECU13は、減速度制限制御を実行する場合にも、車両挙動の安定に大きく影響する横加速度aに応じてトルク指令値の低減量を抑制するように構成されている。具体的には、モータECU13は、ROM等に記憶された図4に示すマップを参照して、横加速度aが相対的に高ければ減速度dを厳しく制限する一方、横加速度aが相対的に低ければ減速度dを緩やかに制限するように構成されている。これにより、車両挙動の安定を図りつつ、ドライバビリティに配慮した木目細かな減速度制限制御を実現することが可能となっている。
-フローチャート-
次に、具体的な減速度制限制御の例を図6のフローチャートを参照して説明する。図6の制御ルーチンは、スタートスイッチ(図示せず)がONにされると開始し、スタートスイッチがONの間、所定時間毎に実行されるようになっている。
先ず、ステップS1では、モータECU13が、横Gセンサ17によって検出された横加速度aが所定加速度at以上か否かを判定する。このステップS1での判定がNOの場合、すなわち、横加速度aが所定加速度at未満の場合には、高減速度で車両1を減速してもスピンが発生する可能性が低いので、ステップS4の減速度制限制御を行うことなくそのままENDする。この場合には、モータECU13は、ユーザのアクセル操作によるアクセル開度Accに応じてトルク指令値を設定する。一方、ステップS1での判定がYESの場合には、ステップS2に進む。
次のステップS2では、モータECU13が、車輪速センサ15によって検出された各車輪3,5の回転速度から算出した車速Vが所定車速Vt以上か否かを判定する。このステップS2での判定がNOの場合、換言すると、旋回半径Rが所定半径Rt未満の場合には、高減速度で車両1を減速してもスピンが発生する可能性が低いので、減速度制限制御を行うことなくそのままENDする。一方、ステップS2での判定がYESの場合には、ステップS3に進む。
次のステップS3では、モータECU13が、アクセル開度センサ19によって検出されたアクセル開度Accが0(%)か否かを判定する。このステップS3での判定がNOの場合には、減速度制限制御を行うことなくそのままENDする。一方、ステップS3での判定がYESの場合には、ステップS4に進み、上述した減速度制限制御を行った後、ENDする。
-作用・効果-
次に、本実施形態の作用・効果について図7および図8を参照しながら説明する。
図7は、減速度制限制御を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。なお、図7において、実線は本実施形態の走行制御装置10による制御結果を示し、破線は従来の走行制御装置110による制御結果を示している。また、図7では、横加速度aが所定加速度at以上で且つ旋回半径Rが所定半径Rt以上で車両1が旋回走行をしているものとする。
図7の上図に示すように、時刻t1においてユーザのアクセル操作によりアクセルオフになると、本実施形態の走行制御装置10では、上述した減速度制限制御が実行される。それ故、本実施形態では、時刻t2以降、減速度dが1.0(m/s2)(前後加速度=-1.0(m/s2))に制限され、等減速度運動が行われることから、図7の下図に示すように、車体スリップ角が、スピンを発生させないための目標スリップ角(17(deg))以上に維持される。したがって、本実施形態によれば、ユーザのアクセル操作に対するトルク応答性が高い電気自動車1においても、応答遅れなくタックインやオーバーステアを抑制することができる。
これに対し、従来の走行制御装置110では、時刻t2以降も減速度dが上昇(前後加速度が下降)し続け、時刻t3において、一般にエンジンブレーキによる減速度の下限として設定されている前後加速度=-1.5(m/s2)での等減速度運動に移行する。そうして、タイヤのスリップを検出した時刻t4において初めて、車両の減速度を制限する制御が開始され、時刻t5以降、前後加速度=-1.0(m/s2)で等減速度運動が行われることになる。このように、従来の走行制御装置110では、減速度制限制御が本実施形態よりも(t5-t2)だけ遅く実行されることから、大きな応答遅れが生じ、図7の下図に示すように、車体スリップ角が目標スリップ角を超える結果となる。
図8は、横軸に横加速度aをとり、縦軸に前後加速度をとって表した、車両1に発生している加速度様態を示すG-Gダイアグラムである。なお、図8において、実線は本実施形態の走行制御装置10による制御結果を示し、破線は従来の走行制御装置110による制御結果を示している。
また、図8の凡例において、「アンダーステア限界領域」とは、アンダーステアが生じ易い運転領域を、「オーバーステア限界領域」とは、オーバーステアが生じ易い運転領域を、「アンダーステア注意領域」とは、アンダーステアに対する注意を要する運転領域を、「オーバーステア注意領域」とは、オーバーステアに対する注意を要する運転領域を、また、「通常領域」とは、図4の「常用域」に相当するものであり、車両挙動の乱れが誘発され難い領域をそれぞれ意味している。なお、図4の「限界域」は、オーバーステア注意領域~オーバーステア限界領域に相当する。
上述の如く、本実施形態の走行制御装置10では、タイヤ(車輪)がスリップする前から、フィードフォワード的に減速度制限制御を開始するのに対し、従来の走行制御装置110では、タイヤのスリップ率に応じて減速度dを低減させるフィードバック制御を行う点で、両者は決定的に異なっている。換言すると、図8のAで示すように、アンダーステア注意領域での旋回走行中にアクセルオフがあった場合に、従来の制御が、アンダーステア注意領域から一旦オーバーステア限界領域に入れて、タイヤのスリップを検出した後、通常領域(横G通常領域に入れて安定化を図る思想に基づいているのに対し、本実施形態の制御は、初めからオーバーステア限界領域に入れずに、アンダーステア注意領域から一気に横G通常領域に入れて安定化を図るという思想に基づいている。
なお、図8のBで示すように、横G通常領域での旋回走行中にアクセルオフがあった場合には、従来の制御でも、本実施形態の制御でも、制御結果は同じになる(減速度制限制御が行われない)ことから、いずれにおいても、ドライバビリティを損ねることはない。もっとも、従来の制御では、タイヤのスリップを検出しないから、減速度制限制御が行われないのに対し、本実施形態の制御では、スピンに不利な高横G状態ではないから、減速度制限制御が行われないのであり、この点でも両者は異なっている。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、本発明を電気自動車1に適用したが、これに限らず、例えば、燃料電池車両やハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、車輪速センサ15によって検出された各車輪3,5の回転速度から、モータECU13が車速Vを算出するようにしたが、これに限らず、例えば車速センサ(図示せず)によって車速Vをダイレクトに検出するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、旋回半径Rが所定半径Rt以上か否かの判定に代えて、車速Vが所定車速Vt以上か否かの判定を行うようにしたが、これに限らず、旋回半径Rが所定半径Rt以上か否かの判定を行ってもよい。
また、上記実施形態では、走行制御装置10にVSC-ECUを含めない構成としたが、これに限らず、走行制御装置10にVSC-ECUを含めてもよく、この場合には、減速度制限制御をフィードフォワード的に実行した後、タイヤのスリップ率に応じて減速度dを低減させるフィードバック制御を、VSC-ECUが行うことによって、減速度制限制御を補完するようにしてもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、車両挙動の安定とドライバビリティとを両立することができるので、車輪を駆動する電動モータを搭載した車両の走行制御装置に適用して極めて有益である。
1 電気自動車(車両)
3 車輪
5 車輪
10 走行制御装置
12 電動モータ
13 モータECU(モータ制御手段)(旋回半径推定手段)(車速検出手段)
17 横Gセンサ(横加速度検出手段)
19 アクセル開度センサ(アクセルオフ検出手段)
Acc アクセル開度
a 横加速度
at 所定加速度
R 旋回半径
Rt 所定半径
V 車速

Claims (1)

  1. 車輪を駆動する走行用モータを搭載した車両の走行制御装置であって、
    車両の車速を検出する車速検出手段と、
    車両に発生した横加速度を検出する横加速度検出手段と、
    アクセルオフを検出するアクセルオフ検出手段と、
    上記車速検出手段によって検出された車速と、上記横加速度検出手段によって検出された横加速度と、に基づいて旋回半径を推定する旋回半径推定手段と、
    アクセル開度に応じて上記走行用モータを制御するモータ制御手段と、を備え、
    上記モータ制御手段は、上記横加速度検出手段によって検出された横加速度が所定加速度以上で且つ上記旋回半径推定手段によって推定された旋回半径が所定半径以上の場合には、上記車輪のスリップ率とは無関係に、上記アクセルオフ検出手段によってアクセルオフが検出されたときに、当該横加速度に応じて車両の減速度を制限する減速度制限制御を行うように構成されており、
    上記減速度制限制御では、
    車両のアンダーステアに対する注意を要する領域として規定された運転領域を「アンダーステア注意領域」とし、オーバーステアが生じ易い領域として規定された運転領域を「オーバーステア限界領域」とし、車両挙動の乱れが誘発され難い領域として規定された運転領域を「通常領域」とした場合に、
    上記「アンダーステア注意領域」から上記「オーバーステア限界領域」に移行させることなく上記「通常領域」に移行させる制御が行われるように、上記アクセルオフが検出された後、車体スリップ角が、スピンを発生させないための目標スリップ角以上に維持された状態での等減速度運動を行わせる減速度に制限することを特徴とする車両の走行制御装置。
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