JP7388027B2 - 炭化珪素半導体装置 - Google Patents

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Description

この発明は、炭化珪素半導体装置に関する。
炭化珪素(SiC)を用いたpin(p-intrinsic-n)ダイオードのオン時にp型アノード領域からn-型ドリフト領域への正孔(ホール)注入を安定させるには、p型アノード領域が、不純物のイオン注入で形成された拡散領域ではなく、エピタキシャル層のみで形成されていることが望ましい。その理由は、p型アノード領域を形成するためのイオン注入でp型アノード領域内に生じた結晶欠陥がその後の熱処理において回復しきれずに残ることで、p型アノード領域が低キャリアライフタイム領域となり、p型アノード領域からn-型ドリフト領域への正孔注入が妨げられるからである。
p型アノード領域がエピタキシャル層のみで形成された構造(以下、アノードエピ構造とする)を備えた従来のpinダイオードについて説明する。図10は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。図10に示す従来のpinダイオード110は、n-型ドリフト領域103であるn-型エピタキシャル層133上に積層された、台形(メサ)状の断面形状のp型エピタキシャル層134で構成されたp型アノード領域104を有する。p++型アノードコンタクト領域105は、p型エピタキシャル層134上にエピタキシャル成長されたp++型エピタキシャル層135で構成される。
-型エピタキシャル層133は、n+型カソード領域101となるn+型出発基板131上に、n型フィールドストップ(FS:Field Stop)領域102となるn型エピタキシャル層132を介して積層され、n+型出発基板131およびn型エピタキシャル層132とともにエピタキシャル基板130を構成する。符号111~113は、それぞれ層間絶縁膜、アノード電極およびカソード電極である。符号121,122は、ダブルゾーン接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造を構成するp型領域である。
従来のpinダイオードとして、n-型エピタキシャル層とp-型エピタキシャル層とを交互に繰り返し配置した超接合(SJ:Super Junction)構造のi層を有し、これらn-型エピタキシャル層およびp-型エピタキシャル層の表面全体に設けられたp型エピタキシャル層をp層とする装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1では、p型エピタキシャル層の内部に選択的に設けられたp+型高濃度拡散領域を介して当該p型エピタキシャル層にアノード電極を電気的に接続することで、逆回復時に正孔を引き抜きやすくしている。
また、従来の別のpinダイオードとして、p-型アノード領域、p+型アノード領域およびフィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)に電気的に接続されるアノード電極を備えた装置が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)下記特許文献2では、p-型アノード領域内に当該p-型アノード領域よりも高純物濃度の複数のp+型アノード領域が選択的に設けられており、これらp+型アノード領域の間隔を広くすることで、素子全体としてn-型ドリフト領域への正孔注入を抑制して逆回復特性を向上させている。
また、従来の別のpinダイオードとして、i層であるn-型エピタキシャル層と、n-型エピタキシャル層の表面領域にイオン注入によりそれぞれ選択的に形成されたp型領域およびp+型領域と、を有し、p型領域の表面濃度を1×1015/cm3~1×1017/cm3の範囲とし、p+型領域の表面濃度を1×1018/cm3~1×1021/cm3の範囲とした装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)下記特許文献3では、p型領域の表面濃度を上記範囲とすることで逆回復耐量を大きくし、p+型領域の表面濃度を上記範囲とすることでサージ電流耐量を大きくしている。
国際公開第2017/169447号 特開2016-162776号公報 特開平9-181334号公報
しかしながら、pinダイオード110がエピタキシャル層132~135のみで作製(製造)されている場合(図10)、エピタキシャル層132~135内に結晶欠陥がほぼ存在しないことで、オン動作時にp++型アノードコンタクト領域105およびp型アノード領域104からn-型ドリフト領域103へ正孔が注入されやすく、正孔注入量の制御が困難となる。このため、従来のアノードエピ構造のpinダイオード110は、逆回復耐量が低く、逆回復耐量設計に課題がある。
従来のアノードエピ構造のpinダイオード110の逆回復耐量が低い理由は、従来のアノードエピ構造のpinダイオード110のオフ動作時(逆回復動作時)に流れる正孔電流変動に起因する。図10に示す従来のアノードエピ構造のpinダイオード110のオン動作時およびオフ動作時の状態をそれぞれ図11,12に示す。図11は、従来の炭化珪素半導体装置のオン動作時の状態を示す断面図である。図12は、従来の炭化珪素半導体装置のオフ動作時の状態を示す断面図である。
図11に示すように、従来のアノードエピ構造のpinダイオード110では、アノード電極112に正電圧が印加され、カソード電極113に負電圧が印加される順方向バイアス時、アノード電極112からp++型アノードコンタクト領域105およびp型アノード領域104を経て活性領域141におけるn-型ドリフト領域103へ至る第1経路151でn-型ドリフト領域103に正孔150が注入される。この順方向バイアス時、p型アノード領域104の端部からJTE領域121を経てn-型ドリフト領域103へ至る第3経路152で、エッジ終端領域142におけるn-型ドリフト領域103の、JTE領域121の直下にも正孔150が注入され蓄積される。
一方、図12に示すように、アノード電極112に負電圧が印加され、カソード電極113に正電圧が印加される逆方向バイアス時、n-型ドリフト領域103からp型アノード領域104およびp++型アノードコンタクト領域105を経てアノード電極112へ正孔150が排出153される。この正孔150の排出153時、n-型ドリフト領域103の、JTE領域121の直下の部分に蓄積されている正孔150は、p型アノード領域104とJTE領域121との境界に移動154して集中する。このため、従来のpinダイオード110は、オフ動作時に流れる正孔電流変動(di/dt)に対する耐量(逆回復耐量)が低く、p型アノード領域104の端部で破壊155する虞がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、逆回復耐量を向上させることができる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。活性領域と、前記活性領域を囲む終端領域と、前記活性領域と前記終端領域の間に設けられる遷移領域と、が設けられている。前記活性領域から前記終端領域にかけて第1主面および第2主面を有する第1導電型半導体層が設けられている。前記活性領域において、前記第1導電型半導体層の第1主面に、第2導電型の第1エピタキシャル層が設けられている。前記第1エピタキシャル層の、前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面に、前記第1エピタキシャル層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第2エピタキシャル層が設けられている。第1電極は、前記第1エピタキシャル層および前記第2エピタキシャル層に接触する。
第2電極は、前記第1導電型半導体層の第2主面に設けられている。前記終端領域において、前記第1導電型半導体層の内部に、前記第1エピタキシャル層に接して、耐圧構造を構成する第2導電型半導体領域が選択的に設けられている。前記第1エピタキシャル層は、前記活性領域から前記終端領域まで延在し、前記第2導電型半導体領域の内側端部を少なくとも覆い、前記遷移領域において、前記第2導電型半導体領域の内側端部より前記活性領域側かつ、前記第2エピタキシャル層の端部より前記終端領域側で、前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面全面が前記第1電極に接触する。前記第2エピタキシャル層は、前記活性領域で終端し、前記活性領域において前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面が前記第1電極に接触する。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2エピタキシャル層は、前記活性領域の全体に設けられ、前記遷移領域に設けられていないことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記遷移領域において、前記第1エピタキシャル層の、前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面に、前記第1エピタキシャル層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第3エピタキシャル層が選択的に設けられていることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記活性領域の表面積に対する前記第2エピタキシャル層の表面積の比率は、前記遷移領域の表面積に対する前記第3エピタキシャル層の表面積の比率よりも大きいことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第3エピタキシャル層は、前記活性領域の周囲を囲む環状に複数設けられていることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第3エピタキシャル層は、前記活性領域から離れた位置ほど幅が狭いことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分は、コーナー部で当該コーナー部以外の部分よりも幅を広くした矩形状に前記活性領域の周囲を囲むことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第3エピタキシャル層は、島状に複数配置されていること特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第3エピタキシャル層の個数は、前記活性領域から離れた位置ほど少ないことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第3エピタキシャル層の表面積は、前記活性領域から離れた位置ほど小さいことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分は矩形状に前記活性領域の周囲を囲む。前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分のコーナー部に配置された前記第3エピタキシャル層の表面積は、前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分でかつ前記コーナー部以外の部分に配置された前記第3エピタキシャル層の表面積よりも小さいことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1エピタキシャル層の不純物濃度は、1×1018/cm3以上1×1020/cm3以下であることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2エピタキシャル層の不純物濃度は、1×1019/cm3以上1×1021/cm3以下であることを特徴とする。
上述した発明によれば、遷移領域を活性領域よりも高コンタクト抵抗とする(または活性領域の端部を活性領域の中央部よりも高コンタクト抵抗とする)ことで、順方向バイアス時、遷移領域におけるp型アノード領域(第1エピタキシャル層)からn-型ドリフト領域(第1導電型半導体層)への正孔の注入が抑制され、n-型ドリフト領域の、JTE領域(第2導電型半導体領域)直下の部分に蓄積される正孔が少なくなる。このため、逆方向バイアス時に、n-型ドリフト領域の、JTE領域直下の部分から遷移領域におけるp型アノード領域を通ってアノード電極(第1電極)に排出される正孔が少なく、p型アノード領域とJTE領域との境界に正孔電流が集中することを抑制することができる。
本発明にかかる炭化珪素半導体装置によれば、逆回復耐量を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 図1の切断線A1-A1’における断面構造を示す断面図である。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のオン動作時の状態を模式的に示す説明図である。 実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のオフ動作時の状態を模式的に示す説明図である。 実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造の一例を示す説明図である。 実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造の一例を示す説明図である。 実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。 実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の別の一例を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。 従来の炭化珪素半導体装置のオン動作時の状態を示す断面図である。 従来の炭化珪素半導体装置のオフ動作時の状態を示す断面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる炭化珪素(SiC)半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図1の破線は、層間絶縁膜11(図2参照)の内側の端部である。図1に示す実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10は、半導体基板(半導体チップ)30の活性領域41にアノードエピ構造を備えたpinダイオードである。
半導体基板(第1導電型半導体層)30は、n+型出発基板31上にn型のエピタキシャル層32,33を積層した炭化珪素エピタキシャル基板である。半導体基板30のおもて面は、後述するn-型ドリフト領域3(i層)となるn-型エピタキシャル層33である。半導体基板30は、オン時に主電流が流れる活性領域41と、活性領域41の周囲を囲むエッジ終端領域42と、活性領域41とエッジ終端領域42との間の遷移領域43と、を有する。
アノードエピ構造とは、後述するn-型ドリフト領域3(i層)となるn-型エピタキシャル層33上に積層されたp型エピタキシャル層(第1エピタキシャル層)34で後述するp型アノード領域(p層)4が構成された構造である。n+型出発基板31は、n+型カソード領域(n層)1を構成する。n型エピタキシャル層32は、n型フィールドストップ(FS)領域2を構成する。n型FS領域2は設けられていなくてもよい。
活性領域41は、例えば半導体基板30の略中央部に配置される。活性領域41は、例えば略矩形状の平面形状を有する。活性領域41には、半導体基板30のおもて面(n-型エピタキシャル層33の表面)上に、p型エピタキシャル層34およびp++型エピタキシャル層(第2エピタキシャル層)35が順に積層されている。活性領域41において、n+型出発基板31上に積層されたエピタキシャル層の最表面は後述するp++型エピタキシャル層35である。
エッジ終端領域42は、遷移領域43よりも外側(半導体基板30の端部側)に配置されている。エッジ終端領域42は、半導体基板30のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する領域である。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。半導体基板30のおもて面とは、半導体基板30の、n-型エピタキシャル層33側の主面である。エッジ終端領域42において、n+型出発基板31上に積層されたエピタキシャル層の最表面はn-型エピタキシャル層33である。
エッジ終端領域42には、耐圧構造として接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)が配置されている。図1には、耐圧構造の一例としてダブルゾーンJTE構造を示すが、JTE構造に代えて、活性領域41を囲む同心円状に互いに離れて配置された複数のp型領域で構成されたフィールドリミッティングリング(FLR)が配置されてもよい。
JTE構造は、不純物濃度の異なる複数のp型領域(以下、JTE領域(第2導電型半導体領域)とする)を、活性領域41側から半導体基板30の端部側へ離れるにしたがって低不純物濃度のJTE領域が配置されるように、遷移領域43の周囲を囲む同心円状に互いに隣接して配置した構造である。ダブルゾーンJTE構造は、JTE領域(p-型領域)21と、JTE領域21よりも低不純物濃度のJTE領域(p--型領域)22と、で構成される。
JTE領域21,22は、n-型エピタキシャル層33の内部において、半導体基板30のおもて面の表面領域にそれぞれ選択的に設けられている。JTE領域21は、p型アノード領域4に接する。JTE領域21は、遷移領域43の周囲を囲む。JTE領域22は、JTE領域21の、半導体基板30の端部側に隣接して配置され、JTE領域21の周囲を囲む。JTE領域21,22の表面は、後述する層間絶縁膜11で覆われている。
遷移領域43は、活性領域41とエッジ終端領域42との間に配置され、活性領域41の周囲を囲む。遷移領域43において、半導体基板30のおもて面上には、活性領域41からp型エピタキシャル層34が延在している。遷移領域43において、n+型出発基板31上に積層されたエピタキシャル層の最表面はp型エピタキシャル層34である。遷移領域43には、p++型エピタキシャル層35は設けられていない。
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10の断面構造について説明する。図2は、図1の切断線A1-A1’における断面構造を示す断面図である。図2には、n+型出発基板31の導電型を「n+sub」と示す(図3,4においても同様)。上述したように、半導体基板30は、n+型出発基板31のおもて面上にn型エピタキシャル層32およびn-型エピタキシャル層33を順にエピタキシャル成長させた炭化珪素エピタキシャル基板である。
例えば、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10が10kV以上20kV以下程度の耐圧クラスである場合、n型エピタキシャル層32の不純物濃度は、1×1014/cm3以上1×1015/cm3程度であり、n型エピタキシャル層32の厚さt0は100μm以上200μm以下程度である。半導体基板30のおもて面(n-型エピタキシャル層33の表面)上には、活性領域41および遷移領域43の全体に、p型アノード領域4となるp型エピタキシャル層34が設けられている。
p型エピタキシャル層34は、遷移領域43からエッジ終端領域42へ延在し、JTE領域21上で終端している。p型エピタキシャル層34は、JTE領域21の内側(半導体基板30の中央部側)の端部に深さ方向に対向して接する。p型エピタキシャル層34は、例えば、n-型エピタキシャル層33の表面全体に積層されたp型エピタキシャル層をエッチングにより外側の部分を除去して内側に残した部分で構成される。
p型エピタキシャル層34は、例えば半導体基板30との界面を下底とし、半導体基板30側に対して反対側の表面を上底とし、かつ上底の長さを下底の長さよりも短くした略台形(メサ)状の断面形状であってもよい(図2)。図示省略するが、p型エピタキシャル層34は、半導体基板30との界面の長さと、半導体基板30側に対して反対側の表面の長さと、を等しくした略矩形状の断面形状であってもよい。
p型エピタキシャル層34は、オン動作時に、n-型ドリフト領域3へ注入される正孔50(図3)の注入源となる。p型エピタキシャル層34の不純物濃度は、例えば1×1018/cm3以上1×1020/cm3以下程度であることがよい。p型エピタキシャル層34の厚さt1は、例えば1μm以上10μm以下程度であってもよい。オン動作時とは、アノード電極(第1電極)12に正電圧が印加され、カソード電極(第2電極)13に負電圧が印加される順方向バイアス時である。
p型エピタキシャル層34の表面上には、活性領域41にのみ、p++型アノードコンタクト領域5となるp++型エピタキシャル層35が設けられている。遷移領域43およびエッジ終端領域42には、p++型エピタキシャル層35が設けられていない。p++型エピタキシャル層35が遷移領域43に設けられていないことで、遷移領域43は、活性領域41よりも、オン動作時にn-型ドリフト領域3へ注入される正孔50(図3)の注入量が低減された領域となる。
++型エピタキシャル層35は、例えば、p型エピタキシャル層34の表面全体に積層されたp++型エピタキシャル層を、エッチングにより外側の部分を除去して内側に残した部分で構成される。p++型エピタキシャル層35は、例えば、略矩形状の断面形状であってもよい。図示省略するが、p++型エピタキシャル層35は、例えば、p型エピタキシャル層34よりも上底および下底の長さが短い略台形状の断面形状であってもよい。
++型エピタキシャル層35は、オン動作時に、n-型ドリフト領域3へ注入される正孔50(図3)の注入源となる。また、p++型エピタキシャル層35は、アノード電極12とのコンタクト(電気的接触)抵抗を低減させる機能を有する。このため、p++型エピタキシャル層35の不純物濃度は、p型エピタキシャル層34の不純物濃度よりも高く、例えば1×1019/cm3以上1×1021/cm3以下程度であることがよい。
++型エピタキシャル層35の不純物濃度を上記上限値以下とすることで、オン動作時に、p++型アノードコンタクト領域5からn-型ドリフト領域3へ注入される正孔50(図2)の注入量を低減することができる。これにより、オフ動作時(逆回復動作時)の逆回復損失を低減させることができる。オフ動作時とは、アノード電極12に負電圧が印加され、カソード電極13に正電圧が印加される逆方向バイアス時である。
++型エピタキシャル層35の端部は、半導体基板30のおもて面に平行な方向に、p型エピタキシャル層34の端部よりも内側に離れて位置する。p型エピタキシャル層34の、p++型エピタキシャル層35側の表面の面内において、p++型エピタキシャル層35の端部からp型エピタキシャル層34の端部までの距離x1は、例えば、10μm以上200μm以下であることがよい。
この距離x1を10μm以上とすることで、オン動作時(順方向バイアス時)にp++型エピタキシャル層35からエッジ終端領域42へ注入される正孔50の注入量を抑制することができ、オフ動作時(逆方向バイアス時)にp型アノード領域4とJTE領域21との境界に正孔が集中することを抑制することができる。また、高耐圧(10kV~20kV程度)のpinダイオードにおいて、順方向バイアス時における正孔の横方向(半導体基板30のおもて面に平行な方向)の拡がりは、最大で200μm程度である。
この順方向バイアス時における正孔の横方向の拡がりの最大値は、例えば耐圧20kVクラスのpinダイオードのドリフト領域の厚さt0と同程度である。このため、耐圧20kVクラスのpinダイオードの場合、距離x1を200μm超としたとしても、p++型エピタキシャル層35からエッジ終端領域42へ注入される正孔50を抑制する効果は、距離x1を200μmとした場合と変わらない。このため、距離x1は、200μm以下で、かつ正孔の横方向の拡がりに応じて、チップサイズ内で許容されるだけ広くすることが好ましい。
++型エピタキシャル層35の厚さt2は、例えば0.5μm以上5μm以下程度であってもよい。p++型エピタキシャル層35の厚さt2は、p型エピタキシャル層34の厚さt1以下であってもよいし、p型エピタキシャル層34の厚さt1よりも厚くてもよい。図2には、p++型エピタキシャル層35の厚さt2がp型エピタキシャル層34の厚さt1よりも薄い場合を示している。
上述したようにn-型ドリフト領域3上に順に積層されたp型エピタキシャル層34およびp++型エピタキシャル層35がオン動作時にn-型ドリフト領域3へ注入される正孔50の注入源(以下、正孔50の注入源とする)となる。これらp型エピタキシャル層34およびp++型エピタキシャル層35の2層をオン動作時にn-型ドリフト領域3へ注入される正孔50の注入源とする理由は、次の通りである。
正孔50の注入源となるp型領域の不純物濃度はp型エピタキシャル層34の不純物濃度程度であることがよい。正孔50の注入源をp++型エピタキシャル層35のみで構成した場合、n-型ドリフト領域3への正孔50の注入量が多くなりすぎる。一方、正孔50の注入源となるp型領域の不純物濃度がp型エピタキシャル層34の不純物濃度程度である場合、アノード電極12とのコンタクト抵抗が高くなる。
したがって、p型エピタキシャル層34とアノード電極12との間に設けられたp++型エピタキシャル層35によって、正孔50の注入源となるp型領域とアノード電極12とのコンタクト抵抗を低減させる。そして、n-型ドリフト領域3に接するp型エピタキシャル層34を正孔50の主な注入源とすることで、オン動作時にn-型ドリフト領域3へ注入される正孔50の注入量が多くなりすぎることを抑制することができる。
エッジ終端領域42には、p型エピタキシャル層34およびp++型エピタキシャル層35は設けられていない。このため、エッジ終端領域42には、半導体基板30のおもて面(n-型エピタキシャル層33の表面)が露出されている。エッジ終端領域42のエピタキシャル層の最表面((n-型エピタキシャル層33の表面))の高さは、活性領域41および遷移領域43のエピタキシャル層の最表面(p++型エピタキシャル層35の表面)よりも低くなっている。
エッジ終端領域42において、半導体基板30のおもて面の表面領域には、JTE領域21,22がそれぞれ選択的に設けられている。JTE領域21,22は、p型エピタキシャル層34よりもn+型カソード領域1側に位置する。JTE領域21は、p型エピタキシャル層34よりも外側に配置されている。JTE領域21の内側の端部は、深さ方向に、p型エピタキシャル層34の端部に対向して接する。
JTE領域22は、JTE領域21の外側に隣接する。JTE領域21は、半導体基板30の端部よりも内側に位置する。JTE領域21よりも外側において半導体基板30のおもて面にn-型ドリフト領域3が露出されている。JTE領域21の不純物濃度は、p型エピタキシャル層34の不純物濃度よりも低く、例えば1×1017/cm3以上2×1017/cm3以下程度である。JTE領域22の不純物濃度は、JTE領域21の不純物濃度も低い。
層間絶縁膜11は、エッジ終端領域42において、p型エピタキシャル層34の端部、JTE領域21,22およびn-型ドリフト領域3の表面を覆う。層間絶縁膜11には、深さ方向に層間絶縁膜11を貫通するコンタクトホールが設けられている。コンタクトホールには、半導体基板30の中央部にp++型エピタキシャル層35が露出され、p++型エピタキシャル層35の外側に、p++型エピタキシャル層35の周囲を囲むp型エピタキシャル層34が露出されている。
アノード電極12は、層間絶縁膜11のコンタクトホールに埋め込まれている。アノード電極12は、活性領域41においてp++型エピタキシャル層35に接触し、遷移領域43においてp型エピタキシャル層34に接触し、これらp++型エピタキシャル層35およびp型エピタキシャル層34に電気的に接続されている。アノード電極12は、p++型エピタキシャル層35にオーミック接触している。
また、アノード電極12が例えばアルミニウムニッケル(AlNi)やチタンアルミニウム(TiAl)等の材料で形成され、かつp型エピタキシャル層34の不純物濃度が上記範囲内に設定されていれば、アノード電極12とp型エピタキシャル層34とは1mΩ・cm2程度と高コンタクト抵抗になるが、コンタクト可能である。アノード電極12の端部は、層間絶縁膜11の表面上に延在していてもよい。
半導体基板30の裏面(n+型出発基板31の裏面)には、カソード電極13が設けられている。カソード電極13は、n+型カソード領域1(n+型出発基板31)に電気的に接続されている。
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10の動作について説明する。図3は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のオン動作時の状態を模式的に示す説明図である。図4は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のオフ動作時の状態を模式的に示す説明図である。
図3に示すように、アノード電極12に正電圧が印加され、カソード電極13に負電圧が印加される順方向バイアス時、p++型アノードコンタクト領域5およびp型アノード領域4からn-型ドリフト領域3へ正孔(ホール)50が注入51,52される。この順方向バイアス時、p型アノード領域4からn-型ドリフト領域3へ正孔50の注入量は、活性領域41、遷移領域43およびエッジ終端領域42ともに等しい。
また、順方向バイアス時、p++型アノードコンタクト領域5からn-型ドリフト領域3への正孔50の注入は、活性領域41での正孔50の注入51よりも、エッジ終端領域42での正孔50の注入52が抑制される。その理由は、活性領域41とエッジ終端領域42との間の遷移領域43にはp型アノード領域4のみが設けられ、p++型アノードコンタクト領域5が設けられていないからである。
このようにエッジ終端領域42側への正孔50の注入が抑制されることで、エッジ終端領域42におけるn-型ドリフト領域3への正孔50の注入量を、活性領域41におけるn-型ドリフト領域3への正孔50の注入量よりも低減させることができる。このため、エッジ終端領域42におけるn-型ドリフト領域3の正孔濃度を、活性領域41におけるn-型ドリフト領域3の正孔濃度よりも低くすることができる。
図4に示すように、アノード電極12に負電圧が印加され、カソード電極13に正電圧が印加される逆方向バイアス時、n-型ドリフト領域3からp型アノード領域4およびp++型アノードコンタクト領域5を通ってアノード電極12へ正孔50が排出(吐き出し)53,54される。このとき、エッジ終端領域42で排出54される正孔50の排出量は、活性領域41で排出53される正孔50の排出量よりも少ない。
その理由は、遷移領域43では、アノード電極12とのコンタクト抵抗が活性領域41に比べて高く、正孔50が流れにくいからである。このため、順方向バイアス時、エッジ終端領域42におけるn-型ドリフト領域3での正孔50の正孔濃度(蓄積量)が活性領域41におけるn-型ドリフト領域3での正孔50の正孔濃度よりも低くなる。このため、逆方向バイアス時にn-型ドリフト領域3からアノード電極12へ排出される正孔50は、活性領域41と比べてエッジ終端領域42で低くなる。
さらに、逆方向バイアス時、正孔50が流れる経路は、活性領域41においてp++型アノードコンタクト領域5およびp型アノード領域4を通ってアノード電極12へ向かう第1経路と、遷移領域43においてp型アノード領域4のみを通ってアノード電極12へ向かう第2経路と、の2つである。第2経路は、第1経路と比べて、コンタクト抵抗が高く、正孔50が流れにくいからである。これによって、正孔50の排出54時、p型アノード領域4とJTE領域21との境界への正孔50の集中を抑制することができる。
以上、説明したように、実施の形態1によれば、p型アノード領域およびp++型アノードコンタクト領域をそれぞれエピタキシャル層で形成したアノードエピ構造とする。活性領域とエッジ終端領域との間に、p型アノード領域のみが配置され、p++型アノードコンタクト領域が配置されていない遷移領域が存在する。アノード電極にp型アノード領域が接触する遷移領域でのコンタクト抵抗は、アノード電極とp++型アノードコンタクト領域とがオーミック接触する活性領域でのコンタクト抵抗よりも高い。
このように遷移領域において高コンタクト抵抗とすることで、順方向バイアス時、遷移領域におけるp型アノード領域からn-型ドリフト領域への正孔の注入が抑制され、n-型ドリフト領域の、JTE領域直下の部分に蓄積される正孔が少なくなる。このため、逆方向バイアス時に、n-型ドリフト領域の、JTE領域直下の部分から遷移領域におけるp型アノード領域を通ってアノード電極に排出される正孔が少なく、p型アノード領域とJTE領域との境界に正孔電流が集中することを抑制することができる。したがって、逆回復耐量を向上させることができる。
また、実施の形態1によれば、活性領域とエッジ終端領域との間に遷移領域を設けることで、逆方向バイアス時に電界が集中する位置(p++型アノードコンタクト領域の端部)を、逆方向バイアス時に正孔電流が集中する位置(p型アノード領域とJTE領域との境界)から離れた位置にすることができる。これにより、さらに逆回復耐量を向上させることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図5,6は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造の一例を示す説明図である。図5,6の上図は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置60を半導体基板30のおもて面側から見たレイアウトである。図5,6の下図は、それぞれ図5,6の上図の切断線A2-A2’および切断線A3-A3’における断面構造である。実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置60の全体の平面図は、図1の遷移領域43を、活性端部61bに代えたものである。
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置60が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10(図1,2参照)と異なる点は、遷移領域にp++型アノードコンタクト領域65が選択的に配置されている点である。このため、遷移領域は、活性領域61のとして機能する。ここでは、p++型アノードコンタクト領域65が配置された部分を「活性領域61の端部(以下、活性端部とする)61b」とし、p++型アノードコンタクト領域5が配置された部分を「活性領域61の中央部(以下、活性中央部とする)61a」として説明する。
++型アノードコンタクト領域65は、例えば、活性端部61b全体に設けられたp++型エピタキシャル層(第3エピタキシャル層)35をエッチングにより選択的に除去して残した部分で構成される。p++型アノードコンタクト領域65は、活性中央部61aのp++型アノードコンタクト領域5と離れて配置されている。互いに隣り合うp++型アノードコンタクト領域65間には、p型エピタキシャル層34が露出されている。
p型エピタキシャル層34の表面積に対するp++型アノードコンタクト領域65の表面積の比率は、活性中央部61aから離れた位置ほど低くなっていてもよい。具体的には、p++型アノードコンタクト領域65は、例えば、活性中央部61aを中心とし、活性中央部61aのp++型アノードコンタクト領域5の周囲を囲む環状(同心円状)に複数配置されていてもよい(図5)。この場合、活性中央部61aから離れた位置に配置されるほど、p++型アノードコンタクト領域65の幅が狭くなっていてもよい。
また、p++型アノードコンタクト領域65’は、例えば、活性端部61bに点在する島状(例えばマトリクス状)に配置されていてもよい(図6)。この場合、例えば、p++型アノードコンタクト領域65’の個数は、活性中央部61aから離れた位置ほど少なくなっていてもよい。p++型アノードコンタクト領域65’の平面形状は、例えば略矩形状の平面形状であってもよい。複数のp++型アノードコンタクト領域65’は、すべて同じ表面積であってもよい。活性中央部61aに最も近い位置に配置されたp++型アノードコンタクト領域65’は、活性中央部61aの周囲を囲む環状に配置されていてもよい。
活性中央部61aの構成は、実施の形態1の活性領域41(図1,2参照)と同様である。すなわち、活性中央部61aのp++型アノードコンタクト領域5は活性中央部61a全体に設けられている。したがって、活性中央部61aの表面積に対するp++型アノードコンタクト領域5の表面積の比率は、活性端部61bの表面積に対するp++型アノードコンタクト領域65,65’の表面積の比率よりも高い。
p型エピタキシャル層34の、p++型エピタキシャル層35側の表面の面内において、活性中央部61aのp++型エピタキシャル層35の端部からp型エピタキシャル層34の端部までの距離x1’は、実施の形態1の距離x1(図2参照)と同様である。活性中央部61aのp++型アノードコンタクト領域5の比抵抗を、活性端部61bのp++型アノードコンタクト領域65,65’の比抵抗よりも高くすることで、エッジ終端領域62における順方向バイアス時の正孔の注入量および逆方向バイアス時の正孔の排出量を抑制してもよい。
アノード電極12は、活性中央部61aの全体において、p++型エピタキシャル層35(p++型アノードコンタクト領域5)のみに接触し、p++型アノードコンタクト領域5に電気的に接続されている。アノード電極12は、活性端部61bにおいて、p型エピタキシャル層34(p型アノード領域4)およびp++型エピタキシャル層35(p++型アノードコンタクト領域65,65’)に接触し、p型アノード領域4およびp++型アノードコンタクト領域65,65’に電気的に接続されている。
エッジ終端領域62は、活性領域61に隣接して配置されている。エッジ終端領域62の構成は、活性領域61に隣接する以外は実施の形態1のエッジ終端領域42と同様である。図5,6では、半導体基板30の裏面側の構成を図示省略するが、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、n+型カソード領域1およびn型FS領域2が設けられている。実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置60の動作は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10と同様である。
以上、説明したように、実施の形態2によれば、活性中央の全体にp++型アノードコンタクト領域を配置し、活性端部に選択的にp++型アノードコンタクト領域を配置した場合においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図7は、実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置70の全体の平面図は、図1の遷移領域43に代えて、エッジ終端領域72を内側へ活性領域71まで延在させて、活性領域71とエッジ終端領域72とを互いに隣接して配置したものである。
実施の形態3にかかる炭化珪素半導体装置70が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10と異なる点は、p型エピタキシャル層34の、遷移領域に露出されている端部側の部分(以下、p型エピタキシャル層34の端部側の部分とする)34aが層間絶縁膜11’で覆われている点である。遷移領域のp型エピタキシャル層34にはアノード電極12が接触しないため、遷移領域はエッジ終端領域72として機能する。
ここでは、半導体基板30の端部から、p型エピタキシャル層34の端部側の部分34aを含む部分までをエッジ終端領域72として説明する。この点以外のエッジ終端領域72の構成は、実施の形態1のエッジ終端領域42(図1,2参照)と同様である。活性領域71の構成は、実施の形態1の活性領域41(図1,2参照)と同様である。アノード電極12は、p++型エピタキシャル層35のみに接触する。
実施の形態3においては、p型エピタキシャル層34の端部側の部分34aにアノード電極12が接触していないことで、順方向バイアス時、エッジ終端領域72におけるn-型ドリフト領域3へ注入される正孔は、p型エピタキシャル層34の端部側の部分34aを、半導体基板30のおもて面に略平行な方向へ移動する。正孔の移動距離が長くなることで、正孔の移動経路が高抵抗となるため、順方向バイアス時にエッジ終端領域72におけるn-型ドリフト領域3への正孔の注入量を抑制することができる。
以上、説明したように、実施の形態3によれば、順方向バイアス時にエッジ終端領域におけるn-型ドリフト領域への正孔の注入量を抑制することができるため、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図8は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図9は、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置の別の一例を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図8,9には、半導体基板30のコーナー部30aを示す。図8,9は、図1の対頂点B1,B1’を有する矩形枠内の部分に相当する。この矩形枠の頂点B1は半導体基板30の中央部側であり、頂点B1’は半導体基板30の端部側である。
図8に示すように、実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置10’が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10(図1参照)と異なる点は、p型エピタキシャル層34の、p++型エピタキシャル層35に覆われていない端部側の部分34aの、半導体基板30のコーナー部30aにおける幅w1を、半導体基板30の直線部30bにおける幅w2よりも広くした点である(w1>w2)。半導体基板30のコーナー部30aとは、略矩形状の平面形状を有する半導体基板30の頂点である。半導体基板30の直線部30bとは、半導体基板30のコーナー部30a間の部分であり、略矩形状の平面形状を有する半導体基板30の辺である。
図9に示す実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置60’は、図8に示す実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置10’に図6に示す実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置60を適用し、活性端部61bに島状にp++型アノードコンタクト領域65を有する。この場合、活性端部61bに配置されたp++型アノードコンタクト領域65の個数が、半導体基板30の直線部30bよりも半導体基板30のコーナー部30aで少なくなっている。または、活性端部61bにおいて、半導体基板30の直線部30bよりも半導体基板30のコーナー部30aに、表面積の小さいp++型アノードコンタクト領域65が配置されている。
図8に示す実施の形態4にかかる炭化珪素半導体装置10’に図5に示す実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置60を適用して、活性端部61bに環状にp++型アノードコンタクト領域65が配置されていてもよい(不図示)。この場合、環状に配置されたp++型アノードコンタクト領域65の幅を、半導体基板30の直線部30bよりも半導体基板30のコーナー部30aで狭くしてもよい。
以上、説明したように、実施の形態4によれば、実施の形態1~3と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態4によれば、半導体基板の、逆方向バイアス時に正孔電流が集中しやすいコーナー部での耐圧を、半導体基板の直線部での耐圧よりも高くすることができる。
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置は、p型アノード領域をアノードエピ構造とした炭化珪素ダイオードに有用である。
1 n+型カソード領域
2 n型FS領域
3 n-型ドリフト領域
4 p型アノード領域
5,65,65’ p++型アノードコンタクト領域
10,10’,60,60’,70 炭化珪素半導体装置
11,11’ 層間絶縁膜
12 アノード電極
13 カソード電極
21, 22 JTE領域
30 半導体基板
30a 半導体基板のコーナー部
30b 半導体基板の直線部
31 n+型出発基板
32 n型エピタキシャル層
33 n-型エピタキシャル層
34 p型エピタキシャル層
34a p型エピタキシャル層の端部側の部分
35 p++型エピタキシャル層
41,61,71 活性領域
42,62,72 エッジ終端領域
43 遷移領域
50 正孔
51,52 順方向バイアス時の正孔の注入
53,54 逆方向バイアス時の正孔の排出
61a 活性領域の中央部側の部分(活性中央)
61b 活性領域の端部側の部分(活性端部)
w1 p型エピタキシャル層の端部側の部分の、半導体基板のコーナー部における幅
w2 p型エピタキシャル層の端部側の部分の、半導体基板の直線部における幅
x1,x1’ p++型エピタキシャル層の端部からp型エピタキシャル層の端部までの距離

Claims (13)

  1. 活性領域と、
    前記活性領域を囲む終端領域と、
    前記活性領域と前記終端領域の間に設けられる遷移領域と、
    前記活性領域から前記終端領域にかけて設けられる第1主面および第2主面を有する第1導電型半導体層と、
    前記活性領域において、前記第1導電型半導体層の第1主面に設けられた第2導電型の第1エピタキシャル層と、
    前記第1エピタキシャル層の、前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面に設けられた、前記第1エピタキシャル層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第2エピタキシャル層と、
    前記第1エピタキシャル層および前記第2エピタキシャル層に接触する第1電極と、
    前記第1導電型半導体層の第2主面に設けられた第2電極と、
    前記終端領域において、前記第1導電型半導体層の内部に、前記第1エピタキシャル層に接して選択的に設けられ、耐圧構造を構成する第2導電型半導体領域と、
    を備え、
    前記第1エピタキシャル層は、前記活性領域から前記終端領域まで延在し、前記第2導電型半導体領域の内側端部を少なくとも覆い、前記遷移領域において、前記第2導電型半導体領域の内側端部より前記活性領域側かつ、前記第2エピタキシャル層の端部より前記終端領域側で、前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面全面が前記第1電極に接触し、
    前記第2エピタキシャル層は、前記活性領域で終端し、前記活性領域において前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面が前記第1電極に接触することを特徴とする炭化珪素半導体装置。
  2. 前記第2エピタキシャル層は、前記活性領域の全体に設けられ、前記遷移領域に設けられていないことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
  3. 前記遷移領域において、前記第1エピタキシャル層の、前記第1導電型半導体層側に対して反対側の表面に、前記第1エピタキシャル層よりも不純物濃度の高い第2導電型の第3エピタキシャル層が選択的に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
  4. 前記活性領域の表面積に対する前記第2エピタキシャル層の表面積の比率は、前記遷移領域の表面積に対する前記第3エピタキシャル層の表面積の比率よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体装置。
  5. 前記第3エピタキシャル層は、前記活性領域の周囲を囲む環状に複数設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の炭化珪素半導体装置。
  6. 前記第3エピタキシャル層は、前記活性領域から離れた位置ほど幅が狭いことを特徴とする請求項5に記載の炭化珪素半導体装置。
  7. 前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分は、コーナー部で当該コーナー部以外の部分よりも幅を広くした矩形状に前記活性領域の周囲を囲むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
  8. 前記第3エピタキシャル層は、島状に複数配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の炭化珪素半導体装置。
  9. 前記第3エピタキシャル層の個数は、前記活性領域から離れた位置ほど少ないことを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
  10. 前記第3エピタキシャル層の表面積は、前記活性領域から離れた位置ほど小さいことを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
  11. 前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分は矩形状に前記活性領域の周囲を囲み、
    前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分のコーナー部に配置された前記第3エピタキシャル層の表面積は、前記第1エピタキシャル層の、前記第2エピタキシャル層の端部よりも外側の部分でかつ前記コーナー部以外の部分に配置された前記第3エピタキシャル層の表面積よりも小さいことを特徴とする請求項8~10のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
  12. 前記第1エピタキシャル層の不純物濃度は、1×1018/cm3以上1×1020/cm3以下であることを特徴とする請求項1~11のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
  13. 前記第2エピタキシャル層の不純物濃度は、1×1019/cm3以上1×1021/cm3以下であることを特徴とする請求項1~12のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
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