JP7386290B2 - ヒト心室前駆細胞の生着のための遺伝子マーカー - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月19日に出願した米国特許出願第62/297,217号の優先権および利益を主張し、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
主に心筋梗塞により引き起こされる心不全は、世界中で成人と小児の両方における主要な死因であり、世界中で急激に増加している(Bui,A.L.et al.(2011)Nat.Rev.Cardiol.8:30-41)。疾患は、心筋損傷中に生じる心室筋の喪失により主にもたらされ(Lin,Z.and Pu,W.T.(2014)Sci.Transl.Med.6:239rv1)、成人の心臓が再生反応を開始するごくわずかな能力により悪化する(Bergmann,O.et al.(2009)Science 324:98-102;Senyo,S.E.et al.(2013)Nature 493:433-436)。心臓移植は、治療的であり得るが、ヒト心臓器官ドナーの入手の可能性は著しく制限されており、純粋な、成熟かつ機能的ヒト心室筋組織の再生可能な供給源は、広範な臨床上の充足されていないニーズとなっている(Segers,V.F.M.and Lee,R.J.(2008)Nature 451:937-942;Spater,D.et al.(2014)Development 141:4418-4431)。
ヒト多能性幹細胞(hPSC)は、損傷したまたは病変した心臓における機能の潜在的な臨床的回復のため、多数の機能的心筋細胞を生成する可能性を提供する。心機能を改善し、および/または損傷された心筋を富化し、再生するための幹細胞の心臓への移植が、提案されている(例えば、米国特許公開第20040180043号を参照)。成人の幹細胞が成長因子タンパク質での治療と併用して投与される併用療法もまた、提案されている(例えば、米国特許公開第20050214260号を参照)。
心機能を改善し、心臓組織を再生するための細胞移植のアプローチにおける大きな進歩は、心筋細胞、心平滑筋および心内皮細胞を生じる能力がある多能性心筋前駆細胞のファミリーの同定ならびに単離であった(Cai,C.L.et al.(2003)Dev.Cell.5:877-889;Moretti,A.et al.(2006)Cell 127:1151-1165;Bu,L.et al.(2009)Nature 460:113-117;米国特許公開第20060246446号)。これらの心筋前駆細胞は、LIMホメオドメイン転写因子Islet1(Isl1)の発現により特徴付けられ、したがって、Isl1+心筋前駆細胞として言及される(前掲)。対照的に、Isl1は、分化した心臓細胞において発現しない。Isl1より、分化において後で生じるIsl1+心臓前駆細胞のさらなるマーカーが、記載されており、それは、Nkx2.5およびflk1を含む(例えば、米国特許公開第20100166714号を参照)。
Isl1+心臓前駆細胞の再生および分化は、Wnt/ベータ-カテニンシグナル伝達経路により制御されることが示された(例えば、Qyang,Y.et al.(2007)Cell Stem Cell.1:165-179;Kwon,C.et al.(2007)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 104:10894-10899を参照)。これは、多能性幹細胞を誘導してIsl1+系統に入り、Wntシグナル伝達の調節を介してIsl1+集団の拡大のための方法の開発に至った(例えば、Lian,X.et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:E1848-57;Lian,X.et al.(2013)Nat.Protoc.8:162-175;米国特許公開第20110033430号;米国特許公開第20130189785号を参照)。
一方、ヒト多能性幹細胞は、多いに有望であり、大きな課題は、多様な心臓細胞の単純な分化から生体内での巨大スケールの純粋な3D心室筋組織の形成に展開させる能力であり、最終的に、血管新生、細胞外基質の構築およびアライメント、ならびに成熟を必要とする。その目的に向い、心臓細胞(心房性、心室性、ペースメーカ)の多様な集団が、人工的かつ脱細胞化基質と結び付けられ(Masumoto,H.et al.(2014)Sci.Rep.4:5716;Ott,H.C.et al.(2008)Nat.Med.14:213-221;Schaaf,S.et al.(2011)PLoS One 6:e26397)、血管細胞および導管(Tulloch,N.L.et al.(2011)Circ.Res.109:47-59)ならびにmicroRNAのカクテル(Gama-Garvalho,M.et al.(2014)Cells 3:996-1026)が、研究されてきたが、目標は、つかみどころがないままである。
したがって、当該技術分野において、生体内で組織移植片を首尾よく形成することができるそれらの細胞の同定を可能にするであろう心筋前駆細胞の遺伝子マーカー、特に、心室筋細胞に分化することができ、ならびに生体内で、血管新生および細胞外基質形成を達成することができる前駆細胞の同定のための遺伝子マーカーが依然として必要である。
Bui,A.L.et al.(2011)Nat.Rev.Cardiol.8:30-41
本発明は、生体内で生着する能力を有するヒト心室前駆細胞(HVP)を同定する、生着マーカーとして言及される遺伝子マーカーを提供する。生体内でのHVPの移植は、血管新生され、細胞外基質を有する成熟心室筋組織の移植片を生じる。HVPは、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9のような細胞表面マーカー、ならびに細胞内マーカーIslet1を発現することが既に示されている(2015年8月21日に出願された米国出願番号第14/832,324号、および2015年12月30に出願された米国出願番号第14/984,783号を参照、そのそれぞれの全体的内容は、明確に、参照により本明細書に取り込まれる)。本発明の生着マーカーは、ここで、生着についての能力を有するその集団内の細胞の同定を可能にする。1つの実施形態において、生着マーカーは血管新生マーカーである。別の実施形態において、生着マーカーは、細胞外基質マーカーである。本発明は、他のHVPマーカーの発現と強く相関し、これにより、生着可能なHVPの同定を可能にする「陽性の」マーカー、ならびに発現の欠如が、他のHVPマーカーの発現と強く相関し、これにより、また生着可能なHVPの同定を可能にする「陰性の」マーカーの両方を提供する。
したがって、1つの態様において、本発明は、
HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出し、これにより、生着可能なHVPを同定すること
を含む、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を同定する方法を提供し、ここで、
HVPはまた、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現する。
別の態様において、本発明は、
心筋前駆細胞を含有するヒト細胞をヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で培養すること;
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーのHVP上での発現を検出すること;
少なくとも1つの生着マーカーのHVPにおける発現を検出すること;ならびに
少なくとも1つの表面マーカーと少なくとも1つの生着マーカーを共発現するHVPを単離し、これにより、生着可能なHVPを単離すること
を含む、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を単離する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、
ヒト心室組織が対象において生着されるように、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供し、
ここで、移植に先立ち、生着可能なHVPが、HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することにより同定され;
HVPは、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現する。
別の態様において、本発明は、
心筋前駆細胞を含有するヒト細胞をヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で培養すること;
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーのHVP上での発現を検出すること;
少なくとも1つの生着マーカーのHVPにおける発現を検出すること;
少なくとも1つの表面マーカーと少なくとも1つの生着マーカーを共発現するHVPを単離し、これにより、生着可能なHVPを単離すること;ならびに
ヒト心室組織が対象において生着されるように、生着可能なHVPを対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供する。
別の態様において、本発明は、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現するヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で心筋前駆細胞を含有するヒト細胞を培養すること;
少なくとも1つの表面マーカーを発現するHVPを単離して、HVP集団を形成すること;
HVP集団の試料における少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出すること;ならびに
ヒト心室組織が、対象において生着されるように、少なくとも1つの表面マーカーおよび少なくとも1つの生着マーカーを発現するHVPを対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供する。
1つの実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーである。1つより多くの陽性の血管新生マーカーを検出することができ、例えば、3つもしくはそれ以上、または10もしくはそれ以上の陽性の血管新生マーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである。1つより多くの陽性の細胞外基質マーカーを検出することができ、例えば、3つ以上または10以上の陽性の細胞外基質マーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである。それぞれの陽性のマーカー(血管新生および細胞外基質)の1つより多くを検出することができ、例えば、これらの陽性のマーカーのそれぞれの3つ以上または10以上を検出することができる。
1つの実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択される。
1つの実施形態において、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される。
少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーと少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーの両方が検出されるそれらの実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーを、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択することができ;
少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーを、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択することができる。
別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択され;
少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される。
別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択され;
少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される。
1つの実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーである。1つより多くの陰性の血管新生マーカーを検出することができ、例えば、3つ以上または10以上の陰性の血管新生マーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである。1つより多くの陰性の細胞外基質マーカーを検出することができ、例えば、3つ以上または10以上の陰性の細胞外基質マーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである。それぞれの陰性のマーカー(血管新生および細胞外基質)の1つより多くを検出することができ、例えば、これらの陰性のマーカーのそれぞれの3つ以上または10以上を検出することができる。
1つの実施形態において、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーは、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーは、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される。
1つの実施形態において、少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーは、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択される。
少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーと少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーの両方が検出されるそれらの実施形態において、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーを、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択することができ;
少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーを、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択することができる。
1つの実施形態において、少なくとも1つの生着マーカーの発現の検出は、HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現の検出(陽性の血管新生マーカーおよび/または陽性の細胞外基質マーカーのような「陽性の」マーカー発現の検出)を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの生着マーカーの発現の検出は、HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現の欠如の検出(陰性の血管新生マーカーおよび/または陰性の細胞外基質マーカーのような「陰性の」マーカー発現の検出)を含む。
本発明の他の特性および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかであろう。
図は、ヒト多能性幹細胞(hPSC)からヒトIsl1+心筋芽前駆細胞を生じるための典型的な培養プロトコールの模式図である。
本発明は、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を同定する方法、ならびに生着可能なHVPを移植する方法を提供する。本発明の方法は、生体内に移植されたとき、血管新生され、細胞外基質を有する成熟ヒト心室組織の移植片を形成する能力を有するそのHVP内での遺伝子発現特性の発見に、少なくとも一部において基づく。したがって、移植に先立ち、HVPにおける1つまたは複数の生着マーカーの検出は、生体内での生着を可能にするその細胞の同定を可能にし、これにより、移植プロセスの成功の可能性を大いに増大させる。
本発明がより容易に理解され得る目的で、ある種の用語がまず定義される。さらなる定義は、詳細な説明を通じて説明される。
本明細書において使用される、用語「生着可能な」は、宿主に移植されたとき、生体内で移植片を形成する能力に関する、細胞(例えば、ヒト心室前駆細胞)の性質を指す。細胞(例えば、前駆細胞)の混合された集団内で、その混合された集団内の全ての細胞が宿主に移植されたとき必ずしも移植片を形成するわけではなく、これは、首尾よい生着となるために生じなければならない多数の生物学的プロセスが存在するからである。これらの生物学的プロセスは、血管の移植片への形成(血管新生)および移植片を支持するための細胞外基質の形成を含む。したがって、細胞の混合された集団内の「生着可能な」細胞は、宿主に移植されたとき、生体内で移植片を形成する能力を有するそれらの細胞を指す。
本明細書において使用される、用語「生着マーカー」は、細胞の生着可能性、すなわち、宿主に移植されたとき、生体内で移植片を形成する細胞の能力と相関する細胞内で検出可能な遺伝子またはタンパク質マーカーのような、マーカーを指す。
本明細書において使用される、生着マーカーは、その発現が、細胞表面マーカーJAG1、FRZ4、LIFRおよび/もしくはFGFR3、または細胞内マーカーIslet1のような、ヒト心室前駆細胞(HVP)の他の同定するマーカーと正に相関する、それらのマーカーを指す、「陽性のマーカー」であり得る。あるいは、本明細書において使用される通り、生着マーカーは、その発現が、細胞表面マーカーJAG1、FRZ4、LIFRおよび/もしくはFGFR3、または細胞内マーカーIslet1のような、ヒト心室前駆細胞(HVP)の他の同定するマーカーと負に相関するそれらのマーカーを指す、「陰性のマーカー」であり得る。
本明細書において使用される、用語「血管新生マーカー」は、血管新生マーカーが、血管新生のプロセスにおいて関与することが公知の遺伝子またはタンパク質である、サブカテゴリの生着マーカーを指す。
本明細書において使用される、用語「細胞外基質マーカー」は、細胞外基質マーカーが、細胞外基質の沈着のプロセスにおいて関与することが公知の遺伝子またはタンパク質である、サブカテゴリの生着マーカーを指す。
本明細書において使用される、用語「Jagged1」、「Jag1」および「JAG1」を互換的に使用して、例えば、Oda,T.et al.(1997)Genomics,43:376-379;Oda,T.et al.(1997)Nat.Genet.16:235-242;Li,L.et al.(1998)Immunity,8:43-55;Bash,J.et al.(1999)EMBO J.,18:2803-2811;およびJones,E.A.et al.(2000)J.Med.Genet.37:658-662において記載されている当該技術分野において公知のタンパク質を指す。Jagged1タンパク質の非限定的な例は、Genbank受託番号P78504.3において説明されるアミノ酸配列を有するヒトタンパク質である。
本明細書において使用される、用語「Frizzled4」、「Fzd4」および「FZD4」を互換的に使用して、例えば、Kinkoshi,H.et al.(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.,264:955-961;Tanaka,S.et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10164-10169;およびRobitaille,J.et al.(2002)Nat.Genet.,32:326-330において記載されている当該技術分野において公知のタンパク質を指す。Frizzled4タンパク質の非限定的な例は、Genbank受託番号Q9ULV1において説明されるアミノ酸配列を有するヒトタンパク質である。
本明細書において使用される、用語「白血病抑制因子受容体」、「LIF受容体」および「LIFR」を互換的に使用して、例えば、Gearing,D.et al.(1991)EMBO J.10:2839-2848;Gearing,D.and Bruce,A.G.(1992)New.Biol.4:61-65;およびSchiemann,W.P.et al.(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:5361-5365において記載されている当該技術分野において公知のタンパク質を指す。LIFRはまた、当該技術分野において、白血病抑制因子受容体アルファ、CD118、CD118抗原、SJS2、STWSおよびSWSとして言及される。LILFRタンパク質の非限定的な例は、Genbank受託番号NP_001121143.1において説明されるアミノ酸配列を有するヒトタンパク質である。
本明細書において使用される、用語「線維芽細胞成長因子受容体3」、「FGF受容体3」および「FGFR3」を互換的に使用して、例えば、Keegan,K.et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1095-1099;Thompson,L.M.et al.(1991)Genomics 11:1133-1142;およびShiang,R.et al.(1994)Cell 78:335-343において記載されている当該技術分野において公知のタンパク質を指す。FGFR3はまた、当該技術分野において、CD333、CD333抗原、EC2.7.10.1、JTK4、ACH、CEK2およびHSFGFR3EXとして言及される。FGFR3タンパク質の非限定的な例は、Genbank受託番号NP_000133.1において説明されるアミノ酸配列を有するヒトタンパク質である。
本明細書において使用される、用語「幹細胞」は、広義で使用され、伝統的な幹細胞、前駆細胞、プレ前駆細胞、貯蔵細胞などを含む。用語「幹細胞」または「前駆体」を本明細書において互換的に使用し、分化した、または分化可能な娘細胞を順に生じることができる多くの母細胞を生成する能力を有する、より前駆の細胞を増殖および生じる能力がある未分化の細胞を指す。娘細胞自体を誘導して、親の発生の可能性を有する1つまたは複数の細胞も保持しながら、1つまたは複数の成熟細胞タイプに連続して分化する子孫を増殖し、生み出すことができる。次に、用語「幹細胞」は、ある種の状況下で、実質的に分化することなく、増殖する能力を保持した、特定の状況下で、より特殊化もしくは分化した表現型に分化する能力または可能性を有する細胞を指す。1つの実施形態において、用語、前駆体または幹細胞は、その卑属(子孫)が、胚細胞および組織の向上する多様性において生じる、分化により、例えば、個々の特徴を完全に獲得することにより、しばしば異なる方向に特殊化する一般化母細胞を指す。細胞の分化は、多くの細胞分裂を介して典型的に生じる複雑なプロセスである。分化した細胞は、それ自体が、多能性細胞などからもたらされる多能性細胞から派生し得る。これらの多能性細胞のそれぞれが、幹細胞であるとみなされ得る一方、それぞれが生じることのできる細胞タイプの範囲はかなり変動し得る。幾つかの分化した細胞はまた、より大きな発生の可能性の細胞を生じる能力を有する。かかる能力は、天然であってもよく、または様々な因子での処理の際に人工的に誘導されてもよい。多くの生物学的場合において、幹細胞は、それらが、1つより多くの別々の細胞タイプの子孫を生み出すことができるが、これは、「幹細胞性」を必要としないので、「多能性」でもある。自己再生は、幹細胞定義の他の古典的な部分であり、本書類において使用される通り、必須である。理論において、自己再生は、2つの主要な機序のいずれかにより生じることができる。幹細胞は、一方の娘が、幹状態を保持し、他の娘が、幾つかの別々の他の特定の機能および表現型を発現しながら、非対称的に分割し得る。あるいは、集団内の幹細胞の幾つかは、2つの幹に対称的に分化することができ、したがって、全体としての集団内の幾つかの幹細胞を維持し、一方、集団内の他の細胞は、分化した子孫のみを生じる。公式には、幹細胞として始まる細胞は、分化した表現型に向けて前進し得るが、次に、「脱分化」としてしばしば言及される用語である、「逆転し」、幹細胞表現型を再度発現することが可能である。
用語「前駆体細胞」を本明細書において使用して、それが分化により生じ得る細胞と比べて、より原始的である(例えば、完全に分化した細胞であるより、発生経路または向上に沿って初期工程にある)細胞表現型を有する細胞を指す。しばしば、前駆細胞はまた、有意または非常に高い増殖ポテンシャルを有する。前駆細胞は、発生経路、および細胞が発生し、分化する環境に依存し、複数の別々の分化した細胞タイプまたは単一の分化した細胞タイプを生じることができる。
本明細書において使用される用語「多能性の」は、異なる条件下で、全3種の生殖細胞層(内胚葉、中胚葉および外胚葉)の細胞タイプ特徴に分化する能力を有する細胞を指す。多能性細胞は、例えば、ヌードマウスおよびテラトーマ形成アッセイを使用して、全3種の胚葉に分化するそれらの能力により、主に特徴付けられる。多能性についての好ましい試験は、3種の胚葉のそれぞれの細胞に分化する能力の証明であるが、多能性はまた、胚性幹(ES)細胞マーカーの発現により、証明される。幾つかの実施形態において、多能性細胞は、未分化の細胞である。
本明細書において使用される用語「多能性」または「多能性状態」は、全3種の胚の胚葉:内胚葉(腸組織)、中胚葉(血液、筋肉、および血管を含む)、ならびに外胚葉(例えば、皮膚および神経)に分化する能力を有し、典型的には、インビトロで長期間、例えば、1年より長く、または30回より多くの継代、分裂する可能性を有する細胞を指す。
用語「多能性」は、「多能性細胞」に関して使用されるとき、全3種の胚葉からもたらされる細胞の全てではないが、幾つかの細胞に分化することができる細胞を指す。したがって、多能性細胞は、部分的に分化した細胞である。多能性細胞は、当該技術分野において周知であり、多能性細胞の例は、例えば、造血幹細胞および神経幹細胞のような、成人の幹細胞を含む。多能性は、幹細胞が、所定の系統にある多くのタイプの細胞を形成し得るが、他の系統の細胞を形成し得ないことを意味する。例えば、多能性血液幹細胞は、多くの異なるタイプの血液細胞(赤血球、白血球、血小板など)を形成することができるが、それは、ニューロンを形成することができない。
用語「胚性幹細胞」または「ES細胞」または「ESC」は、本明細書において互換的に使用され、胚の胚盤胞の内部細胞塊の多能性幹細胞を指す(米国特許第5,843,780号、第6,200,806号を参照、それらは、参照により本明細書に取り込まれる)。かかる細胞は、体細胞核移植からもたらされる胚盤胞の内部細胞塊から同様に得ることができる(例えば、米国特許第5,945,577号、第5,994,619号、第6,235,970号を参照、それらは、参照により本明細書に取り込まれる)。胚性幹細胞の際立った特徴は、胚性幹細胞表現型を定義する。したがって、細胞が、他の細胞と区別することができるように、細胞は、それが胚性幹細胞の固有の特徴の1つまたは複数を有するなら、胚性幹細胞の表現型を有する。典型的な際立った胚性幹細胞特徴は、遺伝子発現特性、増殖能、分化能、核型、特定の培養条件に対する応答性などを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、ES細胞は、胚を破壊することなく、例えば、ヒト胚を破壊することなく、得ることができる。
用語「成人の幹細胞」または「ASC」を使用して、胎児の、若齢の、および成人の組織を含む、非胚性組織からもたらされる任意の多能性幹細胞を指す。幹細胞は、血液、骨髄、脳、嗅上皮、皮膚、膵臓、骨格筋、および心筋を含む多種多様な成人の組織から単離されている。これらの幹細胞のそれぞれが、遺伝子発現、因子応答性、および培養中の形態に基づき特徴付けることができる。典型的な成人の幹細胞は、神経幹細胞、神経堤幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、および膵幹細胞を含む。上で示された通り、幹細胞は、事実上、全組織において常在することが見出されている。したがって、本発明は、幹細胞集団が、事実上あらゆる動物の組織から単離することができることを十分理解する。
本明細書において使用される用語「ヒト多能性幹細胞」(hPSCと略される)は、幹細胞および多能性に関して上で考察された様々な異なる細胞タイプに分化する能力を有するヒト細胞である。ヒト多能性ヒト幹細胞は、例えば、誘導多能性幹細胞(iPSC)およびES細胞株のようなヒト胚性幹細胞を含む。
本明細書において使用される用語「ヒト心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、全3種の心臓系統細胞(心筋細胞、内皮細胞および平滑筋細胞)に分化する能力を有するヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される用語「ヒト心筋芽前駆細胞」は、心臓系統に関与し、心筋細胞に主に分化する(すなわち、前駆細胞に由来する、分化した細胞の50%より多く、好ましくは、分化した細胞の60%、70%、80%または90%が心筋細胞である)ヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される用語「心臓の心室前駆細胞」は、心臓系統に関与し、心臓の心室筋細胞に主に分化する(すなわち、前駆細胞に由来する、分化した細胞の50%より多く、好ましくは、分化した細胞の60%、70%、80%または90%より多くが心臓の心室筋細胞である)前駆体細胞を指す。このタイプの細胞はまた、本明細書において、ヒト心室前駆体、またはHVP、細胞としても言及される。
用語「心筋細胞」は、心臓の筋細胞(例えば、心筋細胞)を指す。心筋細胞は、一般に、その細胞表面および/または細胞質において1つまたは複数の心臓特異的マーカーを発現するだろう。適当な心筋細胞特異的マーカーは、心トロポニンI、心トロポニン-C、トロポミオシン、カベオリン-3、GATA-4、ミオシン重鎖、ミオシン軽鎖-2a、ミオシン軽鎖-2v、リアノジン受容体、および心房性ナトリウム利尿因子を含むが、これらに限定されない。
別の細胞に由来する細胞の文脈で使用される用語「に由来する」は、細胞が、異なる細胞タイプである細胞から生じた(例えば、それか変化したか、またはそれにより生み出された)ことを意味する。用語「に由来する」はまた、前駆体細胞から分化した細胞を指す。
本明細書において使用される用語「Isl1+心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、Islet1を発現するヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される用語「Isl1+JAG1+心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、Islet1とJagged1の両方を発現するヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される、用語「Isl1+FZD4+心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、Islet1とFrazzled4の両方を発現するヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される用語「Isl1+LIFR+心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、Islet1とLIFRの両方を発現するヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される、用語「Isl1+FGFR3+心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、Islet1とFGFR3の両方を発現するヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される、用語「Isl1+TNFSF9+心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、Islet1とTNFSF9の両方を発現するヒト前駆体細胞を指す。
本明細書において使用される、用語「Isl1+JAG1+FZD4+LIFR+FGFR3+TNFSF9+心筋前駆細胞」は、心臓系統に関与し、Islet1、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9を発現するヒト前駆体細胞を指す。
細胞培養物中または細胞集団における細胞に関して、用語「実質的に含まない」は、その細胞培養物または細胞集団が、ないか、細胞培養物もしくは細胞集団に存在する細胞の総数の約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満の量で存在する特定の細胞タイプを意味する。
細胞個体発生の文脈において、隣接の「分化した」、または「分化している」は、比較用語である。「分化した細胞」は、それが比較される細胞よりさらに下の発生経路に進んでいる細胞である。したがって、幹細胞は、系統が制限された前駆細胞(例えば、中胚葉系幹細胞)に分化することができ、それが、順に、さらに下の経路の他のタイプの前駆細胞(例えば、心筋細胞前駆体)に、次に、ある種の組織タイプにおいて特徴的な役割を果たし、さらに増殖する能力を保持し得るか、またはし得ない最終ステージの分化した細胞に分化することができる。
本文脈における用語「分化」は、より特殊化し、さらなる分化の能力がない最終分化した細胞になることにさらに近づいた細胞と関連することが公知のマーカーを発現する細胞の形成を意味する。細胞が、より少なく関与した細胞から、特定の細胞タイプにますます関与する細胞に、最終的には、最終分化した細胞まで進む経路は、漸進的分化または漸進的関与としても言及される。より特殊化した(例えば、漸進的分化の進路に沿って進み始めた)が、まだ最終分化していない細胞は、部分的に分化したとして言及される。分化は、発生のプロセスであり、これにより、細胞は、特殊化表現型を想定し、例えば、他の細胞タイプと異なる1つもしくは複数の特徴または機能を想定する。幾つかの場合において、分化した表現型は、幾つかの発生経路における成熟エンドポイントにある細胞表現型(いわゆる最終分化した細胞)を指す。多くだが、全てではない組織において、分化のプロセスは、細胞サイクルからの出口と結び付けられる。これらの場合において、最終分化した細胞は、それらの増殖する能力を失うか、または大いに制限する。しかしながら、本発明者らは、この明細書の文脈において、用語「分化」または「分化した」は、それらの発生の前のポイントよりそれらの運命または機能においてより特殊化した細胞を指し、最終分化した細胞と、最終分化していないが、それらの発生における前のポイントより特殊化した細胞の両方を含むことに注意する。未関与の細胞(例えば、幹細胞)から、特定の分化した細胞タイプへの増大する程度の関与を有する細胞まで、および、最終的に、最終分化した細胞までの細胞の発生は、漸進的な分化または漸進的な関与として知られている。前駆体細胞と比べて、「分化した」細胞は、その前駆体細胞と比べて1つまたは複数の表現型の差を有する。表現型の差は、限定するものではないが、形態学的な差ならびに、発現したマーカーの存在または非存在ばかりでなく、マーカーの量の差および一連のマーカーの共発現パターンにおける差を含む、遺伝子発現および生物学的活性における差を含む。
本明細書において使用される用語「分化」は、原始的ステージからより成熟(すなわち、あまり原始的でない)細胞に向けた細胞の細胞発生を指す。
本明細書において使用される、「増殖すること」および「増殖」は、細胞分裂による集団における細胞の数における増大(成長)を指す。細胞増殖は、一般に、成長因子および他のマイトジェンを含む、環境に応答した複数のシグナル伝達経路の協調した活性化の結果と理解される。細胞増殖はまた、細胞増殖を阻害するか、もしくは負に影響する細胞内または細胞外シグナルおよび機序の作用からの放出により促進され得る。
用語「再生」または「自己再生」または「増殖」は、互換的に使用され、細胞のそれ自体のより多くのコピー(例えば、複製)を作る細胞のプロセスを指す。幾つかの実施形態において、細胞は、長期間、および/または多くの月から年に渡り、同じ未分化の細胞(例えば、前駆体細胞タイプ)に分裂することにより、それ自体の再生の能力がある。幾つかの場合において、増殖は、単一細胞から2つの同一の娘細胞への繰り返される分裂による、細胞の拡大を指す。
本明細書において使用される用語「系統」は、共通の先祖を有する細胞、または共通の発生運命を有する細胞、例えば、心室の心筋細胞に発生する発生運命を有する細胞を記載する用語を指す。
本明細書において使用される用語「クローン集団」は、単一細胞の派生物に由来する細胞の集団を指す。すなわち、クローン集団内の細胞は、クローン集団を播種するために使用された単一細胞の全ての子孫である。
本明細書において言及される用語「培地」は、細胞生存能を維持し、増殖を支持する栄養素を含有する、組織もしくは細胞集団を維持するための培地、または、細胞集団を培養するための培地(例えば、「培養培地」)である。細胞培養培地は、適当な組み合わせで以下のいずれかを含有してもよい:塩、緩衝液、アミノ酸、グルコースまたは他の糖、抗生物質、血清または血清代替物、およびペプチド成長因子のような他の成分など。特定の細胞タイプのため通常使用される細胞培養培地は、当業者に公知である。
用語「表現型」は、実際の遺伝子型にもかかわらず、特定の一連の環境条件および因子下で、細胞または生物を定義するトータルの生物学的特徴の1つまたは多数を指す。
本明細書において使用される「マーカー」は、細胞の特徴および/または表現型を記載する。マーカーは、対象となる特徴を含む細胞のセレクションのため使用することができる。マーカーは、特定の細胞で変動するだろう。マーカーは、特徴、細胞タイプに特定の形態学的、機能的もしくは生化学的(酵素的)特徴か、それとも細胞タイプにより発現される分子である。かかるマーカーは、タンパク質、例えば、抗体のエピトープ、または当該技術分野において入手可能な他の結合分子を有する細胞表面タンパク質であることができる。マーカーは、DNA、RNA、mRNA、タンパク質(ペプチドおよびポリペプチド)、脂質、多糖類、核酸ならびにステロイドを含むが、これらに限定されない、細胞において見られる任意の分子からなり得る。形態学的特徴または形質の例は、形、サイズ、および細胞質に対する核の比を含むが、これらに限定されない。機能的特徴または形質の例は、特定の基質に接着する能力、特定の色素を取り込むかまたは排除する能力、特定の条件下で遊走する能力、および特定の系統に沿って分化する能力を含むが、これらに限定されない。マーカーは、当業者が入手可能な任意の方法により、検出され得る。
本明細書において使用される用語「単離された細胞」は、それが本来見られたか、またはかかる細胞の卑属であった生物から取り出された細胞を指す。場合により、細胞は、インビトロで、例えば、他の細胞の存在下で培養されている。場合により、細胞は、第2の生物に後で導入されるか、または当該細胞(または当該細胞が子孫である細胞)が単離された生物に再度導入される。
本明細書において使用される、細胞の単離された集団に関して用語「単離された集団」は、細胞の混合されたまたは不均一な集団から取り出された、分離された細胞の集団を指す。幾つかの実施形態において、単離された集団は、当該細胞がそこから単離されるか、または富化された不均一な集団と比較して、細胞の実質的に純粋な集団である。
特定の細胞集団に関する用語「実質的に純粋」は、トータルの細胞集団を作り上げる細胞に関して、少なくとも約75%、好ましくは、少なくとも約85%、より好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、少なくとも約95%純粋である細胞の集団を指す。
用語「対象」および「個体」は、互換的に使用され、本明細書において開示される心臓の心室前駆細胞が、例えば、幾つかの実施形態において、予防的処置を包含する処置のため、または本明細書に記載される方法および組成物が提供されるか、または複数提供される、疾患モデルのため、移植され得る、動物、例えば、ヒトを指す。ヒト対象のような特定の動物にとって特異的である疾患状態の処置について、用語「対象」は、その特定の動物を指す。用語「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳類」は、本明細書において互換的に使用され、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、および非ヒト霊長類のような哺乳類を含む。用語「対象」はまた、哺乳類、爬虫類、両生類および魚類を含むが、これらに限定されない任意の脊椎動物を包含する。しかしながら、有利には、対象は、ヒトのような哺乳類であるか、または家畜化動物のような他の哺乳類、例えば、イヌ、ネコ、ウマなど、もしくは生産哺乳類、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタなどもまた、用語対象において包含される。
本明細書において使用される、用語「レシピエント」は、移植された器官、組織または細胞を受け取るであろう対象を指す。
本明細書において使用される用語「3次元基質」または「スキャフォールド」または「基質」は、生体適合可能な基質、スキャフォールドなどを含む組成物と広義で指す。3次元基質は、25℃で液体、ゲル、半固体、または固体であってもよい。3次元基質は、生分解性または非生分解性であってもよい。幾つかの実施形態において、3次元基質は、生体適合可能であるか、または生体吸収可能か、もしくは生体置換可能である。典型的な3次元基質は、ポリマーおよびコラーゲンを含むヒドロゲル、フィブリン、キトサン、MATRIGEL(商標)、ポリエチレングリコール、化学的に架橋結合可能なデキストランまたは光架橋結合可能なデキストランを含むデキストラン、粘膜下組織のような処理された組織基質などを含む。ある種の実施形態において、3次元基質は、同種成分、自家成分、または同種成分と自家成分の両方を含む。ある種の実施形態において、3次元基質は、合成または半合成物質を含む。ある種の実施形態において、3次元基質は、フィブリン由来のスキャフォールドのような、フレームワークまたはサポートを含む。
本明細書において使用される、用語「投与すること」、「導入すること」および「移植すること」は、互換的に使用され、所望される部位での細胞の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路による、心筋芽前駆細胞および/または本明細書において記載される分化した心筋細胞の対象への留置を指す。細胞は、細胞の少なくとも一部が生存可能なままである対象において、所望される位置へのデリバリーをもたらす任意の適当な経路により投与することができる。対象への投与後の細胞の生存能の期間は、数時間と同等の短さ、例えば、24時間から、数日まで、数年と同等の長さまでであることができる。
用語「統計学的に有意な」または「有意に」は、統計学的な有意を指し、一般に、マーカーの正常、またはより低い濃度未満の2標準偏差(2SD)を意味する。用語は、差が存在するという統計学的証拠を指す。それは、帰無仮説が実際に真実であるとき帰無仮説を拒否する決断をする可能性として定義される。決断は、しばしば、p-値を使用してなされる。本明細書において使用される用語「実質的に」または「主に」は、少なくとも約60%、または好ましくは、少なくとも約70%もしくは少なくとも約80%、または少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%以上、あるいは70%~100%の任意の整数の割合を意味する。
用語「疾患」または「障害」は、本明細書において互換的に使用され、機能の性能を中断するかもしくは妨害する、および/または不快、機能不全、苦痛のような症状、または苦しめられた人もしくは人と接触したものに死さえを引き起こす、身体の、あるいは器官の幾つかの状態における任意の変化を指す。疾患または障害はまた、ジステンパー、病的な状態、病気、病弊、障害、病的状態、病、愁訴、軽い病気または情動に関連し得る。
本明細書において使用される、語句「心血管状態、疾患または障害」は、対象、特に、ヒト対象における不十分な、所望されないまたは異常な心機能、例えば、虚血性心疾患、高血圧性心疾患および肺高血圧性心疾患、弁膜症、先天性心疾患、ならびに鬱血性心不全に至る任意の状態により特徴付けられるすべての障害を含むことが意図される。不十分なまたは異常な心機能は、疾患、損傷および/または加齢の結果であり得る。背景として、心筋障害に対する応答は、幾つかの細胞が死ぬ一方、他のものは依然死んでいないものの、機能不全である冬眠状態になる明確な経路をたどる。これに、炎症性細胞の浸潤、瘢痕の一部としてのコラーゲンの沈着、新たな血管の内殖および持続細胞死の度合と並行して起こったものの全てが続く。本明細書において使用される、用語「虚血」は、血液の流入の低減に起因した任意の局所性組織虚血を指す。用語「心筋虚血」は、冠動脈硬化および/または心筋への不十分な酸素供給により引き起こされる循環障害を指す。例えば、急性心筋梗塞は、心筋組織に対する不可逆的な虚血発作を表す。この発作は、冠循環において閉塞性(例えば、血栓性または塞栓)現象をもたらし、心筋代謝需要が、心筋組織への酸素の供給を超える環境を生じる。
本明細書において使用される、用語「処置すること」または「処置」は、本明細書において互換的に使用され、心血管状態、疾患または障害、すなわち、不十分なもしくは所望されない心機能により特徴付けられる任意の障害の少なくとも1つの副作用または症状を低減すること、または低下すること、または緩和すること、または停止させることを指す。心異常の副作用または症状は、当該技術分野において周知であり、呼吸困難、胸痛、動悸、眩暈、失神、浮腫、チアノーゼ、蒼白、疲労および死を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、本明細書において使用される用語「処置」は、対象において心血管の状態の症状の発生を予防するための予防的処置または予防処置を指す。
1つまたは複数の症状または臨床マーカーが、その用語が本明細書において定義される通り、低減されるなら、処置は、一般に「有効」である。あるいは、疾患の進行が低減されるか、または停止されるなら、処置は、「有効」である。すなわち、「処置」は、症状の改善または疾患のマーカーの低下だけでなく、処置がないときに予測され得る症状の進行もしくは悪化の休止または遅延をも含む。有益なまたは所望される臨床結果は、1つまたは複数の症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延または遅くすること、疾患状態の改善または緩和、および寛解(部分的またはトータルのいずれか)、検出可能かまたは検出可能でないかのいずれかを含むが、これらに限定されない。「処置」はまた、処置を受けていない場合に予測される生存と比較して、延長された生存を意味し得る。処置の必要なものは、心臓の状態をすでに診断されたもの、ならびに遺伝子感受性または体重、食餌および健康状態のような他の要因に起因して心臓の状態を恐らく発症するものを含む。幾つかの実施形態において、処置するとの用語はまた、予防対策および/または予防的処置を包含し、疾患または障害の開始を防ぐために本明細書において開示される医薬組成物を投与することを含む。
症状における治療上有意な低減は、対照または未処置の対象と比較して、測定されたパラメーターにおいて例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%以上である。測定されたまたは測定可能なパラメーターは、疾患の臨床上検出可能なマーカー、例えば、生物学的マーカーの上昇または抑制されたレベル、ならびに症状または疾患もしくは障害についてのマーカーの臨床上許容されるスケールと関連するパラメーターを含む。本明細書において開示される組成物および製剤の総一日使用が、正当な医療判断の範囲内で主治医により決定されるであろうことは理解されるだろう。要求される正確な量は、処置される疾患のタイプのような要因に依存して変動するだろう。
対象における心血管状態または疾患の処置に関して、用語「治療上有効量」は、安全であり、発生または心血管疾患もしくは障害を防ぐか、あるいは遅延させるのに十分な量を指す。したがって、量は、心血管疾患もしくは障害を治癒するかまたは寛解に持ち込むことができ、心血管疾患の進行を遅らせることができ、心血管疾患もしくは障害の症状を遅らせるか、または阻害することができ、心血管疾患もしくは障害の二次症状の確立を遅延するか、または阻害することができ、あるいは心血管疾患もしくは障害の二次症状の発症を阻害することができる。心血管疾患または障害の処置のための有効量は、処置されるべき心血管疾患のタイプ、症状の重症度、処置される対象、対象の年齢および一般的状態、投与の様式などに依存する。したがって、正確な「有効量」を特定することは可能ではない。しかしながら、任意の所定の場合について、適当な「有効量」は、日常的な実験のみを使用して当業者により決定され得る。処置の有効性は、当業者により判断され得、例えば、有効性は、本明細書において考察される心血管疾患または障害の動物モデルにおいて評価することができ、例えば、急性心筋梗塞または虚血-再灌流障害を有するげっ歯類の処置、および本明細書において開示される心血管疾患もしくは障害の少なくとも1つの症状の低下に至る組成物または製剤の任意の処置または投与、例えば、増大した心臓駆出分画、心不全の低下した率、低下した梗塞サイズ、低下した関連する罹患率(肺浮腫、腎不全、不整脈)、改善された運動負荷試験または他のクオリティ・オブ・ライフの測定、ならびに低下した死亡率が、有効な処置を示す。組成物が、心血管疾患または障害の処置のため使用される実施形態において、組成物の有効性が、心血管疾患の実験的動物モデル、例えば、虚血-再灌流障害の動物モデル(Headrick J P,Am J Physiol Heart circ Physiol 285; H1797; 2003)、および動物モデル急性心筋梗塞(Yang Z,Am J Physiol Heart Circ.Physiol 282:H949:2002;Guo Y,J Mol Cell Cardiol 33; 825-830,2001)を使用して、判断することができる。実験動物モデルを使用するとき、処置の有効性は、無処置の動物に対して、処置された動物において、心血管疾患または障害の症状における低減、例えば、呼吸困難、胸痛、動悸、眩暈、失神、浮腫、チアノーゼ、蒼白、疲労および高血圧の1つまたは複数の症状における低減がより早く生じるとき、証明される。「より早く」により、例えば、腫瘍のサイズにおける低下が、少なくとも5%より早くだが、好ましくは、さらに、例えば、1日早く、2日早く、3日早く、またはそれ以上で生じることが意味される。
本明細書において使用される、心血管疾患または障害の処置に関して使用されるときの用語「処置すること」を使用して、心血管疾患もしくは障害の症状および/または生化学的マーカーの低減を指し、例えば、少なくとも約10%による、心血管疾患の少なくとも1つの生化学的マーカーにおける低減が、有効な処置とみなされるだろう。心血管疾患のかかる生化学的マーカーの例は、例えば、血中のクレアチンホスホキナーゼ(CPK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、乳酸脱水素酵素(LDH)の低減、および/または心血管疾患の症状における低下、および/または、心電図(ECGもしくはEKG)、または心エコー図(心臓超音波)、ドプラ超音波および核医学イメージングにより測定される当業者のいずれかにより決定される血流ならびに/あるいは心機能の改善を含む。少なくとも約10%による、心血管疾患の症状の低減はまた、本明細書において開示される方法による有効な処置であるとみなされるだろう。代わりの例として、心血管疾患の症状における低減、例えば、少なくとも約10%による、以下の呼吸困難、胸痛、動悸、眩暈、失神、浮腫、チアノーゼなどの少なくとも1つの低減もしくはかかるシステムの休止、または少なくとも約10%による、心血管疾患の1つのかかる症状のサイズにおける低減もまた、本明細書において開示される方法により、感情的処置とみなされるだろう。幾つかの実施形態において、治療剤は、心血管疾患または障害を実際に除去し、むしろ丁度、症状を管理可能な程度まで低減することが好ましいが、要求されない。
本明細書において開示される方法による処置に適している対象は、当業者に一般に公知の心筋梗塞(一般に、心臓発作として言及される)を診断する任意の方法により同定することができ、本明細書において開示される方法を使用した処置に適しており、かかる診断方法は、例えば、(i)クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、乳酸脱水素酵素(LDH)および他の心筋梗塞中に放出される酵素のレベルを検出するための血液検査;(ii)紙またはコンピューターモニター上のいずれかでの心臓の活性の図表による記録である心電図(ECGまたはEKG)を含むが、これらに限定されない。ECGは、疾患および/または損傷を検出する際に有益であり得;(iii)心エコー図(心臓超音波)は、先天性心疾患を調べ、心臓壁、弁および血管の機能異常を含む、心臓壁の異常を評価するために使用され;(iv)ドプラ超音波を使用して、心臓弁を通る血流を測定することができ;(v)核医学イメージング(当該技術分野において放射性核種スキャニングとしても言及される)は、器官の解剖学および機能の可視化を可能にし、これを使用して、冠動脈疾患、心筋梗塞、弁疾患、心移植拒絶を検出することができ、バイパス術の有効性をチェックできるか、または血管新生もしくは冠状動脈バイパス手術のための患者を選択することができる。
本明細書において互換的に使用され、心筋梗塞を指す用語「冠動脈疾患」および「急性冠症候群」は、心血管の状態、疾患または障害を指し、対象、特に、ヒト対象における不十分な、所望されないまたは異常な心機能、例えば、虚血性心疾患、高血圧性心臓疾患および肺高血圧性心臓疾患、弁膜症、先天性心疾患および鬱血性心不全に至る任意の状態により特徴付けられる全ての障害を含む。不十分なまたは異常な心機能は、疾患、損傷および/または加齢の結果であり得る。背景として、心筋障害に対する応答は、幾つかの細胞が死ぬ一方、他のものは依然死んでいないものの、機能不全である冬眠状態になる明確な経路をたどる。これに、炎症性細胞の浸潤、瘢痕の一部としてのコラーゲンの沈着、新たな血管の内殖および持続細胞死の度合と並行して起こったものの全てが続く。
本明細書において使用される、用語「虚血」は、血液の流入の低減に起因した任意の局所性組織虚血を指す。用語「心筋虚血」は、冠動脈硬化および/または心筋への不十分な酸素供給により引き起こされる循環障害を指す。例えば、急性心筋梗塞は、心筋組織に対する不可逆的な虚血発作を表す。この発作は、冠循環において閉塞性(例えば、血栓性または塞栓)現象をもたらし、心筋代謝需要が、心筋組織への酸素の供給を超える環境を生じる。
本明細書において互換的に使用される用語「組成物」または「医薬組成物」は、当該技術分野においてありふれており、哺乳類、好ましくは、ヒトまたはヒト細胞への投与に適当である薬学的に許容可能な担体のような、賦形剤を通常含む組成物または製剤を指す。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、例えば、標的組織への、直接注射によりもしくはカテーテル注入を介して標的組織または器官への直接的デリバリーのため特に製剤化することができる。他の実施形態において、組成物は、経口、点眼、非経口、静脈内、動脈内、皮下、鼻腔内、舌下、脊髄内、脳室内などを含むが、これらに限定されない、多数の経路の1つまたは複数を介した投与のため特に製剤化することができる。加えて、局所(例えば、口腔粘膜、呼吸粘膜)および/または経口投与のための組成物は、当該技術分野において公知であり、本明細書において記載される、液剤、懸濁剤、錠剤、ピル、カプセル剤、持続放出製剤、口腔リンス、または粉剤を形成することができる。組成物はまた、安定剤および保存剤を含むことができる。担体、安定剤およびアジュバントの例として、University of the Sciences in Philadelphia (2005)Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons,21st Ed。
本明細書において使用される、用語「投与すること」、「導入すること」および「移植すること」は、互換的に使用され、所望される部位もしくは組織位置にて、医薬組成物の少なくとも部分的な局在性をもたらす方法または経路による、心筋芽前駆細胞を含む医薬組成物、あるいは本明細書において記載される分化した心筋細胞(例えば、心室心筋細胞)の集団を含む組成物の対象への留置を指す。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、対象において有効な処置をもたらす任意の適当な経路により投与することができ、すなわち、投与は、細胞の少なくとも一部が、所望される標的組織もしくは標的細胞位置に位置する対象における所望される位置または組織へのデリバリーをもたらす。
本明細書において使用される語句「非経口投与」および「非経口投与される」は、通常注射による、経腸および局所投与以外の投与の様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内、および胸骨内注射ならびに注入を含むが、これらに限定されない。本明細書において使用される語句「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」および「末梢に投与される」は、それらが、動物の全身に入り、したがって、代謝および他の同様のプロセス、例えば、皮下または静脈内投与の対象になるように、心臓組織への直接的以外の、心血管の幹細胞および/またはそれらの子孫および/または化合物および/または他の物質の投与を意味する。
語句「薬学的に許容可能」を、本明細書において利用して、合理的な恩恵/リスクの比と釣り合った過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに、正当な医療判断の範囲内で適当である化合物、物質、組成物、ならびに/あるいは投薬形態を指す。
本明細書において使用される語句「薬学的に許容可能な担体」は、対象薬剤を1つの器官、もしくは身体の一部から、別の器官、もしくは身体の一部に運ぶか、または輸送する際に関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入物質のような、薬学的に許容可能な物質、組成物あるいはビヒクルを意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合可能であるという意味で、「許容可能」であるべきである。
本明細書において使用される用語「薬物」または「化合物」または「試験化合物」は、疾患もしくは状態を処置するか、または予防するか、または制御するために対象に投与される、化学成分もしくは生物学的製品、または化学成分または生物学的製品の組み合わせを指す。化学成分または生物学的製品は、好ましくは、だが必須ではなく、低分子量化合物であるが、より大きな化合物、例えば、タンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、糖タンパク質、siRNA、リポタンパク質、アプタマー、ならびにその修飾物および組み合わせを含むが、これらに限定されない、核酸のオリゴマー、アミノ酸、または炭水化物であってもよい。
本明細書において使用される用語「移植」は、新たな細胞(例えば、初期化された細胞)、組織(例えば、初期化された細胞から生じた分化した細胞)、または器官の宿主(すなわち移植レシピエントまたは移植対象)への導入を指す。
本明細書において使用される用語「JAG1と反応性の薬剤」、「FZD4と反応性の薬剤」、「LIFRと反応性の薬剤」、「FGFR3と反応する薬剤」および「TNFSF9と反応性の薬剤」は、それぞれ、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3もしくはTNFSF9に結合するか、または別様に相互作用する薬剤を指す。好ましくは、薬剤は、それが、他のタンパク質と結合も、相互作用もしないように、それぞれ、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3もしくはTNFSF9に「特異的に」結合するか、または別様に相互作用する。
本明細書において使用される用語「Islet1と反応性の薬剤」は、Islet1と結合するか、または別様に相互作用する薬剤を指す。好ましくは、薬剤は、それが、他の非Islet1タンパク質と結合も、相互作用もしないように、Islet1に「特異的に」結合するか、または別様に相互作用する。
本明細書において使用される用語「抗体」は、抗体全体および任意の抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原結合部分」)またはその一本鎖を含む。「抗体」は、1つの好ましい実施形態において、ジスルフィド結合により間で結合された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVとして略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3からなる。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVと略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。本明細書において使用される抗体(または単に「抗体部分」)の用語「抗原結合部分」は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、特定のエピトープについての単一結合特異性および親和性を提示する抗体を指す。
本明細書において使用される用語「ヒトモノクローナル抗体」は、単一の結合特異性を提示し、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および場合により定常領域を有する、抗体を指す。
本明細書において使用される用語「ヒト化モノクローナル抗体」は、単一結合特異性を提示し、ヒトフレームワークおよび定常領域に合体させた、非ヒト抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体)由来の重ならびに軽鎖CDR1、2ならびに3を有する、抗体を指す。
本明細書において使用される用語「キメラモノクローナル抗体」は、単一結合特異性を提示し、別の種由来の定常領域と結び付けられた1つの種由来の重および軽鎖可変領域を有する抗体を指す。
本明細書において使用される用語「融合タンパク質」は、2つの異なるタンパク質、またはその部分が、互いに作動可能に結合されている、典型的には、組換えDNAテクノロジーを使用して作られた複合タンパク質を指す。非限定的な例は、非免疫グロブリンタンパク質が、免疫グロブリンFc領域に作動可能に結合されている、Fc融合タンパク質である。
本発明の様々な態様が、以下のサブセクションにさらに詳細に記載される。
生着可能なヒト心室前駆細胞を同定し、移植する方法
生着可能なHVPが、分化の5~7日目の間(例えば、6日目)で、以下、ならびに実施例1および11において記載される培養条件下で典型的には発生し、細胞内マーカーIslet1を発現し、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9を含む細胞表面マーカーを発現することが決定されている(例えば、2015年8月21日に出願された米国出願番号第14/832,324号、および2015年12月30日に出願された米国出願番号第14/984,783号を参照、それぞれの全内容が、参照により本明細書において取り込まれる)。生着可能なHVPの遺伝子発現特性をさらに特徴付けるために、RNA配列決定を、実施例12および13において記載される通り、異なる時点にて、分化を経験するHVP上にて行った。異なる時点での遺伝子発現特性のクラスター解析を使用して、ステージ特異的符号遺伝子が同定された。次に、遺伝子個体発生研究が、本明細書において生着マーカーとして言及される、細胞生着に重要な遺伝子(血管新生ファミリー遺伝子および細胞外基質ファミリー遺伝子)の同定を可能にした。
1つの実施形態において、生着マーカーは血管新生マーカーである。特定の実施形態において、血管新生マーカーは、陽性の血管新生マーカーである。表1は、その発現特性が、HVPにおいてIslet1(Isl1)発現と強く相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数0.50以上)、それらの血管新生遺伝子を挙げる。表2は、その発現特性が、HVPにおいてIsl1発現と相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数0.49~0.00)、さらなる血管新生遺伝子を挙げる。別の特定の実施形態において、血管新生マーカーは、陰性の血管新生マーカーである。表3は、その発現特性が、HVPにおいてIslet1(Isl1)発現と強く負に相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数-0.50またはそれ未満)、それらの血管新生遺伝子を挙げる。表4は、その発現特性が、HVPにおいてIsl1発現と負に相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数0.00~-0.49)、さらなる血管新生遺伝子を挙げる。
1つの実施形態において、生着マーカーは、細胞外基質マーカーである。特定の実施形態において、細胞外のマーカーは、陽性の細胞外基質マーカーである。表5は、その発現特性が、HVPにおいてIslet1(Isl1)発現と強く相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数0.50以上)、それらの細胞外基質遺伝子を挙げる。表6は、その発現特性が、HVPにおいてIsl1発現と相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数0.49~0.00)、さらなる細胞外基質遺伝子を挙げる。別の特定の実施形態において、細胞外基質マーカーは、陰性の細胞外基質マーカーである。表7は、その発現特性が、HVPにおいてIslet1(Isl1)発現と強く負に相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数-0.50またはそれ未満)、それらの細胞外基質遺伝子を挙げる。表8は、その発現特性が、HVPにおいてIsl1発現と負に相関する(Isl1発現でのピアソン相関係数0.00~-0.49)、さらなる細胞外基質遺伝子を挙げる。
したがって、1つの態様において、本発明は、
HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出し、これにより、生着可能なHVPを同定すること
を含む、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を同定する方法を提供し、ここで、
HVPはまた、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現する。
別の実施形態において、本発明は、
心筋前駆細胞を含有するヒト細胞をヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で培養すること;
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーのHVP上での発現を検出すること;
少なくとも1つの生着マーカーのHVPにおける発現を検出すること;ならびに
少なくとも1つの表面マーカーと少なくとも1つの生着マーカーを共発現するHVPを単離し、これにより、生着可能なHVPを単離すること
を含む、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を単離する方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
ヒト心室組織が対象において生着されるように、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供し、
ここで、移植に先立ち、生着可能なHVPが、HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することにより同定され;
HVPは、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現する。
別の実施形態において、本発明は、
心筋前駆細胞を含有するヒト細胞をヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で培養すること;
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーのHVP上での発現を検出すること;
少なくとも1つの生着マーカーのHVPにおける発現を検出すること;
少なくとも1つの表面マーカーと少なくとも1つの生着マーカーを共発現するHVPを単離し、これにより、生着可能なHVPを単離すること;ならびに
ヒト心室組織が対象において生着されるように、生着可能なHVPを対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現するヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で心筋前駆細胞を含有するヒト細胞を培養すること;
少なくとも1つの表面マーカーを発現するHVPを単離して、HVP集団を形成すること;
HVP集団の試料における少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出すること;ならびに
ヒト心室組織が、対象において生着されるように、少なくとも1つの表面マーカーおよび少なくとも1つの生着マーカーを発現するHVPを対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
HVPの集団が単離されるように、ヒト心室前駆細胞(HVP)を含有するヒト細胞の培養物を、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーと反応性の少なくとも1つの薬剤と接触させること;
HVPのクローン集団をHVPの単離された集団から拡大すること;
HVPのクローン集団の試料において少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出すること;ならびに
ヒト心室組織が対象において生着されるように、少なくとも1つの表面マーカーおよび少なくとも1つの生着マーカーを発現するHVPのクローン集団を対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供する。
1つの実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーである。1つより多くの陽性の血管新生マーカーを検出することができ、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、または20以上の陽性の血管新生マーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである。1つより多くの陽性の細胞外のマーカーを検出することができ、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、または20以上の陽性の細胞外のマーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである。1つより多くのそれぞれの陽性のマーカー(血管新生および細胞外基質)を検出することができ、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、または20以上の陽性の血管新生および細胞外基質マーカーを検出することができる。
1つの実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択される。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、FGF10である。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、PRKD1である。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、CCBE1である。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、PDGFRAである。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、EPHB2である。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、GATA2である。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、NTRK1である。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、PTGISである。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、BMPERである。別の実施形態において、陽性の血管新生マーカーは、BMP4である。
別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、FGF10である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、SMOC1である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、CCBE1である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、COL6A6である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、ADAMTS12である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、COL19A1である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、LAMA1である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、BMP4である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、FBLN7である。別の実施形態において、陽性の細胞外のマーカーは、FBLN2である。
少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーと少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーの両方が検出されるそれらの実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーを、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択することができ;
少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーを、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択することができる。
別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択され;
少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される。
別の実施形態において、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択され;
少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される。
1つの実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーである。1つより多くの陰性の血管新生マーカーを検出することができ、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、または20以上の陰性の血管新生マーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである。1つより多くの陰性の細胞外基質マーカーを検出することができ、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、または20以上の陰性の細胞外基質マーカーを検出することができる。
別の実施形態において、検出される少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである。1つより多くのそれぞれの陰性のマーカー(血管新生および細胞外基質)を検出することができ、例えば、2つ以上、3つそれ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、または20以上の陰性の血管新生および細胞外基質マーカーそれぞれを検出することができる。
1つの実施形態において、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーは、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーは、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される。
別の実施形態において、少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーは、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択される。
少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーと少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーの両方が検出されるそれらの実施形態において、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーを、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択することができ;
少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーを、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択することができる。
当業者は、本発明の生着マーカーが、核酸またはタンパク質発現を検出するための当該技術分野において公知の任意の適当な検出方法により、検出することができることを理解する。典型的には、生着マーカーをコードするmRNAは、直接的にまたは間接的に(例えば、mRNAから調製されたcDNAの検出により)のいずれかで検出される。ハイブリダイゼーション技術、ポリメラーゼ連鎖反応、定量的PCR、リアルライム定量的PCR、RNA配列決定などを含むが、これらに限定されない、mRNAまたはcDNAを検出する方法は、当該技術分野において十分に確立されている。ウエスタンブロッティング、免疫沈降、免疫組織化学、ELISAなどを含むが、これらに限定されない、タンパク質発現を検出するための方法はまた、当該技術分野において十分に確立されている。したがって、1つの実施形態において、HVPの集団において生着マーカーの発現を「検出する」ために、HVPの試料は、HVPの集団から採取され、核酸(例えば、mRNA、cDNA)は、試料から調製され、例えば、対象となる生着マーカーをコードする核酸を増幅する能力があるオリゴヌクレオチドプライマーの1つまたは複数の対と接触させ、その後、核酸試料上でPCRタイプ反応(例えば、標準的PCR、定量的PCR、リアルタイムQ-PCR)が行われる。あるいは、HVPの集団から調製された核酸試料は、対象となる生着マーカーをコードする核酸に結合することが可能な1つまたは複数のハイブリダイゼーションプローブと接触させ、その後、試料上でハイブリダイゼーション反応(例えば、ノーザンブロッティング、サザンブロッティングなど)が行われ得る。別の実施形態において、HVPの集団において生着マーカーの発現を「検出する」ために、HVPの試料は、HVPの集団から採取され、タンパク質は、試料から調製され、例えば、対象となる生着マーカーに特異的に結合する1つまたは複数のモノクローナル抗体と接触させ、その後、免疫検出方法(例えば、ウエスタンブロッティング、免疫沈降、ELISAなど)が行われる。
mRNAレベルで生着マーカー発現のレベルを決定する適当な方法は、RNA配列決定、従来のマイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)およびリアルタイム定量的PCR(RT-QPCR)を含む。幾つかの実施形態において、RNAは、標準的プロトコールを使用して、HVPから抽出される。他の実施形態において、RNA解析は、RNA単離を必要としない技術を使用して、行われる。
組織試料からの真核生物のmRNA、すなわち、ポリ(a)RNAの迅速かつ効率的な抽出方法は、十分確立されており、当業者に公知である。例えば、Ausubel et al.,1997,Current Protocols of Molecular Biology,John Wiley&Sonsを参照。RNA抽出および調製のための売主の指示と共に市販のキットの使用が、広くいきわたり、一般的である。様々なRNA単離製品および完成キットの商業上の売主は、キアゲン(バレンシア、カリフォルニア州)、インビトロジェン(カールズバッド、カリフォルニア州)、アンビオン(オースティン、テキサス州)およびエキシコン(ウォバーン、マサチューセッツ州)を含む。
一般に、RNA単離は、細胞破壊で始まる。細胞破壊中、RNaseによるRNA分解を最小にすることが望ましい。RNA単離プロセス中にRNase活性を制限する1つのアプローチは、細胞が破壊されるとすぐに、変性剤が、細胞内容物と接触していることを確かにすることである。別の一般的な実施は、RNA単離プロセスにおいて1つまたは複数のタンパク質分解酵素を含むことである。場合により、新鮮な組織試料は、それらが集められるとすぐに、室温にて、RNA安定化溶液中浸漬される。安定化溶液は、迅速に細胞を透過し、その後の単離のため、4℃での保存のためRNAを安定化させる。1つのかかる安定化溶液は、RNAlater(登録商標)(アンビオン、オースティン、テキサス州)として市販されている。
幾つかのプロトコールにおいて、トータルRNAは、塩化セシウム密度勾配遠心分離により、破壊された細胞から単離される。一般に、mRNAは、トータル細胞RNAのおよそ1%~5%を構成する。固定化オリゴ(dT)、例えば、オリゴ(dT)セルロースを一般に使用して、mRNAがリボソームRNAおよびトランスファーRNAから分けられる。単離後保存されるなら、RNAは、RNaseフリーな条件下で保存されなければならない。単離されたRNAの安定な保存方法は、当該技術分野において公知である。RNAの安定な保存のための様々な市販製品が入手可能である。
生着マーカーのmRNA発現レベルは、従来のDNAマイクロアレイ発現プロファイリング技術を使用して、測定することができる。DNAマイクロアレイは、アレイ中の公知の位置を占めるそれぞれ特定のDNAセグメントと共に、ガラス、プラスチック、もしくはシリコンのような固体表面または基材に固定された特定のDNAセグメントあるいはプローブの集合物である。標識RNAの試料とのハイブリダイゼーションは、通常、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、アレイ中のそれぞれのプローブに対応するRNA分子の検出および定量を可能にする。非特異的に結合した試料材料を取り除くためのストリンジェントな洗浄後、マイクロアレイは、レーザー共焦点顕微鏡または他の適当な検出方法によりスキャンされる。DNAチップとしてしばしば知られる、現代の市販のDNAマイクロアレイは、典型的には、何万ものプローブを含有し、したがって、何万もの遺伝子の発現を同時に測定することができる。かかるマイクロアレイは、本発明を実施する際に使用することができる。あるいは、対象となる生着マーカーを測定するために必要とされるのと同等に少ないプローブ、および例えば、データ正規化のための、必須の対照または標準を含有する特注のチップが、開示される方法を実施する際に使用することができる。
データ正規化を促進するために、2色マイクロアレイリーダーを使用することができる。2色(2つのチャンネル)のシステムにおいて、試料は、第1の波長を放出する第1のフルオロフォアで標識され、一方、RNAまたはcDNA標準は、異なる波長を放出する第2のフルオロフォアで標識される。例えば、Cy3(570nm)およびCy5(670nm)が、2色のマイクロアレイシステムにおいてしばしば共に利用される。
DNAマイクロアレイテクノロジーは、十分に開発され、市販されており、広く利用されている。それ故、開示される方法を行う際に、当業者は、マイクロアレイテクノロジーを使用して、過度の実験なしで、生着マーカーをコードする遺伝子の発現レベルを測定することができる。DNAマイクロアレイチップ、試薬(例えば、RNAまたはcDNA調製のためのもの、RNAまたはcDNA標識、ハイブリダイゼーションおよび洗浄溶液)、道具(例えば、マイクロアレイリーダー)ならびにプロトコールは、当該技術分野において周知であり、様々な商業供給源から入手可能である。マイクロアレイシステムの商業上の売主は、アジレント・テクノロジー(サンタ・クララ、カリフォルニア州)およびアフィメトリクス(サンタ・クララ、カリフォルニア州)を含むが、他のPCRシステムを使用することができる。
生着マーカーをコードするmRNAのレベルは、従来の定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)テクノロジーを使用して測定することができる。qRT-PCRの利点は、感度、柔軟性、定量精度、および密接に関連するmRNAの間で識別する能力を含む。定量的PCRのための組織試料の処理に関するガイダンスは、qRT-PCRのための市販の道具および試薬の製造者ならびに売主(例えば、キアゲン(バレンシア、カリフォルニア州)およびアンビオン(オースティン、テキサス州))を含む様々な供給源から入手することができる。qRT-PCRの自動性能のための道具およびシステムが、市販されており、多くの実験室において日常的に使用されている。周知の商業上のシステムの例は、アプライドバイオシステムズ7900HT Fast Real-Time PCR System(アプライドバイオシステムズ、フォスター市、カリフォルニア州)である。
mRNAが単離されると、RT-PCRによる遺伝子発現測定における第1の工程は、mRNA鋳型のcDNAへの逆転写であり、次に、それは、PCR反応において指数関数的に増幅される。2つの一般に使用される逆転写酵素は、アビロ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV-RT)およびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV-RT)である。逆転写反応は、典型的には、特異的なプライマー、ランダムヘキサマー、またはオリゴ(dT)プライマーと共に準備される。適当なプライマーは、市販されており、例えば、GeneAmp.RTM.RNA PCRキット(パーキンエルマー、ウォルサム、マサチューセッツ州)である。得られたcDNA産物は、その後のポリメラーゼ連鎖反応において鋳型として使用することができる。
PCR工程は、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼを使用して、行われる。PCRシステムにおいて最も一般的に使用されるポリメラーゼは、Thermus aquaticus(Taq)ポリメラーゼである。PCRの選択性は、増幅の標的にされたDNA領域、すなわち、対象となるタンパク質をコードする遺伝子から逆転写されるcDNAの領域に相補的であるプライマーの使用に起因する。それ故、qRT-PCRが、本発明において利用されるとき、それぞれの生着マーカー遺伝子に特異的なプライマーは、遺伝子のcDNA配列に基づく。SYBR(登録商標)GreenまたはTagMan(登録商標)(アプライドバイオシステムズ、フォスター市、カリフォルニア州)のような市販のテクノロジーを、売主の指示に従い、使用することができる。メッセンジャーRNAレベルは、ベーターアクチンまたはGAPDHのようなハウスキーピング遺伝子のレベルを比較することにより、試料間の負荷の違いについて正規化することができる。mRNA発現のレベルは、任意の単一の対照試料、または対照試料のプールもしくは対照mRNAの市販のセットと比べて表すことができる。
生着マーカー遺伝子の発現のPCR解析のための適当なプライマーセットは、過度の実験なしで、当業者により設計され、合成され得る。あるいは、本発明を実施するためのPCRプライマーセットは、商業供給源、例えば、アプライドバイオシステムズから購入することができる。PCRプライマーは、好ましくは、約17~25ヌクレオチド長である。プライマーは、Tm推定のための従来のアルゴリズムを使用して、特定の融解温度(Tm)を有するように設計することができる。プライマー設計およびTm推定のためのソフトウエアは、市販されており、例えば、Primer Express(商標)(アプライドバイオシステムズ)であり、また、インターネット、例えば、Primer3(Massachusetts Institute of Technology)上で入手可能である。PCRプライマー設計の確立された原理を適用することにより、多数の異なるプライマーを使用して、任意の所定の生着マーカー遺伝子の発現レベルが測定され得る。
幾つかの実施形態において、RNA解析は、RNA抽出または単離に関与しないテクノロジーを使用して、行われる。1つのかかるテクノロジーは、定量的ヌクレアーゼプロテクションアッセイであり、商品名gNPA(商標)(High Throughput Genomics、Inc.、トゥーソン、アリゾナ州)の下で市販されている。
本発明の方法は、陽性の生着マーカーならびに陰性の生着マーカーの「発現を検出すること」を包含する。陽性の生着マーカー(その発現が、Isl1のような、他のHVPマーカーの発現と正に相関する)を検出することを含むそれらの実施形態において、少なくとも1つの陽性の生着マーカーの「発現を検出すること」は、HVPにおいて少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現を検出すること(陽性の血管新生マーカーおよび/または陽性の細胞外基質マーカーのような、「陽性の」マーカー発現の検出)を含む。陽性の生着マーカーをコードするmRNAの発現を検出することは、mRNAの直接的にアッセイすること、ならびにmRNAから調製されたcDNAをアッセイすることによるような、mRNAを間接的にアッセイすることを包含することが意図される。
陰性の生着マーカー(その発現が、Isl1のような、他のHVPマーカーの発現と負に相関する)を検出することを含むそれらの実施形態において、少なくとも1つの陰性の生着マーカーの「発現を検出すること」は、HVPにおいて少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現の欠如を検出すること(陰性の血管新生マーカーおよび/または陰性の細胞外基質マーカーのような、「陰性の」マーカー発現の欠如の検出)を含む。陰性の生着マーカーをコードするmRNAの発現の欠如を検出することは、mRNAの直接的にアッセイすること、ならびにmRNAから調製されたcDNAをアッセイすることによるような、mRNAを間接的にアッセイすることを包含することが意図される。さらに、本明細書において使用される通り、mRNA(例えば、陰性のマーカーについてのmRNA)の「発現の欠如」は、Islet1、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9のような、陽性のHVPマーカーの発現と比べて、発現のピアソン相関係数指標が、約-0.50またはそれ未満であることを意味することが意図される。
ある種の実施形態において、本発明の方法は、(i)少なくとも1つの陽性の生着マーカー(例えば、陽性の血管新生マーカーおよび/または陽性の細胞外基質マーカー)の発現を検出すること;ならびに(ii)少なくとも1つの陰性の生着マーカー(例えば、陰性の血管新生マーカーおよび/または陰性の細胞外基質マーカー)の発現の欠如を検出することを含み得る。例えば、1つの実施形態において、本発明は、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現するヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で心筋前駆細胞を含有するヒト細胞を培養すること;
少なくとも1つの表面マーカーを発現するHVPを単離して、HVP集団を形成すること;
HVP集団の試料において少なくとも1つの陽性の生着マーカーの発現を検出すること;
HVP集団の試料において少なくとも1つの陰性の生着マーカーの発現の欠如を検出すること;ならびに
ヒト心室組織が対象において生着されるように、少なくとも1つの表面マーカーおよび少なくとも1つの陽性の生着マーカーを発現し、少なくとも1つの陰性の生着マーカーの発現を欠くHVPを対象に移植すること
を含む、対象においてヒト心室組織を生着させる方法を提供する。
同様に、上で記載された本発明の他の方法は、(i)少なくとも1つの陽性の生着マーカー(例えば、陽性の血管新生マーカーおよび/または陽性の細胞外基質マーカー)の検出;と(ii)少なくとも1つの陰性の生着マーカー(例えば、陰性の血管新生マーカーおよび/または陰性の細胞外基質マーカー)の発現の欠如の検出の組み合わせを単に含み得る。
実施例14において詳細に記載される通り、遺伝子発現プロファイリングはまた、6日目のHVP集団内の細胞のIslet1陰性の(Isl1-)亜集団において行われ、これにより、移植および生着に適当でない6日目の前駆細胞のIsl1-亜集団をさらに特徴付ける。これらの研究は、細胞のIsl1-6日目の亜集団が、有意なレベル(平均2000コピー以上のmRNA)で以下の遺伝子:ACTB、MTRNR2L2、MALAT1、EEF1A1、KRT8、MTRNR2L8、KRT18、FN1、MTRNR2L1、TTN、GAPDH、YWHAZ、MTRNR2L9、RPL3、AHNAK、KCNQ1OT1、TUBB、SLC2A3、FTL、HSP90B1、KRT19、HSPA8、MYL6、RPLP0、BSG、COL3A1、TPM1、VCAN、ENO1、RPL4、ACTG1、MTRNR2L10、HMGN2、PRTG、TPI1、HMGB1、VIM、ATP5B、HSP90AB1、RPL7、CBX5、MYL7、SERPINH1、HNRNPK、SRRM2、PODXL、EEF2、SPARC、ACTC1、HUWE1、COL1A2、LINC00506、HSPA5、MDK、HNRNPC、HSP90AA1、RGS5、LAMC1、APLNR、UGDH-AS1およびRPS3Aを発現することを決定した。細胞のこのIsl1-6日目の亜集団は、高レベル(平均5000コピー以上のmRNA)で以下の遺伝子:ACTB、MTRNR2L2、MALAT1、EEF1A1、KRT8、MTRNR2L8、KRT18、FN1、MTRNR2L1、TTN、GAPDHおよびYWHAZを発現する。
したがって、Isl1-6日目の亜集団についてのこの遺伝子発現特性情報は、移植のための生着可能なHVPを選ぶための選択プロセスのさらなる改良を可能にする。特に、心筋前駆細胞の分化した(例えば、5~7日)(例えば、以下でならびに実施例1および11において記載される通り培養された)培養物内の細胞は、それらの遺伝子発現特性について解析することができ、Islet1の発現を欠く(Isl1-)が、ACTB、MTRNR2L2、MALAT1、EEF1A1、KRT8、MTRNR2L8、KRT18、FN1、MTRNR2L1、TTN、GAPDH、YWHAZ、MTRNR2L9、RPL3、AHNAK、KCNQ1OT1、TUBB、SLC2A3、FTL、HSP90B1、KRT19、HSPA8、MYL6、RPLP0、BSG、COL3A1、TPM1、VCAN、ENO1、RPL4、ACTG1、MTRNR2L10、HMGN2、PRTG、TPI1、HMGB1、VIM、ATP5B、HSP90AB1、RPL7、CBX5、MYL7、SERPINH1、HNRNPK、SRRM2、PODXL、EEF2、SPARC、ACTC1、HUWE1、COL1A2、LINC00506、HSPA5、MDK、HNRNPC、HSP90AA1、RGS5、LAMC1、APLNR、UGDH-AS1およびRPS3Aから選択される少なくとも1つのマーカーを発現するそれらの細胞が、移植について除外され得る。あるいは、Islet1の発現を欠く(Isl1-)が、ACTB、MTRNR2L2、MALAT1、EEF1A1、KRT8、MTRNR2L8、KRT18、FN1、MTRNR2L1、TTN、GAPDHおよびYWHAZから選択される少なくとも1つのマーカーを発現する細胞が、移植について除外され得る。ある種の実施形態において、移植について除外される細胞は、Isl1-であり、上述のマーカーの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上、または20以上を発現する。
ヒト心室前駆体(HVP)の生成
ヒト多能性幹細胞は、ヒト心室前駆細胞の非クローン集団の生成に至る条件下で培養することができる。心筋前駆細胞を生成するための培養条件は、当該技術分野において記載されており(例えば、Lian,X.et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:E1848-1857;米国特許公開第20130189785号を参照)、また実施例1および図面、および実施例11において詳細に記載されている。典型的には、Wnt/β-カテニンシグナル伝達は、hPSCにおいてまず活性化され、インキュベーション期間が続き、Wnt/β-カテニンシグナル伝達の阻害が続く。
Wnt/β-カテニンシグナル伝達の活性化は、Gsk3阻害剤、好ましくは、CHIR98014(CAS556813-39-9)とのインキュベーションにより達成される。Wnt/β-カテニンシグナル伝達の阻害は、Porcn阻害剤、好ましくは、Wnt-C59(CAS1243243-89-1)とのインキュベーションにより達成される。Gsk3阻害剤を使用して、心臓の中胚葉分化が促進され、一方、Porcn阻害剤を使用して、中胚葉細胞からの心室前駆体分化が増強される。Gsk3およびPorcn阻害剤の使用のタイミングに関して、典型的には、培養の0日目に、hPSCは、Gsk3阻害剤と共に培養され、培養の3日目に、培地を変更して、Gsk3阻害剤を取り除き、次に、細胞は、培養の5日目の間中、Porcn阻害剤を含有する培地と共に培養される。HVP生成は、培養中の5~7日の間(包括的)で最適であり、培養の6日目にピークがある。培養条件ならびにGsk3およびPorcn阻害剤の使用のタイミングについての他の非限定的な、典型的な詳細は、実施例1および11において詳細に記載される。
本発明の方法における使用のため適当なhPSCは、19-11-1、19-9-7または6-9-9細胞のような、誘導多能性幹細胞(iPSC)(Yu,J.et al.(2009)Science 324:797-801)、およびES03細胞(WiCell Research Institute)またはH9細胞のようなヒト胚性幹細胞株(Thomson,J.A.et al.(1998)Science 282:1145-1147)を含む。心筋芽前駆体を生成するための適当な培養培地は、E8培地、mTeSR1培地およびインスリンを除いたRPMI/B27、それぞれが、実施例1および/または実施例11においてさらに記載される。
心筋芽前駆細胞を心室系統に偏らせる、培養条件が、ここで、決定されている。これらの心室心筋芽前駆細胞は、RPMI/B27培地において培養することができ、それらは、心室筋細胞にさらに分化することができる。それらが、インビトロで心室細胞に分化する(例えば、下で記載されるMLC2vマーカーを発現する)ように、インビトロでの心臓の心室前駆細胞を培養するための好ましい培地は、心臓の前駆体培養(CPC)培地(20%ノックアウト血清代替物、2.5mM GlutaMAXおよび100μg/mlビタミンCを添加した高度DMEM/F12)である。
分化した心臓細胞の公知のマーカーを使用して、心筋前駆細胞の分化により生成される細胞のタイプを同定することができる。例えば、心臓のトロポニンI(cTnI)を、心筋細胞分化のマーカーとして使用することができる。CD144(VE-カドヘリン)を、内皮細胞のマーカーとして使用することができる。平滑筋アクチン(SMA)を、平滑筋細胞のマーカーとして使用することができる。MLC2vを、心室筋細胞のマーカーとして使用することができる。未成熟心室筋細胞と心房性筋細胞の両方において発現される、MLC2aを、それらの細胞タイプについてのマーカーとして使用することができる。加えて、心房性筋細胞において特異的に発現される、サルコリピンを、心房性筋細胞についてのマーカーとして使用することができる。心室において主に、心房において、比較的低い程度まで発現される、ホスホランバンをまた、マーカーとして使用することができる。心房性心筋細胞において発現される、Hey1とも呼ばれる、ヘアリー関連転写因子1(HRT1)を、心房性心筋細胞についてのマーカーとして使用することができる。心室心筋細胞において発現される、HRT2(Hey2)を、心室心筋細胞についてのマーカーとして使用することができる。加えて、IRX4は、発生の全てのステージ中で心室の制限された発現パターンを有し、したがって、心室系統マーカーとして使用することができる。要約すると、心室において発現され、したがって、適当な心室マーカーである、遺伝子は、MLC2v、IRX4およびHRT2であり、一方、心房において発現され、したがって、適当な心房性マーカーである遺伝子は、MLC2a、HRT1、サルコリピンおよびANF(心房性ナトリウム利尿因子)である。心室分化の好ましいマーカーは、MLC2vである。
ヒト心臓の心室前駆細胞の単離方法
細胞表面マーカー発現(例えば、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9)に基づきHVPを単離する方法は、2015年8月21日に出願された米国出願番号第14/832,324号、および2015年12月30日に出願された米国出願番号第14/984,783号(そのそれぞれの全体的内容は、明確に参照により本明細書に取り込まれる)において詳細に記載される。簡単に言うと、細胞表面マーカーと反応性の薬剤を使用して、当該技術分野において十分に確立された手法に従い、HVPを単離することができる。HVPの細胞表面マーカーとしてのJAG1、FZD4、LIFRおよびFGFR3の同定はまた、実施例2、4および5において詳細に記載される。
1つの実施形態において、細胞表面マーカーと反応性の薬剤は、モノクローナル抗体のような、細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体である。非限定的な例は、細胞表面マーカーについて結合特異性を有するマウス、ウサギ、ヒト、ヒト化またはキメラモノクローナル抗体(例えば、抗JAG1、抗FZD4、抗LIFR、抗FGFR3および/もしくは抗TNFSF9抗体)を含む。かかるモノクローナル抗体は、当該技術分野において市販されている(例えば、R&Dシステムズ、サンタクルーズバイオテクノロジー)。さらに、かかる抗体は、細胞表面マーカーを抗原として使用し、当該技術分野において十分に確立された標準的技術を使用して調製することができる。
別の実施形態において、細胞表面マーカーと反応性の薬剤は、可溶性リガンドまたは可溶性リガンド融合タンパク質(例えば、Ig融合タンパク質)のような、細胞表面マーカーについてのリガンドである。可溶性リガンドは、例えば、膜貫通および細胞質ドメインの除去による、標準的組換えDNA技術を使用して調製することができる。可溶性リガンドは、標準的組換えDNA技術をまた使用して、可溶性リガンド融合タンパク質に形質転換することができる。融合パートナーが、融合タンパク質の分離を促進する結合部分を含み得る、融合タンパク質を調製することができる。
細胞表面マーカー陽性細胞を非陽性細胞から分離するために、当該技術分野において公知の様々な異なる細胞分離技術の1つを使用することができる。好ましくは、細胞表面マーカー陽性細胞は、蛍光標識細胞分取(FACS)により、非反応性細胞から分離される。細胞を分離するための、FACSテクノロジーおよびそれを行うための装置は、当該技術分野において十分に確立されている。FACSが、細胞分離のため使用されるとき、好ましくは、使用される細胞表面マーカーと反応性の薬剤は、蛍光標識されたモノクローナル抗体である。あるいは、細胞分離は、例えば、磁気活性化細胞分取(MACS)により、達成することができる。MACSが、細胞分離のため使用されるとき、好ましくは、使用される細胞表面マーカーと反応性の薬剤は、モノクローナル抗体で覆われた磁気ナノ粒子である。あるいは、IsoRaftアレイおよびDEPArrayテクノロジーを含むが、これらに限定されない、当該技術分野において公知の他の単一細胞分取方法論を、本発明のヒト心室前駆細胞の単離方法に適用することができる。
ヒト心臓心室前駆細胞のクローン集団
十億以上の細胞のクローン集団を達成することができるように、HVPのクローン集団を、HVPの拡大および増殖により得ることができる。かかる多数までヒト心室前駆細胞をクローンで拡大する能力は、かかる使用が、十億以上の細胞のオーダーで必要とするので、心機能を増強するために生体内でこれらの細胞の首尾よい使用に必須の特性である。実施例において詳細に記載される通り、かかる単一細胞を、心筋芽前駆体の生成を促進する条件下の培養のおよそ6日目にて得ることができる。ヒト心臓心室前駆体のクローン集団を、その細胞が心室マーカーMLC2vを発現するように、インビトロでさらに培養し、分化させることができる。好ましくは、単一ヒト心臓の心室前駆細胞は、蛍光標識細胞分取により単離される。あるいは、細胞を、MACSにより、または当該技術分野において公知の、および/もしくは本明細書において記載される他の細胞分取方法により単離することができる。好ましくは、単一ヒト心臓の心室前駆細胞は、本明細書において記載される(例えば、実施例3を参照)、心臓前駆体培養(CPC)培地において培養される。
心臓の心室前駆細胞のクローン集団を含む医薬組成物を、当該技術分野において公知の標準的方法により調製することができる。医薬組成物は、典型的には、無菌であり、医薬投与に適した緩衝液、培地、賦形剤などを含み得る。1つの実施形態において、クローン集団を含む医薬組成物は、3次元(3D)基質上に製剤される。3D基質上に製剤された組成物は、心筋修復のため生体内に移植することができる心筋細胞パッチの形成に特に好ましい。さらに、組成物は、Domian,I.J.et al.(2009)Science 326:426-429において記載される薄い筋フィルム(MTF)のような、細胞の2次元(2D)シートに製剤することができる。細胞組織のかかる2Dシートはまた、心筋修復のため生体内に移植することができる心筋細胞パッチの形成において使用することができる。
生体内組織操作
ヒト心室前駆体(HVP)が、ヌードマウスにおいて腎被膜下に移植された、実施例7および8において記載される、生体内移植研究は、腎被膜の表面上の成熟、機能的、ヒト心室筋の巨大な壁に自発的にアセンブルするHVPの能力を証明する。血管新生は、マウス脈管構造を心室筋壁と呼ぶことにより、パラクリン経路を介して生じ、一方、基質は、細胞の自律的経路を介して前駆体自体から生成される。HVPが、正常マウス心臓に移植される、実施例9において記載される、生体内心筋内移植研究は、HVPが、それらが拡大し、続いて、分化し、心外膜の表面上のヒト心室筋の壁に成熟する、心外膜表面に自発的に遊走することを証明する。まとめると、これらの研究は、ヒト心室形成が、精製されたHVPを介して生体内で完全な細胞の自律的経路を介して生じることができ、これにより、器官に対する器官の生体内組織操作においてそれらを使用することが可能となることを示す。
ヒト心室心筋は、再生について制限された能力を有し、その大部分が、年齢10歳を超えると失われる(Bergmann,O.et al.(2015)Cell 161:1566-1575)。したがって、心筋修復再生を生成するための新規ストラテジー、および心臓損傷中の組織操作アプローチは、再生生物学および医薬において熱心な研究の対象であった(Sahara,M.et al.(2015)EMBO J.34:710-738;Segers,V.F.M.and Lee,R.T.(2008)Nature 451:937-942)。任意の実質器官の組織操作中に組織的血管新生および基質形成を達成する必要が与えられると、仮説は、生体内でのインタクトな3-D実質器官の形成が、血管細胞および/または導管、ならびに収縮力のアライメントおよび生成を可能にするであろう生体材料および/または脱細胞化基質の添加を最終的に必要とするであろうということであった(Forbes,S.J.and Rosenthal,N.(2014)Nature Med.20:857-869;Harrison,R.H.et al.(2014)Tissue Eng.Part B Rev.20:1-16)。機能的実質器官の形成を達成するためのこれらの様々な成分の添加の複雑さは、臨床的実施に対してこれを減らすための試みを複雑にした(Webber,M.J.et al.(2014)Ann.Biomed.Eng.43:641-656)。hPSCは、今まで、多いに有望であったが、任意の哺乳類の系において、心臓の表面上で、生体内で純粋な、血管新生された、完全な機能的、かつ成熟3Dヒト心室筋器官を構築することは可能ではなかった(Vunjak-Novakovic,G.et al.(2011)Annu.Rev.Biomed.Eng.13:245-267)。
ヒトESまたはiPS細胞株のいずれかの再生可能な供給源から数十億の精製されたHVPを生成し、生体内で生着する細胞の能力を示唆する生着マーカーを検出する能力は、進行した心不全の設定における機能的心室筋の生成への新規アプローチを表す。前駆体は、心筋内注射によりデリバリーされ、次に、それらが拡大し、分化し、前駆体マーカーを失う、心外膜表面に自己遊走することができる。数週間の経過を終え、細胞は、細胞サイクルを出て、T管の形成、カテコールアミン応答性、自動性の喪失、整列したサルコメア構造を有する成人の杆体形の立体構造、およびhPSCから分化した心筋細胞に由来する他の心筋パッチに匹敵する力を生成する能力を含む、成熟心室心筋の幾つかの独立したマーカーを提示する成人の杆体形の細胞を形成するよう進む(Tulloch,N.L.et al.(2011)Circ.Res.109:47-59)。この細胞の自律的経路のスケーラビリティは、ヒト心室フリー壁に対応するレベルに近づく、厚さ1.5cmを超える組み合わされた厚さを有するヒト心室筋の異所性生成が可能になった(Basavarajaiah,S.et al.(2007)Br.J.Sports Med.41:784-788)。
後のステージにある成人の心臓前駆体の大部分の部位である、心外膜の微小環境に遊走する能力は、HVPの固有の特性であり、心室形成中に心室のコンパクトなゾーンの拡大中にこれらの細胞の正常微小環境を模倣する。従前の研究は、血管透過性における急性虚血性損傷および崩壊の生成が、比較的少数のES細胞由来の心筋細胞の損傷された心筋への移植に必須であり(van Laake,L.W.et al.(2007)Stem Cell Res.1:9-24;Laflamme,M.A.et al.(2007)Nat.Biotechnol.25:1015-1024)、そのときでさえ、生存率は低い(<5%)(Laflamme,M.A.and Murry,C.E.(2011)Nature 473:326-335;Laflamme,M.A.et al.(2005)Am.J.Pathol.167:663-671)ことを示した。急性虚血性損傷の非存在下で心外膜の表面上の広範な心室パッチを形成する心筋内HVPの能力は、さらなる生体材料、細胞、または外来遺伝子および/もしくはRNAの導入を必要とすることなく、横に広がった心筋症についての新規治療ストラテジーを提供する。
より後のステージの前駆体が、心臓または非心臓のいずれかの状況における3次元心室組織の形成についての能力を提示せず、これにより、関与する心室系統を生成することの重要性を強調し、ならびに心室形成の特定のステージにある特定の心室前駆体を精製するので、生体内正常心臓の心外膜の表面上で3D心室筋壁を形成する能力は、ISL1/FZD4/JAG1/LIFR/FGFR3/TNFSF9心室前駆体の固有の特性である。
したがって、本発明は、本明細書において記載されるHVPを使用して、ヒト心室組織を生体内で生成する方法を提供する。1つの実施形態において、方法は、非ヒト動物の器官に生着可能なHVPを移植すること、ここで、生着可能なHVPは、(i)JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現し;ならびに(ii)少なくとも1つの生着マーカーを発現し、ならびにヒト心室組織が生成されるように、HVPが生体内で成長するのを可能にすることを含む。好ましくは、非ヒト動物は、それが、ヒト前駆細胞に対する免疫応答を開始することができないよう、免疫不全である。1つの実施形態において、非ヒト動物は、免疫不全NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJマウスまたは免疫不全SCID-ベージュマウス(Charles River Franceから市販されている)のような、マウスである。1つの実施形態において、器官は、腎臓である(例えば、細胞は、腎被膜下に移植される)。別の実施形態において、器官は、心臓である。様々な実施形態において、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも1×10細胞が、移植される。
移植のための生着可能なHVPを得るために、ヒト多能性幹細胞(hPSC)は、本明細書において記載される(本明細書においてHVPGプロトコールとして言及される)通り、HVPの生成に至る条件下でインビトロで培養し、その後、必要な細胞表面マーカーおよび生着マーカーを検出することができる。
インビトロ培養後にHVPを移植するタイミングに関して、最適な心室組織生成のため、細胞は、移植の時にHVPにより発現される細胞マーカーに基づき定義され、HVPGプロトコールの0日目として定義される、培養の開始後の日数にて決定され得る、ステージにて移植されるべきである。1つの実施形態において、細胞は、中胚葉マーカーMESP1のピーク発現として定義され得る、心臓中胚葉形成のピークの後に移植される。典型的には、MESP1発現は、培養の2日目~4日目(包括的)であり、3日目にピークがある。1つの実施形態において、細胞は、ピークIslet-1発現に対応する時に移植される。典型的には、Islet1は、培養の4日目~8日目(包括的)であり、培養の6日目にピークがある。1つの実施形態において、細胞は、NKX2.5発現のピークの前に移植される。典型的には、NKX2.5発現は、培養の6日目に始まり、培養の10日目にピークがあり、次に、以後維持される。1つの実施形態において、細胞は、下流遺伝子MEF-2およびTBX-1のピーク発現前に、移植される。典型的には、これらの下流遺伝子は、培養の5日目~15日目(包括的)に発現され、培養の8日目にピークがある。1つの実施形態において、細胞は、分化した収縮性タンパク質遺伝子の発現前に、移植される。典型的には、収縮性タンパク質遺伝子(TNNT2およびMYH6を含む)の発現は、培養の10日目以降に始まる。ある種の実施形態において、細胞は、上述のマーカーパターンの2つ、3つまたは4つが存在するときの時点で、移植される。別の実施形態において、細胞は、上述のマーカーパターンの全5つが存在するときの時点で、移植される。1つの実施形態において、細胞は、培養の4日目~8日目(包括的)に移植される。より好ましい実施形態において、細胞は、培養の5日目~7日目(包括的)に移植される。最も好ましい実施形態において、細胞は、培養の6日目に移植される。
移植された細胞は、所望されるサイズ、量または厚さの心室組織の生成を可能にするのに適当な期間、非ヒト動物において成長させることができる。様々な実施形態において、細胞は、1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月または6カ月間成長させることができる。方法は、細胞成長および心室組織への分化の後、心室組織を非ヒト動物から回収することをさらに含み得る。
心機能を増強する方法
生着可能なHVPを同定し、生着させる本発明の方法を、生体内で使用して、細胞を心臓に直接移植することにより、心機能を増強することができる。HVPが、全3つのタイプの心臓系統細胞(心筋細胞、内皮細胞および平滑筋細胞)に分化する能力を有することは、ここで示されている(実施例3を参照)。さらに、心室系統に向けてバイアスをかける条件下で培養されたとき、HVPは、生体内の天然の心室環境に移植されるとき、主に心室筋表現型に適合することが示され、これは、これらの前駆細胞が、心室環境を「認識し」、生体内で適当に応答し、分化することを示している。心室環境に対する損傷は、心臓の疾患および障害における障害された心機能の大きな原因となるので、本発明の心室前駆細胞を使用して心室筋細胞を回復させる能力は、当該技術分野における大きな進歩を表す。
心機能を増強するために、好ましくは、HVPのクローン集団(例えば、医薬組成物中)が、対象の心臓に直接投与される。より好ましくは、クローン集団は、対象の心臓の心室領域に直接投与される。1つの実施形態において、対象に投与される医薬組成物は、3次元基質上に形作られたクローン集団を含む。
対象において心機能を増強する本発明の方法は、心血管状態、疾患および障害におけるのような、心臓への損傷、または低減もしくは障害された心機能を含む様々な臨床的状況において使用することができる。かかる臨床的状況の非限定的な例は、心筋梗塞を患っている対象、および先天性心臓障害を患っている対象を含む。好ましい心血管状態、疾患または障害の例は、冠動脈疾患および急性冠症候群を含む。
インビトロでの心臓心室前駆細胞の使用方法
少なくとも1つの細胞表面マーカー(JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9)、ならびに少なくとも1つの生着マーカー(血管新生マーカーおよび/または細胞外基質マーカー)を発現すると同定された、本発明の心臓心室前駆細胞は、心臓の成熟および分化の様々な態様の研究において、特に、心臓の成熟および分化のプロセスに関与する細胞シグナル伝達経路ならびに生物学的メディエータの同定において、インビトロで使用することができる。
さらに、心臓の心室前駆細胞は、心臓系統に関与し、さらに、心室分化に向けてバイアスをかけられるので、これらの前駆細胞はまた、試験化合物の心毒性を評価するのに有用である。全ての可能性のある新規薬物および治療剤は、それらが、ヒトにおける使用について安全であるとみなされる前に、心臓細胞に対するそれらの毒性について評価されなければならない。したがって、インビトロでの培養システムにおいて心毒性を評価する能力は、非常に有利である。 したがって、別の態様において、本発明は、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現し、(ii)少なくとも1つの生着マーカーを発現するヒト心臓の心室前駆細胞を用意すること;
細胞を試験化合物と接触させること;ならびに
細胞に対する試験化合物の毒性を測定すること
を含み、
ここで、細胞に対する試験化合物の毒性は、試験化合物の心毒性を示す、
試験化合物の心毒性についてスクリーニングする方法を提供する。
好ましい実施形態において、HVPは、本明細書において記載される方法により細胞を単離することにより、提供される。特に好ましい実施形態において、細胞は、細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体を使用して、細胞表面マーカーを発現する細胞を、心筋前駆細胞を含む細胞培養物から分離することにより、単離される。好ましくは、細胞は、本明細書において記載されるFACSまたはMACSを使用して、単離される。なお別の実施形態において、HVPは、さらに培養され、試験化合物との接触に先立ち、MLC2v+心室細胞に分化される。
細胞に対する試験化合物の毒性は、細胞生存能もしくは他の生理学的機能を評価する様々な異なる方法の1つまたは複数により評価することができる。好ましくは、細胞生存能に対する試験化合物の効果は、標準的細胞生存能アッセイを使用して測定され、ここで、試験化合物の存在下での低減された細胞生存能は、試験化合物の心毒性の指標である。加えてまたはあるいは、細胞成長を、測定することができる。加えてまたはあるいは、細胞接着、細胞シグナル伝達、表面マーカー発現、遺伝子発現などのような、生理学的機能の他の指標を、測定することができる。同様に、生理学的機能のこれらの指標のいずれかに対する試験化合物の負の効果は、試験化合物の心毒性の指標である。
本発明は、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現し、(ii)少なくとも1つの生着マーカーを発現するヒト心臓の心室前駆細胞を用意すること;
試験化合物の存在または非存在下で細胞を培養すること;
試験化合物の存在または非存在下で細胞の分化を測定すること;ならびに
試験化合物の非存在下での分化と比較して、ヒト心臓の心室前駆細胞分化を調節する試験化合物を選択し、これにより、ヒト心臓の心室前駆細胞分化を調節する化合物を同定すること
を含む、ヒト心臓の心室前駆細胞分化を調節する化合物を同定する方法をさらに提供する。
1つの実施形態において、試験化合物は、ヒト心臓の心室前駆細胞分化を刺激する。別の実施形態において、試験化合物は、ヒト心臓の心室前駆細胞分化を刺激する。細胞の分化は、例えば、本明細書において記載される通り、培養された細胞上に出現する分化マーカーの発現の測定により、測定することができる。好ましい実施形態において、HVPは、本明細書において記載される方法により細胞を単離することにより、提供される。特に好ましい実施形態において、細胞は、細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体を使用して、細胞表面マーカーを発現する細胞を、心筋前駆細胞を含む細胞培養物から分離することにより、単離される。好ましくは、細胞は、本明細書において記載されるFACSまたはMACSを使用して、単離される。
本発明は、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現し、(ii)少なくとも1つの生着マーカーを発現するヒト心臓の心室前駆細胞を用意すること;
ヒト心室心筋細胞を生成する条件下で試験化合物の存在または非存在下で細胞を培養すること;
試験化合物の存在または非存在下でヒト心室心筋細胞の機能を測定すること;ならびに
試験化合物の非存在下での機能と比較して、ヒト心室心筋細胞機能を調節する試験化合物を選択し、これにより、ヒト心室心筋細胞機能を調節する化合物を同定すること
を含む、ヒト心室心筋細胞機能を調節する化合物を同定する方法をさらに提供する。
1つの実施形態において、試験化合物は、ヒト心室心筋細胞機能を刺激する。別の実施形態において、試験化合物は、ヒト心室心筋細胞機能を阻害する。細胞の機能は、例えば、T管の形成、成人の杆体形の心室心筋細胞の獲得、および電気的刺激に応答して力を生成する能力を含むが、これらに限定されない、心室細胞機能の任意の適当な指標の測定により、測定することができる。心室細胞機能のかかる指標を測定する適当なアッセイは、当該技術分野において公知である。好ましい実施形態において、HVPは、本明細書において記載される方法により細胞を単離することにより、提供される。特に好ましい実施形態において、細胞は、細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体を使用して、細胞表面マーカーを発現する細胞を、心筋前駆細胞を含む細胞培養物から分離することにより、単離される。好ましくは、細胞は、本明細書において記載されるFACSまたはMACSを使用して、単離される。
ヒト心室前駆細胞を使用した生体内動物モデル
心臓の疾患のモデルに基づくヒトiPSおよびES細胞の発生は、開発および発見中に心血管薬物における新たな限界を開放する。しかしながら、これまで、これらのシステムは、培養された細胞システムにおいて2D構造物に基づく制限を有していた。加えて、細胞の胎児性および未成熟特性は、成人の心臓のそれらの有用性および忠実度を制限する。ヒト心臓疾患、特に、心不全は、腎臓のような、治療標的についての公知の部位である環境、ホルモン、および他の鍵となる器官により影響される、複雑な、多機能の、多器官の疾患である。異所性、またはインタクトな正常マウス心臓の表面上のいずれかに成熟した機能的ヒト心室器官を構築する能力は、通常、心室性不整脈、収縮力の生成、線維症、および再生の可能性のような、成熟ヒト心室筋チャンバーにおいてアッセイされるのみであり得る研究を可能にする新規生体内でモデルを始める。したがって、インビトロでの組織培養システムの外側、かつ生体内での心不全の状況において直接的に、ヒト心臓の疾患を研究するための開始は、ここで明確に可能である。
したがって、本発明の方法により同定された生着可能なHVPをまた使用して、生体内で試験化合物の心毒性を決定するため、または生体内でヒト心臓の組織分化もしくは機能を調節する化合物を同定するためのような、ヒト心臓の組織機能の生体内での評価、および化合物の生体内でのスクリーニングを可能にする動物モデルを創出する。したがって、本発明は、本明細書において記載されるHVPを使用して、生体内でのヒト心室組織に対する試験化合物の効果を試験する方法を提供する。
1つの実施形態において、方法は、
生着可能なHVPを非ヒト動物の器官に移植すること、ここで、生着可能なHVPは、(i)JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現し;(ii)少なくとも1つの生着マーカーを発現する;
ヒト心室組織が生成されるように、前駆体が生体内で成長することを可能にすること;
試験化合物を非ヒト動物に投与すること;ならびに
非ヒト動物においてヒト心室組織に対する試験化合物の効果を評価すること
を含む。
別の実施形態において、方法は、
試験化合物を非ヒト動物に投与すること、ここで、非ヒト動物は、非ヒト動物の器官に移植された生着可能なヒト心室前駆体(HVP)を含み、生着可能なHVPは、(i)JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現し;(ii)少なくとも1つの生着マーカーを発現する;ならびに
非ヒト動物において生着可能なHVPに対する試験化合物の効果を評価すること
を含む。
1つの実施形態において、試験化合物の心毒性は、例えば、(試験化合物の非存在下での組織または前駆体の生存能と比較した)非ヒト動物においてヒト心室組織またはヒト心室前駆体の生存能に対する試験化合物の効果を測定することにより、評価される。細胞生存能は、当該技術分野において公知の標準的方法により評価することができる。
別の実施形態において、心臓の分化を調節する試験化合物の能力は、例えば、(試験化合物の非存在下での組織または前駆体の分化と比較した)非ヒト動物においてヒト心室組織またはHVPの分化に対する試験化合物の効果を測定することにより、評価される。細胞の分化は、例えば、培養された細胞上に出現する分化マーカーの発現の測定により、測定することができる。
別の実施形態において、心機能を調節する試験化合物の能力は、例えば、(試験化合物の非存在下での組織またはHVPの機能と比較した)非ヒト動物においてヒト心室組織またはHVPの機能に対する試験化合物の効果を測定することにより、評価することができる。組織またはHVPの機能は、例えば、T管の形成、成人の杆体形の心室心筋細胞の獲得、および電気的刺激に応答して力を生成する能力を含むが、これらに限定されない、心室細胞機能の任意の適当な指標の測定により、測定することができる。心室細胞機能のかかる指標を測定する適当なアッセイは、当該技術分野において公知である。
好ましくは、非ヒト動物は、それが、ヒト前駆細胞に対する免疫応答を開始することができないよう、免疫不全である。1つの実施形態において、非ヒト動物は、免疫不全NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJマウスまたは免疫不全SCID-ベージュマウス(Charles River Franceから市販されている)のような、マウスである。1つの実施形態において、器官は、腎臓である(例えば、細胞は、腎被膜下に移植される)。別の実施形態において、器官は、心臓である。様々な実施形態において、少なくとも1×10細胞、少なくとも2×10細胞、少なくとも3×10細胞、少なくとも4×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも1×10細胞が、移植される。
動物モデルを生成するために、移植のための生着可能なHVPは、HVPの生成に至る条件下でインビトロでhPSCを培養することにより、上で記載された通り得て、続いて、必要な細胞表面マーカーおよび生着マーカーを検出することができる。インビトロ培養後にHVPを移植するタイミングに関して、最適な心室組織生成のため、細胞は、移植の時にHVPにより発現される細胞マーカーに基づき定義され、HVPGプロトコールの0日目として定義される、培養の開始後の日数にて決定され得る、ステージにて移植されるべきである。1つの実施形態において、細胞は、中胚葉マーカーMESP1のピーク発現として定義され得る、心臓中胚葉形成のピークの後に移植される。典型的には、MESP1発現は、培養の2日目~4日目(包括的)であり、3日目にピークがある。1つの実施形態において、細胞は、ピークIslet-1発現に対応する時に移植される。典型的には、Islet1は、培養の4日目~8日目(包括的)であり、培養の6日目にピークがある。1つの実施形態において、細胞は、NKX2.5発現のピークの前に移植される。典型的には、NKX2.5発現は、培養の6日目に始まり、培養の10日目にピークがあり、次に、以後維持される。1つの実施形態において、細胞は、下流遺伝子MEF-2およびTBX-1のピーク発現前に、移植される。典型的には、これらの下流遺伝子は、培養の5日目~15日目(包括的)に発現され、培養の8日目にピークがある。1つの実施形態において、細胞は、分化した収縮性タンパク質遺伝子の発現前に、移植される。典型的には、収縮性タンパク質遺伝子(TNNT2およびMYH6を含む)の発現は、培養の10日目以降に始まる。ある種の実施形態において、細胞は、上述のマーカーパターンの2つ、3つまたは4つが存在するときの時点で、移植される。別の実施形態において、細胞は、上述のマーカーパターンの全5つが存在するときの時点で、移植される。1つの実施形態において、細胞は、培養の4日目~8日目(包括的)に移植される。より好ましい実施形態において、細胞は、培養の5日目~7日目(包括的)に移植される。最も好ましい実施形態において、細胞は、培養の6日目に移植される。
移植された細胞は、試験化合物の投与に先立ち、所望されるサイズ、量または厚さの心室組織の生成を可能にするのに適当な期間、非ヒト動物において成長させることができる。様々な実施形態において、細胞は、1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月または6カ月間成長させることができる。
キット
別の態様において、本発明は、生着可能なHVPを生成するためのキットを提供する。1つの実施形態において、キットは、生着可能なHVPを単離するためのキットの使用のための指示書と共に、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現するHVPを単離するための手段、ならびに単離されたHVPにより発現される少なくとも1つの生着マーカーを検出するための手段を含む。1つの実施形態において、キットは、少なくとも1つの血管新生生着マーカー(陽性のおよび/または陰性の血管新生マーカー)を検出するための手段を含む。別の実施形態において、キットは、少なくとも1つの細胞外基質生着マーカー(陽性のおよび/または陰性の細胞外基質マーカー)を検出するための手段を含む。なお別の実施形態において、キットは、少なくとも1つの血管新生生着マーカーおよび少なくとも1つの細胞外基質生着マーカーを検出するための手段を含む。生着可能なHVPを同定し、移植する方法に関して上で記載された生着マーカーのいずれかを検出するための手段は、本発明のキットにおいて含まれ得る。本発明のキットにおける検出のための好ましい血管新生マーカーは、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1を含む。本発明のキットにおける検出のための好ましい細胞外基質マーカーは、FGF10、SMOC1およびCCBE1を含む。
1つの実施形態において、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3およびTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーを発現するHVPSを単離するための手段は、細胞表面マーカーの1つもしくは複数と反応性の1つまたは複数の薬剤である。1つの実施形態において、細胞表面マーカーと反応性の薬剤は、モノクローナル抗体のような、細胞表面マーカーに特異的に結合する抗体である。かかる薬剤の非限定的な例は、細胞表面マーカーについて結合特異性を有するマウス、ウサギ、ヒト、ヒト化またはキメラモノクローナル抗体(例えば、抗JAG1、抗FZD4、抗LIFR、抗FGFR3および/もしくは抗TNFSF9抗体)を含む。かかるモノクローナル抗体は、当該技術分野において市販されている(例えば、R&Dシステムズ、サンタクルーズバイオテクノロジー)。さらに、かかる抗体は、細胞表面マーカーを抗原として使用する当該技術分野において十分に確立された標準的技術を使用して調製することができる。別の実施形態において、細胞表面マーカーと反応性の薬剤は、可溶性リガンドまたは可溶性リガンド融合タンパク質(例えば、Ig融合タンパク質)のような、細胞表面マーカーについてのリガンドである。可溶性リガンドは、例えば、膜貫通および細胞質ドメインの除去による、標準的組換えDNA技術を使用して調製することができる。可溶性リガンドは、標準的組換えDNA技術をまた使用して、可溶性リガンド融合タンパク質に形質転換することができる。融合パートナーが、融合タンパク質の分離を促進する結合部分を含み得る、融合タンパク質を調製することができる。
1つの実施形態において、少なくとも1つの生着マーカーを検出するための手段は、生着マーカーをコードするRNA(例えば、mRNA)またはDNA(例えば、cDNA)を検出する1つまたは複数の核酸である。1つの実施形態において、生着マーカーをコードするRNAまたはDNAを検出する核酸は、生着マーカーをコードするRNAまたはDNAにハイブリダイゼーション可能なオリゴヌクレオチドプローブである。別の実施形態において、生着マーカーをコードするRNAまたはDNAを検出する核酸は、生着マーカーをコードする核酸を増幅する能力があるオリゴヌクレオチドプライマー、例えば、PCRプライマーの対である。かかるオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーは、標準的な組換えDNA方法論を使用して、本明細書において開示される生着マーカーの公的に入手可能なヌクレオチド配列に基づき、設計し、調製する(例えば、合成する)ことができる。
別の実施形態において、少なくとも1つの生着マーカーを検出するための手段は、生着マーカータンパク質と反応性の1つまたは複数の薬剤である。生着マーカータンパク質と反応性の薬剤は、例えば、抗体(例えば、細胞表面マーカーと反応性の薬剤に関して上で記載されたモノクローナル抗体もしくは他の適当な抗体)またはリガンド(例えば、細胞表面マーカーと反応性の薬剤に関して上で記載された可溶性リガンドもしくは可溶性リガンド融合タンパク質)であり得る。生着マーカータンパク質と反応性の適当な抗体またはリガンドは、当該技術分野において公知であり、および/または標準的組換えDNA技術を使用して調製することができる。
本発明は、以下の実施例によりさらに説明され、それは、さらなる制限と解釈されるべきではない。図、ならびに本出願を通じて引用される全ての参考文献、特許および公開された特許出願は、明確に、参照により本明細書に取り込まれる。
実施例1:ヒト多能性幹細胞におけるWntのシグナル伝達の調節によるヒトIsl1+心筋芽前駆体細胞の生成
古典的なWntシグナル伝達の一時的調節は、多数のhPSC株から高収量かつ純度で機能的心筋細胞を生成するのに十分であることが示されている(Lian,X.et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA109:E1848-1857;Lian,X.et al.(2013)Nat.Protoc.8:162-175)。このアプローチにおいて、Wnt/β-カテニンシグナル伝達は、hPSCにおいてまず活性化され、インキュベーション期間が続き、Wnt/β-カテニンシグナル伝達の阻害が続く。元々公開されたプロトコールにおいて、Wnt/β-カテニンシグナル伝達活性化は、Gsk3阻害剤CHIR99021(GSK-3α、IC50=10nM;GSK-3、βIC50=6.7nM)とのインキュベーションにより達成され、Wnt/β-カテニンシグナル伝達阻害は、Porcn阻害剤IWP2(IC50=27nM)とのインキュベーションにより達成された。本発明者らは、心臓の分化のためGsk3阻害剤およびWnt産生産性阻害剤を使用したので、このプロトコールを、GiWiプロトコールと呼んだ。元々のプロトコールの効率を改善し、元々のプロトコールにおいて使用された小分子の可能性のある副作用を低減するために、より高い阻害効力を有する小分子の別のセットを使用する第2の生成プロトコールを開発した。この第2の生成GiWiプロトコールにおいて、Wnt/β-カテニンシグナル伝達活性化を、Gsk3阻害剤CHIR98014(CAS556813-39-9;例えば、Selleckchemから市販されている)(GSK-3α、IC50=0.65nM;GSK-3,βIC50=0.58nM)とのインキュベーションにより達成し、Wnt/β-カテニンシグナル伝達阻害を、Porcn阻害剤Wnt-C59(CAS1243243-89-1;例えば、SelleckchemまたはTocrisから市販されている)(IC50=74pM)とのインキュベーションにより達成した。Gsk3阻害剤CHIR98014を使用して、心臓の中胚葉分化を促進し、一方、Porcn阻害剤Wnt-C59を使用して、中胚葉細胞からの心室前駆体分化を増強した。
これらの小分子の使用を介した心筋細胞分化のため、hPSCを、マトリゲル(ベクトン・デッキンソンバイオサイエンス)コートプレート(コーニング)上、E8培地(Chen,G.et al.(2011)Nature Methods,8:424-429において記載される;市販;STEMCELL Technologies)またはmTeSR1培地(市販;STEMCELL Technologies)において維持した。適当なhPSCは、19-11-1、19-9-7または6-9-9細胞のような誘導多能性幹細胞(iPSC)(Yu,J.et al.(2009)Science 324:797-801)およびES03(WiCell Research Institute)またはH9細胞のようなヒト胚性幹細胞(hESC)(Thomson,J.A.et al.(1998)Science,282:1145-1147)を含む。
マトリゲルコート表面上、mTeSR1培地中で維持したhPSCを、Accutase(ライフテクノロジーズ)で、37℃にて5分間、単一細胞に分離し、次に、マトリゲルコート細胞培養皿に、5μM ROCK阻害剤Y-27632(Selleckchem)を添加したmTeSR1培地中100,000~200,000細胞/cmにて(-2日目)24時間播種した。次に、細胞をmTeSR1中で培養し、mTeSR1を毎日交換した。0日目に、次に、細胞を、1μM Gsk3阻害剤CHIR98014(Selleckchem)で24時間(0日目~1日目)、RPMI/B27-ins(インスリンを含まないB27添加物10mlを含むRPMI500ml)において処理した。次に、培地を、2μM Porcn阻害剤Wnt-C59(Selleckchem)を含有する対応する培地に3日目にて交換し、次に、5日目に培地交換中に取り除いた。7日目から開始し、3日毎に培地を交換しながら、細胞をRPMI/B27(ストック溶液:RMPI培地500ml+B27添加物10ml)において維持した。心筋芽前駆細胞を生成するためのこの典型的な培養プロトコールを、図面において模式的に説明する。
フローサイトメトリーおよび免疫染色を行い、特定の系統のマーカーの発現を調べた。CHIR-98014での処理の24時間後、99%より多くのhPSCが、中胚葉マーカーブラキュリを発現した。CHIR-98014での処理の3日後、95%より多くの分化した細胞が、心臓の中胚葉を特徴付けるMesp1を発現した。培養プロトコールは、細胞が、心臓の中胚葉系統に同調的に分化することを可能にするばかりでなく、cTnTフローサイトメトリーおよび電気生理学解析により決定した通り、分化の14日後に90%より多くの心室筋細胞を再現性よく生成した。
経時的なhPSCの心臓の分化をさらに評価するために、ウエスタンブロット解析を、0~7日目および11日目に行い、Isl1およびNkx2.5(心筋芽前駆体マーカー)ならびにcTnI(心筋細胞マーカー)の発現を調べた。細胞を、M-PER哺乳類タンパク質抽出試薬(Pierce)においてHaltタンパク質分解酵素およびホスファターゼ阻害剤カクテル(Pierce)の存在下で溶解した。タンパク質を、10%トリス-グリシンSDS/PAGE(インビトロジェン)により、変性条件下で分離し、ニトロセルロース膜に移した。TBST中の5%乾燥ミルクでブロッキング後、膜を、1次抗体と一晩4℃にてインキュベーションした。次に、膜を洗浄し、抗マウス/ウサギペルオキシダーゼ抱合2次抗体と室温にて1時間インキュベーションし、SuperSignal化学発光(Pierce)により現像した。hPSCの心臓の分化中、Isl1発現は、4日目に始まり、6日目にその最大発現まで増大し、一方、NKx2.5は、6日目についに発現を開始し、10日後、その最大発現に達した。分化の11日目まで、心筋細胞(cTnI+細胞)を誘導しなかった。
加えて、6日目の細胞の免疫染色を、Isl1発現について行った。細胞を、4%ホルムアルデヒドで15分間室温にて固定し、次に、PBSプラス0.4%トリトンX-100および5%無脂肪乾燥ミルク(バイオ・ラッド)中の1次抗体(抗Isl1)ならびに2次抗体で染色した。核を、DAPIを含むGoldアンチフェード試薬(インビトロジェン)で染色した。QImaging(登録商標)Retiga 4000Rカメラを備えた落射蛍光顕微鏡(ライカDM IRB)を、画像解析のため使用した。結果は、相当な数のIsl1+細胞を示した。
Isl1発現について6日目の細胞のフローサイトメトリー解析も行った。細胞を、Accutaseで10分間、単一細胞に分離し、次に、1%パラホルムアルデヒドで20分間室温にて固定し、0.1%トリトンX-100および0.5%BSAのPBSにおいて1次抗体および2次抗体で染色した。データを、FACSCaliberフローサイトメーター(ベクトン・ディッキンソン)において収集し、FloJoを使用して解析した。結果は、95%より多くの細胞が、このステージにてIsl1を発現したことを示した。
要約すると、この実施例は、6日以内に数十億ものIsl1+ヒトHPVの大規模の産生を効率的に可能にするヒト心室前駆体生成のためのプロトコール(HVPGプロトコール)を提供する。
実施例2:ヒト心室前駆細胞の細胞表面マーカーとしてのJagged1の同定
心臓の分化プロセス中にゲノムスケールレベルで生じる転写変化の特性を明らかにするために、RNA配列決定(RNA-seq)を、心臓の発生の転写景色を構築するための分化後の異なる時点にて行った。本発明者らは、0日目~7日目の試料、ならびに19日目および35日目の試料(時点当たりの2つの独立した生物学的複製物)においてRNA-seq実験を行った。illumine Hiseq 2000プラットフォームを使用して、2つのバッチのRNA-seq(読み取り長100bpおよび50bp)を行った。合計で、20の試料を調べた。BowtieおよびTophatを使用して、本発明者らの読み取り値を参照ヒトゲノム(hg19)にマッピングし、本発明者らは、RPKM方法(百万の読み取り値当たりの1キロベースの転写物当たりの読み取り値)を使用して、それぞれの遺伝子発現(Refseqによる遺伝子のアノテーション)を計算する。心筋細胞へのhPSCの分化は、5つの主要な細胞タイプ:多能性幹細胞(0日目)、中胚葉前駆体(1日目~2日目)、心臓の中胚葉細胞(3日目~4日目)、心臓フィールドの前駆体(5日目、6日目および7日目)、ならびに心筋細胞(10日以降)を含む。
HVPGプロトコールを使用したhPSCからの心臓の分化の分子mRNA解析は、分化中に多能性マーカーOCT4、NANOGおよびSOX2の下方制御を伴った、遺伝子発現におけるダイナミックな変化を明らかにした。原条様遺伝子TおよびMIXL1の誘導は、CHIR-98014添加後最初の24時間以内に生じ、続いて、2日目および3日目に心臓の中胚葉マーカーMESP1が上方制御された。心筋マーカーTNNT2、TNNC1、MYL2、MYL7、MYH6、MYH7およびIRX4の発現を、分化のより後のステージ(10日目以降)にて検出した。
この解析により、中胚葉細胞、心臓の前駆体および心筋細胞を含む、それぞれの分化ステージにて富化された遺伝子を同定した。1日目の分化した細胞に関連する中胚葉細胞は、ブラキュリを発現する。本発明者らは、FZD10、CD48、CD1D、CD8B、IL15RA、TNFRSF1B、TNFSF13、ICOSLG、SEMA7A、SLC3A2、SDC1、HLA-Aを含む、中胚葉細胞についての可能性のある表面マーカーを同定した。同様の解析を通じて、本発明者らはまた、CXCR4、ANPEP、ITGA5、TNFRSF9、FZD2、CD1D、CD177、ACVRL1、ICAM1、L1CAM、NGFR、ABCG2、FZD7、TNFRSF13C、TNFRSF1Bを含む、心臓の中胚葉mesp1陽性細胞についての表面マーカーを同定した。
ウエスタンブロット解析と一致し、ISL1 mRNAは、4日目と同等の早さで発現し、そのタンパク質発現がそのピークに達する1日前の、5日目にピークがあった。分化の5日目(心臓の前駆体ステージ、5日目にisl1 mRNA発現最大、6日目にisl1タンパク質発現最大)に、5日目の富化された遺伝子を、抗CD抗体アレイ(350種の公知のCD抗体のパネル)と比較し、多数の可能性のある細胞表面タンパク質マーカーを同定した。本発明者らは、FZD4、JAG1、PDGFRA、LIFR(CD118)、TNFSF9、FGFR3を含む、このステージで発現した多くの細胞表面タンパク質を同定した。
細胞表面タンパク質Jagged1(JAG1)、Frizzled4(FZD4)、LIFR(CD118)およびFGFR3を、さらなる解析のため選択した。Jagged1発現を、以下および実施例3において記載する通り、さらに研究した。Frizzled4発現を、実施例4において記載する通り、さらに研究した。LIFR(CD118)およびFGFR3発現を、実施例5において記載する通り、さらに研究した。
まず、Isl1およびJag1の発現を、二重染色フローサイトメトリー技術を使用して、特性を明らかにした。フローサイトメトリー解析を、二重染色のため抗Isl1および抗Jag1抗体を使用して、実施例1において記載した通り、本質的に行った。Jagged1発現は、Islet1の発現を追跡することが見いだされ、分化の6日目に、Islet1陽性細胞の全てがまたJagged1を発現し、そして逆もまた同様である。これらの2つのマーカーの共発現パターンのため、Jagged1抗体を使用して、94.1%Islet1+細胞の分化した集団を、99.8%の純度のIslet1+Jagged1+細胞に富化した。
Islet1が、HVPにおけるISL1およびNKX2.5発現の二重免疫染色を使用して、Nkx2.5遺伝子より早い発生の遺伝子であることも確認した。精製したHVPは、ISL1遺伝子を均一に発現するが、このステージで、ごく少数の細胞が、Nkx2.5を発現し始める。
さらに、4週目のヒト胎児心臓組織、新生児心臓組織、および8歳の心臓組織にて、抗Isl1と抗Jag1の両方での免疫染色を、実施例1において記載した通り、本質的に行った。結果は、生体内胎児心臓において、Islet1陽性細胞の全てがまた、Jagged1を発現したことを明らかにした。しかしながら、新生児心臓および8歳の心臓は、Islet1もJagged1も発現しなかった。4週目のヒト胎児心臓の心室において、心臓のトロポニンT(cTnT)染色は、目に見えるサルコメア構造を明らかにした。加えて、4週目の胎児心臓において、50%を超える心室細胞が、Islet1とJagged1の両方を発現し、それは、ヒト新生児心臓の心室筋細胞におけるIslet1とJagged1の両方の発現の喪失を伴い、続く成熟中に著しく低下した。
上記の実験は、Jagged1が、Islet1陽性心筋芽前駆細胞の細胞表面マーカーであることを示している。
実施例3:Isl1+Jag1+心筋前駆細胞のクローン分化
Isl1+Jag1+細胞のクローン分化の可能性を特徴付けるために、心筋芽前駆細胞を、実施例1において記載した培養プロトコールにより生成し、1つの単一Isl1+Jag1+細胞を、マトリゲルコート48ウェルプレートの1つのウェルに播種した。細胞を、Jag1の抗体で精製し、次に、1つの単一細胞を、1つのウェルに播種した。次に、単一細胞を、3週間、心臓前駆体培養(CPC)培地(2.5mM GlutaMAX、100μg/mlビタミンC、20%ノックアウト血清代替物を添加した高度DMEM/F12)において培養した。
次に、3週間分化の細胞集団の免疫染色を、3種の抗体:心筋細胞についての心臓のトロポニンI(cTn1)、内皮細胞についてCD144(VE-カドヘリン)および平滑筋細胞について平滑筋アクチン(SMA)で行った。結果は、単一細胞で培養したIsl1+Jag1+細胞が、cTnI陽性細胞およびSMA陽性細胞を生じるが、VE-カドヘリン陽性細胞を生じないことを示し、これは、これらの生成されたIslet1+細胞が、内皮系統に対する制限された分化可能性を有する心筋前駆体であることを示している。ヒト誘導多能性幹細胞(iPSC19-9-11株)からHVPGプロトコールで分化させた精製したIslet1+Jagged1+細胞はまた、同様のインビトロ分化可能性および主にcTnI+SMA+細胞への分化を示したが、VE-カドヘリン+細胞への分化を示さなかった。数週間の間に、細胞は、心室特異的マーカーMLC2vを発現し、これは、最初のISL1+サブセットが、心室細胞運命に既に関与したことを示している。HVPGプロトコールを使用して生成させたIslet1+細胞の制限された血管性分化の可能性のため、これらの生成されたIslet1+細胞は、既に報告されたKDR+集団と異なる前駆体集団(Yang,L.et al.(2008)Nature 453:524-528)、または全3種の系統の心血管細胞を生じることができる、多能性ISL1+細胞と異なる前駆体集団(Bu,L.et al.(2009)Nature 460:113-117;Moretti,A.et al.(2006)Cell 127:1151-1165)を表し得る。
これらの結果は、Isl1+Jag1+心筋芽前駆細胞を、単一細胞から、心筋細胞優位で、全3タイプの心臓系統細胞を含有する有意に拡大した細胞集団(1×10細胞以上)までインビトロで首尾よく培養できることを示した。さらに、これらの細胞を、拡大した期間、少なくとも2~3週間、数カ月間(例えば、6カ月以上)でさえインビトロで培養することができる。心筋芽前駆細胞は、心筋細胞に徐々に分化し、増殖しないので、およそ2~3週間の培養期間が好ましい。
実施例4:心筋前駆細胞の細胞表面マーカーとしてのFrizzled4の同定
実施例2において記載した通り、Frizzled4(FZD4)を、心筋前駆細胞において表したRNA-seq解析により同定した。したがって、心筋前駆細胞の細胞表面マーカーとしてFZD4を確実にするために、FZD4発現を、ウエスタンブロット解析を介して心臓分化中に評価した。結果は、FZD4が、多能性幹細胞および最初の3日間の分化した細胞において発現しなかったことを示した。しかしながら、FZD4は、4日目に発現を開始し、発現の、5日目におけるその発現を最大にした。
単一細胞レベルでのFZD4およびIsl1の共発現パターンを定量するために、FACS解析を行った。分化の5日目に、83%より多くの細胞が、isl1とFZD4の両方を発現し、これは、FZD4が、GiWiプロトコールを使用した心臓前駆体分化中のIsl1陽性細胞についての細胞表面マーカーであることを示している。
JAG1とFZD4の両方が、実際に、ヒト心室前駆細胞上でISL1と共発現したことを確実にするために、hPSCから6日目の分化した細胞の三重免疫蛍光解析を、Islet1に対する抗体、Jagged1に対する抗体およびFrizzled4に対する抗体で行った。三重染色実験は、Isl1+細胞が、Jagged1とFrizzled4の両方を発現したことを示した。
実施例5:心筋前駆細胞の細胞表面マーカーとしての白血病抑制因子受容体(LIFR)および線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)の同定
実施例2において記載した通り、LIFR(CD118)およびFGFR3を、心筋前駆細胞において表したRNA-seq解析により同定した。この実験において、ヒト心室前駆細胞についてのこれらのさらなる細胞表面マーカーの発現を、フローサイトメトリー解析により確かにした。ヒト心室前駆体(HVP)細胞を、実施例1または11において記載する通り生成し、6日目細胞を、標準的フローサイトメトリーにより解析した。抗Islet1および抗白血病抑制因子受容体(LIFR)抗体を使用した二重染色フローサイトメトリー実験を行った。結果は、HVP細胞が、Islet1およびLIFRを共発現することを示し、これにより、LIFRが、HVP細胞についての細胞表面マーカーであることを確かにする。さらに、6日目のHVP細胞上でのLIFRおよび線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)の発現を、未分化の胚性幹(Es)細胞と比較することを含む、フローサイトメトリー実験を行った。結果は、LIFRおよびFGFR3が共に、HVP細胞上での発現について高度に富化されていることを示し、これにより、LIFRおよびFGFR3が共に、HVP細胞についての細胞表面マーカーであることを確かにする。
実施例6:Isl1+Jag1+心筋前駆細胞の生体内発生の可能性
ES03ヒト胚性幹細胞(hESC)株(WiCell Research Instituteから得た)は、心臓特異的cTnTプロモーターによりもたらされた緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する。ES03細胞を使用して、実施例1において記載した培養プロトコールを使用して、Isl1+Jag1+心筋芽前駆細胞を生成した。Isl1+Jag1+心筋芽前駆細胞を、重症複合免疫不全(SCID)であるベージュマウスの心臓に移植して、生体内でのそれらの発生の可能性を立証した。
簡単に言うと、Isl1+Jag1+細胞を、胸部開放法でNOD/SCID-ガンママウスの左心室壁に直接注射した(レシピエント当たり1,000,000個の細胞)。心臓を、手術の2~3週間後に回収し、1%PFAにおいて固定し、10μmで薄片を作った(n=12)。移植したマウスの心臓の組織学的解析は、落射蛍光により、および抗GFP抗体での染色により検出した、GFP+ドナー細胞の存在を明らかにし、これは、Isl1+Jag1+心筋芽前駆細胞が、生体内に移植されたとき、心筋細胞に分化する能力があったことを示している。
Isl1+Jag1+心筋芽前駆細胞をまた、SCIDであるベージュマウス(「損傷マウス」)の梗塞心臓に直接移植し、同様に移植した正常マウスと比較した。2週間後解析したとき、Isl1+Jag1+心筋芽前駆細胞を移植した損傷マウスが、同様に移植した正常マウスより大きな移植片を有し、これが、生体内でのIsl1+Jag1+心筋芽前駆細胞の心筋細胞再生能力を示している。
実施例7:ヒト心室前駆体(HPV)は生体内で3D心室心筋器官を生成する
心室心筋チャンバーの構築は、ヒト器官形成中の最も重大かつ初期工程の1つであり、遊走、増殖、血管新生、構築、および基質アライメントを含む、一連の協調した工程を必要とする。生体内で心室形成をもたらすHVPの能力を試験するために、本発明者らは、精製したHVPまたは未精製のHVP(92.0±1.9%ISL1+)を免疫不全状態のマウスの腎被膜下に移植した。移植の2か月後、未精製のHVPを移植した動物は腫瘍を形成し、これは、腫瘍形成効率100%(100%、4/4)をもたらし、一方、精製したHVPを移植した動物は、腫瘍を全く形成しなかった(0%、0/10)。
精製したHVPが生着した腎臓を、組織学的解析のためさらにアッセイした。ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色が、マウス腎臓の表面上で1mmより厚い厚さを伴い長さ0.5cmを超え、心室特異的マーカーMLC2vを均一に発現した器官を明らかにした(O’Brien,T.X.et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5157-5161)。得られたヒト筋肉器官は、完全に血管新生し、赤血球細胞を、血管において検出することができた。cTnT、MLC2v、およびMLC2a免疫染色の解析は、移植したHVPが、心筋細胞(cTnT+細胞)に分化したばかりでなく、さらに成熟して、MLC2a発現について陰性であるMLC2v+心室筋細胞になることを明らかにした。得られた心室筋器官は、マウス由来血管細胞により完全に血管新生し、これは、その血管新生が、HVPに由来するパラクライン合図を介して生じたという考えと一致する。
構造化した血管を、VE-カドヘリンおよび平滑筋アクチン発現に対する抗体の免疫染色解析により明らかにした。加えて、ラミニンγ-1鎖を標的にするヒト特異的モノクローナルラミニン抗体を使用して、HVPは、それらの細胞外基質としてそれら独自のヒトラミニンを分泌した(マウス腎臓領域は、ヒトラミニン免疫染色について陰性である)。加えて、本発明者らは、ヒトフィブロネクチン発現が、モノクローナルヒトフィブロネクチン抗体を使用して、血管近くの範囲に限定されることを見出した。
心室形成をもたらす後のステージの心臓細胞の能力を評価するために、NKX2.5+細胞(分化の10日後)を、免疫不全状態のNSGマウスの腎被膜下に移植した。移植の3週間後に、NKX2.5+細胞を移植した動物は、目に見えるヒト筋肉移植片を全く形成せず、これは、HVPが、ピークIslet-1発現後に生体内での心室形成についてのそれらの能力を失ったことを示している。
まとめると、これらの研究は、HVPが、それら独自の心臓ラミニン由来基質、および新生心室器官への脈管構造を安定化させるのに働くフィブロネクチンを合成し、放出することができることを示す。
実施例8:HVPは細胞自律的経路を介して生体内で成熟機能性心室筋器官を生成する
ヒト心臓生物学および疾患の研究のためのhPSCの有用性についての重大な制限の1つは、胎児アイソフォームの発現の成熟度および持続をそれらが欠くことである。HVP由来器官が、機能的成熟心室筋になることができたかを決定するために、長期移植研究を行い、その後、T管の形成(Brette,F.and Orchard,C.(2003)Circ.Res.92:1182-1192;Marks,A.R.(2013)J.Clin.Invest.123:46-52)、操作した心室組織の他の研究に匹敵する力を生成する能力、自動性の喪失、および成人の杆体形の心室心筋細胞の獲得を含む成人の心室心筋の十分に許容される特性のパネルの詳細な解析を行った。
精製したHVPの移植の5カ月後に、本発明者らの動物の全てにおいて、腫瘍を形成しなかった。動物を屠殺し、生着した腎臓を、さらなる解析のため取り出した。5カ月間のヒト移植片は、半径0.4cm(直径0.8cm)を有する半球構造であった。5カ月間の体積は、1つの腎臓についておよそ0.13cmであり、体積は、生体内のヒト成人の心臓に匹敵する厚さを達成する、ヒト心室筋を生着させる実現可能性を示唆する。杆体形の成熟ヒト心室筋細胞を、ヒト筋肉器官において観察した。加えて、本発明者らの成熟ヒト筋肉器官から採取した筋肉トリップは、電気的刺激に応答して力(0.36±0.04mN)を生成し、β-アドレナリン作動薬イソプレナリンでの処理後、それらの力の生成を増大した(0.51±0.02mN、対照と比較してp<0.05)。まとめると、これらの研究は、HVPが、細胞の自律的経路を介して、すなわち、他の細胞、遺伝子、基質タンパク質、または生体材料を添加することなく、生体内で完全に機能的な成熟ヒト心室筋器官を生成する能力があることを示す。
実施例9:HVPは心外膜微小環境に遊走し、生体内で正常なマウス心臓の表面上にヒト心室筋パッチを自発的に形成する
心外膜は、緻密な領域拡大中に心室チャンバーの成長をもたらし、ならびに心筋障害後に拡大することができ、VEGFのような、公知の血管細胞運命スイッチに応答して血管新生をもたらすことができる成人の心外膜前駆体として働く、心臓前駆体のための公知の微小環境である(Giordano,F.J.et al.(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5780-5785;Masters,M.and Riley,P.R.(2014)Stem Cell Res.13:683-692;Zangi,L.et al.(2013)Nat.Biotechnol.31:898-907)。HVPが、正常な心臓の心外膜表面に自発的に遊走し得るかを決定するために、精製緑色蛍光タンパク質(GFP)-標識HVPを、免疫不全状態のマウスの心臓に心筋内注射した。移植の1週間後または1か月後、動物を屠殺し、生着した心臓を組織診断のため取り出した。移植の1週間後、GFP+細胞の大部分が、心筋において保持された。しかしながら、ほぼ全てのGFP+細胞が、移植の1か月後に心外膜に遊走した。加えて、GFP+細胞は、移植の1週間後にISL1+およびKi67+であった。
Islet1+細胞の分化の可能性を追跡するために、緑色蛍光タンパク質(GFP)発現hESC株(H9-cTnT-GFP)に由来するcTnTプロモーターから生成した、精製ISL1+JAG1+細胞を、重症複合免疫不全(SCID)であるベージュマウスの心臓に移植して、生体内でのそれらの発生の可能性を証明した。SCIDであるベージュマウスの心臓の心室への直接的なIsl1+Jag1+細胞の移植の1か月後、ヘマトキシリンおよびエオジン染色により、マウス心臓の心外膜に存在するヒト筋肉ストリップ移植片が明らかになった。加えて、免疫組織学的解析により、落射蛍光により、および抗GFP抗体での染色により検出したGFP+ドナー細胞の存在が明らかになった。より重要なことに、MLC2vおよびMLC2aの抗体で解析したとき、生着したヒト筋肉ストリップが、MLC2v陽性であり(100%の細胞+)、心房マーカーMLC2a陰性であり、これは、移植したISL1+細胞が、心筋細胞にさらに分化したばかりでなく、心室筋細胞になったことを示している。
まとめると、これらの研究は、HVPが、心外膜微小環境に遊走することができ、そこで、再度外来細胞、遺伝子、基質、または生体材料を添加することなく、それらが拡大し、続いて、均一な心室筋パッチに分化することを示す。
実施例10:追加実験の材料および方法
この実施例において、実施例1~9において使用した実験材料および方法についてのさらなる詳細を提供する。
hPSCの維持
hESC(ES03、H9)およびヒトiPSC(19-9-11)を、既に公開された方法(Lian,X.et al.(2013)Nat.Proc.8:162-175;Lian,X.et al.(2013)Stem Cells 31:447-457)に従い、マトリゲル(ベクトン・デッキンソンバイオサイエンス)コートプレート上、mTeSR1培地(STEMCELL Technologies)において維持した。
ヒト心室前駆体生成(HVPG)プロトコール
マトリゲルコート表面上、mTeSR1中で維持したhPSCを、Accutaseで、37℃にて10分間、単一細胞に分離し、次に、マトリゲルコート細胞培養皿に、5μM ROCK阻害剤Y-27632を添加したmTeSR1中100,000~200,000細胞/cmにて(-2日目)24時間播種した。-1日目に、細胞をmTeSR1において培養した。0日目に、細胞を、インスリンを含まないB27を添加したRPMI(RPMI/B27-ins)中1μM CHIR-98014(Selleckchem)で24時間(0日目~1日目)処理し、次に、それを、1日目の培地交換中に取り出した。3日目に、培地の半分を、2μM Wnt-C59(Selleckchem)を含有するRPMI/B27-ins培地に交換し、次に、それを、5日目の培地交換中に取り出した。6日目に、細胞を、単一細胞に分離させ、抗JAG1または抗FZD4抗体で精製した。
RNA-seqライブラリー構築
RNAを、単離し(RNeasy Mini kit、キアゲン)、定量し(Qubit RNA Assay Kit、ライフテクノロジーズ)、品質を管理した(BioAnalyzer 2100、アジレント)。各試料由来のRNA(800ng)を、Illumina TruSeq mRNA Sample Prep Kit v2(イルミナ)用のインプットとして使用し、製造元の指示に従い、配列決定ライブラリーを創出した。簡単に言うと、ポリA含有mRNA分子を、ポリTオリゴ結合磁気ビーズを使用して精製した。精製後、mRNAを断片化し、ランダムプライマーおよび逆転写酵素を使用して、第1の鎖相補性DNAにコピーした。次に、第2の鎖cDNA合成を、DNAポリメラーゼIおよびRNaseHを使用して行った。cDNAをアダプターにライゲーションし、PCRで富化して、最終的なcDNAライブラリーを創出した。ライブラリーをプールし、製造元の指示によって、HiSeq 2000(イルミナ)装置上で配列決定した。
RNA-seqデータ処理
RNA-seq読み取り値を編集し、Tophat2を使用して、hg19参照にマッピングした。平均して、1つの試料当たりおよそ2300万の読み取り値を生成し、これらの読み取り値の76%を独自にマッピングした。各遺伝子についての発現レベルを、パイソンスクリプトrpkmforgeneを使用して定量し、RefSeqを使用して注釈を付けた。少なくとも10の読み取り値を含む少なくとも1つの試料を含まない遺伝子を、解析から除いた。主成分分析およびヒートマップを、それぞれ、Rおよび遺伝子Eを使用して行った。
移植
精製HVP200万個のアリコートを、エッペンドルフチューブに集めた。細胞をスピンダウンし、上清を捨てた。各チューブの細胞を、既に記載されたプロトコール(Shultz,L.D.et al.(2005)J.Immunol.174:6477-6489)に従い、それぞれ、免疫不全マウス、NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJまたはSCID-ベージュ(Charles River France)の腎被膜下に移植するか、または心臓に心筋内注射した。組織学的および生理学的解析のため、様々な時間間隔で、生着した腎臓または心臓を回収した。
フローサイトメトリー
細胞を、Accutaseで10分間、単一細胞に分離し、次に、1%パラホルムアルデヒドで20分間室温にて固定し、PBSプラス0.1%トリトンX-100および0.5%BSAにおいて1次抗体および2次抗体で染色した。データを、FACSCaliberフローサイトメーター(ベクトン・ディッキンソン)において収集し、FlowJoを使用して解析した。
免疫染色
細胞を、4%パラホルムアルデヒドで15分間室温にて固定し、次に、PBSプラス0.4%トリトンX-100および5%無脂肪乾燥ミルク(バイオ・ラッド)中の1次抗体ならびに2次抗体で染色した。核を、DAPIを含むGoldアンチフェード試薬(インビトロジェン)で染色した。画像解析のため、落射蛍光顕微鏡および共焦点顕微鏡(ZEISS、LSM700)を使用した。
ウエスタンブロット解析
細胞を、M-PER哺乳類タンパク質抽出試薬(Pierce)においてHaltタンパク質分解酵素およびホスファターゼ阻害剤カクテル(Pierce)の存在下で溶解した。タンパク質を、10%トリス-グリシンSDS/PAGE(インビトロジェン)により、変性条件下で分離し、ニトロセルロース膜に移した。TBST中の5%乾燥ミルクでブロッキング後、膜を、1次抗体と一晩4℃にてインキュベーションした。次に、膜を洗浄し、抗マウス/ウサギペルオキシダーゼ抱合2次抗体と室温にて1時間インキュベーションし、SuperSignal化学発光(Pierce)により現像した。
電気生理学(パッチクランプ)
拍動する心室筋細胞クラスターを、顕微解剖し、記録前にガラスカバーガラスに再播種した。120mM K D-グルコン酸、25mM KCl、4mM MgATP、2mM NaGTP、4mM Na2-ホスホ-クレアチン、10mM EGTA、1mM CaCl、および10mM HEPES(pH7.4、25℃にてHClで調節)からなる細胞内溶液を充填したホウケイ酸ガラスピペット(抵抗4~5M Ohm)を使用して、活動電位活性を評価した。カバーガラス皿上に播種した培養した心筋細胞を、140mM NaCl、5.4mM KCl、1mM MgCl、10mMグルコース、1.8mM CaCl、および10mM HEPES(pH7.4、25℃にてNaOHで調節)を含有する細胞外溶液(タイロード液)に浸した。自発活動電位を、1kHzで低減フィルターをかけたMulticlamp 700B amplifier(モレキュラーデバイス、カリフォルニア州、米国)ソフトウエアを使用して行ったパッチクランプ技術(細胞全体、現在のクランプ配置)を使用して、37℃にて記録し、Digidata 1322AおよびClampex 9.6ソフトウエア(モレキュラーデバイス、カリフォルニア州、米国)を使用して、デジタル化し、保存した。
統計学
データを、平均±平均の標準誤差(SEM)として表す。統計学的有意差を、2群間のスチューデントt検定(両側)により決定した。P<0.05を、統計学的に有意であるとみなした。
実施例11:異種成分不含有のヒト心室前駆体分化プロトコール
この実施例において、定義した異種成分不含有の培養培地、Essential8を利用する、ヒト心室前駆体の分化についての代わりの分化プロトコールを提供する。ヒト多能性幹細胞(hPSC)の成長および拡大のため、Essential8培地が開発され、Chen,G.et al.(2011)Nat.Methods 8:424-429(そこで「E8」培地として言及される)においてさらに記載される。
ビトロネクチン(またはラミニン521)コート表面上、Essential8培地中で維持したhPSCを、バーゼン溶液で、37℃にて10分間、単一細胞に分離し、次に、ビトロネクチン(またはラミニン521)コート細胞培養皿に、5μM ROCK阻害剤Y-27632を添加したEssential8中100,000~200,000細胞/cmにて(-2日目)24時間播種した。-1日目に、細胞をEssential8培地において培養した。0日目に、細胞を、RPMI中0.5μM CHIR-98014で24時間(0日目~1日目)処理し、次に、それを、1日目の培地交換中に取り出した。3日目に、培地の半分を、0.5μM Wnt-C59を含有するRPMI培地に交換し、次に、それを、5日目の培地交換中に取り出した。6日目に、細胞(ヒト心室前駆体)を、単一細胞に分離させ、抗JAG1または抗FZD4抗体で精製した。あるいは、細胞を、抗LIFR抗体、抗FGFR3抗体または抗TNFSF9抗体で精製した。
実施例12:生着可能なヒト心室前駆細胞についての血管新生マーカー
この実施例において、ヒト心室前駆細胞(HVP)において発現する血管新生ファミリー内の遺伝子を同定した。実施例1または11において記載した通り、HVPを生成し、実施例2において記載した通り、分化後の異なる時点にてRNA配列決定(RNA-seq)を行った。HVP分化中の異なる時点での遺伝子発現特性のクラスター解析により、ステージ特異的符号遺伝子を同定した。これらの遺伝子を、それらの発現特性の類似性に基づき、階層的にクラスター化した。まず、4つの異なるカテゴリーの発現を示す遺伝子を同定した:(i)細胞表面発現;(ii)Islet1との共発現;(iii)分化の5日目での高発現;および(iv)高い5日目/0日目の比。この解析により、JAG1、FZD4、FGFR3、LIFR(CD118)およびTNFSF9のHVPについての細胞表面マーカーを確かにした。次に、細胞表面マーカーを同定したHVPのこの同じ集団から、遺伝子個体発生検索を行い、HVPのこの集団において発現した血管新生ファミリー遺伝子を同定し、これにより、細胞生着に重大な遺伝子を同定する遺伝子フィンガープリント特性を同定した。
統計上、Isl1発現とのピアソン相関係数を使用して、HVPにおける発現が、Isl1発現と最も相関するそれらの血管新生遺伝子を同定した。以下の表1は、ピアソン相関係数0.50以上で、Isl1発現と相関する血管新生遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000001
Figure 0007386290000002
Figure 0007386290000003
以下の表2は、ピアソン相関係数0.49~0.00で、Isl1発現と相関する血管新生遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000004
Figure 0007386290000005
Figure 0007386290000006
Figure 0007386290000007
発現がHVPにおいてIsl1発現と負に相関する血管新生遺伝子も同定した。以下の表3は、ピアソン相関係数-0.50またはそれ未満で、Isl1発現と負に相関する血管新生遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000008
以下の表4は、ピアソン相関係数-0.01~0.49で、Isl1発現と負に相関する血管新生遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000009
Figure 0007386290000010
Figure 0007386290000011
Figure 0007386290000012
Figure 0007386290000013
実施例13:生着可能なヒト心室前駆体細胞についての細胞外基質マーカー
この実施例において、ヒト心室前駆細胞(HVP)において発現する細胞外基質ファミリー内の遺伝子を同定した。実施例1または11において記載した通り、HVPを生成し、実施例2において記載した通り、分化後の異なる時点にてRNA配列決定(RNA-seq)を行った。HVP分化中の異なる時点での遺伝子発現特性のクラスター解析により、ステージ特異的符号遺伝子を同定した。これらの遺伝子を、それらの発現特性の類似性に基づき、階層的にクラスター化した。まず、4つの異なるカテゴリーの発現を示す遺伝子を同定した:(i)細胞表面発現;(ii)Islet1との共発現;(iii)分化の5日目での高発現;および(iv)高い5日目/0日目の比。この解析により、JAG1、FZD4、FGFR3、LIFR(CD118)およびTNFSF9のHVPについての細胞表面マーカーを確かにした。次に、細胞表面マーカーを同定したHVPのこの同じ集団から、遺伝子個体発生検索を行い、HVPのこの集団において発現した細胞外基質ファミリー遺伝子を同定し、これにより、細胞生着に重大な遺伝子を同定する遺伝子フィンガープリント特性を同定した。
統計上、Isl1発現とのピアソン相関係数を使用して、HVPにおける発現が、Isl1発現と最も相関するそれらの細胞外基質遺伝子を同定した。以下の表5は、ピアソン相関係数0.50以上で、Isl1発現と相関する細胞外基質遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000014
Figure 0007386290000015
以下の表6は、ピアソン相関係数0.49~0.00で、Isl1発現と相関する細胞外基質遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000016
Figure 0007386290000017
Figure 0007386290000018
Figure 0007386290000019
発現がHVPにおいてIsl1発現と負に相関する細胞外基質遺伝子も同定した。以下の表7は、ピアソン相関係数-0.50またはそれ未満で、Isl1発現と負に相関する細胞外基質遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000020
以下の表8は、ピアソン相関係数-0.01~-0.49で、Isl1発現と負に相関する細胞外基質遺伝子を挙げる。
Figure 0007386290000021
Figure 0007386290000022
Figure 0007386290000023
Figure 0007386290000024
Figure 0007386290000025
Figure 0007386290000026
Figure 0007386290000027
実施例14:6日目のIslet1陰性細胞についての遺伝子発現特性
この実施例において、遺伝子発現特性を、6日目のHVP集団内のIslet1陰性細胞について決定して、生着可能なHVPとして認定するための必須のマーカーを発現しない6日目の集団内の細胞の亜集団をさらに特徴付けた。実施例1または11において記載した通り、6日目のHVP集団を生成し、実施例2において記載した通り、分化後にRNA配列決定(RNA-seq)を行った。Islet1陰性(Isl1-)である細胞を、それらの遺伝子発現特性に関してさらに解析した。平均RNAコピー数2000以上を有するIsl1-細胞において発現する遺伝子を、表9において以下で示す。
Figure 0007386290000028
Figure 0007386290000029
Figure 0007386290000030
したがって、表9において示したデータは、移植に適しておらず、したがって、移植および生着のため細胞を選ぶときに不利に選択されるべきである、6日目のHVP集団内のIslet1陰性の生着可能でない細胞についての遺伝子発現特性を提供する。
均等物
当業者は、たかだか日常的な実験を使用して、本明細書において記載される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するか、または確定することができるだろう。かかる均等物は、以下の請求項により包含されることが意図される。
本発明の実施形態の例として以下の項目が挙げられる。
(項目1)
生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を同定する方法であって、
前記HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出し、これにより、生着可能なHVPを同定すること、を含み、
前記HVPはまた、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現する、方法。
(項目2)
生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を単離する方法であって、
心筋前駆細胞を含有するヒト細胞をヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で培養すること、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーの前記HVP上での発現を検出すること、
少なくとも1つの生着マーカーの前記HVPにおける発現を検出すること、および、
前記少なくとも1つの表面マーカーと前記少なくとも1つの生着マーカーを共発現するHVPを単離し、これにより、生着可能なHVPを単離すること、を含む、方法。
(項目3)
対象においてヒト心室組織を生着させる方法であって、
ヒト心室組織が前記対象において生着されるように、生着可能なヒト心室前駆細胞(HVP)を前記対象に移植すること、を含み、
移植に先立ち、生着可能なHVPが、前記HVPにおける少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することにより同定され、
前記HVPが、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現する、方法。
(項目4)
対象においてヒト心室組織を生着させる方法であって、
心筋前駆細胞を含有するヒト細胞をヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で培養すること、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーの前記HVP上での発現を検出すること、
少なくとも1つの生着マーカーの前記HVPにおける発現を検出すること、
前記少なくとも1つの表面マーカーと前記少なくとも1つの生着マーカーを共発現するHVPを単離し、これにより、生着可能なHVPを単離すること、および、
ヒト心室組織が前記対象において生着されるように、生着可能な前記HVPを前記対象に移植すること、を含む、方法。
(項目5)
対象においてヒト心室組織を生着させる方法であって、
JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現するヒト心室前駆細胞(HVP)への分化を引き起こす条件下で心筋前駆細胞を含有するヒト細胞を培養すること、
前記少なくとも1つの表面マーカーを発現する前記HVPを単離して、HVP集団を形成すること;
前記HVP集団の試料における少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出すること、および、
ヒト心室組織が、前記対象において生着されるように、前記少なくとも1つの表面マーカーおよび前記少なくとも1つの生着マーカーを発現する前記HVPを前記対象に移植すること、を含む、方法。
(項目6)
前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーである、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
3つ以上の陽性の血管新生マーカーが検出される、項目6に記載の方法。
(項目8)
10以上の陽性の血管新生マーカーが検出される、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
3つ以上の陽性の細胞外基質マーカーが検出される、項目9に記載の方法。
(項目11)
10以上の陽性の細胞外基質マーカーが検出される、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択される、項目6~8および12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記少なくとも陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択される、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択される、項目9~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択され、
前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択される、項目12に記載の方法。
(項目20)
前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択され、
前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択され、
前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーである、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される、項目22または項目24に記載の方法。
(項目26)
前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーが、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択される、項目23または24に記載の方法。
(項目28)
前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択され、
前記少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーが、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択される、項目24に記載の方法。
(項目29)
少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することが、前記HVPにおける前記少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現を検出することを含む、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することが、前記HVPにおける前記少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現の欠如を検出することを含む、項目1~5および22~28のいずれか1項に記載の方法。

Claims (25)

  1. 生着可能なIsl1+ヒト心室前駆細胞(HVP)を含むヒト心室前駆細胞(HVP)の集団を同定する方法であって、
    培養の0日目に、Gsk3阻害剤を含む培養培地中でヒト多能性幹細胞(HPSC)を培養し、3日目に培養培地を交換し、培養の3~5日目にPorcn阻害剤を含む培養培地中で該細胞をさらに培養し、培養の4~8日目に前記HVPの集団を単離することにより、Isl1+HVPを含む前記HVPの集団を同定すること、
    前記Isl1+HVPを含む前記同定されたHVPの集団から試料を得ること、および
    前記試料における少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出すること
    を含み、
    前記Isl1+HVPはまた、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現し、
    前記少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの血管新生マーカーおよび/または少なくとも1つの細胞外基質マーカーであり、
    前記少なくとも1つの血管新生マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーまたは少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーであり、ここで、
    前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択され、
    前記少なくとも1つの細胞外基質マーカーが、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーまたは少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーであり、ここで、
    前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーが、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの生着マーカーの発現が、前記同定されたHVPの集団が生着可能なIsl1+HVPを含むことを示す、方法。
  2. 対象においてヒト心室組織を生着させるための、生着可能なIsl1+のヒト心室前駆細胞(Isl1+HVP)を含むヒト心室前駆細胞(HVP)の集団を含む組成物であって、前記組成物は、ヒト心室組織が前記対象において生着されるように前記対象に移植されることを特徴とし、ここで、
    生着可能なIsl1+HVPを含む前記HVPの集団は、
    培養の0日目に、Gsk3阻害剤を含む培養培地中でヒト多能性幹細胞(HPSC)を培養し、3日目に培養培地を交換し、培養の3~5日目にPorcn阻害剤を含む培養培地中で該細胞をさらに培養し、培養の4~8日目に細胞を単離することによってIsl1+HVPを含む前記HVPの集団を得ることによって得られ、
    生着可能なIsl1+HVPを含む前記HVPの集団は、Isl1+HVPを含む前記HVPの集団の試料を得て、Isl1+HVPを含む前記HVPの集団の前記試料における少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することにより移植に先立って同定されたものであり、前記少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの血管新生マーカーおよび/または少なくとも1つの細胞外基質マーカーであり、
    前記Isl1+HVPが、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現し、
    前記少なくとも1つの血管新生マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーまたは少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーであり、ここで、
    前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択され、
    前記少なくとも1つの細胞外基質マーカーが、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーまたは少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーであり、ここで、
    前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーが、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの生着マーカーの発現が、前記HVPの集団が生着可能なIsl1+HVPを含むことを示す、組成物。
  3. 対象においてヒト心室組織を生着させるための、生着可能なIsl1+のヒト心室前駆細胞(Isl1+HVP)を含むヒト心室前駆細胞(HVP)の集団を含む組成物であって、生着可能なIsl1+HVPを含む前記HVPの集団は、
    培養の0日目に、Gsk3阻害剤を含む培養培地中でヒト多能性幹細胞(HPSC)を培養し、3日目に培養培地を交換し、培養の3~5日目にPorcn阻害剤を含む培養培地中で該細胞をさらに培養し、培養の4~8日目に細胞を単離することにより、JAG1、FZD4、LIFR、FGFR3および/またはTNFSF9からなる群から選択される少なくとも1つの表面マーカーを発現するIsl1+ヒト心室前駆細胞(Isl1+HVP)を含む前記HVPの集団を得ること;および
    前記HVPの集団の試料における少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することであって、前記少なくとも1つの生着マーカーは、少なくとも1つの血管新生マーカーおよび/または少なくとも1つの細胞外基質マーカーである、検出すること
    によって得られたものであり、前記組成物は、ヒト心室組織が、前記対象において生着されるように、前記対象に移植されることを特徴とし、
    前記少なくとも1つの血管新生マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーまたは少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーであり、ここで、
    前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21、HEY1、HOXB3、HGF、IL6、GHRL、IHH、SRPK2、GATA6、HAND1、AMOT、NRP2、PTEN、SEMA3E、APOLD1、SETD2、DAB2IP、KDR、PGF、EMP2、TAL1、ACVR1、HIPK2、CSPG4、TNFAIP3、NRP1、NFATC4、CDC42、ANGPTL4、BCAS3、HIPK1、NRXN3、FZD5およびHHEXからなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、ETS1、BAX、XBP1、TDGF1、C5AR1、EPHA1、HS6ST1、SHC1、SP100、JAM3、CASP8、FLT4、SFRP2、HPSE、BAK1、GPX1、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択され、
    前記少なくとも1つの細胞外基質マーカーが、少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーまたは少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーであり、ここで、
    前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNF、HTRA1、HAPLN1、EMILIN1、SPOCK3、PODNL1、IHH、ACAN、NID2、COL4A6、LAMC1、FMOD、MUC4、EMID1、HMCN1、NID1、VCAN、CILP2、SOD3、ADAMTS3、ZP3、ANGPTL4、CRTAC1、LTBP4およびFREM1からなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーが、FKBP1A、CLU、TFP12、PLSCR1、FBLN5、VWA1、ADAMTS16、MMP25、SFRP2およびSOD1からなる群から選択され;
    前記少なくとも1つの生着マーカーの発現が、前記HVPの集団が生着可能なIsl1+HVPを含むことを示す、組成物。
  4. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーおよび/または少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである、請求項1に記載の方法。
  5. 3つ以上の陽性の血管新生マーカーが検出される、および/または3つ以上の陽性の細胞外基質マーカーが検出される、請求項4に記載の方法。
  6. 10以上の陽性の血管新生マーカーが検出される、および/または10以上の陽性の細胞外基質マーカーが検出される、請求項4に記載の方法。
  7. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択される;および/または
    前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択される;および/または
    前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーおよび/または少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される、請求項10または11に記載の方法。
  13. 少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することが、前記HVPにおける前記少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現を検出することを含む、請求項1および4~9のいずれか1項に記載の方法。
  14. 少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することが、前記HVPにおける前記少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現の欠如を検出することを含む、請求項1および10~12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーおよび/または少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである、請求項2または3に記載の組成物。
  16. 3つ以上の陽性の血管新生マーカーが検出されている、および/または3つ以上の陽性の細胞外基質マーカーが検出されている、請求項15に記載の組成物。
  17. 10以上の陽性の血管新生マーカーが検出されている、および/または10以上の陽性の細胞外基質マーカーが検出されている、請求項16に記載の組成物。
  18. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーである、請求項2または3に記載の組成物。
  19. 前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2、NTRK1、PTGIS、BMPER、BMP4、C1GALT1、MEIS1、TBX1、PKNOX1、ID1、TCF21およびHEY1からなる群から選択される;および/または
    前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1、CCBE1、COL6A6、ADAMTS12、COL19A1、LAMA1、BMP4、FBLN7、FBLN2、NDNFおよびHTRA1からなる群から選択される、請求項15~18のいずれか1項に記載の組成物。
  20. 前記少なくとも1つの陽性の血管新生マーカーが、FGF10、PRKD1、CCBE1、PDGFRA、EPHB2、GATA2およびNTRK1からなる群から選択される;および/または
    前記少なくとも1つの陽性の細胞外基質マーカーが、FGF10、SMOC1およびCCBE1からなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
  21. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーおよび/または少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである、請求項2または3に記載の組成物。
  22. 前記検出される少なくとも1つの生着マーカーが、少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーおよび少なくとも1つの陰性の細胞外基質マーカーである、請求項2または3に記載の組成物。
  23. 前記少なくとも1つの陰性の血管新生マーカーが、VAV3、VAV2、EGF、ADAM15およびAGGF1からなる群から選択される、請求項21または22に記載の組成物。
  24. 少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することが、前記HVPの集団に由来する前記試料における前記少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現を検出することを含む、請求項2、3および15~20のいずれか1項に記載の組成物。
  25. 少なくとも1つの生着マーカーの発現を検出することが、前記HVPの集団に由来する前記試料における前記少なくとも1つの生着マーカーをコードするmRNAの発現の欠如を検出することを含む、請求項2、3および21~23のいずれか1項に記載の組成物。
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