JP7386034B2 - ドリル加工装置及びドリル加工方法 - Google Patents
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Description
本方式の欠点としては、その構造上、ドリルの先端から一定量だけ上の位置に発光部と光センサ間の光軸が形成されるため、ドリル折損が先端に生じる小さなチッピングであった場合は検知できず、折損状態で穴あけ動作を実施することになり、プリント基板の表面を荒らしてしまったり、未貫通穴が発生する点である。
この方式の場合、ドリルをスピンドルに装着する毎に当該ドリルにおける正常な基準位置を事前に把握しておく動作が必要であり、ドリル折損の判定処理が複雑になる。また、この方式の場合、基準位置として所定の幅を設ける必要があるが、この幅が誤判定の原因にもなる。
そこで本発明は、ダイヤモンド被膜の如き絶縁体でドリル刃先部の全体を覆うドリルを使用するドリル加工において、ドリル折損を確実に検知することを目的とするものである。
図1において、1は穴あけ加工をすべきプリント基板、2はプリント基板1を載置する加工テーブル、4はドリルである。加工テーブル2は、プリント基板1に穴をあけようとする位置にドリル4が向くよう、テーブル駆動部5により水平方向に駆動され、位置決めされるようになっている。6はドリル4を回転させるスピンドルである。スピンドル6はインバータ7で駆動されるモータと一体型の構造となっている。8はスピンドル6を保持するスピンドルユニットで、スピンドル垂直駆動部9により垂直方向に駆動されるようになっている。
なお、ここでのドリル4は、図2に示すように、ドリル刃先部の金属部4aの表面全体が絶縁体となるダイヤモンド被膜4bで覆われたものである。
スピンドルユニット8とプレッシャフット12とは垂直方向に所定の間隔を保って係合していて、スピンドルユニット8が下降する場合、プレッシャフット12は導電性シート3aの表面に当接するまではスピンドルユニット8と共に下降する。
一つの穴あけを終えると、スピンドルユニット8を上昇させるが、その時はプレッシャフット12も上昇させる。次の穴位置を加工する場合には、当該穴位置が加工できるように加工テーブル2を位置付けし、スピンドルユニット8を下降させるが、この場合も前と同様にプレッシャフット12も共に下降するようになっている。
17は詳しくは後述するが、スピンドル6内に存在するキャパシタに共振が起きたことを検出する共振検出部で、ここからの共振検出信号Rは全体制御部18に送られるようになっている。
スピンドル駆動制御部19は、検出した導電性シート3aの表面高さを基準にして、止まり穴をあける場合の深さを制御したり、特開2003-1509号(段落0004)に開示されている技術を採用することで、ドリル4が導電性シート3aに接触する前後でスピンドルユニット8の送り速度を切り替えたりする。
図3において、ドリル4を回転させるスピンドル6はインバータ7で駆動されるモータと一体型となっており、モータの回転子がドリル4を装着するロータシャフト22になっている。23はロータシャフト22と静電結合させるためにスピンドル6の固定子側にロータシャフト22に近接して取付けられた電極で、アースとの間で検出されるキャパシタの端子でもある。共振検出部17は電極23を通してキャパシタに起こる共振を検出する。
図4において、25は電極23とアース間で検出されるキャパシタ、26は二次側が電極23を介してキャパシタ25と接続されたトランス、27はキャパシタ25のキャパシタが小さい場合に並列共振を起こす周波数の交流を発振させる発振回路、28はキャパシタ25に並列共振が起きてトランス26の一次側の電圧が大きく変化したことを検出し、共振検出信号Rを出力する共振検出回路である。
キャパシタ25のキャパシタンスは、ドリル刃先部の金属部4aの表面全体が絶縁体となるダイヤモンド被膜4bで覆われた折損のない正常なドリル4が導電性シート3aに接触した状態では大きいが、図5に示すように折損部のダイヤモンド被膜4bが剥がれて金属部4aが導電性シート3aに接触した状態では小さくなる。
しかしながら、ドリル4に折損がある場合、ドリル4の金属部4aが導電性シート3aに接触するのでキャパシタ25のキャパシタンスが小さくなって共振が起き、共振が起きたことが共振検出回路28で検出され共振検出信号Rが全体制御部18へ送出される。
全体制御部18は共振検出部17から共振検出信号Rを受信すると、ドリル4が折損していると判定し、スピンドル6を上昇させ穴あけ動作を停止させる。
また、ドリルをスピンドルに装着する毎に当該ドリルにおける正常な基準位置を事前に把握しておく余分な動作は必要でなくなるので、ドリル折損の判定処理が簡単になる。
さらに、所定の幅の基準位置と比較する必要がないので、誤判定を起こす心配はなくなる。
上記実施例によれば、被加工物の構成にもよるが、加工状態でドリル折損があればキャパシタンスが変化するので、その時点で穴あけ動作を停止させることができる。従って、折損したドリルでの加工は継続せず、加工不良部分の拡大を防ぐことができる。
例えば、上記実施例においては、共振検出部17は二次側をキャパシタ25に接続したトランス26を使用したが、キャパシタ25にインダクタンスを直列に接続して直列共振回路を形成し、ドリル4の金属部4aが導電性シート3aに接触することによって、そのキャパシタンスが下がって直列共振が起きたことを検出するようにしても良い。
例えば、キャパシタ25に交流を与えてその両端電圧を監視し、ドリル4と導電性シート3aとの接触によってキャパシタ25のキャパシタンスが下がり、両端電圧が下がったことを検出するようにしても良い。
また、上記実施例においては、導電性シート3aがプリント基板1の上に載置されている場合であるが、導電性シート3aが載置されずプリント基板1の内層に導電層が形成されていても、ドリル4の金属部4aがプリント基板1に接触すればキャパシタ25のキャパシタンスが変化し、ドリル折損を検知することができる。
4a:金属部、4b:ダイヤモンド被膜、5:テーブル駆動部、6:スピンドル、
7:インバータ、8:スピンドルユニット、9:スピンドル垂直駆動部、
12:プレッシャフット、14:ずれ検出器、17:共振検出部、18:全体制御部、
19:スピンドル駆動制御部、20:テーブル駆動制御部、21:表面高さ記憶部、
22:ロータシャフト、23:電極、25:キャパシタ、26:トランス、
27:発振回路、28:共振検出回路、
Claims (10)
- モータ一体型のスピンドルを備え、当該スピンドルのロータシャフトに装着されるドリルによってテーブル上に載置された被加工物に穴あけを行うようにしたドリル加工装置において、前記スピンドルの固定子側に設けられた電極であって前記ロータシャフトと静電結合するものと、前記電極で検出されるアースとの間のキャパシタのキャパシタンスの変化を検出するキャパシタンス変化検出部と、当該キャパシタンス変化検出部により前記キャパシタンスの変化を検出した時点で前記ドリルが折損していると判定する制御部とを備え、
前記ドリルは、金属部と、前記金属部の表面全体を覆う絶縁被膜とを有し、
前記ドリルに、前記絶縁被膜の一部が剥がれている折損部が存在する場合に、前記キャパシタンス変化検出部は、前記キャパシタンスの変化を検出することを特徴とするドリル加工装置。 - 請求項1に記載のドリル加工装置において、前記被加工物を前記テーブルに押付けるための基板押付け部と前記スピンドルを保持するスピンドルユニットとの係合状態のずれを検出するずれ検出部を備え、当該ずれ検出部でずれを検出した時に前記被加工物の表面高さを検出することを特徴とするドリル加工装置。
- 請求項1あるいは請求項2に記載のドリル加工装置において、前記キャパシタンス変化検出部は、前記ドリルが折損して前記折損部の前記金属部が前記被加工物に接触した時に前記キャパシタを含む回路に共振を起こさせてキャパシタンスの変化を検出することを特徴とするドリル加工装置。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のドリル加工装置において、前記キャパシタンスの変化を検出した時点で穴あけ動作を停止するようにしたことを特徴とするドリル加工装置。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のドリル加工装置において、被加工物を加工テーブルに押付けるためのプレッシャフットが前記被加工物に当接した時に当該被加工物の表面位置を検出するようにしたことを特徴とするドリル加工装置。
- モータ一体型のスピンドルのロータシャフトに装着され、且つ、金属部と、前記金属部の表面全体を覆う絶縁被膜とを有するドリルによって、テーブル上に載置された被加工物に穴あけを行うようにしたドリル加工方法において、前記ドリルが折損して前記絶縁被膜の一部が剥がれている折損部の前記金属部が被加工物に接触した時に、前記スピンドルの固定子側に設けられた電極であって前記ロータシャフトと静電結合するものとアースとの間のキャパシタのキャパシタンスの変化を検出した時点で前記ドリルが折損していると判定することを特徴とするドリル加工方法。
- 請求項6に記載のドリル加工方法において、前記被加工物を前記テーブルに押付けるための基板押付け部と前記スピンドルを保持するスピンドルユニットとの係合状態のずれを検出した時に前記被加工物の表面高さを検出することを特徴とするドリル加工方法。
- 請求項6あるいは請求項7に記載のドリル加工方法において、前記ドリルが折損して当該折損部の前記金属部が前記被加工物に接触した時に前記キャパシタに共振を起こさせてキャパシタンスの変化を検出することを特徴とするドリル加工方法。
- 請求項6~8のいずれか1項に記載のドリル加工方法において、前記キャパシタンスの変化を検出した時点で穴あけ動作を停止するようにしたことを特徴とするドリル加工方法。
- 請求項6~9のいずれか1項に記載のドリル加工方法において、前記絶縁被膜は、ダイヤモンド被膜であることを特徴とするドリル加工方法。
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