JP7384315B2 - ガス濃度検出システム - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月29日に出願された日本の特許出願番号2021-54881号に基づくものであり、その記載内容を援用する。
本開示は、ガス濃度検出システムに関する。
ガス濃度検出システムは、内燃機関の排気管に配置されるガスセンサと、ガスセンサの動作を制御するセンサ制御装置とを備える。ガスセンサには、例えば、内燃機関から排気管に排気される排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)の濃度を検出するNOxセンサがある。NOxセンサは、一対の電極が設けられた固体電解質体によって構成されたセンサセルを有する。そして、センサ制御装置は、センサセルにおける一対の電極間に流れる電流に応じて、NOxの濃度を検出するよう構成されている。
NOxセンサのセンサ制御装置においては、いわゆるグランドショートとして、絶縁不良等の何らかの異常が生じて、いずれかの電極の電位がグランド又は電源に短絡していないかが監視される。特許文献1に記載されたガスセンサシステムにおいては、酸素ポンプセル及び酸素濃度検知セルを有するガスセンサを用いる。そして、このガスセンサシステムにおいては、酸素ポンプセルの一方の電極に導通された第1の端子、酸素ポンプセルの他方の電極及び酸素濃度検知セルの一方の電極に導通された第2の端子、及び酸素濃度検知セルの他方の電極に導通された第3の端子を利用して、ガスセンサの温度によらず、ガスセンサの短絡異常の有無を診断する。
特開2016-70881号公報
ガス濃度検出システムを用いて排ガスに含まれるNOxを検出する際には、内燃機関の空燃比がリッチ側に大きく振れる場合がある。この場合に、ガスセンサにおいては、排ガスに含まれる未燃ガスを反応させるために、大気中に含まれる酸素がより多く必要になる。このとき、ガスセンサにおいて酸素が不足して、センサセルの電極に未燃ガスが到達すると、センサセルに生じる電流がマイナス側に大きく振れることになり、電極がグランドに短絡された場合と区別がつかなくなるおそれがある。そのため、短絡が生じていないにも関わらず、短絡が生じたと誤検出又は誤判定されるおそれがある。
本開示は、空燃比が特定リッチ状態になる場合があったとしても、センサセルの短絡状態の誤検出又は誤判定を防ぐことができるガス濃度検出システムを提供しようとするものである。
本開示の一態様は、
内燃機関の排気管に配置されて使用されるものであって、センサ用固体電解質体に設けられたセンサ電極及びセンサ基準電極によって構成され、前記センサ電極及び前記センサ基準電極間に流れる電流に基づいて、前記排気管を流れる排ガスに含まれる特定ガスの濃度を求めるためのセンサセルを有する、ガスセンサと、
前記排ガスに基づく前記内燃機関の空燃比が、特定値以下に小さいことを示す特定リッチ状態にあるか否かを検知する空燃比検知部と、
前記空燃比検知部が前記特定リッチ状態を検知していない間には、前記センサセルが短絡状態になったか否かの検出又は判定を許可する一方、前記空燃比検知部が前記特定リッチ状態を検知している間には、前記センサセルが短絡状態になったか否かの検出又は判定を禁止する短絡監視部と、を備えるガス濃度検出システムにある。
前記一態様のガス濃度検出システムは、空燃比検知部が特定リッチ状態を検知している間は、短絡監視部による、センサセルが短絡状態になったか否かの検出又は判定を禁止するものである。特定リッチ状態においては、センサ基準電極に十分な酸素が供給されないために、センサセルにおいて、短絡状態になった場合と同様の電流の変化が生じる。そのため、特定リッチ状態において、短絡状態の検出又は判定を行わないことにより、短絡状態の誤検出又は誤判定を防ぐことができる。
それ故、前記一態様のガス濃度検出システムによれば、空燃比が特定リッチ状態になる場合があったとしても、センサセルの短絡状態の誤検出又は誤判定を防ぐことができる。
「センサセルの短絡状態」とは、センサセルのセンサ電極又はセンサ基準電極がグランド又は電源に短絡した状態のことをいう。短絡状態の検出と判定は明確に区別する必要はなく、いずれも短絡状態の監視として捉えてもよい。
なお、本開示の一態様において示す各構成要素のカッコ書きの符号は、実施形態における図中の符号との対応関係を示すが、各構成要素を実施形態の内容のみに限定するものではない。
本開示についての目的、特徴、利点等は、添付の図面を参照する後記の詳細な記述によって、より明確になる。本開示の図面を以下に示す。
図1は、実施形態1にかかる、ガス濃度検出システムのガスセンサを示す説明図である。 図2は、実施形態1にかかる、ガス濃度検出システムを示す説明図である。 図3は、実施形態1にかかる、図2のIII-II断面図である。 図4は、実施形態1にかかる、図2のIV-IV断面図である。 図5は、実施形態1にかかる、ガス濃度検出システムのセンサ制御装置を概略的に示す説明図である。 図6は、実施形態1にかかる、(a)ポンプ検出部の電流の時間的変化、(b)センサ検出部の電流の時間的変化、(c)短絡監視部の監視状態の時間的変化を示すグラフである。 図7は、実施形態1にかかる、(a)ポンプ検出部の電流の時間的変化、(b)センサ検出部の電流の時間的変化、(c)短絡監視部の監視状態の時間的変化を示す他のグラフである。 図8は、実施形態1にかかる、ガス濃度検出システムの制御方法を示すフローチャートである。 図9は、実施形態2にかかる、ガス濃度検出システムを示す説明図である。 図10は、実施形態2にかかる、図9のX-X断面図である。 図11は、実施形態3にかかる、ガス濃度検出システムを示す説明図である。 図12は、実施形態4にかかる、ガス濃度検出システムのガスセンサを示す説明図である。 図13は、実施形態4にかかる、他のガス濃度検出システムのガスセンサを示す説明図である。
前述したガス濃度検出システムにかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態のガス濃度検出システム1は、図1~図5に示すように、ガスセンサ10と、空燃比検知部55及び短絡監視部56を有するセンサ制御装置5とを備える。ガスセンサ10は、内燃機関としてのエンジンの排気管7に配置されて使用されるものである。ガスセンサ10は、センサ用固体電解質体3Aに設けられたセンサ電極311A及びセンサ基準電極312Aによって構成されたセンサセル21Aを有する。センサセル21Aは、センサ電極311A及びセンサ基準電極312A間に流れる電流に基づいて、排気管7を流れる排ガスGに含まれる特定ガスの濃度を求めるために用いられる。
図5及び図6に示すように、空燃比検知部55は、排ガスGに基づくエンジンの空燃比が、特定値以下に小さいことを示す特定リッチ状態Rにあるか否かを検知する。短絡監視部56は、空燃比検知部55が特定リッチ状態Rを検知していない間には、センサセル21Aが短絡状態になったか否かの判定を許可する一方、空燃比検知部55が特定リッチ状態Rを検知している間には、センサセル21Aが短絡状態になったか否かの判定を禁止(停止)する。
以下に、本形態のガス濃度検出システム1について詳説する。
(ガスセンサ10)
図1に示すように、ガスセンサ10は、車両の内燃機関(エンジン)の排気管7の取付口71に配置され、排気管7を流れる排ガスGを検出対象ガスとして、検出対象ガスにおける特定ガスの濃度を検出するために用いられる。本形態のガスセンサ10のセンサセル21Aは、排ガスGに含まれる特定ガスとしてのNOx(窒素酸化物)の濃度を求めるためのものである。エンジンは、ディーゼルエンジンでもよく、ガソリンエンジンでもよい。
排気管7には、排ガスG中の有害物質を浄化するための触媒が配置されている。ガスセンサ10は、排気管7における排ガスGの流れ方向において、触媒の上流側又は下流側のいずれに配置してもよい。また、ガスセンサ10は、排ガスGを利用してエンジンが吸入する空気の密度を高める過給機の吸入側の配管に配置してもよい。また、ガスセンサ10を配置する配管は、エンジンから排気管7に排気される排ガスGの一部を、エンジンの吸気管に再循環させる排気再循環機構における配管としてもよい。排気管7という場合には、これらの配管も含めることとする。
排気管7に配置される触媒は、排ガスG中のNOx(窒素酸化物)を無害化するリーンNOxトラップ触媒(LNT)としてもよい。リーンNOxトラップ触媒は、主にディーゼルエンジンに搭載されるが、ガソリンエンジンに搭載されてもよい。ガス濃度検出システム1は、理論空燃比よりも燃料のリーン側において燃焼運転を行うリーンバーンエンジンに採用してもよい。
(センサ素子2)
図1~図4に示すように、本形態のガスセンサ10は、センサ用固体電解質体3Aに積層されたポンプ用固体電解質体3Bに設けられたポンプ電極311B及びポンプ基準電極312Bを用いて構成されたポンプセル21Bをさらに有する。ポンプセル21Bは、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312B間に流れる電流Ipに基づいて、排ガスGに基づくエンジンの空燃比を求めるために使用される。センサ素子2の長手方向Lの先端側L1の部分には、センサセル21A及びポンプセル21Bによる素子検知部21が形成されている。
ガスセンサ10において、センサセル21Aが形成されたセンサ用固体電解質体3Aと、ポンプセル21Bが形成されたポンプ用固体電解質体3Bとを別々に用いることにより、短絡監視部56による短絡状態の検出又は判定の許可及び禁止をより適切に行うことができる。また、ポンプセル21Bを利用して特定リッチ状態Rを検知することにより、ガス濃度検出システム1の構成を簡単にすることができる。
図2~図4に示すように、ガスセンサ10のセンサセル21A、及びセンサセル21Aを加熱する発熱体34は、センサ素子2によって形成されている。センサ素子2は、長尺の長方形状に形成されており、センサ用固体電解質体3A、ポンプ用固体電解質体3B、絶縁体33A,33B及び発熱体34が積層された積層タイプのものである。
センサ用固体電解質体3Aの内側表面301Aとポンプ用固体電解質体3Bの内側表面301Bとの間には、ポンプ電極311B及びセンサ電極311Aが収容されるとともに、拡散抵抗部32を介して排ガスGが導入されるガス室35が形成されている。ガス室35は、センサ用固体電解質体3Aの内側表面301Aとポンプ用固体電解質体3Bの内側表面301Bとの間に配置された中間絶縁体33Cによって形成されている。
図2及び図3に示すように、センサ用固体電解質体3Aの外側表面302Aには、センサ基準電極312Aが収容されるとともに、大気Aが導入される補助大気ダクト37が隣接して形成されている。補助大気ダクト37は、センサ用固体電解質体3Aの外側表面302Aに積層されたセンサ側絶縁体33Aによって形成されている。
ポンプ用固体電解質体3Bの外側表面302Bには、ポンプ基準電極312Bが収容されるとともに、大気Aが導入される大気ダクト36が隣接して形成されている。大気ダクト36は、ポンプ用固体電解質体3Bの外側表面302Bに積層されたポンプ側絶縁体33Bによって形成されている。
(長手方向L,積層方向D,幅方向W)
本形態において、センサ素子2の長手方向Lとは、センサ素子2が長尺形状に延びる方向のことをいう。また、長手方向Lに直交し、センサ用固体電解質体3A、ポンプ用固体電解質体3B及び各絶縁体33A,33B,33Cが積層された方向を、積層方向Dという。また、長手方向Lと積層方向Dとに直交する方向を、幅方向Wという。また、センサ素子2の長手方向Lにおいて、排ガスGに晒される側を先端側L1といい、先端側L1の反対側を基端側L2という。ガスセンサ10においても、センサ素子2の長手方向Lと同じ方向のことを長手方向Lという。
(センサ用固体電解質体3A,ポンプ用固体電解質体3B)
図2及び図3に示すように、センサ用固体電解質体3A及びポンプ用固体電解質体3Bは、所定の活性温度において、酸化物イオン(O2-)の伝導性を有するものである。センサ用固体電解質体3Aの内側表面301Aには、排ガスGに晒されるセンサ電極311Aが設けられており、センサ用固体電解質体3Aの外側表面302Aには、大気Aに晒されるセンサ基準電極312Aが設けられている。
センサ電極311Aとセンサ基準電極312Aとは、センサ素子2の長手方向Lの、排ガスGに晒される先端側L1の部位において、センサ用固体電解質体3Aを介して積層方向Dに重なる位置に配置されている。センサ素子2の長手方向Lの先端側L1の部位には、センサ電極311A及びセンサ基準電極312Aと、これらの電極311A,312Aの間に挟まれたセンサ用固体電解質体3Aの部分とによるセンサセル21Aが形成されている。
ポンプ電極311Bとポンプ基準電極312Bとは、センサ素子2の長手方向Lの、排ガスGに晒される先端側L1の部位において、ポンプ用固体電解質体3Bを介して積層方向Dに重なる位置に配置されている。センサ素子2の長手方向Lの先端側L1の部位には、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312Bと、これらの電極311B,312Bの間に挟まれたポンプ用固体電解質体3Bの部分とによるポンプセル21Bが形成されている。
センサ電極311Aは、ガス室35内において、ポンプ電極311Bが配置された位置よりも、排ガスGの流れの下流側の位置に配置されている。拡散抵抗部32からガス室35内に導入される排ガスGは、ポンプ電極311Bを通過した後、センサ電極311Aに到達する。エンジンの空燃比が通常のリーンからリッチの範囲にあるときには、ガス室35内に導入された排ガスGに含まれる酸素又は未燃ガスはポンプ電極311Bにおいてほとんど除去され、センサ電極311Aには排ガスGに含まれるNOxが到達する。
センサ用固体電解質体3A及びポンプ用固体電解質体3Bは、ジルコニア系酸化物からなり、ジルコニアを主成分とし(50質量%以上含有し)、希土類金属元素又はアルカリ土類金属元素によってジルコニアの一部を置換させた安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニアからなる。センサ用固体電解質体3A及びポンプ用固体電解質体3Bを構成するジルコニアの一部は、イットリア、スカンジア又はカルシアによって置換される。
センサ電極311Aは、酸素に対する触媒活性を示す貴金属としての白金、NOxに対する触媒活性を示す貴金属としてのロジウム、パラジウム等、及びセンサ用固体電解質体3Aとの共材としてのジルコニア系酸化物を含有している。センサ基準電極312Aは、酸素に対する触媒活性を示す貴金属としての白金、及びセンサ用固体電解質体3Aとの共材としてのジルコニア系酸化物を含有している。ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312Bは、酸素に対する触媒活性を示す貴金属としての白金、及びセンサ用固体電解質体3Aとの共材としてのジルコニア系酸化物を含有している。
センサ電極311A、センサ基準電極312A、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312Bのそれぞれには、これらの電極311A,312A,311B,312Bをガスセンサ10の外部と電気接続するための電極リード部313が接続されている。電極リード部313は、センサ素子2の長手方向Lの基端側L2の部位まで引き出されている。電極リード部313の長手方向Lの基端側L2の端部には、端子接続部22が形成されている。図2においては、端子接続部22の形成部分を概略的に示す。
(ガス室35)
図2~図4に示すように、ガス室35は、センサ用固体電解質体3Aの内側表面301Aとポンプ用固体電解質体3Bの内側表面301Bとの間において、中間絶縁体33Cとセンサ用固体電解質体3Aとポンプ用固体電解質体3Bとに囲まれて形成されている。ガス室35は、中間絶縁体33Cの長手方向Lの先端側L1の部位において、センサ電極311Aを収容する位置に形成されている。ガス室35は、中間絶縁体33Cと拡散抵抗部32とセンサ用固体電解質体3Aとポンプ用固体電解質体3Bとによって閉じられた空間部として形成されている。排気管7内を流れる排ガスGは、拡散抵抗部32を通過してガス室35内に導入される。
(拡散抵抗部32)
図2及び図4に示すように、本形態の拡散抵抗部(ガス導入部)32は、ガス室35の長手方向Lの先端側L1の部位に設けられている。拡散抵抗部32は、中間絶縁体33Cに形成された導入口内に、酸化アルミニウム(アルミナ)等の金属酸化物の多孔質体を配置することによって形成されている。ガス室35に導入される排ガスGの拡散速度(流量)は、排ガスGが拡散抵抗部32における多孔質体の気孔を通過する速度が制限されることによって決定される。なお、拡散抵抗部32は、ガス室35の幅方向Wの両側の部位に設けてもよい。
(大気ダクト36)
図2及び図3に示すように、ポンプ用固体電解質体3Bの外側表面302Bには、ポンプ側絶縁体33Bとポンプ用固体電解質体3Bとに囲まれ、大気Aが導入される大気ダクト36が隣接して形成されている。大気ダクト36は、ポンプ側絶縁体33Bにおける、ポンプ基準電極312Bを収容する長手方向Lの部位から、センサ素子2の長手方向Lにおける基端位置まで形成されている。
(補助大気ダクト37)
図2及び図3に示すように、センサ用固体電解質体3Aの外側表面302Aには、センサ側絶縁体33Aとセンサ用固体電解質体3Aとに囲まれ、大気Aが導入される補助大気ダクト37が隣接して形成されている。補助大気ダクト37は、センサ側絶縁体33Aにおける、センサ基準電極312Aを収容する長手方向Lの部位から、センサ素子2の長手方向Lにおける基端位置まで形成されている。なお、補助大気ダクト37内には、酸化アルミニウム等の金属酸化物の多孔質体による保護層を設けてもよい。
(各絶縁体33A,33B,33C)
図2及び図3に示すように、センサ側絶縁体33Aは、補助大気ダクト37を形成するものであり、中間絶縁体33Cは、ガス室35を形成するものであり、ポンプ側絶縁体33Bは、大気ダクト36を形成するとともに発熱体34を埋設するものである。各絶縁体33A,33B,33Cは、酸化アルミニウム等の金属酸化物によって形成されている。各絶縁体33A,33B,33Cは、排ガスG又は大気Aである気体が透過することができない緻密体として形成されている。
(発熱体34)
図2~図4に示すように、発熱体34は、大気ダクト36を形成するポンプ側絶縁体33B内に埋設されている。発熱体34は、通電によって発熱する発熱部341と、発熱部341の、長手方向Lの基端側L2に繋がる発熱体リード部342とを有する。発熱部341は、積層方向Dにおいて、少なくとも一部がセンサ電極311A、センサ基準電極312A、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312Bに重なる位置に配置されている。発熱体34は、導電性を有する金属材料によって構成されている。発熱体リード部342の長手方向Lの基端側L2の端部には、端子接続部22が形成されている。
(表面保護層38)
図1に示すように、センサ素子2の長手方向Lの先端側L1には、素子検知部21を覆う表面保護層38が形成されている。表面保護層38は、排ガスGが通過可能な気孔を有するセラミックス材料としての、互いに結合された複数のセラミックス粒子によって構成されている。
(ガスセンサ10の他の構成)
図1に示すように、ガスセンサ10は、センサ素子2を排気管7に配置して、センサ制御装置5に電気配線するために、ハウジング41、素子保持材42、端子保持材43、接触部材431、接点端子44、先端側カバー45、基端側カバー46、ブッシュ47、リード線48等を有する。
ハウジング41は、ガスセンサ10を排気管7の取付口71に締め付けるために用いられる。ハウジング41は、素子保持材42等を介してセンサ素子2を保持する。センサ素子2は、ガラス粉末421を介して素子保持材42に保持され、素子保持材42は、かしめ用材料422,423,424を介してハウジング41に保持されている。素子保持材42の長手方向Lの基端側L2には、接点端子44を保持する端子保持材43が連結されている。端子保持材43は、接触部材431によって基端側カバー46に支持されている。
接点端子44は、センサ素子2における、端子接続部22としての電極リード部313の基端部、及び端子接続部22としての発熱体リード部342の基端部に接触し、電極リード部313及び発熱体リード部342をリード線48に電気的に接続するものである。接点端子44は、端子保持材43内に配置された状態で、接続金具441を介してリード線48に接続されている。
図1に示すように、先端側カバー45は、ハウジング41の長手方向Lの先端側L1に設けられており、センサ素子2のセンサセル21Aを覆う。先端側カバー45には、センサ素子2に接触する排ガスGが流通可能なガス流通孔451が形成されている。センサ素子2の素子検知部21及び先端側カバー45は、エンジンの排気管7内に配置される。排気管7内を流れる排ガスGの一部は、先端側カバー45のガス流通孔451から先端側カバー45内に流入する。そして、先端側カバー45内の排ガスGは、センサ素子2の表面保護層38及び拡散抵抗部32を通過してガス室35内へと導かれる。
基端側カバー46は、ハウジング41の長手方向Lの基端側L2に設けられており、ガスセンサ10の長手方向Lの基端側L2に位置する配線部を覆って、この配線部を大気A中の水等から保護するためのものである。配線部は、センサ素子2に電気的に繋がる部分としての、接点端子44、接点端子44とリード線48との接続部分(接続金具441)等によって構成される。
基端側カバー46の長手方向Lの基端側L2の部分の内周側には、複数のリード線48を保持するブッシュ47が保持されている。基端側カバー46には、ガスセンサ10の外部から大気Aを導入するための大気導入孔461が形成されている。大気導入孔461は、撥水フィルタ462によって覆われている。センサ素子2における、大気ダクト36の基端位置は、基端側カバー46内の空間に開放されており、大気Aは、大気ダクト36内及び補助大気ダクト37内へ導かれる。
(センサ制御装置5)
図1に示すように、ガスセンサ10におけるリード線48は、ガスセンサ10におけるガス検出の制御を行うセンサ制御装置5に電気接続されている。センサ制御装置5は、エンジンにおける燃焼運転を制御するエンジン制御装置6と連携してガスセンサ10における電気制御を行うものである。センサ制御装置5は、各種制御回路、コンピュータ等を用いて構成されている。なお、センサ制御装置5は、エンジン制御装置6内に構築してもよい。
本形態のセンサ制御装置5は、空燃比検知部55及び短絡監視部56の他に、センサ検出部51、NOx濃度算出部52、ポンプ検出部53、空燃比算出部54及び温度検知部57を有する。
(センサ検出部51)
図2に示すように、センサ検出部51は、排気管7を流れる排ガスGに含まれる特定ガスとしてのNOxの濃度を算出するために用いられ、センサ電極311Aとセンサ基準電極312Aとの間に流れる電流Isを検出する。センサ検出部51は、センサ電極311Aとセンサ基準電極312Aとの間に直流電圧を印加する電圧印加回路511と、センサ電極311Aとセンサ基準電極312Aとの間に流れる電流Isを検出する電流検出回路512とを有する。電圧印加回路511は、センサセル21Aに限界電流特性が生じる大きさの直流電圧を各電極311A,312A間に印加する。直流電圧は、センサ基準電極312Aをプラス側として印加される。
センサ検出部51による電流Isは、センサセル21AにおいてNOxが検出される場合には、センサ電極311AにおいてNOxが分解されることにより、センサ電極311Aからセンサ用固体電解質体3Aを介してセンサ基準電極312Aへ酸化物イオンが移動して、プラス側に検出される。一方、センサ電極311Aに未燃ガスが到達する場合には、センサ検出部51による電流Isは、センサ電極311Aにおいて未燃ガスを反応させるために、センサ基準電極312Aからセンサ用固体電解質体3Aを介してセンサ電極311Aへ酸化物イオンが移動して、マイナス側に検出される。
(NOx濃度算出部52)
図2及び図5に示すように、NOx濃度算出部52は、センサ検出部51によって検出されるプラス側の電流Isに基づいて、排ガスGにおけるNOxの濃度を算出する。NOx濃度算出部52においては、プラス側の電流Isが大きいほど、NOxの濃度が高く算出される。NOx濃度算出部52は、エンジン制御装置6内に構築されていてもよい。
(ポンプ検出部53)
図2及び図5に示すように、ポンプ検出部53は、ポンプ電極311Bとポンプ基準電極312Bとの間に直流電圧を印加する電圧印加回路531と、ポンプ電極311Bとポンプ基準電極312Bとの間に流れる電流Ipを検出する電流検出回路532とを有する。電圧印加回路531は、排ガスGがガス室35内に流入するときの拡散抵抗部32による拡散抵抗によってポンプセル21Bに限界電流特性が生じる大きさの直流電圧を各電極311B,312B間に印加する。直流電圧は、ポンプ基準電極312Bをプラス側として印加され、直流電圧の印加によって、ガス室35内の酸素が大気ダクト36へ排出される。
エンジンの空燃比がリーン側にあるときに、酸素を含む排ガスGがポンプ電極311Bに到達すると、ポンプ電極311Bに接触する酸素が分解され、この際に生じる酸化物イオンがポンプ電極311Bからポンプ用固体電解質体3Bを介してポンプ基準電極312Bへ移動することにより、ポンプ検出部53によってプラス側の電流Ipが検出される。一方、エンジンの空燃比がリッチ側にあるときに、未燃ガスを含む排ガスGがポンプ電極311Bに到達すると、ポンプ電極311Bに接触する未燃ガスを燃焼させるために、大気ダクト36内の酸素が、イオン化してポンプ基準電極312Bからポンプ用固体電解質体3Bを介してポンプ電極311Bへ移動することにより、ポンプ検出部53によってマイナス側の電流Ipが検出される。
(空燃比算出部54)
図2及び図5に示すように、空燃比算出部54は、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipに基づいて、排ガスGの組成に基づくエンジンの空燃比を算出する。ポンプ検出部53がプラス側の電流Ipを検出するときには、空燃比算出部54によってリーン側の空燃比が算出される。ポンプ検出部53がマイナス側の電流Ipを検出するときには、空燃比算出部54によってリッチ側の空燃比が算出される。空燃比算出部54は、エンジン制御装置6内に構築されていてもよい。
(空燃比検知部55)
図2及び図5に示すように、本形態の空燃比検知部55は、ポンプセル21Bによるエンジンの空燃比が特定リッチ状態Rにあるか否かを検知する。より具体的には、本形態の空燃比検知部55は、空燃比算出部54によって算出されるエンジンの空燃比が、特定リッチ状態Rにあるか否かを検知する。空燃比検知部55がポンプセル21B及び空燃比算出部54を利用することにより、他のガスセンサ等から空燃比の情報を得る必要がなくなり、ガス濃度検出システム1の構成を簡単にすることができる。なお、空燃比検知部55は、他のガスセンサとしての空燃比センサによって検出された空燃比を利用して、空燃比が特定リッチ状態Rにあるか否かを検知してもよい。
図6に示すように、ポンプセル21B及び空燃比算出部54によるエンジンの空燃比は、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipの値に応じて決定される。そのため、空燃比検知部55は、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipがマイナス側の特定基準値としてのポンプ電流閾値P1よりもマイナス側にあるときに、特定リッチ状態Rを検知してもよい。空燃比検知部55は、特定リッチ状態Rを検知しないときには、通常状態Nを検知する。また、空燃比検知部55は、特定リッチ状態Rからストイキ状態又はリーン状態への復帰を検知するために、ポンプ電流閾値P1よりも大きく、かつ0[A]よりも小さい特定基準値としてのポンプ電流回復値P2を用いてもよい。
燃料に対する燃焼用空気の質量比である空燃比は、14.7(又は14.5)である場合を理論空燃比として、リッチ側になると14.7よりも小さくなる。空燃比がリッチ側になるほど排ガスGに含まれる未燃ガスの量が増加する。そのため、空燃比がリッチ側になるほど、ガス室35内に導入される未燃ガスを燃焼させるために必要な酸素の量も増加し、大気ダクト36内には、より多くの酸素が必要になる。
空燃比検知部55は、エンジン制御装置6から空燃比の情報を受信する構成としてもよい。また、空燃比検知部55は、本形態のガスセンサ10とは別に排気管7に配置された空燃比センサから空燃比の情報を受信する構成としてもよい。さらに、空燃比検知部55は、エンジン制御装置6から、吸入空気量、燃料噴射量、点火時期等の情報を取得し、これらの情報に基づいて空燃比を推定する構成としてもよい。
(短絡監視部56)
図5及び図6に示すように、短絡監視部56は、センサセル21Aに流れる電流が、マイナス側の短絡判定基準値H1よりもマイナス側になったときには、センサセル21Aに短絡(グランドショート)が生じていることを検出する機能を有する。図6及び図7における短絡判定基準値H1は一例である。短絡判定基準値H1は、適切な値に適宜設定される。短絡監視部56は、センサセル21Aのセンサ電極311A又はセンサ基準電極312Aの電流又は電圧を監視する機能を有する。ただし、短絡監視部56は、空燃比検知部55が特定リッチ状態Rを検知している間には、センサセル21Aが短絡状態になったか否かの検出、又は短絡状態になったか否かの判定を禁止する。エンジンの空燃比は、特定リッチ状態Rとなるリッチ側の空燃比に一時的になったとしても、その後、特定リッチ状態Rではない通常状態Nに復帰する。
ポンプセル21Bにおいては、エンジンにおいてリーンの状態で燃焼した後の排ガスGがガス室35内のポンプ電極311Bに到達するときには、電圧の印加により、ガス室35内の排ガスGに含まれる酸素が大気ダクト36へ排出される。このとき、ポンプ検出部53においては、プラス側の電流Ipが検出される。
また、ポンプセル21Bにおいては、エンジンにおいてリッチの状態で燃焼した後の排ガスGがガス室35内のポンプ電極311Bに到達するときには、電流Ipの逆流が生じ、大気ダクト36からガス室35内へ酸素が取り込まれる。このとき、ポンプ検出部53においては、マイナス側の電流Ipが検出される。
センサセル21Aのセンサ電極311Aには、ポンプセル21Bにおいて、ガス室35内の排ガスGに含まれる酸素の排出又は未燃ガスの燃焼が行われた後の残ガスが到達する。ポンプセル21Bにおいて、ガス室35内の酸素の排出又は未燃ガスの燃焼が正常に行われれば、センサセル21AにおけるNOxの検出、及び短絡の有無の監視が正常に行われる。
一方、エンジンにおける空燃比が、特定リッチ状態Rとして極端なリッチ側になり、ポンプ電極311Bに到達する排ガスGに含まれる未燃ガスが極端に増加したときには、ポンプセル21Bにおいて未燃ガスを十分に燃焼させることができないときがある。このとき、ガス室35内の未燃ガスは、ポンプ電極311Bを通過してセンサ電極311Aに到達する。
センサ電極311Aに未燃ガスが到達するときには、センサセル21Aにおいては、未燃ガスを燃焼させるために、補助大気ダクト37のセンサ基準電極312Aから、センサ用固体電解質体3Aを介してセンサ電極311Aへとイオン化した酸素が移動する。これにより、センサセル21Aにおいても電流Isの逆流が生じ、センサ検出部51によってマイナス側の電流Isが検出される。
このセンサセル21Aに生じるマイナス側の電流Isが、特定リッチ状態Rとしての所定のマイナス側のセンサ電流閾値S1よりもマイナス側に生じると、センサセル21Aの短絡が生じていないにも関わらず、短絡が生じていると誤検出又は誤判定する可能性が生じる。短絡監視部56は、この特定リッチ状態Rにおけるマイナス側の電流Isと、短絡によるマイナス側の電流Isとを区別するよう構成されている。
特定リッチ状態Rは、例えば、空燃比が10以下の場合としてもよい。ポンプセル21Bの能力、大気ダクト36の容積等によって、特定リッチ状態Rは、空燃比がどれだけ以下にあるときであるかを決定すればよい。特定リッチ状態Rは、空燃比が8~11のうちのいずれかの値以下である場合としてもよい。
本形態の特定リッチ状態Rは、ガス室35内に流入する排ガスGに含まれる未燃ガスを反応させるために、大気ダクト36からガス室35内へ供給可能な、大気ダクト36に流入する大気Aに含まれる酸素の供給限界量に基づいて定められる。この構成により、特定リッチ状態Rを適切に定めることができる。特定リッチ状態Rは、ガス室35内に流入する排ガスGに含まれる未燃ガスと、大気ダクト36内の大気Aに含まれる酸素との燃焼反応が平衡するときのエンジンの空燃比を示す。特定リッチ状態Rは、ポンプセル21B及びポンプ検出部53によって検出可能なリッチ側の限界空燃比として捉えてもよい。
ガス室35内の炭化水素、一酸化炭素等の未燃ガスは、酸素によって反応して、水、二酸化炭素等に変換される。大気ダクト36による酸素の供給限界量は、大気ダクト36の体積、流路断面積、形状等によって定まる。
(温度検知部57)
図2及び図5に示すように、センサ制御装置5には、センサ素子2の温度を検知するための温度検知部57が設けられている。温度検知部57は、ポンプセル21Bの抵抗値又はインピーダンスを検出する温度検出回路571を有しており、この抵抗値又はインピーダンスに基づいて、センサ素子2の温度を求める。温度検出回路571は、センサセル21A又は発熱体34の抵抗値又はインピーダンスを検出してもよい。センサ制御装置5は、温度検知部57によって検知される温度が、センサ素子2の活性温度以上である場合に、NOxの濃度の検出、空燃比の検出等を行うよう構成されている。
(ガス濃度検出システム1の動作)
図6(a),(b)には、エンジンにおいてリッチの状態で燃焼した後の排ガスGがガス室35内に導入されるときの、ポンプセル21Bにおける電流Ipの変化、及びセンサセル21Aにおける電流Isの変化を示す。図6(a)に示すように、ガス室35内に未燃ガスを含む排ガスGが導入されるときには、ポンプ検出部53によってマイナス側の電流Ipが検出される。このとき、大気ダクト36内の酸素が、ポンプ基準電極312Bにおいてイオン化してポンプ用固体電解質体3Bを介してポンプ電極311Bへ移動できるイオン伝導能力に応じて、ポンプ検出部53によって検出される電流が所定の第1マイナス値Ip1に維持される。
また、ポンプ検出部53によってマイナス側の電流Ipが検出されるときに、この電流Ipがマイナス側のポンプ電流閾値P1以下のマイナス側になることにより、空燃比検知部55によって特定リッチ状態Rが検出される。そして、図6(c)に示すように、短絡監視部56によるセンサセル21Aの短絡状態の検出又は判定の監視が禁止される。なお、図6(c)においては、ポンプ検出部53による電流Ipがマイナス側のポンプ電流閾値P1以下のマイナス側になった後の所定時間t1の経過後に、特定リッチ状態Rが検出される場合を示す。
次いで、図6(a)に示すように、大気ダクト36による酸素の供給限界量によって、大気ダクト36からポンプ電極311Bへ供給される酸素の量が制限される。これにより、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipが、第1マイナス値Ip1よりも大きい、換言すれば第1マイナス値Ip1からゼロ側に戻った第2マイナス値Ip2に維持される。また、大気ダクト36からポンプ電極311Bへ供給される酸素の量が制限されるときには、排ガスG中に残存する未燃ガスがセンサ電極311Aに到達する。
そして、図6(b)に示すように、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipが第2マイナス値Ip2に維持されるときに、センサ検出部51によって検出される電流Isは、所定のマイナス値Is1に低下するとともにこのマイナス値Is1に維持される。
その後、エンジンの空燃比が特定リッチ状態Rからリーン側に変化したときには、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipが第2マイナス値Ip2からプラス側に変化する。このとき、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipがマイナス側のポンプ電流閾値P1よりも大きくなり、換言すればゼロ側又はプラス側に変化する。そして、空燃比検知部55によって、エンジンの空燃比が特定リッチ状態Rから通常状態Nに復帰したことが検知される。そして、図6(c)に示すように、短絡監視部56によるセンサセル21Aの短絡状態の検出又は判定の監視が許可(再開)される。なお、図6(c)においては、ポンプ検出部53による電流Ipがマイナス側のポンプ電流閾値P1超過のマイナス側になった後の所定時間t2の経過後に、通常状態Nが検出される場合を示す。
(短絡監視部56の他の構成)
エンジンの空燃比がリーン側に変化したときには、排ガスGに含まれる未燃ガス又は酸素が、ポンプ電極311Bに到達する時点から、センサ電極311Aに到達する時点までには時間遅れが生じる。そのため、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipが変化する時点から、センサ検出部51によって検出される電流Isが変化する時点までには時間遅れが生じる。
この時間遅れを考慮して、空燃比検知部55による特定リッチ状態R及び通常状態Nは、ポンプ検出部53によって検出される、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312B間に流れる電流Ipが特定基準値まで変化した後も、所定時間維持するようにしてもよい。より具体的には、図6(c)に示すように、特定リッチ状態Rは、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312B間に流れる電流Ipが、所定のマイナス側の特定基準値としてのポンプ電流閾値P1以下に低下して、ポンプ電流閾値P1以下に所定時間t1維持された後から始まり、ポンプ電流閾値P1に上昇して、このポンプ電流閾値P1超過に所定時間t2維持されたときに終わることとしてもよい。この構成により、特定リッチ状態Rに基づいて、短絡監視部56によってセンサセル21Aの短絡状態の監視を禁止及び許可するタイミングを、より適切にすることができる。
また、空燃比検知部55による特定リッチ状態Rは、センサ検出部51によって検出される電流Isとポンプ検出部53によって検出される電流Ipとを合わせて特定してもよい。より具体的には、特定リッチ状態Rは、図7(a)に示すように、ポンプ検出部53によって検出される、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312B間に流れる電流Ipが、所定のマイナス側のポンプ電流閾値P1以下に低下し、かつ、図7(b)に示すように、センサ検出部51によって検出される、センサ電極311A及びセンサ基準電極312A間に流れる電流Isが、短絡状態を示す所定のマイナス側のセンサ電流閾値S1以下に低下した後から始まり、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipがポンプ電流閾値P1超過に上昇して、図7(c)に示すように、ポンプ電流閾値P1超過に所定時間t3維持されたときに終わることとしてもよい。この構成によっても、特定リッチ状態Rに基づいて、短絡監視部56によってセンサセル21Aの短絡状態の監視を禁止及び許可するタイミングを、より適切にすることができる。
なお、ポンプ検出部53によって検出される電流Ipがポンプ電流閾値P1超過に上昇したことを検知する代わりに、センサ検出部51によって検出される電流Isが、センサ電流閾値S1超過に上昇したことを検知してもよい。特定リッチ状態Rが通常状態Nに戻るタイミングは、適宜変更してもよい。
図6(a)及び図7(a)においては、特定リッチ状態R及び通常状態Nの境界を、ポンプ電流閾値P1の位置にして示す。ただし、ガス室35内の排ガスGの流れによって、ポンプ電極311Bとセンサ電極311Aとの配置位置の違いによって生じる時間遅れを考慮する場合には、特定リッチ状態Rと通常状態Nとが切り替わるタイミングは適宜異なる。
(ガス濃度検出システム1の制御方法)
以下に、ガス濃度検出システム1の制御方法の一例について、図8のフローチャートを参照して説明する。
車両のエンジン、エンジン制御装置6及びセンサ制御装置5の起動後、発熱体34によってセンサ素子2が加熱され(ステップS101)、センサ制御装置5によって、センサ素子2の温度が活性温度以上であるか否かが判定される(ステップS102)。次いで、センサ素子2の温度が活性温度以上である場合には、空燃比検知部55によって通常状態Nが検知され、短絡監視部56による短絡状態の判定が許可される(ステップS103)。次いで、ポンプ検出部53によってポンプセル21Bに流れる電流Ipが検出され(ステップS104)、センサ検出部51によってセンサセル21Aに流れる電流Isが検出される(ステップS105)。
また、エンジン制御装置6においては、NOx濃度算出部52によって、排ガスGにおけるNOxの濃度の算出が開始され、空燃比算出部54によって、エンジンの空燃比の算出が開始される。以下の説明において、これらの算出については省略し、短絡監視部56によって、センサセル21Aが短絡状態にあるか否かの監視を行う制御について説明する。
次いで、空燃比検知部55によって、ポンプ検出部53によって検出されるポンプセル21Bの電流Ipが、特定リッチ状態Rを示すマイナス側のポンプ電流閾値P1以下に低下したか否かが判定される(ステップS106)。ポンプセル21Bの電流Ipがポンプ電流閾値P1を超えている場合には、短絡監視部56によるセンサセル21Aの短絡状態の監視を行う。具体的には、センサ検出部51によって検出されるセンサセル21Aの電流Isが、短絡判定基準値H1以下になったか否かが判定される(ステップS108)。
センサセル21Aの電流が、短絡判定基準値H1以下になった場合には、短絡監視部56によってセンサセル21Aの短絡状態が検出される(ステップS109)。センサセル21Aの電流Isが、短絡判定基準値H1を超えている場合には、センサセル21Aの短絡状態は検出されない。そして、ステップS103から再び実行される。
一方、ステップS106において、ポンプセル21Bの電流Ipがポンプ電流閾値P1以下に低下した場合には、短絡監視部56によって、この低下状態が所定時間t1を継続して維持されたか否かが判定される(ステップS107)。そして、この低下状態が所定時間t1を継続して維持されるまでは、ステップS103~S109が繰り返し実行される。
ポンプセル21Bの電流が、ポンプ電流閾値P1以下に低下した状態が所定時間t1を継続して維持された場合には、空燃比検知部55によって特定リッチ状態Rが検知され、短絡監視部56による短絡状態の判定が禁止される(ステップS110)。次いで、ポンプ検出部53によってポンプセル21Bに流れる電流Ipが検出される(ステップS111)。
次いで、空燃比検知部55によって、ポンプ検出部53によって検出されるポンプセル21Bの電流Ipが、空燃比の通常状態Nへの回復を示すポンプ電流回復値P2以上に上昇したか否かが判定される(ステップS112)。ポンプ電流回復値P2は、ポンプ電流閾値P1よりも大きく、かつ0[A]よりも小さい電流とする。ポンプセル21Bの電流Isがポンプ電流回復値P2以上に上昇していない場合には、ステップS110~S112が繰り返し実行される。
一方、ステップS112において、ポンプセル21Bの電流Ipがポンプ電流回復値P2以上に上昇した場合には、短絡監視部56によって、この上昇状態が所定時間t2を継続して維持されたか否かが判定される(ステップS113)。そして、この上昇状態が所定時間t2を継続して維持されるまでは、ステップS110~S113が繰り返し実行される。
ポンプセル21Bの電流Ipが、ポンプ電流回復値P2以上に上昇した状態が所定時間t2を継続して維持された場合には、空燃比検知部55によって通常状態Nが検知され、短絡監視部56による短絡状態の判定が許可される(ステップS103)。そして、ステップS103~S109が繰り返し実行される。このようにして、特定リッチ状態Rが検知される時間帯ごとに、短絡監視部56によるセンサセル21Aの短絡状態の判定が禁止され、それ以外の時間帯においては、短絡監視部56によるセンサセル21Aの短絡状態の判定が継続(許可)される。
(作用効果)
本形態のガス濃度検出システム1は、空燃比検知部55が特定リッチ状態Rを検知している間は、短絡監視部56による、センサセル21Aが短絡状態になったか否かの判定を禁止するものである。特定リッチ状態Rにおいては、センサ基準電極312Aに十分な酸素が供給されないために、センサセル21Aが短絡状態になった場合と同様の電流の変化が生じる。そのため、特定リッチ状態Rにおいて、短絡状態の判定を行わないことにより、短絡状態の誤判定を防ぐことができる。
それ故、本形態のガス濃度検出システム1によれば、空燃比が特定リッチ状態Rになる場合があったとしても、センサセル21Aの短絡状態の誤判定を防ぐことができる。
なお、空燃比検知部55が特定リッチ状態Rを検知する場合には、短絡状態の判定を許可する代わりに、短絡状態の検出を許可してもよい。また、空燃比検知部55が通常状態Nを検知する場合には、短絡状態の判定を許可する代わりに、短絡状態の検出を許可してもよい。短絡状態の判定及び検出は、明確に区別する必要はなく、いずれも短絡状態の監視として捉えてもよい。
<実施形態2>
本形態は、図9及び図10に示すように、ポンプセル21Bをセンサ用固体電解質体3Aに設けることにより、センサ素子2が1枚の固体電解質体を有する場合について示す。本形態のガスセンサ10は、センサ用固体電解質体3Aに設けられたポンプ電極311B及びポンプ基準電極312Bを用いて構成されたポンプセル21Bを有する。ポンプセル21Bは、ポンプ電極311B及びポンプ基準電極312B間に流れる電流Ipに基づいて、排ガスGに基づくエンジンの空燃比を求めるために用いられる。本形態のポンプ基準電極312Bは、センサ基準電極312Aと一体化されている。
本形態の空燃比検知部55も、ポンプセル21Bによるエンジンの空燃比が特定リッチ状態Rにあるか否かを検知する。本形態のセンサ用固体電解質体3Aの第1表面301には、センサ電極311A及びポンプ電極311Bが収容されるとともに、拡散抵抗部32を介して排ガスGが導入されるガス室35が隣接して形成されている。センサ用固体電解質体3Aの、ガス室35が位置する側とは反対側に位置する第2表面302には、センサ基準電極312A及びポンプ基準電極312Bが収容されるとともに、大気Aが導入される大気ダクト36が隣接して形成されている。
本形態においても、センサ電極311Aは、ガス室35内における、ポンプ電極311Bの配置位置よりも排ガスGの流れの下流側の位置に配置されている。また、空燃比検知部55、短絡監視部56等の構成は、実施形態1の場合と同様である。また、本形態の空燃比検知部55による特定リッチ状態Rは、ガス室35内に流入する排ガスGに含まれる未燃ガスを反応させるために、大気ダクト36からガス室35内へ供給可能な酸素の供給限界量に基づいて定められる。
本形態のガス濃度検出システム1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の構成要素と同様である。
<実施形態3>
本形態は、センサセル21Aの構成が実施形態1,2の場合と異なる場合について示す。本形態のセンサセル21Aは、ポンプセル21Bによって、ガス室35内の排ガスGに含まれる酸素が除去された後にガス室35内に残留する酸素がセンサセル21Aに与える影響を少なくするための構成を有する。
図11に示すように、本形態のセンサ用固体電解質体3Aに設けられたセンサ電極311Aは、特定ガス電極311Cと酸素電極311Dとによって構成されている。特定ガス電極311Cは、実施形態1のセンサ電極311Aと同様に、酸素及びNOxに対する触媒活性を有するものである。酸素電極311Dは、実施形態1のセンサ基準電極312Aと同様に、酸素に対する触媒活性を有するものである。
本形態のセンサセル21Aは、センサ用固体電解質体3Aに設けられた特定ガス電極311C及びセンサ基準電極312Aを用いて構成された特定ガスセル21Cと、センサ用固体電解質体3Aに設けられた酸素電極311D及びセンサ基準電極312Aを用いて構成された酸素セル21Dとによって構成されている。特定ガスセル21Cは、特定ガス電極311C及びセンサ基準電極312A間に流れる電流に基づいて、ポンプセル21Bによって排ガスGに含まれる酸素が減らされた後の特定ガスの濃度を求めるために用いられる。酸素セル21Dは、酸素電極311D及びセンサ基準電極312A間に流れる電流に基づいて、ポンプセル21Bによって排ガスGに含まれる酸素が減らされた後のガス室35内の酸素の濃度を求めるために用いられる。
本形態のセンサ検出部51は、特定ガスセル21Cに流れる電流を検出するセンサ検出部51Cと、酸素セル21Dに流れる電流を検出するセンサ検出部51Dとによって構成されている。そして、センサ検出部51は、特定ガスセル21Cに流れる電流から酸素セル21Dに流れる電流を差し引いて、出力電流を求めるよう構成されている。この構成により、NOxの検出に与える、ノイズとしての残留酸素の影響を少なくすることができる。
本形態の短絡監視部56は、特定ガスセル21C及び酸素セル21Dの少なくとも一方が短絡状態になったか否かの検出又は判定の許可及び禁止を行うよう構成されている。短絡監視部56は、短絡状態の監視を適切に行うために、特定ガスセル21C及び酸素セル21Dの両方の短絡状態の監視を行った方がよい。
本形態は、センサセル21Aを構成する特定ガスセル21C及び酸素セル21Dを、実施形態2に示すセンサ用固体電解質体3Aに設ける場合について示した。これ以外にも、特定ガスセル21C及び酸素セル21Dは、実施形態1に示すセンサ用固体電解質体3Aに設けてもよい。
本形態のガス濃度検出システム1においては、NOxの検出に与える残留酸素の影響が少なくなることにより、NOxの濃度の算出精度を高めることができる。本形態のガス濃度検出システム1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1,2の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1,2に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1,2の構成要素と同様である。
<実施形態4>
本形態は、空燃比検知部55及び短絡監視部56の構成を、実施形態1~3のガスセンサ10とはさらに異なるガスセンサ10に適用する場合について示す。センサ用固体電解質体3A、ポンプ用固体電解質体3B、センサセル21A及びポンプセル21Bは、種々の構成を有していてもよい。センサ用固体電解質体3A及びポンプ用固体電解質体3Bは、それぞれ複数の固体電解質体によって構成してもよい。
図12に示すように、ガスセンサ10のセンサ素子2は、ポンプセル21Bが設けられたポンプ用固体電解質体3Bと、ガス室35内の残留酸素の濃度を検出するための酸素セル21Dが設けられた第1センサ用固体電解質体3A1と、NOxの濃度を検出するための特定ガスセル21Cが設けられた第2センサ用固体電解質体3A2とを有する構成としてもよい。この場合には、ガス室35は、ポンプ用固体電解質体3Bと第1センサ用固体電解質体3A1との間に形成されており、ポンプセル21Bのポンプ基準電極312Bは、保護層321を介して排ガスGに晒されている。
また、この場合には、ガス室35は、第1センサ用固体電解質体3A1を貫通して、第1センサ用固体電解質体3A1と第2センサ用固体電解質体3A2との間に形成された検出ガス室351まで繋がっている。第1センサ用固体電解質体3A1と第2センサ用固体電解質体3A2との間には、検出ガス室351に隣接して、大気Aが導入される大気ダクト36が形成されている。
ポンプセル21Bのポンプ電極311B及び酸素セル21Dの酸素電極311Dは、ガス室35内に配置されている。酸素セル21Dのセンサ基準電極312A及び特定ガスセル21Cのセンサ基準電極312Aは、大気ダクト36内に配置されている。特定ガスセル21Cの特定ガス電極311C及びセンサ基準電極312Aは、第2センサ用固体電解質体3A2の同じ側の表面に設けられている。この場合においても、特定ガスセル21C及び酸素セル21Dは、短絡監視部56によって短絡状態の監視が行われる。
エンジンの空燃比がリーン側にあるときには、拡散抵抗部32からガス室35内に導入される排ガスGに含まれる酸素は、ポンプセル21Bの動作によって外部に排出される。また、酸素セル21Dの動作によってガス室35内に残留する酸素の濃度が検出され、この残留酸素がなくなるようポンプセル21Bの動作が制御される。そして、特定ガスセル21Cにおいては、検出ガス室351に導入される排ガスGに含まれるNOxの濃度に応じた、プラス側の電流が検出される。
一方、エンジンの空燃比がリッチ側にあるときには、拡散抵抗部32からガス室35内に導入される排ガスGに含まれる未燃ガスが、外部からポンプ用固体電解質体3Bを経由してガス室35内に取り込まれる酸素、及び大気ダクト36から第1センサ用固体電解質体3A1を経由してガス室35内に取り込まれる酸素によって反応する。このとき、検出ガス室351内に流入する排ガスGには、未燃ガスと酸素との反応によって生じた水、二酸化炭素等が含まれる一方、NOxがほとんど含まれておらず、特定ガスセル21Cにおいては、ほとんど電流が流れない。
ただし、エンジンの空燃比が特定リッチ状態Rにあるときには、拡散抵抗部32からガス室35内に導入される排ガスGに含まれる未燃ガスが、ガス室35内に取り込まれる酸素によって反応しきれずに、検出ガス室351内に流入する。このとき、大気ダクト36による酸素の供給量が限界に達し、検出ガス室351内の未燃ガスを反応させるために大気ダクト36から検出ガス室351内へ酸素が移動する。これにより、特定ガスセル21Cにおいては、マイナス側の電流が検出される。
特定リッチ状態Rにおいて特定ガスセル21Cに流れるマイナス側の電流は、特定ガスセル21Cの短絡状態が生じたときに流れるマイナス側の電流と区別することができなくなる。そのため、空燃比検知部55及び短絡監視部56を有するガス濃度検出システム1を用い、特定リッチ状態Rにおいては短絡状態の監視を禁止することにより、短絡状態の誤検出又は誤判定を防ぐことができる。
(他の構成)
また、図13に示すように、ガスセンサ10のセンサ素子2は、ポンプ用固体電解質体3B及びセンサ用固体電解質体3Aに設けられた主ポンプセル21B1と、及びポンプ用固体電解質体3B及びセンサ用固体電解質体3Aに設けられた補助ポンプセル21B2と、センサ用固体電解質体3Aに設けられたセンサセル21Aとを有する構成としてもよい。主ポンプセル21B1及び補助ポンプセル21B2のポンプ電極311Bは、ポンプ用固体電解質体3B及びセンサ用固体電解質体3Aに跨って設けられている。主ポンプセル21B1及び補助ポンプセル21B2のポンプ基準電極312Bは、表面保護層38を介して外部の排ガスGに晒されている。
図13のセンサ素子2においては、絶縁体の部分が少なく、ポンプ用固体電解質体3B及びセンサ用固体電解質体3A以外の部分も固定電解質体によって形成されている。これにより、ポンプ用固体電解質体3Bとセンサ用固体電解質体3Aとが適宜導通されて、これらが合わさって酸化物イオンの伝導性を生じさせる。センサセル21Aのセンサ電極311Aは、ガス室35内に配置されており、センサセル21Aのセンサ基準電極312Aは、大気ダクト36に繋がる大気導入層361内に配置されている。この場合においても、センサセル21Aは、短絡監視部56によって短絡状態の監視が行われる。
エンジンの空燃比がリーン側にあるときには、拡散抵抗部32からガス室35内に導入される排ガスGに含まれる酸素は、主ポンプセル21B1及び補助ポンプセル21B2の動作によって外部に排出される。また、補助ポンプセル21B2の動作によって、ガス室35内の酸素分圧がNOxの検出に実質的に影響がない低い分圧に調整される。そして、センサセル21Aにおいては、ガス室35に導入される排ガスGに含まれるNOxの濃度に応じた、プラス側の電流が検出される。
一方、エンジンの空燃比がリッチ側にあるときには、拡散抵抗部32からガス室35内に導入される排ガスGに含まれる未燃ガスが、外部からポンプ用固体電解質体3Bを経由してガス室35内に取り込まれる酸素、及び大気ダクト36から大気導入層361及びセンサ用固体電解質体3Aを経由してガス室35内に取り込まれる酸素によって反応する。このとき、センサ電極311Aに到達する排ガスGには、未燃ガスと酸素との反応によって生じた水、二酸化炭素等が含まれる一方、NOxがほとんど含まれておらず、センサセル21Aにおいては、ほとんど電流が流れない。
ただし、エンジンの空燃比が特定リッチ状態Rにあるときには、拡散抵抗部32からガス室35内に導入される排ガスGに含まれる未燃ガスが、主ポンプセル21B1及び補助ポンプセル21B2において反応しきれずに、センサ電極311Aに到達する。このとき、大気ダクト36による酸素の供給量が限界に達し、センサ電極311Aに到達する未燃ガスを反応させるために、センサ基準電極312Aからセンサ用固体電解質体3Aを経由してセンサ電極311Aへ酸素が移動する。これにより、センサセル21Aにおいては、マイナス側の電流が検出される。
特定リッチ状態Rにおいてセンサセル21Aに流れるマイナス側の電流は、センサセル21Aの短絡状態が生じたときに流れるマイナス側の電流と区別することができなくなる。そのため、空燃比検知部55及び短絡監視部56を有するガス濃度検出システム1を用い、特定リッチ状態Rにおいては短絡状態の監視を禁止することにより、短絡状態の誤検出又は誤判定を防ぐことができる。
本形態のガス濃度検出システム1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1~3の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1~3に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1~3の構成要素と同様である。
本開示は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本開示は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本開示から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本開示の技術思想に含まれる。

Claims (8)

  1. 内燃機関の排気管(7)に配置されて使用されるものであって、センサ用固体電解質体(3A)に設けられたセンサ電極(311A)及びセンサ基準電極(312A)によって構成され、前記センサ電極及び前記センサ基準電極間に流れる電流(Is)に基づいて、前記排気管を流れる排ガス(G)に含まれる特定ガスの濃度を求めるためのセンサセル(21A)を有する、ガスセンサ(10)と、
    前記排ガスに基づく前記内燃機関の空燃比が、特定値以下に小さいことを示す特定リッチ状態(R)にあるか否かを検知する空燃比検知部(55)と、
    前記空燃比検知部が前記特定リッチ状態を検知していない間には、前記センサセルが短絡状態になったか否かの検出又は判定を許可する一方、前記空燃比検知部が前記特定リッチ状態を検知している間には、前記センサセルが短絡状態になったか否かの検出又は判定を禁止する短絡監視部(56)と、を備えるガス濃度検出システム(1)。
  2. 前記ガスセンサは、前記センサ用固体電解質体に積層されたポンプ用固体電解質体(3B)に設けられたポンプ電極(311B)及びポンプ基準電極(312B)によって構成され、前記ポンプ電極及び前記ポンプ基準電極間に流れる電流(Ip)に基づいて、前記排ガスに基づく前記内燃機関の空燃比を求めるためのポンプセル(21B)をさらに有しており、
    前記空燃比検知部は、前記ポンプセルによる前記内燃機関の空燃比が前記特定リッチ状態にあるか否かを検知する、請求項1に記載のガス濃度検出システム。
  3. 前記センサ用固体電解質体の内側表面(301A)と前記ポンプ用固体電解質体の内側表面(301B)との間には、前記ポンプ電極及び前記センサ電極が収容されるとともに、拡散抵抗部(32)を介して前記排ガスが導入されるガス室(35)が形成されており、
    前記ポンプ用固体電解質体の外側表面(302B)には、前記ポンプ基準電極が収容されるとともに、大気(A)が導入される大気ダクト(36)が隣接して形成されており、
    前記特定リッチ状態は、前記ガス室内に流入する前記排ガスに含まれる未燃ガスを反応させるために、前記大気ダクトから前記ガス室内へ供給可能な、前記大気ダクトに流入する大気に含まれる酸素の供給限界量に基づいて定められる、請求項2に記載のガス濃度検出システム。
  4. 前記ガスセンサは、前記センサ用固体電解質体に設けられたポンプ電極(311B)及びポンプ基準電極(312B)によって構成され、前記ポンプ電極及び前記ポンプ基準電極間に流れる電流(Ip)に基づいて、前記排ガスに基づく前記内燃機関の空燃比を求めるためのポンプセル(21B)をさらに有しており、
    前記空燃比検知部は、前記ポンプセルによる前記内燃機関の空燃比が前記特定リッチ状態にあるか否かを検知する、請求項1に記載のガス濃度検出システム。
  5. 前記センサ用固体電解質体には、前記センサ電極及び前記ポンプ電極が収容されるとともに、拡散抵抗部(32)を介して前記排ガスが導入されるガス室(35)が隣接して形成されており、
    前記センサ用固体電解質体の、前記ガス室が位置する側とは反対側には、前記センサ基準電極及び前記ポンプ基準電極が収容されるとともに、大気(A)が導入される大気ダクト(36)が隣接して形成されており、
    前記特定リッチ状態は、前記ガス室内に流入する前記排ガスに含まれる未燃ガスを反応させるために、前記大気ダクトから前記ガス室内へ供給可能な、前記大気ダクトに流入する大気に含まれる酸素の供給限界量に基づいて定められる、請求項4に記載のガス濃度検出システム。
  6. 前記センサ電極は、特定ガス電極(311C)と酸素電極(311D)とによって構成されており、
    前記センサセルは、
    前記センサ用固体電解質体に設けられた前記特定ガス電極及び前記センサ基準電極によって構成され、前記特定ガス電極及び前記センサ基準電極間に流れる電流に基づいて、前記ポンプセルによって前記排ガスに含まれる酸素が減らされた後の前記ガス室内の前記特定ガスの濃度を求めるための特定ガスセル(21C)と、
    前記センサ用固体電解質体に設けられた前記酸素電極及び前記センサ基準電極によって構成され、前記酸素電極及び前記センサ基準電極間に流れる電流に基づいて、前記ポンプセルによって前記排ガスに含まれる酸素が減らされた後の前記ガス室内の酸素の濃度を求めるための酸素セル(21D)と、によって構成されており、
    前記短絡監視部は、前記特定ガスセル及び前記酸素セルの少なくとも一方が短絡状態になったか否かの検出の許可及び禁止を行うよう構成されている、請求項3又は5に記載のガス濃度検出システム。
  7. 前記特定リッチ状態は、前記ポンプ電極及び前記ポンプ基準電極間に流れる電流が、所定のマイナス側のポンプ電流閾値(P1)以下に低下して、前記ポンプ電流閾値以下に所定時間(t1)維持された後から始まり、前記ポンプ電流閾値超過に上昇して、前記ポンプ電流閾値超過に所定時間(t2)維持されたときに終わる、請求項2~6のいずれか1項に記載のガス濃度検出システム。
  8. 前記特定リッチ状態は、前記ポンプ電極及び前記ポンプ基準電極間に流れる電流が、所定のマイナス側のポンプ電流閾値(P1)以下に低下し、かつ前記センサ電極及び前記センサ基準電極間に流れる電流が、所定のマイナス側のセンサ電流閾値(S1)以下に低下した後から始まり、前記ポンプ電極及び前記ポンプ基準電極間に流れる電流が、前記ポンプ電流閾値超過に上昇して、又は前記センサ電極及び前記センサ基準電極間に流れる電流が、前記センサ電流閾値超過に上昇して、所定時間(t3)維持されたときに終わる、請求項2~6のいずれか1項に記載のガス濃度検出システム。
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