JP7382722B2 - 立体型マスク - Google Patents

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Description

本発明は、立体型のマスクに関し、特に保形性のよい衛生用の立体型マスクに関する。
特定の花粉が飛散する季節には、花粉が鼻、目などの粘膜に接触することによって引き起こされる花粉症に悩まされる人が多く、花粉捕集効率の高い不織布を用いた様々なマスクが提案されている。
このようなマスクは、花粉の捕集性能を高めるために、繊維径が細く繊維密度が高い、非常に目の細かい不織布を用いる必要がある。このような不織布は一般的に繊維径が細いため、剛性が低く柔らかい。
しかし、剛性が低い不織布のマスクは、保形性が低いため、着用すると不織布が呼吸により吸引されて口元に纏わり付くことで通気面積が小さくなって息苦しく感じたり、不織布が口元に纏わり付くことにより不快に感じたり、呼吸の度に不織布が変形して見映えが悪くなるという問題が生じていた。
特に、使用前の状態では、マスクの中央から左右に二つ折りされた平坦形状とされ、使用状態では前方に膨らむ立体形状となる、所謂立体型のマスクにおいては、不織布に弛みが生じて口元に纏わり付き易い傾向がある。
このような問題を解消する方法として、剛性の高い不織布を重ねてマスクに成型し、マスクの保形性を高める方法がある。例えば、不織布の剛性を高くする構成として、不織布の目付(1平方メートルあたりの重量)を上げたり、不織布に熱を加えて繊維を一部溶かして塊状にしたりする熱ロール、熱エンボスなどの方法が知られている。
しかし、このようにして剛性を高くした不織布は、通気性が低くなってしまい、マスクに用いた場合、使用者が息苦しく感じるという問題がある。
このような問題を解消するマスクとして、例えば、特許文献1に開示されているように、長方形状のマスク本体の長辺に平行に沿って折り畳んで設けられた折り目を有する、所謂プリーツ型のマスクが提案されている。この従来のマスクは、長手形状の弾性部材をマスク本体の長辺に平行に沿って設けることにより、息を吸うときでも口に当たることがない構造となっている。
特開平11-099216号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来のマスクは、長手形状の弾性部材をマスク本体に装着するための設備が必要となり、製造工程が複雑化するという問題があった。また、立体型のマスクは中央から左右に二つ折りにして成型するため、従来のようなプリーツ型のマスクのように、長手形状の弾性部材をマスクの左右に渡して固定することは製造が非常に困難であり実用的ではないという課題があった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、花粉などの微粒子の捕集効率が高い柔軟な不織布を用いても呼吸がし易く、且つ呼吸の度に変形し難い保形性の高い立体型マスクを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の一態様における立体型マスクは、マスク本体部および耳掛部を備える立体型マスクであって、前記マスク本体部が不織布のフィルタ層と、前記フィルタ層を保持し、所定の開口率および所定の剛軟度が設定されたメッシュ構造を持つ網状不織布の形状保持層と、を含む2層を有し、前記形状保持層は、前記所定の開口率が38%以上であって、前記所定の剛軟度が、マスク着用時の水平方向であるX方向とマスク着用時の垂直方向であるY方向の平均の剛軟度が67mm以上105mm以下であり、X方向のみを計測した剛軟度が70mm以上125mm以下の直交積層不織布である。
本発明によれば、花粉などの微粒子の捕集効率が高い柔軟な不織布を用いても呼吸がし易く、且つ呼吸の度に変形し難い保形性の高い立体型マスクを提供することができる。
本発明の一態様の立体型マスクの正面左方向から見た斜視図 同、立体型マスクを正面右方向から見た斜視図 同、フィルタ層と形状保持層を構成する2枚のシート体が積層される状態を示す斜視図 同、フィルタ層と形状保持層を構成する積層された2枚のシート体が折り畳まれる状態を示す斜視図 同、フィルタ層と形状保持層が接合される状態を示し、マスク本体部が切り抜かれる状態を示す平面図 同、マスク本体部の構成を示す正面図 同、マスク本体部の構成を示す背面図 同、立体型マスクが着用された状態を示す正面図 同、立体型マスクが着用された状態を示す側面図 変形例のフィルタ層、形状保持層および口元層を構成する3枚のシート体が積層される状態を示す斜視図 変形例の立体型マスクを正面右方向から見た斜視図
本発明の説明において、各形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
以下、本実施の形態の立体型マスク1の構成について、図面に基づいて詳しく説明する。
図1および図2に示すように、衛生用の立体型マスク1は、マスク本体部2と、このマスク本体部2の左右両側で輪状となるように端部が溶着によって形成される接続部4によって固着されたゴム紐などの2つの耳掛部3と、を有している。
マスク本体部2は、使用者の鼻および口を含む顔面の所定の部位を覆い、少なくとも外側のフィルタ層5と、このフィルタ層5の裏面に積層されて内側に設けられた形状保持層6と、を有した2層構造となっている。これらフィルタ層5および形状保持層6は、共に後述の不織布から形成されている。
フィルタ層5および形状保持層6は、それぞれ2つの凸状部7を有する耳掛接続部8が両端部分に一体形成されている。この耳掛接続部8は、着用者の顔面頬部に対応する位置に設けられている。
耳掛接続部8の凸状部7には、耳掛部3の端部が個々に接続部4によって固着されている。なお、耳掛接続部8は、2つの凸状部7を有さない形態でもよい。
フィルタ層5は、各種繊維、各種製法で製造された不織布が用いられている。このフィルタ層5を構成する不織布は、スパンボンド(SB)不織布、サーマルボンド(TB)不織布、メルトブローン(MB)不織布、エアスルー(AT)不織布、スパンレース(SL)不織布、ニードルパンチ(NP)不織布、メルトブローンとスパンボンドを積層したSMS不織布などの種々の積層不織布が用いられる。
形状保持層6は、所定の開口率および所定の剛軟度が設定されたメッシュ構造を持つ網状不織布、例えば、熱可塑性樹脂フィルムから形成した一軸配向体を、その配向軸が交差するように経緯積層して得られる直交積層不織布が用いられる。
ここでの形状保持層6は、1平方メートルあたりの重量が34g~47gであり、開口率38%以上となるようにポリエチレン、ポリプロピレンなどの繊維が交差するように積層された直交積層不織布が用いられて、図中X方向(マスク着用時の水平方向)とY方向(マスク着用時の垂直方向)の平均の剛軟度が67mm以上に設定されている。
なお、形状保持層6は、立体型マスク1の特性上、X方向の剛軟度が保形性の影響が大きい。そのため、形状保持層6は、X方向のみを計測した剛軟度が70mm以上とすることが好ましい。
なお、形状保持層6の剛軟度の測定方法は、JIS L 1096に定められている45度カンチレバー法(試料幅20mm N=5の表裏の平均)によるものである。また、形状保持層6の開口率は、所定の幅あたりの繊維幅と平均繊維本数から算出している。
ところで、形状保持層6は、繊維の密度を高くすると、剛軟度が高くなり保形性は高くなるが開口率が低下して通気性が悪くなってしまう。そのため、形状保持層6は、開口率38%以上とすることが好ましい。また、剛軟度が高すぎると、不織布が顔に沿い難くなり、使用感が悪くなるため、剛軟度はX方向とY方向の平均が105mm以下、X方向のみを計測した剛軟度が125mm以下とすることが好ましい。
また、形状保持層6は、開口率38%以上、且つ剛軟度が67mm以上であれば、直交積層不織布に限定されることなく、スパンボンド(SB)不織布、サーマルボンド(TB)不織布などを用いてもよい。
フィルタ層5を構成するフィルタシート体31と、形状保持層6を構成するメッシュシート体32は、図3に示すように、積層された状態にされ、図4に示すように、二つ折りに折り曲げられる。
そして、2層に積層されたフィルタシート体31およびメッシュシート体32は、図5に示すように、中央部に円弧状に溶着などした中央接合部11および、この中央接合部11の端部に連続する所定のマスク外観形状に溶着などした外観接合部12が形成される。
なお、積層されたシート体を二つ折りに折り曲げる工程、中央接合部11が形成される工程、外観接合部12が形成される工程、の順序はこの限りではなく、例えば、2層に積層されたフィルタシート体31およびメッシュシート体32に外観接合部12を形成した後、二つ折りにして中央接合部11を形成してもよい。
その後、中央接合部11および外観接合部12に沿ってロータリーカッターなどにより切断されてマスク外観の半分形状のマスク本体部2が成形される。
なお、マスク本体部2は、図6および図7に示すように、中央接合部11を中心にして両端の耳掛接続部8を左右方向に広げると、円弧状の中央接合部11が前方に膨出した立体形状となる。
以上のように構成された立体型マスク1は、図8に示すように、着用者100の口部、鼻部、頬部が覆われるように装着される。このとき、立体型マスク1は、図9に示すように、内層側の形状保持層6の剛性により着用者100の口元および鼻部に密着することなく、所定の空間Aが形成される。このため着用者100は、口元および鼻部付近での圧迫感を感じることなく呼吸も楽に行える。
従って、本実施の形態の立体型マスク1は、フィルタ層5によって花粉などの微粒子の高い捕集性能を持たせ、形状保持層6によって保形性が高く口元および鼻部近傍に十分な所定の空間Aが保たれて呼吸が行い易い構成となる。
また、立体型マスク1は、呼吸のたびに着用者100の口元および鼻部近傍に貼り付いたり離れたりする変形が起こり難いため快適な使用感を得られる構成となる。
以上の説明から、立体型マスク1は、花粉などの微粒子の捕集効率が高い柔軟な不織布を用いても呼吸がし易く、且つ呼吸の度に変形し難い保形性の高い構成となる。
(変形例)
立体型マスク1は、着用時の肌触りの観点から、マスク本体部2にフィルタ層5と形状保持層6に加えて、保形性および通気性を妨げない範囲において着用者100の口元および鼻部側に1層以上の不織布よりなる口元層26を追加してもよい。
ここでは、図10に示すように、フィルタ層5を構成するフィルタシート体31、形状保持層6を構成するメッシュシート体32および口元層26を構成する口元シート体33が積層された状態にされる。
そして、フィルタシート体31、メッシュシート体32および口元シート体33が積層された3層シート体は、二つ折りに折り曲げられた後、溶着などにより中央接合部11と外観接合部12が形成されてマスクの外観半分形状に切断される。
即ち、立体型マスク1は、図11に示すように、着用者100側から順に、最内層の口元層26、中間層の形状保持層6および、最外層のフィルタ層5の3枚の不織布からなる三層構造のマスク本体部2とし、最内層に口元層26を設けることにより、さらに肌触りがなめらかで長時間着用しても快適な使用感を得ることができる構成となる。
なお、上述の実施の形態および変形例では、フィルタ層5を外層とし、形状保持層6を内層としたマスク本体部2の構成を例示したが、フィルタ層5を内層とし、形状保持層6を外層としたマスク本体部2としてもよい。
このような構成とする場合、内層側のフィルタ層5が着用者100の口元および鼻部近傍に纏わり付かないように、フィルタ層5と形状保持層6の積層面の複数個所をスポット溶着して、フィルタ層5の面が形状保持層6に保持されて呼吸により変形しないようにされるものである。
以上の各実施の形態に記載した発明は、それら実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
例えば、各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
1…立体型マスク
2…マスク本体部
3…耳掛部
4…接続部
5…フィルタ層
6…形状保持層
7…凸状部
8…耳掛接続部
11…中央接合部
12…外観接合部
26…口元層
31…フィルタシート体
32…メッシュシート体
33…口元シート体
100…着用者
A…空間

Claims (3)

  1. マスク本体部および耳掛部を備える立体型マスクであって、
    前記マスク本体部が不織布のフィルタ層と、前記フィルタ層を保持し、所定の開口率および所定の剛軟度が設定されたメッシュ構造を持つ網状不織布の形状保持層と、を含む2層を有し、
    前記形状保持層は、前記所定の開口率が38%以上であって、前記所定の剛軟度が、マスク着用時の水平方向であるX方向とマスク着用時の垂直方向であるY方向の平均の剛軟度が67mm以上105mm以下であり、X方向のみを計測した剛軟度が70mm以上125mm以下の直交積層不織布であることを特徴とする立体型マスク。
  2. 前記マスク本体部は、前記フィルタ層が外層側に設けられ、前記形状保持層が内層側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の立体型マスク。
  3. 前記マスク本体部は、不織布から形成された口元層が最内層に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立体型マスク。
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