以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
<第1実施形態>
図1~図5を参照して、本発明の第1実施形態に係るガスタービン設備100について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスタービン設備100の構成の概略を示す図であり、主燃料供給システムS1、副燃料供給システムS2、燃料処理システムS3及び窒素ガス供給システムS4を示す。
図1に示すように、ガスタービン設備100は、ガスタービンGTと、ガスタービンGTに接続されガスタービンGTを起動させる起動用モータ9と、ガスタービンGT及び起動用モータ9を収容するエンクロージャ101と、を備えている。
ガスタービンGTは、タービン2と、タービン2に連結され、燃焼用の圧縮された空気(以下、圧縮空気とも記す)5を生成する圧縮機1と、複数の燃焼器3と、を有している。なお、図1では、1つの燃焼器3を代表して図示している。
エンクロージャ101は、圧縮機1、タービン2及び複数の燃焼器3の外周を囲むように設けられ、ガスタービンGTで発生する騒音が拡散することなどを防止する。
圧縮機1は、外部の空気を吸入して圧縮し、圧縮された空気(圧縮空気)5を燃焼器3に供給する。燃焼器3は、圧縮機1により圧縮された空気5と燃料とが混合された混合ガスを燃焼することにより、高温の燃焼ガス6を生成する。
タービン2は、燃焼器3によって生成された燃焼ガス6によって回転駆動力を発生させる。タービン2の回転軸は、発電機4の回転軸に連結されている。発電機4は、タービン2から伝達された回転駆動力によって発電を行う。タービン2を駆動した後の燃焼ガス6は、排気ガス7として煙突8からガスタービン設備100の外部へと放出される。
ガスタービン設備100は、主燃料供給システムS1と、副燃料供給システムS2と、燃料処理システムS3と、窒素ガス供給システムS4と、各システムを制御する制御装置37と、を備えている。また、ガスタービン設備100は、入口ポート31i、第1出口ポート31oa及び第2出口ポート31obを有する三方弁31を備えている。
なお、ガスタービン設備100は、ガスタービンGTの回転速度を検出し、検出結果を表す信号を制御装置37に出力する回転速度センサ2Nなどの複数のセンサを備えている。制御装置37には、オペレータによって操作される入力装置38が接続されている。制御装置37は、入力装置38からの操作信号及び複数のセンサからの信号に基づいて、複数の制御弁を制御する。
複数の制御弁には、後述する遮断弁13,19,25,55,55s、後述する流量調節弁12,18,24,54,54s、及び、三方弁31が含まれる。本明細書において、遮断弁は、その内部通路を開く供給位置(開放位置)と、内部通路を閉じる遮断位置とを有している。遮断弁が供給位置にあるとき、遮断弁の上流側の流体が遮断弁を通じて下流側に供給され、遮断弁が遮断位置にあるとき、遮断弁の上流側から下流側への流体の供給が遮断される。流量調節弁は、その内部通路の開口面積を調節することにより、通過する流体の流量を調節する。
主燃料供給システムS1は、主燃料としてのアンモニアガスを燃焼器3に供給するシステムである。主燃料供給システムS1は、アンモニアガスを供給する主燃料供給設備16と、主燃料供給設備16と三方弁31の入口ポート31iに接続される主燃料配管17と、主燃料配管17に設けられる開閉弁20、遮断弁19及び流量調節弁18と、を有している。三方弁31は、第1出口ポート31oaが主燃料供給配管15に接続されている。主燃料供給配管15は、ガスタービンGTの燃焼器3に接続されている。つまり、主燃料配管17は、三方弁31を介して燃焼器3に接続されている。
三方弁31によって主燃料配管17と主燃料供給配管15とが連通している状態では、主燃料供給設備16から主燃料配管17に供給されるアンモニアガスは、三方弁31及び主燃料供給配管15を通じて燃焼器3に供給される。
主燃料供給設備16は、液体アンモニアを貯留するタンク(不図示)と、液体アンモニアを圧送するポンプ(不図示)と、ポンプによって昇圧された液体アンモニアを気化させる気化器(不図示)と、気化した液体アンモニアが液化することを防止するための加熱装置(不図示)と、を備える。
主燃料供給設備16から主燃料が供給される主燃料配管17の上流側から下流側に向かって順に、開閉弁20、遮断弁19及び流量調節弁18が設けられている。開閉弁20は、主燃料配管17を開閉可能な手動弁である。
遮断弁19は、制御装置37からの信号に応じて主燃料配管17を開閉可能な制御弁である。遮断弁19は、主燃料配管17における主燃料供給設備16と流量調節弁18との間に設けられ、主燃料供給設備16から燃焼器3へ燃料を供給する供給位置と、主燃料供給設備16から燃焼器3への燃料の供給を遮断する遮断位置とを有する。
流量調節弁18は、制御装置37からの信号に応じて主燃料配管17の開口面積を調整することにより、流量調節弁18を通過する主燃料の流量、すなわち燃焼器3へ供給される燃料(アンモニアガス)の流量を制御する制御弁である。
主燃料配管17には、燃料温度センサ17Tと、入口圧センサ17Paと、場合によっては、出口圧センサ17Pbと、が設けられている。燃料温度センサ17Tは、アンモニアガスの温度を検出し、検出結果を表す信号を制御装置37に出力する。入口圧センサ17Paは、流量調節弁18の入口側圧力を検出し、検出結果を表す信号を制御装置37に出力する。場合によっては、出口圧センサ17Pbは、流量調節弁18の出口側圧力を検出し、検出結果を表す信号を制御装置37に出力する。
制御装置37は、燃料温度センサ17Tにより検出された温度(燃料温度とも記す)と、入口圧センサ17Paにより検出された圧力と、場合によっては、出口圧センサ17Pbにより検出された圧力と、燃焼器3に供給する燃料の要求流量と、に基づいて、主燃料供給設備16の昇圧ポンプ(不図示)、加熱装置(不図示)及び流量調節弁18の開度を制御する。
燃料処理システムS3は、燃料(未燃燃料)を処理する燃料処理装置32と、燃料処理装置32と三方弁31の第2出口ポート31obに接続される燃料処理配管33と、燃料処理配管33に設けられる開閉弁34と、を有している。開閉弁34は、燃料処理配管33を開閉可能な手動弁である。
燃料処理装置32は、燃料処理配管33を通じて導かれるアンモニアガスを溶解処理するための水が蓄えられた水タンク32Tと、水タンク32Tに水を供給する給水ポンプ(不図示)と、給水ポンプから供給される水の流量を制御する弁(不図示)と、を備える。
燃料処理装置32には、燃料処理配管33を通じてアンモニアガスが導かれる。アンモニアガスは良好な水溶性を有する。このため、燃料処理装置32の水タンク32T内にアンモニアガスが導かれると、アンモニアガスは水に溶け込む。水タンク32T内のアンモニアの濃度は、燃料処理装置32によって所定の濃度(例えば、20~25%程度)以下に調整される。
副燃料供給システムS2は、副燃料としての天然ガスを燃焼器3に供給するシステムである。副燃料供給システムS2は、天然ガスを供給する副燃料供給設備10と、副燃料供給設備10と燃焼器3に接続される副燃料配管11と、副燃料配管11に設けられる開閉弁14、遮断弁13及び流量調節弁12と、を有している。
副燃料供給設備10は、液化天然ガス(LNG)を貯留するタンク(不図示)と、液化天然ガスを圧送するポンプ(不図示)と、ポンプによって昇圧された液化天然ガスを気化させる気化器(不図示)と、を備える。気化器によって生成される天然ガスは、副燃料配管11に供給される。
副燃料供給設備10から副燃料が供給される副燃料配管11の上流側から下流側に向かって順に、開閉弁14、遮断弁13及び流量調節弁12が設けられている。開閉弁14は、副燃料配管11を開閉可能な手動弁である。遮断弁13は、制御装置37からの信号に応じて副燃料配管11を開閉可能な制御弁である。流量調節弁12は、制御装置37からの信号に応じて副燃料配管11の開口面積を調整することにより、流量調節弁12を通過する副燃料の流量を制御する制御弁である。
燃焼器3は、主燃料及び副燃料を安定して燃焼することが可能である。制御装置37は、複数の運転モードでガスタービンGTを運転する。複数の運転モードには、天然ガスのみを燃焼器3によって燃焼させる天然ガス専焼モードと、アンモニアガスと天然ガスを燃焼器3によって同時に燃焼させる混焼モードと、アンモニアガスのみを燃焼器3によって燃焼させるアンモニアガス専焼モードと、がある。
窒素ガス供給システムS4は、主燃料供給システムS1の主燃料配管17、副燃料供給システムS2の副燃料配管11及び燃料処理システムS3の燃料処理配管33に残留する燃料を窒素に置換するシステムである。窒素ガス供給システムS4は、窒素ガス供給設備22と、窒素ガス供給設備22に接続される窒素ガス配管23と、窒素ガス配管23に設けられる開閉弁26、遮断弁25及び流量調節弁24と、を有している。
流量調節弁24の下流側において、窒素ガス配管23は、開閉弁30を介して主燃料配管17に接続される。また、流量調節弁24の下流側において、窒素ガス配管23は、開閉弁29を介して副燃料配管11に接続される。さらに、流量調節弁24の下流側において、窒素ガス配管23は、開閉弁36を介して燃料処理配管33に接続される。開閉弁29,30,36は、窒素ガス配管23を開閉可能な手動弁である。
窒素ガス供給設備22は、液体窒素を貯留するタンク(不図示)と、液体窒素を圧送するポンプ(不図示)と、ポンプによって昇圧された液体窒素を気化させる気化器(不図示)と、を備える。気化器によって生成される窒素ガスは、窒素ガス配管23に供給される。
窒素ガス供給設備22から窒素ガスが供給される窒素ガス配管23の上流側から下流側に向かって順に、開閉弁26、遮断弁25及び流量調節弁24が設けられている。開閉弁26は、窒素ガス配管23を開閉可能な手動弁である。遮断弁25は、制御装置37からの信号に応じて窒素ガス配管23を開閉可能な制御弁である。流量調節弁24は、制御装置37からの信号に応じて窒素ガス配管23の開口面積を調整することにより、流量調節弁24を通過する窒素ガスの流量を制御する制御弁である。
制御装置37は、各種制御弁(遮断弁13,19,25,55,55s、流量調節弁12,18,24,54,54s、三方弁31等)を制御する。制御装置37は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ37a、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ37b、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ37c、入出力インタフェース、及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、制御装置37は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
不揮発性メモリ37bには、各種演算が実行可能なプログラム、閾値、数式、データテーブル等が格納されている。すなわち、不揮発性メモリ37bは、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。プロセッサ37aは、不揮発性メモリ37bに記憶されたプログラムを揮発性メモリ37cに展開して演算実行する演算装置であって、プログラムに従って入出力インタフェース、不揮発性メモリ37b及び揮発性メモリ37cから取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。
入出力インタフェースの入力部は、入力装置38や各種センサから入力された信号をプロセッサ37aで演算可能なように変換する。また、入出力インタフェースの出力部は、プロセッサ37aでの演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を各種制御弁(遮断弁13,19,25,55,55s、流量調節弁12,18,24,54,54s、三方弁31等)、ポンプ等に出力する。
三方弁31は、上述したように、入口ポート31iが主燃料配管17に接続され、第1出口ポート31oaが主燃料供給配管15に接続され、第2出口ポート31obが燃料処理配管33に接続されている。三方弁31は、入口ポート31iと第1出口ポート31oaとを連通し、入口ポート31iと第2出口ポート31obとの連通を遮断する第1位置と、入口ポート31iと第2出口ポート31obとを連通し、入口ポート31iと第1出口ポート31oaとの連通を遮断する第2位置と、を有する。つまり、三方弁31は、入口ポート31liを第1出口ポート31oa及び第2出口ポート31obのうちの一方に選択的に連通可能である。これにより、タービン2が緊急停止した際に、三方弁31によって主燃料配管17と燃料処理配管33とを連通させることにより、主燃料配管17に残留するアンモニアガスを燃料処理装置32に導くことができる。
アンモニアガスを主燃料とするガスタービン設備を新設する場合、遮断弁19及び流量調節弁18は、可能な限り燃焼器3の近くに置くことが好ましい。しかしながら、既設ガスタービン設備にアンモニアガスの燃料系統を追設する場合には、例えば天然ガスの供給設備より離れた位置に、アンモニア(主燃料)供給設備16及びその付帯設備である遮断弁19及び流量調節弁18が配置される。アンモニア(主燃料)供給設備16が、天然ガス(副燃料)供給設備10よりもタービン2から遠く離れた位置に配置されると、主燃料供給システムS1の遮断弁19から燃焼器3までの主燃料配管17の長さは、副燃料供給システムS2の遮断弁13から燃焼器3までの副燃料配管11の長さに比べて長くなる。
三方弁31は、遮断弁19から三方弁31までの主燃料配管17内に残留するアンモニアガスを燃料処理配管33を通じて燃料処理装置32に導く。一方、主燃料供給配管15内に残留するアンモニアガスは、燃焼器3、タービン2及び煙突8を通じて、ガスタービン設備100の外部、すなわち大気に放出される。したがって、仮に、三方弁31が、遮断弁19と流量調節弁18との間、すなわち燃焼器3よりも主燃料供給設備16に近い位置に配置されている場合、主燃料供給配管15の長さが長くなってしまうため、大気に放出されるアンモニアガスの量も多くなってしまう。このため、三方弁31は、可能な限り燃焼器3の近くに配置することが好ましい。
本実施形態では、三方弁31は、流量調節弁18と燃焼器3との間に配置されている。つまり、三方弁31は、主燃料配管17における流量調節弁18の下流側に配置されている。また、三方弁31は、流量調節弁18よりも燃焼器3に近い位置に配置されている。本実施形態において、三方弁31は、エンクロージャ101の内側に配置されている。これにより、三方弁31と燃焼器3とを接続する主燃料供給配管15の長さを短くすることができる。その結果、タービン2の緊急停止時におけるアンモニアガスの大気への排出量を低く抑えることができる。
なお、図1には図示されていないが、主燃料供給配管15にはマニホールド150(図16参照)が設けられ、マニホールド150に複数の燃焼器3が接続されている。マニホールド150は、アンモニアガスが供給される環状の空間を有している。複数の燃焼器3のそれぞれには、マニホールド150から燃料が供給される。つまり、マニホールド150は、燃料を複数の燃焼器3に分岐して供給する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るガスタービン設備100の構成の概略を示す図であり、主燃料供給システムS1、副燃料供給システムS2、燃料処理システムS3及び水供給システムS5を示す。図2では、制御装置37の図示は省略されている。
図2に示すように、燃焼器3は、圧縮機1から供給された圧縮空気5と燃料系統(主燃料供給システムS1及び副燃料供給システムS2)から供給された燃料とを混合し燃焼することにより、燃焼ガス6を生成する。燃焼器3は、内筒(ライナ)40、バーナ41、点火栓42、外筒(スリーブ)43及びエンドカバー44を有する。燃焼器3は、内筒40、バーナ41、及び点火栓42を外筒43とエンドカバー44とで密閉した圧力容器であり、車室3sに接続されている。
内筒40は、内部に燃焼室を形成する円筒状の部材であり、その内側において燃焼ガス6を生成する。バーナ41は、内筒40の図示左端側の軸中心位置に設けられている。なお、バーナ41の外周には、内筒キャップ45が設けられている。
バーナ41は、アンモニアガス、天然ガス等の燃料を噴射する燃料ノズル41aと、燃料ノズル41aの外周に設けられ旋回流を生成する旋回器41bと、を有する。
燃料ノズル41aには、燃料の種類ごとに噴出孔が形成されている。本実施形態に係る燃料ノズル41aには、副燃料配管11に連通し、天然ガスを噴出するための噴出孔46と、主燃料供給配管15に連通し、アンモニアガスを噴出するための噴出孔47と、が形成されている。
なお、本実施形態では、燃料の種類に応じた噴出孔46,47が燃料ノズル41aに形成されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。バーナ41の噴出孔は、1系統であってもよい。この場合、例えば、各燃料系統から供給される燃料を切り替えて噴出孔に導いたり、各燃料系統から供給される燃料を混合して噴出孔に導いたりすることが可能な装置(燃料切替装置、燃料混合装置)がバーナ41の上流側に設けられる。
外筒43は、内筒40の外周側に設けられる。外筒43の内周面と内筒40の外周面とによって、外筒43の一端側開口から導入される圧縮空気5の流路(空気流路とも記す)が形成される。外筒43の他端側開口は、エンドカバー44によって塞がれている。
圧縮機1によって生成された圧縮空気5は、車室3sを通じて燃焼器3の外筒43と内筒40によって形成される環状の空気流路を流れる。環状の空気流路内を流れる圧縮空気5の一部は、希釈空気5cとして内筒40に設けられた希釈孔から内筒40の内部へと導入され、燃焼ガス6に混合される。環状の空気流路内を流れる圧縮空気5の一部は、2次燃焼空気5bとして、内筒40に設けられた燃焼孔から内筒40の内部へと導入される。2次燃焼空気5bは、後述する燃焼空気5aで燃焼しきれなかった燃料と共に燃焼に使用される。
また、環状の空気流路内を流れる圧縮空気5の一部は、ライナ冷却空気として、内筒キャップ45に設けられた冷却孔から内筒40の内部へと導入される。さらに、環状の空気流路内を流れる圧縮空気5の一部は、燃焼空気5aとして、旋回器41bを通じて内筒40の内部へと導入される。
内筒40に供給された燃焼空気(圧縮空気)5aは、燃料(アンモニアガス、天然ガス)に混合される。燃焼空気5aと燃料との混合ガスは、内筒40の内部において、点火栓42により点火されて燃焼される。これにより生成された燃焼ガス6は、トランジションピース48を通じてタービン2に供給され、タービン2を駆動する。
燃焼空気(圧縮空気)5aが旋回器41bを通過することにより、旋回流が生成される。旋回流が生成されることにより、内筒40内の火炎が安定する。
本実施形態に係るガスタービン設備100は、水供給システムS5を備えている。水供給システムS5は、燃焼器3の燃焼場に水を噴霧することにより、大気汚染の要因となる排気ガス7中の窒素酸化物(NOx)の排出量を低減すると共に、タービン2に対する作動流体を増加することで出力を増加するシステムである。水供給システムS5は、燃料処理装置32の水タンク32Tと燃焼器3に接続される水供給配管51と、水供給配管51に設けられる水ポンプ52、圧力調節弁53、開閉弁56、遮断弁55及び流量調節弁54と、後述する噴霧ノズル49と、を有している。
また、水供給システムS5は、水ポンプ52の下流で水供給配管51から分岐している水供給配管51sと、水供給配管51sに設けられる開閉弁56s、遮断弁55s及び流量調節弁54sと、後述する噴霧ノズル49sと、を有している。
水ポンプ52は、燃料処理装置32の水タンク32T内のアンモニア水を吸い上げて吐出する。水供給配管51,51sは、水ポンプ52から吐出されたアンモニア水を燃焼器3に供給する。
開閉弁56は、水供給配管51を開閉可能な手動弁である。遮断弁(水遮断弁)55は、制御装置37からの信号に応じて水供給配管51を開閉可能な制御弁である。遮断弁55は、水タンク32Tから燃焼器3へアンモニア水を供給する供給位置と、水タンク32Tから燃焼器3へのアンモニア水の供給を遮断する遮断位置と、を有する。また、開閉弁56sは、水供給配管51sを開閉可能な手動弁である。遮断弁(水遮断弁)55sは、制御装置37からの信号に応じて水供給配管51sを開閉可能な制御弁である。遮断弁55sは、水タンク32Tから燃焼器3へアンモニア水を供給する供給位置と、水タンク32Tから燃焼器3へのアンモニア水の供給を遮断する遮断位置と、を有する。
流量調節弁54は、制御装置37からの信号に応じて水供給配管51の開口面積を調整することにより、流量調節弁54を通過するアンモニア水の流量を制御する制御弁である。また、流量調節弁54sは、制御装置37からの信号に応じて水供給配管51sの開口面積を調整することにより、流量調節弁54sを通過するアンモニア水の流量を制御する制御弁である。圧力調節弁53は、制御装置37からの信号に応じて水供給配管51内の圧力(水ポンプ52の吐出圧)を調節する。
燃焼器3のエンドカバー44には、水マニホールド50と、水マニホールド50に連通する複数の噴霧ノズル49と、が形成されている。水マニホールド50は、水供給配管51からアンモニア水が供給される環状の空間を有している。複数の噴霧ノズル49は、旋回器41bに対向する位置に設けられている。噴霧ノズル49は、旋回器41bに導入される燃焼空気(圧縮空気)5aに、水供給配管51から供給されたアンモニア水を噴霧する。
また、車室3sには、車室3s内に連通する複数の噴霧ノズル49sが形成されている。噴霧ノズル49sは水供給配管51sから供給されたアンモニア水を車室3sの内部に噴霧する。
図3を参照して、本実施形態に係るガスタービンGTの通常時の運転方法の一例について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係るガスタービンGTの通常時の運転におけるガスタービンGTの回転速度Ngと燃料流量の時系列変化の一例について示す図である。なお、燃料流量には、燃焼器3に供給される天然ガスの流量である天然ガスの燃料流量Fngと、燃焼器3に供給されるアンモニアガスの流量であるアンモニアガスの燃料流量Fagとがある。
アンモニアガスは、天然ガスに比べて着火し難い。このため、本実施形態に係るガスタービン設備100は、点火、起動に関し信頼性の高い天然ガスを用いてガスタービンGTを起動させ、その後、燃料を天然ガスからアンモニアガスへ切り替える。
図3に示すように、ガスタービンGTは、a点で起動用モータ9(図1参照)によって起動される。ガスタービンGTが所定の回転速度となるb点で一定時間、残留している可能性のある燃料のパージ運転が実施される。その後c点で天然ガスが燃焼器3に供給され、点火栓42によって点火される。
燃焼器3の点火によりガスタービンGTの回転速度Ngは、c点からd点まで上昇し、d点で定格回転速度に到達する。起動用モータ9は、回転速度がc点からd点まで上昇する過程でタービン2の回転軸(ロータ)から切り離される。したがって、定格回転速度となるd点では、燃焼器3で発生した燃焼ガス6のエネルギーのみでタービン2が回転している。
制御装置37は、ガスタービンGTの回転速度Ngが定格回転速度に到達後、所定の負荷となるように、天然ガスの燃料流量Fngをe点まで増加させる。その後、制御装置37は、f点まで天然ガス専焼モードでガスタービン設備100を運転する。
制御装置37は、f点に到達後、天然ガスの燃料流量Fngを徐々に減少させるとともに、アンモニアガスの燃料流量Fagを徐々に増加させる。f点からg点までは、制御装置37は、天然ガスとアンモニアガスの双方を燃焼器3に供給して燃焼させる混焼モードでガスタービン設備100を運転する。
制御装置37は、g点において、天然ガスの燃料流量Fngを0(ゼロ)にして、g点からアンモニアガス専焼モードでガスタービン設備100を運転する。アンモニアガス専焼モードではアンモニアガスのみが燃焼器3で燃焼されるため、天然ガス専焼モード時に比べて排気ガス7に含まれる二酸化炭素の量を低減できる。
制御装置37は、h点に到達後、アンモニアガスの燃料流量Fagを徐々に減少させるとともに、天然ガスの燃料流量Fngを徐々に増加させる。h点からi点までは、制御装置37は、天然ガスとアンモニアガスの双方を燃焼器3に供給して燃焼させる混焼モードでガスタービン設備100を運転する。
制御装置37は、i点において、アンモニアガスの燃料流量Fagを0(ゼロ)にして、i点から天然ガスのみを燃焼器3に供給して燃焼させる天然ガス専焼モードでガスタービン設備100を運転する。
i点において、アンモニアガスの燃料流量Fagは0(ゼロ)になるが、図1に示した主燃料配管17にはアンモニアガスが残留している可能性がある。このため、作業者は、主燃料供給システムS1の開閉弁20と窒素ガス供給システムS4の開閉弁29,36を閉止し、窒素ガス供給システムS4の開閉弁26,30を開放する。その後、オペレータは、入力装置38を操作し、制御装置37によって窒素ガス供給システムS4の流量調節弁24及び遮断弁25を制御することにより、主燃料配管17に窒素ガスを供給する。
これにより、主燃料配管17内に残留するアンモニアガスは窒素ガスによって燃焼器3内に押し出される。燃焼器3にアンモニアガスが導入されることになるが、このとき、燃焼器3は天然ガスによって安定して燃焼している。このため、燃焼器3によってアンモニアガスが燃焼され、煙突8から濃度の高いアンモニアガスが大気に放出される可能性は低い。
図3に示すように、制御装置37は、j点から天然ガスの燃料流量Fngを減少させて、k点で0(ゼロ)にする。これにより、その後のl点において、ガスタービンGTが停止する。
ガスタービン設備100は、ガスタービン設備100を構成する機器の故障などの異常が発生した場合に、ガスタービン設備100の損傷を最小限にとどめるため、様々な保護機能を有している。
例えば、燃料に関しては、燃料の圧力や温度が低下すると、異常燃焼が引き起こされることが考えられる。このため、制御装置37は、燃料の圧力や温度の低下を検出すると、遮断弁13,19によって燃焼器3への燃料の供給を遮断して、ガスタービンGTを緊急停止させる。
図4を参照して、本実施形態に係るガスタービンGTの緊急停止方法の一例について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係るガスタービンGTを緊急停止する際のガスタービンGTの回転速度と燃料流量の時系列変化の一例について示す図である。
図4のg点までの時系列変化は図3と同じである。図4に示すように、ガスタービン設備100は、g点からアンモニアガス専焼モードで運転されている。図4では、m点において、何らかの異常が検出されること(例えば、燃料の温度が閾値以下まで低下すること)により、ガスタービンGTが緊急停止した状況が示されている。
制御装置37は、後述する緊急停止条件が成立すると、緊急停止モードへ移行し、遮断弁19によって燃焼器3へのアンモニアガスの供給の遮断を開始する(m点)。アンモニアガスの供給が遮断されると、ガスタービンGTが停止する。
ここで、図1に示す三方弁31が主燃料配管17と主燃料供給配管15とを連通している状態のままであると、主燃料配管17に残留しているアンモニアガスが燃焼器3、タービン2及び煙突8を通じてガスタービン設備100の外部に放出されてしまう。
大規模な発電設備では、高い煙突からの大気拡散により、多くの場合はアンモニアガスの放出が問題となる可能性は高くないと考えられる。しかしながら、小中規模の発電設備では、住宅街に隣接する設備もあるため、煙突からのアンモニアガスの放出は、可能な限り低減することが望まれる。
そこで、本実施形態に係るガスタービン設備100の制御装置37は、アンモニアガス専焼モードまたは混焼モードでの運転中に、予め定められた緊急停止条件が成立した場合、ガスタービンGTの緊急停止に伴う遮断弁19の供給位置から遮断位置への切替動作に連動して三方弁31を第1位置から第2位置へと切替動作させる。三方弁31が第2位置になると、三方弁31によって主燃料配管17と燃料処理配管33とが連通し、主燃料配管17と主燃料供給配管15との連通が遮断される。
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る制御装置37により実行される三方弁31の切替制御の内容の一例について説明する。図5に示すフローチャートの処理は、ガスタービン設備100の運転中、所定の制御周期で繰り返し実行される。
制御装置37は、不揮発性メモリ37bに記憶されているプログラムを実行することにより、ガスタービンGTの緊急停止条件が成立したか否かを判定する停止条件判定部(異常検出部)、運転モードを判定するモード判定部、遮断弁19の動作を判定する遮断弁動作判定部、停止条件判定部及びモード判定部の判定結果に基づいて遮断弁13,19に指令を出力する遮断弁指令部、並びに、遮断弁動作判定部の判定結果に基づいて三方弁31に指令を出力する三方弁指令部として機能する。
図5に示すように、ステップS100において、制御装置37は、ガスタービンGTの緊急停止条件が成立したか否かを判定する。つまり、制御装置37は、停止条件判定部として機能する。ガスタービンGTの緊急停止条件は、例えば、燃料低温度異常が検出された場合に成立する。
制御装置37は、燃料温度センサ17Tによって検出された燃料温度が、温度閾値未満であるか否かを判定する。制御装置37は、燃料温度センサ17Tによって検出された燃料温度が温度閾値未満である場合には、燃料低温度異常が検出されたと判定する。制御装置37は、燃料温度センサ17Tによって検出された燃料温度が温度閾値以上である場合には、燃料低温度異常は検出されていないと判定する。温度閾値は、予め不揮発性メモリ37bに記憶されている。
ステップS100において、燃料低温度異常が検出された場合、制御装置37は、緊急停止条件が成立したと判定してステップS110へ進む。ステップS100において、燃料低温度異常が検出されなかった場合、制御装置37は、緊急停止条件が成立していないと判定してステップS115へ進む。
ステップS110において、制御装置37は、遮断弁13,19を遮断位置に切り替えるための指令を遮断弁13,19に出力してステップS120へ進む。なお、ステップS110の処理は、緊急停止条件が成立する直前の運転モードに応じて制御する遮断弁13,19が異なる。緊急停止条件が成立する直前の運転モードがアンモニアガス専焼モードである場合、制御装置37は、主燃料供給システムS1の遮断弁19を遮断位置に切り替える。緊急停止条件が成立する直前の運転モードが天然ガス専焼モードである場合、制御装置37は、副燃料供給システムS2の遮断弁13を遮断位置に切り替える。緊急停止条件が成立する直前の運転モードが混焼モードである場合、制御装置37は、遮断弁13,19の双方を遮断位置に切り替える。
ステップS115において、制御装置37は、遮断弁13,19を供給位置に保持するための指令を遮断弁13,19に出力してステップS145へ進む。なお、ステップS115の処理は、現在設定されている運転モードに応じて制御する遮断弁13,19が異なる。現在設定されている運転モードがアンモニアガス専焼モードである場合、制御装置37は、主燃料供給システムS1の遮断弁19を供給位置に保持させる。現在設定されている運転モードが天然ガス専焼モードである場合、制御装置37は、副燃料供給システムS2の遮断弁13を供給位置に保持させる。現在設定されている運転モードが混焼モードである場合、制御装置37は、遮断弁13,19の双方を供給位置に保持させる。
このように、制御装置37は、緊急停止条件が成立していない場合には遮断弁13,19を供給位置に保持し、緊急停止条件が成立した場合には遮断弁13,19を遮断位置に切り替える遮断弁指令部(遮断弁制御部)として機能する。
ステップS120において、制御装置37は、遮断弁19が供給位置から遮断位置に切替動作されたか否かを判定する。つまり、制御装置37は、遮断弁19の動作を判定する遮断弁動作判定部として機能する。
ステップS120において、遮断弁19が供給位置から遮断位置に切替動作されたと判定されると、処理がステップS130へ進む。ステップS120において、遮断弁19が供給位置から遮断位置に切替動作されていないと判定されると、処理がステップS145へ進む。
ステップS130において、制御装置37は、緊急停止条件が成立する直前の運転モードが、天然ガス専焼モード、混焼モード、アンモニアガス専焼モード、非燃焼モードのいずれであるかを判定する。つまり、制御装置37は、緊急停止条件が成立する直前の運転モードを判定する運転モード判定部として機能する。なお、非燃焼モードは、天然ガス及びアンモニアガスのいずれも燃焼器3に供給しない運転モードである。非燃焼モードでは、起動用モータ9による起動運転などが行われる。
ステップS130において、緊急停止条件が成立する直前の運転モードがアンモニアガス専焼モードまたは混焼モードであると判定されると、処理がステップS140へ進む。ステップS130において、緊急停止条件が成立する直前の運転モードが天然ガス専焼モードまたは非燃焼モードであると判定されると、処理がステップS145へ進む。
ステップS140において、制御装置37は、三方弁31を第1位置から第2位置に切り替えるための指令を三方弁31に出力する。ステップS145において、制御装置37は、三方弁31を第1位置に保持するための指令を三方弁31に出力する。ステップS140またはステップS145の処理が終了すると、本制御周期における図5のフローチャートに示す処理が終了する。
このように、制御装置37は、アンモニアガス専焼モードまたは混焼モードでの運転中に、遮断弁19が供給位置に保持されている場合には、三方弁31を第1位置に保持し、遮断弁19が供給位置から遮断位置に切替動作された場合には、三方弁31を第1位置から第2位置に切り替える三方弁指令部(三方弁制御部)として機能する。
したがって、例えば、図4に示すように、アンモニアガス専焼モードでガスタービンGTを運転しているときに、何らかの理由でガスタービンGTが緊急停止になった場合、三方弁31が、遮断弁19の通常位置から遮断位置への切替動作とともに、第1位置から第2位置へと切替動作される。これにより、三方弁31によって、燃焼器3に接続されている主燃料供給配管15と主燃料配管17との連通が遮断され、燃料処理装置32の水タンク32Tに接続されている燃料処理配管33と主燃料配管17とが連通する。
遮断弁19から三方弁31までの主燃料配管17に残留するアンモニアガスは、三方弁31及び燃料処理配管33を通じて燃料処理装置32の水タンク32T内に導かれる。アンモニアガスは、水タンク32T内の水に溶け込む。このようにして処理された水タンク32T内のアンモニア水は、所定の濃度以上にならないように管理される。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ガスタービン設備100は、主燃料供給設備(燃料供給設備)16に接続される主燃料配管(燃料配管)17と、ガスタービンGTの燃焼器3に接続される主燃料供給配管(燃料供給配管)15と、燃料を処理する燃料処理装置32に接続される燃料処理配管33と、主燃料配管17に接続される入口ポート31i、主燃料供給配管15に接続される第1出口ポート31oa、及び、燃料処理配管33に接続される第2出口ポート31obを有する三方弁31と、を備える。
この構成によれば、ガスタービンGTの緊急停止時に三方弁31を切り替えることにより、主燃料配管17に残留するアンモニアガスを燃料処理装置32に導くことができるので、アンモニアガスが大気に放出されることを効果的に抑制できる。また、三方弁31の切替動作のみで、主燃料配管17と主燃料供給配管15との連通を遮断するとともに主燃料配管17と燃料処理配管33とを連通させることができる。このため、各配管15,17,33の連通と遮断を切り替えるための複数の切替弁を設置する必要がない。複数の切替弁は、ガスタービンGTの近くに設置するのが難しい場合がある。これに対して、本実施形態によれば、三方弁31をガスタービンGTの近くに容易に設置することができる。その結果、主燃料供給配管15の長さを短くできるので、ガスタービンGTの緊急停止時に、主燃料供給配管15に残留するアンモニアガスの大気への放出量を低く抑えることができる。
(2)ガスタービン設備100は、主燃料配管17に設けられ、燃焼器3へ供給される燃料の流量を調節する流量調節弁18を備える。三方弁31は、流量調節弁18と燃焼器3との間に設けられる。この構成によれば、三方弁31が流量調節弁18の上流側に設けられる場合に比べて、主燃料供給配管15の長さを短くでき、アンモニアガスの大気への放出量を低く抑えることができる。
(3)三方弁31は、ガスタービンGTを収容するエンクロージャ101の内側に配置されている。この構成によれば、三方弁31がエンクロージャ101の外側に配置されている場合に比べて、主燃料供給配管15の長さを短くでき、アンモニアガスの大気への放出量を低く抑えることができる。なお、エンクロージャ101の内側に三方弁31を設置することが困難な場合には、エンクロージャ101に隣接して三方弁31を設置することにより、主燃料供給配管15の長さを短くでき、アンモニアガスの大気への放出量を低く抑えることができる。
(4)ガスタービン設備100は、主燃料配管17における主燃料供給設備16と流量調節弁18との間に設けられ、主燃料供給設備16から燃焼器3へ燃料を供給する供給位置と、主燃料供給設備16から燃焼器3への燃料の供給を遮断する遮断位置とを有する遮断弁19と、遮断弁19及び三方弁31を制御する制御装置37と、を備える。制御装置37は、遮断弁19を供給位置から遮断位置へ切り替えるとともに、三方弁31を主燃料配管17と主燃料供給配管15とを連通する第1位置から主燃料配管17と燃料処理配管33とを連通する第2位置へと切り替える。
この構成により、ガスタービンGTへのアンモニアガス(燃料)の供給を遮断弁19で遮断するとともに、主燃料配管17に残留するアンモニアガス(未燃燃料)を三方弁31を通じて燃料処理装置32に導くことができる。その結果、遮断弁19を遮断位置に切り替え終えてから(全閉になってから)三方弁31を第1位置から第2位置へ切り替え始める場合に比べて、主燃料配管17に残留するアンモニアガス(未燃燃料)の大気への放出量を低く抑えることができる。
(5)主燃料供給設備16から三方弁31を通じて燃焼器3に供給される燃料は、アンモニアガスである。燃料処理装置32は、燃料処理配管33を通じて導かれるアンモニアガスを処理するための水が蓄えられた水タンク32Tを有する。この構成によれば、アンモニアガスは、燃料処理装置32の水タンク32T内の水によって溶解処理される。燃料処理装置32によって生成されたアンモニア水は、水タンク32T内に適切に保管される。
(6)ガスタービン設備100は、アンモニアガスを燃料として供給する燃料供給設備である主燃料供給設備16を含む主燃料供給システムS1と、天然ガスを燃料として供給する副燃料供給設備10を含む副燃料供給システムS2と、を備えている。
制御装置37は、複数の運転モードでガスタービンGTを運転する。複数の運転モードには、主燃料供給システムS1及び副燃料供給システムS2のうち主燃料供給システムS1からの燃料を燃焼器3で燃焼させるアンモニアガス専焼モードと、主燃料供給システムS1及び副燃料供給システムS2のうち副燃料供給システムS2からの燃料を燃焼器3で燃焼させる天然ガス専焼モードと、主燃料供給システムS1及び副燃料供給システムS2の双方からの燃料を燃焼器3で燃焼させる混焼モードと、が含まれる。
制御装置37は、アンモニアガス専焼モードまたは混焼モードでの運転中に、予め定められた緊急停止条件が成立した場合、遮断弁19を供給位置から遮断位置へと切り替えるとともに、三方弁31を第1位置から第2位置へと切り替える。この構成によれば、アンモニアガスが燃料として燃焼器3に供給されているときに、ガスタービンGTを緊急停止する際、三方弁31の動作によって、主燃料配管17内のアンモニアガスを燃料処理装置32へ適切に導くことができる。
(7)ガスタービン設備100は、主燃料供給システムS1及び副燃料供給システムS2に窒素ガスを供給する窒素ガス供給システムS4を備える。この構成によれば、運転モードを切り替えたり、ガスタービンGTを停止させたりするときなどに、主燃料供給システムS1及び副燃料供給システムS2の配管内に残留する燃料を窒素ガスによって置換することができる。
(8)ガスタービン設備100は、燃料処理装置32の水タンク32T内のアンモニア水を燃焼器3に供給する水供給配管51と、水供給配管51から供給されたアンモニア水を燃焼器3内に噴霧する噴霧ノズル49とを有するアンモニア水供給系統、または、燃料処理装置32の水タンク32T内のアンモニア水を車室3sに供給する水供給配管51sと、水供給配管51sから供給されたアンモニア水を車室3s内に噴霧する噴霧ノズル49sとを有するアンモニア水供給系統の少なくとも一方を有する水供給システムS5を備える。水タンク32T内のアンモニア水を産業廃棄物処理業者に委託して、産業廃棄物処理施設において、アンモニア水を適切に処理する場合、廃棄費用が発生する。この構成によれば、水タンク32T内のアンモニア水を燃焼器3、または車室3s内に噴霧することにより、エネルギーを有効利用することができる。また、廃棄するアンモニア水の量を低減できるので、廃棄費用を低減できる。
アンモニア水を噴霧するタイミングについて説明する。噴霧ノズル49から噴霧する場合、天然ガス専焼モードにおいてアンモニア水を噴霧することが好ましい。アンモニアガスを燃焼させる燃焼器3は燃料と空気を別々に内筒(ライナ)40に供給し、拡散燃焼方式で燃焼させる場合が多い。拡散燃焼方式では局部的に燃料温度が高くなり窒素酸化物が多く発生する。このため、噴霧ノズル49からアンモニア水を噴霧することで火炎温度の上昇を防ぎ、窒素酸化物の発生を抑制する効果が期待できる。なお、アンモニアは水に溶けやすい。このため、アンモニア燃焼時にアンモニア水を噴霧ノズル49から噴霧すると、アンモニア水にアンモニアガスが溶け込み、燃焼性能に影響を及ぼすことが考えられる。したがって、アンモニア燃焼時は、車室3sに設置した噴霧ノズル49sからアンモニア水を噴霧することが好ましい。車室3s内に噴霧されたアンモニア水は、燃焼器3のバーナ41に到達するまでに蒸発するため、アンモニア燃焼の燃焼特性に影響を及ぼすことが少ないと考えられる。
<第1実施形態の変形例1>
第1実施形態では、遮断弁19が供給位置から遮断位置に切替動作されたか否かを判定し、遮断弁19が供給位置から遮断位置に切替動作された場合に、三方弁31が第2位置に切替動作される例(図5参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。制御装置37は、ガスタービンGTの緊急停止条件が成立した場合に、遮断弁19と三方弁31とを同時に切替動作させてもよい。
図6は、制御装置37により実行される三方弁31の切替制御の内容の別の例について示すフローチャートである。図6のフローチャートでは、図5のフローチャートのステップS110,S115,S120,S140,S145の処理に代えて、ステップS241,S244,S247の処理が実行される。図6に示すフローチャートの処理は、ガスタービン設備100の運転中、所定の制御周期で繰り返し実行される。
図6のステップS100,S130の処理は、図5のステップS100,S130と同様の処理である。図6に示すように、ステップS100において、緊急停止条件が成立したと判定されると、処理がステップS130へ進み、緊急停止条件が成立していないと判定されると、処理がステップS247へ進む。
ステップS130において、緊急停止条件が成立する直前の運転モードがアンモニアガス専焼モードまたは混焼モードであると判定されると、処理がステップS241へ進む。ステップS130において、緊急停止条件が成立する直前の運転モードが天然ガス専焼モードまたは非燃焼モードであると判定されると、処理がステップS244へ進む。
ステップS241において、制御装置37は、遮断弁19を遮断位置に切り替えるための指令を遮断弁19に出力するとともに、三方弁31を第2位置に切り替えるための指令を三方弁31に出力する。また、ステップS130において緊急停止条件が成立する直前の運転モードが混焼モードであると判定されている場合には、ステップS241において、制御装置37は、副燃料供給システムS2の遮断弁13を遮断位置に切り替えるための指令を遮断弁13に出力する。
ステップS130において緊急停止条件が成立する直前の運転モードが天然ガス専焼モードであると判定されている場合には、ステップS244において、制御装置37は、副燃料供給システムS2の遮断弁13を遮断位置に切り替えるための指令を遮断弁13に出力する。
ステップS247において、制御装置37は、遮断弁13,19を供給位置に保持するための指令を遮断弁13,19に出力するとともに、三方弁31を第1位置に保持するための指令を三方弁31に出力する。なお、ステップS247の処理は、現在設定されている運転モードに応じて制御する遮断弁13,19が異なる。現在設定されている運転モードがアンモニアガス専焼モードである場合、制御装置37は、主燃料供給システムS1の遮断弁19を供給位置に保持させる。現在設定されている運転モードが天然ガス専焼モードである場合、制御装置37は、副燃料供給システムS2の遮断弁13を供給位置に保持させる。現在設定されている運転モードが混焼モードである場合、制御装置37は、遮断弁13,19の双方を供給位置に保持させる。
このように、本変形例に係る制御装置37は、上記実施形態と同様、緊急停止条件が成立し、かつ、緊急停止条件が成立する直前の運転モードが主燃料(アンモニアガス)を燃焼器3で燃焼させているモード(アンモニアガス専焼モードまたは混焼モード)である場合には、遮断弁19を遮断位置に切り替えるとともに三方弁31を第2位置に切り替える。
本変形例によれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、上記実施形態及び本変形例では、緊急停止条件が成立した場合に、運転モードの判定結果を加味して遮断弁19及び三方弁31の動作を制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。制御装置37は、緊急停止条件が成立した場合に、遮断弁19を遮断位置に切り替えるための指令を遮断弁19に出力するとともに、三方弁31を第2位置に切り替えるための指令を三方弁31に出力してもよい。
<第1実施形態の変形例2>
第1実施形態では、燃料低温度異常が検出された場合に、ガスタービンGTの緊急停止条件が成立する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
制御装置37は、燃焼器3の燃焼異常が検出された場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。ガスタービンGTでは、タービン2下流の環状の流路内の周方向に複数の燃焼温度センサが設けられている。燃焼温度センサはガスタービンGTの排気ガス温度の周方向の温度分布を検出する。燃焼温度センサは、燃焼器3からの排気ガスの温度(燃焼温度)を検出し、検出結果を表す信号を制御装置37に出力する熱電対等である。制御装置37は、複数の燃焼温度センサによって排気ガス温度を取得し、複数の燃焼温度センサの排気ガス温度の平均値を演算する。制御装置37は、演算された平均値と、複数の燃焼温度センサの排気ガス温度のそれぞれとを比較する。制御装置37は、演算された平均値から燃焼温度センサの排気ガス温度を差し引いた値である温度偏差が偏差閾値以上である場合に、その位置に相当する燃焼器3において火炎喪失等の燃焼異常が検出されたと判定する。また、制御装置37は、燃焼温度センサの温度変化を他の運転データと比較して、燃焼異常が検出されたと判定してもよい。
また、ガスタービンGTには、複数の燃焼器3の燃焼温度を検出する燃焼温度センサが設けられている。燃焼温度センサは、燃焼器3のバーナ41の温度を検出する熱電対などである。制御装置37は、バーナ41の燃焼温度センサの値が閾値以下である場合、燃焼器3において火炎喪失などの燃焼異常が検出されたと判定する。
このように、燃焼温度センサの検出結果に基づいて、直接、燃焼器3の燃焼状態を検出する構成では、ガスタービンGTの緊急停止時に発生する可能性がある時間遅れを抑制することが可能になると考えられる。
また、制御装置37は、燃料圧力が圧力閾値よりも低くなる燃料低圧力異常が検出された場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。制御装置37は、排気ガス7の温度が高温度閾値よりも高くなる排気ガス高温度異常が検出された場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。制御装置37は、排気ガス7の温度が低温度閾値よりも低くなる排気ガス低温度異常が検出された場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。制御装置37は、排気ガス温度偏差が偏差閾値よりも高くなる排気ガス温度偏差異常が検出された場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。
制御装置37は、流量調節弁18の動作異常が検出された場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。制御装置37は、ガスタービンGTの軸振動値が振動閾値よりも高くなる軸振動異常が検出された場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。さらに、制御装置37は、燃料の流量を調節する流量調節弁の追従異常、燃料漏れ、火災等を検知した場合に、緊急停止条件が成立したと判定してもよい。
緊急停止条件の成立要否に関わる異常が複数想定される場合、制御装置37は、複数の異常のうちの少なくとも一つが検出された場合には、緊急停止条件が成立したと判定する。また、制御装置37は、複数の異常のうちの全てが検出されていない場合には、緊急停止条件が成立していないと判定する。
なお、異常検出方法は、一つのパラメータで行う場合に限定されることもない。例えば、入口圧センサ17Pa、出口圧センサ17Pb及び燃料温度センサ17Tの検出結果に基づいて、燃焼器3に供給される燃料の異常を検出してもよい。
<第1実施形態の変形例3>
第1実施形態では、ガスタービンGTの緊急停止時に三方弁31を第1位置から第2位置に切り替える例について説明したが、三方弁31を第1位置から第2位置に切り替えるタイミングは緊急停止時のみに限定されない。
例えば、図1に示す主燃料配管17及び燃料処理配管33のリークチェックを行う場合、作業者は、開閉弁34を閉じ、入力装置38を操作して制御装置37によって三方弁31を第2位置に切り替える。その後、主燃料供給設備16からアンモニアガスを主燃料配管17に供給する。これにより主燃料配管17から三方弁31を通じて燃料処理配管33にアンモニアガスが供給される。リークチェックが完了した後、作業者は、開閉弁20を閉じ、開閉弁34を開ける。これにより、主燃料配管17及び燃料処理配管33内のアンモニアガスが燃料処理装置32に導かれる。
<第2実施形態>
図7を参照して、本発明の第2実施形態に係るガスタービン設備100Bについて説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係るガスタービン設備100Bの構成の概略を示す図である。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。なお、図7において、エンクロージャ101の図示は省略しているが、第1実施形態と同様、三方弁31はエンクロージャ101の内側に配置されている。
第1実施形態では、アンモニアガスを燃料としてガスタービンGTを運転するガスタービン設備100において、ガスタービンGTの緊急停止時のアンモニアガスの大気への放出を抑制する方法について説明した。これに対して、本第2実施形態では、第1実施形態で説明したアンモニアガスに代えて、水素ガスを主燃料として燃焼器3に供給してガスタービンGTを運転するガスタービン設備100Bについて説明する。水素ガスを主燃料として用いる場合、アンモニアガスと同様、二酸化炭素の発生を抑制できることが知られている。
ところで、水素ガスを燃料としてガスタービンGTを運転するガスタービン設備では、ガスタービンGTの緊急停止の際に、水素ガスを適切に処理することが望まれる。ガスタービンGTにおける燃焼器3の下流側の流路は複雑な形状をしている場合が多い。ガスタービンGTが緊急停止すると、燃焼器3への空気の供給も遮断されるため、水素ガスがガスタービンGT内で留まり続ける可能性がある。ガスタービンGTを緊急停止する際に、燃焼器3に接続されている配管内に残留する水素ガスが多いほど、ガスタービンGT内の流路に水素ガスが滞留する可能性が高くなる。ガスタービンGT内に可燃範囲の広い水素ガスが滞留していると、意図しない場所で水素ガスが発火し、ガスタービンGTの構成部品が損傷してしまうおそれがある。
そこで、本第2実施形態では、ガスタービンGTの緊急停止の際に、配管内に残留する水素ガスがガスタービンGT内に流入することを抑制し、ガスタービンGT内に水素ガスが滞留することを防止する構成とされている。以下、詳しく説明する。
第2実施形態に係るガスタービン設備100Bには、第1実施形態で説明した主燃料供給システムS1に代えて、主燃料供給システムS1Bが設けられている。主燃料供給システムS1Bは、主燃料としての水素ガスを燃焼器3に供給するシステムである。主燃料供給システムS1Bは、主燃料供給設備71と、主燃料供給設備71と三方弁31の入口ポート31iに接続される主燃料配管72と、主燃料配管72に設けられる開閉弁75、遮断弁74及び流量調節弁73と、を有している。
主燃料供給設備71は、液体水素を貯留するタンク(不図示)と、液体水素を圧送するポンプ(不図示)と、ポンプによって昇圧された液体水素を気化させる気化器(不図示)と、を備える。気化器によって生成される水素ガスは、主燃料配管17に供給される。主燃料配管17に供給された水素ガスは、三方弁31を通じて燃焼器3に供給される。
主燃料供給設備71から主燃料が供給される主燃料配管72の上流側から下流側に向かって順に、開閉弁75、遮断弁74及び流量調節弁73が設けられている。開閉弁75は、主燃料配管72を開閉可能な手動弁である。
遮断弁74は、制御装置37からの信号に応じて主燃料配管72を開閉可能な制御弁である。流量調節弁73は、制御装置37からの信号に応じて主燃料配管72の開口面積を調整することにより、流量調節弁73を通過する主燃料の流量、すなわち燃焼器3へ供給される燃料(水素ガス)の流量を制御する制御弁である。
燃料処理システムS3Bは、燃料処理装置77と、三方弁31の第2出口ポート31obに接続される燃料処理配管76と、燃料処理配管76に設けられる開閉弁78と、を有している。開閉弁78は、燃料処理配管76を開閉可能な手動弁である。
燃料処理装置77は、例えば、水素ガスを燃焼処理するアフターバーナである。燃料処理装置77は、水素ガスを大気へ放出処理する煙突であってもよい。燃料処理装置77には、燃料処理配管76を通じて水素ガスが導かれる。燃料処理装置77に水素ガスが導かれると、燃料処理装置77によって水素ガスが適切に処理される。
ガスタービン設備100Bは、第1実施形態と同様、主燃料配管72、副燃料配管11及び燃料処理配管76に残留する燃料を窒素に置換する窒素ガス供給システムS4を備えている。
本第2実施形態に係るガスタービンGTの運転方法の一例について説明する。上述したように、本第2実施形態に係るガスタービン設備100Bでは、主燃料供給設備71から三方弁31を通じて燃焼器3に供給される主燃料が、水素ガスである。水素ガスは、天然ガスに比べて可燃範囲が広く、ガスタービンの点火失敗時に燃焼器下流側の流路内での再点火(爆発)が懸念される。このため、本第2実施形態に係るガスタービン設備100Bは、第1実施形態と同様、天然ガスを用いてガスタービンGTを起動させ、その後、燃料を天然ガスから水素ガスへと切り替える場合がある。なお、第2実施形態では、ガスタービンGTを停止させる際の運転方法も第1実施形態と同様である。
つまり、ガスタービン設備100Bは、天然ガス専焼モードでの運転によりガスタービンGTを起動し、天然ガス専焼モードから水素ガスと天然ガスを燃焼器3によって同時に燃焼させる混焼モードを経て水素ガスのみを燃焼器3によって燃焼させる水素ガス専焼モードに移行する。ガスタービンGTを停止する場合、ガスタービン設備100Bは、水素ガス専焼モードから混焼モードを経て天然ガス専焼モードに移行する。
なお、混焼モードから天然ガス専焼モードに移行後、作業者は、主燃料供給システムS1Bの開閉弁75と窒素ガス供給システムS4の開閉弁29,36を閉止し、窒素ガス供給システムS4の開閉弁26,30を開放する。その後、オペレータは、入力装置38を操作し、制御装置37によって窒素ガス供給システムS4の流量調節弁24及び遮断弁25を制御することにより、主燃料配管72に窒素ガスを供給する。これにより、主燃料配管72内に残留水素ガスが窒素ガスに置換される。
本第2実施形態に係る制御装置37は、第1実施形態と同様、緊急停止条件が成立し、かつ、緊急停止条件が成立する直前の運転モードが主燃料(水素ガス)を燃焼器3で燃焼させているモード(水素ガス専焼モードまたは混焼モード)である場合には、遮断弁74を供給位置から遮断位置に切り替えるとともに三方弁31を第1位置から第2位置に切り替える。
これにより、ガスタービンGTへの燃料の供給が遮断弁74によって遮断されるとともに、主燃料配管72に残留する水素ガスが三方弁31を通じて燃料処理装置77に導かれる。ガスタービンGTの緊急停止時に燃焼器3に流入する水素ガスの量を低く抑えることができるので、ガスタービンGT内での発火のリスクを低減することができる。
なお、水素ガスでガスタービンGTを駆動する前に、燃料処理配管76に残留する水素ガスは窒素ガスに置換される。このため、燃料処理配管76の内部で水素ガスが発火することを防止できる。
<第3実施形態>
図8~図10を参照して、本発明の第3実施形態に係るガスタービン設備100Cについて説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係るガスタービン設備100Cの概略を示す図である。図8では、制御装置37の図示は省略されている。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
図8に示すように、第3実施形態に係るガスタービン設備100Cの燃料処理システムS3Cは、第1実施形態で説明した燃料処理配管33及び開閉弁34に加え、燃焼器3と燃料処理装置32とに接続されるドレン配管81と、ドレン配管81に設けられる遮断弁82及び開閉弁83と、を有している。
ドレン配管81は、燃焼器3の外筒43に形成されるドレン孔80に接続される。ドレン孔80は、燃焼器3の外筒43を貫通し、外筒43の内側とドレン配管81とを連通する。通常、ガス焚きの燃焼器にはドレン孔は設けられない。
図9及び図10を参照して、本第3実施形態に係るガスタービンGTの緊急停止方法の一例について説明する。図9は、図4と同様の図であり、本発明の第3実施形態に係るガスタービンGTを緊急停止する際のガスタービンGTの回転速度Ngと燃料流量の時系列変化の一例について示す図である。
第1実施形態に係る制御装置37は、図4に示すように、緊急停止条件が成立すると、緊急停止モードへ移行し、遮断弁19によって燃焼器3へのアンモニアガスの供給を遮断する(m点)。アンモニアガスの供給が遮断されることにより、ガスタービンGTが停止する。圧縮機1が停止するため、燃焼器3への圧縮空気5の供給も遮断される。
これに対して、本第3実施形態に係る制御装置37は、図9に示すように、アンモニアガス専焼モードまたは混焼モードでの運転中に緊急停止条件が成立してから一定時間、起動用モータ9によってガスタービンGTを所定の回転速度で回転させる。また、制御装置37は、アンモニアガス専焼モードまたは混焼モードでの運転中に緊急停止条件が成立してから一定時間、水タンク32T内のアンモニア水を遮断弁55を通じて噴霧ノズル49に供給し、噴霧ノズル49から燃焼器3内にアンモニア水を噴霧する。
図10を参照して、制御装置37により実行される起動用モータ9、水供給システムS5及び燃料処理システムS3Cの制御の内容の一例について詳しく説明する。なお、図10のフローチャートは、起動用モータ9、水供給システムS5及び燃料処理システムS3Cの制御に関する処理を抽出したものである。主燃料供給システムS1の遮断弁19及び三方弁31に対する制御は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
図10に示すフローチャートの処理は、ガスタービン設備100の運転中、所定の制御周期で繰り返し実行される。図10に示すように、ステップS300において、制御装置37は、図5のステップS100と同様、緊急停止条件が成立したか否かを判定する。ステップS300において、緊急停止条件が成立したと判定されると、処理がステップS330へ進む。ステップS300の処理は、肯定判定されるまで繰り返し実行される。
ステップS330において、制御装置37は、図5のステップS130と同様、緊急停止条件が成立する直前の運転モードがアンモニア専焼モードまたは混焼モードであるか否かを判定する。
ステップS330において、緊急停止条件が成立する直前の運転モードがアンモニアガス専焼モードまたは混焼モードであると判定されると、処理がステップS350へ進む。ステップS330において、緊急停止条件が成立する直前の運転モードが天然ガス専焼モードまたは非燃焼モードであると判定されると、図10のフローチャートに示す処理が終了する。
ステップS350において、制御装置37は、ドレン配管81の遮断弁82を遮断位置から供給位置へと切り替えるとともに、時間の計測を開始して、ステップS355へ進む。
ステップS355において、制御装置37は、回転速度センサ2Nにより検出されたガスタービンGTの回転速度Ngが回転速度閾値Na未満であるか否かを判定する。ステップS350において、回転速度Ngが回転速度閾値Na未満であると判定されると、処理がステップS360へ進む。ステップS355の処理は、肯定判定されるまで繰り返し実行される。
ステップS360において、制御装置37は、起動用モータ9を起動させ、起動用モータ9の動作制御を開始してステップS370へ進む。これにより、ガスタービンGTに回転トルクが付与される。制御装置37は、ガスタービンGTの回転速度Ngが一定に保たれるように、起動用モータ9の動作を制御する。
ステップS370において、制御装置37は、ステップS350において計測が開始された時間Tcが時間閾値Ta以上であるか否かを判定する。時間閾値Taは、予め制御装置37の不揮発性メモリ37bに記憶されている。
ステップS370において、時間Tcが時間閾値Ta以上であると判定されると、処理がステップS380へ進む。ステップS370の処理は、肯定判定されるまで繰り返し実行される。
ステップS380におて、制御装置37は、起動用モータ9の動作を停止させ、ステップS390へ進む。これにより、ガスタービンGTの回転速度Ngが低下し、ガスタービンGTが停止する。
ステップS390において、制御装置37は、水供給システムS5の遮断弁55を供給位置から遮断位置に切り替えて図10のフローチャートに示す処理を終了する。これにより、水供給システムS5による燃焼器3内への水噴霧が停止する。
このように、本第3実施形態に係る制御装置37は、アンモニアガス専焼モードまたは混焼モードでの運転中に緊急停止条件が成立すると、運転モードを緊急停止モードに移行する。制御装置37は、緊急停止モードに移行すると、上記実施形態と同様、遮断弁19を供給位置から遮断位置に切り替えるとともに三方弁31を第1位置から第2位置に切り替える。
図9に示すように、m点において、制御装置37から遮断弁19に対して遮断位置への切替指令が出力されると、アンモニアガスの燃料流量Fag及びガスタービンの回転速度Ngが急激に低下する。n点において、アンモニアガスの燃料流量Fagは、遮断弁19によって遮断され0(ゼロ)になる。
制御装置37は、ガスタービンGTの回転速度Ngを監視し、回転速度Ngが回転速度閾値Na未満まで低下した場合には、起動用モータ9を駆動し、起動用モータ9によってガスタービンGTに回転トルクを付与する(o点)。制御装置37は、o点からp点までガスタービンGTの回転速度Ngが一定値(例えばNc)に保たれるように、起動用モータ9の動作を制御する。制御装置37は、緊急停止条件が成立してからの時間Tcが一定時間Taを経過すると、起動用モータ9の動作を停止する(p点)。起動用モータ9の動作が停止することにより、ガスタービンGTの回転速度Ngが低下し、q点で0(ゼロ)になる。
このように、本第3実施形態に係る制御装置37は、遮断弁19を供給位置から遮断位置へと切り替えるとともに、三方弁31を第1位置から第2位置へと切り替える際、起動用モータ9によって一定時間ガスタービンGTを回転させ、圧縮機1によって空気を燃焼器3及びタービン2に供給する。これにより、ガスタービンGT内に残留するアンモニアガスの濃度を希釈することができる。その結果、煙突8から排出されるガスのアンモニア濃度を低くすることができるので、悪臭の発生を効果的に抑制することができる。
また、本第3実施形態に係る制御装置37は、緊急停止条件が成立し、緊急停止モードに移行してからも噴霧ノズル49からのアンモニア水の噴霧を継続させる。これにより、燃焼器3内に残留するアンモニアガスを噴霧ノズル49から噴霧される水に溶け込ませることができる。燃焼器3の内筒40内に噴射され、燃焼器3内のアンモニアガスを吸収したアンモニア水は、内筒40の開口部から外筒43と内筒40の間の環状流路に流れ込み、ドレン孔80を通じてドレン配管81に排出される。ドレン配管81に排出されたアンモニア水は、燃料処理装置32の水タンク32Tに回収される。
したがって、本第3実施形態によれば、煙突8から排出されるアンモニアガスの量を第1実施形態よりも低減することができる。
<第3実施形態の変形例1>
第3実施形態においても第1実施形態の変形例2と同様、緊急停止条件の成立要否に関わる異常が複数想定される場合、制御装置37は、複数の異常のうちの少なくとも一つが検出された場合には、緊急停止条件が成立したと判定する。また、制御装置37は、複数の異常のうちの全てが検出されていない場合には、緊急停止条件が成立していないと判定する。
なお、ガスタービンGTの軸振動値が閾値よりも高くなる軸振動異常が検出された場合には、ガスタービンGTを緊急停止させる際に、起動用モータ9によってガスタービンGTの回転速度Ngを一定時間保持すると、ガスタービンGTの損傷を招くおそれがある。このため、制御装置37は、軸振動異常が検出された場合には、緊急停止モードにおいて、起動用モータ9を起動させる制御を実行しないことが好ましい。
<第3実施形態の変形例2>
緊急停止モードにおける起動用モータ9、燃料処理システムS3C及び水供給システムS5の制御の流れは、図10のフローチャートに示す流れに限定されない。例えば、第3実施形態では、緊急停止条件が成立してからの時間Tcが時間閾値Taを経過した場合に、起動用モータ9を停止するとともに水供給システムS5による水噴霧を停止する例について説明したが、起動用モータ9の停止するタイミングと水噴霧を停止するタイミングは異なるようにしてもよい。制御装置37は、時間Tcが第1時間閾値Ta1を経過した場合に起動用モータ9を停止させ、時間Tcが第2時間閾値Ta2を経過した場合に水噴霧を停止させてもよい。または、その運転状態により水を噴霧させないこともあり得る。
また、第3実施形態では、緊急停止条件が成立してからの時間が計測される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。制御装置37は、起動用モータ9が起動してからの時間を計測し、時間閾値と比較して起動用モータ9を停止するタイミングを決定してもよい。
<第4実施形態>
図11~図15を参照して、本発明の第4実施形態に係るガスタービン設備100Dについて説明する。図11は、本発明の第4実施形態に係るガスタービン設備100Dの概略を示す図である。図11では、制御装置37の図示は省略されている。なお、第1及び第3実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
第1及び第3実施形態では、燃焼器3に供給される主燃料がアンモニアガス、副燃料が天然ガスであり、第2実施形態では、燃焼器3に供給される主燃料が水素ガス、副燃料が天然ガスである例について説明した。これに対して、第4実施形態では、燃焼器3Dに供給される主燃料が液体アンモニアであり、副燃料が灯油である例について説明する。
第4実施形態に係るガスタービン設備100Dは、主燃料供給システムS1Dと、副燃料供給システムS2Dと、燃料処理システムS3Cと、水供給システムS5Dと、主燃料供給システムS1Dの主燃料配管117、主燃料供給配管15及び燃料処理システムS3Cの燃料処理配管33に接続される三方弁31と、を備えている。なお、三方弁31は、上記実施形態と同様、燃焼器3Dに可能な限り近い位置に設けられている。
主燃料供給システムS1Dは、主燃料として、高純度の液体アンモニアを燃焼器3Dに供給するシステムである。主燃料供給システムS1Dは、液体アンモニアを供給する主燃料供給設備112と、主燃料供給設備112と三方弁31の入口ポート31iに接続される主燃料配管117と、主燃料配管117に設けられる開閉弁115、遮断弁114及び流量調節弁113と、を有している。
主燃料供給設備112は、液体アンモニアを貯留するタンク(不図示)と、液体アンモニアを圧送するポンプと、を備える。なお、本第4実施形態では、液体アンモニアを気化させることなく燃焼器3Dに供給する。このため、本第4実施形態では、第1実施形態で説明した主燃料用の気化器を省略することができ、主燃料供給システムS1Dを簡素化できる。主燃料配管117に供給された液体アンモニアは、三方弁31を通じて燃焼器3Dに供給される。
主燃料供給設備112から主燃料が供給される主燃料配管117の上流側から下流側に向かって順に、開閉弁115、遮断弁114及び流量調節弁113が設けられている。開閉弁115は、主燃料配管117を開閉可能な手動弁である。
遮断弁114は、制御装置37からの信号に応じて主燃料配管117を開閉可能な制御弁である。遮断弁114は、主燃料配管117における主燃料供給設備112と流量調節弁113との間に設けられ、主燃料供給設備112から燃焼器3Dへ燃料を供給する供給位置と、主燃料供給設備112から燃焼器3Dへの燃料の供給を遮断する遮断位置とを有する。
流量調節弁113は、制御装置37からの信号に応じて主燃料配管117の開口面積を調整することにより、流量調節弁113を通過する主燃料の流量、すなわち燃焼器3Dへ供給される燃料(液体アンモニア)の流量を制御する制御弁である。
副燃料供給システムS2Dは、副燃料としての灯油を燃焼器3Dに供給するシステムである。副燃料供給システムS2Dは、灯油を供給する副燃料供給設備103と、副燃料供給設備103と燃焼器3Dに接続される副燃料配管102と、副燃料配管102に設けられる開閉弁106、遮断弁105及び流量調節弁104と、を有している。
副燃料供給設備103は、副燃料としての灯油を貯留するタンク(不図示)と、灯油を圧送するポンプと、を備える。
副燃料供給設備103から副燃料が供給される副燃料配管102の上流側から下流側に向かって順に、開閉弁106、遮断弁105及び流量調節弁104が設けられている。開閉弁106は、副燃料配管102を開閉可能な手動弁である。遮断弁105は、制御装置37からの信号に応じて副燃料配管102を開閉可能な制御弁である。流量調節弁104は、制御装置37からの信号に応じて副燃料配管102の開口面積を調整することにより、流量調節弁104を通過する副燃料の流量を制御する制御弁である。
燃料処理装置32は、第1実施形態と同様の構成であり、燃料処理配管33を通じて導かれる液体アンモニアを希釈処理するための水が蓄えられた水タンク32Tと、水タンク32Tに水を供給する給水ポンプ(不図示)と、給水ポンプから供給される水の流量を制御する弁(不図示)と、を備える。
図11に示すように、燃焼器3Dの基本的な構成は、第3実施形態(図8参照)と同様であるが、バーナ41Dの構成が異なる。本第4実施形態に係る燃焼器3Dのバーナ41Dは、第1実施形態で説明した燃料ノズル41aに代えて、液体燃料を噴霧可能な液体燃料ノズル41Daを有している。
液体燃料ノズル41Daには、燃料の種類ごとの噴霧孔が形成されている。本実施形態に係る液体燃料ノズル41Daには、副燃料配管102に連通し、灯油を噴霧するための噴霧孔98と、主燃料供給配管15に連通し、液体アンモニアを噴霧するための噴霧孔99と、が形成されている。
燃焼器3Dには、第1実施形態と同様、排気ガス7中の窒素酸化物(NOx)の排出量を低減する目的で、燃焼場にアンモニア水を噴霧する噴霧ノズル49が設けられている。また、車室3Dsには、第1実施形態と同様、ガスタービンGTの出力を増加する目的で噴霧ノズル49sが設けられている。噴霧ノズル49,49sには、水タンク32Tからアンモニア水が供給される。
水供給システムS5Dは、第1実施形態と同様、燃料処理装置32の水タンク32Tと燃焼器3Dに接続される水供給配管51と、水供給配管51に設けられる水ポンプ52、圧力調節弁53、開閉弁56、遮断弁55及び流量調節弁54と、噴霧ノズル49と、を有している。また、水供給システムS5Dは、水ポンプ52の下流で水供給配管51から分岐している水供給配管51sと、水供給配管51sに設けられる開閉弁56s、遮断弁55s及び流量調節弁54sと、噴霧ノズル49sと、を有している。
本第4実施形態では、水供給配管51における流量調節弁54の下流側に遮断弁57が設けられている。遮断弁57は、遮断弁55と同様、制御装置37からの信号に応じて水供給配管51を開閉可能な制御弁である。
水供給配管51における遮断弁57の下流側には、水供給配管51から分岐する第1分岐管118が設けられている。第1分岐管118は、主燃料供給配管15に接続されている。第1分岐管118には遮断弁119が設けられている。遮断弁119は、制御装置37からの信号に応じて第1分岐管118を開閉可能な制御弁である。
水供給配管51の流量調節弁54と遮断弁57との間には、水供給配管51から分岐する第2分岐管58が設けられている。第2分岐管58は、主燃料配管117における遮断弁114と流量調節弁113との間に接続されている。第2分岐管58には遮断弁59が設けられている。遮断弁59は、制御装置37からの信号に応じて第2分岐管58を開閉可能な制御弁である。
燃焼器3Dには、第3実施形態と同様、ドレン孔80が設けられている。ドレン孔80は、第3実施形態と同様、燃料処理システムS3Cのドレン配管81に接続されている。
燃焼器3Dは、主燃料及び副燃料を安定して燃焼することが可能である。制御装置37は、設定される運転モードに応じて各制御弁を制御する。運転モードには、灯油のみを燃焼器3Dによって燃焼させる灯油専焼モードと、液体アンモニアと灯油を燃焼器3Dによって同時に燃焼させる混焼モードと、液体アンモニアのみを燃焼器3Dによって燃焼させる液体アンモニア専焼モードと、がある。
タービン2と煙突8とを接続する排気管には、アンモニア濃度センサ140が設けられている。アンモニア濃度センサ140は、ガスタービンGTの排気ガス7中のアンモニアの濃度を検出し、検出結果を表す信号を制御装置37に出力する。制御装置37は、アンモニア濃度異常が検出された場合に、アンモニア濃度を低下する運転モードに切り替えるか、場合によっては緊急停止条件が成立したと判定する。制御装置37は、アンモニア濃度センサ140により検出されたアンモニア濃度が、濃度閾値よりも高くなるとアンモニア濃度異常が検出されたと判定する。
制御装置37は、排気ガス7中のアンモニア濃度が濃度閾値よりも高い場合には、アンモニア濃度を低下する運転モードに切り替えるか、場合によってはガスタービンGTを緊急停止させる。これにより、煙突8から大気に放出されるアンモニアの量を低減することができる。
図12及び図13を参照して、本実施形態に係るガスタービンGTの運転方法の一例について説明する。図12は、本発明の第4実施形態に係るガスタービンGTの通常時の運転におけるガスタービンGTの回転速度Ngと燃料流量の時系列変化の一例について示す図である。なお、燃料流量には、燃焼器3Dに供給される灯油の流量である灯油の燃料流量Fkと、燃焼器3Dに供給される液体アンモニアの流量である液体アンモニアの燃料流量Flaとがある。
液体アンモニアは、灯油に比べて着火し難くい。このため、本第4実施形態に係るガスタービン設備100Dは、点火、起動に関し信頼性の高い灯油を用いてガスタービンGTを起動させ、その後、燃料を灯油から液体アンモニアへ切り替える。
図12に示すように、ガスタービンGTは、a点で起動用モータ9(図11参照)によって起動される。ガスタービンGTが所定の回転速度となるb点で一定時間、残留している可能性のある燃料のパージ運転が実施される。その後c点で灯油が燃焼器3Dに供給され、点火栓42によって点火される。
燃焼器3Dの点火によりガスタービンGTの回転速度Ngは、c点からd点まで上昇し、d点で定格回転速度に到達する。起動用モータ9は、回転速度がc点からd点まで上昇する過程でタービン2の回転軸(ロータ)から切り離される。したがって、定格回転速度となるd点では、燃焼器3Dで発生した燃焼ガス6のエネルギーのみでタービン2が回転している。
制御装置37は、ガスタービンGTの回転速度Ngが定格回転速度に到達後、所定の負荷となるように灯油の燃料流量Fkをee点まで増加させる。その後、制御装置37は、ff点まで灯油専焼モードでガスタービン設備100Dを運転する。
制御装置37は、ff点に到達後、灯油の燃料流量Fkを徐々に減少させるとともに、液体アンモニアの燃料流量Flaを徐々に増加させる。ff点からgg点まで、制御装置37は、灯油と液体アンモニアの双方を燃焼器3Dに供給して燃焼させる混焼モードでガスタービン設備100Dを運転する。
制御装置37は、gg点において、灯油の燃料流量Fkを0(ゼロ)にして、gg点から液体アンモニア専焼モードでガスタービン設備100Dを運転する。液体アンモニア専焼モードでは液体アンモニアのみが燃焼器3Dで燃焼されるため、灯油専焼モード時に比べて排気ガス7に含まれる二酸化炭素の量を低減できる。
制御装置37は、hh点に到達後、液体アンモニアの燃料流量Flaを徐々に減少させるとともに、灯油の燃料流量Fkを徐々に増加させる。hh点からii点までは、制御装置37は、灯油と液体アンモニアの双方を燃焼器3Dに供給して燃焼させる混焼モードでガスタービン設備100Dを運転する。
制御装置37は、ii点において、液体アンモニアの燃料流量Flaを0(ゼロ)にして、ii点から灯油のみを燃焼器3Dに供給して燃焼させる灯油専焼モードでガスタービン設備100Dを運転する。
制御装置37は、jj点から灯油の燃料流量Fkを減少させて、kk点で0(ゼロ)にする。これにより、その後のl点において、ガスタービンGTが停止する。
次に、図13を参照して、水供給システムS5Dによる燃焼器3Dへの水噴霧処理及び水置換処理について説明する。図13は、本発明の第4実施形態に係るガスタービンGTの通常時の運転におけるガスタービンGTの回転速度Ngと供給水流量の時系列変化の一例について示す図である。なお、供給水流量には、噴霧ノズル49及び噴霧ノズル49sから噴霧されるアンモニア水の流量である噴霧水流量Fwと、第1分岐管118から主燃料供給配管15に供給されるアンモニア水の流量である第1分岐水流量Fb1と、第2分岐管58から主燃料配管117に供給されるアンモニア水の流量である第2分岐水流量Fb2と、がある。
第1分岐管118から主燃料供給配管15に供給されるアンモニア水は、主燃料供給配管15に残留する液体アンモニアと混合され、液体燃料ノズル41Daから噴霧される。
図13に示すように、制御装置37は、例えば、燃焼器3Dに灯油の供給を開始してから灯油の燃料流量Fkが最大値に到達するまでの間のr点において、噴霧ノズル49及び噴霧ノズル49sからアンモニア水の噴霧を開始する。噴霧水流量Fwはr点から増加し、s点で制御された値になる。噴霧水流量Fwは、t点から減少し、u点で0(ゼロ)になる。噴霧水流量Fwは、NOx排出特性などに応じて制御されることが好ましい。
なお、噴霧水流量Fwの特性は、図13に示す例に限定されず、例えば、液体アンモニアの燃料流量特性に合わせて変化させてもよい。つまり、噴霧水流量Fwは、ff点から増加し、gg点で最大値となり、hh点から減少し、ii点で0(ゼロ)となるような特性としてもよい。
ここで、噴霧ノズル49,49sからのアンモニア水の噴霧方法について説明する。噴霧水流量Fwは燃焼器3のエンドカバー44に設置した噴霧ノズル49と、車室3sに設置した噴霧ノズル49sから噴霧されるアンモニア水の総量を示している。噴霧ノズル49からは、灯油専焼モードでアンモニア水を噴霧することが好ましい。灯油専焼モードでは、内筒(ライナ)40内部で燃焼温度が局所的に上昇し、窒素酸化物の排出量が多くなる。噴霧ノズル49から燃焼場にアンモニア水を噴霧することで、燃焼温度を低下し窒素酸化物の発生を抑制することが期待できる。一方、車室3sに設置した噴霧ノズル49sは液体アンモニア専焼時にアンモニア水を噴霧することで、タービン2に対する作動流体を増加し、ガスタービンGTの出力を増加することが期待できる。
このように、本第4実施形態では、第1実施形態と同様、水タンク32T内のアンモニア水を燃焼器3D内に噴霧することにより、エネルギーを有効利用することができる。また、廃棄するアンモニア水の量を低減できるので、廃棄費用を低減できる。
制御装置37は、hh点(図12参照)からii点の間において、主燃料配管117の遮断弁114を制御し供給位置から遮断位置に切替動作させるとともに、三方弁31を第1位置から第2位置に切替動作させる。遮断弁114は、ii点において、遮断位置への切替動作が完了する。これにより、燃焼器3Dに噴霧される液体アンモニアの量を最小限にすることができ、煙突8から放出される排気ガス7のアンモニアの濃度を抑制することが可能となる。
さらに、本第4実施形態では、液体アンモニアの燃料流量Flaが減少し始めるhh点と同時期であるv点において、制御装置37は、第1分岐管118に設けられた遮断弁119を遮断位置から供給位置に切替動作させる。これにより、主燃料供給配管15に残留する液体アンモニアと、第1分岐管118を通じて供給されるアンモニア水とが、液体燃料ノズル41Daに供給される。
主燃料配管117の遮断弁114が遮断位置に切り替えられる前に、三方弁31と主燃料供給配管15に、第1分岐管118からアンモニア水が供給される。遮断弁114が遮断位置に切り替えられると、主燃料供給配管15への液体アンモニアの供給はなくなる。これにより、主燃料供給配管15の内部が、第1分岐管118から供給されるアンモニア水によって洗浄される。
なお、第1分岐水流量Fb1は、v点からw点まで増加し、w点からx点までの間では所定の流量となり、x点からy点まで減少する。w点からx点までの間、所定の流量のアンモニア水が液体燃料ノズル41Daから燃焼器3D内に噴霧されるが、燃焼器3Dは灯油によって安定して燃焼している。このため、液体アンモニアと第1分岐管118からのアンモニア水との混合水が、燃焼器3Dに噴出されても安定して燃焼する。その結果、煙突8から大気に放出される排気ガス7のアンモニアの濃度をさらに抑制することが可能となる。
なお、図13に示す例では、第1分岐水流量Fb1が減少するタイミング(x点)が、噴霧水流量Fwが減少し始めるタイミング(t点)と同時期となっているが、第1分岐水流量Fb1が減少し始めるタイミング(x点)及び第1分岐水流量Fb1が0(ゼロ)になるタイミング(y点)は、任意に設定可能である。
本実施形態では、遮断弁114が供給位置から遮断位置に切り替えられるとともに、三方弁31が第1位置から第2位置に切り替えられる。したがって、遮断弁114よりも下流側の主燃料配管117内に残留する液体アンモニアは、三方弁31及び燃料処理配管33を通じて燃料処理装置32に導かれる。
なお、燃料処理装置32に液体アンモニアが回収された後、液体アンモニアが通過した燃料処理配管33の内部には、液体アンモニアが付着している。そこで、本第4実施形態に係るガスタービン設備100Dでは、図11に示すように、主燃料配管117における遮断弁114の下流側に、水供給配管51から分岐する第2分岐管58が接続されている。
制御装置37は、液体アンモニアが燃料処理装置32に流れ終わると考えられる時刻、すなわち図13のvv点において遮断弁59を遮断位置から供給位置に切り替える。第2分岐水流量Fb2は、vv点からww点まで増加し、ww点からxx点までの間、所定の流量のアンモニア水が主燃料配管117に供給される。第2分岐水流量Fb2は、xx点から減少し、yy点で0(ゼロ)になる。主燃料配管117に供給されたアンモニア水は、三方弁31を通じて燃料処理配管33に供給され、燃料処理装置32に回収される。これにより、主燃料配管117及び燃料処理配管33内に付着している高純度の液体アンモニアがアンモニア水によって洗浄される。
図14及び図15を参照して、本発明の第4実施形態に係るガスタービンGTの緊急停止方法の一例について説明する。図14は、本発明の第4実施形態に係るガスタービンGTを緊急停止する際のガスタービンGTの回転速度Ngと燃料流量の時系列変化の一例について示す図である。図15は、本発明の第4実施形態に係るガスタービンGTを緊急停止する際のガスタービンGTの回転速度Ngと供給水流量の時系列変化の一例について示す図である。
図14のgg点までの時系列変化は図12と同じである。図14に示すように、ガスタービン設備100Dは、gg点から液体アンモニア専焼モードで運転されている。図14では、mm点において、何らかの異常が検出されることにより、ガスタービンGTが緊急停止した状況が示されている。
図14に示すように、制御装置37は、緊急停止条件が成立すると、緊急停止モードへ移行し、遮断弁114によって燃焼器3Dへの液体アンモニアの供給の遮断を開始する(mm点)。nn点において、液体アンモニアの燃料流量Flaは、遮断弁114によって遮断され0(ゼロ)になる。また、制御装置37は、遮断弁114を供給位置から遮断位置に切り替えるとともに三方弁31を第1位置から第2位置に切り替える。
なお、本第4実施形態に係る制御装置37は、第3実施形態と同様、緊急停止モードにおいて、起動用モータ9を駆動して、ガスタービンGTを所定の回転速度で一定時間回転させる(o点~p点)。
図15のs点までの時系列変化は図13と同じである。図15に示すように、本第4実施形態に係る制御装置37は、遮断弁114の供給位置から遮断位置への切替動作に連動して遮断弁119を遮断位置から供給位置へ切替動作させる(mm点)。また、制御装置37は、遮断弁119を一定時間だけ供給位置にした後、遮断位置に戻す。これにより、第1分岐水流量Fb1は、mm点からw′点まで増加し、w′点からx′点まで一定値となり、x′点からy′点まで減少する。これにより、図11に示す主燃料供給配管15に残留する高純度の液体アンモニアをアンモニア水で洗い流し、液体アンモニアが溶け込んだアンモニア水を噴霧孔99から内筒40内に噴霧させることができる。
主燃料供給配管15から噴霧孔99を通じて内筒40内に供給されたアンモニア水は、内筒40の開口部から外筒43と内筒40の間の環状流路に流れ込み、その後、ドレン孔80からドレン配管81に流れ込む。ドレン配管81に流れ込んだアンモニア水は、燃料処理装置32の水タンク32Tに導かれる。これにより、煙突8から大気に放出されるアンモニアの量を低減することができる。
制御装置37は、主燃料配管117における遮断弁114から三方弁31の間の液体アンモニアが燃料処理配管33を通じて燃料処理装置32に流れ終わると考えられる時刻、すなわち図15のvv′点で遮断弁59を遮断位置から供給位置に切替動作させる。また、制御装置37は、遮断弁59を一定時間だけ供給位置にした後、遮断位置に戻す。これにより、第2分岐水流量Fb2は、vv′点からww′点まで増加し、ww′点からxx′点までの間、所定の流量のアンモニア水が主燃料配管117に供給される。第2分岐水流量Fb2は、xx′点から減少し、yy′点で0(ゼロ)になる。主燃料配管117に供給されたアンモニア水は、三方弁31を通じて燃料処理配管33に供給され、燃料処理装置32に回収される。これにより、主燃料配管117及び燃料処理配管33内に付着している高純度の液体アンモニアがアンモニア水によって洗浄される。
以上のとおり、本第4実施形態では、主燃料供給設備112から三方弁31を通じて燃焼器3Dに供給される燃料が液体アンモニアである例について説明した。このような第4実施形態においても、上記実施形態と同様、遮断弁114の供給位置から遮断位置への切替動作に連動して、燃焼器3Dの近くに配置された三方弁31が、第1位置から第2位置へ切替動作される。これにより、ガスタービンGTの緊急停止時に、液体アンモニアが気化することにより生成されるアンモニアガスの大気への放出量を低く抑えることができる。
次のような変形例も本発明の範囲内である。
<変形例1>
第1~第3実施形態では、副燃料として天然ガスを用いる例について説明したが、天然ガス以外の気体燃料を副燃料として用いてもよい。また、第4実施形態では、副燃料として灯油を用いる例について説明したが、灯油以外の液体燃料を副燃料として用いてもよいし、気体燃料を副燃料として用いてもよい。さらに、第1~第4実施形態では、ガスタービン設備が主燃料供給システムと副燃料供給システムの2系統の燃料供給システムを備えている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ガスタービン設備は、3系統以上の燃料供給システムを備えていてもよい。
<変形例2>
上記実施形態では、複数の燃焼器を備える多缶式のガスタービンGTについて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、単一の燃焼器を備える単缶式のガスタービンGTに適用することもできる。
<変形例3>
上記実施形態では、複数の燃焼器に接続されるマニホールドの上流側に三方弁31を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。三方弁31は、マニホールドと燃焼器3とを接続する配管に設けられていてもよい。なお、上記実施形態で説明したように、マニホールドの上流側に三方弁31を設けることにより、マニホールドの下流側に三方弁31を設ける場合に比べて三方弁31の数を低減できる。アンモニアガスの大気への放出量をより少なくするには、主燃料供給配管15における三方弁31の位置を相対的にマニホールドの近くにすることが望ましい。一方、マニホールドの下流側の配管に三方弁31を設置する場合、マニホールド内に残留する燃料の大気への放出を抑制することができる。何れの例も、主燃料配管17に残留するアンモニアガスを燃料処理装置32に導くことができるので、アンモニアガスが大気に放出されることを効果的に抑制できる。
ここで、図16に、三方弁31をマニホールド150の上流側に配置した例を示し、図17に、三方弁31をマニホールド150の下流側に配置した例を示す。ガスタービン設備は複数の燃焼器3(3a,3b,3c,…,3n)を備えており、この燃焼器3a~3nにはマニホールド150を介して燃料が分岐して供給される。
図16の例では、マニホールド150の上流側である1ヶ所に三方弁31が配置されている。この例では、主燃料供給配管15が、導入配管15zと、マニホールド150と、複数の枝管15a,15b,15c,…,15nとを含んで構成される。導入配管15zは、三方弁31の第1出口ポート31oaとマニホールド150に接続され、三方弁31を通じて主燃料配管17から供給された燃料をマニホールド150に導く。マニホールド150は、導入配管15zによって導入された燃料を分岐して複数の枝管15a,15b,15c,…,15nに供給する。複数の枝管15a,15b,15c,…,15nは、マニホールド150と複数の燃焼器3(3a,3b,3c,…,3n)に接続され、マニホールド150から供給された燃料を複数の燃焼器3(3a,3b,3c,…,3n)に供給する。この構成によれば、マニホールド150から分岐した枝管のそれぞれに三方弁を設置する場合に比べて、三方弁の数、及び燃料処理装置32に未燃燃料を供給する配管の数を減らすことができる。
図17の例では、マニホールド150の下流側である枝管17a,17b,17c,…,17nのそれぞれに三方弁31(31a,31b,31c,…,31n)が配置されている。この例では、主燃料配管17が、導入配管17zと、マニホールド150と、複数の枝管17a,17b,17c,…,17nとを含んで構成される。また、燃料処理配管33が、複数の小径配管33a,33b,33c,…,33nと、これらの小径配管よりも内径の大きい大径配管33zとを含んで構成される。
導入配管17zは、主燃料供給設備16とマニホールド150に接続され、主燃料供給設備16から供給された燃料をマニホールド150に導く。マニホールド150は、導入配管17zによって導入された燃料を分岐して複数の枝管17a,17b,17c,…,17nに供給する。複数の枝管17a,17b,17c,…,17nは、マニホールド150と複数の三方弁31(31a,31b,31c,…,31n)の入口ポート31iに接続される。複数の三方弁31(31a,31b,31c,…,31n)のそれぞれの第1出口ポート31oaには、複数の主燃料供給配管15(15A,15B,15C,…,15N)が接続される。複数の三方弁31(31a,31b,31c,…,31n)のそれぞれの第2出口ポート31obには、燃料処理配管33を構成する複数の小径配管33a,33b,33c,…,33nが接続される。複数の主燃料供給配管15(15A,15B,15C,…,15N)は、複数の燃焼器3(3a,3b,3c,…,3n)に接続される。複数の小径配管33a,33b,33c,…,33nは、燃料処理配管33を構成する大径配管33zに接続される。大径配管33zは、燃料処理装置32に接続される。この構成によれば、複数の三方弁31(31a,31b,31c,…,31n)を第1位置から第2位置に切り替えることにより、所定の容量を有するマニホールド150内の残存燃料を含む主燃料配管17内の残存燃料を燃料処理装置32に導くことが可能となり、アンモニアガスの大気への放出量をより低減することができる。
上述した実施形態及び変形例は本発明を理解し易く説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態、変形例の構成の一部を他の実施形態、変形例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態、変形例の構成に他の実施形態、変形例の構成を加えることも可能である。
例えば、第3実施形態では、主燃料がアンモニアガスである例について説明したが、第3実施形態において、アンモニアガスに代えて水素ガスを主燃料として用いてもよい。緊急停止条件が成立した後、起動用モータ9によってガスタービンGTが一定時間回転させられるので、ガスタービンGT内の水素ガスの濃度を低減することができる。その結果、第2実施形態に比べて、意図しない場所での水素ガスの発火をより効果的に防止できる。
また、第1実施形態の変形例2において、緊急停止条件が成立する種々の異常の例について説明した。第1実施形態の変形例2に記載した種々の異常に基づいて緊急停止条件が成立したか否かを判定する処理は、第2~第4実施形態においても同様に行うことができる。
以上のとおり、上記実施形態及び変形例で説明したように、ガスタービン設備は、燃料供給設備に接続される燃料配管と、燃焼器に接続される燃料供給配管と、燃料処理装置に接続される燃料処理配管と、を接続する三方弁を備えている。この構成によれば、ガスタービンGTを緊急停止させる際に三方弁を燃料供給配管の遮断弁とともに動作させ、三方弁によって燃料配管と燃料処理配管とを連通することにより、燃料供給配管内に残留する未燃燃料(アンモニアガス、水素ガス、液体アンモニア等)を燃料処理装置に供給することができる。このようなガスタービン設備によれば、ガスタービンの緊急停止時に未燃燃料に起因する不具合を防止できる。