JP7380558B2 - α-ヒドロキシイソ酪酸エステル化合物、香料組成物、及び香料としての使用 - Google Patents
α-ヒドロキシイソ酪酸エステル化合物、香料組成物、及び香料としての使用 Download PDFInfo
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Description
また、特許文献1にはα位に酸素との結合を持つイソ酪酸エステルとして、α-アルコキシイソ酪酸の直鎖又は分岐した炭素数4~12のアルキルエステルが香料として有用であることが開示されており、α-エトキシイソ酪酸ノルマルヘキシルがラベンダー様の香気を持つと記載がある。
例えば特許文献2では、α-ヒドロキシイソ酪酸のノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル及びアミルエステルがニトロセルロースの溶解性に優れた溶媒であることが開示されている。
また、特許文献3では、α-ヒドロキシイソ酪酸のエチル、イソプロピル、ブチルエステルが低毒性で安全性の高い溶媒として脱脂用洗浄剤、フラックス洗浄剤、レジスト剥離剤等に有用であることが開示されている。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
<3> 式(1)で表される化合物の香料としての使用。
(式(1)中、Rは炭素数2~6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。)
<5> 式(1)で表される化合物が、ミント様の香りを付与する、<3>又は<4>に記載の使用。
<6> 式(1)で表される化合物が、グリーンノートの香りを付与する、<3>又は<4>に記載の使用。
<7> 式(1)で表される化合物が、フルーティノートの香りを付与する、<3>又は<4>に記載の使用。
<8> 下記式(2)で表される化合物。
本発明の香料組成物は、下記式(1)で表される化合物を有効成分として含む。また、本発明の使用は、下記式(1)で表される化合物の香料としての使用である。従来、α-ヒドロキシイソ酪酸エステル化合物については、報告があるが、α-ヒドロキシイソ酪酸エステル固有の香りについて、先行文献に記載はなかった。
以下、本発明について、詳細に説明する。
<式(1)で表される化合物>
本発明の香料組成物及び本発明の使用に用いられる化合物は、下記式(1)で表される。
(式(1)中、Rは炭素数2~6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。)
R基が不斉炭素を持つ場合には、式(1)で表される化合物は、それによって生じる光学異性体のいずれか1つ又は任意の割合での混合物を含む。
特に好ましくは、Rがエチル基である。
特に好ましくは、Rがノルマルプロピル基である。
特に好ましくは、Rがイソプロピル基である。
特に好ましくは、Rがノルマルブチル基である。
特に好ましくは、Rがイソブチル基である。
特に好ましくは、Rがセカンダリーブチル基である。
特に好ましくは、Rがターシャリーブチル基である。
特に好ましくは、Rが3-メチルブタン-2-イル基である。
特に好ましくは、Rが2-メチルブチル基である。
特に好ましくは、Rが3-メチルブチル基である。
特に好ましくは、Rがネオペンチル基である。
特に好ましくは、Rが2-メチルペンチル基である。
特に好ましくは、Rが4-メチルペンタン-2-イル基である。
特に好ましくは、Rがノルマルヘキシル基である。
特に好ましくは、Rがシクロペンチル基である。
特に好ましくは、Rがシクロヘキシル基である。
本発明において、式(1)で表される化合物として、以下の式(1-1)~(1-35)のいずれかで表される化合物が例示される。好ましい化合物は、以下の式(1-1)~(1-10)、(1-13)、(1-16)~(1-18)、(1-21)、(1-24)のいずれかで表される化合物であり、また、好ましい化合物は、以下の式(1-1)~(1-10)のいずれかで表される化合物である。
式(1)で表される化合物は、生分解性に優れ、かつ、生物蓄積性が小さい化合物を含み、この観点からは、Rは、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンタン-2-イル基、ノルマルヘキシル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基よりなる群から選択された基であることが好ましい。また、同様にの観点から、Rは、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、4-メチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基よりなる群から選択された基であることも好ましい。
また、式(1)で表される化合物が、本発明の効果を損なわない範囲で、少量の不純物、副生成物、夾雑物などを含むことを排除するものではない。
また、式(1)で表される化合物は、香料として使用することが好ましく、ミントの香り、グリーンノートの香り又はフルーティノートの香りを付与するために使用されることがより好ましい。
本発明の香料組成物(調合香料)は、式(1)で表される化合物を有効成分として含有する。なお、式(1)で表される化合物を少なくとも1種以上含有すれば特に限定されず、2種以上の式(1)で表される化合物を含有してもよい。
本発明の香料組成物は、式(1)で表される化合物を有効成分として含有していればよく、その他の成分については特に限定されないが、他の調合香料素材(以下、「従来香料」ともいう。)を更に含有することが好ましい。
なお、「香料組成物(調合香料)」とは、該香料組成物を各種香粧品類、医薬品、食品、飲料等に添加することで、香気を付与する組成物、又はそれ自体として香水等に使用される組成物であり、従来香料に加え、必要に応じて、溶媒等の添加剤を含有してもよい。
式(1)で表される化合物の配合量は、化合物の種類、目的とする香気の種類及び香気の強さ等により異なるが、式(1)で表される化合物の量として香料組成物中に、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
例えば、リモネン、α-ピネン、β-ピネン、テルピネン、セドレン、ロンギフォレン、バレンセン等の炭化水素類;リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、テルピネオール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、ファルネソール、ネロリドール、シス-3-ヘキセノール、セドロール、メントール、ボルネオール、β-フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルヘキサノール、2,2,6-トリメチルシクロヘキシル-3-ヘキサノール、1-(2-t-ブチルシクロヘキシルオキシ)-2-ブタノール、4-イソプロピルシクロヘキサンメタノール、4-t-ブチルシクロヘキサノール、4-メチル-2-(2-メチルプロピル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、イソカンフィルシクロヘキサノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール等のアルコール類;オイゲノール、チモール、バニリン等のフェノール類;リナリルホルメート、シトロネリルホルメート、ゲラニルホルメート、n-ヘキシルアセテート、シス-3-ヘキセニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、テルピニルアセテート、ノピルアセテート、ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、シンナミルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、3-ペンチルテトラヒドロピラン-4-イルアセテート、シトロネリルプロピオネート、トリシクロデセニルプロピオネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、エチル2-シクロヘキシルプロピオネート、ベンジルプロピオネート、シトロネリルブチレート、ジメチルベンジルカルビニルn-ブチレート、トリシクロデセニルイソブチレート、メチル2-ノネノエート、メチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルシンナメート、メチルサリシレート、n-ヘキシルサリシレート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、ゲラニルチグレート、シス-3-ヘキセニルチグレート、メチルジャスモネート、メチルジヒドロジャスモネート、メチル-2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチルメチルフェニルグリシデート、メチルアントラニレート、フルテート等のエステル類;n-オクタナール、n-デカナール、n-ドデカナール、2-メチルウンデカナール、10-ウンデセナール、シトロネラール、シトラール、ヒドロキシシトロネラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、4(3)-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、2-シクロヘキシルプロパナール、p-t-ブチル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p-イソプロピル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p-エチル-α,α-ジメチルヒドロシンナミックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、ピペロナール、α-メチル-3,4-メチレンジオキシヒドロシンナミックアルデヒド等のアルデヒド類;メチルヘプテノン、4-メチレン-3,5,6,6-テトラメチル-2-ヘプタノン、アミルシクロペンタノン、3-メチル-2-(シス-2-ペンテン-1-イル)-2-シクロペンテン-1-オン、メチルシクロペンテノロン、ローズケトン、γ-メチルヨノン、α-ヨノン、カルボン、メントン、ショウ脳、ヌートカトン、ベンジルアセトン、アニシルアセトン、メチルβ-ナフチルケトン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン、マルトール、7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン等のケトン類;アセトアルデヒドエチルフェニルプロピルアセタール、シトラールジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセリンアセタール、エチルアセトアセテートエチレングリコールケタール類のアセタール類及びケタール類;アネトール、β-ナフチルメチルエーテル、β-ナフチルエチルエーテル、リモネンオキシド、ローズオキシド、1,8-シネオール、ラセミ体又は光学活性のドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン等のエーテル類;シトロネリルニトリル等のニトリル類;γ-ノナラクトン、γ-ウンデカラクトン、σ-デカラクトン、γ-ジャスモラクトン、クマリン、シクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、アンブレットリド、エチレンブラシレート、11-オキサヘキサデカノリド等のラクトン類;オレンジ、レモン、ベルガモット、マンダリン、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミル、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、セダー、ヒノキ、サンダルウッド、ベチバー、パチョリ、ラブダナム等の天然精油や天然抽出物;合成香料等の他の香料物質等である。
また、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸4-メチルペンタン-2-イルは、香料として使用することが好ましく、ミント様の香りを付与するために使用されることがより好ましい。
式(1)で表される化合物の製造方法に特に制限はなく、従来公知の方法から適宜選択して用いればよい。
例えば、ピルビン酸エステルとメチルハロゲン化マグネシウムをグリニャール反応させることによってα-ヒドロキシイソ酪酸エステルを製造することができる。この反応の反応式を下記式(3)に示した。
反応収率(%)=[(反応液中の生成エステルのモル数)/(仕込液中の原料エステルのモル数)]×100%
装置:GC-2010((株)島津製作所製、製品名)
検出器:FID
カラム:DB-1(J&W製キャピラリーカラム、製品名)(0.25mmφ×60m×0.25μm)
エステルの同定は1H-NMR測定及び13C-NMR測定によって行った。測定条件を下記に示す。
装置:ECA500(日本電子(株)製、製品名)
〔1H-NMR〕
核種:1H
測定周波数:500MHz
測定試料:5%CDCl3溶液
〔13C-NMR〕
核種:13C
測定周波数:125MHz
測定試料:5%CDCl3溶液
化合物の同定は、GC-MS測定(化学イオン化法[CI+]、高分解能質量分析[ミリマス])により分子量を特定することによっても行った。測定条件を下記に示す。
GC装置:Agilent 7890A(アジレント社製、商品名)
GC測定条件
カラム:DB-1(J&W製キャピラリーカラム、製品名)(0.25mmφ×30m×0.25μm)
MS装置:JMS-T100GCV(日本電子(株)製、製品名)
MS測定条件、化学イオン化法
検出器条件:200eV,300μA
試薬ガス:イソブタン
化学イオン化法によりプロトン化された状態で検出されたフラグメントのExact.Mass値と、それによって帰属された化学組成式を記載した。
蒸留管を備えた300mlガラス製フラスコにα-ヒドロキシイソ酪酸メチル(三菱ガス化学(株)製)56.7g、エタノール(和光純薬工業(株)製)33.2g、チタンテトラエトキシド(和光純薬工業(株)製)0.92gを充填した。常圧下で加熱還流しながらエステル交換反応を行い、生成するメタノールを系外に抜き出しながら96時間反応を行った。その結果、下記式(6)の反応により反応収率97%でα-ヒドロキシイソ酪酸エチルが得られた。反応系に加水して触媒を失活させた後に減圧蒸留を行い、71mmHg、77℃の留分としてα-ヒドロキシイソ酪酸エチル46.9g(GC分析による純度(以下、GC純度ともいう。):99.6%)を得た。
参考例1と同様の反応装置を用い、適量のα-ヒドロキシイソ酪酸メチル(三菱ガス化学(株)製)と各種アルコール(ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、2-メチルブタノール、ネオペンチルアルコール、2-メチルペンタノール、ノルマルヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、4-メチルペンタン-2-オール)をチタンテトラアルコキシド及び/又はナトリウムアルコキシドのような適当な触媒の存在下、場合によってはヘキサン、トルエンのような溶媒共存下で、加熱しながら適当な反応条件下でエステル交換反応させた。反応によって生成するメタノールを反応条件下で蒸留又は反応溶媒との共沸によって系外へ抜出しながらエステル交換反応を完結し、参考例1と同様の分離操作を行い、以下のα-ヒドロキシイソ酪酸エステルをそれぞれ得た。得られたイソ酪酸エステルのGC純度を併記した。
α-ヒドロキシイソ酪酸ノルマルプロピル(GC純度:99.8%)
α-ヒドロキシイソ酪酸イソプロピル (GC純度:99.6%)
α-ヒドロキシイソ酪酸ノルマルブチル (GC純度:99.9%)
α-ヒドロキシイソ酪酸イソブチル (GC純度:99.6%)
α-ヒドロキシイソ酪酸セカンダリーブチル (GC純度:99.6%)
α-ヒドロキシイソ酪酸2-メチルブチル (GC純度:99.9%)
α-ヒドロキシイソ酪酸ネオペンチル (GC純度:99.9%)
α-ヒドロキシイソ酪酸2-メチルペンチル (GC純度:99.7%)
α-ヒドロキシイソ酪酸ノルマルヘキシル (GC純度:99.6%)
α-ヒドロキシイソ酪酸シクロペンチル (GC純度:99.8%)
α-ヒドロキシイソ酪酸シクロヘキシル (GC純度:99.6%)
α-ヒドロキシイソ酪酸4-メチルペンタン-2-イル(GC純度:99.8%)
α-ヒドロキシイソ酪酸4-メチルペンタン-2-イルは、不斉炭素を1つ有し、R体とS体との混合物として得られた。得られたα-ヒドロキシイソ酪酸4-メチルペンタン-2-イルは、R体とS体との混合比率が1:1の混合物(ラセミ体)であると考えられる。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.90 (3H, d, J = 6.5Hz), 0.92 (3H, d, J = 7.0Hz), 1.24 (3H, d, J =6.5Hz), 1.31 (1H, m), 1.41 (3H, s), 1.42 (3H, s), 1.58-1.65 (2H, m), 3.17 (1H, br s), 5.05 (1H, m)
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 20.3, 22.1, 22.9, 24.7, 27.0, 27.1, 44.9, 71.2, 71.8, 177.2
Exact.Mass 189.15338(C10H20O3,親ピーク),105.05906(C4H8O3)
冷却管、撹拌装置、ディーンスターク装置を備えた300mlガラス製丸底フラスコにα-ヒドロキシイソ酪酸25.0g(三菱ガス化学(株)製)、イソアミルアルコール105.0g(東京化成工業(株)製、2-メチルブタノール17%、3-メチルブタノール83%の異性体混合物)、ヘキサン(和光純薬工業(株)製)25.0g、パラトルエンスルホン酸1.3g(和光純薬工業(株)製)を入れ、常圧下で還流しながらエステル化反応を行い、生成する水をヘキサンと共沸させ、ディーンスターク装置で分離しながら4時間反応させた。10%水酸化ナトリウム水溶液で触媒を中和し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した後に減圧蒸留して19hPa、84℃の留分としてα-ヒドロキシイソ酪酸イソアミル19.3g(α-ヒドロキシイソ酪酸2-メチルブチルエステル17%、α-ヒドロキシイソ酪酸3-メチルブチルエステル83%の異性体混合物としてGC純度:99.8%)を得た。この反応の反応式を下記式(7)に示した。
化合物の生分解性の評価方法の一つにOECDテストガイドライン301Cがあり、化合物と好気性微生物の共存する水溶液中における生化学的酸素要求量と実際の酸素消費速度から化合物の生分解性の良否を判断することができる。
この試験方法に準じた化合物の生分解する確率を、被験物質の化学構造から容易、かつ、精度よく推算する方法として「Biowin5」、「Biowin6」という計算ソフトウェアが知られている。
該ソフトウェアはアメリカ合衆国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency, EPA)が化学物質の環境への影響を評価する目的で作成した「The Estimations Programs Interface for Windows version 4.1」という計算ソフトウェアのモジュールの1つとして公共に配布されており、Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals(GHS)の化合物分類やアメリカ合衆国環境保護庁の新規化学物質審査において利用されている。このソフトウェアを用いて、既存の香料材料と本発明の化合物の生分解性及び生物濃縮性の違いを評価した。
また、「BCFWIN version3.01」による生体濃縮性の評価として「regression-based method」及び「Arnot-Gobas method」両方法による出力結果を表2~表3に示した。両方法のどちらも数字が大きい程、環境から魚体へ濃縮することを意味し、食物連鎖によって環境へ悪影響を及ぼす指標となる。
表2~表3から類似する既存の香料材料であるメントール、メントン、カルボンに対して、本発明の化合物は良好な生分解性及び低い生物濃縮性が期待できる結果が得られた。本発明の化合物は香料として環境に放出された後に容易に生分解し、かつ生体濃縮し難いことにより、より環境への負荷が少ない傾向を示した。
表4に示す組成を持つ香料組成物78.7質量部に、実施例3で得られたα-ヒドロキシイソ酪酸イソプロピル21.3質量部を加えた香料組成物を調合した。
調香師による香気評価により、表4に記載した組成を持つ香料組成物に実施例3のα-ヒドロキシイソ酪酸イソプロピルを添加することにより、爽やかでフレッシュな軽い感じのフローラルグリーンを付与することかできた。その結果、ミント様、及びライラック様フローラルグリーンの香気が付与された新規なホワイトフローラルタイプの香料組成物が得られた。この香料組成物の香気は化粧水、デオドラントシート、ボディーパウダーなどへの賦香に適すると思われる。
L-メントール10質量部に、実施例3で得られたα-ヒドロキシイソ酪酸イソプロピル90質量部を加えた香料組成物を調合した。また、比較対象としてL-メントール10質量部に、99.5%エタノール90質量部を加えた香料組成物を調合した。調香師による香気評価によって、両者の香気の違いを比較評価した。同様の方法でDL-メントン、L-カルボンについても、各々行った。その香気の比較評価の結果を表5にまとめた。
L-メントール、DL-メントン、L-カルボンなどの代表的なミント調の香料材料を、ミント調のα-ヒドロキシイソ酪酸イソプロピルで希釈すると、L-メントール、DL-メントン、L-カルボンのミント調を邪魔することなく、強くリフトアップして拡散性が増し、ミントの清涼感がより強く感じられるようになり、同時にフローラル、グリーンな感じも付加されて、よりナチュラルなミント様の香気が得られた。実施例3で得られたα-ヒドロキシイソ酪酸イソプロピルはミント調香料素材のリフトアップ材料として有用であった。
表6に示す組成を持つ香料組成物84.3質量部に、実施例4で得られたα-ヒドロキシイソ酪酸ノルマルブチル15.7質量部を加えた香料組成物を調合した。
調香師による香気評価により、表6に記載した組成を持つ香料組成物に実施例4のα-ヒドロキシイソ酪酸ノルマルブチルを添加することにより、ガーデニア特有の甘さを強調することができ、スッキリとしたグリーンを付与することができた。その結果、グリーン調が付与され、ミルク様の甘さが強調された新規なガーデニアタイプの香料組成物が得られた。この香料組成物の香気はヘアートリートメント、乳液、スキンクリーム、ボディーローションなどへの賦香に適すると思われる。
表7に示す組成を持つ香料組成物83.6質量部に、実施例5で得られたα-ヒドロキシイソ酪酸イソブチル16.4質量部を加えた香料組成物を調合した。
調香師による香気評価により、表7に記載した組成を持つ香料組成物に実施例5のα-ヒドロキシイソ酪酸イソブチルを添加することにより、スッキリとしたグリーン調が付与され、ウッディ調が強調された甘さのある上品で新規なミューゲタイプの香料組成物が得られた。この香料組成物の香気はシャンプー、ボディーソープ、洗顔フォームなどへの賦香に適すると思われる。
表8に示す組成を持つ香料組成物84.8質量部に、実施例5で得られたα-ヒドロキシイソ酪酸イソブチル15.2質量部を加えた香料組成物を調合した。
調香師による香気評価により、表8に記載した組成を持つ香料組成物に実施例5のα-ヒドロキシイソ酪酸イソブチルを添加することにより、スッキリとしたグリーン調が付与され、ミルク様の甘さ及びウッディ調が強調されたシャープで温かな甘さのある新規な金木犀タイプの香料組成物が得られた。この香料組成物の香気はボディーローション、ハンドクリームなどへの賦香に適すると思われる。
表9に示す組成を持つ香料組成物80.5質量部に、実施例13で得られたα-ヒドロキシイソ酪酸4-メチルペンタン-2-イル19.5質量部を加えた香料組成物を調合した。
調香師による香気評価により、表9に記載した組成を持つ香料組成物に実施例13のα-ヒドロキシイソ酪酸4-メチルペンタン-2-イルを添加することにより、全体的にまとまりがでて、バランスが良くなった。その結果、スパイシーな温かさ、フルーティな甘さが付与されたナチュラルで華やかさのある新規なジャスミンタイプの香料組成物が得られた。この香料組成物の香気はスキンクリーム、石鹸、ヘアムースなどへの賦香に適すると思われる。
更に、実施例で得られた化合物は、いずれも優れた生分解性及び低い生物濃縮性を有し、環境への負荷が低いものであり、使用に適するものであることが示された。
Claims (10)
- 式(1)で表される化合物を有効成分として含有する香料組成物。
(式(1)中、Rは炭素数3~6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。) - 式(1)中、Rがノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンタン-2-イル基、ノルマルヘキシル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基よりなる群から選択される、請求項1に記載の香料組成物。
- 式(1)中、Rがセカンダリーブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンタン-2-イル基、ノルマルヘキシル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基よりなる群から選択される、請求項1又は2に記載の香料組成物。
- 式(1)で表される化合物の香料としての使用。
(式(1)中、Rは炭素数3~6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。) - 式(1)中、Rがノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンタン-2-イル基、ノルマルヘキシル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基よりなる群から選択される、請求項4に記載の使用。
- 式(1)中、Rがセカンダリーブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ネオペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチルペンタン-2-イル基、ノルマルヘキシル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基よりなる群から選択される、請求項4又は5に記載の使用。
- 式(1)で表される化合物が、ミント様の香りを付与する、請求項4~6のいずれか1つに記載の使用。
- 式(1)で表される化合物が、グリーンノートの香りを付与する、請求項4~6のいずれか1つに記載の使用。
- 式(1)で表される化合物が、フルーティノートの香りを付与する、請求項4~6のいずれか1つに記載の使用。
- 下記式(2)で表される化合物。
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