JP7379395B2 - 電力変換装置および直流送電システム - Google Patents

電力変換装置および直流送電システム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、電力変換装置および直流送電システムに関する。
近年、電力系統の安定度や信頼性、設備利用率の向上、広域連系の強化、再生可能エネルギーの普及や促進等を目的として、直流送電(High Voltage Direct Current、HVDC)システムやBTB(Back To Back)システムの導入が拡大している。帰線を有する多極HVDCシステムでは、直流側の地絡事故や短絡事故が生じた場合でも健全極の運転継続が求められる。しかしながら、直流地絡事故時の事故電流により非接地側帰線電位に変動が生じると、同側の健全極本線の電位変動を引き起こす。この現象によって、健全極変換器に流れる電流が急激に増加し、電圧の大幅な上昇や過電圧による運転停止等、運転継続に悪影響を及ぼす可能性があった。
特開2013-179781号公報
本発明が解決しようとする課題は、運転継続性を向上させた信頼性の高い電力変換装置および直流送電システムを提供することである。
実施形態の電力変換装置は、高電位側と低電位側の直流送電線の組を少なくとも2組有し、各組の相対的な高電位側もしくは低電位側の何れか一方の直流送電線を、他の組の高電位側もしくは低電位側の何れか一方と共有した多極構成に設けられる。また、電力変換装置は、前記各組の高電位側と低電位側の直流送電線の間にそれぞれ設けられる。また、電力変換装置は、電力変換部と、補正部とを持つ。電力変換部は、自己消弧能力を有するスイッチング素子を含む交流と直流とを変換する。補正部は、前記電力変換部の直流端子の高電位側から流出する向きを正としたときの前記直流送電線の直流電流もしくは前記直流電流に相当する演算値が電流基準値より大きい場合に所定の動作を行い、前記直流電流に応じて前記電力変換部の直流端子間の電圧の目標値を補正する。
実施形態の電力変換装置を含む電力変換システム1の構成の一例を示す図。 第1の事象について説明するための図。 第2の事象について説明するための図。 第3の事象について説明するための図。 実施形態の電力変換装置100の構成の一例を示す図。 実施形態の電力変換器120の構成の一例を示す図。 実施形態の電力変換器の構成の別の例を示す図。 実施形態のセルCLの構成の一例を示す図。 実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第1の例を示す図。 実施形態の直流電流制御部160の構成の一例を示す図。 実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第2の例を示す図。 実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第3の例を示す図。 実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第4の例を示す図。 実施形態の電力変換システムの別の例について説明するための図。
以下、実施形態の電力変換装置および直流送電システムを、図面を参照して説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態の電力変換装置を含む電力変換システム1の構成の一例を示す図である。電力変換システム1は、「直流送電システム」の一例である。図1に示す電力変換システム1は、第1交流系統E1と第2交流系統E2との間に接続される。電力変換システム1は、例えば、電力変換装置100-1~100-4と、直流送電線200-1~200-3とを備える。電力変換装置100-1~100-4は、交流系統と直流系統の連系点に設けられ、交流系統が供給する交流電力と、直流系統が供給する直流電力とを変換する。交流系統は、交流電源や交流負荷、直流系統は、直流電源や直流負荷であってもよい。
電力変換装置100-1、100-2は、第1交流系統E1と接続されており、第1交流系統E1からの交流電力を直流電力に変換する。また、電力変換装置100-1、100-2は、電力変換装置100-3、100-4側から直流送電線200-1、200-2を用いて送電された直流電力を交流電力に変換して第1交流系統E1へ出力する。電力変換装置100-3、100-4は、第2交流系統E2と接続されており、第2交流系統E2からの交流電力を直流電力に変換する。また、電力変換装置100-3、100-4は、電力変換装置100-1、100-2側から直流送電線200-1、200-2を用いて送電された直流電力を交流電力に変換して第1交流系統E2へ出力する。つまり、電力変換装置100-1~100-4は、交流から直流に変換する整流器としての制御(以下、「Rec制御」と称することがある)と、直流から交流に変換するインバータ制御(以下、「Inv制御」と称することがある)を行うことができる。
例えば、電力変換システム1において、両端が非接地の本線である直流送電線200-1、200-2のうち、電力変換装置100-1と100-3とを結ぶ直流送電線200-1の電位を正とし、電力変換装置100-2と100-4とを結ぶ直流送電線200-2の電位を負とする。直流送電線200-1、200-2は、極として表現されてよい。直流送電線200-3は、一端が接地された帰線であり、電力変換装置100-1と100-2との間に接続された側の電位は0(零、接地電位)である。直流送電線200-3は、一端が電力変換装置100-1および100-2と接続され、他端が電力変換装置100-3および100-4と接続されている。この場合、直流送電線200-1と200-3との組において、直流送電線200-1は相対的には高電位側の直流送電線であり、直流送電線200-3は相対的には低電位側の直流送電線である。また、直流送電線200-2と200-3との組において、直流送電線200-3は相対的には高電位側の直流送電線であり、直流送電線200-2は相対的には低電位側の直流送電線である。この場合において、直流送電線200-1および200-2は、他の組と共有していない送電線であり、直流送電線200-3は、他の組と共有する送電線である。つまり、図1に示す電力変換システム1は、高電位側と低電位側の直流送電線の組を2組有し、各組の相対的な高電位側もしくは低電位側の何れか一方の直流送電線を他の組の高電位側もしくは低電位側の何れか一方と共有した多極構成に設けられたものである。なお、高電位側と低電位側の直流送電線の組は、少なくとも2組設けられていればよい。
ここで、例えば、非接地側本線である直流送電線200-1または200-2に地絡または短絡の事故が発生した場合には、電力変換装置または電力変換システム全体の運転が停止したり、交流系統側に出力する有効電力が逆転(潮流反転)し、交流系統の電圧や周波数の安定性が損なわれる場合があり得る。以下、それぞれの例を3つの事象を分けて簡単に説明する。
図2は、第1の事象について説明するための図である。図2の例では電力変換システム1と同様の構成を示している。また、図2の矢印は、電線中の電流の流れる向きを概略的に示している。以降の事象の説明についても同様とする。また、図2の例において、電力変換装置100-3、100-4ではRec制御が行われ、電力変換装置100-1、100-2ではInv制御が行われているものとする。第1の事象は、直流送電線200-1および200-2のうち、直流送電線200-2に地絡が生じた場面における事象である。この場合、直流送電線200-1を健全極と称し、直流送電線200-2を事故極と称する。
第1の事象において、直流送電線200-2が地絡した場合(図中の(1))には、帰線である直流送電線200-3に事故電流が発生する(図中の(2))。これにより、非接地側(図中A地点)の帰線電位は上昇し、健全極である直流送電線200-1の電流が変動する(図中の(4)、事故後増加する電流成分)。直流送電線200-1(健全極本線)の電力変換装置100-3に接続された側(非接地側)の電位が上昇することで、電力変換装置100-3の高電位側から電力変換装置100-1の向きに流れる電流成分が増加する。地絡事故の発生した極の電力変換装置100-2と100-4は事故電流を検知して過電流保護のため運転を停止する。第1の事象によって、例えば、健全極接地側の電力変換装置100-1が過剰な有効電力を受電し、電圧(例えば、コンデンサ電圧、後述するMMCの場合はセルコンデンサ電圧)が上昇し、保護閾値を超過して電力変換装置100-1の運転が停止する可能性が生じる。したがって、本実施形態では、健全極のRec制御を行っている電力変換装置100-3において、入力される直流電流に応じて健全極(直流送電線200-1)に出力される直流電圧を制御する。具体的な制御内容については後述する。
図3は、第2の事象について説明するための図である。図3の例において、電力変換装置100-3、100-4ではRec制御が行われ、電力変換装置100-1、100-2ではInv制御が行われているものとする。第2の事象は、直流送電線200-1および200-2のうち、直流送電線200-1に地絡が生じた場面における事象である。この場合、直流送電線200-2を健全極と称し、直流送電線200-1を事故極と称する。
第2の事象において、直流送電線200-1が地絡した場合(図中の(1))には、帰線である直流送電線200-3に事故電流が発生する(図中の(2))。これにより、非接地側(図中A地点)の帰線電位が下降し、健全極である直流送電線200-2の電流が変動する(図中の(4)、事故後増加する電流成分)。直流送電線200-2(健全極本線)の電力変換装置100-4に接続された側(非接地側)の電位が下降することで、電力変換装置100-4の高電位側から電力変換装置100-2の向きに流れる電流成分が増加する。地絡事故の発生した極の電力変換装置100-1と100-3は事故電流を検知して過電流保護のため運転を停止する。第2の事象によって、例えば、健全極接地側の電力変換装置100-2が過剰な有効電力を受電し、電圧(例えば、コンデンサ電圧、後述するMMCの場合はセルコンデンサ電圧)が上昇し、保護閾値を超過して電力変換装置100-2の運転が停止する可能性が生じる。したがって、本実施形態では、健全極のRec制御を行っている100-4において、入力される直流電流に応じて出力される直流電圧を制御する。具体的な制御内容については後述する。
図4は、第3の事象について説明するための図である。図4の例において、電力変換装置100-1、100-2ではRec制御が行われ、電力変換装置100-3、100-4ではInv制御が行われているものとする。第3の事象では、直流送電線200-1および200-2のうち、直流送電線200-2に地絡が生じた場面における事象である。この場合、直流送電線200-1を健全極と称し、直流送電線200-2を事故極と称する。また、第3の事象は、潮流反転により、交流系統が電圧および周波数の安定性が損なわれる可能性がある事象を示している。
第3の事象において、直流送電線200-2が地絡した場合(図中の(1))には、帰線である直流送電線200-3に事故電流が発生する(図中の(2))。これにより、非接地側(図中A地点)の帰線電位が上昇し(図中の(3))、健全極である直流送電線200-1の電流が変動する(図中の(4)、事故後増加する電流成分)。地絡事故の発生した極の電力変換装置100-2と100-4は事故電流を検知して過電流保護のため運転を停止する。この場合、地絡事故発生前は、直流送電線200-1には、第1交流系統E1からの電力を第2交流系統E2に送るための電流が流れているが、直流送電線200-1(健全極本線)の電力変換装置100-3に接続された側(非接地側)の電位が上昇することで、電力変換装置100-3の高電位側から電力変換装置100-1の向きに流れる電流成分が発生し、潮流が反転する可能性がある。したがって、第3の事象では、交流系統に出力する有効電力が逆転し、第1交流系統E1と第2交流系統E2の電圧や周波数等の安定性が損なわれる可能性が生じる。したがって、本実施形態では、電力変換装置100-3において、入力される直流電流に応じて出力電圧を調整することで、健全極の電位変動影響を抑制する制御を行う。具体的な制御方法については後述する。直流送電線200-1が地絡した場合も同様の考え方ができるため、説明を省略する。
(電力変換装置の構成)
以下、電力変換装置100-1~100-4の構成について図を用いて説明する。なお、電力変換装置100-1~100-4は、同様の構成が適用可能であるため、以下では、電力変換装置100-1~100-4のそれぞれを区別して説明する場合を除き、単に「電力変換装置100」と総称する。
図5は、実施形態の電力変換装置100の構成の一例を示す図である。電力変換装置100は、電力変換器120と、変換器制御部150とを備える。電力変換器120は、「電力変換部」の一例である。電力変換器120は、変換器制御部150の制御に基づいて、Rec制御およびInv制御を行い、交流電力と直流電力とを相互に変換する。電力変換器120は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の自己消弧型スイッチング素子を用いて構成された回路である。実施形態において、電力変換器120は、モジュラー・マルチレベル変換器(以下、MMC:Modular Multilevel Converter)であるものとする。また、図5の例において、電力変換器120と系統連系点P1との間には連系インダクタLtrが設けられている。連系インダクタLtrは、その一部または全部をリアクトルやトランスの漏れリアクタンスで代用してもよい。また、図5の例において、系統連系点P1には、計測用変圧器VTが設けられている。変圧器VTは、例えば、各相の交流電圧を測定し、測定した各相の交流電圧を変換器制御部150側へ出力する。連系インダクタLtrおよび計測用変圧器VTは、例えば、電力変換装置100側に設けられてもよい。
変換器制御部150は、例えば、直流電流制御部160と、交流電流制御部180と、ゲート指令生成部190とを備える。変換器制御部150は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサが記憶部(不図示)に記憶されるプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、直流電流制御部160と、交流電流制御部180と、ゲート指令生成部190とを機能部として実現する。また、これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
直流電流制御部160は、電力変換器120から得られる直流送電線の直流電流Idcと、直流電流指令値Idc*(有効電流指令値に基づく電流指令値)と、電流基準値Irefとに基づいて直流電圧指令値を生成する。電流基準値Irefは、「基準値」の一例である。直流電流制御部160は、例えば、電位変動抑制制御部170を備える。電位変動抑制制御部170は、「補正部」の一例である。電位変動抑制制御部170は、電力変換器120から得られる直流電流Idcもしくは直流電流Idcに相当する演算値と、基準値とを比較し、比較結果に基づいて、直流送電線の本線における電位変動を抑制する制御を行う。例えば、電位変動抑制制御部170は、直流電流Idcもしくは演算値が電流基準値より大きい場合に後述する所定の動作を行い、直流電流に応じて直流電圧の指令値を調整し、直流端子間の電圧の目標値を補正する制御を行う。電位変動抑制制御部170を含む直流電流制御部160の機能の詳細については後述する。なお、実施形態において、直流電流は直流端子の高電位側から流出する向きを正と定義する。
交流電流制御部180は、電力変換器120から交流系統(交流電源)の交流電流(例えば三相交流電流Isr、Iss、Ist)と、交流電圧(例えば、三相交流電圧Vsr、Vss、Vst)とを取得し、取得した交流電流と交流電圧とに基づいて、所定の交流電流値または交流電圧値に制御されるように、交流電圧指令値を生成する。
ゲート指令生成部190は、直流電流制御部160により出力された電流電圧指令値および交流電流制御部180により出力された交流電圧指令値に基づいて、電力変換器120に入力されるゲート指令値を生成し、生成したゲート指令値を電力変換器120に出力する。これにより、電力変換器120は、入力されたゲート指令値により電力変換器120内のスイッチング素子のスイッチングを行って、直流電圧Vdcを調整する。
例えば、ゲート指令生成部190は、直流電流制御部160により直流電圧指定値として出力した直流電圧指令値(定数もしくは直流電流を制御するように調整された値)と、交流電流制御部180により交流電圧指令値として出力した電圧指令値Vr*、Vs*、Vt*とを入力とし、電力変換器120の交流端子と直流端子に疑似的に各電圧指令値が出力されるように電力変換器内部のスイッチング素子に与えるゲート指令gtp、gtn、…を演算して出力する。ゲート指令生成部190は、さらに、有効な過電圧検出信号や過電流検出信号が入力された場合にスイッチング制御を停止するため、全てのゲート指令を零としてもよい。
次に、電力変換器120の構成の一例について説明する。図6は、実施形態の電力変換器120の構成の一例を示す図である。図6に示す電力変換器120は、直流系統の正極(図示する端子P)と、直流系統の負極(図示する端子N)との間に複数のレグLGを備える。
レグLGの数は、例えば、交流系統が供給する交流電力の相数に対応する。本実施形態では、交流系統は、第1相(図示するR相)、第2相(図示するS相)及び第3相(図示するT相)の3相の交流電力を供給する。このため、電力変換器120は、R相に対応するレグLGrと、S相に対応するレグLGsと、T相に対応するレグLGtとを備える。以降の説明において、レグLGrと、レグLGsと、レグLGtとを互いに区別しない場合には、「レグLG」と総称する。
レグLGには、交流系統が供給する交流電力の3相のうちのある相が接続される。レグLGは、必要に応じてトランスを介してある相に接続してもよい。具体的には、レグLGrには、R相が接続され、レグLGsには、S相が接続され、レグLGtには、T相が接続される。以降の説明において、レグLGrと、R相との接続点を接続点CPrと記載し、レグLGsと、S相との接続点を接続点CPsと記載し、レグLGtと、T相との接続点を接続点CPtと記載する。以降の説明において、接続点CPrと、接続点CPsと、接続点CPtとを互いに区別しない場合には、単に接続点CPと記載する。また、以降の説明において、電力変換器120が出力する直流電圧の端子Pと同電位となる部位を、レグLGの端子Pとも記載し、当該直流電圧の端子Nと同電位となる部位を、レグLGの端子Nとも記載する。各レグLGは、互いに同様の構成を備える。以降の説明において、レグLGrに係る構成には、符号の末尾に「r」を付し、レグLGsに係る構成には、符号の末尾に「s」を付し、レグLGtに係る構成には、符号の末尾に「t」を付す。また、いずれのレグLGに係る構成であるかを互いに区別しない場合には、「r」、「s」、又は「t」を省略して示す。以下、各レグLGを代表してレグLGrについて説明する。
レグLGrは、n個のセルCL群(図示するセルCL1-1r~CL1-nr、及びセルCL2-1r~CL2-nr)2組と、複数のリアクトルRT(図示するリアクトルRT1r、RT2r)と、を備える。ここで、nは、自然数である。セルCLとは、例えば、ハーフブリッジ回路であるが、その構成の詳細は後述する。ここで、レグLGの端子Pから各相の接続点までの間のセルCL群を正側アームユニットとも記載する。また、各相の接続点からレグLGの端子Nまでの間のセルCL群を負側アームユニットとも記載する。正側アームユニットは、「第1のアームユニット」の一例である。負側アームユニットは、「第2のアームユニット」の一例である。第1のアームユニットと第2のアームユニットとを互いに接続した端子は、交流系統に接続される端子である。
レグLGrの正側アームユニットには、端子P側から接続点CPr側に向けて、セルCL1-1r~CL1-nrが記載の順に直列に接続され、これらがリアクトルRT1rを介して接続点CPrに接続される。また、レグLGrの負側アームユニットには、接続点CPr側から端子N側に向けて、セルCL2-1r~CL2-nrが記載の順に直列に接続され、これらがリアクトルRT2rを介して接続点CPrに接続される。
なお、レグLGrには、接続点CPから端子Pに流れる正側アーム電流(図示する、R相正側電流Ipr)を検出する電流検出器(不図示)と、端子Nから接続点CPに流れる負側アーム電流(図示する、R相負側電流Inr)を検出する電流検出器(不図示)とが設けられていてもよい。交流電流Isrは、別途交流側端子に電流検出器を設けて直接検出してもよいし、検出した正側アーム電流と負側アーム電流の差Ipr-Inrから演算して間接的に検出してもよい。直流電流Idcは、別途直流側端子に電流検出器を設けて直接検出してもよいし、検出した正側アーム電流もしくは負側アーム電流の3相和等から演算して間接的に検出してもよい。
図5の連系インダクタLtrとは、各相の交流電流Isr、Iss、Istに対して有効なインダクタンスを一括で表した等価連系インピーダンスであり、別途リアクトルやトランスを設けない場合は、アームごとのリアクトルRTのインダクタンス値の0.5倍となる。つまり、リアクトルRTのインダクタンス値をLとすると、Ltr=L/2[H]となる。さらに、インダクタンスL′のリアクトルやトランスを交流端子側に接続した場合は、Ltr=L′+L/2[H]となる。電力変換器120がMMCではなく、アームにリアクトルを有しない一般的な2レベル変換器のような構成の場合には、単純に交流側端子に接続したリアクトル、もしくはトランス漏れリアクタンスのインダクタンス値がLtrに一致する。
次に、電力変換器120の構成の別の例について説明する。図7は、実施形態の電力変換器の構成の別の例を示す図である。図7に示す電力変換器120Aでは、図6のリアクトルRTを、リアクトルの機能を代替するだけの漏れリアクタンスを有する特殊な巻線構造のトランスに置き換えている。正側アームユニットと負側アームユニットは互いに漏れリアクタンスを有するトランスの第1と第2の巻線を介して接続され、さらに、これらの巻線とは電気的に絶縁された第3の巻線を介して交流系統等に接続される。
図5の連系インダクタLtrに相当するインダクタンス値(等価連系インピーダンス)は、第1と第2の巻線の端子間の合計短絡インダクタンスをLとし、第3と第1の巻線の端子間の短絡インダクタンス、および、第3と第2の巻線の端子間の短絡インダクタンスをともにL′(ほぼ等しい値)とすると、Ltr=L′-L/4[H]により計算できる。
次に、セルCLの構成について説明する。図8は、実施形態のセルCLの構成の一例を示す図である。上述した通り、セルCLは、例えば、ハーフブリッジ回路である。図8に示すセルCLは、例えば、複数のスイッチング素子Q(図示するスイッチング素子Q1~Q2)と、スイッチング素子Qに応じた数のダイオードD(図示するダイオードD1~D2)と、コンデンサCとを備える。スイッチング素子Qは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。ただし、スイッチング素子Qは、IGBTに限定されない。スイッチング素子Qは、コンバータ又はインバータの機能を実現可能な自己消弧型スイッチング素子であれば、いかなる素子でもよい。本実施形態では、スイッチング素子QがIGBTである場合について説明する。
スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q2とは、互いに直列に接続される。スイッチング素子Q1、及びスイッチング素子Q2と、コンデンサCとは、互いに並列に接続される。各スイッチング素子Qと、ダイオードDとは、互いに並列に接続される。具体的には、スイッチング素子Q1と、ダイオードD1とは、互いに並列に接続され、スイッチング素子Q2と、ダイオードD2とは、互いに並列に接続される。
セルCLは、レグLGの端子P側に接続される正極端子と、端子N側に接続される負極端子とを備える。セルCLの正極端子は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q2との接続点に接続され、セルCLの負極端子は、スイッチング素子Q2のエミッタ端子に接続される。以降の説明において、セルCLの正極端子と負極端子との間に生じる電圧を、セル電圧Voと記載する。
各スイッチング素子Qには、スイッチング素子Qのオン、オフを切り替える切替端子(不図示)を備える。切替端子は、変換器制御部150と接続され、制御信号が入力される。具体的には、スイッチング素子Q1には、制御信号として第1ゲート信号gtpが入力され、スイッチング素子Q2には、制御信号として第2ゲート信号gtnが入力される。制御信号に基づいて各スイッチング素子Qがオン、又はオフに切り替えられることにより、セルCLが備えるコンデンサCは、充電又は放電される。また、セルCLには、コンデンサCの電圧であるコンデンサ電圧Vcを検出する電圧検出器(不図示)が設けられる。
スイッチング素子Qのオン状態にする制御信号を「1」と表現し、オフ状態にする制御信号を「0」と表現すると、セル電圧Voは、(gtp、gtn)=(1、0)の場合、コンデンサ電圧Vcとなり、(gtp、gtn)=(0、1)の場合、0[V]となる。
このように、各レグLGが備えるスイッチング素子Qがスイッチングされることにより、マルチレベルの波形を生成することができる。
なお、スイッチング素子Qを(gtp、gtn)=(1、1)とすることは、コンデンサCを短絡するため、禁止である。また、スイッチング時においてスイッチング素子Qの状態が過渡的に(gtp、gtn)=(1、1)となるのを防止するため、スイッチング素子Qは、通常はごく短時間、過渡的に(gtp、gtn)=(0、0)の状態(デッドタイム)に制御される。また、スイッチング素子Qのスイッチング制御を停止する場合、(gtp、gtn)=(0、0)の状態に固定することにより、実現される。電力変換器120の全スイッチング素子Qのスイッチング制御を停止することは、ゲートブロックと呼ばれ、その状態であることはゲートブロック状態と呼ばれる。
次に、電位変動抑制制御部170の具体的な構成について説明する。なお、以下では、主に直流電流Idcと基準値との比較(演算)等を行う例について説明するが、直流電流Idcに代えて、直流電流Idcに所定の値を加算、減算、乗算、または除算した演算値を用いてもよい。図9は、実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第1の例を示す図である。電位変動抑制制御部170は、例えば、演算部171と、制御部172と、リミッタ173とを備える。演算部171は、電流基準値Idc_refから直流電流Idcを減算する演算を行い、演算値(差分値)を出力する。電流基準値Idc_refは、電力変換システム1の状況等に応じて設定される値である。例えば、電力変換器120が非接地側から接地側へ電力を融通する場合には、電流基準値Idc_refは、電力変換器120の直流端子の高電位側から流出する向きを正とした定格電流の絶対値に対して正の値(所定マージン)を加算した値である。また、非接地側から接地側へ電力を融通する場合には、電流基準値Idc_refは、例えば、電力変換器120の直流端子の高電位側から流出する向きを正とした直流電流指令値(非接地側の直流電流指令値)Idc*に対して正の値を加算した値としてもよい。また逆に、接地側から非接地側へ電力を融通する場合には、電流基準値Idc_refは、電力変換器120の直流端子の高電位側から流出する向きを正とした直流電流指令値Idc*に対して正の値を加算した値とする。これにより、例えば、直流電流指令値(非接地側の直流電流指令値)が-1[kA]の場合,-0.8[kA]を基準値とすることで潮流反転を抑制するように動作させることができるため、上述した第3の事例が発生した場合に特に有効となる。なお、直流電流指令値が-0.8[kA]となった場合は,電流基準値Idc_refは-0.6[kA]と設定してもよい。また、電流基準値Idc_refを0にしてもよい。これにより、潮流反転は起こるが、潮流反転の大きさを抑制することができる。電位変動抑制制御部170は、非接地側の電力変換装置で有効作用させることを意図している。
制御部172は、演算部171により演算された演算値を、そのまま出力してもよく、比例制御(P制御)として演算値に所定の係数により所定のゲインを乗じて出力してもよい。また、制御部172は、比例積分制御(PI制御)として、演算値に、第1のゲインを乗じた値(補正量)と第2のゲインを乗じた値(補正量)とを積分した値を加算してもよい。また、制御部172は、演算値にゲインを乗じた値(補正量)を一定時間保持してもよい。一定時間保持することで、次回の演算処理を省略したり、補正量が短時間で大きく変動するのを防止することができる。また、制御部172は、演算値に対して、比例積分微分制御(PID制御)を行ってもよい。
リミッタ173は、制御部172から入力した値に基づいて電圧指令値の補正量を生成する。例えば、リミッタ173は、入力した値に応じて電力変換器120の直流電圧(直流端子間の電圧)Vdcを減じるような補正量Vdc_drpを出力する。例えば、地絡事故が発生した場合には健全極の直流電流値Idcが電力変換器120の直流端子の高電位側から流出する向きに急増することになる。したがって、直流電圧Vdcを減じるような補正量Vdc_drpを生成し、生成した補正量によって直流電圧指令値を調整することで、直流電流値Idcの増加量を抑制することができる。なお、図9の例では、制御部172から入力された値の最大値が0で、最小値が予め決められた値Vdc_drp(min)の範囲で補正量Vdc_drpが出力される。なお、最小値の絶対値は、例えば、直流電圧指令値Vdc*を減少させ得る最大値である。また、最小値は、例えば、電力変換器120の定格直流端子間電圧から補正量Vdc_drpの絶対値の最大を減じた値が、電力変換器120が出力可能な最小電圧となるように設定されてもよい。これにより、電力変換器120の状況や性能等に応じて、より適切な補正量を生成することができる。
図10は、実施形態の直流電流制御部160の構成の一例を示す図である。直流電流制御部160は、例えば、第1演算部161と、PI制御部162と、リミッタ163と、第2演算部164と、第3演算部165とを備える。第1演算部161は、直流電流指令値Idc*を直流電流値Idcで減算する演算を行う。PI制御部162は、第1演算部161による演算値に一般的な比例積分制御(PI制御)等を行ってリミッタ163に出力する。また、PI制御部162は、制御部172に示すような制御を行ってもよい。
リミッタ163は、予め電圧値に上側電圧マージン(+△Vdc)と下側電圧マージン(-△Vdc)を設定し、PI制御部162から入力した値に対し、設定したマージンの範囲内で、入力した値に対する出力値(電流制御値)を出力する。第2演算部164は、リミッタ163から出力された値と定格電圧Vdc_ratedとを加算する演算を行う。第3演算部165は、第2演算部の演算値と、補正量Vdc_drpとを加算して、直流電圧指令値Vdc*を出力する。補正量Vdc_drpは0以下の値であるため、補正量Vdc_drpの加算によって、直流電圧指令値Vdc*は演算前と比較して同一または減少する。この直流電圧指令値Vdc*に基づくゲート電圧指令を電力変換器120に出力することで、電力変換器120の直流端子の出力電圧の絶対値が減じさせる。
なお、リミッタ163において、電力変換器120がRec制御(整流器動作)を行う場合には、上側電圧マージン(+△Vdc)と下側電圧マージン(-△Vdc)を共に0(零)とすることで、その前段で演算結果が得られていたとしても出力が0になるため、電流制御を無効にすることができ、一定の直流電圧指令値Vdc*を出力することができる。一方、電力変換器120がInv制御(インバータ動作)を行う場合には、上側電圧マージン(+△Vdc)と下側電圧マージン(-△Vdc)との差を大きくしておくことで、電流制御を有効にして直流電圧指令値Vdc*を出力することで、電流値に応じた直流電圧指令値を出力することができる。なお、システムの要件次第では、上側電圧マージン(+△Vdc)と下側電圧マージン(-△Vdc)はInv制御の場合に0(零)、Rec制御の場合に0(零)でない値となるように操作してもよい。更に、Rec制御、Inv制御いずれの場合も、図10に示すように、補正量Vdc_drpを用いて直流電圧指令値Vdc*を調整する。
これにより、例えば、一方の極の直流送電線200の地絡事故または短絡事故が発生した場合であっても、もう一方の極の直流電圧を制御する電力変換器120における直流電圧の目標値を、より適切に補正することができる。したがって、上記事故時に非接地側本線の電位変動を緩和して運転継続性を向上させた信頼性の高い電力変換装置を提供することができる。なお、上述した処理は、補正量Vdc_drpによって直流電圧Vdcの出力の絶対値を減じさせる制御は、例えば、第1~第3の事象に示すように、他の組と共有していない直流送電線(例えば図1に示す直流送電線200-1または200-2)で地絡事故または短絡事故が発生した場合に、事故の発生していない直流送電線に接続される電力変換装置100に対して実行される。
次に、電位変動抑制制御部170の構成の別の例について説明する。図11は、実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第2の例を示す図である。図11に示す電位変動抑制制御部170Aは、例えば、判定部174と、変換部175と、制御部172Aと、リミッタ173Aとを備える。判定部174は、例えば、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きいか否かを判定する。判定部174は、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きいと判定した場合に直流電流Idcを出力し、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きくない(電流基準値Idc_ref以下である)と判定した場合は0(零)を出力する。
変換部175は、判定部174により出力された値の符号(正負)を変える。具体的には、変換部175は、判定部174により出力された直流電流Idcを負の値にする。また、判定部174により出力された値が0(零)の場合には、0のまま出力される。制御部172Aは、変換部175から入力した値に対して制御部172と同様の制御を行い、リミッタ173Aに出力する。
リミッタ173Aは、入力される値に応じて、最小値(Vdc_drp(min))から最大値(Vdc_drp(max))の範囲で、補正量Vdc_drpを出力する。最大値(Vdc_drp(max))は、例えば、0より小さい値(マイナス値)である。図11に示す構成によれば、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きい場合にのみ、直流電流Idcに基づいた0(零)でない有効な補正量が生成される。そのため、直流電流Idcの増加に合わせたより適切な補正量を生成することができる。また、図11に示す構成によれば、直流電流Idcに基づいて補正量を演算し、演算した値をリミッタで制限する。これにより、直流電流Idcのみを用いて、より適切な補正量を生成することができる。
図12は、実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第3の例を示す図である。図12に示す電位変動抑制制御部170Bは、例えば、判定部174Bと、演算部176と、制御部172Bと、リミッタ173Bとを備える。判定部174Bは、判定部174Aと同様に、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きいか否を判定し、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きいと判定した場合に、直流電流Idcを出力し、電流基準値Idc_refより大きくないと判定した場合に、0(零)を出力する。
演算部176は、電流基準値Idc_refから判定部174Bの結果を減算する演算を行う。具体的には、演算部176は、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きい場合に、電流基準値Idc_refから直流電流Idcを減算する。したがって、演算部176から出力される値は、負の値となる。制御部172Bは、演算部176により演算された値に、制御部172と同様の制御を行い、リミッタ173Bに出力する。リミッタ173Bは、入力した値に対してリミッタ173Aと同様の処理を行い、補正量Vdc_drpを出力する。図12に示す構成によれば、直流電流Idcが電流基準値Idc_refより大きい場合にのみ、直流電流Idcと電流基準値Idc_refとの差分値とに基づいた0(零)でない有効な補正量が生成される。そのため、直流電流Idcや電流基準値Idc_refに基づいて、より適切な補正量を生成することができる。
図13は、実施形態の電位変動抑制制御部170の構成の第4の例を示す図である。図13に示す電位変動抑制制御部170Cは、例えば、演算部177と、制御部172Cと、判定部174Cとを備える。演算部177は、電流基準値Idc_refから直流電流Idcを減算する演算を行う。制御部172Cは、演算部177により演算された演算値に対して、制御部172と同様の制御を行い、判定部174Cに出力する。判定部174Cは、制御部172Cから入力した値が電流基準値Idc_refより大きいか否かを判定する。判定部174Cは、制御部172Cから入力した値が電流基準値Idc_refより大きいと判定した場合に、入力した値に応じた補正量Vdc_drpを出力し、電流基準値Idc_refより大きくないと判定した場合は0(零)を出力する。図13の構成によれば、直流電流Idcや電流基準値Idc_refに応じて、より適切な補正量を生成することができる。したがって、上述した構成によれば、例えば、直流地絡事故時に非接地側本線(健全極)の電位変動を緩和し、運転継続性を向上させる電力変換装置を提供することができる。上述した電位変動抑制制御部170の第1~第4の例のそれぞれは、他の例の一部または全部を組み合わせてもよい。
なお、上述した電力変換システム1は、高電位側と低電位側の直流送電線の組を2組有したが、実施形態では、少なくとも2組設けられた構成に適用できる。図14は、実施形態の電力変換システムの別の例について説明するための図である。図14に示す電力変換システム2は、「直流送電システム」の一例である。図14に示す電力変換システム2は、図1に示す電力変換システム1と比較し、電力変換装置100-5、100-6と、直流送電線200-4が設けられている点で相違する。以下では、主に上述した相違点を中心として説明する。電力変換装置100-5は、電力変換装置100-1、100-2と同様に、第1交流系統E1と接続されており、第1交流系統E1からの交流電力を直流電力に変換する。また、電力変換装置100-5は、電力変換装置100-6、側から直流送電線200-4を用いて送電された直流電力を交流電力に変換して第1交流系統E1へ出力する。電力変換装置100-6は、電力変換装置100-3、100-4と同様に、第2交流系統E2と接続されており、第2交流系統E2からの交流電力を直流電力に変換する。また、電力変換装置100-6は、電力変換装置100-5側から直流送電線200-4を用いて送電された直流電力を交流電力に変換して第2交流系統E2へ出力する。つまり、電力変換装置100-5、100-6は、システム状況に応じてRec制御とInv制御とを行うことができる。
電力変換システム2では、電力変換装置100-5、100-6が、直流送電線200-4と200-3とを備える一つの組を形成することができる。この場合、直流送電線200-4は、他の組と共有していない送電線となり、直流送電線200-3は、他の組と共有する送電線となる。電力変換システム2の構成においても上述した電力変換装置100を用いることで、例えば、直流地絡事故または短絡事故時に非接地側本線(健全極)の電位変動を緩和し、運転継続性を向上させることができる。また、図14の構成によれば、極間の短絡にも対応することができる。
以上説明した実施形態によれば、電力変換装置100において、高電位側と低電位側の直流送電線200の組を少なくとも2組有し、各組の相対的な高電位側もしくは低電位側の何れか一方の直流送電線200を、他の組の高電位側もしくは低電位側の何れか一方と共有した多極構成に設けられ、自己消弧能力を有するスイッチング素子を含む交流と直流とを変換可能な電力変換器120と、直流送電線200の直流電流もしくは直流電流を用いた演算値が電流基準値より大きい場合に所定の動作を行い、直流電流に応じて直流電圧の目標値を補正する電位変動抑制制御部(補正部の一例)170と、を備えることにより、運転継続性を向上させた信頼性の高い電力変換装置を提供することができる。
また、実施形態によれば、例えば、直流電流制御が無効となる直流電圧制御で出力電圧を調整することができる。したがって、Rec制御、Inv制御の何れの運転状態の場合も同様に直流電流の変化を抑制するように作用することができる。また、実施形態によれば、第1の事象のように事故時潮流状態(非接地端から接地端)であっても、健全極直流電流が通常運転での最大値を超過することを抑制することができる。また、実施形態によれば、第2の事象のように、事故時潮流状態(接地端から非接地端)であっても健全極直流電流の向きが逆転して交流系統に出力する有効電力が逆転し、交流系統の電圧や周波数の安定性を損なわれることを抑制することができる。また、実施形態によれば、直流地絡事故による帰線電位の変動で非接地側の健全極本線(正負何れか)の電位変動を変換器出力電圧の調整することで、抑制することができる。また、実施形態によれば、直流地絡事故や極間での不平衡、電位変動等を検出することなく、従来から電流制御のために検出している自変換器の直流電流値と電流基準値のみで電位変動の影響を軽減できる。したがって、新たな検出器や装置間の通信による装置の複雑化やコストの増加を抑制できる。
このように、本実施形態では、非接地側の健全極本線の電位変動を抑制することで、健全極に流れる電流の急激な変化を防ぐことができ、運転継続性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、健全極電位が変動した場合に、変換器出力電圧によって、健全極直流電位の上昇(もしくは下降)を抑制することで、健全極の電流変化を抑制し、運転継続性を向上させることができる。また、本実施形態では、リミッタにより,基準値(定格電流以上)を超えた場合のみ有効にすることができる。また、定格電流を超えない通常時には動作しないため、定常動作には影響を与えない。また、本実施形態によれば、過電圧、過電流による運転停止リスクも低減させることができる。そのため、運転継続性を向上させた信頼性の高い電力変換装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1、2…電力変換システム、100…電力変換装置、120…電力変換器、150…変換器制御部、160…直流電流制御部、170…電位変動抑制制御部、180…交流電流制御部、190…ゲート指令生成部、E1…第1交流系統、E2…第2交流系統

Claims (16)

  1. 高電位側と低電位側の直流送電線の組を少なくとも2組有し、各組の相対的な高電位側もしくは低電位側の何れか一方の直流送電線を、他の組の高電位側もしくは低電位側の何れか一方と共有した多極構成に設けられ、
    前記各組の高電位側と低電位側の直流送電線の間にそれぞれ設けられ、
    自己消弧能力を有するスイッチング素子を含む交流と直流とを変換可能な電力変換部と、
    前記電力変換部の直流端子の高電位側から流出する向きを正としたときの前記直流送電線の直流電流もしくは前記直流電流に相当する演算値が電流基準値より大きい場合に所定の動作を行い、前記直流電流に応じて前記電力変換部の直流端子間の電圧の目標値を補正する補正部と、
    を備える電力変換装置。
  2. 前記補正部は、前記直流電流と電流基準値に基づいて、前記電力変換部の直流端子間の電圧を減じるように補正量を演算する、
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記補正部は、前記直流電流と電流基準値との差に基づいて補正量を演算する、
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記補正部は、前記電流基準値と前記直流電流との差にゲインを乗じて補正量を演算する
    請求項1から3のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  5. 前記補正部は、前記電流基準値と前記直流電流との差に対して、第1のゲインを乗じた補正量と第2のゲインを乗じた補正量を積分した補正量とを加算した補正量を演算する、
    請求項1から3のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  6. 前記補正部は、前記直流電流と電流基準値との差に対して、ゲインを乗じた補正量を一定時間保持する、
    請求項1から3のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  7. 前記補正部は、前記直流電流と前記電流基準値との差に基づいて補正量を演算し、前記電力変換部の直流端子間の電圧の絶対値が減じるように出力する、
    請求項1から6のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記電流基準値は、前記電力変換部の直流端子の高電位側から流出する向きを正とした定格電流の絶対値に対して正の値を加算した値である、
    請求項1から7のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  9. 前記電流基準値は、前記電力変換部の直流端子の高電位側から流出する向きを正とした直流電流指令値に対して正の値を加算した値である、
    請求項1から7のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  10. 前記補正部は、前記補正量が前記電力変換部の直流端子間の電圧を減じるように閾値で制限する、
    請求項2または3に記載の電力変換装置。
  11. 前記補正部は、前記直流電流に基づいて補正量を演算し、演算した値を制限する、
    請求項1から10のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  12. 前記補正部は、前記直流電流が前記電流基準値より大きい場合に零でない有効な補正量を出力する、
    請求項1から11のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  13. 前記電力変換部の定格直流端子間電圧から前記補正量の絶対値の最大を減じた電圧は、前記電力変換部が出力可能な最小電圧である、
    請求項2または3に記載の電力変換装置。
  14. 前記電力変換部は、
    スイッチング素子によって充放電を切り替え可能とされたコンデンサを含む複数の変換器が直列に接続された第1のアームユニットと、
    さらに複数の前記変換器が直列に接続された第2のアームユニットと、
    を備え、
    前記第1のアームユニットと前記第2のアームユニットとを互いに接続した端子を交流系統に接続する端子とする、
    請求項1から請求項13のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  15. 前記補正部による補正は、他の前記組と共有していない前記直流送電線で地絡または短絡の事故が発生した場合に、前記事故の発生していない直流送電線に前記電力変換部が接続されている場合に実行される、
    請求項1から14のうち何れか1項に記載の電力変換装置。
  16. 高電位側と低電位側の直流送電線の組を少なくとも2組有し、各組の相対的な高電位側もしくは低電位側の何れか一方の直流送電線を、他の組の高電位側もしくは低電位側の何れか一方と共有した多極構成であり、
    前記各組の高電位側と低電位側の直流送電線の間にそれぞれ設けられ、
    自己消弧能力を有するスイッチング素子を含む交流と直流とを変換可能な電力変換部と、
    前記電力変換部の直流端子の高電位側から流出する向きを正としたときの前記直流送電線の直流電流もしくは前記直流電流に相当する演算値が電流基準値より大きい場合に所定の動作を行い、前記直流電流に応じて前記電力変換部の直流端子間の電圧の目標値を補正する補正部と、
    を複数備える直流送電システム。
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