JP2023067539A - 電力変換装置 - Google Patents

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慧 関口
Kei Sekiguchi
崇裕 石黒
Takahiro Ishiguro
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Abstract

【課題】系統事故時に発生する変換器過電流および変換器過電圧を抑制し、運転継続性能を向上した信頼性の高い電力変換装置を提供することである。【解決手段】実施形態の電力変換装置は、交流と直流とを変換可能な電力変換装置である。電力変換装置は、電力変換器と、変換器制御部とを持つ。電力変換器は、前記交流側の交流端子電圧を切り替え可能とするスイッチング素子を含む。変換器制御部は、前記スイッチング素子に動作指令を与える。変換器制御部は、前記交流の電圧の絶対値が所定の範囲よりも低下したことを検知した場合に、前記交流の電圧の絶対値の低下を発生させた異常が除去される前までに、前記電力変換器によって出力される有効電力を定格有効電力よりも小さい範囲に制限し、少なくとも前記異常が除去されるまで前記有効電力の制限を継続する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
近年、電力変換器として、モジュラー・マルチレベル変換器(以下、MMC:Modular Multilevel Converter)の実用化が進められている。MMCとは、直列に接続された複数の単位変換器(セル)を含むアームユニットを備え、各セルの出力可能な電圧を加算することで高電圧、大容量に対応可能な電力変換器である。電力変換器は、例えば、交流系統と直流系統との間に接続され、電力を相互に変換する。
電力変換器の連系する交流系統や直流系統に事故などの異常が発生した場合、連系する交流系統の電圧や周波数の安定性を損なわないように、電力変換器は運転継続する、もしくは異常解消後、高速に再起動することが求められる。しかしながら、例えば、交流系統の事故発生や事故除去直後の交流系統電圧の変動によって、変換器電流にオーバーシュートが発生し、過電流保護によって運転を停止することがある。また、過大な電流によってセルのコンデンサが過充電され、過電圧保護によって運転を停止することがある。
特開2017-143624号公報 特開2017-143626号公報
本発明が解決しようとする課題は、系統事故時に発生する変換器過電流および変換器過電圧を抑制し、運転継続性能を向上した信頼性の高い電力変換装置を提供することである。
実施形態の電力変換装置は、交流と直流とを変換可能な電力変換装置である。電力変換装置は、電力変換器と、変換器制御部とを持つ。電力変換器は、前記交流側の交流端子電圧を切り替え可能とするスイッチング素子を含む。変換器制御部は、前記スイッチング素子に動作指令を与える。変換器制御部は、前記交流の電圧の絶対値が所定の範囲よりも低下したことを検知した場合に、前記交流の電圧の絶対値の低下を発生させた異常が除去される前までに、前記電力変換器によって出力される有効電力を定格有効電力よりも小さい範囲に制限し、少なくとも前記異常が除去されるまで前記有効電力の制限を継続する。
実施形態の電力変換装置100の構成の一例を示す図。 実施形態のセルCLの構成の一例を示す図。 実施形態のセルCLの構成の別の例を示す図。 実施形態の変換器制御部20の構成の一例を示す図。 実施形態の交流情報算出部21の構成の一例を示す図。 実施形態の系統事故検知部22の構成の一例を示す図。 交流系統と、交流系統に連係する電力変換器10とを含む系統連系変換器システムの一例を示す模式図。 系統連系変換器システムのフェーザ図。 実施形態の電力変換装置100の動作の一例を示す図。
以下、実施形態の電力変換装置を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の電力変換装置100の構成の一例を示す図である。電力変換装置100は、交流系統と直流系統の連系点に設けられ、交流系統が供給する交流電力と、直流系統が供給する直流電力とを変換する。交流系統は、交流電源や交流負荷であってもよく、直流系統は、直流電源や直流負荷であってもよい。
電力変換装置100は、電力変換器10と、変換器制御部20とを備える。電力変換器10は、例えば、変換器制御部20の制御に基づいて、交流電力と直流電力とを相互に変換する二重スター結線型モジュラー・マルチレベル変換器(以下、MMC:Modular Multilevel Converter)である。電力変換器10は、直流系統の正極(図示する正極端子P)と、直流系統の負極(図示する負極端子N)との間に複数のレグLGを備える。
レグLGの数は、例えば、交流系統が供給する交流電力の相数に対応する。実施形態では、交流系統は、第1相(図示するR相)、第2相(図示するS相)及び第3相(図示するT相)の3相の交流電力を供給する。このため、電力変換器10は、図1に示す通り、R相に対応するレグLGrと、S相に対応するレグLGsと、T相に対応するレグLGtとを備える。各レグLGは、互いに同様の構成を備える。以降の説明において、レグLGrに係る構成には、符号の末尾に「r」を付し、レグLGsに係る構成には、符号の末尾に「s」を付し、レグLGtに係る構成には、符号の末尾に「t」を付す。また、レグLGrと、レグLGsと、レグLGtとを互いに区別しない場合には、総称して「レグLG」と記載する。
レグLGには、交流系統が供給する交流電力の3相のうち、ある相が接続される。実施形態では、レグLGは、トランスTRを介して交流系統に接続している。具体的には、レグLGrには、R相が接続され、レグLGsには、S相が接続され、レグLGtには、T相が接続される。以降の説明において、レグLGrとR相との接続点を接続点CPrと記載し、レグLGsとS相との接続点を接続点CPsと記載し、レグLGtとT相との接続点を接続点CPtと記載する。以降の説明において、接続点CPrと、接続点CPsと、接続点CPtとを互いに区別しない場合には、単に接続点CPと記載する。また、以降の説明において、電力変換器10が出力する直流電圧の正極端子Pと同電位となる部位を、レグLGの正極端子Pとも記載し、当該直流電圧の負極端子Nと同電位となる部位を、レグLGの負極端子Nとも記載する。
以下、各レグLGを代表してレグLGrについて説明する。レグLGrは、n個のセルCL群(図示するセルCL1-1r~CL1-nr、及びセルCL2-1r~CL2-nr)2組と、複数のリアクトルRT(図示するリアクトルRT1r、RT2r)とを備える。nは、自然数である。ここで、レグLGの正極端子Pから各相の接続点までの間のセルCL群を正側アームユニットとも記載する。また、各相の接続点からレグLGの負極端子Nまでの間のセルCL群を負側アームユニットとも記載する。
レグLGrの正側アームユニットには、正極端子P側から接続点CPr側に向けて、セルCL1-1r~CL1-nrが記載の順に直列に接続され、これらがリアクトルRT1rを介して接続点CPrに接続される。また、レグLGrの負側アームユニットには、接続点CPr側から負極端子N側に向けて、セルCL2-1r~CL2-nrが記載の順に直列に接続され、これらがリアクトルRT2rを介して接続点CPrに接続される。
リアクトルRTは、アームユニットの高電位側や低電位側、もしくはセルCLの間のいずれに接続されていてもよい。また、リアクトルRTを、リアクトルの機能を代替するだけの漏れリアクタンスを有する特殊な巻線構造のトランスに置き換え、トランスTRと一体化してもよい。
なお、レグLGrには、正極端子Pから接続点CPに流れる正側アーム電流(図示するR相正側電流Ipr)を検出する電流検出器と、接続点CPから負極端子Nに流れる負側アーム電流(図示するR相負側電流Inr)を検出する電流検出器とが設けられていてもよい。交流電流Isrは、別途、交流側端子に電流検出器を設けて直接検出されてもよいし、検出した正側アーム電流と負側アーム電流の差Inr-Iprから演算して間接的に検出されてもよい。
変換器制御部20は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサが記憶部(不図示)に記憶されるプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、電力変換器10を制御する。変換器制御部20の構成要素のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。変換器制御部20の処理については後述する。
図2は、実施形態のセルCLの構成の一例を示す図である。セルCLは、例えば、ハーフブリッジ回路である。図2に示される通り、セルCLは、例えば、複数のスイッチング素子Q(図示するスイッチング素子Q1~Q2)と、スイッチング素子Qに応じた数のダイオードD(図示するダイオードD1~D2)と、コンデンサCとを備える。スイッチング素子Qは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。ただし、スイッチング素子Qは、IGBTに限定されない。スイッチング素子Qは、コンバータ又はインバータを実現可能な自己消弧型スイッチング素子であれば、いかなる素子でもよい。実施形態では、スイッチング素子QがIGBTである場合について説明する。
スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q2とは、互いに直列に接続される。スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2と、コンデンサCとは、互いに並列に接続される。各スイッチング素子Qと、対になるダイオードDとは、互いに並列に接続される。具体的には、スイッチング素子Q1と、ダイオードD1とは、互いに並列に接続され、スイッチング素子Q2と、ダイオードD2とは、互いに並列に接続される。
セルCLは、レグLGの正極端子P側に接続される正極端子と、負極端子N側に接続される負極端子とを備える。セルCLの正極端子は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q2との接続点に接続され、セルCLの負極端子は、スイッチング素子Q2のエミッタ端子に接続される。以降の説明において、セルCLの正極端子と負極端子との間に生じる電圧を、セル電圧Voと記載する。
各スイッチング素子Qは、スイッチング素子Qのオン、オフを切り替える切替端子(不図示)を備え、切替端子は、変換器制御部20と接続され、変換器制御部20から制御信号が入力される。具体的には、スイッチング素子Q1には、制御信号として第1ゲート信号gtpが入力され、スイッチング素子Q2には、制御信号として第2ゲート信号gtnが入力される。制御信号に基づいて各スイッチング素子Qがオン、又はオフに切り替えられることにより、セルCLが備えるコンデンサCは、充電され又は放電する。また、セルCLには、コンデンサCの電圧であるコンデンサ電圧Vcを検出する電圧検出器(不図示)が設けられる。
スイッチング素子Qのオン状態にする制御信号を「1」と表現し、オフ状態にする制御信号を「0」と表現すると、セル電圧Voは、(gtp、gtn)=(1、0)の場合、コンデンサ電圧Vcと一致する。制御信号を(gtp、gtn)=(1、0)とすることをインサートと呼び、その状態をインサート状態と呼ぶ。また、セル電圧Voは、(gtp、gtn)=(0、1)の場合、0[V]である。制御信号を(gtp、gtn)=(0、1)とすることをバイパスと呼び、その状態をバイパス状態と呼ぶ。このように、各アームユニットが備えるスイッチング素子Qがスイッチングされ、各セルをインサート状態またはバイパス状態とすることにより、マルチレベルの波形を生成することができる。
なお、スイッチング素子Qを(gtp、gtn)=(1、1)とすることは、コンデンサCを短絡するため、禁止すべきである。また、スイッチング時においてスイッチング素子Qの状態が過渡的に(gtp、gtn)=(1、1)となるのを防止するため、スイッチング素子Qは、通常はごく短時間、過渡的に(gtp、gtn)=(0、0)の状態(デッドタイム)に制御される。また、スイッチング素子Qのスイッチング制御の停止は、(gtp、gtn)=(0、0)の状態に固定することにより、実現される。電力変換器10の全スイッチング素子Qのスイッチング制御を停止することをゲートブロックと呼び、その状態をゲートブロック状態と呼ぶ。
図3は、実施形態のセルCLの構成の別の例を示す図である。セルCLは、例えば、フルブリッジ回路である。図3に示される通り、セルCLは、例えば、複数のスイッチング素子Q(図示するスイッチング素子Q1~Q4)と、スイッチング素子Qに応じた数のダイオードD(図示するダイオードD1~D4)と、コンデンサCとを備える。スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q2とは、互いに直列に接続される。また、スイッチング素子Q3と、スイッチング素子Q4とは、互いに直列に接続される。スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4と、コンデンサCとは、互いに並列に接続される。
各スイッチング素子Qと、対になるダイオードDとは、互いに並列に接続される。具体的には、スイッチング素子Q1と、ダイオードD1とは、互いに並列に接続され、スイッチング素子Q2と、ダイオードD2とは、互いに並列に接続され、スイッチング素子Q3と、ダイオードD3とは、互いに並列に接続され、スイッチング素子Q4と、ダイオードD4とは、互いに並列に接続される。
セルCLは、レグLGrsの接続点CPr側に接続される正極端子と、接続点CPs側に接続される負極端子とを備える。セルCLの正極端子は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q2との接続点に接続され、セルCLの負極端子は、スイッチング素子Q3と、スイッチング素子Q4との接続点に接続される。以降の説明において、セルCLの正極端子と負極端子との間に生じる電圧を、セル電圧Voと記載する。
各スイッチング素子Qは、スイッチング素子Qのオン、オフを切り替える切替端子(不図示)を備え、切替端子は、変換器制御部20と接続され、変換器制御部20から制御信号が入力される。具体的には、スイッチング素子Q1には、制御信号として第1ゲート信号gtaが入力され、スイッチング素子Q2には、制御信号として第2ゲート信号gtbが入力され、スイッチング素子Q3には、制御信号として第3ゲート信号gtcが入力され、スイッチング素子Q4には、制御信号として第4ゲート信号gtdが入力される。制御信号に基づいて各スイッチング素子Qがオン、又はオフに切り替えられることにより、セルCLが備えるコンデンサCは、充電され又は放電する。また、セルCLは、コンデンサCの電圧であるコンデンサ電圧Vcを検出する電圧検出器(不図示)が設けられる。
スイッチング素子Qのオン状態にする制御信号を「1」と表現し、オフ状態にする制御信号を「0」と表現すると、セル電圧Voは、(gta、gtb、gtc、gtd)=(1、0、0、1)の場合、コンデンサ電圧Vcと一致する。制御信号を(gta、gtb、gtc、gtd)=(1、0、0、1)とすることを正電圧インサートと呼び、その状態を正電圧インサート状態と呼ぶ。また、セル電圧Voは、(gta、gtb、gtc、gtd)=(0、1、1、0)の場合、コンデンサ電圧の反転-Vcと一致する。制御信号を(gta、gtb、gtc、gtd)=(0、1、1、0)とすることを負電圧インサートと呼び、その状態を負電圧インサート状態と呼ぶ。さらに、セル電圧Voは、(gta、gtb、gtc、gtd)=(1、0、1、0)もしくは(0、1、0、1)の場合、0[V]である。制御信号を(gta、gtb、gtc、gtd)=(1、0、1、0)もしくは(0、1、0、1)とすることをバイパスと呼び、その状態をバイパス状態と呼ぶ。このように、各アームユニットが備えるスイッチング素子Qがスイッチングされ、各セルを正電圧インサート状態、負電圧インサート状態またはバイパス状態とすることにより、マルチレベルの波形を生成することができる。
なお、スイッチング素子Qを(gta、gtb)=(1、1)または(gtc、gtd)=(1、1)とすることは、コンデンサCを短絡するため、禁止すべきである。また、スイッチング時においてスイッチング素子Qの状態が過渡的に(gta、gtb)=(1、1)または(gtc、gtd)=(1、1)となるのを防止するため、スイッチング素子Qは、通常はごく短時間、過渡的に(gta、gtb)=(0、0)または(gtc、gtd)=(0、0)の状態(デッドタイム)に制御される。また、スイッチング素子Qのスイッチング制御を停止する場合、(gta、gtb、gtc、gtd)=(0、0、0、0)の状態に固定することにより、実現される。電力変換器10の全スイッチング素子Qのスイッチング制御を停止することをゲートブロックと呼び、その状態をゲートブロック状態と呼ぶ。
図4は、実施形態の変換器制御部20の構成の一例を示す図である。変換器制御部20は、例えば、交流情報算出部21と、系統事故検知部22と、指令値制限部23と、コンデンサ電圧一括制御部24と、直流電流制御部25と、交流電流制御部26とを機能部として備える。なお、図4では、変換器制御部20に含まれる一部の制御機能部を省略して示している。例えば、例示した機能部の他に、電圧指令値をゲート信号に変換するゲート信号生成部や、コンデンサ電圧を均一化させるコンデンサ電圧バランス制御部、各相レグを循環する循環電流を制御する循環電流制御部などが、図示はしていないが、変換器制御部20に含まれる。
交流情報算出部21は、例えば、図1に示した電圧検出器によって検出した交流系統の交流系統電圧Vsr、Vss、Vstを入力とし、入力された交流系統電圧に同期した交流系統有効電圧Vsd、交流系統無効電圧Vsq、および交流系統位相thetaを算出および出力する。
系統事故検知部22は、交流系統有効電圧Vsdを入力とし、交流系統事故による過電圧の発生の検出有無を示す系統過電圧事故検知信号OVFLTと、交流系統事故による不足電圧の発生の検出有無を示す系統不足電圧事故検知信号UVFLTとを出力する。
指令値制限部23は、1/Vdc演算部23Aと、1/Vs演算部23Bと、リミッタ23Cと、リミッタ23Dとを機能部として備える。指令値制限部23は、有効電力指令値P*、無効電力指令値Q*、系統過電圧事故検知信号OVFLT、系統不足電圧事故検知信号UVFLTを入力とし、制限直流電流指令値Idc*_limおよび制限無効電流指令値Isq*_limを出力する。
1/Vdc演算部23Aは、指令値制限部23に入力された有効電力指令値P*に1/Vdcを乗算することによって直流電流指令値Idc*に変換する。ここで、Vdcは定格直流電圧や直流電圧検出値である。直流電流指令値Idc*は、系統過電圧事故検知信号OVFLTと系統不足電圧事故検知信号UVFLTに基づき設定されたリミッタ23Cの処理によって制限され、制限直流電流指令値Idc*_limを得る。具体的なリミッタ23Cの設定については、後述する。
1/Vs演算部23Bは、指令値制限部23に入力された無効電力指令値Q*に1/Vsを乗算することによって無効電流指令値Isq*に変換する。ここで、Vsは定格交流系統電圧や交流系統電圧振幅の検出値である。無効電流指令値Isq*は、系統過電圧事故検知信号OVFLTと系統不足電圧事故検知信号UVFLTに基づき設定されたリミッタ23Cの処理によって制限され、制限無効電流指令値Isq*_limを得る。具体的なリミッタ23Dの設定については、後述する。
なお、図4の例では、直流電流指令値Idc*と無効電流指令値Isq*に対して、リミッタ23Cとリミッタ23Dの処理を施しているが、有効電力指令値P*と無効電力指令値Q*にリミッタ23Cとリミッタ23Dの処理を施し、その後段で各電流指令値に変換してもよい。
コンデンサ電圧一括制御部24は、コンデンサ電圧指令値Vc*、電力変換器10内部のコンデンサ電圧の平均値Vcを入力とし、VcをVc*に一致させるように調整された有効電流指令値Isd*を出力する。
直流電流制御部25は、減算部25Aと、PI演算部25Bと、リミッタ25Cと、加算部25Dとを機能部として備える。直流電流制御部25は、制限直流電流指令値Idc*_lim、直流電流Idc、系統過電圧事故検知信号OVFLT、系統不足電圧事故検知信号UVFLT、運転モード指令MODEを入力とし、直流電圧指令値Vdc*を出力する。
減算部25Aは、制限直流電流指令値Idc*_limから直流電流Idcを減算することによって、制限直流電流指令値Idc*_limと直流電流Idcとの偏差を算出し、PI演算部25Bに出力する。PI演算部25Bは、算出された偏差に対して比例積分演算処理を施し、その結果をリミッタ25Cに出力する。リミッタ25Cは、出力結果に対してリミッタ処理を施し、直流電圧操作量ΔVdcを出力する。加算部25Dは、直流電圧操作量ΔVdcと、定格直流電圧指令値Vdc_refとを加算し、直流電圧指令値Vdc*を出力する。
運転モード指令MODEは、直流電圧制御モード、もしくは直流電流制御モードを判別する指令信号である。異常の発生していない通常運転時、直流電圧制御モードの場合、リミッタ25Cの設定は上限、下限ともにゼロに設定される。直流電圧操作量ΔVdcはゼロとなるため、直流電圧指令値Vdc*は、定格直流電圧指令値Vdc_refに一致し、直流電圧制御モードの端子は、直流系統の直流電圧を一定に維持する。
一方、直流電流制御モードの場合、リミッタ25Cの設定は上限、下限の両方またはいずれか一方がゼロでない値に設定される。直流電圧操作量ΔVdcの有効な出力によって、直流電圧指令値Vdc*が操作され、直流電流Idcが制限直流電流指令値Idc*_limに一致するように制御される。例えば、2端子の直流電流システムでは、一端を直流電圧制御モード、もう一端を直流電流制御モードとすることで、直流系統の直流電圧と直流電流をそれぞれ制御して有効電力を送電する。系統過電圧事故検知信号OVFLT、系統不足電圧事故検知信号UVFLTによる具体的なリミッタ23Cの設定については、後述する。
交流電流制御部26は、有効電流指令値Isd*、制限無効電流指令値Isq*_lim、交流電流Isr、Iss、Ist、交流系統有効電圧Vsd、交流系統無効電圧Vsq、交流系統位相thetaを入力とし、変換器交流端子電圧指令値Vr*、Vs*、Vt*を出力する。例えば、交流電流制御部26では、一般的な回転座標上の変数に基づく非干渉電流制御を適用し、有効電流Isdが有効電流指令値Isd*に、無効電流Isqが制限無効電流指令値Isq*_limに一致するように変換器交流端子電圧指令値Vr*、Vs*、Vt*を操作する。
変換器制御部20は、図示しないが、さらに、直流電流制御部25によって出力された直流電圧指令値Vdc*と、交流電流制御部26によって出力された変換器交流端子電圧指令値Vr*、Vs*、Vt*からアームユニットごとの電圧指令値を求める。R相正側アームユニットについては、アーム電圧Varmprに対応したアーム電圧指令値Varmpr*を算出し、各セルのゲート信号gtp1-1r、gtn1-1r~gtp1-nr、gtn1-nrを求めて電力変換器10に出力する。その他のアームユニットについても同様である。
実施形態では、有効電力を直流電流Idcの調整によって制御している。直流端子側から有効電流が流入出すると、コンデンサ電圧の平均値Vcが変化し、コンデンサ電圧一括制御部24では、その変化を補うように交流端子側の有効電流Isdを規定する。コンデンサ電圧一括制御部24に直流端子側の有効電力や有効電力指令値をフィードフォワード入力し、コンデンサ電圧を維持するのに必要な有効電力をさらにフィードバック制御によって調整して得るように構成してもよいが、有効電力を制限するには、まず直流電流Idcを制限する必要がある。直流電流Idcを制限することで、直流端子側から流入出する有効電力が減少すれば、結果として有効電流指令値Isd*も減少し、交流端子側の有効電力も減少する。
図5は、実施形態の交流情報算出部21の構成の一例を示す図である。交流情報算出部21は、例えば、変換部21Aと、PI演算部21Bと、加算部21Cと、発振器21Dとを機能部として備える。変換部21Aは、図1に示した電圧検出器によって検出された交流系統電圧(R相電圧Vsr、S相電圧Vss、及びT相電圧Vst)を示す情報を取得する。変換部21Aは、以下の式(1)を用いて、取得したR相電圧Vsr、S相電圧Vss、及びT相電圧Vstを、交流系統有効電圧Vsd、及び交流系統無効電圧Vsqに変換(算出)する。なお、交流系統電圧位相thetaは、後述する発振器21Dによって出力される値であり、交流系統のある基準相(この一例では、R相)の電圧位相を示す値である。
Figure 2023067539000002
PI演算部21Bは、変換部21Aによって変換された交流系統無効電圧Vsqに基づいて、電力変換器10が連系する交流系統電圧の周波数と、基準交流系統周波数fs0との周波数差(以下、周波数差Δfpll)を算出し、比例積分演算処理を施す。周波数差Δfpllは、交流系統電圧の周波数が基準交流系統周波数fs0より高い場合、プラスの値をとり、基準交流系統周波数fs0より低い場合、マイナスの値をとる。基準交流系統周波数fs0は、連系する交流系統の定格周波数であり、例えば、50[Hz]、又は60[Hz]の定数である。周波数差Δfpllは、PI演算部21Bに入力される交流系統無効電圧Vsqの算出値がゼロになるまで、増加、又は減少を続け、実際の交流系統周波数と基準交流系統周波数fs0との差の値に収束する。
加算部21Cは、PI演算部21Bによって算出された周波数差Δfpllを、基準交流系統周波数fs0に加算する。以降の説明において、基準交流系統周波数fs0に周波数差Δfpllを加算した周波数を、交流周波数fpllと記載する。
発振器21Dは、加算部21Cによって算出された交流周波数fpllの周波数によって、最小値0から最大値2πまでを、繰り返し単調増加する交流系統電圧位相thetaを出力する。なお、上述したように、交流系統電圧位相thetaは、変換部21Aの交流系統有効電圧Vsd、及び交流系統無効電圧Vsqの変換と、交流電流制御とに用いられる。交流電流制御では、一般的な回転座標上の変数に基づく非干渉電流制御を適用する場合には、電圧・電流値に対する回転座標変換、あるいは逆変換(固定座標変換)等に交流系統電圧位相thetaが利用される。
上述の処理によって、交流情報算出部21は、変換部21Aにおける交流系統無効電圧Vsqの算出値がゼロになるように、交流系統電圧位相thetaの算出を繰り返すことで、交流系統電圧位相thetaを得る。
図6は、実施形態の系統事故検知部22の構成の一例を示す図である。系統事故検知部22は、比較器22Aと、状態保持器22Bを機能部として備える。比較器22Aは、交流情報算出部によって算出された交流系統有効電圧Vsdと、あらかじめ設定された交流系統電圧上限値Vth_H、及び交流系統電圧下限値Vth_Lとを比較する。比較器22Aは、交流系統有効電圧Vsdが交流系統電圧上限値Vth_Hよりも大きい場合、系統電圧上限超過信号OVを、状態保持器22Bに出力する。
また、比較器22Aは、交流系統有効電圧Vsdが交流系統電圧下限値Vth_Lよりも小さい場合、系統電圧下限超過信号UVを、状態保持器22Bに出力する。交流系統有効電圧Vsdが交流系統電圧上限値Vth_Hよりも大きい状態、或いは交流系統電圧下限値Vth_Lよりも小さい状態は、たとえば、交流系統に系統事故が発生し、交流系統の各相電圧の振幅が異常値を示していたり、相間が不平衡になっていたりする状態である。交流系統電圧上限値Vth_Hから交流系統電圧下限値Vth_Lによって示される範囲は、交流の電圧の絶対値がとり得る「所定範囲」の一例である。
なお、比較器22Aは、式(2)によって求められる合成電圧ベクトルVsdqと、所定の閾値とを比較し、合成電圧ベクトルVsdqの値が所定の上限閾値より大きいか、或いは所定の下限閾値より小さい場合、系統電圧上限超過信号OVや系統電圧下限超過信号UVを出力する構成であってもよい。
Figure 2023067539000003
状態保持器22Bは、比較器22Aによって系統電圧上限超過信号OVが出力される場合、保持時間の期間、有効な系統過電圧事故検知信号OVFLTを出力し続ける。一方、状態保持器22Bは、比較器22Aによって系統電圧下限超過信号UVが出力される場合、保持時間の期間、有効な系統不足電圧事故検知信号UVFLTを出力し続ける。保持時間は、例えば、交流系統の電圧周期の1/2の期間などである。保持時間を設けることで、交流系統有効電圧Vsdが振動的になり、交流系統電圧上限値Vth_H、または交流系統電圧下限値Vth_Lの超過を繰り返しても、系統過電圧事故検知信号OVFLTや系統不足電圧事故検知信号UVFLTの有効状態が途切れることなく維持される。
図7は、交流系統と、交流系統に連係する電力変換器10とを含む系統連系変換器システムの一例を示す模式図である。電力変換器10は、交流系統電圧Vsに連系リアクタンスXsを介して接続され、交流端子電圧Vを調整することで、流入する交流電流Isを制御する。
連系リアクタンスXsは、各相の交流電流Isr、Iss、Istに対して有効なリアクタンスを一括で表した等価連系インピーダンスであり、例えば、図1では、アームごとのリアクトルRTのリアクタンス値の0.5倍と、トランスTRのリアクタンス値の和である。つまり、リアクトルRTのリアクタンス値をX、トランスTRのリアクタンス値をX′とすると、Xs=X′+X/2[H]となる。電力変換器10がMMCではなく、アームにリアクトルを有しない一般的な2レベル変換器のような構成の場合は、単純に交流側端子に接続したリアクトル、もしくはトランス漏れリアクタンスがXsに一致する。
図8は、系統連系変換器システムのフェーザ図である。図8(a)は、有効電力と容量性無効電力を同時に制御している状況を示している。この状況では、交流系統電圧Vsの位相と有効電流Isdの位相が一致しているため、整流器運転(有効電力が電力変換器10に流入)であり、交流系統電圧Vsの位相に対して無効電流Isqの位相が90度進んでいるため、容量性無効電力運転(進み無効電力運転)である。変換器交流端子電圧Vは、交流系統電圧Vsよりも大きくなる。
図8(b)は、有効電力と誘導性無効電力を同時に制御している状況を示している。この状況では、交流系統電圧Vsの位相と有効電流Isdの位相が一致しているため、整流器運転(有効電力が電力変換器10に流入)であり、交流系統電圧Vsの位相に対して無効電流Isqの位相が90度遅れているため、誘導性無効電力運転(遅れ無効電力運転)である。変換器交流端子電圧Vは、交流系統電圧Vsよりも小さくできる。
図8(c)は、容量性無効電力のみを制御している状況を示している。この状況では、有効電流Isdがゼロのため、有効電力もゼロであり、交流系統電圧Vsの位相に対して無効電流Isqの位相が90度進んでいるため、容量性無効電力運転(進み無効電力運転)である。変換器交流端子電圧Vは、交流系統電圧Vsよりも大きくなる。
図8(d)は、誘導性無効電力のみを制御している状況を示している。この状況では、有効電流Isdがゼロのため、有効電力もゼロであり、交流系統電圧Vsの位相に対して無効電流Isqの位相が90度遅れているため、誘導性無効電力運転(遅れ無効電力運転)である。変換器交流端子電圧Vは、交流系統電圧Vsよりも小さくなる。
交流電流Isの振幅の二乗は、有効電流Isdの振幅の二乗と無効電流Isqの振幅の二乗の和になることから、交流電流Isの振幅を低減するには、有効電力と無効電力をそれぞれ低減することが有効である。また、変換器交流端子電圧の振幅を低減するには、容量性無効電力を制限し、特に誘導性無効電力を出力することが有効である。
図9は、実施形態の電力変換装置100の動作の一例を示す図である。図9において、時刻T0は、交流系統事故が発生する時点を示す。時刻T0で交流系統事故が発生する以前、交流系統電圧Vsr、Vss、Vstは3相平衡で振幅は通常値であり、周波数は基準交流系統周波数fs0とほぼ等しい。
このとき、交流系統有効電圧Vsdは振幅絶対値を表す一定値になる。この値は、交流系統電圧下閾値Vth_Lを下回っておらず、交流系統電圧上閾値Vth_Hも上回っていないため、系統過電圧事故検知信号OVFLTと系統不足電圧事故検知信号UVFLTは無効である。
系統過電圧事故検知信号OVFLTと系統不足電圧事故検知信号UVFLTが無効な場合、直流電流指令値用のリミッタ23Cの制限値LM1は、上限、下限ともにその絶対値が定格直流電流相当、もしくは定格直流電流の1.1倍など定格直流電流よりも大きな電流相当になるように設定される。また、無効電流指令値用のリミッタ23Dの制限値LM2は、上限、下限ともにその絶対値が定格無効電流相当、もしくは定格無効電流の1.1倍など定格無効電流よりも大きな電流相当になるように設定される。さらに、直流電圧マージン用のリミッタ25Cの制限値LM3は、その上限および/または下限が、運転モード指令MODEが直流電圧制御モードの場合はゼロに、運転モード指令MODEが直流電流制御モードの場合はゼロでない値に設定される。
通常運転時は、直流電流制御モードの電力変換器10が直流電流Idcを制限直流電流指令値Idc*_limに一致させるように制御することで、有効電力指令値P*に応じた定格有効電力を超過しない有効電力に制御する。直流電流制御モードの電力変換器10に直流系統を介して接続された直流電圧制御モードの電力変換器10の有効電力も有効電力指令値P*に応じた定格有効電力を超過しない有効電力となる。また、各電力変換器10が無効電流Isqを制限無効電流指令値Isq*_limに一致させるように制御することで、無効電力指令値Q*に応じた定格無効電力を超過しない無効電力に制御する。
次に、時刻T0で交流系統の1相が地絡する交流系統事故が発生したと仮定する。図9の最上段に示される通り、交流系統電圧Vsr、Vss、Vstのうち1相がほぼゼロ電圧になっている。このとき、残る2相の電圧は健全なため、交流系統有効電圧Vsdは交流系統周波数の2倍で振動する。交流系統有効電圧Vsdの最小値は交流系統電圧下閾値Vth_Lを下回るため、系統不足電圧事故検知信号UVFLTが有効となる。1相の地絡が継続している期間、系統事故検知部22の状態保持器22Bの効果によって、系統不足電圧事故検知信号UVFLTの有効状態は維持される。一般的な交流系統保護システムにおいて、この期間は交流系統電圧周期の数倍程度である。
図9の最下段に示される通り、事故発生時の交流系統電圧の変動によって、交流電流にオーバーシュートが発生し、交流電流振幅最大値Ismaxが増加している。交流電流振幅最大値Ismaxは、3相の交流電流の3相最大値を表した量である。系統不足電圧事故検知信号UVFLTが有効な場合、直流電流指令値用のリミッタ23Cの制限値LM1は、上限、下限ともにその絶対値が定格直流電流よりも小さい電流相当になるように設定される。図9では、例えば、LM1の上限、下限をともにゼロに設定している。
また、無効電流指令値用のリミッタ23Dの制限値LM2は、上限を定格容量性無効電流よりも小さい電流相当に設定してもよい。制限値LM2の下限は通常運転時から変更しなくてもよい。図9では、例えば、LM2の上限を定格容量性無効電流よりも小さい電流相当に設定し、LM2の下限は通常運転時と等しい値に設定している。さらに、直流電圧マージン用のリミッタ25Cの制限値LM3は、上限および/または下限が、運転モード指令MODEに関わらず、直流電流制御モードでの通常運転時の設定値(直流系統を介して接続される他の電力変換器10の直流電圧の許容変動幅)よりも大きな絶対値になるように設定される。
系統不足電圧時は、対象交流系統に連系する電力変換器10が直流電流Idcを制限直流電流指令値Idc*_limに一致させるように制御することで、定格有効電力よりも小さな有効電力に制限する。直流電流制御部25に入力される制限直流電流指令値Idc*_limは、直流系統の、系統事故の発生していない交流側の電力変換器10では制限されず、他方の系統事故の発生した交流側の電力変換器10では制限される状況になる。その結果、直流系統の直流電流を各電力変換器10が互いに異なる値に制御しようとするが、直流電圧マージン(直流電圧の許容変動幅)の小さい電力変換器10の直流電流制御は飽和するため、最終的には直流電圧マージン(直流電圧の許容変動幅)の大きい電力変換器10の直流電流制御に従った直流電流に制御される。
系統事故の発生した交流側の電力変換器10が直流電流制御モードの場合、直流系統の他方の電力変換器10は直流電圧制御モードのため、直流電圧マージンがゼロに設定され、直流電圧が一定値Vdc_refに制御されている。したがって、系統不足電圧事故検知信号UVFLTの有効時に拡大された直流電圧制御マージンによって、他方の電力変換器10の一定の直流電圧Vdc_refに対して差電圧を形成することで、直流系統のインピーダンスに印加される電圧を調整し、直流電流Idcを制限されたIdc*_limの値に制御する。
一方、系統事故の発生した交流側の電力変換器10が直流電圧制御モードの場合、直流系統の他方の電力変換器10は直流電流制御モードのため、直流電圧マージンがゼロでない値に設定され、直流電圧は定格直流電圧Vdc_refにゼロでない直流電圧操作量ΔVdcを加算した値に制御されている。系統不足電圧事故検知信号UVFLTの有効時は、直流電圧制御マージンは他方の直流電流制御モード(通常運転時)の直流電圧マージンよりも拡大されるため、他方の電力変換器10の直流電流制御が先に飽和する(直流電圧操作量ΔVdcがリミッタ25Cの制限値LM3に至ることで固定値になる)。系統事故の発生した交流側の電力変換器10は、その他方の電力変換器10の飽和した直流電圧Vdcに対してさらに差電圧を形成することで、直流系統のインピーダンスに印加される電圧を調整し、直流電流Idcを制限されたIdc*_limの値に制御する。
系統不足電圧時は、対象交流系統に連系する電力変換器10が運転モード指令MODEに関わらず、直流電流Idcを制限し、直流端子側から流入出する有効電力が定格有効電力よりも小さい値に制限される。上述した通り、直流電流Idcを制限することで、直流端子側から流入出する有効電力が減少すれば、結果として有効電流指令値Isd*も減少し、交流端子側の有効電力も定格有効電力より小さい値に減少する。また、無効電流Isqを制限無効電流指令値Isq*_limに一致させるように制御することで、例えば、無効電力指令値Q*が定格容量性無効電力相当であった場合、容量性無効電力の量が制限される。交流電流振幅最大値Ismaxは、少なくとも有効電力の制限分だけ減少する。また、有効電力と容量性無効電力の低減に伴い、電力変換器交流端子電圧の振幅も減少する。
図9の時刻T1は、交流系統の地絡相が切り離され、系統事故が除去された時点を示す。時刻T1で交流系統の地絡相が切り離され、事故除去すると、図示したように交流系統電圧は回復過程で一時的に通常以上の電圧に上昇することがある。この交流系統過渡過電圧は交流系統有効電圧Vsdの上昇としても現れている。交流系統有効電圧Vsdは交流系統電圧上閾値Vth_Hを上回り、系統過電圧事故検知信号OVFLTが有効となる。系統過電圧事故検知信号OVFLTが有効な場合、直流電流指令値用のリミッタ23Cの制限値LM1は、上限、下限ともにその絶対値が定格直流電流よりも小さい電流相当になるように設定される。図9では、例えば、LM1の上限、下限をともに、系統不足電圧事故検知信号UVFLTが有効な場合と同様に、ゼロに設定している。
また、無効電流指令値用のリミッタ23Dの制限値LM2は、上限を小さくしたり、ゼロに設定したりし、下限を通常運転時から変更しなくてもよい。図9では、例えば、LM2の上限をゼロに設定し、LM2の下限は通常運転時と等しい値に設定している。さらに、直流電圧マージン用のリミッタ25Cの制限値LM3は、系統不足電圧事故検知信号UVFLTが有効な場合と同様に、上限および/または下限が、運転モード指令MODEに関わらず、直流電流制御モードでの通常運転時の設定値(直流系統を介して接続される他の電力変換器の直流電圧の許容変動幅)よりも大きな絶対値になるように設定される。
系統過電圧時は、系統不足電圧時と同様に、対象交流系統に連系する電力変換器10が運転モード指令MODEに関わらず、直流電流Idcを制限し、直流端子側から流入出する有効電力が定格有効電力よりも小さい値に制限される。上述した通り、直流電流Idcを制限することで、直流端子側から流入出する有効電力が減少すれば、結果として有効電流指令値Isd*も減少し、交流端子側の有効電力も定格有効電力より小さい値に減少する。また、無効電流Isqを制限無効電流指令値Isq*_limに一致させるように制御することで、例えば、容量性無効電力がゼロとなる。交流電流振幅最大値Ismaxは、少なくとも有効電力の制限分だけ減少する。また、有効電力と容量性無効電力の低減に伴い、電力変換器交流端子電圧の振幅も小さくて済む。
系統過電圧時は、系統不足電圧時と比較して、大きな振幅の交流系統電圧に対向するため、変換器交流端子電圧が高くなる。電力変換器10には、出力可能な変換器交流端子電圧の上限があり、例えば、MMCの場合は、出力可能な相電圧のPeak―to―Peak最大値が、セルの定格コンデンサ電圧にアームユニットごとのセル直列数を乗じた値程度となる。変換器交流端子電圧の指令値の最大値が出力可能な電圧上限を超過すると、いわゆる過変調という制御飽和状態となり、例えば、交流電流の制御が一時的に機能せず、大きな電流オーバーシュートが発生する。図9においても、時刻T1直後に交流電流振幅最大値Ismaxが大幅に増加している。このオーバーシュート量は、過変調の発生しない系統不足電圧事故発生T0直後のオーバーシュート量よりも大きくなることがある。
実施形態では、図9の電流オーバーシュートを考慮した交流電流振幅最大値Ismaxのピーク値が次の(a)~(c)の効果により抑制されている。(a)系統事故回復T1直後の系統過電圧が発生する以前の系統不足電圧時に、事前に少なくとも有効電力を制限することで、オーバーシュート量が加算される前の電流値が小さくなっている。(b)系統事故回復T1直後の系統過電圧が発生する以前の系統不足電圧時に、事前に有効電力と容量性無効電力の最大値を制限することで、系統事故回復T1直後の制御が追従するより前の変換器交流端子電圧の振幅も抑制され、過変調が軽減される。(c)系統事故回復T1直後の系統過電圧が発生した場合に、有効電力と容量性無効電力の最大値を制限することで、制御が追従してからも変換器交流端子電圧の振幅が抑制され、過変調が軽減される。
図9では、交流電流振幅最大値Ismaxのピーク値が、過電流保護閾値Iocを超過することなく、電力変換器10は運転を継続している。また、この際、過大な電流によってセルのコンデンサが過充電され、過電圧保護によって運転を停止するリスクも軽減される。このように、系統事故回復時に系統に過渡過電圧が発生すると、電力変換器10は制御不能(過変調)に至ることがあり、系統事故発生時(不足電圧時)よりも運転継続に重大な影響を及ぼす。したがって、系統事故発生時(不足電圧時)にあらかじめ有効電力や無効電力を制限することで、系統事故回復後、さらに系統の過渡過電圧収束後に、運転停止を防止し、高速に事故発生前の運転状態に回復可能となる。
図9の時刻T2は、系統過電圧が収束した時点を示す。時刻T2にて、系統過電圧が収束し、交流系統有効電圧Vsdが通常範囲に戻り、系統事故検知部22の状態保持器22Bの保持時間を経過すると、各リミッタの制限値は系統事故発生前の設定に回復し、有効電力、無効電力も再び通常運転時の制御に従って制御される。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、系統事故回復時の系統過渡過電圧によって電流が増加しても事前に電流絶対値を小さくしていることで、電流最大値を抑制できる。これにより、過電流保護停止や過大な電流でセルコンデンサが充電されることによる過電圧保護停止を未然に防止できる。
さらに、実施形態によれば、変換器交流端子電圧の振幅が大きくなる容量性無効電力を制限することで系統過渡過電圧によって過変調(制御不能)に至るリスクを低減できる。系統事故回復時に適切に制御が作用することで、保護停止に至るリスクを軽減できる。
さらに、実施形態によれば、直流電圧マージンを拡大することで、直流電圧制御モード、もしくは直流電流制御モードの運転モードに関わらず、有効電力(直流電流)を制限できる。さらに、直流電圧制御モードの電力変換器は、直流系統を介して接続された直流電流制御モードの電力変換器に指令を与えることなく、通信レスで有効電力を制限できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…電力変換器、20…変換器制御部、21…交流情報算出部、21A…変換部、21B…PI演算部、21C…加算部、21D…発振器、22…系統事故検知部、22A…比較器、22B…状態保持器、23…指令値制限部、23A…1/Vdc演算部、23B…1/Vs演算部、23C、23D…リミッタ、24…コンデンサ電圧一括制御部、25…直流電流制御部、26…交流電流制御部、100…電力変換装置

Claims (8)

  1. 交流と直流とを変換可能な電力変換装置であって、
    前記交流側の交流端子電圧を切り替え可能とするスイッチング素子を含む電力変換器と、
    前記スイッチング素子に動作指令を与える変換器制御部と、を備え、
    前記変換器制御部は、前記交流の電圧の絶対値が所定の範囲よりも低下したことを検知した場合に、前記交流の電圧の絶対値の低下を発生させた異常が除去される前までに、前記電力変換器によって出力される有効電力を定格有効電力よりも小さい範囲に制限し、少なくとも前記異常が除去されるまで前記有効電力の制限を継続する、
    電力変換装置。
  2. 前記変換器制御部は、
    前記交流の電圧の絶対値が前記所定の範囲よりも上昇したことを検知した場合に、前記電力変換器によって出力される前記有効電力を定格有効電力よりも小さい範囲に制限し、
    前記異常が除去され、前記交流の電圧の絶対値が前記所定の範囲に至るまで前記有効電力の制限を継続する、
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記変換器制御部は、前記電力変換器の直流端子の直流電流と直流電流指令値との差分に基づく操作量を直流電圧の許容変動幅の上限以下および/または下限以上に制限する直流電圧マージン設定部を備え、
    前記直流端子の直流電圧の指令値は、前記制限された操作量を含み、
    前記有効電力の制限中は、前記直流電圧の許容変動幅の上限および/または下限の絶対値を、前記交流の電圧の絶対値が所定の範囲にある場合よりも大きな値に変更する、
    請求項1又は2に記載の電力変換装置。
  4. 前記変換器制御部は、前記電力変換器の直流端子の直流電流と直流電流指令値との差分に基づく操作量を直流電圧の許容変動幅の上限以下および/または下限以上に制限する直流電圧マージン設定部を備え、
    前記直流端子の直流電圧の指令値は、前記制限された操作量を含み、
    前記有効電力の制限中は、前記直流電圧の許容変動幅の上限および/または下限の絶対値を、前記直流端子を介して接続された他の電力変換器の直流電圧の許容変動幅の上限および/または下限の絶対値よりも大きな値に変更する、
    請求項1又は2に記載の電力変換装置。
  5. 前記変換器制御部は、前記交流の電圧の絶対値が前記所定の範囲よりも低下したことを検知した場合に、前記交流の電圧の絶対値の低下を発生させた異常が除去される前までに、前記電力変換器によって出力される容量性無効電力を定格容量性無効電力よりも小さい範囲に制限し、少なくとも前記異常が除去されるまで前記容量性無効電力の制限を継続する、
    請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。
  6. 前記変換器制御部は、前記交流の電圧の絶対値が前記所定の範囲よりも上昇したことを検知した場合に、前記電力変換器によって出力される前記容量性無効電力を定格容量性無効電力よりも小さい範囲に制限し、
    前記異常が除去され、前記交流の電圧の絶対値が前記所定の範囲に至るまで前記容量性無効電力の制限を継続する、
    請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。
  7. 前記変換器制御部は、前記交流の電圧の絶対値が前記所定の範囲よりも上昇したことを検知した場合に、前記電力変換器によって出力される前記容量性無効電力をゼロに制限し、
    前記異常が除去され、前記交流の電圧の絶対値が前記所定の範囲に至るまで前記容量性無効電力の制限を継続する、
    請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。
  8. 前記電力変換器は、複数の単位変換器が直列接続されたアームユニットを有し、第1の前記アームユニットと、第2の前記アームユニットを直列接続した相ユニットを交流の相ごとに備え、
    第1の前記アームユニットと第2の前記アームユニットとの接続点は、前記交流の相に接続する端子であり、
    第1の前記アームユニットおよび第2の前記アームユニットの各々の一端、もしくは、前記単位変換器の間の任意の位置にインダクタンス要素が挿入され、
    前記相ユニットの両端は直流端子であり、前記単位変換器は、複数のスイッチング素子と、エネルギー蓄積要素と、を含む、
    請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。
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