<画像形成装置の全体構成>
以下、本開示の実施例1における画像読取装置の構成について説明する。図1は、実施例1のシート給送装置としてのADF100を含む画像形成装置1000の一例を示す断面図である。本実施例の画像形成装置1000は、シートの画像を読み取る画像読取部200と、自動原稿給送装置(ADF)100とを備える。また、画像形成装置1000は、ADF100及び画像読取部200の動作を制御する制御手段としてのコントローラ310と、画像形成装置1000全体の動作を制御する本体側コントローラ300とを有する。画像読取部200及びADF100は、本体側コントローラ300から入力された信号に基づいて動作する。図1においては、本体側コントローラ300及びコントローラ310が装置本体1000Aに組み込まれている構成を示しているものの、画像読取部200にコントローラ310を設ける構成としてもよい。
画像形成装置1000は、画像読取部200によって読み取られた画像や外部の情報処理装置から入力された情報に基づいてシートに対して画像を形成する画像形成手段としての画像形成エンジン330を備える。本実施例では、画像形成エンジン330として、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、オフセット印刷方式等によってシートにインクやトナー等の着色剤の像を形成するものを用いることができる。以下の説明においては、読取対象としてADF100によって給送されるシートを「原稿」とし、画像形成エンジン330において画像形成対象となるシートを「シート」と称する。
<画像読取部の構成>
画像読取部200について、図1を参照しながら説明する。画像読取部200は、読取部としての光学スキャナユニット202と、原稿載置ガラス209とを有する。光学スキャナユニット202は、副走査方向(矢印F,図1)に一定速度で走査し、原稿載置ガラス209上に設置された原稿Sを1ラインずつ読み取る(固定読み)。また、光学スキャナユニット202は、表面ガラス対向部材211の中心位置に来るように移動した後、ADF100によって給送及び搬送された原稿Sを光学的に読み取る(流し読み)。また、ADF100は、光学スキャナユニット102を有する。光学スキャナユニット102は、ADF100の内部において原稿を反転搬送することなく、光学スキャナユニット202で読み取られた原稿Sの裏面を光学的に読み取る。
<ADFの構成>
次に、ADF100について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、ADF100は、1枚以上のシートで構成される原稿Sの束が積載される原稿トレイ30と、原稿Sの給送前に原稿トレイ30よりも下流への原稿Sの進出を規制する分離上ローラ2及び分離下ローラ3と、給送ローラ1とを有する。ADF100の本体内部において、本実施例のシート積載部としての原稿トレイ30の下方には、原稿トレイ30に積載された原稿Sの有無を検知する有無検知センサ11が設けられている。原稿トレイ30に積載された原稿Sが本実施例の積載シートであり、以後の説明において、原稿トレイ30に積載された原稿を「積載原稿」とする。給送ローラ1は、積載原稿の上面に下降して回転して原稿Sを給送する。給送ローラ1によって給送された原稿Sは、分離上ローラ2と分離下ローラ3の作用によって原稿Sの束のうち、最上面の1枚の原稿Sのみが分離及び搬送される。そして、原稿Sは、引抜ローラ4及び引抜ローラ5により、原稿Sの給送方向において、引抜ローラ5の下流側に設けられた搬送路50及びリードローラ6を経由して流し読みガラス201へ向けて搬送される。
搬送路50へと搬送された原稿Sは、リードローラ6及びガイド板上流ローラ7によって流し読みガラス201上の画像読取位置に搬送される。LED203a,203bは、流し読みガラス201と表面ガラス対向部材211との間を原稿Sが通過する際に光を照射する。LED203a,203bが照射した光の反射光は、ミラー204a,204b,204cで屈曲されて、表面画像読取センサ205に入射する。表面画像読取センサ205は、例えば、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの光学素子を用いたセンサによって構成される。そして、表面画像読取センサ205は、入射された光に基づいて原稿Sの画像を1ラインずつ読み取る。
原稿Sの表面の画像のみを読み取る場合、ガイド板下流ローラ8により搬送された原稿Sは、裏面読み取り搬送ローラ9を経由して、排出ローラ10によって排出トレイ32に排出される。原稿Sの裏面の画像の読み取りを行う場合、原稿Sは、表面の画像読取後、裏面ガラス対向部材101にある画像読取位置に搬送され、光学スキャナユニット202によって読み取られた面の裏面の画像が光学スキャナユニット102によって読み取られる。LED103a、103bは、原稿Sが裏面ガラス対向部材101を通過する際に光を照射する。LED103a,103bが照射した光の反射光は、ミラー104a,104b,104cで屈曲されて、裏面画像読取センサ105に入射する。裏面画像読取センサ105は、入射された光によって、原稿Sの裏面の画像を1ラインずつ読み取る。なお、裏面画像読取センサ105も、CMOSやCCD等の光学素子を用いたセンサによって構成される。裏面の画像が読み取られた原稿Sは、排出ローラ10によって排出トレイ32に排出される。
<原稿トレイの構成>
次に、本実施例のADF100及び原稿トレイ30の構成について図2を参照して説明する。図2は、ADF100の上部断面図である。図2においては、原稿トレイ30にA4サイズの用紙を縦置き(原稿トレイ30に置かれた用紙の幅方向の長さが給送方向の長さよりも長くなる配置)にした様子を示している。図2に示すように、原稿トレイ30には、規制板31A,31Bと、サイズ検知センサ17,18とが設けられている。原稿トレイ30に積載されたシート(原稿S)があるか否かは、有無検知センサ11によって検知される。また、積載原稿は、一対の規制板31A,31Bによって原稿Sの給送方向に直交する幅方向に関する移動が規制され、原稿幅検知センサ809(図3)によって、規制板31A,31Bの移動量が検知される。原稿幅検知センサ809によって検知された規制板31A,31Bの移動量の情報は、CPU801に入力される。つまり、原稿幅検知センサ809は、本実施例の積載幅検知手段として機能する。なお、本実施例において原稿Sの幅方向は、給送ローラ1の軸方向に平行な方向である。また、規制板31A,31Bは、幅方向における規制板31Aと規制板31Bとの間隔が最大300mmとなるまで移動することができる。
原稿トレイ30上において、サイズ検知センサ17,18は、原稿Sの給送方向において給送ローラ1よりも上流に配置された検知位置における原稿Sの有無を検知する。具体的には、給送方向において、サイズ検知センサ17の検知位置は、サイズ検知センサ18の検知位置よりも給送ローラ1の近くに配置されている。つまり、本実施例の第2シート検知手段がサイズ検知センサ18であり、サイズ検知センサ18の検知位置が第1積載シート検知位置である。また、本実施例において、第3シート検知手段がサイズ検知センサ17であり、サイズ検知センサ17の検知位置が第2積載シート検知位置である。サイズ検知センサ17,18による原稿Sの検知結果は、CPU801に入力される。このように、本実施例において、積載原稿のサイズを検知する第1サイズ検知手段は、原稿幅検知センサ809とサイズ検知センサ17,18とによって構成される。そして、原稿幅検知センサ809及びサイズ検知センサ17,18の検知結果が本実施例の第1検知結果である。
原稿トレイ30から給送された原稿Sは、ADF100の内部を分離上ローラ2、分離センサ12、本実施例の搬送ローラ対としての引抜ローラ4、引抜センサ13、幅検知センサ14a,14b,14c,14d、引抜ローラ5の順に通過する。本実施例において、ADF100の内部を搬送される原稿Sの幅方向の長さは、幅検知センサ14a,14b,14c,14dによって検知される。本実施例では、幅検知センサ14a,14b,14c,14dが、それぞれ、幅方向において一定の間隔をあけて設けられており、幅検知センサ14a,14b,14c,14dにおける原稿Sの検知結果は、CPU801に入力される。CPU801は、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果に基づいて幅方向における原稿Sの長さを定める。幅検知センサ14a,14b,14c,14dが協働して本実施例の第2サイズ検知手段として機能し、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果が本実施例の第2検知結果の一例である。なお、給送方向における幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知位置を原稿Sが通過するために要した時間に基づいて給送方向における原稿Sの長さを定める構成であってもよい。なお、以下の説明において、幅検知センサ14a,14b,14c,14dを区別する必要がない箇所については、幅検知センサ14a,14b,14c,14dを「幅検知センサ14」と記載する。
<画像形成装置の制御構成>
次に、画像形成装置1000の制御構成について図3を参照して説明する。図3は、画像形成装置1000の制御構成を例示したブロック図である。画像読取部200及びADF100の動作を制御するコントローラ310は、演算手段としてのCPU801と、記憶領域としてのROM802と、CPU801の作業領域としてのRAM803とを備えている。ROM802には、画像読取部200及びADF100の動作を制御するプログラムが格納されており、CPU801は、このプログラムをROM802からロードしてRAM803上に展開する。そして、RAM803上に展開されたプログラムをCPU801が実行することにより画像読取部200及びADF100の動作が制御される。
また、画像形成装置1000全体の動作を制御する本体側コントローラ300は、演算手段としてのCPU901と、記憶領域としてのROM902と、CPU901の作業領域としてのRAM903と、を備えている。また、本体側コントローラ300は、画像情報を取り扱うためのASIC等によって構成される画像処理部905と、画像情報を記憶する画像メモリ906とを備えている。ROM902には、画像形成装置1000の全体の動作を制御するプログラムが格納されており、CPU901は、このプログラムをROM902からロードしてRAM903上に展開する。そして、RAM903上に展開されたプログラムをCPU901が実行することにより画像形成装置1000全体の動作が制御される。つまり、本実施例において、コントローラ310は、本体側コントローラ300から入力された情報に基づいて動作する構成である。したがって、操作表示部904や外部端末から入力された情報や作業用データは、本体側コントローラ300からコントローラ310に入力され、RAM803に記憶される。
給送ローラ1と分離上ローラ2とを回転駆動させる分離モータ805、及び、引抜ローラ4と引抜ローラ5とを回転駆動させる引抜モータ806は、バス320を介してCPU801に接続される。また、CPU801には、バス320を介して、読み取りリードローラ6と、ガイド板上流ローラ7と、ガイド板下流ローラ8と、裏面読み取り搬送ローラ9と、排出ローラ10とを駆動させるリードモータ807が接続されている。さらに、給送ローラ1を原稿Sの上面に対して下降(当接)又は上昇(離間)させるためのピックアップモータ808がCPU801に接続される。つまり、給送ローラ1は、原稿Sの上面に対して当接及び離間可能に構成されている。ピックアップモータ808は、楕円形状のカム(非図示)を介して給送ローラ1と接続されている。給送ローラ1、分離モータ805及びピックアップモータ808が協働して本実施例の給送手段として機能する。また、分離上ローラ2及び分離モータ805が協働して本実施例の分離搬送手段として機能する。また、引抜ローラ4,5及び引抜モータ806が協働して給送された原稿を給送方向の下流へと搬送する。
<トレイに積載された原稿のサイズ判定>
ここで、本実施例における原稿トレイ30上に積載された原稿Sのサイズを判定するための構成について説明する。図2において説明したように、原稿トレイ30には、サイズ検知センサ17,18が設けられている。以下では、原稿トレイ30に原稿Sが積載された状態であると仮定し、給送方向において積載原稿の下流端の位置を原稿先端位置OPとして説明を行う。
<給送方向における原稿の長さ判定>
まず、本実施例における原稿トレイ30上に積載された原稿Sの給送方向の長さを判定するための構成について説明する。図2において説明したように、原稿トレイ30には、サイズ検知センサ17,18が設けられており、サイズ検知センサ17,18の検知結果はバス320を介してCPU801に入力される。ここで、原稿先端位置OPからサイズ検知センサ17までの距離を220mmとし、原稿先端位置OPからサイズ検知センサ18までの距離を330mmであると仮定する。このとき、CPU801は、サイズ検知センサ17がOFFかつサイズ検知センサ18がOFFのとき、給送方向における原稿Sの長さが220mm未満であると判定する。また、サイズ検知センサ17がONかつサイズ検知センサ18がOFFのとき、CPU801は、給送方向における原稿Sの長さが220mm以上330mm未満の長さであると判定する。サイズ検知センサ17がONかつサイズ検知センサ18がONのとき、CPU801は、給送方向における原稿Sの長さが330mm以上の長さだと判定できる。このように、本実施例において、CPU801は、サイズ検知センサ17,18の検知結果の組み合わせに応じて、原稿トレイ30に積載されている原稿Sの給送方向の長さがどの範囲にあるかを判定する。
<幅方向における原稿の長さ判定>
次に、本実施例における原稿トレイ30上に積載された原稿Sの幅方向の長さを判定するための構成について説明する。図2において説明したように、原稿トレイ30には、規制板31A,31Bが設けられており、規制板31A及び31Bは、原稿幅検知センサ809に接続される。原稿幅検知センサ809は、可変抵抗及びA/D変換器から構成され、規制板31A,31Bの移動によって変化する電圧アナログ値をA/D変換器により10ビット幅のデータに変換する。原稿幅検知センサ809の検知結果は、CPU801に入力され、CPU801は、原稿幅検知センサ809の検知結果に基づいて、積載原稿の幅方向における長さを判定する。
<トレイに積載された原稿のサイズ種別判定>
CPU801は、給送方向における原稿Sの長さと、幅方向における原稿Sの長さとに基づいて積載原稿のサイズ種別を判定する。なお、本実施例では、原稿Sをサイズによってグループ分けし、給送方向における原稿Sの長さと幅方向における原稿Sの長さとに基づいて原稿トレイ30に積載されたシートのサイズ種別がどのグループに属するかを判定している。例えば、原稿Sのサイズ種別として、以下に示すグループ分けを行い、グループ分けした原稿Sのサイズ種別の情報をあらかじめROM802に格納しておく。ここでは、原稿Sのサイズとして、A4やレターサイズ(以下、LTRとする)をグループX、A5やB5、はがきサイズ等のA4やLTRより小さいサイズをグループY、A3やB4等のA4やLTRより大きいサイズをグループZとする。そして、CPU801は、給送方向における原稿Sの長さと、幅方向における原稿Sの長さとに基づいて積載原稿のサイズ種別がグループX,Y,Zのどのグループに属するかを判定する。
ここで、原稿トレイ30にA4サイズの原稿Sが横置きされていると仮定して、CPU801による原稿Sのサイズ種別の判定について説明する。横置きとは、原稿トレイ30に置かれた用紙の給送方向の長さが幅方向の長さよりも長くなるように配置された状態のことである。このとき、積載原稿は、幅方向における原稿Sの長さが210mm,かつ、給送方向における原稿Sの長さが220mm以上かつ330mm未満である。このとき、CPU801は、原稿トレイ30にA4サイズの原稿Sが横置きされている状態であり、原稿Sのサイズ種別がグループXであると判定する。
また、原稿トレイ30にA5サイズの原稿Sが横置きされていると仮定した場合、積載原稿は、幅方向における原稿Sの長さが148mm,かつ、給送方向における原稿Sの長さが220mm未満である。このとき、規制板31Aと規制板31Bとの間隔は、原稿SがA4サイズである場合に比べて小さくなる。そして、CPU801は、原稿トレイ30にA4サイズよりも小さい原稿Sが横置きされている状態であり、原稿Sのサイズ種別がグループYであると判定する。つまり、原稿トレイ30に対して原稿Sが横置きされている場合、原稿SがA4/LTRよりも小さいサイズ、または、サイズ検知センサ17,18がいずれもOFF状態となるサイズであるときには、原稿Sのサイズ種別がグループYであると判定される。
また、原稿トレイ30にA3サイズの原稿Sが横置きされていると仮定した場合、積載原稿は、幅方向における原稿Sの長さが297mm,かつ、給送方向における原稿Sの長さが330mm以上である。このとき、規制板31Aと規制板31Bとの間隔は、原稿SがA4サイズである場合に比べて大きくなる。そして、CPU801は、原稿トレイ30にA4サイズよりも大きい原稿Sが横置きされている状態であり、原稿Sのサイズ種別がグループZであると判定する。つまり、原稿トレイ30に対して原稿Sが横置きされている場合、原稿SがA4/LTRよりも大きいサイズ、または、サイズ検知センサ17,18がいずれもON状態となるサイズであるときには、原稿Sのサイズ種別がグループZであると判定される。
次に、原稿トレイ30にA4サイズの原稿Sが縦置きされていると仮定して、CPU801による原稿Sのサイズ種別の判定について説明する。このとき、積載原稿は、幅方向における原稿Sの長さが297mm,かつ、給送方向における原稿Sの長さが220mm未満である。このとき、CPU801は、原稿トレイ30にA4サイズの原稿Sが縦置きされている状態であり、原稿Sのサイズ種別がグループXであると判定する。つまり、原稿トレイ30に対して原稿Sが縦置きされている場合、規制板31A,31Bが最大間隔であり、かつ、サイズ検知センサ17,18がいずれもOFF状態となるサイズであるときには、原稿Sのサイズ種別がグループXであると判定される。
また、原稿トレイ30にA5サイズの原稿Sが縦置きされていると仮定した場合、積載原稿は、幅方向における原稿Sの長さが210mm,かつ、給送方向における原稿Sの長さが220mm未満である。このとき、規制板31Aと規制板31Bとの間隔は、原稿SがA4サイズである場合に比べて小さくなる。そして、CPU801は、原稿トレイ30にA4サイズよりも小さい原稿Sが縦置きされている状態であり、原稿Sのサイズ種別がグループYであると判定する。つまり、原稿Sが縦置きされている場合に、規制板31A,31BがA4サイズのときよりも小さい間隔であり、かつ、サイズ検知センサ17,18がいずれもOFF状態となるサイズであるときには、原稿Sのサイズ種別がグループYであると判定される。
なお、上述したように、規制板31A,31Bは、幅方向における規制板31Aと規制板31Bとの間隔が300mmになるまで移動する。したがって、本実施例では、原稿トレイ30上にA3サイズの原稿Sを縦置きしようとすると、幅方向における原稿Sの移動を規制板31A,31Bでは規制できない。したがって、原稿トレイ30に縦置きできる原稿Sの幅方向の長さは、規制板31Aと規制板31Bとの最大間隔よりも小さいため、原稿トレイ30に対してA4サイズ以上の大きさの原稿Sが縦置きの状態でセットされることはない。
<ADF内部での原稿のサイズ判定>
次に、ADF100の内部を搬送される原稿のサイズを判定する構成について説明する。図1から図3に示すように、ADF100の内部には、有無検知センサ11と、分離センサ12と、引抜センサ13と、リードセンサ15と、排出センサ16とが設けられている。有無検知センサ11、分離センサ12、引抜センサ13、リードセンサ15、及び排出センサ16は、それぞれ、バス320を介してCPU801に接続されている。また、ADF100の内部には、幅検知センサ14a,14b,14c,14dが設けられており、幅検知センサ14a,14b,14c,14dは、それぞれ、バス320を介してCPU801に接続されている。
<ADF内部での原稿の幅方向の長さ判定>
ここで、本実施例におけるADF100の内部での幅方向における原稿Sの長さを判定するための構成について説明する。図2において説明したように、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知位置は、本実施例の分離搬送手段としての分離上ローラ2及び分離下ローラ3の下流に配置されている。ここで、A4サイズとA5サイズのシートを縦置きにした状態で原稿Sを給送した場合における幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果について説明する。本実施例において、原稿トレイ30にA4サイズのシートを縦置きにして原稿Sの給送を行うと、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知位置を原稿Sが通過する。このとき、幅検知センサ14a,14b,14c,14dは、いずれもON信号を出力する。このような場合、CPU801は、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果に基づいて、給送ローラ1によって給送された原稿Sの幅方向の長さがA4サイズであると判定する。ここで、規制板31Aに幅寄せされた状態でA5サイズ(148×210)のシートが給送された場合について考察する。このような場合、幅検知センサ14aと幅検知センサ14dとの検知位置の間隔を仮に297mmとすると、原稿Sは幅検知センサ14aの検知位置を通過する一方で、幅検知センサ14dの検知位置を通過しないこととなる。このような場合、CPU801は、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果に基づいて、給送ローラ1によって給送された原稿Sの幅方向の長さがA4サイズではないと判定する。
次に、A4サイズとA5サイズのシートを横置き(給送方向の長さが幅方向の長さよりも長くなる配置)にした状態で原稿Sを給送した場合における幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果について説明する。ここでは、幅方向におけるシートの中央を基準とする中央基準方式で原稿Sを給送すると仮定する。原稿トレイ30にA4サイズのシートを横置きにして原稿Sの給送を行うと、幅検知センサ14b,14cの検知位置を原稿Sが通過するため、幅検知センサ14b,14cは、いずれもON信号を出力する。このような場合、CPU801は、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果に基づいて、給送ローラ1によって給送された原稿Sの幅方向の長さがA4サイズであると判定する。ここで、幅検知センサ14bと幅検知センサ14dとの検知位置の間隔を仮に210mmとすると、A5サイズの原稿Sは幅検知センサ14a,14dの両方の検知位置を通過しないこととなる。このような場合、CPU801は、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果に基づいて、給送ローラ1によって給送された原稿Sの幅方向の長さがA4サイズではないと判定する。
なお、A4サイズのシートを横置き、かつ、A5サイズのシートを縦置きにした状態で原稿Sを給送した場合、幅検知センサ14b,14cの両方の検知位置を原稿Sが通過するため、幅検知センサ14b,14cは、いずれもON信号を出力する。このような場合、CPU801は、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果に基づいて、給送ローラ1によって給送された原稿Sの幅方向の長さがA4サイズであると判定する。
<ADF内部での原稿の給送方向の長さ判定>
次に、実施例におけるADF100の内部での給送方向における原稿Sの長さを判定するための構成について説明する。図3で説明した光学モータ804、分離モータ805、引抜モータ806及びリードモータ807は、いずれもパルスモータである。CPU801は、駆動パルス数をカウントしながら、光学モータ804、分離モータ805、引抜モータ806及びリードモータ807それぞれの回転数を制御する。CPU801は、原稿Sの搬送中に、引抜センサ13がON信号を出力すると、引抜センサ13がON信号を出力してからOFF信号を出力するまでの引抜モータ806の駆動パルス数をカウントする。なお、本実施例において、引抜モータ806は、給送動作を開始するための給送開始命令を受けて給送ローラ1の下降動作が行われると駆動を開始し、給送対象の全ての原稿に対する給送が完了するまでは駆動し続ける構成である。そして、CPU801は、引抜モータ806の駆動パルス数と、引抜モータ806の駆動を引抜ローラ4へ伝達するためのギアの1パルス当たりの進み量(ギア比)とに基づいて、給送方向における原稿Sの搬送量を定める。換言すると、CPU801は、引抜センサ13がON信号を出力してからOFF信号を出力するまでの引抜モータ806の駆動パルス数とギア比とに基づいて給送方向における原稿Sの長さを判定することができる。本実施例の第1シート検知手段が引抜センサ13であり、引抜センサ13の検知位置が本実施例の第1検知位置である。なお、CPU801は、原稿Sの搬送ジョブの実行中に、引抜センサ13がOFF信号を出力してからON信号を出力するまでの引抜モータ806の駆動パルス数をカウントして原稿Sの搬送間隔の長さ(いわゆる紙間距離)を判定することもできる。
<画像読取機能の構成>
次に、本実施例における画像読取部200の画像読取機能の構成について説明する。図3に示すように、画像読取機能を実現する構成として、光学スキャナユニット202は、表面LED203と、表面画像読取センサ205とを有する。表面LED203及び表面画像読取センサ205は、バス320を介してCPU801に接続される。また、光学スキャナユニット102は、裏面LED103と、裏面画像読取センサ105とを有する。裏面LED103及び裏面画像読取センサ105は、バス320を介してCPU801に接続される。CPU801によって原稿Sの画像データの読取動作が開始されると、裏面画像読取センサ105及び表面画像読取センサ205によって原稿Sの画像が読み取られ、読み取られた画像は、画像データとしてCPU801に入力される。CPU801に入力された画像データは画像処理部810に転送され、画像処理部810においてシェーディング処理や各種のフィルタ処理が施される。画像処理部810で処理された後の画像データは、通信部302を介して本体側コントローラ300へ転送される。さらに、CPU801は、原稿Sの読取を開始する基準となる読取開始位置を示す垂直同期信号及び1ライン分の画素の読取を開始する基準となる水平基準位置を示す水平同期信号を原稿読取の開始タイミングに合わせて生成する。原稿Sの左上端の画素を原稿Sの読取開始位置とした場合、CPU801は、原稿Sの左上端の読取画素を読取開始位置とする垂直同期信号及び原稿Sの左端の読取画素を水平基準位置とする水平同期信号を生成する。生成された垂直同期信号及び水平同期信号は、通信部302によって本体側コントローラ300へ転送される。
本体側コントローラ300は、コマンド通信部301を介して、コントローラ310との間で各種のデータの受け渡しを行う。画像処理部810で処理された後の画像データは、通信部302を介して本体側コントローラ300に入力され、その後、画像処理部905へ転送される。そして、画像処理部905において画素毎に色判定等の画像処理が施された後、画像データは画像メモリ906に格納される。また、本体側コントローラ300は、操作画面90を表示する操作表示部904を備えている。操作画面90とは、図19に示すように、ユーザによる操作を受け付けてCPU901に信号を出力するユーザ・インターフェースの一例であり、例えばタッチパネルを操作表示部904として用いて操作画面90を表示させることができる。CPU901は、操作表示部904からの信号を受け取って、給送ジョブや読取ジョブ、印刷ジョブ等を開始する。CPU901からの給送ジョブや読取ジョブの開始信号を受け取って、CPU801は、ADF100による原稿の給送動作及び画像読取部200による原稿の読取動作を実行する。なお、図3においては、装置本体1000Aに操作表示部904が設けられている場合の制御ブロック図を示しているものの、ADF100に操作表示部を設けて操作画面90を表示させる構成であってもよい。
本実施例における画像形成装置1000は、このような構成によりADF100を用いて原稿を画像読取部200に向けて給送する。また、本実施例では、ADF100による原稿の給送に際し、操作表示部904に表示される操作画面90を操作して、原稿給送時におけるADF100の動作モードを設定することができる。
図19は、操作表示部904に表示される操作画面90の一例を示す図である。操作画面90は、同一サイズ給送設定ボタン91と、不定サイズ給送設定ボタン92と、OKボタン93と、取り消しボタン94とを含む。同一サイズ給送設定ボタン91は、例えば、給送対象の原稿がいずれもA4サイズであり、かつ、原稿トレイ30上に原稿を全て縦置きに配置した同一サイズ条件で原稿を給送するために選択されるボタンである。また、不定サイズ給送設定ボタン92は、例えば、給送対象の原稿のサイズがばらばらであるか、又は、原稿トレイ30上に縦置きと横置きとが混ざった状態で原稿が配置されているサイズ混載条件で原稿を給送するために選択されるボタンである。CPU901は、同一サイズ給送設定ボタン91に対する操作を受け付けると、ジョブデータに含まれる下降開始フラグをONに設定する。一方で、CPU901は、不定サイズ給送設定ボタン92に対する操作を受けつけると、下降開始フラグをON又はOFFのどちらに設定するかを積載原稿のサイズ種別に基づいて決定するための情報をジョブデータに付加する。つまり、原稿の給送を同一サイズ条件で行うことが選択された場合には、ジョブデータに含まれる下降開始フラグがONに設定されることとなる。一方で、原稿の給送をサイズ混載条件で行うことが選択された場合、下降開始フラグをON又はOFFのどちらに設定するかを積載原稿のサイズ種別に基づいて決定するための情報がジョブデータと共にCPU801に送信される。
以後の説明において、下降開始フラグをON又はOFFのどちらに設定するかを積載原稿のサイズ種別に基づいて決定するための情報のことを「フラグ設定情報」とする。そして、CPU801は、ジョブを実行するに際し、ジョブデータに含まれる下降開始フラグがONに設定された条件か、下降開始フラグをON又はOFFのどちらかに切り替えられる条件かを、フラグ設定情報の有無に応じて設定する。ジョブを実行するに際し、ジョブデータに含まれる下降開始フラグがONに設定される条件、すなわち、同一サイズ給送設定ボタン91を操作して設定される条件が本実施例の第1条件である。また、下降開始フラグをON又はOFFのどちらかに切り替えられる条件、すなわち、不定サイズ給送設定ボタン92を操作して設定される条件が本実施例の第2条件である。このように、コントローラ310は、CPU901から受信したジョブデータに基づいて、ジョブ実行するための条件として第1条件又は第2条件のいずれかを設定可能に構成されている。
本実施例における「下降開始フラグ」とは、原稿を連続して給送する場合において後続の原稿を給送するに際し、給送ローラ1の下降開始をどのタイミングで行うかを識別する情報としてジョブデータに含まれるものである。CPU801によって給送ローラ1から原稿が給送されると、後続の原稿から給送ローラ1を離間させるために、給送ローラ1を上昇させる動作が行われる。ジョブデータにおいて下降開始フラグがONに設定されている場合、CPU801は、給送ローラ1の上昇動作が完了した後、先行して給送された原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過する前に後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる。一方で、ジョブデータにおいて下降開始フラグがOFFに設定されている場合、CPU801は、給送ローラ1の上昇動作が完了した後、先行して給送された原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過してから後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる。本実施例において、先行して給送された原稿が先行シートであり、先行して給送された原稿の後続の原稿が後続シートである。また、先行して給送された原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過する前に後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる動作モードが本実施例の第2モードである。また、先行して給送された原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過してから後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる動作モードが本実施例の第1モードである。なお、後続の原稿に当接した後の給送ローラ1の回転は、先行して給送された原稿の後端が引抜センサ13を通過した後のタイミングで行われる。これにより、先行して給送される原稿と後続の原稿との給送間隔(紙間)を確保し、原稿の重送を防ぐことができる。
ユーザは、ジョブの実行に際し、同一サイズ給送設定ボタン91又は不定サイズ給送設定ボタン92を操作して、同一サイズ条件又はサイズ混載条件のどちらによって原稿の給送を行うかを選択する。このとき、不定サイズ給送設定ボタン92が操作された場合、CPU901は、ジョブデータにフラグ設定情報を付加してCPU801に送信する。なお、フラグ設定情報がジョブデータにデフォルトで含まれる構成としてもよい。このような場合、CPU801は、デフォルトで、下降開始フラグをON又はOFFのどちらに設定するかを積載原稿のサイズ種別に基づいて決定する。
本実施例では、例えば以下のような原稿の給送が行われることがある。ここで、給送対象の原稿がいずれもA4サイズであり、かつ、原稿トレイ30上に全ての原稿を縦置きに配置した状態、かつ、下降開始フラグがOFFの状態で給送動作が行われると仮定する。このとき、給送ローラ1の下降動作は、先行して給送された原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過してから開始されるため、給送ローラ1の下降時間によって給送動作に要する時間が長くなり、生産性の低下を招いてしまう。
そこで、本実施例においては、ジョブデータにフラグ設定情報が含まれている場合に、原稿のサイズ種別に応じて下降開始フラグをON又はOFFに切り替えて実行するようにする。ジョブデータにフラグ設定情報が含まれている場合とは、例えば、ユーザによって不定サイズ給送設定ボタン92が操作されたか又はフラグ設定情報がジョブデータにデフォルトで含まれている場合である。次に、図4から図7のフローチャートを参照して、本実施例における給送ローラ1の下降開始タイミングを変更する動作の流れについて説明する。図4から図7に示すフローチャートに含まれる各ステップの動作は、RAM803に入力データや一時データが保持された状態で、ROM802に格納されているプログラムをCPU801が実行することで行われる動作である。すなわち、図4から図7に示すフローチャートに含まれる各ステップの動作は、CPU801が主体となって行われる。以下の説明においては、原稿の片面のみを読み取る際の例を説明するものの、原稿の両面を読み取る際においても同様のフローチャートによって給送ローラ1の下降開始タイミングを変更する動作が行われる。
図4は、本実施例のジョブ設定動作の流れを示すフローチャートである。ジョブ設定動作は、操作表示部904に表示された画面においてスタートボタンが選択されたことを示す情報がCPU901に入力され、CPU901からジョブデータ及びジョブの開始コマンドがCPU801に入力されたことをトリガとして開始される。まず、CPU801は、ジョブデータを参照し、ジョブデータに設定されている条件が、同一サイズ条件又はサイズ混載条件のどちらであるかを判定する(S401)。ジョブデータにおいてサイズ混載条件が設定されている場合(S401/Y)、CPU801は、原稿トレイ30に積載されている原稿のサイズ種別を判定する。このとき、CPU801は、原稿トレイ30に積載されている原稿のサイズ種別がグループX、つまり、原稿のサイズがA4又はLTRであるか否かを判定する(S402)。積載原稿のサイズ種別がグループXである場合、つまり、積載原稿のサイズがA4又はLTRである場合(S402/Y)、CPU801は、下降開始フラグをONにして、ジョブを第2モードに設定する(S403)。原稿のサイズ種別として、本実施例の第1グループがグループXである。一方で、積載原稿のサイズ種別がグループX以外のグループである場合、つまり、積載原稿のサイズがA4又はLTRではない場合(S402/N)、CPU801は、下降開始フラグをOFFにして、ジョブを第1モードに設定する(S404)。本実施例においては、原稿のサイズ種別として、第1グループではないグループが第2グループである。ここでは、グループY又はグループZが第2グループである。
S401において、ジョブデータに同一サイズ条件が設定されている場合(S401/N)、CPU801は、下降開始フラグをONにして、ジョブを第2モードに設定する(S405)。S403、S404、S405においてそれぞれ下降開始フラグを設定した後、CPU801は、原稿の給送動作を開始する(S406)。図5は、本実施例にかかる給送動作の流れを示すフローチャートである。まず、CPU801は、給送開始命令を受信しているか否かを判定する(S501)。給送開始命令は、CPU901からCPU801に送信されるコマンドであり、CPU801は、給送開始命令を受信したことをトリガとして原稿の給送動作を開始する(S501/Y)。給送開始命令を受信すると、CPU801は、積載原稿の給送動作を開始する。なお、CPU901から給送開始命令を受信していない場合(S501/N)、CPU801は、給送開始命令を受信するまで給送動作の開始を待機する。
給送動作を開始すると、CPU801は、積載原稿に対して給送ローラ1が下降した状態であるか否かを判定する(S502)。なお、ジョブにおいて1枚目の原稿を給送する場合、給送ローラ1は下降を開始しておらず、原稿トレイ30上の原稿に対して給送ローラ1の下降は完了していない状態である。なお、CPU901から給送開始命令を受信する前に、原稿が原稿トレイ30に載置されたことが有無検知センサ11により検知されている場合、CPU801は、予め給送ローラ1を下降させるようにしてもよい。
CPU801は、給送ローラ1の下降が完了していないと判定すると(S502/N)、原稿トレイ30に向けて給送ローラ1を下降させる(S503)。給送ローラ1の下降動作は、所定時間又は所定パルス数分だけピックアップモータ808を回転させることにより、楕円形状のカム(非図示)の回転角度位置を変化させて、給送ローラ1が原稿トレイ30上の原稿に当接するまで行われる(S504)。次に、CPU801は、分離モータ805を駆動させて原稿の給送を開始する(S505)。給送ローラ1及び分離上ローラ2は分離モータ805の駆動力によって回転し、これにより原稿が給送される。CPU801は、引抜モータ806を回転させて(S506)、分離モータ805の駆動により給送された原稿を給送方向下流へと搬送する。引抜ローラ4,5は引抜モータ806の駆動力によって回転し、これにより原稿が給送方向下流へと搬送される。
原稿が搬送される間、CPU801は、分離センサ12がON信号を出力するまで待機する(S507)。搬送された原稿が分離センサ12の検知位置に到達すると、分離センサ12が出力する信号は、OFFからONに切り替わる(S507/Y)。なお、所定時間内に分離センサ12の出力信号がOFFからONに切り替わらない場合(S507/N)、CPU801は、原稿の搬送異常が発生したと判定し、原稿の給送動作を停止するような構成であってもよい。分離センサ12がON信号を出力すると(S507/Y)、CPU801は、引抜センサ13がON信号を出力するまで待機する(S508)。搬送された原稿が引抜センサ13の検知位置に到達すると、引抜センサ13が出力する信号は、OFFからONに切り替わる(S508/Y)。なお、所定時間内に引抜センサ13の出力信号がOFFからONに切り替わらない場合(S508/N)、CPU801は、原稿の搬送異常が発生したと判定し、原稿の給送動作を停止するような構成であってもよい。
引抜センサ13がON信号を出力すると、CPU801は、S504で下降させた給送ローラ1を上昇させる(S509)。給送ローラ1の上昇動作は、所定時間又は所定パルス数分だけピックアップモータ808を回転させることにより、楕円形状のカム(非図示)の回転角度位置を変化させて、給送ローラ1が原稿トレイ30上の原稿から離間するまで行われる。給送ローラ1の上昇動作を行なうと、CPU801は、分離モータ805の駆動を停止させる(S510)。これにより、原稿トレイ30に積載された後続の原稿が搬送されることなく、原稿を1枚ずつ給送することができる。本実施例では、S508において引抜センサ13がON信号を出力した時点で引抜ローラ4によって原稿が搬送されているため、S510において分離モータ805の駆動を停止しても1枚目の原稿の搬送が停止することはない。
次に、CPU801は、給送方向に直交する原稿の幅方向の長さを判定する(S511,幅方向長さ判定)。ここで、図6を参照して、本実施例における幅方向長さ判定の流れについて説明する。CPU801は、幅検知センサ14によって幅方向長さ検知を行うためのカウントを開始する(S601)。例えば、500mm/sで原稿を搬送し、かつ、引抜センサ13から幅検知センサ14までの距離が20mmであると仮定する。このとき、CPU801は、幅検知センサ14の出力信号を引抜センサ13がON信号を出力してから40msが経過したタイミングで取得するようにカウントを開始する。幅検知センサ14の出力信号を取得するタイミングに到達すると(S602/Y)、幅検知センサ14の出力信号を取得し、取得した信号に基づいて原稿の幅方向の長さを判定する(S603)。
例えば、図20(B)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S1B,S3BとA5サイズの原稿S2Bとが混載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行したとする。このとき、ジョブにおいて2枚目に搬送される原稿S2Bに対する幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果は、少なくとも一つのセンサからOFF信号が出力されることとなる。例えば、原稿S2Bを規制板31Aに突き当てるようにして給送した場合、幅検知センサ14a,14bがON信号を出力し、幅検知センサ14c,14dがOFF信号を出力する。原稿S1B,S2B,S3Bが原稿トレイ30に積載されている状態では、原稿トレイ30上の原稿のサイズ種別がグループXであると判定される。しかし、原稿S2Bの幅方向の長さを判定することにより、CPU801は、原稿S2Bの搬送中に、原稿S1B,S2B,S3BにA5サイズの原稿が含まれていると判定する。
なお、本実施例では、時分割制御をおこなうオペレーティングシステムがプログラムの一つとしてROM802に格納されている。したがって、CPU801は、オペレーティングシステムによって複数のタスクを並行して実行することができる。本実施例においてCPU801は、例えば、図6の幅方向長さ検知のカウント中(S602)に、原稿画像読取を実行することができる。また、CPU801は、図5の給送動作を一つのタスクとしてフローチャートに沿って実行する。このフローチャート中のループでの待ち時間が発生すると、CPU801は、並行して実行中の別タスクに係る演算を行う。その別タスクのループでさらなる待ち時間が発生すると、並行して実行中の他のタスクに係る演算を行う。本実施例では、このようにしてCPU801による並行処理が実現される。
原稿の幅方向の長さを判定すると、CPU801は、原稿の画像を読み取る(S512,画像読取動作)。ここで、図7を参照して、本実施例における画像読取動作について説明する。本実施例の画像読取動作は、CPU801が並列して実行することのできる複数のタスクのうちの一つとして実行される。したがって、CPU801は、図5に示すS513以降の動作と図7に示す画像読取動作とを並行して実行することができる。画像読取に際し、CPU801は、リードモータ807を駆動させる(S701)。読み取りリードローラ6、ガイド板上流ローラ7、ガイド板下流ローラ8、裏面読み取り搬送ローラ9、及び、排出ローラ10は、リードモータ807の駆動により回転し、順次原稿を搬送する。次に、CPU801は、リードセンサ15がON信号を出力するまで待機する(S702)。リードセンサ15は、リードセンサ15の検知位置に原稿が到達すると信号をOFFからONに切り替える。なお、所定時間内にリードセンサ15の出力信号がOFFからONに切り替わらない場合(S702/N)、CPU801は、原稿の搬送異常が発生したと判定し、原稿の給送動作を停止するような構成であってもよい。
リードセンサ15がON信号を出力すると(S702/Y)、CPU801は、画像先端信号の設定を行う(S703)。本実施例における「画像先端信号の設定」とは、光学スキャナユニット202が原稿の読み取りを開始するタイミングを決めるための画像先端信号を、割り込み信号として生成するための設定である。CPU801は、リードモータ807のモータパルス数をカウントし、リードモータ807のモータパルス数が閾値となったときに、画像先端信号を生成する。なお、CPU801は、搬送路50上におけるリードセンサ15の位置と、ガイド板上流ローラ7とガイド板下流ローラ8との間に位置する画像読取位置との距離をクロックカウント数に換算することにより閾値を定めている。したがって、原稿が画像読み取り位置に到達するときに、リードモータ807のモータパルス数が閾値に到達することとなる。
CPU801は、画像読取開始タイミング、すなわち、S703において設定したモータパルス数の閾値に到達するまで待機する(S704)。S703において設定したモータパルス数の閾値に到達する(S704/Y)と、CPU801は、画像の読取を開始する(S705)。そして、CPU801は、必要ライン数分だけ原稿を読み取り、1ページ分の画像読取を完了する(S706)。このとき、CPU801は、コマンド通信部301を経由してCPU901に対して読取が完了したことを通知する。次に、CPU801は、ジョブ終了要求があるか否かを判定する(S707)。「ジョブ終了要求」とは、コマンド通信部301を経由して、CPU801によって実行中のジョブを終了させるためにCPU901が送信する情報である。
ジョブ終了要求がある場合(S707/Y)、CPU801は、分離モータ805、引抜モータ806及びリードモータ807の駆動を停止させ、画像読取動作を終了する(S708)。これらのモータには、ジョブ終了時に、CPU801が実行している他のタスクによって既に停止されたモータも含まれるが、CPU901からのジョブ終了要求を受けて、CPU801は、再度、駆動の停止を要求する。なお、CPU801は、所定時間内に排出センサ16によって原稿あり又は原稿なしが検知されない場合に、原稿の給送動作を停止するようにしてもよい。このようにして、本実施例の画像読取動作が行われる。
図5に戻って説明を継続する。CPU801は、ジョブデータを参照して、下降開始フラグがON又はOFFのどちらであるかを判定する(S513)。下降開始フラグがONである場合(S513/Y)、給送ローラ1の下降動作を開始するためのタイマを設定し(S514)、カウントを開始する。カウントがS514で設定した時間に到達する(S515/Y)と、CPU801は、原稿トレイ30に向かって給送ローラ1を下降させる(S516)。つまり、本実施例において、下降開始フラグがONであるときには、引抜センサ13がON信号を出力している状態の間に、給送ローラ1の下降動作が開始されることとなる。換言すると、下降開始フラグがONであるときには、原稿トレイ30から先行して給送された原稿の先端が引抜センサ13の検知位置を通過してから、当該原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過する前に給送ローラ1の下降動作が開始される。このタイミングで、給送ローラ1を下降開始しておくことで、原稿後端を検知してから給送ローラ1を下降させるときよりも、原稿の給送を早く開始することができ、生産性を向上することができる。
下降開始フラグがONであり、給送ローラ1の下降動作を開始すると、CPU801は、引抜センサ13が出力する信号がONからOFFに切り替わるまで待機する(S517)。一方で、ジョブデータにおいて下降開始フラグがOFFである場合(S513/N)、CPU801は、引抜センサ13が出力する信号がONからOFFに切り替わるまで待機する(S517)。なお、引抜センサ13の出力信号が切り替わるのを待機する間の所定時間以内に、引抜センサ13の信号がONからOFFに切り替わらない場合(S517/N)、CPU801は、搬送異常であると判定し、原稿の給送動作を停止させるようにしてもよい。CPU801は、引抜センサ13の出力信号がONからOFFに切り替わると(S517/Y)、給送方向における原稿の長さを判定する(S518)。
給送方向における原稿の長さを判定すると、CPU801は、再度ジョブデータを参照し、下降開始フラグがON又はOFFのどちらであるかを判定する(S519)。下降開始フラグがONである場合(S519/Y)、第2モードで給送動作が行われるため、S516で給送ローラ1の下降動作が開始された状態である。このとき、CPU801は、S521へ進む。下降開始フラグがOFFである場合(S519/N)、第1モードで給送動作がおこなわれるため、給送ローラ1の下降動作はまだ開始されていない状態である。このとき、CPU801は、給送ローラ1の下降動作を開始する(S520)。次に、CPU801は、実行中のジョブが、サイズ混載条件が設定されたジョブであり、かつ、S402で検知した原稿のサイズ種別とADF100の内部を搬送されている原稿のサイズ種別とが不一致であるかどうかを判定する(S521)。ADF100の内部を搬送されている原稿が、本実施例の搬送シートである。以後の説明では、ADF100の内部を搬送されている原稿を「内部搬送原稿」とする。このとき、CPU801は、S511で判定した幅方向における原稿の長さと、S518で判定した原稿の長さとに基づいて内部搬送原稿のサイズ種別を定める。
なお、S512で読み取った原稿の画像に基づいて内部搬送原稿のサイズを定める構成であってもよい。このとき、画像処理部810がS512で読み取った画像においてエッジを検知する。画像処理部810は、エッジを検知するにあたり、読み取った画像にフィルタ処理を施してエッジを強調し、2値化フィルタにより画像からエッジの候補点となる画素を抽出した上で、最小二乗法やハフ変換によりエッジを求める。画像処理部810が検知したエッジの座標を示す情報は、CPU801に入力され、CPU801は、エッジの座標を示す情報に基づいて、給送方向や幅方向における原稿の長さを求めることにより、原稿のサイズを定めることができる。そして、CPU801は、定めた原稿のサイズから原稿のサイズ種別を判定する。
実行中のジョブがサイズ混載条件が設定されたジョブであり、かつ、S402で検知した原稿のサイズ種別と内部搬送原稿のサイズ種別とが不一致である場合(S521/Y)、CPU801は、下降開始フラグをONからOFFに切り替える(S522)。このとき、図20(C)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S2C,S3CとA3サイズの原稿S1Cとが折れ曲がった状態で混載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行したと仮定する。この場合S521では、原稿S1Cのサイズ種別はグループZであり、原稿S2C,S3Cのサイズ種別はグループXであると判定される。しかし、原稿S1Cは、給送方向の原稿の長さがA4サイズ相当になるように折れ曲がった状態で原稿トレイ30に積載されているため、原稿トレイ30に積載された状態において、原稿S1Cのサイズ種別はCPU801によってグループXと判定される。したがって、図20(C)に示すように、同一の原稿束であっても、原稿トレイ30に積載された状態とADF100の内部を給送されている状態とにおいてサイズ種別が異なる場合には、S522において下降開始フラグがONからOFFに切り替えられる。
また、図20(C)では、ジョブにおいて1枚目に給送される原稿S1Cの後端が引抜センサ13の検知位置を通過する前に、2枚目に給送される原稿S2Cに対して給送ローラ1が下降を開始することとなる。つまり、サイズ混載条件下で1枚目に給送される原稿S1Cのサイズ種別が原稿トレイ30上とADF100の内部とで異なる場合、原稿S1Cの2枚後に給送される原稿S3Cに対して給送ローラ1を下降させるタイミングが切り替わることとなる。
一方で、図20(B)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S1B,S3BとA5サイズの原稿S2Bとが混載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行したと仮定する。上述したように、CPU801は、複数のタスクを並列させて実行することができる。ここで、CPU801によって図5の給送動作が複数並列して実行されている場合について考察する。このとき、例えば、ジョブにおいて2枚目以降に給送される原稿S2Bに対する幅方向の長さ判定(S511)が、原稿S1Bが引抜センサ13の検知位置を通過して(S517)から、S521の判定動作の間に完了することがある。本実施例において、原稿トレイ30及びADF100を搬送される原稿のサイズに関する情報は、ジョブが終了するまでROM802に一時的に記憶されている。このとき、CPU801は、原稿S1Bの次に給送される原稿S2Bの幅方向の長さに基づいてジョブで搬送される原稿にサイズ種別がグループXではない原稿が含まれていると判定することができる。
本実施例において、CPU801は、ジョブで搬送される原稿に、サイズ種別がグループXではない原稿が含まれている場合には、原稿S1Bに対するS512の判定動作後、下降開始フラグをONからOFFに切り替える。したがって、図20(B)に示すように、幅方向の長さがグループXではない原稿が含まれている場合、CPU801は、幅方向の長さがグループXではない原稿(S2B)の次の原稿(S3B)に対する給送ローラ1の下降開始タイミングを変更する。幅方向の長さがグループXではない原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過してから次原稿に対して給送ローラ1を下降させる。
なお、CPU801は、実行中のジョブがサイズ混載条件が設定されたジョブであり、かつ、S402で検知した原稿のサイズと内部搬送原稿のサイズとが不一致でない場合(S521/N)、下降開始フラグをONに維持したまま、S523に進む。例えば、図20(A)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S1A,S2A,S3Aが積載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行した場合に、下降開始フラグはONに維持されたまま、S522に進む。次に、CPU801は、有無検知センサ11の出力信号に基づいて原稿トレイ30上に積載された残りの原稿が有るか否かを判定する(S523)。原稿トレイ30上に原稿がない場合(S523/N)、CPU801は、給送動作を終了する。一方で、原稿トレイ30上に原稿がある場合(S523/Y)、S501にリターンし、原稿トレイ30に積載された最上位の原稿に対して再度同じ動作を実行する。
ここで、図8及び図9のタイミングチャートを参照して、図20(A)のようなA4サイズの原稿S1A,S2A,S3Aからなる原稿束を給送する際に必要とする給送時間について考察する。図8は、本実施例における下降開始フラグがON状態である場合に、原稿S1A,S2A,S3Aを給送するときのタイミングチャートである。図9は、本実施例における下降開始フラグがOFF状態である場合に、原稿S1A,S2A,S3Aを給送するときのタイミングチャートである。
上述したように、ジョブデータにおいて下降開始フラグがONである場合には、先行して給送された原稿の先端が引抜センサ13の検知位置を通過してから当該原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過する前に給送ローラ1の下降が開始される。図8では、先行して給送された原稿S1Aが引抜センサ13の検知位置を通過する前に、原稿S2Aに対する給送ローラ1を下降させるピックアップモータ808の下降制御が開始されている。図8において、原稿S2Aの次に原稿S3Aを給送するときも同様である。一方で、ジョブデータにおいて下降開始フラグがOFFである場合には、先行して給送された原稿の後端が引抜センサ13の検知位置を通過した後で給送ローラ1の下降が開始される。図9では、先行して給送された原稿S1Aが引抜センサ13の検知位置を通過した後で、原稿S2Aに対する給送ローラ1を下降させるピックアップモータ808の下降制御が開始されている。したがって、図9では、少なくとも原稿S1Aの後端が引抜センサ13の検知位置を通過するまでの時間だけ図8よりも給送ローラ1の下降開始が遅延することとなる。また図9における給送ローラ1の下降開始の遅延時間は、給送枚数が増えると増大する。
このように、本実施例においては、原稿トレイ30に積載された複数枚の原稿を1枚ずつ給送するたびに、給送ローラ1が原稿トレイ30上の原稿から離間する。そして、先行して給送された原稿のサイズに応じて後続の原稿に対して給送ローラ1を下降させるタイミングを変更した上で給送動作を実行可能な構成となっている。このような構成により本実施例においては、サイズが同じ原稿に対しては生産性を高めた給送動作を行い、サイズが異なる原稿に後続して給送される原稿に対しては重送を防いで給送動作の安定性を確保することができる。また、原稿が1枚ずつ給送される度に給送ローラ1を原稿トレイ30上の原稿から離間させる構成であるため、給送ローラ1との摩擦による原稿への傷の発生を抑制することができる。
また、原稿の給送に際し、サイズ混載条件が設定された状態でジョブが開始された場合であっても、サイズが同じ原稿に対しては生産性を高めた給送動作を行うことができる。さらに、サイズ混載条件下であってもA4やLTRなどの特定のサイズ種別に属する原稿を給送する場合にのみ給送ローラ1の下降開始タイミングを早めているので、原稿の給送を生産性よく行い、かつ、ユーザによる操作を簡易化することが可能となる。
<画像形成装置の全体構成>
以下、本開示の実施例2の構成について説明する。図10は、実施例2のシート給送装置としてのADF100を含む画像形成装置1000の一例を示す断面図である。本実施例の画像形成装置1000は、実施例1の画像形成装置1000(図1)と比べて、引抜センサ13を含まない構成であり、その他の構成については実施例1と同様に構成である。図10、図11、図12において、それぞれ、図1、図2、図3と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
<原稿トレイの構成>
図11に示すように、本実施例の原稿トレイ30は、引抜センサ13を含まない構成であること以外は、実施例1の原稿トレイ30(図2参照)と同じである。原稿トレイ30から給送ローラ1によって給送された原稿Sは、ADF100の内部を分離上ローラ2、分離センサ12、引抜ローラ4、幅検知センサ14a,14b,14c,14d、引抜ローラ5の順に通過する。本実施例においても実施例1と同様にして、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果に基づいてCPU801が幅方向における原稿Sの長さを定める。このように、幅検知センサ14a,14b,14c,14dが協働して本実施例の第2サイズ検知手段として機能する。また、幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果が本実施例の第2検知結果の一例である。なお、給送方向における幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知位置を原稿Sが通過するために要した時間に基づいて給送方向における原稿Sの長さを定める構成であってもよい。
<画像形成装置の制御構成>
図12に示すように、本実施例の画像形成装置1000の制御構成は、引抜センサ13を含まない構成であること以外は、実施例1の画像形成装置1000の制御構成(図3参照)と同じである。また、積載原稿のサイズ種別を判定するための構成及び画像読取機能の構成は、実施例1と同じであるため、重複する説明を省略する。
<ADF内部での原稿のサイズ判定>
図10から図12に示すように、ADF100の内部には、有無検知センサ11と、分離センサ12と、リードセンサ15と、排出センサ16とが設けられている。有無検知センサ11、分離センサ12、リードセンサ15、及び排出センサ16は、それぞれ、バス320を介してCPU801に接続されている。また、実施例1と同様に、ADF100の内部には、幅検知センサ14a,14b,14c,14dが設けられており、それぞれがバス320を介してCPU801に接続されている。なお、ADF100の内部における原稿の幅方向の長さ判定は、実施例1と同様であるため、重複する説明を省略する。
<ADF内部での原稿の給送方向の長さ判定>
光学モータ804、分離モータ805、引抜モータ806及びリードモータ807は、パルスモータである。CPU801は、駆動パルス数をカウントしながら、光学モータ804、分離モータ805、引抜モータ806及びリードモータ807それぞれの回転数を制御する。CPU801は、原稿Sの搬送中に、分離センサ12がON信号を出力してからOFF信号を出力するまでの引抜モータ806の駆動パルス数をカウントする。なお、本実施例において、引抜モータ806は、給送動作を開始するための給送開始命令を受けて給送ローラ1の下降動作が行われると駆動を開始し、給送対象の全ての原稿に対する給送が完了するまでは駆動し続ける構成である。そして、CPU801は、引抜モータ806の駆動パルス数と、引抜モータ806の駆動を引抜ローラ4へ伝達するためのギアの1パルス当たりの進み量(ギア比)とに基づいて、給送方向における原稿Sの搬送量を定める。つまり、CPU801は、分離センサ12がON信号を出力してからOFF信号を出力するまでの引抜モータ806の駆動パルス数とギア比とに基づいて給送方向における原稿Sの長さを判定することができる。本実施例の第1シート検知手段が分離センサ12であり、分離センサ12の検知位置が本実施例の第1検知位置である。なお、CPU801は、原稿Sの搬送ジョブの実行中に、分離センサ12がOFF信号を出力してからON信号を出力するまでの引抜モータ806の駆動パルス数をカウントして原稿Sの搬送間隔の長さ(いわゆる紙間距離)を判定することもできる。
本実施例における画像形成装置1000は、このような構成によりADF100を用いて原稿を画像読取部200に向けて給送する。また、本実施例では、ADF100による原稿の給送に際し、操作表示部904に表示される操作画面90(図19参照)を操作して、原稿給送時におけるADF100の動作モードを設定することができる。なお、操作表示部904及び操作画面90の構成は、実施例1と同様であるため、重複する説明を省略する。
なお、実施例2における「下降開始フラグ」とは、原稿を連続して給送する場合において後続の原稿を給送するに際し、給送ローラ1の下降開始をどのタイミングで行うかを識別する情報としてジョブデータに含まれるものである。CPU801によって給送ローラ1から原稿が給送されると、後続の原稿から給送ローラ1を離間させるために、給送ローラ1を上昇させる動作が行われる。給送ローラ1の上昇動作が完了し、ジョブデータにおいて下降開始フラグがONに設定されている場合、CPU801は、先行して給送された原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過する前に後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる。一方で、ジョブデータにおいて下降開始フラグがOFFに設定されている場合、CPU801は、先行して給送された原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過してから後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる。本実施例において、先行して給送された原稿が先行シートであり、先行して給送された原稿の後続の原稿が後続シートである。先行して給送された原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過する前に後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる動作モードが本実施例の第2モードである。また、先行して給送された原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過してから後続の原稿に向けて給送ローラ1を下降させる動作モードが本実施例の第1モードである。なお、後続の原稿に当接した後の給送ローラ1の回転は、先行して給送された原稿の後端が分離センサ12を通過した後のタイミングで行われる。これにより、先行して給送される原稿と後続の原稿との給送間隔(紙間)を確保し、原稿の重送を防ぐことができる。
ADF100のユーザは、ジョブの実行に際し、同一サイズ給送設定ボタン91又は不定サイズ給送設定ボタン92を操作して、同一サイズ条件又はサイズ混載条件のどちらによって原稿の給送を行うかを選択する。このとき、例えば、ユーザによって不定サイズ給送設定ボタン92が操作された場合、CPU901は、ジョブデータにフラグ設定情報を付加してCPU801に送信する。なお、フラグ設定情報がジョブデータにデフォルトで含まれる構成としてもよい。このような場合、CPU801は、デフォルトで、下降開始フラグをON又はOFFのどちらに設定するかを積載原稿のサイズ種別に基づいて決定する。
本実施例では、例えば以下のような原稿の給送が行われることがある。ここで、給送対象の原稿がいずれもA4サイズであり、かつ、原稿トレイ30上に全ての原稿を縦置きに配置した状態、かつ、下降開始フラグがOFFの状態で給送動作が行われると仮定する。このとき、給送ローラ1の下降動作は、先行して給送された原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過してから開始されるため、給送ローラ1の下降時間によって給送動作に要する時間が長くなり、生産性の低下を招いてしまう。
そこで、本実施例においては、ジョブデータにフラグ設定情報が含まれている場合に、原稿のサイズ種別に応じて下降開始フラグを切り替えて実行するようにする。ジョブデータにフラグ設定情報が含まれている場合とは、例えば、ユーザによって不定サイズ給送設定ボタン92が操作されたか又はフラグ設定情報がジョブデータにデフォルトで含まれている場合である。次に、図13から図16のフローチャートを参照して、本実施例における給送ローラ1の下降開始タイミングを変更する動作の流れについて説明する。図13から図16に示すフローチャートに含まれる各ステップの動作は、RAM803に入力データや一時データが保持された状態で、ROM802に格納されているプログラムをCPU801が実行することで行われる動作である。したがって、図13から図16に示すフローチャートに含まれる各ステップの動作は、CPU801が主体となって行われる。以下の説明においては、原稿の片面のみを読み取る際の例を説明するものの、原稿の両面を読み取る際においても同様のフローチャートによって給送ローラ1の下降開始タイミングを変更する動作が行われる。
図13は、本実施例のジョブ設定動作の流れを示すフローチャートである。ジョブ設定動作は、操作表示部904に表示された画面においてスタートボタンが選択されたことを示す情報がCPU901に入力され、CPU901からジョブデータ及びジョブの開始コマンドがCPU801に入力されたことをトリガとして開始される。図13のフローチャートS1301からS1306は、実施例1の図4のフローチャートS401からS406と同様であるため、重複する説明を省略する。また、図14は、本実施例に係る給送動作の流れを示すフローチャートである。図14のフローチャートS1401からS1406は、図5のフローチャートS501からS506と同様であるため、重複する説明を省略する。
原稿が搬送される間、CPU801は、分離センサ12がON信号を出力するまで待機する(S1407)。搬送された原稿が分離センサ12の検知位置に到達すると、分離センサ12が出力する信号は、OFFからONに切り替わる(S1407/Y)。なお、所定時間内に分離センサ12の出力信号がOFFからONに切り替わらない場合(S1407/N)、CPU801は、原稿の搬送異常が発生したと判定し、原稿の給送動作を停止するような構成であってもよい。分離センサ12がON信号を出力すると(S1407/Y)、CPU801は、S1404で下降させた給送ローラ1を上昇させる(S1408)。給送ローラ1の上昇動作は、所定時間又は所定パルス数分だけピックアップモータ808を回転させることにより、楕円形状のカム(非図示)の回転角度位置を変化させて、給送ローラ1が原稿トレイ30上の原稿から離間するまで行われる。給送ローラ1の上昇動作を行なうと、CPU801は、分離モータ805の駆動を停止させる(S1409)。これにより、原稿トレイ30に積載された後続の原稿が搬送されることなく、原稿を1枚ずつ給送することができる。本実施例では、S1407において分離センサ12がON信号を出力した時点で引抜ローラ4によって原稿が搬送されているため、S1409において分離モータ805の駆動を停止させても、1枚目の原稿の搬送が停止することはない。
次に、CPU801は、給送方向に直交する原稿の幅方向の長さを判定する(S1410,幅方向長さ判定)。ここで、図15を参照して、本実施例における幅方向長さ判定の流れについて説明する。CPU801は、幅検知センサ14によって幅方向長さ検知を行うためのカウントを開始する(S1501)。例えば、500mm/sで原稿を搬送し、かつ、分離センサ12から幅検知センサ14までの距離が20mmであると仮定する。このとき、CPU801は、幅検知センサ14の出力信号を分離センサ12がON信号を出力してから40msが経過したタイミングで取得するようにカウントを開始する。幅検知センサ14の出力信号を取得するタイミングに到達すると(S1502/Y)、幅検知センサ14の出力信号を取得し、取得した信号に基づいて原稿の幅方向の長さを判定する(S1503)。
例えば、図20(B)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S1B,S3BとA5サイズの原稿S2Bとが混載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行したと仮定する。このとき、ジョブにおいて2枚目に搬送される原稿S2Bに対する幅検知センサ14a,14b,14c,14dの検知結果は、少なくとも一つのセンサからOFF信号が出力されることとなる。例えば、原稿S2Bを規制板31Aに突き当てるようにして給送した場合、幅検知センサ14a,14bがON信号を出力し、幅検知センサ14c,14dがOFF信号を出力する。原稿S1B,S2B,S3Bが原稿トレイ30に積載されている状態では、原稿トレイ30上の原稿のサイズ種別がグループXであると判定される。しかし、原稿S2Bの幅方向の長さを判定することにより、CPU801は、原稿S2Bの搬送中に、原稿S1B,S2B,S3BにA5サイズの原稿が含まれていると判定する。
なお、本実施例においても実施例1と同様に、CPU801は、オペレーティングシステムによって複数のタスクを並行して実行することができる。CPU801は、図14の給送動作を一つのタスクとしてフローチャートに沿って実行する。このフローチャート中のループでの待ち時間が発生すると、CPU801は、複数並行して実行中の別タスクに係る演算を行う。その別タスクのループでさらなる待ち時間が発生すると、並行して実行中の他のタスクに係る演算を行う。本実施例では、このようにしてCPU801による並行処理が実現される。
原稿の幅方向の長さを判定すると、CPU801は、原稿の画像を読み取る(S1411,画像読取動作)。ここで、図16を参照して、本実施例における画像読取動作について説明する。本実施例の画像読取動作は、CPU801が並列して実行することのできる複数のタスクのうちの一つとして実行される。したがって、CPU801は、図14に示すS1412以降の動作と図16に示す画像読取動作とを並行して実行することができる。
画像読取に際し、CPU801は、リードモータ807を駆動させる(S1601)。読み取りリードローラ6、ガイド板上流ローラ7、ガイド板下流ローラ8、裏面読み取り搬送ローラ9、及び、排出ローラ10は、リードモータ807の駆動により回転し、順次原稿を搬送する。次に、CPU801は、リードセンサ15がON信号を出力するまで待機する(S1602)。リードセンサ15は、リードセンサ15の検知位置に原稿が到達すると信号をOFFからONに切り替える。なお、所定時間内にリードセンサ15の出力信号がOFFからONに切り替わらない場合(S1602/N)、CPU801は、原稿の搬送異常が発生したと判定し、原稿の給送動作を停止するような構成であってもよい。
リードセンサ15がON信号を出力すると(S1602/Y)、CPU801は、画像先端信号の設定を行う(S1603)。本実施例における「画像先端信号の設定」とは、光学スキャナユニット202が原稿の読み取りを開始するタイミングを決めるための画像先端信号を、割り込み信号として生成するための設定である。CPU801は、リードモータ807のモータパルス数をカウントし、リードモータ807のモータパルス数が閾値となったときに、画像先端信号を生成する。なお、CPU801は、搬送路50上におけるリードセンサ15の位置と、ガイド板上流ローラ7とガイド板下流ローラ8との間に位置する画像読取位置との距離をクロックカウント数に換算することにより、閾値を定めている。つまり、原稿が画像読み取り位置に到達するときに、リードモータ807のモータパルス数が閾値に到達することとなる。
CPU801は、画像読取開始タイミング、すなわち、S1603において設定したモータパルス数の閾値に到達するまで待機する(S1604)。S1603において設定したモータパルス数の閾値に到達すると、CPU801は、画像の読取を開始する(S1605)。そして、CPU801は、必要ライン数分だけ原稿を読み取り、1ページ分の画像読取を完了する(S1606)。このとき、CPU801は、コマンド通信部301を経由してCPU901に対して読取が完了したことを通知する。次に、CPU801は、ジョブ終了要求があるか否かを判定する(S1607)。「ジョブ終了要求」とは、コマンド通信部301を経由して、CPU801によって実行中のジョブを終了させるためにCPU901が送信する情報である。
ジョブ終了要求がある場合(S1607/Y)、CPU801は、分離モータ805、引抜モータ806及びリードモータ807の駆動を停止させ、画像読取動作を終了する(S1608)。これらのモータには、ジョブ終了時に、CPU801が実行している他のタスクによって既に停止されたモータも含まれるが、CPU901からのジョブ終了要求を受けて、CPU801は、再度、駆動の停止を要求する。なお、CPU801は、所定時間内に排出センサ16によって原稿あり又は原稿なしが検知されない場合に、原稿の給送動作を停止するようにしてもよい。このようにして、本実施例の画像読取動作が行われる。
図14に戻って説明を継続する。CPU801は、ジョブデータを参照して、下降開始フラグがON又はOFFのどちらであるかを判定する(S1412)。下降開始フラグがONである場合(S1412/Y)、給送ローラ1の下降動作を開始するためのタイマを設定し(S1413)、カウントを開始する。カウントがS1413で設定した時間に到達する(S1414/Y)と、CPU801は、原稿トレイ30に向かって給送ローラ1を下降させる(S1415)。このように本実施例では、下降開始フラグがONであり、分離センサ12がON信号を出力している状態の場合に、給送ローラ1の下降動作が開始されることとなる。換言すると、下降開始フラグがONであるときには、原稿トレイ30から先行して給送された原稿の先端が分離センサ12の検知位置を通過してから、当該原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過する前に給送ローラ1の下降動作が開始される。このタイミングで、給送ローラ1を下降開始しておくことで、原稿後端を検知してから給送ローラを下降させるときよりも、原稿の給送を早く開始することができ、生産性を向上することができる。
下降開始フラグがONであり、給送ローラ1の下降動作を開始すると、CPU801は、分離センサ12が出力する信号がONからOFFに切り替わるまで待機する(S1416)。一方で、ジョブデータにおいて下降開始フラグがOFFである場合(S1412/N)、CPU801は、分離センサ12が出力する信号がONからOFFに切り替わるまで待機する(S1416)。なお、分離センサ12の出力信号が切り替わるのを待機する間の所定時間以内に、分離センサ12の信号がONからOFFに切り替わらない場合(S1416/N)、CPU801は、搬送異常であると判定し、原稿の給送動作を停止させるようにしてもよい。CPU801は、分離センサ12の出力信号がONからOFFに切り替わると(S1416/Y)、給送方向における原稿の長さを判定する(S1417)。
給送方向における原稿の長さを判定すると、CPU801は、再度ジョブデータを参照し、下降開始フラグがON又はOFFのどちらであるかを判定する(S1418)。下降開始フラグがONである場合(S1418/Y)、S1415で給送ローラ1の下降動作が開始された状態である。このとき、CPU801は、S1420へ進む。下降開始フラグがOFFである場合(S1418/N)、給送ローラ1の下降動作はまだ開始されていない状態である。このとき、CPU801は、給送ローラ1の下降動作を開始する(S1419)。次に、CPU801は、実行中のジョブが、サイズ混載条件が設定されたジョブであり、かつ、S1302で検知した原稿のサイズ種別と内部搬送原稿のサイズ種別とが不一致であるかどうかを判定する(S1420)。このとき、CPU801は、S1410で判定した幅方向における原稿の長さと、S1417で判定した原稿の長さとに基づいて内部搬送原稿のサイズ種別を定める。
なお、S1411で読み取った原稿の画像に基づいて内部搬送原稿のサイズを定める構成であってもよい。このとき、画像処理部810がS1411で読み取った画像においてエッジを検知する。画像処理部810は、エッジを検知するにあたり、読み取った画像にフィルタ処理を施してエッジを強調し、2値化フィルタにより画像からエッジの候補点となる画素を抽出した上で、最小二乗法やハフ変換によりエッジを求める。画像処理部810が検知したエッジの座標を示す情報は、CPU801に入力され、CPU801は、エッジの座標を示す情報に基づいて、給送方向や幅方向における原稿の長さを求めることにより、原稿のサイズを定めることができる。そして、CPU801は、定めた原稿のサイズから原稿のサイズ種別を判定する。
実行中のジョブにサイズ混載条件が設定され、かつ、S1302で検知した原稿のサイズ種別と内部搬送原稿のサイズ種別とが不一致である場合(S1420/Y)、CPU801は、下降開始フラグをONからOFFに切り替える(S1421)。このとき、図20(C)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S2C,S3CとA3サイズの原稿S1Cとが折れ曲がった状態で混載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行したと仮定する。この場合、S1420では、原稿S1Cのサイズ種別はグループZであり、原稿S2C,S3Cのサイズ種別はグループXであると判定される。しかし、原稿S1Cは、給送方向の原稿の長さがA4サイズ相当になるように折れ曲がった状態で原稿トレイ30に積載されているため、原稿トレイ30に積載された状態において、原稿S1Cのサイズ種別はCPU801によってグループXと判定される。したがって、図20(C)に示すように、同一の原稿束であっても、原稿トレイ30に積載された状態とADF100の内部を給送されている状態とにおいてサイズ種別が異なる場合には、S1421において下降開始フラグがONからOFFに切り替えられる。
また、図20(C)では、ジョブにおいて1枚目に給送される原稿S1Cの後端が分離センサ12の検知位置を通過する前に、2枚目に給送される原稿S2Cに対して給送ローラ1の下降が開始されることとなる。換言すると、サイズ混載条件下で1枚目に給送される原稿S1Cのサイズ種別が原稿トレイ30上とADF100の内部とで異なる場合、原稿S1Cの2枚後に給送される原稿S3Cに対して給送ローラ1を下降させるタイミングが切り替わることとなる。
一方で、図20(B)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S1B,S3BとA5サイズの原稿S2Bとが混載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行したと仮定する。上述したように、CPU801は、複数のタスクを並列させて実行することができる。ここで、CPU801によって図14の給送動作が複数並列して実行されている場合について考察する。このとき、例えば、ジョブにおいて2枚目以降に給送される原稿S2Bに対する幅方向の長さ判定(S1410)が、原稿S1Bが分離センサ12の検知位置を通過してから(S1416)からS1420の判定動作が行われるまでの間に完了することがある。本実施例において、原稿トレイ30及びADF100を搬送される原稿のサイズに関する情報は、ジョブが終了するまでROM802に一時的に記憶されている。このとき、原稿S1BにおけるS1420の判定動作が行われた場合、CPU801は、原稿S1Bの次に給送される原稿S2Bの幅方向の長さに基づいて、搬送される原稿にサイズ種別がグループXではない原稿が含まれていると判定する。本実施例において、CPU801は、ジョブで搬送される原稿に、サイズ種別がグループXではない原稿が含まれている場合には、原稿S1Bに対するS1420の判定動作後、下降開始フラグをOFFにする。つまり、図20(B)に示すように、原稿束に幅方向の長さがグループXではない原稿が含まれている場合、CPU801は、幅方向の長さがグループXではない原稿の次に給送される原稿(次原稿)に対する給送ローラ1の下降開始タイミングを変更する。幅方向の長さがグループXではない原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過してから次原稿に対して給送ローラ1を下降させる。
なお、CPU801は、実行中のジョブがサイズ混載条件が設定されたジョブであり、かつ、S1302で検知した原稿のサイズと内部搬送原稿のサイズとが不一致でない場合(S1420/N)、下降開始フラグをONに維持したまま、S1422に進む。例えば、図20(A)に示すように、原稿トレイ30にA4サイズの原稿S1A,S1B,S1Cが積載され、サイズ混載条件を設定してジョブを実行した場合に、下降開始フラグはONに維持されたまま、S1422に進む。次に、CPU801は、有無検知センサ11の出力信号に基づいて原稿トレイ30上に積載された残りの原稿が有るか否かを判定する(S1422)。原稿トレイ30上に原稿がない場合(S1422/N)、CPU801は、給送動作を終了する。一方で、原稿トレイ30上に原稿がある場合(S1422/Y)、S1401にリターンし、原稿トレイ30に積載された最上位の原稿に対して再度同じ動作を実行する。
ここで、図17及び図18のタイミングチャートを参照して、図20(A)のようなA4サイズの原稿S1A,S2A,S3Aからなる原稿束を給送する際に必要とする給送時間について考察する。図17は、本実施例における下降開始フラグがON状態である場合に、原稿S1A,S2A,S3Aを給送するときのタイミングチャートである。図18は、本実施例における下降開始フラグがOFF状態である場合に、原稿S1A,S2A,S3Aを給送するときのタイミングチャートである。
上述したように、ジョブデータにおいて下降開始フラグがONである場合には、先行して給送された原稿の先端が分離センサ12の検知位置を通過してから当該原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過する前に給送ローラ1の下降が開始される。図17では、先行して給送された原稿S1Aが分離センサ12の検知位置を通過する前に、原稿S2Aに対する給送ローラ1を下降させるピックアップモータ808の下降制御が開始されている。図17において、原稿S2Aの次に原稿S3Aを給送するときも同様である。一方で、ジョブデータにおいて下降開始フラグがOFFである場合には、先行して給送された原稿の後端が分離センサ12の検知位置を通過した後で給送ローラ1の下降が開始される。図18では、先行して給送された原稿S1Aが分離センサ12の検知位置を通過した後で、原稿S2Aに対する給送ローラ1を下降させるピックアップモータ808の下降制御が開始されている。したがって、図18では、少なくとも原稿S1Aの後端が分離センサ12の検知位置を通過するまでの時間だけ図17よりも給送ローラ1の下降開始が遅延することとなる。また図18における給送ローラ1の下降開始の遅延時間は、給送枚数が増えると増大する。
このように、本実施例においては、原稿トレイ30に積載された複数枚の原稿を1枚ずつ給送するたびに、給送ローラ1が原稿トレイ30上の原稿から離間する。そして、先行して給送された原稿のサイズに応じて後続の原稿に対して給送ローラ1を下降させるタイミングを変更した上で給送動作を実行可能な構成となっている。このような構成により本実施例においては、サイズが同じ原稿に対しては生産性を高めた給送動作を行い、サイズが異なる原稿に後続して給送される原稿に対しては重送を防いで給送動作の安定性を確保することができる。また、原稿が1枚ずつ給送される度に給送ローラ1を原稿トレイ30上の原稿から離間させる構成であるため、給送ローラ1との摩擦による原稿への傷の発生を抑制することができる。
また、原稿の給送に際し、サイズ混載条件が設定された状態でジョブが開始された場合であっても、サイズが同じ原稿に対しては生産性を高めた給送動作を行うことができる。さらに、サイズ混載条件下であってもA4やLTRなどの特定のサイズ種別に属する原稿を給送する場合にのみ給送ローラ1の下降開始タイミングを早めているので、原稿の給送を生産性よく行い、かつ、ユーザによる操作を簡易化することが可能となる。
<その他の実施例>
実施例1及び2においては、積載原稿と、内部搬送原稿とのサイズ種別が異なると判定された場合に、給送ローラ1の下降開始タイミングを切り替えている。ここで、例えば、積載原稿のサイズ種別が、例えば、グループXからグループYに変わったと判定された場合に、給送ローラ1の下降開始タイミングを切り替える構成としてもよい。積載原稿のうち、最下位から5枚の原稿がA5サイズの原稿、これよりも上位の原稿がA4サイズであったとする。このような場合、最下位から5枚目の原稿を給送する際に、サイズ検知センサ17,18又は原稿幅検知センサ809の検知結果が上位の原稿の給送時とは異なるため、CPU801は、積載原稿のサイズ種別がグループYであると判定することが可能となる。
また、実施例1及び2において、動作モードを第2モードから第1モードに切り替えた後は、ジョブが終了するまで第1モードのままで給送動作が行われる。これに対して、第1モードに変えた後、例えば5枚続けて同じサイズ種別の原稿を搬送した場合に再度、第2モードに切り替えるようにしてもよい。このようにすることで、給送動作の生産性をより向上させることが可能となる。
また、実施例1及び2のそれぞれにおいて、第1モードでの給送動作中に原稿の後端を検知するセンサと、給送方向における原稿の長さを判定するために用いられるセンサとが同一である形態を例示した。しかし、これらのセンサは必ずしも同一でなくてもよい。例えば、第1モードでは分離センサ12による原稿の後端の検知に基づいて給送ローラ1の下降を開始させる。このとき、引抜センサ13を原稿の先端が通過してから後端が通過するまでの時間に基づいて給送方向における原稿の長さを判定するようにしてもよい。この変形例は、実施例1に比べて第1モードにおける給送ローラ1の下降タイミングを早めつつ、原稿が引抜ローラ4,5に到達するまでの搬送速度のばらつきによる原稿の長さ判定の精度低下を抑制することができる利点がある。
また、本開示におけるシート給送装置とは、画像形成装置に取り付けられた画像読取装置において原稿を給送するADFに限らない。例えば、画像形成装置とは独立した画像読取装置のシート給送機構や、シート状の配達物を振り分ける自動振り分け装置のシート給送機構にも適用可能である。