JP7378662B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本願は、回転機の制御装置に関するものである。
2組の複数相の電機子巻線を有する回転機を、2組のインバータで駆動するシステムが提案され、エレベータ、電動パワーステアリングなどに採用されている。
特許文献1では、回転機に2組の3相の電機子巻線が設けられ、一方の組の3相の電機子巻線に対する電圧指令値を、印加可能な範囲の中心値よりも高電位側にシフトさせ、他方の組の3相の電機子巻線に対する電圧指令値を、中心値よりも低電位側にシフトさせている。これにより、第1組のインバータのスイッチング素子をオンオフするオンオフパターン(電圧ベクトル)と、第2組のインバータのスイッチング素子をオンオフするオンオフパターン(電圧ベクトル)とが同時に有効ベクトルになること、及び同時に零ベクトルになることを低減し、母線電流に重畳する母線交流成分の実効値を低減している。
特許文献2では、回転機に2組の3相の電機子巻線が設けられ、2組の3相の電機子巻線に、互いに逆位相の5次、7次高調波成分の電流を重畳させる指令値を設定することで、モータのトルクリップルを抑えつつ、電機子巻線電流の瞬時値を低減することで、モータの発熱を低減している。
特許文献3では、回転機に1組の3相の電機子巻線が設けられ、3相の搬送波比較PWMにおいて、2相の電圧指令値と比較される搬送波と、1相の電圧指令値と比較される搬送波とを互いに逆位相にすることで、母線交流成分の実効値を低減している。
特許4941686号 国際公開第2017/141593号 特開2020-137233号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、各組の3相の電圧指令値を、中心値よりも高電位側又は低電位側にシフトさせるので、各組のインバータにおいて、高電位側又は低電位側のスイッチング素子に発熱の偏りが生じる。また、一方の組のインバータから直流電源に充電されているときに、他方の組の直流電源からインバータに放電されるように、充放電のタイミングをずらしているため、2組のPWM制御の同期を取る必要がある。
特許文献2の技術では、各組の電機子巻線電流に互いに逆位相の高調波成分を重畳させることで、電機子巻線電流の瞬時値は低下するものの、母線交流成分の実効値を低減させることは困難である。
特許文献3の技術では、1組の3相の電機子巻線が設けられる場合の技術であり、2組の3相の電機子巻線が設けられる場合については開示されていない。
そこで、本願は、第1組のスイッチング素子のオンオフ制御のタイミングと第2組のスイッチング素子のオンオフ制御のタイミングの同期を取る必要なく、2組の電機子巻線及び2組のインバータが設けられている自由度を生かし、母線交流成分の実効値を低減させることができる回転機の制御装置を提供することを目的とする。
本願に係る回転機の制御装置は、2組の複数相の電機子巻線を有する回転機を、同一の直流電源に接続された2組のインバータを介して制御する回転機の制御装置であって、
前記直流電源の電源電圧に対する第1組の複数相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅の比率である第1組の電圧利用率、及び前記電源電圧に対する第2組の複数相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅の比率である第2組の電圧利用率の設定に関わる利用率設定指令を算出する分配部と、
前記利用率設定指令に基づいて、第1組の複数相の電圧指令値を算出する第1組電圧指令算出部と、
前記利用率設定指令に基づいて、第2組の複数相の電圧指令値を算出する第2組電圧指令算出部と、
前記第1組の複数相の電圧指令値に基づいて、第1組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフして、前記第1組の複数相の電機子巻線に電圧を印加する第1組スイッチング制御部と、
前記第2組の複数相の電圧指令値に基づいて、第2組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフして、前記第2組の複数相の電機子巻線に電圧を印加する第2組スイッチング制御部と、を備え、
前記分配部は、前記直流電源と前記2組のインバータとを接続する母線を流れる母線電流に重畳している交流成分である母線交流成分の実効値が、前記第1組の電圧利用率と前記第2組の電圧利用率との間の利用率比率が1対1である場合よりも低下するように、前記利用率比率を1対1から変化させる前記利用率設定指令を算出するものである。
各組において、電圧利用率が変化すると、インバータの複数のスイッチング素子のオンオフパターン及び各パターンの頻度が変化し、スイッチング素子のオンオフにより生じる母線交流成分の実効値が増減する。上記の構成によれば、2組の電機子巻線及び2組のインバータが設けられている自由度を生かし、第1組の電圧利用率と第2組の電圧利用率とを1対1から変化させることにより、1対1の場合よりも、第1組のインバータから生じる母線交流成分と第2組のインバータから生じる母線交流成分とを変化させ、第1組及び第2組の合計の母線交流成分の実効値を低減させることができる。よって、直流電源、及び直流電源に接続された平滑コンデンサ及び他の装置に与える母線交流成分の悪影響を低減することができる。また、第1組のスイッチング素子のオンオフ制御のタイミングと第2組のスイッチング素子のオンオフ制御のタイミングの同期を取らなくても、母線交流成分の実効値を低減することができ、制御装置及び処理の簡素化を図ることができる。
実施の形態1に係る回転機及び回転機の制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る各組の電機子巻線の位相を説明する図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る搬送波比較PWM制御を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係る分配部の処理を説明するフローチャートである。 実施の形態1に係る利用率比率を1:1から変化させない場合と変化させる場合において、平均電圧利用率に対する母線交流成分の実効値及び電圧利用率の設定を説明する図である。 実施の形態2に係る利用率比率を1:1から変化させない場合と変化させる場合において、平均電圧利用率に対する母線交流成分の実効値及び電圧利用率の設定を説明する図である。 実施の形態2の別例に係る利用率比率を1:1から変化させない場合と変化させる場合において、平均電圧利用率に対する母線交流成分の実効値及び電圧利用率の設定を説明する図である。 実施の形態3に係る分配部の処理を説明するフローチャートである。 実施の形態3に係る分配部の反復計算の処理を説明するフローチャートである。 実施の形態4に係る回転機及び回転機の制御装置の概略構成図である。 実施の形態4に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態5に係る分配部の処理を説明するフローチャートである。 実施の形態5に係る分配部の反復計算の処理を説明するフローチャートである。 実施の形態6に係る搬送波比較PWM制御を説明するタイムチャートである。 実施の形態6に係る利用率比率を1:1から変化させない場合と変化させる場合において、平均電圧利用率に対する母線交流成分の実効値及び電圧利用率の設定を説明する図である。 実施の形態6に係る分配部の処理を説明するフローチャートである。 実施の形態6の別例に係る利用率比率を1:1から変化させない場合と変化させる場合において、平均電圧利用率に対する母線交流成分の実効値及び電圧利用率の設定を説明する図である。 実施の形態6の別例に係る利用率比率を1:1から変化させない場合と変化させる場合において、平均電圧利用率に対する母線交流成分の実効値及び電圧利用率の設定を説明する図である。 その他の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る回転機の制御装置30について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る回転機1及び回転機の制御装置30(以下、単に、制御装置30と称す)の概略構成図である。回転機1は、2組の複数相(本例では、3相)の電機子巻線を有している。制御装置30は、回転機1を、同一の直流電源5に接続された2組のインバータ6a、6bを介して制御する。図2に示すように、制御装置30は、第1組の3相の電機子巻線を制御する第1組の制御器30aと、第2組の3相の電機子巻線を制御する第2組の制御器30bと、を有している。
1-1.回転機1
回転機1は、円筒状のステータ18と、ステータ18の径方向内側に配置されたロータ14と、を備えている。ステータ18に、2組の3相の電機子巻線が巻装されている。すなわち、ステータ18には、第1組の3相の電機子巻線Cu1、Cv1、Cw1と、第2組の3相の電機子巻線Cu2、Cv2、Cw2と、が設けられている。各組の3相の電機子巻線は、スター結線とされてもよいし、デルタ結線とされてもよい。第1組の3相を、U1相、V1相、W1相とする。第2組の3相を、U2相、V2相、W2相とする。
本実施の形態では、図3に模式図を示すように、第1組の3相の電機子巻線Cu1、Cv1、Cw1の位置に対する第2組の3相の電機子巻線Cu2、Cv2、Cw2の位置の電気角での位相差は、0度に設定されている。なお、電気角は、ロータ14の機械角に磁石の極対数を乗算した角度になる。なお、位相差は、0度以外(例えば、π/6(30度))に設定されてもよい。
ロータ14には、永久磁石が設けられており、回転機1は、永久磁石式の同期回転機とされている。ロータ14の外周面に永久磁石が設けられた表面磁石型の同期回転機とされており、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが等しい非突極機とされている。なお、ロータ14の内部に永久磁石が設けられた埋込磁石型の同期回転機とされ、q軸インダクタンスLqがd軸インダクタンスLdより大きい突極機とされてもよい。
ロータ14には、ロータ14の回転角度を検出するための回転センサ15が設けられている。回転センサ15は、冗長型とされており、第1組の3相の電機子巻線の制御のための第1の回転角度θ1に係る第1の出力信号と、第2組の3相の電機子巻線の制御のための第2の回転角度θ2に係る第2の出力信号と、を出力する。第1の回転角度θ1に係る第1の出力信号は、第1組の制御器30aに入力され、第2の回転角度θ2に係る第2の出力信号は、第2組の制御器30bに入力される。回転センサ15には、ホール素子、レゾルバ、又はエンコーダ等の各種のセンサが用いられる。回転センサ15が設けられず、後述する各組の電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる各組の電流情報等に基づいて、各組の回転角度(各組の磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
1-2.直流電源5
直流電源5は、第1組のインバータ6a、及び第2組のインバータ6bに直流電圧Vdcを出力する。直流電源5として、バッテリー、DC-DCコンバータ、ダイオード整流器、PWM整流器等、電源電圧を出力する任意の機器が用いられる。
直流電源5と2組のインバータ6a、6bとは、共通の母線7を介して接続されている。母線7は、高電位側の母線7Pと低電位側の母線7Nとを有している。高電位側の母線7Pの一端が、直流電源5の高電位側に接続され、低電位側の母線7Nの一端が、直流電源5の低電位側に接続されている。高電位側の母線7Pの他端が、第1組のインバータ6aの高電位側電線8aP及び第2組のインバータ6bの高電位側電線8bPに分岐して接続され、低電位側の母線7Nの他端が、第1組のインバータ6aの低電位側電線8aN及び第2組のインバータ6bの低電位側電線8bNに分岐して接続されている。
平滑コンデンサ12が、高電位側の母線7Pと低電位側の母線7Nとの間に接続されている。平滑コンデンサ12は、第1組のインバータ6a及び第2組のインバータ6bに供給される直流電圧Vdcの変動を抑制し、安定させる。
直流電源5から各組のインバータ6a、6bに供給される直流電圧Vdcを検出する電源電圧センサ13が備えられている。電源電圧センサ13は、高電位側の母線7Pと低電位側の母線7Nとの間に接続されている。電源電圧センサ13の出力信号は、第1組の制御器30a及び第2組の制御器30bに入力される。なお、第1組のインバータ6aに入力される第1組の直流電圧Vdc1と、第2組のインバータ6bに入力される第2組の直流電圧Vdc2とが、第1組の電源電圧センサ及び第2組の電源電圧センサにより個別に検出され、第1組の制御器30a及び第2組の制御器30bに個別に入力されてもよい。
1-3.インバータ
第1組のインバータ6aは、直流電源5と第1組の3相の電機子巻線との間で電力変換を行う。第2組のインバータ6bは、直流電源5と第2組の3相の電機子巻線との間で電力変換を行う。
第1組のインバータ6aは、直流電源5の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子SPと、直流電源5の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子SNと、が直列接続された直列回路を、第1組の3相各相の電機子巻線に対応して3つ設けている。各直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、第1組の対応する相の電機子巻線に接続される。第2組のインバータ6bは、直流電源5の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子SPと、直流電源5の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子SNと、が直列接続された直列回路を、第2組の3相各相の電機子巻線に対応して3つ設けている。各直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、第2組の対応する相の電機子巻線に接続される。
具体的には、第1組のインバータ6aにおける各相の直列回路において、高電位側のスイッチング素子SPのコレクタ端子は、高電位側電線8aPに接続され、高電位側のスイッチング素子SPのエミッタ端子は、低電位側のスイッチング素子SNのコレクタ端子に接続され、低電位側のスイッチング素子SNのエミッタ端子は、低電位側電線8aNに接続されている。高電位側のスイッチング素子SPと低電位側のスイッチング素子SNとの接続点は、第1組の対応する相の電機子巻線に接続されている。
第2組のインバータ6bにおける各相の直列回路において、高電位側のスイッチング素子SPのコレクタ端子は、高電位側電線8bPに接続され、高電位側のスイッチング素子SPのエミッタ端子は、低電位側のスイッチング素子SNのコレクタ端子に接続され、低電位側のスイッチング素子SNのエミッタ端子は、低電位側電線8bNに接続されている。高電位側のスイッチング素子SPと低電位側のスイッチング素子SNとの接続点は、第2組の対応する相の電機子巻線に接続されている。
各組のインバータのスイッチング素子には、ダイオードが逆並列に接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオードが逆並列に接続されたバイポーラトランジスタ、逆並列に接続されたダイオードの機能を有するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等が用いられる。
第1組のインバータ6aの各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、第1組の制御器30aに接続されている。よって、第1組の各スイッチング素子は、第1組の制御器30aから出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。第2組のインバータ6bの各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、第2組の制御器30bに接続されている。よって、第2組の各スイッチング素子は、第2組の制御器30bから出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。
第1組の3相の電機子巻線に流れる電流を検出するための第1組電流センサ9a、及び第2組の3相の電機子巻線に流れる電流を検出するための第2組電流センサ9bが設けられている。各組の電流センサ9a、9bは、ホール素子又はシャント抵抗等の電流センサとされる。第1組電流センサ9aの出力信号は、第1組の制御器30aに入力される。第2組電流センサ9bの出力信号は、第2組の制御器30bに入力される。
本実施の形態では、第1組電流センサ9aは、第1組のインバータ6aの各相のスイッチング素子の直列回路と各相の電機子巻線とをつなぐ各相の電線上に備えられている。第2組電流センサ9bは、第2組のインバータ6bの各相のスイッチング素子の直列回路と各相の電機子巻線とをつなぐ各相の電線上に備えられている。なお、各組の電流センサ9a、9bは、各組のインバータの各相の直列回路に備えられてもよい。或いは、各組の電流センサ9a、9bは、各組のインバータ6a、6bと直流電源5と接続する電線上に設けられ、各組について、公知の「母線1シャント方式」により、各相の巻線の電流が検出されてもよい。
1-4.制御装置30
制御装置30は、2組のインバータ6a、6bを介して回転機1を制御する。制御装置30は、図4に示すように、分配部31、第1組回転検出部32、第1組電流検出部33、第1組電圧検出部34、第1組電圧指令算出部35、第1組スイッチング制御部36、第2組回転検出部37、第2組電流検出部38、第2組電圧検出部39、第2組電圧指令算出部40、及び第2組スイッチング制御部41等の機能部を備えている。制御装置30の各機能は、制御装置30が備えた処理回路により実現される。
本実施の形態では、制御装置30は、第1組の制御器30a及び第2組の制御器30bを備えている。分配部31、第1組回転検出部32、第1組電流検出部33、第1組電圧検出部34、第1組電圧指令算出部35、及び第1組スイッチング制御部36が、第1組の制御器30aに備えられている。第2組回転検出部37、第2組電流検出部38、第2組電圧検出部39、第2組電圧指令算出部40、及び第2組スイッチング制御部41が、第2組の制御器30bに備えられている。なお、分配部31は、第2組の制御器30bに備えられてもよい。或いは、分配部31は、双方の制御器に備えられ、双方の制御器の動作が正常な場合は、予め設定された一方の制御器の分配部31が動作し、いずれか一方の制御器の動作に異常があった場合は、他方の制御器の分配部31が動作するように構成されてもよい。或いは、分配部31は、第3の制御器に備えられ、第3の制御器と、第1組及び第2組の制御器30a、30bとが通信により接続されてもよい。
図2に示すように、各組の制御器30a、30bは、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93、及び通信回路94等を備えている。記憶装置91、入力回路92、出力回路93、及び通信回路94等は、バス等の信号線を介して演算処理装置90に接続されている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の揮発性及び不揮発性の記憶装置が備えられている。入力回路92は、電源電圧センサ13、回転センサ15、各組の電流センサ9a、9b等の各種のセンサが接続され、これらセンサの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、スイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。各組の通信回路94は、相互に接続されて通信を行うと共に、外部装置と通信を行う。
そして、制御装置30が備える各制御部31~41等の各機能は、各組の制御器30a、30bの演算処理装置90が、ROM、EEPROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、出力回路93、及び通信回路94等の各組の制御器30a、30bの他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31~41等が用いる閾値Mth、目標電圧利用率MoH、電気定数、及びマップデータ等の各種の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置30の各機能について詳細に説明する。
1-4-1.第1組の基本制御
第1組回転検出部32は、回転センサ15の第1の出力信号に基づいて、ロータの電気角での第1の回転角度θ1(第1の磁極位置θ1)及び第1の回転角速度ω1を検出する。第1の回転角度θ1は、第1組のU1相の電機子巻線位置を基準にしたロータのN極の角度とされる。なお、第1組回転検出部32は、第1組の電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、第1の回転角度θ1を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
第1組電圧検出部34は、電源電圧センサ13の出力信号に基づいて、第1の直流電圧Vdc1を検出する。
第1組電流検出部33は、第1組電流センサ9aの出力信号に基づいて、第1組の3相の電機子巻線を流れる第1組の3相の電流Iu1s、Iv1s、Iw1sを検出する。そして、第1組電流検出部33は、次式に示すように、第1組の3相の電流検出値Iu1s、Iv1s、Iw1sを、第1の回転角度θ1に基づいて、3相2相変換及び回転座標変換を行って、第1組のd軸の電流検出値Id1s及び第1組のq軸の電流検出値Iq1sを算出する。
Figure 0007378662000001
d軸及びq軸の座標系(以下、dq軸の座標系と称す)は、交流回転機(ロータ)の第1の回転角度θ1(第1の磁極位置θ1)に同期して回転する2軸の回転座標系である。より詳細には、dq軸の座標系は、ロータの第1の磁極位置θ1(磁石のN極の向き)に定めたd軸、及びd軸より電気角で90度進んだ方向に定めたq軸からなる。
第1組電圧指令算出部35は、後述する分配部31から指令された利用率設定指令(本例では、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1o)に基づいて、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oを算出する。本実施の形態では、第1組電圧指令算出部35は、第1組dq軸電圧指令算出部351、及び第1組電圧座標変換部352を備えている。
第1組dq軸電圧指令算出部351は、第1組のdq軸の電流検出値Id1s、1q1sが、それぞれ、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに近づくように、PI制御等により第1組のdq軸の電圧指令値Vd1o、Vq1oを変化させる。第1組電圧座標変換部352は、第1組のdq軸の電圧指令値Vd1o、Vq1oを、次式に示すように、第1の回転角度θ1に基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oに変換する。
Figure 0007378662000002
そして、電圧利用率を向上させるために、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oに、3次高調波重畳、空間ベクトル変調、二相変調などの公知の振幅低減変調が加えられる。振幅低減変調により、3相の電圧指令値の線間電圧が維持しされつつ、3相の電圧指令値の振幅が√3/2倍(約0.866倍)に低減される。よって、最終的な3相の電圧指令値が直流電圧の範囲(-Vdc/2~+Vdc/2)を超えない(電圧飽和を生じない)ような、幅低減変調前の3相の電圧指令値の最大振幅を、振幅低減変調により、2/√3倍(約1.15倍)に増加させることができる。第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oの基本波成分の振幅に√3を乗算した値が、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oの線間電圧の基本波成分の振幅になる。なお、振幅低減変調が行われなくてもよい。
本実施の形態では、第1組dq軸電圧指令算出部351は、最終的な第1組の3相の電圧指令値が直流電圧の範囲(-Vdc/2~+Vdc/2)を超え、過変調状態及び電圧飽和状態にならないような、第1組のdq軸の電圧指令値及び第1組の3相の電圧指令値を算出する。例えば、第1組のdq軸の電圧指令値の電圧利用率が、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率(振幅低減変調が行われる場合は100%、振幅低減変調が行われない場合は86.6%)以下になるように、第1組のdq軸の電圧指令値が制限される。
第1組スイッチング制御部36は、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oに基づいて、第1組のインバータ6aが有する複数のスイッチング素子をオンオフして、第1組の3相の電機子巻線に電圧を印加する。第1組スイッチング制御部36は、公知の搬送波比較PWM又は空間ベクトルPWMを用いる。
搬送波比較PWMが用いられる場合は、第1組スイッチング制御部36は、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oのそれぞれと第1組の搬送波CA1とを比較し、比較結果に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフする。本実施の形態では、図5に示すように、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oのそれぞれと比較される第1組の搬送波CA1は、同じ搬送波である。第1組の搬送波CA1は、PWM周期Tcで0を中心に直流電圧の半分値Vdc1/2の振幅で振動する三角波とされている。三角波以外に鋸波等の任意の波形が用いられてもよい。
第1組スイッチング制御部36は、各相について、第1組の搬送波CA1が電圧指令値を下回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GP1をオン(本例では、1)して、高電位側のスイッチング素子をオンし、第1組の搬送波CA1が電圧指令値を上回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GP1をオフ(本例では、0)して、高電位側のスイッチング素子をオフする。一方、第1組スイッチング制御部36は、各相について、第1組の搬送波CA1が電圧指令値を下回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GN1をオフ(本例では、0)して、低電位側のスイッチング素子をオフし、第1組の搬送波CA1が電圧指令値を上回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GN1をオン(本例では、1)して、低電位側のスイッチング素子をオンする。なお、各相について、高電位側のスイッチング素子のオン期間と低電位側のスイッチング素子のオン期間との間には、高電位側及び低電位側のスイッチング素子の双方をオフにする短絡防止期間(デッドタイム)が設けられてもよい。
空間ベクトルPWMが用いられる場合は、第1組スイッチング制御部36は、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oから第1組の電圧指令ベクトルを生成し、第1組の電圧指令ベクトルに基づいて、PWM周期における7つの基本電圧ベクトルの設定時間配分を決定し、7つの基本電圧ベクトルの設定時間配分に基づいて、PWM周期において各スイッチング素子をオンオフするスイッチング信号を生成する。
1-4-2.第2組の基本制御
第2組回転検出部37は、回転センサ15の第2の出力信号に基づいて、ロータの電気角での第2の回転角度θ2(第2の磁極位置θ2)及び第2の回転角速度ω2を検出する。第2の回転角度θ2は、第2組のU2相の電機子巻線位置を基準にしたロータのN極の角度とされる。なお、第2組回転検出部37は、第2組の電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、第2の回転角度θ2を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
第2組電圧検出部39は、電源電圧センサ13の出力信号に基づいて、第2の直流電圧Vdc2を検出する。
第2組電流検出部38は、第2組電流センサ9bの出力信号に基づいて、第2組の3相の電機子巻線を流れる第2組の3相の電流Iu2s、Iv2s、Iw2sを検出する。そして、第2組電流検出部38は、式(1)と同様に、第2組の3相の電流検出値Iu2s、Iv2s、Iw2sを、第2の回転角度θ2に基づいて、3相2相変換及び回転座標変換を行って、第2組のd軸の電流検出値Id2s及び第2組のq軸の電流検出値Iq2sを算出する。
d軸及びq軸の座標系(以下、dq軸の座標系と称す)は、交流回転機(ロータ)の第2の回転角度θ2(第2の磁極位置θ2)に同期して回転する2軸の回転座標系である。より詳細には、dq軸の座標系は、ロータの第2の磁極位置θ2(磁石のN極の向き)に定めたd軸、及びd軸より電気角で90度進んだ方向に定めたq軸からなる。
第2組電圧指令算出部40は、後述する分配部31から指令された利用率設定指令(本例では、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2o)に基づいて、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oを算出する。本実施の形態では、第2組電圧指令算出部40は、第2組dq軸電圧指令算出部401、及び第2組電圧座標変換部402を備えている。
第2組dq軸電圧指令算出部401は、第2組のdq軸の電流検出値Id2s、1q2sが、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oに近づくように、PI制御等により第2組のdq軸の電圧指令値Vd2o、Vq2oを変化させる。第2組電圧座標変換部402は、式(2)と同様に、第2組のdq軸の電圧指令値Vd2o、Vq2oを、第2の回転角度θ2に基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oに変換する。
そして、第1組と同様に、電圧利用率を向上させるために、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oに、3次高調波重畳、空間ベクトル変調、二相変調などの公知の振幅低減変調が加えられる。また、第2組dq軸電圧指令算出部401は、最終的な第2組の3相の電圧指令値が直流電圧の範囲(-Vdc/2~+Vdc/2)を超え、過変調状態及び電圧飽和状態にならないような、第2組のdq軸の電圧指令値及び第2組の3相の電圧指令値を算出する。例えば、第2組のdq軸の電圧指令値の電圧利用率が、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率(振幅低減変調が行われる場合は100%、振幅低減変調が行われない場合は86.6%)以下になるように、第2組のdq軸の電圧指令値が制限される。
第2組スイッチング制御部41は、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oに基づいて、第2組のインバータ6bが有する複数のスイッチング素子をオンオフして、第2組の3相の電機子巻線に電圧を印加する。第2組スイッチング制御部41は、公知の搬送波比較PWM又は空間ベクトルPWMを用いる。
搬送波比較PWMが用いられる場合は、第2組スイッチング制御部41は、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oのそれぞれと第2組の搬送波CA2とを比較し、比較結果に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフする。本実施の形態では、第1組の図5と同様に、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oのそれぞれと比較される第2組の搬送波CA2は、同じ搬送波である。第2組の搬送波CA2は、PWM周期Tcで0を中心に直流電圧の半分値Vdc2/2の振幅で振動する三角波とされている。第2組スイッチング制御部41の処理は、第1組スイッチング制御部36の処理と同様であるので、説明を省略する。
1-4-3.分配部31
<各組の電圧利用率の設定に係る利用率設定指令>
分配部31は、第1組の電圧利用率M1及び第2組の電圧利用率M1の設定に関わる利用率設定指令を算出する。次式に示すように、第1組の電圧利用率M1は、直流電源の電源電圧Vdcに対する第1組の3相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅V1ampの比率である。第2組の電圧利用率M2は、直流電源の電源電圧Vdcに対する第2組の3相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅V2ampの比率である。
Figure 0007378662000003
また、次式に示すように、第1組のdq軸の電圧指令値Vd1o、Vq1oの2乗和の平方根(第1組のdq軸の電圧ベクトルVdq1の大きさ|Vdq1|)は、第1組の3相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅V1ampを、√2で除算した値に等しくなり、2乗和の平方根により第1組の電圧利用率M1を算出できる。第2組のdq軸の電圧指令値Vd2o、Vq2oの2乗和の平方根(第2組のdq軸の電圧ベクトルVdq2の大きさ|Vdq2|)は、第2組の3相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅V2ampを、√2で除算した値に等しくなり、2乗和の平方根により第2組の電圧利用率M2を算出できる。
Figure 0007378662000004
なお、各組について、U相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)の線間電圧は、U相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)からV相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)を減算した電圧になる。V相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)の線間電圧は、V相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)からW相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)を減算した電圧になる。W相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)の線間電圧は、W相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)からU相の電機子巻線の印加電圧(又は電圧指令値)を減算した電圧になる。
<利用率比率R12の変化>
そして、分配部31は、直流電源Vdcと2組のインバータ6a、6bとを接続する母線7を流れる母線電流に重畳している交流成分である母線交流成分の実効値が、第1組の電圧利用率M1と第2組の電圧利用率M2との間の利用率比率R12が1対1である場合よりも低下するように、利用率比率R12を1対1から変化させる利用率設定指令を算出する。
各組において、電圧利用率が変化すると、インバータの複数のスイッチング素子のオンオフパターン及び各パターンの頻度が変化し、スイッチング素子のオンオフにより生じる母線交流成分の実効値が増減する。上記の構成によれば、2組の電機子巻線及び2組のインバータが設けられている自由度を生かし、第1組の電圧利用率M1と第2組の電圧利用率M2とを1対1から変化させることにより、1対1の場合よりも、第1組のインバータから生じる母線交流成分と第2組のインバータから生じる母線交流成分とを変化させ、第1組及び第2組の合計の母線交流成分の実効値を低減させることができる。よって、直流電源、及び直流電源に接続された平滑コンデンサ12及び他の装置に与える母線交流成分の悪影響を低減することができる。例えば、母線交流成分の実効値が大きいと、平滑コンデンサ12の容量を大きくする必要が生じたり、平滑コンデンサ12の発熱が大きくなる問題が生じたり、平滑コンデンサ12の寿命が短くなる問題が生じたりする。
分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、母線交流成分の実効値が最小になるように、利用率比率R12を1対1から変化させる利用率設定指令を算出すとよい。この構成によれば、母線交流成分の実効値の低減効果を最大化させることができる。
なお、必ずしも、母線交流成分の実効値が最小になる利用率設定指令が算出されなくてもよく、他の要因、例えば、電圧利用率が高くされる組の電機子巻線及びインバータの発熱の抑制、制御の容易さなども考慮して、利用率比率R12が1対1である場合よりも、母線交流成分の実効値を低減できる利用率設定指令が算出されればよい。
<合計トルク>
分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、第1組の3相の電機子巻線の磁束による第1組のトルクと第2組の3相の電機子巻線の磁束による第2組のトルクとの合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、利用率設定指令を算出する。この構成によれば、利用率比率R12を1対1から変化させても、合計トルクを合計のトルク指令値に一致させることができる。
<平均電圧利用率による判定>
分配部31は、第1組の電圧利用率と第2組の電圧利用率との平均電圧利用率が閾値Mth以上である場合に、利用率比率R12を1対1から変化させる利用率設定指令を算出し、平均電圧利用率が閾値Mth未満である場合に、利用率比率R12が1対1になる利用率設定指令を算出する。
利用率比率R12を1対1から変化させる場合であっても、一方の組の電圧利用率を最大電圧利用率の100%よりも大きくなるように変化させることはできず、他方の組の電圧利用率を0%よりも小さくなるように変化させることはできない。よって、平均電圧利用率が低い場合は、利用率比率R12を1対1から変化させることができる変化量が小さくなり、母線交流成分の実効値を十分に低減させることができない。また、平均電圧利用率が小さい場合は、母線交流成分の実効値が小さくなるので、利用率比率R12を1対1から変化させる必要性が低い。上記の構成によれば、平均電圧利用率が閾値Mth以上である場合に、利用率比率R12が1対1から変化されるので、効果的に、母線交流成分の実効値を低減させることができる。
<各組の電流指令値の算出>
本実施の形態では、分配部31は、利用率設定指令として、第1組の3相の電機子巻線についての第1組の電流指令値(本例では、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1o)、及び第2組の3相の電機子巻線についての第2組の電流指令値(本例では、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2o)を算出する。そして、分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、利用率比率R12が1対1から変化するように、第1組の電流指令値及び第2組の電流指令値を算出する。
この構成によれば、利用率設定指令として、各組の電流指令値を算出し、各組に指令しているので、各組の電圧利用率M1、M2を精度よく変化させ、利用率比率R12を精度よく制御できる。
分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、第1組の電圧利用率M1及び第2組の電圧利用率M2の一方の組の電圧利用率が、他方の組の電圧利用率よりも高くなるように、一方の組の目標電圧利用率MoHを設定する。そして、分配部31は、一方の組の目標電圧利用率MoH及びロータの回転角速度ω(本例では、ω1)に基づいて、一方の組の印加電圧の電圧利用率が一方の組の目標電圧利用率MoHに一致するように、一方の組の電流指令値を算出する。また、分配部31は、第1組の3相の電機子巻線の磁束による第1組のトルクと第2組の3相の電機子巻線の磁束による第2組のトルクとの合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、一方の組の電流指令値に基づいて、他方の組の電流指令値を算出する。
電圧利用率が高くされる一方の組は、電圧利用率が100%を超えると、3相の電圧指令値が直流電圧Vdc(本例では、Vdc1)の範囲(-Vdc/2~+Vdc/2)を超え、過変調状態及び電圧飽和状態になり、線間電圧及び巻線電流に高調波成分が重畳し、トルクに高調波成分が重畳する。一方、電圧利用率が低くされる他方の組は、このような懸念がない。上記の構成によれば、電圧利用率が高くされる一方の組の印加電圧の電圧利用率が一方の組の目標電圧利用率MoHに一致するように、一方の組の電流指令値を算出されるので、一方の組の電圧利用率を目標電圧利用率MoHに精度よく変化させることができる。よって、電圧利用率が高くされ過ぎ、過変調状態及び電圧飽和状態になり、トルクに高調波成分が重畳することを防止できる。一方、電圧利用率が低くされる他方の組は、合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、一方の組の電流指令値に基づいて、他方の組の電流指令値が算出されるので、合計トルクを合計のトルク指令値に一致させることができる。従って、利用率比率R12を1対1から変化させる場合も、一方の組の電圧利用率を精度よく高くすることができ、過変調状態及び電圧飽和状態になることを防止できると共に、合計トルクを目標に精度よく一致させることができる。
図6のフローチャートを用いて後述するように、本実施の形態では、電圧利用率が高くされる一方の組は、第1組とされており、電圧利用率が低くされる他方の組は、第2組とされている。第1組と第2組とが入れ替えられてもよい。或いは、発熱が偏らないように、一方の組が、定期的に第1組と第2組との間で入れ替えられてもよい。
<平均電圧利用率による目標電圧利用率MoHの設定>
分配部31は、利用率比率R12を1対1に設定すると仮定した場合に設定される第1組の電流指令値の基準値及び第2組の電流指令値の基準値を設定する。分配部31は、第1組の電流指令値の基準値及び第2組の電流指令値の基準値に対応する第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率の平均電圧利用率Mave0(以下、基準状態の平均電圧利用率Mave0と称す)を算出する。そして、分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、基準状態の平均電圧利用率Mave0に基づいて一方の組の目標電圧利用率MoHを設定する。
利用率比率R12の1対1からの変化の有無に関わらず、平均電圧利用率は同等になる。利用率比率R12を1対1から変化させない場合は、基準の状態であるので、基準状態の平均電圧利用率Mave0に基づいて、目標電圧利用率MoHを精度よく設定することができる。
1-4-3-1.分配部31の詳細処理
図6のフローチャートを参照して、分配部31の詳細処理を説明する。
<ステップS01>
ステップS01で、分配部31は、利用率比率R12を1対1に設定すると仮定した場合に設定される第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0、及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0を設定する。
分配部31は、回転機1に出力させる合計のトルク指令値を、基準状態の分配率で第1組及び第2組に分配し、第1組のトルク指令値及び第2組のトルク指令値を設定する。基準状態の分配率は、50%に設定されている。合計のトルク指令値は、制御装置30の内部で演算されてもよいし、制御装置30の外部の装置から伝達されてもよい。
本実施の形態では、回転機1は、非突極機であるので、トルクは、q軸電流に比例し、Id=0制御によりdq軸の電流指令値を設定するように構成されている。そのため、トルク指令値として、q軸電流指令値が直接用いられている。なお、トルク指令値を介してq軸電流指令値が設定されてもよい。
そこで、次式に示すように、分配部31は、合計のq軸の電流指令値の基準値Iqallo0を設定し、合計のq軸の電流指令値の基準値Iqallo0を、基準状態の分配率(本例では、50%)で、第1組のq軸の電流指令値の基準値Iq1o0、及び第2組のq軸の電流指令値の基準値Iq2o0に分配する。第1組のd軸の電流指令値の基準値Id1o0、及び第2組のd軸の電流指令値の基準値Id2o0は、0に設定される。
Figure 0007378662000005
或いは、回転機1が、突極機であり、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御等によりdq軸の電流指令値が設定される場合は、次式に示すように、分配部31は、合計のトルク指令値Talloを、基準状態の分配率(本例では、50%)で、第1組のトルク指令値To1及び第2組のトルク指令値To2に分配する。そして、分配部31は、第1組のトルク指令値To1、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御等により、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0を設定する。分配部31は、第2組のトルク指令値To2、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御等により、第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0を設定する。
Figure 0007378662000006
<ステップS02>
ステップS02で、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0に対応する第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率の基準状態の平均電圧利用率Mave0を算出する。本実施の形態では、各組の巻線抵抗及びインダクタンス等の電気定数が互いに等しいので、基準状態の第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率が互いに等しくなる。よって、基準状態の第1組の電圧利用率(又は基準状態の第2組の電圧利用率)が、基準状態の平均電圧利用率Mave0として算出される。なお、基準状態の第1組及び第2組の電圧利用率が互いに等しくならない場合は、基準状態の第1組及び第2組の電圧利用率が算出され、それらを平均化して基準状態の平均電圧利用率Mave0が算出されてもよい。
次式に示すように、分配部31は、電圧方程式を用い、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0、及び回転角速度ωに基づいて、基準状態の第1組のdq軸の電圧Vd10、Vq10を算出する。なお、電圧方程式において、定常状態であると仮定し、微分の項が省略されている。そして、分配部31は、基準状態の第1組のdq軸の電圧Vd10、Vq10に基づいて、基準状態の第1組の電圧利用率M10を算出し、基準状態の第1組の電圧利用率M10を基準状態の平均電圧利用率Mave0として算出する。
Figure 0007378662000007
ここで、Ldは、d軸インダクタンスであり、Lqは、q軸インダクタンスであり、Rは、電機子巻線の抵抗値であり、Ψaは、ロータの磁石の鎖交磁束である。
<ステップS03>
ステップS03で、分配部31は、基準状態の平均電圧利用率Mave0が閾値Mth以上であるか否かを判定し、閾値Mth以上である場合は、ステップS04に進み、利用率比率R12を1対1から変化させ、閾値Mth未満である場合は、ステップS07に進み、利用率比率R12を1対1に設定する。
本実施の形態では、図7を用いて後述するように、閾値Mthは、利用率比率R12を1対1に設定する条件で、平均電圧利用率Maveの変化に対して、母線交流成分の実効値が極大になる平均電圧利用率に対応して設定されている(本例では、50%)。例えば、閾値Mthは、極大になる平均電圧利用率の+10%から-10%の範囲内に設定されればよい。
また、閾値Mthは、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率(本例では、100%)の50%に設定されている。基準状態の平均電圧利用率Mave0が50%以上になれば、一方の組の電圧利用率を100%に設定しても、他方の組の電圧利用率を0%以上に設定することができ、双方の組の電圧利用率を適切に設定できる。
<ステップS04>
ステップS04で、分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、第1組の電圧利用率M1が、第2組の電圧利用率M2よりも高くなるように、基準状態の平均電圧利用率Mave0に基づいて、第1組の目標電圧利用率MoHを設定する。例えば、分配部31は、平均電圧利用率Maveと第1組の目標電圧利用率MoHとの関係が予め設定された目標利用率設定マップデータを参照し、基準状態の平均電圧利用率Mave0に対応する第1組の目標電圧利用率MoHを参照する。
本実施の形態では、分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、第1組の目標電圧利用率MoHを、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率(本例では、100%)に設定する。
図7の上段グラフに、利用率比率R12を1対1に設定する場合の、平均電圧利用率Maveの変化に対する母線交流成分の実効値の変化の特性を破線で示す。また、図7の下段グラフに、この場合の平均電圧利用率Maveに対する、各組の電圧利用率M1、M2を破線で示す。平均電圧利用率Maveが、50%の場合に、母線交流成分の実効値が極大になっており、平均電圧利用率Maveが50%から増加又は減少するに従って、母線交流成分の実効値が減少していき、Mave=100%又は0%の場合に、最小になっている。これは、各組について、電圧利用率が50%である場合に、インバータの複数のスイッチング素子のオンオフパターン(電圧ベクトル)のうち、有効ベクトルの設定割合と零ベクトルの設定割合が50%で等しくなる。有効ベクトルでは、直流電源5からインバータに電流が流れ、零ベクトルでは、インバータから直流電源5に電流が流れ、有効ベクトルと零ベクトルとが交互に設定されることで、母線電流に交流成分が生じる。有効ベクトルの設定割合と零ベクトルの設定割合が等しいときに、母線交流成分の実効値が最大になる。そして、有効ベクトルの設定割合と零ベクトルの設定割合が50%からずれるに従って、母線交流成分の実効値が減少していき、有効ベクトル又は零ベクトルの設定割合が100%になる場合に、母線交流成分の実効値が最小になる。
図7の上段グラフに、第1組の目標電圧利用率MoHを100%に設定する場合の母線交流成分の実効値を実線で示し、図7の下段グラフに、この場合の平均電圧利用率Maveに対する、各組の電圧利用率M1、M2を実線で示す。第1組の目標電圧利用率MoHを100%に設定することにより、第1組により生じる母線交流成分の実効値を最小化することができる。また、特に、母線交流成分の実効値が最大値になる50%の平均電圧利用率Mave付近で、第2組の電圧利用率を50%から低下させることができ、第2組により生じる母線交流成分の実効値を減少させることができる。よって、利用率比率R12を1対1に設定する場合よりも、合計の母線交流成分の実効値を大幅に低減することができる。このように、平均電圧利用率Maveが50%以上の領域で、分配部31は、母線交流成分の実効値が最小になるように、第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率を変化させている。
<ステップS05>
そして、ステップS05で、分配部31は、第1組の目標電圧利用率MoH及びロータの回転角速度ωに基づいて、第1組の印加電圧の電圧利用率M1が第1組の目標電圧利用率MoHに一致するように、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oを算出する。
式(7)に示したように、定常状態の電圧方程式を用いると、第1組の電圧利用率M1と、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oとの間には、次式に示す関係が成り立ち、第1組の電圧利用率M1が、第1組の目標電圧利用率MoHに一致する、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oを算出すればよい。
Figure 0007378662000008
本実施の形態では、Id=0制御が行われるので、式(8)に、Id1o=0を代入し、Iq1oについて整理すると、次式を得る。
Figure 0007378662000009
式(9)をIq1oについて解くと、次式が得られる。分配部31は、式(9)の各次数の係数a、b、cの算出式及び次式を用い、第1組の目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出する。巻線抵抗値R、インダクタンス、ロータの磁石の鎖交磁束Ψa等の電気定数は、予め設定される。また、直流電圧Vdcは、予め設定された固定値であってもよい。なお、負トルクを出力させる場合は、式(10)の平方根の項の符号がマイナスになる。
Figure 0007378662000010
或いは、最大トルク電流制御によりdq軸の電流指令値が設定される場合は、式(8)のId1oに次式を代入し、Iq1oについて整理すれば、式(9)と同様に、Iq1oの2次関数が得られ、各次数の係数a、b、cの算出式が得られる(式導出は省略)。そして、分配部31は、各次数の係数a、b、cの算出式及び式(10)を用い、第1組の目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出する。そして、分配部31は、式(11)を用い、算出した第1組のq軸の電流指令値Iq1oに基づいて、第1組のd軸の電流指令値Id1oを算出する。
Figure 0007378662000011
或いは、弱め磁束制御によりdq軸の電流指令値が設定される場合は、式(8)のId1oに次式を代入し、Iq1oについて整理すれば、式(9)と同様に、Iq1oの2次関数が得られ、各次数の係数a、b、cの算出式が得られる(式導出は省略)。そして、分配部31は、各次数の係数a、b、cの算出式及び式(10)を用い、第1組の目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出する。そして、分配部31は、式(12)を用い、算出した第1組のq軸の電流指令値Iq1oに基づいて、第1組のd軸の電流指令値Id1oを算出する。
Figure 0007378662000012
或いは、次式に示すように、分配部31は、式(8)から式(12)などを用いて、目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcと、第1組のq軸の電流指令値Iq1oとの関係が予め設定されたq軸電流設定マップデータMAPiqを参照し、実際の目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに対応する第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出してもよい。また、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御の場合は、次式に示すように、分配部31は、式(8)から式(12)などを用いて、目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcと、第1組のd軸の電流指令値Id1oとの関係が予め設定されたd軸電流設定マップデータMAPidを参照し、実際の目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに対応する第1組のd軸の電流指令値Id1oを算出してもよい。
Figure 0007378662000013
<ステップS06>
ステップS06で、分配部31は、第1組の3相の電機子巻線の磁束による第1組のトルクと第2組の3相の電機子巻線の磁束による第2組のトルクとの合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに基づいて、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oを算出する。
本実施の形態では、Id=0制御が行われ、トルクはq軸電流に比例する。分配部31は、第1組のq軸の電流指令値Iq1oと第2組のq軸の電流指令値Iq2oとの合計が、第1組のq軸の電流指令値の基準値Iq1o0及び第2組のq軸の電流指令値の基準値Iq2o0の合計に一致するように、第1組のq軸の電流指令値Iq1oに基づいて、第2組のq軸の電流指令値Iq2oを算出する。具体的には、次式に示すように、分配部31は、合計のq軸の電流指令値の基準値Iqallo0から、第1組のq軸の電流指令値Iq1oを減算して、第2組のq軸の電流指令値Iq2oを設定する。
Figure 0007378662000014
或いは、回転機1が、突極機であり、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御が行われる場合は、次式に示すように、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに基づいて、第1組の3相の電機子巻線の磁束による第1組のトルクT1を算出する。ここで、Pnは、極対数である。そして、分配部31は、合計のトルク指令値Talloから、第1組のトルクT1を減算して、第2組のトルクT2を算出する。そして、分配部31は、第2組のトルクT2、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御により、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oを算出する。
Figure 0007378662000015
本実施の形態では、分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる場合に、第1組の電流指令値を制限値で制限する制限処理を行い、制限により低下した第1組のトルクの低下分だけ、第2組のトルクが増加するように、第2組の電流指令値を変化させる。
例えば、非突極機の場合は、分配部31は、第1組のq軸の電流指令値Iq1oをq軸の制限値で上限制限し、上限制限により低下した第1組のq軸の電流指令値の低下分を、第2組のq軸の電流指令値Iq2oに加算する。或いは、突極機の場合は、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oのベクトルの大きさを制限値で上限制限し、上限制限された場合は、上限制限後の第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに基づいて、式(15)の第1式を用い、第1組のトルクT1を算出し、式(15)の第2式及び第3式により、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oを算出してもよい。
利用率比率R12を1対1から変化させると、変化させない場合よりも、第1組の電流が増加し、第1組の電機子巻線及びインバータの発熱が増加する。上記の構成によれば、第1組の電流を制限することにより、第1組の過熱を防止しつつ、第1組の電流制限より低下した第1組トルクの低下分だけ第2組トルクを増加させて、合計トルクが変化することを抑制できる。
<ステップS07>
ステップS07で、分配部31は、利用率比率R12が1対1になる各組のdq軸の電流指令値を算出する。本実施の形態では、次式に示すように、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0を、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに設定し、第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0を、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oに設定する。
Figure 0007378662000016
2.実施の形態2
実施の形態2に係る回転機の制御装置30について図面を参照して説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転機1及び回転機の制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、利用率比率R12を1対1から変化させる平均電圧利用率Maveの範囲が実施の形態1と異なる。
実施の形態1では、閾値Mthは50%に設定されており、分配部31は、平均電圧利用率Maveが50%以上である場合に、利用率比率R12を1対1から変化させ、平均電圧利用率Maveが50%未満である場合に、利用率比率R12を1対1に設定していた。本実施の形態では、分配部31は、平均電圧利用率Maveが50%未満の場合も、利用率比率R12を1対1から変化させるように構成されている。
例えば、図8の下段グラフに、本実施の形態に係る平均電圧利用率Maveに対する、各組の電圧利用率を実線で示す。図8の上段グラフに、この場合の平均電圧利用率Maveに対する母線交流成分の実効値を実線で示す。なお、図7と同様に、比較のために、利用率比率R12を1対1に設定する場合の、母線交流成分の実効値及び各組の電圧利用率を破線で示している。
本実施の形態では、平均電圧利用率Maveの全域(0%~100%)に亘って、分配部31は、母線交流成分の実効値が、利用率比率R12が1対1である場合よりも低下するように、利用率比率R12を1対1から変化させる第1組の電流指令値及び第2組の電流指令値を算出する。平均電圧利用率Maveが50%以下の領域でも、分配部31は、母線交流成分の実効値が、最小になるように、第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率を変化させている。
例えば、平均電圧利用率Maveが50%から40%の範囲は、第2組の電圧利用率が0%になるように、平均電圧利用率Maveが低下するに従って、第1組の目標電圧利用率MoHを100%から次第に低下させている。この範囲は、第2組の電圧利用率を0%にすることによる第2組の母線交流成分の実効値の減少が、第1の電圧利用率を100%から減少させることによる第1組の母線交流成分の実効値の増加を上回っており、全体の母線交流成分の実効値を最小にすることができる。
平均電圧利用率Maveが40%から0%の範囲は、全体の母線交流成分の実効値が最小になるように、第2組の電圧利用率を0%よりも増加させ、その分、第1組の電圧利用率を低下させている。
全体の母線交流成分の実効値が最小になるような、平均電圧利用率Maveと第1組の目標電圧利用率MoHとの関係が数値演算又は実験により予め決定され、図8の下段グラフの実線のような目標利用率設定マップデータが予め設定される。
なお、必ずしも、母線交流成分の実効値が最小になる第1組の目標電圧利用率MoHが設定されなくても、他の要因、例えば、電圧利用率が高くされる組の電機子巻線及びインバータの発熱の抑制、制御の容易さなども考慮して、利用率比率R12が1対1である場合よりも、母線交流成分の実効値を低減できる第1組の目標電圧利用率MoHが設定されればよい。
本実施の形態では、図6のフローチャートにおいて、利用率比率R12を1対1に設定する場合の処理であるステップS03及びステップS07の演算が実行されないように構成され、ステップS01、ステップS02、ステップS04、ステップS05、ステップS06の順で実行される。
実施の形態1及び2では、図3に示したように、第1組の3相の電機子巻線の位置に対する第2組の3相の電機子巻線の位置の電気角での位相差は、0度に設定されていた。しかし、位相差は、0度以外(例えば、30度)に設定されてもよい。例えば、図9に、位相差=30度の場合において、母線交流成分の実効値が最小になる各組の電圧利用率の設定値、及び母線交流成分の実効値を実線で示す。なお、比較のために、利用率比率R12を1対1に設定する場合の、母線交流成分の実効値及び各組の電圧利用率を破線で示している。位相差が0度以外であっても、利用率比率R12を1対1から変化させることにより、母線交流成分の実効値を低下させることができる。以下の実施の形態でも同様である。
実施の形態1及び2では、制御装置30は、第1組の制御器30a及び第2組の制御器30bを備えており、各組の制御が各組の制御器により個別に実行されていた。しかし、制御装置30は、1つの制御器を備えており、各組の制御が1つの制御器により実行されてもよい。或いは、制御装置30は、3つ以上の制御器を備えており、分配部31が第3の制御器により実行されてもよい。以下の実施の形態でも同様である。
また、第1組の制御器30a及び第2組の制御器30bが設けられる場合、2つの制御器の間で、第1組の搬送波と第2組の搬送波との同期をとってもよいが、同期をとらなくても、利用率比率R12を1対1から変化させることにより、母線交流成分の実効値を低下させる効果がある。一方、特許文献1の技術では、有効ベクトルを時間軸で分散させるため、組間の同期をとる必要があるが、本願ではそのような必要がなく、同期をとるために、装置コストが増加することを抑制できる。また、第1組のPWM周期と、第2組のPWM周期とを異ならせてもよい。以下の実施の形態でも同様である。
3.実施の形態3
実施の形態3に係る回転機の制御装置30について図面を参照して説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転機1及び回転機の制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、電圧利用率を増加させるために強め磁束が行われる点が実施の形態1と異なる。
実施の形態1及び2では、図7及び図8に示したように、平均電圧利用率が50%以上の場合に、一方の組の電圧利用率を100%に増加させ、母線交流成分の実効値を低下させていた。一方、平均電圧利用率が50%未満の場合は、他方の組の電圧利用率を負に設定できないので、一方の組の電圧利用率を100%まで増加させることができなかった。ロータの磁束を強めるように電流指令値を補正すれば、トルクを変化させずに電圧利用率を増加させることができる。よって、平均電圧利用率が50%未満の場合でも、一方の組の電圧利用率を100%まで増加させることができる。
そこで、本実施の形態では、分配部31は、電流補正値による補正を行わない場合の平均電圧利用率が閾値Mth未満である場合は、電流補正値による補正を行う場合の平均電圧利用率が閾値Mth以上になるような、ロータの磁束を強める電流補正値を算出する。そして、分配部31は、利用率比率R12を1対1から変化させる、電流補正値により補正された第1組の電流指令値及び第2組の電流指令値を算出する。一方、分配部31は、電流補正値による補正を行わない場合の平均電圧利用率が閾値Mth以上である場合は、実施の形態1と同様に、利用率比率R12を1対1から変化させる、電流補正値により補正されていない第1組の電流指令値及び第2組の電流指令値を算出する。
この構成によれば、電流補正を行わない場合の平均電圧利用率が閾値Mth未満の場合でも、ロータの磁束を強める電流補正により平均電圧利用率を閾値Mth以上に増加させ、一方の組の電圧利用率を、電流補正を行わない場合よりも増加させることができ、母線交流成分の実効値を低下させることができる。
<フローチャート>
図10のフローチャートを参照して、本実施の形態に係る分配部31の詳細処理を説明する。ステップS11で、実施の形態1のステップS01と同様に、分配部31は、利用率比率R12を1対1に設定し、d軸の電流補正値ΔIdによる補正が行われないと仮定した場合に設定される第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0、及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0を設定する。
ステップS12で、実施の形態1のステップS02と同様に、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0に対応する第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率の基準状態の平均電圧利用率Mave0を算出する。
ステップS13で、実施の形態1のステップS03と同様に、分配部31は、d軸の電流補正値ΔIdによる補正が行われない基準状態の平均電圧利用率Mave0が閾値Mth以上であるか否かを判定し、閾値Mth以上である場合は、ステップS14に進み、閾値Mth未満である場合は、ステップS17に進む。本実施の形態では、閾値Mthは、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率(本例では、100%)の50%に設定されている。
ステップS14で、実施の形態1のステップS04と同様に、分配部31は、第1組の電圧利用率M1が、第2組の電圧利用率M2よりも高くなるように、基準状態の平均電圧利用率Mave0に基づいて、第1組の目標電圧利用率MoHを設定する。本実施の形態では、分配部31は、第1組の目標電圧利用率MoHを、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率(本例では、100%)に設定する。
ステップS15で、実施の形態1のステップS05と同様に、分配部31は、第1組の目標電圧利用率MoH及びロータの回転角速度ωに基づいて、第1組の印加電圧の電圧利用率M1が第1組の目標電圧利用率MoHに一致するように、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oを算出する。
ステップS16で、実施の形態1のステップS06と同様に、分配部31は、第1組のトルクと第2組のトルクとの合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに基づいて、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oを算出する。
一方、ステップS17で、分配部31は、d軸の電流補正値ΔIdによる補正を行う場合の平均電圧利用率Mavecrが閾値Mth以上になるような、ロータの磁束を強めるd軸の電流補正値ΔIdを算出する。例えば、分配部31は、次式に示すように、第1組のd軸の電流指令値の基準値Id1o0にd軸の電流補正値ΔIdを加算した電流補正後のd軸の電流指令値の基準値Id1o0+ΔId、及び第1組のq軸の電流指令値の基準値Iq1o0に基づいて算出される電流補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crが、閾値Mthに一致するような、d軸の電流補正値ΔIdを算出する。例えば、反復計算により、式(17)を満たすd軸の電流補正値ΔIdが探索される。或いは、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0、回転角速度ω、直流電圧Vdcを引数とする代数方程式又はマップデータを用いて、d軸の電流補正値ΔIdが算出されてもよい。d軸の電流補正値ΔIdは、正の値になる。d軸の電流補正値ΔIdは、上限値により、上限制限される。なお、第1組の基準値の代わりに第2組の基準値が用いられてもよい。
Figure 0007378662000017
反復計算を行う場合の例を図11のフローチャートを参照して説明する。ステップS171で、分配部31は、d軸の電流補正値ΔIdの初期値(本例では、0)を設定する。そして、ステップS172で、分配部31は、現在のd軸の電流補正値ΔIdを、第1組のd軸の電流指令値の基準値Id1o0に加算して、電流補正後のd軸の電流指令値の基準値Id1o0+ΔIdを算出する。
そして、ステップS173で、分配部31は、式(17)を用い、電流補正後のd軸の電流指令値の基準値Id1o0+ΔId、及び第1組のq軸の電流指令値の基準値Iq1o0に基づいて、電流補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crを算出する。
ステップS174で、分配部31は、電流補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crが、閾値Mthに、十分近づいたか否かを判定し(例えば、偏差の絶対値が判定値以下になったか否かを判定する)、十分に近づいたと判定した場合は、ステップS175に進み、十分に近づいていないと判定した場合は、ステップS176に進む。ステップS176で、分配部31は、電流補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crが、閾値Mthに近づくように、d軸の電流補正値ΔIdを変化させた後、ステップS172に戻り、反復計算を継続する。一方、ステップS175で、分配部31は、現在のd軸の電流補正値ΔIdを、最終的なd軸の電流補正値ΔIdとして設定し、反復計算を終了する。
図10に戻り、ステップS18で、分配部31は、第1組の電圧利用率M1が、第2組の電圧利用率M2よりも高くなるように、基準状態の平均電圧利用率Mave0に基づいて、第1組の目標電圧利用率MoHを設定する。本実施の形態では、分配部31は、第1組の目標電圧利用率MoHを、閾値Mthの2倍値(本例では、100%)に設定する。
ステップS19で、分配部31は、第1組の目標電圧利用率MoH及びロータの回転角速度ωに基づいて、電流補正後の第1組の印加電圧の電圧利用率M1crが第1組の目標電圧利用率MoHに一致するように、d軸の電流補正値ΔIdにより補正された第1組のdq軸の電流指令値Id1o+ΔId、Iq1oを算出する。本実施の形態では、基準状態でId=0制御が行われるので、基準状態の第1組のd軸の電流指令値Id1oは0になる。
Figure 0007378662000018
式導出は省略するが、式(18)をIq1oについて整理すると、式(9)と同様に、Iq1oの2次関数が得られ、各次数の係数a、b、cの算出式が得られる。そして、実施の形態1と同様に、分配部31は、各次数の係数a、b、cの算出式及び式(10)を用い、第1組の目標電圧利用率MoH、d軸の電流補正値ΔId、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、電流補正後の第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出する。そして、分配部31は、d軸の電流補正値ΔIdを、電流補正後の第1組のd軸の電流指令値Id1oとして算出する。
なお、回転機1が突極機であり、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御が行われる場合は、式(18)の第1組のd軸の電流指令値Id1oに、式(11)又は式(12)を代入し、Iq1oについて整理すると、同様に、Iq1oの2次関数が得られ、各次数の係数a、b、cの算出式が得られる。そして、分配部31は、各次数の係数a、b、cの算出式及び式(10)を用い、第1組の目標電圧利用率MoH、d軸の電流補正値ΔId、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、電流補正後の第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出する。そして、分配部31は、式(11)又は式(12)を用い、算出した電流補正後の第1組のq軸の電流指令値Iq1oに基づいて、第1組のd軸の電流指令値Id1oを算出し、第1組のd軸の電流指令値Id1oにd軸の電流補正値ΔIdを加算して、電流補正後の第1組のd軸の電流指令値Id1o+ΔIdを算出する。
或いは、実施の形態1と同様に、次式に示すように、分配部31は、目標電圧利用率MoH、d軸の電流補正値ΔId、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcと、第1組のq軸の電流指令値Iq1oとの関係が予め設定されたq軸電流設定マップデータMAPiqを参照し、実際の目標電圧利用率MoH、d軸の電流補正値ΔId、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに対応する電流補正後の第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出してもよい。分配部31は目標電圧利用率MoH、d軸の電流補正値ΔId、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcと、第1組のd軸の電流指令値Id1oとの関係が予め設定されたd軸電流設定マップデータMAPidを参照し、実際の目標電圧利用率MoH、d軸の電流補正値ΔId、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに対応する電流補正後の第1組のd軸の電流指令値Id1o+ΔIdを算出してもよい。
Figure 0007378662000019
ステップS20で、分配部31は、第1組のトルクと第2組のトルクとの合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、電流補正後の第1組のdq軸の電流指令値Id1o+ΔId、Iq1oに基づいて、電流補正後の第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oを算出する。
本実施の形態では、Id=0制御が行われるので、次式に示すように、分配部31は、合計のq軸の電流指令値の基準値Iqallo0から、電流補正後の第1組のq軸の電流指令値Iq1oを減算して、電流補正後の第2組のq軸の電流指令値Iq2oを設定する。また、分配部31は、d軸の電流補正値ΔIdを、電流補正後の第2組のd軸の電流指令値Id2o+ΔIdとして算出する。
Figure 0007378662000020
なお、回転機1が突極機であり、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御が行われる場合は、電流補正後の第2組のd軸の電流指令値Id2o+ΔIdが、電流補正を行わない場合よりもd軸の電流補正値ΔIdだけ増加し、且つ、合計のトルクが合計のトルク指令値Talloに一致するように、電流補正後の第2組のdq軸の電流指令値Id2o+ΔId、Iq2oが算出される。
なお、第2組の電圧利用率は低下される側であるので、第2組のd軸の電流指令値Id2oは、d軸の電流補正値ΔIdにより補正されなくてもよい。この場合は、実施の形態1のステップS06と同様の方法で、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oが算出される。
電流補正前の平均電圧利用率が低い領域で、平均電圧利用率を増加させようとすると、d軸の電流補正値ΔIdが大きくなりすぎるので、電流補正前の平均電圧利用率が、所定値(例えば、20%)以下の領域では、電流補正が行われず、利用率比率R12が1対1に設定されるように構成されてもよい。
4.実施の形態4
実施の形態4に係る回転機の制御装置30について図面を参照して説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転機1及び回転機の制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、ロータを界磁する界磁巻線20が設けられており、制御装置30は、界磁巻線20に電圧を印加する界磁巻線制御部42を備えている。図12及び図13に、回転機1及び制御装置30の概略構成図を示す。界磁巻線制御部42は、第1組の制御器30aに備えられている。或いは、界磁巻線制御部42は、第2組の制御器30b又は第3の制御器に備えられてもよい。界磁巻線20は、ロータ以外、例えば、ステータ、又はロータの近傍に設けられてもよい。
コンバータ21は、スイッチング素子を有し、直流電源5と界磁巻線20との間で電力変換を行う。本実施の形態では、コンバータ21は、直流電源5の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子SPと直流電源5の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子SNとが直列接続された直列回路を2つ設けたHブリッジ回路とされている。なお、コンバータ21は、電力変換を行うことができる任意のスイッチング素子の回路構成とされてもよい。界磁巻線20に流れる電流を検出する電流センサ22が設けられており、電流センサ22の出力信号が、制御装置30に入力される。
界磁巻線制御部42は、合計のトルク指令値等に基づいて、界磁電流指令値を算出し、界磁巻線電流の検出値が界磁電流指令値に近づくように、界磁電圧指令値を変化させる。そして、界磁巻線制御部42は、界磁電圧指令値に基づいて、PWM制御によりコンバータ21の複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。
5.実施の形態5
実施の形態5に係る回転機の制御装置30について図面を参照して説明する。上記の実施の形態4と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転機1及び回転機の制御装置30の基本的な構成は実施の形態4と同様であり、ロータには界磁巻線20が設けられており、制御装置30には、界磁巻線制御部42が設けられている。しかし、本実施の形態では、電圧利用率を増加させるために界磁巻線20の界磁が強められる点が実施の形態4と異なる。
そこで、本実施の形態では、分配部31は、界磁巻線補正値による補正を行わない場合の平均電圧利用率が閾値Mth未満である場合は、界磁巻線補正値による補正を行う場合の平均電圧利用率が閾値Mth以上になるような、ロータの界磁を強める界磁巻線補正値を算出する。そして、分配部31は、界磁巻線補正値により界磁電圧指令値を補正し、利用率比率R12を1対1から変化させる利用率設定指令を算出する。一方、分配部31は、界磁巻線補正値による補正を行わない場合の平均電圧利用率が閾値Mth以上である場合は、実施の形態4と同様に、界磁巻線補正値による界磁電圧指令値の補正を行わず、利用率比率を1対1から変化させる利用率設定指令を算出する。
この構成によれば、電流補正を行わない場合の平均電圧利用率が閾値Mth未満の場合でも、ロータの界磁を強める界磁巻線補正により平均電圧利用率を閾値Mth以上に増加させ、一方の組の電圧利用率を、界磁巻線補正を行わない場合よりも増加させることができ、母線交流成分の実効値を低下させることができる。
<フローチャート>
図14のフローチャートを参照して、本実施の形態に係る分配部31の詳細処理を説明する。ステップS31で、実施の形態1のステップS01と同様に、分配部31は、利用率比率R12を1対1に設定し、界磁電流補正値ΔIfによる補正が行われないと仮定した場合に設定される第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0、及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0を設定する。
ステップS32で、実施の形態1のステップS02と同様に、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0に対応する第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率の基準状態の平均電圧利用率Mave0を算出する。
ステップS33で、実施の形態1のステップS03と同様に、分配部31は、界磁電流補正値ΔIfによる補正が行われない基準状態の平均電圧利用率Mave0が閾値Mth以上であるか否かを判定し、閾値Mth以上である場合は、ステップS34に進み、閾値Mth未満である場合は、ステップS37に進む。本実施の形態では、閾値Mthは、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率(本例では、100%)の50%に設定されている。
ステップS34からステップS36は、実施の形態1のステップS04からステップS06と同様であるので、説明を省略する。ただし、ロータの磁束Ψaが、界磁巻線電流Ifに応じて変化する。
ステップS37で、分配部31は、界磁電流補正値ΔIfによる補正を行う場合の平均電圧利用率Mavecrが閾値Mth以上になるような、ロータの界磁を強める界磁電流補正値ΔIfを算出する。例えば、分配部31は、次式に示すように、界磁電流補正値ΔIfを加算した界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、及び第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0に基づいて算出される界磁巻線補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crが、閾値Mthに一致するような、界磁電流補正値ΔIfを算出する。界磁電流指令値Ifoは、合計のトルク指令値等に基づいて算出される基準値である。例えば、反復計算により、式(21)を満たす界磁電流補正値ΔIfが探索される。ここで、ロータの磁束Ψaは、界磁巻線電流の関数になっている。或いは、界磁電流指令値Ifo、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0、回転角速度ω、直流電圧Vdcを引数とする代数方程式又はマップデータを用いて、界磁電流補正値ΔIfが算出されてもよい。界磁電流補正値ΔIfは、正の値になる。界磁電流補正値ΔIfは、上限値により、上限制限される。
Figure 0007378662000021
反復計算を行う場合の例を図15のフローチャートを参照して説明する。ステップS371で、分配部31は、界磁電流補正値ΔIfの初期値(本例では、0)を設定する。そして、ステップS372で、分配部31は、現在の界磁電流補正値ΔIfを、界磁電流指令値Ifoに加算して、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIfを算出する。
そして、ステップS373で、分配部31は、式(21)を用い、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、及び第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0に基づいて、界磁巻線補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crを算出する。
ステップS374で、分配部31は、界磁巻線補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crが、閾値Mthに、十分近づいたか否かを判定し(例えば、偏差の絶対値が判定値以下になったか否かを判定する)、十分に近づいたと判定した場合は、ステップS375に進み、十分に近づいていないと判定した場合は、ステップS376に進む。ステップS376で、分配部31は、界磁巻線補正後の第1組の電圧利用率の基準値M10crが、閾値Mthに近づくように、界磁電流補正値ΔIfを変化させた後、ステップS372に戻り、反復計算を継続する。一方、ステップS375で、分配部31は、現在の界磁電流補正値ΔIfを、最終的な界磁電流補正値ΔIfとして設定し、反復計算を終了する。なお、界磁巻線制御部42は、界磁電流補正値ΔIfの加算後の界磁電流指令値Ifo+ΔIfに、界磁巻線電流の検出値が近づくように、界磁電圧指令値を変化させる。
図14に戻り、ステップS38で、分配部31は、第1組の電圧利用率M1が、第2組の電圧利用率M2よりも高くなるように、基準状態の平均電圧利用率Mave0に基づいて、第1組の目標電圧利用率MoHを設定する。本実施の形態では、分配部31は、第1組の目標電圧利用率MoHを、閾値Mthの2倍値(本例では、100%)に設定する。
ステップS39で、分配部31は、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、第1組の目標電圧利用率MoH及びロータの回転角速度ωに基づいて、電流補正後の第1組の印加電圧の電圧利用率M1crが第1組の目標電圧利用率MoHに一致するように、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oを算出する。
Figure 0007378662000022
式導出は省略するが、式(22)をIq1oについて整理すると、式(9)と同様に、Iq1oの2次関数が得られ、各次数の係数a、b、cの算出式が得られる。そして、実施の形態1と同様に、分配部31は、各次数の係数a、b、cの算出式及び式(10)を用い、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、第1組の目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出する。分配部31は、第1組のd軸の電流指令値Id1oを0に設定する。
なお、回転機1が突極機であり、最大トルク電流制御又は弱め磁束制御が行われる場合は、式(22)の第1組のd軸の電流指令値Id1oに、式(11)又は式(12)を代入し、Iq1oについて整理すると、同様に、Iq1oの2次関数が得られ、各次数の係数a、b、cの算出式が得られる。そして、分配部31は、各次数の係数a、b、cの算出式及び式(10)を用い、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、第1組の目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出する。そして、分配部31は、式(11)又は式(12)を用いて、第1組のd軸の電流指令値Id1oを算出する。
或いは、実施の形態1と同様に、次式に示すように、分配部31は、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcと、第1組のq軸の電流指令値Iq1oとの関係が予め設定されたq軸電流設定マップデータMAPiqを参照し、実際の界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに対応する電流補正後の第1組のq軸の電流指令値Iq1oを算出してもよい。分配部31は、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcと、第1組のd軸の電流指令値Id1oとの関係が予め設定されたd軸電流設定マップデータMAPidを参照し、実際の界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、目標電圧利用率MoH、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに対応する第1組のd軸の電流指令値Id1oを算出してもよい。
Figure 0007378662000023
ステップS40で、分配部31は、第1組のトルクと第2組のトルクとの合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIf、及び第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに基づいて、電流補正後の第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oを算出する。界磁巻線補正後の界磁電流指令値Ifo+ΔIfに基づくロータの磁束Ψaの算出以外は、実施の形態1のステップS06と同様であるので、説明を省略する。
界磁巻線補正前の平均電圧利用率が低い領域で、平均電圧利用率を増加させようとすると、界磁電流補正値ΔIfが大きくなりすぎるので、界磁巻線補正前の平均電圧利用率が、所定値(例えば、20%)以下の領域では、界磁巻線補正が行われず、利用率比率R12が1対1に設定されるように構成されてもよい。
実施の形態3のd軸の電流補正値ΔIdによる強め磁束と、本実施の形態の界磁電流補正値ΔIfによる強め界磁が同時に行われてもよい。この場合は、d軸の電流補正値ΔIdによる平均電圧利用率の増加と、界磁電流補正値ΔIfによる平均電圧利用率の増加とが適切に分担されるとよい。
6.実施の形態6
実施の形態6に係る回転機の制御装置30について図面を参照して説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転機1及び回転機の制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、第1組及び第2組の搬送波の位相の設定、及び閾値Mthの設定が実施の形態1と異なる。
<第1組のPWM制御>
実施の形態1と同様に、第1組スイッチング制御部36は、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oのそれぞれと第1組の搬送波CA1とを比較し、比較結果に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフする。実施の形態1と異なり、図16に示すように、第1組の3相の電圧指令値Vu1o、Vv1o、Vw1oの内、電流絶対値が最大となる1相(本例では、U1相)のスイッチングを停止し、特定の相(本例では、U1相及びV1相)の電圧指令値と比較される第1組の搬送波CA1a(第1組の第1の搬送波CA1aと称す)と、特定の相以外の相(本例では、W1相)の電圧指令値と比較される第1組の搬送波CA1b(第1組の第2の搬送波CA1bと称す)とは、互いに逆位相である。第1組の第1及び第2の搬送波CA1a、CA1bは、互いに逆位相で、PWM周期Tcで0を中心に直流電圧の半分値Vdc1/2の振幅で振動する三角波とされている。三角波以外に鋸波等の任意の波形が用いられてもよい。
第1組スイッチング制御部36は、特定の相であるV1相について、第1組の第1の搬送波CA1aが電圧指令値を下回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GP1をオンし、第1組の第1の搬送波CA1aが電圧指令値を上回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GP1をオフする。一方、第1組スイッチング制御部36は、U1相及びV1相のそれぞれについて、第1組の第1の搬送波CA1aが電圧指令値を下回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GN1をオフし、第1組の第1の搬送波CA1aが電圧指令値を上回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GN1をオンする。
第1組スイッチング制御部36は、特定の相以外の相であるW1相について、第1組の第2の搬送波CA1bが電圧指令値を下回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GP1をオンし、第1組の第2の搬送波CA1bが電圧指令値を上回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GP1をオフする。一方、第1組スイッチング制御部36は、W1相について、第1組の第2の搬送波CA1bが電圧指令値を下回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GN1をオフし、第1組の第2の搬送波CA1bが電圧指令値を上回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号GN1をオンする。ここでは、Vu1o>Vv1o>Vw1oとなる電流位相の場合について述べたが、電流位相に応じて公知の特許文献3の方法でスイッチング状態を制御すればよい。
<第2組のPWM制御>
実施の形態1と同様に、第2組スイッチング制御部41は、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oのそれぞれと第2組の搬送波CA2とを比較し、比較結果に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフする。実施の形態1と異なり、第2組の3相の電圧指令値Vu2o、Vv2o、Vw2oの内、電流絶対値が最大となる1相(本例では、U2相)のスイッチングを停止し、特定の相(本例では、U2相及びV2相)の電圧指令値と比較される第2組の搬送波CA2b(第2組の第1の搬送波CA2aと称す)と、特定の相以外の相(本例では、W2相)の電圧指令値と比較される第2組の搬送波CA2b(第2組の第2の搬送波CA2bと称す)とは、互いに逆位相であり。第2組の第1及び第2の搬送波CA2a、CA2bは、互いに逆位相で、PWM周期Tcで0を中心に直流電圧の半分値Vdc2/2の振幅で振動する三角波とされている。第2組スイッチング制御部41の処理は、第1組スイッチング制御部36の処理と同様であるので、説明を省略する。
<利用率比率R12の変化>
図17の上段グラフに、利用率比率R12を1対1に設定する場合の、平均電圧利用率Maveの変化に対する母線交流成分の実効値の変化の特性を破線で示す。また、図17の下段グラフに、この場合の平均電圧利用率Maveに対する、各組の電圧利用率を破線で示す。平均電圧利用率Maveが30%付近である場合に、母線交流成分の実効値が1番目に大きい極大になっており、平均電圧利用率Maveが70%付近である場合に、母線交流成分の実効値が2番目に大きい極大になっている。平均電圧利用率Maveが60%付近である場合に、母線交流成分の実効値が極小になっている。Mave=100%又は0%の場合に、母線交流成分の実効値が最小になっている。これは、本実施の形態では、各組について、特定の2相の搬送波と非特定の1相の搬送波とが互いに逆位相に設定されているためである。
実施の形態1と同様に、分配部31は、第1組の電圧利用率と第2組の電圧利用率との平均電圧利用率が閾値Mth以上である場合に、利用率比率R12を1対1から変化させる利用率設定指令を算出し、平均電圧利用率が閾値Mth未満である場合に、利用率比率が1対1になる利用率設定指令を算出する。
閾値Mthは、利用率比率R12を1対1に設定する条件で、平均電圧利用率Maveの変化に対して、母線交流成分の実効値の変化が極大になる平均電圧利用率に対応して設定されている(本例では、30%)。例えば、閾値Mthは、極大になる平均電圧利用率の+10%から-10%の範囲内に設定されればよい。
<フローチャート>
図18のフローチャートを参照して、本実施の形態に係る分配部31の詳細処理を説明する。ステップS51で、実施の形態1のステップS01と同様に、分配部31は、利用率比率R12を1対1に設定し、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0、及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0を設定する。
ステップS52で、実施の形態1のステップS02と同様に、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0及び第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0に対応する第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率の基準状態の平均電圧利用率Mave0を算出する。
ステップS53で、実施の形態1のステップS03と同様に、分配部31は、基準状態の平均電圧利用率Mave0が閾値Mth(本例では、30%)以上であるか否かを判定し、閾値Mth以上である場合は、ステップS54に進み、閾値Mth未満である場合は、ステップS57に進む。
ステップS54で、実施の形態1のステップS04と同様に、分配部31は、第1組の電圧利用率M1が、第2組の電圧利用率M2よりも高くなるように、基準状態の平均電圧利用率Mave0に基づいて、第1組の目標電圧利用率MoHを設定する。本実施の形態では、図17の下段グラフに示すように、分配部31は、基準状態の平均電圧利用率Mave0が閾値Mth(本例では、30%)以上、最大電圧利用率(本例では100%)の50%未満である場合(30%≦Mave0<50%)は、第1組の目標電圧利用率MoHを、利用率比率R12を1対1に設定する条件で平均電圧利用率Maveの変化に対して母線交流成分の実効値の変化が極小になる平均電圧利用率に対応して設定する(本例では、60%)。例えば、第1組の目標電圧利用率MoHは、極小になる平均電圧利用率の+10%から-10%の範囲内に設定されればよい。分配部31は、基準状態の平均電圧利用率Mave0が最大電圧利用率(本例では100%)の50%以上である場合(50%≦Mave0)は、第1組の目標電圧利用率MoHを、最大電圧利用率(本例では100%)に設定する。
ステップS55で、実施の形態1のステップS05と同様に、分配部31は、第1組の目標電圧利用率MoH及びロータの回転角速度ωに基づいて、第1組の印加電圧の電圧利用率M1が第1組の目標電圧利用率MoHに一致するように、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oを算出する。
ステップS56で、実施の形態1のステップS06と同様に、分配部31は、第1組のトルクと第2組のトルクとの合計トルクが、合計のトルク指令値に一致するように、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに基づいて、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oを算出する。
一方、ステップS57で、実施の形態1のステップS07と同様に、分配部31は、利用率比率R12が1対1になる各組のdq軸の電流指令値を算出する。式(16)に示したように、分配部31は、第1組のdq軸の電流指令値の基準値Id1o0、Iq1o0を、第1組のdq軸の電流指令値Id1o、Iq1oに設定し、第2組のdq軸の電流指令値の基準値Id2o0、Iq2o0を、第2組のdq軸の電流指令値Id2o、Iq2oに設定する。
図17の上段グラフに、第1組の目標電圧利用率MoHを60%又は100%に設定する場合の母線交流成分の実効値を実線で示し、図17の下段グラフに、この場合の平均電圧利用率Maveに対する、各組の電圧利用率を実線で示す。特定の2相の搬送波と非特定の1相の搬送波とが互いに逆位相に設定される場合において、母線交流成分の実効値が極大になる30%以上の平均電圧利用率Maveの領域で、利用率比率R12を1対1から変化させることにより、利用率比率R12が1対1である場合よりも、母線交流成分の実効値を低下させることができる。平均電圧利用率Maveが50%未満の場合は、第1組の目標電圧利用率MoHを、母線交流成分の実効値が最小になる100%まで増加させることができないので、第1組の目標電圧利用率MoHを、母線交流成分の実効値が極小になる60%に設定することで、第1組により生じる母線交流成分の実効値を低減することができる。また、平均電圧利用率Maveが50%以上の場合は、第1組の目標電圧利用率MoHを、母線交流成分の実効値が最小になる100%まで増加させて、第1組により生じる母線交流成分の実効値を最小化することができる。よって、利用率比率R12を1対1に設定する場合よりも、合計の母線交流成分の実効値を大幅に低減することができる。
なお、図19に示すように、分配部31は、平均電圧利用率Maveの各動作点で、母線交流成分の実効値が最小になるように、第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率を変化させる第1組の目標電圧利用率MoHを設定してもよい。全体の母線交流成分の実効値が最小になるような、平均電圧利用率Maveと第1組の目標電圧利用率MoHとの関係が数値演算又は実験により予め決定され、図19の下段グラフのような目標利用率設定マップデータが予め設定される。この場合は、図19に示すように、平均電圧利用率Maveが30%未満の領域でも、利用率比率R12が1対1から変化されてもよい。
図9に示したように第1組の電機子巻線の位置に対する第2組の電機子巻線の位置の位相差が、30度に設定されている場合において、図20に母線交流成分の実効値が最小になる各組の電圧利用率の設定値、及び母線交流成分の実効値を実線で示す。なお、比較のために、利用率比率R12を1対1に設定する場合の、母線交流成分の実効値及び各組の電圧利用率を破線で示している。逆位相の搬送波が用いられ、位相差が0度以外であっても、利用率比率R12を1対1から変化させることにより、母線交流成分の実効値を低下させることができる。
7.その他の実施の形態
(1)上記の各実施の形態では、回転機の用途を特定してなかった。例えば、回転機1は、電動パワーステアリング装置100の駆動力源として用いられてもよい。図21に示すように、電動パワーステアリング装置100は、回転機1、回転機の制御装置30、2組のインバータ6a、6bと、回転機1の駆動力を車両の操舵装置102に伝達する駆動力伝達機構101と、を備えている。
回転機1のロータの回転軸は、駆動力伝達機構101を介して車輪103の操舵装置102に連結される。例えば、電動パワーステアリング装置100は、運転者が左右に回転するハンドル104と、ハンドル104に連結されて、ハンドル104による操舵トルクを車輪103の操舵装置102に伝達するシャフト105と、シャフト105に取り付けられ、ハンドル104による操舵トルクTsを検出するトルクセンサ106と、回転機1の回転軸をシャフト105に連結するウォームギヤ機構等の駆動力伝達機構101と、を備えている。トルクセンサ106の出力信号は、制御装置30(入力回路92)に入力される。制御装置30(例えば、分配部31)は、トルクセンサ106の出力信号に基づいて検出した操舵トルクTsに基づいて、合計のトルク指令値、又は合計のq軸の電流指令値を算出する。
或いは、回転機1は、電動パワーステアリング装置100以外の各種の装置の駆動力源とされてもよい。例えば、回転機1は、車両の車輪の駆動力源、エレベータの駆動力源、航空機の駆動力源等とされてもよい。
(2)上記の各実施の形態では、第1組及び第2組の3相の電機子巻線が設けられていた。しかし、第1組及び第2組の3相以外の複数相(例えば、2相、4相)の電機子巻線が設けられてもよい。
(3)上記の各実施の形態では、振幅低減変調が行われ、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率は、100%である場合を例に説明した。しかし、振幅低減変調が行われず、最大電圧利用率が86.6%であってもよい。或いは、最大電圧利用率が、100%から110%までの間に設定され、過変調が行われてもよい。
(4)上記の各実施の形態では、分配部31は、利用率設定指令として、第1組の電流指令値、及び第2組の電流指令値を算出していた。しかし、分配部31は、利用率設定指令として、第1組の電圧利用率及び第2組の電圧利用率の設定に関わる任意のパラメータを算出してもよい。例えば、分配部31は、利用率設定指令として、第1組のdq軸の圧指令値の補正値、及び第2組のdq軸の電圧指令値の補正値を算出し、各組のdq軸の電圧指令値を補正するように構成されてもよい。
(5)上記の各実施の形態では、分配部31は、平均電圧利用率が所定の範囲である場合に、利用率比率R12を1対1から変化させていた。しかし、回転角速度ω等の回転機1の運転状態が所定の範囲にある場合に、平滑コンデンサ5の発熱等が問題になり、母線交流成分の実効値を低減させたい場合がある。よって、分配部31は、回転角速度ω等の回転機1の運転状態が所定の範囲である場合に、利用率比率R12を1対1から変化させてもよい。また、分配部31は、一方の組の電圧利用率を、最大電圧利用率(100%)まで変化させなくてもよく、一方の組の電圧利用率を、母線交流成分の実効値が許容値以下になる最大電圧利用率未満の電圧利用率に変化させてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 回転機、5 直流電源、6a 第1組のインバータ、6b 第2組のインバータ、7 母線、20 界磁巻線、30 回転機の制御装置、31 分配部、35 第1組電圧指令算出部、36 第1組スイッチング制御部、40 第2組電圧指令算出部、41 第2組スイッチング制御部、42 界磁巻線制御部、MoH 目標電圧利用率、Mth 閾値、R12 利用率比率

Claims (17)

  1. 2組の複数相の電機子巻線を有する回転機を、同一の直流電源に接続された2組のインバータを介して制御する回転機の制御装置であって、
    前記直流電源の電源電圧に対する第1組の複数相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅の比率である第1組の電圧利用率、及び前記電源電圧に対する第2組の複数相の電機子巻線の印加電圧の線間電圧の基本波成分の振幅の比率である第2組の電圧利用率の設定に関わる利用率設定指令を算出する分配部と、
    前記利用率設定指令に基づいて、第1組の複数相の電圧指令値を算出する第1組電圧指令算出部と、
    前記利用率設定指令に基づいて、第2組の複数相の電圧指令値を算出する第2組電圧指令算出部と、
    前記第1組の複数相の電圧指令値に基づいて、第1組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフして、前記第1組の複数相の電機子巻線に電圧を印加する第1組スイッチング制御部と、
    前記第2組の複数相の電圧指令値に基づいて、第2組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフして、前記第2組の複数相の電機子巻線に電圧を印加する第2組スイッチング制御部と、を備え、
    前記分配部は、前記直流電源と前記2組のインバータとを接続する母線を流れる母線電流に重畳している交流成分である母線交流成分の実効値が、前記第1組の電圧利用率と前記第2組の電圧利用率との間の利用率比率が1対1である場合よりも低下するように、前記利用率比率を1対1から変化させる前記利用率設定指令を算出する回転機の制御装置。
  2. 前記分配部は、前記利用率比率を1対1から変化させる場合に、前記母線交流成分の実効値が最小になるように、前記利用率比率を1対1から変化させる前記利用率設定指令を算出する請求項1に記載の回転機の制御装置。
  3. 前記分配部は、前記第1組の電圧利用率と前記第2組の電圧利用率との平均電圧利用率が閾値以上である場合に、前記利用率比率を1対1から変化させる前記利用率設定指令を算出し、
    前記平均電圧利用率が前記閾値未満である場合に、前記利用率比率が1対1になる前記利用率設定指令を算出する請求項1又は2に記載の回転機の制御装置。
  4. 前記閾値は、前記利用率比率を1対1に設定する条件で、前記平均電圧利用率の変化に対して、前記母線交流成分の実効値が極大になる前記平均電圧利用率に対応して設定されている請求項3に記載の回転機の制御装置。
  5. 前記閾値は、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率の50%に設定されている請求項3に記載の回転機の制御装置。
  6. 前記第1組スイッチング制御部は、前記第1組の複数相の電圧指令値のそれぞれと第1組の搬送波とを比較し、比較結果に基づいて、第1組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフし、前記第1組の複数相の電圧指令値のそれぞれと比較される前記第1組の搬送波は、同じ搬送波であり、
    前記第2組スイッチング制御部は、前記第2組の複数相の電圧指令値のそれぞれと第2組の搬送波とを比較し、比較結果に基づいて、第2組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフし、前記第2組の複数相の電圧指令値のそれぞれと比較される前記第2組の搬送波は、同じ搬送波であり、
    前記閾値は、50%に設定されている請求項3又は4に記載の回転機の制御装置。
  7. 前記第1組スイッチング制御部は、前記第1組の複数相の電圧指令値のそれぞれと第1組の搬送波とを比較し、比較結果に基づいて、第1組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフし、前記第1組の複数相の電圧指令値の内、特定の相の電圧指令値と比較される前記第1組の搬送波と、前記特定の相以外の相の電圧指令値と比較される前記第1組の搬送波とは、互いに逆位相であり、
    前記第2組スイッチング制御部は、前記第2組の複数相の電圧指令値のそれぞれと第2組の搬送波とを比較し、比較結果に基づいて、第2組の前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフし、前記第2組の複数相の電圧指令値の内、特定の相の電圧指令値と比較される前記第2組の搬送波と、前記特定の相以外の相の電圧指令値と比較される前記第2組の搬送波とは、互いに逆位相であり、
    前記閾値は、30%に設定されている請求項3又は4に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記分配部は、前記利用率比率を1対1から変化させる場合に、前記第1組の電圧利用率及び前記第2組の電圧利用率の一方の組の電圧利用率が、設定される電圧利用率の範囲の最大電圧利用率になるように、前記利用率設定指令を算出する請求項1から7のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
  9. 前記分配部は、前記利用率比率を1対1から変化させる場合に、前記第1組の複数相の電機子巻線の磁束による第1組のトルクと前記第2組の複数相の電機子巻線の磁束による第2組のトルクとの合計トルクが、目標の合計トルクに一致するように、前記利用率設定指令を算出する請求項1から8のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
  10. 前記分配部は、前記利用率設定指令として、前記第1組の複数相の電機子巻線についての第1組の電流指令値、及び前記第2組の複数相の電機子巻線についての第2組の電流指令値を算出し、前記利用率比率を1対1から変化させる場合に、前記利用率比率が1対1から変化するように、前記第1組の電流指令値及び前記第2組の電流指令値を算出し、
    前記第1組電圧指令算出部は、前記第1組の電流指令値に基づいて、前記第1組の複数相の電圧指令値を算出し、
    前記第2組電圧指令算出部は、前記第2組の電流指令値に基づいて、前記第2組の複数相の電圧指令値を算出する請求項1から9のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
  11. 前記分配部は、前記利用率比率を1対1から変化させる場合に、前記第1組の電圧利用率及び前記第2組の電圧利用率の一方の組の電圧利用率が、他方の組の電圧利用率よりも高くなるように、前記一方の組の目標電圧利用率を設定し、
    前記一方の組の目標電圧利用率及びロータの回転角速度に基づいて、前記一方の組の印加電圧の電圧利用率が前記一方の組の目標電圧利用率に一致するように、前記一方の組の電流指令値を算出し、
    前記第1組の複数相の電機子巻線の磁束による第1組のトルクと前記第2組の複数相の電機子巻線の磁束による第2組のトルクとの合計トルクが、目標の合計トルクに一致するように、前記一方の組の電流指令値に基づいて、前記他方の組の電流指令値を算出する請求項10に記載の回転機の制御装置。
  12. 前記分配部は、前記利用率比率を1対1に設定すると仮定した場合に設定される前記第1組の電流指令値の基準値及び前記第2組の電流指令値の基準値を設定し、
    前記第1組の電流指令値の基準値及び前記第2組の電流指令値の基準値に対応する前記第1組の電圧利用率及び前記第2組の電圧利用率の平均電圧利用率を算出し、
    前記利用率比率を1対1から変化させる場合に、前記平均電圧利用率に基づいて前記一方の組の目標電圧利用率を設定する請求項11に記載の回転機の制御装置。
  13. 前記分配部は、前記利用率比率を1対1に設定すると仮定した場合に設定される前記第1組の電流指令値の基準値及び前記第2組の電流指令値の基準値を設定し、
    前記第1組の電流指令値と前記第2組の電流指令値との合計が、前記第1組の電流指令値の基準値及び前記第2組の電流指令値の基準値の合計に一致するように、前記一方の組の電流指令値に基づいて、前記他方の組の電流指令値を算出する請求項11又は12に記載の回転機の制御装置。
  14. 前記分配部は、前記利用率比率を1対1から変化させる場合に、前記第1組の電流指令値及び前記第2組の電流指令値の一方の組の電流指令値を制限値で制限する制限処理を行い、制限により低下した前記一方の組のトルクの低下分だけ、他方の組のトルクが増加するように、前記他方の組の電流指令値を変化させる請求項10から13のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
  15. 前記分配部は、前記利用率設定指令として、前記第1組の複数相の電機子巻線についての第1組の電流指令値、及び前記第2組の複数相の電機子巻線についての第2組の電流指令値を算出し、
    前記第1組電圧指令算出部は、前記第1組の電流指令値に基づいて、前記第1組の複数相の電圧指令値を算出し、
    前記第2組電圧指令算出部は、前記第2組の電流指令値に基づいて、前記第2組の複数相の電圧指令値を算出し、
    前記分配部は、電流補正値による補正を行わない場合の前記第1組の電圧利用率と前記第2組の電圧利用率との平均電圧利用率が閾値未満である場合は、前記電流補正値による補正後の前記平均電圧利用率が前記閾値以上になるような、ロータの磁束を強める前記電流補正値を算出し、前記利用率比率を1対1から変化させる、前記電流補正値により補正された前記第1組の電流指令値及び前記第2組の電流指令値を算出し、
    前記電流補正値による補正を行わない場合の前記平均電圧利用率が前記閾値以上である場合は、前記利用率比率を1対1から変化させる、前記電流補正値により補正されていない前記第1組の電流指令値及び前記第2組の電流指令値を算出する請求項1から14のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
  16. 界磁電圧指令値に基づいて、スイッチング素子をオンオフして、ロータを界磁する界磁巻線に電圧を印加する界磁巻線制御部を備え、
    前記分配部は、界磁巻線補正値による補正を行わない場合の前記第1組の電圧利用率と前記第2組の電圧利用率との平均電圧利用率が閾値未満である場合は、前記界磁巻線補正値による補正後の前記平均電圧利用率が前記閾値以上になるような、ロータの界磁を強める前記界磁巻線補正値を算出し、前記界磁巻線補正値により前記界磁電圧指令値を補正し、前記利用率比率を1対1から変化させる前記利用率設定指令を算出し、
    前記界磁巻線補正値による補正を行わない場合の前記平均電圧利用率が前記閾値以上である場合は、前記界磁巻線補正値による前記界磁電圧指令値の補正を行わず、前記利用率比率を1対1から変化させる前記利用率設定指令を算出する請求項1から15のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
  17. 前記第1組スイッチング制御部と前記第2組スイッチング制御部との間で、同期をとらず、各組のスイッチング素子をオンオフする請求項1から16のいずれか一項に記載の回転機の制御装置。
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