以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<機械的構成:図1>
本発明の一実施形態に係る遊技機として、回胴式遊技機を例にとり説明する。図1は、本実施形態に係る回胴式遊技機の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係る回胴式遊技機は、遊技機本体として、図1に示すように、遊技に供する各種遊技部品を収納するための遊技機筐体1と、遊技機筐体1の前面側に開閉自在に取り付けられた前扉2とを備えている。前扉2には、そのほぼ中央に第1の表示窓3が、またその上側に第2の表示窓4が設けられている。
下側の第1の表示窓3は回胴視認部であり、回胴装置210の横並びに3個配設された回胴5a、5b、5c(以下、必要に応じて、回胴5aを「左回胴5a」、回胴5bを「中回胴5b」、回胴5cを「右回胴5c」と称する)が、この回胴視認部3に臨ませて、遊技者側から視認しうるように設けられている。本実施形態では、回胴視認部3を介して、各々3個程度(計9つ程度)の図柄が視認可能となっている。
回胴5a、5b、5cは、その外周に複数種類の図柄が表示された図柄配列帯を有しており、各回胴5a、5b、5cの停止時の図柄の組合せによって遊技結果が導出表示する回胴装置210(遊技結果表示手段)を構成している。また各回胴5a、5b、5cには、回胴視認部3に表示される各図柄を回胴の内側から照射する図柄照射用バックライトLED(バックライト手段)が形成されている。
<図柄配列帯200:図3>
図3は、各回胴5a、5b、5cが有する図柄配列帯200を例示したものである。図示の「1ST」図柄配列帯は左回胴5aに、「2ND」図柄配列帯は中回胴5bに、「3RD」図柄配列帯は右回胴5cに対応している。
図柄配列帯200には、当選役(内部抽選(役抽選)により決定される役)に対応する図柄の組合せを構成するための図柄(構成要素図柄)が表示されている。この実施形態の場合、図示のように、図柄種として、上弾、下弾、赤7、BAR、リプレイ、ベルA、ベルB、スイカA、スイカB、チェリーなどの複数種類の図柄が設けられている。これらの図柄が回胴の回転方向に計20コマ配置され、図柄の並び順に沿って図柄番号0番~19番のコマ番号が割り当てられている。
各回胴5a、5b、5cは、それぞれパルスモータからなる回胴駆動モータ211a、211b、211c(図4参照)により回転駆動され、各図柄の変動表示動作(変動表示および停止表示)が実現される。なお、回胴は、電気的駆動源により回転動作が制御されるような機械的な回胴に限らず、液晶表示装置などの画像表示装置に表示され、その画像表示により、図柄の変動表示動作を実行可能なものであってもよい。また、回胴数は適宜変更することができる。
回胴視認部3には、ここを斜めに横断する形で、入賞ライン3aが定められている。入賞ラインは、単位遊技(1ゲーム)に対する所定の賭数(ベット(BET)数)が設定されると有効として扱われる(本実施形態の場合、右下りラインの1ラインが有効となる)。この有効とされた入賞ライン(以下、「有効入賞ライン」と称する)上に、当選役に対応する図柄の組合せが停止した場合(図柄の組合せについて遊技価値を獲得するために必要な組合せとしてあらかじめ定められたものが遊技結果として導出表示された場合)、その図柄の組合せに応じた遊技価値が遊技者に付与されるようになっている。なお、入賞ラインを複数本設ける場合には、単位遊技(1ゲーム)に対するベット数に応じて有効として扱われるライン数を変化させることができる。また入賞ライン3aの本数やそのライン形態は適宜変更することができる。
また回胴視認部3の上側に設けられた第2の表示窓4は液晶画面視認部であり、前扉2の裏側に装着された画像表示装置としての液晶表示装置6(LCDユニット)の表示画面(液晶画面)6aが液晶画面視認部4に臨ませて、遊技者側から視認可能に配設されている。この液晶表示装置6は、演出を画像により表示する画像表示手段として働く。
回胴視認部3の下方の段部には、遊技者が操作可能な演出ボタンBT、遊技メダルを投入するためのメダル投入口7、クレジット手段にクレジットされた範囲内(最大クレジット枚数:たとえば、50枚)において、1ゲームに対して許容される賭数の上限値(最大ベット数:たとえば、3枚)まで遊技メダルを一度に疑似投入しうるMAXベットボタン8、押した回数に応じてベット数の上限値まで遊技メダルを加算的に疑似投入可能な1ベットボタン9、クレジット精算を行うためのクレジット精算ボタン10などが設けられている。またMAXベットボタン8の内部には、MAXベットボタン8の操作が許容状態であるか否かを報知するためのMAXベットLED39(図4参照)が内蔵されている。なお、「クレジット手段」とは、遊技機に投入された遊技メダル、または入賞によって獲得した遊技メダルを所定の上限数(最大クレジット枚数:たとえば、50枚)まで貯留して、その貯留数(クレジット枚数)を電磁的方法によって記憶可能とする機能部(貯留装置)を意味する。
また、演出ボタンBTの他、上下左右方向に入力操作可能な十字形の「方向キー」(不図示)が設けられている。演出ボタンBTや方向キーは、遊技者が操作可能な操作手段として機能し、たとえば、特定の予告演出における所定の操作有効受付期間(ボタン有効期間)中に操作入力の受付が有効化され、この有効期間中に所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされると、その操作の前後で演出に変化をもたらすことが可能となっている。また、これらの操作手段は、客待ち待機中などの所定の遊技期間において実行可能な「遊技設定画面(メニュー画面)」において、遊技者が好みの遊技設定を行う際にも利用される。この遊技設定では、たとえば、遊技者が所定の範囲内において、好みの音量調整や光量調整などの遊技環境の設定が可能となっている。なお、演出ボタンBTには、その内部にボタンLEDが設けられており、このLEDの発光態様の違いにより、操作受付有効期間(所定色で点灯または点滅)と、操作受付無効期間(たとえば、消灯中)とが報知可能となっている。
また回胴視認部3の上記段部の下側には、横長状に形成された操作パネル部14が設けられている。この操作パネル部14には、メダル投入口7内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン15、回胴5a、5b、5cの回転を開始させるための始動レバー11、各回胴5a、5b、5cの回転を個別に停止させるための3個の停止ボタン12a、12b、12c(左回胴停止ボタン12a、中回胴停止ボタン12b、右回胴停止ボタン12c)が設けられている。本明細書中では、特に必要のない限り、停止ボタン12a、12b、12cを「停止ボタン12」と略す。
また操作パネル部14の右側には、扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、前扉2が遊技機筐体1に対してロックされた状態(閉状態)において、キーシリンダに鍵を差し込んで一方側に操作すれば前扉2のロックが解除されて、前扉2の遊技機筐体1に対する開閉が可能となる。また、キーシリンダに差し込まれた鍵を他方側に操作することにより、打ち止め状態や所定のエラーによる遊技の中止状態が解除されるようになっている。
前扉2の裏面側のメダル投入口7に対応する位置には、メダル投入口7に投入された遊技メダルが正規か否かを選別して、正規の遊技メダルを遊技機内部のホッパーユニット500(図4参照)に導くメダルセレクタ(不図示)が設けられている。ホッパーユニット500は、遊技機内部から遊技メダルを排出するためのメダル排出機構を有する遊技メダル払出装置として働く。
上記メダルセレクタには、投入された遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a(遊技メダル通過検出センサ)と、投入された遊技メダルをホッパーユニット500側に誘導する受入通路側およびメダル受け皿18側に誘導する返却通路側のいずれかに切り換え可能なブロッカーソレノイド7c(図4参照)による通路切換機構が形成されている。
また回胴視認部3の下部側には、横長状に形成された遊技パネル77が設けられている。この遊技パネル77の内側には、遊技者に対し、現在の遊技進行具合・遊技状況を報知するための各種の表示部が配設されている。図2に、遊技パネル77における各種の表示部を示す。
図2を参照して、遊技パネル77には、
(a)遊技メダルの投入枚数(現在のベット数)を報知する「投入枚数表示部(投入枚数表示LED31、32、33)30」、
(b)クレジット枚数を表示する「クレジット枚数表示器(クレジット枚数表示部)34」、
(c)遊技結果(入賞)に応じて払い出される遊技メダルの枚数を報知可能であり、また、遊技機の動作状態(たとえば、エラー情報、後述の「安全装置」に関する作動情報)を報知可能な「払出枚数表示器(払出枚数表示部)35」、
(d)遊技メダルの投入が受付可能状態であるか否かを報知する「メダル投入表示LED(メダル投入表示部)36」、
(e)再遊技が作動中(再遊技中)であるか否かを報知する「再遊技作動LED(再遊技作動表示部)37」、
(f)始動レバー11の操作が有効(遊技開始可能状態(回胴始動可能状態))であるか否かを報知する「遊技開始表示LED(遊技開始表示部)38」、
などの表示部が設けられている。
クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35は、7セグメント表示器により現在のクレジット枚数情報や遊技結果に応じた払い出し枚数情報を報知可能に構成されている。また、投入枚数表示LED33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38などは、その内蔵LEDの発光態様(消灯・点灯(点滅)、発光色など)により、現在の投入枚数、遊技メダルの投入が受付可能か否か、再遊技が作動中であるか否かの遊技状況を報知可能に構成されている。詳細は後述するが、払出枚数表示器35は、アシスト情報を報知するための主報知手段として機能する。
また操作パネル部14の下方には、色彩や文字や絵柄が施された装飾パネル部17が設けられ、この装飾パネル部17の下方には、前扉2と一体的に装着された横長状のメダル受け皿18が設けられている。このメダル受け皿18の遊技機本体側には、ホッパーユニット500から払い出された遊技メダルや返却された遊技メダルを、メダル受け皿18側に排出するためのメダル払出口19が開口している。
また回胴視認部3の左右両側には、装飾ランプ13(光演出手段)が設けられている。この装飾ランプ13は、フルカラーLEDやELランプなどの発光手段を内蔵し、その発光態様(発光色や発光パターン)により、遊技に関する光演出効果を発揮する。また前扉2の前扉上部両側と前扉下部両側には、複数のスピーカ16(上部右スピーカ、上部左スピーカ、下部右スピーカ、下部左スピーカ)が設けられている。スピーカ16(音演出手段(音出力手段))は、遊技に関する音楽や効果音を出力して、遊技に関する音演出効果を発揮する。
本発明における演出手段については、視覚、聴覚、触覚など、人間の五感を刺激することにより演出効果を発揮可能な手段であれば良く、装飾ランプ13やLED、図柄照射用バックライトLEDなどの光発生手段、演出表示装置、スピーカ16などの音響発生装置、遊技者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、または可動体役物などはその代表例である。なお上記演出表示装置とは、画像表示装置と同じく、視覚に訴える表示装置を意味するが、画像によらないもの(たとえば、7セグメントによる表示装置)も含む点で画像表示装置とは異なる。液晶表示装置6は画像表示装置の代表例であるが、画像表示装置の場合は主として画像表示により演出を表現するタイプを指し、7セグメントの表示装置のように画像以外の表示により演出を表現するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<制御装置:図4>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置について説明する。図4は、遊技動作制御を行うための制御装置の構成の概要を示す制御ブロック図である。なお、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付してある。
本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置は、遊技動作制御全般を司る主制御基板400(以下、「主制御部400」と称する)と、主制御部400から演出制御コマンドを受けて、演出動作制御(演出手段に対する演出制御)全般を司る演出制御部410と、外部電源から遊技機に必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する不図示の電源基板(電源制御手段)とを中心に構成される。演出制御部410は、演出制御基板420と液晶制御基板460とを含んで構成され、液晶制御基板460には液晶表示装置6が接続されている。なお、図4において電源供給ルートは省略してある。
(主制御部400)
主制御部400は、CPU(CPU401c)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作を実現する制御プログラムや各種データを不揮発的に記憶するROM(ROM401a)と、作業データを揮発的に記憶するRAM(RAM401b)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
ROM401aは、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に要する各種データとして、たとえば、回胴の停止制御に要するデータを定めた「停止テーブル(図示せず)」、内部抽選に要するデータを定めた「役抽選テーブル(図5A、図5B)」、内部抽選結果に係る各種データを設定するための「当選情報設定テーブル(図23A、図23B)」、各種抽選に用いる「AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A~図28D)」、「AT抽選テーブル(図29A~図29C)」、「フリーズ演出抽選テーブル(図30)」、「上乗せ抽選テーブル(図31A、図31B)」などを含む、遊技動作制御に必要な種々のデータ群が格納(記憶)されている。
またRAM401bは、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、CPU401cが上記遊技動作制御プログラムを実行していく際に、遊技の進行に伴い生成される各種の遊技データが処理状態に応じて格納され利用される。RAM401bにはこれら遊技データを保存するための格納領域が設けられている(たとえば図24(A)、図35のワークエリア参照)。
また図示はしていないが、主制御部400は、各種デバイスの入出力を制御するためのI/Oポート回路、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込コントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路(乱数発生回路)なども備えている。
本実施形態では、CTCを利用して、CPU401cに1.5ms程度の時間間隔でタイマ割込み(図18)をかけている。またカウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタ(数値範囲:0~65535)として働く(ハード乱数生成手段)。CPU401cは、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を抽選用乱数値RNDとして取得し、その乱数値RNDを、所定の抽選(たとえば、内部抽選(役抽選))に利用する。またCPU401cは、特定のレジスタの数値を更新してソフトウェア処理によるソフト乱数を生成し取得する機能部(ソフト乱数生成手段)を備える。なお、内部抽選用乱数は、狙い打ちなどのゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
また詳細は後述するが、AT抽選状態移行抽選(図28A~図28D)やAT抽選(図29A~図29C)やフリーズ演出抽選(図30)や上乗せ抽選(図31A~図31B)などの各種の抽選では、乱数値RNDに2バイト乱数のうちの1バイト分の値(上位1バイトまたは下位1バイト)を用いて抽選を実行するようになっている。
なお、少なくとも主制御部(主制御基板)400と払出制御基板450は、不図示の電源基板から電圧降下信号(電源異常信号)を受けることによって、電源遮断に先立ち、バックアップ処理を開始して、電源遮断前の遊技動作を電源復帰後に再開できるようになっている(バックアップ機能)。
主制御部400には、遊技中継基板370を介して、メダル投入口7からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a、MAXベットボタン8の操作を検出するMAXベットスイッチ8a、1ベットボタン9の操作を検出する1ベットスイッチ9a、クレジット精算ボタン10の操作を検出するクレジット精算スイッチ10a、始動レバー11の操作を検出する始動スイッチ11a、各回胴に対応する停止ボタン12の操作をそれぞれ検出する左回胴停止スイッチ12a’、中回胴停止スイッチ12b’、右回胴停止スイッチ12c’(以下、これら停止スイッチを「停止スイッチ12a’」「停止スイッチ12b’」「停止スイッチ12c’」と略す)を搭載した停止スイッチ基板360などが接続され、主制御部400はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、ブロッカーソレノイド7cが接続され、主制御部400は、ブロッカーソレノイド7cに対してソレノイド制御用の励磁信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、遊技表示基板390が接続されている。この遊技表示基板390には、LED表示器である、投入枚数表示LED31~33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38、MAXベットLED39などが搭載され、また7セグメント表示器である、クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35などが搭載されており、主制御部400は、これら表示器を発光制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、回胴中継基板330を介して、回胴装置210の回胴5a、5b、5cを回転駆動するための回胴駆動モータ211a、211b、211cが接続され、主制御部400は、これら回胴駆動モータを駆動させるための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、回胴中継基板330を介して、各回胴5a、5b、5cの回転位置(基点からの現在位置)や回胴の回転状態を検出するための回胴位置検出センサ(インデックスセンサ)212a、212b、212cが接続され、主制御部400は、これら回胴位置検出センサからの検出信号を受信可能となっている。主制御部400は、回胴位置検出センサからの検出信号に基づき、各回胴の現在位置や回転状態を把握可能となっている。
また主制御部400には、払出中継基板350を介して、ホッパーユニット500が接続されている。ホッパーユニット500は、遊技メダル払出装置として機能し、メダル排出機構を駆動させるためのホッパーモータ510と、ホッパーモータ510の動作を制御する払出制御基板450と、遊技メダルを貯留するためのホッパータンク(不図示)と、メダル受け皿18に向けて排出される遊技メダルを検出するためのメダル払出センサ520などにより構成されている。
主制御部400は、遊技メダルの払い出しが必要な場合、払出制御基板450に対して払出枚数を指定する「払出制御コマンド」を送信し、払出制御基板450は、当該払出制御コマンドを受信すると、ホッパーモータ510を駆動制御して、指定された枚数分の遊技メダルを1枚ずつ払い出すようになっている。払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ520により検出され、その検出信号は主制御部400に入力される。主制御部400は、メダル払出センサ520からの検出信号に基づいて、払い出し枚数や遊技メダルの払い出し状態を監視可能となっている。主制御部400は、払い出し状態に異常を検出した場合、たとえば、遊技機内の遊技メダルが空状態(ホッパータンク空状態)になったときの「ホッパーエンプティエラー(払出メダル無しエラー)」や、遊技メダルが正常に払い出されないときの「ホッパージャムエラー(払出異常エラー)」などを検出した場合には、これらに対応したエラー処理を実行する。なお、ホッパーエンプティエラー、ホッパージャムエラー、後述の満杯エラーは、エラーの原因を取り除いた後、リセットスイッチ95をON操作することにより解除可能となっている。
また主制御部400には、払出中継基板350を介して、満杯検知金具600が接続されている。この満杯検知金具600は、ホッパーユニット500から溢れた余剰の遊技メダル貯留する補助タンク(図示せず)の満杯状態(オーバーフロー異常(満杯エラー))であるか否かを検出する。主制御部400は、満杯検知金具600からの検出信号に基づき、遊技機内部の遊技メダルが満杯状態である否かを監視可能となっている。
また主制御部400には、払出中継基板350を介して、ドアセンサ61が接続されている。このドアセンサ61は、前述した扉ロック解除用のキーシリンダ対して設けられたセンサであり、ドアセンサ61によりキーシリンダの操作状態を検出する。主制御部400は、ドアセンサ61からの検出信号に基づき、キーシリンダの操作状態を監視し、前扉開放状態やエラー解除状態を把握可能となっている。
また主制御部400には、外部集中端子基板310が接続されている。主制御部400は、この外部集中端子基板310を介して、所定の遊技情報(外端信号)を遊技機の外部に設けられた「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」などの外部装置に送信可能となっている。所定の遊技情報としては、たとえば、ゲーム開始情報、遊技メダルの投入枚数情報、遊技メダルの払出枚数情報、入賞情報、ボーナス遊技発生情報、ボーナス遊技終了情報、セキュリティ情報(不正行為検出情報、RAMクリア情報、前扉開放情報、設定変更発生情報など)、安全装置作動情報、有利区間開始情報、有利区間終了情報などがある。
上記「データカウンタDT」とは、外端信号に含まれる遊技情報に基づき、大当り回数、図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)、大当り間のゲーム実行回数など、遊技機に関する特定情報を報知可能な遊技情報報知装置であり、通常、遊技機の上部に設置される。また、上記「ホールコンピュータHC」とは、いわゆる「ホールコン」と称されるものであり、外端信号に含まれる遊技情報に基づき、遊技機の遊技進行状態を監視・収集し、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理するホール専用の管理コンピュータである。
主制御部400は、保安電子通信技術協会(保通協)で実施される型式試験に対応して、遊技動作をリアルタイムに特定する型式試験信号を外部集中端子基板310から出力可能となっている(後述の図11の条件装置信号出力処理(ステップS107)、図12参照)。なお、型式試験に適合した遊技機をパチンコホールに設置する際には、その適合した制御プログラムの変更は一切認められていない。このため、パチンコホールに設置後も型式試験信号が繰り返し出力されることになる。
また主制御部400には、回胴設定基板430が接続され、回胴設定基板430からの検出信号を受信可能となっている。回胴設定基板430には、所定の動作エラーの解除および設定値を変更に利用されるリセットスイッチ95、設定変更操作を有効化するための設定キースイッチ94などが搭載され、回胴設定基板430は、これらスイッチが操作されたことによる検出信号を主制御部400に送信可能となっている。また、図示はしていないが、ボーナス遊技が終了した後に、いわゆる「打ち止め状態」に制御させるための打止スイッチも搭載されている。なお詳細は後述するが、本実施形態では、この打止スイッチによる打ち止め状態以外に、安全装置(コンプリート機能)によっても打ち止め状態に制御されるようになっており、これら打ち止め状態を区別するために、前者の打ち止め状態を「通常打ち止め状態」、後者の打ち止め状態を「特別打ち止め状態」と称する場合がある。
(設定値について)
上記「設定値」とは、遊技者に作用する利益状態などの特定事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味し、いわゆる「機械割」や「PAYOUT率(出玉率))」などの遊技者に付与する利益の期待値(有利度)を段階別(たとえば、設定1~6の6段階)に規定するものである。この設定値は、専ら、パチンコホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員により適宜設定される。本実施形態では、設定値1~6の順で機械割(出玉率)が高くなるように定められており、設定値が高くなるほど、特定の抽選(内部抽選(役抽選)やAT抽選(図29A~図29C)や上乗せ抽選(図31A~図31B)など)が優遇され、遊技者に及ぼす利益度合いが有利に作用する。なお、設定値に応じて、どのような抽選を優遇するかについては遊技性に応じて適宜定めることができる。
上記「設定値」の変更は、まず、遊技機への電源OFF状態において設定キースイッチ94をON状態(設定変更モード移行側)としてから遊技機の電源をON状態すると、現在の設定値が図示しない「設定値表示器」に表示され、設定値(1~6段階)の変更操作が可能な設定変更モード(設定変更モード処理)に移行される。この設定変更モードにおいて、リセットスイッチ95が操作されると(設定切替操作)、設定値表示器の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→・・・」のように1~6の使用範囲で循環するように切り替え、目的の設定値となった場合に、回胴回転始動レバー11がON操作されると、その設定値が確定される(設定確定操作)。確定されたこの設定値情報は、RAM401bの領域内RAM(以下、単に「領域内RAM」と称する場合がある)における設定値格納領域に格納され、主制御部400において管理される。そして、設定キースイッチ94をOFF状態に操作すると、設定変更モードが終了し(設定変更操作終了)、遊技の進行が可能な状態に移行され、以後、確定された設定値の下で遊技が開始されるようになっている。なお、設定変更操作には、同一設定への打ち直し操作(たとえば、設定6から、再度、設定6に打ち直すケース)も含まれる。
(役比モニタについて)
また主制御部400には、役比モニタ99が接続され、主制御部400は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。役比モニタ99は、性能表示モニタとも称され、遊技に係る特定情報(以下「性能情報」と称する)を報知可能に構成されている。
本実施形態の役比モニタ99は、複数個の7セグメントLEDからなり、具体的には、表示部と回路部がユニット化された7セグメントLED(7セグ表示器を4個横に並べ、これをたとえば、主制御基板20上に搭載して、4桁の数字を表示可能な表示器を構成する。また各7セグメントLEDには、7セグメント数字の下にデシマルポイントDP(ドット)を有している。4個の7セグメントLEDで表示される4桁文字のうち、上位2桁を「識別セグ」、下位2桁を「比率セグ」と称す。
上記「性能情報」は、主に、パチンコホール店や関係各庁が確認・調査などのために利用する情報であり、たとえば、不正行為により出玉性能に異常が生じていないか、遊技機本来の出玉性能(設計上の出玉性能)が正当に発揮されているかなどを調査するための情報、換言すれば「遊技実績に関する情報(遊技実績情報)」である。したがって、性能情報自体は、遊技進行に係る演出(たとえば、フリーズ演出などの予告演出)とは異なり、遊技者が遊技に興じる際には直接的には関係の無い情報である。このため役比モニタ99は、遊技者に視認可能な箇所に設置するのではなく、遊技機内部の適所、たとえば、特定の制御基板上またはこれを保護する基板ケース内などに設けられ、前扉2を開放しない限り、外部からは視認不可能となっている。
役比モニタ99が表示する性能情報としては、たとえば、以下の(情1)~(情6)の遊技情報がある。
(情1)所定ゲーム数(たとえば、最新の6000ゲーム間)における役物比率。
「役物比率(%)」とは、遊技機から払い出された遊技メダルのうち、役物作動により払い出された遊技メダルが占める割合である。役物比率は、「(役物作動中の総払出枚数/総払出枚数)×100」(小数点以下切り捨て)で算出される。なお、役物とは、普通役物、第1種特別役物、第2種特別役物、第1種特別役物に係る役物連続作動装置、第2種特別役物に係る役物連続作動装置などである。
最新の6000ゲーム間の役物比率の表示としては、たとえば、識別セグ側は「7Y.」と表示され、比率セグ側は現在の役物比率(たとえば、69%ならば「69」)が表示される。ただし、ゲーム数が6000ゲーム未満の場合、識別セグが点滅表示される。また、役物比率が第1所定値以上(たとえば、70%以上)の場合、比率セグが点滅表示される。また、算出結果が100%になった場合は比率セグ側が「99」で点滅表示される(後述の(情2)~(情6)も同様)。なお、点滅周期は、0.6秒である(後述の(情2)~(情6)も同様)。
(情2)所定ゲーム数(たとえば、最新の6000ゲーム間)における連続役物比率。
「連続役物比率(%)」とは、遊技機から払い出された遊技メダルのうち、役物連続作動装置の作動により払い出された遊技メダルが占める割合である。連続役物比率は「(役物連続作動装置作動中の総払出枚数/総払出枚数)×100」(小数点以下切り捨て)で算出される。
最新の6000ゲーム間の連続役物比率の表示としては、たとえば、識別セグ側は「6Y.」と表示され、比率セグ側は現在の連続役物比率(たとえば、59%ならば「59」)が表示される。ただし、ゲーム数が6000ゲーム未満の場合、識別セグが点滅表示される。また、役物比率が第2所定値以上(たとえば、60%以上)の場合、比率セグが点滅表示される。
(情3)総ゲーム数(累計ゲーム数)における役物比率。
総ゲーム数(累計ゲーム数)における役物比率の表示としては、たとえば、識別セグ側は「7A.」と表示され、比率セグ側は現在の役物比率(たとえば、69%ならば「69」)が表示される。ただし、総ゲーム数が17500ゲーム未満の場合、識別セグが点滅表示される。また、役物比率が第1所定値以上(たとえば、70%以上)の場合、比率セグが点滅表示される。
(情4)総ゲーム数(累計ゲーム数)における連続役物比率。
総ゲーム数(累計ゲーム数)における連続役物比率の表示としては、たとえば、識別セグ側は「6A.」と表示され、比率セグ側は現在の連続役物比率(たとえば、59%ならば「59」)が表示される。ただし、総ゲーム数が17500ゲーム未満の場合、識別セグが点滅表示される。また、役物比率が第2所定値以上(たとえば、60%以上)の場合、比率セグが点滅表示される。
(情5)指示込役物比率
「指示込役物比率」とは、遊技機から払い出された遊技メダルのうち、指示機能が作動したゲーム(アシスト報知実行ゲーム)および役物作動中において払い出された遊技メダルが占める割合である。指示込役物比率は、「(指示機能作動中の総払出枚数および役物作動中の総払出枚数/総払出枚数)×100」(小数点以下切り捨て)で算出される。
ただし、指示込役物比率には、役物作動中に指示機能が作動したゲームにおいて払い出された遊技メダルも含まれるが、役物作動中における指示機能が作動したゲームがあった場合には、指示機能が作動したゲームにおいて払い出された遊技メダルと、役物作動中において払い出された遊技メダルとを合算するのではなく、そのゲームの払出枚数が「指示機能作動中または役物作動中のゲームの払い出し」となる。また遊技者がアシスト報知に従わず、押し順不正解となった場合には、押し順正解時の払出枚数ではなく、実際に払い出された払出枚数に基づいて算出される。
指示込役物比率の表示としては、たとえば、識別セグ側は「7P.」と表示され、比率セグ側は現在の指示込役物比率(たとえば、69%ならば「69」)が表示される。ただし、総ゲーム数が175000ゲーム未満の場合、識別セグが点滅表示される。また、役物比率が第1所定値以上(たとえば、70%以上)の場合、比率セグが点滅表示される。
(情6)役物等状態比率
役物等状態比率とは、総ゲーム数(累計ゲーム数)のうち、役物作動中のゲーム数および役物連続作動装置作動中における役物非作動中のゲーム数(役物作動中のハズレゲーム数)を加算したもの(特定ゲーム数)の割合である。役物等状態比率は、「(特定ゲーム数/総ゲーム数)×100」(小数点以下切り捨て)で算出される。
役物等状態比率の表示としては、たとえば、識別セグ側は「5H.」と表示され、比率セグ側は現在の役物等状態比率(たとえば、49%ならば「49」)が表示される。ただし、総ゲーム数が175000ゲーム未満の場合、識別セグが点滅表示される。また、役物比率が第3所定値以上(たとえば、50%以上)の場合、比率セグが点滅表示される。
なお、役比モニタ99による性能情報は、リアルタイムに計測され、電源投入後から電源が遮断されるまで、その情報が常時表示可能となっている。また、役比モニタ99における性能情報の表示制御および性能情報の算出に関する処理プログラムとそのワーク領域は、主制御部400(CPU401c)が通常の遊技進行の際にアクセスする領域(領域内メモリ:領域内RAM)とは異なる領域(領域外メモリ:領域外RAM)に定められている。また、性能情報は上記(情1)~(情6)に限らず、有用な遊技実績情報であれば、適宜採用することができる。
(役比モニタ99の動作確認表示)
また、電源投入時には、役比モニタ99が正常に動作しているか否かの動作確認表示を実行可能に構成してもよい。たとえば、電源投入後に、役比モニタ99の動作確認表示の実行に係る動作タイマに所定値(たとえば、5秒)を設定する。そして、その動作タイマ値に基づいて、たとえば、4個の7セグ表示器99a~99dの表示態様を、所定時間(動作タイマ値がゼロになるまで。ここでは、5秒間)、全点灯と全消灯とを周期的に繰り返す「全点滅表示」を実行させ(動作確認表示処理)、動作確認表示を終えた後に、役比モニタ99に対して性能情報を表示させる。これにより、毎回の電源投入時において、全点滅表示(動作確認表示)が常に最初から開始され(毎回の電源投入時において、動作確認表示態様が常に同じ動作になる)、セグメント欠けや断線などの不具合のチェックが容易になる。
また主制御部400には、演出I/F基板340を介して、演出制御部410(演出制御手段)を構成する演出制御基板420が接続されている。この演出制御基板420の主な役割は、演出手段に対する演出の現出制御である。具体的には、主制御部400からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の決定、液晶制御基板460への液晶制御コマンドの送信、スピーカ16の音制御、装飾ランプ13や各種演出用LEDの発光制御、可動体役物(図示せず)の動作制御などである。
また上記した演出制御基板420には、液晶I/F基板341を介して、液晶制御基板460が接続されている。この液晶制御基板460の主な役割は、演出制御基板420からの液晶制御コマンドの受信、液晶制御コマンドに基づく液晶表示装置6の画像表示制御などである。
主制御部400は、処理状態に応じて遊技に関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部410に対して送信可能となっている。ただし主制御部400は、演出制御部410(演出制御基板420)に対して信号を送信するのみで、演出制御部420からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。これは、外部からのゴト行為による不正な信号が、演出制御部410を介して主制御部400に入力されることを防止するためである。
(演出制御部410(演出制御基板420、液晶制御基板460))
次に、演出制御部410を構成する演出制御基板420について説明する。演出制御基板420は、CPU(サブCPU421c)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM(サブROM421a)と、RAM(サブRAM421b)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成されている。
サブROM421aは、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またサブRAM421bは、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。
また図示はしていないが、演出制御基板420は、各種デバイスの入出力を制御するためのI/Oポート回路、タイマ割込/割込禁止機能などを備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビットカウンタ、8ビットカウンタ)なども備えている。サブCPU421cは、処理状態に応じて、乱数生成回路が示している数値を演出抽選用乱数値として取得し、その乱数値を演出抽選に利用する。
また演出制御基板420は、主制御部400からの演出制御コマンドを受けて、光、音、または可動体役物による種々の演出を現出するために、装飾ランプ13や各種演出用LED(たとえば、図柄照射用バックライトLED)を含む光表示装置(光演出手段)に対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置(音演出手段)に対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物を動作させるための可動体役物モータに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。演出制御基板420は、これら制御部に対し、各演出手段を制御するための制御信号を送信可能となっている。
また演出制御基板420には、演出ボタンの操作を検出するための演出ボタン用スイッチ(図示せず)が接続され、演出制御基板420は、演出ボタンからの操作検出信号を受信可能となっている。
また液晶制御基板460は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROM(CGROM)と、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力するCPU(液晶制御CPU)と、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラム(たとえば、アニメーションによる演出表示を実現するための画像表示順序や表示時間などの描画処理手順に関するプログラムなど)を格納するROM(液晶制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM(液晶制御RAM)などを中心に構成されている。
演出の現出制御については、演出制御基板420(サブCPU421c)が主制御部400から送られてくる所定の演出制御コマンドに基づき、現出すべき演出シナリオを選択的にあるいは一意に決定する。上記演出シナリオは、複数種類の演出パターンを含んで構成される広義の意味での演出であり、個々の演出パターンは、演出シナリオを構成する一要素(パーツ演出)として機能する。
演出制御基板420は、決定した演出シナリオに従い、音演出(音の再生)や光演出(LED・ランプ等の点滅点灯駆動)や可動体演出(役物の動作)の現出が必要なタイミングで、上記音響発生装置や光表示装置やモータ駆動回路などに対して専用の制御信号(音制御信号、光制御信号、駆動制御信号)を送信する。これにより、音演出や光演出や可動体演出が演出シナリオに沿った演出動作を実行可能となっている。また演出制御基板420は、液晶表示装置6に表示する画像再生が必要なタイミングで、液晶制御コマンドを液晶制御基板460に対し送信する。液晶制御基板460は、この液晶制御コマンドを受けると、それに応じて表示駆動信号を生成し、表示駆動信号を液晶表示装置6に供給して、演出シナリオに沿った画像表示演出を実行可能となっている。このようにして、各種の演出手段により、種々の演出パターンが時系列的に、次々にあるいは複数同時に展開されることにより、ゲーム中や客待ち待機中などの遊技動作に係る演出が実現される。斯様な演出には、役抽選結果(内部抽選結果)情報やAT抽選結果に関連情報を報知する予告演出、フリーズ演出、遊技状態情報を報知する状態報知演出、アシスト報知演出、複数ゲームにわたって現出される連続演出などがり、これらはその代表例である。
また演出制御基板420は、主制御部400から送られてくる特定の演出制御コマンド(たとえば、遊技状態情報を含むコマンド)を受けて、現在の遊技状態を把握し、複数種類の演出モード間の移行制御を実行可能に構成される。演出制御基板420は、主制御部側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、演出モードの移行制御を行い、現在の遊技状態に関連した適切な演出を現出させる。
また演出制御基板420の割込端子INT(図示せず)は、コマンド伝送ラインのうち、主制御部400側がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU421cは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またサブCPU421cは、CPU401cとは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU401c(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部410(演出制御基板420)にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、サブCPU421cが確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU401cによりアクティブ状態に制御される。また液晶制御コマンドの送信に際しては、演出制御基板420は割り込み用ストローブ信号を発生し、液晶制御基板460にMODE信号とEVENT信号とで構成される2バイト長の液晶制御コマンドを前後して送信する。
(遊技動作の概要)
次に、遊技動作の概要を説明する。主制御部400は、所定の遊技開始条件の下、始動レバー11の操作を検出したことを契機に役抽選(内部抽選)を実行し、回胴の回転制御を実行する。詳しくは、主制御部400は、メダル投入信号(メダル検出センサ7a、MAXベットスイッチ8a、または1ベットスイッチ9aからの検出信号)に基づき、遊技開始可能となる規定枚数(たとえば、3枚)の遊技メダルが投入されたか否かを監視する。このとき、遊技メダルの投入に関して、メダルセレクタ内部における遊技メダルの詰まりや、異常な投入(不正行為による投入など)を検出した場合には、セレクタエラー(メダル投入エラー)が発生したとして、所定のエラー処理を実行する。
上記規定枚数の投入を確認すると、始動スイッチ11aからの操作信号の入力受付を有効化、つまり「遊技開始可能状態」に設定する。この遊技開始可能状態下で、始動スイッチ11aからの操作信号の入力を確認した場合、上記内部抽選用乱数値と図4A~図4Bに示す「役抽選テーブル」とに基づいて、内部抽選を実行する。主制御部400は、内部抽選処理により、いずれの役に当選したのか、そうでない‘ハズレ’であるのかを決定し、その抽選結果情報を所定の処理が終了するまでRAM401b(主制御RAM)の所定領域に格納(設定)する。この抽選結果情報は、原則として、1ゲーム毎にクリアされるようになっている。
(役抽選テーブル:図5A、図5B)
図5Aおよび図5Bに、本実施形態に係る役抽選テーブルを例示する。役抽選テーブルには、後述の「RT0~RT3遊技中」、「BB内部中(RT4遊技中)」、「BB中(ボーナス遊技中)」など、各種の遊技状態に対応する複数の役抽選テーブルが設けられている。
また役抽選テーブルには、設定値1~6に応じた役抽選テーブルが設けられている。たとえば、RT0~RT3遊技に対応する役抽選テーブルについて、1または複数種類の特定の抽選対象役(たとえば、BB1、BB2、共通ベルAなど)の抽選確率が設定値に応じて異なり、特定の抽選対象役の抽選確率は、設定値が高くなるほど、遊技者に有利に作用するように定められている。なお図示では、特定の設定値(たとえば、設定値6)に対応した役抽選テーブルを代表的に示し、他の設定値に対応する役抽選テーブルについては、重複記載を避けるために図示を省略する(後述の図28A~図28D、図29A~図29C、図30などに示す各抽選テーブルについても同様)。
「役抽選テーブル」には、図示の通り、抽選対象役(役抽選の対象となる役)に対応した当選領域(判定値)を有する抽選領域(抽選領域の大きさは、65536)が定められており、これにより各役の当選確率(「判定値/抽選領域の大きさ」:内部当選確率)が規定される。この実施形態の場合、抽選対象役として、不当選(ハズレ)を含む49種類の抽選対象役が設けられており(各役についての詳細は後述する)、主制御部400は、役抽選テーブルを参照し、内部抽選乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、いずれの役に当選したのか不当選(ハズレ)であるのかを決定する。また図示の通り、遊技状態に応じて、抽選対象役の種類や当選確率などが異なっており(たとえば、特定のリプレイ役種別)、これにより遊技内容の豊富化を図っている。なお、役抽選テーブルは、後述の内部遊技状態種別や遊技モード種別(図34)に応じて、いずれの役抽選テーブルを用いるのかを決定可能に構成してもよい。
上記の内部抽選処理を終えると、主制御部400は、回胴駆動モータ211a~211cを駆動制御し、各回胴5a~5cを回転始動させ、各回胴を略一定速度で回転させる。これにより、各回胴を回転させる回転動作を実現している。ただし、後述のフリーズ演出(レバー操作時フリーズ)を実行する場合は、所定のフリーズ時間を待って、通常の回転動作を開始させる。
各回胴が略一定速度で回転されると、主制御部400は、停止スイッチ12a’~12c’からの操作信号の入力受付を有効化、つまり「停止操作許容状態」に設定する。この停止操作許容状態下で、停止スイッチ12a’~12c’からの操作信号の入力を確認した場合、そのタイミングで、特定位置(たとえば、図7の下段横ライン上)に存在する図柄番号を停止対象となった回胴に係る「停止操作図柄番号」として取得し、その停止操作図柄番号からどれだけのコマ数(滑りコマ数)分移動させて回胴を停止させるかを定めた「停止テーブル(図示せず)」から割り出し、目的の位置に回胴を停止させる。
上述の「停止テーブル」には、最大引き込みコマ数範囲内(本実施形態では最大4コマ)で、上記「停止操作図柄番号」に対する滑りコマ数を定めた停止データが定められており、最大引き込みコマ数範囲内において特定の図柄を有効入賞ライン上に引き込んで停止させる、いわゆる「引き込み制御」を実行可能となっている。これにより、当選役に対応する図柄の組合せ(入賞役)を有効入賞ライン上に引き込んで停止させる、回胴の停止制御(引き込み制御)が実現される。斯様な「引き込み制御」の特性を利用し、各回胴の図柄配列帯200における図柄に対応した滑りコマ数や引き込み率などを定めれば、当選役の構成要素図柄を停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)によらずに有効入賞ライン上に停止可能にしたり(引き込み率100%にする)、停止操作手順によっては、最大滑りコマ数引き込んでも有効入賞ライン上に停止不可能にして、いわゆる「取りこぼし」を生じさせることができる。
なお、内部抽選によりいずれの役にも当選していない「不当選(ハズレ)」の場合は、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止させない回胴の停止位置が決定される。したがって、「ハズレ」となったゲームでは、回胴の停止操作手順によらず、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止することはなく、遊技結果は常に「ハズレ」となる。
<役構成について:図6A~図6D>
次に図6A~図6Dを参照しながら、本実施形態に係る役構成について説明する。図6A~図6Dは、図5A~図5Bに示す抽選対象役が当選した場合の当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別)とその役名称、その図柄の組合せを成立させるための停止操作手順、および配当(遊技価値)などの関係を例示したものである。
なお、図6A~図6Dに示す「左回胴」「中回胴」「右回胴」のそれぞれの欄に対応する図柄は、回胴5a、5b、5cにおける有効入賞ライン上の停止図柄を示す。また図中の「押し順」の欄に関する「左」「中」「右」の表記について、「左」は停止操作対象が左回胴5a、「中」は中回胴5b、「右」は右回胴5cを意味し、同欄の「左中右」や「第1停止左」などの表記は、同図の「入賞役種別」の欄に対応した図柄の組合せを成立させるための回胴の停止操作順番(押し順)を示す。たとえば、上記「左中右」の表記は、左回胴5a、中回胴5b、右回胴5cのこの順番で回胴を停止させる押し順を意味し、「第1停止左」の表記は、第1番目の停止操作を左回胴5aとする押し順を意味する。以下、説明の便宜上、必要に応じて、第X番目の停止操作を「第X停止」と略し、「第X番目に停止操作対象とする回胴」を「第X停止左」「第X停止中」「第X停止右」等と略す。ただし、図示の抽選対象役種別の中には、その役が当選した場合、その当選役に対応する図柄の組合せを入賞させる条件として、押し順だけでなく、所定の停止操作タイミングを要する場合もある。
本実施形態では、図5A~図5Bに示す通り、複数種類の抽選対象役(抽選番号1~48)が設けられている。これら抽選対象役は、性能の異なる役種別として、後述の「ボーナス遊技」の移行契機となる「特別役種」に属するものと、そうでない「一般役種」に属するものとに大別され、さらに「一般役種」は、‘所定枚数の遊技メダルの払い出し(払い出し0枚を含む)’を伴う「小役種」に属するものと、‘再遊技’を伴う「リプレイ役種(再遊技役種)」に属するものとに分類される。
本実施形態の場合、上記した特別役種には「BB1、BB2」(抽選番号41、42)が設けられており、小役種には「弱チャンス1~押順ベル種別」(抽選番号20~40)が設けられており、リプレイ役種には「通常リプレイ、移行リプレイ種別、7リプ種別、BARリプ種別」(抽選番号1~19)」などが設けられている(図5A~図5B、図6A~図6D)。
なお上記「再遊技」とは、遊技メダル(遊技媒体)の投入(クレジット手段により、またはその他の装置の操作により遊技メダルを遊技の用に供することを含む)をすることによらずに行うことができる遊技をいう。具体的には、今回のゲームで使用した遊技媒体量(投入枚数)と同一量(同一枚数)を疑似的に付与(自動投入)して、次回のゲーム開始条件を付与する。この再遊技は、遊技者が遊技メダルを減らすことなく次回のゲームが可能になるという点で、遊技メダルと同様に遊技価値を有するものといえる。また遊技者に付与される遊技価値には、再遊技や遊技メダルの他、遊技状態の移行、遊技状態移行抽選(たとえば、後述のAT抽選や上乗せ抽選)の実行権利なども含まれる。また、遊技価値には、遊技者に有利に作用するものに限らず、遊技者に不利に作用するもの(たとえば、有利な遊技状態よりも利益度合いの低い他の遊技状態への転落移行など)も含まれる。
上記抽選対象役のいずれかが内部抽選により当選役として決定された場合、その当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役)が有効入賞ライン上に停止表示することが許容される。詳しくは、内部抽選により当選役が決定された場合、その当選役に対応する1または複数種類の内部当選フラグが成立し、その成立した内部当選フラグに対応する図柄の組合せ(入賞役)が、有効入賞ライン上に停止表示することが許容される。したがって、当選役によっては、1回の内部抽選で内部当選フラグが複数種類成立して、対応する図柄の組合せ(入賞役)が複数種類存在するものもある。たとえば、後述のRT2移行リプレイ(抽選番号1~7)は、その当選により、入賞役として、通常リプレイとRT2移行リプレイの2種類の入賞役の入賞を許容する。斯様な抽選対象役は、1回の内部抽選で複数の役に同時当選(1回の内部抽選で複数の当選役が決定される)したことと同義であり、1回の内部抽選で複数種類の役に同時当選(重複当選)可能な「重複役」として扱うことができる。本実施形態では、この「重複役」のように、当選役とその当選役により許容される停止図柄態様(入賞役)とを1対Nに対応させた抽選対象役を設け、一つの当選役に対して、これを実効化するための停止図柄態様を複数種類設けることで、遊技内容の豊富化を図っている。このような重複役としての性質を有するものには、後述の移行リプレイ種別(抽選番号1~15)、7リプレイ~BARリプフェイク(抽選番号16~19)、チャンスベル(抽選番号28)、押順ベル種別(抽選番号29~40)などがある。
なお本明細書中では、当選役に対応して、有効入賞ライン上に停止する図柄の組合せを「入賞役」と称する場合があり、この入賞役として扱われる図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止(成立)することを「入賞」と称する場合がある。なお「取りこぼし」が発生した場合の特定の停止図柄表示態様(いわゆる「取りこぼし目」)も入賞役の一態様として扱うことができる。また本明細書中において、「図柄1/図柄2/・・/図柄N」の表記は、「図柄1、図柄2、・・・、または図柄N」の意であり、たとえば、上述の「リプレイ」-「ベルA」-「上弾/チェリー」という表記であれば、「リプレイ」-「ベルA」-「上弾」の図柄の組合せ、または「リプレイ」-「ベルA」-「チェリー」の図柄の組合せを意味する。
(疑似入賞ライン)
ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず図6を参照して、仮想的な入賞ライン(以下、「疑似入賞ライン」と称する)と有効入賞ラインとの関係について説明しておく。
本実施形態の抽選対象役には、当選した場合に、押し順にかかわらず、対応する入賞役の入賞を許容しうる「押順不問役」や、少なくとも押し順に応じて異なる入賞役の入賞を許容しうる「押順規定役」などが含まれ、多種多様な役により遊技性の豊富化を図っている。
このように多種多様な役を設けて遊技性の幅を広げる場合、従来から多くの回胴式遊技機に見られるように、たとえば、図7(A)(B)に示す「右下りライン」「左下りライン」「上段横ライン」「中段横ライン」および「下段横ライン」の計5本の入賞ラインを有効入賞ラインとして扱ういわゆる「5ライン機」のように、多数の有効入賞ラインを設けてしまうと、引き込み制御や役の構成要素図柄や図柄配列帯200における図柄配置構成などの関係上、遊技機を設計する上で役構成が複雑化して、役の種類を制限せざるを得なくなり、遊技性の自由度が阻害されてしまう。
そこで本実施形態では、有効入賞ラインを少なくしたもの、たとえば図7(A)に示すような「右下りライン」だけの1ラインを有効入賞ラインとして扱う「1ライン機」とし、図7(B)の破線のラインである「左下りライン」「上段横ライン」「中段横ライン」および「下段横ライン」を、仮想的な入賞ライン(以下、「疑似入賞ライン」と称する)とし、これにより、一般的な「5ライン機」を模した入賞ラインを形成している。斯様な有効入賞ラインと疑似入賞ラインとの関係は、次のようになる。たとえば、図6Aに示す「通常リプレイA」が当選した場合、有効入賞ライン上には「リプレイ」-「ベルA」-「上弾/チェリー」という一見してバラケ目が停止するが、疑似入賞ライン上の‘上段横ライン’上には、「リプレイ」-「リプレイ」-「リプレイ」(リプレイ図柄揃い)という同一図柄の組合せが停止する(上段リプレイ表示)。このように、有効入賞ライン上には、一見して、ハズレのようなバラケ目が停止するようになっているが、疑似入賞ライン上の観点から見ると、遊技者が認識し易い特定の図柄の組合せが停止するようになっている。他の役についても同様に、疑似入賞ライン上に、遊技者が認識し易い図柄の組合せや、特定の停止目が停止しうるものがある(たとえば共通ベルA(抽選番号27)や押順ベル種別(抽選番号29~40)など)。ここで混同してはならないのは、上記した「バラケ目」のような図柄の組合せが、実際の当選役に対応する図柄の組合せ(真の入賞役)であり、疑似入賞ライン上に停止する図柄の組合せは、有効入賞ライン上に停止する真の入賞役の代替の図柄の組合せとして導出表示される仮想的な入賞役(仮想入賞役)である。
上記のような疑似入賞ラインを形成すれば、疑似入賞ライン上には、一見して同じ性能を有する図柄の組合せ(仮想入賞役)が停止した場合であっても、実際の有効入賞ライン上には、異なる性能の図柄の組合せ(真の入賞役)を停止させることができる。たとえば、第1の役に当選した場合には、上段横ラインに第1の図柄の組合せを停止させ、第2の役が当選した場合には、同一の第1の図柄の組合せを左下りラインに停止させるが、有効入賞ライン上には、それぞれ異なる図柄の組合せを停止させることが可能になる。これにより、第1の役が当選した場合と第2の役が当選した場合とで、ぱっと見、同じ入賞役が停止したように見えるが、実際には異なる入賞役が有効入賞ラインに成立(入賞)しているので、異なる配当が付与されることになる。このように疑似入賞ラインや有効入賞ラインの役割をうまく利用することにより役構成の自由度が増し、遊技内容の豊富化を図ることができる。
なお、疑似入賞ライン上に停止した仮想入賞役を、真の入賞役であると遊技者が誤認する恐れが生じる場合には、液晶画面6aの所定の表示領域に真の入賞役を示す特別な画像を表示することが好ましい。たとえば、後述する「7リプレイ」に対応する「赤7図柄揃い」を疑似入賞ライン上に停止可能に構成する場合は、有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せ(真の入賞役)が、疑似入賞ライン上に成立した「赤7揃い」という役であると遊技者が誤認しないように、液晶画面6aの所定の表示領域(たとえば、右隅部)に真の入賞役を示す画像を表示することが好ましい(他の役についても同様)。
再び図6A~図6Dの説明に戻り、本実施形態に係る役構成(抽選対象役種別、当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別)および配当などの関係)について説明する。なお以下では、説明の便宜上、「図柄の組合せ」の欄に示すには、有効入賞ライン上に停止する‘真の入賞役’側を表記してある。また図6A~図6Dの当選番号と当選役種別の欄の記載は、図5A~図5Bに示す役抽選テーブルの抽選番号と抽選対象役種別の欄の記載に対応している。
(リプレイ役種:当選番号(抽選番号)1~19)
図6A~図6Bを参照して、まずリプレイ役種別(抽選番号1~19)について説明する。本実施形態のリプレイ役種別には、上記押順不問役に属する「押順不問再遊技役(押し順によらず、特定のリプレイ図柄の入賞を許容するリプレイ役)」と、上記押順規定役に属する「押順規定再遊技役(押し順に応じて、異なる図柄の組合せ(入賞役)の入賞を許容するリプレイ役)」などが設けられている。
(通常リプレイ:抽選番号1)
まず、抽選番号1の通常リプレイAについて説明する。
図6Aに示すように、通常リプレイAの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」-「ベルA」-「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)となっている。この通常リプレイAは、上記「押順不問役(押順不問再遊技役)」に属するものであり、対応する図柄の組合せ(通常リプレイ)を入賞させるための停止操作タイミングも必要としない。なお、通常リプレイが有効入賞ライン上に停止した場合、疑似入賞ラインの上段横ライン上には、リプレイ図柄揃いが表示される(上段リプレイ表示)。この点について、当選した場合に通常リプレイの入賞を許容する、後述のRT2移行リプ種別やRT1転落リプ種別などについても同様である(図6A、図7参照)。
(移行リプレイ種別:抽選番号2~15)
次に、抽選番号2~15の「移行リプレイ種別」について説明する。これら移行リプレイ種別は、上記「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属するものであり、性能の違いにより、「RT2移行リプ種別(抽選番号2~7)」、「RT1転落リプ種別(抽選番号8~10)」、「RT3昇格リプ種別(抽選番号11~15)」に分類される。
(RT2移行リプ種別:抽選番号2~7)
まず、抽選番号2~7の「RT2移行リプ」種別について説明する。RT2移行リプ種別には、図5Aに示すように、RT2移行リプ123~RT2移行リプ321の計6種類のRT2移行リプが設けられている。
上記RT2移行リプ123~RT移行リプ321は、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、押し順に応じて、遊技者にとって有利に作用しうる入賞役(有利入賞役)か、または不利に作用しうる入賞役(不利入賞役)が有効入賞ライン上に停止(入賞)しうるように定められている。これらRT2移行リプ123~RT移行リプ321は、主に、有利入賞役または不利入賞役の入賞に関する押し順が異なる点を除き(図6Aの「押し順」欄参照)、その他の内容は実質的に同じであるので、ここでは重複記載を避けるために、抽選番号1の「RT2移行リプ123」を代表的に説明する。
(RT2移行リプ123について)
「RT2移行リプ123」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」-「リプレイ」-「リプレイ」の図柄の組合せ(RT2移行リプレイ:右斜めリプレイ表示)と、(2)通常リプレイAと同様の「リプレイ」-「ベルA」-「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ:上段リプレイ表示)となっている。つまり、RT2移行リプ123が当選役として決定された場合、入賞役として、RT2移行リプレイと通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。換言すれば、RT2移行リプ123は、その当選により、RT2移行リプレイの入賞を許容する役と、通常リプレイの入賞を許容する役(通常リプレイA)とに重複当選可能な「重複役」としての性質を有するものといえる。
次にRT2移行リプ123の当選により入賞が許容される図柄の組合せについて、停止制御の観点から具体的に説明すれば、次の通りである。
(押し順が「左中右」の場合)
図5Aに示すように、RT2移行リプ123が当選した場合、押し順が「左中右」の場合には、RT2移行リプレイが有効入賞ライン上に停止(入賞)するように回胴の停止制御(引き込み制御)が行われる。
(押し順が「左中右」以外の場合)
これに対し、押し順が「左中右」以外の押し順である場合には、RT2移行リプレイではなく、通常リプレイが有効入賞ライン上に停止するように回胴の停止制御が行われる。
なお、RT2移行リプ種別については、図6A「押し順」の欄から分かるように、それぞれに割り当てられた所定の押し順である場合には、「RT2移行リプレイ」が有効入賞ライン上に停止し、その割り当てられた所定の押し順とは異なる押し順の場合には、「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する。また本実施形態の場合、RT2移行リプ種別に係る入賞役を入賞させるためには、押し順だけが関係し、停止操作タイミングを必要としないものとなっている(本実施形態の場合、後述のRT1転落リプ種別、RT3昇格リプ種別についても同様)。またRT移行リプレイを入賞させる押し順については、各RT2移行リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT2移行リプ123の配当について)
上記「通常リプレイ」または「RT2移行リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、RT2移行リプレイが入賞した場合は、再遊技の他に、「RT1遊技よりも高利益状態のRT2遊技に昇格移行する(リプレイ確率は「RT1遊技<RT2遊技」の関係:後述の図8参照)」)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与されるようになっている。一方、「通常リプレイ」が入賞しても遊技状態の移行は無く、現在のRT遊技が維持される。この点において、RT2移行リプ種別に係るRT2移行リプレイは有利入賞役側の入賞役(通常リプレイよりも遊技価値が高い入賞役)、通常リプレイは不利入賞役側の入賞役(RT2移行リプレイよりも遊技価値が低い入賞役)となっている。このように、RT2移行リプ123は、その当選に起因して(ここでは、入賞に起因)、一の遊技状態から他の遊技状態への移行契機となる「状態移行契機役」として働く(他のRT2移行リプレイ種別も同様)。RT2移行リプレイ種別と同じく、状態契機役として働く役には、後述のRT1転落リプレイ種別(抽選番号8~10)やRT3昇格リプレイ種別(抽選番号11~15)や押順ベル種別(抽選番号29~40)などがある。なお、各RT遊技の内容や各RT遊技間の移行制御については、図8にて詳述する。
ここで、図6A~図6D、図5A~図5Bの「当選役種別」の欄の役名称に付されているアラビア数字は、特定の入賞役が入賞しうる押し順を簡易表記したものであり、基本的には、有利入賞役側の押し順を示している。たとえば「RT2移行リプ123」の場合、「123」のアラビア数字表記部について、「1」の表記は左回胴5a、「2」の表記は中回胴5b、「3」の表記は右回胴5cに対応し、「123」の表記は、「左中右」の押し順を意味している。他の表記も同様に、「132」は‘左中右’を、「213」は‘中左右’を、「231」は‘中右左’を、「312」は‘右左中’を、「321」は‘右中左’を意味する。また、「1XX」の表記は‘第1停止左回胴、残りの回胴の押し順は不問’、「2XX」は‘第1停止中で残りの回胴の押し順は不問’、「3XX」は‘第1停止右回胴、残りの回胴の押し順は不問’を意味する。
(RT1転落リプ種別:抽選番号8~10)
次に、抽選番号8~10の「RT1転落リプ」種別について説明する。
RT1転落リプ種別には、図5Aに示すように、RT1転落リプ1XX~RT移行リプ3XXの計3種類のRT1転落リプが設けられている。RT1転落リプ種別は、上記RT2移行リプ種別と同様に、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属する。
上記RT1転落リプ1XX~RT移行リプ3XXは、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、重複記載を避けるために、抽選番号9の「RT1転落リプ1XX」を代表的に説明する。なお、上記した「RT2移行リプ種別(RT2移行リプレイ123)」と実質的に同じ内容については、重複記載を避けるためにその説明は適宜省略する。
(RT1転落リプ1XXについて)
「RT1転落リプ1XX」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」-「ベルA」-「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)と、(2)「リプレイ」-「リプレイ」-「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(転落リプレイ)となっている。つまり、RT1転落リプ1XXが当選役として決定された場合、転落リプレイと通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
RT1転落リプ1XXが当選した場合、図示のように、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、上述した「RT2移行リプ123」と同事象のように、押し順に決定される。具体的には、押し順が「第1停止左」の場合には「通常リプレイ」が、それ以外の押し順の場合には「転落リプレイ」が有効入賞ライン上に停止(入賞)するようになっている。他のRT1転落リプ(転落リプ2XX~RT1転落リプ3XX)についても同様に、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順に応じて決定される。また「通常リプレイ」または「転落リプレイ」を入賞させる押し順については、各RT1転落リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT1転落リプ1XXの配当について)
上記「通常リプレイ」または「転落リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、転落リプレイが入賞した場合は、配当として再遊技の他に、「RT2遊技やRT3遊技から、利益状態が相対的に低いRT1遊技に転落移行される(リプレイ確率が「RT1遊技<RT2遊技、RT3遊技」の関係:後述の図8参照)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与される。一方、通常リプレイが入賞しても遊技状態の移行は無く、現在のRT遊技が維持される(RT遊技移行無し)。この点において、RT1転落リプ種別に係る通常リプレイは有利入賞役側の入賞役(転落リプレイよりも遊技価値が高い入賞役)、転落リプレイは不利入賞役側の入賞役(通常リプレイよりも遊技価値が相対的に低い入賞役)としての位置付けとなっている。
(RT3昇格リプ種別:抽選番号11~15)
次に、抽選番号11~15の「RT3昇格リプ」種別について説明する。
このRT3昇格リプ種別には、図5Aに示すように、RT3昇格リプ1XX~RT移行リプ321の計5種類のRT3昇格リプが設けられている。RT昇格リプ種別は、上記RT2移行リプ種別と同様に、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属する。
また、上記RT3昇格リプ1XX~RT移行リプ321は、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、ここでは重複記載を避けるために、抽選番号11の「RT3昇格リプ1XX」を代表的に説明する。なお、上記した「RT2移行リプ種別(RT2移行リプレイ123)」と実質的に同じ内容については、重複記載を避けるためにその説明は適宜省略する。
(RT3昇格リプ1XXについて)
「RT3昇格リプ1XX」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「スイカA/スイカB/赤7」-「リプレイ」-「スイカA/スイカB/赤7」の図柄の組合せ(RT3昇格リプレイ(中段リプレイ表示))と、(2)「リプレイ」-「リプレイ」-「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(転落リプレイ)となっている。つまり、RT3昇格リプ1XXが当選役として決定された場合、RT3昇格リプレイと、転落リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
RT3昇格リプ1XXが当選した場合も、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、上述した「RT2移行リプ123」と同事象のように、押し順に決定される。具体的には、押し順が「第1停止左(第1停止が左回胴5a)」の場合には「RT3昇格リプレイ」が、それ以外の押し順の場合には「転落リプレイ」が有効入賞ライン上に停止するようになっている。他のRT昇格リプについても同様に、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順に応じて決定される。また、RT3昇格リプレイを入賞させる押し順については、各RT3昇格リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT3昇格リプ1XXの配当について)
上記「RT3昇格リプレイ」または「転落リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、RT3昇格リプレイが入賞した場合は、配当として再遊技の他に、「RT2遊技から、利益状態が相対的に高いRT3遊技に昇格移行される(転落リプレイ確率が「RT2遊技>RT3遊技」の関係:図5A参照)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与される。一方、転落リプレイが入賞した場合には、前述したように「RT2遊技、RT3遊技からRT1遊技に転落移行される」といった遊技価値が付与される。この点において、RT3昇格リプレイ種別に係るRT3昇格リプレイは有利入賞役側の入賞役、転落リプレイは不利入賞役側の入賞役となっている。
(7リプレイ:抽選番号16)
次に、抽選番号16の「7リプレイ」について説明する。
図6Bに示すように、7リプレイの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「赤7/リプレイ」-「赤7/ベルA」-「赤7/上弾/チェリー」の図柄の組合せ(7リプレイ(赤7揃い)または通常リプレイ(上段リプレイ表示))、(2)「リプレイ」-「ベルA」-「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ(上段リプレイ表示))となっている。つまり、7リプレイが当選役として決定された場合、7リプレイと、通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
「7リプレイ」は「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順により決定される。具体的には、図6Bに示すように、「第1停止右」の場合には「7リプレイ(赤7図柄揃い)」が有効入賞ライン上に停止可能であり、それ以外の押し順の場合には「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する。ただし、「7リプレイ(赤7図柄揃い)」は、押し順が一致し、かつ特定の停止操作タイミング(赤7図柄を引き込み可能な停止操作タイミング)で停止操作した場合には有効入賞ライン上に停止(入賞)し、押し順が一致しても当該特定の停止操作タイミング以外の場合には、7リプレイ(赤7図柄揃い)が停止せずに、その替わりの入賞役として、通常リプレイ(上段リプレイ表示)が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。なお、詳細は後述するが、7リプレイが当選した場合、停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)に応じて入賞する図柄の組合せ自体は異なるが、いずれの図柄の組合せが入賞しても、同一遊技状態であれば同じ遊技価値が付与されるようになっている(後述の7リプフェイク、BARリプレイ、BARリプフェイクについても同様)。
本実施形態の場合、7リプレイの構成要素図柄の引き込み率が100%未満である点や有効入賞ラインが「1ライン」しかない点などの関係上、7リプレイを入賞させるためには、それなりの目押し技術を要する。そこで、赤7図柄を疑似入賞ライン上に引き込める場合には、疑似入賞ラインに引き込んで‘赤7図柄揃い’停止させるように、7リプレイの入賞役を定めてもよい。ただし、「赤7図柄揃い」を疑似入賞ライン上に停止可能に構成する場合は、有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せ(真の入賞役)が、疑似入賞ライン上に成立した「赤7図柄揃い」であると遊技者が誤認しないように、液晶画面6aの所定の表示領域に真の入賞役を示す画像を表示することが好ましい(後述の7リプフェイク(赤7リプ聴牌外れ目を停止させる場合)や、BARリプレイ(BAR図柄揃いを停止させる場合)や、BARリプフェイク(BARリプ聴牌外れ目を停止させる場合)についても同様)。
(BARリプレイ:抽選番号18)
なお、抽選番号18の「BARリプレイ」についても、上述した7リプレイと同事象の引き込み制御が行われる。具体的には、押し順が一致し(第1停止右)、かつ特定の停止操作タイミング(BAR図柄を引き込み可能な停止操作タイミング)であれば、有効入賞ライン上に「BAR」-「BAR」-「BAR」(BARリプレイ(BAR図柄揃い))が有効入賞ライン上に停止し、‘BAR図柄揃い’という特殊な図柄の組合せが停止する。ただし、押し順が一致しても特定の停止操作タイミング以外の場合には、「BARリプレイ(BAR図柄揃い)」の替わりに、通常リプレイ(上段リプレイ表示)が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。
(7リプフェイク:抽選番号17)
次に、抽選番号17の「7リプフェイク」について説明する。
図6Bに示すように、7リプフェイクの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「赤7リプ聴牌外れ目」(7リプフェイク)、(2)「リプレイ」-「ベルA」-「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)となっている。「赤7リプ聴牌外れ目」は、たとえば、「チェリー」-「赤7」-「赤7」等のように、7リプレイ(赤7図柄揃い)が聴牌状態を呈するような図柄の組合せである。
上記「7リプフェイク」は「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、上述した7リプレイ(抽選番号16)と同じく、押し順が一致し、かつ特定の停止操作タイミングの場合に「赤7リプ聴牌外れ目」が有効入賞ライン上に停止し、それ以外の押し順の場合には「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する(図6B参照)。「赤7リプ聴牌外れ目」とは、たとえば、「チェリー」-「赤7」-「赤7」等の‘7リプレイの聴牌状態’となる停止目を指す。7リプフェイクは、「7リプ聴牌外れ目」を導出表示して、7リプレイの入賞または当選期待感を煽るための「フェイク役(ガセの役)」として働く。なお、停止操作タイミングに応じて、7リプフェイクの取りこぼしが発生し、図示はしていないが、上述した7リプレイと同様に、通常リプレイ(上段リプレイ表示)等が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。
(BARリプフェイク(抽選番号19)について)
なお、抽選番号19の「BARリプフェイク」についても、7リプフェイクと同事象の引き込み制御が行われる。BARリプフェイクが当選した場合、押し順や停止操作タイミングに応じて、BARリプ聴牌外れ目(たとえば、「チェリー」-「BAR」-「BAR」など)や通常リプレイ(上段リプレイ表示)などが停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。BARリプフェイクは、「BARリプ聴牌外れ目」を導出表示して、BARリプレイの入賞/当選期待感を煽るための「フェイク役」として働く。
(7リプレイ、BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクの配当について)
上記した7リプレイ、BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクの配当について説明する。これらの配当は、基本的には同じであるため、代表的に7リプレイの配当を中心に説明する。
7リプレイが当選した場合は、既に説明した通り、「7リプレイ(赤7図柄揃い)」、「通常リプレイ」、または「取りこぼし目」のいずれかが停止し、配当として少なくとも「再遊技」が付与される。
この「7リプレイ」は、押順規定役(押順規定再遊技役)に属するものであるが、押し順に応じて有利入賞役・不利入賞役が入賞する、という異なる遊技価値が付与されるといったものではなく、同一の遊技状態であれば、いずれの停止目であっても同じ遊技価値が付与される。たとえば、後述の本ART遊技(ART遊技)や上乗せ特化ゾーン(ART遊技の一態様)においては、いずれの停止目であっても、再遊技の付与の他、上乗せ抽選への実行権利が付与されるようになっており(後述の図31A~図31B参照)、たとえ目押しに失敗したとしても、上乗せ抽選の実行権利が消滅するわけではなく、上乗せ抽選の実行権利は付与される。このようにする理由は、特定の特典が付与される状況において、押し技術の巧拙により、折角獲得した権利が消滅してしまう事態を回避し、遊技者の遊技意欲を減退させないようにするためである。上記「BARリプレイ」、「7リプフェイク」、「BARリプフェイク」についても同様に、目押しに失敗しても、上乗せ抽選などの実行権利は消滅しないようになっている。この点、押し順に応じて、昇格移行や転落移行などが生じる、つまり、異なる遊技価値が付与される「移行リプレイ種別」とは性質を異にする。
(小役種別について)
次に図6B、図6Cを参照して、小役種別(抽選番号20~40)について説明する。抽選番号20~21の弱チャンス1~2、抽選番号22の強チャンス、抽選番号23のスイカ、抽選番号27の共通ベルAは、それぞれ「押順不問役」に属し、他方、抽選番号24~26の弱チェリー、強チェリー、最強チェリー、抽選番号28のチャンスベル、抽選番号29~40の押順ベルは、それぞれ「押順規定役」に属する役となっている。また、これら小役のうち特定の小役は、「AT抽選契機役」および/または「上乗せ抽選契機役」として働き、取りこぼしが発生しても、上記7リプレイなどと同様に、その実行権利は消滅しないようになっている。
(弱チャンス1、弱チャンス2:抽選番号20~21)
図6Bに示すように、弱チャンス1は、その当選により入賞が許容される図柄の組合せが「リプレイ」-「ベルA」-「スイカA/スイカB」(弱チャンス1表示)となっており、弱チャンス2は、「リプレイ」-「ベルA」-「スイカA/スイカB/赤7」(右回胴「赤7図柄」の場合は、弱チャンス2表示、右回胴「赤7図柄」以外の場合は、弱チャンス1表示)となっている。すなわち、弱チャンス2が当選した場合、停止操作タイミングに応じて、弱チャンス2表示(「リプレイ」-「ベルA」-「赤7図柄」)の他、弱チャンス1(「リプレイ」-「ベルA」-「スイカA/スイカB」)と同一の停止目(弱チャンス1表示)が有効入賞ライン上に停止しうる(弱チャンス1共通停止目)。
また弱チャンス1と弱チャンス2の配当は、いずれも「遊技メダル5枚」の払い出しとなっている。このため、弱チャンス2が当選し、弱チャンス1が入賞した場合、停止目と払出枚数だけでは、どちらの役に当選したのかが不明確となる。また、弱チャンス1と弱チャンス2とは、所定の条件下で、後述のAT抽選(図29A~図29C)または上乗せ抽選(図31A~図31B)の実行権利が追加的に付与されうる。したがって、弱チャンス1と弱チャンス2とは、「AT抽選契機役」および/または「上乗せ抽選契機役」として働く(図29A~図29C、図31A~図31B)。しかし、このAT抽選においては、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、AT抽選確率が高く設定されており、この点で、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、遊技価値が相対的に高い抽選対象役となっている(後述の図29A~図29C、図31A~図31B参照)。また、AT抽選や上乗せ抽選の実行権利に関しては、上記した7リプレイの場合と同じく、目押しに失敗して対応する図柄の組合せが入賞せずともその権利が消滅しない(後述の強チャンスも同様)。なお弱チャンス1と弱チャンス2は、対応する図柄の組合せの異なるものが含まれるが、本発明はこれに限らず、双方同一の図柄の組合せとしてもよい。
(強チャンス:抽選番号22)
次に、抽選番号22の「強チャンス」について説明する。
強チャンスの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」-「ベルA(15番以外)/赤7/BAR」-「赤7/BAR/スイカA/スイカB」となっている。この図柄の組合せからも分かる通り、強チャンスが当選した場合、弱チャンス1表示(「リプレイ」-「ベルA」-「スイカA/スイカB」:「弱チャンス1共通停止目」)、弱チャンス2表示(「リプレイ」-「ベルA」-「赤7図柄」:「弱チャンス2共通停止目」)、または強チャンス表示(上記図柄の組合せのうち、弱チャンス1および弱チャンス2表示以外の図柄の組合せ)のいずれかが有効入賞ライン上に停止しうる。いずれの図柄が停止するのかについては、停止操作タイミングに応じて決定される。
また強チャンスは、弱チャンス1と弱チャンス2と同じく「遊技メダル5枚」の払い出しとなっている。このため、強チャンスが当選し、弱チャンス1または弱チャンス2が入賞した場合、停止目と払出枚数だけでは、どちらの役に当選したのかが不明確となる。また、強チャンスも「AT抽選契機役」および/または「上乗せ抽選契機役」として働くが、これら抽選においては、強チャンスは、弱チャンス1、2よりも優遇されており(図29A~図29C、図31A~図31B参照)、強チャンスは、弱チャンス1、2よりも遊技価値が相対的に高い抽選対象役となっている。
(スイカ:抽選番号23)
抽選番号23のスイカは、押順不問役であるが、図6Bに示す図柄の組合せの入賞には、特定の停止操作タイミングを要する。スイカの配当は遊技メダル3枚の払い出しとなっている。
(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー:抽選番号24~26)
次に、抽選番号23~26の弱チェリー、強チェリー、最強チェリーについて説明する。
弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーは、それぞれ「押順規定役(押順規定小役)」に属する役であり、その当選により、停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)に応じて、図示の図柄の組合せのいずれかが有効入賞ライン上に停止する。また配当としては、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのいずれも、少なくとも「遊技メダル2枚」が付与される。
弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーに対応する図柄の組合せには、次のような特徴的な関係がある。
(チェリー溢し目)
図6Bを参照して、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのそれぞれは、所定の押し順である場合(少なくとも第1停止が特定の回胴である場合)、三者に共通して入賞しうる特定の停止目(チェリー溢し目)がある。詳述すれば、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのいずれかのチェリー役が当選したときに、第1停止が中回胴5b以外である場合、次のような停止制御が行われる。
このケースでは、左回胴5aを停止する際に、「2番の下弾図柄(チェリー図柄が、いずれのライン上にも表示されることの無い「下弾図柄」:図3の図柄配列帯200の「1st」参照)」を有効入賞ライン上に引き込めるタイミングで停止操作した場合、2番の下弾図柄が有効入賞ライン上に停止し、図示の「下弾(2番)」-「ベルA」-「リプレイ」特殊な図柄の組合せである、‘チェリー溢し目’(左回胴5aの枠内にチェリー図柄が表示されない停止目)が必ず停止する。この「チェリー溢し目」は、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのどのチェリー役が当選した場合にも出現しうる共通の停止目となっている。さらに「チェリー溢し目」の配当が「遊技メダル2枚」の払い出しであるため、「チェリー溢し目」が停止してしまうと、その停止目を見ただけででは、いずれのチェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)に当選したのかが不明確となる(秘匿される)。
(チェリー共通停止目)
上記した「チェリー溢し目」は、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのいずれかが当選した場合に、共通の押し順(第1停止中)である場合において、3者間で共通して出現しうる停止目であるが、このチェリー溢し目以外にも、弱チェリーと強チェリー、強チェリーと最強チェリーとの2者間で、異なる押し順に応じて共通の停止目(チェリー共通停止目)が出現する場合がある。以下詳細に説明する。
(弱チェリーと強チェリーとに係るチェリー共通停止目)
抽選番号24の「弱チェリー」が当選し、第1停止が中回胴5b以外である場合(ただし、チェリー溢し目が停止不可能な停止操作タイミングである場合)、図示の「チェリー/ベルB/下弾」-「ベルA」-「上弾/下弾/リプレイ」という「弱チェリー(弱チェリー表示)」が停止しうる。ところが、第1停止が中回胴5bであるときには、抽選番号25の強チェリーが当選した場合にも入賞が許容される「チェリー/ベルB/下弾」-「赤7/BAR/下弾/チェリー」-「赤7/下弾/ベルA/スイカA/スイカB」という「強チェリー(強チェリー表示)」が停止しうる(図6Bの弱チェリーの欄参照)。すなわち、弱チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、強チェリーにも対応する図柄の組合せの「強チェリー」が出現してしまい(ここでは、弱チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、強チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、弱チェリーに当選したのか、強チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
また、抽選番号25の「強チェリー」が当選した場合にも、「弱チェリー」が停止しうる。詳しくは、第1停止が中回胴5b以外である場合(ただし、チェリー溢し目が停止不可能な停止操作タイミングである場合)、上記「強チェリー表示」が停止しうるが、第1停止が中回胴5bであるときには、上記した「弱チェリー表示」が停止しうる(図6Bの強チェリーの欄参照)。すなわち、強チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、弱チェリーにも対応する図柄の組合せの上記「弱チェリー」が出現してしまい(ここでは、強チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、弱チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、強チェリーに当選したのか、弱チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
(強チェリーと強チェリーとに係るチェリー共通停止目)
また、抽選番号26の「最強チェリー」が当選した場合、停止操作手順に応じて、上述の強チェリーが停止しうる。詳しくは、第1停止が中回胴5b以外である場合(BAR図柄を有効入賞ライン上に引き込める停止操作タイミングである場合)、「BAR」-「赤7/BAR/下弾/チェリー」-「赤7/下弾/ベルA/スイカA/スイカB」という「最強チェリー(最強チェリー表示)」が停止しうる。ところが、第1停止が中回胴5b以外であっても特定の停止操作タイミング(チェリー溢し目を引き込めるタイミングまたはBAR図柄を有効入賞ライン上に引き込めない停止操作タイミング)の場合や、第1停止が中回胴5bである場合、抽選番号25の強チェリーが当選した場合にも入賞が許容される上記「強チェリー(強チェリー表示)」が停止しうる(図6Bの最強チェリーの欄参照)。すなわち、最強チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、強チェリーにも対応する図柄の組合せの上記「強チェリー(強チェリー表示)」が出現してしまい(ここでは、最強チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、強チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、最強チェリーに当選したのか、強チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
(チェリー役種別の配当について)
本実施形態では、いずれのチェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)に当選しても払い出しがゼロとなる取りこぼし目が導出されず、図示のいずれかの入賞役が入賞して、少なくとも配当2枚(遊技メダル2枚)が得られるようになっている。また弱チェリー、強チェリー、最強チェリーは、上記「AT抽選契機役」および/または「上乗せ抽選契機役」として定められており、後述のAT抽選、上乗せ抽選に関する優遇度(AT抽選確率など)が「弱チェリー<強チェリー<最強チェリー」の関係となっている(図29A~図29C、図31A~図31B参照)。特に最強チェリーは、内部抽選確率が最も低確率のため(図5A参照)、他の抽選対象役と比し、所定の抽選(AT抽選や上乗せ抽選など)の優遇度合いが最高のプレミアム的な役となっている。このように、チェリー役には遊技メダルの配当自体は同一払出枚数であるが、AT抽選や上乗せ抽選などの遊技価値の軽重があるため、上記のように、チェリー共通停止目が出現した場合に、いずれのチェリー役に当選したかを秘匿することで、最強チェリーへの当選期待感を煽ることができるようになっている。また遊技上級者にあっては、取りこぼしがないことを利用し、故意にチェリー共通停止目を停止させ、いずれのチェリー役が当選したか不明確にして、当選への緊張感を楽しむことができるようになっている。
(共通ベルA:抽選番号27)
次に図6Cを参照して、小役種に属する抽選番号27の共通ベルAについて説明する。
図6Cに示すように、共通ベルAの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」-「ベルA」-「リプレイ」の図柄の組合せ(中段ベル)となっている。なお、「リプレイ」-「ベルA」-「リプレイ」が有効入賞ライン上に停止した場合、疑似入賞ラインの中段横ライン上には、ベルAまたはベルBを利用した図柄の組合せである「ベルA/ベルB」-「ベルA」-「ベルA/ベルB」(中段ベル表示)が停止するようになっている。また、共通ベルAは「押順不問役」に属し、上記「中段ベル」を入賞させるための停止操作タイミングも必要としない。つまり、共通ベルAが当選した場合、どのような停止操作手順であっても、中段ベルの入賞が発生し、配当として「遊技メダル9枚」が付与される。
(チャンスベル:抽選番号28)
次に、抽選番号28のチャンスベルについて説明する。
チャンスベルは「押順規定役」に属し、所定の押し順(第1停止左)の場合には、有利入賞役として上記の共通ベルAと同じ配当9枚の「中段ベル」が停止(入賞)し、その押し順とは異なる押し順(第1停止左以外)である場合には、不利入賞役として配当5枚の「リプレイ」-「ベルA」-「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(5枚ベル)が停止しうるように定められている。なお、チャンスベルはAT抽選契機役として定められているが、AT抽選が実行されるのは、中段ベルが入賞した場合(第1停止左)となっている(後述の図29A~図29Cの備考欄参照)。
(押順ベル種別:抽選番号29~40)
次に図5Cを参照して、抽選番号29~40の「押順ベル種別」について説明する。
上記押順ベル種別は「押順規定役(押順規定小役)」に属する抽選対象役であり、所定の押し順の場合には、有利入賞役として上記の共通ベルAと同じ配当9枚の「中段ベル」が停止(入賞)し、その押し順とは異なる押し順である場合には、不利入賞役として配当1枚の「1枚ベル」か、または「1枚ベル」が引き込めないときは、配当が得られない「1枚ベル溢し目」(配当0枚)が停止しうるように定められている。以下、不利入賞役側の「1枚ベル」または「1枚ベル溢し目」を‘ベル溢し目(押順ベル溢し)’と略す。また、押順ベル種別において、中段ベルが停止する押し順を「押し順正解」と称し、ベル溢し目が停止する押し順を「押し順不正解」と称する。
上記した抽選番号29~40の各押順ベルは、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、以下では重複記載を避けるために、抽選番号29の「押順ベル123A」を代表的に説明する。
(押順ベル123Aについて)
押順ベル123Aの当選により入賞が許容される図柄の組合せについて、停止制御の観点から具体的に説明すれば、次の通りである。
図6Cに示すように、押順ベル123Aが当選した場合、押し順正解である「左中右」の場合には、配当9枚の「中段ベル」が入賞し、それ以外の押し順である「押し順不正解」の場合には「中段ベル」は入賞せず、下記のような図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するように回胴の停止制御が行われる。
押し順が「押し順不正解」である場合には、中段ベルの取りこぼしが発生し、上記「ベル溢し目」が遊技結果として導出表示されるが、このときには、押し順不正解時の停止操作手順に応じて、図6C(α)に掲げる図柄の組合せを持つ1枚ベルA~Nのうち‘1枚ベルA、1枚ベルB、1枚ベルE、1枚ベルF、または1枚ベルI’(停止番号60、61、65、66、69)のいずれかの「1枚ベル」が停止しうる(図6Cの押順ベル123Aに係る「押し順不正解停止番号」および同図(α)の「押し順不正解種別」の欄参照)。ただし「1枚ベル」を引き込めない停止操作タイミングである場合は、1枚ベルの取りこぼしが発生し「1枚ベル溢し目(配当0枚)」が停止するようになっている。したがって、押順ベル123Aは、その当選により、中段ベルの入賞を許容する役と、1枚ベルAの入賞を許容する役、1枚ベルBの入賞を許容する役、1枚ベルEの入賞を許容する役、1枚ベルFの入賞を許容する役、1枚ベルIの入賞を許容する役に重複当選可能な「重複役」としての性質を有するものといえる。なお、ベル溢し目が入賞した場合、RT1遊技に転落移行するようになっている(図8参照)。また押し順ベル種別は、AT抽選契機役および/または上乗せ抽選契機役として働くが、押し順ベルの場合、押し順正解時に限りAT抽選が実行されるようになっている(後述の図29A~図29Cの備考欄参照)。なお、1または複数の特定の押順規定役について、特定の押し順の場合に抽選実行権利(たとえば、AT抽選、上乗せ抽選など)を付与し、それ以外の押し順の場合には抽選実行権利を付与しない構成としてもよい。
本実施形態では、図示の通り、押順ベルを複数種類設け、各押順ベルについて配当が多い押し順を1つだけ割り当て、それ以外の押し順(押し順不正解)である場合には、配当が最少の遊技メダル1枚か、配当無しとなる入賞役を停止させるように定めてある。各押順ベル(抽選番号29~40)のうち、「押順ベル***A’」(‘*’は図示のアラビア数字)の表記の押順ベルグループA(抽選番号29、31、33、35、37、39)または「押順ベル***B」の表記の押順ベルグループB(抽選番号30、32、34、36、38、40)に着目した場合、少なくとも中段ベルを入賞させる押し順については、各押順ベル同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている。これにより、遊技者が恣意的に回胴を停止操作しても、後述のAT遊技中でない限りは、高配当側の中段ベルを高確率で入賞させないようにし、設計上、想定外の利益が遊技者に付与されてしまうことを防止している。なお、上記押順ベル種別は、押し順と停止操作タイミングとに応じて異なる図柄の組合せが停止すると説明したが、本発明はこれに限らず、押し順および/または停止操作タイミングに応じて異なる図柄の組合せを停止させるように構成してもよい。
(特別役種:BB1、BB2)
次に、抽選番号41のBB1、抽選番号45のBB2について説明する。
BB1とBB2は「特別役種」に属し、「押順不問役」として規定されている。この特別役は、第1種特別役物または第2種特別役物に係る抽選対象役であり、特定の小役の抽選確率が高確率に変動する遊技状態や、1以上の回胴の引き込みコマ数を1コマ以内(75ms以内に停止)に変動する遊技状態(CB)などの特別遊技状態への移行契機となる特別遊技状態移行契機役となっている。この点で、特別遊技状態への移行契機とはならない「一般役種(小役種、リプレイ役種)とは性質を異にする。
BB1、BB2の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、それぞれ「ベルA(4番)」-「上弾」-「下弾」の図柄の組合せ(BB1)、「上弾」-「下弾」-「ベルA(0番)」の図柄の組合せ(BB2)となっている。本実施形態の場合、連続する特定の図柄(上弾/下弾図柄)を利用して有意な意匠を呈する停止目が形成されるようになっており、BB1が有効入賞ライン上に停止した場合は、3つの砲弾図柄が一直線上に並んで表示される、といったインパクトのある停止目(砲弾揃い)が導出表示される。しかしBB2が有効入賞ライン上に停止した場合は、BB1の「砲弾揃い」が崩れたような停止目(右回胴5cは「砲弾図柄」が上に1コマずれた「砲弾崩れ目」)が導出表示される。
BB1またはBB2が入賞した場合、次ゲームから遊技者に有利なボーナス遊技に移行される。このボーナス遊技中は、共通ベルA(抽選番号27)の当選確率が高確率に変動し、1ゲーム当りの平均純増枚数が他の遊技状態よりも向上し遊技者は短時間で大量の遊技メダルを獲得することができる(図5A、図5BのBB中の欄参照)。本実施形態では、BB1とBB2とでボーナス遊技の性能が異なり、BB2よりもBB1の方がボーナス遊技の利益度合いが相対的に高く設定されている。たとえば、BB1は第1の規定払出枚数(たとえば、146枚)で終了し、BB2はそれよりも少ない第2の規定払出枚数(たとえば、72枚)以上の遊技メダルの払い出しで終了するようになっている。
なお、ボーナス遊技中に、特典を付与するための利益抽選を実行してもよい。たとえば、通常遊技中にBB1および/またはBB2に当選した場合、今回のボーナス遊技中において、AT抽選(図29A~図29C)と同じ役割を持つ「ボーナス中AT抽選」を実行し、当選した場合には、AT当選状態とし、後述の本ART遊技への移行権利(本ART遊技移行確定)を付与可能に構成することができる。
また、本ART遊技移行前の遊技状態である後述の前兆遊技中または準備ART遊技中にBB1および/またはBB2に当選した場合、そのボーナス遊技中において、当該ボーナス遊技後に実行予定の本ART遊技に対する上乗せ抽選(後述の図31A)を実行可能に構成してもよい。また、本ART遊技中のBB1および/またはBB2に当選した場合に、本ART遊技の残余ゲーム数に対する上乗せ抽選(後述の図31A)を実行可能に構成してもよい。
なお、ボーナス遊技中のAT抽選や上乗せ抽選は、後述の図29A~図29C、図31A~図31Bなどの抽選テーブルを利用してもよいし、ボーナス遊技専用の抽選テーブルを別途設けてもよい。またその抽選実行条件(抽選契機役種)や抽選確率なども適宜定めることができる。
(特別役の持ち越しについて)
上記した特別役であるBB1とBB2は、その内部当選フラグ(ボーナス当選フラグ)を次回以降のゲームに持ち越し可能な「持越役」として定められている。このため、特別役(BB1、BB2)に当選した場合は、当選した特別役に対応する図柄の組合せが入賞するまでの遊技期間(BB内部当選遊技(BB内部中))、ボーナス当選フラグの成立状態が維持され(ボーナス持越状態)、この間、すべてのBBは内部抽選対象から除外される。なお、BB内部当選中は、リプレイ役の当選確率が通常遊技よりも高確率に変動した「RT4遊技」下となる(後述の図8のボーナス内部当選遊技の欄参照)。
一方、特別役種以外の一般役種(小役種とリプレイ役種)は、その当選フラグを次回のゲームに持ち越すことができない「持越不可能役」として定められている。一般役種については、BB内部当選中であっても通常通りに内部抽選が実行され、当選すれば、その内部当選フラグが成立する。このため、ボーナス当選フラグと一般役種の内部当選フラグとが同時に成立する「重複当選状態」が発生するが、この場合、いずれの当選役に対応する図柄の組合せを入賞させるかについては、所定の引き込み優先順位に基づいて決定される。本実施形態の場合、その優先順位は「特別役種(BB)<小役種<リプレイ役種」の順位となっている(小役優先制御)。これにより、特別役種(BB1、BB2)と一般役種とが重複当選中のゲームにおいては、一般役種が優先的に入賞することになる。
また本実施形態では、抽選番号41のBB1または抽選番号45のBB2のように、特別役種が他の一般役種と重複当選しない単独当選役として定められているものと、抽選番号42~44、46~48のように、特別役種と特定の一般役種とが重複当選可能な「重複BB役」が複数種類設けられている。重複BB役が当選役として決定された場合、当選役に対応する図柄の組合せとして、特別役種と一般役種とが入賞許容状態に置かれることになる。この場合、当選ゲームでは、引き込み優先順位に基づき、いずれの入賞役を優先的に有効入賞ライン上に引き込むのかが決定される。本実施形態では、小役優先制御となっているので、当該当選ゲームでは、先ず、一般役種を優先的に入賞させる引き込み制御が行われる。
以上に説明した抽選対象役、対応する入賞役、配当、およびその種類などに関する役構成については、本発明の目的を達成できるものであれば特に制限されない。たとえば、特別役種については、1または複数種類であっても良いし、特別役種自体を設けない構成としてもよい。
<遊技形態:図8>
次に図8を参照して、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技形態(ゲーム性)について説明する。
本実施形態に係る回胴式遊技機では、基本的な遊技状態として、RT遊技(後述のRT0遊技~RT4遊技)、AT遊技(後述のAT0遊技~AT3遊技)、ボーナス遊技などを実行制御可能に構成されている。上記RT遊技は、抽選対象役を決定する際のベースとなる遊技状態であり(図5A、図5B参照)、このRT遊技に付随してAT遊技を重複的(同時的)に発生させることで、いわゆる「ART遊技」が実現される。
主制御部400側は、これら遊技状態を制御する機能部として、RT遊技を制御するRT遊技制御手段、AT遊技を制御するAT遊技制御手段、ボーナス遊技を制御するボーナス遊技制御手段など、遊技状態制御用の種々の手段を備える。
また演出制御部410側は、主制御部側が管理する遊技状態(主制御側遊技状態)に対応する演出モード(演出側遊技状態(演出状態))を管理制御する。これら演出モードは、主制御部側遊技状態と整合性を保つ形で管理されるようになっており、これにより、現在の遊技状態に関連した適切な演出が実現される。詳細は後述するが、本実施形態では、基本遊技状態としての「RT遊技種別(「RT状態」とも称する)」と、「AT遊技種別(以下「AT状態」とも称する)」とを組合せた遊技状態(内部遊技状態)として、初期遊技、通常遊技、準備ART遊技、本ART遊技、上乗せ特化ゾーン、ボーナス内部当選遊技などの様々な遊技状態を実現する。
(RT(リプレイタイム)遊技について)
RT遊技とは、再遊技を伴うリプレイ役種の当選確率(リプレイ確率)が基準の遊技状態の所定確率から変動した「再遊技確率変動状態」をいう。
本実施形態では、基準の遊技状態として、最もリプレイ確率(ここでは、リプレイ役種の合算当選確率)が低確率であるRT0遊技を基準とし、このRT0遊技と比べて、リプレイ確率が高確率に変動するRT遊技1~RT遊技4(再遊技高確率抽選状態)を上記再遊技確率変動状態として扱う。本実施形態の場合、各RT遊技のリプレイ確率の関係は、RT0遊技(低確率RT遊技)<RT1遊技(低確率RT遊技<RT4遊技(BB内部当選遊技中(中確率RT遊技))<RT2遊技=RT3遊技(高確率RT遊技)」の関係となっている(図8、図5A参照)。RT0遊技とRT1遊技とはリプレイ確率が略同一、RT2遊技とRT3遊技とは、リプレイ確率が同一となっている。したがって、リプレイ役の出現率の観点からは、RT0遊技とRT1遊技の違い、RT2遊技とRT3遊技の違いを遊技者が察知することが困難なものとなっている。なお、各RT遊技のリプレイ確率がそれぞれ異なっていてもよい(たとえば、RT0遊技<RT1遊技<RT4遊技<RT2遊技<RT3遊技の関係)。また、リプレイ確率について、RT0遊技とRT遊技とが同一であってもよいし、RT2遊技とRT3遊技とが略同一であってもよい。
各RT遊技は、非BB内部当選遊技に係るRT遊技であるか、BB内部当選遊技(ボーナス持越状態)に係るRT遊技であるかで大別される。本実施形態の場合、非BB内部当選に係るRT遊技種別はRT0遊技~RT3遊技となっており、BB内部当選中に係るRT遊技種別はRT4遊技となっている。なお、非BB内部当選中とBB内部当選中とは、ボーナス遊技とは異なり、小役種の内部抽選確率を変動させることができない「一般遊技状態」として規定されている。
(AT遊技について)
AT遊技とは、演出手段(副報知手段)および/または主制御部400により制御される表示手段(たとえば、払出枚数表示器35:主報知手段)を用いて、役の抽選結果に関連する情報が、所定の報知態様(画像表示演出、音演出、光演出、7セグ表示など)により報知されうる「特典遊技状態」である。「役の抽選結果に関連する情報」とは、主に、当選役に係る特定の図柄の組合せ(有利入賞役、不利入賞役、その他、特定の図柄の組合せを含む)の入賞を案内するための停止操作手順情報(アシスト情報:押し順および停止操作タイミングの少なくともいずれか一方に関する情報)であり、この情報を報せる報知態様(演出態様)を「アシスト報知演出(以下「アシスト報知」と略す)」と称する。
なお詳細は後述するが、本実施形態では、基本遊技状態である「RT遊技種別」と「AT遊技種別」とを組合せた内部的な遊技状態(RT遊技+AT遊技(内部遊技状態))、つまり、遊技機全体として捉えた遊技状態として、初期遊技、通常遊技、準備ART移行前遊技、準備ART遊技、本ART遊技、上乗せ特化ゾーン、ボーナス内部当選遊技などの様々な遊技状態を制御可能に構成されている。
またこれら遊技状態のうち、少なくとも1つの遊技状態(たとえば、通常遊技)については、さらに細分化した複数種類の遊技状態(たとえば、後述の「地獄モード」、「通常モード」、「天国モード」、「前兆モード」など)が設けられている。これら遊技状態は、基本遊技状態とは別の遊技状態である「遊技モード」として管理され、必要に応じて、この遊技モードに関連する処理が実行される。これにより、同一の内部遊技状態、たとえば、通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)でありながらも、複数種類の遊技モード、たとえば、「地獄モード」「通常モード」「天国モード」「前兆モード」という種々の遊技モードに関連する演出モードを設けることが可能になる。すなわち、同一の遊技状態(内部遊技状態)でありながらも、複数種類の遊技モードのそれぞれに関連した演出を現出させることできる。この「遊技モード」については、図34に示すように、多数の遊技モードが設けられている。なお、図34には、遊技機1に係る遊技モードのうち、代表的な遊技モードを示してある。
なお本実施形態に係る演出モードには、図34に示す遊技モードに関連して、たとえば、下記(1)~(8)のような複数の演出モードが設けられている。
(1)初期遊技(初期遊技モード)および通常遊技(地獄、通常、天国、前兆)に係る「地獄演出モード、通常演出モード、天国演出モード、前兆演出モード」、
(2)準備ART移行前遊技に係る「ART移行前演出モード」、
(3)準備ART遊技に係る「準備ART演出モード」、
(4)本ART遊技に係る「ART演出モード(非バトル演出モード)」、
(5)継続バトルモードに係る「継続バトル演出モード」、
(6)上乗せ特化ゾーンに係る「上乗せ特化演出モード」、
(7)ボーナス内部当選遊技に係る「内部当選中演出モード」、
(8)ボーナス遊技に係る「ボーナス演出モード」。
主制御部400では、遊技状態情報として、現在の基本遊技状態(RT種別、AT種別)、内部遊技状態(RT種別+AT種別)および遊技モード(地獄モード、通常モード、天国モード、前兆モードの各遊技モードなど)を識別可能に管理されている。これらの遊技状態情報は、RAM401bの所定領域にて格納され、遊技状態に関する情報が必要な処理において、適宜利用される。この遊技状態情報は、遊技状態(基本遊技状態、内部遊技状態、遊技モード)に変更がある度に更新される。これにより主制御部400は、現在の遊技状態がどのような遊技状態であるかを把握可能となっている。
また、ゲーム実行毎に、主制御部400から演出制御410に対して、現在の遊技状態を特定可能な情報が演出制御部410に送信可能に構成されている(たとえば、後述の図10BのステップS73(ART関連のコマンド設定処理)、図10CのステップS90(ゲーム終了時の共通処理)、図15(ART関連のコマンド設定処理)、図35等参照)。これにより演出制御部410は、主制御部400側で制御される遊技状態、遊技状態の移行タイミングなどを把握可能となっている。
なお、上記「遊技モード」は、本発明に係る遊技状態の一態様として扱うことができる。したがって本発明において「遊技状態の移行」または「遊技状態の変化」あるいは「遊技状態の更新」と称する場合は、必ずしも基本遊技状態または内部遊技状態の移行(変更)を意味するだけでなく、遊技モードの移行を意味する場合がある。本発明において遊技状態と称する場合、いずれも遊技状態の概念に含むものとして扱うことができる。また、基本遊技状態、内部遊技状態または遊技モードのいずれを意味するのかは、特許請求の範囲に係る発明特定事項の関係性に応じて適宜決定されうる。以下では、説明の便宜のために、特に必要のない限り、基本遊技状態、内部遊技状態、および遊技モードを同列に扱い、これらを単に「遊技状態」と称して説明する。
ところでAT遊技は、風営法に関する不正行為防止や、著しく遊技者の射幸心をそそるおそれのある遊技機の提供を防止する(いわゆる「のめり込み防止」)などの法的要請から、演出制御部410側ではなく、主制御部400側がその機能部を担う「AT遊技制御手段」によりその発生および終了が制御される。このAT遊技制御手段は、アシスト報知に関する遊技状態として、アシスト報知禁止(制限)状態下の「通常報知状態(非AT遊技)」と、アシスト報知許容状態下の「有利報知状態(AT遊技)」とを含む複数種類の報知状態を制御可能に構成されている。上記AT遊技には、後述のAT1遊技~AT3遊技を含む複数種類のAT遊技が設けられており、いずれのAT遊技中であるかに応じて、アシスト報知対象やその報知内容が異なる場合がある。これら複数種類のAT遊技やRT遊技を実効化することにより、図8に示す種々の遊技状態を実現し、遊技性の自由度を高めて遊技の面白みを向上させている。
※
(安全装置について)
また本実施形態に係る遊技機には、「安全装置」が設けられている。この安全装置は「コンプリート機能」とも称され、上記「のめり込み防止」対策の一つとして、或る遊技期間(たとえば、パチンコホール店における1日の営業中(電源ON(電源投入)から電源OFF(電源遮断)までの間))において、所定の方法で計測される差枚数が、所定の作動枚数(以下「安全装置作動契機枚数」とも称する)に達した場合、それ以降は、遊技実行不能状態(特別打ち止め状態)に制御する機能である(後述の図17BのステップS804、図17D、図17E参照)。
安全装置作動に関する差枚数(以下「安全装置作動差枚数」とも称する)の計測は、本実施形態では、一日の営業中における遊技の結果が得られたときの遊技メダルが最も減少したときを基準として、当該基準からの遊技メダルの増加数(いわゆる「MY」値)」を「安全装置作動差枚数」としてカウント(MYカウント方式)し、この安全装置作動差枚数が「安全装置作動契機枚数」(たとえば、19000枚)に達したときに“遊技実行不能状態(特別打ち止め状態)”に制御する。ここでいう「遊技実行不能状態」とは、打ち止め状態の一態様であるが、たとえば、遊技メダルの投入不可(メダル検出センサ7aの検出無効(ブロッカーソレノイド7cの通電OFF))、ベット不可(MAXベットスイッチ8aおよび1ベットスイッチ9aの操作検出無効)、始動レバー11の操作受付無効(始動スイッチ11aの操作検出無効)などにより、遊技開始不能な状態である(安全装置作動状態)。いずれにしても、安全装置が作動した場合には、その作動を解除しない限り、それ以降は、ゲームを実行することが不可能とされる。なお、安全装置が作動した場合は、所定の解除操作(たとえば、設定変更操作)を行わない限り、その作動が解除できないようになっている。この点、打止スイッチよる解除可能な単なる打ち止め状態(通常打ち止め状態)とは異なる。
(安全装置作動演出)
また、安全装置が作動した場合は、その作動が解除されるまで、安全装置が作動中である旨(特別打ち止め状態である旨)を報知すべく、払出枚数表示部35を用いて所定のコード(たとえば、「FF」)が表示され、1または複数種類の演出手段を用いて報知演出(安全装置作動演出)が実行されるようになっている(安全装置作動報知手段)。
(安全装置作動事前報知)
また、安全装置作動前の所定の報知契機に基づいて、安全装置が作動されることを事前に報知する安全装置作動事前報知(安全装置作動事前報知演出)を実行可能に構成してもよい(安全装置作動事前報知手段)。たとえば、安全装置の作動契機となる差枚数が18900枚である場合、現在の差枚数が18900枚に達した場合に、安全装置が間もなく作動される旨(たとえば、カウントダウン表示)を事前報知可能に構成する。事前報知手段としては、たとえば専用の表示器を用いて報知をする、演出手段を利用して事前報知演出を現出させることができる(たとえば、「まもなく、安全装置が作動します」、「あと残り○○枚数で安全装置が作動します(カウントダウン表示)」など)。なお、作動契機となる差枚数は適宜な値、たとえば、ART遊技中やボーナス遊技中などで得られる平均的な獲得枚数を考慮した値に基づいて定めることができる。たとえば、ボーナス遊技中の純増枚数が平均300枚であれば、上記安全装置作動契機枚数(19000枚)から、その平均枚数を引いた値の18700枚(安全装置作動契機枚数-300枚=18700枚)を、安全装置作動の事前報知契機枚数とすることができる。いずれにしても、安全装置作動の事前報知契機枚数は、少なくとも「安全装置作動契機枚数」よりも少ない枚数(安全装置作動契機枚数-所定値=事前報知契機枚数)に設定すればよく、遊技機の出玉性能などを考慮した上での事前報知契機枚数を設定すればよい。
(アシスト報知について)
本実施形態では、既に説明したように、複数種類の押順規定役が設けられている。たとえば、チャンスベルや押順ベル(抽選番号28~40)では、押し順に応じて、配当9枚の中段ベルのように、有利に作用しうる図柄の組合せ(有利入賞役)が入賞しうる。しかし非AT遊技中においては、これらの役に当選しても、有利入賞役の入賞を案内する停止操作手順情報(押し順情報)は遊技者に報知されない、あるいは報知されるとしても、それはAT遊技中ではなく、単に当選役に係る予告演出として単発的に報知されるだけである。このため、非AT遊技中は、遊技者が有利入賞役を入賞させるための手掛かりを得ることができず、その入賞が困難な状況下に置かれる。したがって、非AT遊技中は、遊技進行上、AT遊技中よりも遊技者に不利なゲーム展開とされる。
これに対しAT遊技中においては、有利入賞役の入賞を案内する情報が高確率または100%の確率で報知されるため、その入賞が著しく容易になる。たとえば、抽選番号29の「押順ベル123A」が当選した場合、不利入賞役側の‘1枚ベル(配当1枚)’ではなく、有利入賞役側の‘中段ベル(配当9枚)’の入賞を案内する押し順情報(本例の場合、「左中右」の押し順情報)が遊技者に報知される。このとき、遊技者がその報知内容に従い回胴を停止操作すれば、高配当お中段ベルを入賞させることができる。これによりAT遊技中は、1ゲームあたりに遊技者が獲得し得る平均的利益(ベース値)が非AT遊技中よりも向上した遊技状態になる。したがって、AT遊技中は、非AT遊技中よりも遊技者に有利なゲーム展開とされる。
(アシスト報知手段について)
上記アシスト報知は、主に、演出制御部410により制御される演出手段(たとえば、液晶表示装置6、装飾ランプ13、スピーカ16など)により現出される。しかし本実施形態の場合、演出手段と、主制御部400が制御する特定の表示手段(たとえば、払出枚数表示器35)の少なくとも2つの報知手段により、アシスト報知を発生させるようになっている。アシスト報知手段のうち、主制御部400側が制御する報知手段を「主報知手段」と称し、演出制御部410側が制御する報知手段を「副報知手段」と称する。アシスト報知を現出する手段について、主報知手段と副報知手段とを用いる理由は以下の通りである。
従来、AT遊技は、専ら演出制御部410が主導的に制御していた。しかし近年、主制御基板に不正行為・不正改造を行うのではなく、演出制御基板420等の周辺基板に対して不正行為・不正改造を行い、遊技機の本来の設計とは異なる仕様のAT遊技を発生させ、出玉率を著しく改ざんするゴト行為が横行していた。たとえば、AT遊技の継続ゲーム数を本来の継続ゲーム数の数十倍のゲーム数からスタートさせたり、AT抽選に強制的に当選させたりする等である。そこで第1に、不正行為防止・不正改造防止の観点から、出玉率に大きく影響するAT遊技の制御機能部を、従来の演出制御部410側ではなく主制御部400側が担うようにし、遊技動作を統括的に司る主制御部400以外の周辺基板(たとえば、遊技表示基板390や演出制御部410等)に搭載されている電子部品等が改ざんされても出玉率に影響が無いように、出玉に影響しうるような遊技機の設計を防止する。第2に、演出制御部410等の周辺基板だけでアシスト報知を実行可能な情報(たとえば、当選役を特定可能な情報や当選役に係る停止操作手順情報:アシスト情報)を演出手段に対し送信しないようにする。第3に、主制御部400がアシスト報知の実行制御を行っていることを外部に報知するべく、主制御部400側が決定したアシスト情報(停止操作手順情報)を、主報知手段を利用して報知させるとともに、当該アシスト情報と同一または実質的に同一の内容を反映させた情報を演出手段を利用して現出させ、これにより上記第1および第2の事項を実効化する。このような観点から、本実施形態では、アシスト報知手段として、主報知手段と副報知手段とを用いた構成としている。
また本実施形態では、主制御部400がアシスト報知を実行すると決定した場合は、演出制御部410に対して、アシスト情報を送信するが、アシスト報知を実行しないと決定した場合は、演出制御部410に対して、アシスト情報を送信しない、またはアシスト情報を実行しない旨の非実行情報を送信する。これにより、演出制御部410側は、アシスト情報を演出的に報知し、所定の演出態様にて、アシスト報知を実現する。
なお本実施形態では、主報知手段として、払出枚数表示器35を利用しているが、これに限らず、アシスト報知を現出可能な報知手段であれば特に制限はない。たとえば、主報知手段として、投入枚数表示部30(投入枚数表示LED31、32、33)や、メダル投入表示LED36(メダル投入表示部)を利用しても良いし、アシスト報知専用の表示器を設けても良い。
(アシスト報知態様:図22、図23A~図23B)
上記アシスト報知は、同じ当選役が決定された場合でも、所定の報知条件に応じて、その報知内容が異なる場合がある。つまり、必ずしも遊技者に特定の図柄の組合せ(たとえば、有利入賞役)を入賞させる内容とは限らない。たとえば、7リプレイ(抽選番号16)が当選した場合、特定報知条件下の場合には、「7リプレイ」を対象とするアシスト報知(本告知)を実行するが、特定報知条件下以外の場合には、通常リプレイを対象とするアシスト報知(嘘告知)を実行するケースが挙げられる。
また「アシスト報知」は、原則として、アシスト情報(本実施形態の場合は、主に、押し順に関する情報)を遊技者に提示するだけで、当選役を特定可能な当選役情報を付随して遊技者に提示しないようになっている。これは、当選役を明示してしまうと、押し順を報知せずとも押し順の割り当てを知る遊技者側に、有利入賞役または不利入賞役の押し順が判明してしまい、遊技者が意図的にアシスト報知を拒否することで想定外の利益を獲得したり、意図しない遊技状態の移行が生じたりしてしまう恐れがあるからである。そこで、アシスト報知を現出する場合には、少なくとも当選役情報を秘匿した報知態様(副報知手段の場合はアシスト報知を含む演出態様)とする。たとえば、RT3移行リプ1XX(抽選番号11)が当選した場合と、押順ベル213A(抽選番号33)が当選した場合とでは、押し順に関する表示(報知)内容だけが異なるだけで、その演出態様そのものは同一または酷似した態様とする。このように、少なくとも当選役情報を秘匿するアシスト報知を「役秘匿アシスト報知」と称する。なお、当選役が判明しうる情報は報知しないが、特別役種、小役種またはリプレイ役種のように、当選役が属する役区分が判明するような報知態様(役区分アシスト報知)を現出させてもよい。たとえば、今回の当選役がリプレイ種別の場合は、背景画像やアシスト表示画像を「青色」を基調とし、押順ベル種別の場合には「黄色」を基調とする演出態様とすることができる。
勿論、当選役情報を報知することに差支えがない場合には、当選役情報と押し順情報とを重複的に表示させてもよい(役種アシスト報知)。たとえば、「7リプレイ」が当選した場合、「←7を狙え(第1停止右、全回胴に7リプレイ図柄停止を指示)」のように、押し順として「第1停止右の指示」の表示と、当選役情報として「7を狙え(全回胴に赤7図柄停止を指示)」の表示とを同時的または重複的に表示させることができる(図22参照)。このケースでは、「7を狙え」の表示により、間接的に当選役種別が「7リプレイ」であることを示唆している。しかし、報知条件次第では、「7を狙え!」という表示はするが、7リプフェイクまたは通常リプレイを対象とするアシスト報知(嘘告知)を実行することもできる(ガセの役種アシスト報知)。また、押順不問役の場合であってもアシスト報知を実行しても良い。たとえば、共通ベルAまたは共通ベルBが当選した場合、所定の押し順を報知してもよい。
いずれにしても、アシスト報知が発生すれば、遊技者にとり有利なゲーム展開となり得るので、遊技者は、積極的に、アシスト報知の内容に従うことになる。
(アシスト報知制御手段)
アシスト報知内容については、主制御部400がその機能部を担う「アシスト報知制御手段」により制御される。アシスト報知制御に関し、主制御部400は、AT遊技中である場合には、今回のゲームに係る当選役情報に基づき、アシスト報知を実行可能な情報を演出制御部410に対して送信する。たとえば、非AT遊技中は、各押し順ベル(抽選番号28~40)のいずれかが当選した場合は、どの押し順ベルが当選したかを特定不可能な当選役情報(非特定情報)を含む演出制御コマンドを演出制御部410に対して送信する一方、AT遊技中である場合には、各押し順ベルに対応した固有の当選役情報、つまり、どの押し順ベルが当選したかを特定可能な当選役情報を含むコマンドを演出制御部410に対して送信する。この場合、演出制御部410は、非特定情報が送られてきた場合は、当選した押し順ベルを特定できないので、正しいアシスト報知(中段ベル入賞手順の報知)を実行することができず、特定可能情報が送られてきた場合、正しいアシスト報知をすることができる。したがって、AT遊技中の場合に限り、アシスト報知が実効化されるようになっている。
本実施形態のAT遊技には、複数種類のAT遊技(AT1遊技~AT3遊技)が設けられており、主制御部400(アシスト報知制御手段)は、図23Aおよび図23Bに示す「当選情報設定テーブル」に基づいて、所望のアシスト報知内容(アシスト情報)を決定可能に構成されている。
上記当選情報設定テーブルには、アシスト報知内容に関するデータとして、図23Aおよび図23Bの「指示モニタ番号」欄に示す「指示モニタ番号」が、遊技状態(ここでは、AT状態(遊技モードによりAT状態を識別してもよい))と当選役種別とに関連付けて定められている。主制御部400は、上記「指示モニタ番号」に応じたアシスト報知を主報知手段(払出枚数表示器35)に対して表示制御し、演出制御部410は、当該「指示モニタ番号」に対応するアシスト報知を副報知手段(たとえば、液晶表示装置6)に対して表示制御し、主/副報知手段によるアシスト報知が実行可能となっている。
本実施形態の場合、図23Aおよび図23Bの各指示モニタ番号1~8に対応するアシスト報知の内容(アシスト情報(押し順情報))は、指示モニタ番号「1」は押し順「123」を、指示モニタ番号「2」は押し順「132」を、指示モニタ番号「3」は押し順「213」を、指示モニタ番号「4」は押し順「231」を、指示モニタ番号「5」は押し順「312」を、指示モニタ番号「6」は押し順「321」を、指示モニタ番号「7」は「←7を狙え」、指示モニタ番号「8」は「←BARを狙え」を示すものとなっており、主報知手段と副報知手段とにおいて、上記指示モニタ番号で指定されるアシスト情報が、演出的にアシスト報知される。ただし、指示モニタ番号「0」の場合には、アシスト報知は実行されず、主報知手段と副報知手段とには、アシスト情報は一切報知されない。
なお、押し順が「1XX」、「2XX」、「3XX」などの場合は、第1停止がどの回胴であるかを指示できればよく、たとえば、押し順が「1XX」である場合は、押し順「123」に対応した指示モニタ番号「1」か、または押し順「132」に対応した指示モニタ番号「2」が割り当てられていればよい。本実施形態では、「1XX」は押し順「132」の指示モニタ番号「1」が割り当てられ、「2XX」は押し順「213」の指示モニタ番号「3」が割り当てられ、「3XX」は押し順「312」の指示モニタ番号「3」が割り当てられている。
(アシスト報知の表示例)
図22に、払出枚数表示器35(主報知手段)と液晶表示装置6(副制御手段)に対するアシスト報知の代表的な表示例を示す。たとえば、現在の遊技状態がAT1遊技を伴う遊技状態(たとえば、準備ART遊技)であり、今回のゲームの当選役が「RT2移行リプ123」である場合を例にとり説明する。図23Aの当選情報設定テーブルを参照して、当該テーブルにおける「AT1、RT2移行リプ123」に対応する「指示モニタ番号」は「1」であるので、主制御部400は、払出枚数表示器35に「123」のアシスト情報(押し順情報)を示す「1」を表示させるとともに、演出制御コマンドとして、少なくとも指示モニタ番号を特定可能な指示モニタ番号情報を含む「指示モニタ番号コマンド」を演出制御部410に送信する(後述の図11のステップS112参照)。演出制御部410は、指示モニタ番号コマンドを受けて、たとえば、液晶表示装置6に押し順「123」を指示内容とするアシスト報知を現出させる。また本実施形態では、上述の「指示モニタ番号コマンド」の他、当選役情報を含む「当選役変換情報コマンド」も併せて送信する構成となっている(後述の図11の内部抽選処理中のステップS113参照)。この当選役変換情報コマンドは、1ゲーム中の演出シナリオを決定する際に利用される。
なお、第1停止~第3停止していく際、アシスト報知開始時の表示態様を継続して表示させてもよいが、少なくともアシスト報知としての機能を失うことがない表示態様、すなわち、次に停止させる回胴を特定可能な表示態様であれば、停止ボタン12の操作後の表示態様を、アシスト報知開始時の表示態様とは異なる表示態様とすることができる。たとえば、上記ケースのように、液晶表示装置6に「123」を表示するケースであれば、第1停止操作前は「123」を表示し、第1停止操作後は「*23」(少なくとも第2停止中が特定可能な表示)、第2停止操作後は「**3」(少なくとも次の第3停止右を特定可能な表示)といった表示態様とすることができる。
(遊技状態について:図8)
次に図8を参照して、本実施形態に係る各種の遊技状態について説明する。図8は、主要な遊技状態の内容と、遊技状態間の移行形態の概要を示す遊技状態遷移図である。ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず、本発明と関係の深い遊技状態に着目しながら、各遊技状態間の移行制御の概要を説明しておく。以下では、説明の便宜のために、アシスト報知の発生が許容されない遊技状態(遊技区間)を「非AT遊技(指示機能に係る性能を有しない区間:アシスト報知非許容状態)」と称し、アシスト報知の発生が許容される遊技状態(遊技区間)を「有利区間(指示機能に係る性能を有する区間(アシスト報知許容状態:後述のAT0遊技~AT3遊技)」と称する。本実施形態の非有利区間では、アシスト報知非許容状態であるが、有利区間への移行処理(有利区間移行抽選)は許容される。また有利区間では、アシスト報知許容状態および/またはAT抽選許容状態となっている。また、本明細書中では、特に必要のない限り、アシスト報知が発生した場合は、遊技者はこれに従うものとして説明する。
本実施形態では、設定変更操作によりRAMクリア実行された場合やボーナス遊技が実行された場合には、初期の遊技状態として、「初期遊技(RT0遊技+非AT遊技)」から開始されるようになっている。この初期遊技は、非有利区間となっており、本実施形態の初期遊技は、AT抽選が実行されず、アシスト報知も実行されない遊技状態となっている。したがって、初期遊技中は、比較的高確率の押順ベル種別(抽選番号29~40)に当選しても、有利入賞役側の‘中段ベル’のアシスト報知(以下、「中段ベルナビ」とも称する)が発生しないため、押し順正解は困難となり、ベル溢し目が高確率で入賞しうる(図5B、図6C参照)。本実施形態では、ベル溢し目が停止(入賞)した場合には、遊技状態の移行が生じて、現在のRT0遊技からRT1遊技に移行されるようになっている。また初期遊技中に、小役種別(抽選番号20~40)が当選した場合には有利区間への移行抽選(有利区間移行抽選)が実行され、初期遊技中においては、この移行抽選に100%当選し、次ゲームから有利区間(非AT遊技からAT0遊技)に移行されるようになっている。つまり、初期遊技(RT0遊技+非AT遊技)からは、非常に高確率で、RT1遊技およびAT0遊技に移行され、遊技機全体として捉えた遊技状態が「RT1遊技+AT0遊技」(通常遊技)に移行されることになる。このように、初期遊技からは比較的短いゲーム数で、通常遊技(有利区間を伴う遊技状態)に移行されるようになっている。斯様な「有利区間」および「非有利区間」は、遊技状態または遊技モードの一態様として扱うことができる。
なお、有利区間への移行抽選は、少なくとも1つの特定の役(すべての役でもよい)に当選した場合、その抽選を実行可能に構成することができる。またその当選確率も適宜定めることができる。すべての役を対象とした場合には、1~数ゲーム程度で、有利区間の移行が可能な遊技性を作り出すことができる。
上記「有利期間」は、下記の条件1、2のいずれか一方を満たすと終了されるようになっている。
(条件1)
指示機能(アシスト報知)の作動、RT中、BB内部中および役物等の作動中等のいかなる状態に係らず、所定回数の遊技の結果が得られた場合(所定ゲーム数の消化)、今回の有利区間を終了させる。終了条件となるゲーム数は、たとえば3000ゲームである。
(条件2)
有利区間中の差枚数(「総アウト枚数(総払出枚数)-総イン枚数(総投入枚数)」)に基づいて、今回の有利区間を終了させる。この「有利区間中の差枚数」基づく有利区間の終了条件についての詳細は後述するが、一例として、「一の有利区間中、遊技の結果が得られたときの遊技媒体(遊技メダル等)が最も減少したときを基準として、当該基準からの遊技メダルの増加数が上限枚数を超えないあらかじめ定められた数を超えたとき(いわゆる、一の有利区間中の「MY」が上限枚数を超えたとき)」に、当該有利区間を終了させる(MYカウント終了形態(MYカウント方式による終了形態))、といった条件である。
上述の「遊技の結果が得られたときの遊技媒体(遊技メダル等)が最も減少したときを基準として、当該基準からの遊技メダルの増加数」とは、或る遊技期間における(たとえば、一日の営業であれば、遊技機に対する電源投入~電断までの間)遊技メダルの払出枚数と投入枚数から算出可能な最大差枚数情報であり、この最大差枚数は「MY」とも称される。たとえば、有利区間中、累計3000ゲームの遊技において、500ゲーム目が遊技メダルの最も減少したとき、換言すれば、遊技者が最も損失を出したゲームであり、このときの損失分が「-1000枚」であった場合において、次ゲーム(501ゲーム目)からART遊技に突入し、その後、順調に遊技メダルを増やしていき、1000ゲーム目が最も遊技メダルが増加して、このときの遊技者が獲得した遊技メダルが「1000枚(+1000枚)」であった場合、500ゲーム目における「-1000枚」と、1000ゲーム目における「+1000枚」の差枚数「+2000枚」が、上記「MY」値として算出される。
なお上述の例において、1000ゲーム目の「+1000枚」の状態から、1200ゲーム目までに遊技メダルが「500枚」減少し(遊技者が獲得した遊技メダルが、現在「+500枚」の状態)、1500ゲーム目までに遊技メダルが「700枚」増加した場合(遊技者が獲得した遊技メダルが、現在「+1200枚」の状態)には、この1500ゲームが最も遊技メダルが増加したゲームとなり、MY値は、500ゲーム目の遊技メダルが最も減少したときの「-1000枚」と「+1200枚」の差枚数「+2200枚」が上記「MY」値として算出されることになる。このように、MY値自体にはマイナスの概念はなく、また、MY値として算出される値も1つとなる。有利区間における上限枚数(MY)は、遊技機の射幸性(のめり込み防止など)を考慮した適宜な値であり、たとえば「MY2400枚」である。
なお、詳細は追って説明するが、有利区間終了を決定付けるための「有利区間中の差枚数」の算出は、上記「MYカウント終了形態」を採用するのではなく、後述の「差枚数カウント終了形態(差枚数カウント方式による終了形態)」を採用することができる。本実施形態の場合、この「差枚数カウント終了形態」を採用している。
有利区間に突入した場合は、規制ゲーム数(3000ゲーム)を消化した場合か、またはMYが所定枚数(2400枚)を超えた場合のいずれかの条件が満たされると終了される。なお、BB当選内部中からBB入賞までのゲーム期間またはボーナス遊技中のゲーム数は、有利区間の消化ゲーム数(実行ゲーム数)のカウントから除外してもよい。
本実施形態の場合、初期遊技(非有利区間)から通常遊技(有利区間下の通常遊技)に移行した後は、有利区間終了条件を満たすまでは、初期遊技(非有利区間)に移行されないため、基本的には、通常遊技、準備ART遊技、本ART遊技(RT1遊技~RT3遊技、AT0~A2遊技)を循環する遊技ルートを辿る。なお、ボーナス遊技および/またはART遊技が終了したときに有利区間終了条件を満たしていない場合には、初期遊技への移行抽選(有利区間継続終了抽選)を実行可能に構成してもよい。この場合、所定の継続確率に基づき有利区間が継続される。継続確率は、たとえば、各設定値のそれぞれに応じて異なる確率(たとえば、設定1~6で、40%~60%)であってもよいし、一部の設定値で異なる確率(たとえば、設定1~3は50%、設定4~5は60%、設定6は65%)であってもよいし、設定値よらず一定の確率(たとえば、65%)であってもよい。
また、本実施形態の通常遊技中には、後述のAT抽選(図29A~図29C)が実行される。このAT抽選に当選すると、後述の本ART遊技(疑似ボーナス)への移行権利(本ART遊技移行条件成立)を獲得することができる。通常遊技には、このAT抽選の有利度合いが異なる、「地獄モード(AT抽選低確状態)」、「通常モード(AT抽選通常状態)」、「天国モードAT抽選高確状態」といった複数の遊技状態が含まれ、この順でAT抽選の有利度が高くなる。通常遊技中は、この3つのモード間を行き来可能となっている(後述の図28A~図28D参照)。
なお、通常遊技中は、有利区間中であるが、AT抽選の当選がアシスト報知の実行条件の一つになっている。通常遊技中は、一切アシスト報知をしないようにしたり、またはその報知確率を低確率としたりすることができる。この場合、アシスト報知確率を極めて低確率(たとえば、1/65536)または0%(実質的な「AT0遊技(非AT遊技)」)としたり、他のAT遊技の少なくともいずれか一つ(たとえば、AT1遊技)よりもアシスト報知確率を低確率としたりすることができる。また、AT0遊技中は、少なくとも1つの特定役に当選した場合に限り、アシスト報知を実行可能に構成してもよい。斯様なAT0遊技は、通常遊技に関連するAT遊技であることから、他のAT遊技よりも遊技者に対する有利度合い(利益度)が低い。すなわち、遊技者に対する有利度合いが初期遊技と同等以上であり、少なくとも他の遊技状態よりも低くなる。具体的には、「初期遊技≦(または<)通常遊技<準備ART、本ART、上乗せ特化ゾーン等」の関係である。
通常状態中にAT抽選に当選すると、AT当選状態となり、所定のゲーム数(たとえば、5~32ゲーム)が消化されるまで、前兆モード(前兆遊技状態)に移行する。この前兆モードが終了すると、本ART遊技移行へのRT2移行リプレイのアシスト報知およびRT3移行リプレイのアシスト報知の発生を許容する「昇格リプ報知条件」が成立し、RT2移行リプ種別(抽選番号2~7)に当選した場合には、RT2移行リプレイの押し順がアシスト報知され(RT2移行リプナビ)、これに従いRT2移行リプレイを入賞させると、「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」に移行される。
次いで、準備ART遊技中に「RT3昇格リプ種別(抽選番号11~15)」に当選した場合には、‘RT3昇格リプレイ’の押し順がアシスト報知され(RT3昇格リプナビ)、これに従いRT3昇格リプレイを入賞させると、次ゲームから、本ART遊技(疑似ボーナス)に移行される。
なお、準備ART遊技中に、RT1転落リプ種別(抽選番号8~10)に当選した場合には、‘通常リプレイ’のアシスト報知(通常リプナビ)が発生して、RT1遊技への転落移行を回避させるようになっている。また、チャンスベルや押順ベル種別(抽選番号28~40)に当選すると「中段ベルナビ」が発生する。これにより、準備ART遊技中は、遊技メダルを極力減らすことなく、「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」(疑似ボーナス)に移行可能になっている。
そして、本ART遊技中は、アシスト報知が頻繁に発生する高利益状態となり、またRT1転落リプ種別の当選確率が準備ART遊技よりも低確率(本実施形態の場合、抽選対象から除外されている(当選確率がゼロ))となっている(図5「RT2」「RT3」の欄参照)。したがって本ART遊技は、RT1遊技への転落可能性が相対的に低い点で、準備ART遊技よりも遊技者に有利に作用する遊技状態、つまり一般遊技状態のうち、遊技者に最も有利に作用する遊技状態となっている。詳細は後述するが、この本ART遊技は、主に、所定のゲーム数(ARTゲーム数と継続バトルゲーム数(7ゲーム))を消化した場合に終了される。
また本ART遊技中は、「上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)」に移行可能となっている。この上乗せ特化ゾーン中は、本ART遊技よりも有利な上乗せ抽選(ARTゲーム数を延長させる抽選)が実行され、ARTゲーム数の上乗せがし易い、特殊な遊技状態となっている(図31A、図31B参照)。
上記の通り、遊技状態の遷移は、端的に言えば、所定の昇格移行条件が成立すると、現在の遊技状態よりも相対的に遊技者に有利に作用する遊技状態へと昇格移行され、所定の転落移行条件が成立すると、その有利な遊技状態から、遊技者に不利な遊技状態へと移行される。本実施形態では、遊技者が受ける利益度の関係は、「初期遊技<通常遊技<準備ART遊技<本ART遊技≦上乗せ特化ゾーン」となっている。また、遊技状態の移行に伴い、演出モードも移行先の遊技状態に対応した演出モードに移行される。
なお、初期遊技(非有利区間)と通常遊技(有利区間)とについては、いずれの遊技状態に滞在しているかを判別困難または不可能なものにするため、初期遊技については、通常遊技(地獄モード、通常モードおよび天国モードの少なくともいずれかの遊技モード)に係る演出モードと、同一または略同一の演出をなす演出モードに移行させることができる。なお、初期遊技中は非有利区間であるため、初期遊技に係る演出モードの実体は、通常遊遊技に係る「偽の演出モード(フェイク演出モード)」であるが、本実施形態では、通常モードと同じ「通常演出モード」を採用している。
以下に、本発明と関連の深い、「通常遊技」、「準備ART遊技」、「本ART遊技」、「上乗せ特化ゾーン」について詳細に説明する。
(通常遊技:RT1遊技+AT0遊技)
まず、「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」について説明する。
「通常遊技」は、初期遊技とリプレイ確率が略同一の遊技状態となっているが、有利区間下の遊技状態となっている。本実施形態では、主に、通常遊技において、本ART遊技への移行権利(本ART実行権利)である「AT抽選」に当選するか否かに関心を寄せて遊技を楽しむようになっている。
(AT抽選状態について)
既に説明したように、通常遊技は、AT抽選の有利度合が異なる3つの遊技状態の「地獄モード」、「通常モード」、「天国モード」が設けられており、基本的には、この3つのモード間を行き来するようになっている。各モードの移行制御は、主制御部400側において、AT抽選状態移行抽選(モード移行抽選)の抽選結果に基づき行われる。このAT抽選状態移行抽選は、図28A~図28Dに示す「AT抽選状態移行抽選テーブル」を利用して実行される。
(AT抽選状態移行抽選テーブル:図28A~図28D)
図28A~図28Dに、本実施形態に係るAT抽選状態移行抽選テーブルを示す。図28Aおよび図28Bは、モード昇格用の移行抽選テーブルであり、図28Aは地獄モードで利用されるAT抽選状態移行抽選テーブル(モード昇格用)、図28Bは、通常モードで利用されるAT抽選状態移行抽選テーブル(モード昇格用)である。図28Cおよび図28Dは、モード転落用の移行抽選テーブルであり、図28Cは通常モードで利用されるAT抽選状態移行テーブル(モード転落用)、図28Dは、天国モードで利用されるAT抽選状態移行抽選テーブル(モード転落用)である。
上記図28A~図28DのAT抽選状態移行テーブルには、図示のように、遊技状態と特定の当選役種別(移行抽選契機役種別(後述の役グループ番号で纏めた当選役種別)に応じた移行抽選確率が定められている。詳しくは、各AT抽選状態移行テーブルには、先頭1バイト長のデータ識別子が格納され、続いて、1バイト長の抽選値が連続して格納されている。
なお図中のセル内に示した数値(昇格、転落の欄)は、抽選領域の大きさ(256)に対する判定値(当選領域)の占有領域数であり、「判定値/抽選領域の大きさ」が抽選確率(当選確率)となっている。「抽選確率=判定値/抽選領域の大きさ」である点については、後述の図29A~図29C、図30、図31A~図31B、図37A~図37C、図38A~図38B等についても同様である。
本実施形態では、昇格移行については「地獄モード→通常モード→天国モード」の順に段階的に移行されるようになっており(図28Aおよび図28B、図8参照)、転落移行については、通常モードからは地獄モード(通常モード→地獄モード)、天国モードからは、通常モードまたは地獄モード(天国モード→通常モードまたは地獄モード)(図28Cおよび図28D、図8参照)に移行されるようになっている。各遊技モード間の行き来を可能にすることで、通常遊技中の面白みを向上させている。また、地獄、通常、天国に対応する演出モード応じて、1または複数の特定演出の出現率に差異を設けてあり、遊技者に対し、現在の遊技モードの推測要素を与え、AT抽選当選への期待感を煽ることができるようになっている。本実施形態の場合、地獄、通常、天国の各演出モードにおける背景表示を観察するだけでは、現在滞在中の遊技モードを推測することが不可能または困難な演出とされており、上述の特定演出の出現率やその他の各演出態様により、現在の遊技モードを推測可能となっている。
昇格移行抽選について、ベル系当選役のチャンスベル(グループ番号14)や押順ベル種別(グループ番号15)の場合は、押し順正解時、つまり「中段ベル」の入賞を契機に昇格移行抽選が実行され、それ以外の抽選契機役の場合は、ゲーム開始時に移行抽選が実行されるようになっている(図28Aおよび図28Bの備考欄、図10BのステップS72のART関連分岐処理、図26の差番地テーブル、図14AのステップS713~S715等参照)。
また、転落移行抽選については、通常リプレイ(通常リプレイ(抽選番号1)、RT2移行リプ種別、RT1転落リプ種別、RT3昇格リプ種別(抽選番号1~15)に係る通常リプレイ)の入賞を契機に実行されるようになっている(図28Cおよび図28Dの備考欄参照)。これにより、過度な状態移行抽選の機会が付与されてしまうことを防止している。
(ゲーム終了時、ゲーム開始時のART関連処理中の抽選処理について)
詳細は後述するが、リプレイ入賞による転落移行抽選やベル系当選役入賞((押し順正解時)を契機に昇格移行抽選などのように、遊技結果(全回胴停止後の遊技結果)情報を要する処理の場合には、後述の図10Cの分岐処理B(ステップS85~S87)において、遊技状態に応じて分岐先となるART関連処理(ゲーム終了時の分岐処理(状態関連処理)ステップS87)で実行される。一方、内部抽選結果(内部当選フラグなど)を利用した転落移行抽選や昇格移行抽選などのように、遊技結果を必要としない処理の場合には、後述の図10Bの分岐処理A(ステップS70~ステップS72)において、遊技状態に応じて分岐先となるART関連処理(ゲーム開始時の分岐処理(状態関連処理)ステップS72)で実行される。
たとえば、遊技結果を要する場合には、全回胴停止後に実行される分岐処理B(図10C参照)において、分岐先となる一般中処理(図14AのステップS713~S715)の移行抽選処理が実行され、遊技結果を要しない場合には、全回胴停止前に実行される分岐処理A(図10B参照)において、分岐先となる一般中処理(図14AのステップS713~S715)で、同様の移行抽選処理が実行される(ゲーム開始時とゲーム終了時とが共通の抽選処理)。
すなわち、始動手段の操作を契機に、特定の遊技状態の制御に関連する抽選処理(たとえば、図28Aおよび図28Bの昇格移行抽選)を含む第1制御処理(ゲーム開始時の一般中処理(図14A))を実行する第1制御処理実行手段と、
遊技結果が導出表示されたことを契機に、特定の遊技状態の制御に関連する抽選処理(たとえば、図28Cおよび図28Dの転落移行抽選)を含む第2制御処理(ゲーム終了時の一般中処理(図示せず))を実行する第2制御処理実行手段とを含み、
第1制御処理における抽選処理と第2制御処理における抽選処理とが、共通の抽選処理(たとえば、図14AのステップS714の抽選処理、その詳細を示す図14B)により構成することができる。
前述の第1制御処理と第2制御処理との関係は、AT抽選や上乗せ抽選についても同様に適用できる(図29A~図29C、図31A~図31B、右各図備考欄参照)。なお、AT抽選状態移行抽選契機役の種類やその抽選確率については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
(AT抽選)
また上記「AT抽選」は、主制御部400側において、図29A~図29Cに示す「AT抽選テーブル」を利用して実行される。
(AT抽選テーブル:図29A~図29C)
図29A~図29Cに本実施形態に係るAT抽選テーブルを示す。図29A~図29Cは、それぞれ、地獄モード、通常モード、天国モードで利用されるAT抽選テーブルを例示したものである。
AT抽選テーブルには、図示の通り、遊技状態と特定の当選役種別(AT抽選契機役種別)とに応じたAT抽選確率が定められている。AT抽選テーブルの基本的構成は、図28A~図28DのAT抽選状態移行抽選テーブルと同じである。なお詳細は後述するが、AT抽選テーブルにおける判定値が「77」の場合は、抽選用乱数値との比較判定処理を行うことなく「当選」として処理される(後述の図14BのステップS753の判定処理参照)。図29A~図29BのAT抽選テーブル(地獄モード用、通常モード用)では、最強チェリーが判定値「77」となっており、図29CのAT抽選テーブルでは(天国モード用)、強チェリーと最強チェリーが判定値「77」となっている。
(役グループ番号について:図23A、図23B)
ここで、上記AT抽選状態移行抽選やAT抽選や上乗せ抽選などを含む各種抽選(図28A~図28D、図29A~図29C、後述の図30、図31A~図31Bなど)では、当選役(抽選契機役)の種類そのものに対応した抽選を行うのではなく、役に定められた性質・性能等を考慮して、抽選対象役をグループ分けした「役グループ番号(図23A、図23B参照)」を利用して抽選を実行するようになっている。端的に言えば、各役を性質・性能等に基づくグループ分けをし、このグループが当選役と対応関係があるものとして扱い、各種の抽選を実行する際に利用する。このようにすれば、以下のような利点がある。
主制御部400は、基本遊技状態や基本遊技状態をさらに細分化した遊技モードに関する制御や、回胴の回転/停止制御や、アシスト報知制御などを担い、また遊技性を豊富にするためには、多種多様な役構成を必要とする。このため、主制御部400側の制御負担の増加を招く。そこで本実施形態では、役の性質・性能を考慮したグループ分けをし、実際の当選役の種類数よりも少ない種類数に分類した「役グループ番号」を当選役と同等のものとして扱い、AT抽選状態移行抽選やAT抽選などを実行する。このようにすれば、抽選契機役を数多く設けた場合であっても、それら全ての役に対して、無闇に抽選確率データを定める必要が無く、プログラムの削減・抽選処理の負担軽減等に寄与し、以って主制御部400側の制御負担を軽減することができる。
上記した‘グループ分け’の仕方については、どのような抽選に利用するか、遊技性などによっても異なりうるが、主に、次の点を考慮することができる。たとえば、「配当の関係(たとえば、遊技価値の軽重、共通の遊技価値を付与するものであるか否か、遊技状態に応じて遊技価値が変動するものであるか否かなど)」、「リプレイ役種、小役種、および特別役種のいずれのカテゴリーに属する役であるか」、「押順不問役(押順不問小役、押順不問再遊技役)に属する役であるか、押順規定役(押順規定小役、押順規定再遊技役)に属する役であるか」等である。本実施形態の場合、以下のようなグループ分けとなっている。
(A)ハズレ(抽選番号0)は「役グループ番号0」、
(B)通常リプレイ、RT2移行リプ種別、RT1転落リプ種別およびRT3昇格リプ種別(抽選番号1~15)は「役グループ番号1」、
(C)7リプレイ~BARリプフェイク(抽選番号16~19)は、「役グループ番号2~5」
(D)弱チャンス1~最強チェリー(抽選番号20~26)は、それぞれ「役グループ番号6~12」、
(E)共通ベルAは「役グループ番号13」、
(F)チャンスベルは「役グループ番号14」、
(G)押順ベル種別は「役グループ番号15」、
(E)特別役種は、「役グループ番号16」、
といった具合である。
勿論、役グループ番号のように、当選役のグループ分けをしなくてもよく、当選役それ自体に基づく抽選(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選などの各種の抽選)を行ってもよい。また、特定の抽選に限り(たとえば、上乗せ抽選に限り)、役グループ番号を利用してもよい。役グループ番号を利用するかしないか、いずれの抽選の場合に役グループ番号を利用するかなどについては、適宜選択することが可能である。
図29A~図29CのAT抽選テーブルの説明に戻る。本実施形態では、特定の当選役については、ゲーム開始を契機に(当選役決定後)にAT抽選が実行されるが、他の特定の当選役については、ゲーム終了を契機(遊技結果が導出されたこと(全回胴体停止後))を契機に、AT抽選が実行されるようになっている。たとえば、役グループ番号1~13に属する当選役については、ゲーム開始を契機に、グループ番号14のチャンスベル(抽選番号28)、押順ベル種別(抽選番号29~40)のベル系当選役の一部については、ゲーム終了を契機にAT抽選が実行される。
本実施形態では、特定の押順規定役の場合に、押し順正解時にAT抽選が実行されるようになっている。たとえば、「中段ベル」の入賞があった場合に限り、AT抽選が実行される(図29A~図29Cの備考欄参照)。これにより、過度なAT抽選機会が付与されてしまうことを防止している。このように、当選役の性格に応じて、ゲーム開始を契機にAT抽選を実行したり、ゲーム終了(遊技結果導出)を契機にAT抽選を実行したりすることで、ゲーム性を向上させている(図31A、図31Bの上乗せ抽選も同様)。
また、プレミアム役の「最強チェリー」が当選した場合、どの遊技モード下であっても、AT抽選に当選(AT当確)となるが、最強チェリーが当選した場合には、AT当確(第1特典)に加え、本ART遊技に関する特典(第2特典)を付与する構成としてもよい。本ART遊技に関する特典としては、たとえば、ARTゲーム数を優遇することが挙げられる。ARTゲーム数は、通常、1セット40ゲームであるが、最強チェリー当選により本ART遊技に移行した場合は、2セット分の80ゲームから開始させたり、後述のARTゲームに係るセット継続が確定するストックを1または複数個獲得した状態から本ART遊技を開始させたりすることができる。なお、AT抽選契機役の種類やその抽選確率については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
また、重複BB役(抽選番号42~44、46~48)が当選した場合は、重複当選となる一般役種別に対応したAT抽選が実行される。たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」の場合、強チャンスを対象としたAT抽選が実行される。AT抽選に当選した場合は、BB1によるボーナス遊技の終了後、本ART遊技への移行が約束されるようになっている。重複BB役(一般役種+BB)については、重複する一般役種が当選した場合の遊技価値(配当、AT抽選、上乗せ抽選など)が付与されるとともに、BBによるボーナス遊技も付与されるようになっている。
(通常遊技に係る遊技モードの変形例)
なお本実施形態では、通常遊技中は、地獄モード、通常モードおよび天国モードの3つの遊技モードを設け、AT抽選によりART遊技これら遊技モードを行き来する形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、たとえば、以下のように構成することができる。
(1.天井機能)
有利区間下の通常遊技中において、AT抽選に当選することなく、所定ゲーム数ハズレ続けた場合に、AT当選状態(強制AT当選)とすることができる。たとえば、通常遊技中にAT抽選に当選することなく所定ゲーム数(たとえば、777ゲーム)消化した場合、AT当選状態としてもよい。この場合、この777ゲームが、いわゆる「天井ゲーム数」となり、次ゲーム(778ゲーム目)から、後述の「前兆モード」に移行させることができる。なお、前兆モードを経由せずに、後述の「準備ART移行前遊技」に移行させてもよい。
(2.周期抽選天井機能)
また、周期抽選を複数回スルー(AT抽選ハズレ)してしまった場合に、強制的にAT当選としてもよい。たとえば、1回目(200ゲーム目)の周期抽選にハズレとなり、2回目(400ゲーム目)の周期抽選にハズレとなった場合に、3回目(600ゲーム目)の周期抽選では、強制的にAT当選としてもよい。この場合、3回目の600ゲームが、天井ゲームとして機能することとなる。
(3.チャンスモード)
また、通常遊技中にAT抽選に当選することなく所定ゲーム数(たとえば、200ゲーム)を消化した場合、次ゲームからAT抽選が優遇される特定遊技モード(AT抽選優遇モード:以下「チャンスモード」とも称する)に移行可能に構成してもよい。具体的には、周期的にAT抽選が優遇される遊技モードに移行しうるといった、いわゆる「周期抽選」を実行可能な構成である。チャンスモードは、本ART遊技などの高利益状態に高確率で移行可能な遊技モードとして機能する点から見れば、少なくとも、地獄または通常モードよりもAT抽選が優遇される遊技モードであることが好ましく、たとえば、特定遊技モードを「天国モード」としてもよいし、天国モードよりも高確率でAT当選可能な「超天国モード(AT抽選に関し、有利度が最高の遊技モード)」としてもよい。周期抽選契機(本例では、200ゲーム消化)が到来した場合に、チャンスモードに移行可能に構成することができる。チャンスモードを専用の遊技モードとする場合には、通常のAT抽選テーブル(図29A~図29Cと基本的構成を同じくするAT抽選テーブルを別途設け、これに基づいてAT抽選を実行することができる。なお、チャンスモードにおけるAT抽選契機役種別、その移行当選確率などについては、適宜定めることができる。
なお、チャンスモードに移行させる場合に、所定の抽選により移行させてもよい。たとえば、AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A~図28Bのいずれか)による移行抽選を実行してもよいし、図28A~図28Bと基本的構成を同じくする移行抽選テーブルを別途設け、これに基づいて移行抽選を実行してもよい。なお、チャンスモードへの移行抽選契機役種別や、その移行当選確率などについては、適宜定めることができる。
(4.引き戻しモード(特定遊技終了後チャンスモード))
特定の遊技状態終了後、たとえば、本ART遊技終了後やボーナス遊技終了後などに、上述のチャンスモードのように、AT抽選が優遇される特定遊技モードに移行可能に構成することができる。斯様な遊技モードは、本ART遊技に再移行し易いモードであることから、「引き戻しモード(引き戻しゾーン)」とも称される。引き戻しモードは、上記のチャンスモードや超天国モードとしてもよいし、既存の天国モードとしてもよいし、或いは、専用の遊技モードであってもよい。また、引き戻しモードは、本ART遊技などの高利益状態に再移行可能な遊技モードとして機能する点から見れば、少なくとも、地獄または通常モードよりもAT抽選が優遇される遊技モードであることが好ましい。引き戻しモード中は、通常のAT抽選テーブル(図29A~図29Cと基本的構成を同じくするAT抽選テーブルを別途設け、これに基づいてAT抽選を実行することができる。なお、引き戻しモード中におけるAT抽選契機役種別、その移行当選確率などについては、適宜定めることができる。
なお、引き戻しモードに移行させる場合に、所定の抽選により移行させてもよい。たとえば、本ART遊技終了ゲームにおいて、AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A~図28Bのいずれか)による移行抽選を実行してもよいし、図28A~図28Bと基本的構成を同じくする移行抽選テーブルを別途設け、これに基づいて移行抽選を実行してもよい。また、引き戻しモードへの移行抽選契機役種別や、その移行当選確率などについては、適宜定めることができる。また、本ART遊技終了ゲームでの有利区間中の差枚数に基づいて、移行させることができる。たとえば、本ART遊技終了時に有利区間中の差枚数がマイナスであれば(差枚数<0)「引き戻しモード」に移行させ、当該差枚数がマイナスでなければ(差枚数≧0)「通常~地獄モード」のいずれかに移行させる(抽選で移行させることができる)。
上記チャンスモードまたは引き戻しモードは、所定の遊技期間継続させることができる。たとえば、所定ゲーム数(たとえば、30ゲーム)を消化するまで継続させる「ゲーム数管理型」としてもよいし、1セットを所定ゲーム数(たとえば、10ゲーム)とする単位セットとし、1または複数セット継続可能な「セット数管理型」としてもよい。
また、チャンスモードまたは引き戻しモードは、所定確率で「地獄、通常、天国モード」の少なくともいずれか1つのモードに転落しうる転落移行抽選(たとえば、図28Cや図28D参照)を実行してもよい。
また上記では、チャンスモードと引き戻しモードとを別の遊技モードと説明しているが、同一の遊技モードとしてもよい。たとえば、本ART遊技終了後に、引き戻しモードとして、チャンスモードを採用することができる。
また上記チャンスモードまたは引き戻しモード中にAT抽選に当選した場合は、所定の特典を付与してもよい。たとえば、通常のAT抽選(地獄、通常、天国モード中におけるAT抽選)で当選した場合よりも、後述の本ART遊技開始時のARTゲーム数を優遇したり(たとえば、2セット分の80ゲームから開始させる)、後述のARTゲームに係るセット継続が確定するストックを1または複数個獲得した状態から本ART遊技を開始させたりすることができる。また、利益度の異なる複数の特典のうちからいずれかを抽選してもよい(特定モード中特典抽選)。特定モード中特典抽選は、上記AT抽選テーブルや後述の上乗せ抽選テーブルと基本的構成を同じくする「特定モード中特典抽選テーブル(図示せず)」に基づき行うことができる。なお、後述の前兆モード中、準備ART移行前遊技中、または準備ART遊技中においても特定モード中特典抽選を行うことができる。また、特定モード中特典抽選に係る抽選役種別、その当選確率などについては、適宜定めることができる。
なお、上述の特定モード中特典抽選を実行可能に構成する場合、過度な特典を付与するのは、射幸性の観点から好ましくない。そこで、チャンスモードまたは引き戻しモードを特定モード中特典抽選付きの遊技モードとする場合には、AT抽選に関し、少なくとも地獄モードと同一または略同一の有利度とするか、地獄モードよりも有利度が高いが、天国モードよりも有利度が低い遊技モードとすることが好ましい。
また、チャンスモードまたは引き戻しモードにおいて、当選役種別(役グループ番号でもよい)に基づき、所定のポイント数の付与獲得抽選を実行し、これら抽選結果に応じてポイント付与を行い、ポイント累積値(獲得ポイント)が所定値に達した場合、AT当選、つまり本ART遊技移行確定としてもよい。たとえば、弱チャンスは200P、スイカは500P、強チェリーは1000P、強チャンスは2000Pとし、チャンスモード中の獲得ポイントが10000P以上の場合は、AT当選とすることができる。また、獲得ポイント数に応じたAT抽選を実行してもよい。たとえば、チャンスモード中の獲得ポイントが0~4000P未満の場合は、30/256、4000~7000P未満の場合は96/256、7000P~10000P未満の場合は130/256で、AT当選とすることができる。
また、上記チャンスモードまたは引き戻しモード専用の演出モードを用意してもよい。たとえば、チャンスモード中であればチャンスモードに関連した演出をなす「チャンスゾーン演出モード」、引き戻しモード中であれば引き戻しモードに関連した演出をなす「引き戻しゾーン演出モード」を設けることができる。これにより、チャンスモードまたは引き戻しモード専用の演出を現出させることができる。なお、非有利区間中(本実施形態の場合は初期遊技中)に、「チャンスゾーン演出モード」または「引き戻しゾーン演出モード」に移行させて、AT当選期待感を煽る演出を現出させてもよい。たとえば、本ARt遊技終了とともに有利区間が終了する場合に、演出モードを「引き戻しゾーン演出モード」に移行させて、遊技者に対して、本ART遊技再移行への引き戻し期待感を煽ることができる。この場合の演出モードの実体は、「偽のチャンスゾーン演出モード」または「偽の引き戻しゾーン演出モード」である。なお、「偽のチャンスゾーン演出モード」または「偽の引き戻しゾーン演出モード」は、真の演出モードと同一であってもよいし、別途専用の偽(フェイク)の演出モード(たとえば、真の演出モードに係る演出の一部が異なる演出をなす演出モード)を別途設けてもよい。
上記の天井機能、チャンスモード、引き戻しモード、および周期抽選機能のうち、いずれの形態(1または複数の形態)を採用するかは自由である。遊技性に応じて、上述の天井機能および周期抽選機能を採用したり、有利度が異なる複数のチャンスモードや引き戻しモードを設けることができる。
(本ART遊技への移行権利(AT抽選)に関する変形例)
また、本ART遊技への移行権利をAT抽選によるものだけでなく、下記の抽選により本ART遊技への移行権利を付与してもよい。たとえば、特定の当選役が連続当選した場合(たとえば、2ゲーム連続でスイカに当選した場合など)や、当選から所定ゲーム数以内に、1または複数回の連続当選(たとえば、スイカに当選後の32ゲーム以内にさらに当選した場合など)や、特定の入賞役に連続入賞(たとえば、中段ベルに4連続入賞など)などをAT抽選契機としてもよい(連続当選時AT抽選、連続入賞時AT抽選)。また、規定回数の連続当選や連続入賞があった場合は、AT抽選によらず、AT当選確定としてもよい。
(フリーズ演出について)
次に、フリーズ演出について説明する。本実施形態では、所定の実行条件に基づき、遊技機に係る遊技進行を通常の遊技進行よりも遅延させる(たとえば、所定の遊技動作処理を所定のフリーズ時間進行しないようにする)フリーズ状態を制御可能に構成されている(遅延状態制御手段)。このフリーズ状態の期間を利用して現出される演出を「フリーズ演出」と称する。
フリーズ演出には、回胴を利用した「回胴演出(フリーズ中メイン側演出)」と、演出手段(たとえば、装飾ランプ、演出用LED、液晶表示装置、スピーカなど)を利用した「フリーズ中演出(フリーズ中サブ側演出)」とが含まれる。
上記「回胴演出(リール演出)」とは、フリーズ状態中における回胴の動的な動きまたは静的な動き、あるいはそれら組合せを利用した演出を意味する。「回胴の動的な動き」とは、少なくとも1つの回胴が所定の動作パターンで回転動作を行う「変則回転動作(変則回転)」を指す。変則回転の代表的なものは、回胴の逆回転、逆方向への寸動、逆方向から順方向に回転して逆方向に戻る折り返し運動、各回胴が時間的にずれて次々と逆方向に回転開始する変則スタート、低速順回転などである。また「回胴の静的な動き」とは、フリーズ状態中に、全回胴が静止状態にいること、つまりフリーズ状態中に静止している「無回転動作」を意味する。
また上記「フリーズ中演出」とは、回胴による演出ではなく、演出手段を利用した演出(音演出、光演出、画像表示演出、および可動体演出のうちの少なくとも1つの演出)である。このフリーズ中演出は、通常、回胴演出に付随して現出され、たとえば、衝撃音や、強烈なフラッシュを発生する閃光演出、液晶画面全体をブラックアウトするブラックアウト演出などの演出態様が代表的である。ただし、フリーズ状態が発生したからといって、必ずしもフリーズ中演出が発生するとは限らない。フリーズ中演出が何ら発生しなくとも、無回転動作や変則回転動作による「回胴演出」の発生それ自体が遊技者に違和感を与えるという観点から、回胴演出だけで「フリーズ演出」をなすこともできる。
本実施形態では、上記フリーズ状態の一例として、「回胴回転開始時フリーズ(レバー操作時フリーズ)」を採用している。この回胴回転開始時フリーズとは、始動レバー11の本来の目的の操作、つまり通常時において回胴を回転始動させる目的で行う始動レバー11操作を検出したことを契機として、遊技進行上の次の段階である操作または処理(回胴の通常回転の開始)を遅延対象として、これを有効化するタイミングを所定のフリーズ時間だけ遅延させ、結果として、遊技の進行を一時的に中断させる。したがって、フリーズ時間が終了したことが、この回胴回転開始時フリーズの終了契機となる。本実施形態では、上記回胴回転開始時フリーズを利用して、「Sフリーズ(ショートフリーズ)」と「Lフリーズ(ロングフリーズ)」といった複数種類のフリーズ演出を発生可能に構成されている。
「Sフリーズ」は、始動レバー11の操作後、所定のフリーズ時間(たとえば、1秒)において、「変則回転」動作による回胴演出(変則回転回胴演出)を含むフリーズ演出となっている。また「Lフリーズ」は、「変則回転回胴演出」を含むものであるが、フリーズ時間および回胴演出がSフリーズと異なるものとなっている。
なお「フリーズ状態」は、「レバー操作時フリーズ」に限らず、3つの停止ボタン12の少なくともいずれか1つの停止ボタンの操作を契機に発生する「停止操作時フリーズ」や、全回胴停止後に発生する「全回胴停止後フリーズ」を実行可能に構成してもよい。また、これらのフリーズを1または複数組合せたものを採用してもよい。
(フリーズ演出抽選)
上記した各フリーズ演出は、フリーズ演出抽選に基づいて、その発生の有無が決定される。このフリーズ演出抽選は、主制御部400側において、図30に示す「フリーズ演出抽選テーブル」に基づいて実行される。
(フリーズ演出抽選テーブル:図30)
図30に本実施形態に係るフリーズ演出抽選テーブルを示す。フリーズ演出抽選テーブルは、遊技状態と当選役種別(フリーズ演出抽選契機役)とに応じたフリーズ演出種別の抽選確率が定められており、テーブルの基本的構成は、図示の通り、上記AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A~図28D)等と同じである。このフリーズ演出抽選により、フリーズ演出未発生、フリーズS、フリーズLのいずれかが決定される。
フリーズ演出は、主に、今回のゲームの当選役情報を報知する予告演出をなし、フリーズ演出種別に応じて、当選役の推測要素を与えたり、レア役の当選期待感を煽ることができるようになっている。また、フリーズ演出が発生した場合には、特典を付与可能に構成してもよい。たとえば、強チェリー当選時に、フリーズSが発生した場合よりもフリーズLが発生した場合の方が、AT当選が優遇されるなどである。なお、フリーズ演出抽選契機役の種類やフリーズ演出の抽選確率については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
(前兆モード:通常遊技中AT当選状態)
上記AT抽選に当選した場合、次ゲームからAT当選状態となり、前兆モードに移行する。本実施形態の場合、所定の前兆ゲーム数が消化した次ゲームにて、AT当選を報知する「疑似ボーナス当選報知演出」を現出させ、AT当選に起因した「RT2移行リプナビ」の発生が許容される。なお、前兆モード中はAT当選状態に制御されるため、前兆モード中にAT抽選は実行しないようになっている。
なお、前兆ゲーム数は、複数のゲーム数が抽選可能に構成された前兆ゲーム数抽選テーブルを用いて、たとえば、5~32ゲーム(前兆ゲーム数=0(前兆無しの当選即報知))を含むことができる)のうちからいずれかのゲーム数が抽選により決定される(図14AのステップS719~721(前兆ゲーム数抽選処理)参照))。
また、前兆モード中は、前兆演出モード下の演出として、AT当選期待感を煽るためのAT当選期待演出が現出可能となっている。AT当選期待演出には、AT当選を確定的に報知する当確演出を含むことができる。
また、AT抽選に非当選(ハズレ)の場合に、ガセの前兆モードに移行させ、最大前兆ゲーム数(32ゲーム)範囲内において、ガセの前兆演出モード下においてAT当選期待演出が現出させる。この場合、「真の前兆モード(真の前兆演出モード)」と「ガセの前兆モード(ガセの前兆演出モード)」とで、キャラクタやアイテムに関する特定演出等の現出率を異ならせる等をし、遊技者にAT抽選結果の推測要素を与えるようになっている。これにより、最大前兆ゲーム数(本実施形態の場合、32ゲーム)が消化されるまでは、AT当選への期待感を抱きながら、遊技に興じることができる。しかし最大前兆ゲーム数を消化してもAT当選を報知する「疑似ボーナス当選報知演出」等が現出されない場合は、ガセの前兆モードに滞在していたこと、つまり、AT抽選非当選が確定的となる。
なお、ガセの前兆モード中は、現在の遊技状態(遊技モード)に対応する演出モード下の演出を現出させてもよい。また特定の当選役によるAT当選の場合(たとえば、AT当確となる最強チェリーに当選した場合)、前兆モードを経由することなく(前兆ゲーム数=ゼロ)、AT当選ゲームの次ゲームから後述の「準備ART移行前遊技」に移行させてもよい。また、前兆モード中に最強チェリーに当選した場合には、残余前兆ゲーム数を短縮(たとえば、前兆ゲーム数を強制的にゼロにする)してもよい。
また前兆モード中も、役抽選が実行されるため、レア役(強チャンス、強チェリー、最強チェリーなど)に当選する可能性がある。この場合、上記「特定モード中特典抽選」により特典を付与する構成としてもよい。特典については、既に説明したように、本ART遊技開始時のARTゲーム数を優遇したり、ARTゲームに係るセット継続が確定するストックを1または複数個獲得した状態から本ART遊技を開始させたりすることができる。
(準備ART移行前遊技:RT1遊技+AT1遊技)
上記前兆モード(真の前兆モード)が終了すると、遊技状態が「準備ART移行前遊技(RT1遊技+AT1遊技)」に移行される。そして、前兆ゲーム終了の次ゲームにて(次ゲーム開始のためのベット時でもよい)、上記疑似ボーナス当選報知演出が現出される。この準備ART移行前遊技は、RT2移行リプ種別に当選待ちの待機状態(準備ART移行への準備中モード)として働く。
準備ART移行前遊技中にRT2移行リプ種別に当選すると、AT1遊技の作用により、「RT2移行リプナビ」が発生し、遊技者がこのアシスト報知に従い停止操作を行えば、RT2移行リプレイが入賞して、RT状態が、現在のRT1遊技からRT2遊技へと昇格移行される。これにより、「準備ART移行前遊技(RT1遊技+AT1遊技)」から「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」に移行される。また準備ART移行前遊技中は、押順ベル種別(抽選番号29~40)に当選すると「中段ベルナビ」も発生する。これにより、RT2移行リプ種別を入賞させるまでの待ち期間は、遊技メダルを極力減らすことなく「準備ART遊技」に移行することができる。ここで「RT2移行リプナビ」が発生した際に、遊技者が故意にRT2移行リプレイの入賞を回避させ、通常リプレイを入賞させてゲーム期間を意図的に延長させつつ、押順ベル種別の当選、つまり「中段ベルナビ」を待ち、中段ベルを入賞させて利益を増やしていく、といった技術介入要素が生まれる恐れがある。そこで、準備ART移行前遊技中は「役秘匿アシスト報知」を現出させるようになっている。たとえば、RT2移行リプ123、押順ベル123A、または押し順123Bのいずれかが当選した場合、アシスト報知の内容は、いずれの場合も、払出枚数表示器35(主報知手段)には「123」の押し順を示す「1」を表示し、他方、液晶表示装置6(副報知手段)の液晶画面には「123」のアシスト情報を示す画像演出を表示する(図23A~図23Bの指示モニタ番号の対応記載欄、図22参照)。しかし、副報知手段に係る画像演出には、当選役情報が判明してしまうような演出は現出しない。勿論、画像演出の他、音演出および/または光演出を副報知手段として利用する場合、これらの演出においても当選役情報が判明してしまうような演出は現出しない(後述の準備ART遊技や本ART遊技中も同様)。さらに、RT1遊技下ではハズレ確率も高く設定されているため、ハズレ確率と上記役秘匿アシスト報知とが相まって、遊技者が故意にアシスト報知に従わない場合、単位ゲーム当りの遊技メダルの純増枚数がマイナスに傾くようにして遊技者が不利益を被るようにし、上述の技術介入要素を無効化してある。
(第1昇格通常遊技:RT2遊技+AT0遊技)
上記のように「AT1遊技」は、AT抽選に当選したことを条件に発生し、AT抽選に当選しない限りは、「RT2移行リプナビ」は実行されない。したがって、AT抽選に当選するまでの遊技状態は、基本的には、「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」に滞在することになる。しかし通常遊技中であっても、RT2移行リプ種別が当選した際の遊技者の恣意的な停止操作により、RT2移行リプレイが入賞して、RT1遊技からRT2遊技に昇格移行される場合がある。ただしこの場合は、「AT抽選非当選時」に昇格移行したとして、AT遊技が発生せずに(「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」とはならずに)、遊技状態は「RT2遊技+AT0遊技」という「第1昇格通常遊技」とされる。この「第1昇格通常遊技」は、RT2遊技下であるため、「転落リプレイ」の入賞を許容するRT3昇格リプ種別やRT1転落リプ種別、また「ベル溢し目」の入賞を許容する押順ベル種別の多くの役が抽選対象とされるが(図5A、図5B参照)、これらの役に当選しても、転落リプレイやベル溢し目を回避する押し順は報知されない。したがって、比較的短いゲーム数で通常遊技に再移行されるようになっている。
(第2昇格通常遊技:RT3遊技+AT0遊技)
また稀なケースであるが、第1昇格通常遊技中にRT3昇格リプ種別(抽選番号11~15)が当選した際に遊技者の恣意的な停止操作により、RT3昇格リプレイが入賞して、RT2遊技からRT3遊技に昇格移行される場合がある。しかしこの場合も、「AT抽選非当選時」に昇格移行したとして、AT遊技が発生せずに(後述の「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」とはならずに)、遊技状態は「RT3遊技+AT0遊技」という「第2昇格通常遊技」とされる。この第2昇格通常遊技はRT3遊技下であるため、RT2遊技下のような、RT1転落リプ種別やRT3昇格リプ種別が抽選対象役とはならないが、ベル溢し目の入賞を許容する押順ベル種別は抽選対象役となっており、当該押順ベル種別が比較的高確率で当選するようになっている(図4A、図4B参照)。しかし、押順ベル種別が当選しても「ベル溢し目」を回避する押し順が報知されない。したがって、第2昇格通常遊技に移行しても、比較的短いゲーム数で、通常遊技に再移行されるようになっている。
このように、遊技状態が上記第1昇格通常遊技または第2昇格通常遊技となっても、AT抽選非当選状態であれば、RT1遊技に容易に転落移行させて通常遊技に戻るようにしている。これにより、RT2遊技やRT3遊技のような高確率RT遊技が長いゲーム数にわたって継続することを防止し、遊技機の設計上、想定外の利益が遊技者に付与されないような工夫がなされている。なお、上述の第1および第2昇格通常遊技に移行しても、遊技モードとしては、地獄モード~天国モードのいずれかに滞在していることに変わりがなく、AT抽選やフリーズ演出抽選などは実行されうる。
(準備ART遊技:RT2遊技+AT1遊技)
次に、「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」について説明する。
上記したように、準備ART移行前遊技においてRT2移行リプレイが入賞した場合、「準備ART遊技」に移行される。この準備ART遊技中は、AT1遊技の作用により、RT3昇格リプ種別が当選すると「RT3昇格リプナビ」が、RT1転落リプ種別が当選すると「通常リプナビ」が、押順ベル種別が当選すると「中段ベルナビ」が発生する。そして、RT3昇格リプレイが入賞した場合には、RT状態がRT2遊技からRT3遊技に、AT状態がAT1遊技からAT2遊技にそれぞれ昇格移行される。これにより、これにより、「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」から「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」に移行される。また準備ART遊技中のアシスト報知については、上記準備ART移行前遊技とケースと同じように、「役秘匿アシスト報知」が現出されるようになっている。このため、遊技者は押し順情報しか知ることができず、たとえば「RT1転落リプ2XX」および「RT3昇格リプ213」のいずれのリプレイ役に当選したのかまでは知ることができないため、アシスト報知を無視すると、転落リプレイが入賞する可能性があり、遊技者は積極的にアシスト報知に従うことになる。
なお上記「有利区間」については、AT当選ゲームの次ゲームからカウントが開始される。すなわち、通常遊技中のAT当選状態である前兆ゲーム~本ART遊技に移行するまでに要したゲーム数が、この有利区間としてカウントされる。たとえば、今回のゲームでAT抽選に当選した場合、前兆ゲーム数が11ゲーム、準備ART移行前遊技中から準備ART遊技中への移行に7ゲーム要し、準備ART遊技中から本ART遊技への移行に15ゲーム要したとすれば、計33ゲームが有利区間としてカウントされることになる。
(本ART遊技(疑似ボーナス遊技):RT3遊技+AT2遊技)
次に、「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」について説明する。
本ART遊技中は、リプレイ確率が最高レベルであり、またAT2遊技の作用により、 ‘中段ベルナビ’が発生し、1ゲームあたりの平均純増枚数が、通常遊技よりも飛躍的に高まる「疑似ボーナス」として働く遊技状態である。また本ART遊技中は、図5Bの役抽選テーブルに示すように、RT1遊技からRT3遊技の移行に要したRT2移行リプレイ種別やRT3昇格リプレイ種別やRT1転落リプレイ種別が抽選対象から除外されているため、中段ベルナビに従う限り、RT1遊技への転落移行を回避することができる。なお本ART遊技中は、再遊技役種別や押順ベル種別等が高確率で当選するため、その再遊技付与動作や払出動作により遊技消化スピードが遅延しがちになる。このため、遊技者の中には、遊技消化スピードに不満を感じる者も多い。したがって、本ART遊技中や上乗せ特化ゾーン中は、フリーズ演出抽選の実行はせずに、闇雲にフリーズを発生させない「フリーズ非実行遊技状態」とすることが好ましい。
(本ART遊技の継続ゲーム数(ARTゲーム数))
本実施形態のARTゲーム数は「40ゲーム」となっている。ただし、この40ゲームは、ARTゲーム数のデフォルト値、つまり、何ら上乗せゲーム数が無い場合の1セット分のゲーム数である。なお、本ART遊技自体は、1セット40ゲーム(上乗せがない場合)と、後述の「継続バトルモード」の7ゲーム(固定ゲーム数)を合計した47ゲームが実質的なゲーム数となっている。
本実施形態では、ARTゲームの最終ゲーム目(39ゲーム目)において、本ART遊技をさらに1セット継続させるか否かについての「ART継続抽選」が実行される(図14DのステップS744の「その他のART関連抽選処理」参照)。このART継続抽選は、所定の継続率(たとえば、50%(128/256)で継続)に基づいて、その当否が決定されるようになっている。
なお上記継続率には、複数種類の継続率(たとえば、継続率50%、65%、80%)が設けられており、いずれの継続率とするかは「継続率抽選」により決定される。継続率抽選は、本ART遊技開始前または開始時の適宜なタイミングで実行することができる。たとえば、AT当選ゲーム、前兆モード中(たとえば、最終ゲーム)、準備ART遊技中(たとえば、本ART遊技移行決定ゲーム)、本ART遊技開始1ゲーム目などである。なお、各継続率の抽選確率は、当選役種別に応じた抽選確率としてもよいし、当選役種別とは無関係に、各継続率の抽選確率を定めてもよい。また、特定役(たとえば、プレミアム役の最強チェリー)の場合は、最高継続率に当選確定としてもよいし、最低継続率が抽選されないようにしてもよい。
また、継続率抽選の抽選結果を示唆する継続率示唆演出を現出可能に構成することができる。継続率示唆演出としては、たとえば、駆逐艦、巡洋艦、および戦艦のキャラクタ画像のうち、継続率50%の場合は駆逐艦、65%の場合は巡洋艦、80%の場合は戦艦が出現し易いといった示唆演出であるまた、上記「疑似ボーナス当選報知演出」の一環として、継続率示唆演出を現出させてもよい。
上記ART継続抽選に当選した場合には、再度、1セット分の40ゲームが設定され、本ART遊技が継続される。一方、ART継続抽選に非当選(ハズレ)の場合には、今回のセットを以って本ART遊技が終了されることになる。ただし、ARTゲーム数が残存していた場合であっても、有利区間中の消化ゲーム数(実行ゲーム数)が、規制ゲーム数(3000ゲーム)に達した場合か、または、有利区間中の差枚数が所定枚数を超えた場合のいずれかを満たした場合には、有利区間が終了されるとともに、今回の本ART遊技も終了する(後述の継続バトルモード、上乗せ特化ゾーンも同様)。
(有利区間完走演出)
なお本実施形態では、有利区間の完走(規制ゲーム数。所定差枚数超過による有利区間終了)を祝福する「有利区間完走演出」を実行可能に構成されている。有利区間完走演出は、有利区間が終了した際に実行されるのではなく、有利区間終了を事前報知する形で実行されるようになっている。有利区間の終了が目前に迫っていることを遊技者に事前に報知することが好ましいからである。本実施形態では、有利区間の残余ゲーム数が所定ゲーム数(たとえば、残り30ゲーム)に達した場合や、有利区間中の差枚数が所定差枚数(たとえば、+2200枚)に達した場合などで、実行されるようになっている。したがって、有利区間完走演出は、複数ゲームにわたって実行される。なお、有利区間完走演出の実行契機となる残余ゲーム数やその差枚数については、遊技状態(ボーナス遊技やART遊技)の出玉率に応じて、適宜定めることができる。たとえば、1ゲームあたりの平均獲得枚数(純増枚数)に基づき「これだけのART残余ゲーム数があれば、ほぼ確実に規制枚数に到達して有利区間が終了される(有利区間完走)」といった設計的な仕様に基づき、終了条件を定めることができる。
有利区間完走演出については、有利区間終了を事前報知可能なものであれば、その演出態様に特に制限はない。ただし有利区間完走演出の役割が、主として「有利区間終了を事前報知する」および「有利区間終了を報知する」という2つの役割を担う演出であることから、その演出内容には、有利区間終了を事前に報知する「有利区間終了事前報知演出」、有利区間終了を報知する「エンディング演出(リザルト演出)」が含まれる。たとえば、液晶画面に「完走目前!」などを表示するオープニング演出が開始され、その後、「残り20ゲームです」「残り獲得枚数50枚です」などのカウントダウン表示を含む有利区間終了事前報知演出が開始され、有利区間終了となった場合には「完走おめでとう!」などの祝福表示や総獲得枚数・総ゲーム数などのリザルト表示(有利区間中の遊技結果情報)含むエンディング演出が実行されるようになっている。
(継続バトルモード)
本実施形態では、ARTゲーム数の最終ゲームの次ゲームから、所定のゲーム数(本実施形態では、7ゲーム)が消化されるまで「継続バトルモード」に移行される。この継続バトルモードの7ゲーム間は、主人公キャラと敵キャラとが対決する「バトル演出(複数ゲームに亘り展開される連続演出)」が展開され、その演出結果により、本ART遊技が継続するか否か、すなわち、ART継続抽選結果が報知される(継続時は「勝利演出」、非継続時は「敗北演出」が現出される)。まだ前述したように、ART継続抽選は、ARTゲームの最終ゲーム目において実行されるようになっている。
上記継続バトルモードの実体は本ART遊技であり、本ART遊技の後半区間に実行される遊技モードである。すなわち本ART遊技は、ARTゲーム数が消化されるまでの前半区間に係る「非バトルモード」と、当該非バトルモード終了後に展開される後半区間に係る「継続バトルモード」という複数の遊技モードが含まれる。これにより、内部遊技状態は本ART遊技でありながらも、異なる遊技モードに対応した演出モード(ART演出モード(非バトルモード対応)、継続バトル演出モード(継続バトルモード対応)による演出が現出される。この点、通常遊技に係る地獄モード、通常モード、天国モード等と同様である。
継続バトルモード中は、後述の上乗せ抽選は実行されず、継続バトルモードゲーム数やARTゲーム数に対する上乗せはない。しかし、継続バトルモード中の毎ゲーム、本ART遊技の継続権利をストック(ART継続抽選によらず、強制継続とする権利)する「ストック抽選」が実行されうる(ストック抽選処理)。このストック抽選は、「ストック抽選テーブル(図示せず)」に基づいて実行される。このストック抽選テーブルは、たとえば、AT抽選テーブル(図29A~図29C)やAT抽選状態移行抽選テーブル(図28A~図28B)などと、テーブル構成は基本的に同じである、具体的には、当選役種別(ストック抽選契機役(役グループ番号))に応じて、ストック数(たとえば、1~3個)とそのストック抽選確率とが定められている。上記ストック抽選に当選した場合には、当選したストック数が加算され(ストック数をカウントするストックカウンタ(RAM401b)にストック数分加算)、次回の継続バトルモードでそのストックが消化(ストック放出)される(ストック数1減算(ストックカウンタ-1))。ストックが放出されると、ART継続抽選によらず継続確定またはART継続抽選結果が非当選であっても強制的に当確処理(継続確定処理)され、バトル演出の結果演出については、勝利演出またはストック放出時用の勝利演出が現出されるようになっている。
なお、ART継続抽選結果が非当選である場合、ストック抽選に関し、次の「バトル形態A」または「バトル形態B」の構成とすることができる。
(バトル形態A)継続バトルモード中にストック抽選に当選してもこれを無効扱いとし、バトル演出結果で敗北演出を現出して継続バトルモードを終了(本ART遊技終了)させる。
(バトル形態B)継続バトルモード中にストック抽選に当選した場合、当該継続バトルモードでストック放出扱いとし、ART継続抽選結果を非当選から当選に書き換え、バトル演出結果で勝利演出を現出させ、継続バトルモード終了後、再度、1セット40ゲームの本ART遊技(非バトルモード)を開始させる。
上記ART継続抽選に当選した場合には、継続バトルモード(バトル演出)の7ゲーム消化後、再度、1セット40ゲームの本ART遊技(非バトルモード)が開始されるが、ART継続抽選が非当選(ハズレ)の場合には、継続バトルモードの7ゲーム消化されると、今回の本ART遊技が終了される。この場合、AT2遊技が終了となり、現在の本ART遊技から「ART終了後遊技(RT3遊技+AT0遊技)」に移行される。このART終了後遊技は、「第2昇格通常遊技(RT3遊技+AT0遊技)」と同じ内部遊技状態であるが、遊技モードについては、地獄モード、通常モードおよび天国モードのいずれかに移行されるようになっている。ART終了後遊技中を、どのような遊技モードとするかは、モード移行抽選(ART終了時モード移行抽選)により決定され、高設定ほど天国モードが選択される確率が高くなっている。なお、ART終了時モード移行抽選による抽選対象に、前兆モード(前兆遊技)を含ませてもよい。
(本ART遊技の変形例)
なお上記ART継続抽選は、ARTゲームの最終ゲーム目または継続バトルモード1ゲーム目における遊技結果が得られたことを契機で実行してもよい。この場合、図10CのステップS87のART関連分岐処理中に、ART継続抽選処理を設けることができる。
また本ART遊技は、1セット40をART継続抽選により継続可能な「継続率管理型」として説明したが、本発明はこれに限られない。
たとえば、以下のような終了または継続条件の1または複数を採用することができる。
(管1)上記ゲーム数管理型。
(管2)上記継続率管理型。
(管3)上記セット数管理型。
(管4)特定役のアシスト報知回数に基づく「報知回数管理型」。たとえば、中段ベルナビ回数が所定回発生した場合に終了させる。
(管5)本ART遊技中の払出枚数に基づく「払出枚数管理型」。たとえば、本ART遊技中の払出枚数が所定枚数に達した場合に終了させる。具体的には、ボーナス遊技と同じく遊技メダルの総払出枚数が所定枚数に達した場合、本ART遊技を終了させる。
(管6)本ART遊技中の差枚数に基づく「差枚数管理型」。たとえば、本ART遊技中の差枚数(純増枚数またはMY値のいずれでもよい)が所定枚数に達した場合(超えた場合でもよい)に終了させる。
(管7)有利区間中の差枚数による「有利区間差枚数管理型」。たとえば、有利区間中の差枚数(純増枚数またはMY値のいずれでもよい)が所定枚数に達した場合(超えた場合でもよい)に終了させる。
なお、上記(管3)~(管5)については、上乗せ抽選と基本構成を同じにする抽選(たとえば、当選役種別に応じて、上乗せする事象とその抽選確率が定められたもの)により、上乗せを実行可能に構成してもよい。たとえば、セット数管理型であれば、現在の残余セット数に対して上乗せするセット数(上乗せセット数)を抽選により決定する。報知回数管理型であれば、現在の残余報知回数に対して上乗せ報知回数を抽選により決定する。払出枚数管理型であれば、現在の残余払出枚数に対して上乗せ払出枚数を抽選により決定する。上乗せ事象については、後述の上乗せ抽選テーブル(図31A、図31B)における「+10~+30G」を、たとえば、セット数管理型であれば「+1~+3セット」と、報知回数管理型であれば「+10回~+30回」と、払出枚数管理型であれば「+10枚~+300枚」などと、置き換えたテーブル構成とすればよい。なお、上乗せ抽選確率や上乗せ数は適宜決定することができる。
また上記(管1)~(管6)における上乗せ形態のいずれも、本ART遊技だけでなく、後述の「上乗せ特化ゾーン」にも適用することができる。
(ARTゲーム数の上乗せについて:図31A、図31B)
本実施形態では、ARTゲーム数に対して、所定の抽選契機の下、所定のゲーム数を上乗せする「上乗せ抽選」が実行されるようになっている。この上乗せ抽選は、図31A、図31Bに示す「上乗せ抽選テーブル」に基づいて実行される。図31Aは本ART遊技中で利用される上乗せ抽選テーブル、図31Bは、上乗せ特化ゾーン中で利用される上乗せ抽選テーブルである。
(本ART用上乗せ抽選テーブル:図31A)
図31Aに、本ART中上乗せ抽選テーブルを示す。本ART中上乗せ抽選テーブルには、図に示す通り、当選役種別(上乗せ抽選契機役種別)に応じて、上乗せゲーム数(図示の「+10、+20、+30」)とその抽選確率とが関連付けて定められている。なお、上乗せ抽選について、どのような当選役(上乗せ抽選契機役)を定めるか、また、その抽選確率や上乗せゲーム数の種類については、適宜定めることができる。
上乗せ抽選に当選すると、1または複数のうちから上乗せゲーム数を抽選する「上乗せゲーム数抽選」が実行され、上乗せするゲーム数(上乗せゲーム数)が決定される。たとえば「スイカ」が当選した場合であれば、0/256で10ゲーム、1/256で20ゲーム、12/256で30ゲームが抽選される。上乗せゲーム数が決定されると、現在のARTゲーム数(ART残余ゲーム数)に対して、その上乗せゲーム数が上乗せ(加算)されることになる。これにより、本ART遊技に制御される期間が延長可能となっている。上乗せによりART残余ゲーム数が増加すれば、遊技者に更なる利益をもたらすことが可能になる。したがって、上乗せ抽選に当選するか否かも遊技の醍醐味の一つとされる。
なお、上乗せ抽選契機役に当選した場合には、上乗せ抽選に対する当選を煽る「上乗せ期待感演出」が現出される場合がある。また、上乗せ抽選に当選した場合には、上乗せゲーム数を報知する「上乗せ演出」が現出され、現在のARTゲーム数(ART残余ゲーム数)表示に上乗せゲーム数が加算表示されるようになっている。
(本ART遊技中の特定の当選役に関するアシスト報知)
本ART遊技中は、準備ART遊技中と同じように、「役秘匿アシスト報知」が実行され、当選役種別が秘匿されるようになっている。ここで、7リプレイ、7リプフェイク、BARリプレイ、またはBARリプフェイクが当選した場合、いずれも指示モニタ番号「6」が選択され、また押順ベル321Aや押順ベル321Bが当選した場合も同じ指示モニタ番号「6」が選択される(図23Aの指示モニタ番号の指示有り区間1の対応記載欄参照)。これを利用し、7リプレイ等が当選しても、アシスト報知に係る演出(アシスト演出)に関しては押順ベル321A等が当選したかのように装う一方、上乗せ抽選に当選した場合は、回胴の第1~第3停止操作時または遊技結果導出時(全回胴停止時)、あるいは次回のゲーム開始時において、インパクトのある上乗せ演出を現出し、遊技者に対して意表を突く形で、上乗せの事実が報知されるようになっている。
(上乗せ特化ゾーンについて)
次に、「上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)」について説明する。
上乗せ特化ゾーンは、本ART遊技中よりも「上乗せ抽選」が優遇された遊技状態であり(図31B参照)、本ART遊技中において、所定の移行抽選(上乗せ特化ゾーン移行抽選)に当選した場合に移行される。この移行抽選は、「上乗せ特化ゾーン移行抽選テーブル(図示せず)」に基づいて実行される。上乗せ特化ゾーン移行抽選テーブルの基本構成は、たとえば、AT抽選テーブル(図29A~図29C)やAT抽選状態移行抽選テーブル(図28A~図28B)同じものとなっており、当選役種別(特化ゾーン移行抽選契機役)に応じた移行抽選確率が定められている。本実施形態では、特化ゾーン移行抽選契機役をレア役である「強チャンス、強チェリー、および最強チェリー」のチェリー役の三種類とし、移行抽選確率を、たとえば、強チェリー当選時の2/256、強チャンス当選時の3/256、最強チェリー当選時の256/256としている。上乗せ特化ゾーン移行抽選に当選した場合、次回ゲーム以降から上乗せ特化ゾーンに突入させる。
上乗せ特化ゾーンにおける上乗せ抽選(以下「特化ゾーン上乗せ抽選」と称する)は、図31Bに示す「上乗せ特化ゾーン用上乗せ抽選テーブル」に基づいて実行される。
(上乗せ特化ゾーン用上乗せ抽選テーブル:図31B)
図31Bに、上乗せ特化ゾーン用上乗せ抽選テーブルを示す。この上乗せ抽選テーブルの基本構成は、図示の通り、図31Aの「本ART用上乗せ抽選テーブル」と同じである。特化ゾーン上乗せ抽選では、図31Bから分かるように、特に「7リプレイ」、「BARリプレイ」、「強チェリー」、「最強チェリー」による上乗せ抽選が優遇されており、上乗せ抽選確率および上乗せゲーム数が他の役よりも有利なものとなっている。
(上乗せ特化ゾーン中の「7リプレイ」、「BARリプレイ」に関するアシスト報知について)
ここで、7リプレイ、7リプフェイク、BARリプレイ、BARリプフェイクに関するアシスト報知について着目する。上乗せ特化ゾーン中に、「7リプレイ」または「7リプフェイク」が当選した場合には、指示モニタ番号‘7’が選択されるので、アシスト報知として、払出枚数表示器35に「7」、液晶表示装置には「←7を狙え」が表示され、「BARリプレイ」または「BARリプフェイク」が当選した場合には、指示モニタ番号‘8’が選択されるので、アシスト報知として、払出枚数表示器35に「8」、液晶表示装置には「←BARを狙え」が表示される(図23Aの指示モニタ番号の欄、図22の表示例参照)。したがって、「←7を狙え」や「←BARを狙え」のアシスト報知が発生した場合、遊技者は「7リプレイ」や「BARリプレイ」の当選に大きな期待を寄せながら、回胴を慎重に停止操作に臨むようになる。
(上乗せ特化ゾーン中のチェリー役種別に関するアシスト報知について)
また「強チェリー」や「最強チェリー」も上乗せ抽選が優遇されている。このため、上乗せ特化ゾーン中の遊技者の関心事は、上述した「7リプレイ」や「BARリプレイ」と同じく、「強チェリー」や「最強チェリー」に当選することにも向けられる。ここで、チェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)には、既に説明したように、停止目に関し次のような関係がある。
(α)停止操作手順に応じて、いずれも共通の「チェリー溢し目」が出現する場合がある、
(β)「弱チェリー」が当選した場合、弱チェリーの取りこぼし目として「強チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。また強チェリーが当選した場合、強チェリーの取りこぼし目として「弱チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。また最強チェリーが当選した場合、最強チェリーの取りこぼし目として「強チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。
そこで、上記(α)(β)の関係(共通性のある停止目が出現する点)に着目し、強チェリーや最強チェリーの当選期待感を煽るべく、チェリー役種別が当選した場合、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのいずれか当選しても、アシスト報知は実行しないが(指示モニタ番号0:図23Aの指示モニタ番号の指示有り区間2参照)、いずれのチェリー役に当選しても同一演出態様の「チェリー予告演出」を現出させる。これにより「チェリー予告」が発生すれば、遊技者は、回胴の停止操作に対して緊張感が高まる。また各チェリー役同士で共通性のある停止目が出現することを知る遊技者上級者であれば、故意にチェリー共通停止目やチェリー溢し目等を出現させ、いずれのチェリー役が当選したのかを不明にし、上乗せ演出が発生するか否かを楽しむことができる。
(上乗せ特化ゾーンのゲーム数)
本実施形態に係る上乗せ特化ゾーンは、所定のゲーム数(たとえば、20ゲーム)を消化した場合に終了される(ゲーム数管理型)。上乗せ特化ゾーンが終了すると、本ART遊技(非バトルモード)に再移行される。上乗せ特化ゾーン中は、ARTの残余ゲーム数(ART残余ゲーム数)のカウントは中断される。
ここで、有利区間に関する上限ゲーム数(3000ゲーム)の関係上、上限ゲーム数間近で(たとえば、2980ゲーム消化時)、上乗せ特化ゾーンに突入してしまうと、直ちに、ARTゲーム数が上限ゲーム数に達してしまう可能性が高く、折角の上乗せ特化ゾーンの機能が失われ、遊技者に「引き損感」を与えてしまう。その結果、遊技者の遊技意欲が著しく低下する恐れがある。たとえば、有利区間の残余ゲーム数が20ゲームしかない場合に上乗せ特化ゾーンに移行させても、全く無意味な上乗せ特化ゾーンとなってしまう。
そこで、現在の有利区間の残余ゲーム数に基づき、上乗せ特化ゾーン移行禁止条件(制限条件)を定めることが好ましい。たとえば、現在の有利区間の残余ゲーム数が所定のゲーム数に達した場合、上乗せ特化ゾーンへの移行を禁止(制限)する(特化ゾーン移行抽選禁止処理)。具体的には、上乗せ特化ゾーンへの移行抽選自体を禁止したり、移行抽選を実行しても抽選結果を無効扱い(ハズレ扱い)としたりする(移行抽選禁止処理)。上乗せ特化ゾーンの移行制限を開始する残余ゲーム数(制限開始ゲーム数)は、上乗せ特化ゾーンの最大継続ゲーム数(20ゲーム)と、最大上乗せゲーム(30ゲーム:図31B参照)または上乗せ特化ゾーンの平均上乗せゲーム数とを考慮して定めることが好ましい。本実施形態であれば、たとえば、有利区間の残余ゲーム数100ゲーム~200ゲーム程度とするなど、適宜、制限開始ゲーム数を定めることができる。また、本ART遊技中の上乗せ抽選についても、同様の理由により、現在の有利区間の残余ゲーム数に基づき、上乗せ抽選を禁止することが好ましい(上乗せ抽選禁止処理)。上乗せ抽選を禁止する有利区間の残余ゲーム数も、上述の上乗せ特化ゾーンと同じく、本ART遊技の残余ゲーム数と、最大上乗せゲーム(30ゲーム:図31A参照)または平均上乗せゲーム数とを考慮して定めることが好ましい。
(ART遊技中転落時の復帰用アシスト報知)
なお、上記した準備ART遊技、本ART遊技、または上乗せ特化ゾーン中に、遊技者の押し順ミスなどにより、アシスト報知が指示する押し順とは異なる押し順をしてしまい、転落契機役(転落リプレイ、ベル溢し目)が入賞してしまった場合、現在のRT状態(RT1遊技1~RT3遊技)から「RT1遊技」に転落してしまうが、発生中のAT遊技(AT1遊技~AT3遊技)については、転落契機役が入賞しても終了しないようになっている。このような転落移行が生じた場合は、救済措置として、転落前の遊技状態に復帰させるための復帰ゲームが実行されるようになっている。復帰ゲーム中は、RT2移行リプナビやRT3昇格リプナビが実行されるようになっており、RT1遊技に転落しても転落前の遊技状態に再移行可能となっている。ただし、復帰するまでに消化したゲーム数は、ペナルティとして、本ARTゲームの残余ゲーム数や上乗せ特化ゾーンの残余ゲーム数から減算される。
(差枚数による有利区間終了条件について)
本実施形態では、有利区間終了条件の一つとして、所定のMY枚数(MY2400枚)を超えた場合に終了されると説明した。ここで、有利区間終了条件として、以下に述べる「終了条件A(MYカウント終了形態)」または「終了条件B」(差枚数カウント終了形態」を採用することができる。
(終了条件A:MYカウント方式による終了形態))
終了条件Aの場合は、既に説明した通り、「一の有利区間中、遊技の結果が得られたときの遊技メダル等が最も減少したときを基準として、当該基準からの遊技メダルの増加数(差枚数:「総アウト枚数(総払出枚数)-総イン枚数(総投入枚数)」)が上限枚数(2400枚)を超えないあらかじめ定められた数を超えたとき」、当該有利区間を終了させる。具体的には、上記「MY値」(たとえば、MY2400)に基づいて有利区間を終了させる形態である。このMYカウント終了形態の場合は、有利区間中の差枚数がマイナスになった場合であっても、それ以上の投入枚数分(純減枚数)が「マイナス分」としてカウントされない。したがって、この終了条件Aの場合は、有利区間中の純減枚数分(遊技者の損失分)を無視した差枚数に基づき、有利区間が終了されることになる。
たとえば、今回の有利区間中において、「-100枚(純減枚数100枚)」の時点から遊技者が上限枚数の2400枚を超えて遊技メダルを獲得して有利区間が終了される場合は、遊技者は損失を出すことなく有利区間を終えることができる。しかしたとえば、「-2500枚(純減枚数2500枚)」という大きく損失を出している時点から上限枚数の2400枚を超えて遊技メダルを獲得して有利区間が終了される場合は、遊技者はその損失分を取り戻せずに、有利区間が終わってしまう。このケースでは、遊技メダル99枚程度の損失を出したまま有利区間が終了してしまう。
(終了条件B)
一方、終了条件Bの場合は、「一の有利区間中、遊技メダルの増加数(差枚数:「総アウト枚数(総払出枚数)-総イン枚数(総投入枚数)」)が上限枚数(2400枚)を超えないあらかじめ定められた数を超えたとき(一の有利区間開始時を0枚の基点として、当該基点から差枚数が2400枚を超えた場合)」、有利区間を終了させる。具体的には、上記「MY値」ではなく、有利区間中の差枚数(有利区間開始時からの純増枚数)に基づいて有利区間を終了させる形態である(差枚数カウント終了形態)。この差枚数カウント終了形態の場合は、有利区間中の差枚数がマイナスになった場合はそのマイナス分もカウントされる。したがって、終了条件Bの場合は、有利区間中の純減枚数分(遊技者の損失分)を考慮した差枚数に基づき、有利区間が終了されることになる。
たとえば、今回の有利区間中に、「-100枚(純減枚数100枚)」の時点から遊技者が上限枚数の2400枚を超えて遊技メダルを獲得して有利区間が終了される場合であっても、「-2500枚(純減枚数2500枚)」という大きく損失を出している時点から遊技者が上限枚数の2400枚を超えて遊技メダルを獲得して有利区間が終了される場合であっても、遊技者が損失を出すことなく、有利区間を終えることが可能である。前者の場合も後者の場合も、凡そ「損失分+2400枚」の遊技メダルを獲得して有利区間を終えることができる。
本実施形態では、以下に述べる理由により、「終了条件B」(後述の図17C参照)を採用している。なお以下では、説明の便宜のために、「純減枚数」を「吸込枚数」とも称する。
(終了条件Aを採用した場合の問題点について)
上記「終了条件A」を採用した場合、次のような問題が生じうる。
たとえば、有利区間中に、押順ベルなどの遊技メダルの払い出しを伴う押順規定役が長期間にわたって当選しない場合、或いは、本実施形態の通常遊技のように、有利区間下でありながらもアシスト報知が実行されないまたはその報知確率が低確率の遊技状態の場合には、消化ゲーム数が増えるに従い、基本的には、差枚数がマイナス側に下降していく((ベース値が100%未満(たとえば、約60%)であるため)。たとえば稀なケースではあるが、100ゲーム間、何の役にも当選せずにハズレ続けた場合、差枚数は「総払出枚数0枚-総投入枚数300枚(規定投入枚数3枚×100G)=-300枚」となる。
「終了条件A」を採用した場合は、既に説明した通り、有利区間中の差枚数がマイナスになっても、そのマイナス分の差枚数(吸込枚数)は考慮されずに、有利区間中の差枚数がカウントされていくことになる。したがって、この「300枚」のまれた状況からART遊技に突入し、遊技者が順調に遊技メダルを獲得して今回の有利区間が終了される場合(有利区間中の差枚数が「MY2400枚」を超えた場合)、このケースでは、今回の有利区間中において遊技者が実際に獲得した遊技メダルは、凡そ「2100枚」(MY2400枚-300枚(吸込枚数)=2100枚(獲得枚数))であり、遊技者が、ART遊技に突入する前に投入した遊技メダル300枚(吸込枚数分)が回収できずに、今回の有利区間が強制的に終了されてしまうことになる。
このように「終了条件A」を採用した場合は、吸込枚数分が考慮されないため、仮に、有利区間中に上限枚数(2400枚)を超える枚数が吸い込まれていた場合(投入していた場合)には、もはや、今回の有利区間中において、その損失分を取り戻すことが不可能となってしまう。その結果、遊技者の遊技興趣を著しく低下させたり、遊技機に対する不信感を抱いたりするといった問題が生じうる。
(終了条件Bを採用した場合の利点ついて)
一方、上記「終了条件B」を採用した場合には、「終了条件A」のような問題は生じない。ここでは、「終了条件B」について、理解を容易なものとするために、上述した「終了条件A」と同様の例を用いて説明する。
たとえば、有利区間中に100ゲーム間、何の役にも当選せずにハズレ続けた場合には、差枚数は「-300枚」となるが、「終了条件B」を採用した場合には、有利区間中の差枚数がマイナスになっても、そのマイナス分(吸込枚数)を考慮した上での差枚数がカウントされていく。したがって「300枚」のまれた状況(差枚数=-300枚の状況)から差枚数が上限枚数(2400枚)を超えて今回の有利区間が終了されるケースでは、今回の有利区間中において遊技者が実際に獲得した遊技メダルは、凡そ「2700枚」(300枚(吸込枚数)+2400枚(上限枚数)=2700枚)となる。
このように「終了条件B」を採用した場合は、吸込枚数分が考慮されるため、たとえ遊技者が2400枚を超える枚数を投入していた場合(有利区間中の投入)であっても、今回の有利区間中において、その損失分の全てを取り戻すことが可能な状況を作り出すことが可能である。したがって、今回の有利区間中に遊技者の損失が生じていても「損失を取り戻せるかもしれない」、「利益がプラス域に転じるかもしれない」などの期待感を遊技者に与えることができる。この点、損失分が取り戻せない状況が発生しうる上記「終了条件A」とは決定的に異なる。
いずれの終了条件A、Bを採用するかは、遊技性や射幸性に応じて自由であるが、遊技興趣の低下を防止しうるという点に着目した場合には、終了条件Bを採用することが好ましい。特に、本実施形態のような通常遊技(有利区間下通常遊技)を制御可能に構成した場合には、ART遊技やボーナス遊技などの利益状態が頻繁に発生しない限りは、遊技の大半が有利区間下通常遊技に滞在し、有利区間中であっても、基本的には、遊技者の獲得メダル(純増枚数)はマイナスになっていくため、「終了条件A」のように吸込枚数が考慮されない場合には、負け分が取り戻せないなど、遊技者に不利益を与えてしまう状況が生じてしまうからである。
ところで、上記「終了条件B」を採用した場合に、闇雲に、吸込枚数を考慮した差枚数をカウントするようにしてしまうと、制御負担の増加を招来する。たとえば、0~65535の範囲をカウント可能に構成するのであれば、カウンタが2バイトで済むが、それ以上(たとえば、-7万枚~+7万枚など)をカウントするとすれば、3バイト以上のワーク領域が必要となってしまう。
パチンコ店に設置するような遊技機、具体的には、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を対象とした遊技機においては、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則により、遊技動作全般の制御を司る主基板(本実施形態では、主制御部400が該当する)に装着されるROMやRAMの制御領域(記憶領域)が制限されているため(同規則別表第3 不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格(第6条関係))、記憶領域をできるだけ少なくすることは重要な意義を有する。また、吸込枚数のカウントを無尽蔵にしてしまうと、遊技性にもよるが、1回の有利区間中に、膨大な遊技メダルを獲得可能な状況も発生しうる。しかし、斯様な爆発力を持つ遊技機(いわゆる、爆裂機)としてしまうと、射幸性(のめり込み防止)の観点から好ましくない。
そこで、吸込枚数分のカウントに対して、或る程度の上限値を設けることが重要である。具体的には、実際の遊技機の1日の平均的な稼働状況(たとえば、1日営業した場合における差枚数)や、出玉率または射幸性などの種々の事情を考慮した上で、吸込枚数(純減枚数)の上限値(カウント可能な吸込枚数)を定め、これに伴い、有利区間終了させる遊技メダルの増加数を定めることが好ましいと言える。
具体的には、吸込枚数の上限値を考慮して、「第1特定値(初期値:吸込枚数の上限値)+第2特定値(上限枚数:たとえば、2400枚)」を、有利区間終了に係る「規制枚数(差枚数超過判定値)」として定め、有利区間中の差枚数をカウントするためのカウンタ(有利区間差枚数カウンタ)の値がこの規制枚数を超えた場合、有利区間を終了させる。また、「吸込枚数の上限値」も適切な値までカウント可能に構成することが好ましい。
上記終了条件B(差枚数カウント終了形態)に係る具体的な制御内容については、後述の図17Cにて詳述するが、本発明の理解を容易なものとするために、先ず、処理内容を簡単に説明しておく。
本実施形態では、非有利区間中において有利区間移行条件を満たした場合、次ゲームから有利区間に移行させるための設定処理を行い、有利区間差枚数カウンタに初期値として、「吸込枚数の上限値Z」を設定する(後述の図10CのステップS88、図14AのステップS709の処理内容参照)。そして、有利区間中においては、ゲーム実行毎に、現在の有利区間差枚数カウンタに対して、今回のゲームの差枚数(払出枚数-投入枚数)を加算し、その結果を差枚数超過判定値である「規制枚数(初期値(上限値Z)+2400枚(上限枚数)」と比較し、有利区間差枚数カウンタ値が規制枚数を超えている場合には、有利区間を終了させる(後述の図17Cの「有利区間差枚数管理処理」を参照)。
有利区間中の差枚数は「有利区間差枚数カウンタの初期値(吸込枚数の上限値Z)を基準(0枚)とし、当該基準からの差(差枚数)」となるので、本実施形態の場合、この差が2400枚(上限枚数)を超えると有利区間が終了されることになる。この点、上記終了条件Aのように「MY値」が所定枚数(2400枚)を超えた場合に有利区間を終了させるものとは大きく異なる。
以下、説明の便宜のために、上記「規制枚数」を「規制枚数R」と、吸込枚数を「吸込枚数X」と、吸込枚数の上限値を「上限値Z」、「上限枚数」を「上限枚数Y」と称する場合がある。
ここで、規制枚数R(有利区間終了判定枚数)、上限枚数R(プラス域に転じた際の最大差枚数)、上限値Z(上限吸込枚数)のいずれも固定的な値であるが、闇雲に適当な値に定めてしまうのでは、上記した、主制御部400の制御領域に係る法的制限の問題や射幸性の問題が生じうる。そこで、規制枚数Rを定めるにあたり、カウント可能な吸込枚数の上限値Zを考慮する必要がある。たとえば、吸込枚数の上限値Zおよび規制枚数Rについて、以下の(吸1)~(吸5)のように定めることが好ましいと言える。以下では特に必要の無い限り、「第2特定値(上限枚数)」を、従来から採用されている「2400枚」として説明する。
[(吸1):1日の営業時間内における最大吸込枚数に基づく上限値Z、規制枚数R]
1日の営業において、最大実行可能ゲーム数(最大消化可能ゲーム数)の平均値または理論上の最大実行可能ゲーム数を「Gmax」とした場合、上限値Zを「Gmax×最大ベット数(たとえば、3枚)」とする。本例の上限値Zは、毎ゲーム、ハズレ続けた場合を想定した値となっている。
回胴式遊技機の場合、1ゲーム毎に、遊技開始ウェイト時間(本実施形態では、4.1秒)が設けられている(後述の図10AのステップS76参照)。すなわち、1ゲーム実行するためには、少なくともこのウェイト時間分の4.1秒を要し、仮に、遊技者による各回胴の停止操作時間、ベット操作時間などを考慮しなければ(実際には数秒程度要する)、最速4.1秒で1ゲームが終了する。したがって、1時間に実行可能なゲーム数は、理論上は「878ゲーム(3600秒/4.1秒)」となる。
理論上の最大実行可能ゲーム数を採用する場合には、上限値Zは「営業時間×878ゲーム(Gmax)×3枚(最大ベット数)」となる。たとえば、営業時間が13時間であるとすれば、上限値Zは「13時間×878ゲーム×3枚=34242枚」とすることができる。また、最大実行可能ゲーム数の平均値を採用する場合には、「Gmax」を適宜な値に定めればよい。たとえば、遊技上級者であれば、1時間平均600~700ゲーム程度消化可能と考えられるため、上限値Zを「13時間×600~700ゲーム×3枚=23400枚~27300枚」とすることができる。この場合、規制枚数は「23400枚~27300枚(上限値Z)+2400枚(上限枚数Y)=25800枚~29700枚(規制枚数R)」とすることができる。
[(吸2):有利区間中の最大吸込枚数に基づく上限値Z]
上述した(吸1)では、1日の営業時間内における最大吸込枚数(ハズレ続けた場合)に基づく上限値Zであるが、有利区間の最大吸込枚数(ハズレ続けた場合)に基づく上限値Zを定めてもよい。たとえば、有利区間の規制ゲーム数(本実施形態では、3000ゲーム)を「GAmax」とした場合、上限値Zを「GAmax×最大ベット数(たとえば、3枚)」とする。本例の場合、上限値Zは「3000ゲーム(規制ゲーム数)×3枚(最大ベット数)=9000枚」、規制枚数については「9000枚(上限値Z)+2400枚(上限枚数Y)=11400枚(規制枚数R)」となる。
[(吸3):出玉率に基づく上限値Z]
上記(吸1)または(吸2)に係る上限値Zは、毎ゲーム、ハズレ続けた場合を想定した最大吸込枚数を例にとり説明したが、実際には、遊技メダルの払い出しを伴う小役や、再遊技可能なリプレイ役(再遊技役)、ボーナス役(特別役)などに当選するため、遊技機の出玉率(設定差による出玉率、有利区間下通常遊技の出玉率など)を考慮した上限値Zを定めてもよい。たとえば、次のような上限値Zを採用することができる。
(吸3-1)設定値に応じた上限値Zとすることができる。
本実施形態の場合、設定1が出玉率が最低、つまり、吸込枚数が相対的に多くなるため、設定値が低いほど上限値Zを大きい値にする。たとえば、「7000枚(設定1)」、「6000枚(設定2)」、「5000枚(設定3)」、「4000枚(設定4)」、「3000枚(設定5)」、「2000枚(設定6)」とすることができる。この場合、低設定ほど規制枚数(上限値Z+2400枚(上限枚数Y))を相対的に多くすることができる。本例の場合、設定1であれば、規制枚数が9400枚、設定6であれば規制枚数が4400枚となる。つまり、設定値が低くなるほど、遊技者が一撃で獲得可能な遊技メダルが増えることになり、低設定であっても遊技者の遊技興趣が低下してしまうことを防止することができる。
(吸3-2)また逆に、設定6が一番出玉率が高いことを考慮し、設定値が高いほど上限値Zを大きい値にしてもよい。たとえば、「2000枚(設定1)」、「3000枚(設定2)」、「4000枚(設定3)」、「5000枚(設定4)」、「6000枚(設定5)」、「7000枚(設定6)」などである。この場合、高設定ほど規制枚数(上限値Z+2400枚(上限枚数Y))を相対的に多くすることができる。本例の場合、設定6であれば、規制枚数が4400枚、設定6であれば規制枚数が9400枚となる。つまり、設定値が高くなるほど、遊技者が一撃で獲得可能な遊技メダルが増えることになり、高設定の存在に、大きな意義を持たせることができる。
(吸3-3)ART遊技および/またはボーナス遊技を除く、有利区間中の出玉率(本実施形態では、通常遊技中の出玉率)を考慮した上限値Zとすることができる。たとえば、以下の(吸3-3α)、(吸3-3β)とすることができる
(吸3-3α)通常遊技中(有利区間中)において、ART遊技に当選するまでに平均X枚(たとえば、800枚)の吸込枚数(平均吸込枚数)があるとすれば、上限値Zとして、その平均吸込枚数と同一(略同一を含む)枚数(たとえば、800枚または略800枚)に定めることができる。また、1回のART遊技の出玉感を与えたい場合には、上記平均X枚の2~4倍程度(2X≦上限値Z≦4X)としてもよい。
(吸3-3β)また、ART遊技および/またはボーナス遊技を除く、有利区間中の平均吸込枚数を上限値Zとしてもよい。
上記した(吸3-1)または(吸3-2)は、いずれにしても設定値に応じた出玉感を遊技者に与えることができる点で有用である。特に、設定値に基づく上限値Zを定める場合には、“設定値に応じて、上限値Zまたは規制枚数が異なる”という点を生かし、有利区間が終了される差枚数に密接に関連した「設定示唆」ができる、という利点がある。従来、設定示唆は、専ら演出手段(光発生手段、演出表示装置、音響発生装置、可動体役物など)を用いて、現在の設定値に関連する情報を報知する「設定示唆演出」が主流であるが、本実施形態の場合には、演出手段を用いずに、有利区間が終了される差枚数を用いた設定示唆ができる点に斬新さがある。なお、設定の一部(少なくとも2つの設定値)で共通の上限値Zとしてもよく、たとえば、低設定域(設定1~2)、中間設定域(設定3~4)および高設定域(設定5~6)に応じて異なる値としてもよい。勿論、設定値によらず固定的な上限値Z(たとえば、下記(吸4)、(吸5)参照)としてもよく、その値は適宜定めることができる。
[(吸4):安全装置作動契機枚数との関係を考慮した規制枚数Rまたは上限値Z]
また、有利区間中の獲得枚数(特に、ART遊技による純増枚数)が過度に多くならないように、上記安全装置作動契機枚数(本実施形態では、19000枚)との関係を考慮した規制枚数Rまたは上限値Zを定めることができる。
(吸4-1)
「上限値Z」を「安全装置作動契機枚数」以下またはそれ未満とすることができる。つまり、上限値Zが「上限値Z<安全装置作動契機枚数」または「上限値Z≦安全装置作動契機枚数」の関係式を満たす値に定める。好ましくは、安全装置作動契機枚数の1/2~1/10の範囲で、上限値Zを定める。
(吸4-2)
「規制枚数R」を「安全装置作動契機枚数」以下またはそれ未満とする。つまり、規制枚数Rが「規制枚数R<安全装置作動契機枚数」または「規制枚数R≦安全装置作動契機枚数」の関係式を満たす値に定める。好ましくは、安全装置作動契機枚数の1/2~1/10の範囲で、規制枚数Rを定める。
(吸4-3)
なお、上述の(吸4-1)、(吸4-2)では、安全装置作動契機枚数以下の範囲に定める例を説明したが、安全装置作動契機枚数以上の上限値Zまたは規制枚数Rを定めてもよい。たとえば、安全装置作動契機枚数が「MY19000枚」であっても、上限値Zを「60000枚」にしたり、規制枚数Rを「65520枚」などにしてもよい。
[(吸5):その他]
上記(吸1)または上記(吸2)において説明した「最大吸込枚数に基づく上限値Z」よりも、少ない上限値とすることができる。たとえば、上限値Zを「5000枚」とすることができる。この場合、規制枚数Rについては「5000枚(上限値Z)+2400枚(上限枚数Y)」の「7400枚」となる。
以上に説明した(吸1)~(吸5)に係る上限値Z、規制枚数Rのいずれも、遊技者の射幸心を過度に煽ることなく適度な出玉感を与えることができる点、また、制御負担の軽減(規制枚数Rのデータ領域や有利区間中の差枚数のカウント領域のいずれも2バイトで済むなど)の点で有用である。特に、上記(吸1)~(吸5)に係る「上限値Z」および/または「規制枚数R」の値は、単に、適当な値を取捨選択して定めるのではなく、遊技機に関する諸問題(たとえば、射幸性を抑える、出玉感を与え遊技興趣を高める、制御負担の軽減など)を明確に認識した上で、その問題を解決しうる上限値Z(カウント可能な吸込枚数の上限値)や規制枚数R(有利区間終了差枚数上限値)を定める点に、従来には無い斬新性がある。
<遊技動作制御処理>
次に、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技動作制御に関する処理内容について詳細に説明する。
<主制御部側の処理:図9~図18>
まず図9~図18を参照して、遊技動作を統括的に司る主制御部400側の処理内容について説明する。本処理はCPU401cにより実行されるものであるが、説明の便宜上、処理を実行する主体を主制御部400と称して説明する。
(1.主制御側メイン処理:図9)
図9は、遊技動作制御プログラムに従い主制御部400側のメイン処理(主制御側メイン処理)を示すフローチャートである。
遊技機に電源が投入されると、図示しない「電源基板」から各基板に電源が供給されるとともに、電源が投入された旨の電源投入信号が送られる。この電源投入信号を受けて主制御部400は、図9に示す主制御側メイン処理を開始する。この主制御側メイン処理では、電源投入時の初めての処理として、図示のステップS11~S20の処理(電源投入時処理)が実行され、それ以外の場合には正常動作時の処理として、ステップS32の処理(ゲーム進行に要する処理)がループ状に実行されるようになっている。
図9おいて、主制御部400は、電源投入が行われてから初めての処理として、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS11)。この初期設定処理では、たとえば、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定する割込みモード設定処理、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内蔵のレジスタ値の初期化処理、内部ハード乱数回路を起動させる内部ハード乱数設定処理、乱数回路の異常判定処理(主基板エラー判定処理)、電断時(バックアップ時)に設定される電断キーワード(5AAH)の異常判定処理、所定のスイッチ類の入力情報(入力ポートデータ)を取得する入力情報取得処理、電源投入時コマンドの送信、後述の安全装置カウンタのクリア処理などが含まれる。演出制御部410が上記「電源投入時コマンド」を受けると、たとえば液晶表示装置6には「Please Wait」を表示させるなどの電源投入時演出を実行する。また、遊技機に何らかの異常が確認された場合、所定のエラー処理を実行する。
なお、上記「入力情報取得処理」では、後述の設定変更移行モード(ステップS20の設定変更処理実行ルート)、有利区間差枚数初期化モード(ステップS15の有利区間差枚数差枚数設定処理実行ルート)、バックアップ復帰モード(ステップS17のバックアップ復帰処理実行ルート)のいずれに移行するか否かの判定に要するスイッチ類のON/OFF信号が取得される。たとえば、ドアセンサ61、設定キースイッチ94、リセットスイッチ94などのON/OFF状態が取得される。
ステップS11の初期設定処理を終えると、続いて、ステップS12以降の処理を実行していく。ここで本実施形態では、上記入力情報取得処理により取得した信号状態(信号のON/OFF状態)に基づいて、主に、下記(1)~(4)の処理モードに移行されるようになっている。
(1)設定変更処理(ステップS18)が実行される「設定変更モード」。
(2)有利区間差枚数カウンタ設定処理(ステップS16)実行される「有利区間差枚数初期化モード」、
(3)有利区間差枚数初期化モードに移行せずまたは移行後に、バックアップ復帰処理(ステップS17)が実行される「バックアップ復帰モード」、
(4)RAMの内容に不具合が生じた場合に、RAMエラー処理(ステップS19~S20)が実行される「RAMエラーモード」、
などがある。
詳細は追って説明するが、これら処理モードのうち、「RAMエラーモード」を除く3種類のモードについては、設定キースイッチ94のON/OFF状態、ドアセンサ61のON/OFF状態(閉鎖/開放)、リセットスイッチ95のON/OFF状態の組合せに応じて移行可能となっている。なお、いずれのモードに移行するかに要するスイッチ類は、適宜定めることができる。
<設定変更モード:S12=YESの処理ルート>
まず、設定変更モードに係る処理内容について説明する。なお以下では、説明の便宜のために、特段の事情の無い限り、前扉2が開放状態(ドアセンサ61がOFF)であることを前提に説明する。
本実施形態では、電源投入時における設定キースイッチ94のON/OFF状態に応じて、設定変更操作可能な設定変更モード(ステップS12の判定結果がYESの処理ルート)と、設定変更操作不能な設定非変更モード(ステップS12の判定結果がNOの処理ルート)とに移行制御可能に構成されている。既に説明したように、遊技機への電源OFF状態において設定キースイッチ94をON状態(設定変更モード移行側)としてから遊技機の電源をON状態にすると(ドアセンサ61がOFF(開放)および設定キースイッチ94がON)、設定変更モード移行条件が成立したとして(ステップS12:YES)、設定値(1~6段階)の変更を管理する設定変更処理を実行する(ステップS18)。
上記設定変更処理では、まず、設定変更中コマンドを演出制御部410に送信する。演出制御部410が設定変更中コマンドを受けると、演出手段を用いて、設定値変更中である旨を報知する「設定変更中演出」を実行する。たとえば、液晶表示装置6に「設定変更中です」の演出画像を表示させる。
次いで、上記設定値格納領域に格納されている設定値データ(設定値Nc)を取得し、設定値データが異常値(設定1~6に対応する00H~05H以外の値)であるか否かを判定する。正常な遊技動作であれば、設定値格納領域には、設定1~6に対応して‘00H~05H(正常値)’のいずれかの設定値データが格納されているはずである。しかし、何らかの不具合により設定値データが破損して、設定1~6のいずれにも対応しない値が設定されている場合もありうる(設定異常エラー)。そこで、設定値データが正常値でない場合には、設定値格納領域をクリアして、初期値の00H(ここでは、設定1)に戻す。
設定値を初期値に戻した場合かまたは設定値が正常値である場合は、現在の設定値を設定表示器(不図示)に表示(設定値表示)する。その後、リセットスイッチ95のON/OFF操作を監視し、リセットスイッチ95のON操作がある毎に、現在の設定値データ(設定作業値)を変更(更新)する。設定変更中の設定値については、既に説明したように、リセットスイッチ95を操作するごとに、設定1~6の範囲で循環するように更新され、その設定値が設定表示器に表示されるようになっている。そして、始動レバー11(始動スイッチ11a)のON操作を検出した場合、設定値が確定されたとして、現在の設定値データ(設定作業値)をRAM401bの設定値格納領域に格納し、設定完了コマンドを演出制御部410に送信する。演出制御部410が設定完了コマンドを受けると、実行中の設定変更中演出を終了させて、設定変更が終了した旨(設定値が確定した旨)を報知する「設定変更完了演出」を実行する。たとえば、液晶表示装置6に「設定が変更されました」の演出画像(設定変更完了画面)を表示させる。また、設定が確定すると、設定表示器による設定値表示を終了して、設定確定表示を実行する。
設定値が確定された後、次いで、RAM401bの所定領域をクリアするRAMクリア処理を実行する。このRAMクリア処理では、領域内RAMの所定領域をクリアする「領域内クリア処理」と、領域外RAMの所定領域をクリアする「領域外RAMクリア処理」とが含まれる。
上記「領域内RAMクリア処理」では、RAM203の記憶領域のうち、領域外メモリに係る「領域外RAM領域」および領域内メモリに係る「領域内RAM領域」の上記設定値格納領域(設定値データ)を除く、所定の記憶領域(通常データ格納領域)をクリアする。つまり、ここでのクリア対象は、RAM領域のうち、領域外RAM領域を除く領域内RAM領域とするが、領域内RAMのデータであっても一部(設定値格納領域(設定値データ))のデータはクリア対象とされない。上述した領域内RAMの「通常データ格納領域」には、主として、ステップS32の「ゲーム処理(ステップS32、図10A~図10C)」で利用されるデータとして、たとえば、遊技動作に係るタイマやカウンタ、抽選結果情報や遊技状態情報やエラー情報、クレジット情報やベット数(投入枚数)、回胴の駆動制御データやLED出力データ、スイッチ類の検出データなど、遊技進行に係る種々のデータが、それぞれに対応するワーク領域が定められている。
つまり、領域内RAMクリア処理では、設定値データを含み、ゲーム進行に係る所定の遊技処理で使用するデータに係る領域内RAM領域のうち、少なくとも設定値データ(設定値格納領域)を除く全領域(通常データ格納領域)をクリアし、これにより、遊技機の動作状態を初期状態(デフォルト状態)に戻す。
なお本実施形態では、たとえば、役比モニタ99における性能情報に関する処理(後述の図17B参照)の他、有利区間中における差枚数に関する処理(後述の図17C参照)や、安全装置の作動に関する処理(後述の図17D参照)のプログラムやワーク領域については、主制御部400が通常の遊技進行の際にアクセスする領域(領域内メモリ(第1メモリ領域))とは異なる領域(領域外メモリ(第2メモリ領域))に規定されている。
そこで上記「領域外RAMクリア処理」では、役比モニタ99における性能情報に関するデータはクリアしないが、少なくとも有利区間中における差枚数(有利区間差枚数カウンタ)および安全装置に関する差枚数(安全装置カウンタ)がクリア(本実施形態では、ゼロにクリア)される。上記「有利区間差枚数カウンタ」とは、既に説明した通り、有利区間中における差枚数(有利区間中の差枚数)をカウントするためのカウンタである。また、「安全装置カウンタ」とは、現在の差枚数(本実施形態では、電源投入時からのMYカウント方式による差枚数)が、安全装置作動契機枚数に達したか否かをカウントするためのカウンタである。なお詳細は後述するが、有利区間差枚数カウンタには、有利区間への移行条件を満たした際に初期値が設定されるようになっている(後述のステップS18、図10CのステップS88の処理内容参照)。また、安全装置カウンタについては、初期値を「0」として、後述の図17Dにて更新処理が実行され、安全装置作動契
機枚数(MY19000)に達した場合に安全装置が作動するようになっている。
またここでは、安全装置の作動状態を指定する「安全装置作動フラグ(非作動指定=00H、作動指定=FFH)」(後述の図17B、図17D参照)もクリアされ、安全装置が非作動状態(00H)に設定される。これにより、安全装置が作動した場合は、上記「特別打ち止め状態」が解除されることになる。
なお本実施形態では、上記RAMクリア処理により、有利区間差枚数カウンタを含む有利区間に利用される全データがクリアされるようになっている。したがって、設定変更操作があった場合は、電断直前の遊技状態が有利区間中であっても非有利区間に移行されることになる。
したがって、ここでの「領域外RAMクリア処理」では、領域外RAMのうち、少なくとも役比モニタ99における性能情報に関する処理(後述の図17B)に利用されるデータはクリアされない。なお、性能情報の算出および算出結果に係るデータ(たとえば、上記した役物比率、連続役物比率、指示込役物比率などを算出するためのデータや現在記憶されている算出結果データなど)はクリアせず、性能情報の内容には直接影響しないデータ(たとえば、役比モニタ99に対するLED出力データ)についてはクリアしてもよい。
本実施形態に係る主制御部400は、第1の処理で用いられるデータを記憶可能な第1RAM領域(領域内RAM)と、第2の処理で用いられるデータを記憶可能な第2RAM領域(領域外RAM)とを含むRAMと、第1の処理を実行するための第1制御プログラムを記憶する第1ROM領域(領域内ROM)と、第2の処理を実行するための第2制御プログラムを記憶する第2ROM領域(領域内ROM)とを含むROMと、第1および第2制御プログラムに基づいて遊技制御動作を実行するCPUと、を有して構成される。なお、第1の処理は、通常の遊技進行(ゲームの進行)に係る遊技処理(少なくとも役比モニタ99における性能情報に関する処理以外の処理)である。ただし本実施形態に係る第1の処理には、通常の遊技進行で必要であるが、少なくとも有利区間における差枚数に関する処理(後述の図17C)および安全装置に関する処理(後述の図17D、図17E)については、上述したように、領域外メモリに規定されているため、これらの処理は上記第1の処理には含まれない。つまり、上記第2の処理には、少なくとも役比モニタ99における性能情報に関する処理(後述の図17B)が含まれ、本実施形態に係る第2の処理は、役比モニタ99における性能情報に関する処理の他、少なくとも有利区間中における差枚数に関する処理および安全装置に関する処理が含まれる形態となっている。なお、本実施形態では、RAM401bに領域内RAMと領域外RAMが含まれるが、別々のRAMに領域内RAMと領域外RAMを設けてもよい。
そして、設定キースイッチ94がOFF状態になるまで待ち、設定キースイッチ94のOFF状態が確認されたならば、設定表示器による設定確定表示を終了し、設定変更処理を抜ける。これにより、設定変更処理を終えて、処理状態を後述のゲーム処理(ステップS32)に移行させる。
なお、設定変更処理を終えても、前扉2が開放状態(ドアセンサ61がOFF)のままであれば、ドア開放エラーとなり、その旨が報知されるようになっている。ドア開放エラーは、前扉2が閉鎖状態となれば解消される。したがって、正確には、上記設定変更処理(ステップS18)を終えて、ドア開放エラーが解消された場合に、一連の電源投入時処理を終えて、遊技開始可能状態(遊技開始条件)が整ったとして、以後、後述のゲーム処理(ステップS32)を実行する。このゲーム処理の詳細については、図10A~図10Cを用いて後述する。
<RAMエラーモード:S13=YESの処理ルート>
図9のステップS12の判定処理の説明に戻り、次に、RAMエラーモードに係る処理内容ついて説明する。
ステップS12の判定結果がNOの場合、つまり、遊技機への電源OFF状態において設定キースイッチ94をOFF状態(設定非変更モード移行側)のまま、遊技機の電源をON状態にした場合(設定キースイッチ94およびドアセンサ61が共にOFF)設定変更モード移行条件が成立しなかったとして、ステップS13以降の処理を実行する。
ステップS12の判定結果がNOの場合(設定非変更モード移行である場合)、まずRAMの内容をチェックして、その異常の有無を判定する(ステップS13)。ここでは、電断が正常に行われたか否か(バックアップが正常であるか否か)のチェックとして、電断時に設定される電断キーワ-ドが正常値であるか否かをチェックする。電断キーワ-ドが正常値でない場合、RAMに異常が生じたとして場合(ステップS13:YES)、RAMエラー設定処理を実行する(ステップS19)。ここでは、RAMエラー状態に設定し、RAMエラーコマンド(RAMエラーコマンド)を演出制御部410に送信する。なお、RAMエラーが発生中は、払出枚数表示部35に、対応するエラーコード(たとえば「F0」)が表示される。また、演出制御部410が上記「RAMエラーコマンド」を受けると、RAMエラー報知演出を実行する。たとえば、液晶表示装置6に「RAMエラー 係員をお呼びください」などの専用の演出画像を表示し、演出用LED(装飾ランプ13)を所定のエラー態様で発光させ、スピーカ16からは所定のエラー音を出力させる。
次いで、電源再投入待ち処理を実行する(ステップS20)。この電源再投入待ち処理では、遊技処理の進行を強制的に停止させる遊技停止状態に制御する。具体的には、電断が発生するまで、これ以上処理が進行しないように、割込み待機処理(1.49ms分待機)を無限ループ状に実行する。なお、電源再投入待ち処理による遊技停止状態となった場合には、遊技機1の電源の再投入時に、設定変更モードに移行させて(ステップS12=YESの処理ルート)、設定変更処理(ステップS18)が実行されない限り、現在発生中のRAMエラー状態が解消できないようになっている。なお、RAMエラーは深刻度が高いエラー種別であるため、RAMエラー解消のための設定変更処理が実行された際には、RAMの全領域をクリアして初期状態に戻すようになっている。一方、RAMエラーでない場合には、単なる設定変更操作があった場合であるので、既に説明したように、RAMの一部の記憶領域のみをクリアするようになっている。
<有利区間差枚数初期化モード:S14=YESの処理ルート>
図9のステップS13の判定処理の説明に戻り、次に、有利区間差枚数初期化モードに係る処理内容ついて説明する。
RAMエラーでない場合(ステップS13:YES)、次いで、有利区間差枚数クリアモードに移行するか否かを判定する(ステップS14)。本実施形態では、遊技機への電源OFF状態において設定キースイッチ94をOFF状態(設定非変更モード移行側)およびリセットスイッチ95をON状態のまま遊技機の電源をON状態にした場合(ドアセンサ61がOFF(開放)、リセットスイッチ95がON)、有利区間差枚数クリアモード移行条件が成立したとして(ステップS14:YES)、まず、電断直前の遊技状態(バックアップ時の遊技状態)が有利区間中(または有利区間下の遊技状態)であるか否かを判定する(ステップS15)。以下、有利区間差枚数クリアモード移行条件を成立させるための所定の操作を「有利区間差枚数クリア操作」と称する。なお、有利区間差枚数クリア操作については、遊技機に設けられたスイッチおよびボタンなどの操作手段のうちの少なくとも1つを用いた特定の操作であればよく、その操作は適宜定めることができる。
本実施形態では、RAM401bの所定の遊技状態格納領域に、遊技状態を特定可能な状態情報((遊技状態情報(図26参照)、遊技モード情報(図34参照))が格納されているため、その情報(データ)に基づいて、有利区間であるか否かを判定することができる。本実施形態であれば、たとえば、遊技状態情報が初期遊技であれば非有利区間であり、有利区間を伴う遊技状態であれば有利区間中であると判定することができる。また、RAM401bの有利区間残余ゲーム数格納領域(有利区間ゲーム数カウンタ)に、有利区間の残余ゲーム数を特定可能な残余ゲーム数情報が格納されているため(後述の図10BのステップS67参照)、その情報に基づいて、有利区間であるか否かを判定してもよい。たとえば、有利区間残余ゲーム数が0であれば非有利区間中、有利区間残余ゲーム数が0でなければ、有利区間中であると判定することができる。
有利区間である場合(ステップS15:YES)、有利区間差枚数カウンタ設定処理を実行する(ステップS16)。ここでは、有利区間中の差枚数(有利区間中にカウントされた差枚数)に所定値(初期値)を設定する。つまり、有利区間差枚数カウンタをクリア(ゼロクリア)した後、有利区間差枚数カウンタに所定値(初期値)を設定する。
なお本処理が実行されるのは、操作者による「有利区間差枚数クリア操作」があった場合である。そこで本処理では、その旨を報知するべく、「有利区間差枚数クリアコマンド」を演出制御部410に送信し、これを受けた演出制御部410が、有利区間中の差枚数が初期化された旨を報知する「差枚数初期化演出」を実行させるようになっている。たとえば、液晶表示装置6に「有利区間中の差枚数がクリアされました」などの専用の演出画像を表示する。ただし、本処理を終えると、直ちに後述のバックアップ復帰処理(ステップS17)が実行される関係上、上述の差枚数初期化演出については、バックアップが正常に完了した際に実行される後述の「復旧完了演出」に付随して(重複的に)実行されるようになっている。
上記有利区間差枚数カウンタ設定処理(ステップS16)を終えると、次いで、後述のバックアップ復帰処理を実行する(ステップS17)。なお、有利区間差枚数クリア操作をしなかった場合(ステップS14:NO)か、または有利区間中でない場合(ステップS15:NO)は、ステップS16の有利区間差枚数カウンタ設定処理を実行することなく、ステップS17に進み、後述のバックアップ復帰処理(ステップS17)を実行する。
本実施形態では、設定変更処理(ステップS18)が実行されなくとも、設定変更操作以外の所定の操作があった場合に、有利区間中の差枚数をクリアすることが可能となっている。このように構成した場合には、次に述べる利点がある。たとえば、パチンコ店において、前日営業の設定値を引き継ぎつつ(態々、設定変更操作をすることなく)、電断直前の有利区間中においてカウントされた差枚数のみを初期化する(初期値に戻す)ことができる。
また、有利区間中の差枚数を初期化したいケースとして、たとえば、次のような遊技状況がある。
(ケースA)
規制枚数が5000枚(2600枚(吸込枚数の上限値Z)+2400枚(上限枚数))であり、電断遮断時(バックアップ時)のゲーム進行状況が、有利区間残余ゲーム数が2500ゲームあり、かつ現在の差枚数が「+4995枚(有利区間差枚数カウンタ=4995枚)」である場合には、たとえば、電源投入後の1ゲーム目に(ベット3枚)、「中段ベル(配当9枚)」が入賞し、遊技メダル9枚の払い出しが有った場合には、差枚数が「+5001枚」(>規制枚数5000枚)となり、有利区間が即座に終了してしまう。このように有利区間が比較的長期間継続しうる状況がバックアップされた場合であっても、バックアップ復帰後に、早々に有利区間が終了してしまうケースがありうる。しかし、有利区間中の差枚数を初期値(本例では、有利区間差枚数カウンタ=2599枚)に戻せば、有利区間残余ゲーム数を引き継いだまま(上記設定変更処理が実行されないため、ゲーム数はクリアされない)、さらに「+2400枚」の遊技メダルを遊技者が獲得可能な遊技状況を作り出すことができるようになる。
(ケースB)
またたとえば、電断直前(バックアップ時)のゲーム進行状況が、有利区間残余ゲーム数が1500ゲームあり、かつ現在の差枚数が「+0枚(有利区間差枚数カウンタ=0枚)」である場合には、あえて、有利区間中の差枚数を初期化することなく、バックアップ復帰させれば、有利区間残余ゲーム数が比較的長期間残存した状態で、当該有利区間中に5000枚を超える遊技メダルを獲得できる遊技状況を作り出すことができる。
上記のようなケースにおいて、差枚数を初期化するか、初期化しないかをパチンコホール側が自由に選択できれば、パチンコ店の営業戦略として、開店から早々と出玉感を演出したい場合(イベント時など)などで有用である。特に、有利区間への移行率が比較的低確率であったり、有利区間に移行した場合に多量の遊技メダルを獲得しうる遊技性を持つ遊技機に対して効果的である。このように、パチンコホール店側が自由に有利区間中の差枚数の初期化できる点は、営業戦略の幅が広がるという利点がある。また遊技者に対しても有利・不利な遊技状況を意図的に作り出せるため、遊技性の幅が広がるといった利点もある。
(電源投入時における有利区間中の差枚数の初期化制御の変形例)
本実施形態では、電源投入時において、設定変更操作を行った場合(設定変更処理が実行される場合)か、または有利区間差枚数クリア操作を行った場合に、有利区間中の差枚数を初期化可能な制御形態について説明した。本実施形態(以下「第1初期化形態」とも称する)は、単に遊技機の電源をオンオフにするだけでは有利区間中の差枚数が初期化されず、所定の操作を行わなければ有利区間中の差枚数は初期化されない、つまり、電断前の差枚数を引継ぎ可能である、といった制御形態である。
しかし本発明はこれに限らず、電源投入時における有利区間中の差枚数に関し、下記(第2初期化形態)~(第4初期化形態)の構成を採用してもよい。
(第2初期化形態:設定変更時引継可能形態)
通常の設定変更操作(第1設定変更操作)とは異なる特定の設定変更操作(第2設定変更操作)を行った場合に、有利区間中の差枚数を初期化可能に構成してもよい(第2初期化形態)。たとえば、遊技機への電源OFF状態において設定キースイッチ94をON状態(設定変更モード移行側)としてから遊技機の電源をONにした場合は「通常の設定変更操作」とし、遊技機への電源OFF状態において設定キースイッチ94とリセットスイッチ95を共にON状態としてから遊技機の電源をONにした場合は「特定の設定変更操作(通常の設定変更操作+有利区間差枚数クリア操作)」と定める。いずれの操作をした場合も設定変更処理(ステップS18)が実行されることになるが、「特定の設定変更操作」の場合には、設定変更処理における上記RAMクリア処理において、有利区間中の差枚数を初期化しない構成としてもよい。したがって、この第2初期化形態は、“設定変更を行い、有利区間中の差枚数を初期化するパターン”と、“設定変更を行うが、有利区間中の差枚数は初期化しないパターン”の2つの設定変更操作が可能となる。この第2初期化形態も第1初期化形態と同じく、パチンコホール店側が自由に有利区間中の差枚数の初期化を行うことができる。
ただし、特定の設定変更操作により、遊技状態が初期化され、電断前が有利区間を伴う遊技状態であっても、非有利区間である初期遊技に戻るため、一見して、有利区間中の差枚数を初期化しない点には、意義が無いようにも思える。しかし本実施形態のように、非有利区間から少ないゲーム数で有利区間に移行可能な遊技性を持つ遊技機や、或いは、有利区間には移行しにくいが(有利区間移行確率が低確率)、有利区間に移行さえすれば高確率で多量の遊技メダルを獲得可能な遊技性を持つ遊技機などの場合に、たとえば上記(ケースB)の場合のように、差枚数が「+0枚(有利区間差枚数カウンタ=0枚)」のまま、新たな有利区間に突入させることが可能であり、その後、遊技者が少ないゲーム数でART遊技等に突入させることができれば、一撃5000枚ほどの遊技メダルを獲得可能、といった遊技状況を作り出すこともできる。一方、上記(ケースA)の場合のように、差枚数を初期化した方が良いケースもあるが、この場合は、特定の設定変更操作をせずに、通常の設定変更操作をすればよいことになる。
なお、特定の設定変更操作により有利区間の差枚数が初期化される場合には、有利区間差枚数クリアコマンドを演出制御部410に送信し、上記「差枚数初期化演出」を実行させることが好ましい。本形態の場合は、通常の設定変更操作または特定の設定変更操作に応じて有利区間の差枚数が初期化されるため、有利区間の差枚数が初期化された場合には、これを報知することが好ましいからである。なお、差枚数初期化演出として、設定変更中演出または設定変更完了演出において、有利区間中の差枚数が初期化されたことを報知してもよい。
(第3初期化形態:設定変更時限定初期化形態)
上記の第1、第2初期化形態では、所定の操作を行った場合に有利区間中の差枚数を初期化する形態であるが、設定変更操作があった場合に有利区間中の差枚数を初期化し、他の操作では初期化できないようにしてもよい(第3初期化形態)。この第3初期化形態も上記第1、第2初期化形態と同じく、電源のオンオフがあっても有利区間中の差枚数が初期化されず、パチンコホール店側が自由に有利区間中の差枚数の初期化を行うことができるが、差枚数を初期化するためには、必ず設定変更操作を要し、他の操作により初期化不能な点が、上記第1および第2初期化形態とは異なる。したがって、本形態の場合は、有利区間中の差枚数を初期化したくない場合は設定変更操作をせず、有利区間中の差枚数を初期化したい場合には設定変更操作をする必要がある。
(第4初期化形態:電源投入時常時初期化形態)
遊技機に対する電源が投入された場合、有利区間中の差枚数を初期化することができる。つまり、有利区間差枚数クリア操作または設定変更操作を行うことなく、単なる電源のオンオフにより、有利区間中の差枚数が初期値に戻る構成である。この場合、電断投入時に、有利区間中の差枚数が常に初期化されるため(有利区間中の差枚数は引き継ぎ不可)上記した(ケースA)や(第2初期化形態)のように、パチンコホール店側は差枚数の初期化を自由に行えず、遊技者に対して意図的に有利・不利な状況を作り出すことができない。しかし、意図的に有利・不利な状況を作り出せるということは、遊技者の射幸心を無闇に煽ってしまう恐れがある。この点、この第3初期化形態は、近年における射幸性(のめり込み防止)の観点において意義のある制御形態であると言える。なお、第3初期化形態とする場合の処理は、図9のステップS14~S16の処理を無くし、設定変更処理(ステップS18)またはバックアップ復帰処理(ステップS17)を実行した後に、上記有利区間差枚数カウンタ設定処理を実行させる、といった制御フローにすればよい。この場合、上記「差枚数初期化演出」を実行する意味は殆ど無いため(電源オンオフにより、常に差枚数が初期化されるため)、有利区間差枚数クリアコマンドを送信しなくてもよい。
<バックアップ復帰モード:S14、S15=NOの処理ルート>
図9の説明に戻り、次に、バックアップ復帰モードに係る処理内容ついて説明する。
上記有利区間差枚数カウンタ設定処理(ステップS16)を終えた後、または有利区間差枚数クリア操作をしなかった場合(ステップS14:NO)か、或いは、有利区間差枚数クリア操作をしても有利区間中でない場合(ステップS15:NO)、バックアップ復帰処理を実行する(ステップS17)。
バックアップ復帰処理では、電断時にバックアップされたバックアップデータに基づいて、電断直前の処理状態に復帰させる。これにより、電源復帰後、電源遮断前の遊技動作が再開されることになる。またここでは、周辺基板(演出制御基板410など)に対して、復旧時に係る演出制御コマンドを送信する。たとえば、復帰時の遊技状態(バックアップ時の遊技状態)を指定する「復帰時遊技状態指定コマンド」や、復帰完了を指定する「停電復帰表示コマンド」などを演出制御部410に送信する。
演出制御部410が上記「停電復帰表示コマンド」を受けると、演出手段を用いて、復旧が完了した旨を報知する「復旧完了演出」を実行する。たとえば、液晶表示装置6に「停電から復帰しました 遊技を再開してください」などの演出画像を所定時間表示させる。なお、上記有利区間差枚数カウンタ設定処理(ステップS16)にて、有利区間差枚数クリアコマンドが送信されている場合には、復旧完了演出に付随して、差枚数初期化演出が実行されるようになっている。たとえば、液晶表示装置6に「停電から復帰しました 遊技を再開してください」の表示と、「有利区間中の差枚数がクリアされました」の表示が表示される。
バックアップ復帰処理を終えると、一連の電源投入時処理を終える。これにより、遊技開始可能状態(遊技開始条件)が整ったとして、以後、後述のゲーム処理(ステップS32)を実行する。
(1-1.ゲーム処理(ステップS13):図10A~図10C)
次に図10A~図10Cを参照して、図9のゲーム処理(ステップS32)について説明する。図10A~図10Cは、ゲーム処理(ステップS32)の詳細を示すフローチャートである。このゲーム処理では、ゲームの実行(開始から終了まで)に必要な各種の遊技処理、性能表示に関する処理、安全装置の作動に関する処理などが実行される。
図10A~図10Cにおいて、主制御部400は、まず、エラー管理処理を実行する(ステップS52)。
(エラー管理処理:図17E)
図17Eに、上記エラー管理処理(ステップS52)の詳細フローを示す。ここでは本発明と関係の深い、安全装置の作動に関する処理に着目して説明する。
図17Eにおいて、主制御部400は、まず、役物作動中であるか否かを判定する(ステップS901)。「役物作動中」とは、本実施形態の場合、BB1、2に係るボーナス遊技中(第1種特別役物作動中)を意味する。
役物作動中である場合(ステップS901:YES)、ステップS902~S904の処理をスキップして、ステップS907に進み、後述の「その他のエラー処理」を実行する。つまり、ボーナス遊技中である場合には、安全装置作動に係るステップS902~S906の処理がスキップされ、安全装置を作動させないようになっている。したがって、ボーナス遊技中は、安全装置カウンタの値が所定枚数(たとえば、19000枚)に達していても安全装置は作動しないが、この場合は、ボーナス遊技後に安全装置が直ちに作動することになる(ステップS901:NOの処理ルート参照)。
一方、役物作動中でない場合(ステップS901:NO)、安全装置作動フラグを取得し(ステップS902)、安全装置作動フラグが作動指定(=FFH)であるか、非作動指定(=00H)あるかを判定する(ステップS903)。この安全装置作動フラグは、後述の図17Dに示す安全装置差枚数管理処理にて、安全装置カウンタが安全装置作動契機枚数(19000枚)に達した場合に、非作動指定(00H)から作動指定(FFH)に設定される。
安全装置フラグが非作動指定の場合(ステップS903:=00H)、何もせずに、ステップS907に進み、後述の「その他のエラー処理」を実行する。
一方、安全装置フラグが作動指定の場合(ステップS903:=FFH)、安全装置作動状態であるとして、まず、安全装置作動報知処理を実行する(ステップS904)。安全装置作動報知処理では、安全装置が作動した旨を報知するべく、安全装置の作動が解除されるまで、払出枚数表示部35に対して、安全装置作動コード(たとえば「FF」)が表示されるようになっている。
また安全装置作動報知処理では、上記「安全装置作動コマンド」を演出制御部410に送信する。演出制御部410が上記「安全装置作動コマンド」を受けると、演出手段を用いて、安全装置が作動した旨(作動中である旨)を報知する「安全装置作動中演出」を実行する。たとえば、液晶表示装置6に「安全装置が作動しました。本日の遊技は終了です」などの演出画像を表示させ、演出用LED(装飾ランプ13)を所定態様で発光させ、スピーカ16からは所定音を出力させる。なお、安全装置作動中演出に係る光演出(演出用LEDによる演出)および/または音演出(スピーカによる演出)は、少なくとも1つの他のエラー(たとえば、ドア開放エラー、セレクタエラー、ホッパーエンプティエラー、ホッパージャムエラー、満杯エラー、RAMエラー、主基板エラー(各エラーについての詳細は後述する))と同一のエラー報知態様としてもよいし、専用の報知態様としてもよい。
次いで、安全装置作動設定処理を実行する(ステップS905)。ここでは、遊技機1の動作状態を上記「特別打ち止め状態(遊技実行不能状態)」に制御するために必要な処理を実行する。
次いで、安全装置作動信号出力処理を実行する(ステップS906)。ここでは、安全装置が作動した旨を示す外端信号(安全装置作動信号)を出力させるための処理を行う(安全装置作動信号要求処理)。安全装置作動信号は、後述の主制御側タイマ割込処理中の出力処理(図18のステップS192)にて、外部集中端子基板310を介して、外部装置(たとえば、ホールコンピュータHC)に出力される。なお、安全装置作動信号は、他の外端信号と兼用してもよい。たとえば、ドア開放エラー(ドア開放信号)やRAMエラーセキュリティ信号)などの特定のエラー発生の際に出力される外端信号と兼用してもよい。
安全装置作動信号出力処理を終えた後は、処理が進まないように無限ループ状の処理に入る。これにより、安全装置作動状態となり、以後、遊技機1による遊技実行不能状態下に置かれることになる。安全装置が作動した後は、設定変更操作を行い(設定変更処理の実行)、安全装置フラグが非動作指定の「00H」にクリアされない限り、安全装置の作動が解除できないようになっている。なお、安全装置が作動しても、後述の主制御側タイマ割込処理(図18)は実行されており、他のエラーの発生は検出、報知可能となっている。
ステップS907のその他のエラー処理では、各種センサの検出情報に基づき、エラーに対応したエラー処理を行う。ここではたとえば、満杯エラーなどを監視し、そのエラーが解除されるまで、本処理を終えることができないようになっている。
(ERR.各エラー報知、安全装置作動報知について)
ここで、本実施形態に係るエラーについて説明する。遊技機1における主要なエラーには、次のようなものがある。
(ERR1)ドア開放エラー
前扉2が開放状態(ドアセンサ61がOFF)となった場合に、ドア開放エラーと判定される。ドア開放エラーが発生した場合、リセットスイッチ95をONまたは前扉2を閉鎖状態(ドアセンサ61がON)にすれば解除される。ドア開放エラー発生中は、払出枚数表示部35に、対応するエラーコード(たとえば、「Dr」)が表示される。
(ERR2)セレクタエラー(メダル投入エラー)
メダル検出センサ7aにより、セレクタ内の遊技メダルの通過状態の異常(たとえば、不正行為による異常投入や、セレクタ内のメダル詰まりなど)を検出した場合に、セレクタエラーと判定される。セレクタエラーの検出は、遊技メダルの投入が有効になった後にその投入状態の検出を開始する。セレクタエラーが発生した場合、メダル詰まりなどの要因を取り除いた後、リセットスイッチ95をONまたは前扉2を閉鎖状態にすれば解除される。セレクタエラー発生中は、払出枚数表示部35に、対応するエラーコード(たとえば、「CE」)が表示される。
(ERR3)満杯エラー
遊技開始時と遊技終了時における満杯検知金具600の入力状態が、いずれもON状態である場合に、満杯エラー(上記補助タンクが満杯状態)と判定される。満杯エラーが発生した場合、補助タンクから遊技メダルを取り除き、満杯検知金具600の入力状態がOFF(正常状態)になった後、リセットスイッチ95をONまたは前扉2を閉鎖状態にすれば解除される。満杯エラー発生中は、払出枚数表示部35に、対応するエラーコード(たとえば、「Co」)が表示される。
(ERR4)ホッパーエンプティエラー
遊技機内部の遊技メダルが空状態(ホッパータンク空状態)になったとき、具体的には、ホッパーユニット500による遊技メダルの払い出し動作中に、所定時間(たとえば、2.5秒間)、メダル払出センサ520により遊技メダルの払い出しが検出されなかった場合に、ホッパーエンプティエラー(遊技メダル無し状態)と判定される。ホッパーエンプティエラーが発生した場合、ホッパータンクに遊技メダルを補充し、リセットスイッチ95をONまたは前扉2を閉鎖状態にし、払い出し動作が正常に終了すれば解除される。ホッパーエンプティエラー発生中は、払出枚数表示部35に、対応するエラーコード(たとえば、「HE」)が表示される。
(ERR5)ホッパージャムエラー
ホッパーユニット500による遊技メダルの払い出し動作中に、メダル払出センサ520が所定時間継続してON状態である場合に、メダル詰まりが生じたと判定される。なお、遊技メダルの払い出し動作中でない場合において、メダル払出センサ520が遊技メダルを検出(メダル払出センサ520がON)すると、ホッパージャムエラーと判定される。ホッパージャムエラーが発生した場合、メダル払出センサ520の検出状態が正常(OFF状態)のときに、リセットスイッチ95をONまたは前扉2を閉鎖状態にすれば解除される。ホッパージャムエラー発生中は、払出枚数表示部35に、対応するエラーコード(たとえば、「HJ」)が表示される。
(ERR6)RAMエラー
電源投入時において、RAMに異常が生じた場合に、RAMエラーと判定される。RAMエラーについての詳細は、図9(ステップS13、S19~S20)にて、既に説明した通りである。
(ERR7)主基板エラー
電源投入時において、主制御部400の乱数発生回路に異常が生じた場合に、主基板エラーと判定される。主基板エラーは深刻度が最高度のエラーであるため、主制御部(主制御基板)自体を交換しなければ、エラーは解除されないようになっている。主基板エラーが生じた場合メイン処理(図9)については、その進行が停止状態(無限ループ状の処理に移行する)になるが、タイマ割込処理(後述の図18)は実行され、主基板エラー発生中は、タイマ割込処理中の出力処理(後述の図18のステップS192)により、払出枚数表示部35に対応するエラーコード(たとえば、「FH」)を表示させるようになっている。
上記した(ERR1)~(ERR7)のうち、(ERR6)のRAMエラーおよび(ERR7)の主基板エラーは、主として、遊技機1が重大な故障や最も警戒すべき不正行為を対象としたエラーである。たとえば、RAMエラーが発生した場合には、これを解除するには、設定変更操作が必要になり、また主基板エラーの場合には、主制御基板自体の交換を余議なくされる。また、RAMエラーおよび主基板エラーは、いずれもタイマ割込処理(後述の図18)は実行されるが、メイン処理(図9)の処理は進行が停止状態(無限ループ状の処理に移行する)となる。これらのエラーの解除は、当然に遊技者は行うことができず、パチンコホール店員により行われる。したがって、これらのエラーが発生した際は、深刻度が高く、仮に、不正行為によるものであった可能性があれば、パチンコホール側が、遊技者に対し不正器具の身体調査や遊技機1を長時間調査する必要が生じうるものと考えられる。斯様なエラー種別は、最早、進行中の遊技を長時間中断せざるを得ない状況が生まれる可能性が高いことから、本実施形態では「エラーにより遊技続行不可能または困難な「高深刻度エラー種別(第1種エラー種別)」として分類している。
一方、上記(ERR6)および(ERR7)は、その要因も比較的容易に取り除くことが可能であり、電源を遮断することなく、エラー解除可能なものである。これらのエラーが発生した場合は、そのエラー解除のために、遊技機内部の装置などを直接弄ることもあるが、エラー解除後は、基本的には、エラー直前の遊技状況のまま遊技の続行が可能である。したがって、これらのエラーは、上記(ERR6)および(ERR7)よりも深刻度が低い「低深刻度エラー種別(第2種エラー種別)」として分類している。
(エラー報知優先順位:図40、図41A)
本実施形態では、深刻度に応じたエラー報知優先度(エラー報知優先順位)が定められている(図40の「エラー報知優先度」の欄参照)。エラー報知優先順位とは、遊技機1に対して複数種類のエラーが重複的に発生した場合、エラー報知が優先的になされる順位であり、遊技機1に対して深刻なエラーであるほど、その優先順位が高く定められている。本実施形態では、図40に示すように、エラー番号(「ERR」に付随する数字)が大きいほど、エラー報知優先順位が高く定められている。つまり、最も順位が高いエラーは、ERR7の主基板エラー、次に、ERR6のRAMエラー、次に、ERR5のホッパージャムエラー、・・・、ERR2のセレクタエラー、そして、最も順位が低いエラーは、ERR1のドア開放エラーである。
なお、エラー報知優先順位に基づく報知については、たとえば、次のように制御する。
報知の仕方を分かり易いものとするために、仮に、上記(ERR1)~(ERR7)の全エラーが重複的に発生した場合を例にとり説明する。
上記「高深刻度エラー種別(ERR6、ERR7)」のうち、主基板エラー(ERR7)が発生した場合には、先述したように、タイマ割込処理(図18)は実行されるが、メイン処理は停止状態に制御されるため、他のエラーが発生していても基本的にはエラー報知不能になる。したがって、主基板エラー(ERR7)が発生した場合は、他のエラー報知をすることなく、演出手段による主基板エラー報知(主基板エラーのみの単独報知)と、払出枚数表示部35によるエラー報知(エラーコード「FH」を表示)とを行うようになっている。たとえば、液晶表示装置6に「主基板エラー 係員をお呼び下さい」といった主基板エラー専用のエラー表示を行うが他のエラー表示はせず、また、払出枚数表示部35にはエラーコード「FH」を表示する。
また、RAMエラーが発生した場合も同じく、メイン処理は停止状態に制御されるため、RAMエラー(ERR6)が発生した場合には、他のエラー報知をすることなく、演出手段によるRAMエラー報知(RAMエラーのみの単独報知)と、払出枚数表示部35によるエラー報知(エラーコード「F0」を表示)とが実行されるようになっている。たとえば、「RAMエラー 係員をお呼び下さい」といったRAMエラー専用のエラー表示を行うが他のエラー表示はせず、また、払出枚数表示部35にはエラーコード「F0」を表示する。
主基板エラーが発生した場合もRAMエラーが発生した場合も、メイン処理が停止状態に制御されるため、これらエラーが仮に重複発生する場合であっても、いずれか一方のエラー報知のみが実行される。本実施形態では、RAMエラーよりも主基板エラーの方が報知優先順位を高く定めているが、これは、RAMエラーは基本的にはRAM自体を交換することなく、設定変更操作を行えば解除可能となっており(設定変更操作によるRAMクリア:後述の図9のステップS18の処理内容参照)、主基板エラーは基板自体の交換を余儀なくされるため、深刻度でいえば、主基板エラーの方が高いということに起因する。ただし本実施形態では、主基板エラーおよびRAMエラーが重複報知されることはなく、いずれか一方のエラーが単独報知されることから、エラー報知優先順位としては同位(最高順位の1位)として扱っている(図40の「報知優先度」の欄参照)。
他方、上記「低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)」については、主制御側メイン処理(図9)や主制御側タイマ割込処理(図18)が停止状態とはならず、これらエラーが重複発生(2以上のエラーが重複的(同時的に)発生)しても、その旨が報知可能となっている。これらエラーが重複発生した場合は、少なくとも液晶表示装置6による画像表示演出(エラー表示演出)には、発生中のエラーのすべてが報知可能となっている。たとえば、ドア開放エラー(ERR1)と、セレクタエラー(ERR2)とが重複発生している場合には、液晶表示装置6を用いて、ドア開放エラーに対応する「扉が開いています」の表示と、セレクタエラーに対応する「メダル投入エラーです」の表示とを液晶画面に表示し、またこれに付随して、たとえば、「係員をお呼び下さい」などのパチンコホール店員の呼び出しを促す要求表示も併せて実行されるようになっている。したがって、低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)については、いずれのエラーが発生しているかを識別可能なように、エラー報知が実行される。しかし、払出枚数表示部35に、発生中のエラーに対応するエラーコード表示については、エラー報知優先順位が定められており、その優先順位が相対的に高いエラーのエラーコード表示を表示するようになっている。上述のドア開放エラー(ERR1)と、セレクタエラー(ERR2)とが重複発生している場合であれば、報知優先順位の高いセレクタエラーに対応するエラーコード(CE)が、払出枚数表示部35に表示される。
このように、低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)が重複発生した場合は、少なくとも画像表示演出(エラー表示演出)については発生中のすべてのエラーが識別可能に報知される一方、エラーコード表示については報知優先順位に基づくエラーコードが報知されるようになっている。したがってたとえば、ERR1~ERR3が重複発生した場合にはERR3の満杯エラーに対応するエラーコード(Co)が、ERR1~ERR4が重複発生した場合にはERR4のホッパーエンプティエラーに対応するエラーコード(HE)が、ERR1~ERR5が重複発生した場合(すべての低深刻度エラー種別が発生した場合)にはERR5のホッパーエンプティエラーに対応するエラーコード(HE)が払出枚数表示部35に優先的に表示(優先表示)される(図40の「報知優先度」の欄参照)。
(エラー報知の具体例:図41A)
図41Aに、本実施形態に係るエラー報知の一例を示す。
図41A(イ)は、低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)が発生した際に、液晶表示装置6によるエラー表示の一例を示したものである。上述したように、低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)の場合には、発生中のエラーのすべてが報知可能となっている(図示のエラー表示990)。本実施形態では、図示の通り、報知優先度が相対的に高いエラーほど、目立つ位置(図示では、液晶画面中央部近傍)に表示されるようになっている。なお、「扉が開いています」はERR1のドア開放エラー報知、「メダル投入エラーです」は、ERR2のセレクタエラー報知、「満杯エラーです」はERR3の満杯エラー報知、「メダルを補給してください」はERR4のホッパーエンプティエラー報知、「メダルが詰まっています」はERR5のホッパージャムエラー報知である。
一方、主基板エラーやRAMエラーなどの高深刻度エラー種別(ERR6~ERR7)は、既に説明したように、遊技機に対する深刻度が高く、そのエラーのみの単独報知されるようになっている。仮に、先行して発生していた低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)によるエラー報知および/または安全装置作動報知の実行中であっても、これらのエラー表示は、図41A(ロ)、(ハ)に示すように、主基板エラーやRAMエラーは、そのエラーのみが単独で報知される。したがって、先行して発生していた低深刻度エラーや安全装置作動報知は、確認不能とされる。なお、主基板エラーやRAMエラーが解消しても、先行して発生していた低深刻度エラーが解消しない場合には、図(イ)の画面が表示される。
なお、図40に示すエラー解除優先度とは、複数のエラーが発生中の場合に、エラー態様に基づき、優先的に解除すべきエラーの順位(エラー解除優先順位)を定めたものである。したがって、エラー解除優先順位が最も低いエラーは、ドア開放エラー(ERR1)である(前扉2を開放し、他のエラーの解除後、前扉2を閉鎖するため)。
(安全装置作動報知とエラー報知との関係について)
ところで、安全装置の作動に関する処理は、制御上、エラー処理(ステップS52)内で実行されるようになっているが、安全装置が作動した場合の上記「特別打ち止め状態」は、特に遊技動作に不具合が生じたというエラーではなく、安全装置作動するか否かについて、電源投入後から所定の方法(本実施形態では、MYカウント方式)で計測される差枚数が、安全装置作動契機枚数(19000枚)に達した場合に遊技続行不能状態に制御されるという、正常な遊技動作である。このような観点から、安全装置の作動は、上記したエラー種別とは別個の遊技動作状態として分類することが好ましいといえる。
そこで本実施形態では、安全装置作動報知の報知優先順位に関し、高深刻度エラー種別(ERR6~ERR7)よりも報知優先順位は低いが、低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)よりも報知優先順位が高くなるように定めている。たとえば、次のように定めてある。
安全装置が作動した場合(特別打ち止め状態に制御された場合)、安全装置作動と低深刻度エラーとが重複発生する場合であっても、払出枚数表示部35に対しては、安全装置作動中に対応する所定のコード(安全装置作動コード:「FF」)が最優先で表示される。本実施形態であれば、低深刻度エラー種別のうち、報知優先順位が最高のホッパージャムエラー(ERR5)に対応するエラーコード「HJ」よりも、安全装置作動中に対応する安全装置作動コード「FF」が優先表示される。なお図40では、安全装置作動の対応欄が、報知優先度1位となっているが、これは、低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)と比較した場合の順位である。つまり、いずれの低深刻度エラー(ERR1~ERR5)よりも安全装置作動報知の方が、報知優先順位が高いことを意味し、高深刻度エラー(ERR6、ERR7)が発生した場合には、図41A(イ)または(ロ)に示すように、高深刻度エラー報知が優先報知(単独報知)されるようになっている。
(安全装置作動報知の具体例:図41B)
図41Bに、本実施形態に係る安全装置作動報知態様(安全装置作動演出態様)の一例を示す。図41Bの(イ)および(ロ)はそれぞれ、エラーと安全装置の作動とが、重複発生した場合の液晶表示装置6による表示態様を示したものである。ここでは、エラーの発生タイミングと安全装置の作動タイミングの先後関係は問わない。ただし、ここでのエラー報知は、低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)によるエラー報知である。高深刻度エラー種別(ERR6、ERR7)によるエラー報知は、安全装置作動報知よりも優先的に報知(図41A(イ)(ロ)に示す単独報知)されることになる。
図41B(イ)に示す報知例は、安全装置作動の報知に係る画像表示(以下「安全装置作動表示」と称する)、たとえば図示の「コンプリート機能が作動しました 係員をお呼びください」などの安全装置作動表示991が、エラー報知(エラー表示992)よりも優先表示される報知態様を示したものである。ここでは、安全装置作動報知がエラー報知に重複表示される例を示してある。ただし重複表示される場合であっても、安全装置作動表示991の背景側にあるエラー表示992が視認不可能になるわけではなく、たとえば、安全装置作動表示991が点滅表示したり、所定時間間隔で透過率が変化したり(たとえば、5秒間は第1透過率、3秒間は第2透過率(第1透過率<第2透過率)を交互に繰り返すなど)、背景側のエラー表示992が視認可能な透過率で表示したりして、発生中のすべてのエラー表示が視認可能となっている。したがって、本報知例の場合は、安全装置作動表示991によりエラー表示992が一時的に視認不可能または視認困難になるケースと、エラー表示992は常に視認可能であるが、安全装置作動表示991が優先表示され
他方、図41B(ロ)に示す報知例は、安全装置作動表示991が、エラー表示992と重複表示されないようにする報知例を示したものである。この報知例では、安全装置作動表示991とエラー表示992とが重複表示されないため、いずれの表示も常に視認可能である。
なお、画像表示演出による安全装置作動報知は、前述した主基板エラー報知やRAMエラー報知と同じような単独報知であってもよい。たとえば、「コンプリート機能が作動しました 係員をお呼びください」の表示をするが、他のエラー表示はせず、払出枚数表示部35にはエラーコード「FF」を表示する。なお、既に説明したように、安全装置作動報知に係る光演出および/または音演出については、少なくとも1つの他のエラーと同一のエラー報知態様としてもよいし、専用の報知態様としてもよい。本実施形態では、図40に示すように、安全装置作動報知についての光演出と音演出については、他のエラー報知態様(エラー発光パターン、エラー音)とは異なる専用の演出態様(特殊発光パターン、特殊音)となっている。また、仮に、主基板エラーやRAMエラーのエラー報知と、安全装置作動報知とが同時的に発生した場合には、画像表示については主基板エラーやRAMエラーを優先表示し、光演出および/または音演出については、安全装置作動報知(特殊発光パターン、特殊音)を優先してもよい。
(演出手段に係るエラーについて)
なお、演出制御部410側では、演出手段に係るエラー(演出制御側エラー種別)として、たとえば、可動体役物の原点位置を検出する位置検出センサ(不図示)が原点位置(基準位置)を検出できないなどの動作異常を検出した際に発生する「可動体役物関連エラー(DERR1)」や、演出用乱数回路の異常を検出した際に発生する演出基板エラー(DERR2)などがある。なお、液晶表示装置6に不具合が生じた場合には、画像表示によるエラー報知がそもそも不可能または困難になり、外部からもその不具合は把握可能であるため、本実施形態では、液晶表示装置6に対するエラーは監視していない。
演出制御側エラー種別は、遊技部品に不具合が生じて、その交換が必要なエラーであるが、主基板エラー(ERR7)やRAMエラー(ERR6)のように、必ずしも遊技続行不能になるわけではなく、遊技自体には大きな支障がない場合が多い。そこで本実施形態では、演出制御側エラー種別については、主制御部400側が監視する低深刻度エラー種別(ERR1~ERR5)と同じく、遊技続行可能な「低深刻度エラー種別」として分類している。ただし、主制御部400は、既に説明したように、演出制御部420からの信号を受信不可能な構成(片方向通信)となっているため、演出手段に係るエラーについて主制御部400側はその発生を把握することができない。したがって、演出制御側エラー種別が発生した場合には、エラーコードの表示はしないが(払出枚数表示部35が主制御部400側の制御のため)、画像表示演出、光演出、および音演出の少なくとも1つの演出手段を用いて、その旨を報知するようになっている(たとえば、液晶表示装置6を用いて、演出制御側エラー報知を実行する)。なお、演出制御側エラーと、主制御部400側に係る低深刻度エラーおよび/または安全装置の作動とが重複発生した場合には、液晶表示装置6を用いて、これらすべてに関する情報を表示可能に構成することが好ましい。
図10Aの説明に戻り、上記したエラー管理処理(ステップS52)を終えると、次いで、遊技開始時の初期設定処理を実行する(ステップS53)。ここでは、遊技状態情報を取得し、現在の遊技状態に応じた「遊技状態コマンド」をセットする。この遊技状態コマンドには、現在の遊技状態を特定可能な遊技状態情報が含まれる。なお、遊技情報情報は、ゲーム中の演出を現出する際に必要な情報であればよい。演出制御部410は、この遊技状態コマンドにより、現在の遊技状態を把握し、今回のゲーム中の演出制御処理に利用する。なお、演出制御コマンドは、後述の主制御側タイマ割込処理中の出力処理(後述の図18のステップS192)において、主制御部400から演出制御部410へと送られる。
またここでは、遊技開始時の初期設定として、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアし、今回のゲームに必要なワークエリアを確保する(ゲーム開始時RAMクリア処理)。
次いで、再遊技フラグの状態(ON/OFF)を判定する(ステップS54)。「再遊技フラグ」は、今回の遊技結果が再遊技(リプレイ役入賞による再遊技付与)であるか否かを指定するフラグであり、再遊技フラグがON(5AH)であれば再遊技実行が指定され、OFF(00H)であれば再遊技非実行が指定される。
再遊技フラグがONである場合(ステップS54:ON)、今回の遊技結果が再遊技であるとして、再遊技による自動投入処理を実行する(ステップS55)。この再遊技自動投入処理では、再遊技作動LED37をON(点灯状態)に設定し、前回のゲームで使用したベット数(賭数)に相当する遊技メダル枚数を疑似的に投入して、再遊技を付与する。再遊技を付与し終えた後は、再遊技フラグをクリア(OFF)にする。
一方、再遊技フラグがOFFである場合(ステップS54:OFF)、ステップS56に進み、所定時間(2.98ms)分の割込み待機処理を実行し、次いで、設定確認処理を実行する(ステップS57)。この設定確認処理では、ドアセンサ61と設定キースイッチ94の入力状態(ON(設定確認モード)/OFF(設定非確認モード))を確認し、ドアセンサ61がOFF(開放状態)および設定キースイッチ94がONである場合には、遊技機内部の設定表示器に対して、現在の設定値を表示させる設定確認表示処理を実行する。そして、設定キースイッチ94がOFF状態になるまで待ち、設定キースイッチ94のOFF状態が確認されたならば、設定確認表示を終了し、設定確認処理を終える。なお、設定確認処理を終えても、前扉2が開放状態のままであれば、ドア開放エラーとなるが、ドア開放エラーは前扉2が閉鎖状態となれば解消され、後続のステップS58の処理に移行する。
上記設定確認処理を終えると、次いで、精算ボタン有効フラグとメダル投入許可フラグとをONにする(ステップS58)。上記「精算ボタン有効フラグ」は、クレジット精算ボタン10による貯留メダル精算処理(クレジット精算処理)の受付の有効(ON)とするか無効(OFF)とするかを指定するためのフラグである。また上記「メダル投入許可フラグ」は、メダル投入口7を介した遊技メダルの投入受付を有効(ON)とするか無効(OFF)とするかを指定するためのフラグである。なお、遊技メダルに関する投入処理やクレジットに関する精算処理は、後述の主制御側タイマ割込処理中のメダル投入処理(後述の図18のステップS189)や貯留メダル精算処理(後述の図18のステップS190)にて必要な設定処理が行われる。
次いで、遊技メダルの投入枚数(ベット数)が遊技開始可能投入枚数(遊技開始可能状態)であるか否かを判定する(ステップS59)。ここでは、メダル検出センサ7a、MAXベットスイッチ8a、または1ベットスイッチ9aからの検出信号に基づく規定枚数(遊技開始可能となる投入枚数)の遊技メダルが投入されて、遊技開始可能状態に設定されているか否かを判定する。なお以下では、遊技開始可能投入枚数、つまりゲーム開始可能なベット数が、「遊技メダル3枚」であるものとして説明する。したがって、ここでは、遊技開始可能投入枚数として、遊技メダル3枚が投入されたか否かが判定される。
遊技開始可能投入枚数でない場合(ステップS59:NO)、ステップS56の割込み待機処理に戻り、遊技開始可能投入枚数と判定されるまで、ステップS56~S58のフラグ設定処理を繰り返し実行する。なお、再遊技自動投入処理(ステップS55)による再遊技作動により、遊技メダルが自動投入されていれば、遊技開始可能投入枚数であると判定される(ステップS59:YES)。
遊技開始可能投入枚数(遊技メダル投入3枚)が確認された場合(ステップS59:YES)、次に、始動レバー11a以外のスイッチ(たとえば、停止スイッチ12a’~12c’など)がONであるか否かを判定する(ステップS60)。始動レバー11a以外のスイッチがOFFになるのを待ち(ステップS60:ON)、始動レバー11a以外のスイッチがOFFになったならば(ステップS60:OFF)、遊技開始可能状態であるとして、遊技開始表示LED38(スタートランプLED)を点灯させる(ステップS61)。本実施形態では、始動レバー11a以外のスイッチがONである場合には、今回のゲームが開始されないようになっている。
次いで、始動スイッチ11aの検出信号の有無(ON(操作有)/OFF(操作無し))、つまり、始動レバー11が操作されたか否かを確認する(ステップS62)。始動スイッチ11aからの検出信号の有無は、後述のタイマ割込処理中の入力管理処理(後述の図18のステップS184)にて確認される。
始動スイッチ11aからの操作検出信号が確認されるまで待ち(始動レバー11が操作されるまで)(ステップS62:OFF)、始動スイッチ11aからの操作検出信号が確認されたならば(ステップS62:ON)、カウンタ回路で生成された内部抽選用乱数値(数値範囲:0~65535)の取り込みが完了したか否かを判定する(ステップS63)。
内部抽選用乱数値の取り込みが完了していない場合(ステップS63:NO)、ステップS60の処理に戻り、再度、ステップS60~S62の処理を実行し、内部抽選用乱数値の取り込みが完了するまで待つ(ステップS63:NO→ステップS60)。カウンタ回路の乱数値は、始動スイッチ11aがONされる度にラッチされ、内部抽選用乱数の取り込みが正常に完了していない場合には、つまり、RAM401bの内部抽選用乱数格納領域に内部抽選用乱数値の設定が完了していない場合には、再度、始動スイッチ11aがONされ、内部抽選用乱数の取り込みが完了するまで待機するようになっている。
内部抽選用乱数値の取り込みが完了した場合(ステップS63:YES)、投入信号カウンタに投入枚数をセットする(ステップS64)。投入信号カウンタにセットされた投入枚数情報(今回のゲームのベット数情報)は、外部集中端子基板310を介してホールコンピュータHCに送られる。
図10Bに入り、次いで、ブロッカーソレノイド7cに対する通電状態をOFFにして、遊技メダルの投入を無効化にし。また精算ボタン有効フラグとメダル投入許可フラグとをOFFにする(ステップS65)。これらフラグがOFF設定すると共に、遊技開始表示LED38(スタートランプLED)およびメダル投入表示LED36をOFF(消灯)させる。以後、再度、これらフラグがONになるまで、遊技メダルの投入およびクレジットの精算が禁止状態に制御される。
次いで、遊技開始コマンドをセットする(ステップS66)。遊技開始コマンドには、ゲームが開始された旨を示す情報が含まれ、演出制御部410は、この遊技開始コマンドにより、今回のゲームが開始されたことを把握する。
次いで、有利区間ゲーム数管理処理を実行する(ステップS67)。有利区間ゲーム数管理処理では、今回のゲームが有利区間中(有利区間に係る遊技状態)であるか否かを判定し、有利区間である場合には、ゲーム開始毎に、有利区間ゲーム数カウンタを1減算し、有利区間残余ゲーム数を更新する。そして、減算した有利区間残余ゲーム数が0になった場合には、有利区間の終了を指定するための「有利区間クリア要求フラグ(ON(終了指定)/OFF(終了指定無し))」をONにする。なお本実施形態の場合、初期遊技において有利区間移行抽選で当選した場合に、有利区間ゲーム数カウンタに対して初期値の3000ゲームがセットされるようになっている(後述の図14AのステップS710の「初期遊技関連処理」参照)。
次いで、内部抽選に関する内部抽選処理を実行する(ステップS68)。この内部抽選処理では、内部抽選や内部抽選結果に基づく各種データ(当選情報、内部当選フラグ、指示モニタ番号、当選役変換情報、役グループ番号、試験情報用出力データ等)の設定処理を実行する。上記内部抽選処理についての詳細は、図11を用いて後述する。
次いで、開始時のART関連の処理をするため分岐処理A(ステップS70~S72)を順次実行する。
この分岐処理Aおよびこれに続く処理の理解を容易にするため、先ず、主制御部400が用いるメモリ空間の割り当てについて説明しておく。主制御部400は、既に説明したように、CPU401cと、レジスタセットと、RAM401bと、ROM401aとが一体的にワンチップ化されたマイクロプロセッサにより構成される。すなわち主制御部400は、所定のアドレスのメモリ空間に割り当てられた内蔵ROM領域(ROM)と、これとは異なる所定のメモリ空間に割り当てられた内蔵RAM領域(RAM)とを備え、ROMは、たとえば16KBの容量を有し、7.5キロバイトの領域(プログラム領域4.5キロバイト+データ領域3キロバイト)が、遊技の進行に関するプログラム領域およびデータ領域に使用される。またRAMは、たとえば512バイトの領域が、遊技の進行に関するプログラムを実行する際に必要な各種のデータを一時的に記憶するためワークエリアに使用される。
(プログラム領域:図25)
図25は、ROM401aのプログラム領域のアドレスマップである。図25を参照して、プログラム領域は、アドレスが0000H~所定の最終アドレスまでの領域であり(「H」は16進数)、この領域内に遊技の進行に関連する処理が格納されている。図示では、代表的な処理プログラムを示してあり、その他の処理プログラムについては、説明の便宜のため、省略してある。
プログラム領域のアドレス0000H~11FFHのメモリ空間(4.5キロバイト)には、遊技機1に係る遊技動作を実現するための制御プログラムとして、たとえば、初期設定に関するプログラム開始時処理、電源復帰時の電源復帰処理、設定値変更に係る設定変更処理、ゲーム処理、開始時のART関連処理や終了時のART関連処理の他、これらの処理に必要なテーブルデータなど、各種のプログラムやプログラムデータが格納されている。これらはメモリのプログラム領域における適宜な場所に記憶される。
図25ではプログラム管理の容易性を考慮し、アドレスの若い方から、順次に、上記プログラムを格納し、その後に、後述する図26の「開始時各フェーズ差番地テーブル」および「終了時各フェーズ差番地テーブル」などを含む各種テーブルデータを格納している。
具体的には、ROM401aのプログラム領域におけるアドレス0000H~0B33Hのメモリ空間には、プログラム開始時処理、電源復帰処理、設定変更処理、ゲーム処理などのプログラムが格納されている。また、プログラム領域のアドレス0B34H~1010Hのメモリ空間には、「開始時(ゲーム開始時)のART関連処理」のプログラムが格納されている。
たとえば、代表的な遊技状態に関し、上記「開始時のART関連処理」に含まれる各処理と、その先頭アドレス(開始アドレス)は次のようになっている。なお、遊技状態番号(内部遊技状態情報)については図26、遊技モード番号(遊技モード情報)については図34に示す通りである。
(1)一般中処理
初期遊技・通常遊技中に関連する‘一般中処理’は「0B34H」。この一般中処理は、遊技モード0~3のいずれかの場合に実行される。遊技モード0~3はそれぞれ、初期遊技モード(初期遊技)、地獄モード(通常遊技)、通常モード(通常遊技)、天国モード(通常遊技)に対応している(図34参照)。
(2)前兆モード中に関連する‘前兆中処理’は「0BBAH」。この前兆中処理は、遊技モード4(前兆モード)の場合に実行される。
(3)準備ART移行前遊技中に関連する‘準備ART移行前中処理’は「0C12H」。この準備ART移行前中処理は、遊技モード5(準備ART移行前遊技)に対応して実行される。
(4)準備ART遊技中に関連する‘準備ART中処理’は「0C64H」。この準備ART中処理は、遊技モード6(準備ART遊技モード)に対応して実行される。
(5)本ART遊技中・上乗せ特化ゾーン中に関連する‘ART中処理’は「0D32H」。このART中処理は、遊技モード7(本ART遊技(非バトルモード))、遊技モード8(上乗せ特化ゾーン)に対応して実行される。
(6)継続バトルモード中に関連する‘継続バトル中処理’は「0DA2H」。この継続バトル中処理は、遊技モード9(継続バトルモード)に対応して実行される。
(7)BB内部中に関する‘ボーナス内部中処理’は0E5EH。このボーナス内部中処理は、遊技モード10(ボーナス内部モード)に対応して実行される。
(8)ボーナス遊技中に関連する‘ボーナス中処理’は「0F52H」。このボーナス中処理は、遊技モード11(ボーナス遊技モード)に対応して実行される。
すなわち、ROM401aの制御プログラムには、複数の遊技状態(基本遊技状態、内部遊技状態および遊技モードのいずれであってもよい)の各々に対応して実行される複数のART関連処理(状態関連処理:たとえば、一般中処理~ボーナス中処理)プログラムが含まれ、またROM401aには、当該複数のART関連処理プログラムの各々の開始アドレスを特定するアドレス情報が記憶されている。
また、プログラム領域のアドレス1011H~119FHのメモリ空間には、上記の「開始時のART関連処理(ゲーム開始時対応)」のプログラムと同様に、「終了時のART関連処理(ゲーム終了時(遊技結果導出時対応)」のプログラムが格納されている。この終了時のART関連処理に含まれる各処理とその先頭アドレスについては図26(ロ)に示す通りであり、遊技モードについては図34に示す通りであり、既に説明した、上記「開始時のART関連処理」と基本的構成は同じである。
後述するART関連分岐処理(ステップS72、ステップS87)では、現在の遊技状態(遊技モード)に応じたART関連処理(一般中処理~ボーナス中処理のいずれかの処理)の先頭アドレスが、図26(イ)(ロ)に示す「差番地テーブル」により特定可能となっている。これにより、遊技状態に対応した適切なART関連処理が実行される。
なお図25のメモリのプログラム領域には、説明の便宜上、代表的な遊技状態(遊技モード)別に係るART関連処理を示してあり、実際の開始時または終了時のART関連処理には、その他にも種々の処理が含むことができるのは勿論のことである。
また、ゲーム開始時とゲーム終了時とで同一名称(処理項目名)が付されているが、必ずしも同じ処理内容が実行されるわけではなく、ゲーム開始時とゲーム終了時では、処理の進行が異なる場合がある。たとえば、ゲーム開始時に係る一般中処理(後述の図14A)では、フリーズ演出抽選が実行されるが、ゲーム終了時に係る一般中処理では、フリーズ演出抽選は実行されないといった具合である。本実施形態では、フリーズ演出として、レバー操作時フリーズだけを採用し、全回胴停止後フリーズは採用していないため、ゲーム開始時に係る一般中処理ではフリーズ演出抽選を実行するが、ゲーム終了時に係る一般中処理ではフリーズ演出抽選は実行しないからである。その他にも、ゲーム開始時に係る一般中処理においてAT抽選に当選した場合には、ゲーム終了時に係る一般中処理では再度AT抽選を実行しないなど、ゲーム開始時とゲーム終了時では、処理内容が異なる場合がある。
本実施形態では、上記ゲーム開始時に係るART関連処理では、回胴の停止操作前に要するART関連処理が実行され、ゲーム終了時に係るART関連処理では、遊技結果導出後に要するART関連処理が実行されるようになっているが、これらを共通の処理として構成し、必要に応じて異なる処理を実行可能とし、これにより制御負担の軽減を図っている(後述の図10BのステップS72、図10CのステップS87参照)。
また、プログラム領域のアドレス11A0Hからのメモリ空間には、開始時各フェーズ差番地テーブル(図26(イ))が格納され、11A9Hからのメモリ空間には、終了時各フェーズ差番地テーブル(図26(ロ))が格納されている。これらのテーブルには、上記ART関連処理に含まれる各処理の先頭アドレスが、基準アドレスからの差番地を加算していくことにより導出される形式で格納されており、この差番地データを利用してART関連分岐処理において遊技状態に応じてロードすべき処理の先頭アドレスが指定されるようになっている。なお、上記各フェーズ差番地テーブルについての詳細は後述する。
図10Bの説明に戻り、分岐処理A(ステップS70~ステップS72)では、先ず、HLレジスタペアを16ビットのデータポインタ(データを記憶するメモリのアドレスを指定するレジスタ)とし、差番値を加算処理することで、今回のゲームで実行すべきART関連処理の先頭アドレスが指定される。なお、後述する図10Cの分岐処理Bも同様の処理内容となっている。
分岐処理Aでは、まずステップS70にて、開始時のART関連処理の先頭アドレス(0B34H)を、HLレジスタにセットする(ステップS70)。
次いで、予めプログラム記憶領域中に用意した「開始時各フェーズ差番地テーブル」(図26(イ))の先頭アドレスを他のレジスタにセットする(ステップS71)。
その後、現在の遊技状態(遊技モード)に対応して実行すべきART関連処理を指定するためのART関連分岐処理を実行する(ステップS72)。
(各フェーズ差番地テーブル:図26)
図26(イ)に、ゲーム開始時のステップS71で取得される「開始時各フェーズ差番地テーブル」を、同図(ロ)に、ゲーム終了時のステップS86で取得される「終了時各フェーズ差番地テーブル」を示す。上記「開始時各フェーズ差番地テーブル」と「終了時各フェーズ差番地テーブル」は、基本的なテーブル構成は同じである。
たとえば、図26(イ)に示す「開始時各フェーズ差番地テーブル」は、上記開始時のART関連処理に含まれる全処理(一般中処理~ボーナス中処理)の各々について、そのプログラムが存在するアドレス先を相対アドレス形式で示したものである。たとえば、現在の遊技状態が前兆モードであれば、該当番地の格納データ(86H)から、0BBAH番地(=0B34H+86H)以降に確保された、前兆中処理のアドレス領域を参照すべきことが特定される(これについての詳細は図13にて後述する)。この差番地テーブルは、基準とするアドレス値(0B34H)から各ART関連処理(フェーズ)の存在する先頭アドレスまでの差番地を、1バイトで、順次記録した相対アドレステーブルとなっており、図26から分かるように、最初の「一般中処理」を差番地の基準(差番地「0」)とし、「各処理(各フェーズ)」の先頭アドレスまでの差番地の値を記憶している。また図26(ロ)に示す「終了時各フェーズ差番地テーブル」も同様の構成となっている。
また図示の通り、上記「開始時各フェーズ差番地テーブル」および「終了時各フェーズ差番地テーブル」には、遊技状態(遊技モード)に関連付けられた各ART関連処理(各フェーズ)の先頭アドレスに関し、基準アドレスからの差番地が遊技状態番号順に格納されている。この「遊技状態番号」は、遊技モード種別に関連して定められたものであり、後述の図13において、今回のゲームで実行すべきART関連処理の先頭アドレスを特定するためのデータ(ループ回数データ)として利用される。本実施形態の場合、遊技状態番号に関し、図26(イ)(ロ)に示す通り、遊技モードが「初期遊技、地獄モード、通常モード、天国モード」のいずれかである場合(遊技モードが0~3のいずれかである場合)には遊技状態番号「0」、前兆モードである場合(遊技モード4)には遊技状態番号「1」、・・・、「準備ART遊技、本ART遊技」の場合(遊技モードが7、8のいずれかである場合)には遊技状態番号「4」、・・・。ボーナス遊技(遊技モードが11)である場合には遊技状態番号「7」という具合に、遊技モードの大区分に応じた固有の値が割り当てられている。
上記「開始時各フェーズ差番地テーブル」および「終了時各フェーズ差番地テーブル」には、遊技状態番号に対応した各ART関連処理の先頭アドレスが、基準アドレスからの差番地の形で格納されている。
たとえば、図26(イ)の「開始時各フェーズ差番地テーブル」の場合、上から下に順に、
「00H(基準アドレスとの差番地=00H)」、
「86H(直前の先頭アドレスとの差番地=52H)」、
「58H(直前の先頭アドレスとの差番地=58H)」、
「52H(直前の先頭アドレスとの差番地=52H)」、
「CEH(直前の先頭アドレスとの差番地=CEH)」、
「70H(直前の先頭アドレスとの差番地=70H)」、
「BCH(直前の先頭アドレスとの差番地=BCH)」、
「F4H(直前の先頭アドレスとの差番地=F4H)」
といった、差番地を示す値がメモリに格納されている。つまり、「基準アドレスN+Σ差番地i(ここでは、i=0~7)」が、今回のゲームで実行すべきART関連処理の先頭アドレスとなる。これらの差番地は、図26(イ)中の説明欄「遊技状態番号」に記載された一般中処理、前兆中処理、準備ART移行前中処理、準備ART中処理、ART中処理、継続バトル中処理、ボーナス内部中処理、およびボーナス中処理に対応する差番地である。
また、図26(ロ)に示す「終了時各フェーズ差番地テーブル」も基本構成は同じである。「終了時各フェーズ差番地テーブル」には、ゲーム終了時に行われる遊技状態に対応した各処理(各フェーズ)の先頭アドレスが、上記「開始時各フェーズ差番地テーブル」と同じように、基準アドレスからの差番地の形で格納されている。具体的には、図26(ロ)を参照して、上から下に順に、「00H」、「45H」、「4CH」、「8AH」、「09H」、「28H」、「1DH」、「16H」といった差番地を示す値がメモリに格納されている。
図10Bに戻り、上記ステップS70~S71の処理を経ると、次のステップS72の「ART関連分岐処理」にて、現在の遊技状態(遊技モード)に応じた処理を読み出すことができるようになる。この「ART関連分岐処理」では、ゲーム開始時に、遊技状態に応じて実行すべき処理(たとえば、上記一般中処理~ボーナス中処理のいずれか)のうち、現在の遊技状態に応じた処理を選択し実行する。具体的には、上記ステップS70、S71にてメモリにセットした先頭アドレスと、差番地テーブルとに基づき、遊技状態に応じた処理の先頭アドレスをHLレジスタにロードする。以下に、上述のステップS72のART関連分岐処理について詳細に説明する。
(1-2.ART関連分岐処理(ステップS72、S87):図13)
図13は、図10BのステップS72および図10CのステップS87のART関連分岐処理を示すフローチャートである。なお、上記ART関連分岐処理は、ステップS72とステップS87のいずれで呼び出された場合も、共通の処理が実行されるので、以下の説明では、ステップS72におけるART関連分岐処理の場合について説明し、ステップS87の場合については必要に応じて説明を加える程度に止める。
図13において、主制御部400は、まずRAM401bの格納領域に記憶されている「遊技状態番号」を取得する(ステップS700)。ここでは、現在の遊技状態(遊技モード)が、図26(イ)中の“ART中処理”に関連する遊技状態として、たとえば、遊技モード「7」の本ART遊技中(非バトルモード)であると想定し、これに対応する遊技状態番号「4」が取得されたものとして説明を進める。
次いで、取得した「遊技状態番号」に基づき、図26(イ)に示す「開始時各フェーズ差番地テーブル」から、テーブルの先頭の差番地を取得する(ステップS701)。図26(イ)において、テーブルの先頭の差番地は最初の遊技状態番号“0”に対応する一般中処理についてのもので、ここではまず先頭の差番地として「00H」が取得される。なお、ステップS87の場合も「終了時各フェーズ差番地テーブル:図26(ロ)」から先頭の差番地「00H」が取得される。
次いで、ステップS700にて取得された遊技状態番号に1加算した値を、以下のステップS703~S705のループ処理におけるループ回数としてセットする(ステップS702)。この例の場合、「4」に1加算された「5」がセットされる。
次いで、ポインタとして働くHLレジスタに、ステップS701で取得した差番地を加算する(ステップS703)。HLレジスタ(ポインタ)には、このART関連分岐処理が実行される前のステップS70にて、開始時のART関連処理の先頭アドレス(0B34H)(ステップS87の場合は、ステップS85にて終了時のART関連処理の先頭アドレス(1011H))がセットされている。この例の場合、1回目のループ処理として「0B34H」に対して、最初の差番地「00H」が加算されることから、HLレジスタは「0B34H」のまま変化しない。これによりHLレジスタ(ポインタ)の内容(アドレス値)は、目的とするデータを記憶している特定アドレスを示す有効アドレスになる。
次いで、ポインタの内容を次に進めるため、まず開始時各フェーズ差番地テーブルの次の差番地をセットする(ステップS704)。この例の場合、図26(イ)に基づき、次の差番地として「86H」がセットされる。
次いで、ループが終了したか否かを判定、具体的にはループ回数を1減算して、ループ回数が0(ゼロ)になったか否かを判定する(ステップS705)。ループが終了しない場合(ステップS705:NO)、ステップS703の処理に戻り、ループ回数がゼロとなるまでステップS703とS704を繰り返し実行し(ステップS705:NO)、ループ回数がゼロとなったならば(ステップS705:YES)、ループを抜けて、ステップS706のコール処理を実行する。
この例の場合、ループ回数が「5」であり、ステップS703とS704を5回繰り返した場合のHLレジスタの値は、次のようになる。ループ処理1回目のHLレジスタ(ポインタ)の値は「0B34H」、2回目は「0BBAH(0B34H+差番地86H)」、3回目は「0C12H(0BBAH+差番地58H)」、4回目は「0C64H(0C12H+差番地52H」)」、5回目は「0D32(0C64H+差番地CEH)」となる。そして、この‘0D32H’の値を保持したまま、ループ処理を抜けて、ステップS706のコールする処理を実行することになる。
ステップS706の処理では、HLレジスタが示すアドレス先の処理を実行する。この例の場合、HLレジスタが示すアドレス「0D32H」にある処理、つまり「ART中処理」が実行される(図26(イ)参照)。
このようにHLレジスタはポインタとして働き、アドレス部で指定したアドレス上のメモリにあるデータが間接的に有効アドレスとして利用され、図26(イ)、(ロ)の「一般中処理」~「ボーナス中処理」のいずれかの処理が実行される。ここで用いられるアドレス指定方式は、1バイト長の差番地の値をHLレジスタペアに入れ(加算し)、そのHLレジスタの16ビットの値をデータポインタとしてメモリのアドレスを指定するという方式を採用した。したがって毎回ロード処理をするよりも、効率的で、直接アドレス方式に比べて容量を削減できる利点がある。
上記したART関連分岐処理(ステップS72、S87)は、現在の遊技状態(たとえば、現在の遊技モード)に対応する状態関連処理(ART関連処理)プログラムを実行する際に、アドレス情報(図26)を参照して、当該状態関連処理プログラムの開始アドレス(先頭アドレス)を特定する開始アドレス特定手段(ステップS700~S705)と、上記開始アドレス特定手段により特定された開始アドレスに基づいて、現在の遊技状態に対応する状態関連処理(たとえば、遊技モード7の本ART遊技(非バトルモード)中であれば、開始アドレス「0D32H」のART中処理)プログラムを呼び出す呼出手段(ステップS706)と、上記呼出手段により呼び出された状態関連処理プログラムを実行する状態関連処理実行手段(図14A~図14D:本ART遊技(非バトルモード)中であれば、ART中処理)とを含む処理となっている。
<変形例>
上記実施形態では、分岐処理A、Bをする場合、相対アドレスを利用したアドレス指定方式を採用し、HLレジスタペアを16ビットのデータポインタ(データを記憶するメモリのアドレスを指定するレジスタ)としてメモリのアドレス指定をした。しかし、直接にアドレスを指定する直接アドレス指定によって、上記の分岐処理A、Bを行ってもよい。
図16は、変形例として、この直接アドレス指定により開始時の分岐処理Aと、終了時の分岐処理Bを行う処理フローを示したものである。この変形例の場合、図16(イ)に示すように、開始時の分岐処理Aおよび終了時の分岐処理Bのいずれの場合も、まず2バイトのアドレスにより有効アドレスが直接に記録されたアドレステーブルを取得する。すなわち、開始時の分岐処理Aの場合は、図27(イ)の「開始時各フェーズアドレステーブル」を取得し(ステップS71h)、終了時の分岐処理Bの場合は、図27(ロ)の「終了時各フェーズアドレステーブル」を取得する(ステップS86h)。その後、図16(ロ)に示すART関連分岐処理に入る(ステップS72(開始時の分岐処理Aの場合)、S87h(終了時の分岐処理Bの場合))。
本変形例に係る図16(ロ)のART関連分岐処理では、まずRAMに記憶されている遊技状態番号を取得し(ステップS700)、次いで遊技状態番号に基づいて、アドレステーブルから遊技状態に応じたアドレスを取得する(ステップS707)。そして、取得したアドレスの各種処理をコールする(ステップS708)。
上記の「開始時各フェーズアドレステーブル」および「終了時各フェーズアドレステーブル」には、遊技状態に対応する処理を指定するアドレスが、2バイトで順次記録されている。具体的には、図27を参照して、「一般中処理」、「前兆中処理」、「準備ART移行前中処理」、「準備ART中処理」、「ART中処理」、「継続バトル中処理」、「ボーナス内部中処理」、および「ボーナス中処理」を指定するアドレスについて、「開始時各フェーズアドレステーブル」の場合は、図27(イ)に示すように、「0B34H」「0BBAH」「0C12H」「0C64H」「0D32H」「0DA2H」「0E5EH」「0F52H」が順次記憶されており、「終了時各フェーズアドレステーブル」の場合は、「1011H」「1056H」「10A2H」「112CH」「1135H」「115DH」「117AH」「1190H」が順次記憶されている。
したがって、ステップS700で取得された遊技状態番号が、たとえば「4」のART中処理であったとすれば、開始時各フェーズアドレステーブル上では、これに対応するアドレス「0D32H」が指定され、これが直接的な有効アドレスとなってアドレス先の「ART中処理」が実行される。
上記の直接アドレス指定では、アドレス部の2バイトの値をそのまま記録しているので、遊技状態の数が増すとデータ量も増加するが、HLレジスタペアに2バイトのアドレスデータを格納するための繰り返し操作が不要であることから、相対アドレス指定に比べプログラム量(ステップ数)が少なくて済むという利点がある。
ここで特徴的なことは、上記ART関連分岐処理による分岐先の「一般中処理」、「前兆中処理」、・・・、「ボーナス中処理」の各処理では、たとえそれらの処理中で遊技状態に関する情報に変化やカウンタ値などに変化があっても、RAM401bにその処理結果を記憶するだけにとどめ、その情報を特定する演出制御コマンド(コマンドデータ)を設定しないことである(図14A~図14D参照)。そして、ART関連処理中で得られた処理結果は、ゲーム処理に戻った際の「ART関連のコマンド設定処理(後述の図10BのステップS73、図15参照)」で行う。このようにする理由は、ART関連処理では、たとえば、一般中処理のように、1つの処理中で、フリーズ演出抽選やAT抽選状態移行抽選やAT抽選や前兆ゲーム数抽選など、多数の抽選処理が実行され、これら抽選結果に基づく抽選後処理(たとえば、ステップS712、S715、S721などの抽選結果を格納する処理や、ステップS718の抽選結果に応じた判定処理ルート)が実行される。したがって、抽選結果が得られる度に演出制御コマンドを設定する処理を実行するとすれば、その機会が非常に多く到来するので、制御負担の増加を招くからである。
そこで本実施形態では、分岐処理Aを済ませて分岐元のゲーム処理に戻った後、ART関連処理で得られた結果情報を、一括的に演出制御部410側に通知するべく、RAM401bのART関連処理に係る情報については、値の更新された情報であるか否かに係わらず、更新されなかった情報も含め、それらの情報を演出制御部410に送信するようになっている(後述のステップS73のART関連のコマンド設定処理)。これにより、プログラム容量を削減し、制御負担の軽減を実現している。
(1-3.ART関連のコマンド設定処理(状態共通処理):図15)
図15を参照して、上記のART関連のコマンド設定処理(ステップS73)について説明する。図15は、上記ART関連のコマンド設定処理の詳細を示すフローチャートである。なお、このART関連のコマンド設定処理は、ゲーム開始時のコマンド設定処理であり、これと共通の処理が、後述のステップS90の遊技終了時の共通処理においても実行されるようになっている(ゲーム終了時のコマンド設定処理)。
上記ART関連のコマンド設定処理では、現在の遊技状態によらず、ART関連処理で得られた情報として、RAM401bの所定領域範囲に記憶されているデータを演出制御コマンドデータとしてセットする(ステップS770:コマンド設定手段)。具体的には、RAM401bの記憶領域のうち、ART関連処理に係るデータが記憶されている特定領域範囲(たとえば、図35の8000H~8015H)にある情報を演出制御部410側に通知するべく、これらの情報を個々に特定可能とするコマンドデータをセットする。
たとえば、ART関連処理に係るデータとして、図35に示すような遊技モード情報履歴、遊技モード情報、遊技状態番号(内部遊技状態情報)、前兆ゲーム数カウンタ(残余前兆ゲーム数情報)、ARTゲーム数カウンタ(ART残余ゲーム数情報)、・・・、有利区間カウンタ(有利区間残余ゲーム数情報)など、様々なデータがRAM領域の連続したアドレス(本例では、8000H~8015H)に記憶されており、これらのデータを個々に特定可能とする演出制御コマンドデータ群が設定されるようになっている。
つまり、今回のART関連処理に、値の更新された処理と値の更新されなかった処理とを含む場合、値の更新されたデータと値の更新されなかったデータの双方を含む全データが、演出制御部410側に通知する演出制御コマンドデータとして設定される。ここで設定された演出制御コマンドデータは、後述の主制御側タイマ割込処理中の出力処理(図18のステップS192;コマンド送信手段)において、主制御部400から演出制御部410へと送られる。
なお図35に示したデータは、あくまでも一例を示したものであり、演出制御部410側に通知を要する情報として、たとえば、AT抽選結果、フリーズ演出抽選結果などの所定の抽選結果情報、安全装置作動フラグ情報(安全装置作動・非作動情報)、有利区間差枚数カウンタ(有利区間の差枚数情報)、安全装置カウンタ(安全装置作動までの差枚数情報:安全装置差枚数情報)、有利区間クリア要求フラグ情報、基本遊技情報(RT種別、AT種別情報)、ART関連処理とは無関係なデータ(たとえば、エラー種別情報)など、種々の情報を含ませることも可能であり、これらを一括的に送信対象としてコマンドデータを設定としてもよいし、一部をコマンドデータとして設定してもよく、その送信対象は適宜定めることができる。
このようにステップS73が構成されている結果、今回のART関連処理にて、遊技状態によらず、値が更新されたか否かに係わらず、更新されなかった情報も、演出制御部410に送られたり、また現在の遊技状態(遊技モード)では使用しない情報も演出制御部410に送られる。演出制御部410側では、ART関連のコマンド設定処理に係る演出制御コマンド(ART関連演出制御コマンド)を受信した場合、当該コマンドに含まれる情報(たとえば、各ART関連処理中の処理結果情報)のうち、現在の演出モードにおいて必要な情報に基づく演出処理を行い、現在の演出モードにおいて不必要な処理結果情報に基づく演出処理を行わない構成となっている(後述の図21参照)。
ここで、上記特定領域範囲にある各データ(8000H~8015H)は、連続したアドレスに記憶されているために、演出制御コマンドデータとして作成すべき各データの指定が容易なものとなっている。特に、各データが記憶されているアドレスの上位バイト(上位アドレス)が固定値(80H)であり、下位バイト(下位アドレス)がそれぞれ異なる値(00H~15H)となっている。この点に着目し、データを指定する際に、下位アドレスを指定してコマンドデータを設定可能な構成としてもよい。また、下位アドレスを指定可能なアドレス指定テーブルを用意しておき、当該テーブルが指定するアドレス先の各データをコマンドデータとしてセットしてもよい。また、各データのそれぞれに対応するコマンドデータをセットする形態に限らず、複数のデータを1つのコマンドデータに纏めることができる場合には、各データの少なくとも2つをまとめたコマンドデータをセットしてもよい。
上記のように、分岐先プログラムであるART関連処理(ステップS706で呼び出される各処理)中においては、演出制御コマンドの設定(作成・送信)を行わず、分岐元プログラムに戻った後のART関連のコマンド設定処理(分岐処理A後のステップS73、後述の分岐処理B後のステップS90)において設定する。この結果、ART関連分岐処理内の各処理(抽選処理、設定処理、管理処理など)において、処理結果についての制御コマンドを逐次作成して送信する場合に比べ、プログラムの記憶容量が少なくなり、制御負担が軽減される。
図10Bの説明に戻り、次いで、指示モニタ番号表示処理を実行する(ステップS74)。この指示モニタ番号表示処理では、ステップS68の内部抽選処理で得られた指示モニタ番号(詳細は図11にて後述する)に基づき、払出枚数表示器35に対するLED表示データ(主報知手段用表示データ)を設定する。ここで設定されたLED表示データは、後述の主制御側タイマ割込処理中のLED表示データ作成処理(後述の図18のステップS182)にて、LED表示に関するダイナミック点灯制御用データを作成する際に利用される。作成されたデータは、同タイマ割込処理中の出力処理(ステップS192)にて、LED側に対して出力される。これにより、払出枚数表示器35によるアシスト報知が実行されることになる。
次いで、回胴演出実行処理を実行する(ステップS75)。この回胴演出実行処理では、ステップS72のART関連分岐処理内(後述の図14Aのフリーズ抽選処理)のフリーズ演出抽選結果に基づく、フリーズ演出制御に要する設定処理を実行する。
フリーズ演出抽選は、後述の図13の一般処理中(ART関連処理に属する処理)のフリーズ抽選処理(ステップS711)で行われ、その抽選結果として、フリーズ演出フラグが設定されるようになっている(後述のステップS710~S712参照)。このフリーズ演出フラグは、フリーズ演出種別(Sフリーズ(01H)、Lフリーズ(02H)、未発生(00H))を識別するためのフラグである。
上記フリーズ演出フラグが、SフリーズまたはLフリーズを指定する場合には、今回のフリーズ演出種別に対応した変則回転動時の回胴駆動モータ用制御データをセットする。そして、今回のフリーズ演出に対応するフリーズ時間を設定し、処理の進行をフリーズ時間分待機させ、その間(フリーズ時間中)に、変則回転回胴演出を実行するようになっている。そして、フリーズ時間経過したならば、フリーズ演出終了を示す「フリーズ終了コマンド」をセットし、この回胴演出実行処理を抜ける。なお、フリーズ演出抽選に非当選(フリーズ演出フラグ=00H(ハズレ))の場合は、特に何もせずに、この回胴演出実行処理を抜ける。
上記ステップS75の回胴演出実行処理を終えると、次いで、回胴回転始動時の設定処理(回胴回転開始設定処理)を実行する(ステップS76)。
この回胴回転開始設定処理では、回胴を通常回転させる準備として、遊技開始ウェイトタイマを取得し、そのタイマ値が0(ゼロ)であるか否かを確認する。そして遊技開始ウェイトタイマの値がゼロでない場合、当該タイマの値が0になるまで待つ。この遊技開始ウェイトタイマは、「1ゲームの遊技時間」を規制するためのタイマである。上記遊技開始ウェイトタイマ値がゼロであることを確認したならば、再度、遊技開始ウェイトタイマに4.1秒を設定する(遊技開始ウェイトタイマ設定処理)。これにより、1ゲームに要する時間が最短でも4.1秒となるようになっている。なお、レバー操作時フリーズ演出(Sフリーズ、Lフリーズ)が実行される場合は、基本的には、4.1秒が経過しているので、フリーズ終了後に通常回転動作が開始されることになる。
上述の遊技開始ウェイトタイマ設定処理を終えると、通常の回転動作を実現するために必要なデータとして、通常回転時の回胴駆動モータ用制御データをセットし、全回胴に対し、位置センサ未通過フラグおよび起動要求フラグをセットする。位置センサ未通過フラグは、回胴位置検出センサ212a~212cにより基点を未検出である(OFF)か否か(ON)を示すフラグであり、起動要求フラグは、通常回転動作開始を要求するためのフラグである。また、演出制御コマンドとして、回胴始動を示す「回転開始コマンド」をセットする。これにより、これにより各回胴5a、5b、5cが通常回転状態に入る。
次いで、全回胴が概ね一定の回転速度に達するまでの待機処理として、759.9ms分待機する(ステップS77)。
次いで、停止前エラーフラグ状態確認処理を実行する(ステップS78)。この、停止前エラーフラグ状態確認処理では、センサ未通過フラグおよびエラーフラグのいずれかがON状態であれば、これらがOFF状態になるまで待機する。本実施形態では、回胴が回転を開始した後、対応する回胴位置検出センサ212a~212cにより回胴の基点位置が検出され、遊技動作に係るエラー(ここでは、主制御部400側で監視されるエラー(たとえば、投入メダルエラー、メダル無しエラー、満杯エラー、払出センサエラー、誤入賞エラーなど))が未発生であることを条件として、停止ボタン12の受付を有効化して停止操作有効(許容)状態とし、それ以外であれば、当該受付を無効化して停止操作無効状態とする。したがって、回胴5a~5cの回転中において、何らかのエラーが発生した場合(エラーフラグがON)、回胴5a~5cの回転を維持した状態で回胴の停止操作を無効化して遊技動作の進行を停止し、エラーが解除されたことに応じて遊技動作の進行が再開されるようになっている。
センサ未通過フラグおよびエラーフラグがOFF状態であれば、全回胴が正常な通常回転動作状態下であるとして停止操作有効状態(停止操作許容状態)とし、これを報知するために、停止ボタン12の内蔵LEDをON状態にする(ステップS79)。これにより、停止ボタン12の停止操作が許容状態となり、たとえば、停止ボタンの内蔵LEDが停止操作無効報知態様の赤色(OFF状態)から、停止操作有効報知態様の青色(ON状態)に変化する。またここでは、停止操作有効状態となったことを演出制御部410に対し知らせるべく、演出制御コマンドとして「停止操作有効コマンド」をセットする。
上記停止操作有効状態において、停止ボタン12a、12b、または12cが操作された場合、停止操作対象となった回胴を停止制御するための回胴停止処理を実行する(ステップS80)。この回胴停止処理の詳細については、図17Aを用いて後述する。
ステップS80の回胴停止処理を終えて、全回胴の停止が確認されると、続いて、指示モニタ番号表示をクリア(OFF状態)する(ステップS81)。ここでは、払出枚数表示器35によるアシスト報知を終了させるための指示モニタ終了設定処理を実行する。本実施形態では、全回胴が停止した後に、主報知手段によるアシスト報知が終了されるようになっている。また副報知手段によるアシスト報知も全回胴が停止した後に終了されるようになっている。
次いで、入賞判定処理を実行する(ステップS82)。この入賞判定処理では、全回胴停止時に作成される後述の停止図柄情報(入賞ラインデータ)に基づいて、当選役に対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止したか否か、つまり入賞が発生したか否かを確認し、入賞の発生を確認した場合は、その停止した図柄の組合せに対応して、払出枚数情報を指定する払出枚数データ(払い出すべき遊技メダル枚数を指定するデータ)の設定処理、リプレイ役が入賞した場合には再遊技を付与するための設定処理(再遊技フラグをON:再遊技作動開始時設定処理)を実行する。また、再遊技作動LED37をOFF(消灯状態)に設定する。
またここでは、内部抽選結果(内部当選フラグ)と停止図柄情報とに基づき、当選役に対応する図柄の組合せが正しく停止されたか否かを判定する誤入賞判定処理を実行し、誤入賞であった場合は、所定のエラー処理を実行する(誤入賞エラー処理)。たとえば、RAMの内容に異常が生じたとして、RAMエラー処理を実行する。
また入賞判定処理では、全回胴の停止時に係る演出制御コマンドとして、「入賞情報コマンド(全回胴停止コマンド)」をセットする。この入賞情報コマンドには、全回胴停止時の停止図柄情報として、少なくとも有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せを特定可能な全回胴停止時の停止図柄情報(遊技結果情報)が含まれ、さらに、疑似入賞ライン上の停止図柄情報や現在の遊技状態情報や入賞ライン情報などを含むことができる。斯様な入賞情報コマンドにより、演出制御部410側が今回の遊技結果(有効入賞ラインおよび疑似入賞ライン上に、如何なる図柄の組合せが停止したか(停止図柄種別))を把握可能となっている。上記「入賞情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では、全回胴停止時(遊技結果導出時)に係る「入賞演出」の現出などの全回胴の停止時に必要な演出制御処理を実行する。
また入賞判定処理では、ボーナス遊技中の払出枚数を管理するボーナス遊技中獲得枚数加算処理を実行する。ボーナス遊技中獲得枚数加算処理では、遊技メダルの払い出しがある場合、上記ボーナス遊技中払出枚数カウンタに対して、その払出枚数分の遊技メダル枚数を加算する加算処理を行い、「ボーナス中獲得枚数情報コマンド」をセットする。このボーナス中獲得枚数情報コマンドには、ボーナス遊技中払出枚数カウンタ値を特定可能な情報が含まれる。上記「ボーナス中獲得枚数情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では現在の合計払出枚数を報知する払出枚数表示演出の表示値を更新する。
次いで、「性能情報・差枚数等管理処理」を実行する(ステップS83)。この性能情報・差枚数等管理処理には、性能情報制御処理(役比モニタ99に表示する性能情報に必要な処理)と、有利区間差枚数管理処理、安全装置差枚数管理処理とが含まれる。上記性能情報・差枚数等管理処理についての詳細は、図17B~図17Dを用いて後述する。
次いで、メダル払出枚数監視処理を実行する(ステップS84)。このメダル払出枚数監視処理では、ステップS82の入賞判定処理で設定された払い出し情報に基づき、目的枚数の遊技メダルの払い出し処理やクレジットの加算処理を実行するための要求処理を実行する。遊技メダルの払出動作に関しては、後述の主制御側タイマ割込処理中のメダル払出処理(後述の図18のステップS186)において、その要求処理に応じて、ホッパーモータ510を駆動制御し、これにより、遊技メダルの払出動作を実行する。なお、払出動作に異常があれば(たとえば、ホッパージャムエラー(ERR5)や、ホッパーエンプティエラー(ERR4))、これに対応するエラー処理を行う。
次いで、分岐処理B(ステップS85~S87)に進む。この分岐処理Bの処理の仕方は、上記分岐処理Aの処理内容と実質的に同じである。まず分岐処理Bでは、終了時のART関連処理の先頭アドレスをメモリの参照処理アドレス領域(HLレジスタ)にセットする(ステップS85)。この処理では、上記ステップS70の処理(開始時のART関連処理の先頭アドレスのセット)と同様に、図25で示すプログラム領域に格納されている終了時のART関連処理の先頭アドレス(1011H)をHLレジスタにセットする。
次いで、図26(ロ)に示す「終了時各フェーズ差番地テーブル」の先頭アドレスをセットする(ステップS86)。なお、終了時各フェーズ差番地テーブルの基本的構成は、既に説明した図26(イ)の開始時各フェーズ差番値テーブルの構成と同じであるので、重複記載を避けるためにその説明は省略する。
次いで、ART関連分岐処理を実行する(ステップS87)。このステップS87のART関連分岐処理は、上記ステップS72とART関連分岐処理と共通の処理となっており、ステップS85、S86においてセットしたメモリのアドレスを基づいて、現在の遊技状態に応じた‘ゲーム終了時に係るART関連処理に属する各処理(一般中処理~ボーナス中処理)’のいずれかが選択されて実行される。本実施形態では、プログラム容量を削減して制御負担を軽減すべく、ゲーム開始時とゲーム終了時とで、共通のART関連分岐処理を設けてある。
次いで、遊技状態移行管理処理を実行する(ステップS88)。ここでは主に、有利区間の終了処理に要する設定(有利区間初期化処理)や、有利区間移行に要する設定(有利区間移行処理)などを実行する。
上記「有利区間初期化処理」では、現在の遊技状態が有利区間中であるか否かを判定し、有利区間であれば、有利区間クリア要求フラグを取得する。有利区間クリア要求フラグがON(終了指定)であれば、今回のゲームで有利区間が終了したとして、現在の遊技状態を初期遊技(遊技モード0)に移行させ、有利区間ゲーム数カウンタ(有利区間残余ゲーム数)および有利区間クリア要求フラグ、その他、有利区間に係るデータをすべてクリアする。これにより、有利区間を終了させ、非有利区間に移行させる。本実施形態では、有利区間が終了された際には、遊技状態は、常に、初期遊技(非有利区間)に移行されることになる。
一方、現在の遊技状態が有利区間中でない場合、または、有利区間中であっても有利区間クリア要求フラグがOFFの場合には、非有利区間または有利区間継続状態であるとして、何もせずに本処理を抜ける。なお本処理において、ART関連処理(ステップS72、S87)などで実行された処理(各種の抽選処理など)に基づいて、遊技状態移行に関する処理(たとえば、遊技モード、基本遊技状態、内部遊技状態などの更新処理、必要なゲーム数の更新処理、ボーナス遊技の実行(開始、終了)に要する処理など)を実行可能に構成してもよい。
また、上記「有利区間移行処理」では、非有利区間から有利区間への移行設定処理を実行する。具体的には、後述の図14A(一般中処理)のステップS709の処理にて、上記有利区間移行抽選が実行され、これに当選した場合には、有利区間当選フラグがON状態(移行当選状態)に設定される。有利区間当選フラグがONである場合には、本処理にて、有利区間ゲーム数カウンタに初期値(3000ゲーム)をセットし、有利区間差枚数カウンタに初期値(吸込枚数の上限値Z)を設定し、有利区間当選フラグをクリア(OFF状態)にして、現在の遊技状態を初期遊技(初期遊技モード)から通常遊技(地獄モード、通常モード、または天国モードのいずれか)に設定する。これにより、次ゲームから有利区間(有利区間下通常遊技)に移行されることになる。なお、初期遊技から通常遊技に移行させる際には、地獄モード、通常モードおよび天国モードのいずれかに移行させるかを抽選により決定してもよいし(モード移行抽選)、常に、特定の遊技モード(たとえば、通常モード)に移行させてもよい。モード移行抽選を採用する場合には、たとえば、設定値が相対的に高いほど、有利度が高いモードへの移行確率を高くなるようにすることが好ましい。勿論、全設定共通の確率でいずれかの遊技モードに移行させてもよい。
次いで、遊技終了時の共通処理を実行する(ステップS90)。ここでは、今回のゲーム終了時に必要な設定処理を実行する。たとえば、コマンド設定処理やRAMクリア処理などが実行される。ここでのコマンド設定処理は、上記ステップS73における「ART関連のコマンド設定処理」と共通の処理であり、ゲーム終了時に係るART関連のコマンド設定処理である。本実施形態では、ゲーム開始時とゲーム終了時とで、共通のART関連のコマンド設定処理を設け、制御負担に寄与するようにしてある。またRAMクリア処理では、今回のゲームおいて使用したRAM領域の所定のデータをクリアし、次回のゲームに必要なワークエリアを確保する。これにより、今回のゲームに係る一連の処理を終える。
また演出制御部410は、ゲーム終了時のコマンド情報に基づき、次ゲームからどのような遊技状態に移行させるかを把握することができる。たとえば、今回のゲームで有利区間が終了した場合は、次ゲームから有利区間に移行されることや、有利区間差枚数カウンタに初期値が設定されたことを把握することができる。なお、演出制御部410側にも有利区間差枚数カウンタと同様の機能を有するカウンタを設けておけば、有利区間差枚数カウンタに初期値が設定されたことを把握した場合に、演出制御部410側でも、そのカウンタに同じ初期値を設定し、ゲーム毎に、主制御部400から送られてくる投入枚数情報および払出枚数情報に基づき、有利区間中の差枚数をカウントすることが可能である。演出制御部410が独自で、有利区間中の差枚数をカウント可能であれば、主制御部400から一々、有利区間中の差枚数情報に関するコマンドを送信する必要がなく、制御負担の軽減に寄与することができる。また演出制御部410は、有利区間中の差枚数情報(有利区間差枚数情報)に基づいた種々の演出を実行制御することが可能になる(後述の図43および図44等参照)。
(1-4.内部抽選処理(ステップS68):図11)
次に、上記した図10Bの内部抽選処理(ステップS68)について、図11を用いて説明する。図11は、図10Bの内部抽選処理の詳細を示すフローチャートである。
図11において、主制御部400は、まずステップS63の内部抽選用乱数値を取得する(ステップS101)。
次いで、RT状態に応じた役抽選テーブル(図5A~図5B)を取得する(ステップS102)。ここでは、現在の遊技状態が、RT0遊技~RT3遊技中、BB内部当選遊技中(RT4遊技)、ボーナス遊技中のいずれの状態であるかに応じた役抽選テーブルが選択される。なお、役抽選テーブルを選択するに際し、遊技モード情報を利用してもよい。遊技モード情報を利用する場合には、たとえば、RT0~RT4遊技、ボーナス遊技のいずれに係る遊技モードであるかを識別可能に構成すればよい。
次いで、内部抽選処理を実行する(ステップS103)。この内部抽選処理では、内部抽選用乱数値と、ステップS102で取得した役抽選テーブルとに基づく内部抽選を行い、抽選番号0~50の抽選対象役のうちから当選役を決定する。なお重複BB役については、抽選番号に対応した固有の当選番号で当選役を特定しても良いが、本実施形態では、たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」が当選した場合、抽選番号41のBB1と抽選番号22の強チャンスに同時当選した、つまり「抽選番号41+抽選番号22」という役が当選したものとして扱い、重複BB役の当選を識別することができるようになっている。本実施形態の場合、特別役種(BB)と特定の小役種(リプレイ役種を含む)とが重複当選可能な複数種類の重複BB役が設けられているが(図5B、図6D参照)、斯様な重複BB役の当選情報は、たとえば、小役種を特定する第一バイトの下位7ビットと、特別役種を特定する第二バイトの下位4ビットとで特定可能となっている。
次いで、一般役種当選情報設定処理を実行する(ステップS104)。この一般役種当選情報設定処理では、ステップS103の内部抽選結果(当選役情報(当選番号情報))に基づき、当選役に係る一般役種別情報、つまり特別役種を除いた一般役種の当選情報として、小役当選情報の値(図23A~図23Bの小役当選情報の欄参照)を、RAM401bの図24(A)に示すワークエリアの「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」と、当選役変換情報に係る「当選役変換情報領域」とに設定(保存)する。
上記「小役当選情報」とは、当選役種別(ここでは、当選役に係る一般役種別)そのものを識別するためのデータであり、本実施形態の場合、一般役種別について、当選番号0~40が割り当てられており、全一般役種のうちいずれの役に当選したのかを識別可能な情報(データ)がワークエリアの「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」に設定される。この小役当選情報は、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)における内部当選フラグの設定や条件装置信号出力処理(ステップS107)において、型式試験信号を作成する際に利用される。
また上記「当選役変換情報」とは、演出制御部410に送信するための内部抽選結果に関する情報であり、演出制御部410側において、ゲーム中演出(当選役に関する予告演出など)やアシスト報知を現出制御する際に利用される。本実施形態の場合、非AT遊技であるAT0遊技中を「指示無し区間」、AT遊技中(AT1遊技~AT3遊技、BB中)を「指示有り区間」に大別し、図23A~図23Bに示すように、各区間に応じて異なるデータが設けられている。
上記「指示無し区間」のデータには、当選役種別をあらかじめグループ分けしたデータ群が定められている。この指示無し区間に係るデータは、当選役の役構成・性能・配当などを考慮し、演出制御部410側が当選役に対応したアシスト報知を実行不能とする情報(秘匿アシスト情報)を成すためのグループ分けとなっている。
具体的には、図23A~図23Bに示すように、まず再遊技役種である(1)当選番号1~10、16~19の「通常リプレイ~RT1転落リプ3XXおよび7リプレイ~BARリプフェイク」を第1グループとして当選役変換情報を共通の「80H」とし、(2)当選番号11~15の「RT3昇格リプ1XX~RT1転落リプ321」を第2グループとして当選役変換情報を共通の「83H」とし、次に小役種である(3)当選番号20~21の「弱チャンス1~2」を第3グループとして当選役変換情報を共通の「82H」とし、(4)当選番号29~40の「押順ベル123A~押順ベル321B」を第4グループとして当選役変換情報を共通の「81H」として定めてある。それ以外は、当選役種別は固有の当選番号(本実施形態では、説明の便宜上、抽選番号と同じ番号を識別情報としている)が割り当てられており、この情報が今回のゲームの当選役に関する当選情報として、演出制御部410に対して送信される。
一方、「指示有り区間」の場合には、当選役ごとに対応した固有の当選番号が割り当てられており、この情報が今回のゲームの当選情報として、演出制御部410に対して送信される。したがって「指示無し区間」の場合、演出制御部410側は、実際の当選役を知ることができないが、「指示有り区間」の場合には、実際の当選役を知ることができる。
このように「指示無し区間」と「指示有り区間」とで識別データを異ならせる理由は、既に説明した、不正行為防止やのめり込み防止等の観点からであり、AT遊技が実行されていない状態(AT0遊技中)において、少なくとも一般役種の当選種別そのものが識別可能となる情報を周辺基板(たとえば、遊技表示基板390や演出制御部410等)に送信しないようにするためである(条件装置種別が識別可能となる情報を送信しない)。特に、押順規定役に属する抽選対象役が当選した場合、これが如何なる押順規定役であるかを識別可能な情報、換言すれば、押順規定役に係る停止操作手順が識別可能となる情報を周辺基板に送信しないようにするためである。これにより、「指示無し区間」では演出制御部410側が今回の当選役を正しく把握することができず、正しいアシスト報知が実行不能となる。一方、「指示有り区間」では、今回の当選役を正しく把握することができるため、AT状態や遊技モードに対応した正しいアシスト報知が実行可能となる。
詳細は「ステップS111の処理」にて説明するが、非AT遊技(AT0遊技)中の場合には、上述したように、少なくとも一般役種の当選種別が識別可能となる情報、つまり小役当選情報(当選番号情報)をそのまま演出制御部410に送信することができないため、後続の処理(ステップS111)にて、当該小役当選情報を現在の遊技状態(たとえば、AT状態(遊技モードによりAT状態を識別してもよい。以下同様))に応じた適切なデータ値に変換して、その変換した変換情報を演出制御部410等に対して送信するようになっている。また本処理(ステップS104)において、小役当選情報を「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」と「当選役変換情報領域」の二つのワークエリアに別々に保存する理由は、上記した「非AT遊技中は小役当選情報をそのまま周辺基板に送信しない」というルールを守るためである。このように本実施形態では、当選情報を保存する第1領域と上述の変換情報を保存する第2領域とを設けて、当選情報を利用する処理(たとえば、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)や条件装置信号出力処理(ステップS107)等)や、変換情報を利用する処理(たとえば、後述のステップS113)に対処可能となっている。
なお、「指示無し区間」であっても、少なくとも遊技結果導出前までに、当選役種別(条件装置の作動状態)が識別可能な情報を送信しないようにすれば、遊技結果が導出表示された後で当選役種別が識別可能な情報(たとえば、小役当選情報)を演出制御部410に送信しても良い。この場合、秘匿状態であった当選役を演出制御部410側は知ることができ、たとえば、特定の報知演出等を現出させて今回のゲームで当選した当選役を遊技者に対し報知することができる。
再び図11の説明に戻り、次いで、ボーナス内部当選中であるか否かを判定する(ステップS105)。ボーナス内部当選中でない場合(ステップS105:NO)、ボーナス当選情報設定処理を実行する(ステップS106)。ここでは、今回の当選役にBB1またはBB2の当選情報がある場合、これを有効なボーナス当選情報として、図24(A)のワークエリアの「当選役情報1領域(ボーナス当選情報領域)」にBB1の当選情報を保存する。たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」が当選した場合、抽選番号41のBB1を有効な特別役当選情報として、BB1の当選情報を当選役情報1領域に保存する。このボーナス当選情報は、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)における内部当選フラグの設定や条件装置信号出力処理(ステップS107)において、型式試験信号を作成する際に利用される。なお、BB1、BB2は特別役であり、また押順不問役であることから、当選役変換情報を特に作成する必要がない。このため本実施形態では、ボーナス当選情報については、ステップS104の処理における小役当選情報のように、当選役変換情報領域に保存するということはしていない。
一方、ボーナス内部当選中である場合(ステップS105:YES)、何もせずに、ステップS107の処理に進む。これにより、BB内部当選中に新たな特別役(BB1、BB2)が当選したとしても、その当選は無効扱いとされる。
次いで、条件装置信号出力処理を実行する(ステップS107)。この条件装置信号出力処理では、遊技機外部に設置された外部装置に対する外端信号の出力や型式試験信号を出力するために必要な処理を実行する。条件装置信号出力処理の詳細については図12にて後述する。
次いで、当選フラグ設定処理を実行する(ステップS108)。この当選フラグ設定処理では、当選情報(内部抽選結果)に対応する内部当選フラグを設定する。ここでは、今回のゲームの当選情報として、上記「当選役情報1領域(ボーナス当選情報領域)」のボーナス当選情報と、「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」の小役当選情報とに基づき、当選役に対応する内部当選フラグを設定する。この内部当選フラグは、回胴の停止制御に係る回胴停止処理(ステップS76)や、遊技メダルの払い出し枚数の指定処理に係る入賞判定処理(S79)において利用される。
次いで、指示モニタ番号設定処理を実行する(ステップS109)。この指示モニタ番号設定処理では、図23A~図23Bの当選情報設定テーブルを参照し、現在の遊技状態(本例では、AT状態(遊技モードによりAT状態を識別してもよい))と当選情報とに応じた指示モニタ番号を、図24(A)に示すワークエリアの「指示モニタ番号領域」に設定する。
詳しくは、現在のAT状態がAT0遊技である場合には、図23Aおよび図23Bの当選情報設定テーブル「指示無し区間」が参照されて、全ての当選役において、指示モニタ番号「0」が設定される。指示モニタ番号「0」は、アシスト報知の非実行を指定する(アシスト報知を禁止する)ものであり、指示モニタ番号「0」が設定された場合には、払出枚数表示器35(主報知手段)と液晶表示装置6等の演出手段(副報知手段)とには、アシスト情報は報知されないことになる。
一方、現在のAT状態が、AT1遊技中またはAT2遊技中である場合には「指示有り区間1」が参照され、AT3遊技中またはBB中である場合には「指示有り区間2」が参照されて、当選役に応じた指示モニタ番号0~8のいずれかが設定される。これにより、指示モニタ番号1~8のいずれかである場合には、払出枚数表示器35や液晶表示装置6等において、たとえば、図22に示すようなアシスト報知が現出されることになる。なお、ここで設定された指示モニタ番号は、上記した図10BのステップS70の指示モニタ番号表示処理や後述のステップS112の処理(指示モニタ番号コマンド作成処理)にて利用される。
次いで、役グループ番号設定処理を実行する(ステップS110)。この役グループ番号設定処理では、上記当選情報設定テーブルを参照して、当選情報に基づき、当選役に対応した役グループ番号を図24(A)に示すワークエリアの「役グループ番号設定領域」に設定する。
次いで、当選役情報変換処理を実行する(ステップS111)。この当選役情報変換処理では、図23Aおよび図23Bの当選情報設定テーブルを参照して、ステップS104で設定された「当選役変換情報」を、現在の遊技状態に応じた所定のデータ値に変換する変換処理を実行し、その変換したデータ(変換情報)を当選役変換情報領域に設定する。
具体的には、現在のAT状態が「AT0遊技」である場合には、上記ステップS104の処理で「当選役変換情報領域」に対して設定された小役当選情報をそのまま演出制御部410に送信することができないため、主制御部400は、図23A~図23Bの当選情報設定テーブルに示す「指示無し区間」を参照して、当該当選役変換情報を所定のデータ値に変換し、その変換値を当選役変換情報領域に保存する。これにより、当選役変換情報領域のデータ値が遊技状態に応じた所定のデータ値に更新されることになる。図23A~図23Bの当選情報設定テーブルの記載からも理解されるように、特定の当選役(たとえば、当選番号29~40の押順ベル種別等)については、今回の当選役が如何なる役であるかの識別が不可能な情報に変換される。
一方、現在のAT状態がAT1遊技~AT3遊技中およびBB中のいずれかである場合には、当選役変換情報を変換する必要がないので、上記ステップS104の処理で設定された値を変換することなく、本処理を抜ける(当選情報設定テーブルに示す「指示有り区間1/2」の欄参照)。
ここで本実施形態では、上記一般当選情報設定処理(ステップS104)において、内部抽選(ステップS103)により得られた当選情報について、変換の必要の有無にかかわらず、現在の遊技状態に対応した値を当選役変換情報領域に保存するのではなく、先ず遊技状態にかかわらず、当該当選情報をそのまま当選役変換情報領域に保存し、変換処理が必要であれば変化処理を実行して当選情報を更新し、変換処理が必要でなければ何もしないで変換処理をスキップさせる。これにより、当選役変換情報の変換の必要性がない場合にも無闇に変換処理が行われないようにし、主制御部400の制御負担を軽減させている。
また本実施形態では、内部抽選結果情報をRAM401bの「当選役変換情報領域」に保存し、その保存した情報を変換するものと説明したが、本発明はこれに限らず、内部抽選結果情報をRAM401bに保存せずにCPU内蔵のレジスタを利用した演算により変換処理を行い、上記「当選役変換情報領域」に保存するという構成としてもよい。
次いで、演出制御コマンドとして、上記指示モニタ番号設定処理で得られた「指示モニタ番号」を特定可能な「指示モニタ番号コマンド」をセットする(ステップS112)。なお、指示モニタ番号コマンドについては、遊技状態にかかわらず、一律に演出制御部410に送信するようにしている。これは、遊技状態に応じて(たとえば、AT0遊技かAT1~3遊技かに応じて)指示モニタ番号コマンドを“送信する・送信しない”というプログラムを組み込む必要がなく、制御負担を軽減させることができるからである。また指示モニタ番号情報を演出制御の際に利用することが可能な場合もあり、また、新機種開発の際、新旧機種間で指示モニタ番号コマンドを“送信する・送信しない”というプログラムを組み込む必要がなく、役構成の大幅変更がなければ、当選情報設定テーブルの指示モニタ番号のデータ値を変更するだけでよい場合もあり、設計的な互換性を持たせたることができ、利便性に優れるからである。
しかし本発明はこれに限らず、遊技状態に応じて、指示モニタ番号コマンドを送信するか否かを決定可能な構成とすることができる。具体的には、現在の遊技状態(AT状態)が「AT0遊技」の場合はアシスト報知を行わないため、指示モニタ番号(アシスト情報(手順情報))を演出制御部410に知らせる必要がない。したがって「AT0遊技」の場合には、指示モニタ番号コマンドを作成しない、または作成するが送信しない構成とすることができる。一方、現在の遊技状態(AT状態)が「AT0遊技以外」の場合には、アシスト報知を行う必要があるため、指示モニタ番号コマンドを送信する。またこれとは異なり、指示モニタ番号値に応じて、指示モニタ番号コマンドを送信するか否かを決定可能な構成とすることができる。具体的には、指示モニタ番号「0」以外の値である場合には、指示モニタ番号コマンドを送信し、アシスト報知非実行を指定する「指示モニタ番号0」の場合は、アシスト情報を演出制御部410に知らせる必要がないため、“指示モニタ番号コマンドを作成しない”または“作成するが送信はしない”といった構成とすることができる。
次いで、上記当選役情報変換処理で得られた「当選役変換情報」を特定可能な「当選役変換情報コマンド」をセットする(ステップS113)。本実施形態では、演出制御部410に対し、上記指示モニタ番号設定処理で得られた指示モニタ番号情報(アシスト情報)を送るとともに、遊技状態(たとえば、AT状態または少なくともAT遊技の発生の有無)に応じて変換される当選役変換情報を送るようになっている。ただし、非AT遊技中を伴う遊技状態の場合には、当選役種別そのものが識別可能となる情報(たとえば、小役当選情報)は送らないようになっている。
なお、上記「当選役変換情報コマンド」に、今回当選した特別役(BB1、BB2)を特定可能なボーナス当選情報(特別役種別情報)を含ませても良い。また、別途、当選した特別役情報を含む演出制御コマンド(ボーナス当選情報コマンド)を設け、これを演出制御部410に対して送信可能な構成としても良い。また本実施形態では、指示モニタ番号と当選役変換情報とを別々のコマンドに分けて送信する構成となっているが、これらの情報(指示モニタ番号および当選役変換情報を特定可能な情報)を1つの演出制御コマンドに含ませて演出制御部410に対して送信可能な構成としても良い。
上記ステップS113の処理を終えると、内部抽選処理を抜けて、図10Bに示すゲーム処理に戻る。
(1-5.条件装置信号出力処理(ステップS107):図12)
次に図12を参照して、図11の条件装置信号出力処理(ステップS107)について説明する。図12は、図11の条件装置信号出力処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、遊技機外部の装置(たとえば、保通協の試験機やデータカウンタやホールコンピュータHC等)に所定の遊技情報を送信するための出力データの作成等の処理が実行される。
図12において、主制御部400は、まずスタックポインタおよび全レジスタの値を退避させる(ステップS131、S132)。
次いで、当選役情報(小役当選情報、ボーナス当選情報)を取得し(ステップS133)、出力ビットデータ作成処理を実行する(ステップS134)。この出力ビットデータ作成処理では、当選役情報に基づき、型式試験信号の出力用データ(当選情報出力用データ)を作成する。具体的には、ボーナス当選情報と小役当選情報とを、それぞれ1バイト長の型式試験信号出力用ビットデータを生成する。図24(B)に示す通り、ボーナス当選情報については、1バイトの下位6ビット(D0~D5)が特別役情報(BB1、BB2)を特定するために確保されており、また小役当選情報についても同様に、1バイトの下位6ビット(D0~D5)が小役種別およびリプレイ役種別情報(一般役種情報)を特定するために確保されている。また、特別役(ボーナス役)の場合には1バイトの上位2ビット(D6~D7)に「10」が設定され、一般役種の場合には1バイトの上位2ビット(D6~D7)に「01」が設定され、この上位2ビットのビット情報により、ボーナス当選情報に係る出力用データであるのか、一般役種当選情報に係る出力用データであるかの別が区別されるようになっている。
次いで、ステップS134の処理で作成されたボーナス当選情報に係る出力用データを「条件装置出力用バッファ1」に設定し、一般役種当選情報に係る出力用データを「条件装置出力用バッファ2」に設定する(図24(A)のワークエリア参照)(ステップS135)。型式試験時には、この出力用データが型式試験信号として保通協の試験機に対し出力される。
次いで、型式試験信号の出力動作を管理する出力管理タイマに初期値の48msを設定する(ステップS136)。保通協の試験機の仕様では、型式試験信号が1バイト毎に24ms間隔で出力される必要がある。本実施形態では、1バイト長のボーナス当選情報と1バイト長の一般役種当選情報の2バイト長の型式試験信号としているため、型式試験信号の出力間隔(24ms)の倍の時間を確保している。本実施形態の場合、タイマ割込み周期が1.5msであるので、出力管理タイマには、初期値として「32(1.5×32=48ms)」が設定される。出力管理タイマは、2バイト長の型式試験信号の出力タイミングを管理するものであり、タイマ割込み毎にデクリメントされる(図18のタイマ減算処理(ステップS185)参照)。
上記型式試験信号は、出力管理タイマの値Tが「T≧16(T≧24ms)」であれば、条件装置出力用バッファ1のボーナス当選情報データが出力され、「16>T>0(24ms>T>0)」であれば、条件装置出力用バッファ2の一般役種当選情報データが出力され、TM2=0の場合にはゼロデータが出力される。したがって、24msの間、ボーナス当選情報データが継続して出力され、これに連続して、24msの間、一般役種当選情報データが継続して出力されるようになっている。これらの型式試験信号は、後述の主制御側タイマ割込処理中の出力処理(図18のステップS192)にて、出力管理タイマの値に基づいて出力されるようになっている。なお、型式試験に適合した遊技機は、法的要請によりその制御プログラムの変更は認められていないため、パチンコホールに設置後においても型式試験信号が繰り返し出力されることになる。型式試験信号の出力処理自体は、パチンコホールにおいて無意味なものとなるが、遊技進行状況に応じて多様に変化しうる遊技に関する情報を遊技機外部に出力することで、ホールコンピュータHCが各遊技機の動作状況を把握したり、保通協での型式試験の容易化を図ることができるので特に問題は生じない。
本実施形態では、内部抽選結果に関する情報(当選情報)を、上記した「当選役情報領域(当選役情報1、2領域)」と「当選役変換情報領域」とに分けて保存し、当該「当選役情報領域」の情報を上記型式試験信号の出力用データの作成に利用し、他方の「当選役変換情報領域」の情報を演出制御部410等に送信するコマンドデータの作成に利用している。
上記ステップS136の処理を終えた後は、退避させたレジスタおよびスタックポインタを復帰させ(ステップS137、S138)、この条件装置信号出力処理を抜けて、図11の内部抽選処理のステップS107に戻る。
(1-6.ART関連分岐処理(ステップS72、S87)により読み出されるART関連処理について:図13、図14A~図14D)
次に、ART関連分岐処理(ステップS72、S87)において、遊技状態に応じて選択されうる処理について詳細に説明する。既に説明したように、分岐先となる処理は、図13のステップS706において読み出される処理(図26参照)である。ここでは、本発明と関連が深い処理として、ART関連分岐処理で読み出される処理のうち、一般中処理(図14A)、前兆中処理(図14C)、およびART中処理(図14D)を代表例として説明する。また重複記載を避けるため、ステップS72のゲーム開始時のART関連分岐処理で読み出されるケースを中心的に説明し、ステップS87のゲーム終了時のART関連分岐処理については、必要に応じて説明を加える程度に止める。
(1-7.一般中処理:図14A)
まず図14Aを用いて、一般中処理について説明する。図14Aは、一般中処理の詳細を示すフローチャートである。
一般中処理は、現在の遊技状態(遊技モード)が、初期遊技モード、地獄モード、通常モードまたは天国モードである場合(遊技モード0~4のいずれかの場合)に選択される処理である。したがって一般中処理においては、図示の通り、その主要な処理として、初期遊技(初期遊技モード)関連処理と、通常遊技(地獄モード、通常モードまたは天国モード)関連処理が含まれる。
図14Aにおいて、主制御部400は、まず、現在の遊技モードが初期遊技モード(遊技モード0)であるか否かを判定する(ステップS708)。
初期遊技モードである場合(ステップS709:遊技モード=0)、初期遊技関連処理を実行する(ステップS709)。初期遊技関連処理では、初期遊技モード(遊技モード0)中のゲーム処理として、上記有利区間移行抽選に係る抽選処理や、移行抽選結果に基づく有利区間移行設定処理などの初期遊技に関連する各種処理が実行される。
この「有利区間移行抽選処理」では、内部抽選結果(内部当選フラグ情報)に基づき、上記有利区間移行抽選を実行し、この有利区間移行抽選に当選した場合には、有利区間移行設定処理として、有利区間当選フラグをON(移行当選状態)にする。
遊技状態が初期遊技モード(遊技モード0)でない場合(ステップS708:遊技モード=1~3)、すなわち、現在の遊技モードが、地獄、通常、天国モードのいずれかである場合には、ステップS710の処理に進み、「フリーズ演出抽選テーブル」を用いた抽選処理(フリーズ演出抽選)を実行する(ステップS711~S712)。
、フリーズ演出抽選処理では、まず図30に示す「フリーズ演出抽選テーブル」をセット(取得)し(ステップS710)、フリーズ演出抽選を実行する(ステップS711)。
ここで、ステップS711の抽選処理(後述の図14B)は、フリーズ演出抽選だけに用いられるのではなく、上述の有利区間移行抽選処理や、後述のAT抽選状態移行抽選処理、AT抽選処理や、前兆ゲーム数抽選処理に係る抽選を行う際にも用いられる。また、一般中処理中だけでなく、後述する図14DのART中処理中の上乗せ抽選処理においても用いられる。つまり、ステップS711の抽選処理は、他の各抽選処理において、共通の処理として利用(兼用)される。
(1-8.抽選処理:図14B)
ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず、上述の抽選処理について説明しておく。図14Bは、抽選処理(共通の抽選処理)の詳細を示すフローチャートである。
図14Bを参照して、主制御部400は、まず抽選処理に入る前処理で取得した抽選テーブルを参照し、(1)当選役の役グループに対応するオフセット値を決定し、判定値のアドレスをセットする、つまり判定値を取得すると共に、(2)抽選回数をセットする(ステップS750)。また後述の当選インデックスをクリア(当選インデックス←00H)する。
抽選処理において参照される抽選テーブルは、ステップS711の場合には、ステップS710で取得したフリーズ演出抽選テーブル(図30)が該当する。またステップS714の場合には、AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A~図28D)が該当し、ステップS717の場合には、AT抽選テーブル(図29A、図29B、図29C)が該当し、ステップS720の場合には、前兆ゲーム数抽選テーブル(図示せず)が該当し、ステップS741の場合には、上乗せ抽選テーブル(図31A、図31B)などが該当する。その他、図示はしていないが、後述する(イ)~(ヌ)の各種抽選に利用される抽選テーブルなども該当する。
また既に説明した通り、各抽選テーブルの先頭アドレスには、1バイト長のデータ識別子が格納されている。このデータ識別子は、図32図に示す通り、抽選テーブルがどのようなテーブルであるかを定めている。データ識別子の上位2ビット(D7、D6)は、どのような遊技状態で使用されるかを規定し、ビット情報が「00」であれば、遊技状態(遊技モード)によらずに使用するもの、「01」であれば一般遊技(通常遊技)中で使用するもの、「10」であればART中で使用するもの、「11」であれば上乗せ特化ゾーンで使用するものなどを規定している。データ識別子のbit5(D5)は、その抽選テーブルが、当選役(役グループ番号)別に抽選するものであるか否かを規定し、当選役別に抽選するものであれば(役別抽選)D5=1、当選役によらずに抽選するものであれば(役共通抽選)、D5=0である。データ識別子のbit4~bit0(D4~D0)は、その抽選テーブルを使用する場合における抽選回数を規定する。たとえば、D4~D0=0001であれば抽選回数1回、D4~D0=0010であれば抽選回数2回、D4~D0=0011であれば抽選回数3回である。
また各抽選テーブルは、先頭1バイト長のデータ識別子に続いて、1バイト長の判定値(0~2n-1(n=8)の数値のうちのいずれかの値)が当選役種別(本実施形態の場合、役グループ番号1~16)に対応して連続して格納されている。したがって、役グループ番号1(一般リプレイ種別)を基準アドレスとした場合、役グループ番号2~16の判定値に対応するオフセット値は「01H~0FH」となり、基準アドレスにオフセット値を加算した値がその役グループ番号に対応した判定値のアドレス値となる。なお、図28Cおよび図28Dの場合は、一般リプレイ種別の1種類だけであるので、データ削減のため、役グループ番号2~16の判定値を共通判定値の「0」に定めている。
再び図13の説明に戻り、次いで、乱数回路(2バイト)から乱数RND(1バイト)を取得する(ステップS751)。
本実施形態の乱数回路(乱数生成手段)は、2バイト乱数を生成可能な16ビットのカウンタ(シフトレジスタ)を持ち、当該2バイト乱数がシステムクロックまたはこれを分周して得た外部クロックにより所定の周期で更新される(0~2n-1の数値範囲で更新動作を繰り返し実行する:乱数更新手段)。また、割り込みまたはこれにより更新される乱数列選択カウンタにより、上記の乱数回路が生成した2バイト乱数から1バイトの乱数値を取得して乱数値レジスタに格納する乱数取得手段を有する。そして、「乱数回路における2バイト乱数1周の周期」に比べ、「乱数取得手段における1バイト乱数値の取得間隔」を小さく設定している。
詳述するに、ART関連分岐処理(図10B)では、1ゲーム中に複数回の抽選処理が行われる。たとえば、フリーズ演出抽選(S711)、AT抽選状態移行抽選(S714)、AT抽選(S717)、前兆ゲーム数抽選(S720)などである。これらの抽選は、「2バイト乱数」のうちの1バイト分の値を使って行われる。すなわち、2バイト乱数のうちの1バイト分の値を使って乱数を取得し、その乱数値を判定値と比較する、というART関連の抽選が1ゲーム中に複数回行われる。本実施形態では、ART関連処理での抽選を行う場合、この乱数を取得する間隔が乱数1周の期間よりも短くなる関係、つまり「乱数の取得間隔<乱数1周の期間」という関係の下で行われる。すなわち、一の抽選処理に係る乱数値を取得してから他の抽選処理に係る乱数値を取得するまでの乱数取得時間間隔Nと、2バイト乱数値の更新周期Mとの関係が「N<M」を満たす関係を持たせてある。2バイト乱数のうちの1バイト分の値を使う理由は、このようにすると、乱数の更新周期内に乱数を取得したとしても、いわゆるランダム性を担保することができるからである。これについて以下に説明する。
図33(A)は、本実施形態の場合とは異なり、「1バイト乱数」の数値列00H~16Hから2箇所(取得タイミング1、2)において、乱数値を取得した場合を示している。ここでは1バイトの乱数回路が外部クロックを受けて1周する更新周期を0.026msとしている。この取得タイミング1、2のように、更新周期の0.026msより短い間隔で乱数値を取得する場合、取得される乱数値が「08H」と「96H」となって、同じ乱数値「08H」が取得されることがない。すなわち1度目と2度目で抽選確率1/Nの分母Nが同じにならないから、いわゆるランダム性を担保することができない。
これに対し図33(B)は、本実施形態と同じ構成であって、2バイトの乱数回路が外部クロックを受けて1周する更新周期を6.6msとし、1バイトの乱数値を取得する取得間隔が、乱数回路における2バイト乱数の更新周期よりも小さく設定している。この前提の下で、「2バイト乱数」の数値列0000H~6216Hから2箇所(取得タイミング1、2)において、1バイト(下位バイト)の乱数値を取得した場合を示している。この例では、取得タイミング1で「1108H」の下位バイト「08H」が取得され、取得タイミング2で「5408H」の下位バイト「08H」が取得される。このように2バイト乱数の下位の1バイトを使用する場合は、更新周期よりも短い間隔で乱数を取得しても、同じ値を取得する可能性がある。よって本実施形態のように構成すると、同じ乱数値の「08H」を取得することができるという意味で、1度目と2度目で抽選確率1/Nの分母Nが同じに保たれるのでランダム性を担保することができる。なお、上記では下位バイトを取得する例を説明したが、2バイト乱数の上位バイトや任意の中間1バイトを取得する構成としてもよい。ランダム性を特に必要としない場合は、1バイトのデータ量で更新動作を繰り返す8ビットカウンタ(数値範囲:00H~FFH(0~255))を用いてもよい。
次いで、当選インデックスを+1する(ステップS752)。当選インデックスとは、抽選テーブルおける当選種別を指定するものである。たとえば、図30のフリーズ演出抽選テーブルの場合、当選インデックスの値が1であれば「Sフリーズ」が指定され、当選インデックス値が2であれば「Lフリーズ」が指定される。また、図31Aの本ART上乗せ抽選テーブルの場合、当選インデックス1~3は、上乗せゲーム数+10~+30が指定される。なお、抽選処理が最初に実行されるときには当選インデックスは0であるので(ステップS750参照)、当選インデックス値が1に更新される。
次いで、ステップS750で取得した判定値が「77」であるか否かを判定する(ステップS753)。判定値が「77」である場合(ステップS753:YES)、ステップS760に進み、キャリーフラグ(CF)をON(CF=1)して、ステップS761の乱数待機処理に進む。
本実施形態では、判定値が特定値である場合、ステップS754の判定値と乱数値RNDを比較判定する判定処理を行うことなく、当選と判定するようになっている。なお、図30のフリーズ演出抽選テーブルにおいて、最強チェリーの「Sフリーズ」と「Lフリーズ」の欄の値はともに「128」であり、「Sフリーズ」または「Lフリーズ」のいずれかに必ず当選する。このようにいずれかを必ず当選させたい場合、2回目抽選の「Lフリーズ」の欄の値は「128」ではなく「77」であってもよい。すなわち、抽選テーブルに規定する判定値「77」は、強制当選させるための特殊な判定値(当確用判定値)である。この当確用判定値は、1バイトの範囲内(0~255)の他の値のうち適宜定めることができる。ただし、「0」および/または2nの数値(n=1~7:2、4、8、16、32、64、および128のうち少なくともいずれか1つ)は、抽選領域の大きさ256に対し、使用頻度が高い数値であるため、斯様な値は除外することが好ましい。
一方、判定値が「77」ではない場合(ステップS753:NO)、取得した判定値と乱数値RNDとを比較判定する判定処理(当否判定処理)を実行する。ここでは、判定値と乱数値RNDとの大小関係を判定する。具体的には、乱数値RNDから判定値を減算し(RND-判定値)、この減算処理の結果が負(RND<判定値)である場合には、今回の抽選に当選したことを意味する。なお、減算処理ではなく加算処理による比較判定でもよい。この場合、加算処理の結果が255を超える場合、今回の抽選に当選したことを意味する。
次いで、キャリーフラグCYの値を判定する(ステップS755)。ステップS753の判定結果が当選であれば、キャリーフラグCYが1(CY=1)となっており、非当選であれば、キャリーフラグCYが0(CY=0)となっている。そこで、キャリーフラグCYの値を判定する。キャリーフラグCYが1、つまり当選の場合には(ステップS755:CY=1)、現在の当選インデックスの値をRAM401aの所定領域に格納して、ステップS761の処理に進む。一方、キャリーフラグCYが0、つまり非当選(ハズレ)の場合には(ステップS755:CY=0)、次の判定値を取得し(ステップS756)、抽選回数から1減算する(ステップS757)。次に取得する判定値がない場合には、ステップS756では何もしないで、抽選回数から1減算する。
次いで、減算後の抽選回数が0であるか否かを判定する(ステップS758)。減算後の抽選回数が0でない場合(ステップS758:≠0)、ステップS752~S758の処理を繰り返し、減算後の抽選回数がゼロである場合(ステップS758:=0)、当選インデックスをクリアする(ステップS759)。このステップS759の処理が実行される場合は、今回の抽選結果が何も当選しなかった非当選となる。
ステップS761では、乱数が少なくとも1周する時間分待機する。たとえば、2バイトの乱数回路において、乱数が1周する時間(更新周期)は約6.6msである場合、約6.6ms以上待機して(割込回数1.5ms×5回分待機)、この抽選処理を抜ける。このように乱数が少なくとも1周する時間分待機の理由は、乱数の更新周期を超えて待機することにより、いわゆる乱数のランダム性を担保するためである。ステップS761の処理では、ART関連処理での抽選を行う場合、次の乱数値を取得するまでの待機時間Nを、乱数1周の期間(更新周期)Mよりも長くなる関係、つまり「待機時間N<乱数1周の期間M」という関係の下で行われる。なお、上記ステップS751で2バイトの乱数回路から乱数値RND(1バイト)を取得する場合、すでに乱数のランダム性が担保されていることから、このステップS761は実行せずに、抽選処理を抜けてもよい。しかし、別の実施形態として、1バイトの乱数回路から1バイトの乱数値RNDを取得する場合は、乱数のランダム性が担保されていないことから、1バイトの乱数回路における乱数が1周する時間の約0.026ms以上の時間をこのステップS761にて待機することで、乱数のランダム性を担保することができる。
なお図示はしていないが、下記の各抽選処理においても、図14Bの抽選処理を用いることができる。
(イ)上記本ART遊技(非バトルモード)に係るART継続抽選、
(ロ)上記ART継続抽選の継続率に係る継続率抽選、
(ハ)上記継続バトルモード中のストック抽選、
(ニ)上記ART終了時モード移行抽選、
(ホ)上記上乗せ特化ゾーン移行抽選、
(ヘ)上記特定モード中特典抽選、
(ト)本ART遊技への移行権利(AT抽選)に関する変形例として説明した上記連続当選時AT抽選や連続入賞時AT抽選、
(チ)通常遊技に係る遊技モードの変形例として説明した「チャンスモード(チャンスモード)」に係る抽選(チャンスモード移行抽選、チャンスモード継続抽選、ポイント獲得抽選など)、
(リ)本ART遊技の変形例として説明した「セット数管理型」に係るセット数抽選、「報知回数管理型」に係る上乗せナビ回数抽選、「払出枚数管理型」または「差枚数管理型」に係る上乗せ枚数抽選、
(ヌ)上記特化ゾーン延長抽選、
などを含む他の抽選処理においても共通して用いることができる。
再び図14Aの説明に戻り、ステップS711の抽選処理(フリーズ演出抽選)を終えると、抽選後処理として、当該抽選処理で得られた抽選結果(フリーズ演出抽選結果)をRAM401aの該当領域に格納する(ステップS712)。具体的には、当選インデックスを参照し、当選インデックスにより特定される当選種別に対応するデータをRAM401aの該当領域に格納(保存)し、当選インデックスをクリアする。非当選状態であれば、当選インデックスが0になっているので(ステップS759参照)、非当選に対応するデータをRAM401aの該当領域に格納する。
フリーズ演出抽選処理の場合、当選インデックスが1であれば、Sフリーズの実行を指定するフリーズ演出フラグ「01H」を設定し、当選インデックスが2であれば、Lフリーズの実行を指定するフリーズ演出フラグ「02H」を設定し、当選インデックスが0(非当選)であれば、フリーズ非実行を指定するフリーズ演出フラグ「00H」を設定する。そして、抽選結果を格納する保存処理を終える。上記フリーズ演出フラグは、図10Bのゲーム中処理内のステップS75の回胴演出実行処理中で利用され、フリーズ演出フラグが00H以外の場合には、フリーズ演出が実行されることになる。
上記フリーズ抽選処理を終えると、次いで、ステップS713~S715のAT抽選状態移行抽選処理を実行する。AT抽選状態移行抽選処理は、現在の一般遊技状態から別の一般遊技状態に移行させるか否かの決定に関する抽選処理を含む処理を実行する一般遊技移行抽選手段として働く。
上記AT抽選状態移行抽選処理では、まず、現在の遊技状態(遊技モード)に応じた「AT抽選状態移行抽選テーブル」をセットする(ステップS713)。ここでは、ゲーム開始時に係る移行抽選(内部抽選結果に基づく移行抽選)を実行するべく、現在の遊技モードに応じて、図28Aの地獄モード用または図28Bの通常モード用の「昇格用AT抽選状態移行抽選テーブル」が選択される。なお、図28Cの通常モード用または図28Dの天国モード用の「転落用AT抽選状態移行抽選テーブル」を利用した移行抽選(転落抽選)については、全回胴停止時の遊技結果に基づく遊技状態(遊技モード)の移行抽選であるため、ゲーム終了時に係る一般中処理(図示せず)にて実行される(図10CのステップS87、図13のステップS706、図26)。
次いで、図14Bの抽選処理(AT抽選状態移行抽選)を実行し(ステップS714)、抽選後処理として、抽選処理結果をRAM401aの該当領域に格納する(ステップS715)。ここでは、AT抽選状態移行抽選結果をRAM401aの該当領域に格納する。これにより、移行抽選に当選(昇格移行)した場合には、遊技モードが更新され(たとえば、通常モードから天国モードに変更)、次ゲームから昇格先の遊技モードに移行されることになる(遊技モード更新処理)。
上記AT抽選状態移行抽選を終えると、次いで、ステップS716~S717のAT抽選処理を実行する。
AT抽選処理では、まず現在の遊技モードに応じた「AT抽選テーブル(図29A(地獄モード用)~図29C(天国モード用)のいずれか)」をセットする(ステップS716)。ここでは、ゲーム開始時に係るAT抽選(内部抽選結果に基づくAT抽選)を実行するべく、現在の遊技モードに応じて、図29Aの地獄モード用~図29Cの天国モード用AT抽選テーブルのいずれかが選択される。ただし本実施形態の場合、AT抽選状態移行抽選結果に基づく遊技モード下で抽選処理を実行するようになっている。たとえば、AT抽選状態移行抽選結果により通常モードから天国モードに昇格移行された場合には、本処理において、天国モード下でのAT抽選が実行されるようになっている。なお、ベル系のAT抽選については、遊技結果に基づくAT抽選であるため、ゲーム終了時に係る一般中処理にて実行される(図10CのステップS87、図13のステップS706等)。
次いで、図14Bの抽選処理(AT抽選)を実行する(ステップS717)。
次いで、抽選後処理として、キャリーフラグCYの値を判定する(ステップS718)。ここでは、AT抽選結果に応じて処理を分岐させる。
キャリーフラグCYが1(CY=1)である場合(ステップS718:CY=1)、つまりAT抽選に当選した場合、前兆ゲーム数抽選処理を実行する(ステップS719~S721)。一方、キャリーフラグCYが0である場合(ステップS718:CY=0)、つまりAT抽選に非当選である場合、前兆ゲーム数抽選処理は実行せずに、ステップS722に進む。
上記前兆ゲーム数抽選処理では、まず「前兆ゲーム数抽選テーブル(図示せず)」をセットする(ステップS719)。
次いで、図14Bの抽選処理(前兆ゲーム数抽選)を実行し(ステップS720)、その抽選処理結果をRAM401aの該当領域に格納する(ステップS721)。具体的には、前兆ゲーム数抽選により決定された前兆ゲーム数を、前兆ゲーム数カウントにセットする(前兆ゲーム数設定処理)。そして、遊技モードを前兆モード(遊技モード4)に更新する。なお、ここで設定された前兆ゲーム数は、後述の前兆中処理(図14C)において管理される。
次いで、その他のART関連抽選処理を実行する(ステップS722)。その他のART関連抽選処理では、上記したフリーズ演出抽選やAT抽選以外の他の抽選に係る処理を実行する。なお、ここで行う他の抽選に係る処理も、ステップS711などの抽選処理(図14B)と共通の抽選処理が利用される。そして各抽選処理が実行された場合、抽選後処理として、抽選結果に基づく処理(抽選結果の保存処理等)を実行し、一般中処理を抜けて、ART関連のコマンド設定処理(図10BのステップS73)に進む。
(1-9.前兆中処理:図14C)
次に図14Cを用いて、前兆中処理について説明する。図14Cは、前兆中処理の詳細を示すフローチャートである。前兆中処理は、遊技状態が前兆モード中の場合に選択される処理である。
図14Cを参照して、主制御部400は、まず前兆ゲーム数を1減算する(ステップS730)。
次いで、減算後の前兆ゲーム数が0か否かを判定する(ステップS731)。前兆ゲーム数が0である場合(ステップS731:=0)、前兆モード終了設定処理を実行する(ステップS732)。前兆モード終了設定処理では、現在の遊技状態(遊技モード)を、前兆モードから準備ART移行前モード(遊技モード5)に変更する。一方、前兆ゲーム数が0ではない場合(ステップS731:≠0)、何もしないで、前兆中処理を抜ける。
以上により前兆中処理を終えて、ART関連のコマンド設定処理(図10BのステップS73)に進む。
(1-10.ART中処理:図14D)
次に図14Cを用いて、ART中処理について説明する。図14Dは、ART中処理の詳細を示すフローチャートである。このART中処理は、遊技状態(遊技モード)が、本ART遊技(非バトルモード)または上乗せ特化ゾーン中の場合に呼び出される処理である。
図14Dを参照して、主制御部400は、まず、ART継続管理処理を実行する(ステップS739)。ART遊技継続管理処理では、ART残余ゲーム数や上乗せ特化ゾーン残余ゲーム数を管理する。ここでは、現在の遊技状態(遊技モード)が本ART遊技(非バトルモード)中である場合、ART残余ゲーム数から1減算し、減算後のART残余ゲーム数がゼロになった場合は、今回のゲームで本ART遊技(非バトルモード)が終了したとして、何もせずに、このART中処理を抜ける。ここでは、ゲーム開始時に係るART中処理について説明しているので、この場合には、ゲーム終了時に係るART中処理(図13のステップS706)にて、本ART最終ゲームにおける上記ART継続抽選およびストック抽選を実行し、その抽選結果(非当選であれば継続終了情報、継続であればそのストック数)を格納する。そして、遊技モードを継続バトルモード(遊技モード9)に変更する。本実施形態では、ARTゲームの最終ゲームでは、上乗せ抽選を実行せずに、継続バトルモードの継続抽選およびストック抽選を行い、その抽選結果に基づき、本ART継続か終了かを決定している。
現在の遊技状態が上乗せ特化ゾーン中である場合は、ゲーム開始時ではなく、ゲーム終了時に係るART中処理(図10CのステップS87)にて、現在の上乗せ特化ゾーンゲーム数から1減算し、減算後のゲーム数がゼロになった場合は、今回のゲームで上乗せ特化ゾーンが終了したとして、遊技モードを本ART遊技(非バトルモード)(遊技モード7)に変更する。ただし、上乗せ特化ゾーン最終ゲームにおいては、上乗せ抽選が実行されるようになっている。
上記ART継続管理処理を終えると、次いで、ステップS740~S741の上乗せゲーム数抽選処理を実行する。上乗せゲーム数抽選処理では、特定の遊技状態(たとえば、本ART遊技(非バトルモード)、上乗せ特化ゾーンなど)に制御される期間について、当該期間を延長させるか否かの決定に関する抽選処理を実行する。
上記上乗せゲーム数抽選処理では、まず現在の遊技状態(遊技モード)に応じた「上乗せ抽選テーブル」をセットする(ステップS740)。ここでは、ゲーム開始時に係る上乗せ抽選(内部抽選結果に基づく上乗せ抽選)を実行するべく、現在の遊技モードに応じて、図31Aの本ART用または図31Bの上乗せ特化ゾーン用の上乗せ抽選テーブルが選択される。なお、ベル系の上乗せ抽選については、遊技結果に基づく上乗せ抽選であるため、ゲーム終了時に係るART中処理にて実行される(図10CのステップS87、図13のステップS706、図31A~図31Bの備考欄等参照)。
次いで、図14Bの抽選処理(上乗せ抽選)を実行する(ステップS741)、
次いで、抽選後処理として、キャリーフラグCYの値を判定する(ステップS742)。ここでは、上乗せ抽選結果に応じて処理を分岐させる。
キャリーフラグCYが0である場合(ステップS742:CY=0)、つまり上乗せ抽選に非当選である場合、何もせずにステップS744に進む。一方、キャリーフラグCYが1(CY=1)である場合(ステップS742:CY=1)、つまり上乗せ抽選に当選した場合、ART残余ゲーム数に対して、抽選結果に基づく上乗せゲーム数を加算する(ステップS743)。ステップS743の処理は、上乗せ抽選(期間延長抽選手段)による抽選処理結果に基づき、上記特定の遊技状態に制御される期間を延長させる特定遊技延長制御手段として働く。
次いで、その他のART関連抽選処理を実行する(ステップS744)。この「その他のART関連抽選処」は、ゲーム開始時に係るART中処理であるか、ゲーム終了時に係るART中処理であるかによって、実行される抽選処理が異なるが、ここでは、たとえば、上記上乗せ特化ゾーン移行抽選(ゲーム開始時に係るART中処理)や、ART継続抽選(ゲーム終了時に係るART中処理)や、ART終了後モード抽選(ゲーム終了時に係るART中処理)などが実行される(図示略)。ここで行う他の抽選に係る処理も、ステップS711等の抽選処理(図14B)と共通の抽選処理が利用される。そして各抽選処理が実行された場合、抽選後処理として、抽選結果に基づく処理(抽選結果の保存処理等)を実行し、ART中処理を抜ける。
(1-11.回胴停止処理(ステップS76):図17A)
次に図17Aを参照して、図10Cの回胴停止処理(ステップS76)について説明する。図17Aは、図10Cの回胴停止処理の詳細を示すフローチャートである。
図17Aにおいて、主制御部400は、まず「停止時エラーフラグ状態確認処理」を実行する(ステップS401)。ここでは、既に説明した「停止前エラーフラグ状態確認処理(図10BのステップS74)」と同様に、センサ未通過フラグおよびエラーフラグのいずれかがON状態であれば、これらがOFF状態になるまで待機する。この待機中は、停止ボタン12の停止操作が無効状態として、停止ボタン12の内蔵LEDをOFF状態にする。これにより、停止ボタンの内蔵LEDを停止操作有効報知態様の青色(ON状態)から停止操作無効報知態様の赤色(OFF状態)に変化する。
ステップS401の処理を実行したことに応じ、有効な停止ボタン操作か否かを判定する(ステップS402)。ここでは、停止ボタン12a~12cのいずれか1つの停止ボタンに対し、有効な停止操作が行われたか否かを判定する。有効な停止操作でない場合(ステップS402:NO)、ステップS401の停止時エラーフラグ状態確認処理に戻る。回胴回転中にエラーが生じるケースとしては、全回胴が有効に回転された後(ステップS75の処理の後)または第1~第2停止操作後(ステップ411:NOの処理ルート)からステップS402の処理が開始されるまでの間にエラーが確認されたケースがある。そのようなタイミングでエラーが生じた場合において、ステップS402で有効な停止ボタン操作でないと判定されると、エラーが解除されるまで、停止ボタン12の受付が無効扱いとなり、遊技の進行が中断されることになる。
一方、有効な停止操作である場合(ステップS402:YES)、次いで、停止情報ビットを設定する(ステップS403)。この停止情報ビットには、既に停止している停止回胴数を特定可能な「停止回胴数データ」(たとえば、第1停止操作時の場合、停止している回胴はないので‘停止回胴数=0’を特定するデータ)、停止操作対象となった回胴を特定可能な「停止対象回胴データ」などの情報が含まれる。
次いで、今回停止対象となった回胴に対応する停止ボタン12の内蔵LEDをOFF状態にし(ステップS404)、続いて、停止順データを設定する(ステップS405)。この停止順データは、停止操作に応じた回胴5a~5cの停止操作順(押し順)を特定するためのデータである。現在の押し順や第何番目の停止操作であるかについては、停止順データや回胴停止数データなどにより把握することができる。したがって、ステップS403、S405の処理は、停止操作順番監視手段(押し順監視手段)として機能する。
次いで、停止ボタン操作時の演出制御コマンドとして「停止コマンド」をセットする(ステップS406)。この停止コマンドは、回胴の停止操作が行われた旨を指定するものであり、停止回胴数データ、停止対象回胴データおよび停止操作順データ等を特定可能な情報が含まれる。演出制御部410は、この停止コマンドにより、現在の押し順や第何番目の停止操作であるかを把握することができる。
次いで、回胴停止制御時の初期設定として、停止制御開始時初期設定処理を実行する(ステップS407)。ここでは、引き込みコマ数をクリア、最大滑りコマ数(4コマ)の設定、引き込み制御下で、停止ボタン操作後、回胴が完全に停止するのに要する余裕時間を含めた停止間隔タイマ(たとえば、210.09ms:タイマ割込み141回分)の設定等を行う。
次いで、図柄停止制御処理を実行する(ステップS408)。この図柄停止制御処理では、内部当選フラグ(条件装置の作動状態)と、停止操作手順(押し順と停止操作タイミング)とに応じた停止テーブル(図示せず)を選択し、その停止テーブルから滑りコマ数を割り出し、これに基づく回胴の停止制御(引き込み制御)を行う。
回胴が停止した際には、その停止位置に基づき、各回胴において、いずれの入賞ライン上に、如何なる図柄番号の図柄が停止しているかを特定可能な「停止図柄情報(入賞ラインデータ)」が作成され、RAM401bの入賞ラインデータ格納領域に保存される。この停止図柄情報(入賞ラインデータ)は、各回胴の停止毎に作成されるので、現在の図柄の停止目(たとえば、特定の入賞役の聴牌状態など)を把握することができる。この停止図柄情報は、1ゲーム毎にクリアされる。なお、回胴の停止位置は、実際に回胴が停止した際にも把握することができるが、停止操作図柄番号と滑りコマ数とに基づいて、回胴が完全に停止する前段階で、当該回胴の停止位置を把握することもできる。
次いで、回胴停止時の演出制御コマンドとして「停止位置コマンド」をセットする(ステップS409)。この「停止位置コマンド」には、回胴停止時に作成される上記停止図柄情報(入賞ラインデータ)が含まれる。演出制御部410においては、上記「停止コマンド」や「停止位置コマンド」が送られてくると、これらに含まれる情報を把握することにより、現在の各回胴の回転および停止状態、押し順、現在の入賞ライン(有効入賞ラインおよび/または疑似入賞ライン)上の停止図柄を把握することができる。これにより、演出制御部410側では、回胴の停止制御時に係る演出を現出させることができる。たとえば、停止操作時のボタン操作音や、7リプレイやBARリプレイの聴牌状態(特定の停止目が出現した旨)が出現した際の聴牌演出を現出制御する。
次いで、停止間隔タイマに設定したタイマ時間(210.09ms)を監視し(ステップS410)、停止間隔タイマがゼロでない場合、当該タイマがゼロになるまで待つ(ステップS410:NO)。そして、停止間隔タイマがゼロになったならば(ステップS410:YES)、次いで、全回胴が停止したか否か判定する(ステップS411)。
ステップS411の判定処理において、今回の停止操作が第1停止または第2停止後であれば、まだ回転中の回胴があることになるので、その判定結果は‘NO’となり、ステップS401に戻り、第3停止操作(最終停止操作)後の全回胴停止を待つことになる。
これらの第1~第3停止操作を経て、全回胴が停止したならば(ステップS411:YES)、回胴停止処理を抜けて、図9のゲーム処理に戻り、後続の指示モニタ番号表示クリア処理(ステップS77)を実行する。
(1-20.性能情報・差枚数管理処理(ステップS83):図17B)
次に図17Bを参照して、図10Cの性能情報・差枚数管理処理(ステップS83)について説明する。図17Bは、図10Cの「性能情報・差枚数管理処理」の詳細を示すフローチャートである。
この「性能情報・差枚数管理処理」において実行されるプログラムやアクセスする記憶領域は、主制御部400が通常の遊技進行の際にアクセスする領域(領域内メモリ)とは異なる領域(領域外メモリ)に定められている。
「性能情報・差枚数管理処理」は、主に、性能情報算出処理(ステップS802)と、有利区間差枚数管理処理(ステップS803)と、安全装置差枚数管理処理(ステップS804)とを中心に構成され、これら各処理(ステップS802~S804)は、共通の処理(性能情報・差枚数管理処理)にて実行されるようになっている。本実施形態では、処理を進行する上で、領域内メモリにアクセスしたり、領域外メモリにアクセスしたりするが、無闇に、これらのメモリ間をアクセスするのでは、割り込み禁止・許可などのプログラムが増えてしまい、制御負担が増してしまう。そこで、領域外メモリに規定された処理内容については、なるべく、共通の処理にて実行させるようにしてある。以下、性能情報・差枚数管理処理の内容について、詳述する。
図17Bにおいて、主制御部400は、まず、使用領域内のレジスタの内容をスタック領域に退避させた後、領域外プログラムの各処理(ステップS802~S804)を実行するために、呼び出し時のスタックポインタを退避し、使用領域外用アドレスを取得して、全レジスタをスタック領域に退避する(ステップS801:レジスタ退避処理)
次いで、性能情報算出処理(ステップS802)を実行する。性能情報算出処理では、主に、役比モニタ99に性能情報を表示させるために必要な処理として、既に説明した、最新の6000ゲーム間の役物比率、最新の6000ゲーム間の連続役物比率連続役物比率、累計ゲーム数における役物比率、指示込役物比率、役物等状態比率などの算出に必要な処理を実行する。主制御部400は、これらの性能情報に係る計算用ワーク領域から必要な情報を取得し、性能情報を算出する。そして、その算出結果を、各種の性能情報に対応して設けられた算出結果領域に格納する。この算出結果は、後述の主制御側タイマ割込処理(図18)のLED表示データ作成処理(ステップS182)において役比モニタ99用の各種LED出力データが作成され、同処理中の出力処理(ステップS192)で、役比モニタ99に出力される。これにより、役比モニタ99による性能情報が表示されるようになっている。これにより、役比モニタ99による性能情報のリアルタイム表示を実現する。
次いで、有利区間差枚数管理処理を実行する(ステップS803)。有利区間差枚数管理処理では、主に、有利区間中の差枚数の更新処理を実行する。なお、有利区間差枚数管理処理の詳細については、図17Cを用いて後述する。
次いで、安全装置差枚数管理処理を実行する(ステップS804)。安全装置差枚数管理処理では、主に、安全装置の作動に係る差枚数の更新処理を実行する。なお、安全装置差枚数管理処理の詳細については、図17Dを用いて後述する。
次いで、退避していたレジスタの内容を復帰させて、性能情報・差枚数管理処理を抜ける。
(1-20A.有利区間差枚数管理処理(ステップS803):図17C)
次に図17Cを参照して、図17Bの有利区間差枚数管理処理(ステップS803)について説明する。図17Cは、図17Bの有利区間差枚数管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図17Cにおいて、主制御部400は、まず、現在の遊技状態が有利区間中であるか否かを判定する(ステップS831)。有利区間中であるか否かの判定は、既に述べた通り、遊技状態情報や遊技モード情報、有利区間残余ゲーム情報などに基づいて判定すればよい。有利区間中でない場合(ステップS832:NO)、何もせずに処理を抜ける。
一方、有利区間中である場合(ステップS832:YES)、再遊技フラグがONであるか否かを判定する(ステップS833)。
再遊技フラグがONでない場合(ステップS833:NO)、つまり、今回のゲームでリプレイ役種別が入賞して再遊技が付与されなかった場合には、ステップS834~S836の有利区間中の差枚数に関する更新処理を実行する。
この更新処理では、まず、有利区間差枚数カウンタを取得し(ステップS834)、現在の有利区間差枚数カウンタ値から今回の払出枚数を加算する(ステップS835)。たとえば、今回のゲームで中段ベルが入賞した場合には、払出枚数として、遊技メダル9枚分が加算される(有利区間差枚数カウンタ←有利区間差枚数カウンタ+9)。
次いで、加算後の有利区間差枚数カウンタから投入枚数(遊技開始可能投入枚数)を減算する(ステップS836)。ここでは、遊技開始可能投入枚数が「遊技メダル投入3枚」であるとして説明しているので、有利区間差枚数カウンタから遊技メダル3枚分を減算する(有利区間差枚数カウンタ←有利区間差枚数カウンタ-3)。本例の場合、有利区間差枚数カウンタが「+6(今回のゲームの差枚数)」増加することになる。そして、ステップS836の処理を終えると、次いで、ステップS837の判定処理に進む。
ステップS837の判定処理では、有利区間差枚数カウンタが0未満(負の値)であるか否かを判定する(ステップS837:有利区間差枚数マイナス判定処理)。つまり、今回のゲーム結果により有利区間中の差枚数がマイナスになったか否かを判定する。
有利区間差枚数カウンタが0未満である場合には(ステップS837:YES)、有利区間差枚数カウンタに0をセットし(ステップS838:有利区間差枚数カウンタゼロセット(クリア)処理)、後述のステップS839の判定処理に進む。しかし有利区間差枚数カウンタが0未満でない場合、つまり、差枚数が0以上(0≦有利区間差枚数カウンタ)である場合には(ステップS837:YES)、ステップS838の処理をスキップし、ステップS839の判定処理に進む。
上述のステップS838の有利区間差枚数カウンタゼロセット処理を行う理由は、次に述べる通りである。
既に説明したように、本実施形態では、有利区間終了条件として上記「終了条件B(差枚数カウント終了形態)」を採用している。ここで、有利区間差枚数カウンタに初期値(吸込枚数の上限値Z)が設定されるケースは下記の通りである。
(1)図9に示すメイン処理の電源投入時の処理(ステップS11~S20、S32)において、操作者(パチンコホール店員など)が意図的に有利区間差枚数カウンタをクリアし、有利区間差枚数カウンタに初期値が設定されるケース(図9のステップS14~S16の処理内容参照)
(2)図9に示すメイン処理の電源投入時の処理(ステップS11~S20、S32)において、操作者が設定変更操作を行い、有利区間差枚数カウンタを含む有利区間に要するワーク領域がすべてクリアされた後、有利区間突入時に有利区間差枚数カウンタに初期値が設定されるケース(図9のステップS18、図10CのステップS88の処理内容参照)。
また、有利区間終了となる規制枚数R(差枚数超過判定値)は、固定値としているが、その実体は「第1特定値(吸込枚数の上限値Z)+第2特定値(上限枚数Y:ここでは、2400枚)」である。したがって、有利区間差枚数カウンタが初期値である状況から有利区間の遊技が開始された場合、有利区間差枚数カウンタがマイナスになるケースは、必ず「吸込枚数の上限値Z」を超えた場合となる。
本発明の理解を容易なものとするために、極めて単純な例として、たとえば、初期値(上限値Z)に「2枚」が設定されるケースを代表にとり説明する。
このケースの場合、有利区間差枚数カウンタの初期値が「2」、規制枚数Rは2402枚となる。現在、有利区間差枚数カウンタが初期値「2」である状態において、今回のゲームの遊技結果が「ハズレ」であった場合、今回の有利区間差枚数カウンタの算出結果は、下記の(式A)により「-1」となる(ステップS834~S836参照)。
「有利区間差枚数カウンタ値2枚+払出枚数0枚-投入枚数3枚=差枚数-1枚」・・・(式A)
この場合、差枚数が吸込枚数の上限値Zを超えたとして、有利区間差枚数カウンタに「0」をセット(クリア)する(ステップS838)。すなわち、今回のゲーム結果により、有利区間差枚数カウンタがマイナスに転じた場合には、有利区間差枚数カウンタには常に「0」がセットされ、これ以上の吸い込みがあっても、有利区間差枚数カウンタのカウント(更新)は、実質的に中止(停止)状態とされる。これにより、吸込枚数が青天井的にはならず、或る程度の吸い込まれた状況からART遊技に突入した場合には、「吸込枚数(ただし、上限値まで)+上限枚数(2400枚)」分の遊技メダルを獲得することができるようになっている。このように、吸込枚数の上限値Z(有利区間差枚数カウンタの初期値)や、規制枚数を適切に定めることにより、有利区間中に遊技者が獲得しうる利益(獲得枚数)を或る程度制限しつつ、過度な射幸性を抑制し(のめり込み防止)、また出玉感も損なうことのない遊技機を提供することができる。
なお、有利区間差枚数カウンタの初期値として「0」を設定する場合は(吸込枚数の上限値Z=0の場合)、吸込枚数が考慮されないため、有利区間終了条件が上記「終了条件A(MYカウント終了形態)」を採用した処理内容になる。
図17CのステップS833の処理の説明に戻り、再遊技フラグがONの場合(ステップS833:YES)、ステップS834~S838の処理をスキップし、ステップS839の判定処理に進む。今回のゲームで再遊技が付与される場合は、今回のゲームにおける差枚数が必ず「0枚」(「払出枚数(再遊技=投入枚数3枚付与)-投入枚数3枚」=「0枚(ゲーム結果による差枚数)」)となり、差枚数に関する更新処理(ステップS834~S836)および差枚数のマイナス判定処理(ステップS837~S838)を実行する必要がないからである。
ステップS839の判定処理では、今回のゲーム結果に基づく有利区間差枚数カウンタ値が、規制枚数を超えたか否かを判定する(ステップS839:有利区間差枚数超過判定処理)。
有利区間差枚数カウンタが規制枚数を超えていない場合(ステップS839:NO)、有利区間差枚数管理処理を抜ける。一方、有利区間差枚数カウンタが規制枚数を超えた場合(ステップS839:YES)、今回のゲームで有利区間が終了したとして、有利区間クリア要求フラグをON(終了指定)に設定し、有利区間差枚数管理処理を抜ける。
これにより、有利区間差枚数管理処理を終えて、後述の図17Dに示す安全装置差枚数管理処理を実行する。なお、有利区間差枚数カウンタ値に関する差枚数情報を演出制御部410に送信可能な構成とすることができる。
(2バイトカウント形態)
ところで、有利区間差枚数カウンタのカウント範囲に関し、制御負担の軽減の観点から、そのカウント範囲を2バイト以下(0~65535の範囲)にすることが好ましい。
たとえば、有利区間差枚数カウンタの初期値(吸込枚数の上限値Z)を「63126枚」とした場合、規制枚数Rが「63126枚」(63126枚(上限値Z)+2400枚(上限枚数)=65526枚)となる。このケースでは、2バイト域を利用した差枚数のカウント範囲を「-63126枚~+2409枚」(カウント範囲の大きさ:0~65535)とすることができる。
具体的には、マイナス域側の差枚数(吸込枚数)を最大「63126枚」までカウント可能であり、且つ、プラス域側の差枚数を最大「2409枚」までカウント可能であり、2バイト領域を最大限に生かしたカウント範囲を実現できる。
なお、差枚数のカウント範囲を上記「-63126枚~+2409枚」とし、特に、プラス域側の差枚数を最大「2409枚」までカウント可能としたのは、1ゲームにおける最大配当枚数を考慮したためである。以下、詳述する。
有利区間中の差枚数のカウントは、
(式B)「総アウト枚数(払出枚数)-総イン枚数(総投入枚数)」
で算出されるため、差枚数の算出には、1ゲーム毎に、有利区間差枚数カウンタに対して「払出枚数を加算し、投入枚数を減算する」という処理を行うようになっている(ステップS834~S836)。
本実施形態では、既に説明したように、有利区間移行条件を満たした場合に、有利区間差枚数カウンタに対し初期値(吸込枚数の上限値Z)を設定する(図10CのステップS88参照)。そして、この初期値(上限値Z)を基点(差枚数0枚)として、当該基点からの差枚数が「+2400枚(上限枚数Y)」(プラス域に転じた際の最大差枚数)を超えた場合に有利区間を終了させる。
本例であれば、規制枚数R(ステップS839の差枚数超過判定値)が、
「63126枚(上限値Z)+2400枚(上限枚数)」の「65526枚」
を超えた場合に、今回の有利区間が終了されることになる。
したがって、有利区間突入時から順調に遊技メダルが増えていくようなケースでは、基点からの差枚数が「+2400枚」を超えたゲームで有利区間が終了されるが、有利区間中に遊技メダルが或る程度吸い込まれてしまった後、順調に遊技メダルが増えていくようなケースでは、「吸い込まれた分+2400枚」を超えたゲーム有利区間が終了されることになる。いずれにしても、今回のゲームの差枚数が丁度「+2400枚」である場合には、当該ゲームで有利区間は終了されず、有利区間が次ゲームも継続することになる。
斯様な状況にて、次ゲームにおいて、仮に1ゲームの配当が最も高い役の「中段ベル(配当9枚)」が入賞した場合、払出枚数加算後(ステップS835の処理後)の差枚数は「+2409枚」(カウンタ値が、丁度「65535」)となる。しかし、最大カウント範囲を「+2408枚」までとしてしまうと、カウンタがオーバーフローを起こしてしまい(カウンタ値が65535を超えてしまうケース)、制御プログラムを構成する上で、好ましくない。このような状況を考慮し、1ゲームにおける最大配当枚数に基づくカウント可能範囲を定めることが好ましい。
具体的には、最大配当枚数を考慮した上限値Zを定めることが重要である。
すなわち、有利区間差枚数カウンタに対する初期値、つまり「吸込枚数の上限値Z」には、下記の(式1)を満たす「Fnum」を設定する。
(式1)「カウント最大値M-(「上限枚数R」+「1ゲームにおける最大配当枚数M」)=Fnum」
なお、
カウント最大値M=65535(2バイトでのカウント最大値)、
上限枚数R=所定値(たとえば、2400枚)、
1ゲームにおける最大配当枚数M枚=所定値(たとえば、9枚)、
規制枚数R=「Fnum+上限枚数R」
である。
上記(式1)で算出される「Fnum」を有利区間差枚数カウンタに対する初期値として設定すれば、差枚数カウンタのカウント範囲は、下記(式2)の範囲になる。
(式2)「-Fnum~(上限枚数R+1ゲームにおける最大配当枚数M)」
この範囲が、2バイト領域を最大限に生かしたカウント範囲として採用できる。
<具体例>
(例1)本実施形態の場合、「1ゲームにおける最大配当枚数M枚=9枚(中段ベルの配当)」、「上限枚数R=2400枚」であるから、これらの上記(式1)に代入すれば、Fnumは、
「Fnum=65535-(2400枚+9枚)=63126」となる。
このFnumを、有利区間差枚数カウンタに対する初期値(吸込枚数の上限値Z)として設定する。
そして、上記「Fnum=63126」を上記(式2)に代入すれば、差枚数のカウント範囲は、
「-63126枚~+2409枚(カウンタ値の範囲:0~65535)」
となる。
この場合、規制枚数(ステップS839の差枚数超過判定値)は、
「63126+2400」の「65526」
となる。したがって、今回のゲームにおける有利区間差枚数カウンタの値がこの「65526」を超えた場合に(ステップS839:YES)、有利区間が終了されることになる。
(例2)別例として、「最大配当枚数M=15枚」であれば、
「Fnum=65535-(2400枚+15枚)=63120」となる。
このFnumを、有利区間差枚数カウンタに対する初期値(吸込枚数の上限値Z)として設定する。
そして、上記「Fnum=63120」を上記(式2)に代入すれば、差枚数のカウント範囲は、
「-63120枚~+2415枚(カウンタ値の範囲:0~65535)」
となる。
この場合、規制枚数は、
「63120+2400」の「65520」
となる。したがって、今回のゲームにおける有利区間差枚数カウンタの値がこの「65520」を超えた場合に(ステップS839:YES)、有利区間が終了されることになる。
(1-20B.安全装置差枚数管理処理(ステップS804):図17D)
次に図17Dを参照して、図17Bの安全装置差枚数管理処理(ステップS804)について説明する。図17Dは、図17Bの安全装置差枚数管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図17Dにおいて、主制御部400は、まず、再遊技フラグがONであるか否かを判定する(ステップS851)。
再遊技フラグがONでない場合(ステップS851:NO)、つまり、今回のゲームでリプレイ役種別が入賞して再遊技が付与されなかった場合には、ステップS852~S856の安全装置作動差枚数(安全装置カウンタ)に関する更新処理を実行する。
この更新処理では、まず、安全装置カウンタを取得し(ステップS852)、現在の安全装置カウンタ値から今回の払出枚数を加算する(ステップS853)。たとえば、今回のゲームで中段ベルが入賞した場合には、払出枚数として、遊技メダル9枚分が加算される(安全装置カウンタ←安全装置カウンタ+9)。
次いで、加算後の安全装置カウンタから投入枚数(遊技開始可能投入枚数)を減算する(ステップS854)。ここでは、遊技開始可能投入枚数が「遊技メダル投入3枚」であるとして説明しているので、安全装置カウンタから遊技メダル3枚分を減算する(安全装置カウンタ←安全装置カウンタ-3)。本例の場合、有利区間差枚数カウンタが「+6(今回のゲームの差枚数)」増加することになる。そして、ステップS854の処理を終えると、次いで、ステップS855の判定処理に進む。
ステップS855の判定処理では、安全装置カウンタが0未満(負の値)であるか否かを判定する(ステップS837:安全装置カウンタマイナス判定処理)。つまり、今回のゲーム結果により安全装置作動差枚数(安全装置カウンタ)がマイナスになったか否かを判定する。
安全装置カウンタが0未満である場合には(ステップS855:YES)、安全装置カウンタに0をセットし(ステップS838:安全装置カウンタゼロセット処理)、後述のステップS857の判定処理に進む。しかし有利区間差枚数カウンタが0未満でない場合、つまり、差枚数が0以上(0≦安全装置カウンタ)である場合には(ステップS855:YES)、ステップS856の処理をスキップし、ステップS857の判定処理に進む。
ステップS857の判定処理では、今回のゲーム結果に基づく安全装置カウンタ値が、安全装置作動契機枚数(19000枚)を超えたか否かを判定する(ステップS857:安全装置作動差枚数超過判定処理)。
安全装置カウンタが19000枚を未満である場合(ステップS855:NO)、安全装置差枚数管理処理を抜ける。一方、安全装置カウンタが19000枚に達した場合(ステップS857:YES)、今回のゲームで安全装置作動条件を満たしたとして、安全装置作動フラグをON(作動指定)に設定し、安全装置差枚数管理処理を抜ける。
これにより、安全装置差枚数管理処理を終えて、後述の図17Bの性能情報・差枚数管理処理に戻り、同図のレジスタ復帰処理(ステップS805)を実行する。
(安全装置作動条件について)
本実施形態では、安全装置の役割の面から、パチンコホール店における1日の営業中(遊技機に対する電源ON(電源投入)から電源OFF(電源遮断)までの間)において、差枚数が19000枚に達した場合(「19000≦安全装置カウンタ」満たした場合)、安全装置を作動させるようにしている(後述のステップS857~S858)。つまり、安全装置の作動条件として、上記「終了条件A(MYカウント終了形態)」同様の条件を採用しいる。詳述すれば、「一日の営業中(電源ONから電源OFFまでの間)における遊技の結果が得られたときの遊技メダルが最も減少したときを基準として、当該基準からの遊技メダルの増加数(上記「MY」値)が所定枚数(本実施形態の場合、19000枚)に達したときに」、安全装置を作動させるようになっている。
したがって、電源投入時には、ゲーム処理(図9のステップS32)に移行する前に、必ず安全装置カウンタがクリアされ(たとえば、図9の初期設定処理(ステップS11)にてクリア処理を実行する)、電源投入後の最初のゲーム(1ゲーム目)では、常に、安全装置カウンタが「0」の状態から開始されるようになっている。これにより、一日の営業中に遊技者が獲得可能な遊技メダルが、概ね「19000枚」程度に制限され、過度な射幸性を抑制しうる遊技機を提供することができる。
なお本実施形態では、MYカウント方式に基づく安全装置作動契機枚数を採用しているが、差枚数カウント方式に基づく安全装置作動契機枚数を採用してもよい。差枚数カウント方式を採用する場合は、電源投入時(ゲーム処理開始前)に、安全装置カウンタに初期値(安全装置係る吸込枚数の上限値ZA)を設定し、安全装置作動契機枚数を「初期値+特定値(19000枚)」(たとえば、20000枚(上限値ZA)+19000枚)とし、有利区間差枚数感処理と同様のカウント処理内容を適宜適用すればよい。
(2.主制御側タイマ割込処理:図18)
次に図18を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図18は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1.5ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図18において、主制御部400は、タイマ割り込みが発生すると、まずCPUのレジスタを退避させた後(ステップS181)、LEDデータの作成処理を実行する(ステップS182)。このLEDデータの作成処理では、クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35等の7セグメント表示器、投入枚数表示LED33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38、設定表示器(図示せず)等の表示を実現するために必要とされるLEDデータを作成する。
次いで、コマンド作成処理を実行する(ステップS183)。このコマンド作成処理では、処理状況に応じてセットされたコマンドデータを作成して送信キューにセットする。なお、セットされたコマンドは、後述する出力処理(S192)にて演出制御部410側に出力される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS184)。このポート入力処理では、遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出信号を受ける入力ポートのデータを取得し、スイッチ信号やセンサ信号の検出の有無に関するデータを作成したり、作成したスイッチデータをRAM401bに保存したりする等、遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出情報を管理する。
次いで、タイマ減算処理を実行する(ステップS185)。このタイマ減算処理では、遊技動作に用いられる各種のソフトウェアタイマを更新(減算)するための処理を実行する。たとえば、図12のステップS137の処理で初期設定された出力管理タイマは、この減算処理によって、ゼロになるまでデクリメントされる。
次いで、メダル払出処理を実行する(ステップS186)。このメダル払出処理は、クレジット精算の精算要求や入賞による払出要求に応じて、ホッパーユニット500のホッパーモータ510を駆動制御して、遊技メダルの払出動作を実現するために必要な処理を実行する。
次いで、投入/払出信号出力処理を実行する(ステップS187)。この投入/払出信号出力処理では、遊技メダルの投入枚数情報や払出枚数情報を作成し、これを遊技機外部のホールコンピュータHCに対して送信するために必要な設定を行う。
次いで、エラー解除判定処理を実行する(ステップS188)。このエラー解除判定処理では、上記入力管理処理(ステップS184)の情報に基づいて、遊技動作状態(遊技動作エラー、安全装置作動状態)を監視する。エラーが発生した場合は、エラーに対応するエラー情報(エラーフラグ)を設定し、エラー報知を実行するために必要な設定処理(エラーに対応したエラーコマンドの設定など)も実行する。また、エラー情報をホールコンピュータHCに対して送信するために必要な処理も行う。また、発生中のエラーが解除された場合には、エラー解除コマンドの設定などの必要なエラー解除処理を行う。
次いで、メダル投入処理を実行する(ステップS189)。このメダル投入処理は、メダル投入口7からの遊技メダルの投入枚数、MAXスベットボタン8や1ベットボタン9の操作による投入枚数の管理、ブロッカーソレノイド7cのON/OFF制御、投入枚数に応じてクレジット値を更新、などに係る処理を実行する。
次いで、貯留メダルの精算処理を実行する(ステップS190)。この貯留メダル精算処理では、クレジット精算ボタン10の操作の有無を監視し、エラー中や遊技メダル投入中等以外のクレジット精算許容状態であれば、クレジット精算ボタン10の操作に応じて、クレジット精算要求をONにする。クレジット精算要求がONされると、上記メダル払出処理にて、払出動作が実行され、クレジットが精算される。
次いで、回胴制御処理を実行する(ステップS191)。この回胴制御処理では、回胴始動時や停止操作時において、回胴駆動モータに出力する励磁データを管理して回転動作を制御したり、現在の回胴の回転位置やその速度を監視したりする。
次いで、出力処理を実行する(ステップS192)。この出力処理では、遊技進行状態に応じてセットされた演出制御コマンドを演出制御部410側(演出制御基板420側)に対して送信するためのコマンド送信処理を実行する。主制御部400は、割り込み毎に演出制御コマンドを1バイト分出力している。1つの演出制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの演出制御コマンドが送信される。ART関連のコマンド設定処理(S73、S90)でセットされた演出制御コマンドは、ここで送信される。またここでは、LEDや7セグメントなどを駆動制御するためのLED表示データや、回胴駆動モータを駆動制御するための励磁データなどを、遊技中継基板370や回胴中継基板330に対して出力するとともに、型式試験信号の出力処理も行う。
以上のステップS181~ステップS192の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(ステップS193)、割込み許可状態に設定する。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を実行する。
<3.演出制御側の処理:図19>
次に、図19を参照して、本実施形態の演出制御部410側における演出制御処理について説明する。演出制御部410側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図19)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図20)とを含んで構成される。この演出制御側タイマ割込処理は、演出制御側メイン処理実行中に所定時間毎(1ms程度)に割り込んで実行され、演出動作に必要な種々の処理が含まれる。
なお演出制御部410の制御主体は、正確には演出制御基板420のサブCPU421cや液晶制御基板460のCPUなどを含んだものであるが、主制御部410から演出制御コマンドを受けた演出制御基板420(サブCPU421c)側が、これに関連する液晶制御コマンドを液晶制御基板460に送信する関係上、以下では、演出制御基板420が行う処理手順を中心に説明し、演出制御基板420の機能と液晶制御基板460の機能とを特に必要がない限り区別することなく、処理を実行する主体を演出制御部410として説明する。またCPU、RAM、ROMは、演出制御基板420のサブCPU421c、サブRAM421b、サブROM421aなどで代表させる。
(3-1.演出制御側メイン処理:図19)
図19は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部410は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図19に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部410は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS21)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS21の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS23~S28のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS29の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS22の処理において、演出制御部410は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS22)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図20のステップS46)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS22:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS29:各種演出用ソフト乱数更新処理)。演出抽選用乱数は、AT抽選、予告演出、期待演出、アシスト報知、上乗せ抽選など、演出制御部410側による所定の抽選や現出すべき演出を抽選により決定する場合に利用され、抽選態様に対応した複数種類の演出抽選用乱数が含まれる。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS22:YES)、演出制御部410は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS23)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。
たとえば、指示モニタ番号コマンドと当選役変換情報コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、このコマンドに含まれるアシスト情報と当選役情報と現在の演出制御部遊技状態(演出状態)とに基づいて、演出パターンとして、今回のゲームで現出すべきアシスト報知態様に係る光演出、音演出、および画像表示演出などを決定して、これら演出パターンを、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定する。これにより、今回ゲーム中に現出するための演出シナリオを構成して、その演出シナリオに関するデータをRAMのシナリオ設定領域に格納する。なお、遊技者参加型演出(ボタン予告演出など)の場合は、操作手段の操作に応じて、対応するパーツ演出を変更して、適宜、演出シナリオの構成を変更、再構築する。
ステップS23の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS24)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS25)や演出役物制御データ更新処理(ステップS27)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、演出シナリオを進行させる処理を行い、必要であれば、スピーカ16用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドを作成し、それぞれをサブRAM401bの指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS25)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ27)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS25)。このLEDデータ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、サブRAM401bの指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図20のステップS45)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS26)。このサウンド出力処理では、ステップS24のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部を通じてスピーカ16からBGMや効果音などを出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS27)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物(図示せず)を動作させる役物モータ用の制御データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図20のステップS44)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS28)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップ29の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(3-2.演出制御側タイマ割込処理:図20)
次に図20を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図20は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図20において、演出制御部410(サブCPU421c)は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS41)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS42)。この演出ボタン入力管理処理では、演出ボタン(図示せず)からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をサブRAMの所定領域に格納する。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS43)。この液晶コマンド送信処理では、図19の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS24)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置6に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS44)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS27)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ(図示せず)に制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS45)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS25)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS46)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0~31)を循環するカウンタである。
以上のステップS41~ステップS46の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS47)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
(3-3.受信コマンド解析処理:図21)
図21に、受信コマンド解析処理(図19のステップS23)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示す。ここでは、図10BのステップS73や図10CのステップS87で設定される演出制御コマンド(ART関連演出制御コマンド)を受信した場合についてそれぞれ説明し、他の演出制御コマンドを受信した場合の説明は省略する。
(ART関連演出制御コマンド受信処理:図21)
図21は、上記ART関連演出制御コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。
図21において、演出制御部410(サブCPU421c)は、まず、ART関連選抜処理を実行する(ステップS780)。このART関連選抜処理では、複数送られてくるART関連演出制御コマンド内容を解析してその情報を取得し、当該コマンドに含まれる情報のうち、現在の演出モードにおいて必要な情報だけを選抜して、これをサブRAM401bの所定領域に格納する。すなわち、現在の演出モードにおいて不必要な情報は除外し、必要な情報だけを抽出する。
次いで、現在の演出モードに基づき、サブRAM401bから必要な情報を取得して、その情報に基づく演出処理を行う(ステップS781)。これにより、上記ART関連演出制御コマンドに含まれる情報が、現在の演出モードあるいは現在の遊技状態(遊技モード)に不必要な情報があっても、また演出処理上不必要な情報が含まれていた場合であっても、現在の演出モードに対応した適切な演出を現出することができる。以上により、ART関連演出制御コマンド受信処理を終える。
(有利区間中差枚数情報報知)
本実施形態では、有利区間中の差枚数に関する情報(有利区間差枚数情報)を報知する「差枚数情報報知手段」を有することができる。差枚数情報報知手段は、特定の表示手段および/または演出手段により報知可能(確認可能)に構成することができる。
特定の表示手段について特に制限はなく、差枚数情報を報知可能であれば、遊技機1に設けられた表示器(たとえば、クレジット枚数表示器34、払出枚数表示器35など)を用いてもよいし、専用の表示器を設けてもよい。また、演出手段についても特に制限はなく、差枚数情報を報知可能な演出手段であればよい。たとえば、光発生手段、画像表示手段、音発生手段、風圧装置、加振装置、可動体役物などである。
この有利区間差枚数情報に関する報知する場合、遊技者が視認不能なように、たとえば、電源投入時から所定時間(たとえば、3分間)だけ報知可能に構成したり、遊技機内部に設けられたスイッチ類を用いて所定の操作をしなければ報知不可能に構成したり、遊技機内部に設けられた専用の表示手段により報知可能に構成してもよい(有利区間差枚数情報秘匿形態)。
勿論、遊技者が視認可能なように、たとえば、ゲーム中(ゲーム実行中に係る演出)、客待ち待機中(デモ画面中)や遊技環境の設定が可能な遊技設定演出中などの特定の遊技期間において、現在の差枚数情報を報知可能に構成してもよい。なお、「遊技環境の設定」とは、たとえば、演出用ボタンBT(図1参照)などの所定の操作手段を用いて、遊技者が所定の設定範囲内において好みの音量調整や光量調整などの遊技環境の設定を可能とする機能(遊技環境設定手段)であり、液晶表示装置6にその設定用画面(遊技設定演出)が表示される(たとえば、特開2020-073064号公報の図6)。この場合、音量設定や光量設定の他に、有利区間差枚数情報も報知可能に構成すればよい。
遊技者に対して有利区間差枚数情報を報知する場合には、現在の差枚数自体を報知可能に構成してもよいし、現在の差枚数が属する特定の数値範囲を報知可能に構成してもよい。「特定の数値範囲」とは、たとえば、有利区間中の差枚数が「-2000枚以上」、「-1999枚~0枚」、「1~2400枚以上」などであり、現在の差枚数がいずれの範囲に属するかに応じてそれぞれで異なる報知態様とすれば、遊技者に対して現在の差枚数の推測要素を与えることができる。
また、単に有利区間差枚数情報を報知するのではなく、少なくともAT遊技を伴う遊技状態中(たとえば、本ART遊技中)において、遊技者が獲得した獲得枚数(総払出枚数または純増枚数のいずれでもよい)に関する情報(以下「獲得枚数情報」と称する)と、有利区間差枚数情報とを報知可能に構成してもよい。この場合、獲得枚数情報は、本ART遊技中に獲得した獲得枚数に関する情報であるが、有利区間差枚数情報は、内部的にカウントされる差枚数に関する情報である点で、両者は大きく異なる。たとえば、最初の本ART遊技に突入したときの有利区間中の差枚数が「-1000枚(有利区間差枚数カウンタの初期値まで1000枚)」であるとすれば、本ART遊技開始時(1ゲーム目)の獲得枚数は「0枚」であるが、内部的にカウントされている有利区間中の差枚数は「-1000枚」(有利区間差枚数カウンタの初期値-1000)である。
なお、獲得枚数情報を報知する場合には、演出制御部410が特定遊技状態中(たとえば、ART遊技中)に獲得した獲得枚数をカウントするAT中獲得枚数カウンタを備え、主制御部400から送られてくる投入枚数情報および払出枚数情報に基づき、今回のゲームにおける獲得枚数をカウント可能に構成すればよい。
(獲得枚数情報、有利区間差枚数情報の報知例:図43、図44)
図43に、獲得枚数情報と有利区間差枚数情報の報知例を示す。図43は、たとえば、本ART遊技中の獲得枚数表示(画像表示演出)の一例を示したものである。図43(A)は有利区間中の差枚数がマイナスである場合、図43(B)は有利区間中の差枚数がプラスである場合の獲得枚数表示に係る演出態様を示したものである。なお「差枚数0枚」については、本例では、マイナス側に含まれるものとして説明する(プラス側に含ませてもよい)。
先ず、画像表示演出の内容を説明しておく。図43(イ)(ロ)を参照して、液晶表示装置6の表示領域には、本ART遊技中の獲得枚数を表示する獲得枚数表示領域701が含まれ、この獲得枚数表示領域701には、「背景表示演出702a、702b」と、「獲得枚数表示演出703a、703b」、「キャラクタ演出710」などが表示されるようになっている。
また、獲得枚数表示領域701以外の表示領域721には、たとえば、押し順報知712aとキャラクタ712bとを含む「アシスト報知演出712」や、その他の各種の演出が表示可能となっている。
これら各演出表示の少なくとも一つは、「獲得枚数および/または有利区間中の差枚数」に応じて異なる演出に変化するようになっている。その具体的な比較表を図44に示す。以下、図43および図44を参照して、本例に係る演出態様について説明する。
(1)背景表示演出702a、702b(有利区間中の差枚数に応じて変化)
背景表示演出については、有利区間中の差枚数がマイナスである場合には(有利区間差枚数カウンタ≦初期値)、「背景パターンA」(たとえば、背景表示演出702a)で表示され、有利区間中の差枚数がプラスである場合(有利区間差枚数カウンタ>初期値)、「背景パターンB」(たとえば、背景表示演出702b)で表示される。
ただし本例の場合、マイナスに係る「背景パターンA」は、図44(ハ)に示すように、複数種類の背景パターンが用意されており、有利区間中の差枚数に応じて、背景パターンSPまたは背景パターンAに変化するようになっている。なお、「背景パターンSP」と「背景パターンA」とは、少なくともその一部が共通する背景表示であることが好ましい。たとえば、エフェクト画像(図43(A)に示すグラデーション表示など)は共通であるが、背景色や模様(たとえば、格子模様と波紋模様など)が異なるなどである。これは、差枚数がマイナスであり、かつその範囲、たとえば、「-2000枚以上」または「-1999枚~0枚」などのように、現在の差枚数が属する数値範囲を遊技者が推測可能な演出態様であることが好ましいからである。
(2)獲得枚数表示演出703a、703b(獲得枚数に応じて変化)
獲得枚数表示演出については、少なくとも枚数を示す数字表示(図43の「2460」の表示)自体は有利区間中の差枚数に応じては変化しないが(共通表示)、その他の演出表示が獲得枚数に応じて変化するようになっている。具体的には、図44(ロ)に示すように、獲得枚数に応じて数字色が変化するようになっている。なお、獲得枚数が所定枚数以上(図示では、5000枚)になると、数字表示から祝福表示(たとえば「ESP!」などの文字表示)に変化する。ただし、獲得枚数表示演出自体は、有利区間中の差枚数に応じては変化するようになっている。たとえば、有利区間中の差枚数がマイナスである場合には通常表示態様であるが、有利区間中の差枚数がプラスである場合には強調表示態様に変化する。
たとえば図43(イ)の獲得枚数表示演出703a、同図(ロ)の獲得枚数表示演出703bに示すように、マイナス時は「通常表示態様」であるが、プラス時には数字表示に縁取りエフェクトが付加され、数字の縁取り部が「強調表示態様」に変化する。
(3)キャラクタ演出710(有利区間中の差枚数に応じて変化)
キャラクタ演出については、有利区間中の差枚数に応じて、出現したり、消滅したりするようになっている。本例の場合は、差枚数がプラスの場合にキャラクタ710が出現する(表示領域701の正面右端部近傍に出現)。なお、差枚数がプラスになった場合、キャラクタ710を常に出現させなくてもよく、たとえば、設定値に応じた出現率(抽選確率)を定めてもよい。この場合、キャラクタ710を設定示唆演出として機能させることができる。つまり、有利区間中の差枚数と設定値とに基づく演出変化形態である。また、差枚数がマイナス域からプラス域に転じた際にキャラクタ演出を出現させてもよい。なお、キャラクタ演出に限らず、他の演出も、斯様な設定示唆演出として機能させることができる。
(報知例2:図45)
なお、図45のようなアニメーション的な出現態様としてもよい。図45(A)~(E)は、キャラクタ演出が実行される際の獲得枚数表示の他の表示例を示したものである。
この表示例では、キャラクタ710aが獲得枚数表示領域701の右端部近傍から登場し(同図(A))、獲得枚数表示領域701の左端部に向けて駆け抜けていき(同図(B)~(E))、最終的には、獲得枚数表示領域701外に消えていく(同図(F))といった様を表現した演出態様となっている。
本例では、キャラクタ710aが獲得枚数表示領域701の右手側から左手側に駆け抜けていく際、図示のように、獲得枚数表示演出703a(703a、703bのいずれでもよい)の数字表示が中抜き的な表示状態(中抜き表示)になり(図示の「透過」)、キャラクタ710aと、背景表示(ここでは、背景表示演出または透過時専用の背景表示)とが視認可能な表示状態となる。図示では、数字表示の部分が中抜き表示になるが、その周縁部が目立つする形で表示されるため、獲得枚数自体は、遊技者が把握可能となっている。なお、数字表示ではなく、「GET」の文字表示731も中抜き表示としてもよい。
なお、図示はしていないが、キャラクタ710aが獲得枚数表示領域701外に駆け抜けた後は、数字表示が元に戻り、差枚数に応じた表示態様に戻る(たとえば、図43(A)または(B)の表示状態に戻る)。なお、キャラクタ出現後は、図43(B)に示すように、キャラクタを表示したままとしてもよい(登場キャラクタが分かる表示をする)。
このような特殊な演出は、遊技者の注目を集められる点で、たとえば、特定キャラクタの出現による予告演出(たとえば、高上乗せゲーム数当選への期待度示唆、上乗せ特化ゾーンへの移行示唆など)や設定示唆演出として利用する場合に好適である。また差枚数が、たとえば、マイナス域からプラス域に移行するタイミング、「プラス域からマイナス域に移行するタイミング、差枚数が0枚であるときなど、キャラクタ出現条件を差枚数に応じて定めることができるため、演出の自由度が広がり、遊技の面白みを大きく向上させることができる。
(4)アシスト報知演出712(不変)
アシスト報知演出については、本例では、獲得枚数および有利区間中の差枚数に応じて変化しない演出態様となっている。勿論、有利区間中の差枚数に応じて、演出態様を変化させてもよい。たとえば、有利区間中の差枚数に応じて、押し順報知712aを変化させてもよい。
このように、本ART遊技中などの高利益状態中において、獲得枚数情報に加え、有利区間差枚数情報を報知する意義は次に述べる通りである。
本ART遊技などの高利益状態に突入した場合、遊技メダルは順調に増え続けるが、仮に、有利区間中の差枚数が規制枚数から程遠い枚数、たとえば「-3000枚」であったとすれば、有利区間終了まで最高で凡そ「+5400枚」以上の遊技メダルを獲得可能な遊技状況下となる。このような遊技状況は、遊技者が大量の遊技メダルを獲得可能な状況下であるため、遊技者の遊技意欲が著しく高まる状況であるといえる。したがって、現在の有利区間中の差枚数(内部的な差枚数)がどの程度であるかという情報は、遊技者にとって有意義な情報であるといえる。
そこで本例では、有利区間中の差枚数に応じた演出を現出させ、内部的な差枚数に関する情報(有利区間差枚数情報)を遊技者が推測できるようにしている。これにより、遊技者の遊技意欲を向上させ、また「内部的な差枚数に応じた演出を実行する」といった点で、演出の多彩化にも大きく寄与することができる。
(安全装置作動に係る演出と、有利区間終了に係る演出との関係について:図46)
次に、安全装置作動に係る演出(安全装置作動事前報知演出、安全装置作動演出(安全装置作動報知))と、有利区間終了に係る演出(有利区間完走演出:オープニング演出+有利区間終了事前報知演出+エンディング演出)との関係性について説明する。
安全装置作動に係る演出の実行契機、有利区間終了に係る演出の実行契機のいずれも、そのカウント期間やカウント方式は異なるが、双方とも「差枚数」に基づいてそのタイミングが定められている。
安全装置については、既に説明した通り、基本的には、電源投入から電断時までの遊技区間において「MYカウント方式」により差枚数をカウントし、安全装置作動契機枚数(19000枚)に達した場合に安全装置が作動する(図17D、図17E等参照)。
一方、有利区間については、有利区間中の差枚数を上記「差枚数カウント方式」により差枚数をカウントし、規制枚数(+2400枚)を超過した場合に有利区間が終了される。なお、差枚数がプラス側に増加する遊技状態(出玉率が100%を超える遊技状態)は、基本的には、ボーナス遊技かART遊技中(AT2遊技、AT3遊技)であるため、安全装置の作動タイミングの殆どは、斯様な遊技状態中に生起するものと考えられる。したがって、安全装置に係る演出も有利区間終了に係る演出も、ボーナス遊技中かART遊技中に実行契機が到来するものと考えられる。したがって、双方の演出期間が重複してしまうケースが生じうる。
安全装置作動に係る演出と有利区間終了に係る演出のいずれも、実行契機が到来すれば、その演出を実行させてもよいが、そうすると、たとえば、有利区間完走演出の実行中に安全装置が作動するケースでは、有利区間完走演出の途中で特別打ち止め状態によるそれ以上は遊技続行不能になり、遊技者の混乱を惹起させてしまう。
そこで安全装置作動に係る演出と有利区間終了に係る演出のどちらを優先的に実行させるかが問題となるが、有利区間の開始/終了タイミングとは無関係に、安全装置が作動する(特別遊技状態に制御され遊技続行不能になる)という観点から見れば、安全装置に係る演出を優先的に実行させることが好ましいといえる。本実施形態では、このような事情に鑑み、これら演出の実行可否の関係を定めている。以下、詳述する。
ここでは一例として、有利区間終了事前報知演出、エンディング演出、安全装置作動事前報知演出、および安全装置作動演出の実行契機およびその演出態様を以下のように定めて説明する。なおここでは、本実施形態の内容を分かり易くするために、有利区間完走演出の一環として(演出シナリオの一部として)、オープニング演出、有利区間終了事前報知演出、エンディング演出の順に演出が実行されるものとする。
(1)オープニング演出(有利区間完走演出)の開始タイミング
有利区間完走演出の開始タイミングを、有利区間中の差枚数「+2200枚」(規制枚数到達まで残り200枚)とする。
(2)有利区間終了事前報知演出(有利区間終了用カウントダウン表示)の開始タイミング
有利区間終了事前報知演出の開始タイミングを、有利区間中の差枚数が「+2350枚」(規制枚数到達まで残り50枚)とする。
(3)エンディング演出(リザルト表示)の開始タイミング
エンディング演出の開始タイミングを、有利区間中の差枚数「+2401枚以上」(規制枚数超過)とする。
(4)安全装置作動事前報知演出(安全装置作動用カウントダウン表示)のタイミング
安全装置作動事前報知演出の開始タイミングを、「MY18900枚」とする。
(5)安全装置作動演出の開始タイミング
安全装置作動演出の開始タイミングを、「MY19000枚」とする。
(7)なお、特段の報知演出は実行しないが、安全装置が作動準備状態(安全装置作動準備状態)になるタイミングを「MY18500枚」とする。
上述したように、有利区間の開始/終了タイミングとは無関係に安全装置が作動するという観点から見れば、安全装置に係る演出を優先的に実行させることが好ましいため、安全装置の作動タイミングに応じて、有利区間完走演出の実行可否または実行可である場合にはその開始タイミングを定めることが重要となる。特に問題となるのは、有利区間終了タイミング(差枚数2401枚)よりも前に、安全装置作動タイミング(MY19000枚)が到来するといった遊技状況である。
具体的には、図46に示すような関係である。なお、図中のP1は現在のゲーム、P2は安全装置作動準備状態(MY18500)、P3は安全装置作動事前報知演出の開始タイミング(MY18900)、P4は安全装置作動開始タイミング(安全装置作動演出の開始タイミング(MY19000))、P5は有利区間終了タイミング(DF2401)を示している。なお、安全装置報知演出は、その実行契機が到来した場合は、有利区間終了タイミング(P5)とは無関係に実行されるようにする。
図46の関係にある場合、下記(開1)または(開2)のような関係とすることが好適である。
(開1)有利区間終了タイミング(DF2401)よりも安全装置作動の開始タイミング(MY19000)の方が先に到来する場合、有利区間完走演出は実行しない(有利区間完走演出実行不許可形態)。
(開2)有利区間終了タイミングよりも安全装置作動の開始タイミングの方が先に到来する場合、安全装置カウンタ値に基づき、有利区間完走演出を実行する(安全装置カウンタ有利区間完走演出実行形態)。たとえば、安全装置作動準備状態(MY18500)となった場合に有利区間完走演出を実行する(オープニング演出開始)。つまり、「MY18500≦(または<)有利区間完走演出実行契機枚数」を満たす関係である。なお、安全装置作動準備状態となった場合(MY18500枚に達した場合)、たとえば「安全装置作動準備中です」、「安全装置作動確認中」など演出表示をし、安全装置作動準備状態に達したことを報知可能に構成してもよい(有利区間完走演出と同時的、重複的に表示してもよい)。
[変形例1~7]
<差枚数型抽選形態>
(変形例1:差枚数型抽選形態(図36、図37A~図37C))
次に、図37A~図37Cを参照して、「差枚数型抽選形態」について説明する。「差枚数型抽選形態」とは、有利区間中の差枚数に基づいて、所定の抽選を実行する抽選形態である。ここでは、差枚数型抽選形態の一例として、「上乗せ抽選」を代表例にとって説明する。
上記実施形態では、図31Aまたは図31Bに示す通り、有利区間の差枚数に基づくことなく、当選役(上乗せ抽選契機役)に基づく上乗せ抽選を実行可能な抽選形態(通常の上乗せ抽選形態)について説明した。これに対し本変形例は、有利区間中の差枚数と当選役とに基づく上乗せ抽選を実行可能な抽選形態(差枚数型上乗せ抽選形態)となっている。具体的には、有利区間中の差枚数に応じて、異なる上乗せ抽選テーブル(差枚数型抽選テーブル)を選択可能に構成して、上乗せ抽選を実行する、といった抽選形態である。詳しくは、現在の有利区間中の差枚数が所定の差枚数(テーブル変更差枚数)に達した場合(テーブル変更条件の成立)、現在の上乗せ抽選テーブルとは異なる他の上乗せ抽選テーブルを用いて上乗せ抽選を実行する。なお、差枚数型抽選テーブル(差枚数型抽選形態)は、有利区間中の差枚数に基づくものであるから、他の抽選に兼用する場合は別として、原則、非有利区間中は利用されない。
(差枚数抽選テーブル選択処理:図36)
差枚数型抽選を実行する際の抽選テーブルの選択処理については、図36(差枚数抽選テーブル選択処理)に示すように、まず有利区間差枚数カウンタを取得し(ステップS2001)、次いで、現在の有利区間差枚数カウンタ値に応じて、目的の抽選テーブルを選択する(ステップS2002:抽選テーブル選択処理)。ここでは、有利区間差枚数カウンタ値と、予め定められたテーブル変更差枚数(テーブル変更カウント値)とを比較し、目的の抽選テーブルを選択する。有利区間中の差枚数については、既に説明したように、有利区間差枚数カウンタの初期値を基準とし当該基準からの差であるので、テーブル変更カウント値はこれに基づいて、抽選テーブルの変更契機となるテーブル変更カウント値を定めておけばよい。
なお、テーブル変更差枚数(抽選テーブルの変更契機)は、1または複数定めることができる。テーブル変更差枚数を複数定めた場合には、図示のように、たとえば、有利区間中の差枚数が「-2000枚以上」の場合は抽選テーブルAを選択し、「-1999枚~0枚」の場合は抽選テーブルBを選択し、「1枚~2400枚」の場合は抽選テーブルCといったように、抽選テーブルの多段階の切り替えが可能になる。そして、選択した抽選テーブルをセットして処理を終える。所定の抽選を実行する際には、抽選テーブル選択処理により選択された抽選テーブルを用いて、当該抽選を実行可能に構成すればよい。この「所定の抽選」については、上乗せ抽選であってもよいし、AT抽選、AT抽選状態移行抽選、フリーズ演出抽選など種々の抽選を採用することができる(後述の変形例2~5参照)。
なお、差枚数が「-2000枚以上」の場合は有利区間差枚数カウンタの初期値(上限値Z)まで2000枚以上、「-1999枚~0枚」の場合は初期値まで2000枚未満、「1~2400枚」の場合は初期値超過の状態である。たとえば、有利区間差枚数カウンタの初期値が「10000」にセットされるケースであれば、抽選テーブルAが選択されるのは有利区間差枚数カウンタが「8000以下になった場合であり(0≦有利区間差枚数カウンタ≦8000)、抽選テーブルBが選択されるのは有利区間差枚数カウンタが8001~10000(8000<有利区間差枚数カウンタ≦10000)の場合であり、抽選テーブルCが選択されるのは有利区間差枚数カウンタが10001を超えた場合である(10000<有利区間差枚数カウンタ≦12400(規制枚数に対応するカウンタ値))。これにより、有利区間中の差枚数の多寡に応じて、現在の上乗せ抽選テーブルから他の上乗せ抽選テーブルへと変更(切替)制御可能になっている。
(本変形例の目的(課題)、作用効果)
このように、有利区間中の差枚数に基づく上乗せ抽選を実行させる理由は、次に述べる通りである。
(1)第1に、有利区間中の差枚数に基づいて、その終了が定められているため、たとえば、規制枚数超過間近にもかかわらず、大量の上乗せゲーム数を付与してしまうと、遊技者に引き損感を与えてしまい、遊技意欲の低下を招いてしまうといった問題がある。また逆に、規制枚数超過まで程遠い差枚数、たとえば、差枚数が大きくマイナスに転じている状態(吸込枚数が多い状況)にもかかわらず、折角の上乗せ抽選に当選しても大した上乗せゲーム数しか得られないとすれば、本ART遊技があっという間に終了してしまい、その結果、遊技者の損失分が回収できるチャンスを失い、遊技意欲の低下を招いてしまうといった問題がある。
(2)第2に、当選役種別に基づく上乗せ抽選を実行するだけでは遊技が単調になり、遊技の面白みに欠けるといった問題がある。一方、当選役種別だけでなく、「差枚数」という要素を加えて上乗せ抽選が実行される方が遊技性の幅が広がり(たとえば、繊細な上乗せゲーム数の設定ができる、差枚数に多寡に応じて、上乗せゲーム数の付与に緩急を付けることができる、上乗せ抽選実行契機が増加するなど)、遊技の面白みが増すという利点がある。
本変形例は、上記のような問題(課題)を解決するためになされたものであり、遊技性の自由度が増す(遊技の面白みが増す)、遊技者の遊技興趣を高める、といた効果を奏することができる。
図37A~図37Cに、本変形例に係る「上乗せ抽選テーブル」の一例を示す。図37Aは有利区間中の差枚数が「-2000枚以上」、図37Bは有利区間中の差枚数が「-1999枚~0枚」、図37Cは有利区間中の差枚数が「1枚~2400枚」の場合に用いられる上乗せ抽選テーブル(差枚数型上乗せ抽選テーブル)を示したものである。図37A~図37の上乗せ抽選テーブルは、アシスト報知が高確率で発生しうる本ART遊技や上乗せ特化ゾーン中に用いることが可能である。
図37A~図37Cの上乗せ抽選テーブルには、各図に示す通り、当選役種別(上乗せ抽選契機役別)に応じた上乗せゲーム数(図示の「上乗せゲーム数」欄)およびその抽選確率が定められている。本変形例による上乗せ抽選は、上記実施形態による上乗せ抽選(図31A~図31Bを用いる上乗せ抽選)とは、次の点で性格が異なる
(1)有利区間中の差枚数の多寡に応じて、異なる上乗せ抽選テーブルを用いて上乗せ抽選を実行する点。
(2)同じ上乗せ抽選契機役であっても、有利区間中の差枚数の多寡に応じて、抽選される上乗せゲーム数(抽選対象の内容)、上乗せゲーム数の抽選確率(抽選対象の抽選確率)、または上乗せゲーム数の種類数(抽選対象の種類数)などが変化する(異なる)点。
本例に係る上乗せ抽選について、図37A~図37Cを参照して説明する。まず、図37A~図37Cの各上乗せ抽選テーブルの相互関係について説明する。各上乗せ抽選テーブルの関係は、図示の通り、有利区間中の差枚数が少ないほど、相対的にゲーム数の多い上乗せゲーム数が抽選(上乗せゲーム数抽選による上乗せゲーム数の抽選)され易くなっており、上乗せ抽選の有利度が高くなる。
たとえば、差枚数が相対的にすくない際に用いられる“図37A(差枚数「-2000枚以上」)”(差枚数少側)と、差枚数が相対的に多い際に用いられる“図37B(差枚数「-1999枚~0枚」)” (差枚数多側)の上乗せ抽選―テーブルを比較すれば、図37Aの方が、相対的に有利な上乗せゲーム数(ゲーム数の多い上乗せゲーム数)が選択可能となっている。
「ハズレ」(当選役種別)に着目すれば、抽選対象とされる上乗せゲーム数(抽選対象種別)は、図37Aの場合は「50ゲーム、100ゲーム、150ゲーム、200ゲーム」の4種類、図37Bの場合は「50ゲーム、50ゲーム、100ゲーム、150ゲーム」の4種類で同一であり、各上乗せゲーム数の抽選確率は、図示の通り、図37Aと図37Bとで共通(同確率)としてあるが、抽選される上乗せゲーム数は、図37Aの方が有利なゲーム数(上乗せゲーム数が相対的に多い)となっている。つまり、図37B(差枚数多側)よりも図37A(差枚数少側)の方が、有利な上乗せゲーム数が抽選される。換言すれば、図37A(差枚数少側)の方が、上乗せ抽選の有利度が高くなるようにしている。このように、少なくとも1つ特定の当選役について、抽選対象の上乗せゲーム数の少なくとも1つを異ならせることにより、上乗せ抽選の有利度を変化させることができる。なお、「フェイクリプレイ」、「7リプレイ」、「スイカ」、「強チェリー」についても、図示の通り、同事象である。
ただし「スイカ」については、図37A(差枚数少側)の場合は、上乗せ抽選に当選さえすれば必ず上乗せゲーム数が付与されるが、図37B(差枚数多側)の場合は、上乗せ抽選に当選したとしても必ずしも上乗せゲーム数が付与されないようになっている。図37Aの場合は上乗せ率100%、図37Bは上乗せ率50%である(図37Aおよび図37Bの「スイカ」に係る判定値「128」の欄参照)。このように、上乗せ率を変動させることにより、上乗せ抽選の有利度を変化させることもできる。本変形例では、或る判定値の場合は上乗せゲーム数0(上乗せ抽選に当選したが、上乗せゲーム数抽選はハズレ)として、実質的に、抽選対象の種類数を減少させ、上乗せ率を変動させている。
しかし、差枚数多側の上乗せ率を相対的に低確率とした場合であっても、実質的に、差枚数多側の上乗せ抽選の有利度(上乗せゲーム数の期待値(付与する際の平均的な上乗せゲーム数))が高くならないように、抽選対象の上乗せゲーム数とその抽選確率とを定めることが重要である。「スイカ」を例にとれば、たとえば、図37Bにおける判定値「128」は上乗せゲーム数抽選を「ハズレ(上乗せゲーム数0)」とするが、他の判定値の「116」「6」などを、それぞれ「100ゲーム」「200ゲーム」などのように、高上乗せゲーム数を抽選対象としてまうと、上乗せ率は低いが、実質的に、上乗せ抽選自体が有利になってしまうからである。勿論、上乗せ率だけを見るのではなく、当選役に係る上乗せゲーム数抽選の有利度を全体的に見た場合に、差枚数少側(ここでは、図37A)の有利度が相対的に高くなっていればよい。たとえば、上乗せ率だけ見れば、差枚数多側の上乗せ抽選(ここでは、図37B)が有利であったとしても、他の当選役に係る上乗せゲーム数抽選の有利度全体を見た場合に、差枚数少側の上乗せ抽選(ここでは、図37A)自体の有利度が相対的に高くなっていればよい。
図37B(差枚数「-1999枚~0枚」)と図37C(差枚数「1枚~2400枚」)との関係も、実質的に、上記した図37Aと図37Bの関係と同じである。詳細な説明は重複記載を避けるために省略するが、図37B(差枚数少側)の方が、上乗せ抽選の有利度が高くなるように、各当選役に係る上乗せゲーム数およびその抽選確率を定めてある。
ただし「最強チェリー」については、図37B(差枚数少側)および図37C(差枚数多側)のいずれも上乗せ抽選に当選さえすれば必ず上乗せゲーム数が付与されるが、抽選対象とされる上乗せゲーム数(抽選対象種別)は、図37Bの場合は「500ゲーム、1000ゲーム」の2種類であるのに対し、図37Cの場合は抽選対象の種類数が減少して「500ゲーム」の1種類だけとなっており、抽選対象種を減少させることで「最強チェリー」が当選した場合の平均的な上乗せゲーム数を少なくしている。これにより、図37B(差枚数少側)の上乗せ抽選の有利度が高くなるようにすることもできる。
しかし、抽選対象種を減少させる場合であっても、上記した「スイカ」の例と同事象のように、差枚数多側(ここでは、図37C)の上乗せ抽選の有利度が高くならないように、抽選対象の上乗せゲーム数とその抽選確率とを定めることが重要である。たとえば、図37C(差枚数多側)における「最強チェリー」の上乗せゲーム数を「1000ゲーム(上乗せ率100%)」としてしまうと、図37C(差枚数多側)の上乗せ抽選自体が図37B(差枚数少側)よりも有利になってしまうからである。
以上に説明した本変形例では、現在の差枚数が少なければ少ないほど、上乗せ抽選の有利度が高くなるようにしてある。たとえば図37A~図37Cの場合、上乗せ抽選に関する有利度の関係は「図37C<図37B<図37A」となっている。
なお本変形例では、上乗せ抽選(上乗せ抽選テーブル)を代表例にとり説明しているが、本発明は、上乗せ抽選だけに限定されない。本変形例の技術的思想(差枚数型抽選形態)については、たとえば、AT抽選(図14A、図29A~図29B)、AT抽選状態移行抽選(図14A、昇格用図28A~図28B、転落用図28C~図29D)、フリーズ演出抽選(図14A、図30)、前兆ゲーム数抽選(図14A)、役抽選(図11)、その他、各種の抽選にも適用することができるのは勿論のことである。端的に言えば、所定の抽選を実行する際、現在の有利区間中の差枚数に基づいて、1または複数の抽選テーブル(差枚数型抽選テーブル)うちから、今回の抽選で参照すべき抽選テーブルを選択可能に構成する。そして、その選択した抽選テーブルに基づいて、抽選を実行可能な構成とする。或る抽選に対して差枚数型抽選形態を採用する際には、図36の処理内容(差枚数抽選テーブル選択処理)を、適宜な形で適用すればよい。
本変形例の概要を纏めると、下記のようになる。 有利区間中の第1差枚数を「差枚数G1」(G1は所定範囲とすることができる)、
有利区間中の第2差枚数を「差枚数G2(ただし、差枚数G1<差枚数G2)」(G2は所定範囲とすることができる)、
差枚数G1のときに用いる抽選テーブルを「抽選テーブルA」、
差枚数G2のときに用いる抽選テーブルを「抽選テーブルB」、
役抽選による当選役を「当選役F」(当選役Fは、少なくとも1つを採用することができる)、
、
当選役Fの場合に、抽選テーブルAにおいて抽選対象とする事象を「抽選対象H1」(抽選対象H1は少なくとも1つとすることができる:1≦抽選対象H1の種類数)、
当選役Fの場合に、抽選テーブルBにおいて抽選対象とする事象を「抽選対象H2」(抽選対象H2は少なくとも1つとすることができる:1≦抽選対象H2の種類数)、
抽選対象H1が抽選される抽選確率を「抽選確率J1」(抽選対象H1が複数ある場合はそれぞれに対応する抽選確率が定められている)、
抽選対象H2が抽選される抽選確率を「抽選確率J2」(抽選対象H2が複数ある場合はそれぞれに対応する抽選確率が定められている)、
とした場合、抽選テーブルAによる抽選と、抽選テーブルBによる抽選の有利度が、「抽選テーブルB<抽選テーブルA」の関係を満たすものであれば、選対象H1、H2、抽選確率J1、J2、抽選対象H1、H2の種類数などの各要素について、適宜な数値を定めることができる。
たとえば、下記(有1)~(有5)のような関係性を定めることができる。なお、以下では「同一」には「略同一」も含むことができる。また、上乗せゲームが0(ハズレ)のように、何ら遊技価値が付与されない抽選対象は、抽選対象から除外して考えてもよい。下記(有1)~(有5)の説明では、上乗せゲームが0(ハズレ)は、適宜、抽選対象から除外して説明する。
(有1)「抽選対象H1の種類数と抽選対象H2の種類数とが同一であり、抽選対象H1と抽選対象H2の利益度(有利度)が異なり、抽選対象H1の抽選確率J1と抽選対象H2の抽選確率J2とが同一である。」
たとえば、図37Aの「ハズレ」と、図37Bの「ハズレ」の関係が該当する。
(有2)「「抽選対象H1の種類数と抽選対象H2の種類数とが同一であるが、抽選対象H1と抽選対象H2の利益度(有利度)とが異なり、抽選対象H1の抽選確率J1と抽選対象H2の抽選確率J2も異なる」
この(有2)の一例を、図38A(イ)に示す。
当選役F(たとえば、最強チェリー)について、
抽選テーブルAに係る「抽選対象H1」は「1500ゲーム、ハズレ(上乗せゲーム数0)」、
抽選テーブルBに係る「抽選対象H2」は「1000ゲーム、ハズレ(上乗せゲーム数0)」、
抽選テーブルAの抽選対象H1(1500ゲーム)に係る「抽選確率J1」は「192/256」(期待上乗せゲーム数750ゲーム)、
抽選テーブルBの抽選対象H2(1000ゲーム)に係る「抽選確率J2」は「64/256」(期待上乗せゲーム数250ゲーム)
といった関係性を持たせてある。これにより、抽選テーブルA、Bの有利度の関係を「抽選テーブルA(差枚数少側)>抽選テーブルB(差枚数多側)」とすることができる。
(有3)「抽選対象H1の種類数と抽選対象H2の種類数とが同一であり、抽選対象H1と抽選対象H2の利益度(有利度)も同一であるが、抽選対象H1の抽選確率J1と抽選対象H2の抽選確率J2とが異なる」
この(有3)の一例を、図38A(ロ)に示す。
当選役F(たとえば、最強チェリー)について、
抽選テーブルAに係る「抽選対象H1」は「1000ゲーム、ハズレ(上乗せゲーム数0)」、
抽選テーブルBに係る「抽選対象H2」は「1000ゲーム、ハズレ(上乗せゲーム数0)」、
抽選テーブルAの抽選対象H1(1000ゲーム)に係る「抽選確率J1」は「128/256」(期待上乗せゲーム数500ゲーム)、
抽選テーブルBの抽選対象H2(1000ゲーム)に係る「抽選確率J2」は「64/256」(期待上乗せゲーム数250ゲーム)
といった関係性を持たせ、抽選テーブルA、Bの有利度の関係を「抽選テーブルA>抽選テーブルB」とすることができる。
(有4)「少なくとも抽選対象H1の種類数と抽選対象H2の種類数とが異なる。」
図37Bの「最強チェリー」と、図37Cの「最強チェリー」の関係(抽選対象H1の種類数>抽選対象H2の種類数)が該当する。
なお、抽選対象H1の種類数と抽選対象H2の種類数とが異なるケースとして、以下の関係を採用することができる。
(有4-1)「“抽選対象H1の種類数>抽選対象H2の種類数”であり、少なくとも1つの特定の抽選対象H1の抽選確率J1と、少なくとも1つの特定の抽選対象H2の抽選確率J2とが同一であり、抽選対象H1と当該抽選対象H2の利益度(有利度)も同一である。」
説明を簡潔にし、本発明の理解を容易なものとするために、抽選対象H1の種類数を「3」、抽選対象H2の種類数「2」として、その一例を説明する。この(有4-1)の一例を、図38A(ハ)に示す。
当選役F(たとえば、最強チェリー)について、
抽選テーブルAに係る「抽選対象H1」は「1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム」の3種類、
抽選テーブルBに係る「抽選対象H2」は「1000ゲーム、500ゲーム」の2種類、
抽選テーブルAの抽選対象H1(1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J1」は、それぞれ「128/256、64/256、64/256」(期待ゲーム数1125ゲーム)、
抽選テーブルBの抽選対象H2(1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J2」は、それぞれ「64/256、192/256」(期待ゲーム数625ゲーム)、
といった関係性を持たせ、抽選テーブルB、Cの有利度の関係を「抽選テーブルB>抽選テーブルC」とすることができる。この場合、特定の抽選対象H1、H2は共に「1000ゲーム」であり、その抽選確率J1、J2も共に「64/256」である。
(有4-2)「“抽選対象H1の種類数>抽選対象H2の種類数”であり、少なくとも1つの特定の抽選対象H1の抽選確率J1と、少なくとも1つの特定の抽選対象H2の抽選確率J2とが同一であり、抽選対象H1と抽選対象H2の利益度(有利度)が異なる。」
説明を簡潔にし、本発明の理解を容易なものとするために、抽選対象H1の種類数を「3」、抽選対象H2の種類数「2」として、その一例を説明する。この(有4-2)の一例を、図38A(ニ)に示す。
当選役F(たとえば、最強チェリー)について、
抽選テーブルAに係る「抽選対象H1」は「1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム」の3種類、
抽選テーブルBに係る「抽選対象H2」は「1000ゲーム、500ゲーム」の2種類、
抽選テーブルAの抽選対象H1(1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J1」は、それぞれ「64/256、128/256、64/256」(期待ゲーム数1000ゲーム)、
抽選テーブルBの抽選対象H2(1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J2」は、それぞれ「64/256、192/256」(期待ゲーム数625ゲーム)、
といった関係性を持たせ、抽選テーブルB、Cの有利度の関係を「抽選テーブルB>抽選テーブルC」とすることができる。この場合、特定の抽選対象H1は「1500ゲーム」、特定の抽選対象H2は「1000ゲーム」、その抽選確率J1、J2は共に「64/256」である。
(有4-3)「“抽選対象H1の種類数>抽選対象H2の種類数”であり、少なくとも1つの特定の抽選対象H1の抽選確率J1と、少なくとも1つの特定の抽選対象H2の抽選確率J2とが異なり、抽選対象H1と抽選対象H2の利益度(有利度)も異なる。」
この例は、図38A(ホ)に示す通り、図37Bの「最強チェリー」と、図37Cの「最強チェリー」の関係が該当する。
詳しくは、
抽選テーブルA(図37B)に係る「抽選対象H1」は「1000ゲーム、500ゲーム」の2種類、
抽選テーブルB(図37C)に係る「抽選対象H2」は「500ゲーム」の1種類、
抽選テーブルA(図37B)の抽選対象H1(1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J1」は、それぞれ「192/256、64/256」(期待ゲーム数775ゲーム)、
抽選テーブルB(図37C)の抽選対象H2(500ゲーム)に係る「抽選確率J2」は「256/256」(期待ゲーム数500ゲーム)、
といった関係性を持たせ、抽選テーブルB、Cの有利度の関係を「抽選テーブルB>抽選テーブルC」とすることができる。
なお、上記(有4-1)~(有4-3)では、「抽選対象H1の種類数>抽選対象H2の種類数」として説明したが、「抽選対象H1の種類数<抽選対象H2の種類数」としても、基本的な考えは同じである。たとえば、下記(有4-4)~(有4-6)のような関係にすればよい。
(有4-4)「“抽選対象H1の種類数<抽選対象H2の種類数”であり、少なくとも1つの特定の抽選対象H1の抽選確率J1と、少なくとも1つの特定の抽選対象H2の抽選確率J2とが同一であり、当該抽選対象H1と当該抽選対象H2の利益度(有利度)も同一である。」
説明を簡潔にし、本発明の理解を容易なものとするために、抽選対象H1の種類数を「2」、抽選対象H2の種類数「3」として、その一例を説明する。この(有4-4)の一例を、図38B(イ)に示す。
当選役F(たとえば、最強チェリー)について、
抽選テーブルAに係る「抽選対象H1」は「1500ゲーム、1000ゲーム」の2種類、
抽選テーブルBに係る「抽選対象H2」は「1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム」の3種類、
抽選テーブルAの抽選対象H1(1500ゲーム、1000ゲーム)に係る「抽選確率J1」は、それぞれ「128/256、128/256」(期待ゲーム数1250ゲーム)、
抽選テーブルBの抽選対象H2(1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J2」は、それぞれ「128/256、64/256、64/256」(期待ゲーム数1125ゲーム)、
といった関係性を持たせ、抽選テーブルB、Cの有利度の関係を「抽選テーブルB>抽選テーブルC」とすることができる。この場合、特定の抽選対象H1、H2は共に「1500ゲーム」であり、その抽選確率J1、J2も共に「32768/65536」である。
(有4-5)「“抽選対象H1の種類数<抽選対象H2の種類数”であり、少なくとも1つの特定の抽選対象H1の抽選確率J1と、少なくとも1つの特定の抽選対象H2の抽選確率J2とが同一であり、抽選対象H1と抽選対象H2の利益度(有利度)が異なる。」
上記(有4-4)と同じく、抽選対象H1の種類数を「2」、抽選対象H2の種類数「3」として、その一例を説明する。この(有4-5)の一例を、図38B(ロ)に示す。
当選役F(たとえば、最強チェリー)について、
抽選テーブルAに係る「抽選対象H1」は「1500ゲーム、1000ゲーム」の2種類、
抽選テーブルBに係る「抽選対象H2」は「1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム」の3種類、
抽選テーブルAの抽選対象H1(1500ゲーム、1000ゲーム)に係る「抽選確率J1」は、それぞれ「128/256、128/256」(期待ゲーム数1250ゲーム)、
抽選テーブルBの抽選対象H2(1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J2」は、それぞれ「64/256、128/256、64/256」(期待ゲーム数1000ゲーム)、
といった関係性を持たせ、抽選テーブルB、Cの有利度の関係を「抽選テーブルB>抽選テーブルC」とすることができる。この場合、特定の抽選対象H1は「1500ゲーム」、特定の抽選対象H2は「1000ゲーム」である。
(有4-6)「“抽選対象H1の種類数<抽選対象H2の種類数”であり、少なくとも1つの特定の抽選対象H1の抽選確率J1と、少なくとも1つの特定の抽選対象H2の抽選確率J2とが異なり、抽選対象H1と抽選対象H2の利益度(有利度)も異なる。」
上記(有4-4)と同じく、抽選対象H1の種類数を「2」、抽選対象H2の種類数「3」として、その一例を説明する。この(有4-6)の一例を、図38B(ハ)に示す。
当選役F(たとえば、最強チェリー)について、
抽選テーブルAに係る「抽選対象H1」は「1500ゲーム、1000ゲーム」の2種類、
抽選テーブルBに係る「抽選対象H2」は「1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム」の3種類、
抽選テーブルAの抽選対象H1(1500ゲーム、1000ゲーム)に係る「抽選確率J1」は、それぞれ「128/256、128/256」(期待ゲーム数1250ゲーム)、
抽選テーブルBの抽選対象H2(1500ゲーム、1000ゲーム、500ゲーム)に係る「抽選確率J2」は、それぞれ「64/256、128/256、64/256」(期待ゲーム数1000ゲーム)、
といった関係性を持たせ、抽選テーブルB、Cの有利度の関係を「抽選テーブルB>抽選テーブルC」とすることができる。この場合、特定の抽選対象H1は「1500ゲーム」であり、特定の抽選対象H2は「500ゲーム」である。
(有5)「差枚数に応じて、上乗せ抽選契機役種別を増減させる」
たとえば、差枚数少側の抽選テーブルAに係る当選役(上乗せ抽選契機役)の種類数をP1、差枚数多側の抽選テーブルBに係る当選役(上乗せ抽選契機役)の種類数をP2とした場合、「P2<P1」の関係を持たせる。端的に言えば、差枚数が相対的に少ない場合には、上乗せ抽選契機役の種類を増やして、上乗せ抽選実行契機を増加させる一方、差枚数が相対的に多い場合には、上乗せ抽選契機役の種類を減らして、上乗せ抽選実行契機を減少させる。たとえば、図37Aを抽選テーブルA、図37Bを抽選テーブルBとした場合、抽選テーブルBでは「ハズレ」の場合は一切上乗せ抽選をしない、などである。これにより、抽選テーブルA、Bの有利度の関係を「抽選テーブルA>抽選テーブルB」などとすることができる。
本例のように、上乗せ抽選の実行機会を増減させることにより、上乗せ抽選の有利度を変化させることが可能である。しかし、実行機会を増減しても抽選の有利度の関係(「抽選テーブルA>抽選テーブルB」)が崩れてしまうのであれば、所期の目的が達成できない。したがって、有利度の関係が崩れないように、上乗せ抽選契機役の種類、上乗せゲーム数、その抽選確率などを定めることが重要である。
ここで、図37Cの上乗せ抽選テーブルにおいて、図中の「上乗せゲーム数」の欄における「MAX表示1」と「MAX表示2」について説明する。
図37Cの上乗せ抽選テーブル(1~2400枚用)は、他の上乗せ抽選テーブルとは異なり、特殊な構成となっている。本実施形態では、有利区間中の差枚数が或る程度に達した場合、規制枚数(初期値(上限値)+2400枚)の関係上、これ以上上乗せしても意味が無い遊技状況が発生しうる。規制枚数に達した場合には、ART残余ゲームが幾ら残っていても、実行中の本ART遊技が強制的に終了され、非有利区間である初期遊技に移行されるからである。
したがって、本来ならば比較的多い上乗せゲームが獲得できる上乗せ抽選対象役であっても、実質的に、数十G程度しか上乗せされない可能性が高くなり、このような事態は、遊技者の遊技意欲を減退させる恐れがある。このような事情を考慮し、少なくとも有利区間の差枚数が所定枚数以上である場合に上乗せ抽選に当選した場合は、有利区間完走(差枚数到達による有利区間終了)を祝福する「有利区間完走演出(エンディング演出)」が現出されるようになっている。本例では、有利区間の差枚数とART残余ゲーム数とに基づいて、特定の当選役による上乗せ抽選に当選した場合に、この有利区間完走演出を現出させるようになっている。
(上乗せ抽選と有利区間完走演出との関係について)
この「有利区間完走演出」には、図37Cの「上乗せ抽選テーブル(1~2400枚)」に示す通り、「MAX表示1」と「MAX表示2」という複数種類の演出が用意されており、演出制御部410による演出抽選によりいずれかの演出が選択されるようになっている。また、有利区間完走演出の実行条件は、ここでは、ART残余ゲーム数50ゲーム以上、かつ差枚数が「+2370枚」以上としてある(図37Cの(1)(2)の記載欄参照)。実行条件に係るART残余ゲーム数と有利区間中の差枚数は、遊技機の出玉性能に応じて適宜定めることができるものであり、本実施形態では、1ゲームあたりの平均獲得枚数(純増枚数)に基づき「これだけのART残余ゲーム数があれば、ほぼ確実に規制枚数に到達して有利区間が終了される(有利区間完走)」といった設計的な仕様に基づき、終了条件を定めている。
上記「MAX表示1」は、たとえば、有利区間完走を祝福する特定のキャラクタ演出や特定の背景表示などが現出される。これに対して「MAX表示2」は、「MAX表示1」の演出内容に加え、上記「設定示唆演出」が現出されるようになっている。したがって、「MAX表示2」は、設定示唆演出が現出されるという点で、「MAX表示1」よりも遊技者にとり有利に作用する演出となっている。
上記「MAX表示1」は、図31Cに示す通り、上乗せ抽選の当選確率が相対的に高い上乗せ抽選契機役や、相対的に少ない上乗せゲーム数(上乗せゲーム数抽選の当選確率が相対的に高い上乗せゲーム数)に当選した場合に現出され易くなっている。他方、「MAX表示2」は、上乗せ抽選の当選確率が相対的に低い上乗せ抽選契機役や、相対的に多い上乗せゲーム数(上乗せゲーム数抽選の当選確率が相対的に低い上乗せゲーム数)に当選した場合に現出され易くなっている。すなわち「MAX表示2」は、上乗せ抽選契機役のうち、特にレア度が高い役を引いた時の‘引き損感’を遊技者に与えないようにするため、遊技者に有利な情報を報せる「設定示唆演出」を付加的に発生させるようになっている。これにより、ARTゲーム数が残存している場合に、規制枚数到達による有利区間終了となっても、遊技者の遊技意欲を低下してしまうことを抑制することができる。なお、「設定示唆演出」が複数ある場合、どのような演出態様(低設定示唆演出、偶数設定示唆演出、奇数設定示唆演出、高設定示唆演出、設定6確定演出など)を現出させるかについては、現在の設定値に基づいた所定の抽選により決定することができる。
なお、本変形例では、差枚数区間を「-2000枚以上」、「-1999枚~0枚」、「1~2400枚」の3つの区間に分けた例ついて説明したが、これに限らず、適宜な区間数(1または複数区間)に分け、その各区間に係る差枚数の範囲をどのように定めるかは自由である(後述の変形例Aおよび変形例2~5も同様)。
(変形例A)
上記「変形例1」では、差枚数が相対的に少ないほど、上乗せゲーム数の有利な上乗せ抽選を実行する形態について説明した。しかし差枚数が少ない状況だからといって、無闇に大きな上乗せゲーム数を付与してしまうのでは、高利益状態であるART遊技期間が長期化して、大量の遊技メダルを獲得しうる状況が頻繁に生じてしまい、射幸性を著しく高めてしまう恐れがある。また、法的要請により、遊技機の出玉性能については型式試験による規制が設けられており、出玉性能が著しく高い遊技機としてしまうと、型式試験に通過(適合)できずに、市場に送り出すことができなくなる。したがって、出玉感を損なうことなく、型式試験を通過(適合)し易くしうるように、出玉性能をコントロールする工夫が求められる。
(「変形例7-1(変形例A):差枚数型アシスト報知発生形態:図39)
そこで本例では、差枚数に応じて、アシスト報知(押し順ナビ)の発生率を変動させ、本ART遊技中などの高利益状態中において、大量の上乗せゲーム数があった場合に出玉スピードが極端に上昇してしまうことを抑える工夫をしている。以下、説明の便宜のために、この実施形態を「変形例A」と称して説明する。
変形例Aの概要を図39に示す。ここでは、上記した変形例1と同じく、図37A~図37Cの上乗せ抽選テーブルを用いた例を示してある。したがって、図示の抽選テーブルA~Cは、それぞれ、図37A~図37Cに対応し、既に説明したように、図37Aは有利区間中の差枚数が「-2000枚以上」、図37Bは有利区間中の差枚数が「-1999枚~0枚」、図37Cは有利区間中の差枚数が「1枚~2400枚」の場合に用いられる上乗せ抽選テーブルを示している。
上記変形例1で説明したように、差枚数が「-2000枚以上」と遊技者が大きく損失を出している状況では、抽選テーブルAが選択され、大量の上乗せゲーム数が選択される可能性が高く、差枚数がプラス域に近づくにつれて、抽選テーブルCよりも上乗せゲーム数の有利度が低い抽選テーブルBが選択され、差枚数がプラス域に転じた場合には、さらに上乗せゲーム数の有利度が低い抽選テーブルCが選択されるようになっている。
しかし、差枚数が少ない状況だからといって、無闇に大きなゲーム数を付与してしまうのでは、射幸性の観点や型式試験が不適合になり易いなどの問題が生じうる。そこで、本変形例Aでは、差枚数に応じてアシスト報知の発生率を変動可能な構成となっている(アシスト報知確率制御手段)。
具体的には、図39に示す通り、差枚数が相対的に少ないほど、アシスト報知の発生率が低下し、差枚数が相対的に多いほど、アシスト報知の発生率が上昇するようになっている。これにより、大量のゲーム数が上乗せされた場合には出玉スピードを低下させ、射幸性を抑制し、型式試験にも適合し易い遊技機を提供することが可能となっている。また、遊技者にとっても、出玉スピードが低下しても、本ART遊技を長期間続くため、いずれは差枚数がプラス域に転じることに期待を寄せながら、楽しく遊技に興じることができるようになる。また、差枚数が多くなるほど上乗せゲーム数が少なくなるが、反対に出玉スピードが上昇することになるので、規制枚数到達までの出玉感が高く、遊技者の遊技興趣が低下してしまうことも抑制することができる。
なお、図39に示すアシスト報知発生率(50%、75%、100%)は、本変形例Aの内容を分かり易くするために任意に付けた数値である。アシスト報知発生率に関しては、各差枚数期間における上乗せ抽選の有利度や、遊技機の出玉性能などに応じて、適宜な確率に定めることができる。たとえば、差枚数「1~2400枚」の区間のアシスト報知発生率は100%としているが、100%未満であってもよい。ただし、一定の差枚数以上または以下(未満または超過)或いは特定の差枚数(たとえば、+2400枚)の場合(特定差枚数区間、特定差枚数の場合)、一切のアシスト報知を発生させない(アシスト報知発生率0%)構成とすることができる。
(変形例2:AT抽選の場合)
次に、AT抽選について本変形例を適用する場合について説明する。AT抽選についても上記した上乗せ抽選のケースと基本的な考え方は同じである。AT抽選にも、上記「差枚数型抽選形態」を採用することは好適といえる。その理由は、上乗せ抽選のケースと同様である。すなわち、有利区間中の差枚数が少ない場合、たとえば、遊技者が大きな損失を出しているケースでは、遊技者の遊技意欲が減退している。そこで斯様な遊技状況の際には、差枚数が相対的に多いときよりも有利なAT抽選を実行可能として、遊技者の遊技意欲を向上させることが好ましい。
そこで、差枚数の多寡に応じて(差枚数に基づいて)、有利度の異なるAT抽選テーブルを選択可能に構成することができる。たとえば、有利区間中の差枚数が少なければ少ないほど、AT抽選が優遇されるAT抽選テーブルを用いることができる。一例として、図29A~図29B(地獄用~天国用)のAT抽選テーブルを用いるとすれば(差枚数型AT抽選テーブルとして用いる)、これら抽選テーブルの有利度(AT当選の優遇度)の関係は「図29A<図29B<図29C」であるので、有利区間中の差枚数が「-2000枚以上」の場合は図29C(天国用)を、有利区間中の差枚数が「-1999枚~0枚」の場合は図29B(通常用)を、有利区間中の差枚数が「1枚~2400枚」の場合は図29A(地獄用)を用いることができる。このようにすれば、有利区間中の差枚数がマイナスに転じている場合には、AT抽選が優遇されるAT抽選テーブルが選択され、本ART遊技に移行し易くすることができる。
AT抽選の場合は、図29A~図29Cにて既に説明した通り、当選役種別に応じたAT当選確率(AT抽選値)が定められており、抽選対象は「AT当選」および「非当選(AT抽選ハズレ)」である。すなわち、AT抽選テーブルにおいて、抽選対象とする事象は「AT当選・非当選」の2種類だけであり、いずれのAT抽選テーブルにおいても同じである。したがって、AT抽選の場合には、次のようにすればよい。
(限1)「差枚数G2に係る抽選テーブルBにおける当選役FのAT当選確率よりも、差枚数G1に係る抽選テーブルAにおける当選役FのAT当選確率の方をを高確率とする(ただし、差枚数G1<差枚数G2)」といった関係性を持たせ、抽選テーブルA、Bの有利度の関係を「抽選テーブルA>抽選テーブルB」とすることができる。
(変形例3:AT抽選状態移行抽選の場合)
次に、AT抽選状態移行抽選(図28A~図28C)について本変形例を適用する場合について説明する。AT抽選状態移行抽選についても上記したAT抽選のケースと考え方は同じである。
AT抽選状態移行抽選の場合は、図28A~図28Cにて既に説明した通り、当選役種別に応じたモード移行確率が定められており、抽選対象は「モード移行当選」および「非当選(モード移行ハズレ)」である。すなわち、AT抽選状態移行抽選テーブルにおいて、抽選対象とする事象は「モード移行当選・非当選」の2種類だけである。
たとえば、図28A~図28C(地獄用~天国用)のAT抽選状態移行テーブルを用いるとすれば(差枚数型AT抽選状態移行抽選テーブルとして用いる)、これら抽選テーブルの有利度(モード移行当選の優遇度)の関係は「図28A<図28B<図28C」であるので、有利区間中の差枚数が「-2000枚以上」の場合は図28C(天国用)を、有利区間中の差枚数が「-1999枚~0枚」の場合は図29B(通常用)を、「1枚~2400枚」の場合は図29A(地獄用)を用いる、といった具合に、差枚数の多寡に応じて、有利度の異なるAT抽選状態移行テーブルを選択可能に構成することができる。
(変形例4:フリーズ演出抽選の場合)
次に、フリーズ演出抽選について本変形例を適用する場合について説明する。フリーズ演出抽選についても上記した上乗せ抽選のケースと基本的な考え方は同じである。フリーズ演出抽選の場合は、図30にて既に説明した通り、当選役種別に応じたフリーズ演出種別(Sフリーズ、Lフリーズ)が定められており、抽選対象は「Sフリーズ、Lフリーズ、フリーズ演出無し(ハズレ)」である。すなわち、フリーズ演出抽選テーブルにおいて、当選役が抽選対象とする事象は「Sフリーズ、Lフリーズ、フリーズ演出無し(ハズレ)」の3種類だけである。また、フリーズ演出の有利度(フリーズ演出が発生する際のAT抽選や上乗せ抽選の優遇度)の関係は「フリーズ演出無し<Sフリーズ<Lフリーズ」とすることができる。この場合、差枚数型フリーズ演出抽選テーブルとして、有利度の異なるフリーズ演出抽選テーブル(たとえば、有利度の関係が「抽選テーブルA>抽選テーブルB」)を用意し、上記変形例1~3に係る差枚数型抽選形態と同じように、差枚数の多寡に応じて、抽選テーブルA、Bを選択可能に構成してもよい。
(変形例5)
なお以上に説明した差枚数型抽選テーブル(変形例1~4)については、或る抽選を実行するに際し、所定の利用条件を満たした場合に選択可能に構成してもよい。具体的には、有利区間中であっても、1または複数の特定の遊技期間(たとえば、ボーナス遊技中、上乗せ特化ゾーン中など)は利用不可期間として定めてもよい。したがって、有利区間中であれば、常に「差枚数型抽選形態」を実行する(差枚数型抽選テーブルを用いる)という訳ではなく、遊技性に応じて、適宜、その利用期間を定めることができる。
たとえば、ART遊技中の上乗せ抽選であれば、所定の利用条件を満たしていない場合は図31Aの「通常の上乗せ抽選テーブル」を用いて上乗せ抽選(通常上乗せ抽選)を実行するが、当該利用条件を満たした場合にはこれとは別に用意した(一部兼用してもよい)、図37A~図37Cの「差枚数型上乗せ抽選テーブル」を用いて上乗せ抽選(差枚数型上乗せ抽選)を実行することができる。また他の抽選でも同様であり、たとえばAT抽選であれば、所定の利用条件を満たしていない場合は図29A~図29Cの「通常のAT抽選テーブル」てAT抽選(通常AT抽選)を実行するが、当該利用条件を満たした場合にはこれとは別に用意した(一部兼用してもよい)、「差枚数型AT抽選テーブル」を用いて、AT抽選(差枚数型AT抽選)を実行することができる。
たとえば、以下のような利用条件を満たした場合に、通常の抽選(非差枚数型抽選)から差枚数型抽選に切り替えることができる。
(A)少なくとも1つの特定の遊技期間および/または特定の遊技状態中に、差枚数型抽選を実行可能に構成する。たとえば、下記の実行条件を採用することができる
(α)有利区間開始から所定ゲーム数消化後に差枚数型抽選を実行する。
(β)差枚数が所定数以下(未満)または以上(超過)になった場合(たとえば、-1000枚以下、-1000枚未満、+2000枚以上、または+2000超過した場合など)、差枚数型抽選を実行する。
(γ)差枚数が所定範囲数(たとえば、-3000枚~-1000枚など)である場合に、差枚数型抽選を実行する。
(δ)初期遊技(非有利区間)以外の遊技状態中、最初の有利区間中、特定回数目の有利区間中、ボーナス遊技中、ART遊技中、チャンスモード、および引き戻しモードの少なくとも1つ(全期間またはその一部の期間)で、差枚数型抽選を実行する。
なお、上記変形例1~5では、差枚数が相対的に少ないほど有利な抽選が実行される形態について説明した。しかしこれに限らず、逆に、差枚数が相対的に多いほど有利な抽選が実行されるように構成することができる。この場合は、変形例1~5で説明した内容と逆の方法を採用すればよい。たとえば、上乗せ抽選であれば、図37Cは有利区間中の差枚数が「-2000枚以上」、図37Bは有利区間中の差枚数が「-1999枚~0枚」、図37Aは有利区間中の差枚数が「1枚~2400枚」の場合に用いればよい。
<有利区間終了条件(終了契機)の変形例:図42A、図42B>
(変形例6:特定遊技状態終了時差枚数型終了条件)
上記実施形態では、今回の有利区間の終了条件として、規制ゲーム数(たとえば、3000ゲーム)を消化した場合か、有利区間中の差枚数が所定枚数(2400枚)を超えた場合のいずれかを満たした場合に終了されると説明した。しかし、このような条件だけで終了させるのでは、遊技が単調化し、面白みに欠ける。そこで、この変形例7では、有利区間終了条件に、「特定遊技状態終了時の差枚数」という要素を導入することにより(差枚数有利区間終了形態)、遊技性の自由度を向上させ、以て遊技の面白みを向上させることを目的とする。以下、図42Aおよび図42Bを用いて詳述する。
(具体例1:特定遊技状態(特定遊技モード)終了時に、有利区間中の差枚数に基づいて有利区間を終了させる形態:図42A)
有利区間の終了条件として、特定の遊技状態(特定の遊技モードまたは特定の遊技期間でもよい)、たとえば、本ART遊技が終了時(ARTゲーム残余ゲーム数が0による終了)における有利区間中の差枚数プラス域、具体的には、有利区間差枚数カウンタの初期値を超えて終了した場合に(初期値<有利区間差枚数カウンタ)、有利区間を終了させることができる。本例(変形例7)について、図42Aを参照しながら説明する。
(具体例1:図42A)
図42Aは、本例(変形例7)のモデルケースを示したものである。ここでは、本ART遊技の終了後(アシスト報知実行に係るAT2遊技終了後)、有利区間中の差枚数がプラスであるケースを示してある(図示のS4参照)。
なお図42Aにおける遊技状態および演出モードについては、本例の内容を分かり易くするために、本例と係り合いの深い、特定の遊技状態および演出モードをピックアップして示してある。
また図示の演出モードの欄に示す「GE」(GE1~3)は“地獄演出モード、通常演出モードまたは天国演出モード”を、「CZ」は引き戻しゾーン演出モードまたはチャンスゾーン演出モードを、「ART」はART演出モードを示している。
また図示の遊技状態の欄に示す「初期」は初期遊技(初期遊技モード)を、「通常」は通常遊技を示している。なお、通常遊技には、地獄モード、通常モード、天国モード、引き戻しモード、チャンスモードなどの通常遊技に係る各遊技モードが含まれる。また、図示の遊技期間「S0~S1」と「S4~S6」は、初期遊技(非有利区間)であるが、演出モードは、通常遊技を装うために、通常遊技に係る演出モードに移行させるようになっている(たとえば、遊技区間「S0~S1」、遊技区間「S4~S5」参照)。
また図示の「スランプグラフ」は、ゲーム進行上の実際の差枚数(総アウト枚数(総払出枚数)-総イン枚数(総投入枚数):純増枚数)の推移と、内部的な「有利区間差枚数カウンタ値」の推移を簡略的に示したものである。実線VL1は「実際の差枚数(純増枚数)」の推移を示し、一点鎖線VL1およびVL2は「有利区間中の差枚数」の推移を示している。
なお、「実際の差枚数」については、S0の時点を「差枚数=0枚」としている。また有利区間差枚数カウンタについては、既に説明したように、有利区間開始時には初期値がセットされているが、有利区間が終了すると0がセットされ、次回の有利区間に移行するまで、初期値はセットされない。したがって非有利区間中の有利区間差枚数カウンタは常に「0」になる(図10CのステップS88の処理内容参照)。そして、有利区間中の差枚数は、「有利区間差枚数カウンタの初期値を基準(0枚)とし、当該基準からの差枚数」であるので(図17Cの「有利区間差枚数管理処理」を参照)、図示の例では、遊技期間「S0~S1」および「S4~S5」は、非有利区間中であるため、この期間の有利区間差枚数カウンタの値は常に「0」が維持され、たとえば、図示の遊技期間S0~S4において「実際の差枚数」が実線RL1のような推移であれば、有利区間中の差枚数は一点鎖線VL1のような推移を示すことになる。
本例では、本ART遊技(特定遊技状態)の最終ゲームにおいて、現在の有利区間中の差枚数がプラスであるか否かを判定し、プラスであれば(0<差枚基準値)有利区間を終了させ、非有利区間に移行させるようになっている(図示のS4、白丸Rsp参照)。なお、有利区間中の差枚数がプラスであるか否かは、有利区間差枚数カウンタの値が初期値を超えていれば、プラスと判断することができる(終了差枚数判定手段)。
図示では、初回の本ART遊技終了ゲーム時の有利区間中の差枚数がプラスであるので、当該終了ゲームで有利区間が終了させ、次ゲームから非有利区間(初期遊技)に移行されるケースを示している。ただし演出モードについては、引き戻しモードを装うため「引き戻し演出モード」に移行させている(図示の遊技区間S4~S5)。その後、S5の時点で有利区間(通常遊技)に移行されるが(演出モードは引き戻し演出モードを継続)(図示の遊技区間S5~S6)、その通常遊技中にてAT抽選に当選して、再度、本ART遊技が開始されるケースを示している(図示の遊技期間S6以降)。
したがって図42Aの場合は、初回の本ART遊技(遊技期間S3~S4)の終了後の実際の差枚数(純増枚数)は、実線RL1のような推移を示すが、有利区間中の差枚数は一点鎖線VL2のような推移を示すことになる。なお、遊技期間S4~S5は、非有利区間であるので、有利区間差枚数カウンタが常に「0」であり、故に、有利区間中の差枚数がカウントも常に「0」になる。
なお本実施形態では、既に説明したように、非有利区間の初期遊技から有利区間の通常遊技には、短期間で移行可能となっているため、実際の差枚数と、有利区間中の差枚数の推移は、ほぼ同じ推移となるものと考えられる。
図42Aでは、特定の遊技状態(特定の遊技モードまたは特定の遊技期間であってもよい)として「本ART遊技」を採用した際について説明したが、本変形例に係る「特定の遊技状態」は、遊技機がゲームを進行する上で、制御可能な遊技状態のうち、少なくとも1つの遊技状態を、本例に係る「特定の遊技状態」として定めることができる。
本実施形態であれば、たとえば、特定のAT遊技種別(たとえば、本ART遊技に係るAT2遊技)、本ART遊技、本ART遊技終了後に移行される遊技状態(たとえば、引き戻しモードとして機能する遊技モード)、チャンスモードなどが挙げられる。また、所定回数目(1回または複数回)の特定の遊技状態であってもよい。たとえば、有利区間中に上記周期抽選のような、周期的にチャンスモードが到来する場合、所定回数目のチャンスモード(たとえば、10回目)でAT抽選にハズレとなった場合に、有利区間を終了させることができる。何回も周期抽選にハズレてしまうと(特に、天井機能を搭載していない遊技機の場合)、有利区間残余ゲーム数がさほど残っていない状況で本ART遊技に突入してしまい、本ART遊技が短期間で終了してしまうからである。また、特定の遊技状態に限らず、特定の遊技期間(たとえば、ゲーム数に基づく期間など)であってもよい。たとえば、特定の遊技状態中の残余ゲーム数、有利区間残余ゲーム数(たとえば、残り200ゲームなど)などが挙げられる。ただし本変形例は、上乗せ特化ゾーンなどのような、特殊な遊技状態は除外することが好ましい。上乗せ特化ゾーンで大きな上乗せゲーム数があったにもかかわらず、上乗せ特化ゾーン終了時に差枚数がプラスだからといって有利区間を終了させてしまうのでは、本ART遊技自体も終了してしまい、上乗せ特化ゾーンを設けた意義が皆無となってしまうからである。したがって、上乗せ特化ゾーンのように、遊技者に対して将来的に大きな利益が約束される遊技状態の終了後に有利区間を終了させるのではなく、本例に係る図42Aに例示したケースのように、本ART遊技終了される際、具体的には、一の遊技状態よりも利益状態(有利度)が相対的に低い他の遊技状態に移行する際(たとえば、特定のRT遊技および/または特定のAT遊技が終了される際、チャンスモードや引き戻しモードのようなAT抽選優遇モードが終了される際)に、有利区間中の差枚数がプラスであれば、当該有利区間を終了する、といった構成が最適といえる。
(具体例2:図42B)
図42Bは、先述の図42Aと同じく、特定遊技状態(特定遊技モード)終了時において、有利区間中の差枚数がプラスの場合に有利区間を終了させる形態であるが、ここでは、特定遊技状態として、本ART遊技後に移行される「引き戻しモード」の終了ゲームで、有利区間中の差枚数がプラスであるか否かを判定するケースを示している。なお、図42Bにおいて、図42Aと実質的に同一の内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
本例では、引き戻しモード(特定遊技状態)の最終ゲームにおいて、現在の有利区間中の差枚数がプラスであるか否かを判定し、プラスであれば(0<差枚基準値)有利区間を終了させ、非有利区間に移行させるようになっている。図示の例では、「引き戻しモード」の終了時に有利区間中の差枚数がマイナスとなっているため(図示のS7、白丸Rsp)、引き戻しモードが終了しても有利区間が終了されずにそのまま継続されることになる。
したがって図42Bの場合は、引き戻しモード終了後の実際の差枚数(純増枚数)は実線RL1のような推移を示し、有利区間中の差枚数は一点鎖線VL7のような推移を示すことになる。
(具体例3(変形例))
なお、上記の例では、特定遊技状態(特定遊技モード)終了後において、有利区間中の差枚数がプラスの場合に有利区間を終了させる形態について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、「非有利区間および有利区間」中の差枚数(以下「特殊差枚数」と称する)に基づき、有利区間を終了させる構成としてもよい。この場合、特定遊技状態(特定遊技モード)終了時の特殊差枚数がプラスの場合には、今回の有利区間を終了させることができる。
この「特殊差枚数」の基本的な考え方は、有利区間中の差枚数と同じである。特殊差枚数をカウントするためのカウンタ(以下「全区間差枚数カウンタ」と称する)を設け、今回の非有利区間開始ゲームから最初の有利区間が終了するまで継続して、差枚数をカウントていく。全区間差枚数カウンタに対しては、非有利区間に移行する際に当該カウンタに初期値を設定し、この初期値を基準として、当該基準からの差枚数が特殊差枚数(「非有利区間および有利区間」中の差枚数)となる。
以上に説明した実施形態(変形例を含む)は、1または複数の実施形態を採用することができる。また、複数の実施形態を組合せることにより、制御負担を軽減、遊技性の向上、遊技の面白みの向上、演出の多彩化、遊技者の遊技意欲の向上、抽選処理に関する乱数値のランダム性の担保など、その実施形態の組合せに応じて、種々の作用効果を奏することができる。また上記実施形態は、回胴式遊技機に限られることはなく、その他の遊技機にも適用可能である。