以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<機械的構成:図1>
本発明の一実施形態に係る遊技機として、回胴式遊技機を例にとり説明する。図1は、本実施形態に係る回胴式遊技機の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係る回胴式遊技機は、遊技機本体として、図1に示すように、遊技に供する各種遊技部品を収納するための遊技機筐体1と、遊技機筐体1の前面側に開閉自在に取り付けられた前扉2とを備えている。前扉2には、そのほぼ中央に第1の表示窓3が、またその上側に第2の表示窓4が設けられている。
下側の第1の表示窓3は回胴視認部であり、回胴装置210の横並びに3個配設された回胴5a、5b、5c(以下、必要に応じて、回胴5aを「左回胴5a」、回胴5bを「中回胴5b」、回胴5cを「右回胴5c」と称する)が、この回胴視認部3に臨ませて、遊技者側から視認しうるように設けられている。本実施形態では、回胴視認部3を介して、各々3個程度(計9つ程度)の図柄が視認可能となっている。
回胴5a、5b、5cは、その外周に複数種類の図柄が表示された図柄配列帯を有しており、各回胴5a、5b、5cの停止時の図柄の組合せによって遊技結果が導出表示する回胴装置210(遊技結果表示手段)を構成している。また各回胴5a、5b、5cには、回胴視認部3に表示される各図柄を回胴の内側から照射する図柄照射用バックライトLED(バックライト手段)が形成されている。
<図柄配列帯200:図3>
図3は、各回胴5a、5b、5cが有する図柄配列帯200を例示したものである。図示の「1ST」図柄配列帯は左回胴5aに、「2ND」図柄配列帯は中回胴5bに、「3RD」図柄配列帯は右回胴5cに対応している。
図柄配列帯200には、当選役(内部抽選(役抽選)により決定される役)に対応する図柄の組合せを構成するための図柄(構成要素図柄)が表示されている。この実施形態の場合、図示のように、図柄種として、上弾、下弾、赤7、BAR、リプレイ、ベルA、ベルB、スイカA、スイカB、チェリーなどの複数種類の図柄が設けられている。これらの図柄が回胴の回転方向に計20コマ配置され、図柄の並び順に沿って図柄番号0番〜19番のコマ番号が割り当てられている。
各回胴5a、5b、5cは、それぞれパルスモータからなる回胴駆動モータ211a、211b、211c(図4参照)により回転駆動され、各図柄の変動表示動作(変動表示および停止表示)が実現される。なお、回胴は、電気的駆動源により回転動作が制御されるような機械的な回胴に限らず、液晶表示装置などの画像表示装置に表示され、その画像表示により、図柄の変動表示動作を実行可能なものであってもよい。また、回胴数は適宜変更することができる。
回胴視認部3には、ここを斜めに横断する形で、入賞ライン3aが定められている。入賞ラインは、単位遊技(1ゲーム)に対する所定の賭数(ベット(BET)数)が設定されると有効として扱われる(本実施形態の場合、右下りラインの1ラインが有効となる)。この有効とされた入賞ライン(以下、「有効入賞ライン」と称する)上に、当選役に対応する図柄の組合せが停止した場合(図柄の組合せについて遊技価値を獲得するために必要な組合せとしてあらかじめ定められたものが遊技結果として導出表示された場合)、その図柄の組合せに応じた遊技価値が遊技者に付与されるようになっている。なお、入賞ラインを複数本設ける場合には、単位遊技(1ゲーム)に対するベット数に応じて有効として扱われるライン数を変化させることができる。また入賞ライン3aの本数やそのライン形態は適宜変更することができる。
また回胴視認部3の上側に設けられた第2の表示窓4は液晶画面視認部であり、前扉2の裏側に装着された画像表示装置としての液晶表示装置6(LCDユニット)の表示画面(液晶画面)6aが液晶画面視認部4に臨ませて、遊技者側から視認可能に配設されている。この液晶表示装置6は、演出を画像により表示する画像表示手段として働く。
回胴視認部3の下方の段部には、遊技メダルを投入するためのメダル投入口7、クレジット手段にクレジットされた範囲内(最大クレジット枚数:たとえば、50枚)において、1ゲームに対して許容される賭数の上限値(最大ベット数:たとえば、3枚)まで遊技メダルを一度に疑似投入しうるMAXベットボタン8、押した回数に応じて上記賭数の上限値まで遊技メダルを加算的に疑似投入しうる1ベットボタン9、クレジット精算を行うためのクレジット精算ボタン10などが設けられている。またMAXベットボタン8の内部には、MAXベットボタン8の操作が許容状態であるか否かを報知するためのMAXベットLED39(図4参照)が内蔵されている。なお、上記クレジット手段とは、遊技機に投入された遊技メダル、または入賞によって獲得した遊技メダルを所定の上限数(最大クレジット枚数:たとえば、50枚)まで貯留して、その貯留数(クレジット枚数)を電磁的方法によって記憶可能とする機能部(貯留装置)を意味する。
また回胴視認部3の上記段部の下側には、横長状に形成された操作パネル部14が設けられている。この操作パネル部14には、メダル投入口7内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン15、回胴5a、5b、5cの回転を開始させるための始動レバー11、各回胴5a、5b、5cの回転を個別に停止させるための3個の停止ボタン12a、12b、12c(左回胴停止ボタン12a、中回胴停止ボタン12b、右回胴停止ボタン12c)が設けられている。本明細書中では、特に必要のない限り、停止ボタン12a、12b、12cを「停止ボタン12」と略す。
前扉2の裏面側のメダル投入口7に対応する位置には、メダル投入口7に投入された遊技メダルが正規か否かを選別して、正規の遊技メダルを遊技機内部のホッパーユニット500(図4参照)に導くメダルセレクタ(図示せず)が設けられている。このメダルセレクタには、投入された遊技メダルを検出するメダル検出センサ7aが設けられ、また、投入された遊技メダルをホッパーユニット500に誘導するメダル受入通路側と、メダル受け皿18側に誘導するメダル返却通路側とを切り換え可能に構成されたブロッカーソレノイド7c(図4参照)による通路切換機構が設けられている。
また回胴視認部3の下部側には、横長状に形成された遊技パネル77が設けられている。この遊技パネル77の内側には、遊技者に対し、現在の遊技進行具合・遊技状況を報知するための各種の表示部が配設されている。図2に、遊技パネル77における各種の表示部を示す。
遊技パネル77には、
(a)遊技メダルの投入枚数(現在の賭数)を報知する「投入枚数表示部(投入枚数表示LED31、32、33)30」、
(b)クレジット枚数を表示する「クレジット枚数表示器(クレジット枚数表示部)34」、
(c)遊技結果(入賞)に応じて払い出される遊技メダルの枚数を報知する「払出枚数表示器(払出枚数表示部)35」、
(d)遊技メダルの投入が受付可能状態であるか否かを報知する「メダル投入表示LED(メダル投入表示部)36」、
(e)再遊技が作動中(再遊技中)であるか否かを報知する「再遊技作動LED(再遊技作動表示部)37」
(f)始動レバー11の操作が有効(遊技開始可能状態(回胴始動可能状態))であるか否かを報知する「遊技開始表示LED(遊技開始表示部)38」等の表示部が設けられている。
クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35は、7セグメント表示器により現在のクレジット枚数情報や遊技結果に応じた払い出し枚数情報を報知可能に構成されている。また、投入枚数表示LED33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38などは、その内蔵LEDの発光態様(消灯・点灯(点滅)、発光色など)により、現在の投入枚数、遊技メダルの投入が受付可能か否か、再遊技が作動中であるか否かの遊技状況を報知可能に構成されている。詳細は後述するが、払出枚数表示器35は、アシスト情報を報知するための主報知手段として機能する。
また操作パネル部14の下方には、色彩や文字や絵柄が施された装飾パネル部17が設けられ、この装飾パネル部17の下方には、前扉2と一体的に装着された横長状のメダル受け皿18が設けられている。このメダル受け皿18の遊技機本体側には、ホッパーユニット500(遊技メダル払出装置:図4参照)から払い出された遊技メダルや返却された遊技メダルをメダル受け皿18側に排出するためのメダル払出口19が開口している。
また前扉2の裏面側のメダル投入口7に対応する位置には、メダル投入口7に投入されたメダルが正規か否かを選別して、正規の遊技メダルをホッパータンクに導くメダルセレクタ43が配設されている。このメダルセレクタ43には、投入された遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a(図4参照)が形成されている。
また回胴視認部3の左右両側には、装飾ランプ13(光演出手段)が設けられている。この装飾ランプ13は、フルカラーLEDやELランプなどの発光手段を内蔵し、その発光態様(発光色や発光パターン)により、遊技に関する光演出効果を発揮する。また前扉2の前扉上部両側と前扉下部両側には、複数のスピーカ16(上部右スピーカ、上部左スピーカ、下部右スピーカ、下部左スピーカ)が設けられている。スピーカ16(音演出手段(音出力手段))は、遊技に関する音楽や効果音を出力して、遊技に関する音演出効果を発揮する。なお図示はしていないが、遊技機の適所に、遊技者が操作可能な「演出ボタン(演出用操作手段)」が設けられている。この演出ボタンは、その操作の前後で、特定の演出(遊技者参加型演出に変化をもたらすために利用される。
本発明における演出手段については、視覚、聴覚、触覚など、人間の五感を刺激することにより演出効果を発揮可能な手段であれば良く、装飾ランプ13やLED、図柄照射用バックライトLEDなどの光発生手段、演出表示装置、スピーカ16などの音響発生装置、遊技者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、または可動体役物などはその代表例である。なお上記演出表示装置とは、画像表示装置と同じく、視覚に訴える表示装置を意味するが、画像によらないもの(たとえば、7セグメントによる表示装置)も含む点で画像表示装置とは異なる。液晶表示装置6は画像表示装置の代表例であるが、画像表示装置の場合は主として画像表示により演出を表現するタイプを指し、7セグメントの表示装置のように画像以外の表示により演出を表現するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<制御装置:図4>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置について説明する。図4は、遊技動作制御を行うための制御装置の構成の概要を示す制御ブロック図である。なお、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付してある。
本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置は、遊技動作制御全般を司る主制御基板400(以下、「主制御部400」と称する)と、主制御部400から演出制御コマンドを受けて、演出動作制御(演出手段に対する演出制御)全般を司る演出制御部410と、外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する不図示の電源基板(電源制御手段)とを中心に構成される。演出制御部410は、演出制御基板420と液晶制御基板460とを含んで構成され、液晶制御基板460には液晶表示装置6が接続されている。なお、図4において電源供給ルートは省略してある。
(主制御部400)
主制御部400は、CPU(メインCPU401c)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作を実現する制御プログラムや各種データを不揮発的に記憶するROM(メインROM401a)と、作業データを揮発的に記憶するRAM(メインRAM401b)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
メインROM401aは、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に要する各種データとして、たとえば、回胴の停止制御に要するデータを定めた「停止テーブル(図示せず)」、内部抽選に要するデータを定めた「役抽選テーブル(図5A、図5B)」、内部抽選結果に係る各種データを設定するための「当選情報設定テーブル(図23A、図23B)」、各種抽選に用いる「AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A〜図28D)」、「AT抽選テーブル(図29A〜図29C)」、「フリーズ演出抽選テーブル(図30)」、「上乗せ抽選テーブル(図31A、図31B)」などを含む、遊技動作制御に必要な種々のデータ群が格納(記憶)されている。
またメインRAM401bは、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、メインCPU401cが上記遊技動作制御プログラムを実行していく際に、遊技の進行に伴い生成される各種の遊技データが処理状態に応じて格納され利用される。メインRAM401bにはこれら遊技データを保存するための格納領域が設けられている(たとえば図24(A)、図35のワークエリア参照)。
また図示はしていないが、主制御部400は、各種デバイスの入出力を制御するためのI/Oポート回路、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込コントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路なども備えている。
本実施形態では、CTCを利用して、メインCPU401cに1.5ms程度の時間間隔でタイマ割込み(図18)をかけている。またカウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタ(数値範囲:0〜65535)として働く(ハード乱数生成手段)。メインCPU401cは、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を抽選用乱数値RNDとして取得し、その乱数値RNDを、所定の抽選(たとえば、内部抽選(役抽選))に利用する。またメインCPU401cは、特定のレジスタの数値を更新してソフトウェア処理によるソフト乱数を生成し取得する機能部(ソフト乱数生成手段)を備える。なお、内部抽選用乱数は、狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。また詳細は後述するが、AT抽選状態移行抽選(図28A〜図28D)やAT抽選(図29A〜図29C)やフリーズ演出抽選(図30)や上乗せ抽選(図31A〜図31B)などの各種の抽選では、乱数値RNDに2バイト乱数のうちの1バイト分の値(上位1バイトまたは下位1バイト)を用いて抽選を実行するようになっている。
主制御部400には、遊技中継基板370を介して、メダル投入口7からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a、MAXベットボタン8の操作を検出するMAXベットスイッチ8a、1ベットボタン9の操作を検出する1ベットスイッチ9a、クレジット精算ボタン10の操作を検出するクレジット精算スイッチ10a、始動レバー11の操作を検出する始動スイッチ11a、各停止ボタンの操作をそれぞれ検出する停止スイッチ12a’、12b’、12c’を搭載した停止スイッチ基板360などが接続され、主制御部400はこれらからの検出信号を受信可能となっている。また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、ブロッカーソレノイド7cが接続され、主制御部400は、ブロッカーソレノイド7cに対してソレノイド制御用の励磁信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、遊技表示基板390が接続されている。この遊技表示基板390には、LED表示器である、投入枚数表示LED31〜33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38、MAXベットLED39などが搭載され、また7セグメント表示器である、クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35などが搭載されており、主制御部400は、これら表示器を発光制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、回胴中継基板330を介して、回胴装置210の回胴5a、5b、5cを回転駆動するための回胴駆動モータ211a、211b、211cが接続され、主制御部400は、これら回胴駆動モータを駆動させるための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、回胴中継基板330を介して、各回胴5a、5b、5cの回転位置(基点からの現在位置)や回胴の回転状態を検出するための回胴位置検出センサ(インデックスセンサ)212a、212b、212cが接続され、主制御部400は、これら回胴位置検出センサからの検出信号を受信可能となっている。主制御部400は、回胴位置検出センサからの検出信号に基づき、各回胴の現在位置や回転状態を把握可能となっている。
また主制御部400には、払出中継基板350を介して、ホッパーユニット500が接続されている。ホッパーユニット500には、上記排出用ディスクを駆動するためのホッパーモータ510と、ホッパーモータ510の動作を制御する払出制御基板450と、メダル受け皿18に向けて排出される遊技メダルを検出するためのメダル払出センサ520とが設けられている。
主制御部400は、遊技メダルの払い出しが必要な場合、払出制御基板450に対して払出枚数を指定する「払出制御コマンド」を送信し、払出制御基板450は、当該払出制御コマンドを受信すると、ホッパーモータ510を駆動制御して、指定された枚数分の遊技メダルを1枚ずつ払い出すようになっている。払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ520により検出され、その検出信号は主制御部400に入力される。主制御部400は、メダル払出センサ520からの検出信号に基づいて、払い出し枚数や、遊技メダルの払い出し状態を監視する。
また主制御部400には、払出中継基板350を介して、満杯検知金具600が接続されている。この満杯検知金具600は、ホッパーユニット500から溢れた余剰の遊技メダル貯留する補助タンク(図示せず)の満杯状態(オーバーフロー異常)であるか否かを検出する。主制御部400は、満杯検知金具600からの検出信号に基づき、遊技機内部の遊技メダルが満杯状態である否かを監視する。
また主制御部400には、外部集中端子基板310が接続されている。主制御部400は、この外部集中端子基板310を介して、遊技機外部のホールコンピュータHCに対し、所定の遊技情報(たとえば、ゲーム開始情報、遊技メダルの投入・払出枚数情報、入賞の発生情報、ボーナス遊技発生情報など)を送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、主制御部400から送られてくる遊技情報に基づき、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理する。
主制御部400は、保安電子通信技術協会(保通協)で実施される型式試験に対応して、遊技動作をリアルタイムに特定する型式試験信号を外部集中端子基板310から出力可能な構成となっている(後述の図11の条件装置信号出力処理(ステップS107)、図12参照)。なお、型式試験に適合した遊技機をパチンコホールに設置する際には、その適合した制御プログラムの変更は一切認められていない。このため、パチンコホールに設置後も型式試験信号が繰り返し出力されることになる。
また主制御部400には、回胴設定基板430が接続され、回胴設定基板430からの検出信号を受信可能となっている。回胴設定基板430には、図示はしていないが、所定の動作エラーを解除するためのリセットスイッチ、設定値を変更するための設定変更スイッチ、その設定変更スイッチを有効化するための設定キースイッチなどが搭載され、回胴設定基板430は、これらスイッチが操作されたことによる検出信号を主制御部400に送信可能となっている。
上記「設定値」とは、遊技者に作用する利益状態などの特定事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味し、所謂、機械割やPAYOUT率(出玉率)などの遊技者に付与する利益の期待値を段階別(たとえば、設定1〜6の6段階)に規定するものである。この設定値は、専ら、パチンコホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員により適宜設定される。本実施形態では、設定値1〜6の順で機械割(出玉率)が高くなるように定められており、設定値が高くなるほど、特定の抽選(内部抽選(役抽選)やAT抽選(図29A〜図29C)や上乗せ抽選(図31A〜図31B)など)が優遇され、遊技者に及ぼす利益度合いが有利に作用する。なお、どのような抽選を優遇するかについては遊技性に応じて適宜定めることができる。
また主制御部400には、演出I/F基板340を介して、演出制御部410(演出制御手段)を構成する演出制御基板420が接続されている。この演出制御基板420の主な役割は、演出手段に対する演出の現出制御である。具体的には、主制御部400からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の決定、液晶制御基板460への液晶制御コマンドの送信、スピーカ16の音制御、装飾ランプ13や各種演出用LEDの発光制御、可動体役物(図示せず)の動作制御などである。
また上記した演出制御基板420には、演出I/F基板340を介して、液晶制御基板460が接続されている。この液晶制御基板460の主な役割は、演出制御基板420からの液晶制御コマンドの受信、液晶制御コマンドに基づく液晶表示装置6の画像表示制御などである。
主制御部400は、処理状態に応じて遊技に関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし主制御部400は、演出制御部410(演出制御基板420)に対して信号を送信するのみで、演出制御部420からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。これは、外部からのゴト行為による不正な信号が、演出制御部410を介して主制御部400に入力されることを防止するためである。
(演出制御部410(演出制御基板420、液晶制御基板460))
次に、演出制御部410を構成する演出制御基板420について説明する。演出制御基板420は、CPU(サブCPU421c)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM(サブROM421a)と、RAM(サブRAM421b)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成されている。
サブROM421aは、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またサブRAM421bは、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。
また図示はしていないが、演出制御基板420は、各種デバイスの入出力を制御するためのI/Oポート回路、タイマ割込/割込禁止機能などを備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビットカウンタ、8ビットカウンタ)なども備えている。サブCPU421cは、処理状態に応じて、乱数生成回路が示している数値を演出抽選用乱数値として取得し、その乱数値を演出抽選に利用する。
また演出制御基板420は、主制御部400からの演出制御コマンドを受けて、光、音、または可動体役物による演出を現出するために、装飾ランプ13や各種演出用LED(たとえば、図柄照射用バックライトLED)を含む光表示装置(光演出手段)に対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置(音演出手段)に対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物を動作させるための可動体役物モータに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。演出制御基板420は、これら制御部に対し、各演出手段を制御するための制御信号を送信可能となっている。
また演出制御基板420には、演出ボタンの操作を検出するための演出ボタン用スイッチ(図示せず)が接続され、演出制御基板420は、演出ボタンからの操作検出信号を受信可能となっている。
また液晶制御基板460は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROM(CGROM)と、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力するCPU(液晶制御CPU)と、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラム(たとえば、アニメーションによる演出表示を実現するための画像表示順序や表示時間などの描画処理手順に関するプログラムなど)を格納するROM(液晶制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM(液晶制御RAM)などを中心に構成されている。
演出の現出制御については、演出制御基板420(サブCPU421c)が主制御部400から送られてくる所定の演出制御コマンドに基づき、現出すべき演出シナリオを選択的にあるいは一意に決定する。上記演出シナリオは、複数種類の演出パターンを含んで構成される広義の意味での演出であり、個々の演出パターンは、演出シナリオを構成する一要素(パーツ演出)として機能する。演出制御基板420は、決定した演出シナリオに従い、音演出や光演出や可動体演出の現出が必要なタイミングで、上記音響発生装置や光表示装置やモータ駆動回路などに対して専用の制御信号(音制御信号、光制御信号、駆動制御信号)を送信し、また液晶表示装置6に表示する画像再生が必要なタイミングで、液晶制御コマンドを液晶制御基板460に対し送信する。液晶制御基板460は、演出制御基板420からの液晶制御コマンドを受け、それに応じて表示駆動信号を生成し、表示駆動信号を液晶表示装置6に供給して、画像表示演出を現出させる。これにより、演出シナリオに沿った、画像表示演出(演出画像表示)、音演出(音の再生)、光演出(LED・ランプ等の点滅点灯駆動)、可動体演出(役物の動作)が実現され、種々の演出パターンが時系列的に、次々にあるいは複数同時に展開されることにより、1ゲーム中の演出が実現される。斯様な演出には、役抽選結果(内部抽選結果)情報やAT抽選結果に関する情報を報知しうる予告演出や、フリーズ演出、現在の遊技状態に関する情報を報知しうる状態報知演出、アシスト報知演出、複数ゲームにわたって現出される連続演出などはその代表例である。
また演出制御基板420は、主制御部400から送られてくる特定の演出制御コマンド(たとえば、遊技状態情報を含むコマンド)を受けて、現在の遊技状態を把握し、複数種類の演出モード間の移行制御を実行可能に構成される。演出制御基板420は、主制御部側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、演出モードの移行制御を行い、現在の遊技状態に関連した適切な演出を現出させる。
また演出制御基板420の割込端子INT(図示せず)は、コマンド伝送ラインのうち、主制御部400側がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU421cは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またサブCPU421cは、メインCPU401cとは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、メインCPU401c(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部410(演出制御基板420)にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、サブCPU421cが確実にコマンドを受信可能とする所定期間、メインCPU401cによりアクティブ状態に制御される。また液晶制御コマンドの送信に際しては、演出制御基板420は割り込み用ストローブ信号を発生し、液晶制御基板460にMODE信号とEVENT信号とで構成される2バイト長の液晶制御コマンドを前後して送信する。
(遊技動作の概要)
次に、遊技動作の概要を説明する。主制御部400は、所定の遊技開始条件の下、始動レバー11の操作を検出したことを契機に役抽選(内部抽選)を実行し、回胴の回転制御を実行する。詳しくは、主制御部400は、メダル投入信号(メダル検出センサ7a、MAXベットスイッチ8a、または1ベットスイッチ9aからの検出信号)に基づき、遊技開始可能となる規定枚数(たとえば、3枚)の遊技メダルが投入されたか否かを監視し、当該規定枚数の投入を確認すると、始動スイッチ11aからの操作信号の入力受付を有効化、つまり「遊技開始可能状態」に設定する。この遊技開始可能状態下で、始動スイッチ11aからの操作信号の入力を確認した場合、上記内部抽選用乱数値と図4A〜図4Bに示す「役抽選テーブル」とに基づいて、内部抽選を実行する。主制御部400は、内部抽選処理により、いずれの役に当選したのか、そうでない‘ハズレ’であるのかを決定し、その抽選結果情報を所定の処理が終了するまでメインRAM401b(主制御RAM)の所定領域に格納(設定)する。この抽選結果情報は、原則として、1ゲーム毎にクリアされるようになっている。
(役抽選テーブル:図5A、図5B)
図5Aおよび図5Bに、本実施形態に係る役抽選テーブルを例示する。役抽選テーブルには、各遊技状態(ここでは、後述のRT0〜RT3遊技中、BB内部中(RT4遊技中))、BB中(ボーナス遊技中))に応じた複数の役抽選テーブルが設けられている。
また役抽選テーブルには、設定値1〜6に応じた役抽選テーブルが設けられている。たとえば、RT0〜RT3遊技に対応する役抽選テーブルについて、1または複数種類の特定の抽選対象役(たとえば、BB1、BB2、共通ベルAなど)の抽選確率が設定値に応じて異なり、特定の抽選対象役の抽選確率は、設定値が高くなるほど、遊技者に有利に作用するように定められている。なお図示では、特定の設定値(たとえば、設定値6)に対応した役抽選テーブルを代表的に示し、他の設定値に対応する役抽選テーブルについては、重複記載を避けるために図示を省略する(後述の図28A〜図28D、図29A〜図29C、図30などに示す各抽選テーブルについても同様)。
「役抽選テーブル」には、図示の通り、抽選対象役(役抽選の対象となる役)に対応した当選領域(判定値)を有する抽選領域(抽選領域の大きさは、65536)が定められており、これにより各役の当選確率(「判定値/抽選領域」の大きさ:内部当選確率)が規定される。この実施形態の場合、抽選対象役として、不当選(ハズレ)を含む49種類の抽選対象役が設けられており(各役についての詳細は後述する)、主制御部400は、役抽選テーブルを参照し、内部抽選乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、いずれの役に当選したのか不当選(ハズレ)であるのかを決定する。また図示の通り、遊技状態に応じて、抽選対象役の種類や当選確率などが異なっており(たとえば、特定のリプレイ役種別)、これにより遊技内容の豊富化を図っている。なお、役抽選テーブルは、後述の内部的遊技状態種別や遊技モード種別(図34)に応じて、いずれの役抽選テーブルを用いるのかを決定可能に構成してもよい。
上記の内部抽選処理を終えると、主制御部400は、回胴駆動モータ211a〜211cを駆動制御し、各回胴5a〜5cを回転始動させ、各回胴を略一定速度で回転させる。これにより、各回胴を回転させる回転動作を実現している。ただし、後述のフリーズ演出(レバー操作時フリーズ)を実行する場合は、所定のフリーズ時間を待って、通常の回転動作を開始させる。
各回胴が略一定速度で回転されると、主制御部400は、停止スイッチ12a’〜12c’からの操作信号の入力受付を有効化、つまり「停止操作許容状態」に設定する。この停止操作許容状態下で、停止スイッチ12a’〜12c’からの操作信号の入力を確認した場合、そのタイミングで、特定位置(たとえば、図7の下段横ライン上)に存在する図柄番号を停止対象となった回胴に係る「停止操作図柄番号」として取得し、その停止操作図柄番号からどれだけのコマ数(滑りコマ数)分移動させて回胴を停止させるかを定めた「停止テーブル(図示せず)」から割り出し、目的の位置に回胴を停止させる。
上述の「停止テーブル」には、最大引き込みコマ数範囲内(本実施形態では最大4コマ)で、上記「停止操作図柄番号」に対する滑りコマ数を定めた停止データが定められており、最大引き込みコマ数範囲内において特定の図柄を有効入賞ライン上に引き込んで停止させる、所謂「引き込み制御」を実行可能となっている。これにより、当選役に対応する図柄の組合せ(入賞役)を有効入賞ライン上に引き込んで停止させる、回胴の停止制御(引き込み制御)が実現される。斯様な「引き込み制御」の特性を利用し、各回胴の図柄配列帯200における図柄に対応した滑りコマ数や引き込み率などを定めれば、当選役の構成要素図柄を停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)によらずに有効入賞ライン上に停止可能にしたり(引き込み率100%にする)、停止操作手順によっては、最大滑りコマ数引き込んでも有効入賞ライン上に停止不可能にして、所謂「取りこぼし」を生じさせることができる。
なお、内部抽選によりいずれの役にも当選していない「不当選(ハズレ)」の場合は、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止させない回胴の停止位置が決定される。したがって、「ハズレ」となったゲームでは、回胴の停止操作手順によらず、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止することはなく、遊技結果は常に「ハズレ」となる。
<役構成について:図6A〜図6D>
次に図6A〜図6Dを参照しながら、本実施形態に係る役構成について説明する。図6A〜図6Dは、図5A〜図5Bに示す抽選対象役が当選した場合の当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別)とその役名称、その図柄の組合せを成立させるための停止操作手順、および配当(遊技価値)などの関係を例示したものである。
なお、図6A〜図6Dに示す「左回胴」「中回胴」「右回胴」のそれぞれの欄に対応する図柄は、回胴5a、5b、5cにおける有効入賞ライン上の停止図柄を示す。また図中の「押し順」の欄に関する「左」「中」「右」の表記について、「左」は停止操作対象が左回胴5a、「中」は中回胴5b、「右」は右回胴5cを意味し、同欄の「左中右」や「第1停止左」などの表記は、同図の「入賞役種別」の欄に対応した図柄の組合せを成立させるための回胴の停止操作順番(押し順)を示す。たとえば、上記「左中右」の表記は、左回胴5a、中回胴5b、右回胴5cのこの順番で回胴を停止させる押し順を意味し、「第1停止左」の表記は、第1番目の停止操作を左回胴5aとする押し順を意味する。以下、説明の便宜上、必要に応じて、第X番目の停止操作を「第X停止」と略し、「第X番目に停止操作対象とする回胴」を「第X停止左」「第X停止中」「第X停止右」等と略す。ただし、図示の抽選対象役種別の中には、その役が当選した場合、その当選役に対応する図柄の組合せを入賞させる条件として、押し順だけでなく、所定の停止操作タイミングを要する場合もある。
本実施形態では、図5A〜図5Bに示す通り、複数種類の抽選対象役(抽選番号1〜48)が設けられている。これら抽選対象役は、性能の異なる役種別として、後述の「ボーナス遊技」の移行契機となる「特別役種」に属するものと、そうでない「一般役種」に属するものとに大別され、さらに「一般役種」は、‘所定枚数の遊技メダルの払い出し(払い出し0枚を含む)’を伴う「小役種」に属するものと、‘再遊技’を伴う「リプレイ役種(再遊技役種)」に属するものとに分類される。
本実施形態の場合、上記した特別役種には「BB1、BB2」(抽選番号41、42)が設けられており、小役種には「弱チャンス1〜押順ベル種別」(抽選番号20〜40)が設けられており、リプレイ役種には「通常リプレイ、移行リプレイ種別、7リプ種別、BARリプ種別」(抽選番号1〜19)」などが設けられている(図5A〜図5B、図6A〜図6D)。
なお上記「再遊技」とは、遊技メダル(遊技媒体)等の投入(クレジット手段により、またはその他の装置の操作により遊技メダルを遊技の用に供することを含む)をすることによらずに行うことができる遊技をいう。具体的には、今回のゲームで使用した遊技媒体量(投入枚数)と同一量(同一枚数)を疑似的に付与(自動投入)して、次回のゲーム開始条件を付与する。この再遊技は、遊技者が遊技メダルを減らすことなく次回のゲームが可能になるという点で、遊技メダルと同様に遊技価値を有するものといえる。また遊技者に付与される遊技価値には、再遊技や遊技メダルの他、遊技状態の移行、遊技状態移行抽選(たとえば、後述のAT抽選や上乗せ抽選)の実行権利なども含まれる。また、遊技価値には、遊技者に有利に作用するものに限らず、遊技者に不利に作用するもの(たとえば、有利な遊技状態よりも利益度合いの低い他の遊技状態への転落移行など)も含まれる。
上記抽選対象役のいずれかが内部抽選により当選役として決定された場合、その当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役)が有効入賞ライン上に停止表示することが許容される。詳しくは、内部抽選により当選役が決定された場合、その当選役に対応する1または複数種類の内部当選フラグが成立し、その成立した内部当選フラグに対応する図柄の組合せ(入賞役)が、有効入賞ライン上に停止表示することが許容される。したがって、当選役によっては、1回の内部抽選で内部当選フラグが複数種類成立して、対応する図柄の組合せ(入賞役)が複数種類存在するものもある。たとえば、後述のRT2移行リプレイ(抽選番号1〜7)は、その当選により、入賞役として、通常リプレイとRT2移行リプレイの2種類の入賞役の入賞を許容する。斯様な抽選対象役は、1回の内部抽選で複数の役に同時当選(1回の内部抽選で複数の当選役が決定される)したことと同義であり、1回の内部抽選で複数種類の役に同時当選(重複当選)可能な「重複役」として扱うことができる。本実施形態では、この「重複役」のように、当選役とその当選役により許容される停止図柄態様(入賞役)とを1対Nに対応させた抽選対象役を設け、一つの当選役に対して、これを実効化するための停止図柄態様を複数種類設けることで、遊技内容の豊富化を図っている。このような重複役としての性質を有するものには、後述の移行リプレイ種別(抽選番号1〜15)、7リプレイ〜BARリプフェイク(抽選番号16〜19)、チャンスベル(抽選番号28)、押順ベル種別(抽選番号29〜40)などがある。
なお本明細書中では、当選役に対応して、有効入賞ライン上に停止する図柄の組合せを「入賞役」と称する場合があり、この入賞役として扱われる図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止(成立)することを「入賞」と称する場合がある。なお「取りこぼし」が発生した場合の特定の停止図柄表示態様(所謂「取りこぼし目」)も入賞役の一態様として扱うことができる。また本明細書中において、「図柄1/図柄2/・・/図柄N」の表記は、「図柄1、図柄2、・・・、または図柄N」の意であり、たとえば、上述の「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」という表記であれば、「リプレイ」−「ベルA」−「上弾」の図柄の組合せ、または「リプレイ」−「ベルA」−「チェリー」の図柄の組合せを意味する。
(疑似入賞ライン)
ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず図6を参照して、仮想的な入賞ライン(以下、「疑似入賞ライン」と称する)と有効入賞ラインとの関係について説明しておく。
本実施形態の抽選対象役には、当選した場合に、押し順にかかわらず、対応する入賞役の入賞を許容しうる「押順不問役」や、少なくとも押し順に応じて異なる入賞役の入賞を許容しうる「押順規定役」などが含まれ、多種多様な役により遊技性の豊富化を図っている。
このように多種多様な役を設けて遊技性の幅を広げる場合、従来から多くの回胴式遊技機に見られるように、たとえば、図7(A)(B)に示す「右下りライン」「左下りライン」「上段横ライン」「中段横ライン」および「下段横ライン」の計5本の入賞ラインを有効入賞ラインとして扱う所謂「5ライン機」のように、多数の有効入賞ラインを設けてしまうと、引き込み制御や役の構成要素図柄や図柄配列帯200における図柄配置構成などの関係上、遊技機を設計する上で役構成が複雑化して、役の種類を制限せざるを得なくなり、遊技性の自由度が阻害されてしまう。
そこで本実施形態では、有効入賞ラインを少なくしたもの、たとえば図7(A)に示すような「右下りライン」だけの1ラインを有効入賞ラインとして扱う「1ライン機」とし、図7(B)の破線のラインである「左下りライン」「上段横ライン」「中段横ライン」および「下段横ライン」を、仮想的な入賞ライン(以下、「疑似入賞ライン」と称する)とし、これにより、一般的な「5ライン機」を模した入賞ラインを形成している。斯様な有効入賞ラインと疑似入賞ラインとの関係は、次のようになる。たとえば、図6Aに示す「通常リプレイA」が当選した場合、有効入賞ライン上には「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」という一見してバラケ目が停止するが、疑似入賞ライン上の‘上段横ライン’上には、「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」(リプレイ図柄揃い)という同一図柄の組合せが停止する(上段リプレイ表示)。このように、有効入賞ライン上には、一見して、ハズレのようなバラケ目が停止するようになっているが、疑似入賞ライン上の観点から見ると、遊技者が認識し易い特定の図柄の組合せが停止するようになっている。他の役についても同様に、疑似入賞ライン上に、遊技者が認識し易い図柄の組合せや、特定の停止目が停止しうるものがある(たとえば共通ベルA(抽選番号27)や押順ベル種別(抽選番号29〜40)など)。ここで混同してはならないのは、上記した「バラケ目」のような図柄の組合せが、実際の当選役に対応する図柄の組合せ(真の入賞役)であり、疑似入賞ライン上に停止する図柄の組合せは、有効入賞ライン上に停止する真の入賞役の代替の図柄の組合せとして導出表示される仮想的な入賞役(仮想入賞役)である。
上記のような疑似入賞ラインを形成すれば、疑似入賞ライン上には、一見して同じ性能を有する図柄の組合せ(仮想入賞役)が停止した場合であっても、実際の有効入賞ライン上には、異なる性能の図柄の組合せ(真の入賞役)を停止させることができる。たとえば、第1の役に当選した場合には、上段横ラインに第1の図柄の組合せを停止させ、第2の役が当選した場合には、同一の第1の図柄の組合せを左下りラインに停止させるが、有効入賞ライン上には、それぞれ異なる図柄の組合せを停止させることが可能になる。これにより、第1の役が当選した場合と第2の役が当選した場合とで、ぱっと見、同じ入賞役が停止したように見えるが、実際には異なる入賞役が有効入賞ラインに成立(入賞)しているので、異なる配当が付与されることになる。このように疑似入賞ラインや有効入賞ラインの役割をうまく利用することにより役構成の自由度が増し、遊技内容の豊富化を図ることができる。
なお、疑似入賞ライン上に停止した仮想入賞役を、真の入賞役であると遊技者が誤認する恐れが生じる場合には、液晶画面6aの所定の表示領域に真の入賞役を示す特別な画像を表示することが好ましい。たとえば、後述する「7リプレイ」に対応する「赤7図柄揃い」を疑似入賞ライン上に停止可能に構成する場合は、有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せ(真の入賞役)が、疑似入賞ライン上に成立した「赤7揃い」という役であると遊技者が誤認しないように、液晶画面6aの所定の表示領域(たとえば、右隅部)に真の入賞役を示す画像を表示することが好ましい(他の役についても同様)。
再び図6A〜図6Dの説明に戻り、本実施形態に係る役構成(抽選対象役種別、当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別)および配当などの関係)について説明する。なお以下では、説明の便宜上、「図柄の組合せ」の欄に示すには、有効入賞ライン上に停止する‘真の入賞役’側を表記してある。また図6A〜図6Dの当選番号と当選役種別の欄の記載は、図5A〜図5Bに示す役抽選テーブルの抽選番号と抽選対象役種別の欄の記載に対応している。
(リプレイ役種:当選番号(抽選番号)1〜19)
図6A〜図6Bを参照して、まずリプレイ役種別(抽選番号1〜19)について説明する。本実施形態のリプレイ役種別には、上記押順不問役に属する「押順不問再遊技役(押し順によらず、特定のリプレイ図柄の入賞を許容するリプレイ役)」と、上記押順規定役に属する「押順規定再遊技役(押し順に応じて、異なる図柄の組合せ(入賞役)の入賞を許容するリプレイ役)」などが設けられている。
(通常リプレイ:抽選番号1)
まず、抽選番号1の通常リプレイAについて説明する。
図6Aに示すように、通常リプレイAの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)となっている。この通常リプレイAは、上記「押順不問役(押順不問再遊技役)」に属するものであり、対応する図柄の組合せ(通常リプレイ)を入賞させるための停止操作タイミングも必要としない。なお、通常リプレイが有効入賞ライン上に停止した場合、疑似入賞ラインの上段横ライン上には、リプレイ図柄揃いが表示される(上段リプレイ表示)。この点について、当選した場合に通常リプレイの入賞を許容する、後述のRT2移行リプ種別やRT1転落リプ種別などについても同様である(図6A、図7参照)。
(移行リプレイ種別:抽選番号2〜15)
次に、抽選番号2〜15の「移行リプレイ種別」について説明する。これら移行リプレイ種別は、上記「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属するものであり、性能の違いにより、「RT2移行リプ種別(抽選番号2〜7)」、「RT1転落リプ種別(抽選番号8〜10)」、「RT3昇格リプ種別(抽選番号11〜15)」に分類される。
(RT2移行リプ種別:抽選番号2〜7)
まず、抽選番号2〜7の「RT2移行リプ」種別について説明する。RT2移行リプ種別には、図5Aに示すように、RT2移行リプ123〜RT2移行リプ321の計6種類のRT2移行リプが設けられている。
上記RT2移行リプ123〜RT移行リプ321は、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、押し順に応じて、遊技者にとって有利に作用しうる入賞役(有利入賞役)か、または不利に作用しうる入賞役(不利入賞役)が有効入賞ライン上に停止(入賞)しうるように定められている。これらRT2移行リプ123〜RT移行リプ321は、主に、有利入賞役または不利入賞役の入賞に関する押し順が異なる点を除き(図6Aの「押し順」欄参照)、その他の内容は実質的に同じであるので、ここでは重複記載を避けるために、抽選番号1の「RT2移行リプ123」を代表的に説明する。
(RT2移行リプ123について)
「RT2移行リプ123」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」の図柄の組合せ(RT2移行リプレイ:右斜めリプレイ表示)と、(2)通常リプレイAと同様の「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ:上段リプレイ表示)となっている。つまり、RT2移行リプ123が当選役として決定された場合、入賞役として、RT2移行リプレイと通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。換言すれば、RT2移行リプ123は、その当選により、RT2移行リプレイの入賞を許容する役と、通常リプレイの入賞を許容する役(通常リプレイA)とに重複当選可能な「重複役」としての性質を有するものといえる。
次にRT2移行リプ123の当選により入賞が許容される図柄の組合せについて、停止制御の観点から具体的に説明すれば、次の通りである。
(押し順が「左中右」の場合)
図5Aに示すように、RT2移行リプ123が当選した場合、押し順が「左中右」の場合には、RT2移行リプレイが有効入賞ライン上に停止(入賞)するように回胴の停止制御(引き込み制御)が行われる。
(押し順が「左中右」以外の場合)
これに対し、押し順が「左中右」以外の押し順である場合には、RT2移行リプレイではなく、通常リプレイが有効入賞ライン上に停止するように回胴の停止制御が行われる。
なお、RT2移行リプ種別については、図6A「押し順」の欄から分かるように、それぞれに割り当てられた所定の押し順である場合には、「RT2移行リプレイ」が有効入賞ライン上に停止し、その割り当てられた所定の押し順とは異なる押し順の場合には、「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する。また本実施形態の場合、RT2移行リプ種別に係る入賞役を入賞させるためには、押し順だけが関係し、停止操作タイミングを必要としないものとなっている(本実施形態の場合、後述のRT1転落リプ種別、RT3昇格リプ種別についても同様)。またRT移行リプレイを入賞させる押し順については、各RT2移行リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT2移行リプ123の配当について)
上記「通常リプレイ」または「RT2移行リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、RT2移行リプレイが入賞した場合は、再遊技の他に、「RT1遊技よりも高利益状態のRT2遊技に昇格移行する(リプレイ確率は「RT1遊技<RT2遊技」の関係:後述の図8参照)」)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与されるようになっている。一方、「通常リプレイ」が入賞しても遊技状態の移行は無く、現在のRT遊技が維持される。この点において、RT2移行リプ種別に係るRT2移行リプレイは有利入賞役側の入賞役(通常リプレイよりも遊技価値が高い入賞役)、通常リプレイは不利入賞役側の入賞役(RT2移行リプレイよりも遊技価値が低い入賞役)となっている。このように、RT2移行リプ123は、その当選に起因して(ここでは、入賞に起因)、一の遊技状態から他の遊技状態への移行契機となる「状態移行契機役」として働く(他のRT2移行リプレイ種別も同様)。RT2移行リプレイ種別と同じく、状態契機役として働く役には、後述のRT1転落リプレイ種別(抽選番号8〜10)やRT3昇格リプレイ種別(抽選番号11〜15)や押順ベル種別(抽選番号29〜40)などがある。なお、各RT遊技の内容や各RT遊技間の移行制御については、図8にて詳述する。
ここで、図6A〜図6D、図5A〜図5Bの「当選役種別」の欄の役名称に付されているアラビア数字は、特定の入賞役が入賞しうる押し順を簡易表記したものであり、基本的には、有利入賞役側の押し順を示している。たとえば「RT2移行リプ123」の場合、「123」のアラビア数字表記部について、「1」の表記は左回胴5a、「2」の表記は中回胴5b、「3」の表記は右回胴5cに対応し、「123」の表記は、「左中右」の押し順を意味している。他の表記も同様に、「132」は‘左中右’を、「213」は‘中左右’を、「231」は‘中右左’を、「312」は‘右左中’を、「321」は‘右中左’を意味する。また、「1XX」の表記は‘第1停止左回胴、残りの回胴の押し順は不問’、「2XX」は‘第1停止中で残りの回胴の押し順は不問’、「3XX」は‘第1停止右回胴、残りの回胴の押し順は不問’を意味する。
(RT1転落リプ種別:抽選番号8〜10)
次に、抽選番号8〜10の「RT1転落リプ」種別について説明する。
RT1転落リプ種別には、図5Aに示すように、RT1転落リプ1XX〜RT移行リプ3XXの計3種類のRT1転落リプが設けられている。RT1転落リプ種別は、上記RT2移行リプ種別と同様に、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属する。
上記RT1転落リプ1XX〜RT移行リプ3XXは、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、重複記載を避けるために、抽選番号9の「RT1転落リプ1XX」を代表的に説明する。なお、上記した「RT2移行リプ種別(RT2移行リプレイ123)」と実質的に同じ内容については、重複記載を避けるためにその説明は適宜省略する。
(RT1転落リプ1XXについて)
「RT1転落リプ1XX」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)と、(2)「リプレイ」−「リプレイ」−「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(転落リプレイ)となっている。つまり、RT1転落リプ1XXが当選役として決定された場合、転落リプレイと通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
RT1転落リプ1XXが当選した場合、図示のように、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、上述した「RT2移行リプ123」と同事象のように、押し順に決定される。具体的には、押し順が「第1停止左」の場合には「通常リプレイ」が、それ以外の押し順の場合には「転落リプレイ」が有効入賞ライン上に停止(入賞)するようになっている。他のRT1転落リプ(転落リプ2XX〜RT1転落リプ3XX)についても同様に、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順に応じて決定される。また「通常リプレイ」または「転落リプレイ」を入賞させる押し順については、各RT1転落リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT1転落リプ1XXの配当について)
上記「通常リプレイ」または「転落リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、転落リプレイが入賞した場合は、配当として再遊技の他に、「RT2遊技やRT3遊技から、利益状態が相対的に低いRT1遊技に転落移行される(リプレイ確率が「RT1遊技<RT2遊技、RT3遊技」の関係:後述の図8参照)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与される。一方、通常リプレイが入賞しても遊技状態の移行は無く、現在のRT遊技が維持される(RT遊技移行無し)。この点において、RT1転落リプ種別に係る通常リプレイは有利入賞役側の入賞役(転落リプレイよりも遊技価値が高い入賞役)、転落リプレイは不利入賞役側の入賞役(通常リプレイよりも遊技価値が相対的に低い入賞役)としての位置付けとなっている。
(RT3昇格リプ種別:抽選番号11〜15)
次に、抽選番号11〜15の「RT3昇格リプ」種別について説明する。
このRT3昇格リプ種別には、図5Aに示すように、RT3昇格リプ1XX〜RT移行リプ321の計5種類のRT3昇格リプが設けられている。RT昇格リプ種別は、上記RT2移行リプ種別と同様に、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属する。
また、上記RT3昇格リプ1XX〜RT移行リプ321は、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、ここでは重複記載を避けるために、抽選番号11の「RT3昇格リプ1XX」を代表的に説明する。なお、上記した「RT2移行リプ種別(RT2移行リプレイ123)」と実質的に同じ内容については、重複記載を避けるためにその説明は適宜省略する。
(RT3昇格リプ1XXについて)
「RT3昇格リプ1XX」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「スイカA/スイカB/赤7」−「リプレイ」−「スイカA/スイカB/赤7」の図柄の組合せ(RT3昇格リプレイ(中段リプレイ表示))と、(2)「リプレイ」−「リプレイ」−「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(転落リプレイ)となっている。つまり、RT3昇格リプ1XXが当選役として決定された場合、RT3昇格リプレイと、転落リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
RT3昇格リプ1XXが当選した場合も、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、上述した「RT2移行リプ123」と同事象のように、押し順に決定される。具体的には、押し順が「第1停止左(第1停止が左回胴5a)」の場合には「RT3昇格リプレイ」が、それ以外の押し順の場合には「転落リプレイ」が有効入賞ライン上に停止するようになっている。他のRT昇格リプについても同様に、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順に応じて決定される。また、RT3昇格リプレイを入賞させる押し順については、各RT3昇格リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT3昇格リプ1XXの配当について)
上記「RT3昇格リプレイ」または「転落リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、RT3昇格リプレイが入賞した場合は、配当として再遊技の他に、「RT2遊技から、利益状態が相対的に高いRT3遊技に昇格移行される(転落リプレイ確率が「RT2遊技>RT3遊技」の関係:図5A参照)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与される。一方、転落リプレイが入賞した場合には、前述したように「RT2遊技、RT3遊技からRT1遊技に転落移行される」といった遊技価値が付与される。この点において、RT3昇格リプレイ種別に係るRT3昇格リプレイは有利入賞役側の入賞役、転落リプレイは不利入賞役側の入賞役となっている。
(7リプレイ:抽選番号16)
次に、抽選番号16の「7リプレイ」について説明する。
図6Bに示すように、7リプレイの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「赤7/リプレイ」−「赤7/ベルA」−「赤7/上弾/チェリー」の図柄の組合せ(7リプレイ(赤7揃い)または通常リプレイ(上段リプレイ表示))、(2)「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ(上段リプレイ表示))となっている。つまり、7リプレイが当選役として決定された場合、7リプレイと、通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
「7リプレイ」は「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順により決定される。具体的には、図6Bに示すように、「第1停止右」の場合には「7リプレイ(赤7図柄揃い)」が有効入賞ライン上に停止可能であり、それ以外の押し順の場合には「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する。ただし、「7リプレイ(赤7図柄揃い)」は、押し順が一致し、かつ特定の停止操作タイミング(赤7図柄を引き込み可能な停止操作タイミング)で停止操作した場合には有効入賞ライン上に停止(入賞)し、押し順が一致しても当該特定の停止操作タイミング以外の場合には、7リプレイ(赤7図柄揃い)が停止せずに、その替わりの入賞役として、通常リプレイ(上段リプレイ表示)が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。なお、詳細は後述するが、7リプレイが当選した場合、停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)に応じて入賞する図柄の組合せ自体は異なるが、いずれの図柄の組合せが入賞しても、同一遊技状態であれば同じ遊技価値が付与されるようになっている(後述の7リプフェイク、BARリプレイ、BARリプフェイクについても同様)。
本実施形態の場合、7リプレイの構成要素図柄の引き込み率が100%未満である点や有効入賞ラインが「1ライン」しかない点などの関係上、7リプレイを入賞させるためには、それなりの目押し技術を要する。そこで、赤7図柄を疑似入賞ライン上に引き込める場合には、疑似入賞ラインに引き込んで‘赤7図柄揃い’停止させるように、7リプレイの入賞役を定めてもよい。ただし、「赤7図柄揃い」を疑似入賞ライン上に停止可能に構成する場合は、有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せ(真の入賞役)が、疑似入賞ライン上に成立した「赤7図柄揃い」であると遊技者が誤認しないように、液晶画面6aの所定の表示領域に真の入賞役を示す画像を表示することが好ましい(後述の7リプフェイク(赤7リプ聴牌外れ目を停止させる場合)や、BARリプレイ(BAR図柄揃いを停止させる場合)や、BARリプフェイク(BARリプ聴牌外れ目を停止させる場合)についても同様)。
(BARリプレイ:抽選番号18)
なお、抽選番号18の「BARリプレイ」についても、上述した7リプレイと同事象の引き込み制御が行われる。具体的には、押し順が一致し(第1停止右)、かつ特定の停止操作タイミング(BAR図柄を引き込み可能な停止操作タイミング)であれば、有効入賞ライン上に「BAR」−「BAR」−「BAR」(BARリプレイ(BAR図柄揃い))が有効入賞ライン上に停止し、‘BAR図柄揃い’という特殊な図柄の組合せが停止する。ただし、押し順が一致しても特定の停止操作タイミング以外の場合には、「BARリプレイ(BAR図柄揃い)」の替わりに、通常リプレイ(上段リプレイ表示)が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。
(7リプフェイク:抽選番号17)
次に、抽選番号17の「7リプフェイク」について説明する。
図6Bに示すように、7リプフェイクの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「赤7リプ聴牌外れ目」(7リプフェイク)、(2)「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)となっている。「赤7リプ聴牌外れ目」は、たとえば、「チェリー」−「赤7」−「赤7」等のように、7リプレイ(赤7図柄揃い)が聴牌状態を呈するような図柄の組合せである。
上記「7リプフェイク」は「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、上述した7リプレイ(抽選番号16)と同じく、押し順が一致し、かつ特定の停止操作タイミングの場合に「赤7リプ聴牌外れ目」が有効入賞ライン上に停止し、それ以外の押し順の場合には「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する(図6B参照)。「赤7リプ聴牌外れ目」とは、たとえば、「チェリー」−「赤7」−「赤7」等の‘7リプレイの聴牌状態’となる停止目を指す。7リプフェイクは、「7リプ聴牌外れ目」を導出表示して、7リプレイの入賞または当選期待感を煽るための「フェイク役(ガセの役)」として働く。なお、停止操作タイミングに応じて、7リプフェイクの取りこぼしが発生し、図示はしていないが、上述した7リプレイと同様に、通常リプレイ(上段リプレイ表示)等が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。
(BARリプフェイク(抽選番号19)について)
なお、抽選番号19の「BARリプフェイク」についても、7リプフェイクと同事象の引き込み制御が行われる。BARリプフェイクが当選した場合、押し順や停止操作タイミングに応じて、BARリプ聴牌外れ目(たとえば、「チェリー」−「BAR」−「BAR」等)や通常リプレイ(上段リプレイ表示)等が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。BARリプフェイクは、「BARリプ聴牌外れ目」を導出表示して、BARリプレイの入賞/当選期待感を煽るための「フェイク役」として働く。
(7リプレイ、BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクの配当について)
上記した7リプレイ、BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクの配当について説明する。これらの配当は、基本的には同じであるため、代表的に7リプレイの配当を中心に説明する。
7リプレイが当選した場合、既に説明したように、リプレイ役種である、7リプレイ(赤7図柄揃い)、通常リプレイ、または取りこぼし目のいずれかが停止し、このとき、配当として、少なくとも「再遊技」が付与される。7リプレイは「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属するものであるが、押し順に応じて有利入賞役・不利入賞役が入賞する、という異なる遊技価値が付与されるといったものではなく、同一の遊技状態であれば、いずれの停止目であっても同じ遊技価値が付与されるようになっている。たとえば、後述の本ART遊技や上乗せ特化ゾーンにおいては、再遊技の付与の他、上乗せ抽選への実行権利が付与されるようになっており(後述の図31A〜図31B参照)、7リプレイ当選時に、目押しに失敗して、7リプレイ(赤7図柄揃い)が入賞せずとも、上乗せ抽選の実行権利が消滅するわけではなく、上乗せ抽選の実行権利は付与されるようになっている。これは、特定の特典の場合、目押し技術の巧拙により、折角獲得した権利が消滅してしまう事態を回避するためである。この点、同一の遊技状態の場合、押し順に応じて、RT遊技種別の維持や昇格移行や転落移行等の異なる遊技価値が付与されうる「移行リプレイ種別」とは性質を異にする。上記BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクについても、上述の7リプレイの配当と同じく、目押しに失敗しても、上乗せ抽選等の実行権利は消滅しないようになっている。
(小役種別について)
次に図6B、図6Cを参照して、小役種別(抽選番号20〜40)について説明する。抽選番号20〜21の弱チャンス1〜2、抽選番号22の強チャンス、抽選番号23のスイカ、抽選番号27の共通ベルAは、それぞれ「押順不問役」に属し、他方、抽選番号24〜26の弱チェリー、強チェリー、最強チェリー、抽選番号28のチャンスベル、抽選番号29〜40の押順ベルは、それぞれ「押順規定役」に属する役となっている。また、これら小役のうち特定の小役は、AT抽選契機役や上乗せ抽選契機役として働き、取りこぼしが発生しても、上記7リプレイ等と同様に、その実行権利は消滅しないようになっている。
(弱チャンス1、弱チャンス2:抽選番号20〜21)
図6Bに示すように、弱チャンス1は、その当選により入賞が許容される図柄の組合せが「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB」(弱チャンス1表示)となっており、弱チャンス2は、「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB/赤7」(右回胴「赤7図柄」の場合は、弱チャンス2表示、右回胴「赤7図柄」以外の場合は、弱チャンス1表示)となっている。すなわち、弱チャンス2が当選した場合、停止操作タイミングに応じて、弱チャンス2表示(「リプレイ」−「ベルA」−「赤7図柄」)の他、弱チャンス1(「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB」)と同一の停止目(弱チャンス1表示)が有効入賞ライン上に停止しうる(弱チャンス1共通停止目)。
また弱チャンス1と弱チャンス2の配当は、いずれも「遊技メダル5枚」の払い出しとなっている。このため、弱チャンス2が当選し、弱チャンス1が入賞した場合、停止目と払出枚数だけでは、どちらの役に当選したのかが不明確となる。また、弱チャンス1と弱チャンス2とは、所定の条件下で、後述のAT抽選(図29A〜図29C)または上乗せ抽選(図31A〜図31B)の実行権利が追加的に付与されうる。したがって、弱チャンス1と弱チャンス2とは、AT抽選契機役や上乗せ抽選契機役として働く(図29A〜図29C、図31A〜図31B)。しかし、このAT抽選等においては、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、AT抽選確率が高く設定されており、この点で、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、遊技価値が相対的に高い抽選対象役となっている(後述の図29A〜図29C、図31A〜図31B参照)。また、AT抽選や上乗せ抽選の実行権利に関しては、上記した7リプレイの場合と同じく、目押しに失敗して対応する図柄の組合せが入賞せずともその権利が消滅しない(後述の強チャンスも同様)。なお弱チャンス1と弱チャンス2は、対応する図柄の組合せの異なるものが含まれるが、本発明はこれに限らず、双方同一の図柄の組合せとしてもよい。
(強チャンス:抽選番号22)
次に、抽選番号22の「強チャンス」について説明する。
強チャンスの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」−「ベルA(15番以外)/赤7/BAR」−「赤7/BAR/スイカA/スイカB」となっている。この図柄の組合せからも分かる通り、強チャンスが当選した場合、弱チャンス1表示(「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB」:「弱チャンス1共通停止目」)、弱チャンス2表示(「リプレイ」−「ベルA」−「赤7図柄」:「弱チャンス2共通停止目」)、または強チャンス表示(上記図柄の組合せのうち、弱チャンス1および弱チャンス2表示以外の図柄の組合せ)のいずれかが有効入賞ライン上に停止しうる。いずれの図柄が停止するのかについては、停止操作タイミングに応じて決定される。
また強チャンスは、弱チャンス1と弱チャンス2と同じく「遊技メダル5枚」の払い出しとなっている。このため、強チャンスが当選し、弱チャンス1または弱チャンス2が入賞した場合、停止目と払出枚数だけでは、どちらの役に当選したのかが不明確となる。また、強チャンスもAT抽選契機役や上乗せ抽選契機役として働くが、これら抽選においては、強チャンスは、弱チャンス1、2よりも優遇されており(図29A〜図29C、図31A〜図31B参照)、強チャンスは、弱チャンス1、2よりも遊技価値が相対的に高い抽選対象役となっている。
(スイカ:抽選番号23)
抽選番号23のスイカは、押順不問役であるが、図6Bに示す図柄の組合せの入賞には、特定の停止操作タイミングを要する。スイカの配当は遊技メダル3枚の払い出しとなっている。
(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー:抽選番号24〜26)
次に、抽選番号23〜26の弱チェリー、強チェリー、最強チェリーについて説明する。
弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーは、それぞれ「押順規定役(押順規定小役)」に属する役であり、その当選により、停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)に応じて、図示の図柄の組合せのいずれかが有効入賞ライン上に停止する。また配当としては、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのいずれも、少なくとも「遊技メダル2枚」が付与される。
弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーに対応する図柄の組合せには、次のような特徴的な関係がある。
(チェリー溢し目)
図6Bを参照して、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのそれぞれは、所定の押し順である場合(少なくとも第1停止が特定の回胴である場合)、三者に共通して入賞しうる特定の停止目(チェリー溢し目)がある。詳述すれば、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのいずれかのチェリー役が当選したときに、第1停止が中回胴5b以外である場合、次のような停止制御が行われる。
このケースでは、左回胴5aを停止する際に、「2番の下弾図柄(チェリー図柄が、いずれのライン上にも表示されることの無い「下弾図柄」:図3の図柄配列帯200の「1st」参照)」を有効入賞ライン上に引き込めるタイミングで停止操作した場合、2番の下弾図柄が有効入賞ライン上に停止し、図示の「下弾(2番)」−「ベルA」−「リプレイ」特殊な図柄の組合せである、‘チェリー溢し目’(左回胴5aの枠内にチェリー図柄が表示されない停止目)が必ず停止する。この「チェリー溢し目」は、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのどのチェリー役が当選した場合にも出現しうる共通の停止目となっている。さらに「チェリー溢し目」の配当が「遊技メダル2枚」の払い出しであるため、「チェリー溢し目」が停止してしまうと、その停止目を見ただけででは、いずれのチェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)に当選したのかが不明確となる(秘匿される)。
(チェリー共通停止目)
上記した「チェリー溢し目」は、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのいずれかが当選した場合に、共通の押し順(第1停止中)である場合において、3者間で共通して出現しうる停止目であるが、このチェリー溢し目以外にも、弱チェリーと強チェリー、強チェリーと最強チェリーとの2者間で、異なる押し順に応じて共通の停止目(チェリー共通停止目)が出現する場合がある。以下詳細に説明する。
(弱チェリーと強チェリーとに係るチェリー共通停止目)
抽選番号24の「弱チェリー」が当選し、第1停止が中回胴5b以外である場合(ただし、チェリー溢し目が停止不可能な停止操作タイミングである場合)、図示の「チェリー/ベルB/下弾」−「ベルA」−「上弾/下弾/リプレイ」という「弱チェリー(弱チェリー表示)」が停止しうる。ところが、第1停止が中回胴5bであるときには、抽選番号25の強チェリーが当選した場合にも入賞が許容される「チェリー/ベルB/下弾」−「赤7/BAR/下弾/チェリー」−「赤7/下弾/ベルA/スイカA/スイカB」という「強チェリー(強チェリー表示)」が停止しうる(図6Bの弱チェリーの欄参照)。すなわち、弱チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、強チェリーにも対応する図柄の組合せの「強チェリー」が出現してしまい(ここでは、弱チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、強チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、弱チェリーに当選したのか、強チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
また、抽選番号25の「強チェリー」が当選した場合にも、「弱チェリー」が停止しうる。詳しくは、第1停止が中回胴5b以外である場合(ただし、チェリー溢し目が停止不可能な停止操作タイミングである場合)、上記「強チェリー表示」が停止しうるが、第1停止が中回胴5bであるときには、上記した「弱チェリー表示」が停止しうる(図6Bの強チェリーの欄参照)。すなわち、強チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、弱チェリーにも対応する図柄の組合せの上記「弱チェリー」が出現してしまい(ここでは、強チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、弱チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、強チェリーに当選したのか、弱チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
(強チェリーと強チェリーとに係るチェリー共通停止目)
また、抽選番号26の「最強チェリー」が当選した場合、停止操作手順に応じて、上述の強チェリーが停止しうる。詳しくは、第1停止が中回胴5b以外である場合(BAR図柄を有効入賞ライン上に引き込める停止操作タイミングである場合)、「BAR」−「赤7/BAR/下弾/チェリー」−「赤7/下弾/ベルA/スイカA/スイカB」という「最強チェリー(最強チェリー表示)」が停止しうる。ところが、第1停止が中回胴5b以外であっても特定の停止操作タイミング(チェリー溢し目を引き込めるタイミングまたはBAR図柄を有効入賞ライン上に引き込めない停止操作タイミング)の場合や、第1停止が中回胴5bである場合、抽選番号25の強チェリーが当選した場合にも入賞が許容される上記「強チェリー(強チェリー表示)」が停止しうる(図6Bの最強チェリーの欄参照)。すなわち、最強チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、強チェリーにも対応する図柄の組合せの上記「強チェリー(強チェリー表示)」が出現してしまい(ここでは、最強チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、強チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、最強チェリーに当選したのか、強チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
(チェリー役種別の配当について)
本実施形態では、いずれのチェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)に当選しても払い出しがゼロとなる取りこぼし目が導出されず、図示のいずれかの入賞役が入賞して、少なくとも配当2枚(遊技メダル2枚)が得られるようになっている。また弱チェリー、強チェリー、最強チェリーは、上記「AT抽選契機役」や「上乗せ抽選契機役」として定められており、後述のAT抽選や上乗せ抽選に関する優遇度(AT抽選確率等)が「弱チェリー<強チェリー<最強チェリー」の関係となっている(図29A〜図29C、図31A〜図31B参照)。特に最強チェリーは、内部抽選確率が最も低確率のため(図5A参照)、他の抽選対象役と比し、AT抽選等の優遇度合いが最高のプレミアム的な役となっている。このように、チェリー役には遊技メダルの配当自体は同一払出枚数であるが、AT抽選や上乗せ抽選などの遊技価値の軽重があるため、上記のように、チェリー共通停止目が出現した場合に、いずれのチェリー役に当選したかを秘匿することで、AT抽選当選可能性等の期待感を煽ることができるようになっている。また遊技上級者にあっては、取りこぼしがないことを利用し、故意にチェリー共通停止目を停止させ、いずれのチェリー役が当選したかの緊張感を楽しむことができる。
(共通ベルA:抽選番号27)
次に図6Cを参照して、小役種に属する抽選番号27の共通ベルAについて説明する。
図6Cに示すように、共通ベルAの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」−「ベルA」−「リプレイ」の図柄の組合せ(中段ベル)となっている。なお、「リプレイ」−「ベルA」−「リプレイ」が有効入賞ライン上に停止した場合、疑似入賞ラインの中段横ライン上には、ベルAまたはベルBを利用した図柄の組合せである「ベルA/ベルB」−「ベルA」−「ベルA/ベルB」(中段ベル表示)が停止するようになっている。また、共通ベルAは「押順不問役」に属し、上記「中段ベル」を入賞させるための停止操作タイミングも必要としない。つまり、共通ベルAが当選した場合、どのような停止操作手順であっても、中段ベルの入賞が発生し、配当として「遊技メダル9枚」が付与される。
(チャンスベル:抽選番号28)
次に、抽選番号28のチャンスベルについて説明する。
チャンスベルは「押順規定役」に属し、所定の押し順(第1停止左)の場合には、有利入賞役として上記の共通ベルAと同じ配当9枚の「中段ベル」が停止(入賞)し、その押し順とは異なる押し順(第1停止左以外)である場合には、不利入賞役として配当5枚の「リプレイ」−「ベルA」−「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(5枚ベル)が停止しうるように定められている。なお、チャンスベルはAT抽選契機役として定められているが、AT抽選が実行されるのは、中段ベルが入賞した場合(第1停止左)となっている(後述の図29A〜図29Cの備考欄参照)。
(押順ベル種別:抽選番号29〜40)
次に図5Cを参照して、抽選番号29〜40の「押順ベル種別」について説明する。
上記押順ベル種別は「押順規定役(押順規定小役)」に属する抽選対象役であり、所定の押し順の場合には、有利入賞役として上記の共通ベルAと同じ配当9枚の「中段ベル」が停止(入賞)し、その押し順とは異なる押し順である場合には、不利入賞役として配当1枚の「1枚ベル」か、または「1枚ベル」が引き込めないときは、配当が得られない「1枚ベル溢し目」(配当0枚)が停止しうるように定められている。以下、不利入賞役側の「1枚ベル」または「1枚ベル溢し目」を‘ベル溢し目(押順ベル溢し)’と略す。また、押順ベル種別において、中段ベルが停止する押し順を「押し順正解」と称し、ベル溢し目が停止する押し順を「押し順不正解」と称する。
上記した抽選番号29〜40の各押順ベルは、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、以下では重複記載を避けるために、抽選番号29の「押順ベル123A」を代表的に説明する。
(押順ベル123Aについて)
押順ベル123Aの当選により入賞が許容される図柄の組合せについて、停止制御の観点から具体的に説明すれば、次の通りである。
図6Cに示すように、押順ベル123Aが当選した場合、押し順正解である「左中右」の場合には、配当9枚の「中段ベル」が入賞し、それ以外の押し順である「押し順不正解」の場合には「中段ベル」は入賞せず、下記のような図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するように回胴の停止制御が行われる。
押し順が「押し順不正解」である場合には、中段ベルの取りこぼしが発生し、上記「ベル溢し目」が遊技結果として導出表示されるが、このときには、押し順不正解時の停止操作手順に応じて、図6C(α)に掲げる図柄の組合せを持つ1枚ベルA〜Nのうち‘1枚ベルA、1枚ベルB、1枚ベルE、1枚ベルF、または1枚ベルI’(停止番号60、61、65、66、69)のいずれかの「1枚ベル」が停止しうる(図6Cの押順ベル123Aに係る「押し順不正解停止番号」および同図(α)の「押し順不正解種別」の欄参照)。ただし「1枚ベル」を引き込めない停止操作タイミングである場合は、1枚ベルの取りこぼしが発生し「1枚ベル溢し目(配当0枚)」が停止するようになっている。したがって、押順ベル123Aは、その当選により、中段ベルの入賞を許容する役と、1枚ベルAの入賞を許容する役、1枚ベルBの入賞を許容する役、1枚ベルEの入賞を許容する役、1枚ベルFの入賞を許容する役、1枚ベルIの入賞を許容する役に重複当選可能な「重複役」としての性質を有するものといえる。なお、ベル溢し目が入賞した場合、RT1遊技に転落移行するようになっている(図8参照)。また押し順ベル種別は、AT抽選契機役や上乗せ抽選契機役として働くが、押し順ベルの場合、押し順正解時に限りAT抽選が実行されるようになっている(後述の図29A〜図29Cの備考欄参照)。
本実施形態では、図示の通り、押順ベルを複数種類設け、各押順ベルについて配当が多い押し順を1つだけ割り当て、それ以外の押し順(押し順不正解)である場合には、配当が最少の遊技メダル1枚か、配当無しとなる入賞役を停止させるように定めてある。各押順ベル(抽選番号29〜40)のうち、「押順ベル***A’」(‘*’は図示のアラビア数字)の表記の押順ベルグループA(抽選番号29、31、33、35、37、39)または「押順ベル***B」の表記の押順ベルグループB(抽選番号30、32、34、36、38、40)に着目した場合、少なくとも中段ベルを入賞させる押し順については、各押順ベル同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている。これにより、遊技者が恣意的に回胴を停止操作しても、後述のAT遊技中でない限りは、高配当側の中段ベルを高確率で入賞させないようにし、設計上、想定外の利益が遊技者に付与されてしまうことを防止している。なお、上記押順ベル種別は、押し順と停止操作タイミングとに応じて異なる図柄の組合せが停止すると説明したが、本発明はこれに限らず、押し順および/または停止操作タイミングに応じて異なる図柄の組合せを停止させるように構成してもよい。
(特別役種:BB1、BB2)
次に、抽選番号41のBB1、抽選番号45のBB2について説明する。
BB1とBB2は「特別役種」に属し、「押順不問役」として規定されている。この特別役は、第1種特別役物または第2種特別役物に係る抽選対象役であり、特定の小役の抽選確率が高確率に変動する遊技状態や、1以上の回胴の引き込みコマ数を1コマ以内(75ms以内に停止)に変動する遊技状態(CB)などの、特別遊技状態への移行契機役となっている。この点で、特別遊技状態への移行契機とはならない「一般役種(小役種、リプレイ役種)とは性質を異にする。
BB1、BB2の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、それぞれ「ベルA(4番)」−「上弾」−「下弾」の図柄の組合せ(BB1)、「上弾」−「下弾」−「ベルA(0番)」の図柄の組合せ(BB2)となっている。本実施形態の場合、連続する特定の図柄(上弾/下弾図柄)を利用して有意な意匠を呈する停止目が形成されるようになっており、BB1が有効入賞ライン上に停止した場合は、3つの砲弾図柄が一直線上に並んで表示される、といったインパクトのある停止目(砲弾揃い)が導出表示される。しかしBB2が有効入賞ライン上に停止した場合は、BB1の「砲弾揃い」が崩れたような停止目(右回胴5cは「砲弾図柄」が上に1コマずれた「砲弾崩れ目」)が導出表示される。
BB1またはBB2が入賞した場合、次ゲームから遊技者に有利なボーナス遊技に移行される。このボーナス遊技中は、共通ベルA(抽選番号27)の当選確率が高確率に変動し、1ゲーム当りの平均純増枚数が他の遊技状態よりも向上し遊技者は短時間で大量の遊技メダルを獲得することができる(図5A、図5BのBB中の欄参照)。本実施形態では、BB1とBB2とでボーナス遊技の性能が異なり、BB2よりもBB1の方がボーナス遊技の利益度合いが相対的に高く設定されている。たとえば、BB1は第1の規定払出枚数(たとえば、146枚)で終了し、BB2はそれよりも少ない第2の規定払出枚数(たとえば、72枚)以上の遊技メダルの払い出しで終了するようになっている。
なおボーナス遊技中には、共通ベルAの他、特定の抽選対象役(たとえば、7リプレイ〜BARリプフェイク)が当選可能となっている(図5A、図5BのBB中の欄参照)。これらの抽選対象役のうち特定の役(たとえば、「共通ベルA」以外の役)に当選した場合、特典が付与されうる所定の利益抽選を行ってもよい。たとえば、通常遊技中にBB1および/またはBB2に当選した場合、そのボーナス遊技中において、AT抽選(図29A〜図29C)と同じ役割を持つ「ボーナス中AT抽選」を実行し、これに当選した場合には、後述の本ART遊技への移行権利(本ART遊技移行確定)を付与することができる(ボーナス遊技終了後、初期遊技中に移行するが、内部的にはAT当選状態(ART当選状態)となる)。また、AT当選状態中の本ART遊技移行前の遊技状態中(たとえば、後述の前兆遊技や準備ART遊技など)や本ART遊技中において、BB1、2に当選した場合、そのボーナス遊技中において、本ART遊技の継続ゲーム数(ARTゲーム数)に対する上乗せ抽選(図31A)を実行し、これに当選した場合には、現在のARTゲーム数に対してゲーム数を上乗せすることができる。なお、ボーナス遊技中のAT抽選や上乗せ抽選は、図29A〜図29C、図31A〜図31Bの抽選テーブルを利用してもよいし、ボーナス遊技専用の抽選テーブルを別途設けてもよい。またその抽選実行条件(抽選契機役種)や抽選確率なども適宜定めることができる。
(特別役の持ち越しについて)
上記した特別役であるBB1とBB2は、その内部当選フラグ(ボーナス当選フラグ)を次回以降のゲームに持ち越し可能な「持越役」として定められている。このため、特別役(BB1、BB2)に当選した場合は、当選した特別役に対応する図柄の組合せが入賞するまでの遊技期間(BB内部当選遊技(BB内部中))、ボーナス当選フラグの成立状態が維持され(ボーナス持越状態)、この間、すべてのBBは内部抽選対象から除外される。なお、BB内部当選中は、リプレイ役の当選確率が通常遊技よりも高確率に変動した「RT4遊技」下となる(後述の図8のボーナス内部当選遊技の欄参照)。
一方、特別役種以外の一般役種(小役種とリプレイ役種)は、その当選フラグを次回のゲームに持ち越すことができない「持越不可能役」として定められている。一般役種については、BB内部当選中であっても通常通りに内部抽選が実行され、当選すれば、その内部当選フラグが成立する。このため、ボーナス当選フラグと一般役種の内部当選フラグとが同時に成立する「重複当選状態」が発生するが、この場合、いずれの当選役に対応する図柄の組合せを入賞させるかについては、所定の引き込み優先順位に基づいて決定される。本実施形態の場合、その優先順位は「特別役種(BB)<小役種<リプレイ役種」の順位となっている(小役優先制御)。これにより、特別役種(BB1、BB2)と一般役種とが重複当選中のゲームにおいては、一般役種が優先的に入賞することになる。
また本実施形態では、抽選番号41のBB1または抽選番号45のBB2のように、特別役種が他の一般役種と重複当選しない単独当選役として定められているものと、抽選番号42〜44、46〜48のように、特別役種と特定の一般役種とが重複当選可能な「重複BB役」が複数種類設けられている。重複BB役が当選役として決定された場合、当選役に対応する図柄の組合せとして、特別役種と一般役種とが入賞許容状態に置かれることになる。この場合、当選ゲームでは、引き込み優先順位に基づき、いずれの入賞役を優先的に有効入賞ライン上に引き込むのかが決定される。本実施形態では、小役優先制御となっているので、当該当選ゲームでは、先ず、一般役種を優先的に入賞させる引き込み制御が行われる。
以上に説明した抽選対象役、対応する入賞役、配当、およびその種類などに関する役構成については、本発明の目的を達成できるものであれば特に制限されない。たとえば、特別役種については、1または複数種類であっても良いし、特別役種自体を設けない構成としてもよい。
<遊技形態:図8>
次に図8を参照して、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技形態(ゲーム性)について説明する。
本実施形態に係る回胴式遊技機では、基本的な遊技状態として、RT遊技(後述のRT0遊技〜RT4遊技)、AT遊技(後述のAT0遊技〜AT3遊技)、ボーナス遊技などを実行制御可能に構成されている。上記RT遊技は、抽選対象役を決定する際のベースとなる遊技状態であり(図5A、図5B参照)、このRT遊技に付随してAT遊技を重複的(同時的)に発生させることで、所謂「ART遊技」が実現される。主制御部400側は、これら遊技状態を制御する機能部として、RT遊技を制御するRT遊技制御手段、AT遊技を制御するAT遊技制御手段、ボーナス遊技を制御するボーナス遊技制御手段など備える。また演出制御部410側は、主制御部側が管理する遊技状態(主制御側遊技状態)に対応する演出モード(演出側遊技状態(演出状態))を管理制御する。これら演出モードは、主制御部側遊技状態と整合性を保つ形で管理されるようになっており、これにより、現在の遊技状態に関連した適切な演出が実現される。詳細は後述するが、本実施形態では、基本遊技状態としての「RT遊技種別(「RT状態」とも称する)とAT遊技種別(以下「AT状態」とも称する)」とを組合せた遊技状態(内部遊技状態)として、初期遊技、通常遊技、準備ART遊技、本ART遊技、上乗せ特化ゾーン、ボーナス内部当選遊技などの様々な遊技状態を実現する。
(RT(リプレイタイム)遊技について)
RT遊技とは、再遊技を伴うリプレイ役種の当選確率(リプレイ確率)が基準の遊技状態の所定確率から変動した「再遊技確率変動状態」をいう。
本実施形態では、基準の遊技状態として、最もリプレイ確率(ここでは、リプレイ役種の合算当選確率)が低確率であるRT0遊技を基準とし、このRT0遊技と比べて、リプレイ確率が高確率に変動するRT遊技1〜RT遊技4(再遊技高確率抽選状態)を上記再遊技確率変動状態として扱う。本実施形態の場合、各RT遊技のリプレイ確率の関係は、RT0遊技(低確率RT遊技)<RT1遊技(低確率RT遊技<RT4遊技(BB内部当選遊技中(中確率RT遊技))<RT2遊技=RT3遊技(高確率RT遊技)」の関係となっている(図8、図5A参照)。RT0遊技とRT1遊技とはリプレイ確率が略同一、RT2遊技とRT3遊技とは、リプレイ確率が同一となっている。したがって、リプレイ役の出現率の観点からは、RT0遊技とRT1遊技の違い、RT2遊技とRT3遊技の違いを遊技者が察知することが困難なものとなっている。なお、各RT遊技のリプレイ確率がそれぞれ異なっていてもよい(たとえば、RT0遊技<RT1遊技<RT4遊技<RT2遊技<RT3遊技の関係)。また、リプレイ確率について、RT0遊技とRT遊技とが同一であってもよいし、RT2遊技とRT3遊技とが略同一であってもよい。
各RT遊技は、非BB内部当選遊技に係るRT遊技であるか、BB内部当選遊技(ボーナス持越状態)に係るRT遊技であるかで大別される。本実施形態の場合、非BB内部当選に係るRT遊技種別はRT0遊技〜RT3遊技となっており、BB内部当選中に係るRT遊技種別はRT4遊技となっている。なお、非BB内部当選中とBB内部当選中とは、ボーナス遊技とは異なり、小役種の内部抽選確率を変動させることができない「一般遊技状態」として規定されている。
(AT遊技について)
AT遊技とは、演出手段(副報知手段)および/または主制御部400により制御される表示手段(たとえば、払出枚数表示器35:主報知手段)を用いて、役の抽選結果に関連する情報が、所定の報知態様(画像表示演出、音演出、光演出、7セグ表示など)により報知されうる「特典遊技状態」である。「役の抽選結果に関連する情報」とは、主に、当選役に係る特定の図柄の組合せ(有利入賞役、不利入賞役、その他、特定の図柄の組合せを含む)の入賞を案内するための停止操作手順情報(アシスト情報:押し順および停止操作タイミングの少なくともいずれか一方に関する情報)であり、この情報を報せる報知態様(演出態様)を「アシスト報知演出(以下「アシスト報知」と略す)」と称する。
なお詳細は後述するが、本実施形態では、基本遊技状態のRT遊技種別とAT遊技種別とを組合せた遊技状態(内部的遊技状態)として、初期遊技、通常遊技、準備ART移行前遊技、準備ART遊技、本ART遊技、上乗せ特化ゾーン、ボーナス内部当選遊技などの様々な遊技状態を実現している。またこれら遊技状態のうちの少なくとも1つの遊技状態(たとえば、通常遊技)については、さらに細分化した複数種類の遊技状態(たとえば、後述の地獄モード、通常モード、天国モード、前兆モードなど)を設け、これら遊技状態は、遊技動作処理を実行する上で、基本遊技状態とは別に「遊技モード」として管理されるようになっている。遊技モードについては、図34に示すような、多数の遊技モードが設けられている。なお、図34は、遊技機1に係る遊技モードのうち、代表的な遊技モード(初期遊技モード〜ボーナス遊技)を示したものであり、図示しない遊技モードも存在する。これにより、たとえば、内部的には「RT1遊技+AT0遊技」という同一の通常遊技中であっても、地獄モード、通常モード、天国モード、前兆モードという複数種類の遊技状態(遊技モード)に対応する演出モードを設けることができ、同一の遊技状態でありながらも、各遊技モードに対応した演出を現出させることができる。上記遊技モードは、換言すれば、主制御部400側が演出制御部410に対して演出状態を指定する演出状態指定データとしての役割を果たす。本実施形態に係る演出モードには、初期遊技および通常遊技に係る「地獄演出モード、通常演出モード、天国演出モード、前兆演出モード(AT当選状態中)」、準備ART移行前遊技に係る「ART移行前演出モード」、準備ART遊技に係る「準備ART演出モード」、本ART遊技に係る「ART演出モード(非バトル演出モード)、継続バトル演出モード」、上乗せ特化ゾーンに係る「上乗せ特化演出モード」、ボーナス内部当選遊技に係る「内部当選中演出モード」、ボーナス遊技に係る「ボーナス演出モード」などが設けられている。
上記遊技モードは、本発明に係る遊技状態の一態様として扱うことができる。したがって本発明において「遊技状態の移行」または「遊技状態の変化」あるいは「遊技状態の更新」と称する場合は、必ずしも基本遊技状態または内部的遊技状態の移行(変化)等を意味するだけでなく、遊技モードの移行(変化)等を意味する場合がある。本発明において遊技状態と称する場合、いずれも遊技状態の概念に含むものとして扱うことができる。また、基本遊技状態、内部的遊技状態または遊技モードのいずれを意味するのかは、特許請求の範囲に係る発明特定事項の関係性に応じて適宜定めることができる。以下、特に必要のない場合は、説明の便宜のために、内部的遊技状態と遊技モードを区別せずに、単に「遊技状態」と称して説明する。
ところでAT遊技は、風営法に関する不正行為防止や遊技者の所謂「のめり込み防止」等の法的な要請から、演出制御部410側ではなく、主制御部400側がその機能部を担う「AT遊技制御手段」によりその発生および終了が制御される。このAT遊技制御手段は、アシスト報知に関する遊技状態として、アシスト報知禁止(制限)状態下の「通常報知状態(非AT遊技)」と、アシスト報知許容状態下の「有利報知状態(AT遊技)」とを含む複数種類の報知状態を制御可能に構成されている。上記AT遊技には、後述のAT1遊技〜AT3遊技を含む複数種類のAT遊技が設けられており、いずれのAT遊技中であるかに応じて、アシスト報知対象やその報知内容が異なる場合がある。これら複数種類のAT遊技やRT遊技を実効化することにより、図8に示す種々の遊技状態を実現し、遊技性の自由度を高めて遊技の面白みを向上させている。
(アシスト報知について)
本実施形態では、既に説明したように、複数種類の押順規定役が設けられている。たとえば、チャンスベルや押順ベル(抽選番号28〜40)では、押し順に応じて、配当9枚の中段ベルのように、有利に作用しうる図柄の組合せ(有利入賞役)が入賞しうる。しかし非AT遊技中においては、これらの役に当選しても、有利入賞役の入賞を案内する停止操作手順情報(押し順情報)は遊技者に報知されない、あるいは報知されるとしても、それはAT遊技中ではなく、単に当選役に係る予告演出として単発的に報知されるだけである。このため、非AT遊技中は、遊技者が有利入賞役を入賞させるための手掛かりを得ることができず、その入賞が困難な状況下に置かれる。したがって、非AT遊技中は、遊技進行上、AT遊技中よりも遊技者に不利なゲーム展開とされる。
これに対しAT遊技中においては、有利入賞役の入賞を案内する情報が高確率または100%の確率で報知されるため、その入賞が著しく容易になる。たとえば、抽選番号29の「押順ベル123A」が当選した場合、不利入賞役側の‘1枚ベル(配当1枚)’ではなく、有利入賞役側の‘中段ベル(配当9枚)’の入賞を案内する押し順情報(本例の場合、「左中右」の押し順情報)が遊技者に報知される。このとき、遊技者がその報知内容に従い回胴を停止操作すれば、高配当お中段ベルを入賞させることができる。これによりAT遊技中は、1ゲームあたりに遊技者が獲得し得る平均的利益(ベース値)が非AT遊技中よりも向上した遊技状態になる。したがって、AT遊技中は、非AT遊技中よりも遊技者に有利なゲーム展開とされる。
(アシスト報知手段について)
上記アシスト報知は、主に、演出制御部410により制御される演出手段(たとえば、液晶表示装置6、装飾ランプ13、スピーカ16など)により現出される。しかし本実施形態の場合、演出手段と、主制御部400が制御する特定の表示手段(たとえば、払出枚数表示器35)の少なくとも2つの報知手段により、アシスト報知を発生させるようになっている。アシスト報知手段のうち、主制御部400側が制御する報知手段を「主報知手段」と称し、演出制御部410側が制御する報知手段を「副報知手段」と称する。アシスト報知を現出する手段について、主報知手段と副報知手段とを用いる理由は以下の通りである。
従来、AT遊技は、専ら演出制御部410が主導的に制御していた。しかし近年、主制御基板に不正行為・不正改造を行うのではなく、演出制御基板420等の周辺基板に対して不正行為・不正改造を行い、遊技機の本来の設計とは異なる仕様のAT遊技を発生させ、出玉率を著しく改ざんするゴト行為が横行していた。たとえば、AT遊技の継続ゲーム数を本来の継続ゲーム数の数十倍のゲーム数からスタートさせたり、AT抽選に強制的に当選させたりする等である。そこで第1に、不正行為防止・不正改造防止の観点から、出玉率に大きく影響するAT遊技の制御機能部を、従来の演出制御部410側ではなく主制御部400側が担うようにし、遊技動作を統括的に司る主制御部400以外の周辺基板(たとえば、遊技表示基板390や演出制御部410等)に搭載されている電子部品等が改ざんされても出玉率に影響が無いように、出玉に影響しうるような遊技機の設計を防止する。第2に、演出制御部410等の周辺基板だけでアシスト報知を実行可能な情報(たとえば、当選役を特定可能な情報や当選役に係る停止操作手順情報:アシスト情報)を演出手段に対し送信しないようにする。第3に、主制御部400がアシスト報知の実行制御を行っていることを外部に報知するべく、主制御部400側が決定したアシスト情報(停止操作手順情報)を、主報知手段を利用して報知させるとともに、当該アシスト情報と同一または実質的に同一の内容を反映させた情報を演出手段を利用して現出させ、これにより上記第1および第2の事項を実効化する。このような観点から、本実施形態では、アシスト報知手段として、主報知手段と副報知手段とを用いた構成としている。
また本実施形態では、主制御部400がアシスト報知を実行すると決定した場合は、演出制御部410に対して、アシスト情報を送信するが、アシスト報知を実行しないと決定した場合は、演出制御部410に対して、アシスト情報を送信しない、またはアシスト情報を実行しない旨の非実行情報を送信する。これにより、演出制御部410側は、アシスト情報を演出的に報知し、所定の演出態様にて、アシスト報知を実現する。
なお本実施形態では、主報知手段として、払出枚数表示器35を利用しているが、これに限らず、アシスト報知を現出可能な報知手段であれば特に制限はない。たとえば、主報知手段として、投入枚数表示部30(投入枚数表示LED31、32、33)や、メダル投入表示LED36(メダル投入表示部)を利用しても良いし、アシスト報知専用の表示器を設けても良い。
(アシスト報知態様:図22、図23A〜図23B)
上記アシスト報知は、同じ当選役が決定された場合でも、所定の報知条件に応じて、その報知内容が異なる場合がある。つまり、必ずしも遊技者に特定の図柄の組合せ(たとえば、有利入賞役)を入賞させる内容とは限らない。たとえば、7リプレイ(抽選番号16)が当選した場合、特定報知条件下の場合には、「7リプレイ」を対象とするアシスト報知(本告知)を実行するが、特定報知条件下以外の場合には、通常リプレイを対象とするアシスト報知(嘘告知)を実行するケースが挙げられる。
また「アシスト報知」は、原則として、アシスト情報(本実施形態の場合は、主に、押し順に関する情報)を遊技者に提示するだけで、当選役を特定可能な当選役情報を付随して遊技者に提示しないようになっている。これは、当選役を明示してしまうと、押し順を報知せずとも押し順の割り当てを知る遊技者側に、有利入賞役または不利入賞役の押し順が判明してしまい、遊技者が意図的にアシスト報知を拒否することで想定外の利益を獲得したり、意図しない遊技状態の移行が生じたりしてしまう恐れがあるからである。そこで、アシスト報知を現出する場合には、少なくとも当選役情報を秘匿した報知態様(副報知手段の場合はアシスト報知を含む演出態様)とする。たとえば、RT3移行リプ1XX(抽選番号11)が当選した場合と、押順ベル213A(抽選番号33)が当選した場合とでは、押し順に関する表示(報知)内容だけが異なるだけで、その演出態様そのものは同一または酷似した態様とする。このように、少なくとも当選役情報を秘匿するアシスト報知を「役秘匿アシスト報知」と称する。なお、当選役が判明しうる情報は報知しないが、特別役種、小役種またはリプレイ役種のように、当選役が属する役区分が判明するような報知態様(役区分アシスト報知)を現出させてもよい。たとえば、今回の当選役がリプレイ種別の場合は、背景画像やアシスト表示画像を「青色」を基調とし、押順ベル種別の場合には「黄色」を基調とする演出態様とすることができる。
勿論、当選役情報を報知することに差支えがない場合には、当選役情報と押し順情報とを重複的に表示させてもよい(役種アシスト報知)。たとえば、「7リプレイ」が当選した場合、「←7を狙え(第1停止右、全回胴に7リプレイ図柄停止を指示)」のように、押し順として「第1停止右の指示」の表示と、当選役情報として「7を狙え(全回胴に赤7図柄停止を指示)」の表示とを同時的または重畳的に表示させることができる(図22参照)。このケースでは、「7を狙え」の表示により、間接的に当選役種別が「7リプレイ」であることを示唆している。しかし、報知条件次第では、「7を狙え!」という表示はするが、7リプフェイクまたは通常リプレイを対象とするアシスト報知(嘘告知)を実行することもできる(ガセの役種アシスト報知)。また、押順不問役の場合であってもアシスト報知を実行しても良い。たとえば、共通ベルAまたは共通ベルBが当選した場合、所定の押し順を報知してもよい。
いずれにしても、アシスト報知が発生すれば、遊技者にとり有利なゲーム展開となり得るので、遊技者は、積極的に、アシスト報知の内容に従うことになる。
(アシスト報知制御手段)
アシスト報知内容については、主制御部400がその機能部を担う「アシスト報知制御手段」により制御される。アシスト報知制御に関し、主制御部400は、AT遊技中である場合には、今回のゲームに係る当選役情報に基づき、アシスト報知を実行可能な情報を演出制御部410に対して送信する。たとえば、非AT遊技中は、各押し順ベル(抽選番号28〜40)のいずれかが当選した場合は、どの押し順ベルが当選したかを特定不可能な当選役情報(非特定情報)を含む演出制御コマンドを演出制御部410に対して送信する一方、AT遊技中である場合には、各押し順ベルに対応した固有の当選役情報、つまり、どの押し順ベルが当選したかを特定可能な当選役情報を含むコマンドを演出制御部410に対して送信する。この場合、演出制御部410は、非特定情報が送られてきた場合は、当選した押し順ベルを特定できないので、正しいアシスト報知(中段ベル入賞手順の報知)を実行することができず、特定可能情報が送られてきた場合、正しいアシスト報知をすることができる。したがって、AT遊技中の場合に限り、アシスト報知が実効化されるようになっている。
本実施形態のAT遊技には、複数種類のAT遊技(AT1遊技〜AT3遊技)が設けられており、主制御部400(アシスト報知制御手段)は、図23Aおよび図23Bに示す「当選情報設定テーブル」に基づいて、所望のアシスト報知内容(アシスト情報)を決定可能に構成されている。
上記当選情報設定テーブルには、アシスト報知内容に関するデータとして、図23Aおよび図23Bの「指示モニタ番号」欄に示す「指示モニタ番号」が、遊技状態(ここでは、AT状態(遊技モードによりAT状態を識別してもよい))と当選役種別とに関連付けて定められている。主制御部400は、上記「指示モニタ番号」に応じたアシスト報知を主報知手段(払出枚数表示器35)に対して表示制御し、演出制御部410は、当該「指示モニタ番号」に対応するアシスト報知を副報知手段(たとえば、液晶表示装置6)に対して表示制御し、主/副報知手段によるアシスト報知が実行可能となっている。
本実施形態の場合、図23Aおよび図23Bの各指示モニタ番号1〜8に対応するアシスト報知の内容(アシスト情報(押し順情報))は、指示モニタ番号「1」は押し順「123」を、指示モニタ番号「2」は押し順「132」を、指示モニタ番号「3」は押し順「213」を、指示モニタ番号「4」は押し順「231」を、指示モニタ番号「5」は押し順「312」を、指示モニタ番号「6」は押し順「321」を、指示モニタ番号「7」は「←7を狙え」、指示モニタ番号「8」は「←BARを狙え」を示すものとなっており、主報知手段と副報知手段とにおいて、上記指示モニタ番号で指定されるアシスト情報が、演出的にアシスト報知される。ただし、指示モニタ番号「0」の場合には、アシスト報知は実行されず、主報知手段と副報知手段とには、アシスト情報は一切報知されない。
なお、押し順が「1XX」、「2XX」、「3XX」などの場合は、第1停止がどの回胴であるかを指示できればよく、たとえば、押し順が「1XX」である場合は、押し順「123」に対応した指示モニタ番号「1」か、または押し順「132」に対応した指示モニタ番号「2」が割り当てられていればよい。本実施形態では、「1XX」は押し順「132」の指示モニタ番号「1」が割り当てられ、「2XX」は押し順「213」の指示モニタ番号「3」が割り当てられ、「3XX」は押し順「312」の指示モニタ番号「3」が割り当てられている。
(アシスト報知の表示例)
図22に、払出枚数表示器35(主報知手段)と液晶表示装置6(副制御手段)に対するアシスト報知の代表的な表示例を示す。たとえば、現在の遊技状態がAT1遊技を伴う遊技状態(たとえば、準備ART遊技)であり、今回のゲームの当選役が「RT2移行リプ123」である場合を例にとり説明する。図23Aの当選情報設定テーブルを参照して、当該テーブルにおける「AT1、RT2移行リプ123」に対応する「指示モニタ番号」は「1」であるので、主制御部400は、払出枚数表示器35に「123」のアシスト情報(押し順情報)を示す「1」を表示させるとともに、演出制御コマンドとして、少なくとも指示モニタ番号を特定可能な指示モニタ番号情報を含む「指示モニタ番号コマンド」を演出制御部410に送信する(後述の図11のステップS112参照)。演出制御部410は、指示モニタ番号コマンドを受けて、たとえば、液晶表示装置6に押し順「123」を指示内容とするアシスト報知を現出させる。また本実施形態では、上述の「指示モニタ番号コマンド」の他、当選役情報を含む「当選役変換情報コマンド」も併せて送信する構成となっている(後述の図11の内部抽選処理中のステップS113参照)。この当選役変換情報コマンドは、1ゲーム中の演出シナリオを決定する際に利用される。
なお、第1停止〜第3停止していく際、アシスト報知開始時の表示態様を継続して表示させてもよいが、少なくともアシスト報知としての機能を失うことがない表示態様、すなわち、次に停止させる回胴を特定可能な表示態様であれば、停止ボタン12の操作後の表示態様を、アシスト報知開始時の表示態様とは異なる表示態様とすることができる。たとえば、上記ケースのように、液晶表示装置6に「123」を表示するケースであれば、第1停止操作前は「123」を表示し、第1停止操作後は「*23」(少なくとも第2停止中が特定可能な表示)、第2停止操作後は「**3」(少なくとも次の第3停止右を特定可能な表示)といった表示態様とすることができる。
(遊技状態について:図8)
次に図8を参照して、本実施形態に係る各種の遊技状態について説明する。図8は、主要な遊技状態の内容と、遊技状態間の移行形態の概要を示す遊技状態遷移図である。ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず、本発明と関係の深い遊技状態に着目しながら、各遊技状態間の移行制御の概要を説明しておく。以下では、説明の便宜のために、アシスト報知許容状態下ではない非AT遊技を「AT0遊技」と称し、遊技者はアシスト報知に従うものとして説明する。
本実施形態では、メインRAMクリア時や設定変更時やボーナス遊技が終了した後に、初期の遊技状態として、「初期遊技(RT0遊技+AT0遊技)」から開始されるようになっている。この初期遊技は、非AT遊技(AT0遊技)となっており、比較的高確率の押順ベル種別(抽選番号29〜40)に当選しても、有利入賞役側の‘中段ベル’のアシスト報知(以下、「中段ベルナビ」と略す)が発生せず、ベル溢し目が高確率で入賞しうる(図5B、図6C参照)。ベル溢し目が停止(入賞)した場合、遊技状態の移行が生じて、現在のRT0遊技からRT1遊技に移行され、遊技機全体として捉えた遊技状態が「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」に移行される。このように、初期遊技からは、比較的短いゲーム数で、通常遊技に移行されるようになっている。
通常遊技に移行した後は、図示のように、ボーナス遊技を経由しない限り、初期遊技には移行されず、基本的には、通常遊技、準備ART遊技、本ART遊技といったRT1遊技〜RT3遊技に関連する遊技状態を循環する遊技ルートを辿る。
ここで本実施形態では、初期遊技および通常遊技に属する遊技状態として、AT抽選(図29A〜図29C)の有利度合いが異なる3つの遊技状態「地獄モード、通常モード、天国モード」が設けられている。通常遊技(初期遊技を含む)中は、この3つのモード間を行き来可能となっている(後述の図28A〜図28D参照)。地獄モードは「AT抽選低確状態」、通常モードは「AT抽選通常状態」、天国モードは「AT抽選高確状態」であり、この順でAT抽選の有利度が高くなる。
なお、初期遊技は通常遊技と同様にAT遊技が発生しない「非AT遊技」に係る遊技状態であることから、初期遊技を通常遊技の一態様として扱ってもよい。また、初期遊技を設けなくてもよく、この場合、メインRAMクリア時やボーナス遊技終了時などの初期遊技への移行ルートを、通常遊技への移行ルートに置き換えればよい。
上記通常遊技において、AT抽選契機役の当選を契機に、後述のAT抽選(図29A〜図29C)が実行される。このAT抽選に当選(AT当選)すると、後述の本ART遊技(疑似ボーナス)への移行成立条件が成立したとして、次ゲームからAT当選状態(AT当選フラグ成立状態)の遊技期間に移行する。このAT当選状態になると、本ART遊技移行へのRT2移行リプレイのアシスト報知およびRT3移行リプレイのアシスト報知の発生を許容する「昇格リプ報知条件」が成立する。したがって、AT当選状態中は、アシスト報知の発生が許容される「有利区間(アシスト機能に係る性能を有することができる区間))」となる。この「有利期間」は、指示機能の作動、RT中、BB内部中および役物等の作動中等(たとえば、シングルボーナス(SB)中)のいかなる状態によらず、所定回数(1500回)の遊技の結果が得られた場合(1500ゲーム(規制ゲーム数)を消化した場合)、当該有利区間が終了(初期化処理)される。なお、特別役に当選して有利区間に移行させる場合(AT抽選に当選等)、BB入賞までのゲーム数は待機区間であるとして有利区間にカウントしないこともできる。
上記AT抽選に当選した次ゲーム以降は、所定の前兆ゲーム数(たとえば、5〜32ゲーム)が消化されるまで、前兆モード(前兆遊技状態)に移行する。そして、前兆モード終了後、RT2移行リプ種別(抽選番号2〜7)に当選した場合、RT2移行リプレイの押し順がアシスト報知され(以下、「RT2移行リプナビ」と略す)、遊技者がRT2移行リプナビに従いRT2移行リプレイを入賞させると、リプレイ確率が通常遊技よりも高確率の「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」に移行される。
上記準備ART遊技中において、RT3昇格リプ種別(抽選番号11〜15)に当選すると、‘RT3昇格リプレイ’の押し順がアシスト報知され(以下、「RT3昇格リプナビ」と略す)、遊技者がRT3昇格リプナビに従いRT3昇格リプレイを入賞させると、本ART遊技に移行される。また準備ART遊技中に、RT1転落リプ種別(抽選番号8〜10)に当選すると、‘通常リプレイ’のアシスト報知(以下、「通常リプナビ」と略す)が発生し、RT1遊技への転落移行が回避することができるようになっている。またチャンスベルや押順ベル種別(抽選番号28〜40)に当選すると「中段ベルナビ」が発生する。これにより、準備ART遊技中は、遊技メダルを極力減らすことなく、「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」(疑似ボーナス)に移行可能な遊技状態となっている。
本ART遊技に移行すると、上記準備ART遊技と同じく、押順ベル種別に当選すると「中段ベルナビ」が発生する。なお本ART遊技中はリプレイ確率が準備ART遊技と同一の遊技状態となっているが、RT1転落リプ種別の当選確率が準備ART遊技よりも低確率(本実施形態の場合、抽選対象から除外されている(当選確率がゼロ))となっている。したがって本ART遊技は、RT1遊技への転落可能性が相対的に低い点で、準備ART遊技よりも遊技者に有利に作用する遊技状態、つまり一般遊技状態のうち、遊技者に最も有利に作用する遊技状態となっている。詳細は後述するが、この本ART遊技は、主に、所定のゲーム数(ARTゲーム数と継続バトルゲーム数(7ゲーム))を消化した場合に終了される。
また本ART遊技中に所定の移行条件を満たすと、遊技者に有利に作用する「上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)」に移行される。この上乗せ特化ゾーン中は、上乗せゲーム数抽選が本ART遊技よりも有利な抽選が行われ、上乗せし易い遊技状態となっている。
上記の通り、遊技状態の遷移は、端的に言えば、所定の昇格移行条件が成立すると、現在の遊技状態よりも相対的に遊技者に有利に作用する遊技状態へと昇格移行され、所定の転落移行条件が成立すると、その有利な遊技状態から、遊技者に不利な遊技状態へと移行される。本実施形態では、遊技者が受ける利益度の関係は、「初期遊技≦通常遊技<準備ART遊技<本ART遊技<上乗せ特化ゾーン」となっている。また、遊技状態の移行に伴い、演出モードも移行先の遊技状態に対応した演出モードに移行される。
以下に、本発明と関連の深い、「通常遊技」、「準備ART遊技」、「本ART遊技」、「上乗せ特化ゾーン」について詳細に説明する。
(通常遊技:RT1遊技+AT0遊技)
「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」について説明する。
「通常遊技」は、初期遊技と同様にAT遊技が発生しない「非AT遊技」に係る遊技状態であり、初期遊技とリプレイ確率が略同一の遊技状態となっている。本実施形態では、主に、通常遊技において、本ART遊技への移行権利(本ART実行権利)である「AT抽選」に当選するか否かに関心を寄せて遊技を楽しむようになっている。
(AT抽選状態について)
既に説明したように、通常遊技は、AT抽選の有利度合が異なる3つの遊技状態の「地獄モード、通常モード、天国モード」が設けられており、通常遊技中は、この3つのモード間を行き来するようになっている。各モードの移行制御は、主制御部400側において、AT抽選状態移行抽選(モード移行抽選)の抽選結果に基づき行われる。このAT抽選状態移行抽選は、図28A〜図28Dに示す「AT抽選状態移行抽選テーブル」を利用して実行される。
(AT抽選状態移行抽選テーブル:図28A〜図28D)
図28A〜図28Dに、本実施形態に係るAT抽選状態移行抽選テーブルを示す。図28Aおよび図28Bは、モード昇格用の移行抽選テーブルであり、図28Aは地獄モードで利用されるAT抽選状態移行抽選テーブル(モード昇格用)、図28Bは、通常モードで利用されるAT抽選状態移行抽選テーブル(モード昇格用)である。図28Cおよび図28Dは、モード転落用の移行抽選テーブルであり、図28Cは通常モードで利用されるAT抽選状態移行テーブル(モード転落用)、図28Dは、天国モードで利用されるAT抽選状態移行抽選テーブル(モード転落用)である。
上記図28A〜図28DのAT抽選状態移行テーブルには、図示のように、遊技状態と特定の当選役種別(移行抽選契機役種別(後述の役グループ番号で纏めた当選役種別)に応じた移行抽選確率が定められている。詳しくは、各AT抽選状態移行テーブルには、先頭1バイト長のデータ識別子が格納され、続いて、1バイト長の抽選値が連続して格納されている。なお図中のセル内に示した数値(昇格、転落の欄)は、抽選領域の大きさ(256)に対する判定値(当選領域)の占有領域数であり、「判定値/抽選領域の大きさ」が抽選確率となっている(図29A〜図29C、図30等についても同様)。
本実施形態では、昇格移行については「地獄モード→通常モード→天国モード」の順に段階的に移行されるようになっており(図28Aおよび図28B、図8参照)、転落移行については、通常モードからは地獄モード(通常モード→地獄モード)、天国モードからは、通常モードまたは地獄モード(天国モード→通常モードまたは地獄モード)(図28Cおよび図28D、図8参照)に移行されるようになっている。斯様な遊技モード間の行き来を可能にすることで、通常遊技中の面白みを向上させている。また、地獄モード〜天国モードに対応する演出モードが用意されており、各遊技モードに応じて、複数の特定演出の出現率に差異を設けてあり、遊技者に対し、現在の遊技モードの推測要素を与え、AT抽選当選への期待感を煽ることができるようになっている。
昇格移行抽選について、ベル系当選役のチャンスベル(グループ番号14)や押順ベル種別(グループ番号15)の場合は、押し順正解時、つまり「中段ベル」の入賞を契機に移行抽選が実行され、それ以外の場合は、ゲーム開始時に移行抽選が実行されるようになっている(図28Aおよび図28Bの備考欄、図10BのステップS72のART関連分岐処理、図26の差番地テーブル、図14AのステップS713〜S715等参照)。
また、転落移行抽選については、通常リプレイ(通常リプレイ(抽選番号1)、RT2移行リプ種別、RT1転落リプ種別、RT3昇格リプ種別(抽選番号1〜15)に係る通常リプレイ)の入賞を契機に実行されるようになっている(図28Cおよび図28Dの備考欄参照)。これにより、過度な状態移行抽選の機会が付与されてしまうことを防止している。
(ゲーム終了時とゲーム終了時のART関連処理中の抽選処理について)
詳細は後述するが、上述のリプレイ入賞による転落移行抽選やベル系当選役による昇格移行抽選のように、遊技結果を要する処理の場合には、後述の図10CのステップS86の「ART関連分岐処理(ゲーム終了時の分岐処理)」で分岐先となるART関連処理(状態関連処理)で実行され、他方、当該リプレイ入賞による転落移行抽選等とは異なり、遊技結果を必要としない処理の場合には、図10BのステップS72の「ART関連分岐処理(ゲーム開始時の分岐処理)」で分岐先となるART関連処理で実行される。たとえば、転落移行抽選の場合は、ステップS86の「ART関連分岐処理」で分岐先となる一般中処理、具体的には、ステップS72の「ART関連分岐処理」で分岐先となる一般中処理のステップS713〜S715と同様の移行抽選処理が実行される。すなわち、始動手段の操作を契機に、特定の遊技状態の制御に関連する抽選処理(たとえば、図28Aおよび図28Bの昇格移行抽選)を含む第1制御処理(ゲーム開始時の一般中処理(図14A))を実行する第1制御処理実行手段と、遊技結果が導出表示されたことを契機に、特定の遊技状態の制御に関連する抽選処理(たとえば、図28Cおよび図28Dの転落移行抽選)を含む第2制御処理(ゲーム終了時の一般中処理(図示せず))を実行する第2制御処理実行手段とを含み、第1制御処理における抽選処理と第2制御処理における抽選処理とが、共通の抽選処理(たとえば、図14AのステップS714の抽選処理、その詳細を示す図14B)により構成することができる。前述の第1制御処理と第2制御処理との関係は、AT抽選や上乗せ抽選についても同様に適用できる(図29A〜図29C、図31A〜図31B、右各図備考欄参照)。なお、AT抽選状態移行抽選契機役の種類やその抽選確率については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
(AT抽選)
またAT抽選は、主制御部400側において、図29A〜図29Cに示す「AT抽選テーブル」を利用して実行される。
(AT抽選テーブル:図29A〜図29C)
図29A〜図29Cに本実施形態に係るAT抽選テーブルを示す。図29A〜図29Cは、それぞれ、地獄モード、通常モード、天国モードで利用されるAT抽選テーブルを例示したものである。
AT抽選テーブルには、図示のように、遊技状態と特定の当選役種別(AT抽選契機役種別)とに応じたAT抽選確率が定められている。AT抽選テーブルの基本的構成は、図28A〜図28DのAT抽選状態移行抽選テーブルと同じである。なお詳細は後述するが、AT抽選テーブルにおける判定値が「77」の場合は、抽選用乱数値との比較判定処理を行うことなく「当選」として処理される(後述の図14BのステップS753の判定処理参照)。図29A〜図29BのAT抽選テーブル(地獄モード用、通常モード用)では、最強チェリーが判定値「77」となっており、図29CのAT抽選テーブルでは(天国モード用)、強チェリーと最強チェリーが判定値「77」となっている。
(役グループ番号について:図23A、図23B)
ここで、上記AT抽選状態移行抽選やAT抽選や上乗せ抽選などを含む各種抽選(図28A〜図28D、図29A〜図29C、後述の図30、図31A〜図31Bなど)では、当選役(抽選契機役)の種類そのものに対応した抽選を行うのではなく、役に定められた性質・性能等を考慮して、抽選対象役をグループ分けした「役グループ番号(図23A、図23B参照)」を利用して抽選を実行するようになっている。端的に言えば、各役を性質・性能等に基づくグループ分けをし、このグループが当選役と対応関係があるものとして扱い、各種の抽選を実行する際に利用する。このようにすれば、以下のような利点がある。
主制御部400は、基本遊技状態や基本遊技状態をさらに細分化した遊技モードに関する制御や、回胴の回転/停止制御や、アシスト報知制御などを担い、また遊技性を豊富にするためには、多種多様な役構成を必要とする。このため、主制御部400側の制御負担の増加を招く。そこで本実施形態では、役の性質・性能を考慮したグループ分けをし、実際の当選役の種類数よりも少ない種類数に分類した「役グループ番号」を当選役と同等のものとして扱い、AT抽選状態移行抽選やAT抽選などを実行する。このようにすれば、抽選契機役を数多く設けた場合であっても、それら全ての役に対して、無闇に抽選確率データを定める必要が無く、プログラムの削減・抽選処理の負担軽減等に寄与し、以って主制御部400側の制御負担を軽減することができる。
上記した‘グループ分け’の仕方については、どのような抽選に利用するか、遊技性などによっても異なりうるが、主に、次の点を考慮することができる。たとえば、「配当の関係(たとえば、遊技価値の軽重、共通の遊技価値を付与するものであるか否か、遊技状態に応じて遊技価値が変動するものであるか否かなど)」、「リプレイ役種、小役種、および特別役種のいずれのカテゴリーに属する役であるか」、「押順不問役(押順不問小役、押順不問再遊技役)に属する役であるか、押順規定役(押順規定小役、押順規定再遊技役)に属する役であるか」等である。本実施形態の場合、以下のようなグループ分けとなっている。
(A)ハズレ(抽選番号0)は「役グループ番号0」、
(B)通常リプレイ、RT2移行リプ種別、RT1転落リプ種別およびRT3昇格リプ種別(抽選番号1〜15)は「役グループ番号1」、
(C)7リプレイ〜BARリプフェイク(抽選番号16〜19)は、「役グループ番号2〜5」
(D)弱チャンス1〜最強チェリー(抽選番号20〜26)は、それぞれ「役グループ番号6〜12」、
(E)共通ベルAは「役グループ番号13」、
(F)チャンスベルは「役グループ番号14」、
(G)押順ベル種別は「役グループ番号15」、
(E)特別役種は、「役グループ番号16」、
といった具合である。勿論、役グループ番号のように、当選役をグループ分けすることはせずに、当選役自体に基づく抽選を行ってもよく、役グループ番号を利用するかしないかは、適宜選択することができる。
図29A〜図29CのAT抽選テーブルの説明に戻る。役グループ番号1〜13の当選役については、ゲーム開始時、具体的には、始動レバー11の操作を契機に(当選役決定後(内部抽選処理後))にAT抽選が実行されるが、グループ番号14のチャンスベル(抽選番号28)と、グループ番号15の押順ベル種別(抽選番号29〜40)のベル系当選役の一部については、ゲーム終了時、具体的には、遊技結果が導出されたこと(全回胴停止)を契機)にAT抽選が実行される。本実施形態では、押し順正解時、つまり「中段ベル」の入賞があった場合に限り、AT抽選が実行されるようになっている(図29A〜図29Cの備考欄参照)。これにより、過度なAT抽選機会が付与されてしまうことを防止している。また、1ゲーム中に、ゲーム開始時に当選役に基づくAT抽選を実行するだけでなく、ゲーム終了時に遊技結果に基づくAT抽選をも実行可能に構成すること、ゲーム性を向上させている(図31A、図31Bの上乗せ抽選も同様)。また、プレミアム役の「最強チェリー」が当選した場合、どの遊技モード下であっても、AT抽選に当選(AT当確)となるが、最強チェリーが当選した場合には、AT当確(第1特典)に加え、本ART遊技に関する特典(第2特典)を付与する構成としてもよい。本ART遊技に関する特典としては、たとえば、ARTゲーム数を優遇することが挙げられる。ARTゲーム数は、通常、1セット40ゲームであるが、最強チェリー当選により本ART遊技に移行した場合は、2セット分の80ゲームから開始させたり、後述のARTゲームに係るセット継続が確定するストックを1または複数個獲得した状態から本ART遊技を開始させたりすることができる。なお、AT抽選契機役の種類やその抽選確率については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
また、重複BB役(抽選番号42〜44、46〜48)が当選した場合は、重複当選となる一般役種別に対応したAT抽選が実行される。たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」の場合、強チャンスを対象としたAT抽選が実行される。AT当選の場合は‘AT当選状態’に設定され、BB1のボーナス遊技が終了した後、本ART遊技への移行が約束されるようになっている。他の抽選についても同様であり、抽選結果に応じた遊技価値に加え、ボーナス遊技が付与されるようになっている。
(通常遊技に係る遊技モードの変形例:CZモード)
なお上記では、地獄モード、通常モード、天国モードの3つの遊技モードを設けた例について説明したが本発明はこれに限られない。これら遊技モードの他、別途、AT抽選が天国モードより優遇される、または天国モードと同等のチャンスゾーン(AT抽選超高確率ゾーン(以下「CZモード」と称する)を設けてもよい。斯様なCZモードは、AT抽選期待感を大いに煽ることができるので、遊技興趣を向上させることができる。CZモードへの移行は、所定の移行抽選(CZ移行抽選)に当選した場合に移行させることができる。CZ移行抽選は、たとえば図28A〜図28Dと基本構成を同じとする移行抽選テーブルに基づき実行すればよい。
上記CZモードは、所定ゲーム数(たとえば、10ゲーム)が消化するまで継続させる「ゲーム数管理型」としてもよいし、1セット10ゲームとする単位セットを、1または複数セット数継続させる「セット数管理型」としてもよい(セット数は所定の抽選(セット数抽選)により決定してもよい)。また、1セット10ゲームを所定の継続率(たとえば、25%(64/256))に基づく抽選(CZ継続抽選:期間延長抽選手段)により継続させていく「継続率管理型」としてもよい。なお、CZ移行抽選契機役の種類やその抽選確率については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
また上記CZモード中において、当選役種別(役グループ番号でもよい)に基づき、所定のポイント数を付与するか否かのポイント獲得抽選を実行し、これら抽選結果に応じてポイント付与を行い、ポイント累積値(獲得ポイント)が所定値に達した場合、AT当選としてもよい。たとえば、弱チャンスは200P、スイカは500P、強チェリーは1000P、強チャンスは2000Pとし、CZ中の獲得ポイントが10000P以上の場合は、AT当選とすることができる。また、獲得ポイント数に応じたAT抽選を実行可能な構成としてもよい。たとえば、CZ中の獲得ポイントが0〜4000P未満の場合は、30/256、4000〜7000P未満の場合は96/256、7000P〜10000P未満の場合は130/256で、AT当選とすることができる。
(本ART遊技への移行権利(AT抽選)に関する変形例)
また、本ART遊技への移行権利をAT抽選によるものだけでなく、下記の抽選により本ART遊技への移行権利を付与してもよい。たとえば、特定の当選役が連続当選した場合(たとえば、2ゲーム連続でスイカに当選した場合など)や、当選から所定ゲーム数以内に、1または複数回の連続当選(たとえば、スイカに当選後の32ゲーム以内にさらに当選した場合など)や、特定の入賞役に連続入賞(たとえば、中段ベルに4連続入賞など)などをAT抽選契機としてもよい(連続当選時AT抽選、連続入賞時AT抽選)。また、規定回数の連続当選や連続入賞があった場合は、AT抽選によらず、AT当選確定としてもよい。
(フリーズ演出について)
次に、フリーズ演出について説明する。本実施形態では、所定の実行条件に基づき、遊技機に係る遊技進行を通常の遊技進行よりも遅延させる(たとえば、所定の遊技動作処理を所定のフリーズ時間進行しないようにする)フリーズ状態を制御可能に構成されている(遅延状態制御手段)。このフリーズ状態の期間を利用して現出される演出を「フリーズ演出」と称する。
フリーズ演出には、回胴を利用した「回胴演出(フリーズ中メイン側演出)」と、演出手段(たとえば、装飾ランプ、演出用LED、液晶表示装置、スピーカなど)を利用した「フリーズ中演出(フリーズ中サブ側演出)」とが含まれる。
上記「回胴演出(リール演出)」とは、フリーズ状態中における回胴の動的な動きまたは静的な動き、あるいはそれら組合せを利用した演出を意味する。「回胴の動的な動き」とは、少なくとも1つの回胴が所定の動作パターンで回転動作を行う「変則回転動作(変則回転)」を指す。変則回転の代表的なものは、回胴の逆回転、逆方向への寸動、逆方向から順方向に回転して逆方向に戻る折り返し運動、各回胴が時間的にずれて次々と逆方向に回転開始する変則スタート、低速順回転などである。また「回胴の静的な動き」とは、フリーズ状態中に、全回胴が静止状態にいること、つまりフリーズ状態中に静止している「無回転動作」を意味する。
また上記「フリーズ中演出」とは、回胴による演出ではなく、演出手段を利用した演出(音演出、光演出、画像表示演出、および可動体演出のうちの少なくとも1つの演出)である。このフリーズ中演出は、通常、回胴演出に付随して現出され、たとえば、衝撃音や、強烈なフラッシュを発生する閃光演出、液晶画面全体をブラックアウトするブラックアウト演出などの演出態様が代表的である。ただし、フリーズ状態が発生したからといって、必ずしもフリーズ中演出が発生するとは限らない。フリーズ中演出が何ら発生しなくとも、無回転動作や変則回転動作による「回胴演出」の発生それ自体が遊技者に違和感を与えるという観点から、回胴演出だけで「フリーズ演出」をなすこともできる。
本実施形態では、上記フリーズ状態の一例として、「回胴回転開始時フリーズ(レバー操作時フリーズ)」を採用している。この回胴回転開始時フリーズとは、始動レバー11の本来の目的の操作、つまり通常時において回胴を回転始動させる目的で行う始動レバー11操作を検出したことを契機として、遊技進行上の次の段階である操作または処理(回胴の通常回転の開始)を遅延対象として、これを有効化するタイミングを所定のフリーズ時間だけ遅延させ、結果として、遊技の進行を一時的に中断させる。したがって、フリーズ時間が終了したことが、この回胴回転開始時フリーズの終了契機となる。本実施形態では、上記回胴回転開始時フリーズを利用して、「Sフリーズ(ショートフリーズ)」と「Lフリーズ(ロングフリーズ)」といった複数種類のフリーズ演出を発生可能に構成されている。
「Sフリーズ」は、始動レバー11の操作後、所定のフリーズ時間(たとえば、1秒)において、「変則回転」動作による回胴演出(変則回転回胴演出)を含むフリーズ演出となっている。また「Lフリーズ」は、「変則回転回胴演出」を含むものであるが、フリーズ時間および回胴演出がSフリーズと異なるものとなっている。
なお「フリーズ状態」は、「回胴回転開始時フリーズ(レバー操作時フリーズ)」に限らず、停止ボタン12(停止ボタン12a、12b、および12cの少なくともいずれか一つ)の停止操作を契機に所定のフリーズ時間だけフリーズ状態とする「停止操作時フリーズ」や、全回胴停止後に所定のフリーズ時間だけフリーズ状態とする「全回胴停止後フリーズ」などを採用してもよい。また、これらのフリーズを1または複数組合せたものを採用してもよい。
(フリーズ演出抽選)
上記した各フリーズ演出は、フリーズ演出抽選に基づいて、その発生の有無が決定される。このフリーズ演出抽選は、主制御部400側において、図30に示す「フリーズ演出抽選テーブル」に基づいて実行される。
(フリーズ演出抽選テーブル:図30)
図30に本実施形態に係るフリーズ演出抽選テーブルを示す。フリーズ演出抽選テーブルは、遊技状態と当選役種別(フリーズ演出抽選契機役)とに応じたフリーズ演出種別の抽選確率が定められており、テーブルの基本的構成は、図示の通り、上記AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A〜図28D)等と同じである。このフリーズ演出抽選により、フリーズ演出未発生、フリーズS、フリーズLのいずれかが決定される。斯様なフリーズ演出は、主に、今回のゲームの当選役情報を報知する予告演出をなし、フリーズ演出の発生の有無、そのフリーズ演出の種類に応じて、当選役の推測要素を与えたり、レア役への当選期待感を煽ることができるようになっている。なお、フリーズ演出抽選契機役の種類やフリーズ演出の抽選確率については、遊技性に応じて適宜変更することができる。
(前兆モード:通常遊技(初期遊技)中AT当選状態)
上記AT抽選に当選した場合、次ゲームからAT当選状態となり、前兆モードに移行する。本実施形態の場合、所定の前兆ゲーム数が消化した次ゲームにて、AT当選を報知する「疑似ボーナス当選報知演出」を現出させ、AT当選に起因した「RT2移行リプナビ」の発生が許容される。なお前兆ゲーム数は、複数のゲーム数(たとえば、5〜32ゲーム(前兆ゲーム数=0(前兆無しの当選即報知))を含むことができる)のうちからいずれかのゲーム数が抽選により決定されるようになっている(図14AのステップS719〜721(前兆ゲーム数抽選処理)参照))。また、前兆モード中は、前兆演出モード下の演出として、AT当選期待感を煽るためのAT当選期待演出が現出されうる。AT当選期待演出には、AT当選を確定的に報知する当確演出が含まれる。
また、AT抽選に非当選(ハズレ)の場合に、ガセの前兆モードに移行させ、最大前兆ゲーム数(32ゲーム)範囲内において、ガセの前兆演出モード下においてAT当選期待演出が現出させる。この場合、「真の前兆モード(真の前兆演出モード)」と「ガセの前兆モード(ガセの前兆演出モード)」とで、キャラクタやアイテムに関する特定演出等の現出率を異ならせる等をし、遊技者にAT抽選結果の推測要素を与えるようになっている。これにより、最大前兆ゲーム数(本実施形態の場合、32ゲーム)が消化されるまでは、AT当選への期待感を抱きながら、遊技に興じることができる。しかし最大前兆ゲーム数を消化してもAT当選を報知する「疑似ボーナス当選報知演出」等が現出されない場合は、ガセの前兆モードに滞在していたこと、つまり、AT抽選非当選が確定的となる。
なお、ガセの前兆モード中は、現在の遊技状態(遊技モード)に対応する演出モード下の演出を現出させてもよい。また特定の当選役によるAT当選の場合(たとえば、AT当確となる最強チェリーに当選した場合)、前兆モードを経由することなく(前兆ゲーム数=ゼロ)、AT当選ゲームの次ゲームから後述の「準備ART移行前遊技」に移行させてもよい。また、前兆モード中に最強チェリーに当選した場合には、残余前兆ゲーム数を短縮(たとえば、前兆ゲーム数を強制的にゼロにする)してもよい。また前兆モード中も、レア役(強チャンス、強チェリー、最強チェリーなど)に当選する可能性がある。この場合、所定の抽選(特定モード中特典抽選)により特別な特典を付与してもよい。たとえば、本ART遊技開始時のARTゲーム数を優遇したり(たとえば、2セット分の80ゲームから開始させる)、後述のARTゲームに係るセット継続が確定するストックを1または複数個獲得した状態から本ART遊技を開始させたりすることができる。特定モード中特典抽選は、上記AT抽選テーブルや後述の上乗せ抽選テーブルと基本的構成を同じくする「特定モード中特典抽選テーブル(図示せず)」に基づき行うことができる。後述の準備ART移行前遊技中および/または準備ART遊技中においても特定モード中特典抽選を行うことができる。
(準備ART移行前遊技:RT1遊技+AT1遊技)
上記前兆モード(真の前兆モード)が終了すると、遊技状態が「準備ART移行前遊技(RT1遊技+AT1遊技)」に移行される。そして、前兆ゲーム終了の次ゲームにて(次ゲーム開始のためのベット時でもよい)、上記疑似ボーナス当選報知演出が現出される。この準備ART移行前遊技は、RT2移行リプ種別に当選待ちの待機状態(準備ART移行への準備中モード)として働く。
準備ART移行前遊技中にRT2移行リプ種別に当選すると、AT1遊技の作用により、「RT2移行リプナビ」が発生し、遊技者がこのアシスト報知に従い停止操作を行えば、RT2移行リプレイが入賞して、RT状態が、現在のRT1遊技からRT2遊技へと昇格移行される。これにより、「準備ART移行前遊技(RT1遊技+AT1遊技)」から「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」に移行される。また準備ART移行前遊技中は、押順ベル種別(抽選番号29〜40)に当選すると「中段ベルナビ」も発生する。これにより、RT2移行リプ種別を入賞させるまでの待ち期間は、遊技メダルを極力減らすことなく「準備ART遊技」に移行することができる。ここで「RT2移行リプナビ」が発生した際に、遊技者が故意にRT2移行リプレイの入賞を回避させ、通常リプレイを入賞させてゲーム期間を意図的に延長させつつ、押順ベル種別の当選、つまり「中段ベルナビ」を待ち、中段ベルを入賞させて利益を増やしていく、といった技術介入要素が生まれる恐れがある。そこで、準備ART移行前遊技中は「役秘匿アシスト報知」を現出させるようになっている。たとえば、RT2移行リプ123、押順ベル123A、または押し順123Bのいずれかが当選した場合、アシスト報知の内容は、いずれの場合も、払出枚数表示器35(主報知手段)には「123」の押し順を示す「1」を表示し、他方、液晶表示装置6(副報知手段)の液晶画面には「123」のアシスト情報を示す画像演出を表示する(図23A〜図23Bの指示モニタ番号の対応記載欄、図22参照)。しかし、副報知手段に係る画像演出には、当選役情報が判明してしまうような演出は現出しない。勿論、画像演出の他、音演出および/または光演出を副報知手段として利用する場合、これらの演出においても当選役情報が判明してしまうような演出は現出しない(後述の準備ART遊技や本ART遊技中も同様)。さらに、RT1遊技下ではハズレ確率も高く設定されているため、ハズレ確率と上記役秘匿アシスト報知とが相まって、遊技者が故意にアシスト報知に従わない場合、単位ゲーム当りの遊技メダルの純増枚数がマイナスに傾くようにして遊技者が不利益を被るようにし、上述の技術介入要素を無効化してある。
(第1昇格通常遊技:RT2遊技+AT0遊技)
上記のように「AT1遊技」は、AT抽選に当選したことを条件に発生し、AT抽選に当選しない限りは、「RT2移行リプナビ」は実行されない。したがって、AT抽選に当選するまでの遊技状態は、基本的には、「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」に滞在することになる。しかし通常遊技中であっても、RT2移行リプ種別が当選した際の遊技者の恣意的な停止操作により、RT2移行リプレイが入賞して、RT1遊技からRT2遊技に昇格移行される場合がある。ただしこの場合は、「AT抽選非当選時」に昇格移行したとして、AT遊技が発生せずに(「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」とはならずに)、遊技状態は「RT2遊技+AT0遊技」という「第1昇格通常遊技」とされる。この「第1昇格通常遊技」は、RT2遊技下であるため、「転落リプレイ」の入賞を許容するRT3昇格リプ種別やRT1転落リプ種別、また「ベル溢し目」の入賞を許容する押順ベル種別の多くの役が抽選対象とされるが(図5A、図5B参照)、これらの役に当選しても、転落リプレイやベル溢し目を回避する押し順は報知されない。したがって、比較的短いゲーム数で通常遊技に再移行されるようになっている。
(第2昇格通常遊技:RT3遊技+AT0遊技)
また稀なケースであるが、第1昇格通常遊技中にRT3昇格リプ種別(抽選番号11〜15)が当選した際に遊技者の恣意的な停止操作により、RT3昇格リプレイが入賞して、RT2遊技からRT3遊技に昇格移行される場合がある。しかしこの場合も、「AT抽選非当選時」に昇格移行したとして、AT遊技が発生せずに(後述の「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」とはならずに)、遊技状態は「RT3遊技+AT0遊技」という「第2昇格通常遊技」とされる。この第2昇格通常遊技はRT3遊技下であるため、RT2遊技下のような、RT1転落リプ種別やRT3昇格リプ種別が抽選対象役とはならないが、ベル溢し目の入賞を許容する押順ベル種別は抽選対象役となっており、当該押順ベル種別が比較的高確率で当選するようになっている(図4A、図4B参照)。しかし、押順ベル種別が当選しても「ベル溢し目」を回避する押し順が報知されない。したがって、第2昇格通常遊技に移行しても、比較的短いゲーム数で、通常遊技に再移行されるようになっている。
このように、遊技状態が上記第1昇格通常遊技または第2昇格通常遊技となっても、AT抽選非当選状態であれば、RT1遊技に容易に転落移行させて通常遊技に戻るようにしている。これにより、RT2遊技やRT3遊技のような高確率RT遊技が長いゲーム数にわたって継続することを防止し、遊技機の設計上、想定外の利益が遊技者に付与されないような工夫がなされている。なお、上述の第1および第2昇格通常遊技に移行しても、遊技モードとしては、地獄モード〜天国モードのいずれかに滞在していることに変わりがなく、AT抽選やフリーズ演出抽選などは実行されうる。
(準備ART遊技:RT2遊技+AT1遊技)
次に、「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」について説明する。
上記したように、準備ART移行前遊技においてRT2移行リプレイが入賞した場合、「準備ART遊技」に移行される。この準備ART遊技中は、AT1遊技の作用により、RT3昇格リプ種別が当選すると「RT3昇格リプナビ」が、RT1転落リプ種別が当選すると「通常リプナビ」が、押順ベル種別が当選すると「中段ベルナビ」が発生する。そして、RT3昇格リプレイが入賞した場合には、RT状態がRT2遊技からRT3遊技に、AT状態がAT1遊技からAT2遊技にそれぞれ昇格移行される。これにより、これにより、「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」から「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」に移行される。また準備ART遊技中のアシスト報知については、上記準備ART移行前遊技とケースと同じように、「役秘匿アシスト報知」が現出されるようになっている。このため、遊技者は押し順情報しか知ることができず、たとえば「RT1転落リプ2XX」および「RT3昇格リプ213」のいずれのリプレイ役に当選したのかまでは知ることができないため、アシスト報知を無視すると、転落リプレイが入賞する可能性があり、遊技者は積極的にアシスト報知に従うことになる。
なお上記「有利区間」については、AT当選ゲームの次ゲームからカウントが開始される。すなわち、通常遊技中のAT当選状態である前兆ゲーム〜本ART遊技に移行するまでに要したゲーム数が、この有利区間としてカウントされる。たとえば、今回のゲームでAT抽選に当選した場合、前兆ゲーム数が11ゲーム、準備ART移行前遊技中から準備ART遊技中への移行に7ゲーム要し、準備ART遊技中から本ART遊技への移行に15ゲーム要したとすれば、計33ゲームが有利区間としてカウントされることになる。
(本ART遊技(疑似ボーナス遊技):RT3遊技+AT2遊技)
次に、「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」について説明する。
本ART遊技中は、リプレイ確率が最高レベルであり、またAT2遊技の作用により、 ‘中段ベルナビ’が発生し、1ゲームあたりの平均純増枚数が、通常遊技よりも飛躍的に高まる「疑似ボーナス」として働く遊技状態である。また本ART遊技中は、図5Bの役抽選テーブルに示すように、RT1遊技からRT3遊技の移行に要したRT2移行リプレイ種別やRT3昇格リプレイ種別やRT1転落リプレイ種別が抽選対象から除外されているため、中段ベルナビに従う限り、RT1遊技への転落移行を回避することができる。なお本ART遊技中は、再遊技役種別や押順ベル種別等が高確率で当選するため、その再遊技付与動作や払出動作により遊技消化スピードが遅延しがちになる。このため、遊技者の中には、遊技消化スピードに不満を感じる者も多い。したがって、本ART遊技中や上乗せ特化ゾーン中は、フリーズ演出抽選の実行はせずに、闇雲にフリーズを発生させない「フリーズ非実行遊技状態」とすることが好ましい。
(本ART遊技の継続ゲーム数(ARTゲーム数))
ARTゲーム数は、本ART遊技開始時に(本ART遊技開始1ゲーム目)、たとえば「40ゲーム」が設定される。この40ゲームは、ARTゲーム数のデフォルト値、つまり、何ら上乗せがない場合の1セット分のゲーム数である。なお、本ART遊技自体は、上述の1セット40ゲーム(上乗せがない場合)と、後述の継続バトルモードの7ゲーム(固定ゲーム数)を合計した47ゲームが実質的なゲーム数となっている。
本実施形態では、ARTゲームの最終ゲーム目において、本ART遊技をさらに1セット継続させるか否かについてのART継続抽選が実行される。このART継続抽選は、ARTゲームの最終ゲーム目の実行を契機に行われる(図14DのステップS744参照)。ART継続抽選は、所定の継続率(たとえば、50%(128/256)で継続)に基づいて、その当否が決定されるようになっている。
なお上記継続率には、複数種類の継続率(たとえば、継続率50%、65%、80%)が設けられており、いずれの継続率とするかは「継続率抽選」により決定される。継続率抽選は、本実施形態の場合、AT抽選に当選した場合に、その当選ゲームにて実行される。また継続率抽選は、後述の上乗せ抽選テーブルと基本的構成を同じくする「継続率抽選テーブル(図示せず)」に基づき行うことができる。たとえば、上乗せ抽選テーブルにおける上乗せゲーム数+10、+20、+30Gを、継続率50%、65%、80%等と置き換えればよい。なお各継続率の抽選確率は、当選役種別に応じた抽選確率としてもよいし、当選役種別とは無関係に、各継続率の抽選確率を定めてもよい。また、プレミアム役の最強チェリーの場合は、最高継続率に当選確定としてもよいし、最低継続率が抽選されないようにしてもよい。また継続率抽選は、本ART遊技開始1ゲーム目や前兆モードの最終ゲームにて実行してもよい。また、本ART遊技開始前のゲーム(たとえば、前兆モードの次ゲームや本ART遊技開始1ゲーム目)にて、継続率抽選の抽選結果を示唆する継続率示唆演出を現出させてもよい。継続率示唆演出としては、たとえば、駆逐艦、巡洋艦、および戦艦のキャラクタ画像のうち、継続率50%の場合は駆逐艦、65%の場合は巡洋艦、80%の場合は戦艦が出現し易い等である。また、上記疑似ボーナス当選報知演出の一環として、継続率示唆演出を現出させてもよい。
上記ART継続抽選に当選した場合には、再度、1セット分の40ゲームが設定され、本ART遊技が継続される。一方、ART継続抽選に非当選(ハズレ)の場合には、今回のセットを以って本ART遊技が終了されることになる。ただし、ARTゲーム数が残存していた場合であっても、有利区間移行後に規制ゲーム数(1500G)消化された場合は、強制的に有利区間が終了され、本ART遊技が強制的に終了される(後述の継続バトルモード、上乗せ特化ゾーンも同様)。本実施形態では、有利区間の残余ゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、残り47ゲーム)に達すると、有利区間がまもなく終了される旨を事前報知する有利区間報知演出が現出されるようになっている。
(継続バトルモード)
本実施形態では、ARTゲーム数の最終ゲームの次ゲームから、所定のゲーム数(本実施形態では、7ゲーム)が消化されるまで「継続バトルモード」に移行される。この継続バトルモードの7ゲーム間は、主人公キャラと敵キャラとが対決する「バトル演出(複数ゲームに亘り展開される連続演出)」が展開され、その演出結果により、本ART遊技が継続するか否か、すなわち、ART継続抽選結果が報知される(継続時は「勝利演出」、非継続時は「敗北演出」が現出される)。まだ前述したように、ART継続抽選は、ARTゲームの最終ゲーム目において実行されるようになっている。
上記継続バトルモードの実体は本ART遊技であり、本ART遊技の後半区間に実行される遊技モードである。すなわち本ART遊技は、ARTゲーム数が消化されるまでの前半区間に係る「非バトルモード」と、当該非バトルモード終了後に展開される後半区間に係る「継続バトルモード」という複数の遊技モードが含まれる。これにより、内部的遊技状態は本ART遊技でありながらも、異なる遊技モードに対応した演出モード(ART演出モード(非バトルモード対応)、継続バトル演出モード(継続バトルモード対応)による演出が現出される。この点、通常遊技に係る地獄モード、通常モード、天国モード等と同様である。
継続バトルモード中は、後述の上乗せ抽選は実行されず、継続バトルモードゲーム数やARTゲーム数に対する上乗せはない。しかし、継続バトルモード中の毎ゲーム、本ART遊技の継続権利をストック(ART継続抽選によらず、強制継続とする権利)する「ストック抽選」が実行されうる(ストック抽選処理)。このストック抽選は、「ストック抽選テーブル(図示せず)」に基づいて実行される。このストック抽選テーブルは、たとえば、AT抽選テーブル(図29A〜図29C)やAT抽選状態移行抽選テーブル(図28A〜図28B)などと、テーブル構成は基本的に同じである、具体的には、当選役種別(ストック抽選契機役(役グループ番号))に応じて、ストック数(たとえば、1〜3個)とそのストック抽選確率とが定められている。上記ストック抽選に当選した場合には、当選したストック数が加算され(ストック数をカウントするストックカウンタ(RAM401b)にストック数分加算)、次回の継続バトルモードでそのストックが消化(ストック放出)される(ストック数1減算(ストックカウンタ−1))。ストックが放出されると、ART継続抽選によらず継続確定またはART継続抽選結果が非当選であっても強制的に当確処理(継続確定処理)され、バトル演出の結果演出については、勝利演出またはストック放出時用の勝利演出が現出されるようになっている。
なお、ART継続抽選結果が非当選である場合、ストック抽選に関し、次の「バトル形態A」または「バトル形態B」の構成とすることができる。
(バトル形態A)継続バトルモード中にストック抽選に当選してもこれを無効扱いとし、バトル演出結果で敗北演出を現出して継続バトルモードを終了(本ART遊技終了)させる。
(バトル形態B)継続バトルモード中にストック抽選に当選した場合、当該継続バトルモードでストック放出扱いとし、ART継続抽選結果を非当選から当選に書き換え、バトル演出結果で勝利演出を現出させ、継続バトルモード終了後、再度、1セット40ゲームの本ART遊技(非バトルモード)を開始させる。
上記ART継続抽選に当選した場合には、継続バトルモード(バトル演出)の7ゲーム消化後、再度、1セット40ゲームの本ART遊技(非バトルモード)が開始されるが、ART継続抽選が非当選(ハズレ)の場合には、継続バトルモードの7ゲーム消化されると、今回の本ART遊技が終了される。この場合、AT2遊技が終了となり、現在の本ART遊技から「ART終了後遊技(RT3遊技+AT0遊技)」に移行される。このART終了後遊技は、第2昇格通常遊技(RT3遊技+AT0遊技)と同じ内部的遊技状態であるが、遊技モードについては、地獄モード、通常モードおよび天国モードのいずれかに移行されるようになっている。ART終了後遊技中を、どのような遊技モードとするかは、所定の抽選(ART終了時モード移行抽選)により決定され、高設定ほど天国モードが選択される確率が高くなっている。
(本ART遊技の変形例)
なお上記ART継続抽選は、ARTゲームの最終ゲーム目または継続バトルモード1ゲーム目における遊技結果が得られたことを契機で実行してもよい。この場合、図10CのステップS86のART関連分岐処理中に、ART継続抽選処理を設けることができる。また上記ART終了時モード移行抽選の抽選対象に、前兆モード(前兆遊技状態)を含ませてもよい。この場合、前兆モード移行時と同様に、前兆ゲーム数も併せて抽選される。また本ART遊技は、1セット40をART継続抽選により継続させる「継続率管理型」として説明したが、本発明はこれに限られない。上記ゲーム数管理型、上記セット数管理型、上記継続率管理型のいずれであってもよく、これらを組合せたものであってもよい。上記セット数管理型においては、上乗せ抽選と同じ構成の抽選(セット数抽選)により、現在の残余セット数に対して上乗せするセット数(上乗せセット数)を決定してもよい。この場合、たとえば、後述の上乗せ抽選テーブル(図31A、図31B)における+10〜+30Gを+1〜+3セットと置き換えればよい。なお、抽選確率や上乗せセット数は適宜決定することができる。
また、ゲーム数による管理ではなく、たとえば、本ART遊技中の中段ベルナビ(特定役のアシスト報知)の実行回数が規定回数に達した場合、本ART遊技を終了させる「報知回数管理型」、または、払出枚数による「払出枚数管理型」または差枚数による「差枚数管理型」であってもよい。上記払出枚数管理型とは、具体的には、ボーナス遊技と同じく遊技メダルの総払出枚数が所定枚数に達した場合、本ART遊技を終了させる形態である。また上記差枚数管理型とは、総差枚数が所定枚数(たとえば、300枚)に達した場合、本ART遊技を終了させる形態である。具体的には、遊技メダルの払い出しを伴う抽選対象役(弱チャンス1、弱チャンス2、スイカ、チェリー役種別、共通ベルA、チャンスベル、押順ベル種別など)が当選してN枚の遊技メダルが払い出された場合、「入賞による配当N枚−BET数」の差枚数(共通ベルAの場合は、配当9枚−BET数3枚=差枚数6枚となる)が得られる。たとえば、差枚数300枚獲得が終了条件とすれば、仮に、BET数3枚で毎ゲーム配当9枚の入賞役が入賞した場合、50ゲームで終了されることになる(差枚数6枚×50ゲーム=300枚)。
上記した報知回数管理型の中段ベルナビ回数の上乗せについては、上乗せ抽選(上乗せ特化ゾーンを含む)と同じ構成の抽選(ベルナビ回数抽選)により、現在の残余回数に対して上乗せするナビ回数(上乗せナビ回数抽選)を決定してもよい。この場合、たとえば、上乗せ抽選テーブルにおける+10〜+30Gを+10回〜+30回のように置き換えればよい。なお、抽選確率や上乗せナビ回数は適宜決定することができる。
また上記した払出枚数管理型または差枚数管理型における枚数の上乗せ形態についても、本実施形態に係る上乗せ抽選(上乗せ特化ゾーンを含む)と同じ構成の抽選(上乗せ枚数抽選)により、現在の残余払出枚数または差枚数に対して上乗せする枚数(上乗せ枚数)を決定することができる。この場合、たとえば、上乗せ抽選テーブルにおける+10〜+30Gを+10枚〜+30枚のように置き換えればよい。なお、抽選確率や上乗せ枚数は適宜決定することができる。
(ARTゲーム数の上乗せについて:図31A、図31B)
本実施形態では、ARTゲーム数に対して、所定の抽選契機の下、所定のゲーム数を上乗せする「上乗せ抽選」が実行されるようになっている。この上乗せ抽選は、図31A、図31Bに示す「上乗せ抽選テーブル」に基づいて実行される。図31Aは本ART遊技中で利用される上乗せ抽選テーブル、図31Bは、上乗せ特化ゾーン中で利用される上乗せ抽選テーブルである。
(本ART用上乗せ抽選テーブル:図31A)
図31Aに、本ART中上乗せ抽選テーブルを示す。ART中上乗せ抽選テーブルには、図示の通り、特定の当選役種別(役グループ番号)に応じて、上乗せゲーム数とその抽選確率とが関連付けて定められている。上乗せ抽選に当選すると、現在の残余ARTゲーム数に対し、上乗せゲーム数が上乗せ(加算)される。これにより、本ART遊技に制御される期間が延長可能となっている。ARTゲーム数が上乗せにより延長されれば、遊技者に更なる利益をもたらすことになる。また、上乗せがあった場合には、上乗せゲーム数を報知する「上乗せ演出」が現出される。なお、上乗せ抽選に関し、上乗せ抽選契機役の種類や、どのような抽選確率でどのような上乗せゲーム数を付与するかについては遊技性に応じて適宜定めることができる。
(本ART遊技中の特定の当選役に関するアシスト報知)
本ART遊技中は、準備ART遊技中と同じように、「役秘匿アシスト報知」が実行され、当選役種別が秘匿されるようになっている。ここで、7リプレイ、7リプフェイク、BARリプレイ、またはBARリプフェイクが当選した場合、いずれも指示モニタ番号「6」が選択され、また押順ベル321Aや押順ベル321Bが当選した場合も同じ指示モニタ番号「6」が選択される(図23Aの指示モニタ番号の指示有り区間1の対応記載欄参照)。これを利用し、7リプレイ等が当選しても、アシスト報知に係る演出(アシスト演出)に関しては押順ベル321A等が当選したかのように装う一方、上乗せ抽選に当選した場合は、回胴の第1〜第3停止操作時または遊技結果導出時(全回胴停止時)、あるいは次回のゲーム開始時において、インパクトのある上乗せ演出を現出し、遊技者に対して意表を突く形で、上乗せの事実が報知されるようになっている。
(上乗せ特化ゾーンについて)
次に、「上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)」について説明する。
上乗せ特化ゾーンは、本ART遊技中よりも「上乗せ抽選」が優遇された遊技状態であり(図31B参照)、本ART遊技中において、所定の移行抽選(上乗せ特化ゾーン移行抽選)に当選した場合に移行される。この移行抽選は、「上乗せ特化ゾーン移行抽選テーブル(図示せず)」に基づいて実行される。上乗せ特化ゾーン移行抽選テーブルの基本構成は、たとえば、AT抽選テーブル(図29A〜図29C)やAT抽選状態移行抽選テーブル(図28A〜図28B)同じものとなっており、当選役種別(特化ゾーン移行抽選契機役)に応じた移行抽選確率が定められている。本実施形態では、特化ゾーン移行抽選契機役をレア役である「強チャンス、強チェリー、および最強チェリー」のチェリー役の三種類とし、移行抽選確率を、たとえば、強チェリー当選時の2/256、強チャンス当選時の3/256、最強チェリー当選時の256/256としている。上乗せ特化ゾーン移行抽選に当選した場合、次回ゲーム以降から上乗せ特化ゾーンに突入させる。
上乗せ特化ゾーンにおける上乗せ抽選(以下「特化ゾーン上乗せ抽選」と称する)は、図31Bに示す「上乗せ特化ゾーン用上乗せ抽選テーブル」に基づいて実行される。
(上乗せ特化ゾーン用上乗せ抽選テーブル:図31B)
図31Bに、上乗せ特化ゾーン用上乗せ抽選テーブルを示す。この上乗せ抽選テーブルの基本構成は、図示の通り、図31Aの「本ART用上乗せ抽選テーブル」と同じである。特化ゾーン上乗せ抽選では、図31Bから分かるように、特に「7リプレイ」、「BARリプレイ」、「強チェリー」、「最強チェリー」による上乗せ抽選が優遇されており、上乗せ抽選確率および上乗せゲーム数が他の役よりも有利なものとなっている。
(上乗せ特化ゾーン中の「7リプレイ」、「BARリプレイ」に関するアシスト報知について)
ここで、7リプレイ、7リプフェイク、BARリプレイ、BARリプフェイクに関するアシスト報知について着目する。上乗せ特化ゾーン中に、「7リプレイ」または「7リプフェイク」が当選した場合には、指示モニタ番号‘7’が選択されるので、アシスト報知として、払出枚数表示器35に「7」、液晶表示装置には「←7を狙え」が表示され、「BARリプレイ」または「BARリプフェイク」が当選した場合には、指示モニタ番号‘8’が選択されるので、アシスト報知として、払出枚数表示器35に「8」、液晶表示装置には「←BARを狙え」が表示される(図23Aの指示モニタ番号の欄、図22の表示例参照)。したがって、「←7を狙え」や「←BARを狙え」のアシスト報知が発生した場合、遊技者は「7リプレイ」や「BARリプレイ」の当選に大きな期待を寄せながら、回胴を慎重に停止操作に臨むようになる。
(上乗せ特化ゾーン中のチェリー役種別に関するアシスト報知について)
また「強チェリー」や「最強チェリー」も上乗せ抽選が優遇されている。このため、上乗せ特化ゾーン中の遊技者の関心事は、上述した「7リプレイ」や「BARリプレイ」と同じく、「強チェリー」や「最強チェリー」に当選することにも向けられる。ここで、チェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)には、既に説明したように、停止目に関し次のような関係がある。
(α)停止操作手順に応じて、いずれも共通の「チェリー溢し目」が出現する場合がある、
(β)「弱チェリー」が当選した場合、弱チェリーの取りこぼし目として「強チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。また強チェリーが当選した場合、強チェリーの取りこぼし目として「弱チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。また最強チェリーが当選した場合、最強チェリーの取りこぼし目として「強チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。
そこで、上記(α)(β)の関係(共通性のある停止目が出現する点)に着目し、強チェリーや最強チェリーの当選期待感を煽るべく、チェリー役種別が当選した場合、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのいずれか当選しても、アシスト報知は実行しないが(指示モニタ番号0:図23Aの指示モニタ番号の指示有り区間2参照)、いずれのチェリー役に当選しても同一演出態様の「チェリー予告演出」を現出させる。これにより「チェリー予告」が発生すれば、遊技者は、回胴の停止操作に対して緊張感が高まる。また各チェリー役同士で共通性のある停止目が出現することを知る遊技者上級者であれば、故意にチェリー共通停止目やチェリー溢し目等を出現させ、いずれのチェリー役が当選したのかを不明にし、上乗せ演出が発生するか否かを楽しむことができる。
(上乗せ特化ゾーンのゲーム数)
上記した上乗せ特化ゾーンは、所定のゲーム数(たとえば、20ゲーム)を消化した場合に終了される(ゲーム数管理型)。上乗せ特化ゾーンが終了すると、本ART遊技(非バトルモード)に再移行される。上乗せ特化ゾーン中は、残余ARTゲーム数のカウントは中断される。なお、上乗せ特化ゾーンの終了条件は、ゲーム数に限らず、特定の役の入賞回数(たとえば、中段ベル)、アシスト報知回数(たとえば、中段ベルナビ回数)、所定の差枚数や所定の払出枚数を条件としてもよい。また、上乗せ特化ゾーンの制御期間を延長させる「特化ゾーン延長抽選」を実行可能な構成としてもよい。特化ゾーン延長抽選としては、たとえば、上乗せ特化ゾーンが上記「ゲーム数管理型」である場合には、上乗せ特化ゾーンの残余ゲーム数に対して上乗せする上乗せ抽選を実行可能に構成してもよい。また上乗せ特化ゾーンを上記「セット数管理型(たとえば、1セット20ゲーム)」の構成としてもよく、この場合には、セット数抽選により、現在の残余セット数に対して上乗せするセット数(上乗せセット数)を決定することができる。また上乗せ特化ゾーンを上記「継続率管理型(たとえば、1セット20ゲームが25%(64/256)で継続する)」の構成としてもよく、この場合には、所定の継続率に基づく特化ゾーン継続率抽選によりセット継続させることができる。
ここで、有利区間に関する上限ゲーム数(1500ゲーム)の関係上、上限ゲーム数間近で(たとえば、1450ゲーム消化時)、上乗せ特化ゾーンに突入してしまうと、直ちに、ARTゲーム数が上限ゲーム数に達してしまう可能性が高く、折角の上乗せ特化ゾーンの機能が失われ、遊技者に「引き損感」を与えてしまう。その結果、遊技者の遊技意欲が著しく低下する恐れがある。
そこで、現在の有利区間消化ゲーム数を考慮して、上乗せ特化ゾーンへの移行条件を定めることが好ましい。たとえば、現在の有利区間の残余ゲーム数が所定のゲーム数に達した場合は、上乗せ特化ゾーンへの移行を制限(禁止)する。具体的には、移行抽選自体を禁止したり、移行抽選を実行しても抽選結果を無効扱いとするなどの移行抽選禁止処理を実行する。移行抽選禁止処理を開始するゲーム数は、たとえば、少なくとも上乗せ特化ゾーンの最大継続ゲーム数(20ゲーム)と、最大上乗せゲームの30ゲーム分または上乗せ特化ゾーンの平均上乗せゲーム数とを考慮した値とすることが好ましい。たとえば、100〜200ゲーム程度とする。また、本ART遊技中の上乗せ抽選についても、当該抽選を禁止する上乗せ抽選禁止処理を設けることが好ましい。ただし、上乗せ特化ゾーンと本ART遊技中とでは、上乗せの有利度合が異なるので、たとえば、本ART遊技中の上乗せ抽選禁止処理の実行開始ゲーム数を50ゲーム(最大上乗せゲームや、平均上乗せゲーム数を考慮した考慮した値)とし、上記移行抽選禁止処理の実行開始ゲーム数を200ゲームとする等、禁止処理の実行開始ゲーム数を異ならせることが好ましい。
なお、上記した準備ART遊技、本ART遊技、または上乗せ特化ゾーン中に、遊技者が押し順ミス等によりアシスト報知に従わず、転落契機役(転落リプレイ、ベル溢し目)が入賞した場合、現在のRT状態(RT1遊技1〜RT3遊技)から「RT1遊技」に転落移行されてしまう。ただし、発生中のAT遊技(AT1遊技〜AT3遊技)は、転落契機役が入賞したからといって、必ずしも終了されるわけではなく、転落移行した場合には、救済措置として、転落前の遊技状態に復帰する復帰ゲームが実行されるようになっている。この復帰ゲーム中は、RT2移行リプナビやRT3昇格リプナビが実行されるようになっており、RT1遊技に転落しても転落前の遊技状態に再移行できるようになっている。ただし、復帰するまでに消化したゲーム数は、ペナルティとして、ARTゲーム数や上乗せ特化ゾーンゲーム数から減算される。
<遊技動作制御処理>
次に、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技動作制御に関する処理内容について詳細に説明する。
<主制御部側の処理:図9〜図18>
まず図9〜図18を参照して、遊技動作を統括的に司る主制御部400側の処理内容について説明する。本処理はメインCPU401cにより実行されるものであるが、説明の便宜上、処理を実行する主体を主制御部400と称して説明する。
(1.主制御側メイン処理:図9)
図9は、遊技動作制御プログラムに従い主制御部400側のメイン処理(主制御側メイン処理)を示すフローチャートである。
遊技機に電源が投入されると、図示しない「電源基板」から各基板に電源が供給されるとともに、電源が投入された旨の電源投入信号が送られる。この電源投入信号を受けて主制御部400(メインCPU401c)は、図9に示す主制御側メイン処理を開始する。この主制御側メイン処理では、電源投入時の初めての処理としてステップS12の初期設定処理が実行され、それ以外の場合には正常動作時の処理としてステップS13〜S16の処理がループ状に実行される。
図9おいて、主制御部400は、電源投入が行われてから初めての処理として、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS12)。
上記の初期設定処理が正常に終了した後は、正常動作時の処理として、まずゲーム処理を実行する(ステップS13)。このゲーム処理では、賭数の監視や始動レバー11の操作の有無の監視、また内部抽選処理(役抽選)やAT抽選処理やフリーズ演出抽選処理等、今回のゲーム進行に要する種々の処理を実行する。このゲーム処理の詳細については、図10A〜図10Cにて後述する。
ステップS13のゲーム処理を終えると、次いで、ボーナス遊技中か否かを判定する(ステップS14)。ボーナス遊技中である場合(ステップS14:YES)、ボーナス遊技作動中処理を実行する(ステップS17)。このボーナス遊技作動中処理では、ボーナス遊技中の払い出し枚数を監視し、ボーナス遊技の継続およびその終了に要求される処理を実行する。ボーナス遊技中の払い出し枚数は、ボーナス遊技中払出枚数カウンタにより管理される。そして、ボーナス遊技作動中処理を終えると、ステップS13のゲーム処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
一方、ボーナス遊技中でない場合(ステップS14:NO)、次に、ボーナス役が有効入賞ライン上に停止したか否かを判定する(ステップS15)。
ボーナス役が有効入賞ライン上に停止した場合(ステップS15:YES)、ボーナス遊技開始時の各種設定を実行する(ステップS18:ボーナス遊技作動開始処理)。ここでは、上記ボーナス遊技開始時の各種設定として、ボーナス開始演出時間の設定、上記ボーナス遊技中払出枚数カウンタのクリア、ボーナス当選フラグのクリア、遊技状態をボーナス遊技中に設定する、などの処理である。また演出制御コマンドとして、ボーナス遊技が開始された旨を示す「ボーナス開始コマンド」をセットする。これにより、次回ゲームからボーナス遊技が開始されることになる。このボーナス遊技作動開始処理を終えると、ステップS13のゲーム処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
しかし、ボーナス役が有効入賞ライン上に停止していない場合(ステップS15:NO)、次いで、「再遊技・RT状態管理処理」を実行する(ステップS16)。この再遊技・RT状態管理処理では、RT移行条件に基づく、一のRT遊技から他のRT遊技への移行制御処理を実行する。本実施形態では、今回のゲーム結果に応じて、RT0遊技〜RT4遊技(BB内部当選遊技)間の移行制御に要する処理が実行される(RT遊技移行管理処理)。現在のRT遊技が他のRT遊技に移行した場合、RT状態が変化したとして、メインRAM401bの遊技状態格納領域の遊技状態情報を更新する(遊技状態情報更新処理)。この遊技状態情報は、現在のRT遊技種別(一般遊技状態に係るRT0遊技〜RT3遊技)やAT遊技種別(AT0遊技〜AT3遊技)、BB内部当選遊技中(RT4遊技)、ボーナス遊技中のいずれであるかという遊技状態(基本遊技状態)が識別可能に管理されている。また基本遊技状態を細分化した遊技モード(たとえば、通常遊技中の地獄モード、通常モード、天国モード、前兆モードや、本ART遊技中の継続バトルモードなど)についても同様に識別可能に管理されている。これらの遊技状態情報は、メインRAM401bの所定領域(基本遊技状態情報格納領域、遊技モード情報格納領域)にて格納され、再遊技・RT状態管理処理や後述の図10BのRT状態移行処理を含む遊技状態移行に関連する処理において、基本遊技状態や遊技モードに変化がある度に更新されるようになっている。これにより、主制御部400は、現在、どのような基本遊技状態であるか、どのような遊技モードであるかを把握している。以下では、特に必要のない限り、基本遊技状態と遊技モードとを同列に扱い、これらを遊技状態と称する場合がある。
図9の説明に戻り、今回のゲームでリプレイ役が入賞していた場合、再遊技フラグをON状態に設定する(再遊技フラグ設定処理)。上記「再遊技フラグ」は、今回の遊技結果が再遊技であるか否かを指定するフラグである。このフラグは、遊技開始と共に、OFFに設定されるようになっている(後述のステップS55参照)。なお、説明の便宜上、以下では特に必要のない限り、再遊技フラグが‘ON’の場合は上記自動投入状態を含む「再遊技作動中」として、再遊技フラグが‘OFF’の場合は「再遊技非作動中」であるとして説明する。再遊技・RT状態管理処理を終えると、ステップS13のゲーム処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
(1−1.ゲーム処理(ステップS13):図10A〜図10C)
次に図10A〜図10Cを参照して、図9のゲーム処理(ステップS13)について説明する。図10A〜図10Cは、ゲーム処理(ステップS13)の詳細を示すフローチャートである。
図10A〜図10Cにおいて、主制御部400は、まず、遊技状態情報を取得し、現在の遊技状態に応じた「遊技状態コマンド」をセットする。この遊技状態コマンドには、遊技状態を識別する情報として、遊技モード、内部的遊技状態、基本遊技状態(RT状態、AT状態)など、現在の遊技状態を特定可能とする情報が含まれる。演出制御部410は、1ゲーム毎に送信される「遊技状態コマンド」により、今回のゲームの遊技状態を把握し、対応する演出モードの移行制御や当該演出モード下による演出に関する演出制御処理を実行する。なお、演出制御コマンドは、後述の主制御部側タイマ割込処理中の出力処理(後述の図18のステップS192)において、主制御部400から演出制御部410へと送られる。
次いで、満杯検知金具(オーバーフローセンサ)600の状態(ON/OFF状態)を確認する。満杯検知金具600がONである場合には(ステップS52:ON)、遊技メダルが満杯状態である旨を示す「満杯エラーフラグ」をセットし、当該エラーが解除されるまで待つ。つまり、満杯状態が解除されるまで、遊技進行処理が中断される。エラーが解除されたか否かは、後述の主制御部側タイマ割込処理中のエラー解除判定処理(後述の図18のステップS188)で判定される。
一方、満杯検知金具600がOFFである場合(ステップS52:OFF)、遊技開始時の初期設定処理を実行する(ステップS53)。ここでは、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアし、今回のゲームに必要なワークエリアを確保する。
次いで、再遊技フラグの状態(ON/OFF状態)を判定する(ステップS54)。再遊技フラグがONである場合(ステップS54:ON)、再遊技作動に必要な再遊技自動投入処理を実行する(ステップS55)。この再遊技自動投入処理では、再遊技作動LED37をON(点灯状態)に設定し、前回のゲームで使用した賭数に相当する遊技メダル枚数を疑似的に投入し、再遊技フラグをOFF状態に設定する。なお再遊技作動LED37は、入賞判定処理(図10C、ステップS82)にてOFFに設定される。
一方、再遊技フラグがOFFである場合(ステップS54:OFF)、ステップS56に進み、所定時間(2.98ms)分の割込み待機処理を実行し、次いで、設定確認処理を実行する(ステップS57)。この設定確認処理では、設定キーがONであるか否かを確認し、ONである場合には、遊技機内部の設定値確認用表示器(図示せず)に対して現在の設定値を表示させるための処理を実行する。
次いで、精算ボタン有効フラグとメダル投入許可フラグとをONにする(ステップS58)。上記「精算ボタン有効フラグ」は、クレジット精算ボタン10による貯留メダル精算処理(クレジット精算処理)の受付の有効(ON)とするか無効(OFF)とするかを指定するためのフラグである。また上記「メダル投入許可フラグ」は、メダル投入口7を介した遊技メダルの投入受付を有効(ON)とするか無効(OFF)とするかを指定するためのフラグである。なお、遊技メダルに関する投入処理やクレジットに関する精算処理は、後述の主制御部側タイマ割込処理中のメダル投入処理(後述の図18のステップS189)や貯留メダル精算処理(後述の図18のステップS190)にて必要な設定処理が行われる。
次いで、遊技メダルの投入枚数(賭数)が遊技開始可能投入枚数(遊技開始可能状態)であるか否かを判定する(ステップS59)。ここでは、メダル検出センサ7a、MAXベットスイッチ8a、または1ベットスイッチ9aからの検出信号に基づく規定枚数(遊技開始可能となる投入枚数)の遊技メダルが投入されて、遊技開始可能状態に設定されているか否かを判定する。遊技開始可能状態であるか否かの設定処理は、後述の主制御部側タイマ割込処理中のメダル投入処理(後述の図18のステップS189)にて実行される。また、上記した再遊技自動投入処理(ステップS55)にて、再遊技作動により遊技メダルが自動投入されていれば、遊技開始可能投入枚数であると判定される。
遊技開始可能投入枚数でない場合(ステップS59:NO)、ステップS56の割込み待機処理に戻り、遊技開始可能投入枚数と判定されるまで、ステップS56〜S58のフラグ設定処理を繰り返し実行する。
一方、遊技開始可能投入枚数である場合(ステップS59:YES)、始動レバー11a以外のスイッチ(たとえば、停止スイッチ12a’〜12c’など)がONであるか否かを判定する(ステップS60)。
始動レバー11a以外のスイッチがONであった場合には(ステップS60:ON)、始動レバー11a以外のスイッチがOFFになるのを待つ。一方、始動レバー11a以外のスイッチがOFFであった場合には(ステップS60:OFF)、遊技開始表示LED38(スタートランプLED)を点灯させる。
次いで、始動レバー11が操作されたか否かを判定する(ステップS62)。具体的には、始動レバー11が操作に応じた始動スイッチ11aによる検出信号の有無を確認する。始動スイッチ11aからの検出信号の有無は、後述の主制御部側タイマ割込処理中の入力管理処理(後述の図18のステップS184)にて確認される。
始動スイッチ11aからの操作検出信号が確認されるまでは、ステップS60の処理に戻り、始動スイッチ11aからの操作検出信号が送られてくるのを待つ(ステップS62:OFF)。始動スイッチ11aからの操作検出信号を確認したならば(ステップS62:ON)、カウンタ回路で生成された内部抽選用乱数値(数値範囲:0〜65535)の取り込みが完了したか否かを判定する(ステップS63)。
内部抽選用乱数値の取り込みが完了していない場合(ステップS63:NO)、ステップS60の処理に戻り、再度、ステップS60〜S62の処理を実行し、内部抽選用乱数値の取り込みが完了するまで待つ。カウンタ回路の乱数値は、始動スイッチ11aがONされる度にラッチされ、内部抽選用乱数の取り込みが正常に完了していない場合には、再度、始動スイッチ11aがONされ、内部抽選用乱数の取り込みが完了するまで待機するようになっている。
内部抽選用乱数値の取り込みが完了した場合(ステップS63:YES)、すなわち、メインRAM401bの内部抽選用乱数格納領域に内部抽選用乱数値の設定が完了した場合、メダル投入中であるか否かを判定する(ステップS64)。メダル投入中であるか否かは、メダル検出センサ7aが遊技メダルを検出中であるか否かに基づいて判定される。メダル投入中である場合(ステップS64:YES)、メダル投入中が解除されるまで、ステップS60の処理に戻り、ステップS60〜S64の処理を実行する。
一方、メダル投入中でない場合(ステップS64:NO)、次いで、精算ボタン有効フラグとメダル投入許可フラグとをOFFにする(ステップS65)。以後、再度、これらフラグがONになるまで、遊技メダルの投入およびクレジットの精算が禁止状態とされる。
次いで、投入信号カウンタに投入枚数をセットする(ステップS66)。投入信号カウンタにセットされた投入枚数情報(今回のゲームの賭数情報)は、外部集中端子基板310を介してホールコンピュータHCに送られる。
次いで、ゲーム開始を示す遊技開始コマンドをセットし(ステップS67)、次いで、内部抽選に関する内部抽選処理を実行する(ステップS68)。この内部抽選処理では、内部抽選や内部抽選結果に基づく各種データ(当選情報、内部当選フラグ(停止制御用データ)、指示モニタ番号、当選役変換情報、役グループ番号、試験情報用出力データ等)の設定処理を実行する。上記内部抽選処理についての詳細は、図11にて後述する。
ステップS68の内部抽選処理を終えると、RT状態移行処理(ステップS69)に進み、内部抽選で得られた当選役に基づいてRT状態の移行制御を行う。つまり、内部抽選で得られた当選役に基づいてRT遊技を移行させる場合は(たとえば、特別役当選によりBB内部中(RT4遊技)に移行させる場合など)、ここで行う。
次いで、開始時のART関連の処理をするため分岐処理A(ステップS70〜S72)を順次実行する。この分岐処理Aおよびこれに続く処理の理解を容易にするため、先に主制御部400が用いるメモリ空間の割り当てについて説明しておく。主制御部400は、既に説明したように、メインCPU401cと、レジスタセットと、メインRAM401bと、メインROM401aとが一体的にワンチップ化されたマイクロプロセッサにより構成される。すなわち主制御部400は、所定のアドレスのメモリ空間に割り当てられた内蔵ROM領域(ROM)と、これとは異なる所定のメモリ空間に割り当てられた内蔵RAM領域(RAM)とを備え、ROMは、たとえば16KBの容量を有し、7.5キロバイトの領域(プログラム領域4.5キロバイト+データ領域3キロバイト)が、遊技の進行に関するプログラム領域およびデータ領域に使用される。またRAMは、たとえば512バイトの領域が、遊技の進行に関するプログラムを実行する際に必要な各種のデータを一時的に記憶するためワークエリアに使用される。
(プログラム領域:図25)
図25は、メインROM401aのプログラム領域のアドレスマップである。図25を参照して、プログラム領域は、アドレスが0000H〜所定の最終アドレスまでの領域であり(「H」は16進数)、この領域内に遊技の進行に関連する処理が格納されている。図示では、代表的な処理プログラムを示してあり、その他の処理プログラムについては、説明の便宜のため、省略してある。
プログラム領域のアドレス0000H〜11FFHのメモリ空間(4.5キロバイト)には、遊技機1に係る遊技動作を実現するための制御プログラムとして、たとえば、初期設定に関するプログラム開始時処理、電源復帰時の電源復帰処理、設定値変更に係る設定変更処理、ゲーム処理、開始時のART関連処理や終了時のART関連処理の他、これらの処理に必要なテーブルデータなど、各種のプログラムやプログラムデータが格納されている。これらはメモリのプログラム領域における任意の場所に記憶することができる。図25ではプログラム管理の容易性を考慮し、アドレスの若い方から、順次に、上記プログラムを格納し、その後に、後述する図26の「開始時各フェーズ差番地テーブル」および「終了時各フェーズ差番地テーブル」などを含む各種テーブルデータを格納している。
具体的には、メインROM401aのプログラム領域におけるアドレス0000H〜0B33Hのメモリ空間には、プログラム開始時処理、電源復帰処理、設定変更処理、ゲーム処理などのプログラムが格納されている。また、プログラム領域のアドレス0B34H〜1010Hのメモリ空間には、「開始時(ゲーム開始時)のART関連処理」のプログラムが格納されている。この開始時のART関連処理に含まれる各処理とその先頭アドレス(開始アドレス)は次のようになっている。
初期遊技・通常遊技中(初期遊技、地獄モード、通常モード、天国モード)に関連する処理(遊技モード0〜3に対応して実行される‘一般中処理’(遊技モードについては、図34参照))は0B34H、前兆モード中に関連する処理(遊技モード4に対応して実行される‘前兆中処理’)は0BBAH、準備ART移行前遊技中に関連する処理(遊技モード5に対応して実行される‘準備ART移行前中処理’)は0C12H、準備ART遊技中に関連する処理(遊技モード6に対応して実行される‘準備ART中処理’)は0C64H、本ART遊技中・上乗せ特化ゾーン中に関連する処理(遊技モード7、8に対応して実行される‘ART中処理)は0D32H、継続バトルモード中に関連する処理(遊技モード9に対応して実行される‘継続バトル中処理’)は0DA2H、BB内部中に関する処理(遊技モード10に対応して実行される‘ボーナス内部中処理’)は0E5EH、ボーナス遊技中に関連する処理(遊技モード11に対応して実行される‘ボーナス中処理’)は0F52Hとなっている。すなわち、メインROM401aの制御プログラムには、複数の遊技状態(基本遊技状態、内部的遊技状態および遊技モードのいずれであってもよい)の各々に対応して実行される複数のART関連処理(状態関連処理:たとえば、一般中処理〜ボーナス中処理)プログラムが含まれ、またメインROM401aには、当該複数のART関連処理プログラムの各々の開始アドレスを特定するアドレス情報が記憶されている。
また、プログラム領域のアドレス1011H〜119FHのメモリ空間には、上記の「開始時(ゲーム開始時)のART関連処理」のプログラムと同様に、「終了時(ゲーム終了時(遊技結果導出時))のART関連処理」のプログラムが格納されている。この終了時のART関連処理に含まれる各処理とその先頭アドレスは次のようになっている。一般中処理は1011H、前兆中処理は1056H、準備ART移行前中処理は10A2H、準備ART中処理は112CH、ART中処理は1135H、継続バトル中処理は115DH、ボーナス内部中処理は117AH、ボーナス中処理は1190Hとなっている。
後述するART関連分岐処理(ステップS72、ステップS86)では、現在の遊技状態(遊技モード)に応じたART関連処理(一般中処理〜ボーナス中処理のいずれかの処理)の先頭アドレスが、図26に示す差番地テーブルにより特定されるようになっており、これにより、遊技状態に対応した適切なART関連処理が実行されるようになっている。なお図25のメモリのプログラム領域には、説明の便宜上、代表的な遊技状態(遊技モード)別に係るART関連処理を示してあり、実際の開始時または終了時のART関連処理には、その他にも種々の処理が含まれる。また、開始時と終了時とで同一名称(処理項目名)が付されているが、必ずしも同じ処理内容が実行されるわけではなく、ゲーム開始時とゲーム終了時では、処理内容が異なる場合があるのは勿論である。たとえば、ゲーム開始時に係る一般中処理(後述の図14A)では、フリーズ演出抽選が実行されるが、ゲーム終了時に係る一般中処理では(図示せず)、フリーズ演出抽選は実行されない。本実施形態では、フリーズ演出として、レバー操作時フリーズだけを採用し、全回胴停止後フリーズは採用していないからである。また、ゲーム開始時に係る一般中処理においてAT抽選に当選した場合には、ゲーム終了時に係る一般中処理では再度AT抽選を実行しないなど、ゲーム開始時とゲーム終了時では、処理内容が異なる場合がある。以上のように、本実施形態では、上記ゲーム開始時に係るART関連処理では、回胴の停止操作前に要するART関連処理が実行され、ゲーム終了時に係るART関連処理では、遊技結果導出後に要するART関連処理が実行されるようになっている。
また、プログラム領域のアドレス11A0Hからのメモリ空間には、開始時各フェーズ差番地テーブル(図26(イ))が格納され、11A9Hからのメモリ空間には、終了時各フェーズ差番地テーブル(図26(ロ))が格納されている。これらのテーブルには、上記ART関連処理に含まれる各処理の先頭アドレスが、基準アドレスからの差番地を加算していくことにより導出される形式で格納されており、この差番地データを利用してART関連分岐処理において遊技状態に応じてロードすべき処理の先頭アドレスが指定されるようになっている。なお、上記各フェーズ差番地テーブルについての詳細は後述する。
図10Bの説明に戻り、分岐処理Aは、HLレジスタペアを16ビットのデータポインタ(データを記憶するメモリのアドレスを指定するレジスタ)とし、差番値を加算処理することで、今回のゲームで実行すべきART関連処理の先頭アドレスが指定される。なお、後述する図10Cの分岐処理Bも同様の処理内容となっている。
分岐処理Aでは、まずステップS70にて、開始時のART関連処理の先頭アドレス(0B34H)を、HLレジスタにセットする(ステップS70)。次いで、予めプログラム記憶領域中に用意した「開始時各フェーズ差番地テーブル」(図26(イ))の先頭アドレスを他のレジスタにセットする(ステップS71)。その後、現在の遊技状態(遊技モード)に対応して実行すべきART関連処理を指定するためのART関連分岐処理を実行する(ステップS72)。
上記ステップS71でセットする「開始時各フェーズ差番地テーブル」は、上記開始時のART関連処理に含まれる全処理(一般中処理〜ボーナス中処理)の各々について、そのプログラムが存在するアドレス先を相対アドレス形式で示したものである。たとえば、現在の遊技状態が前兆モードであれば、該当番地の格納データ(86H)から、0BBAH番地(=0B34H+86H)以降に確保された、前兆中処理のアドレス領域を参照すべきことが特定される(これについての詳細は図13にて後述する)。この差番地テーブルは、基準とするアドレス値(0B34H)から各ART関連処理(フェーズ)の存在する先頭アドレスまでの差番地を、1バイトで、順次記録した相対アドレステーブルとなっており、図26から分かるように、最初の「一般中処理」を差番地の基準(差番地「0」)とし、「各処理(各フェーズ)」の先頭アドレスまでの差番地の値を記憶している。
(各フェーズ差番地テーブル:図26)
図26(イ)に、ゲーム開始時のステップS71で取得される開始時各フェーズ差番地テーブルを示し、図26(ロ)に、ゲーム終了時のステップS85で取得される終了時各フェーズ差番地テーブルを示す。これらのテーブルには、遊技状態(遊技モード)に関連付けられた各ART関連処理(各フェーズ)の先頭アドレスに関し、基準アドレスからの差番地が遊技状態番号順に格納されている。この「遊技状態番号」は、遊技モード種別に関連して定められたものであり、後述の図13において、今回のゲームで実行すべきART関連処理の先頭アドレスを特定するためのデータ(ループ回数データ)として利用される。本実施形態の場合、遊技状態番号に関し、図26(イ)(ロ)に示す通り、遊技モードが「初期遊技、地獄モード、通常モード、天国モード」のいずれかである場合(遊技モードが0〜3のいずれかである場合)には遊技状態番号「0」、前兆モードである場合(遊技モード4)には遊技状態番号「1」、・・・、「準備ART遊技、本ART遊技」の場合(遊技モードが7、8のいずれかである場合)には遊技状態番号「4」、・・・。ボーナス遊技(遊技モードが11)である場合には遊技状態番号「7」という具合に、遊技モードの大区分に応じた固有の値が割り当てられている。
図26(イ)(ロ)に示す差番地テーブルには、遊技状態番号に対応した各ART関連処理の先頭アドレスが、基準アドレスからの差番地の形で格納されている。たとえば、図26(イ)の「開始時各フェーズ差番地テーブル」の場合、上から下に順に、「00H(基準アドレスとの差番地=00H)」、「86H(直前の先頭アドレスとの差番地=52H)」、「58H(直前の先頭アドレスとの差番地=58H(基準アドレスとの差番地は、86H+58H))」、「52H(直前の先頭アドレスとの差番地=52H)」、「CEH(直前の先頭アドレスとの差番地=CEH)」、「70H(直前の先頭アドレスとの差番地=70H)」、「BCH(直前の先頭アドレスとの差番地=BCH)」、「F4H(直前の先頭アドレスとの差番地=F4H)」といった差番地を示す値がメモリに格納されている。つまり、「基準アドレスN+Σ差番地i(ここでは、i=0〜7)」が、今回のゲームで実行すべきART関連処理の先頭アドレスとなる。これらの差番地は、図26(イ)中の説明欄「遊技状態番号」に記載された一般中処理、前兆中処理、準備ART移行前中処理、準備ART中処理、ART中処理、継続バトル中処理、ボーナス内部中処理、およびボーナス中処理に対応する差番地である。
また、図26(ロ)の「終了時各フェーズ差番地テーブル」には、ゲーム終了時に行われる遊技状態に対応した各処理(各フェーズ)の先頭アドレスが、開始時各フェーズ差番地テーブルと同様に、基準アドレスからの差番地の形で格納されている。図26(ロ)において、上から下に順に、「00H」、「45H」、「4CH」、「8AH」、「09H」、「28H」、「1DH」、「16H」といった差番地を示す値がメモリに格納されている。
図10Bに戻り、上記ステップS70〜S71の処理を経ると、次のステップS72の「ART関連分岐処理」にて、現在の遊技状態(遊技モード)に応じた処理を読み出すことができるようになる。この「ART関連分岐処理」では、ゲーム開始時に、遊技状態に応じて実行すべき処理(たとえば、上記一般中処理〜ボーナス中処理のいずれか)のうち、現在の遊技状態に応じた処理を選択し実行する。具体的には、上記ステップS70、S71にてメモリにセットした先頭アドレスと、差番地テーブルとに基づき、遊技状態に応じた処理の先頭アドレスをHLレジスタにロードする。以下に、上述のステップS72のART関連分岐処理について詳細に説明する。
(1−2.ART関連分岐処理(ステップS72、S86):図13)
図13は、図10BのステップS72および図10CのステップS86のART関連分岐処理を示すフローチャートである。なお、上記ART関連分岐処理は、ステップS72とステップS86のいずれで呼び出された場合も、共通の処理が実行されるので、以下の説明では、ステップS72におけるART関連分岐処理の場合について説明し、ステップS86の場合については必要に応じて説明を加える程度に止める。
図13において、主制御部400は、まずRAM401bの格納領域に記憶されている「遊技状態番号」を取得する(ステップS700)。ここでは、現在の遊技状態(遊技モード)が、図26(イ)中の“ART中処理”に関連する遊技状態として、たとえば、遊技モード「7」の本ART遊技中(非バトルモード)であると想定し、これに対応する遊技状態番号「4」が取得されたものとして説明を進める。
次いで、取得した「遊技状態番号」に基づき。図26(イ)に示す「開始時各フェーズ差番地テーブル」から、テーブルの先頭の差番地を取得する(ステップS701)。図26(イ)において、テーブルの先頭の差番地は最初の遊技状態番号“0”に対応する一般中処理についてのもので、ここではまず先頭の差番地として「00H」が取得される。なお、ステップS86の場合も「終了時各フェーズ差番地テーブル:図26(ロ)」から先頭の差番地「00H」が取得される。
次いで、ステップS700にて取得された遊技状態番号に1加算した値を、以下のステップS703〜S705のループ処理におけるループ回数としてセットする(ステップS702)。この例の場合、「4」に1加算された「5」がセットされる。
次いで、ポインタとして働くHLレジスタに、ステップS701で取得した差番地を加算する(ステップS703)。HLレジスタ(ポインタ)には、このART関連分岐処理が実行される前のステップS70にて、開始時のART関連処理の先頭アドレス(0B34H)(ステップS86の場合は、ステップS84にて終了時のART関連処理の先頭アドレス(1011H))がセットされている。この例の場合、1回目のループ処理として「0B34H」に対して、最初の差番地「00H」が加算されることから、HLレジスタは「0B34H」のまま変化しない。これによりHLレジスタ(ポインタ)の内容(アドレス値)は、目的とするデータを記憶している特定アドレスを示す有効アドレスになる。
次いで、ポインタの内容を次に進めるため、まず開始時各フェーズ差番地テーブルの次の差番地をセットする(ステップS704)。この例の場合、図26(イ)に基づき、次の差番地として「86H」がセットされる。
次いで、ループが終了したか否かを判定、具体的にはループ回数を1減算して、ループ回数が0(ゼロ)になったか否かを判定する(ステップS705)。ループが終了しない場合(ステップS705:NO)、ステップS703の処理に戻り、ループ回数がゼロとなるまでステップS703とS704を繰り返し実行し(ステップS705:NO)、ループ回数がゼロとなったならば(ステップS705:YES)、ループを抜けて、ステップS706のコール処理を実行する。
この例の場合、ループ回数が「5」であり、ステップS703とS704を5回繰り返した場合のHLレジスタの値は、次のようになる。ループ処理1回目のHLレジスタ(ポインタ)の値は「0B34H」、2回目は「0BBAH(0B34H+差番地86H)」、3回目は「0C12H(0BBAH+差番地58H)」、4回目は「0C64H(0C12H+差番地52H」)」、5回目は「0D32(0C64H+差番地CEH)」となる。そして、この‘0D32H’の値を保持したまま、ループ処理を抜けて、ステップS706のコールする処理を実行することになる。
ステップS706の処理では、HLレジスタが示すアドレス先の処理を実行する。この例の場合、HLレジスタが示すアドレス「0D32H」にある処理、つまり「ART中処理」が実行される(図26(イ)参照)。
このようにHLレジスタはポインタとして働き、アドレス部で指定したアドレス上のメモリにあるデータが間接的に有効アドレスとして利用され、図26(イ)、(ロ)の「一般中処理」〜「ボーナス中処理」のいずれかの処理が実行される。ここで用いられるアドレス指定方式は、1バイト長の差番地の値をHLレジスタペアに入れ(加算し)、そのHLレジスタの16ビットの値をデータポインタとしてメモリのアドレスを指定するという方式を採用した。したがって毎回ロード処理をするよりも、効率的で、直接アドレス方式に比べて容量を削減できる利点がある。
上記したART関連分岐処理(ステップS72、S86)は、現在の遊技状態(たとえば、現在の遊技モード)に対応する状態関連処理(ART関連処理)プログラムを実行する際に、アドレス情報(図26)を参照して、当該状態関連処理プログラムの開始アドレス(先頭アドレス)を特定する開始アドレス特定手段(ステップS700〜S705)と、上記開始アドレス特定手段により特定された開始アドレスに基づいて、現在の遊技状態に対応する状態関連処理(たとえば、遊技モード7の本ART遊技(非バトルモード)中であれば、開始アドレス「0D32H」のART中処理)プログラムを呼び出す呼出手段(ステップS706)と、上記呼出手段により呼び出された状態関連処理プログラムを実行する状態関連処理実行手段(図14A〜図14D:本ART遊技(非バトルモード)中であれば、ART中処理)とを含む処理となっている。
<変形例>
上記実施形態では、分岐処理A、Bをする場合、相対アドレスを利用したアドレス指定方式を採用し、HLレジスタペアを16ビットのデータポインタ(データを記憶するメモリのアドレスを指定するレジスタ)としてメモリのアドレス指定をした。しかし、直接にアドレスを指定する直接アドレス指定によって、上記の分岐処理A、Bを行ってもよい。
図16は、変形例として、この直接アドレス指定により開始時の分岐処理Aと、終了時の分岐処理Bを行う処理フローを示したものである。この変形例の場合、図16(イ)に示すように、開始時の分岐処理Aおよび終了時の分岐処理Bのいずれの場合も、まず2バイトのアドレスにより有効アドレスが直接に記録されたアドレステーブルをセットする。すなわち、開始時の分岐処理Aの場合は、図27(イ)の「開始時各フェーズアドレステーブル」をセットし(ステップS71h)、終了時の分岐処理Bの場合は、図27(ロ)の「終了時各フェーズアドレステーブル」をセットする(ステップS85h)。その後、図16(ロ)に示すART関連分岐処理に入る(ステップS72h)。
図16(ロ)のART関連分岐処理では、まずRAMに記憶されている遊技状態番号を取得し(ステップS700)、次いで遊技状態番号に基づいてアドレステーブルから遊技状態に応じたアドレスを取得する(ステップS707)。そして、取得したアドレスの各種処理をコールする(ステップS708)。
上記の「開始時各フェーズアドレステーブル」および「終了時各フェーズアドレステーブル」には、それぞれ、図27(イ)(ロ)に示すように、遊技状態に対応する処理を指定するアドレスが、2バイトで順次記録されている。具体的には、「一般中処理」、「前兆中処理」、「準備ART移行前中処理」、「準備ART中処理」、「ART中処理」、「継続バトル中処理」、「ボーナス内部中処理」、および「ボーナス中処理」であり、これらについて、「開始時各フェーズアドレステーブル」の場合は「0B34H」「0BBAH」「0C12H」「0C64H」「0D32H」「0DA2H」「0E5EH」「0F52H」が順次記憶され、また「終了時各フェーズアドレステーブル」の場合は、「1011H」「1056H」「10A2H」「112CH」「1135H」「115DH」「117AH」「1190H」が順次記憶されている。したがって、ステップS700で取得された遊技状態番号が、たとえば「4」であったとすると、この遊技状態番号「4」に基づき、開始時各フェーズアドレステーブル上では、アドレス「0D32H」が指定され、これが直接的な有効アドレスとなってアドレス先の「ART中処理」が実行される。
上記の直接アドレス指定では、アドレス部の2バイトの値をそのまま記録しているので、遊技状態の数が増すとデータ量も増加するが、HLレジスタペアに2バイトのアドレスデータを格納するための繰り返し操作が不要であることから、相対アドレス指定に比べプログラム量(ステップ数)が少なくて済むという利点がある。
ここで特徴的なことは、上記ART関連分岐処理による分岐先の「一般中処理」、「前兆中処理」・・・「ボーナス中処理」の各処理では、たとえそれらの処理中で遊技状態に関する情報に変化やカウンタ値などに変化があっても、メインRAM401bにその処理結果を記憶するだけにとどめ、その情報を特定する演出制御コマンド(コマンドデータ)を設定しないことである(図14A〜図14D参照)。ART関連処理中で得られた処理結果は、ゲーム処理に戻った際の後述のステップS73の「ART関連のコマンド設定処理」で行う。このようにする理由は、ART関連処理では、たとえば、一般中処理のように、1つの処理中で、フリーズ演出抽選やAT抽選状態移行抽選やAT抽選や前兆ゲーム数抽選など、多数の抽選処理が実行され、これら抽選結果に基づく抽選後処理(たとえば、ステップS712、S715、S721などの抽選結果を格納する処理や、ステップS718の抽選結果に応じた判定処理ルート)が実行される。したがって、抽選結果が得られる度に演出制御コマンドを設定する処理を実行するとすれば、その機会が非常に多く到来するので、制御負担の増加を招く。
そこで本実施形態では、分岐処理Aを済ませて分岐元のゲーム処理に戻った後、ART関連処理で得られた結果情報を、一括的に演出制御部410側に通知するべく、メインRAM401bのART関連処理に係る情報については、値の更新された情報であるか否かに係わらず、更新されなかった情報も含め、それらの情報を演出制御部410に送信するようになっている(後述のステップS73のART関連のコマンド設定処理)。これにより、プログラム容量を削減し、制御負担の軽減を実現している。
(1−3.ART関連のコマンド設定処理(状態共通処理):図15)
図15を参照して、ART関連のコマンド設定処理(ステップS73)について説明する。図15は、上記ART関連のコマンド設定処理の詳細を示すフローチャートである。なお、このART関連のコマンド設定処理は、ゲーム開始時のコマンド設定処理であり、これと共通の処理が、後述のステップS87の遊技終了時の共通処理にて実行される(ゲーム終了時のコマンド設定処理)。
上記ART関連のコマンド設定処理では、現在の遊技状態によらず、ART関連処理で得られた情報として、メインRAM401bの所定領域範囲に記憶されているデータを演出制御コマンドデータとしてセットする(ステップS770:コマンド設定手段)。具体的には、メインRAM401bの記憶領域のうち、ART関連処理に係るデータが記憶されている特定領域範囲(たとえば、図35の8000H〜8015H)にある情報を演出制御部410側に通知するべく、これらの情報を個々に特定可能とするコマンドデータをセットする。たとえば、ART関連処理に係るデータとして、図35に示すような遊技モード情報履歴、遊技モード情報、遊技状態番号、前兆ゲーム数カウンタ(残余前兆ゲーム数)、ARTゲーム数カウンタ(残余ARTゲーム数カウンタ)など、様々なデータがRAM領域の連続したアドレス(図示の8000H〜8015H)に記憶されており、これらのデータを個々に特定可能とする演出制御コマンドデータ群が設定されるようになっている。
つまり、今回のART関連処理に、値の更新された処理と値の更新されなかった処理とを含む場合、値の更新されたデータと値の更新されなかったデータの双方を含む全データが、演出制御部410側に通知する演出制御コマンドデータとして設定される。ここで設定された演出制御コマンドデータは、後述の主制御部側タイマ割込処理中の出力処理(図18のステップS192;コマンド送信手段)において、主制御部400から演出制御部410へと送られる。なお図35に示したデータは一例を示したものであり、演出制御部410側に通知を要する情報として、たとえば、AT抽選結果やフリーズ演出抽選結果などの抽選結果情報、内部的遊技情報、基本遊技情報の他、ART関連処理とは無関係なデータ(たとえば、エラー情報、演出ボタン入力情報など)を含むことができ、これらを一括的に送信対象としてコマンドデータを設定としてもよいし、これらの一部をコマンドデータとして設定してもよく、その送信対象は適宜定めることができる。
このようにステップS73が構成されている結果、今回のART関連処理にて、遊技状態によらず、値が更新されたか否かに係わらず、更新されなかった情報も、演出制御部410に送られたり、また現在の遊技状態(遊技モード)では使用しない情報も演出制御部410に送られる。演出制御部410側では、ART関連のコマンド設定処理に係る演出制御コマンド(ART関連演出制御コマンド)を受信した場合、当該コマンドに含まれる情報(たとえば、各ART関連処理中の処理結果情報)のうち、現在の演出モードにおいて必要な情報に基づく演出処理を行い、現在の演出モードにおいて不必要な処理結果情報に基づく演出処理を行わない構成となっている(後述の図21参照)。
ここで、上記特定領域範囲にある各データ(8000H〜8015H)は、連続したアドレスに記憶されているために、演出制御コマンドデータとして作成すべき各データの指定が容易なものとなっている。特に、各データが記憶されているアドレスの上位バイト(上位アドレス)が固定値(80H)であり、下位バイト(下位アドレス)がそれぞれ異なる値(00H〜15H)となっている。この点に着目し、データを指定する際に、下位アドレスを指定してコマンドデータを設定可能な構成としてもよい。また、下位アドレスを指定可能なアドレス指定テーブルを用意しておき、当該テーブルが指定するアドレス先の各データをコマンドデータとしてセットしてもよい。また、各データのそれぞれに対応するコマンドデータをセットする形態に限らず、複数のデータを1つのコマンドデータに纏めることができる場合には、各データの少なくとも2つをまとめたコマンドデータをセットしてもよい。
上記のように、分岐先プログラムであるART関連処理(ステップS706で呼び出される各処理)中においては、演出制御コマンドの設定(作成・送信)を行わず、分岐元プログラムに戻った後のART関連のコマンド設定処理(分岐処理A後のステップS73、後述の分岐処理B後のステップS87)において設定する。この結果、ART関連分岐処理内の各処理(抽選処理、設定処理、管理処理など)において、処理結果についての制御コマンドを逐次作成して送信する場合に比べ、プログラムの記憶容量が少なくなり、制御負担が軽減される。
図10Bの説明に戻り、次いで、指示モニタ番号表示処理を実行する(ステップS74)。この指示モニタ番号表示処理では、ステップS68の内部抽選処理で得られた指示モニタ番号(詳細は図11にて後述する)に基づき、払出枚数表示器35に対するLED表示データ(主報知手段用表示データ)を設定する。ここで設定されたLED表示データは、後述の主制御部側タイマ割込処理中のLED表示データ作成処理(後述の図18のステップS182)にて、LED表示に関するダイナミック点灯制御用データを作成する際に利用され、作成されたデータは、同タイマ割込処理中の出力処理(ステップS192)にて、LED側に対して出力される。これにより、払出枚数表示器35によるアシスト報知が実行されることになる。
次いで、回胴演出実行処理を実行する(ステップS75)。この回胴演出実行処理では、ステップS72のART関連分岐処理内(後述の図14Aのフリーズ抽選処理)のフリーズ演出抽選結果に基づく、フリーズ演出制御に要する設定処理を実行する。フリーズ演出抽選は、後述の図13の一般処理中(ART関連処理に属する処理)のフリーズ抽選処理(ステップS711)で行われ、その抽選結果として、フリーズ演出フラグが設定されるようになっている(後述のステップS710〜S712)。フリーズ演出フラグは、フリーズ演出種別(Sフリーズ(01H)、Lフリーズ(02H)、未発生(00H))を識別するフラグである。フリーズ演出フラグが、SフリーズまたはLフリーズを指定する場合には、今回のフリーズ演出種別に対応した変則回転動時の回胴駆動モータ用制御データをセットし、次いで、対応するフリーズ時間をフリーズタイマにセットして、そのフリーズ時間分待機する待機処理を実行する。ここで設定されたモータ制御データは、主制御側タイマ割込制御処理中の回胴制御処理(後述の図18のステップS191)にて利用され、フリーズ時間中において、変則回転回胴演出が実現される。これにより、フリーズ時間が経過するまで遊技の進行が中断され、フリーズ時間中において、フリーズ演出抽選結果に対応した回胴演出が実行される。
そして、フリーズ時間経過したならば、フリーズ演出が終了した旨を示す「フリーズ終了コマンド」をセットし、この回胴演出実行処理を抜ける。なお、フリーズ演出抽選に非当選(フリーズ演出フラグ=00H(ハズレ))の場合は、特に何もせずに、この回胴演出実行処理を抜ける。
上記ステップS75の回胴演出実行処理を終えると、次いで、回胴回転始動時の設定処理(回胴回転開始設定処理)を実行する(ステップS76)。この回胴回転開始設定処理では、回胴を通常回転させる準備として、遊技開始ウェイトタイマを取得し、そのタイマ値が0(ゼロ)であるか否かを確認する。そして遊技開始ウェイトタイマの値がゼロでない場合、当該タイマの値が0になるまで待つ。この遊技開始ウェイトタイマは、「1ゲームの遊技時間」を規制するためのタイマである。上記遊技開始ウェイトタイマ値がゼロであることを確認したならば、再度、遊技開始ウェイトタイマに4.1秒を設定する(遊技開始ウェイトタイマ設定処理)。これにより、1ゲームに要する時間が最短でも4.1秒となるようになっている。なお、レバー操作時フリーズ演出(Sフリーズ、Lフリーズ)が実行される場合は、基本的には、4.1秒が経過しているので、フリーズ終了後に通常回転動作が開始されることになる。
上述の遊技開始ウェイトタイマ設定処理を終えると、通常の回転動作を実現するために必要なデータとして、通常回転時の回胴駆動モータ用制御データをセットし、全回胴に対し、位置センサ未通過フラグおよび起動要求フラグをセットする。位置センサ未通過フラグは、回胴位置検出センサ212a〜212cにより基点を未検出である(OFF)か否か(ON)を示すフラグであり、起動要求フラグは、通常回転動作開始を要求するためのフラグである。また、演出制御コマンドとして、回胴始動を示す「回転開始コマンド」をセットする。これにより、これにより各回胴5a、5b、5cが通常回転状態に入る。
次いで、全回胴が概ね一定の回転速度に達するまでの待機処理として、759.9ms分待機する(ステップS77)。
次いで、停止前エラーフラグ状態確認処理を実行する(ステップS78)。この、停止前エラーフラグ状態確認処理では、センサ未通過フラグおよびエラーフラグのいずれかがON状態であれば、これらがOFF状態になるまで待機する。本実施形態では、回胴が回転を開始した後、対応する回胴位置検出センサ212a〜212cにより回胴の基点位置が検出され、遊技動作に係るエラー(ここでは、主制御部400側で監視されるエラー(たとえば、投入メダルエラー、メダル無しエラー、満杯エラー、払出センサエラー、誤入賞エラーなど))が未発生であることを条件として、停止ボタン12の受付を有効化して停止操作有効(許容)状態とし、それ以外であれば、当該受付を無効化して停止操作無効状態とする。したがって、回胴5a〜5cの回転中において、何らかのエラーが発生した場合(エラーフラグがON)、回胴5a〜5cの回転を維持した状態で回胴の停止操作を無効化して遊技動作の進行を停止し、エラーが解除されたことに応じて遊技動作の進行が再開されるようになっている。
センサ未通過フラグおよびエラーフラグがOFF状態であれば、全回胴が正常な通常回転動作状態下であるとして停止操作有効状態(停止操作許容状態)とし、これを報知するために、停止ボタン12の内蔵LEDをON状態にする(ステップS79)。これにより、停止ボタン12の停止操作が許容状態となり、たとえば、停止ボタンの内蔵LEDが停止操作無効報知態様の赤色(OFF状態)から、停止操作有効報知態様の青色(ON状態)に変化する。またここでは、停止操作有効状態となったことを演出制御部410に対し知らせるべく、演出制御コマンドとして「停止操作有効コマンド」をセットする。
上記停止操作有効状態において、停止ボタン12a、12b、または12cが操作された場合、停止操作対象となった回胴を停止制御するための回胴停止処理を実行する(ステップS80)。この回胴停止処理の詳細については図17にて後述する。
ステップS80の回胴停止処理を終えて、全回胴の停止が確認されると、続いて、指示モニタ番号表示をクリア(OFF状態)する(ステップS81)。ここでは、払出枚数表示器35によるアシスト報知を終了させるための設定処理を実行する。本実施形態では、全回胴が停止した後に、主報知手段によるアシスト報知が終了されるようになっている。また副報知手段によるアシスト報知も全回胴が停止した後に終了されるようになっている。
次いで、入賞判定処理を実行する(ステップS82)。この入賞判定処理では、全回胴停止時に作成される後述の停止図柄情報(入賞ラインデータ)に基づいて、当選役に対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止したか否か、つまり入賞が発生したか否かを確認し、入賞の発生を確認した場合は、その停止した図柄の組合せに対応して、払い出すべき遊技メダル枚数を指定するデータ(払出枚数情報を指定する払出枚数データ)の設定処理を実行する。またここでは、内部抽選結果(内部当選フラグ)と停止図柄情報とに基づき、当選役に対応する図柄の組合せが正しく停止されたか否かを判定する誤入賞判定処理を行い、誤入賞であった場合は、誤入賞エラーに関する所定のエラー処理が行われる。
また入賞判定処理では、全回胴の停止時に係る演出制御コマンドとして、「入賞情報コマンド(全回胴停止コマンド)」をセットする。この入賞情報コマンドには、全回胴停止時の停止図柄情報として、少なくとも有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せを特定可能な全回胴停止時の停止図柄情報(遊技結果情報)が含まれ、さらに、疑似入賞ライン上の停止図柄情報や現在の遊技状態情報や入賞ライン情報などを含むことができる。斯様な入賞情報コマンドにより、演出制御部410側が今回の遊技結果(有効入賞ラインおよび疑似入賞ライン上に、如何なる図柄の組合せが停止したか(停止図柄種別))を把握することができるようになっている。上記「入賞情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では、全回胴停止時(遊技結果導出時)に係る「入賞演出」の現出などの全回胴の停止時に必要な演出制御処理を実行する。
また入賞判定処理では、ボーナス遊技中の払出枚数を管理するボーナス遊技中獲得枚数加算処理を実行する。ボーナス遊技中獲得枚数加算処理では、遊技メダルの払い出しがある場合、上記ボーナス遊技中払出枚数カウンタに対して、その払出枚数分の遊技メダル枚数を加算する加算処理を行い、ボーナス中獲得枚数情報コマンドをセットする。このボーナス中獲得枚数情報コマンドには、ボーナス遊技中払出枚数カウンタ値を特定可能な情報が含まれる。上記「ボーナス中獲得枚数情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では現在の合計払出枚数を報知する払出枚数表示の値を更新する。
次いで、メダル払出枚数監視処理を実行する(ステップS83)。このメダル払出枚数監視処理では、ステップS82の入賞判定処理で設定された払い出し情報に基づき、目的枚数の遊技メダルの払い出し処理やクレジットの加算処理を実行するための要求処理を実行する。後述の主制御部側タイマ割込処理中のメダル払出処理(後述の図18のステップS186)において、その要求処理に応じ、ホッパーモータ510を駆動制御し払出動作を実行する。
次いで、分岐処理B(ステップS84〜S86)に進む。この分岐処理Bの処理の仕方は、上記分岐処理Aの処理内容と実質的に同じである。まず分岐処理Bでは、終了時のART関連処理の先頭アドレスをメモリの参照処理アドレス領域(HLレジスタ)にセットする(ステップS84)。この処理では、上記ステップS70の処理(開始時のART関連処理の先頭アドレスのセット)と同様に、図25で示すプログラム領域に格納されている終了時のART関連処理の先頭アドレス(1011H)をHLレジスタにセットする。
次いで、図26(ロ)に示す「終了時各フェーズ差番地テーブル」の先頭アドレスをセットする(ステップS85)。なお、終了時各フェーズ差番地テーブルの基本的構成は、既に説明した図26(イ)の開始時各フェーズ差番値テーブルの構成と同じであるので、重複記載を避けるためにその説明は省略する。
次いで、ART関連分岐処理を実行する(ステップS86)。このステップS86のART関連分岐処理は、上記ステップS72とART関連分岐処理と共通の処理となっており、ステップS84、S85においてセットしたメモリのアドレスを基づいて、現在の遊技状態に応じた‘ゲーム終了時に係るART関連処理に属する各処理(一般中処理〜ボーナス中処理)’のいずれかが選択されて実行される。本実施形態では、プログラム容量を削減して制御負担を軽減すべく、ゲーム開始時とゲーム終了時とで、共通のART関連分岐処理を設けてある。
次いで、遊技終了時の共通処理を実行する(ステップS87)。ここでは、今回のゲーム終了時に必要な設定処理を実行する。たとえば、コマンド設定処理やRAMクリア処理などが実行される。ここでのコマンド設定処理は、上記ステップS73における「ART関連のコマンド設定処理」と共通の処理であり、ゲーム終了時に係るART関連のコマンド設定処理である。本実施形態では、プログラム容量を削減し、制御負担を軽減すべく、ゲーム開始時とゲーム終了時とで、共通のART関連のコマンド設定処理を設けてある。またRAMクリア処理では、今回のゲームおいて使用したRAM領域の所定のデータをクリアし、次回のゲームに必要なワークエリアを確保する。これにより、ゲーム処理を抜けて、図9のステップS14の処理を実行する。
(1−4.内部抽選処理(ステップS68):図11)
次に、上記した図10Bの内部抽選処理(ステップS68)について、図11を用いて説明する。図11は、図10Bの内部抽選処理の詳細を示すフローチャートである。
図11において、主制御部400は、まずステップS63の内部抽選用乱数値を取得する(ステップS101)。
次いで、RT状態に応じた役抽選テーブル(図5A〜図5B)を取得する(ステップS102)。ここでは、現在の遊技状態が、RT0遊技〜RT3遊技中、BB内部当選遊技中(RT4遊技)、ボーナス遊技中のいずれの状態であるかに応じた役抽選テーブルが選択される。なお、役抽選テーブルを選択するに際し、遊技モード情報を利用してもよい。遊技モード情報を利用する場合には、たとえば、RT0〜RT4遊技、ボーナス遊技のいずれに係る遊技モードであるかを識別可能に構成すればよい。
次いで、内部抽選処理を実行する(ステップS103)。この内部抽選処理では、内部抽選用乱数値と、ステップS102で取得した役抽選テーブルとに基づく内部抽選を行い、抽選番号0〜50の抽選対象役のうちから当選役を決定する。なお重複BB役については、抽選番号に対応した固有の当選番号で当選役を特定しても良いが、本実施形態では、たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」が当選した場合、抽選番号41のBB1と抽選番号22の強チャンスに同時当選した、つまり「抽選番号41+抽選番号22」という役が当選したものとして扱い、重複BB役の当選を識別することができるようになっている。本実施形態の場合、特別役種(BB)と特定の小役種(リプレイ役種を含む)とが重複当選可能な複数種類の重複BB役が設けられているが(図5B、図6D参照)、斯様な重複BB役の当選情報は、たとえば、小役種を特定する第一バイトの下位7ビットと、特別役種を特定する第二バイトの下位4ビットとで特定可能となっている。
次いで、一般役種当選情報設定処理を実行する(ステップS104)。この一般役種当選情報設定処理では、ステップS103の内部抽選結果(当選役情報(当選番号情報))に基づき、当選役に係る一般役種別情報、つまり特別役種を除いた一般役種の当選情報として、小役当選情報の値(図23A〜図23Bの小役当選情報の欄参照)を、メインRAM401bの図24(A)に示すワークエリアの「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」と、当選役変換情報に係る「当選役変換情報領域」とに設定(保存)する。
上記「小役当選情報」とは、当選役種別(ここでは、当選役に係る一般役種別)そのものを識別するためのデータであり、本実施形態の場合、一般役種別について、当選番号0〜40が割り当てられており、全一般役種のうちいずれの役に当選したのかを識別可能な情報(データ)がワークエリアの「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」に設定される。この小役当選情報は、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)における内部当選フラグの設定や条件装置信号出力処理(ステップS107)において、型式試験信号を作成する際に利用される。
また上記「当選役変換情報」とは、演出制御部410に送信するための内部抽選結果に関する情報であり、演出制御部410側において、ゲーム中演出(当選役に関する予告演出など)やアシスト報知を現出制御する際に利用される。本実施形態の場合、非AT遊技であるAT0遊技中を「指示無し区間」、AT遊技中(AT1遊技〜AT3遊技、BB中)を「指示有り区間」に大別し、図23A〜図23Bに示すように、各区間に応じて異なるデータが設けられている。
上記「指示無し区間」のデータには、当選役種別をあらかじめグループ分けしたデータ群が定められている。この指示無し区間に係るデータは、当選役の役構成・性能・配当などを考慮し、演出制御部410側が当選役に対応したアシスト報知を実行不能とする情報(秘匿アシスト情報)を成すためのグループ分けとなっている。
具体的には、図23A〜図23Bに示すように、まず再遊技役種である(1)当選番号1〜10、16〜19の「通常リプレイ〜RT1転落リプ3XXおよび7リプレイ〜BARリプフェイク」を第1グループとして当選役変換情報を共通の「80H」とし、(2)当選番号11〜15の「RT3昇格リプ1XX〜RT1転落リプ321」を第2グループとして当選役変換情報を共通の「83H」とし、次に小役種である(3)当選番号20〜21の「弱チャンス1〜2」を第3グループとして当選役変換情報を共通の「82H」とし、(4)当選番号29〜40の「押順ベル123A〜押順ベル321B」を第4グループとして当選役変換情報を共通の「81H」として定めてある。それ以外は、当選役種別は固有の当選番号(本実施形態では、説明の便宜上、抽選番号と同じ番号を識別情報としている)が割り当てられており、この情報が今回のゲームの当選役に関する当選情報として、演出制御部410に対して送信される。
一方、「指示有り区間」の場合には、当選役ごとに対応した固有の当選番号が割り当てられており、この情報が今回のゲームの当選情報として、演出制御部410に対して送信される。したがって「指示無し区間」の場合、演出制御部410側は、実際の当選役を知ることができないが、「指示有り区間」の場合には、実際の当選役を知ることができる。
このように「指示無し区間」と「指示有り区間」とで識別データを異ならせる理由は、既に説明した、不正行為防止やのめり込み防止等の観点からであり、AT遊技が実行されていない状態(AT0遊技中)において、少なくとも一般役種の当選種別そのものが識別可能となる情報を周辺基板(たとえば、遊技表示基板390や演出制御部410等)に送信しないようにするためである(条件装置種別が識別可能となる情報を送信しない)。特に、押順規定役に属する抽選対象役が当選した場合、これが如何なる押順規定役であるかを識別可能な情報、換言すれば、押順規定役に係る停止操作手順が識別可能となる情報を周辺基板に送信しないようにするためである。これにより、「指示無し区間」では演出制御部410側が今回の当選役を正しく把握することができず、正しいアシスト報知が実行不能となる。一方、「指示有り区間」では、今回の当選役を正しく把握することができるため、AT状態や遊技モードに対応した正しいアシスト報知が実行可能となる。
詳細はステップS111の処理にて後述するが、非AT遊技(AT0遊技)中の場合には、上述したように、少なくとも一般役種の当選種別が識別可能となる情報、つまり小役当選情報(当選番号情報)をそのまま演出制御部410に送信することができないため、後続の処理(ステップS111)にて、当該小役当選情報を現在の遊技状態(たとえば、AT状態(遊技モードによりAT状態を識別してもよい。以下同様))に応じた適切なデータ値に変換して、その変換した変換情報を演出制御部410等に対して送信するようになっている。また本処理(ステップS104)において、小役当選情報を「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」と「当選役変換情報領域」の二つのワークエリアに別々に保存する理由は、上記した「非AT遊技中は小役当選情報をそのまま周辺基板に送信しない」というルールを守るためである。このように本実施形態では、当選情報を保存する第1領域と上述の変換情報を保存する第2領域とを設けて、当選情報を利用する処理(たとえば、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)や条件装置信号出力処理(ステップS107)等)や、変換情報を利用する処理(たとえば、後述のステップS113)に対処可能となっている。
なお、「指示無し区間」であっても、少なくとも遊技結果導出前までに、当選役種別(条件装置の作動状態)が識別可能な情報を送信しないようにすれば、遊技結果が導出表示された後で当選役種別が識別可能な情報(たとえば、小役当選情報)を演出制御部410に送信しても良い。この場合、秘匿状態であった当選役を演出制御部410側は知ることができ、たとえば、特定の報知演出等を現出させて今回のゲームで当選した当選役を遊技者に対し報知することができる。
再び図11の説明に戻り、次いで、ボーナス内部当選中であるか否かを判定する(ステップS105)。ボーナス内部当選中でない場合(ステップS105:NO)、ボーナス当選情報設定処理を実行する(ステップS106)。ここでは、今回の当選役にBB1またはBB2の当選情報がある場合、これを有効なボーナス当選情報として、図24(A)のワークエリアの「当選役情報1領域(ボーナス当選情報領域)」にBB1の当選情報を保存する。たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」が当選した場合、抽選番号41のBB1を有効な特別役当選情報として、BB1の当選情報を当選役情報1領域に保存する。このボーナス当選情報は、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)における内部当選フラグの設定や条件装置信号出力処理(ステップS107)において、型式試験信号を作成する際に利用される。なお、BB1、BB2は特別役であり、また押順不問役であることから、当選役変換情報を特に作成する必要がない。このため本実施形態では、ボーナス当選情報については、ステップS104の処理における小役当選情報のように、当選役変換情報領域に保存するということはしていない。
一方、ボーナス内部当選中である場合(ステップS105:YES)、何もせずに、ステップS107の処理に進む。これにより、BB内部当選中に新たな特別役(BB1、BB2)が当選したとしても、その当選は無効扱いとされる。
次いで、条件装置信号出力処理を実行する(ステップS107)。この条件装置信号出力処理では、型式試験信号を出力するために必要な処理を実行する。条件装置信号出力処理の詳細については図12にて後述する。
次いで、当選フラグ設定処理を実行する(ステップS108)。この当選フラグ設定処理では、当選情報(内部抽選結果)に対応する内部当選フラグを設定する。ここでは、今回のゲームの当選情報として、上記「当選役情報1領域(ボーナス当選情報領域)」のボーナス当選情報と、「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」の小役当選情報とに基づき、当選役に対応する内部当選フラグを設定する。この内部当選フラグは、回胴の停止制御に係る回胴停止処理(ステップS76)や、遊技メダルの払い出し枚数の指定処理に係る入賞判定処理(S79)において利用される。
次いで、指示モニタ番号設定処理を実行する(ステップS109)。この指示モニタ番号設定処理では、図23A〜図23Bの当選情報設定テーブルを参照し、現在の遊技状態(本例では、AT状態(遊技モードによりAT状態を識別してもよい))と当選情報とに応じた指示モニタ番号を、図24(A)に示すワークエリアの「指示モニタ番号領域」に設定する。
詳しくは、現在のAT状態がAT0遊技である場合には、図23Aおよび図23Bの当選情報設定テーブル「指示無し区間」が参照されて、全ての当選役において、指示モニタ番号「0」が設定される。指示モニタ番号「0」は、アシスト報知の非実行を指定する(アシスト報知を禁止する)ものであり、指示モニタ番号「0」が設定された場合には、払出枚数表示器35(主報知手段)と液晶表示装置6等の演出手段(副報知手段)とには、アシスト情報は報知されないことになる。
一方、現在のAT状態が、AT1遊技中またはAT2遊技中である場合には「指示有り区間1」が参照され、AT3遊技中またはBB中である場合には「指示有り区間2」が参照されて、当選役に応じた指示モニタ番号0〜8のいずれかが設定される。これにより、指示モニタ番号1〜8のいずれかである場合には、払出枚数表示器35や液晶表示装置6等において、たとえば、図22に示すようなアシスト報知が現出されることになる。なお、ここで設定された指示モニタ番号は、上記した図10BのステップS70の指示モニタ番号表示処理や後述のステップS112の処理(指示モニタ番号コマンド作成処理)にて利用される。
次いで、役グループ番号設定処理を実行する(ステップS110)。この役グループ番号設定処理では、上記当選情報設定テーブルを参照して、当選情報に基づき、当選役に対応した役グループ番号を図24(A)に示すワークエリアの「役グループ番号設定領域」に設定する。
次いで、当選役情報変換処理を実行する(ステップS111)。この当選役情報変換処理では、図23Aおよび図23Bの当選情報設定テーブルを参照して、ステップS104で設定された「当選役変換情報」を、現在の遊技状態に応じた所定のデータ値に変換する変換処理を実行し、その変換したデータ(変換情報)を当選役変換情報領域に設定する。
具体的には、現在のAT状態が「AT0遊技」である場合には、上記ステップS104の処理で「当選役変換情報領域」に対して設定された小役当選情報をそのまま演出制御部410に送信することができないため、メインCPU401cは、図23A〜図23Bの当選情報設定テーブルに示す「指示無し区間」を参照して、当該当選役変換情報を所定のデータ値に変換し、その変換値を当選役変換情報領域に保存する。これにより、当選役変換情報領域のデータ値が遊技状態に応じた所定のデータ値に更新されることになる。図23A〜図23Bの当選情報設定テーブルの記載からも理解されるように、特定の当選役(たとえば、当選番号29〜40の押順ベル種別等)については、今回の当選役が如何なる役であるかの識別が不可能な情報に変換される。
一方、現在のAT状態がAT1遊技〜AT3遊技中およびBB中のいずれかである場合には、当選役変換情報を変換する必要がないので、上記ステップS104の処理で設定された値を変換することなく、本処理を抜ける(当選情報設定テーブルに示す「指示有り区間1/2」の欄参照)。
ここで本実施形態では、上記一般当選情報設定処理(ステップS104)において、内部抽選(ステップS103)により得られた当選情報について、変換の必要の有無にかかわらず、現在の遊技状態に対応した値を当選役変換情報領域に保存するのではなく、先ず遊技状態にかかわらず、当該当選情報をそのまま当選役変換情報領域に保存し、変換処理が必要であれば変化処理を実行して当選情報を更新し、変換処理が必要でなければ何もしないで変換処理をスキップさせる。これにより、当選役変換情報の変換の必要性がない場合にも無闇に変換処理が行われないようにし、主制御部400の制御負担を軽減させている。
また本実施形態では、内部抽選結果情報をメインRAM401bの「当選役変換情報領域」に保存し、その保存した情報を変換するものと説明したが、本発明はこれに限らず、内部抽選結果情報をメインRAM401bに保存せずにCPU内蔵のレジスタを利用した演算により変換処理を行い、上記「当選役変換情報領域」に保存するという構成としてもよい。
次いで、演出制御コマンドとして、上記指示モニタ番号設定処理で得られた「指示モニタ番号」を特定可能な「指示モニタ番号コマンド」をセットする(ステップS112)。なお、指示モニタ番号コマンドについては、遊技状態にかかわらず、一律に演出制御部410に送信するようにしている。これは、遊技状態に応じて(たとえば、AT0遊技かAT1〜3遊技かに応じて)指示モニタ番号コマンドを送信する・しないというプログラムを組み込む必要がなく、制御負担を軽減させることができるからである。また指示モニタ番号情報を演出現出制御の際に利用することが可能な場合もあり、また、新機種開発の際、新旧機種間で指示モニタ番号コマンドを送信する・しないというプログラムを組み込む必要がなく、役構成が大幅変更でなければ、当選情報設定テーブルの指示モニタ番号のデータ値を変更するだけでよい場合もあり、設計的な互換性を持たせたることができ、利便性に優れるからである。
しかし本発明はこれに限らず、遊技状態に応じて、指示モニタ番号コマンドを送信するか否かを決定可能な構成とすることができる。具体的には、現在の遊技状態(AT状態)が「AT0遊技」の場合はアシスト報知を行わないため、指示モニタ番号(アシスト情報(手順情報))を演出制御部410に知らせる必要がない。したがって「AT0遊技」の場合には、指示モニタ番号コマンドを作成しない、または作成するが送信しない構成とすることができる。一方、現在の遊技状態(AT状態)が「AT0遊技以外」の場合には、アシスト報知を行う必要があるため、指示モニタ番号コマンドを送信する。またこれとは異なり、指示モニタ番号値に応じて、指示モニタ番号コマンドを送信するか否かを決定可能な構成とすることができる。具体的には、指示モニタ番号「0」以外の値である場合には、指示モニタ番号コマンドを送信し、アシスト報知非実行を指定する「指示モニタ番号0」の場合は、アシスト情報を演出制御部410に知らせる必要がないため、指示モニタ番号コマンドを作成しない、または作成するが送信はしない構成とすることができる。
次いで、上記当選役情報変換処理で得られた「当選役変換情報」を特定可能な「当選役変換情報コマンド」をセットする(ステップS113)。本実施形態では、演出制御部410に対し、上記指示モニタ番号設定処理で得られた指示モニタ番号情報(アシスト情報)を送るとともに、遊技状態(たとえば、AT状態または少なくともAT遊技の発生の有無)に応じて変換される当選役変換情報を送るようになっている。ただし、非AT遊技中を伴う遊技状態の場合には、当選役種別そのものが識別可能となる情報(たとえば、小役当選情報)は送らないようになっている。
なお、上記「当選役変換情報コマンド」に、今回当選した特別役(BB1、BB2)を特定可能なボーナス当選情報(特別役種別情報)を含ませても良い。また、別途、当選した特別役情報を含む演出制御コマンド(ボーナス当選情報コマンド)を設け、これを演出制御部410に対して送信可能な構成としても良い。また本実施形態では、指示モニタ番号と当選役変換情報とを別々のコマンドに分けて送信する構成となっているが、これらの情報(指示モニタ番号および当選役変換情報を特定可能な情報)を1つの演出制御コマンドに含ませて演出制御部410に対して送信可能な構成としても良い。
上記ステップS113の処理を終えると、内部抽選処理を抜けて、図9のゲーム処理に戻り、後続のステップS69の回胴演出抽選処理を実行する。
(1−5.条件装置信号出力処理(ステップS107):図12)
次に図12を参照して、図11の条件装置信号出力処理(ステップS107)について説明する。図12は、図11の条件装置信号出力処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、遊技機外部の装置(たとえば、保通協の試験機やデータカウンタやホールコンピュータHC等)に所定の遊技情報を送信するための出力データの作成等の処理が実行される。
図12において、主制御部400は、まずスタックポインタおよび全レジスタの値を退避させる(ステップS131、S132)。
次いで、当選役情報(小役当選情報、ボーナス当選情報)を取得し(ステップS133)、出力ビットデータ作成処理を実行する(ステップS134)。この出力ビットデータ作成処理では、当選役情報に基づき、型式試験信号の出力用データ(当選情報出力用データ)を作成する。具体的には、ボーナス当選情報と小役当選情報とを、それぞれ1バイト長の型式試験信号出力用ビットデータを生成する。図24(B)に示す通り、ボーナス当選情報については、1バイトの下位6ビット(D0〜D5)が特別役情報(BB1、BB2)を特定するために確保されており、また小役当選情報についても同様に、1バイトの下位6ビット(D0〜D5)が小役種別およびリプレイ役種別情報(一般役種情報)を特定するために確保されている。また、特別役(ボーナス役)の場合には1バイトの上位2ビット(D6〜D7)に「10」が設定され、一般役種の場合には1バイトの上位2ビット(D6〜D7)に「01」が設定され、この上位2ビットのビット情報により、ボーナス当選情報に係る出力用データであるのか、一般役種当選情報に係る出力用データであるかの別が区別されるようになっている。
次いで、ステップS134の処理で作成されたボーナス当選情報に係る出力用データを「条件装置出力用バッファ1」に設定し、一般役種当選情報に係る出力用データを「条件装置出力用バッファ2」に設定する(図24(A)のワークエリア参照)(ステップS135)。型式試験時には、この出力用データが型式試験信号として保通協の試験機に対し出力される。
次いで、型式試験信号の出力動作を管理する出力管理タイマに初期値の48msを設定する(ステップS136)。保通協の試験機の仕様では、型式試験信号が1バイト毎に24ms間隔で出力される必要がある。本実施形態では、1バイト長のボーナス当選情報と1バイト長の一般役種当選情報の2バイト長の型式試験信号としているため、型式試験信号の出力間隔(24ms)の倍の時間を確保している。本実施形態の場合、タイマ割込み周期が1.5msであるので、出力管理タイマには、初期値として「32(1.5×32=48ms)」が設定される。出力管理タイマは、2バイト長の型式試験信号の出力タイミングを管理するものであり、タイマ割込み毎にデクリメントされる(図18の主制御部側タイマ割込処理中のタイマ減算処理(ステップS185)参照)。
上記型式試験信号は、出力管理タイマの値Tが「T≧16(T≧24ms)」であれば、条件装置出力用バッファ1のボーナス当選情報データが出力され、「16>T>0(24ms>T>0)」であれば、条件装置出力用バッファ2の一般役種当選情報データが出力され、TM2=0の場合にはゼロデータが出力される。したがって、24msの間、ボーナス当選情報データが継続して出力され、これに連続して、24msの間、一般役種当選情報データが継続して出力されるようになっている。これらの型式試験信号は、後述の図18の主制御部側タイマ割込処理中の出力処理(ステップS192)にて、出力管理タイマの値に基づいて出力されるようになっている。なお、型式試験に適合した遊技機は、法的要請によりその制御プログラムの変更は認められていないため、パチンコホールに設置後においても型式試験信号が繰り返し出力されることになる。型式試験信号の出力処理自体は、パチンコホールにおいて無意味なものとなるが、遊技進行状況に応じて多様に変化しうる遊技に関する情報を遊技機外部に出力することで、ホールコンピュータHCが各遊技機の動作状況を把握したり、保通協での型式試験の容易化を図ることができるので特に問題は生じない。
本実施形態では、内部抽選結果に関する情報(当選情報)を、上記した「当選役情報領域(当選役情報1、2領域)」と「当選役変換情報領域」とに分けて保存し、当該「当選役情報領域」の情報を上記型式試験信号の出力用データの作成に利用し、他方の「当選役変換情報領域」の情報を演出制御部410等に送信するコマンドデータの作成に利用している。
上記ステップS136の処理を終えた後は、退避させたレジスタおよびスタックポインタを復帰させ(ステップS137、S138)、この条件装置信号出力処理を抜けて、図11の内部抽選処理のステップS107に戻る。
(1−6.ART関連分岐処理(ステップS72、S86)により読み出されるART関連処理について:図13、図14A〜図14D)
次に、ART関連分岐処理(ステップS72、S86)において、遊技状態に応じて選択されうる処理について詳細に説明する。既に説明したように、分岐先となる処理は、図13のステップS706において読み出される処理(図26参照)である。ここでは、本発明と関連が深い処理として、ART関連分岐処理で読み出される処理のうち、一般中処理(図14A)、前兆中処理(図14C)、およびART中処理(図14D)を代表的に説明し、ステップS72のゲーム開始時のART関連分岐処理で読み出されるケースを中心的に説明し、ステップS86のゲーム終了時のART関連分岐処理については必要に応じて説明を加える程度に止める。
(1−7.一般中処理:図14A)
まず図14Aを用いて、一般中処理について説明する。図14Aは、一般中処理の詳細を示すフローチャートである。
一般中処理は、現在の遊技状態(遊技モード)が、初期遊技モード、地獄モード、通常モードまたは天国モードである場合(遊技モード0〜4のいずれかの場合)に選択される処理である。したがって一般中処理においては、図示の通り、その主要な処理として、フリーズ抽選処理、AT抽選状態移行抽選処理、AT抽選処理、前兆ゲーム数抽選処理などが含まれる。
図14Aにおいて、主制御部400は、まず図30に示す「フリーズ演出抽選テーブル」をセット(取得)する(ステップS710)。
次いで、「フリーズ演出抽選テーブル」を用いた抽選処理、つまり、フリーズ演出抽選を実行する(ステップS711)。
ここで、ステップS711の抽選処理(図14B)は、フリーズ演出抽選だけに用いられるのではなく、後述のAT抽選状態移行抽選処理、AT抽選処理、または前兆ゲーム数抽選処理に係る抽選を行う際にも用いられる。また一般中処理中だけでなく、後述する図14DのART中処理中の上乗せ抽選処理においても用いられる。
(1−8.抽選処理:図14B)
ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず、上述の抽選処理の詳細を説明しておく。図14Bは、抽選処理(共通の抽選処理)の詳細を示すフローチャートである。
図14Bを参照して、主制御部400は、まず抽選処理に入る前処理で取得した抽選テーブルを参照し、(1)当選役の役グループに対応するオフセット値を決定し、判定値のアドレスをセットする、つまり判定値を取得すると共に、(2)抽選回数をセットする(ステップS750)。また後述の当選インデックスをクリア(当選インデックス←00H)する。
抽選処理において参照される抽選テーブルは、ステップS711の場合には、ステップS710で取得したフリーズ演出抽選テーブル(図30)が該当する。またステップS714の場合には、AT抽選状態移行抽選テーブル(図28A〜図28D)が該当し、ステップS717の場合には、AT抽選テーブル(図29A、図29B、図29C)が該当し、ステップS720の場合には、前兆ゲーム数抽選テーブル(図示せず)が該当し、ステップS741の場合には、上乗せゲーム数抽選テーブル(図31A、図31B)などが該当する。その他、図示はしていないが、後述する(イ)〜(ヌ)の各種抽選に利用される抽選テーブルなども該当する。
また既に説明した通り、各抽選テーブルの先頭アドレスには、1バイト長のデータ識別子が格納されている。このデータ識別子は、図32図に示す通り、抽選テーブルがどのようなテーブルであるかを定めている。データ識別子の上位2ビット(D7、D6)は、どのような遊技状態で使用されるかを規定し、ビット情報が「00」であれば、遊技状態(遊技モード)によらずに使用するもの、「01」であれば一般遊技(通常遊技)中で使用するもの、「10」であればART中で使用するもの、「11」であれば上乗せ特化ゾーンで使用するものなどを規定している。データ識別子のbit5(D5)は、その抽選テーブルが、当選役(役グループ番号)別に抽選するものであるか否かを規定し、当選役別に抽選するものであれば(役別抽選)D5=1、当選役によらずに抽選するものであれば(役共通抽選)、D5=0である。データ識別子のbit4〜bit0(D4〜D0)は、その抽選テーブルを使用する場合における抽選回数を規定する。たとえば、D4〜D0=0001であれば抽選回数1回、D4〜D0=0010であれば抽選回数2回、D4〜D0=0011であれば抽選回数3回である。
また各抽選テーブルは、先頭1バイト長のデータ識別子に続いて、1バイト長の判定値(0〜2n−1(n=8)の数値のうちのいずれかの値)が当選役種別(本実施形態の場合、役グループ番号1〜16)に対応して連続して格納されている。したがって、役グループ番号1(一般リプレイ種別)を基準アドレスとした場合、役グループ番号2〜16の判定値に対応するオフセット値は「01H〜0FH」となり、基準アドレスにオフセット値を加算した値がその役グループ番号に対応した判定値のアドレス値となる。なお、図28Cおよび図28Dの場合は、一般リプレイ種別の1種類だけであるので、データ削減のため、役グループ番号2〜16の判定値を共通判定値の「0」に定めている。
再び図13の説明に戻り、次いで、乱数回路(2バイト)から乱数RND(1バイト)を取得する(ステップS751)。
本実施形態の乱数回路(乱数生成手段)は、2バイト乱数を生成可能な16ビットのカウンタ(シフトレジスタ)を持ち、当該2バイト乱数がシステムクロックまたはこれを分周して得た外部クロックにより所定の周期で更新される(0〜2n-1の数値範囲で更新動作を繰り返し実行する:乱数更新手段)。また、割り込みまたはこれにより更新される乱数列選択カウンタにより、上記の乱数回路が生成した2バイト乱数から1バイトの乱数値を取得して乱数値レジスタに格納する乱数取得手段を有する。そして、「乱数回路における2バイト乱数1周の周期」に比べ、「乱数取得手段における1バイト乱数値の取得間隔」を小さく設定している。
詳述するに、ART関連分岐処理(図10B)では、1ゲーム中に複数回の抽選処理が行われる。たとえば、フリーズ演出抽選(S711)、AT抽選状態移行抽選(S714)、AT抽選(S717)、前兆ゲーム数抽選(S720)などである。これらの抽選は、「2バイト乱数」のうちの1バイト分の値を使って行われる。すなわち、2バイト乱数のうちの1バイト分の値を使って乱数を取得し、その乱数値を判定値と比較する、というART関連の抽選が1ゲーム中に複数回行われる。本実施形態では、ART関連処理での抽選を行う場合、この乱数を取得する間隔が乱数1周の期間よりも短くなる関係、つまり「乱数の取得間隔<乱数1周の期間」という関係の下で行われる。すなわち、一の抽選処理に係る乱数値を取得してから他の抽選処理に係る乱数値を取得するまでの乱数取得時間間隔Nと、2バイト乱数値の更新周期Mとの関係が「N<M」を満たす関係を持たせてある。2バイト乱数のうちの1バイト分の値を使う理由は、このようにすると、乱数の更新周期内に乱数を取得したとしても、いわゆるランダム性を担保することができるからである。これについて以下に説明する。
図33(A)は、本実施形態の場合とは異なり、「1バイト乱数」の数値列00H〜16Hから2箇所(取得タイミング1、2)において、乱数値を取得した場合を示している。ここでは1バイトの乱数回路が外部クロックを受けて1周する更新周期を0.026msとしている。この取得タイミング1、2のように、更新周期の0.026msより短い間隔で乱数値を取得する場合、取得される乱数値が「08H」と「96H」となって、同じ乱数値「08H」が取得されることがない。すなわち1度目と2度目で抽選確率1/Nの分母Nが同じにならないから、いわゆるランダム性を担保することができない。
これに対し図33(B)は、本実施形態と同じ構成であって、2バイトの乱数回路が外部クロックを受けて1周する更新周期を6.6msとし、1バイトの乱数値を取得する取得間隔が、乱数回路における2バイト乱数の更新周期よりも小さく設定している。この前提の下で、「2バイト乱数」の数値列0000H〜6216Hから2箇所(取得タイミング1、2)において、1バイト(下位バイト)の乱数値を取得した場合を示している。この例では、取得タイミング1で「1108H」の下位バイト「08H」が取得され、取得タイミング2で「5408H」の下位バイト「08H」が取得される。このように2バイト乱数の下位の1バイトを使用する場合は、更新周期よりも短い間隔で乱数を取得しても、同じ値を取得する可能性がある。よって本実施形態のように構成すると、同じ乱数値の「08H」を取得することができるという意味で、1度目と2度目で抽選確率1/Nの分母Nが同じに保たれるのでランダム性を担保することができる。なお、上記では下位バイトを取得する例を説明したが、2バイト乱数の上位バイトや任意の中間1バイトを取得する構成としてもよい。ランダム性を特に必要としない場合は、1バイトのデータ量で更新動作を繰り返す8ビットカウンタ(数値範囲:00H〜FFH(0〜255))を用いてもよい。
次いで、当選インデックスを+1する(ステップS752)。当選インデックスとは、抽選テーブルおける当選種別を指定するものである。たとえば、図30のフリーズ演出抽選テーブルの場合、当選インデックスの値が1であれば「Sフリーズ」が指定され、当選インデックス値が2であれば「Lフリーズ」が指定される。また、図31Aの本ART上乗せ抽選テーブルの場合、当選インデックス1〜3は、上乗せゲーム数+10〜+30が指定される。なお、抽選処理が最初に実行されるときには当選インデックスは0であるので(ステップS750参照)、当選インデックス値が1に更新される。
次いで、ステップS750で取得した判定値が「77」であるか否かを判定する(ステップS753)。判定値が「77」である場合(ステップS753:YES)、ステップS760に進み、キャリーフラグ(CF)をON(CF=1)して、ステップS761の乱数待機処理に進む。
本実施形態では、判定値が特定値である場合、ステップS754の判定値と乱数値RNDを比較判定する判定処理を行うことなく、当選と判定するようになっている。なお、図30のフリーズ演出抽選テーブルにおいて、最強チェリーの「Sフリーズ」と「Lフリーズ」の欄の値はともに「128」であり、「Sフリーズ」または「Lフリーズ」のいずれかに必ず当選する。このようにいずれかを必ず当選させたい場合、2回目抽選の「Lフリーズ」の欄の値は「128」ではなく「77」であってもよい。すなわち、抽選テーブルに規定する判定値「77」は、強制当選させるための特殊な判定値(当確用判定値)である。この当確用判定値は、1バイトの範囲内(0〜255)の他の値のうち適宜定めることができる。ただし、「0」および/または2nの数値(n=1〜7:2、4、8、16、32、64、および128のうち少なくともいずれか1つ)は、抽選領域の大きさ256に対し、使用頻度が高い数値であるため、斯様な値は除外することが好ましい。
一方、判定値が「77」ではない場合(ステップS753:NO)、取得した判定値と乱数値RNDとを比較判定する判定処理(当否判定処理)を実行する。ここでは、判定値と乱数値RNDとの大小関係を判定する。具体的には、乱数値RNDから判定値を減算し(RND−判定値)、この減算処理の結果が負(RND<判定値)である場合には、今回の抽選に当選したことを意味する。なお、減算処理ではなく加算処理による比較判定でもよい。この場合、加算処理の結果が255を超える場合、今回の抽選に当選したことを意味する。
次いで、キャリーフラグCYの値を判定する(ステップS755)。ステップS753の判定結果が当選であれば、キャリーフラグCYが1(CY=1)となっており、非当選であれば、キャリーフラグCYが0(CY=0)となっている。そこで、キャリーフラグCYの値を判定する。キャリーフラグCYが1、つまり当選の場合には(ステップS755:CY=1)、現在の当選インデックスの値をメインRAM401aの所定領域に格納して、ステップS761の処理に進む。一方、キャリーフラグCYが0、つまり非当選(ハズレ)の場合には(ステップS755:CY=0)、次の判定値を取得し(ステップS756)、抽選回数から1減算する(ステップS757)。次に取得する判定値がない場合には、ステップS756では何もしないで、抽選回数から1減算する。
次いで、減算後の抽選回数が0であるか否かを判定する(ステップS758)。減算後の抽選回数が0でない場合(ステップS758:≠0)、ステップS752〜S758の処理を繰り返し、減算後の抽選回数がゼロである場合(ステップS758:=0)、当選インデックスをクリアする(ステップS759)。このステップS759の処理が実行される場合は、今回の抽選結果が何も当選しなかった非当選となる。
ステップS761では、乱数が少なくとも1周する時間分待機する。たとえば、2バイトの乱数回路において、乱数が1周する時間(更新周期)は約6.6msである場合、約6.6ms以上待機して(割込回数1.5ms×5回分待機)、この抽選処理を抜ける。このように乱数が少なくとも1周する時間分待機の理由は、乱数の更新周期を超えて待機することにより、いわゆる乱数のランダム性を担保するためである。ステップS761の処理では、ART関連処理での抽選を行う場合、次の乱数値を取得するまでの待機時間Nを、乱数1周の期間(更新周期)Mよりも長くなる関係、つまり「待機時間N>乱数1周の期間M」という関係の下で行われる。なお、上記ステップS751で2バイトの乱数回路から乱数値RND(1バイト)を取得する場合、すでに乱数のランダム性が担保されていることから、このステップS761は実行せずに、抽選処理を抜けてもよい。しかし、別の実施形態として、1バイトの乱数回路から1バイトの乱数値RNDを取得する場合は、乱数のランダム性が担保されていないことから、1バイトの乱数回路における乱数が1周する時間の約0.026ms以上の時間をこのステップS761にて待機することで、乱数のランダム性を担保することができる。
なお図示はしていないが、下記の各抽選処理においても、図14Bの抽選処理を用いることができる。
(イ)上記本ART遊技(非バトルモード)に係るART継続抽選、
(ロ)上記ART継続抽選の継続率に係る継続率抽選、
(ハ)上記継続バトルモード中のストック抽選、
(ニ)上記ART終了時モード移行抽選、
(ホ)上記上乗せ特化ゾーン移行抽選、
(ヘ)上記特定モード中特典抽選、
(ト)本ART遊技への移行権利(AT抽選)に関する変形例として説明した上記連続当選時AT抽選や連続入賞時AT抽選、
(チ)通常遊技に係る遊技モードの変形例として説明した「CZモード」に係る抽選(CZ移行抽選、CZ継続抽選、ポイント獲得抽選など)、
(リ)本ART遊技の変形例として説明した「セット数管理型」に係るセット数抽選、「報知回数管理型」に係る上乗せナビ回数抽選、「払出枚数管理型」または「差枚数管理型」に係る上乗せ枚数抽選、
(ヌ)上記特化ゾーン延長抽選、
などを含む他の抽選処理においても共通して用いることができる。
再び図14Aの説明に戻り、ステップS711の抽選処理(フリーズ演出抽選)を終えると、抽選後処理として、当該抽選処理で得られた抽選結果(フリーズ演出抽選結果)をメインRAM401aの該当領域に格納する(ステップS712)。具体的には、当選インデックスを参照し、当選インデックスにより特定される当選種別に対応するデータをメインRAM401aの該当領域に格納(保存)し、当選インデックスをクリアする。非当選状態であれば、当選インデックスが0になっているので(ステップS759参照)、非当選に対応するデータをRAM401aの該当領域に格納する。
フリーズ演出抽選処理の場合、当選インデックスが1であれば、Sフリーズの実行を指定するフリーズ演出フラグ「01H」を設定し、当選インデックスが2であれば、Lフリーズの実行を指定するフリーズ演出フラグ「02H」を設定し、当選インデックスが0(非当選)であれば、フリーズ非実行を指定するフリーズ演出フラグ「00H」を設定する。そして、抽選結果を格納する保存処理を終える。上記フリーズ演出フラグは、図10Bのゲーム中処理内のステップS75の回胴演出実行処理中で利用され、フリーズ演出フラグが00H以外の場合には、フリーズ演出が実行されることになる。
上記フリーズ抽選処理を終えると、次いで、ステップS713〜S715のAT抽選状態移行抽選処理を実行する。AT抽選状態移行抽選処理は、現在の一般遊技状態から別の一般遊技状態に移行させるか否かの決定に関する抽選処理を含む処理を実行する一般遊技移行抽選手段として働く。
上記AT抽選状態移行抽選処理では、まず、現在の遊技状態(遊技モード)に応じた「AT抽選状態移行抽選テーブル」をセットする(ステップS713)。ここでは、ゲーム開始時に係る移行抽選(内部抽選結果に基づく移行抽選)を実行するべく、現在の遊技モードに応じて、図28Aの地獄モード用または図28Bの通常モード用の「昇格用AT抽選状態移行抽選テーブル」が選択される。なお、図28Cの通常モード用または図28Dの天国モード用の「転落用AT抽選状態移行抽選テーブル」を利用した移行抽選(転落抽選)については、全回胴停止時の遊技結果に基づく遊技状態(遊技モード)の移行抽選であるため、ゲーム終了時に係る一般中処理(図示せず)にて実行される(図10CのステップS86、図13のステップS706、図26)。
次いで、図14Bの抽選処理(AT抽選状態移行抽選)を実行し(ステップS714)、抽選後処理として、抽選処理結果をメインRAM401aの該当領域に格納する(ステップS715)。ここでは、AT抽選状態移行抽選結果をメインRAM401aの該当領域に格納する。これにより、移行抽選に当選(昇格移行)した場合には、遊技モードが更新され(たとえば、通常モードから天国モードに変更)、次ゲームから昇格先の遊技モードに移行されることになる(遊技モード更新処理)。
上記AT抽選状態移行抽選を終えると、次いで、ステップS716〜S717のAT抽選処理を実行する。
AT抽選処理では、まず現在の遊技モードに応じた「AT抽選テーブル(図29A(地獄モード用)〜図29C(天国モード用)のいずれか)」をセットする(ステップS716)。ここでは、ゲーム開始時に係るAT抽選(内部抽選結果に基づくAT抽選)を実行するべく、現在の遊技モードに応じて、図29Aの地獄モード用〜図29Cの天国モード用AT抽選テーブルのいずれかが選択される。ただし本実施形態の場合、AT抽選状態移行抽選結果に基づく遊技モード下で抽選処理を実行するようになっている。たとえば、AT抽選状態移行抽選結果により通常モードから天国モードに昇格移行された場合には、本処理において、天国モード下でのAT抽選が実行されるようになっている。なお、ベル系のAT抽選については、遊技結果に基づくAT抽選であるため、ゲーム終了時に係る一般中処理にて実行される(図10CのステップS86、図13のステップS706等)。
次いで、図14Bの抽選処理(AT抽選)を実行する(ステップS717)。
次いで、抽選後処理として、キャリーフラグCYの値を判定する(ステップS718)。ここでは、AT抽選結果に応じて処理を分岐させる。
キャリーフラグCYが1(CY=1)である場合(ステップS718:CY=1)、つまりAT抽選に当選した場合、前兆ゲーム数抽選処理を実行する(ステップS719〜S721)。一方、キャリーフラグCYが0である場合(ステップS718:CY=0)、つまりAT抽選に非当選である場合、前兆ゲーム数抽選処理は実行せずに、ステップS722に進む。
上記前兆ゲーム数抽選処理では、まず「前兆ゲーム数抽選テーブル(図示せず)」をセットする(ステップS719)。
次いで、図14Bの抽選処理(前兆ゲーム数抽選)を実行し(ステップS720)、その抽選処理結果をメインRAM401aの該当領域に格納する(ステップS721)。ここでは、決定された前兆ゲーム数を前兆ゲーム数カウンタにセットする(前兆ゲーム数設定処理)。ここで設定された前兆ゲーム数は、後述の前兆中処理(図14C)において管理される。また、遊技モードを前兆モード(遊技モード4)に変更(更新)し、AT当選フラグをONにし(AT当選状態)、有利区間をカウントする有利区間カウンタに1500を設定する(前兆モード変更設定処理)。有利区間カウンタは、ゲームが実行されるごとに1減算され、AT遊技を伴う遊技状態が終了するとクリアされる(有利区間カウンタ管理処理)。有利区間カウンタ管理処理は、たとえば図10CのS87の処理で実行することができる。
次いで、その他のART関連抽選処理を実行する(ステップS722)。その他のART関連抽選処理では、上記したフリーズ演出抽選やAT抽選以外の他の抽選に係る処理を実行する。ここで行う他の抽選に係る処理も、ステップS711等の抽選処理(図14B)と共通の抽選処理が利用される。そして各抽選処理が実行された場合、抽選後処理として、抽選結果に基づく処理(抽選結果の保存処理等)を実行し、一般中処理を抜けて、ART関連のコマンド設定処理(図10BのステップS73)に進む。
(1−9.前兆中処理:図14C)
次に図14Cを用いて、前兆中処理について説明する。図14Cは、前兆中処理の詳細を示すフローチャートである。前兆中処理は、遊技状態が前兆モード中の場合に選択される処理である。
図14Cを参照して、主制御部400は、まず前兆ゲーム数を−1する(ステップS730)。前兆ゲーム数は、前兆モード中のゲーム行われる度に、前兆ゲーム数を1減算する。
次いで、減算後の前兆ゲーム数が0か否かを判定する(ステップS731)。前兆ゲーム数が0である場合(ステップS731:YES)、前兆モード終了設定処理を実行する(ステップS732)。前兆モード終了設定処理では、遊技モードを、準備ART移行前モード(遊技モード5)に変更する。前兆ゲーム数が0ではない場合(ステップS731:NO)、何もしないで、前兆中処理を抜ける。
以上により前兆中処理を終えて、ART関連のコマンド設定処理(図10BのステップS73)に進む。
(1−10.ART中処理:図14D)
次に図14Cを用いて、ART中処理について説明する。図14Dは、ART中処理の詳細を示すフローチャートである。このART中処理は、遊技状態(遊技モード)が、本ART遊技(非バトルモード)または上乗せ特化ゾーン中の場合に呼び出される処理である。
図14Dを参照して、主制御部400は、まず、ART継続管理処理を実行する(ステップS739)。ART遊技継続管理処理では、残余ARTゲーム数や残余上乗せ特化ゾーンゲーム数を管理する。図示はしていないが、具体的には、現在の遊技状態(遊技モード)が本ART遊技(非バトルモード)中である場合、残余ARTゲーム数から1減算し、減算後の残余ARTゲーム数がゼロになった場合は、今回のゲームで本ART遊技(非バトルモード)が終了したとして、何もせずに、このART中処理を抜ける。この場合、ゲーム終了時に係るART中処理(図10CのステップS86、図13のステップS706)にて、ART継続抽選およびストック抽選(本実施形態では、ARTゲームの最終ゲームでは、上乗せ抽選を実行せずに、継続バトルモードのストック抽選を行う)を実行して、その抽選結果を格納し、遊技モードを継続バトルモード(遊技モード9)に変更する。現在の遊技状態が上乗せ特化ゾーン中である場合は、ゲーム開始時ではなく、ゲーム終了時に係るART中処理(図10CのステップS86)にて、残余上乗せ特化ゾーンゲーム数から1減算し、減算後のゲーム数がゼロになった場合は、今回のゲームで上乗せ特化ゾーンが終了したとして、遊技モードを本ART遊技(非バトルモード)(遊技モード7)に変更する。ただし、上乗せ特化ゾーン最終ゲームにおいては、上乗せ抽選が実行されるようになっている。
上記ART継続管理処理を終えると、次いで、ステップS740〜S741の上乗せゲーム数抽選処理を実行する。上乗せゲーム数抽選処理は、特定の遊技状態(たとえば、本ART遊技(非バトルモード)、上乗せ特化ゾーン、CZモードなどの特定の遊技状態)に制御される期間について、当該期間を延長させるか否かの決定に関する抽選処理を含む処理を実行する期間延長抽選手段として働く。
上記上乗せゲーム数抽選処理では、まず現在の遊技状態(遊技モード)に応じた「上乗せ抽選テーブル」をセットする(ステップS740)。ここでは、ゲーム開始時に係る上乗せ抽選(内部抽選結果に基づく上乗せ抽選)を実行するべく、現在の遊技モードに応じて、図31Aの本ART用または図31Bの上乗せ特化ゾーン用の上乗せ抽選テーブルが選択される。なお、ベル系の上乗せ抽選については、遊技結果に基づく上乗せ抽選であるため、ゲーム終了時に係るART中処理にて実行される(図10CのステップS86、図13のステップS706、図31A〜図31Bの備考欄等参照)。
次いで、図14Bの抽選処理(上乗せ抽選)を実行する(ステップS741)、
次いで、抽選後処理として、キャリーフラグCYの値を判定する(ステップS742)。ここでは、上乗せ抽選結果に応じて処理を分岐させる。
キャリーフラグCYが0である場合(ステップS742:CY=0)、つまり上乗せ抽選に非当選である場合、何もせずにステップS744に進む。一方、キャリーフラグCYが1(CY=1)である場合(ステップS742:CY=1)、つまり上乗せ抽選に当選した場合、現在の残余ARTゲーム数に対して、抽選結果に基づく上乗せゲーム数を加算する(ステップS743)。ステップS743の処理は、上乗せ抽選(期間延長抽選手段)による抽選処理結果に基づき、上記特定の遊技状態に制御される期間を延長させる特定遊技延長制御手段として働く。
次いで、その他のART関連抽選処理を実行する(ステップS744)。この「その他のART関連抽選処」は、ゲーム開始時に係るART中処理であるか、ゲーム終了時に係るART中処理であるかによって、実行される抽選処理が異なるが、ここでは、たとえば、上記上乗せ特化ゾーン移行抽選(ゲーム開始時に係るART中処理)や、ART継続抽選(ゲーム終了時に係るART中処理)や、ART終了後モード抽選(ゲーム終了時に係るART中処理)などが実行される(図示略)。ここで行う他の抽選に係る処理も、ステップS711等の抽選処理(図14B)と共通の抽選処理が利用される。そして各抽選処理が実行された場合、抽選後処理として、抽選結果に基づく処理(抽選結果の保存処理等)を実行し、ART中処理を抜けて、ART関連のコマンド設定処理(図10BのステップS73)に進む。
(1−11.回胴停止処理(ステップS76):図17)
次に図17を参照して、図10Bの回胴停止処理(ステップS76)について説明する。図17は、図10Bの回胴停止処理の詳細を示すフローチャートである。
図17において、主制御部400は、まず「停止時エラーフラグ状態確認処理」を実行する(ステップS401)。ここでは、既に説明した「停止前エラーフラグ状態確認処理(図10BのステップS74)」と同様に、センサ未通過フラグおよびエラーフラグのいずれかがON状態であれば、これらがOFF状態になるまで待機する。この待機中は、停止ボタン12の停止操作が無効状態として、停止ボタン12の内蔵LEDをOFF状態にする。これにより、停止ボタンの内蔵LEDを停止操作有効報知態様の青色(ON状態)から停止操作無効報知態様の赤色(OFF状態)に変化する。
ステップS401の処理を実行したことに応じ、有効な停止ボタン操作か否かを判定する(ステップS402)。ここでは、停止ボタン12a〜12cのいずれか1つの停止ボタンに対し、有効な停止操作が行われたか否かを判定する。有効な停止操作でない場合(ステップS402:NO)、ステップS401の停止時エラーフラグ状態確認処理に戻る。回胴回転中にエラーが生じるケースとしては、全回胴が有効に回転された後(ステップS75の処理の後)または第1〜第2停止操作後(ステップ411:NOの処理ルート)からステップS402の処理が開始されるまでの間にエラーが確認されたケースがある。そのようなタイミングでエラーが生じた場合において、ステップS402で有効な停止ボタン操作でないと判定されると、エラーが解除されるまで、停止ボタン12の受付が無効扱いとなり、遊技の進行が中断されることになる。
一方、有効な停止操作である場合(ステップS402:YES)、次いで、停止情報ビットを設定する(ステップS403)。この停止情報ビットには、既に停止している停止回胴数を特定可能な「停止回胴数データ」(たとえば、第1停止操作時の場合、停止している回胴はないので‘停止回胴数=0’を特定するデータ)、停止操作対象となった回胴を特定可能な「停止対象回胴データ」などの情報が含まれる。
次いで、今回停止対象となった回胴に対応する停止ボタン12の内蔵LEDをOFF状態にし(ステップS404)、続いて、停止順データを設定する(ステップS405)。この停止順データは、停止操作に応じた回胴5a〜5cの停止操作順(押し順)を特定するためのデータである。現在の押し順や第何番目の停止操作であるかについては、停止順データや回胴停止数データなどにより把握することができる。したがって、ステップS403、S405の処理は、停止操作順番監視手段(押し順監視手段)として機能する。
次いで、停止ボタン操作時の演出制御コマンドとして「停止コマンド」をセットする(ステップS406)。この停止コマンドは、回胴の停止操作が行われた旨を指定するものであり、停止回胴数データ、停止対象回胴データおよび停止操作順データ等を特定可能な情報が含まれる。演出制御部410は、この停止コマンドにより、現在の押し順や第何番目の停止操作であるかを把握することができる。
次いで、回胴停止制御時の初期設定として、停止制御開始時初期設定処理を実行する(ステップS407)。ここでは、引き込みコマ数をクリア、最大滑りコマ数(4コマ)の設定、引き込み制御下で、停止ボタン操作後、回胴が完全に停止するのに要する余裕時間を含めた停止間隔タイマ(たとえば、210.09ms:タイマ割込み141回分)の設定等を行う。
次いで、図柄停止制御処理を実行する(ステップS408)。この図柄停止制御処理では、内部当選フラグ(条件装置の作動状態)と、停止操作手順(押し順と停止操作タイミング)とに応じた停止テーブル(図示せず)を選択し、その停止テーブルから滑りコマ数を割り出し、これに基づく回胴の停止制御(引き込み制御)を行う。
回胴が停止した際には、その停止位置に基づき、各回胴において、いずれの入賞ライン上に、如何なる図柄番号の図柄が停止しているかを特定可能な「停止図柄情報(入賞ラインデータ)」が作成され、メインRAM401bの入賞ラインデータ格納領域に保存される。この停止図柄情報(入賞ラインデータ)は、各回胴の停止毎に作成されるので、現在の図柄の停止目(たとえば、特定の入賞役の聴牌状態など)を把握することができる。この停止図柄情報は、1ゲーム毎にクリアされる。なお、回胴の停止位置は、実際に回胴が停止した際にも把握することができるが、停止操作図柄番号と滑りコマ数とに基づいて、回胴が完全に停止する前段階で、当該回胴の停止位置を把握することもできる。
次いで、回胴停止時の演出制御コマンドとして「停止位置コマンド」をセットする(ステップS409)。この「停止位置コマンド」には、回胴停止時に作成される上記停止図柄情報(入賞ラインデータ)が含まれる。演出制御部410においては、上記「停止コマンド」や「停止位置コマンド」が送られてくると、これらに含まれる情報を把握することにより、現在の各回胴の回転および停止状態、押し順、現在の入賞ライン(有効入賞ラインおよび/または疑似入賞ライン)上の停止図柄を把握することができる。これにより、演出制御部410側では、回胴の停止制御時に係る演出を現出させることができる。たとえば、停止操作時のボタン操作音や、7リプレイやBARリプレイの聴牌状態(特定の停止目が出現した旨)が出現した際の聴牌演出を現出制御する。
次いで、停止間隔タイマに設定したタイマ時間(210.09ms)を監視し(ステップS410)、停止間隔タイマがゼロでない場合、当該タイマがゼロになるまで待つ(ステップS410:NO)。そして、停止間隔タイマがゼロになったならば(ステップS410:YES)、次いで、全回胴が停止したか否か判定する(ステップS411)。
ステップS411の判定処理において、今回の停止操作が第1停止または第2停止後であれば、まだ回転中の回胴があることになるので、その判定結果は‘NO’となり、ステップS401に戻り、第3停止操作(最終停止操作)後の全回胴停止を待つことになる。
これらの第1〜第3停止操作を経て、全回胴が停止したならば(ステップS411:YES)、回胴停止処理を抜けて、図9のゲーム処理に戻り、後続の指示モニタ番号表示クリア処理(ステップS77)を実行する。
(2.主制御側タイマ割込処理:図18)
次に図18を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図18は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1.5ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図18において、主制御部400は、タイマ割り込みが発生すると、まずCPUのレジスタを退避させた後(ステップS181)、LEDデータの作成処理を実行する(ステップS182)。このLEDデータの作成処理では、クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35等の7セグメント表示器、投入枚数表示LED33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38、設定表示器(図示せず)等の表示を実現するために必要とされるLEDデータを作成する。
次いで、コマンド作成処理を実行する(ステップS183)。このコマンド作成処理では、処理状況に応じてセットされたコマンドデータを作成して送信キューにセットする。なお、セットされたコマンドは、後述する出力処理(S192)にて演出制御部410側に出力される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS184)。このポート入力処理では、遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出信号を受ける入力ポートのデータを取得し、スイッチ信号やセンサ信号の検出の有無に関するデータを作成したり、作成したスイッチデータをメインRAM401bに保存したりする等、遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出情報を管理する。
次いで、タイマ減算処理を実行する(ステップS185)。このタイマ減算処理では、遊技動作に用いられる各種のソフトウェアタイマを更新(減算)するための処理を実行する。たとえば、図12のステップS137の処理で初期設定された出力管理タイマは、この減算処理によって、ゼロになるまでデクリメントされる。
次いで、メダル払出処理を実行する(ステップS186)。このメダル払出処理は、クレジット精算の精算要求や入賞による払出要求に応じて、ホッパーユニット500のホッパーモータ510を駆動制御して、遊技メダルの払出動作を実現するために必要な処理を実行する。
次いで、投入/払出信号出力処理を実行する(ステップS187)。この投入/払出信号出力処理では、遊技メダルの投入枚数情報や払出枚数情報を作成し、これを遊技機外部のホールコンピュータHCに対して送信するために必要な設定を行う。
次いで、エラー解除判定処理を実行する(ステップS188)。このエラー解除判定処理では、上記入力管理処理の情報に基づいて遊技動作状態を監視し、遊技機の異常(遊技動作エラー)の有無を監視する。またエラー発生時に対応してエラーフラグを設定したり、エラーが解除されたか否かを判定し、エラーが解除された場合には、エラー解除をしたりする。また、エラー情報をホールコンピュータHCに対して送信するために必要な設定も行う。
次いで、メダル投入処理を実行する(ステップS189)。このメダル投入処理は、メダル投入口7からの遊技メダルの投入枚数、MAXスベットボタン8や1ベットボタン9の操作による投入枚数を管理したり、ブロッカーソレノイド7cのON/OFF制御、賭数や投入枚数に応じてクレジット値を更新したりする処理を実行する。
次いで、貯留メダルの精算処理を実行する(ステップS190)。この貯留メダル精算処理では、クレジット精算ボタン10の操作の有無を監視し、エラー中や遊技メダル投入中等以外のクレジット精算許容状態であれば、クレジット精算ボタン10の操作に応じて、クレジット精算要求をONにする。クレジット精算要求がONされると、上記メダル払出処理にて、払出動作が実行され、クレジットが精算される。
次いで、回胴制御処理を実行する(ステップS191)。この回胴制御処理では、回胴始動時や停止操作時において、回胴駆動モータに出力する励磁データを管理して回転動作を制御したり、現在の回胴の回転位置やその速度を監視したりする。
次いで、出力処理を実行する(ステップS192)。この出力処理では、遊技進行状態に応じてセットされた演出制御コマンドを演出制御部410側(演出制御基板420側)に対して送信するためのコマンド送信処理を実行する。主制御部400は、割り込み毎に演出制御コマンドを1バイト分出力している。1つの演出制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの演出制御コマンドが送信される。ステップS73やステップS87のART関連のコマンド設定処理でセットされた演出制御コマンドは、ここで送信される。またここでは、LED群や7セグメントなどを駆動制御するためのLED表示データや回胴駆動モータを駆動制御するための励磁データ等を遊技中継基板370や回胴中継基板330に対して出力するとともに、型式試験信号の出力処理も行う。
以上のステップS181〜ステップS192の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(ステップS193)、割込み許可状態に設定する。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を実行する。
<3.演出制御側の処理:図19>
次に、図19を参照して、本実施形態の演出制御部410側における演出制御処理について説明する。演出制御部410側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図19)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図20)とを含んで構成される。この演出制御側タイマ割込処理は、演出制御側メイン処理実行中に所定時間毎(1ms程度)に割り込んで実行され、演出動作に必要な種々の処理が含まれる。
なお演出制御部410の制御主体は、正確には演出制御基板420のサブCPU421cや液晶制御基板460のCPUなどを含んだものであるが、主制御部410から演出制御コマンドを受けた演出制御基板420(サブCPU421c)側が、これに関連する液晶制御コマンドを液晶制御基板460に送信する関係上、以下では、演出制御基板420が行う処理手順を中心に説明し、演出制御基板420の機能と液晶制御基板460の機能とを特に必要がない限り区別することなく、処理を実行する主体を演出制御部410として説明する。またCPU、RAM、ROMは、演出制御基板420のサブCPU421c、サブRAM421b、サブROM421aなどで代表させる。
(3−1.演出制御側メイン処理:図19)
図19は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部410は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図17に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部410は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS21)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS21の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS23〜S28のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS29の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS22の処理において、演出制御部410は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS22)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図20のステップS46)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS22:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS29:各種演出用ソフト乱数更新処理)。演出抽選用乱数は、AT抽選、予告演出、期待演出、アシスト報知、上乗せ抽選など、演出制御部410側による所定の抽選や現出すべき演出を抽選により決定する場合に利用され、抽選態様に対応した複数種類の演出抽選用乱数が含まれる。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS22:YES)、演出制御部410は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS23)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。
たとえば、指示モニタ番号コマンドと当選役変換情報コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、このコマンドに含まれるアシスト情報と当選役情報と現在の演出制御部遊技状態(演出状態)とに基づいて、演出パターンとして、今回のゲームで現出すべきアシスト報知態様に係る光演出、音演出、および画像表示演出などを決定して、これら演出パターンを、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定する。これにより、今回ゲーム中に現出するための演出シナリオを構成して、その演出シナリオに関するデータをRAMのシナリオ設定領域に格納する。なお、遊技者参加型演出(ボタン予告演出など)の場合は、操作手段の操作に応じて、対応するパーツ演出を変更して、適宜、演出シナリオの構成を変更、再構築する。
ステップS23の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS24)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS25)や演出役物制御データ更新処理(ステップS27)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、演出シナリオを進行させる処理を行い、必要であれば、スピーカ16用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドを作成し、それぞれをサブRAM401bの指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS25)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ27)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS25)。このLEDデータ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、サブRAM401bの指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図20のステップS45)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS26)。このサウンド出力処理では、ステップS24のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部を通じてスピーカ16からBGMや効果音などを出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS27)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物(図示せず)を動作させる役物モータ用の制御データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図20のステップS44)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS28)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップ29の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(3−2.演出制御側タイマ割込処理:図20)
次に図20を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図20は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図20において、演出制御部410(サブCPU421c)は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS41)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS42)。この演出ボタン入力管理処理では、演出ボタン(図示せず)からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をサブRAMの所定領域に格納する。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS43)。この液晶コマンド送信処理では、図19の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS24)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置6に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS44)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS27)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ(図示せず)に制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS45)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS25)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS46)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS41〜ステップS46の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS47)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
(3−3.受信コマンド解析処理:図21)
図21に、受信コマンド解析処理(図19のステップS23)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示す。ここでは、図10BのステップS73や図10CのステップS87で設定される演出制御コマンド(ART関連演出制御コマンド)を受信した場合についてそれぞれ説明し、他の演出制御コマンドを受信した場合の説明は省略する。
(ART関連演出制御コマンド受信処理:図21)
図21は、上記ART関連演出制御コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。
図21において、演出制御部410(サブCPU421c)は、まず、ART関連選抜処理を実行する(ステップS780)。このART関連選抜処理では、複数送られてくるART関連演出制御コマンド内容を解析してその情報を取得し、当該コマンドに含まれる情報のうち、現在の演出モードにおいて必要な情報だけを選抜して、これをサブRAM401bの所定領域に格納する。すなわち、現在の演出モードにおいて不必要な情報は除外し、必要な情報だけを抽出する。
次いで、現在の演出モードに基づき、サブRAM401bから必要な情報を取得して、その情報に基づく演出処理を行う(ステップS781)。これにより、上記ART関連演出制御コマンドに含まれる情報が、現在の演出モードあるいは現在の遊技状態(遊技モード)に不必要な情報があっても、また演出処理上不必要な情報が含まれていた場合であっても、現在の演出モードに対応した適切な演出を現出することができる。以上により、ART関連演出制御コマンド受信処理を終える。
以上に説明した実施形態によれば、制御負担を軽減または抽選処理に関する乱数値に関し、いわゆるランダム性を担保することができる。また本発明は回胴式遊技機に限らず、その他の遊技機にも適用することができる。