以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<機械的構成:図1A〜図1B>
本発明の一実施形態に係る遊技機として、回胴式遊技機を例にとり説明する。図1Aは、本実施形態に係る回胴式遊技機の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係る回胴式遊技機は、遊技機本体として、図1Aに示すように、遊技に供する各種遊技部品を収納するための遊技機筐体1と、遊技機筐体1の前面側に開閉自在に取り付けられた前扉2とを備えている。前扉2には、そのほぼ中央に第1の表示窓3が、またその上側に第2の表示窓4が設けられている。
下側の第1の表示窓3は回胴視認部であり、回胴装置210の横並びに3個配設された回胴5a、5b、5c(以下、必要に応じて、回胴5aを「左回胴5a」、回胴5bを「中回胴5b」、回胴5cを「右回胴5c」と称する)が、この回胴視認部3に臨ませて、遊技者側から視認しうるように設けられている。本実施形態では、回胴視認部3を介して、各々3個程度(計9つ程度)の図柄が視認可能となっている。
回胴5a、5b、5cは、その外周に複数種類の図柄が表示された図柄配列帯を有しており、各回胴5a、5b、5cの停止時の図柄の組合せによって遊技結果が導出表示する回胴装置210(遊技結果表示手段)を構成している。また各回胴5a、5b、5cには、回胴視認部3に表示される各図柄を回胴の内側から照射する図柄照射用バックライトLED(バックライト手段)が形成されている。図柄照射用バックライトLEDは、回胴視認部3に表示される各図柄が遊技者から視認し易くする機能の他、遊技に関する演出(たとえば、当選役情報、入賞役情報、AT抽選結果情報、上乗せ抽選結果情報など)を現出するための演出手段としても機能する。
<図柄配列帯200:図3>
図3は、各回胴5a、5b、5cが有する図柄配列帯200を例示したものである。図示の「1ST」図柄配列帯は左回胴5aに、「2ND」図柄配列帯は中回胴5bに、「3RD」図柄配列帯は右回胴5cに対応している。
図柄配列帯200には、当選役(役に関する内部抽選(役抽選)により決定される役)に対応する図柄の組合せを構成するための図柄(構成要素図柄)が表示されている。この実施形態の場合、図示のように、図柄種として、上弾、下弾、赤7、BAR、リプレイ、ベルA、ベルB、スイカA、スイカB、チェリーなどの複数種類の図柄が設けられている。これらの図柄が回胴の回転方向に計20コマ配置され、図柄の並び順に沿って図柄番号0番〜19番のコマ番号が割り当てられている。
各回胴5a、5b、5cは、それぞれパルスモータからなる回胴駆動モータ211a、211b、211c(図4参照)により回転駆動され、各図柄の変動表示動作(変動表示および停止表示)が実現される。なお、回胴は、電気的駆動源により回転動作が制御されるような機械的な回胴に限らず、液晶表示装置などの画像表示装置に表示され、その画像表示により、図柄の変動表示動作を実行可能なものであってもよい。また、回胴数は適宜変更することができる。
回胴視認部3には、ここを斜めに横断する形で、入賞ライン3aが定められている。入賞ラインは、単位遊技(1ゲーム)に対する所定の賭数(ベット(BET)数)が設定されると有効として扱われる(本実施形態の場合、右下りラインの1ラインが有効となる)。この有効とされた入賞ライン(以下、「有効入賞ライン」と称する)上に、当選役に対応する図柄の組合せが停止した場合(図柄の組合せについて遊技価値を獲得するために必要な組合せとしてあらかじめ定められたものが遊技結果として導出表示された場合)、その図柄の組合せに応じた遊技価値が遊技者に付与されるようになっている。なお、入賞ラインを複数本設ける場合には、単位遊技(1ゲーム)に対するベット数に応じて有効として扱われるライン数を変化させることができる。また入賞ライン3aの本数やそのライン形態は適宜変更することができる。
また回胴視認部3の上側に設けられた第2の表示窓4は液晶画面視認部であり、前扉2の裏側に装着された画像表示装置としての液晶表示装置6(LCDユニット)の表示画面(液晶画面)6aが液晶画面視認部4に臨ませて、遊技者側から視認可能に配設されている。この液晶表示装置6は、演出を画像により表示する画像表示手段として働く。
回胴視認部3の下方の段部には、遊技メダルを投入するためのメダル投入口7、クレジット手段にクレジットされた範囲内(最大クレジット枚数:たとえば、50枚)において、1ゲームに対して許容される賭数の上限値(最大ベット数:たとえば、3枚)まで遊技メダルを一度に疑似投入しうるMAXベットボタン8、押した回数に応じて上記賭数の上限値まで遊技メダルを加算的に疑似投入しうる1ベットボタン9、クレジット精算を行うためのクレジット精算ボタン10などが設けられている。またMAXベットボタン8の内部には、MAXベットボタン8の操作が許容状態であるか否かを報知するためのMAXベットLED39(図4参照)が内蔵されている。なお、上記クレジット手段とは、遊技機に投入された遊技メダル、または入賞によって獲得した遊技メダルを所定の上限数(最大クレジット枚数:たとえば、50枚)まで貯留して、その貯留数(クレジット枚数)を電磁的方法によって記憶可能とする機能部(貯留装置)を意味する。
また回胴視認部3の上記段部の下側には、横長状に形成された操作パネル部14が設けられている。この操作パネル部14には、メダル投入口7内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン15、回胴5a、5b、5cの回転を開始させるための始動レバー11、各回胴5a、5b、5cの回転を個別に停止させるための3個の停止ボタン12a、12b、12c(左回胴停止ボタン12a、中回胴停止ボタン12b、右回胴停止ボタン12c)が設けられている。本明細書中では、特に必要のない限り、停止ボタン12a、12b、12cを「停止ボタン12」と略称する。
前扉2の裏面側のメダル投入口7に対応する位置には、メダルセレクタが設けられている。このメダルセレクタには、投入された遊技メダルを検出するメダル検出センサ7aと、投入された遊技メダルをホッパーユニット500側に誘導する受入通路側またはメダル受け皿18側に誘導する返却通路側に誘導する、ブロッカーソレノイド7c(図4参照)による通路切換機構が形成されている。
また回胴視認部3の下部側には、横長状に形成された遊技パネル77が設けられている。この遊技パネル77の内側には、遊技者に対し、現在の遊技進行具合・遊技状況を報知するための各種の表示部が配設されている。図2に、遊技パネル77における各種の表示部を示す。
遊技パネル77には、
(a)遊技メダルの投入枚数(現在の賭数)を報知する「投入枚数表示部(投入枚数表示LED31、32、33)」、
(b)クレジット枚数を表示する「クレジット枚数表示器(クレジット枚数表示部)34」、
(c)遊技結果(入賞)に応じて払い出される遊技メダルの枚数を報知する「払出枚数表示器(払出枚数表示部)35」、
(d)遊技メダルの投入が受付可能状態であるか否かを報知する「メダル投入表示LED36(メダル投入表示部)」、
(e)再遊技が作動中(再遊技中)であるか否かを報知する「再遊技作動LED(再遊技作動表示部)37」
(f)始動レバー11の操作が有効(遊技開始可能状態(回胴始動可能状態))であるか否かを報知する「遊技開始表示LED(遊技開始表示部)38」等の表示部が設けられている。
クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35は、7セグメント表示器により現在のクレジット枚数情報や遊技結果に応じた払い出し枚数情報を報知可能に構成されている。また、投入枚数表示LED33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38などは、その内蔵LEDの発光態様(消灯・点灯(点滅)、発光色など)により、現在の投入枚数、遊技メダルの投入が受付可能か否か、再遊技が作動中であるか否かの遊技状況を報知可能に構成されている。詳細は後述するが、払出枚数表示器35は、アシスト情報を報知するための主報知手段として機能する。
また操作パネル部14の下方には、色彩や文字や絵柄が施された装飾パネル部17が設けられ、この装飾パネル部17の下方には、前扉2と一体的に装着された横長状のメダル受け皿18が設けられている。このメダル受け皿18の遊技機本体側には、ホッパーユニット500(図4参照)から払い出された遊技メダルや返却された遊技メダルをメダル受け皿18側に排出するためのメダル払出口19が開口している。
また図1Bに示すように、前扉2の裏面側のメダル投入口7に対応する位置には、メダル投入口7に投入されたメダルが正規か否かを選別して、正規の遊技メダルをホッパータンク14に導くメダルセレクタ43が配設されている。このメダルセレクタ43には、投入された遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a(図4参照)が形成されている。
メダルセレクタ43によって選別された遊技メダルが正規のものである場合、遊技メダルはメダルセレクタ43の内部通路52の正メダル出口55を通り、スロープ樋48からなるメダル受入通路61を通って、ホッパーユニット500(メダル排出機構を有する遊技メダル払出装置)が備えるホッパータンク14に誘導され、それ以外の遊技メダルである場合には、キャンセルシュータ44とメダル返却樋45からなるメダル返却通路71を通ってメダル払出口19に誘導されるようになっている。すなわち、このメダルセレクタ43は、メダル投入口7から投入されたメダルの案内経路(内部通路52)を、遊技機内部(ホッパーユニット500側)に受け入れるメダル受入通路61側とメダル返却通路71側とに切り換えるブロッカーソレノイド7c(図4参照)による通路切換機構を備えている。また、メダル返却樋45の下部(共用通路部分73)は、ホッパーユニット500のメダル排出口57から払い出された遊技メダルを、メダル受け皿18に誘導する機能も有している。
上記のホッパーユニット500は、外部から投入された遊技メダルを貯留するホッパータンク(メダルホッパー)14と、本体17とを中心に構成され、周知のために詳細は省略するが、ホッパータンク14に貯留された遊技メダルを所定の回転動作により捕捉して排出するメダル排出機構(たとえば、捕捉した遊技メダルをスプリングによる付勢を利用してメダル排出口57に向けて弾きだす弾発式メダル排出機構)を備える排出用ディスクなどを備えている。
また回胴視認部3の左右両側には、装飾ランプ13(光演出手段)が設けられている。この装飾ランプ13は、フルカラーLEDやELランプなどの発光手段を内蔵し、その発光態様(発光色や発光パターン)により、遊技に関する光演出効果を発揮する。また前扉2の前扉上部両側と前扉下部両側には、複数のスピーカ16(上部右スピーカ、上部左スピーカ、下部右スピーカ、下部左スピーカ)が設けられている。スピーカ16(音演出手段(音出力手段))は、遊技に関する音楽や効果音を出力して、遊技に関する音演出効果を発揮する。なお図示はしていないが、遊技機の適所に、遊技者が操作可能な「演出ボタン(演出用操作手段)」が設けられている。この演出ボタンは、その操作の前後で、特定の演出(遊技者参加型演出に変化をもたらすために利用される。
本発明における演出手段については、視覚、聴覚、触覚など、人間の五感を刺激することにより演出効果を発揮可能な手段であれば良く、装飾ランプ13やLED、図柄照射用バックライトLEDなどの光発生手段、演出表示装置、スピーカ16などの音響発生装置、遊技者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、または可動体役物などはその代表例である。なお上記演出表示装置とは、画像表示装置と同じく、視覚に訴える表示装置を意味するが、画像によらないもの(たとえば、7セグメントによる表示装置)も含む点で画像表示装置とは異なる。液晶表示装置6は画像表示装置の代表例であるが、画像表示装置の場合は主として画像表示により演出を表現するタイプを指し、7セグメントの表示装置のように画像以外の表示により演出を表現するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<制御装置:図4>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置について説明する。図4は、遊技動作制御を行うための制御装置の構成の概要を示す制御ブロック図である。なお、図1A、図1Bと同じ構成要素には同じ参照番号を付してある。
本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置は、遊技動作制御全般を司る主制御基板400(以下、「主制御部400」と称する)と、主制御部400から演出制御コマンドを受けて、演出動作制御(演出手段に対する演出制御)全般を司る演出制御部410と、外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する不図示の電源基板(電源制御手段)とを中心に構成される。演出制御部410は、演出制御基板420と液晶制御基板460とを含んで構成され、液晶制御基板460には液晶表示装置6が接続されている。なお、図4において電源供給ルートは省略してある。
(主制御部400)
主制御部400は、CPU(メインCPU401c)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM(メインROM401a)と、RAM(メインRAM401b)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
メインROM401aは、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に要する各種データ、たとえば、回胴の停止制御用データを定めた「停止テーブル(図示せず)」、内部抽選用データを定めた「役抽選テーブル(図5A、図5B)」、AT抽選に関するデータを定めた「AT抽選テーブル(図19)」、フリーズ演出抽選に関するデータを定めた「フリーズ演出抽選テーブル(図20)」、役抽選結果に基づいて設定される各種データ(当選番号情報、小役当選情報、当選役変換情報、指示モニタ番号、役グループ番号等:後述の図22A、図22B参照)、内部当選フラグを設定するための「当選フラグ設定テーブル(図示せず)」などの遊技動作制御に必要な種々のデータ群が格納されている。
またメインRAM401bは、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、メインCPU401cが上記遊技動作制御プログラムを実行していく際に、遊技の進行に伴い生成される遊技データが処理状態に応じて格納され利用される。この遊技データには、たとえば、内部抽選に利用される内部抽選用乱数値、内部抽選結果情報(当選役情報(当選番号情報))、現在の遊技状態情報、フリーズ演出抽選結果情報、AT抽選結果情報、遊技結果情報(停止図柄情報(入賞役情報)、小役当選情報、当選役変換情報、指示モニタ番号、役グループ番号、遊技動作用タイマ、賭数設定情報(遊技メダル投入枚数)、クレジット枚数情報、払出枚数情報など、遊技の進行に必要な種々のデータが含まれ、メインRAM401bにはこれら遊技データを保存するための設定領域が設けられている(たとえば、図23(A)のワークエリア参照)。
また図示はしていないが、主制御部400は、各種デバイスの入出力を制御するためのI/Oポート回路、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込コントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビットカウンタ)なども備えている。
本実施形態では、CTCを利用して、メインCPU401cに1.5ms程度の時間間隔でタイマ割込み(図16参照)をかけている。またカウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。メインCPU401cは、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値として取得し、その乱数値を内部抽選(役抽選)に利用する。なお、内部抽選用乱数は、狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。また、後述のAT抽選(図19)やフリーズ演出抽選(図20)では、適宜なソフトウェア処理によるソフト乱数を利用している。
主制御部400には、遊技中継基板370を介して、メダル投入口7からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a、MAXベットボタン8の操作を検出するMAXベットスイッチ8a、1ベットボタン9の操作を検出する1ベットスイッチ9a、クレジット精算ボタン10の操作を検出するクレジット精算スイッチ10a、始動レバー11の操作を検出する始動スイッチ11a、各停止ボタンの操作をそれぞれ検出する停止スイッチ12a’、12b’、12c’を搭載した停止スイッチ基板360などが接続され、主制御部400はこれらからの検出信号を受信可能となっている。また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、ブロッカーソレノイド7cが接続され、主制御部400は、ブロッカーソレノイド7cに対してソレノイド制御用の励磁信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、遊技表示基板390が接続されている。この遊技表示基板390には、LED表示器である、投入枚数表示LED31〜33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38、MAXベットLED39などが搭載され、また7セグメント表示器である、クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35などが搭載されており、主制御部400は、これら表示器を発光制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、回胴中継基板330を介して、回胴装置210の回胴5a、5b、5cを回転駆動するための回胴駆動モータ211a、211b、211cが接続され、主制御部400は、これら回胴駆動モータを駆動させるための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、回胴中継基板330を介して、各回胴5a、5b、5cの回転位置(基点からの現在位置)や回胴の回転状態を検出するための回胴位置検出センサ(インデックスセンサ)212a、212b、212cが接続され、主制御部400は、これら回胴位置検出センサからの検出信号を受信可能となっている。主制御部400は、回胴位置検出センサからの検出信号に基づき、各回胴の現在位置や回転状態を把握可能となっている。
また主制御部400には、払出中継基板350を介して、ホッパーユニット500が接続されている。ホッパーユニット500には、上記排出用ディスクを駆動するためのホッパーモータ510と、ホッパーモータ510の動作を制御する払出制御基板450と、メダル受け皿18に向けて排出される遊技メダルを検出するためのメダル払出センサ520とが設けられている。
主制御部400は、遊技メダルの払い出しが必要な場合、払出制御基板450に対して払出枚数を指定する「払出制御コマンド」を送信し、払出制御基板450は、当該払出制御コマンドを受信すると、ホッパーモータ510を駆動制御して、指定された枚数分の遊技メダルを1枚ずつ払い出すようになっている。払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ520により検出され、その検出信号は主制御部400に入力される。主制御部400は、メダル払出センサ520からの検出信号に基づいて、払い出し枚数や、遊技メダルの払い出し状態を監視する。
また主制御部400には、払出中継基板350を介して、満杯検知金具600が接続されている。この満杯検知金具600は、ホッパーユニット500から溢れた余剰の遊技メダル貯留する補助タンク(図示せず)の満杯状態(オーバーフロー異常)であるか否かを検出する。主制御部400は、満杯検知金具600からの検出信号に基づき、遊技機内部の遊技メダルが満杯状態である否かを監視する。
また主制御部400には、外部集中端子基板310が接続されている。主制御部400は、この外部集中端子基板310を介して、遊技機外部のホールコンピュータHCに対し、所定の遊技情報(たとえば、ゲーム開始情報、遊技メダルの投入・払出枚数情報、入賞の発生情報、ボーナス遊技発生情報など)を送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、主制御部400から送られてくる遊技情報に基づき、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理する。
主制御部400は、保安電子通信技術協会(保通協)で実施される型式試験に対応して、遊技動作をリアルタイムに特定する型式試験信号を外部集中端子基板310から出力可能な構成となっている(後述の図11の条件装置信号出力処理(ステップS107)、図12参照)。なお、型式試験に適合した遊技機をパチンコホールに設置する際には、その適合した制御プログラムの変更は一切認められていない。このため、パチンコホールに設置後も型式試験信号が繰り返し出力されることになる。
また主制御部400には、回胴設定基板430が接続され、回胴設定基板430からの検出信号を受信可能となっている。回胴設定基板430には、図示はしていないが、所定の動作エラーを解除するためのリセットスイッチ、設定値を変更するための設定変更スイッチ、その設定変更スイッチを有効化するための設定キースイッチなどが搭載され、回胴設定基板430は、これらスイッチが操作されたことによる検出信号を主制御部400に送信可能となっている。
上記「設定値」とは、遊技者に付与する利益の期待値(所謂、機械割やPAYOUT率(出玉率))を段階別(たとえば、設定1〜6の6段階)に規定するものであり、専ら、ホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員により適宜設定される。本実施形態では、設定値1〜6の順で機械割(出玉率)が高くなるように定められており、設定値が高くなるほど、遊技機で実行される所定の抽選が優遇されるようになっている。たとえば、設定値が高くなるほど、1または複数種類の特定の抽選対象役(たとえば、BB1やBB2など))の内部抽選確率(図5A、図5B)が相対的に高確率に設定されて、遊技者に及ぼす利益度合いが有利に作用するようになっている。
また主制御部400には、演出I/F基板340を介して、演出制御部410(演出制御手段)が接続されている。この演出制御部410は、演出制御基板420と液晶制御基板460とを中心に構成され、主制御部400には、演出制御基板420が接続されており、液晶制御基板460には演出制御基板420が接続されている。
演出制御基板420の主な役割は、主制御部400からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の決定、液晶制御基板460への液晶制御コマンドの送信、スピーカ16の音制御、装飾ランプ13や各種演出用LEDの発光制御、可動体役物(図示せず)の動作制御などである。また液晶制御基板460の主な役割は、演出制御基板420からの液晶制御コマンドの受信、液晶制御コマンドに基づく液晶表示装置6の画像表示演出の現出制御などである。
主制御部400は、処理状態に応じて遊技に関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、ゴト行為を防止するために、主制御部400は演出制御部410(演出制御基板420)に対して信号を送信するのみで、演出制御部420からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(演出制御部410(演出制御基板420、液晶制御基板460))
次に、演出制御部410を構成する演出制御基板420について説明する。演出制御基板420は、CPU(サブCPU421c)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM(サブROM421a)と、RAM(サブRAM421b)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成されている。
サブROM421aは、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またサブRAM421bは、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。
また図示はしていないが、演出制御基板420は、各種デバイスの入出力を制御するためのI/Oポート回路、タイマ割込/割込禁止機能などを備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビットカウンタ)なども備えている。サブCPU421cは、処理状態に応じて、乱数生成回路が示している数値を演出抽選用乱数値として取得し、その乱数値を、演出を選択するための演出抽選に利用する。
また演出制御基板420には、主制御部400からの演出制御コマンドを受けて、音による演出を実現するために、スピーカ16に対する音声再生動作(音演出動作)を統括的に制御する音源IC99(音演出制御手段)と、音演出(たとえば、後述の遊技演出音や払出演出音)を実現するための音データが記憶された音データROM(サウンドROM(音データ記憶手段))97とが搭載され、音源IC99には、演出I/F基板340を介して、音出力手段として機能する4つのスピーカ16が接続されている。音データROM97の音データには、各スピーカ16から出力される効果音や音声の音演出態様(音量レベル、音色、エフェクト、定位など)を特定可能なデータが含まれる。音源IC99は、サブCPU421cからの命令に応じて、音データROM97から現出すべき音演出の音声データを取得してデコードして所望の音声信号を生成してアンプに出力し、スピーカ16から出力される音演出を制御する。音源IC99による音演出制御処理により、音演出に関するモノラル再生やステレオ再生も実現可能となっている。
また演出制御基板420には、図示はしていないが、音演出の他、演出制御コマンドを受けて、光または可動体役物による演出を現出するために、装飾ランプ13や演出用LEDを含む光表示装置に対する光表示制御部、可動体役物を動作させるための可動体役物モータに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。演出制御基板420は、これら制御部に対し、演出手段を制御するための制御信号を送信可能となっている。
また演出制御基板420には、演出ボタンの操作を検出するための演出ボタン用スイッチ(図示せず)が接続され、演出制御基板420は、演出ボタンからの操作検出信号を受信可能となっている。
また演出制御基板420の割込端子INT(図示せず)は、コマンド伝送ラインのうち、主制御部400側がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU421cは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またサブCPU421cは、メインCPU401cとは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、メインCPU401c(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部410(演出制御基板420)にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、サブCPU421c(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、メインCPU401cによりアクティブ状態に制御される。また液晶制御コマンドの送信に際しては、演出制御基板420は割り込み用ストローブ信号を発生し、液晶制御基板460にMODE信号とEVENT信号とで構成される2バイト長の液晶制御コマンドを前後して送信する。
次に、演出制御部410を構成する液晶制御基板460について説明する。液晶制御基板460は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROM(CGROM)と、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAMと、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力するCPU(液晶制御CPU)と、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラム(たとえば、アニメーションによる演出表示を実現するための画像表示順序や表示時間などの描画処理手順に関するプログラムなど)を格納するROM(液晶制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM(液晶制御RAM)などを中心に構成されている。
演出の現出制御については、演出制御基板420(演出制御CPU)が主制御部400から送られてくる所定の演出制御コマンドに基づき、現出すべき演出シナリオ(たとえば、後述の図25(A)に示す演出シナリオ1〜7)を選択的にあるいは一意に決定し、その演出シナリオに従い、効果音や光演出の発生が必要なタイミングで音源IC99や光表示装置に対し専用の制御信号を送信し、また液晶表示装置6に表示する画像再生が必要なタイミングで、液晶制御コマンドを液晶制御基板460に対し送信する。液晶制御基板460は、上記液晶制御コマンドを受けて、液晶表示装置6に対する表示駆動信号を生成して、液晶表示装置6による画像表示演出を現出制御する。上記演出シナリオは、複数種類の演出パターン(後述の図25(B)に示すメインシナリオ1〜7)を含んで構成される広義の意味での演出であり、個々の演出パターンは、演出シナリオを構成する一要素(パーツ演出)として機能する。これにより、演出シナリオに沿った、画像表示演出(演出画像表示)、音演出(音の再生)、光演出(LED・ランプ等の点滅点灯駆動)、可動体演出(役物の動作)が実現され、種々の演出パターンが次々に、あるいは複数同時に展開されることにより、目的とする演出が現出されることになる。
また演出制御基板420は、主制御部400からの、現在の遊技状態(主制御部側で管理される遊技状態)を指定するコマンドや、遊技状態移行を指定するコマンドを受けて、複数種類の演出状態(演出モード)間を移行制御可能な構成となっている。詳しくは、演出制御基板420は、遊技状態に関連した演出モードを管理する演出状態管理手段を有し、演出状態管理手段は、上記特定の演出制御コマンドに含まれる情報から主制御部400側で管理される各種の遊技状態、たとえば、後述の初期遊技、準備ART遊技、本ART遊技、BB内部当選遊技、ボーナス遊技中などを把握し、主制御部側の遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モードのうちから現在の遊技状態に対応した演出モードに移行制御し、遊技状態に関連した適切な演出を現出させるようになっている。
上記演出には、遊技に係る種々の演出態様が含まれる。たとえば、役の当選可能性(当選期待度)を報知する予告演出や、AT抽選や特別役(BB1、BB2)の当選可能性を報知するバトル演出など、1ゲーム中に展開される演出態様(ゲーム中演出)はその代表例である。斯様なゲーム中演出は、演出制御部410側にて、ゲーム開始時に(回胴始動前に)、現在の遊技状態(演出状態)と当選役情報(本実施形態の場合、後述の役グループ番号)とに基づいて、複数種類の演出シナリオのうちからいずれかの演出シナリオが選択的に決定される。具体的には、図25に示す「演出シナリオ設定テーブル」に基づき決定される。
(演出シナリオ設定テーブル:図25)
図25(A)に、本実施形態に係る「演出シナリオ設定テーブル」を例示する。演出シナリオ設定テーブルには、1ゲーム分の演出シナリオとして、遊技の進行に伴い、現出すべき演出内容が定められた演出シナリオが複数種類設けられており、いずれの演出シナリオに決定するかは、現在の遊技状態(演出状態)と当選役とに基づいて、抽選により選択されるようになっている。
上記演出シナリオには、具体的には、「始動レバー11操作時(図示のレバーON時)」、「回胴回転開始時」、「回胴の第1停止操作時(図示の「第1停止」)」、「回胴の第2停止操作時(図示の「第2停止」)」、「回胴の第3停止操作(最終停止操作)に係る停止ボタン押下(ON操作)時(図示の「第3停止ON時」)」、「回胴の第3停止操作に係る停止ボタン釈放(OFF操作)時(図示の「第3停止OFF時」)」、「次ゲームの賭数設定時(図示の「BET時」)」といった、遊技の進行させる各操作手段(始動レバー11、停止ボタン12等)の操作タイミングや回胴回転開始時などの所定のタイミングを契機に現出すべき演出内容(光演出、音演出(遊技演出音(効果音、BGM等))、画像表示演出、可動体役物による可動体演出)が定められており、全体として1ゲーム分の演出シナリオを構成している。したがって、個々のタイミングに対応する演出(メインシナリオ)は、演出シナリオを構成するパーツ演出としての役割を果たす。なお、図示の演出シナリオ1〜7は、演出シナリオの一部を例示したものであり、実際には、遊技状態と当選役情報とに応じて、数百〜数千種類もの演出シナリオが用意されており、同じ当選役であっても、遊技状態に応じて異なる演出態様(たとえば、光演出、音演出、画像表示演出および可動体演出のうち少なくともいずれか1つによる演出態様)が現出されうる。たとえば、強チャンスが当選した場合、遊技状態に応じて、異なる演出シナリオが選択され、これにより異なる遊技音演出、光演出または画像表示演出等が現出される。
また図25(B)は、メインシナリオの演出内容の説明に供する説明図である。また図25(C)、(D)は、メインシナリオの具体的な演出デバイス(演出手段)の動作内容(サブシナリオ)を定めた「メインシナリオテーブル」を示したものであり、ここでは代表的に、メインシナリオ2と、メインシナリオ5を例示してある。なお、液晶表示装置6による画像表示演出については図示を省略してある。また、図示の「フレーム(time)」の値は、メインシナリオの開始時から16msごとの処理で行われるシナリオ更新処理(図17AのステップS24参照)で管理されるタイマ値である。したがって、図示の「フレーム(time)」の値に16msを乗算した値が、演出時間幅として規定される。また、演出デバイスの動作は、1行目から開始され、1行目に対応するフレーム(time)時間が経過すると、次の行へ進むことになる。すなわち、各行のフレーム(time)値は、その行で指定される演出デバイスの動作の終了タイミングを示している。
次に、代表的に図25(C)を参照して、メインシナリオ2(0x0001)に係る演出デバイスの動作内容について説明する。
図25(C)において、まず1行目で指定される内容は、ゲーム開始時から100×16msの演出時間幅(フレーム(time))で展開される演出内容であり、装飾ランプ13に対しLEDパターン1(たとえば、左右装飾ランプ低速点滅指定)で発光制御する、可動体役物(不図示)に対し駆動パターン1(たとえば、ガタガタ振動させる)で動作制御する、スピーカ16に対し効果音1(たとえば、航空機が飛行中のエンジン音を出力する)を出力制御する、という演出内容が定められている。
次いで、1行目で指定された100×16msが経過すると、2行目の動作が指定され、ここには、300×16msの演出時間幅で展開される演出内容として、装飾ランプ13に対しLEDパターン2(たとえば、右装飾ランプ低速点滅指定)で発光制御する、演出ボタンの操作を受付可能にして操作時には所定の演出実行する、という内容が定められている。
次いで、2行目で指定された300×16msが経過すると、3行目の動作が指定され、ここには、100×16msの演出時間幅で展開される演出内容として、装飾ランプ13に対しLEDパターン3(たとえば、右装飾ランプ高速点滅指定)で発光制御する、という内容が定められている。
(演出シナリオの具体例)
図25(A)に示す「演出シナリオ設定テーブル」に基づき選択された演出シナリオは、具体的には、遊技進行に伴い、次のように展開される。ここでは代表的に、「演出シナリオ1」が選択されたケースを例にとって説明する。なお、演出デバイスの動作内容については、上述した通りであり、重複記載を避けるために省略する。
図25(A)(B)を参照して、演出シナリオ1では、遊技者が始動レバー11の操作を契機として、メインシナリオ2「0x0001」(レバーON時)が開始される。このメインシナリオ2では、敵戦闘機が出現する様を表現した画像表示演出が現出されるとともに、メインシナリオ2で指定される他の演出手段による演出(光演出、音演出、可動体演出等)が現出される(たとえば、光演出として左右装飾ランプが低速で点滅し、可動体演出として、可動体役物がガタガタ振動し、音演出として、航空機が飛行中のエンジン音がスピーカ16から出力される)。次いで、回胴が通常回転始動するが(ここではフリーズは考慮しないものとする)、メインシナリオ1「0x0000」であるので、レバーON時のメインシナリオ2「0x0001」が、第1停止操作があるまで継続再生される。
次いで、遊技者による第1停止操作を契機として、メインシナリオ3「0x0002」(第1停止)が開始される。このメインシナリオ3では、味方機がAAM(空対空ミサイル)を敵機に向けて発射する様を表現した画像表示演出が現出されるとともに、メインシナリオ3で指定される他の演出が現出される(たとえば、光演出として左右装飾ランプが白色で発光し、音演出としてミサイル噴射音がスピーカ16から出力される)。次いで、遊技者による第2停止操作および第3停止操作(ON操作)が行われるが、いずれもメインシナリオ1「0x0000」であるので、第1停止操作時のメインシナリオ3「0x0002」が、第3停止操作のOFF操作があるまで継続再生される。
次いで、第3停止操作のOFF操作が行われたことを契機として、メインシナリオ6「0x0005」(第3停止(OFF時))が開始される。このメインシナリオ6では、敵機にミサイルが命中して撃墜した様を表現した画像表示演出が現出されるとともに、メインシナリオ6で指定される他の演出が現出される(たとえば、光演出として左右装飾ランプがカラフルに発光し、音演出として爆発炎上音がスピーカ16から出力される)。これにより、1ゲーム中に展開される演出態様(ゲーム中演出)が終了されることになる。
(遊技動作の概要)
次に、遊技動作の概要を説明する。主制御部400は、所定の遊技開始条件の下、始動レバー11の操作を検出したことを契機に役抽選(内部抽選)を実行し、回胴の回転制御を実行する。詳しくは、主制御部400は、メダル投入信号(メダル検出センサ7a、MAXベットスイッチ8a、または1ベットスイッチ9aからの検出信号)に基づき、遊技開始可能となる規定枚数(たとえば、3枚)の遊技メダルが投入されたか否かを監視し、当該規定枚数の投入を確認すると、始動スイッチ11aからの操作信号の入力受付を有効化、つまり「遊技開始可能状態」に設定する。この遊技開始可能状態下で、始動スイッチ11aからの操作信号の入力を確認した場合、上記内部抽選用乱数値と図4A〜図4Bに示す「役抽選テーブル」とに基づいて、内部抽選を実行する。主制御部400は、内部抽選処理により、いずれの役に当選したのか、そうでない「ハズレ」であるのかを決定し、その抽選結果情報を所定の処理が終了するまで主制御RAMの所定領域に格納(設定)する。この抽選結果情報は、原則として、1ゲーム毎にクリアされるようになっている。
(役抽選テーブル:図5A、図5B)
図5Aおよび図5Bに、本実施形態に係る役抽選テーブルを例示する。役抽選テーブルには、各種の遊技状態(後述のRT0〜RT3遊技中、BB内部中(BB内部当選中)、BB中(ボーナス遊技中)など)に応じた、複数種類の役抽選テーブルが含まれる。
また役抽選テーブルには、設定値(たとえば、設定値1〜6)に応じた役抽選テーブルが設けられている。たとえば、RT0〜RT3遊技に対応する役抽選テーブルについて、1または複数種類の特定の抽選対象役(たとえば、BB1、BB2など)の抽選確率が設定値に応じて異なり、特定の抽選対象役の抽選確率は、設定値が高くなるほど、遊技者に有利に作用するように定められている。図示では、特定の設定値(たとえば、設定値6)に対応した役抽選テーブルを代表的に示し、他の設定値に対応する役抽選テーブルについては、重複記載を避けるために省略してある。
「役抽選テーブル」には、図示の通り、抽選対象役(役抽選の対象となる役)に対応した当選領域(判定値)を有する抽選領域(抽選領域の大きさは、65536)が定められており、これにより各役の当選確率(判定値/抽選領域の大きさ:内部当選確率)が規定される。この実施形態の場合、抽選対象役として、不当選(ハズレ)を含む49種類の抽選対象役が設けられており(各役についての詳細は後述する)、主制御部400は、役抽選テーブルを参照し、内部抽選乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、いずれの役に当選したのか不当選(ハズレ)であるのかを決定する。また図示の通り、遊技状態(RT0〜RT3、BB内部中、BB中)に応じて、特定の抽選対象役種別や特定の抽選対象役の当選確率などが異なっており、遊技状態に応じて抽選対象役を異ならせることにより、遊技内容の豊富化を図っている。なお詳細は後述するが、図示のRT0〜RT3遊技は、特別役種が内部当選中ではない「一般遊技(非BB内部当選遊技中)」であり、「BB内部中」とは、特別役種のBB1またはBB2が内部当選中の遊技状態(BB内部当選遊技中:RT4遊技)であり、RT遊技の一態様である。なお「遊技状態」とは、RT遊技種別、AT遊技種別、または遊技機全体として捉えた「RT遊技種別+AT遊技種別」を意味し、必ずしもRT遊技やAT遊技の実行状態だけを捉えた遊技状態を意味するものではない。
上記の内部抽選処理を終えると、主制御部400は、回胴駆動モータ211a〜211cを駆動制御し、各回胴5a〜5cを回転始動させ、各回胴を略一定速度で回転させる。これにより、各回胴を回転させる回転動作を実現している。ただし、後述のフリーズ演出(レバー操作時フリーズ)を実行する場合は、所定のフリーズ時間を待って、通常の回転動作を開始させる。
各回胴が略一定速度で回転されると、主制御部400は、停止スイッチ12a’〜12c’からの操作信号の入力受付を有効化、つまり「停止操作許容状態」に設定する。この停止操作許容状態下で、停止スイッチ12a’〜12c’からの操作信号の入力を確認した場合、そのタイミングで、特定位置(たとえば、図7の下段横ライン上)に存在する図柄番号を停止対象となった回胴に係る「停止操作図柄番号」として取得し、その停止操作図柄番号からどれだけのコマ数(滑りコマ数)分移動させて回胴を停止させるかを停止データを定めた「停止テーブル(図示せず)」から割り出し、目的の位置に回胴を停止させる。
上述の「停止テーブル」には、最大引き込みコマ数範囲内(本実施形態では最大4コマ)で、上記「停止操作図柄番号」に対する滑りコマ数を定めた停止データが定められており、最大引き込みコマ数範囲内において特定の図柄を有効入賞ライン上に引き込んで停止させる、所謂「引き込み制御」を実行可能となっている。これにより、当選役に対応する図柄の組合せ(入賞役)を有効入賞ライン上に引き込んで停止させる、回胴の停止制御(引き込み制御)が実現される。斯様な「引き込み制御」の特性を利用し、各回胴の図柄配列帯200における図柄に対応した滑りコマ数や引き込み率などを定めれば、当選役の構成要素図柄を停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)によらずに有効入賞ライン上に停止可能にしたり(引き込み率100%にする)、停止操作手順によっては、最大滑りコマ数引き込んでも有効入賞ライン上に停止不可能にして、所謂「取りこぼし」を生じさせることができる。
なお、内部抽選によりいずれの役にも当選していない「不当選(ハズレ)」の場合は、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止させない回胴の停止位置が決定される。したがって、「ハズレ」となったゲームでは、回胴の停止操作手順によらず、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止することはなく、遊技結果は常に「ハズレ」となる。
<役構成について:図6A〜図6D>
次に図6A〜図6Dを参照しながら、本実施形態に係る役構成について説明する。図6A〜図6Dは、図5A〜図5Bに示す抽選対象役が当選した場合の当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別)とその役名称、その図柄の組合せを成立させるための停止操作手順、および配当(遊技価値)などの関係を例示したものである。
なお、図6A〜図6Dに示す「左回胴」「中回胴」「右回胴」のそれぞれの欄に対応する図柄は、回胴5a、5b、5cにおける有効入賞ライン上の停止図柄を示す。また図中の「押し順」の欄に関する「左」「中」「右」の表記について、「左」は停止操作対象が左回胴5a、「中」は中回胴5b、「右」は右回胴5cを意味し、同欄の「左中右」や「第1停止左」などの表記は、同図の「入賞役種別」の欄に対応した図柄の組合せを成立させるための回胴の停止操作順番(押し順)を示す。たとえば、上記「左中右」の表記は、左回胴5a、中回胴5b、右回胴5cのこの順番で回胴を停止させる押し順を意味し、「第1停止左」の表記は、第1番目の停止操作を左回胴5aとする押し順を意味する。以下、説明の便宜上、必要に応じて、第X番目の停止操作を「第X停止」と略し、「第X番目に停止操作対象とする回胴」を「第X停止左」「第X停止中」「第X停止右」等と略す。ただし、図示の抽選対象役種別の中には、その役が当選した場合、その当選役に対応する図柄の組合せを入賞させる条件として、押し順だけでなく、所定の停止操作タイミングを要する場合もある。
本実施形態では、図5A〜図5Bに示す通り、複数種類の抽選対象役(抽選番号1〜48)が設けられている。これら抽選対象役は、性能の異なる役種別として、後述の「ボーナス遊技」の移行契機となる「特別役種」に属するものと、そうでない「一般役種」に属するものとに大別され、さらに「一般役種」は、‘所定枚数の遊技メダルの払い出し(払い出し0枚を含む)’を伴う「小役種」に属するものと、‘再遊技’を伴う「リプレイ役種(再遊技役種)」に属するものとに分類される。
本実施形態の場合、上記した特別役種には「BB1、BB2」(抽選番号41、42)が設けられており、小役種には「弱チャンス1〜押順ベル種別」(抽選番号20〜40)が設けられており、リプレイ役種には「通常リプレイ、移行リプレイ種別、7リプ種別、BARリプ種別」(抽選番号1〜19)」などが設けられている(図5A〜図5B、図6A〜図6D)。
なお上記「再遊技」とは、遊技メダル(遊技媒体)等の投入(クレジット手段により、またはその他の装置の操作により遊技メダルを遊技の用に供することを含む)をすることによらずに行うことができる遊技をいう。具体的には、今回のゲームで使用した遊技媒体量(投入枚数)と同一量(同一枚数)を疑似的に付与(自動投入)して、次回のゲーム開始条件を付与する。この再遊技は、遊技者が遊技メダルを減らすことなく次回のゲームが可能になるという点で、遊技メダルと同様に遊技価値を有するものといえる。また遊技者に付与される遊技価値には、再遊技や遊技メダルの他、遊技状態の移行、遊技状態移行抽選(たとえば、後述のAT抽選や上乗せ抽選)の実行権利なども含まれる。また、遊技価値には、遊技者に有利に作用するものに限らず、遊技者に不利に作用するもの(たとえば、有利な遊技状態よりも利益度合いの低い他の遊技状態への転落移行など)も含まれる。
上記抽選対象役のいずれかが内部抽選により当選役として決定された場合、その当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役)が有効入賞ライン上に停止表示することが許容される。詳しくは、内部抽選により当選役が決定された場合、その当選役に対応する1または複数種類の内部当選フラグが成立し、その成立した内部当選フラグに対応する図柄の組合せ(入賞役)が、有効入賞ライン上に停止表示することが許容される。したがって、当選役によっては、1回の内部抽選で内部当選フラグが複数種類成立して、対応する図柄の組合せ(入賞役)が複数種類存在するものもある。たとえば、後述のRT2移行リプレイ(抽選番号1〜7)は、その当選により、入賞役として、通常リプレイとRT2移行リプレイの2種類の入賞役の入賞を許容する。斯様な抽選対象役は、1回の内部抽選で複数の役に同時当選(1回の内部抽選で複数の当選役が決定される)したことと同義であり、1回の内部抽選で複数種類の役に同時当選(重複当選)可能な「重複役」として扱うことができる。本実施形態では、この「重複役」のように、当選役とその当選役により許容される停止図柄態様(入賞役)とを1対Nに対応させた抽選対象役を設け、一つの当選役に対して、これを実効化するための停止図柄態様を複数種類設けることで、遊技内容の豊富化を図っている。このような重複役としての性質を有するものには、後述の移行リプレイ種別(抽選番号1〜15)、7リプレイ〜BARリプフェイク(抽選番号16〜19)、チャンスベル(抽選番号28)、押順ベル種別(抽選番号29〜40)などがある。
なお本明細書中では、当選役に対応して、有効入賞ライン上に停止する図柄の組合せを「入賞役」と称する場合があり、この入賞役として扱われる図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止(成立)することを「入賞」と称する場合がある。なお「取りこぼし」が発生した場合の特定の停止図柄表示態様(所謂「取りこぼし目」)も入賞役の一態様として扱うことができる。また本明細書中において、「図柄1/図柄2/・・/図柄N」の表記は、「図柄1、図柄2、・・・、または図柄N」の意であり、たとえば、上述の「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」という表記であれば、「リプレイ」−「ベルA」−「上弾」の図柄の組合せ、または「リプレイ」−「ベルA」−「チェリー」の図柄の組合せを意味する。
(疑似入賞ライン)
ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず図6を参照して、仮想的な入賞ライン(以下、「疑似入賞ライン」と称する)と有効入賞ラインとの関係について説明しておく。
本実施形態の抽選対象役には、当選した場合に、押し順にかかわらず、対応する入賞役の入賞を許容しうる「押順不問役」や、少なくとも押し順に応じて異なる入賞役の入賞を許容しうる「押順規定役」などが含まれ、多種多様な役により遊技性の豊富化を図っている。
このように多種多様な役を設けて遊技性の幅を広げる場合、従来から多くの回胴式遊技機に見られるように、たとえば、図7(A)(B)に示す「右下りライン」「左下りライン」「上段横ライン」「中段横ライン」および「下段横ライン」の計5本の入賞ラインを有効入賞ラインとして扱う所謂「5ライン機」のように、多数の有効入賞ラインを設けてしまうと、引き込み制御や役の構成要素図柄や図柄配列帯200における図柄配置構成などの関係上、遊技機を設計する上で役構成が複雑化して、役の種類を制限せざるを得なくなり、遊技性の自由度が阻害されてしまう。
そこで本実施形態では、有効入賞ラインを少なくしたもの、たとえば図7(A)に示すような「右下りライン」だけの1ラインを有効入賞ラインとして扱う「1ライン機」とし、図7(B)の破線のラインである「左下りライン」「上段横ライン」「中段横ライン」および「下段横ライン」を、仮想的な入賞ライン(以下、「疑似入賞ライン」と称する)とし、これにより、一般的な「5ライン機」を模した入賞ラインを形成している。斯様な有効入賞ラインと疑似入賞ラインとの関係は、次のようになる。たとえば、図6Aに示す「通常リプレイA」が当選した場合、有効入賞ライン上には「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」という一見してバラケ目が停止するが、疑似入賞ライン上の‘上段横ライン’上には、「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」(リプレイ図柄揃い)という同一図柄の組合せが停止する(上段リプレイ表示)。このように、有効入賞ライン上には、一見して、ハズレのようなバラケ目が停止するようになっているが、疑似入賞ライン上の観点から見ると、遊技者が認識し易い特定の図柄の組合せが停止するようになっている。他の役についても同様に、疑似入賞ライン上に、遊技者が認識し易い図柄の組合せや、特定の停止目が停止しうるものがある(たとえば、共通ベルA(抽選番号27)や押順ベル種別(抽選番号29〜40)など)。ここで混同してはならないのは、上記した「バラケ目」のような図柄の組合せが、実際の当選役に対応する図柄の組合せ(真の入賞役)であり、疑似入賞ライン上に停止する図柄の組合せは、有効入賞ライン上に停止する真の入賞役の代替の図柄の組合せとして導出表示される仮想的な入賞役(仮想入賞役)である。
上記のような疑似入賞ラインを形成すれば、疑似入賞ライン上には、一見して同じ性能を有する図柄の組合せ(仮想入賞役)が停止した場合であっても、実際の有効入賞ライン上には、異なる性能の図柄の組合せ(真の入賞役)を停止させることができる。たとえば、第1の役に当選した場合には、上段横ラインに第1の図柄の組合せを停止させ、第2の役が当選した場合には、同一の第1の図柄の組合せを左下りラインに停止させるが、有効入賞ライン上には、それぞれ異なる図柄の組合せを停止させることが可能になる。これにより、第1の役が当選した場合と第2の役が当選した場合とで、ぱっと見、同じ入賞役が停止したように見えるが、実際には異なる入賞役が有効入賞ラインに成立(入賞)しているので、異なる配当が付与されることになる。このように疑似入賞ラインや有効入賞ラインの役割をうまく利用することにより役構成の自由度が増し、遊技内容の豊富化を図ることができる。
なお、疑似入賞ライン上に停止した仮想入賞役を、真の入賞役であると遊技者が誤認する恐れが生じる場合には、液晶画面6aの所定の表示領域に真の入賞役を示す特別な画像を表示することが好ましい。たとえば、後述する「7リプレイ」に対応する「赤7図柄揃い」を疑似入賞ライン上に停止可能に構成する場合は、有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せ(真の入賞役)が、疑似入賞ライン上に成立した「赤7図柄揃い」という役であると遊技者が誤認しないように、液晶画面6aの所定の表示領域(たとえば、右隅部)に真の入賞役を示す画像を表示することが好ましい(他の役についても同様)。
再び図6A〜図6Dの説明に戻り、本実施形態に係る役構成(抽選対象役種別、当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別)および配当などの関係)について説明する。なお以下では、説明の便宜上、「図柄の組合せ」の欄に示すには、有効入賞ライン上に停止する‘真の入賞役’側を表記してある。また図6A〜図6Dの当選番号と当選役種別の欄の記載は、図5A〜図5Bに示す役抽選テーブルの抽選番号と抽選対象役種別の欄の記載に対応している。
(リプレイ役種:当選番号(抽選番号)1〜19)
図6A〜図6Bを参照して、まずリプレイ役種別(抽選番号1〜19)について説明する。本実施形態のリプレイ役種別には、上記押順不問役に属する「押順不問再遊技役(押し順によらず、特定のリプレイ図柄の入賞を許容するリプレイ役)」と、上記押順規定役に属する「押順規定再遊技役(押し順に応じて、異なる図柄の組合せ(入賞役)の入賞を許容するリプレイ役)」などが設けられている。
(通常リプレイ:抽選番号1)
まず、抽選番号1の通常リプレイAについて説明する。
図6Aに示すように、通常リプレイAの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)となっている。この通常リプレイAは、上記「押順不問役(押順不問再遊技役)」に属するものであり、対応する図柄の組合せ(通常リプレイ)を入賞させるための停止操作タイミングも必要としない。つまり、通常リプレイAが当選した場合、どのような停止操作手順であっても、上記通常リプレイが入賞し、配当として「再遊技」が付与される。ただし右回胴5cのチェリー図柄については、6番のチェリー図柄以外のチェリー図柄が停止するようになっており、図7にて前述したように、通常リプレイが有効入賞ライン上に停止した場合、疑似入賞ラインの上段横ライン上には、リプレイ図柄揃いが表示される(上段リプレイ表示)。この点について、当選した場合に通常リプレイの入賞を許容する、後述のRT2移行リプ種別やRT1転落リプ種別などについても同様である(図6A、図7参照)。
(移行リプレイ種別:抽選番号2〜15)
次に、抽選番号2〜15の「移行リプレイ種別」について説明する。これら移行リプレイ種別は、上記「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属するものであり、その性能の違いにより、抽選番号2〜7の「RT2移行リプ種別」、抽選番号8〜10の「RT1転落リプ種別」、抽選番号11〜15の「RT3昇格リプ種別」に分類される。
(RT2移行リプ種別:抽選番号2〜7)
まず、抽選番号2〜7の「RT2移行リプ」種別について説明する。RT2移行リプ種別には、図5Aに示すように、RT2移行リプ123〜RT2移行リプ321の計6種類のRT2移行リプが設けられている。
上記RT2移行リプ123〜RT移行リプ321は、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、押し順に応じて、遊技者にとって有利に作用しうる入賞役(有利入賞役)か、または不利に作用しうる入賞役(不利入賞役)が有効入賞ライン上に停止(入賞)しうるように定められている。これらRT2移行リプ123〜RT移行リプ321は、主に、有利入賞役または不利入賞役の入賞に関する押し順が異なる点を除き(図6Aの「押し順」欄参照)、その他の内容は実質的に同じであるので、ここでは重複記載を避けるために、抽選番号1の「RT2移行リプ123」を代表的に説明する。
(RT2移行リプ123について)
「RT2移行リプ123」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」の図柄の組合せ(RT2移行リプレイ:右斜めリプレイ表示)と、(2)通常リプレイAと同様の「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ:上段リプレイ表示)となっている。つまり、RT2移行リプ123が当選役として決定された場合、入賞役として、RT2移行リプレイと通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。換言すれば、RT2移行リプ123は、その当選により、RT2移行リプレイの入賞を許容する役と、通常リプレイの入賞を許容する役(通常リプレイA)とに重複当選可能な「重複役」としての性質を有するものといえる。
次にRT2移行リプ123の当選により入賞が許容される図柄の組合せについて、停止制御の観点から具体的に説明すれば、次の通りである。
(押し順が「左中右」の場合)
図5Aに示すように、RT2移行リプ123が当選した場合、押し順が「左中右」の場合には、RT2移行リプレイが有効入賞ライン上に停止(入賞)するように回胴の停止制御(引き込み制御)が行われる。
(押し順が「左中右」以外の場合)
これに対し、押し順が「左中右」以外の押し順である場合には、RT2移行リプレイではなく、通常リプレイが有効入賞ライン上に停止するように回胴の停止制御が行われる。
なお、RT2移行リプ種別については、図6A「押し順」の欄から分かるように、それぞれに割り当てられた所定の押し順である場合には、「RT2移行リプレイ」が有効入賞ライン上に停止し、その割り当てられた所定の押し順とは異なる押し順の場合には、「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する。また本実施形態の場合、RT2移行リプ種別に係る入賞役を入賞させるためには、押し順だけが関係し、停止操作タイミングを必要としないものとなっている(本実施形態の場合、後述のRT1転落リプ種別、RT3昇格リプ種別についても同様)。またRT移行リプレイを入賞させる押し順については、各RT2移行リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT2移行リプ123の配当について)
上記「通常リプレイ」または「RT2移行リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、RT2移行リプレイが入賞した場合は、再遊技の他に、「RT1遊技よりも高利益状態のRT2遊技に昇格移行する(リプレイ確率は「RT1遊技<RT2遊技」の関係:後述の図8参照)」)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与されるようになっている。一方、「通常リプレイ」が入賞しても遊技状態の移行は無く、現在のRT遊技が維持される。この点において、RT2移行リプ種別に係るRT2移行リプレイは有利入賞役側の入賞役(通常リプレイよりも遊技価値が高い入賞役)、通常リプレイは不利入賞役側の入賞役(RT2移行リプレイよりも遊技価値が低い入賞役)となっている。このように、RT2移行リプ123は、その当選に起因して、一の遊技状態から他の遊技状態への移行契機となる「状態移行契機役」として働く(他のRT2移行リプレイ種別も同様)。なお、各RT遊技の内容や各RT遊技間の移行制御については、図8にて詳述する。
ここで、図6A〜図6Dの「当選役種別」の欄に係る役名称に付されているアラビア数字は(図5A〜図5Bの「抽選対象役種別」の欄に係る役名称についても同様)、特定の入賞役が入賞しうる押し順を簡易表記したものであり、基本的には、有利入賞役側を入賞させる押し順を示している。たとえば「RT2移行リプ123」の場合、「123」のアラビア数字表記部について、「1」の表記は左回胴5a、「2」の表記は中回胴5b、「3」の表記は右回胴5cに対応し、「123」の表記は、「左中右」の押し順を意味している。他の表記も同様に、「132」は‘左中右’を、「213」は‘中左右’を、「231」は‘中右左’を、「312」は‘右左中’を、「321」は‘右中左’を意味する。また、「1XX」の表記は‘第1停止左回胴、残りの回胴の押し順は不問’、「2XX」は‘第1停止中で残りの回胴の押し順は不問’、「3XX」は‘第1停止右回胴、残りの回胴の押し順は不問’を意味する。
(RT1転落リプ種別:抽選番号8〜10)
次に、抽選番号8〜10の「RT1転落リプ」種別について説明する。
RT1転落リプ種別には、図5Aに示すように、RT1転落リプ1XX〜RT移行リプ3XXの計3種類のRT1転落リプが設けられている。RT1転落リプ種別は、上記RT2移行リプ種別と同様に、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属する。
上記RT1転落リプ1XX〜RT移行リプ3XXは、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、重複記載を避けるために、抽選番号9の「RT1転落リプ1XX」を代表的に説明する。なお、上記した「RT2移行リプ種別(RT2移行リプレイ123)」と実質的に同じ内容については、重複記載を避けるためにその説明は適宜省略する。
(RT1転落リプ1XXについて)
「RT1転落リプ1XX」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)と、(2)「リプレイ」−「リプレイ」−「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(転落リプレイ)となっている。つまり、RT1転落リプ1XXが当選役として決定された場合、転落リプレイと通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
RT1転落リプ1XXが当選した場合、図示のように、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、上述した「RT2移行リプ123」と同事象のように、押し順に決定される。具体的には、押し順が「第1停止左」の場合には「通常リプレイ」が、それ以外の押し順の場合には「転落リプレイ」が有効入賞ライン上に停止(入賞)するようになっている。他のRT1転落リプ(転落リプ2XX〜RT1転落リプ3XX)についても同様に、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順に応じて決定される。また「通常リプレイ」または「転落リプレイ」を入賞させる押し順については、各RT1転落リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT1転落リプ1XXの配当について)
上記「通常リプレイ」または「転落リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、転落リプレイが入賞した場合は、配当として再遊技の他に、「RT2遊技やRT3遊技から、利益状態が相対的に低いRT1遊技に転落移行される(リプレイ確率は「RT1遊技<RT2遊技、RT3遊技」の関係:後述の図8参照)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与される。一方、通常リプレイが入賞しても遊技状態の移行は無く、現在のRT遊技が維持される。この点において、RT1転落リプ種別に係る通常リプレイは有利入賞役側の入賞役(転落リプレイよりも遊技価値が高い入賞役)、転落リプレイは不利入賞役側の入賞役(通常リプレイよりも遊技価値が相対的に低い入賞役)としての位置付けとなっている。このように、RT1転落リプ1XXも遊技状態の移行契機となる点で、上記したRT2移行リプ種別と同じく「状態移行契機役」として働く。
(RT3昇格リプ種別:抽選番号11〜15)
次に、抽選番号11〜15の「RT3昇格リプ」種別について説明する。
このRT3昇格リプ種別には、図5Aに示すように、RT3昇格リプ1XX〜RT移行リプ321の計5種類のRT3昇格リプが設けられている。RT昇格リプ種別は、上記RT2移行リプ種別と同様に、「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属する。
また、上記RT3昇格リプ1XX〜RT移行リプ321は、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、ここでは重複記載を避けるために、抽選番号11の「RT3昇格リプ1XX」を代表的に説明する。なお、上記した「RT2移行リプ種別(RT2移行リプレイ123)」と実質的に同じ内容については、重複記載を避けるためにその説明は適宜省略する。
(RT3昇格リプ1XXについて)
「RT3昇格リプ1XX」の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「スイカA/スイカB/赤7」−「リプレイ」−「スイカA/スイカB/赤7」の図柄の組合せ(RT3昇格リプレイ(中段リプレイ表示))と、(2)「リプレイ」−「リプレイ」−「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(転落リプレイ)となっている。つまり、RT3昇格リプ1XXが当選役として決定された場合、RT3昇格リプレイと、転落リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
RT3昇格リプ1XXが当選した場合も、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、上述した「RT2移行リプ123」と同事象のように、押し順に決定される。具体的には、押し順が「第1停止左(第1停止が左回胴5a)」の場合には「RT3昇格リプレイ」が、それ以外の押し順の場合には「転落リプレイ」が有効入賞ライン上に停止するようになっている。他のRT昇格リプについても同様に、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順に応じて決定される。また、RT3昇格リプレイを入賞させる押し順については、各RT3昇格リプ同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている(図6A「押し順」の欄参照)。
(RT3昇格リプ1XXの配当について)
上記「RT3昇格リプレイ」または「転落リプレイ」が入賞した場合、配当として「再遊技」が付与される。ただし、RT3昇格リプレイが入賞した場合は、配当として再遊技の他に、「RT2遊技から、利益状態が相対的に高いRT3遊技に昇格移行される(転落リプレイ確率が「RT2遊技<RT3遊技」の関係:図5A参照)」といった「遊技状態の移行」という他の遊技価値が追加的に付与される。一方、転落リプレイが入賞した場合には、前述したように「RT2遊技、RT3遊技からRT1遊技に転落移行される」といった遊技価値が付与される。この点において、RT3昇格リプ種別に係るRT3昇格リプレイは有利入賞役側の入賞役、転落リプレイは不利入賞役側の入賞役となっている。RT3昇格リプ1XXも、上記したRT2移行リプレイ123と同じく「状態移行契機役」として働く。
(7リプレイ:抽選番号16)
次に、抽選番号16の「7リプレイ」について説明する。
図6Bに示すように、7リプレイの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「赤7/リプレイ」−「赤7/ベルA」−「赤7/上弾/チェリー」の図柄の組合せ(7リプレイ(7リプレイ(赤7図柄揃い)または通常リプレイ(上段リプレイ表示)))、(2)「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ(上段リプレイ表示))となっている。つまり、7リプレイが当選役として決定された場合、7リプレイと、通常リプレイとが入賞許容状態に置かれることになる。
「7リプレイ」は「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順により決定される。具体的には、図6Bに示すように、「第1停止右」の場合には「7リプレイ(赤7図柄揃い)」が有効入賞ライン上に停止可能であり、それ以外の押し順の場合には「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する。ただし、「7リプレイ(赤7図柄揃い)」は、押し順が一致し、かつ特定の停止操作タイミング(赤7図柄を引き込み可能な停止操作タイミング)で停止操作した場合には有効入賞ライン上に停止(入賞)し、押し順が一致しても当該特定の停止操作タイミング以外の場合には、7リプレイ(赤7図柄揃い)が停止せずに、その替わりの入賞役として、通常リプレイ(上段リプレイ表示)が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。なお、詳細は後述するが、7リプレイが当選した場合、停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)に応じて入賞する図柄の組合せ自体は異なるが、いずれの図柄の組合せが入賞しても、同一遊技状態であれば同じ遊技価値が付与されるようになっている(後述の7リプフェイク、BARリプレイ、BARリプフェイクについても同様)。
本実施形態の場合、7リプレイの構成要素図柄の引き込み率が100%未満である点や有効入賞ラインが「1ライン」しかない点などの関係上、7リプレイを入賞させるためには、それなりの目押し技術を要する。そこで、赤7図柄を疑似入賞ライン上に引き込める場合には、疑似入賞ラインに引き込んで‘赤7図柄揃い’停止させるように、7リプレイの入賞役を定めてもよい。ただし、「赤7図柄揃い」を疑似入賞ライン上に停止可能に構成する場合は、有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せ(真の入賞役)が、疑似入賞ライン上に成立した「赤7図柄揃い」であると遊技者が誤認しないように、液晶画面6aの所定の表示領域に真の入賞役を示す画像を表示することが好ましい(後述の7リプフェイク(赤7リプ聴牌外れ目を停止させる場合)や、BARリプレイ(BAR揃いを停止させる場合)や、BARリプフェイク(BARリプ聴牌外れ目を停止させる場合)についても同様)。
(BARリプレイ:抽選番号18)
なお、抽選番号18の「BARリプレイ」についても、上述した7リプレイと同事象の引き込み制御が行われる。具体的には、押し順が一致し(第1停止右)、かつ特定の停止操作タイミング(BAR図柄を引き込み可能な停止操作タイミング)であれば、有効入賞ライン上に「BAR」−「BAR」−「BAR」(BARリプレイ(BAR揃い))が有効入賞ライン上に停止し、‘BAR揃い’という特殊な図柄の組合せが停止する。ただし、押し順が一致しても特定の停止操作タイミング以外の場合には、「BARリプレイ(BAR揃い)」の替わりに、通常リプレイ(上段リプレイ表示)が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。
(7リプフェイク:抽選番号17)
次に、抽選番号17の「7リプフェイク」について説明する。
図6Bに示すように、7リプフェイクの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「赤7リプ聴牌外れ目」(7リプフェイク)、(2)「リプレイ」−「ベルA」−「上弾/チェリー」の図柄の組合せ(通常リプレイ)となっている。「赤7リプ聴牌外れ目」は、たとえば、「チェリー」−「赤7」−「赤7」等のように、7リプレイ(赤7図柄揃い)が聴牌状態を呈するような図柄の組合せである。
上記「7リプフェイク」は「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属し、上述した7リプレイ(抽選番号16)と同じく、押し順が一致し、かつ特定の停止操作タイミングの場合に「赤7リプ聴牌外れ目」が有効入賞ライン上に停止し、それ以外の押し順の場合には「通常リプレイ」が有効入賞ライン上に停止する(図6B参照)。
上記「赤7リプ聴牌外れ目」は、図6に示すように、「第1停止右」の押し順を条件とし、特定の停止操作タイミング、具体的には、赤7図柄を有効入賞ライン上に引き込み可能な停止操作タイミングで停止操作した場合、第1停止時および第2停止時には、有効入賞ライン上に赤7図柄が引き込まれ、停止目が「↓↓(回転中)」−「赤7」−「赤7」等の‘7リプレイの聴牌状態’となるが、第3停止時には、「7リプレイ(赤7図柄揃い)」がいずれのライン上にも成立せずに、7リプレイがハズレとなった停止目、たとえば「チェリー」−「赤7」−「赤7」等のような‘赤7リプ聴牌外れ目’が停止するようになっている。つまり、7リプフェイクは、「7リプ聴牌外れ目」を導出表示して、7リプレイの入賞または当選期待感を煽るための「フェイク役(ガセの役)」として働く。なお、特定の停止操作タイミング以外であれば、7リプフェイクの取りこぼしが発生し、図示はしていないが、上述した7リプレイと同様に、通常リプレイ(上段リプレイ表示)等が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。
(BARリプフェイク(抽選番号19)について)
なお、抽選番号19の「BARリプフェイク」についても、7リプフェイクと同事象の引き込み制御が行われる。具体的には、押し順が一致し(第1停止右)、かつ特定の停止操作タイミングであれば、第1停止および第2停止時には、有効入賞ライン上にBAR図柄が引き込まれ、停止目が「↓↓(回転中)」−「BAR」−「BAR」等の‘BARリプレイの聴牌状態’となるが、第3停止時には、「BAR揃い(BARリプレイ)」がいずれのライン上にも成立せずに、BAR揃いがハズレとなった停止目、たとえば「チェリー」−「BAR」−「BAR」等のような‘BARリプ聴牌外れ目’が停止するようになっている。つまり、BARリプフェイクは、「BARリプ聴牌外れ目」を導出表示して、7リプレイの入賞/当選期待感を煽るための「フェイク役」として働く。なお、特定の停止操作タイミング以外であれば、BARリプフェイクの取りこぼしが発生し、図示はしていないが、上述した7リプフェイクと同様に、通常リプレイ(上段リプレイ表示)等が停止するようになっている(図6Bの「備考」欄参照)。
(7リプレイ、BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクの配当について)
上記した7リプレイ、BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクの配当について説明する。これらの配当は、基本的には同じであるため、代表的に7リプレイの配当を中心に説明する。
7リプレイが当選した場合、既に説明したように、リプレイ役種である、7リプレイ(赤7図柄揃い)、通常リプレイ、または取りこぼし目のいずれかが停止し、このとき、配当として、少なくとも「再遊技」が付与される。7リプレイは「押順規定役(押順規定再遊技役)」に属するものであるが、押し順に応じて有利入賞役・不利入賞役が入賞する、という異なる遊技価値が付与されるといったものではなく、同一の遊技状態であれば、同じ遊技価値が付与されるようになっている(BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクも同様)。たとえば、後述の「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」と「上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)」とにおいては、遊技価値として、再遊技の付与の他、上乗せ抽選への実行権利が付与されるようになっている(後述の図21参照)。ただし7リプレイ当選時に、目押しに失敗して、7リプレイ(赤7図柄揃い)が入賞せずとも、上乗せ抽選の実行権利が消滅するわけではなく、上乗せ抽選の実行権利は付与されるようになっている。これは、特定の特典の場合、目押し技術の巧拙により、折角獲得した権利が消滅してしまう事態を回避するためである。この点、同一の遊技状態の場合、押し順に応じて、RT状態の維持や昇格移行や転落移行等の異なる遊技価値が付与されうる「移行リプレイ種別」とは性質を異にする。つまり、7リプレイが当選した場合、停止操作手順に応じて入賞役自体は異なるが、対応する入賞役が停止すれば、同じ配当が付与される。BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクについても、上述の7リプレイの配当と同じく、目押しに失敗しても、上乗せ抽選等の実行権利は消滅しないようになっている。なお、7リプレイ、BARリプレイ、7リプフェイク、BARリプフェイクは、特殊図柄停止表示態様として、1または複数の疑似入賞ライン上(たとえば、中段横ライン)に、停止可能に構成してもよい。
(小役種別について)
次に図6B、図6Cを参照して、小役種別(抽選番号20〜40)について説明する。抽選番号20〜21の弱チャンス1〜2、抽選番号22の強チャンス、抽選番号23のスイカ、抽選番号27の共通ベルAは、それぞれ「押順不問役」に属し、他方、抽選番号24〜26の弱チェリー、強チェリー、最強チェリー、抽選番号28のチャンスベル、抽選番号29〜40の押順ベルは、それぞれ「押順規定役」に属する役となっている。
(弱チャンス1、弱チャンス2:抽選番号20〜21)
図6Bに示すように、弱チャンス1は、その当選により入賞が許容される図柄の組合せが「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB」(弱チャンス1表示)となっており、弱チャンス2は、「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB/赤7」(右回胴「赤7図柄」の場合は、弱チャンス2表示、右回胴「赤7図柄」以外の場合は、弱チャンス1表示)となっている。すなわち、弱チャンス2が当選した場合、停止操作タイミングに応じて、弱チャンス2表示(「リプレイ」−「ベルA」−「赤7図柄」)の他、弱チャンス1(「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB」)と同一の停止目(弱チャンス1表示)が有効入賞ライン上に停止しうる(弱チャンス1共通停止目)。
また弱チャンス1と弱チャンス2の配当は、いずれも「遊技メダル5枚」の払い出しとなっている。このため、弱チャンス2が当選し、弱チャンス1が入賞した場合、停止目と払出枚数だけでは、どちらの役に当選したのかが不明確となる。また、弱チャンス1と弱チャンス2とは、所定の条件下で、後述のAT抽選(図19)または上乗せ抽選(図21)の実行権利が追加的に付与されうる。したがって、弱チャンス1と弱チャンス2とは、AT抽選の実行契機となる「AT抽選契機役」および上乗せ抽選の実行契機となる「上乗せ抽選契機役」として働く(後述の図19、図20参照)。しかし、このAT抽選等においては、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、AT抽選確率が高く設定されており、この点で、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、遊技価値が相対的に高い抽選対象役となっている(後述の図19、図21参照)。また、AT抽選や上乗せ抽選の実行権利に関しては、上記した7リプレイの場合と同じく、目押しに失敗して対応する図柄の組合せが入賞せずとも抽選実行権利が消滅するわけではなく、抽選実行権利は付与されるようになっている(後述の強チャンス2も同様)。なお弱チャンス1と弱チャンス2は、対応する図柄の組合せの異なるものが含まれるが、本発明はこれに限らず、双方同一の図柄の組合せとしてもよい。
(強チャンス:抽選番号22)
次に、抽選番号22の「強チャンス」について説明する。
強チャンスの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」−「ベルA(15番以外)/赤7/BAR」−「赤7/BAR/スイカA/スイカB」となっている。この図柄の組合せからも分かる通り、強チャンスが当選した場合、弱チャンス1表示(「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB」:「弱チャンス1共通停止目」)、弱チャンス2表示(「リプレイ」−「ベルA」−「赤7図柄」:「弱チャンス2共通停止目」)、または強チャンス表示(上記図柄の組合せのうち、弱チャンス1および弱チャンス2表示以外の図柄の組合せ)のいずれかが有効入賞ライン上に停止しうる。いずれの図柄が停止するのかについては、停止操作タイミングに応じて決定される。
また強チャンスは、弱チャンス1と弱チャンス2と同じく「遊技メダル5枚」の払い出しとなっている。このため、強チャンスが当選し、弱チャンス1または弱チャンス2が入賞した場合、停止目と払出枚数だけでは、どちらの役に当選したのかが不明確となる。また、強チャンスも上記「AT抽選契機役」や「上乗せ抽選契機役」として働くが、このAT抽選においては、強チャンスは、弱チャンス1、2よりも抽選確率が高く設定されており(後述の図19、図21参照)、この点で、強チャンスは、弱チャンス1、2よりも遊技価値が相対的に高い抽選対象役となっている。なお詳細は後述するが、強チャンス、弱チャンス1、2は、停止操作手順に応じて停止する図柄の組合せに共通性があるため。後述の払出遊技演出においても共通性を持たせてある。
(スイカ:抽選番号23)
抽選番号23のスイカは、押し順不問であるが、特定の停止操作タイミングの場合に図6Bに示す図柄の組合せが入賞する。強チャンスの配当は、弱チャンスと同じ「遊技メダル3枚」の払い出しとなっている。またスイカは、上記「AT抽選契機役」や「上乗せ抽選契機役」として働く。
(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー:抽選番号24〜26)
次に、抽選番号23〜26の弱チェリー、強チェリー、最強チェリーについて説明する。以下、説明の便宜上、弱チェリー、強チェリー、または最強チェリーを「チェリーリプ」と称する場合がある。
弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーは、それぞれ「押順規定役(押順規定小役)」に属する役であり、その当選により、停止操作手順(押し順および停止操作タイミング)に応じて、図示の図柄の組合せのいずれかが有効入賞ライン上に停止する。また配当としては、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのいずれも、少なくとも「遊技メダル2枚」が付与され、同一の遊技状態であれば、同じ遊技価値(AT抽選実行権利等)が付与されるようになっている。
弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーに対応する図柄の組合せには、次のような特徴的な関係がある。
(チェリー溢し目)
図6Bを参照して、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのそれぞれは、所定の押し順である場合(少なくとも第1停止が特定の回胴である場合)、三者に共通して入賞しうる特定の停止目(チェリー溢し目)がある。詳述すれば、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーのいずれかのチェリー役が当選したときに、第1停止が中回胴5b以外である場合、次のような停止制御が行われる。
このケースでは、左回胴5aを停止する際に、「2番の下弾図柄(チェリー図柄が、いずれのライン上にも表示されることの無い「下弾図柄」:図3の図柄配列帯200の「1st」参照)」を有効入賞ライン上に引き込めるタイミングで停止操作した場合、2番の下弾図柄が有効入賞ライン上に停止し、図示の「下弾(2番)」−「ベルA」−「リプレイ」特殊な図柄の組合せである、‘チェリー溢し目’(左回胴5aの枠内にチェリー図柄が表示されない停止目)が必ず停止する。この「チェリー溢し目」は、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのどのチェリー役が当選した場合にも出現しうる共通の停止目となっている。さらに「チェリー溢し目」の配当が「遊技メダル2枚」の払い出しであるため、「チェリー溢し目」が停止してしまうと、その停止目を見ただけででは、いずれのチェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)に当選したのかが不明確となる(秘匿される)。なお詳細は後述するが、弱チェリー、強チェリー、および最強チェリーの三者間において、チェリー溢し目に関する払出遊技演出には共通性を持たせてある。
(チェリー共通停止目)
上記した「チェリー溢し目」は、弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのいずれかが当選した場合に、共通の押し順である場合において、3者間で共通して出現しうる停止目であるが、このチェリー溢し目以外にも、弱チェリーと強チェリー、強チェリーと最強チェリーとの2者間で、異なる押し順に応じて共通の停止目(チェリー共通停止目)が出現する場合がある。以下詳細に説明する。
(弱チェリーと強チェリーとに係るチェリー共通停止目)
抽選番号24の「弱チェリー」が当選し、第1停止が中回胴5b以外である場合(ただし、チェリー溢し目が停止不可能な停止操作タイミングである場合)、図示の「チェリー/ベルB/下弾」−「ベルA」−「上弾/下弾/リプレイ」という「弱チェリー(弱チェリー表示)」が停止しうる。ところが、第1停止が中回胴5bであるときには、抽選番号25の強チェリーが当選した場合にも入賞が許容される「チェリー/ベルB/下弾」−「赤7/BAR/下弾/チェリー」−「赤7/下弾/ベルA/スイカA/スイカB」という「強チェリー(強チェリー表示)」が停止しうる(図6Bの弱チェリーの欄参照)。すなわち、弱チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、強チェリーにも対応する図柄の組合せの「強チェリー」が出現してしまい(ここでは、弱チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、強チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、弱チェリーに当選したのか、強チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
また、抽選番号25の「強チェリー」が当選した場合にも、「弱チェリー」が停止しうる。詳しくは、第1停止が中回胴5b以外である場合(ただし、チェリー溢し目が停止不可能な停止操作タイミングである場合)、上記「強チェリー表示」が停止しうるが、第1停止が中回胴5bであるときには、上記した「弱チェリー表示」が停止しうる(図6Bの強チェリーの欄参照)。すなわち、強チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、弱チェリーにも対応する図柄の組合せの上記「弱チェリー」が出現してしまい(ここでは、強チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、弱チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、強チェリーに当選したのか、弱チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
(強チェリーと強チェリーとに係るチェリー共通停止目)
また、抽選番号26の「最強チェリー」が当選した場合、停止操作手順に応じて、上述の強チェリーが停止しうる。詳しくは、第1停止が中回胴5b以外である場合(BAR図柄を有効入賞ライン上に引き込める停止操作タイミングである場合)、「BAR」−「赤7/BAR/下弾/チェリー」−「赤7/下弾/ベルA/スイカA/スイカB」という「最強チェリー(最強チェリー表示)」が停止しうる。ところが、第1停止が中回胴5b以外であっても特定の停止操作タイミング(チェリー溢し目を引き込めるタイミングまたはBAR図柄を有効入賞ライン上に引き込めない停止操作タイミング)の場合や、第1停止が中回胴5bである場合、抽選番号25の強チェリーが当選した場合にも入賞が許容される上記「強チェリー(強チェリー表示)」が停止しうる(図6Bの最強チェリーの欄参照)。すなわち、最強チェリーに当選した場合、所定の停止操作手順であれば、強チェリーにも対応する図柄の組合せの上記「強チェリー(強チェリー表示)」が出現してしまい(ここでは、最強チェリーの取りこぼし目として停止する)、さらに、払い出し枚数も、強チェリーと同じ遊技メダル2枚の払い出しであるため、停止目を見ただけでは、最強チェリーに当選したのか、強チェリーに当選したのかが不明確になる(秘匿される)。
(チェリー役種別の配当について)
本実施形態では、いずれのチェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)に当選しても払い出しがゼロとなる取りこぼし目が導出されず、図示のいずれかの入賞役が入賞して、少なくとも配当2枚(遊技メダル2枚)が得られるようになっている。また弱チェリー、強チェリー、最強チェリーは、上記「AT抽選契機役」や「上乗せ抽選契機役」として定められており、後述のAT抽選や上乗せ抽選に関する優遇度(AT抽選確率等)が「弱チェリー<強チェリー<最強チェリー」の関係となっている(図19、図21参照)。特に最強チェリーは、内部抽選確率が最も低確率のため(図5A参照)、他の抽選対象役と比し、AT抽選等の優遇度合いが最高のプレミアム的な役となっている。
(共通ベルA:抽選番号27)
次に図6Cを参照して、小役種に属する抽選番号27の共通ベルAについて説明する。
図6Cに示すように、共通ベルAの当選により入賞が許容される図柄の組合せは、「リプレイ」−「ベルA」−「リプレイ」の図柄の組合せ(中段ベル)となっている。なお、「リプレイ」−「ベルA」−「リプレイ」が有効入賞ライン上に停止した場合、疑似入賞ラインの中段横ライン上には、ベルAまたはベルBを利用した図柄の組合せである「ベルA/ベルB」−「ベルA」−「ベルA/ベルB」(中段ベル表示)が停止するようになっている。また、共通ベルAは「押順不問役」に属し、上記「中段ベル」を入賞させるための停止操作タイミングも必要としない。つまり、共通ベルAが当選した場合、どのような停止操作手順であっても、中段ベルの入賞が発生し、配当として「遊技メダル9枚」が付与される。また共通ベルAは、上記「AT抽選契機役」や「上乗せ抽選契機役」としても働く。
(チャンスベル:抽選番号28)
次に、抽選番号28のチャンスベルについて説明する。
チャンスベルは「押順規定役」に属し、所定の押し順(第1停止左)の場合には、有利入賞役として上記の共通ベルAと同じ配当9枚の「中段ベル」が停止(入賞)し、その押し順とは異なる押し順(第1停止左以外)である場合には、不利入賞役として配当5枚の「リプレイ」−「ベルA」−「ベルA/ベルB」の図柄の組合せ(5枚ベル)が停止しうるように定められている。また、チャンスベルは、上記「AT抽選契機役」や「上乗せ抽選契機役」として働く。なお、チャンスベルはAT抽選契機役として定められているが、AT抽選が実行されるのは、中段ベルが入賞した場合(第1停止左)となっている(後述の図19の備考欄参照)。
(押順ベル種別:抽選番号29〜40)
次に図5Cを参照して、抽選番号29〜40の「押順ベル種別」について説明する。
上記押順ベル種別は「押順規定役(押順規定小役)」に属する抽選対象役であり、所定の押し順の場合には、有利入賞役として上記の共通ベルAと同じ配当9枚の「中段ベル」が停止(入賞)し、その押し順とは異なる押し順である場合には、不利入賞役として配当1枚の「1枚ベル」か、または「1枚ベル」が引き込めないときは、配当が得られない「1枚ベル溢し目」(配当0枚)が停止しうるように定められている。以下、不利入賞役側の「1枚ベル」または「1枚ベル溢し目」を‘ベル溢し目(押順ベル溢し)’と略す。また、押順ベル種別において、中段ベルが停止する押し順を「押し順正解」と称し、ベル溢し目が停止する押し順を「押し順不正解」と称する。
上記した抽選番号29〜40の各押順ベルは、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、以下では重複記載を避けるために、抽選番号29の「押順ベル123A」を代表的に説明する。
(押順ベル123Aについて)
押順ベル123Aの当選により入賞が許容される図柄の組合せについて、停止制御の観点から具体的に説明すれば、次の通りである。
図6Cに示すように、押順ベル123Aが当選した場合、押し順正解である「左中右」の場合には、配当9枚の「中段ベル」が入賞し、それ以外の押し順である「押し順不正解」の場合には「中段ベル」は入賞せず、下記のような図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するように回胴の停止制御が行われる。
押し順が「押し順不正解」である場合には、中段ベルの取りこぼしが発生し、上記「ベル溢し目」が遊技結果として導出表示されるが、このときには、押し順不正解時の停止操作手順に応じて、図6C(α)に掲げる図柄の組合せを持つ1枚ベルA〜Nのうち‘1枚ベルA、1枚ベルB、1枚ベルE、1枚ベルF、または1枚ベルI’(停止番号60、61、65、66、69)のいずれかの「1枚ベル」が停止しうる(図6Cの押順ベル123Aに係る「押し順不正解停止番号」および同図(α)の「押し順不正解種別」の欄参照)。ただし「1枚ベル」を引き込めない停止操作タイミングである場合は、1枚ベルの取りこぼしが発生し「1枚ベル溢し目(配当0枚)」が停止するようになっている。したがって、押順ベル123Aは、その当選により、中段ベルの入賞を許容する役と、1枚ベルAの入賞を許容する役、1枚ベルBの入賞を許容する役、1枚ベルEの入賞を許容する役、1枚ベルFの入賞を許容する役、1枚ベルIの入賞を許容する役に重複当選可能な「重複役」としての性質を有するものといえる。
本実施形態では、図示の通り、押順ベルを複数種類設け、各押順ベルについて配当が多い押し順を1つだけ割り当て、それ以外の押し順(押し順不正解)である場合には、配当が最少の遊技メダル1枚か、配当無しとなる入賞役を停止させるように定めてある。各押順ベル(抽選番号29〜40)のうち、「押順ベル***A’」(‘*’は図示のアラビア数字)の表記の押順ベルグループA(抽選番号29、31、33、35、37、39)または「押順ベル***B」の表記の押順ベルグループB(抽選番号30、32、34、36、38、40)に着目した場合、少なくとも中段ベルを入賞させる押し順については、各押順ベル同士で、互いに異なる押し順が割り当てられている。これにより、遊技者が恣意的に回胴を停止操作しても、後述のAT遊技中でない限りは、高配当側の中段ベルを高確率で入賞させないようにし、設計上、想定外の利益が遊技者に付与されてしまうことを防止している。なお、上記押順ベル種別は、押し順と停止操作タイミングとに応じて異なる図柄の組合せが停止すると説明したが、本発明はこれに限らず、押し順および/または停止操作タイミングに応じて異なる図柄の組合せを停止させるように構成してもよい。
押し順ベル種別は、AT抽選契機役として働くが、押し順ベルの場合、押し順正解時に限りAT抽選が実行されるようになっている。
(特別役種:BB1、BB2)
次に、抽選番号41のBB1、抽選番号45のBB2について説明する。
BB1とBB2は「特別役種」に属し、「押順不問役」として規定されている。この特別役は、第1種特別役物または第2種特別役物に係る抽選対象役であり、特定の小役の抽選確率が高確率に変動する遊技状態や、1以上の回胴の引き込みコマ数を1コマ以内(75ms以内に停止)に変動する遊技状態(CB)などの、特別遊技状態への移行契機役となっている。この点で、特別遊技状態への移行契機とはならない「一般役種(小役種、リプレイ役種)とは性質を異にする。
BB1、BB2の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、それぞれ「ベルA(4番)」−「上弾」−「下弾」の図柄の組合せ(BB1)、「上弾」−「下弾」−「ベルA(0番)」の図柄の組合せ(BB2)となっている。本実施形態の場合、連続する特定の図柄(上弾/下弾図柄)を利用して有意な意匠を呈する停止目が形成されるようになっており、BB1が有効入賞ライン上に停止した場合は、3つの砲弾図柄が一直線上に並んで表示される、といったインパクトのある停止目(砲弾揃い)が導出表示される。しかしBB2が有効入賞ライン上に停止した場合は、BB1の「砲弾揃い」が崩れたような停止目(右回胴5cは「砲弾図柄」が上に1コマずれた「砲弾崩れ目」)が導出表示される。
BB1またはBB2が入賞した場合、次ゲームから遊技者に有利なボーナス遊技に移行される。このボーナス遊技中は、共通ベルA(抽選番号27)の当選確率が高確率に変動し、1ゲーム当りの平均純増枚数が他の遊技状態よりも向上し遊技者は短時間で大量の遊技メダルを獲得することができる(図5A、図5BのBB中の欄参照)。本実施形態では、BB1とBB2とでボーナス遊技の性能が異なり、BB2よりもBB1の方がボーナス遊技の利益度合いが相対的に高く設定されている。たとえば、BB1は第1の規定払出枚数(たとえば、146枚)で終了し、BB2はそれよりも少ない第2の規定払出枚数(たとえば、72枚)以上の遊技メダルの払い出しで終了するようになっている。
なおボーナス遊技中には、共通ベルAの他、特定の抽選対象役(たとえば、7リプレイ〜弱チャンス2(抽選番号16〜21)、最強チェリー(抽選番号26))が当選可能となっている(図5A、図5BのBB中の欄参照)。これらの抽選対象役のうち特定の役(たとえば、「共通ベルB」以外の役)に当選した場合、特典が付与されうる所定の利益抽選を実行可能に定めることができる。たとえば、通常遊技中にBB1および/またはBB2に当選した場合、そのボーナス遊技中において、後述のAT抽選と同じような役割を持つ「ボーナス中AT抽選」を実行し、これに当選すると、特典として、後述の本ART遊技への移行確定とすることができる(ボーナス遊技終了後、初期遊技中に移行するが、内部的にはAT抽選当選状態となる)。また、AT当選状態中の本ART遊技移行前の遊技状態中や、「本ART遊技中」において、BB1、2に当選した場合、そのボーナス遊技中において、本ART遊技の継続ゲーム数(ARTゲーム数)に対する上乗せ抽選を実行し、これに当選した場合には、特典として、今回のARTゲーム数に対して抽選により決定された上乗せゲーム数を上乗せすることができる。なお、ボーナス遊技中のAT抽選や上乗せ抽選は、図19〜図20の各抽選テーブルを利用してもよいし、ボーナス遊技専用の抽選テーブルを別途に設けてもよい。また、その抽選実行条件(抽選契機役種)や抽選確率等も遊技性に応じて適宜定めることができる。
(特別役の持ち越しについて)
上記した特別役であるBB1とBB2は、その内部当選フラグ(ボーナス当選フラグ)を次回以降のゲームに持ち越し可能な「持越役」として定められている。このため、特別役(BB1、BB2)に当選した場合は、当選した特別役に対応する図柄の組合せが入賞するまでの遊技期間(BB内部当選中)、ボーナス当選フラグの成立状態が維持され、この間、すべてのBBは内部抽選対象から除外される。なお、BB内部当選中は、リプレイ役の当選確率が通常遊技よりも高確率に変動した「RT4遊技」に移行する(後述の図8のボーナス内部当選遊技の欄参照)。
一方、特別役種以外の一般役種(小役種とリプレイ役種)は、その当選フラグを次回のゲームに持ち越すことができない「持越不可能役」として定められている。一般役種については、BB内部当選中であっても通常通りに内部抽選が実行され、当選すれば、その内部当選フラグが成立する。このため、ボーナス当選フラグと一般役種の内部当選フラグとが同時に成立する「重複当選状態」が発生するが、この場合、いずれの当選役に対応する図柄の組合せを入賞させるかについては、所定の引き込み優先順位に基づいて決定される。本実施形態の場合、その優先順位は「特別役種(BB)<小役種<リプレイ役種」の順位となっている(小役優先制御)。これにより、特別役種(BB1、BB2)と一般役種とが重複当選中のゲームにおいては、一般役種が優先的に入賞することになる。
また本実施形態では、抽選番号41のBB1または抽選番号45のBB2のように、特別役種が他の一般役種と重複当選しない単独当選役として定められているものと、抽選番号42〜44、46〜48のように、特別役種と特定の一般役種とが重複当選可能な「重複BB役」が複数種類設けられている。重複BB役が当選役として決定された場合、当選役に対応する図柄の組合せとして、特別役種と一般役種とが入賞許容状態に置かれることになる。この場合、当選ゲームでは、引き込み優先順位に基づき、いずれの入賞役を優先的に有効入賞ライン上に引き込むのかが決定される。本実施形態では、小役優先制御となっているので、当該当選ゲームでは、先ず、一般役種を優先的に入賞させる引き込み制御が行われる。
以上に説明した抽選対象役、対応する入賞役、配当、およびその種類などに関する役構成については、本発明の目的を達成できるものであれば特に制限されない。たとえば、特別役種については、1または複数種類であっても良いし、特別役種自体を設けない構成としてもよい。
(払出遊技演出について)
本実施形態では、遊技演出として、全回胴が停止して遊技結果が得られた際、その遊技結果(停止目)に対応した演出として「払出遊技演出」が現出されるようになっている。
混同してはならないのは、この「払出遊技演出」は、ホッパーユニット500の遊技メダル払出動作に連動して出力(現出)されるような、一般的な「メダル払出音(遊技メダル1枚ごとの払い出しに伴い現出される演出音)」、たとえば、払い出し1枚ごとに発せられる「ドゥル♪」という効果音や、クレジット加算時に発せられる「トゥル♪」という効果音等とは異なる音演出態様であって、全回胴停止時における図柄の組合せ(遊技結果)が得られたときに、当該図柄の組合せに基づき現出される演出態様(演出音)である、という点である。すなわち、本実施形態に係る払出遊技演出は、ホッパーユニット500の遊技メダル払出動作の開始に伴い開始するように制御される演出ではあるが、ホッパーユニット500の遊技メダル払出動作とは無関係に実行される演出である。
払出遊技演出は、たとえば、スピーカ16(音出力手段)による音演出(払出演出音)や、装飾ランプ部13や遊技機に適所に配置されたLEDなど(発光手段)による光演出(払出光演出)や、液晶表示装置6(画像表示手段)による画像表示演出(払出画像表示演出)により現出され、これにより、遊技者に対し入賞が発生した旨や今回の遊技結果を報知可能となっている。本実施形態に係る払出演出は、専ら、音演出(払出演出音)と光演出(払出光演出)とを含む演出態様で構成される。また払出光演出の演出時間は、少なくとも払出演出音の演出時間以下(たとえば、「払出光演出の演出時間≦払出演出音」の関係)とすることが好ましく、払出遊技演出を違和感なく終了させるには、払出光演出の演出時間幅と払出演出音の演出時間幅とを同一または略同一とすることがより好ましい。
上記スピーカ16による払出演出音は、遊技結果(入賞役種別、取りこぼし目等)に対応した音演出が現出される。また、装飾ランプ部13などによる払出光演出も遊技結果に対応した光演出が現出される。したがって、払出遊技演出は、遊技結果が得られたとき、つまり、第3停止操作がなされて最終回胴の引き込み制御が完結し、第3停止に係る停止ボタン12のOFFになったことを契機に現出される。具体的には、主制御部400は、全回胴停止時に、演出制御コマンドとして、少なくとも有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せを特定可能な「入賞情報コマンド(全回胴停止コマンド)」を演出制御部410に送信し、演出制御部410は、入賞情報コマンドを受けて、払出演出を現出させる(後述の図10Bの入賞判定処理(ステップS79)、図17Eの入賞情報コマンド受信処理参照)。
(払出演出音について:図26、図27)
図26および図27を参照して、本実施形態に係る払出演出音について説明する。図26に「通常中払出演出設定テーブル」を示し、図27に「AT中払出演出設定テーブル」を示す。
図26に示す「通常中払出演出設定テーブル」は、非AT遊技(AT0遊技)を伴う遊技状態(初期遊技、通常遊技(第1および第2昇格遊技を含む)、非AT当選状態中)において、払出演出シナリオを選択する際に参照されるテーブルであり、図27に示す「AT中払出演出設定テーブル」は、AT遊技を伴う遊技状態(準備ART遊技、本ART遊技、または上乗せ特化ゾーン、BB中)において、払出演出シナリオを選択する際に参照されるテーブルである。
図26、図27の払出演出設定テーブルには、入賞役種別(遊技結果)に対応した払出演出シナリオデータが定められている。この払出演出シナリオデータには、払出演出音に係る音データ(サウンドデータ)と、払出光演出に係るランプデータ(LED発光パターンデータ)とが定められている。図示のsound番号が異なるものは、異なる音の払出演出音が現出され、同一番号であれば、同一の払出演出音が現出される。また払出光演出も同様に、LEDパターン番号が異なるものは、異なる発光態様の払出光演出が現出され、同一番号であれば、同一の払出光演出が現出される。
上記払出演出シナリオデータに基づき、今回の遊技結果に対応した払出演出シナリオを選択することで、払出遊技演出が実現される。なお、払出演出シナリオは、上記ゲーム中演出シナリオ(図25)とは別途決定される演出シナリオである。したがって、ゲーム中演出に係る音演出(遊技演出音)および/または光演出と、払出遊技演出に係る払出演出音および/または払出光演出とは、同時にまたは略同時に現出可能となっている。
本実施形態では、払出遊技演出の現出制御に関し、制御負担を軽減するとともに、多種多様な役を設けた場合であっても、払出遊技演出としての演出的機能を十分に発揮させるべく、払出遊技演出に係る払出演出音について、次のような特徴を有した構成となっている。なお図26および図27には、本発明と関連性の深いものを代表的に示してある。
(イ)本実施形態は、第1の特徴として、特定の当選役に対応する図柄の組合せが入賞した場合に、異なる遊技状態であっても共通の払出演出音を現出させる構成となっている。このような「特定の当選役」に該当するものとして、強チャンス(抽選番号22)ある。
強チャンスが当選した場合、既に説明したように、停止操作タイミング(停止操作手順)に応じて、弱チャンス1表示(強チャンス当選時の弱チャンス1共通停止目)、弱チャンス2表示(強チャンス当選時の弱チャンス2共通停止目)、または強チャンス表示のいずれかが停止する(図6B)。また、いずれの停止目も同一の遊技価値(配当5枚、AT0遊技中(たとえば、通常遊技中)のAT抽選実行権利(図19)、AT遊技中(本ART遊技中、上乗せ特化ゾーン中)の上乗せ抽選実行権利(図21))等が付与される。これら停止目は、異なる遊技状態であっても共通の払出演出音が現出されるようになっている。具体的には、強チャンスは、遊技状態によらず、停止目が弱チャンス1表示または弱チャンス2表示の場合は「sound105」、強チャンス表示の場合は「sound106」が現出されるようになっている(図26および図27の払出演出番号2、3、4の欄参照)。なお、上記(イ)と同じ特徴を持つ抽選対象役として、中段ベルの入賞を許容するチャンスベル、共通ベルA、押順ベルなどがある(図26および図27参照)。
また本実施形態の特徴的な点は、強チャンスが当選した場合の「弱チャンス1表示、弱チャンス2表示および強チャンス表示に係る払出演出音を、「強チャンス当選時に係る払出演出音」として現出するのではなく、実際の停止目に対応した払出演出音を選択して、これを現出させる構成となっている。つまり、当選役に応じた払出演出音を現出するのではなく、停止目に応じた払出演出音を現出させる構成となっている。具体的には、停止目に対応する払出演出シナリオ(払出演出音と払出光演出とを定めた演出シナリオ)を選択して、当該演出シナリオに従い、払出演出音と払出光演出とを現出させる。たとえば、強チャンスが当選した場合、強チャンスという当選役に応じた払出演出シナリオを選択するのではなく、停止目をチェックして、今回の停止目が、弱チャンス1表示であれば、払出演出シナリオとして「払出演出番号2」を選択し、弱チャンス2の場合は「払出演出番号3」を選択し、強チャンス表示であれば「払出演出番号4」を選択して、当該演出シナリオに従い、払出演出音と払出光演出とを現出させる。
(ロ)また本実施形態は、第2の特徴として、当選役として決定された場合に、第1の遊技価値を付与する第1の図柄の組合せの入賞を許容する第1の役と、当該第1の遊技価値とは異なる遊技価値を付与する第2の図柄の組合せの入賞を許容する第2の役とを有し、当該第1の図柄の組合せおよび当該第2の図柄の組合せのいずれが入賞しても、共通の払出演出音を現出させる構成となっている。このような第1の役と第2の役とに該当するものとして、「共通ベルA(抽選番号27)」と「チャンスベル(抽選番号28)」とがある。
既に説明したように、共通ベルAは、その当選により、配当9枚の中段ベル(第1の図柄の組合せ)の入賞を許容し、チャンスベルは、その当選により、中段ベル(第1の図柄の組合せ)または配当5枚の5枚ベル(第2の図柄の組合せ)の入賞を許容しうる抽選対象役となっている。そして、図26および図27に示す通り、中段ベルおよび5枚ベルのいずれが入賞しても、共通の払出演出音(sound113)が現出されるようになっている(払出演出番号10、11の欄参照)。なお、第2の役に該当する「チャンスベル」は押順規定役に属し、押し順に応じて中段ベルまたは5枚ベルの入賞を許容するものであるが、本発明はこれに限らず、第2の役に該当するものとして、押順不問役に属し、5枚ベル(第2の図柄の組合せ)の入賞だけを許容する他の役を設けてもよい。
(ハ)また本実施形態は、第3の特徴として、第1の遊技価値を付与する第1の当選役と、第1の遊技価値とは異なる遊技価値を付与する第2の当選役とを決定可能に構成され、当該第1の当選役に対応する図柄の組合せおよび当該第2の当選役に対応する図柄の組合せのいずれか入賞しても、共通の払出演出音を現出させる構成となっている。このような第1の当選役と第2の当選役とに該当するものとして、弱チャンス1と弱チャンス2とがある。既に説明したように、弱チャンス1と弱チャンス2は、いずれも配当5枚の「リプレイ」−「ベルA」−「スイカA/スイカB」の入賞を許容する(図6B参照)。しかし、AT抽選においては、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、AT抽選確率が高く設定されており(図19のAT抽選テーブル参照)、弱チャンス1よりも弱チャンス2の方が、遊技価値が相対的に高い抽選対象役となっており、この点で、弱チャンス1の当選により付与される遊技価値と、弱チャンス2の当選により付与される遊技価値とは、異なる遊技価値となっている。しかし、弱チャンス1に対応する入賞役および弱チャンス2に対応する入賞役のいずれが入賞しても、「配当が同じである」「共通の図柄の組合せの入賞を許容しうる」という共通性を考慮し、共通の払出演出音(sound105)を現出させる構成としている(図26の払出演出番号2、3の欄参照)。
(ニ)また本実施形態は、第4の特徴として、当選役として決定された場合、停止操作手順に応じて、第1の遊技価値を付与する第1の図柄の組合せまたは当該第1の遊技価値とは異なる遊技価値を付与する第2の図柄の組合せを入賞可能に構成され、第1の図柄の組合せおよび前記第2の図柄の組合せのいずれの遊技結果であっても共通の払出演出音を現出させる構成となっている。このような役に該当するものとして、「チャンスベル(抽選番号28)」がある。
既に説明したように、チャンスベルは「押順規定役(押順規定小役)」に属するものであり、所定の押し順(第1停止左)の場合には、有利入賞役側の配当9枚の「中段ベル」が停止(入賞)し、その押し順とは異なる押し順(第1停止左以外)である場合には、不利入賞役側の配当5枚の「5枚ベル」が停止しうるように定められている。このチャンスベルが当選した場合、中段ベルおよび5枚ベルのいずれが入賞しても、共通の払出演出音(sound113)が現出されるようになっている(図26および図27の払出演出番号10の欄参照)。
(ホ)また本実施形態は、第5の特徴として、特別な音演出が現出(出力)中の場合、遊技演出音を現出させない(中止する)ようになっている。特別な音演出とは、たとえば、ボーナス役当選時のボーナス確定演出に係る演出音や、全回胴停止時または聴牌時のボーナス確定音や、特定の予告演出(AT当選期待感を煽る連続演出(たとえば、バトル演出)など)に係る演出音などである。斯様な演出は、遊技者の注目を特に集めたい特別な演出であり、当該演出が現出中の場合、または当該演出に係る音演出が現出中の場合は、少なくとも払出演出音を中止して(払出遊技演出自体を中止してもよい)、優先的に、その特別な演出に係る音演出を出力する。これにより、現出中の特別な音演出が払出演出音に邪魔されたり、寸断状態となったりして、特別な音演出が台無しになることがなく、また遊技者が払出演出音に気を取られることなく、特別な演出をじっくり鑑賞させることができる。
(払出演出音の演出時間幅について)
なお「払出演出音」は、上記メダル払出音と連動するように発生させるようになっており、このため、ホッパーユニット500による遊技メダルの一連の払い出し動作が完了するまで、その音を現出(出力)させることが好ましい。具体的には、払出演出音の演出時間幅として、ホッパーユニット500が遊技メダル1枚を払い出すために要する平均的時間および/または払出最長時間よりも長い時間を設定することが好ましい。しかし、払出演出音の演出時間幅を闇雲に長くとってしまうと音データ量が増して制御負担が増してしまう。また、払出演出音に関しては、少なくとも払出最短時間よりも長い時間であれば、払出演出音の機能が問題無く発揮されると考えられる。そこで、払出演出音の演出時間幅を、少なくとも払出最短時間よりも長い時間を設定することが好ましいといえる。
本実施形態の場合、ホッパーユニット500が遊技メダル1枚を払い出すために要する払出最短時間は、約100ms程度となっている。たとえば、配当として、最も払出枚数の多い遊技メダル9枚の払い出しを伴う「中段ベル」の場合、払出最短時間は約990ms程度(100ms×遊技メダル9枚分の払い出し時間=900ms)となる。この点を考慮し、配当9枚の「中段ベル」に係る払出演出音の演出時間幅を、払出最短時間よりも長い1300msに設定している。本実施形態では、払出演出音の演出時間幅を、少なくとも払出最短時間よりも長い時間に設定することで、制御負担の軽減しつつ、効果的な払出演出音の実行を図っている(図26および図27の「音演出時間」の欄参照)。なお本実施形態の場合、小役種については、最も払出枚数の多い中段ベル(払出枚数9枚)を付与するために要する最短時間(900ms)よりも長い払出演出音が現出されるようになっている。換言すれば、最も払出枚数の多い中段ベル(払出枚数9枚)を付与するために要するための最短時間(900ms)よりも長い音データが記憶されている。したがって、たとえば、チャンスベルが当選した場合に入賞が許容される中段ベルとチャンスベルに関し、中段ベル(払出枚数9枚)を付与するために要する最短時間(900ms)およびそれよりも払出枚数の低い5枚ベル(払出枚数5枚)を付与するために要する最短時間(500ms)よりも長い音データが、共通の払出演出音(sound113、1.3秒:図26、図27参照)の音データとして記憶されていることになる。
なお本実施形態の場合、1ゲームに要する時間は、後述の遊技開始ウェイトタイマにより、最短で4.1秒となっている。この遊技開始ウェイトタイマは、「1ゲームの遊技時間」を規制するためのタイマである(後述の図10BのステップS72(回胴回転開始設定処理)参照)。したがって、今回のゲームで遊技者がどんなに素早く全回胴を停止させたとしても、4.1秒経過後でなければ次ゲームの回胴を始動させることができない。ここで本実施形態では、下記の点を考慮して、払出演出音の演出時間幅を定めてある。
遊技者が素早く回胴の停止操作を行った場合、概ね2.5秒程度(停止制御上の最短時間は約2秒)で全ての回胴を停止させることができるようになっており、そこから、1.3秒〜1.5秒程度の払出遊技演出を実行したとしても、4.1秒以内である3.8秒〜4秒程度で、ゲーム開始から払出遊技演出までを終えることができる。そのため、速やかに次ゲームの操作に移行することができる。したがって、AT当選期待度が相対的に低い「押順ベル」や「通常リプレイ」の場合の払出演出音を1.5秒未満にすることが好ましい。一方、役抽選による当選確率が相対的に低く、AT当選期待度が高い「強チャンス」や「強チェリー」や「最強チェリー」などの場合には、遊技者の当選期待感を高めるべく、それよりも長時間(1.5秒以上)を持つ払出演出音とする方が遊技者の期待感を煽る上で好ましい。
ところで、払出遊技演出は、前述したように、ホッパーユニット500の遊技メダル払出動作の開始に伴い現出を開始するように制御されるが、ホッパーユニット500の遊技メダル払出動作とは無関係に実行される演出となっている。また本実施形態では、少なくとも払出演出音に関して、ホッパーユニット500が遊技メダルを付与するために要する払出動作時間(付与時間)によらず、入賞情報コマンドを受けた際に、払出演出音(音制御信号)を1回だけ出力し、ループ再生はしない(後述の図17Eの入賞情報コマンド受信処理参照)。このように1回だけ出力するのは、制御負担軽減のためである。したがって、たとえば、遊技動作エラーが生じてエラー報知がなされた後に(報知優先順位は、エラー報知の方が高い)、エラーが解除されたとしても、再度、払出演出音が再生されることはない。しかしこのような構成としても、特に問題は生じないと考えられる。その理由として、払出遊技演出自体は、遊技結果を報知しうるものであり、演出が発生しなかったからといって、たとえば、アシスト報知がエラーにより消滅した事態に比べて、遊技者に特段不利益になることがないからである。
(払出光演出について)
上記「払出光演出」については、図26および図27に示すように、遊技結果に対応した払出光演出が現出される。本実施形態では、払出光演出を利用して、AT抽選結果や上乗せ抽選結果を報知(示唆)可能に構成されている。たとえば、「スイカ」が入賞した場合、通常は、装飾ランプ13が所定色(たとえば、緑色)で発光されるが、AT抽選が実行された場合には、AT抽選結果が「ハズレ」の場合には、通常時の払出光演出として、装飾ランプ部13を「緑色」に発光させ、AT抽選結果が「当選」の場合には、AT当確報知演出として「虹色」に発光させる。ただし本実施形態の場合、上記AT当確報知演出を実行するか否かは、AT抽選契機役に関連して所定の報知確率を定めた「AT当確報知抽選(後述の図17EのステップS537参照)」により決定される(AT当選期待度が高いほど高確率で報知抽選に当選する)。ただし最強チェリーの場合は、当選した時点でAT当確となるので(図19参照)、AT当確報知自体を現出せず、最強チェリー固有の払出光演出を現出させてもよい。
(ヘ)また本実施形態は、第6の特徴として、払出遊技演出の演出効果を高めるべく、同じ停止目であっても、遊技状態に応じて異なる払出遊技演出を実行可能な停止目が定められている。たとえば、スイカ表示、弱チェリー表示、強チェリー表示などは、遊技状態に応じて、払出演出音および払出光演出が異なるように定められている(図26および図27の払出演出番号5、6、7参照)。
上記スイカ表示の停止(入賞)を許容する抽選対象役は、抽選番号23の「スイカ」であり、弱チェリー表示または強チェリー表示の停止を許容する抽選対象役は、抽選番号24〜26のチェリー役種別(弱チェリー、強チェリーまたは最強チェリー)である。これらの抽選対象役は、AT抽選契機役(図19)や上乗せ抽選契機役(図21)として定められている。そこで本実施形態では、スイカ表示、弱チェリー表示、または強チェリー表示に係る払出遊技演出について、非AT遊技中の場合にはAT抽選期待感を煽るために「非AT遊技中用払出遊技演出」を、AT遊技中の場合には、上乗せ抽選期待感を煽るために「AT遊技中用払出遊技演出」という具合に、同じ停止目であっても遊技状態に応じて異なる払出遊技演出を現出可能となっている。なお図示はしていないが、AT遊技中を本ART遊技と上乗せ特化ゾーンとに分けて、これら遊技状態に応じて、異なる払出遊技演出を実行可能な構成としてもよい(この場合は、非AT遊技、AT2遊技、AT3遊技に応じて異なる払出遊技演出が実行される)。
ただし、チェリー役種別に関し、弱チェリー、強チェリーまたは最強チェリーの三者に共通の停止目である「チェリー溢し目」が停止した場合には、遊技状態によらず、共通の払出演出音を現出させるようにし、制御負担の軽減を図っている。また、最強チェリー表示は、チェリー役種別の中でも最強チェリーだけに許容されるものである点、最強チェリーはプレミアム役である点などを考慮し、特段、遊技状態に応じて払出遊技演出を異なるものとするのではなく、最強チェリー表示固有の払出遊技演出が定められている。
なお、弱チェリー表示、強チェリー表示、最強チェリー表示およびチェリー溢し目は、いずれも払出枚数が2枚の入賞役であるが、払出遊技演出の演出時間に関しては、これらチェリー表示よりも払出枚数が多い「中段ベル(払出枚数9枚)」や「5枚ベル(払出枚数5枚)」よりも長い演出時間(2.0〜2.8秒)が定められている。これは、中段ベルや5枚ベルを許容するベル系抽選対象役(チャンスベル、押順ベル、共通ベルAなど)よりも、チェリー役種別の方が、AT抽選や上乗せ抽選の期待度が高く(図19、図21参照)、払出遊技演出を通じて遊技者の当選期待感を煽るために、長めの演出時間を確保している。また、払出枚数3枚のスイカや、払出枚数5枚の弱チャンス1、弱チャンス2、強チャンスなどの抽選対象役も同様に、ベル系抽選対象役よりも払出枚数が少ないが、AT抽選や上乗せ抽選の期待度が相対的に高いため、これら当選役に対応する停止目に関しても、払出遊技演出の演出時間が相対的に長時間となるように定めてある(図26、図27の払出演出番号2、3、4、5参照)。
(リプレイ役種に係る停止目について)
リプレイ役種に係る停止目についても、上述したスイカやチェリー役等の特定の小役種に係る停止目と同じように、同じ停止目であっても、遊技状態に応じて異なる払出遊技演出を実行可能な停止目が定められている(図26、図27のリプレイ役種に関する欄を参照)。
リプレイ役種に関して、非AT遊技中の場合に、通常リプレイ〜BARリプフェイクのすべてを共通の払出遊技演出としている理由は、非AT遊技中は、リプレイ役種に対するAT抽選が共通の抽選確率により実行され(図19のグループ名称のリプレイの欄参照)、AT抽選に関して遊技者に及ぼす各リプレイ役の配当の軽重に変わりがないからである。しかしAT遊技中の場合には、各リプレイ役に係る上乗せ抽選の利益度合い、つまり、当選期待度や、如何なる上乗せゲーム数を獲得できるかの期待度などを考慮して、非AT遊技中とは異なる払出遊技演出を、各リプレイ役について定めてある(ただし本実施形態の場合、転落リプレイと昇格リプレイは共通としてある)。このように、非AT遊技の場合には、複数のリプレイ役種を共通の払出遊技演出とすることで、闇雲に制御負担が増してしまうことを防止するとともに、AT遊技の場合には、非AT遊技とは異なる払出遊技演出を現出させるようにして、払出遊技演出の演出効果を向上させている。
<遊技形態:図8>
次に図8を参照して、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技形態(ゲーム性)について説明する。
本実施形態に係る回胴式遊技機では、遊技状態として、RT遊技(後述のRT0遊技〜RT4遊技)、ボーナス遊技、AT遊技(後述のAT0遊技〜AT3遊技)などを発生可能に構成されている。上記RT遊技は、抽選対象役を決定する際のベースとなる遊技状態であり(図5A、図5B参照)、このRT遊技に付随してAT遊技を重複的(同時的)に発生させることで、後述の「準備ART遊技」や「本ART遊技」や「上乗せ特化ゾーン」などの特殊な遊技状態が実現される。主制御部400側は、これら遊技状態を制御する機能部として、RT遊技を制御するRT遊技制御手段、AT遊技を制御するAT遊技制御手段、ボーナス遊技を制御するボーナス遊技制御手段を備える。また演出制御部410側は、主制御部側遊技状態に対応する演出モード(演出状態)を管理制御する。これら演出モードは、主制御部側遊技状態と整合性を保つ形で管理され、これにより、現在の遊技状態に関連した適切な演出が現出可能となっている。
(RT(リプレイタイム)遊技について)
RT遊技とは、再遊技を伴うリプレイ役種の当選確率(リプレイ確率)が基準の遊技状態の所定確率から変動した「再遊技確率変動状態」をいう。
本実施形態では、基準の遊技状態として、最もリプレイ確率(ここでは、リプレイ役種の合算当選確率)が低確率であるRT0遊技を基準とし、このRT0遊技と比べて、リプレイ確率が高確率に変動するRT遊技1〜RT遊技4(再遊技高確率抽選状態)を上記再遊技確率変動状態として扱う。本実施形態の場合、各RT遊技のリプレイ確率の関係は、RT0遊技(低確率RT遊技)<RT4遊技(BB内部当選遊技中(中確率RT遊技))<RT1遊技(低確率RT遊技)<RT2遊技=RT3遊技(高確率RT遊技)」の関係となっている(図8、図5A参照)。なお、RT0遊技とRT1遊技とはリプレイ確率が略同一、RT2遊技とRT3遊技とは、リプレイ確率が同一となっている。したがって、リプレイ役の出現率の観点からは、RT0遊技とRT1遊技の違い、RT2遊技とRT3遊技の違いを遊技者が察知することが困難なものとなっている。また、図5Aに示すように、各RT遊技中において、抽選対象役となるリプレイ役の種類が異なる。
各RT遊技は、BB内部当選中(ボーナス持越遊技状態)に係るRT遊技であるか、非BB内部当選中(一般遊技状態)に係るRT遊技であるかで大別される。本実施形態の場合、一般遊技状態のRT遊技は、RT0遊技〜RT3遊技となっており、BB内部当選中のRT遊技は、RT4遊技となっている。なお、BB内部当選中は、非BB内部当選中と同様に一般遊技状態に属する遊技状態であり、この一般遊技状態は、小役種の内部抽選確率を変動させることができない遊技状態として規定されている。
(AT遊技について)
AT遊技とは、液晶表示装置6、装飾ランプ13、スピーカ16などの演出手段(副報知手段)および/または主制御部400により制御される表示手段(たとえば、払出枚数表示器35:主報知手段)を用いて、役の抽選結果に関連する情報が、所定の報知態様(画像表示演出、音演出、光演出、7セグ表示など)により報知されうる「特典遊技状態」である。「役の抽選結果に関連する情報」とは、主として、当選役に係る特定の図柄の組合せ(有利入賞役、不利入賞役、その他、特定の図柄の組合せを含む)の入賞を案内するための停止操作手順情報(アシスト情報:押し順および停止操作タイミングの少なくともいずれか一方に関する情報)であり、この情報を報せる報知態様(演出態様)を「アシスト報知」と称する。
AT遊技は、風営法に関する不正行為防止や遊技者の所謂「のめり込み防止」等の法的な要請から、演出制御部410側ではなく、主制御部400がその機能部を担う「AT遊技制御手段」によりその発生および終了が制御される。このAT遊技制御手段は、アシスト報知に関する遊技状態として、アシスト報知禁止(制限)状態下の「通常報知状態(非AT遊技)」と、アシスト報知許容状態下の「有利報知状態(AT遊技)」とを含む複数種類の報知状態を制御可能に構成されている。上記AT遊技には、後述のAT1遊技〜AT3遊技を含む複数種類のAT遊技が設けられており、いずれのAT遊技中であるかに応じて、アシスト報知対象やその報知内容が異なる場合がある。これら複数種類のAT遊技やRT遊技を実効化することにより、図8に示す種々の遊技状態を実現し、遊技性の自由度を高めて遊技の面白みを向上させている。
(アシスト報知について)
本実施形態では、既に説明したように、複数種類の押順規定役が設けられている。たとえば、チャンスベルや押順ベル(抽選番号28〜40)では、押し順に応じて、配当9枚の中段ベルのように、有利に作用しうる図柄の組合せ(有利入賞役)が入賞しうる。しかし非AT遊技中においては、これらの役に当選しても、有利入賞役の入賞を案内する停止操作手順情報(押し順情報)は遊技者に報知されない、あるいは報知されるとしても、それはAT遊技中ではなく、単に当選役に係る予告演出として単発的に報知されるだけである。このため、非AT遊技中は、遊技者が有利入賞役を入賞させるための手掛かりを得ることができず、その入賞が困難な状況下に置かれる。したがって、非AT遊技中は、遊技進行上、AT遊技中よりも遊技者に不利なゲーム展開とされる。
これに対しAT遊技中においては、有利入賞役の入賞を案内する情報が高確率または100%の確率で報知されるため、その入賞が著しく容易になる。たとえば、抽選番号29の「押順ベル123A」が当選した場合、不利入賞役側の‘1枚ベル(配当1枚)’ではなく、有利入賞役側の‘中段ベル(配当9枚)’の入賞を案内する押し順情報(本例の場合、「左中右」の押し順情報)が遊技者に報知される。このとき、遊技者がその報知内容に従い回胴を停止操作すれば、高配当お中段ベルを入賞させることができる。これによりAT遊技中は、1ゲームあたりに遊技者が獲得し得る平均的利益(ベース値)が非AT遊技中よりも向上した遊技状態になる。したがって、AT遊技中は、非AT遊技中よりも遊技者に有利なゲーム展開とされる。
(アシスト報知手段について)
上記アシスト報知は、主に、演出制御部410により制御される演出手段(たとえば、液晶表示装置6、装飾ランプ13、スピーカ16など)により現出される。しかし本実施形態の場合、演出手段と、主制御部400が制御する特定の表示手段(たとえば、払出枚数表示器35)の少なくとも2つの報知手段により、アシスト報知を発生させるようになっている。アシスト報知手段のうち、主制御部400側が制御する報知手段を「主報知手段」と称し、演出制御部410側が制御する報知手段を「副報知手段」と称する。アシスト報知を現出する手段について、主報知手段と副報知手段とを用いる理由は以下の通りである。
従来、AT遊技は、専ら演出制御部410が主導的に制御していた。しかし近年、主制御基板に不正行為・不正改造を行うのではなく、演出制御基板420等の周辺基板に対して不正行為・不正改造を行い、遊技機の本来の設計とは異なる仕様のAT遊技を発生させ、出玉率を著しく改ざんするゴト行為が横行していた。たとえば、AT遊技の継続ゲーム数を本来の継続ゲーム数の数十倍のゲーム数からスタートさせたり、AT抽選に強制的に当選させたりする等である。そこで第1に、不正行為防止・不正改造防止の観点から、出玉率に大きく影響するAT遊技の制御機能部を、従来の演出制御部410側ではなく主制御部400側が担うようにし、遊技動作を統括的に司る主制御部400以外の周辺基板(たとえば、遊技表示基板390や演出制御部410等)に搭載されている電子部品等が改ざんされても出玉率に影響が無いように、出玉に影響しうるような遊技機の設計を防止する。第2に、演出制御部410等の周辺基板だけでアシスト報知を実行可能な情報(たとえば、当選役を特定可能な情報や当選役に係る停止操作手順情報:アシスト情報)を演出手段に対し送信しないようにする。第3に、主制御部400がアシスト報知の実行制御を行っていることを外部に報知するべく、主制御部400側が決定したアシスト情報(停止操作手順情報)を、主報知手段を利用して報知させるとともに、当該アシスト情報と同一または実質的に同一の内容を反映させた情報を演出手段を利用して現出させ、これにより上記第1および第2の事項を実効化する。このような観点から、本実施形態では、アシスト報知手段として、主報知手段と副報知手段とを用いた構成としている。
また本実施形態では、主制御部400がアシスト報知を実行すると決定した場合は、演出制御部410に対して、アシスト情報を送信するが、アシスト報知を実行しないと決定した場合は、演出制御部410に対して、アシスト情報を送信しない、またはアシスト情報を実行しない旨の非実行情報を送信する。これにより、演出制御部410側は、アシスト情報を演出的に報知し、所定の演出態様にて、アシスト報知を実現する。
なお本実施形態では、主報知手段として、払出枚数表示器35を利用しているが、これに限らず、アシスト報知を現出可能な報知手段であれば特に制限はない。たとえば、主報知手段として、投入枚数表示部(投入枚数表示LED31、32、33)や、メダル投入表示LED36(メダル投入表示部)を利用しても良いし、アシスト報知専用の表示器を設けても良い。
(アシスト報知態様:図18、図22A〜図22B)
上記アシスト報知は、同じ当選役が決定された場合でも、所定の報知条件に応じて、その報知内容が異なる場合がある。つまり、必ずしも遊技者に特定の図柄の組合せ(たとえば、有利入賞役)を入賞させる内容とは限らない。たとえば、7リプレイ(抽選番号16)が当選した場合、特定報知条件下の場合には、「7リプレイ」を対象とするアシスト報知(本告知)を実行するが、特定報知条件下以外の場合には、通常リプレイを対象とするアシスト報知(嘘告知)を実行するケースが挙げられる。
また「アシスト報知」は、原則として、アシスト情報(本実施形態の場合は、主に、押し順に関する情報)を遊技者に提示するだけで、当選役を特定可能な当選役情報を付随して遊技者に提示しないようになっている。これは、当選役を明示してしまうと、押し順を報知せずとも押し順の割り当てを知る遊技者側に、有利入賞役または不利入賞役の押し順が判明してしまい、遊技者が意図的にアシスト報知を拒否することで想定外の利益を獲得したり、意図しない遊技状態の移行が生じたりしてしまう恐れがあるからである。そこで、アシスト報知を現出する場合には、少なくとも当選役情報を秘匿した報知態様(副報知手段の場合はアシスト報知を含む演出態様)とする。たとえば、RT3移行リプ1XX(抽選番号11)が当選した場合と、押順ベル213A(抽選番号33)が当選した場合とでは、押し順に関する表示(報知)内容だけが異なるだけで、その演出態様そのものは同一または酷似した態様とする。このように、少なくとも当選役情報を秘匿するアシスト報知を「役秘匿アシスト報知」と称する。なお、当選役が判明しうる情報は報知しないが、特別役種、小役種またはリプレイ役種のように、当選役が属する役区分が判明するような報知態様(役区分アシスト報知)を現出させてもよい。たとえば、今回の当選役がリプレイ種別の場合は、背景画像やアシスト表示画像を「青色」を基調とし、押順ベル種別の場合には「黄色」を基調とする演出態様とすることができる。
勿論、当選役情報を報知することに差支えがない場合には、当選役情報と押し順情報とを重複的に表示させてもよい(役種アシスト報知)。たとえば、「7リプレイ」が当選した場合、「←7を狙え(第1停止右、全回胴に7リプレイ図柄停止を指示)」のように、押し順として「第1停止右の指示」の表示と、当選役情報として「7を狙え(全回胴に赤7図柄停止を指示)」の表示とを同時的または重畳的に表示させることができる(図18参照)。このケースでは、「7を狙え」の表示により、間接的に当選役種別が「7リプレイ」であることを示唆している。しかし、報知条件次第では、「7を狙え!」という表示はするが、7リプフェイクまたは通常リプレイを対象とするアシスト報知(嘘告知)を実行することもできる(ガセの役種アシスト報知)。また、押順不問役の場合であってもアシスト報知を実行しても良い。たとえば、共通ベルAまたは共通ベルBが当選した場合、所定の押し順を報知してもよい。
いずれにしても、アシスト報知が発生すれば、遊技者にとり有利なゲーム展開となり得るので、遊技者は、積極的に、アシスト報知の内容に従うことになる。
(アシスト報知制御手段)
アシスト報知内容については、主制御部400がその機能部を担う「アシスト報知制御手段」により制御される。アシスト報知制御に関し、主制御部400は、AT遊技中である場合には、今回のゲームに係る当選役情報に基づき、アシスト報知を実行可能な情報を演出制御部410に対して送信する。たとえば、非AT遊技中は、各押し順ベル(抽選番号28〜40)のいずれかが当選した場合は、どの押し順ベルが当選したかを特定不可能な当選役情報(非特定情報)を含む演出制御コマンドを演出制御部410に対して送信する一方、AT遊技中である場合には、各押し順ベルに対応した固有の当選役情報、つまり、どの押し順ベルが当選したかを特定可能な当選役情報を含むコマンドを演出制御部410に対して送信する。この場合、演出制御部410は、非特定情報が送られてきた場合は、当選した押し順ベルを特定できないので、正しいアシスト報知(中段ベル入賞手順の報知)を実行することができず、特定可能情報が送られてきた場合、正しいアシスト報知をすることができる。したがって、AT遊技中の場合に限り、アシスト報知が実効化されるようになっている。
本実施形態のAT遊技には、複数種類のAT遊技(AT1遊技〜AT3遊技)が設けられており、主制御部400(アシスト報知制御手段)は、図22Aおよび図22Bに示す「当選情報設定テーブル」に基づいて、所望のアシスト報知内容(アシスト情報)を決定可能に構成されている。
上記当選情報設定テーブルには、アシスト報知内容に関するデータとして、図22Aおよび図22Bの「指示モニタ番号」欄に示す「指示モニタ番号」が、遊技状態(ここでは、AT遊技種別(AT状態種別))と当選役種別とに関連付けて定められている。主制御部400は、上記「指示モニタ番号」に応じたアシスト報知を主報知手段(払出枚数表示器35)に対して表示制御し、演出制御部410は、当該「指示モニタ番号」に対応するアシスト報知を副報知手段(たとえば、液晶表示装置6)に対して表示制御し、主/副報知手段によるアシスト報知が実行可能となっている。
本実施形態の場合、図22Aおよび図22Bの各指示モニタ番号1〜8に対応するアシスト報知の内容(アシスト情報(押し順情報))は、指示モニタ番号「1」は押し順「123」を、指示モニタ番号「2」は押し順「132」を、指示モニタ番号「3」は押し順「213」を、指示モニタ番号「4」は押し順「231」を、指示モニタ番号「5」は押し順「312」を、指示モニタ番号「6」は押し順「321」を、指示モニタ番号「7」は「←7を狙え」、指示モニタ番号「8」は「←BARを狙え」を示すものとなっており、主報知手段と副報知手段とにおいて、上記指示モニタ番号で指定されるアシスト情報が、演出的にアシスト報知される。ただし、指示モニタ番号「0」の場合には、アシスト報知は実行されず、主報知手段と副報知手段とには、アシスト情報は一切報知されない。
なお、押し順が「1XX」、「2XX」、「3XX」などの場合は、第1停止がどの回胴であるかを指示できればよく、たとえば、押し順が「1XX」である場合は、押し順「123」に対応した指示モニタ番号「1」か、または押し順「132」に対応した指示モニタ番号「2」が割り当てられていればよい。本実施形態では、「1XX」は押し順「132」の指示モニタ番号「1」が割り当てられ、「2XX」は押し順「213」の指示モニタ番号「3」が割り当てられ、「3XX」は押し順「312」の指示モニタ番号「3」が割り当てられている。
(アシスト報知の表示例)
図18に、払出枚数表示器35(主報知手段)と液晶表示装置6(副制御手段)に対するアシスト報知の代表的な表示例を示す。たとえば、現在の遊技状態がAT1遊技を伴う遊技状態(たとえば、準備ART遊技)であり、今回のゲームの当選役が「RT2移行リプ123」である場合を例にとり説明する。図22Aの当選情報設定テーブルを参照して、当該テーブルにおける「AT1、RT2移行リプ123」に対応する「指示モニタ番号」は「1」であるので、主制御部400は、払出枚数表示器35に「123」のアシスト情報(押し順情報)を示す「1」を表示させるとともに、演出制御コマンドとして、少なくとも指示モニタ番号を特定可能な指示モニタ番号情報を含む「指示モニタ番号コマンド」を演出制御部410に送信する(後述の図11のステップS112参照)。演出制御部410は、指示モニタ番号コマンドを受けて、たとえば、液晶表示装置6に押し順「123」を指示内容とするアシスト報知を現出させる。また本実施形態では、上述の「指示モニタ番号コマンド」の他、当選役情報を含む「当選役変換情報コマンド」も併せて送信する構成となっている(後述の図11の内部抽選処理中のステップS113参照)。この当選役変換情報コマンドは、予告演出やバトル演出等のゲーム中演出を現出する際に利用される。
なお、第1停止〜第3停止していく際、アシスト報知開始時の表示態様を継続して表示させてもよいが、少なくともアシスト報知としての機能を失うことがない表示態様、すなわち、次に停止させる回胴を特定可能な表示態様であれば、停止ボタン12の操作後の表示態様を、アシスト報知開始時の表示態様とは異なる表示態様とすることができる。たとえば、上記ケースのように、液晶表示装置6に「123」を表示するケースであれば、第1停止操作前は「123」を表示し、第1停止操作後は「*23」(少なくとも第2停止中が特定可能な表示)、第2停止操作後は「**3」(少なくとも次の第3停止右を特定可能な表示)といった表示態様とすることができる。
(遊技状態について)
次に図8を参照して、本実施形態に係る各種の遊技状態について説明する。図8は、遊技状態の内容と、遊技状態間の移行形態の概要を示す遊技状態遷移図である。ここで本発明の理解を容易なものとするために、先ず、各遊技状態間の移行制御の概要を説明しておく。以下では、説明の便宜のために、アシスト報知許容状態下ではない非AT遊技を「AT0遊技」と称し、遊技者はアシスト報知に従うものとして説明する。
本実施形態では、メインRAMクリア時や設定変更時やボーナス遊技が終了した後に、初期の遊技状態として、「初期遊技(RT0遊技+AT0遊技)」から開始されるようになっている。この初期遊技は、非AT遊技(AT0遊技)となっており、比較的高確率の押順ベル種別(抽選番号29〜40)に当選しても、有利入賞役側の‘中段ベル’のアシスト報知(以下、「中段ベルナビ」と略す)が発生せず、ベル溢し目が高確率で入賞しうる(図5B、図6C参照)。ベル溢し目が停止(入賞)した場合、遊技状態の移行が生じて、現在のRT0遊技からRT1遊技に移行され、遊技機全体として捉えた遊技状態が「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」に移行される。このように、初期遊技からは、比較的短いゲーム数で、通常遊技に移行されるようになっている。
通常遊技に移行した後は、図示のように、ボーナス遊技を経由しない限り、初期遊技には移行されず、基本的には、通常遊技、準備ART遊技、本ART遊技といったRT1遊技〜RT3遊技に関連する遊技状態を循環する遊技ルートを辿る。なお、初期遊技は、通常遊技と同様にAT遊技が発生しない「非AT遊技」に係る遊技状態であることから、初期遊技を通常遊技の一態様として扱ってもよい。また、初期遊技自体を設けなくてよく、この場合、初期遊技への移行ルートを通常遊技への移行ルートに置き換えれば良い。
上記通常遊技において、AT抽選契機役の当選を契機に、後述のAT抽選(図19)が実行される。このAT抽選に当選(AT当選)すると、後述の本ART遊技(疑似ボーナス)への移行成立条件が成立したとして、次ゲームからAT当選状態(AT当選フラグ成立状態)の遊技期間(準備ART移行前遊技)に移行する。このAT当選状態になると、本ART遊技移行へのRT2移行リプレイのアシスト報知およびRT3移行リプレイのアシスト報知の発生を許容する「昇格リプ報知条件」が成立する。したがって、AT当選状態中は、アシスト報知の発生が許容される「有利区間((アシスト機能に係る性能を有することができる区間))」となる。この「有利期間」は、指示機能の作動、RT中、内部中および役物等の作動中等のいかなる状態によらず、所定回数(1500回)の遊技の結果が得られた場合(1500ゲーム(規制ゲーム数)を消化した場合)、当該有利区間が終了(初期化処理)される。なお、有利期間中に特別役(BB1、BB2)当選した場合、BB入賞までのゲーム数は待機区間であるとして有利区間にカウントしないが、ボーナス遊技中のゲーム数は有利区間としてカウントされる。
上記AT当選状態において、RT2移行リプ種別(抽選番号2〜7)に当選すると、RT2移行リプレイの押し順がアシスト報知され(以下、「RT2移行リプナビ」と略す)、RT2移行リプレイの入賞を契機に「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」に移行される。リプレイ確率が通常遊技(RT0遊技)よりも高確率に変動する。なお、RT2移行リプ種別は、通常遊技(RT1遊技)の抽選対象役であるため、RT2移行リプアシスト報知は、通常遊技中に限り実行されることになる。
上記準備ART遊技中において、RT3昇格リプ種別(抽選番号11〜15)に当選すると、‘RT3昇格リプレイ’のアシスト報知(以下、「RT3昇格リプナビ」と略す)が発生し、RT3昇格リプレイの入賞を契機に「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」に移行される。なお、準備ART遊技中に、RT1転落リプ種別(抽選番号8〜10)に当選すると、‘通常リプレイ’のアシスト報知(以下、「通常リプナビ」と略す)が発生し、RT1遊技への転落移行が回避することができるようになっている。また押順ベル種別(抽選番号28〜40)に当選すると「中段ベルナビ」が発生する。これにより、準備ART遊技中は、遊技メダルを極力減らすことなく、「本ART遊技」(疑似ボーナス)に移行可能な遊技状態となっている。
上記本ART遊技中は、準備ART遊技と同じく、RT1転落リプ種別に当選すると「通常リプナビ」が発生し、押順ベル種別に当選すると「中段ベルナビ」が発生し、リプレイ確率が準備ART遊技と同一の遊技状態となっているが、RT1転落リプ種別の当選確率が準備ART遊技よりも低確率となっている。したがって、押し順ミスによるRT1遊技への転落可能性が相対的に低い点で、準備ART遊技よりも遊技者に有利に作用する遊技状態、つまり一般遊技状態のうち、遊技者に最も有利に作用する遊技状態となっている(たとえば、1ゲームあたり純増枚数約2枚)。この本ART遊技は、所定のゲーム数(たとえば、初期ゲーム数(保障ゲーム数)40G〜最大1500G(上乗せによる最大ARTゲーム数)が消化されるまで継続されるようになっている。
また本ART遊技中に所定の移行条件を満たすと、遊技者に有利に作用する「上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)」に移行される。この上乗せ特化ゾーン中は、ARTゲーム数を上乗せする上乗せゲーム数抽選(図21)が優遇され、ARTゲーム数が増加し易い有利な遊技状態となる。
なお準備ART遊技、本ART遊技、または上乗せ特化ゾーン中に、遊技者が押し順ミス等によりアシスト報知に従わず、転落契機役(転落リプレイ、ベル溢し目)が入賞してしまうと、現在のRT遊技から「RT1遊技」に転落移行される。ただし、発生中のAT遊技(AT1遊技〜AT3遊技)は、転落契機役が入賞したからといって終了されるわけではなく、転落移行した場合には、救済措置として、転落前の遊技状態に復帰する復帰ゲームが実行されるようになっている。この復帰ゲーム中は、RT2移行リプナビやRT3昇格リプナビが実行されるようになっており、RT1遊技に転落しても転落前の遊技状態に再移行できるようになっている。ただし、復帰するまでに消化したゲーム数は、ペナルティとして、ARTゲーム数から減算されるようになっている。
遊技状態の遷移は、端的に言えば、所定の昇格移行条件が成立すると、現在の遊技状態よりも相対的に遊技者に有利に作用する遊技状態へと昇格移行され、所定の転落条件が成立すると、その有利な遊技状態から、遊技者に不利な遊技状態へと移行されるようになっている。本実施形態では、「初期遊技≦通常遊技<準備ART遊技<本ART遊技(疑似ボーナス)」の関係で遊技者に付与される利益が相対的に高まるようになっている。
各遊技状態について詳細に説明する。ここでは本発明と関連の深い、「通常遊技」、「準備ART遊技」、「本ART遊技」について説明する。
(通常遊技について)
次に、「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」について説明する。
「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」は、初期遊技と同様にAT遊技が発生しない「非AT遊技」に係る遊技状態であり、初期遊技とリプレイ確率が略同一の遊技状態となっている。この通常遊技は、滞在期間が最も長い遊技状態となっており、遊技者は、主に、この通常遊技において「AT抽選」に当選するか否かに関心を寄せて遊技を楽しむようになっている。AT抽選は、主制御部400側において、特定の抽選対象役(AT抽選契機役)の当選を契機に図19に示す「AT抽選テーブル」を利用して実行される。
(AT抽選テーブル:図19)
図19に本実施形態に係るAT抽選テーブルを示す。AT抽選テーブルには、図示のように、遊技状態と特定の当選役種別(後述の役グループ番号で纏めたAT抽選契機役種別)とフリーズ種別とに応じたAT抽選確率が定められている。なお図中のセル内に示した数値(AT抽選値)は、抽選領域の大きさ(65536)に対する判定値(当選領域)の占有領域数であり、「AT抽選値/抽選領域の大きさ」がAT抽選確率となっている。
本実施形態に係るAT抽選は、現在の遊技状態がAT0遊技(初期遊技、通常遊技等)であること、「役グループ番号に属するAT抽選契機役」に当選したことが、その実行条件となっている。この「役グループ番号」とは、役に定められた性質・性能等を考慮して、抽選対象役をグループ分けしたものであり、本実施形態では、AT抽選契機役の種類ごとを対象にAT抽選を実行するのではなく、図19に示すように、グループ分けをした抽選対象役群(役グループ番号)を対象にAT抽選を実行するようになっている。端的に言えば、各役を性質・性能等に基づくグループ分けをし、そのグループ情報が当選役種別と対応関係があるものとして扱い、AT抽選を実行する際に利用する。このようにすれば、以下のような利点がある。なお、この役グループ番号は、図20示すフリーズ演出抽選や、図21に示す上乗せ抽選などを実行する際にも利用される。
既に説明したように、RT遊技およびAT遊技に関する制御やアシスト報知に関する制御については主制御部400側がその機能部を担い、主報知手段と副報知手段とを利用してアシスト報知を実行する構成となっている。また遊技性を豊富にするためには、多種多様な役が必要である。このため、主制御部400側の制御負担の増加を招く。そこで本実施形態では、役が持つ性質・性能等を考慮して、同一または類似する性質・性能を持つ役同士をグループ化し、実際の当選役の種類数よりも少ない種類数に分類した「役グループ番号」を利用して、AT抽選やフリーズ演出抽選等を実行している。このようにすれば、AT抽選契機役を数多く設けた場合であっても、それら全ての役に対して、無闇に抽選確率データを定める必要が無く、プログラムの削減・抽選処理の負担軽減等に寄与し、以って主制御部400側の制御負担を軽減することができる。
(役グループ番号について:図22A、図22B)
上記した‘グループ分け’の仕方については、どのような抽選に利用するかによっても異なるものであるが、主に、次の点を考慮することができる。たとえば、「配当の関係(たとえば、遊技価値の軽重、共通の遊技価値を付与するものであるか否か、遊技状態に応じて遊技価値が変動するものであるか否かなど)」、「リプレイ役種、小役種、および特別役種のいずれのカテゴリーに属する役であるか」、「押順不問役(押順不問小役、押順不問再遊技役)に属する役であるか、押順規定役(押順規定小役、押順規定再遊技役)に属する役であるか」等である。本実施形態の場合、以下のようなグループ分けとなっている(図19〜図21、図22A〜図22B参照)。
(A)ハズレ(抽選番号0)は「役グループ番号0」、
(B)通常リプレイ、RT2移行リプ種別、RT1転落リプ種別およびRT3昇格リプ種別(抽選番号1〜15)は「役グループ番号1」、
(C)7リプレイ〜BARリプフェイク(抽選番号16〜19)は、「役グループ番号2〜5」
(D)弱チャンス1〜最強チェリー(抽選番号20〜26)は、それぞれ「役グループ番号6〜12」、
(E)共通ベルAは「役グループ番号13」、
(F)チャンスベルは「役グループ番号14」、
(G)押順ベル種別は「役グループ番号15」、
(E)特別役種は、「役グループ番号16」、
といった具合である。
図19のAT抽選テーブルの説明に戻る。AT抽選確率は、後述のフリーズ演出種別(未発生、Sフリーズ、Lフリーズ)に関連した抽選確率が設定されており、同一のAT抽選契機役であっても、フリーズの有無やフリーズ種別によって、AT抽選確率が変動するようになっている。したがって、AT抽選処理上は、まず後述の図20(イ)に示す「通常遊技中用フリーズ演出抽選テーブル」に基づくフリーズ演出抽選を実行し、そのフリーズ抽選結果と、図19に示す「AT抽選テーブル」とに基づき、AT抽選が実行されることになる。
上記AT抽選は、基本的には、内部抽選確率が低確率な当選役種別ほど、また低確率で発生するフリーズ演出種別ほど、AT抽選が優遇される(高確率でAT抽選に当選する)が、例外を設けてある(たとえば、チャンスベル)。本実施形態では、図示の通り、「リプレイ、押順ベル、チャンスベル、弱チャンス1、弱チャンス2、弱チェリー、強チェリー、強チャンス、最強チェリー」の順でAT抽選に当選し易い、すなわち、AT当選期待度が高まるようになっている。またAT抽選確率は、フリーズ演出を伴わないフリーズ演出(未発生(非実行)」の場合よりもフリーズ演出(Sフリーズ、Lフリーズ)を伴う場合の方が高確率で当選するようになっている。
なお、プレミアム役的な位置付けの最強チェリーに関しては、最強チェリーが当選した時点で、フリーズ演出種別によらず、AT抽選当確となっている。また「最強チェリー」が当選した場合、「AT当確」に加え(第1特典)、後述の本ART遊技の継続率が相対的に高い継続率(たとえば、継続率80%:第2特典)が付与したり、ARTゲーム数が、初期ゲームよりも多いゲーム数から開始したりするなどの追加的な特典を付与してもよい。また、重複BB役(抽選番号42〜44、46〜48)が当選した場合、重複当選となる一般役種別に対応したAT抽選が実行される(後述のフリーズ演出抽選(図20)および上乗せ抽選(図21)も同様)。たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」の場合、強チャンスを対象としたAT抽選が実行される。AT当選の場合は‘AT抽選当選状態’に設定され、BB1のボーナス遊技が終了した後、本ART遊技への移行が約束されるようになっている。また、グループ番号14のチャンスベル(抽選番号28)と、グループ番号15の押順ベル種別(抽選番号29〜40)については、押し順正解時、つまり「中段ベル」の入賞があった場合に限り、AT抽選が実行されるようになっている。これにより、過度なAT抽選機会が付与されてしまうことを防止している。
(フリーズ演出について)
次に上記フリーズ演出について説明する。本実施形態では、所定の条件に基づいて、遊技機に係る遊技進行を通常の遊技進行よりも遅延させる(たとえば、所定の遊技動作処理を所定のフリーズ時間進行しないようにする)フリーズ状態に制御可能に構成されている。このフリーズ状態は、主として、所定の遊技動作処理を所定時間進行しないようにして、通常よりも遊技進行を遅延させた遅延状態下に制御することにより発生される。このフリーズ状態の期間を利用して現出される演出を「フリーズ演出」と称する。
フリーズ演出には、回胴を利用した「回胴演出(フリーズ中メイン側演出)」と、演出手段(たとえば、装飾ランプ、演出用LED、液晶表示装置、スピーカなど)を利用した「フリーズ中演出(フリーズ中サブ側演出)」とが含まれる。
上記「回胴演出(リール演出)」とは、フリーズ状態中における回胴の動的な動きまたは静的な動き、あるいはそれら組合せを利用した演出を意味する。「回胴の動的な動き」とは、少なくとも1つの回胴が所定の動作パターンで回転動作を行う「変則回転動作(変則回転)」を指す。変則回転の代表的なものは、回胴の逆回転、逆方向への寸動、逆方向から順方向に回転して逆方向に戻る折り返し運動、各回胴が時間的にずれて次々と逆方向に回転開始する変則スタート、低速順回転などである。また「回胴の静的な動き」とは、フリーズ状態中に、全回胴が静止状態にいること、つまりフリーズ状態中に静止している「無回転動作」を意味する。
また上記「フリーズ中演出」とは、回胴による演出ではなく、演出手段を利用した演出を意味する。このフリーズ中演出は、通常、回胴演出に付随して現出され、音演出、光演出、画像表示演出、および可動体演出のうち少なくとも1の演出を用いて、インパクトのある演出を現出させる。たとえば、衝撃音や、強烈なフラッシュを発生する閃光演出、液晶画面全体をブラックアウトするブラックアウト演出、可動体役物が特殊なパターンで動作する、などの演出態様などがある。ただし、フリーズ状態が発生したからといって、必ずしもフリーズ中演出が発生するとは限らない。フリーズ中演出が何ら発生しなくとも、無回転動作や変則回転動作による「回胴演出」の発生それ自体が遊技者に違和感を与えるという観点から、回胴演出だけの発生で「フリーズ演出」をなすことができる。
本実施形態では、上記フリーズ状態の一例として、「回胴回転開始時フリーズ(レバーオン時フリーズ)」を採用している。この回胴回転開始時フリーズとは、始動レバー11の本来の目的の操作、つまり通常時において回胴を回転始動させる目的で行う始動レバー11操作を検出したことを契機として、遊技進行上の次の段階である操作または処理(回胴の通常回転の開始)を遅延対象として、これを有効化するタイミングを所定のフリーズ時間だけ遅延させ、結果として、遊技の進行を一時的に中断(フリーズ)させる制御である。したがって、フリーズ時間が終了したことが、この回胴回転開始時フリーズの終了契機となる。
本実施形態では「回胴回転開始時フリーズ」を利用し、「Sフリーズ(ショートフリーズ)」、「Lフリーズ(ロングフリーズ)」、「SPフリーズ(スペシャルフリーズ)」といった複数種類のフリーズ演出を発生可能に構成されている。
「Sフリーズ」は、始動レバー11の操作後、所定のフリーズ時間(たとえば、1秒)において、「変則回転」動作による回胴演出(変則回転回胴演出)を含むフリーズ演出となっている。「Lフリーズ」は、上述のSフリーズと同じく、「変則回転回胴演出」を含むものであるが、Sフリーズに係るフリーズ時間および回胴演出における回胴の回転動作が異なるものとなっている。「SPフリーズ」は、始動レバー11の操作後、所定のフリーズ時間(たとえば、2秒)だけ回胴を無回転動作とする回胴演出(無回転回胴演出)含むフリーズ演出となっている。なお、いずれのフリーズ演出もフリーズ中サブ側演出を伴うことができる。
なお「フリーズ状態」は、「回胴回転開始時フリーズ(レバーオン時フリーズ)」に限らず、停止ボタン12(停止ボタン12a、12b、および12cの少なくともいずれか一つ)の停止操作を契機に所定のフリーズ時間だけフリーズ状態とする「停止操作時フリーズ」や、全回胴停止後に所定のフリーズ時間だけフリーズ状態とする「全回胴停止後フリーズ」などを採用してもよい。また、これらのフリーズを1または複数組合せたものを採用してもよい。
(フリーズ演出抽選)
上記した各フリーズ演出(Sフリーズ〜SPフリーズ)は、フリーズ演出抽選に基づいて、その発生の有無が決定される。このフリーズ演出抽選は、主制御部400側において、図20に示す「フリーズ演出抽選テーブル」に基づいて実行される。
(フリーズ演出抽選テーブル:図20)
図20に本実施形態に係るフリーズ演出抽選テーブルを示す。図20(イ)は、AT0遊技(非AT遊技)の初期遊技または通常遊技)で利用される「通常遊技中用フリーズ演出抽選テーブル」、図20(ロ)は、後述の上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)で利用される「上乗せ特化ゾーン用フリーズ演出抽選テーブル」の一例を示したものである。なお、図中のセル内に示した数値は、抽選領域の大きさ(65536)に対する判定値(当選領域)の占有領域数であり、「判定値/抽選領域の大きさ」が、フリーズ演出種別(未発生、Sフリーズ、Lフリーズ)に対応した抽選確率となっている。
フリーズ演出抽選テーブルは、図示のように、遊技状態と当選役とに応じたフリーズ演出種別の抽選確率が定められており、図20(イ)の通常遊技中用フリーズ演出抽選テーブルの場合は、フリーズ演出未発生(フリーズ抽選ハズレ)、Sフリーズ、Lフリーズのいずれかが抽選対象とされ、図20(ロ)の上乗せ特化ゾーン用フリーズ演出抽選テーブルの場合は、フリーズ演出未発生またはSPフリーズが抽選対象とされる。なお、通常遊技中用フリーズ演出抽選による抽選結果は、既に説明したように、AT抽選に利用されるため、フリーズ抽選条件については、図20(イ)のフリーズ抽選条件の欄に示す通り、AT抽選条件と同じ遊技状態、同じ当選役種別(役グループ番号)となっている。
図20(イ)のフリーズ演出抽選テーブルは、基本的には、内部抽選確率が低確率な当選役種別ほど、フリーズ演出の発生確率が高く、また、SフリーズよりもLフリーズの抽選確率が高く定められている。なお、AT抽選契機役の種類やフリーズ演出抽選契機役の種類、AT抽選確率やフリーズ演出の抽選確率については、特に制限されず、遊技性に応じて適宜変更することができる。
(準備ART移行前遊技)
上記AT抽選に当選した場合、本ART遊技への移行権利を獲得した旨を報知する「疑似ボーナス当選報知演出」が実行される。また既に説明したように、AT抽選に当選すると、AT当選状態となってAT1遊技が発生し、遊技状態が「準備ART移行前遊技(RT1遊技+AT1遊技)」に移行される。この準備ART移行前遊技において、RT2移行リプ種別に当選すると、AT1遊技の作用により、「RT2移行リプナビ」が発生し、遊技者がこのアシスト報知に従い停止操作を行えば、RT2移行リプレイが入賞して、RT遊技状態が、現在のRT1遊技からRT2遊技に昇格移行される。これにより、遊技状態(AT遊技状態+RT遊技状態)は、現在の「準備ART移行前遊技(RT1遊技+AT1遊技)」から「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」に移行されることになる。なお上記した「有利区間」は、AT当選ゲームの次ゲームからカウントが開始される。すなわち、通常遊技中のAT当選状態である「準備ART移行前遊技」から「本ART遊技」に移行するまでに要したゲーム数が、この有利区間としてカウントされる。具体的には、今回のゲームでAT抽選に当選した場合、次ゲームから準備ART移行前遊技となるが、この準備ART移行前遊技中から準備ART遊技中への移行に10ゲーム要し、準備ART遊技中から本ART遊技への移行に15ゲーム要したとすれば、計25ゲームが有利区間としてカウントされることになる。
なお、準備ART移行前遊技中は、押順ベル種別(抽選番号29〜40)に当選すると「中段ベルナビ」も発生する。これにより、AT当選状態が発生してからRT2移行リプ種別を入賞させるまでの期間は、遊技メダルを極力減らすことなく「準備ART遊技」に移行可能となっている。しかし「RT2移行リプナビ」が発生した際に、遊技者が故意にRT2移行リプレイの入賞を回避させ、通常リプレイを入賞させることでゲームを意図的に延長させつつ、押順ベル種別の当選、つまり「中段ベルナビ」を待ち、中段ベルを獲得して利益を増やしていく、といった技術介入要素が生まれる恐れがある。そこで、ここでのアシスト報知は、「役秘匿アシスト報知」を現出させるようになっている。たとえば、RT2移行リプ123、押順ベル123A、または押し順123Bのいずれかが当選した場合、アシスト報知の内容は、いずれの場合も、払出枚数表示器35(主報知手段)には「123」の押し順を示す「1」を表示し、他方、液晶表示装置6(副報知手段)の液晶画面には「123」のアシスト情報を示す画像演出を表示する(図22A〜図22Bの指示モニタ番号の対応記載欄、図18参照)。しかし、副報知手段に係る画像演出には、当選役情報が判明してしまうような演出は現出しない。勿論、画像演出の他、音演出および/または光演出を副報知手段として利用する場合、これらの演出においても当選役情報が判明してしまうような演出は現出しない(後述の「本ART遊技」における特定の当選役のアシスト報知についても同様)。さらに、RT1遊技下ではハズレ確率も高く設定されているため、ハズレ確率と上記役秘匿アシスト報知とが相まって、遊技者が故意にアシスト報知に従わない場合、単位ゲーム当りの遊技メダルの純増枚数がマイナスに傾くようにして遊技者が不利益を被るようにし、上述の技術介入要素が無意味なものとなるようにしている。
(第1昇格通常遊技)
上記のように「AT1遊技」は、AT抽選に当選したことを条件に発生し、AT抽選に当選しない限りは、「RT2移行リプナビ」は実行されない。したがって、AT抽選に当選するまでの遊技状態は、基本的には、「通常遊技(RT1遊技+AT0遊技)」に滞在することになる。しかし通常遊技中であっても、RT2移行リプ種別が当選した際の遊技者の恣意的な停止操作により、RT2移行リプレイが入賞して、RT1遊技からRT2遊技に昇格移行される場合がある。ただしこの場合は、「AT抽選非当選時」に昇格移行したとして、AT遊技が発生せずに(「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」とはならずに)、遊技状態は「RT2遊技+AT0遊技」という「第1昇格通常遊技」とされる。この「第1昇格通常遊技」は、RT2遊技下であるため、「転落リプレイ」の入賞を許容するRT3昇格リプ種別やRT1転落リプ種別、また「ベル溢し目」の入賞を許容する押順ベル種別の多くの役が抽選対象とされ、これらのいずれかの役が高確率で当選するようになっている(図5A、図5B参照)。またこれらの役に当選しても、転落リプレイやベル溢し目を回避する押し順は報知されない。したがって、比較的短いゲーム数で通常遊技に再移行されるようになっている。
(第2昇格通常遊技)
また稀なケースであるが、第1昇格通常遊技中にRT3昇格リプ種別(抽選番号11〜15)が当選した際に遊技者の恣意的な停止操作により、RT3昇格リプレイが入賞して、RT2遊技からRT3遊技に昇格移行される場合がある。しかしこの場合も、「AT抽選非当選時」に昇格移行したとして、AT遊技が発生せずに(後述の「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」とはならずに)、遊技状態は「RT3遊技+AT0遊技」という「第2昇格通常遊技」とされる。この第2昇格通常遊技はRT3遊技下であるため、RT2遊技下のような、RT1転落リプ種別やRT3昇格リプ種別が抽選対象役とはならないが、ベル溢し目の入賞を許容する押順ベル種別は抽選対象役となっており、当該押順ベル種別が比較的高確率で当選するようになっている(図4A、図4B参照)。しかし、押順ベル種別が当選しても「ベル溢し目」を回避する押し順が報知されない。したがって、第2昇格通常遊技に移行しても、比較的短いゲーム数で、通常遊技に再移行されるようになっている。
このように、遊技状態が上記第1昇格通常遊技または第2昇格通常遊技となっても、AT抽選非当選状態であれば、RT1遊技に容易に転落移行させて通常遊技に戻るようにしている。これにより、RT2遊技やRT3遊技のような高確率RT遊技が長いゲーム数にわたって継続することを防止し、遊技機の設計上、想定外の利益が遊技者に付与されることを防止している。
勿論、上述の第1および第2昇格通常遊技に移行しても、AT抽選契機役に当選すれば、AT抽選は実行されるようになっている。特に本実施形態の場合、AT抽選契機役は、RT1〜3遊技で共通の抽選対象役として定められているため、特段、遊技者に対して不利益に作用するペナルティは設けていない。なお、第1および第2昇格通常遊技の滞在期間は短期間であることを利用し、これら遊技状態を所謂「AT抽選高確率当選ゾーン」として作用させることができる。たとえば、RT3遊技に係る第2昇格通常遊技中であれば、他のRT遊技では内部抽選対象外の7リプレイやBARリプレイ等を「AT抽選契機役」として加え、通常遊技よりもAT抽選を優遇してもよい。逆に、第1および第2昇格通常遊技においてAT抽選を実行しない構成としてもよいし、通常遊技よりもAT抽選確率が相対的に低確率となるように構成しても良い。
(準備ART遊技)
次に、「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」について説明する。
上記したように、準備ART移行前遊技においてRT2移行リプレイが入賞した場合、「準備ART遊技(RT2遊技+AT1遊技)」に移行される。この準備ART遊技中は、AT1遊技の作用により、RT3昇格リプ種別が当選すると「RT3昇格リプナビ」が、RT1転落リプ種別が当選すると「通常リプナビ」が、押順ベル種別が当選すると「中段ベルナビ」が発生する。そして、RT3昇格リプレイが入賞した場合には、RT遊技状態がRT2遊技からRT3遊技に昇格移行されるとともに、AT遊技状態がAT1遊技からAT2遊技に昇格移行され、遊技状態は、準備ART遊技から「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」に移行される。また準備ART遊技中のアシスト報知については、上記準備ART移行前遊技とケースと同じように、「役秘匿アシスト報知」を現出させる。たとえば、RT1転落リプ2XXまたはRT3昇格リプ213に当選した場合、アシスト報知の内容として、払出枚数表示器35(主報知手段)には、いずれの場合も押し順「213」を指示する「3」を表示し、他方、液晶表示装置6(副報知手段)の液晶画面には、「213」のアシスト情報(押し順情報)を示す画像演出を表示する(図22Aの指示テーブル、図18の表示例参照)。しかし、画像演出には、当選役情報が判明してしまうような演出を現出させない。したがって払出枚数表示器35と液晶表示装置6とを見ても、遊技者は押し順情報しか知ることができず、「RT1転落リプ2XX」および「RT3昇格リプ213」のいずれのリプレイ役に当選したのかまでは知ることができず、アシスト報知に従わない場合には、転落リプレイが入賞する可能性がある。このため、遊技者は積極的にアシスト報知に従うことになる。なお、特定の当選役のアシスト報知について当選役情報を報知しない点は、上記準備ART移行前遊技と同じである。
(本ART遊技について:疑似ボーナス遊技)
次に、「本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)」について説明する。
この本ART遊技中は、リプレイ確率が全RT遊技中最も高く、またAT2遊技の作用により、押順ベル種別(チャンスベルを含む)が当選すると‘中段ベルナビ’が発生し、1ゲームあたりの平均純増枚数が通常遊技よりも飛躍的に高まる「疑似ボーナス」として働く遊技状態である。また本ART遊技中は、図5Bの役抽選テーブルに示すように、RT1遊技からRT3遊技の移行に要したRT2移行リプレイ種別やRT3昇格リプレイ種別やRT1転落リプレイ種別が抽選対象から除外されているため、中段ベルナビに従う限り、RT1遊技への転落移行は回避することができる。また本ART遊技中は、再遊技役種別や押順ベル種別等が高確率で当選するため、その再遊技付与動作や払出動作により遊技消化スピードが遅延しがちになり、遊技者の中には、遊技の消化スピードに不満を感じる者も多い。そこで本ART遊技中は、遊技性を損なうことなく遊技消化スピードを高めるべく、闇雲にフリーズを発生させない「フリーズ演出未発生遊技状態」とし、フリーズ演出抽選の実行を禁止している(図20参照)。
(ARTゲーム数(本ART遊技の継続ゲーム数))
ARTゲーム数は、本ART遊技移行が決定されるRT3昇格リプレイの入賞を契機に、たとえば「40ゲーム」が設定される。この40ゲームは、ARTゲーム数のデフォルト値、つまり、何ら上乗せがない場合の1セット分のゲーム数であり、AT抽選に当選した場合にARTゲーム数として最低限保障される本ART遊技状態が維持されるゲーム数である。ARTゲーム数は、主制御部400側(AT遊技制御手段)で管理される。なお本ART遊技中において、有利区間移行後に上限ゲーム数(1500ゲーム)に達した場合は、たとえ、ARTゲーム数が残存していたとしても強制的に有利区間が終了される。つまり、AT遊技(AT2遊技)が強制的に終了されて、現在の本ART遊技から「第2昇格通常遊技(RT3+AT0遊技)」に移行されることになる。したがって、ARTゲーム数の実体は、AT2遊技のゲーム数といえる。
(ARTゲーム数が終了した場合)
本実施形態では、ARTゲーム数の最終ゲームにおいて所定の継続抽選(たとえば、50%で継続)に当選した場合に、再度、1セット分の40ゲームが設定され、本ART遊技が継続可能となっている。ただし上記上限ゲーム数(規制ゲーム数)を超えて継続することはなく、当該上限ゲーム数の終了を以って、本ART遊技が終了(AT2遊技が終了)される。なお、上記継続抽選を行うタイミングは、ARTゲーム数が消化されるまでであれば、そのタイミングは特に制限されない。また継続率は50%に限らず、複数種類の継続率(たとえば、継続率50%、65%、80%)を設け、AT抽選に当選したことを契機に、所定の継続率抽選を実行し、いずれかの継続率を決定してもよい。各継続率の抽選確率は、たとえば、役グループ番号(当選役種別)に応じて抽選確率を適宜定めることができる。
(ARTゲーム数の上乗せについて)
本実施形態では、ARTゲーム数に対して、所定の抽選契機の下、所定のゲーム数を上乗せするための「上乗せ抽選」が実行されるようになっている。この上乗せ抽選は、図21に示す「ART中上乗せ抽選テーブル」に基づいて実行される。
(ART中上乗せ抽選テーブル:図21(イ))
図21(イ)に、ART中上乗せ抽選テーブルを示す。ART中上乗せ抽選テーブルには、図示の通り、特定の当選役種別(役グループ番号)に応じて、上乗せゲーム数とその抽選確率とが関連付けて定められている。上乗せ抽選に当選すると、現在の残余ARTゲーム数に対し、上乗せゲーム数が上乗せ(加算)される。これにより、1セット40ゲームだったARTゲーム数が延長され、遊技者に更なる利益をもたらすことになる。また、上乗せがあった場合には、上乗せゲーム数を報知する「上乗せ演出」が現出される。なお、上乗せ抽選に関し、上乗せ抽選契機役の種類、上乗せゲーム数、その抽選確率は、遊技性に応じて適宜定めることができる。
(本ART遊技中の特定の当選役に関するアシスト報知)
本ART遊技中は、準備ART遊技中と同じように、役秘匿アシスト報知が実行され、当選役種別が秘匿されるようになっている。ここで、7リプレイ、7リプフェイク、BARリプレイ、またはBARリプフェイクが当選した場合、いずれも指示モニタ番号「6」が選択され、また押順ベル321Aや押順ベル321Bが当選した場合も同じ指示モニタ番号「6」が選択される(図22Aの指示モニタ番号の指示有り区間1の対応記載欄参照)。これを利用し、7リプレイ等が当選しても、アシスト報知に係る演出(アシスト演出)に関しては押順ベル321A等が当選したかのように装う一方、上乗せ抽選に当選した場合は、回胴の停止操作または入賞時、あるいは次回のゲーム開始時において、インパクトのある専用の演出を現出し、遊技者に対して意表を突く形で、上乗せの事実が報知されるようになっている。
(上乗せ特化ゾーンについて)
次に、「上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)」について説明する。
この上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)は、本ART遊技中において、所定の移行条件が成立した場合に移行される。本実施形態の場合、上乗せ特化ゾーンへの移行条件を、レア役に属する強チェリー、強チャンスおよび最強チェリーのいずれかに当選し、かつ所定の移行抽選に当選した場合としている。上記移行抽選は、たとえば、強チェリー当選時の5%、強チャンス当選時の25%、最強チェリー当選時の100%で移行抽選当選となる。この移行抽選当選となった場合、AT遊技をAT2遊技からAT3遊技に昇格移行させ、その旨を報知するとともに、次回ゲーム以降から上乗せ特化ゾーンに突入させる。
上乗せ特化ゾーン中は、本ART遊技中よりも「上乗せ抽選」が非常に優遇されたものとなっている(図21(ロ)参照)。したがって、上乗せ特化ゾーン中において、如何に多くの上乗せゲーム数を獲得できるかにより、遊技者の利益は大きく左右される。
上乗せ特化ゾーンにおける上乗せ抽選(以下、「特化ゾーン上乗せ抽選」と称する)は、主制御部400側にて、図21(ロ)に示す「上乗せ特化ゾーン中用上乗せ抽選テーブル」に基づいて実行される。
(上乗せ特化ゾーン中用上乗せ抽選テーブル:図21(ロ))
図21(ロ)に、上乗せ特化ゾーン中用上乗せ抽選テーブルを示す。この上乗せ抽選テーブルの基本構成は、図21(イ)の「ART中上乗せ抽選テーブル」と同じであり、図示の通り、上乗せ抽選契機種別(役グループ番号)に応じて、上乗せゲーム数とその抽選確率とが関連付けて定められている。
本実施形態に係る特化ゾーン上乗せ抽選では、図21(ロ)から分かるように、特に「7リプレイ」、「BARリプレイ」、「強チェリー」、「最強チェリー」の上乗せ抽選が優遇されており、上乗せ確率および上乗せゲーム数が、他の上乗せ抽選契機(役グループ番号)よりも相対的に有利なものとなっている。
(上乗せ特化ゾーン中の「7リプレイ」、「BARリプレイ」に関するフリーズ演出と、アシスト報知について)
ここで本実施形態の上乗せ特化ゾーンには、次のような特徴を持たせてある。図21(ロ)に示す通り、「7リプレイ」または「BARリプレイ」は、上乗せ抽選が優遇されているため、遊技者の関心は、これら役に当選することに向けられる。そこで本実施形態では、「7リプレイ」または「BARリプレイ」の当選期待感を煽るため、7リプレイ、7リプフェイク、BARリプレイまたはBARリプフェイクのいずれの役が当選しても、インパクトのある音演出(衝撃音)および光演出(閃光演出)を伴う「SPフリーズ」が発生するようになっている(図20(ロ)参照)。7リプフェイクとBARリプフェイクを含めてSPフリーズの発生対象とするのは、既に説明したように、「7リプフェイク」や「BARリプフェイク」は、7リプレイやBARリプレイの当選期待感を煽る役として働くものであり、これらのフェイク役を含めて、SPフリーズを発生させ、7リプレイやBARリプレイに対する遊技者の当選期待感を煽るようになっている。
また、7リプレイ、7リプフェイク、BARリプレイ、BARリプフェイクに関するアシスト報知について、上乗せ特化ゾーン中に、「7リプレイ」または「7リプフェイク」が当選した場合には、指示モニタ番号‘7’が選択されるので、アシスト報知として、払出枚数表示器35に「7」、液晶表示装置には「←7を狙え」が表示され、「BARリプレイ」または「BARリプフェイク」が当選した場合には、指示モニタ番号‘8’が選択されるので、アシスト報知として、払出枚数表示器35に「8」、液晶表示装置には「←BARを狙え」が表示される(図22Aの指示モニタ番号の欄、図18の表示例参照)。したがって、SPフリーズとともに「←7を狙え」や「←BARを狙え」のアシスト報知が発生した場合、遊技者は「7リプレイ」や「BARリプレイ」の当選に大きな期待を寄せながら、回胴を慎重に停止操作に臨むようになる。
(上乗せ特化ゾーン中のチェリー役種別に関するフリーズ演出、アシスト報知について)
また「強チェリー」も上乗せ抽選が優遇されており、特に「最強チェリー」は全役のうち最も上乗せ抽選が優遇されている。最強チェリーに当選した場合、図20(ロ)に示すように、上乗せ抽選当確、かつ最高ゲーム数の「100ゲーム」が選択されるようになっている。このため、上乗せ特化ゾーン中の遊技者の関心事は、上述した「7リプレイ」や「BARリプレイ」と同じく、「強チェリー」や「最強チェリー」に当選することにも向けられる。ここで、チェリー役種別(弱チェリー、強チェリー、最強チェリー)には、既に説明したように、停止目に関し次のような関係がある。
(α)停止操作手順に応じて、いずれも共通の「チェリー溢し目」が出現する場合がある。
(β)「弱チェリー」が当選した場合、弱チェリーの取りこぼし目として「強チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。また強チェリーが当選した場合、強チェリーの取りこぼし目として「弱チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある。また最強チェリーが当選した場合、最強チェリーの取りこぼし目として「強チェリー(チェリー共通停止目)」が出現する場合がある(図6Bの強チェリー、最強チェリーの欄、図6Bの備考欄参照)、という各チェリー役同士で共通性のある停止目が出現するようになっている。
そこで、この共通性のある停止目が出現する点に着目し、強チェリーや最強チェリーの当選期待感を煽るため、チェリー役種別が当選した場合、SPフリーズを発生可能とし(図20(ロ)参照)、また弱チェリー、強チェリー、最強チェリーのいずれか当選しても、アシスト報知は実行しないが(指示モニタ番号0:図22Aの指示モニタ番号の指示有り区間2参照)、SPフリーズの発生に伴い、チェリー役種別が当選したことを報知する「チェリー予告」を発生させるようにしている。これにより、「SPフリーズ+チェリー予告」が発生すれば、遊技者は、回胴の停止操作に対して緊張感が高まることになる。
また各チェリー役同士で共通性のある停止目が出現することを知る遊技者上級者であれば、故意にチェリー共通停止目やチェリー溢し目等を出現させ、いずれのチェリー役が当選したのかを不明にし、上乗せ演出が発生するか否かを楽しむことができる。なお、弱チェリーまたは強チェリーが当選した場合には、必ずしもSPフリーズを発生させるわけでなく、所定の確率でSPフリーズを発生させるようになっている(図20(ロ)の弱チェリー、強チェリーの欄参照)。これは、フリーズ演出を闇雲に発生させることにより、強チェリーや最強チェリーの当選期待感が下がることを防止するためである。
なお既に説明したように、7リプレイやBARリプレイ等やチェリー役種当選時に、停止操作手順ミス(押し順ミス、目押しミス)があっても、上乗せ抽選の権利およびその当選による上乗せゲーム数の権利は失われず、目押し技術の巧拙に応じて、遊技者に対して不利に作用することがないようになっている。
上記した上乗せ特化ゾーンは、所定のゲーム数(たとえば、20ゲーム)を消化した場合に終了される。上乗せ特化ゾーン(RT3遊技+AT3遊技)が終了すると、本ART遊技(RT3遊技+AT2遊技)に再移行されるようになっている。なお、ARTゲーム数に係る上限ゲーム数(1500ゲーム)の関係上、上限ゲーム数間近で(たとえば、1450ゲーム消化時)、上乗せ特化ゾーンに突入してしまうと、直ちに、ARTゲーム数が上限ゲーム数に達してしまい、折角の上乗せ特化ゾーンの機能が失われ、特に、遊技者に「引き損感」を与えてしまい、遊技興趣が著しく低下する恐れがある。そこで、上乗せ特化ゾーンへの移行条件として、現在の有利区間消化ゲーム数を考慮して、移行条件を定めることが好ましい。たとえば、現在の有利区間の残余ゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、200ゲーム(図20(ロ)に示す最大上乗せゲームの100ゲーム分の上乗せが許容される残余ゲーム数))に達した場合は、上乗せ特化ゾーンへの移行を制限(禁止)する。具体的には、移行抽選自体を禁止したり、移行抽選を実行しても抽選結果を無効とするなどの移行抽選禁止処理を実行可能な構成とする。また、本ART遊技中の通常の上乗せ抽選についても、当該抽選を禁止する上乗せ抽選禁止処理を設けることが好ましい。ただし、上乗せ特化ゾーンと本ART遊技中とでは、上乗せの有利度合が異なるので、たとえば、本ART遊技中の上乗せ抽選禁止処理の実行開始ゲーム数を50ゲーム(図20(イ)に示す最大上乗せゲームの30ゲーム分の上乗せが許容される残余ゲーム数))とし、移行抽選禁止処理の実行開始ゲーム数を200ゲームとする等、禁止処理の実行開始ゲーム数を異ならせることが好ましい。
<遊技動作制御処理>
次に、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技動作制御に関する処理内容について詳細に説明する。
<主制御部側の処理:図9〜図16>
まず図9〜図16を参照して、遊技動作を統括的に司る主制御部400側の処理内容について説明する。本処理はメインCPU401cにより実行されるものであるが、説明の便宜上、処理を実行する主体を主制御部400と称して説明する。
(1.主制御側メイン処理:図9)
図9は、遊技動作制御プログラムに従い主制御部400側のメイン処理(主制御側メイン処理)を示すフローチャートである。
遊技機に電源が投入されると、図示しない「電源基板」から各基板に電源が供給されるとともに、電源が投入された旨の電源投入信号が送られる。この電源投入信号を受けて主制御部400(メインCPU401c)は、図9に示す主制御側メイン処理を開始する。この主制御側メイン処理では、電源投入時の初めての処理としてステップS12の初期設定処理が実行され、それ以外の場合には正常動作時の処理としてステップS13〜S16の処理がループ状に実行される。
図9おいて、主制御部400は、電源投入が行われてから初めての処理として、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS12)。
上記の初期設定処理が正常に終了した後は、正常動作時の処理として、まずゲーム処理を行う(ステップS13)。このゲーム処理では、賭数の監視や始動レバー11の操作の有無の監視、また内部抽選処理(役抽選)やAT抽選処理やフリーズ演出抽選処理等、今回のゲーム進行に要する種々の処理を実行する。このゲーム処理の詳細については、図10A〜図10Bにて後述する。
ステップS13のゲーム処理を終えると、次いで、ボーナス遊技中か否かを判定する(ステップS14)。ボーナス遊技中である場合(ステップS14:YES)、ボーナス遊技作動中処理を実行する(ステップS17)。このボーナス遊技作動中処理では、ボーナス遊技中の払い出し枚数を監視し、ボーナス遊技の継続およびその終了に要求される処理を行う。ボーナス遊技中の払い出し枚数は、ボーナス遊技中払出枚数カウンタにより管理される。そして、ボーナス遊技作動中処理を終えると、ステップS13のゲーム処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
一方、ボーナス遊技中でない場合(ステップS14:NO)、次に、ボーナス役が有効入賞ライン上に停止したか否かを判定する(ステップS15)。
ボーナス役が有効入賞ライン上に停止した場合(ステップS15:YES)、ボーナス遊技開始時の各種設定を実行する(ステップS18:ボーナス遊技作動開始処理)。ここでは、上記ボーナス遊技開始時の各種設定として、ボーナス開始演出時間の設定、上記ボーナス遊技中払出枚数カウンタのクリア、ボーナス当選フラグのクリア、遊技状態をボーナス遊技中に設定する、などの処理である。また演出制御コマンドとして、ボーナス遊技が開始された旨を示す「ボーナス開始コマンド」をセットする。これにより、次回ゲームからボーナス遊技が開始されることになる。このボーナス遊技作動開始処理を終えると、ステップS13のゲーム処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
しかし、ボーナス役が有効入賞ライン上に停止していない場合(ステップS15:NO)、次いで、「再遊技・RT状態管理処理」を実行する(ステップS16)。この再遊技・RT状態管理処理では、RT移行条件に基づく、一のRT遊技から他のRT遊技への移行制御処理を実行する。本実施形態では、今回のゲーム結果に応じて、RT0遊技〜RT4遊技(BB内部当選遊技)間の移行制御に要する処理が実行される(RT遊技移行管理処理)。現在のRT遊技が他のRT遊技に移行した場合、RT状態が変化したとして、メインRAM401bの遊技状態格納領域の遊技状態情報を更新する(遊技状態情報更新処理)。この遊技状態情報は、現在のRT遊技種別(一般遊技状態に係るRT0遊技〜RT3遊技)、AT遊技種別(AT0遊技〜AT3遊技)、BB内部当選遊技中(RT4遊技)、ボーナス遊技中のいずれであるかという詳細な遊技状態が識別可能に管理されている。上記遊技状態情報は、この再遊技・RT状態管理処理や後述の図10BのAT管理処理等において、RT遊技やAT遊技に変化がある度に更新されるようになっている。これにより、主制御部400は、現在の遊技状態を把握している。
またここでは、今回のゲームでリプレイ役が入賞していた場合、再遊技フラグをON状態に設定する(再遊技フラグ設定処理)。上記「再遊技フラグ」は、今回の遊技結果が再遊技であるか否かを指定するフラグである。このフラグは、遊技開始と共に、OFFに設定されるようになっている(後述のステップS55参照)。なお、説明の便宜上、以下では特に必要のない限り、再遊技フラグが‘ON’の場合は上記自動投入状態を含む「再遊技作動中」として、再遊技フラグが‘OFF’の場合は「再遊技非作動中」であるとして説明する。RT状態管理処理を終えると、ステップS13のゲーム処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
(1−2.ゲーム処理(ステップS13):図10Aおよび図10B)
次に図10Aおよび図10Bを参照して、図9のゲーム処理(ステップS13)について説明する。図10Aは、図9のゲーム処理の前半部の詳細を、図10Bは、図9のゲーム処理の後半部の詳細を示すフローチャートである。
図10Aおよび図10Bにおいて、主制御部400は、まず、遊技状態情報を取得し、現在の遊技状態に応じた「遊技状態コマンド」をセットする。この遊技状態コマンドには、遊技状態を識別する情報として、AT遊技種別、RT遊技種別、BB内部当選遊技中、ボーナス遊技等の詳細な遊技状態を特定可能とする情報が含まれる。演出制御部410は、1ゲーム毎に送信される「遊技状態コマンド」により、今回のゲームの遊技状態を把握し、対応する演出モードの移行制御や当該演出モード下による演出に関する演出制御処理を実行する。なお、演出制御コマンドは、後述の主制御部側タイマ割込処理中の出力処理(後述の図16のステップS92)において、主制御部400から演出制御部410へと送られるようになっている。
次いで、満杯検知金具(オーバーフローセンサ)600の状態(ON/OFF状態)を確認する。満杯検知金具600がONである場合には(ステップS52:ON)、遊技メダルが満杯状態である旨を示す「満杯エラーフラグ」をセットし、当該エラーが解除されるまで待つ。つまり、満杯状態が解除されるまで、遊技進行処理が中断される。エラーが解除されたか否かは、後述の主制御部側タイマ割込処理中のエラー解除判定処理(後述の図16のステップS88)で判定される。
一方、満杯検知金具600がOFFである場合(ステップS52:OFF)、遊技開始時の初期設定処理を実行する(ステップS53)。ここでは、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアし、今回のゲームに必要なワークエリアを確保する。
次いで、再遊技フラグの状態(ON/OFF状態)を判定する(ステップS54)。再遊技フラグがONである場合(ステップS54:ON)、再遊技作動に必要な再遊技自動投入処理を実行する(ステップS55)。この再遊技自動投入処理では、再遊技作動LED37をON(点灯状態)に設定し、前回のゲームで使用した賭数に相当する遊技メダル枚数を疑似的に投入し、再遊技フラグをOFF状態に設定する。なお再遊技作動LED37は、入賞判定処理(ステップS79)にてOFFに設定される。
一方、再遊技フラグがOFFである場合(ステップS54:OFF)、ステップS56に進み、所定時間(2.98ms)分の割込み待機処理を実行し、次いで、設定確認処理を実行する(ステップS57)。この設定確認処理では、設定キーがONであるか否かを確認し、ONである場合には、遊技機内部の設定値確認用表示器(図示せず)に対して現在の設定値を表示させるための処理を実行する。
次いで、精算ボタン有効フラグとメダル投入許可フラグとをONにする(ステップS58)。上記「精算ボタン有効フラグ」は、クレジット精算ボタン10による貯留メダル精算処理(クレジット精算処理)の受付の有効(ON)とするか無効(OFF)とするかを指定するためのフラグである。また上記「メダル投入許可フラグ」は、メダル投入口7を介した遊技メダルの投入受付を有効(ON)とするか無効(OFF)とするかを指定するためのフラグである。なお、遊技メダルに関する投入処理やクレジットに関する精算処理は、後述の主制御部側タイマ割込処理中のメダル投入処理(後述の図16のステップS89)や貯留メダル精算処理(後述の図16のステップS90)にて必要な設定処理が行われる。
次いで、遊技メダルの投入枚数(賭数)が遊技開始可能投入枚数(遊技開始可能状態)であるか否かを判定する(ステップS59)。ここでは、メダル検出センサ7a、MAXベットスイッチ8a、または1ベットスイッチ9aからの検出信号に基づく規定枚数(遊技開始可能となる投入枚数)の遊技メダルが投入されて、遊技開始可能状態に設定されているか否かを判定する。遊技開始可能状態であるか否かの設定処理は、後述の主制御部側タイマ割込処理中のメダル投入処理(後述の図16のステップS89)にて実行される。また、上記した再遊技自動投入処理(ステップS55)にて、再遊技作動により遊技メダルが自動投入されていれば、遊技開始可能投入枚数であると判定される。
遊技開始可能投入枚数でない場合(ステップS59:NO)、ステップS56の割込み待機処理に戻り、遊技開始可能投入枚数と判定されるまで、ステップS56〜S58のフラグ設定処理を繰り返し実行する。
一方、遊技開始可能投入枚数である場合(ステップS59:YES)、始動レバー11a以外のスイッチ(たとえば、停止スイッチ12a’〜12c’など)がONであるか否かを判定する(ステップS60)。
始動レバー11a以外のスイッチがONであった場合には(ステップS60:ON)、始動レバー11a以外のスイッチがOFFになるのを待つ。一方、始動レバー11a以外のスイッチがOFFであった場合には(ステップS60:OFF)、遊技開始表示LED38(スタートランプLED)を点灯させる。
次いで、始動レバー11が操作されたか否かを判定する(ステップS62)。具体的には、始動レバー11が操作に応じた始動スイッチ11aによる検出信号の有無を確認する。始動スイッチ11aからの検出信号の有無は、後述の主制御部側タイマ割込処理中の入力管理処理(後述の図16のステップS84)にて確認される。
始動スイッチ11aからの操作検出信号が確認されるまでは、ステップS60の処理に戻り、始動スイッチ11aからの操作検出信号が送られてくるのを待つ(ステップS62:OFF)。始動スイッチ11aからの操作検出信号を確認したならば(ステップS62:ON)、カウンタ回路403で生成された内部抽選用乱数値(数値範囲:0〜65535)の取り込みが完了したか否かを判定する(ステップS63)。
内部抽選用乱数値の取り込みが完了していない場合(ステップS63:NO)、ステップS60の処理に戻り、再度、ステップS60〜S62の処理を実行し、内部抽選用乱数値の取り込みが完了するまで待つ。カウンタ回路403の乱数値は、始動スイッチ11aがONされる度にラッチされ、内部抽選用乱数の取り込みが正常に完了していない場合には、再度、始動スイッチ11aがONされ、内部抽選用乱数の取り込みが完了するまで待機するようになっている。
内部抽選用乱数値の取り込みが完了した場合(ステップS63:YES)、すなわち、メインRAM401bの内部抽選用乱数格納領域に内部抽選用乱数値の設定が完了した場合、メダル投入中であるか否かを判定する(ステップS64)。メダル投入中であるか否かは、メダル検出センサ7aが遊技メダルを検出中であるか否かに基づいて判定される。メダル投入中である場合(ステップS64:YES)、メダル投入中が解除されるまで、ステップS60の処理に戻り、ステップS60〜S64の処理を実行する。
一方、メダル投入中でない場合(ステップS64:NO)、次いで、精算ボタン有効フラグとメダル投入許可フラグとをOFFにする(ステップS65)。以後、再度、これらフラグがONになるまで、遊技メダルの投入およびクレジットの精算が禁止状態とされる。
次いで、投入信号カウンタに投入枚数をセットする(ステップS66)。投入信号カウンタにセットされた投入枚数情報(今回のゲームの賭数情報)は、外部集中端子基板310を介してホールコンピュータHCに送られる。
次いで、ゲーム開始を示す遊技開始コマンドをセットし(ステップS67)、次いで、内部抽選(役抽選)に関する内部抽選処理を実行する(ステップS68)。この内部抽選処理では、内部抽選や内部抽選結果に基づく各種データ(当選情報、内部当選フラグ(停止制御用データ)、指示モニタ番号、当選役変換情報、役グループ番号、試験情報用出力データ等)の設定処理を行う。上記内部抽選処理についての詳細は、図11にて後述する。
ステップS68の内部抽選処理を終えると、次いで、回胴演出抽選処理を実行する(ステップS69)。この回胴演出抽選処理では、フリーズ演出抽選を行い、その抽選結果に基づき、回胴演出に必要な設定処理を行う。上記回胴演出抽選処理についての詳細は、図13にて後述する。
次いで、指示モニタ番号表示処理を実行する(ステップS70)。この指示モニタ番号表示処理では、ステップS68の内部抽選処理で得られた指示モニタ番号(詳細は図11にて後述する)に基づき、払出枚数表示器35に対するLED表示データ(主報知手段用表示データ)を設定する。ここで設定されたLED表示データは、後述の主制御部側タイマ割込処理中のLED表示データ作成処理(後述の図16のステップS82)にて、LED表示に関するダイナミック点灯制御用データを作成する際に利用され、作成されたデータは、同タイマ割込処理中の出力処理(ステップS92)にて、LED側に対して出力される。これにより、払出枚数表示器35によるアシスト報知が実行されることになる。
次いで、回胴演出実行処理を実行する(ステップS71)。この回胴演出実行処理では、ステップS69の回胴演出抽選処理で得られたフリーズ演出抽選結果(後述のフリーズ演出フラグ)に基づく、フリーズ演出制御に要する設定処理を行う。具体的には、Sフリーズ(フリーズ演出フラグ=01H)またはLフリーズ(フリーズ演出フラグ=02H)の変則回転回胴演出種別である場合には、今回のフリーズ演出種別に対応した変則回転動時の回胴駆動モータ用制御データをセットし、次いで、対応するフリーズ時間をフリーズタイマにセットして、そのフリーズ時間分待機する待機処理を行う。ここで設定されたモータ制御データは、主制御側タイマ割込制御処理中の回胴制御処理(後述の図16のステップS91)にて利用され、フリーズ時間中において、変則回転回胴演出が実現される。また、SPフリーズ(フリーズ演出フラグ=03H)の無回転回胴演出種別である場合には、対応するフリーズ時間をフリーズタイマにセットし、そのフリーズ時間分待機する待機処理を行う。これにより、フリーズ時間が経過するまで遊技の進行が中断され、フリーズ時間中において、フリーズ演出抽選結果に対応した回胴演出が実行される。
そして、フリーズ時間経過したならば、フリーズ演出が終了した旨を示す「フリーズ終了コマンド」をセットし、この回胴演出実行処理を抜ける。なお、フリーズ演出抽選に非当選(フリーズ演出フラグ=00H(ハズレ))の場合は、特に何もせずに、この回胴演出実行処理を抜ける。
上記ステップS71の回胴演出実行処理を終えると、次いで、回胴回転始動時の設定処理(回胴回転開始設定処理)を実行する(ステップS72)。この回胴回転開始設定処理では、回胴を通常回転させる準備として、遊技開始ウェイトタイマを取得し、そのタイマ値が0(ゼロ)であるか否かを確認する。そして遊技開始ウェイトタイマの値がゼロでない場合、当該タイマの値が0になるまで待つ。この遊技開始ウェイトタイマは、「1ゲームの遊技時間」を規制するためのタイマである。上記遊技開始ウェイトタイマ値がゼロであることを確認したならば、再度、遊技開始ウェイトタイマに4.1秒を設定する(遊技開始ウェイトタイマ設定処理)。これにより、1ゲームに要する時間が最短でも4.1秒となるようになっている。なお、レバー操作時フリーズ演出(Sフリーズ〜SPフリーズ)が実行される場合は、基本的には、4.1秒が経過しているので、フリーズ終了後に通常回転動作が開始されることになる。
上述の遊技開始ウェイトタイマ設定処理を終えると、通常の回転動作を実現するために必要なデータとして、通常回転時の回胴駆動モータ用制御データをセットし、全回胴に対し、位置センサ未通過フラグおよび起動要求フラグをセットする。位置センサ未通過フラグは、回胴位置検出センサ212a〜212cにより基点を未検出である(OFF)か否か(ON)を示すフラグであり、起動要求フラグは、通常回転動作開始を要求するためのフラグである。また、演出制御コマンドとして、回胴始動を示す「回転開始コマンド」をセットする。これにより、これにより各回胴5a、5b、5cが通常回転状態に入る。
次いで、全回胴が概ね一定の回転速度に達するまでの待機処理として、759.9ms分待機する(ステップS73)。
次いで、停止前エラーフラグ状態確認処理を実行する(ステップS74)。この、停止前エラーフラグ状態確認処理では、センサ未通過フラグおよびエラーフラグのいずれかがON状態であれば、これらがOFF状態になるまで待機する。本実施形態では、回胴が回転を開始した後、対応する回胴位置検出センサ212a〜212cにより回胴の基点位置が検出され、エラー(ここでは、主制御部側で監視されるエラー)が未発生であることを条件として、停止ボタン12の受付を有効化して停止操作有効(許容)状態とし、それ以外であれば、当該受付を無効化して停止操作無効状態とする。したがって、回胴5a〜5cの回転中において、何らかのエラーが発生した場合(エラーフラグがON)、回胴5a〜5cの回転を維持した状態で回胴の停止操作を無効化して遊技動作の進行を停止し、エラーが解除されたことに応じて遊技動作の進行が再開されるようになっている。なお、主制御部側で検出されるエラーには、たとえば、RWMエラー(RAM401cに係るエラー)、投入メダルエラー(メダル投入に係るエラー)、メダル無しエラー(遊技メダル不足に係るエラー)、満杯エラー、払出センサエラー(メダル検出センサ520の異常検出に係るエラー)、誤入賞エラー(当選役に対応しない入賞役が入賞した場合のエラー)等がある。
センサ未通過フラグおよびエラーフラグがOFF状態であれば、全回胴が正常な通常回転動作状態下であるとして停止操作有効状態(停止操作許容状態)とし、これを報知するために、停止ボタン12の内蔵LEDをON状態にする(ステップS75)。これにより、停止ボタン12の停止操作が許容状態となり、たとえば、停止ボタンの内蔵LEDが停止操作無効報知態様の赤色(OFF状態)から、停止操作有効報知態様の青色(ON状態)に変化する。またここでは、停止操作有効状態となったことを演出制御部410に対し知らせるべく、演出制御コマンドとして「停止操作有効コマンド」をセットする。
上記停止操作有効状態において、停止ボタン12a、12b、または12cが操作された場合、停止操作対象となった回胴を停止制御するための回胴停止処理を実行する(ステップS76)。この回胴停止処理の詳細については図14にて後述する。
ステップS76の回胴停止処理を終えて、全回胴の停止が確認されると、続いて、指示モニタ番号表示をクリア(OFF状態)する(ステップS77)。ここでは、払出枚数表示器35によるアシスト報知を終了させるための設定処理を行う。本実施形態では、全回胴が停止した後に、主報知手段によるアシスト報知が終了されるようになっている。また副報知手段によるアシスト報知も全回胴が停止した後に終了されるようになっている。
次いで、AT管理処理を実行する(ステップS78)。このAT管理処理では、図15に示すように、現在の遊技状態を判定し(ステップS451〜S453)、BB内部中、ボーナス遊技中およびAT0遊技〜AT3遊技のいずれの遊技状態であるかに応じて(ステップS453の分岐処理)、「ボーナス遊技中AT管理処理」、「AT0管理処理」、「AT1管理処理」、「AT2管理処理」、「AT3管理処理」を実行し(ステップS454〜S458)、各処理において、AT抽選、AT抽選結果に基づくAT遊技の発生、AT遊技の終了、AT状態情報の更新、上乗せ抽選の実行、ARTゲーム数/上乗せ特化ゾーンのゲーム数の管理など、AT遊技に関する必要な処理が実行される。また各処理において、AT遊技中に係る演出を実現するために必要な演出制御コマンドセットする。たとえば、AT抽選結果情報を含む演出制御コマンド、上乗せ抽選結果情報を含む演出制御コマンド、ARTゲーム情報を含む演出制御コマンド、などの演出制御コマンドが処理状態に応じてセットされる。
なお本実施形態では、ステップS78のAT管理処理が全回胴停止後に実行されるようになっているが、全回胴停止前にAT抽選等のAT遊技に関する処理(停止前AT管理処理)を行うこともできる。たとえば、ステップS69の回胴演出抽選処理の後、ステップS76の回胴停止処理の前の適切なタイミングにて、AT遊技に関する処理を実行させることができる。このようにすれば、全回胴停止前においてAT抽選結果や上乗せ抽選結果を、たとえば、始動レバー11の操作を契機に、または第1〜第3停止操作を契機に演出手段を利用して報知可能することができる。
また、上述の停止前AT管理処理と、本処理の全回胴停止後のAT管理処理とを設けて、互いに連携したAT処理を実行させることもできる。この場合、たとえば、第1の役(たとえば、7リプレイ)に当選したときは、全回胴停止時の入賞役によらずにAT抽選等を実行し、第2の役(たとえば、押順ベル)に当選したときは、特定の入賞役(たとえば、中段ベル)が停止した場合に限りAT抽選を実行する、といった当選役に応じたAT抽選や上乗せ抽選を実行することができる。
次いで、入賞判定処理を実行する(ステップS79)。この入賞判定処理では、全回胴停止時に作成される後述の停止図柄情報(入賞ラインデータ)に基づいて、当選役に対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止したか否か、つまり入賞が発生したか否かを確認し、入賞の発生を確認した場合は、その停止した図柄の組合せに対応して、払い出すべき遊技メダル枚数を指定するデータ(払出枚数情報を指定する払出枚数データ)の設定処理を行う。またここでは、内部抽選結果(内部当選フラグ)と停止図柄情報とに基づき、当選役に対応する図柄の組合せが正しく停止されたか否かを判定する誤入賞判定処理を行い、誤入賞であった場合は、誤入賞エラーに関する所定のエラー処理が行われる。
また入賞判定処理では、全回胴の停止時に係る演出制御コマンドとして、「入賞情報コマンド(全回胴停止コマンド)」をセットする。この入賞情報コマンドには、全回胴停止時の停止図柄情報として、少なくとも有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せを特定可能な全回胴停止時の停止図柄情報(遊技結果情報)が含まれ、さらに、疑似入賞ライン上の停止図柄情報や現在の遊技状態情報や入賞ライン情報などを含むことができる。斯様な入賞情報コマンドにより、演出制御部410側が今回の遊技結果(有効入賞ラインおよび疑似入賞ライン上に、如何なる図柄の組合せが停止したか(停止図柄種別))を把握することができるようになっている。上記「入賞情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では、全回胴停止時(遊技結果導出時)に係る「入賞演出」の現出等の全回胴の停止時に要する演出制御処理を行う。
また入賞判定処理では、ボーナス遊技中の払出枚数を管理するボーナス遊技中獲得枚数加算処理を行う。ボーナス遊技中獲得枚数加算処理では、遊技メダルの払い出しがある場合、上記ボーナス遊技中払出枚数カウンタに対して、その払出枚数分の遊技メダル枚数を加算する加算処理を行い、ボーナス中獲得枚数情報コマンドをセットする。このボーナス中獲得枚数情報コマンドには、ボーナス遊技中払出枚数カウンタ値を特定可能な情報が含まれる。上記「ボーナス中獲得枚数情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では、現在の合計払出枚数を報知する払出枚数表示の値を更新する。
次いで、メダル払出枚数監視処理を行う(ステップS80)。このメダル払出枚数監視処理では、ステップS79の入賞判定処理で設定された払い出し情報に基づき、目的枚数の遊技メダルの払い出し処理やクレジットの加算処理を行うための要求処理を行う。後述の主制御部側タイマ割込処理中のメダル払出処理(後述の図16のステップS86)において、その要求処理に応じて、ホッパーモータ510を駆動制御し払出動作を実行する。
(1−3.内部抽選処理(ステップS68):図11)
図11を参照して、図10Bの内部抽選処理(ステップS68)について説明する。図11は、図10Bの内部抽選処理の詳細を示すフローチャートである。
図11において、主制御部400は、まずステップS63の内部抽選用乱数値を取得する(ステップS101)。
次いで、RT状態に応じた役抽選テーブル(図5A〜図5B)を取得する(ステップS102)。ここでは、現在の遊技状態が、RT0遊技〜RT3遊技中、BB内部当選遊技中(RT4遊技)、ボーナス遊技中のいずれの状態であるかに応じた役抽選テーブルが選択される。
次いで、役抽選処理を実行する(ステップS103)。この内部抽選処理では、内部抽選用乱数値と、ステップS102で取得した役抽選テーブルとに基づく内部抽選を行い、抽選番号0〜50の抽選対象役のうちから当選役を決定する。なお重複BB役については、抽選番号に対応した固有の当選番号で当選役を特定しても良いが、本実施形態では、たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」が当選した場合、抽選番号41のBB1と抽選番号22の強チャンスに同時当選した、つまり「抽選番号41+抽選番号22」という役が当選したものとして扱い、重複BB役の当選を識別することができるようになっている。本実施形態の場合、特別役種(BB)と特定の小役種(リプレイ役種を含む)とが重複当選可能な複数種類の重複BB役が設けられているが(図5B、図6D参照)、斯様な重複BB役の当選情報は、たとえば、小役種を特定する第一バイトの下位7ビットと、特別役種を特定する第二バイトの下位4ビットとで特定可能となっている。
次いで、一般役種当選情報設定処理を実行する(ステップS104)。この一般役種当選情報設定処理では、ステップS103の内部抽選結果(当選役情報(当選番号情報))に基づき、当選役に係る一般役種別情報、つまり特別役種を除いた一般役種の当選情報として、小役当選情報の値(図22A〜図22Bの小役当選情報の欄参照)を、メインRAM401bの図23(A)に示すワークエリアの「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」と、当選役変換情報に係る「当選役変換情報領域」とに設定(保存)する。
上記「小役当選情報」とは、当選役種別(ここでは、当選役に係る一般役種別)そのものを識別するためのデータであり、本実施形態の場合、一般役種別について、当選番号0〜40が割り当てられており、全一般役種のうちいずれの役に当選したのかを識別可能な情報(データ)がワークエリアの「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」に設定される。この小役当選情報は、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)における内部当選フラグの設定や条件装置信号出力処理(ステップS107)において、型式試験信号を作成する際に利用される。
また上記「当選役変換情報」とは、演出制御部410に送信するための内部抽選結果に関する情報であり、演出制御部410側において、ゲーム中演出(当選役に関する予告演出など)やアシスト報知を現出制御する際に利用される。本実施形態の場合、非AT遊技であるAT0遊技中を「指示無し区間」、AT遊技中(AT1遊技〜AT3遊技、BB中)を「指示有り区間」に大別し、図22A〜図22Bに示すように、各区間に応じて異なるデータが設けられている。
上記「指示無し区間」のデータには、当選役種別をあらかじめグループ分けしたデータ群が定められている。この指示無し区間に係るデータは、当選役の役構成・性能・配当などを考慮し、演出制御部410側が当選役に対応したアシスト報知を実行不能とする情報(秘匿アシスト情報)を成すためのグループ分けとなっている。
具体的には、図22A〜図22Bに示すように、まず再遊技役種である(1)当選番号1〜10、16〜19の「通常リプレイ〜RT1転落リプ3XXおよび7リプレイ〜BARリプフェイク」を第1グループとして当選役変換情報を共通の「80H」とし、(2)当選番号11〜15の「RT3昇格リプ1XX〜RT1転落リプ321」を第2グループとして当選役変換情報を共通の「83H」とし、次に小役種である(3)当選番号20〜21の「弱チャンス1〜2」を第3グループとして当選役変換情報を共通の「82H」とし、(4)当選番号29〜40の「押順ベル123A〜押順ベル321B」を第4グループとして当選役変換情報を共通の「81H」として定めてある。それ以外は、当選役種別は固有の当選番号(本実施形態では、説明の便宜上、抽選番号と同じ番号を識別情報としている)が割り当てられており、この情報が今回のゲームの当選役に関する当選情報として、演出制御部410に対して送信される。
一方、「指示有り区間」の場合には、当選役ごとに対応した固有の当選番号が割り当てられており、この情報が今回のゲームの当選情報として、演出制御部410に対して送信される。したがって「指示無し区間」の場合、演出制御部410側は、実際の当選役を知ることができないが、「指示有り区間」の場合には、実際の当選役を知ることができる。
このように「指示無し区間」と「指示有り区間」とで識別データを異ならせる理由は、既に説明した、不正行為防止やのめり込み防止等の観点からであり、AT遊技が実行されていない状態(AT0遊技中)において、少なくとも一般役種の当選種別そのものが識別可能となる情報を周辺基板(たとえば、遊技表示基板390や演出制御部410等)送信しないようにするためである(条件装置種別が識別可能となる情報を送信しない)。特に、押順規定役に属する抽選対象役が当選した場合、これが如何なる押順規定役であるかを識別可能な情報、換言すれば、押順規定役に係る停止操作手順が識別可能となる情報を周辺基板に送信しないようにするためである。これにより、「指示無し区間」では演出制御部410側が今回の当選役を正しく把握することができず、正しいアシスト報知が実行不能となる。一方、「指示有り区間」では、今回の当選役を正しく把握することができるため、AT状態(AT遊技種別)に対応した正しいアシスト報知が実行可能となる。
詳細はステップS111の処理にて後述するが、非AT遊技(AT0遊技)中の場合には、上述したように、少なくとも一般役種の当選種別が識別可能となる情報、つまり小役当選情報(当選番号情報)をそのまま演出制御部410に送信することができないため、後続の処理(ステップS111)にて、当該小役当選情報を現在の遊技状態(たとえば、AT状態)に応じた適切なデータ値に変換して、その変換した変換情報を演出制御部410等に対して送信するようになっている。また本処理(ステップS104)において、小役当選情報を「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」と「当選役変換情報領域」の二つのワークエリアに別々に保存する理由は、上記した「非AT遊技中は小役当選情報をそのまま周辺基板に送信しない」というルールを守るためである。このように本実施形態では、当選情報を保存する第1領域と上述の変換情報を保存する第2領域とを設けて、当選情報を利用する処理(たとえば、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)や条件装置信号出力処理(ステップS107)等)や、変換情報を利用する処理(たとえば、後述のステップS113)に対処可能となっている。
なお、「指示無し区間」であっても、少なくとも遊技結果導出前までに、当選役種別(条件装置の作動状態)が識別可能な情報を送信しないようにすれば、遊技結果が導出表示された後で当選役種別が識別可能な情報(たとえば、小役当選情報)を演出制御部410に送信しても良い。この場合、秘匿状態であった当選役を演出制御部410側は知ることができ、たとえば、特定の報知演出等を現出させて今回のゲームで当選した当選役を遊技者に対し報知することができる。
再び図11の説明に戻り、次いで、ボーナス内部当選中であるか否かを判定する(ステップS105)。ボーナス内部当選中でない場合(ステップS105:NO)、ボーナス当選情報設定処理を実行する(ステップS106)。ここでは、今回の当選役にBB1またはBB2の当選情報がある場合、これを有効なボーナス当選情報として、図23(A)のワークエリアの「当選役情報1領域(ボーナス当選情報領域)」にBB1の当選情報を保存する。たとえば、抽選番号43の「BB1+強チャンス」が当選した場合、抽選番号41のBB1を有効な特別役当選情報として、BB1の当選情報を当選役情報1領域に保存する。このボーナス当選情報は、後述の当選フラグ設定処理(ステップS108)における内部当選フラグの設定や条件装置信号出力処理(ステップS107)において、型式試験信号を作成する際に利用される。なお、BB1、BB2は特別役であり、また押順不問役であることから、当選役変換情報を特に作成する必要がない。このため本実施形態では、ボーナス当選情報については、ステップS104の処理における小役当選情報のように、当選役変換情報領域に保存するということはしていない。
一方、ボーナス内部当選中である場合(ステップS105:YES)、何もせずに、ステップS107の処理に進む。これにより、BB内部当選中に新たな特別役(BB1、BB2)が当選したとしても、その当選は無効扱いとされる。
次いで、条件装置信号出力処理を実行する(ステップS107)。この条件装置信号出力処理では、型式試験信号を出力するために必要な処理を行う。条件装置信号出力処理の詳細については図12にて後述する。
次いで、当選フラグ設定処理を実行する(ステップS108)。この当選フラグ設定処理では、当選情報(内部抽選結果)に対応する内部当選フラグを設定する。ここでは、今回のゲームの当選情報として、上記「当選役情報1領域(ボーナス当選情報領域)」のボーナス当選情報と、「当選役情報2領域(小役当選情報領域)」の小役当選情報とに基づき、当選役に対応する内部当選フラグを設定する。この内部当選フラグは、回胴の停止制御に係る回胴停止処理(ステップS76)や、遊技メダルの払い出し枚数の指定処理に係る入賞判定処理(S79)において利用される。
次いで、指示モニタ番号設定処理を実行する(ステップS109)。この指示モニタ番号設定処理では、図22A〜図22Bの当選情報設定テーブルを参照し、現在の遊技状態(本例では、AT状態)と当選情報とに応じた指示モニタ番号を、図23(A)に示すワークエリアの「指示モニタ番号領域」に設定する。
詳しくは、現在のAT状態がAT0遊技である場合には、図22Aおよび図22Bの当選情報設定テーブル「指示無し区間」が参照されて、全ての当選役において、指示モニタ番号「0」が設定される。指示モニタ番号「0」は、アシスト報知の非実行を指定する(アシスト報知を禁止する)ものであり、指示モニタ番号「0」が設定された場合には、払出枚数表示器35(主報知手段)と液晶表示装置6等の演出手段(副報知手段)とには、アシスト情報は報知されないことになる。
一方、現在のAT状態が、AT1遊技中またはAT2遊技中である場合には「指示有り区間1」が参照され、AT3遊技中またはBB中である場合には「指示有り区間2」が参照されて、当選役に応じた指示モニタ番号0〜8のいずれかが設定される。これにより、指示モニタ番号1〜8のいずれかである場合には、払出枚数表示器35や液晶表示装置6等において、たとえば、図18に示すようなアシスト報知が現出されることになる。なお、ここで設定された指示モニタ番号は、上記した図10BのステップS70の指示モニタ番号表示処理や後述のステップS112の処理(指示モニタ番号コマンド作成処理)にて利用される。
次いで、役グループ番号設定処理を実行する(ステップS110)。この役グループ番号設定処理では、上記当選情報設定テーブルを参照して、当選情報に基づき、当選役に対応した役グループ番号を図23(A)に示すワークエリアの「役グループ番号設定領域」に設定する。
次いで、当選役情報変換処理を実行する(ステップS111)。この当選役情報変換処理では、図22Aおよび図22Bの当選情報設定テーブルを参照して、ステップS104で設定された「当選役変換情報」を、現在の遊技状態に応じた所定のデータ値に変換する変換処理を実行し、その変換したデータ(変換情報)を当選役変換情報領域に設定する。
具体的には、現在のAT状態が「AT0遊技」である場合には、上記ステップS104の処理で「当選役変換情報領域」に対して設定された小役当選情報をそのまま演出制御部410に送信することができないため、メインCPU401cは、図22A〜図22Bの当選情報設定テーブルに示す「指示無し区間」を参照して、当該当選役変換情報を所定のデータ値に変換し、その変換値を当選役変換情報領域に保存する。これにより、当選役変換情報領域のデータ値が遊技状態に応じた所定のデータ値に更新されることになる。図22A〜図22Bの当選情報設定テーブルの記載からも理解されるように、特定の当選役(たとえば、当選番号29〜40の押順ベル種別等)については、今回の当選役が如何なる役であるかの識別が不可能な情報に変換される。
一方、現在のAT状態がAT1遊技〜AT3遊技中およびBB中のいずれかである場合には、当選役変換情報を変換する必要がないので、上記ステップS104の処理で設定された値を変換することなく、本処理を抜ける(当選情報設定テーブルに示す「指示有り区間1/2」の欄参照)。
ここで本実施形態では、上記一般当選情報設定処理(ステップS104)において、内部抽選(ステップS103)により得られた当選情報について、変換の必要の有無にかかわらず、現在の遊技状態に対応した値を当選役変換情報領域に保存するのではなく、先ず遊技状態にかかわらず、当該当選情報をそのまま当選役変換情報領域に保存し、変換処理が必要であれば変化処理を実行して当選情報を更新し、変換処理が必要でなければ何もしないで変換処理をスキップさせる。これにより、当選役変換情報の変換の必要性がない場合にも無闇に変換処理が行われないようにし、主制御部400の制御負担を軽減させている。
また本実施形態では、内部抽選結果情報をメインRAM401bの「当選役変換情報領域」に保存し、その保存した情報を変換するものと説明したが、本発明はこれに限らず、内部抽選結果情報をメインRAM401bに保存せずにCPU内蔵のレジスタを利用した演算により変換処理を行い、上記「当選役変換情報領域」に保存するという構成としても良い。
次いで、演出制御コマンドとして、上記指示モニタ番号設定処理で得られた「指示モニタ番号」を特定可能な「指示モニタ番号コマンド」をセットする(ステップS112)。なお、指示モニタ番号コマンドについては、遊技状態にかかわらず、一律に演出制御部410に送信するようにしている。これは、遊技状態に応じて(たとえば、AT0遊技かAT1〜3遊技かに応じて)指示モニタ番号コマンドを送信する・しないというプログラムを組み込む必要がなく、制御負担を軽減させることができるからである。また指示モニタ番号情報を演出現出制御の際に利用することが可能な場合もあり、また、新機種開発の際、新旧機種間で指示モニタ番号コマンドを送信する・しないというプログラムを組み込む必要がなく、役構成が大幅変更でなければ、当選情報設定テーブルの指示モニタ番号のデータ値を変更するだけでよい場合もあり、設計的な互換性を持たせたることができ、利便性に優れるからである。
しかし本発明はこれに限らず、遊技状態に応じて、指示モニタ番号コマンドを送信するか否かを決定可能な構成とすることができる。具体的には、現在の遊技状態(AT状態)が「AT0遊技」の場合はアシスト報知を行わないため、指示モニタ番号(アシスト情報(手順情報))を演出制御部410に知らせる必要がない。したがって「AT0遊技」の場合には、指示モニタ番号コマンドを作成しない、または作成するが送信しない構成とすることができる。一方、現在の遊技状態(AT状態)が「AT0遊技以外」の場合には、アシスト報知を行う必要があるため、指示モニタ番号コマンドを送信する。またこれとは異なり、指示モニタ番号値に応じて、指示モニタ番号コマンドを送信するか否かを決定可能な構成とすることができる。具体的には、指示モニタ番号「0」以外の値である場合には、指示モニタ番号コマンドを送信し、アシスト報知非実行を指定する「指示モニタ番号0」の場合は、アシスト情報を演出制御部410に知らせる必要がないため、指示モニタ番号コマンドを作成しない、または作成するが送信はしない構成とすることができる。
次いで、上記当選役情報変換処理で得られた「当選役変換情報」を特定可能な「当選役変換情報コマンド」をセットする(ステップS113)。本実施形態では、演出制御部410に対し、上記指示モニタ番号設定処理で得られた指示モニタ番号情報(アシスト情報)を送るとともに、遊技状態(たとえば、AT状態または少なくともAT遊技の発生の有無)に応じて変換される当選役変換情報を送るようになっている。ただし、非AT遊技中を伴う遊技状態の場合には、当選役種別そのものが識別可能となる情報(たとえば、小役当選情報)は送らないようになっている。
なお、上記「当選役変換情報コマンド」に、今回当選した特別役(BB1、BB2)を特定可能なボーナス当選情報(特別役種別情報)を含ませても良い。また、別途、当選した特別役情報を含む演出制御コマンド(ボーナス当選情報コマンド)を設け、これを演出制御部410に対して送信可能な構成としても良い。また本実施形態では、指示モニタ番号と当選役変換情報とを別々のコマンドに分けて送信する構成となっているが、これらの情報(指示モニタ番号および当選役変換情報を特定可能な情報)を1つの演出制御コマンドに含ませて演出制御部410に対して送信可能な構成としても良い。
上記ステップS113の処理を終えると、内部抽選処理を抜けて、図9のゲーム処理に戻り、後続のステップS69の回胴演出抽選処理を実行する。
(1−4.条件装置信号出力処理(ステップS107):図12)
次に図12を参照して、図11の条件装置信号出力処理(ステップS107)について説明する。図12は、図11の条件装置信号出力処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、遊技機外部の装置(たとえば、保通協の試験機やデータカウンタやホールコンピュータHC等)に所定の遊技情報を送信するための出力データの作成等の処理が実行される。
図12において、主制御部400は、まずスタックポインタおよび全レジスタの値を退避させる(ステップS131、S132)。
次いで、当選役情報(小役当選情報、ボーナス当選情報)を取得し(ステップS133)、出力ビットデータ作成処理を実行する(ステップS134)。この出力ビットデータ作成処理では、当選役情報に基づき、型式試験信号の出力用データ(当選情報出力用データ)を作成する。具体的には、ボーナス当選情報と小役当選情報とを、それぞれ1バイト長の型式試験信号出力用ビットデータを生成する。図23(B)に示す通り、ボーナス当選情報については、1バイトの下位6ビット(D0〜D5)が特別役情報(BB1、BB2)を特定するために確保されており、また小役当選情報についても同様に、1バイトの下位6ビット(D0〜D5)が小役種別およびリプレイ役種別情報(一般役種情報)を特定するために確保されている。また、特別役(ボーナス役)の場合には1バイトの上位2ビット(D6〜D7)に「10」が設定され、一般役種の場合には1バイトの上位2ビット(D6〜D7)に「01」が設定され、この上位2ビットのビット情報により、ボーナス当選情報に係る出力用データであるのか、一般役種当選情報に係る出力用データであるかの別が区別されるようになっている。
次いで、ステップS134の処理で作成されたボーナス当選情報に係る出力用データを「条件装置出力用バッファ1」に設定し、一般役種当選情報に係る出力用データを「条件装置出力用バッファ2」に設定する(図23(A)のワークエリア参照)(ステップS135)。型式試験時には、この出力用データが型式試験信号として保通協の試験機に対し出力される。
次いで、型式試験信号の出力動作を管理する出力管理タイマに初期値の48msを設定する(ステップS136)。保通協の試験機の仕様では、型式試験信号が1バイト毎に24mS間隔で出力される必要がある。本実施形態では、1バイト長のボーナス当選情報と1バイト長の一般役種当選情報の2バイト長の型式試験信号としているため、型式試験信号の出力間隔(24ms)の倍の時間を確保している。本実施形態の場合、タイマ割込み周期が1.5mSであるので、出力管理タイマには、初期値として「32(1.5×32=48ms)」が設定される。出力管理タイマは、2バイト長の型式試験信号の出力タイミングを管理するものであり、タイマ割込み毎にデクリメントされる(図16の主制御部側タイマ割込処理中のタイマ減算処理(ステップS85)参照)。
上記型式試験信号は、出力管理タイマの値Tが「T≧16(T≧24ms)」であれば、条件装置出力用バッファ1のボーナス当選情報データが出力され、「16>T>0(24ms>T>0」であれば、条件装置出力用バッファ2の一般役種当選情報データが出力され、TM2=0の場合にはゼロデータが出力される。したがって、24msの間、ボーナス当選情報データが継続して出力され、これに連続して、24msの間、一般役種当選情報データが継続して出力されるようになっている。これらの型式試験信号は、後述の図16の主制御部側タイマ割込処理中の出力処理(ステップS92)にて、出力管理タイマの値に基づいて出力されるようになっている。なお、型式試験に適合した遊技機は、法的要請によりその制御プログラムの変更は認められていないため、パチンコホールに設置後においても型式試験信号が繰り返し出力されることになる。型式試験信号の出力処理自体は、パチンコホールにおいて無意味なものとなるが、遊技進行状況に応じて多様に変化しうる遊技に関する情報を遊技機外部に出力することで、ホールコンピュータHCが各遊技機の動作状況を把握したり、保通協での型式試験の容易化を図ることができるので特に問題は生じない。
本実施形態では、内部抽選結果に関する情報(当選情報)を、上記した「当選役情報領域(当選役情報1、2領域)」と「当選役変換情報領域」とに分けて保存し、当該「当選役情報領域」の情報を上記型式試験信号の出力用データの作成に利用し、他方の「当選役変換情報領域」の情報を演出制御部410等に送信するコマンドデータの作成に利用している。
上記ステップS136の処理を終えた後は、退避させたレジスタおよびスタックポインタを復帰させ(ステップS137、S138)、この条件装置信号出力処理を抜けて、図11の内部抽選処理のステップS107に戻る。
(1−5.回胴演出抽選処理(ステップS69):図13)
次に図13を参照して、図10Bの回胴演出抽選処理(ステップS69)について説明する。図13は、図10Bの回胴演出抽選処理の詳細を示すフローチャートである。
図13において、主制御部400は、まず「役グル―プ番号」を取得する(ステップS201)。
次いで、役グループ番号がフリーズ演出抽選契機役であるか否かを判定し(ステップS202)、フリーズ演出抽選契機役であれば(ステップS202:YES)、フリーズ演出抽選処理を実行する(ステップS203)。一方、フリーズ演出抽選契機役でなければ(ステップS202:NO)、ステップS203の抽選処理をスキップし、ステップS204の処理に進む。
上記フリーズ演出抽選処理では、図20のフリーズ演出抽選テーブルに基づき、今回のゲームで発生させるフリーズ演出を抽選により決定する。具体的には、現在の遊技状態(AT状態)に応じたフリーズ演出抽選テーブルとフリーズ演出抽選用乱数とを取得し、フリーズ演出抽選テーブル参照して、役グループ番号とフリーズ演出抽選用乱数とに基づき、フリーズ演出抽選を実行する。
上記のフリーズ演出抽選処理を終えると、次いで、フリーズ演出抽選結果に対応したフリーズ演出フラグをセットする(ステップS204)。このフリーズ演出フラグは、今回のゲームで発生させるフリーズ演出種別を識別(指定)するためフラグであり、フリーズ演出種別に対応した値、たとえば、Sフリーズ〜SPフリーズに対応した「01H」〜「03H」が設定される。なお、フリーズ演出抽選結果が「ハズレ」の場合、つまり「未発生」との場合には、ハズレに対応したフリーズ演出フラグとして「00H」がセットされるようになっている。これにより、フリーズ演出が未発生、Sフリーズ〜SPフリーズのいずれであるかが識別可能となっている。また、ステップS202の処理において「フリーズ演出抽選契機役」でないと判定された場合(ステップS202:NO)、フリーズ演出抽選処理がスキップされて、このステップS204の処理に移行されるが、この場合には、フリーズ演出抽選の抽選結果を「未発生(ハズレ)」として扱い、フリーズ演出フラグにハズレ対応の値の「00H」をセットする。上記フリーズ演出フラグは、1ゲーム毎にクリアされる。
次いで、フリーズ演出種別情報(ハズレ扱いとなる‘フリーズ演出未発生’情報を含む)を含む「フリーズコマンド」をセットする(ステップS205)。演出制御部410側は、このフリーズコマンドにより、今回のゲームで発生されるフリーズ演出種別を把握し、フリーズ中サブ側演出に必要な演出制御処理を行う。
そして、ステップS205の処理を終えると、回胴演出抽選処理を抜けて、図9のゲーム処理に戻り、後続のステップS70の指示モニタ番号表示処理を実行する。
(1−6.回胴停止処理(ステップS76):図14)
次に図14を参照して、図10Bの回胴停止処理(ステップS76)について説明する。図14は、図10Bの回胴停止処理の詳細を示すフローチャートである。
図14において、主制御部400は、まず「停止時エラーフラグ状態確認処理」を実行する(ステップS401)。ここでは、既に説明した「停止前エラーフラグ状態確認処理(図10BのステップS74)」と同様に、センサ未通過フラグおよびエラーフラグのいずれかがON状態であれば、これらがOFF状態になるまで待機する。この待機中は、停止ボタン12の停止操作が無効状態として、停止ボタン12の内蔵LEDをOFF状態にする。これにより、停止ボタンの内蔵LEDを停止操作有効報知態様の青色(ON状態)から停止操作無効報知態様の赤色(OFF状態)に変化する。
ステップS401の処理を実行したことに応じ、有効な停止ボタン操作か否かを判定する(ステップS402)。ここでは、停止ボタン12a〜12cのいずれか1つの停止ボタンに対し、有効な停止操作が行われたか否かを判定する。有効な停止操作でない場合(ステップS402:NO)、ステップS401の停止時エラーフラグ状態確認処理に戻る。回胴回転中にエラーが生じるケースとしては、全回胴が有効に回転された後(ステップS75の処理の後)または第1〜第2停止操作後(ステップ411:NOの処理ルート)からステップS402の処理が開始されるまでの間にエラーが確認されたケースがある。そのようなタイミングでエラーが生じた場合において、ステップS402で有効な停止ボタン操作でないと判定されると、エラーが解除されるまで、停止ボタン12の受付が無効扱いとなり、遊技の進行が中断されることになる。
一方、有効な停止操作である場合(ステップS402:YES)、次いで、停止情報ビットを設定する(ステップS403)。この停止情報ビットには、既に停止している停止回胴数を特定可能な「停止回胴数データ」(たとえば、第1停止操作時の場合、停止している回胴はないので‘停止回胴数=0’を特定するデータ)、停止操作対象となった回胴を特定可能な「停止対象回胴データ」などの情報が含まれる。
次いで、今回停止対象となった回胴に対応する停止ボタン12の内蔵LEDをOFF状態にし(ステップS404)、続いて、停止順データを設定する(ステップS405)。この停止順データは、停止操作に応じた回胴5a〜5cの停止操作順(押し順)を特定するためのデータである。現在の押し順や第何番目の停止操作であるかについては、停止順データや回胴停止数データなどにより把握することができる。したがって、ステップS403、S405の処理は、停止操作順番監視手段(押し順監視手段)として機能する。
次いで、停止ボタン操作時の演出制御コマンドとして「停止コマンド」をセットする(ステップS406)。この停止コマンドは、回胴の停止操作が行われた旨を指定するものであり、停止回胴数データ、停止対象回胴データおよび停止操作順データ等を特定可能な情報が含まれる。演出制御部410は、この停止コマンドにより、現在の押し順や第何番目の停止操作であるかを把握することができる。
次いで、回胴停止制御時の初期設定として、停止制御開始時初期設定処理を実行する(ステップS407)。ここでは、引き込みコマ数をクリア、最大滑りコマ数(4コマ)の設定、引き込み制御下で、停止ボタン操作後、回胴が完全に停止するのに要する余裕時間を含めた停止間隔タイマ(たとえば、210.09ms:タイマ割込み141回分)の設定等を行う。
次いで、図柄停止制御処理を実行する(ステップS408)。この図柄停止制御処理では、内部当選フラグ(条件装置の作動状態)と、停止操作手順(押し順と停止操作タイミング)とに応じた停止テーブル(図示せず)を選択し、その停止テーブルから滑りコマ数を割り出し、これに基づく回胴の停止制御(引き込み制御)を行う。
回胴が停止した際には、その停止位置に基づき、各回胴において、いずれの入賞ライン上に、如何なる図柄番号の図柄が停止しているかを特定可能な「停止図柄情報(入賞ラインデータ)」が作成され、メインRAM401bの入賞ラインデータ格納領域に保存される。この停止図柄情報(入賞ラインデータ)は、各回胴の停止毎に作成されるので、現在の図柄の停止目(たとえば、特定の入賞役の聴牌状態など)を把握することができる。この停止図柄情報は、1ゲーム毎にクリアされる。なお、回胴の停止位置は、実際に回胴が停止した際にも把握することができるが、停止操作図柄番号と滑りコマ数とに基づいて、回胴が完全に停止する前段階で、当該回胴の停止位置を把握することもできる。
次いで、回胴停止時の演出制御コマンドとして「停止位置コマンド」をセットする(ステップS409)。この「停止位置コマンド」には、回胴停止時に作成される上記停止図柄情報(入賞ラインデータ)が含まれる。演出制御部410においては、上記「停止コマンド」や「停止位置コマンド」が送られてくると、これらに含まれる情報を把握することにより、現在の各回胴の回転および停止状態、押し順、現在の入賞ライン(有効入賞ラインおよび/または疑似入賞ライン)上の停止図柄を把握することができる。これにより、演出制御部410側では、回胴の停止制御時に係る演出を現出させることができる。たとえば、停止操作時のボタン操作音や、7リプレイやBARリプレイの聴牌状態(特定の停止目が出現した旨)が出現した際の聴牌演出を現出制御する。
次いで、停止間隔タイマに設定したタイマ時間(210.09ms)を監視し(ステップS410)、停止間隔タイマがゼロでない場合、当該タイマがゼロになるまで待つ(ステップS410:NO)。そして、停止間隔タイマがゼロになったならば(ステップS410:YES)、次いで、全回胴が停止したか否か判定する(ステップS411)。
ステップS411の判定処理において、今回の停止操作が第1停止または第2停止後であれば、まだ回転中の回胴があることになるので、その判定結果は‘NO’となり、ステップS401に戻り、第3停止操作(最終停止操作)後の全回胴停止を待つことになる。
これらの第1〜第3停止操作を経て、全回胴が停止したならば(ステップS411:YES)、回胴停止処理を抜けて、図9のゲーム処理に戻り、後続の指示モニタ番号表示クリア処理(ステップS77)を実行する。
(P−1.アシスト情報(指示モニタ番号コマンド)の送信タイミング、主報知手段(払出枚数表示器35)によるアシスト報知タイミング、副報知手段(液晶表示装置6等)によるアシスト報知タイミングについて:図24A、図24B)
次に、主制御部400によるアシスト情報の送信タイミング、主報知手段による報知タイミングおよび副報知手段による報知タイミングについて説明する。以下、説明の便宜のために、払出枚数表示器35(主報知手段)によるアシスト報知を「主アシスト報知」と称し、液晶表示装置6等の演出手段(副報知手段)によるアシスト報知(アシスト演出)を「副アシスト報知」と称する。
本実施形態の場合、主アシスト報知は、内部抽選処理実行後(ステップS109の処理後)の指示モニタ番号表示処理(ステップS70)の実行により表示され、また副アシスト報知は、主制御部400からの「指示モニタ番号コマンド」を演出制御部410が受信した場合(ステップS112の処理後)に表示されるとして説明した。しかし、主アシスト報知は、始動レバー11が操作を契機に実行される内部抽選により当選役が決定された後、正確には、当選役に対応した指示モニタ番号が決定された後、任意のタイミングで実行させることができる。他方、副アシスト報知は、指示モニタ番号コマンドを受信した後、任意のタイミングで実行させることができる。ただし、主アシスト報知および副アシスト報知は、遊技者が回胴の第1停止操作を行う前に表示することを要するので、その報知タイミングの終端は、回胴が通常回転動作を開始し全回胴が概ね一定速度に達した後の回胴の停止操作有効状態以前であることを要する。
また、主アシスト報知および副アシスト報知の終了タイミングは、少なくとも第3停止に係る停止ボタン12の操作(最終停止操作)を契機に終了させる。最終停止操作により遊技結果が導出されることが決定されることが確定的になったときに終了させることが好ましいからである。
以上を踏まえて、アシスト情報の送信タイミング、主アシスト報知・副アシスト報知の開始および終了タイミングについて、図24Aのタイムチャートを参照しながら説明する。
先ず図24Aを参照して、(I)内部抽選結果に基づくアシスト情報(指示モニタ番号)の送信が許容される期間(アシスト情報送信許容期間)は、図示の「tX期間」、具体的には、始動レバー11の操作を契機に内部抽選により当選役が決定された後(時刻t1)、回胴が通常回転動作を開始して全回胴が概ね一定速度に達して、停止操作有効状態(時刻t3)となるまでの期間となる。したがって、指示モニタ番号コマンドは、このアシスト情報送信許容期間の任意のタイミングで送信することができる。
また(II)主アシスト報知の開始が許容される期間(主アシスト報知開始許容期間)は、図示の「tS期間」、具体的には、始動レバー11の操作を契機とする内部抽選により当選役が決定された後(時刻t1)、停止操作有効状態(時刻t3)となるまでの期間、つまり上記アシスト情報送信許容期間と実質的に同一の期間となる。したがって、主アシスト報知は、この主アシスト報知開始許容期間の任意のタイミングで開始することができる。
また(III)副アシスト報知の開始が許容される期間(副アシスト報知開始許容期間)は、図示の「tR期間」、具体的には、当選役が決定されて主制御部400から指示モニタ番号コマンドが送信され(時刻t1)、これを受信した後(時刻t9)、停止操作有効状態(時刻t3)となるまでの期間となる。したがって、副アシスト報知は、この副アシスト報知開始許容期間の任意のタイミングで開始することができる。
上記したアシスト情報送信許容期間tX期間、主アシスト報知開始許容期間tS期間、副アシスト報知開始許容期間tR期間の各期間であれば、どのタイミングで指示モニタ番号コマンドを送信するか、または主アシスト報知を開始するか、あるいは副アシスト報知を開始するかについて、遊技性や制御状態等を考慮して適宜定めることが可能である。たとえば、図示の時刻t1、時刻t2、時刻t3、時刻t9等のタイミングに限らず、後述の具体例1〜3、その変形例等で説明するように、種々のタイミングとすることができる。
なお図24A〜図24Bにおいて、始動レバー11のON操作(始動スイッチ11aによる操作検出)とほぼ同時に内部抽選処理が実行されることになるので、始動レバー11の操作と同一または略同一のタイミングで、内部抽選処理が実行され、所定の遊技情報(当選情報、指示モニタ番号、役グループ番号等)が得られるものとして扱うことができる。以下に図24A〜図24Bを参照しながら、主アシスト報知と副アシスト報知の報知タイミングについて具体例を挙げながら説明する。
図24Aの具体例1、2は、主アシスト報知と副アシスト報知とが異なるタイミングで実行されるケースの例示したものである。まず同図(イ)の具体例1について説明する。
(イ)具体例1について
図24A(イ)の具体例1は、副アシスト報知が主アシスト報知に先行して実行(開始)されるケースを例示したものであり、具体的には、主制御部400からアシスト情報(指示モニタ番号コマンド)が演出制御部410に送信された後に、主アシスト報知と副アシスト報知とが異なるタイミングで実行されるケースの例示したものである。詳しくは、次のケースを示している。
具体例1のケースでは、まず始動レバー11が操作されると共に、主制御部400から「指示モニタ番号コマンド」が送信される(時刻t1)。そして、演出制御部410が指示モニタ番号コマンドを受信したことを契機に「副アシスト報知」が開始される(時刻t9)。その後、遊技開始ウェイトタイマが経過したことを条件に回胴が通常回転動作を開始するが、このタイミングで「主アシスト報知」が開始される(時刻t2)。
その後、回胴の停止操作が有効となり(時刻t3)、遊技者が第1停止操作〜第3停止操作を行っていくが(時刻t4〜時刻t6の停止操作受付有効期間tY)、主アシスト報知および副アシスト報知は、遊技者が第3停止操作を行うまで継続され(時刻t2〜時刻t6)、最終停止操作の第3停止に係る停止ボタン12がON操作された時刻t6を以って終了される。
なお上記のように、最終停止操作の停止ボタン12のON操作を契機に終了させるのではなく、停止ボタン12のON操作後、引き込み制御が完結して最後の回胴が停止したとき、つまり、遊技結果が導出表示されたことを契機に終了させても良い(時刻t7:図24Aおよび図24Bの破線部分を参照)。また、全回胴停止後に停止ボタン12のOFF操作が確認されたこと(停止ボタン釈放後)を契機に終了させることができる(後述の具体例2、3についても同様)。演出制御部410側において、最終停止操作がなされたか否かは「停止コマンド(図14のステップS406参照)」により、回胴が停止したか否かは「停止位置コマンド(図14のステップS409参照)」により把握することができる。また、全回胴が停止して遊技結果が導出表示されたことは、「入賞情報コマンド(図10BのステップS79参照)」により把握することができる。
(ロ)具体例2について
図24A(ロ)の具体例2は、具体例1とは逆に、主アシスト報知が副アシスト報知に先行して実行されるケースを例示したものであり、具体的には、主アシスト報知の開始後、主制御部400からアシスト情報(指示モニタ番号コマンド)が送信されて副アシスト報知が実行されるケースの例示したものである。ただし図示では、指示モニタ番号コマンドの送信時期が始動レバー11の操作時よりも大分遅延して送信されているように表現しているが、これは説明の便宜上、遅延時間幅を誇張して表現したものである。以下では重複記載を避けるために、上記具体例1で説明した内容と実質的に同じ内容については適宜省略して説明する。
具体例2では次のケースを示している。まず始動レバー11が操作されると共に、主アシスト報知が開始される(時刻t1)。その後、主制御部400から指示モニタ番号コマンドが送信され(時刻t8)、演出制御部410が指示モニタ番号コマンドを受信する(時刻t9)。しかし、演出制御部410は、時刻t9時点では副アシスト報知を直ちに開始させず、時間的にさらに後の「停止操作有効状態」の時点で(時刻t3)、副アシスト報知が開始される。そして主アシスト報知および副アシスト報知は、最終停止操作時の時刻t6、または全回胴停止時の時刻t7にて終了される。
(具体例1、2の変形例)
なお具体例1、2では、主アシスト報知と副アシスト報知とが異なるタイミングで開始されるケースを説明したが、本発明はこれに限られない。主アシスト報知と副アシスト報知は、それぞれ、アシスト報知開始許容期間(tS期間、tR期間)内で報知を開始するものであれば良い。たとえば、主アシスト報知と副アシスト報知とを同一または略同一のタイミングで実行しても良いし、また具体例1の場合には、主アシスト報知が副アシスト報知に先行して実行しても良いし、具体例2の場合には、副アシスト報知が主アシスト報知に先行して実行しても良い。
(フリーズを伴う場合について)
また具体例1、2において、フリーズ演出が実行される場合には、フリーズ状態の発生により遊技の進行が中断される。したがって、主アシスト報知および/または副アシスト報知がフリーズ演出実行前に開始されていた場合には、フリーズ演出中において、既に開始していたアシスト報知を中断、たとえば、表示を画面上から消去等をして遊技者からアシスト報知を識別困難または識別不可能とすることが好ましい。特に、本実施形態のような「レバー操作時フリーズ演出(Sフリーズ〜SPフリーズ)」ではなく、停止ボタン12の操作を契機に実行される所謂「停止操作時フリーズ演出」である場合、たとえば、第1停止操作後にフリーズ演出を発生可能な遊技機とした場合、そのフリーズ中は副アシスト報知を中断し、フリーズ中サブ側演出だけを現出させることが好ましい。このようにすれば、副アシスト報知に邪魔されることなく、遊技者にフリーズ中サブ側演出を楽しませることができる。また、フリーズ演出中に副アシスト報知が現出されてしまうと、フリーズ中は回胴の停止操作ができないにもかかわらず、演出上は、回胴の停止操作を促す演出が発生していることになり、遊技者側から見れば「停止操作を促されているが、停止操作が効かない」という事態に遭遇し、余計な混乱を生じさせ、遊技機に対する不信感を抱く恐れがある。しかし、フリーズ中において副アシスト報知を現出しない構成の場合、フリーズ中サブ側演出だけが現出されるので、このような問題も生じることが無い。
また、副アシスト報知が画像表示演出による場合、上述のように、そのアシスト報知画像を画面上から消すのではなく、当該アシスト報知画像を液晶画面の隅部に小さく表示する等の「退避表示」をしたり、フリーズ中サブ側演出に係る画像表示を当該アシスト報知画表示よりも「優先表示(たとえば、フリーズ中サブ側演出に係る画像によりもアシスト報知画像の透明度を下げる、または表示階層を下げる等)」したりする、といった特殊な描画処理(特殊画像生成手段)を施すことができる。また副アシスト報知がLEDや7セグメント表示器のような演出表示装置である場合は、フリーズ期間中は、その表示を消すことが好ましい。
(フリーズ発生時と未発生時のアシスト報知タイミングについて:図24B)
また、フリーズ演出(レバー操作時フリーズ演出)が発生(実行)されるか否に応じて、主アシスト報知および/または副アシスト報知の開始タイミングを異ならせることができる。これについて図24Bを参照しながら詳細に説明する。
図24Bに、フリーズ演出発生時における主アシスト報知と副アシスト報知の開始タイミングの一例(具体例3)を示す。なお、ここでは、フリーズ演出未発生時についてのアシスト報知の開始および終了タイミングは、図24(イ)に示す具体例1と同じタイミングであるものとして説明する。
この具体例3の場合、フリーズ演出未発生時の場合には、図24A(イ)の具体例1に示すタイミングにて主アシスト報知および副アシスト報知を開始させる。一方、フリーズ演出発生時の場合には、主アシスト報知についてはフリーズ演出未発生時と同じタイミングで開始させるが、副アシスト報知についてはフリーズ演出未発生時とは異なるタイミングで開始させるようになっている。すなわち具体例3では、主アシスト報知は、フリーズ演出が発生するか否かにかかわらず、その開始タイミングが同じものとなっており、副アシスト報知は、フリーズ演出が発生するか否かに応じて、その開始タイミングが異なるものとなっている。
詳しくは図24Bを参照して、具体例3では、まず始動レバー11の操作を契機に「レバー操作時フリーズ演出」が発生されると共に、「指示モニタ番号コマンド」が送信される(時刻t1)。このフリーズ演出は、時刻tEまで実行される。すなわち、図示の時刻t1〜時刻tEの「tF区間」がフリーズ実行期間、つまりフリーズ時間となっている。
ここで演出制御部410は、図示の通り、フリーズ演出終了前に「指示モニタ番号コマンド」を受信しているが(時刻t9)、この時点では副アシスト報知を開始せずに、「フリーズ演出終了時(時刻tE)」に、副アシスト報知を開始するようになっている。この点、指示モニタ番号コマンド受信時に副アシスト報知を直ちに開始する図24A(イ)の具体例1とは異なる。なお、フリーズ演出の終了タイミングは「フリーズ終了コマンド(ステップS71の回胴演出実行処理(図10B参照))」により知ることができる。
他方、主アシスト報知については、回胴の通常回転動作の開始を契機に開始される(図24A(イ)の時刻t3、図24Bの時刻t2)。そして主アシスト報知と副アシスト報知は、最終停止操作時の時刻t6(または全回胴停止時の時刻t7)にて終了される。
上記のように具体例3のケースでは、フリーズ演出未発生時の場合には、副アシスト報知が指示モニタ番号コマンド受信を契機に開始し(図24A(イ)の時刻t9)、フリーズ演出発生時の場合には、副アシスト報知がフリーズ演出終了を契機に開始し(図24Bの時刻tE)、フリーズ演出中に副アシスト報知が発生しないようになっている。この具体例3のケースも、フリーズ演出中はアシスト報知が現出されないので、既に説明したように、フリーズ中サブ側演出がアシスト報知に邪魔されることがなく、フリーズ中は回胴の停止操作が利かないにもかかわらず、演出上、回胴の停止操作を促す演出(アシスト演出)が発生することによる遊技者の混乱を招来するという問題が生じることが無い。また、フリーズ終了を契機に副アシスト報知を実行するようにすれば、比較的簡易な制御処理で、フリーズ演出期間中(tF期間)に、副アシスト報知を実行させないようにすることができる。
(具体例3の変形例)
なお具体例3では、レバー操作時フリーズ演出の未発生時および発生時において、副アシスト報知を主アシスト報知に先行して実行するケースを説明した。しかし本発明はこれに限らず、下記の(α)〜(ζ)の構成とすることができる。
(α)レバー操作時フリーズ演出の未発生時および発生時において、主アシスト報知を副アシスト報知に先行して実行することができる。
(β)主アシスト報知をレバー操作時フリーズ演出の開始を契機に開始させることができる。たとえば、始動レバー11操作時の時刻t1から主アシスト報知を開始させることができる。
(γ)レバー操作時フリーズ演出が実行されるか否かにかかわらず、主アシスト報知を所定のタイミングで開始することができる。
(δ)レバー操作時フリーズ演出が実行される場合、主アシスト報知をフリーズ演出の終了を契機に開始させることができる。たとえば、フリーズ演出が終了する時刻tEで開始させることができる。
(ε)主アシスト報知および/または副アシスト報知を、フリーズ演出開始後の所定のタイミングで開始させることができる。たとえば、停止操作有効状態(時刻t3)の到来を契機に開始することができる。
(ζ)フリーズ演出未発生時の場合、主アシスト報知は「主アシスト報知開始許容期間tS期間」の任意のタイミングで、副アシスト報知は「副アシスト報知開始許容期間tR期間」の任意のタイミングで開始することができる。なお、どのタイミングで開始するかは、適宜定めることができる(具体例1、2も同様)。また、主アシスト報知と副アシスト報知とを同一または略同一のタイミングで開始させる、または副アシスト報知を主アシスト報知に先行して実行する、あるいは主アシスト報知を副アシスト報知に先行して実行することができる。
ただし上記(α)〜(ζ)において、副アシスト報知は、いずれにしても、演出制御部410の主制御部400からの「指示モニタ番号コマンド」の受信が、その開始条件の一つとされる。
(押し順ミスをした場合のアシスト報知について:図24Bの最下段の欄)
本実施形態では、回胴の回転中において、主アシスト報知および副アシスト報知を実行するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、次のように構成することができる。
図24Bの最下段に示すタイムチャートは、遊技者がアシスト報知の内容とは異なる停止操作手順を実行してしまったケース、所謂「停止操作手順ミス」をしたケースを例示したものである。なお図中の「時刻tM」は、第2停止操作時を示す。
図示のケースは、遊技者が不注意等により、第2停止操作時(時刻tM)のときに、停止操作手順ミス(本例では、押し順ミスとする)をした結果、現在実行中の副アシスト報知(正規の副アシスト報知)を終了されるケースを示している。押し順ミスが発生した場合、副アシスト報知を終了させる理由は次の通りである。
押し順ミスが発生した場合、副アシスト報知が継続したままであるとすれば、次に停止させる回胴がいずれの回胴であるのか不明確になる等、遊技者が混乱する恐れがあり、押し順ミスが発生した場合は、それ以上、副アシスト報知の実行を継続させておく必要性に欠ける。よって、押し順ミスが発生した場合は、副アシスト報知を終了させることが好ましいからである。なお、押し順ミスが発生した場合に、副アシスト報知を終了させるタイミングは、第2停止に係る停止ボタン12のON操作時であっても良いし、OFF操作を確認後(停止ボタン釈放後)であっても良い。
一方、主アシスト報知については、押し順ミスがあってもそのままアシスト報知を継続させ、少なくとも最終停止操作がなされるまで継続させる。その理由は次の通りである。主アシスト報知を終了させるためには、当選役と遊技状態とに基づいて押し順ミスが発生したか否かを監視したり、押し順ミス時は表示終了用の表示データを作成して、主報知手段(本例では、払出枚数表示器35)を表示制御する必要があり、主制御部400側の制御負担が無闇に増大してしまう恐れがある。しかし副アシスト報知だけを終了させるだけであれば、演出制御部410側にて、たとえば停止コマンド(図14の回胴停止処理中のステップS406参照)を受ければ、副アシスト報知の終了に必要な演出制御処理をするだけで済み、主制御部400側の制御に負担をかけることなく、演出制御部410側の演出制御により対処可能である。特にパチンコ店に設置するような遊技機においては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の法的要請により、遊技動作全般の制御を司る主基板(本実施形態では、主制御部400が該当する)に装着されるROMのプログラム容量が制限されているため、主制御部側の制御負担軽減(プログラム削減等)は重要な意義を有する。
(変形例)
しかし押し順ミスをした場合であっても、「←7リプを狙え(指示モニタ番号7対応)」「←BARリプを狙え(指示モニタ番号8対応)」のような特定の副アシスト報知である場合、その副アシスト報知を終了させなくても良い。
本実施形態の場合、図18に示す「←7リプを狙え」「←BARリプを狙え」の副アシスト報知が現出されるケースは、上乗せ特化ゾーン中やボーナス遊技中において、7リプレイやBARリプレイ等に当選した場合である(図22Aの指示モニタ番号の指示有り区間1、2の対応記載欄参照)。既に説明したように、上乗せ特化ゾーン中の「7リプレイ」または「BARリプレイ」の当選は、他の当選役よりも上乗せ抽選が優遇されており(図21(ロ)参照)、またボーナス遊技中もこれらの役に当選した場合には、AT抽選や上乗せ抽選実行権利が付与され、仮に、押し順ミスをしてもその特典は消失しないようになっている。
このため、遊技者の関心事は、これら役に当選することに向けられ、「←7リプを狙え」等の副アシスト報知が現出されたときには、高揚感・緊張感が一層高まることになる。しかし、遊技者が押し順ミスをして、「←7リプを狙え」等が終了してしまうと、遊技者が当選による抽選実行権利が消失したと錯覚したり、混乱したりする恐れがある。
このように、特定の副アシスト報知が現出される場合には、押し順ミスや停止操作タイミングが合わずに本来停止させるべき図柄が停止しなくともが、実行中の副アシスト報知を終了させないことが好ましい。なお、押し順ミスを確認した場合、実行中の副アシスト報知を終了させるとともに、その事実を遊技者に知らせる「押順失敗演出」を現出させることができる。
(2.主制御側タイマ割込処理:図16)
次に図16を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図16は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1.5ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図16において、主制御部400は、タイマ割り込みが発生すると、まずCPUのレジスタを退避させた後(ステップS81)、LEDデータの作成処理を実行する(ステップS82)。このLEDデータの作成処理では、クレジット枚数表示器34や払出枚数表示器35等の7セグメント表示器、投入枚数表示LED33、メダル投入表示LED36、再遊技作動LED37、遊技開始表示LED38、設定表示器(図示せず)等の表示を実現するために必要とされるLEDデータを作成する。
次いで、コマンド作成処理を実行する(ステップS83)。このコマンド作成処理では、処理状況に応じてセットされたコマンドデータを作成して送信キューにセットする。なお、セットされたコマンドは、後述する出力処理(S92)にて演出制御部410側に出力される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS84)。このポート入力処理では、遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出信号を受ける入力ポートのデータを取得し、スイッチ信号やセンサ信号の検出の有無に関するデータを作成したり、作成したスイッチデータをメインRAM401bに保存したりする等、遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出情報を管理する。
次いで、タイマ減算処理を実行する(ステップS85)。このタイマ減算処理では、遊技動作に用いられる各種のソフトウェアタイマを更新(減算)するための処理を行う。たとえば、図12のステップS137の処理で初期設定された出力管理タイマは、この減算処理によって、ゼロになるまでデクリメントされる。
次いで、メダル払出処理を実行する(ステップS86)。このメダル払出処理は、クレジット精算の精算要求や入賞による払出要求に応じて、ホッパーユニット500のホッパーモータ510を駆動制御して、遊技メダルの払出動作を実現するために必要な処理を行う。
次いで、投入/払出信号出力処理を実行する(ステップS87)。この投入/払出信号出力処理では、遊技メダルの投入枚数情報や払出枚数情報を作成し、これを遊技機外部のホールコンピュータHCに対して送信するために必要な設定を行う。
次いで、エラー解除判定処理を実行する(ステップS88)。このエラー解除判定処理では、上記入力管理処理の情報に基づいて遊技動作状態を監視し、遊技機の異常(遊技動作エラー)の有無を監視する。またエラー発生時に対応してエラーフラグを設定したり、エラーが解除されたか否かを判定し、エラーが解除された場合には、エラー解除をしたりする。また、エラー情報をホールコンピュータHCに対して送信するために必要な設定も行う。
次いで、メダル投入処理を実行する(ステップS89)。このメダル投入処理は、メダル投入口7からの遊技メダルの投入枚数、MAXスベットボタン8や1ベットボタン9の操作による投入枚数を管理したり、ブロッカーソレノイド7cのON/OFF制御、賭数や投入枚数に応じてクレジット値を更新したりする処理を行う。
次いで、貯留メダルの精算処理を実行する(ステップS90)。この貯留メダル精算処理では、クレジット精算ボタン10の操作の有無を監視し、エラー中や遊技メダル投入中等以外のクレジット精算許容状態であれば、クレジット精算ボタン10の操作に応じて、クレジット精算要求をONにする。クレジット精算要求がONされると、上記メダル払出処理にて、払出動作が実行され、クレジットが精算される。
次いで、回胴制御処理を実行する(ステップS91)。この回胴制御処理では、回胴始動時や停止操作時において、回胴駆動モータに出力する励磁データを管理して回転動作を制御したり、現在の回胴の回転位置やその速度を監視したりする。
次いで、出力処理を実行する(ステップS92)。この出力処理では、遊技進行状態に応じてセットされた演出制御コマンドを演出制御部410側(演出制御基板420側)に対して送信するためのコマンド送信処理を行う。主制御部400は、割り込み毎に演出制御コマンドを1バイト分出力している。1つの演出制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの演出制御コマンドが送信される。またここでは、LED群や7セグメントなどを駆動制御するためのLED表示データや回胴駆動モータを駆動制御するための励磁データ等を遊技中継基板370や回胴中継基板330に対して出力するとともに、型式試験信号の出力処理も行う。
以上のステップS81〜ステップS92の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(ステップS93)、割込み許可状態に設定する。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
<3.演出制御側の処理:図17A>
次に、図17Aを参照して、本実施形態の演出制御部410側における演出制御処理について説明する。演出制御部410側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図17A)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図17B)とを含んで構成される。この演出制御側タイマ割込処理は、演出制御側メイン処理実行中に所定時間毎(1ms程度)に割り込んで実行され、演出動作に必要な種々の処理が含まれる。
なお演出制御部410の制御主体は、正確には演出制御基板420のサブCPU421cや液晶制御基板460のCPUなどを含んだものであるが、主制御部410から演出制御コマンドを受けた演出制御基板420(サブCPU421c)側が、これに関連する液晶制御コマンドを液晶制御基板460に送信する関係上、以下では、演出制御基板420が行う処理手順を中心に説明し、演出制御基板420の機能と液晶制御基板460の機能とを特に必要がない限り区別することなく、処理を実行する主体を演出制御部410として説明する。またCPU、RAM、ROMは、演出制御基板420のサブCPU421c、サブRAM421b、サブROM421aなどで代表させる。
(3−1.演出制御側メイン処理:図17A)
図17Aは、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部410は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図17に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部410は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS21)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS21の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS23〜S28のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS29の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS22の処理において、演出制御部410は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS22)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図17BのステップS46)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS22:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS29:各種演出用ソフト乱数更新処理)。演出抽選用乱数は、AT抽選、予告演出、期待演出、アシスト報知、上乗せ抽選など、演出制御部410側による所定の抽選や現出すべき演出を抽選により決定する場合に利用され、抽選態様に対応した複数種類の演出抽選用乱数が含まれる。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS22:YES)、演出制御部410は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS23)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。
たとえば、指示モニタ番号コマンドと当選役変換情報コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、このコマンドに含まれるアシスト情報と当選役情報と現在の演出制御部遊技状態(演出状態)とに基づいて、演出パターンとして、今回のゲームで現出すべきアシスト報知態様に係る光演出、音演出、および画像表示演出などを決定して、これら演出パターンを、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定する。これにより、今回ゲーム中に現出するための演出シナリオを構成して、その演出シナリオに関するデータをRAMのシナリオ設定領域に格納する。なお、遊技者参加型演出(ボタン予告演出など)の場合は、操作手段の操作に応じて、対応するパーツ演出を変更して、適宜、演出シナリオの構成を変更、再構築する。
ステップS23の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS24)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS25)や演出役物制御データ更新処理(ステップS27)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、演出シナリオを進行させる処理を行い、必要であれば、スピーカ16用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドを作成し、それぞれをサブRAM401bの指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS25)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ27)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS25)。このLEDデータ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、サブRAM401bの指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図17BのステップS45)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS26)。このサウンド出力処理では、ステップS24のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源IC99)を通じてスピーカ16からBGMや効果音などを出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS27)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物(図示せず)を動作させる役物モータ用の制御データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図17BのステップS44)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS28)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップ29の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(演出制御側タイマ割込処理:図17B)
次に図17Bを参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図17Bは、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図17Bにおいて、演出制御部410(サブCPU421c)は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS41)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS42)。この演出ボタン入力管理処理では、演出ボタン(図示せず)からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をサブRAMの所定領域に格納する。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS43)。この液晶コマンド送信処理では、図17Aの演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS24)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置6に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS44)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS27)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ(図示せず)に制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS45)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS25)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS46)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS41〜ステップS46の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS47)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<6.受信コマンド解析処理の内容:図17C〜図17E>
図17C〜図17Eに、受信コマンド解析処理(図23のステップS23)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示す。ここでは、本発明と関連の深い、遊技開始時(回胴回転始動レバー11の操作時)に係る演出制御コマンド(当選役変換情報コマンド)や、回胴の停止時に係る演出制御コマンド(停止コマンド、入賞情報コマンド)を受信した場合についてそれぞれ説明し、他の演出制御コマンドを受信した場合の説明は省略する。
(当選役変換情報コマンド受信処理:図17C)
図17Cは、当選役変換情報コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。当選役変換情報コマンドは、図11の内部抽選処理中のステップS113でセットされる演出制御コマンドである。
図17Cにおいて、演出制御部410(サブCPU421c)は、まず当選役変換情報コマンド内容を解析して当選役情報を取得し、サブRAM401bの所定領域に格納する。そして、現在の遊技状態(演出状態)と当選役とに基づき、図25に示す「演出シナリオ設定テーブル」に定められた複数種類の演出シナリオのうちからいずれかの演出シナリオを抽選により決定する(ステップS501)。
次いで、ステップS501の演出抽選結果に決定された演出シナリオ番号をセットする(ステップS502)。
次いで、演出シナリオ番号の「レバーON時」に対応するメインシナリオをセットする(ステップS503)。これにより、ゲーム開始時、つまり、始動レバー11の操作を契機に現出すべき演出内容が決定されたことになる。なお、「回転開始時」のメインシナリオの設定は、図10Bの回胴回転開始設定処理中でセットされる「回転開始コマンド」を受信した際に実行される。
次いで、ゲーム開始時に必要な各種情報を更新する(ステップS504)。ゲーム開始時の各種情報とは、たとえば、本ART遊技中の残余ARTゲーム数表示の更新などである。これにより、当選役変換情報コマンド受信処理を抜ける。
(停止コマンド受信処理:図17D)
図17Dは、停止コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。停止コマンドは、図14の回胴停止処理中のステップS406でセットされる演出制御コマンドである。この停止コマンドには、停止回胴数データ、停止対象回胴データおよび停止操作順データ等を特定可能な情報が含まれ、当該情報により、現在の押し順や第何番目の停止操作であるかを把握することができる。
図17Dにおいて、演出制御部410(サブCPU421c)は、まず今回のゲームの当選役情報を取得し、当該当選役が押順規定役であるか否かを判定する(ステップS511)。押順規定役でない場合(ステップS511:NO)、図17CのステップS502の処理で設定された演出シナリオ番号を取得し、演出シナリオ番号の「第1停止」「第2停止」「第3停止(ON時)」のうちから、今回の停止操作に対応するメインシナリオをセットし(ステップS515)、停止コマンド受信処理を抜ける。これにより、回胴の停止操作時、つまり、停止ボタンの操作を契機に現出すべき演出内容が決定されたことになる。
一方、ステップS511の判定結果が「YES」、つまり押順規定役である場合(ステップS511:YES)、次いで、アシスト報知中であるか否かを判定する(ステップS512)。アシスト報知中でない場合には(ステップS512:NO)、上記ステップS515の処理を実行し、アシスト報知中である場合には(ステップS512:YES)、アシスト報知に従う停止操作(押し順が一致するか)であるか否かを判定する(ステップS513)。
アシスト報知に従う停止操作である場合(ステップS513:YES)、上記ステップS515の処理を実行し、アシスト報知に従う停止操作でない場合(ステップS513:NO)、押し順不正解時の演出シナリオをセットする(ステップS514)。この場合、現在設定されている、演出シナリオ番号に係る演出シナリオはクリアされ、新たな演出シナリオとして、押し順不正解時の演出シナリオがセットされ、この演出シナリオに従い、今回のゲームの演出が現出されることになる。
(入賞情報コマンド受信処理:図17E)
図17Eは、入賞情報コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。入賞情報コマンドは、図10Bの入賞判定処理(ステップS79)でセットされる演出制御コマンドである。この入賞情報コマンドには、全回胴停止時の停止図柄情報(遊技結果情報)が含まれ、入賞役を把握することができる。
図17Eにおいて、演出制御部410(サブCPU421c)は、まず今回のゲームの入賞情報コマンドの内容を解析し、停止図柄情報を取得し、サブRAM401bの所定領域に格納する(ステップS531)。
次いで、演出シナリオ番号の「第3停止(OFF時)」に対応するメインシナリオをセットする(ステップS532)。これにより、回胴の全回胴停止(第3停止ボタン釈放時)を契機に現出すべき演出内容が決定されたことになる。
次いで、入賞が発生したか否かを判定する(ステップS533)。入賞が発生していない場合(ステップS533:NO)、何もせずに、入賞情報コマンド受信処理を抜ける。
一方、入賞が発生した場合(ステップS533:YES)、重複入賞エラーをチェックする(ステップS534)。本実施形態では、有効入賞ラインが1ラインであるので、1入賞しか有りえないことに基づき、受信したコマンドデータについて、入賞を示すビットが複数のビットであるか否かをチェックする。正規入賞(正常)でない場合には(ステップS535:NO)、入賞情報コマンド受信処理を抜けて、所定のエラー処理(不図示)を実行する。
正規入賞(正常)である場合(ステップS535:YES)、現在の遊技状態(演出状態)に応じた払出演出設定テーブル(図26、図27)を取得し、停止図柄情報(入賞役情報)に対応する払出演出番号をセットする(ステップS536)。これにより、今回の遊技結果に対応した払出遊技演出が現出される。なお、払出遊技演出のシナリオの設定は、入賞情報コマンドを受けたときに実行されるだけである。したがって、既に説明したように、払出遊技演出(払出演出音)は1回だけ出力される。
次いで、AT当確報知抽選処理を実行する(ステップS537)。AT当確報知抽選処理では、AT抽選が実行された場合、AT当確報知演出を現出するか否かのAT当確報知抽選を実行し、当選した場合にはAT当確報知演出を現出し、非当選である場合には、ステップS536の処理で設定された払出演出シナリオに基づき、払出遊技演出を現出制御する。これにより、入賞情報コマンド受信処理を抜ける。
以上に説明した実施形態によれば、主制御部(メイン制御部)側において出玉率を管理可能な新規な遊技制御動作を実現することができる。この点、主として、従来の演出制御部(サブ制御部)で出玉率を左右させるものとは大きく異なる。また上記実施形態によれば主制御部側の制御負担を軽減することができる。また払出演出に関する制御負担を軽減しつつ、効果的な払出演出を実行することができる。また本発明の目的を達成しうる遊技機であれば、回胴式遊技機に限らず、弾球遊技機など、その他の遊技機にも適用することができる。