JP7375907B2 - 通信設備の電源供給制御装置、電源供給制御方法、電源供給制御プログラム、及び電源供給制御システム - Google Patents

通信設備の電源供給制御装置、電源供給制御方法、電源供給制御プログラム、及び電源供給制御システム Download PDF

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Description

本発明は、独立した複数の通信設備をそれぞれ制御対象の負荷とするシステムにおいて全体の電源供給を制御するために利用可能な通信設備の電源供給制御装置、電源供給制御方法、電源供給制御プログラム、及び電源供給制御システムに関する。
各種の通信設備は、安定して動作するために安定した電源電力の供給を必要とする。したがって、例えば非特許文献1に示されたような技術を適用して、それぞれの通信設備に安定した電源電力を供給することが想定される。
武田隆他,"給電システムおよび通信用電源の研究開発",NTT技術ジャーナル,2001年11月号,pp44-49.
一方、比較的規模の大きい通信システムにおいては、互いに独立した複数の通信設備を同時に管理する必要がある。例えば、公衆電話回線を提供する電話交換機を含む通信システムにおいては、何らかの障害が発生した場合や、設備の保守や点検を実施する場合でもユーザに提供する通信機能が途絶しないように継続的に機能を維持する必要がある。そのため、通常使用する通信設備の他に複数のバックアップ用設備を用意したり、通信経路を冗長化する必要がある。また、システムの高機能化に伴って、例えばIP(Internet Protocol)網と接続するための特別な通信設備や、複数の中継装置を同時に管理することも必要になる。
上記のような通信システムにおいては、互いに独立した複数の通信設備のそれぞれを安定した状態で運用する必要がある。また、複数の通信設備が互いに接続された状態で運用される環境では、各通信設備が起動する順序が事前に想定した状態と違う場合に、エラーなどの問題が発生する可能性がある。また、所定の主電源から各通信設備への電源電力供給を開始してから各通信設備が安定した稼働状態になるまでにはある程度の時間がそれぞれ必要になる。また、各通信設備への電源電力供給を開始する時には、一時的に非常に大きな突入電流が流れる傾向があるので、多数の通信設備への電源電力供給を同時に開始すると、過負荷になって主電源の機能が喪失したり、主電源の動作が不安定になる可能性がある。そして、主電源の動作が不安定になると、各通信設備が正常な運転状態にならない原因となる。
したがって、多数の通信設備が含まれる上記のような通信システムにおいては、当該システムの設計者が予め定めた順序に従い、共通の主電源から複数の通信設備のそれぞれに対して順番に電力供給を開始することが必要になる。各通信設備への電源電力供給を停止する場合も同様である。
また、制御対象の通信設備の種類やその負荷の大きさが様々であるし、主電源の電力供給能力が常に一定であるとも限らないので、複数の通信設備のそれぞれに対して単に順番に電力供給を開始するだけでは、主電源や各通信設備の動作が不安定になる懸念がある。したがって、一般的な制御装置であるシーケンサーを利用したとしても、複数の通信設備に対する電源電力の供給開始や停止を適切に制御することはできない。そのため、従来は設備の運用管理者が、決められた手順に従い、手作業で多数の通信設備に対する電源電力供給の開始/停止の操作を行っていた。特に、複数の通信設備を順次に起動する場合には安定した状態でシステムを稼働させるために慎重な操作が必要とされる。したがって、熟練した運用管理者が不在の場合には、重要な通信システムの起動作業ができなかった。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、複数の通信設備を安定した状態で起動するための電源電力供給操作を無人で行うことが可能な、通信設備の電源供給制御装置、電源供給制御方法、電源供給制御プログラム、及び電源供給制御システムを提供することを目的とする。
(1)本発明の通信設備の電源供給制御装置は、通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷に対して共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源から電源電力をそれぞれ供給するための通信設備の電源供給制御装置であって、
前記主電源から前記複数の負荷のそれぞれに対する電源電力供給有無を切り替える制御可能な複数のスイッチ部と、
前記複数のスイッチ部の下流側に接続される1つ以上の前記負荷のそれぞれの前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより、前記負荷が安定運転状態になったことを監視する複数の負荷監視部と、
前記複数の負荷監視部の監視状況に基づいて、前記複数のスイッチ部のそれぞれのオンオフを順次に制御するスイッチ制御部と、
を備え、
前記スイッチ制御部は、事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定すると共に、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷の状態を監視する前記負荷監視部の出力に基づき、前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電を制御する前記スイッチ部のオンオフを切り替える構成を有する。
本発明の通信設備の電源供給制御装置によれば、複数の通信設備を安定した状態で稼働するための電源電力供給操作を無人で行うことが可能になる。例えば、前記第1の負荷への電源電力供給を開始した後で、前記第2の負荷への電源電力供給を開始する場合には、前記第1の負荷への通電開始の影響で一時的に主電源の出力電圧が低下したり、電圧が変動する可能性がある。しかし、本発明の通信設備の電源供給制御装置は前記第1の負荷の状態が所定の状態に安定するまで待機した後で前記第2の負荷への電源電力供給を開始できる。これにより、主電源の出力電圧が安定した状態で前記第2の負荷への電源電力供給を開始することになり、前記第2の負荷の動作を安定した状態で起動することができる。また、前記複数の負荷監視部は、前記複数のスイッチ部の下流側の負荷の状態を監視するので、順番が先のスイッチ部が切り替わる前に前記第2の負荷への電力供給を開始するのを確実に防止できる。更に、ヒューズの断線などの影響で前記第1の負荷への電力供給ができないような場合に、前記第1の負荷の動作が起動していない状態で前記第2の負荷の動作が起動するのを防止できる。また、複数の負荷に対して事前に定めた順番で順次に電源電力を供給するので、主電源が過負荷になるのを避けることが容易になる。
(2)本発明の電源供給制御方法は、通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷に対して共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源から電源電力をそれぞれ供給するための電源供給制御方法であって、
事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定し、
前記複数の負荷の中で、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷が安定運転状態になったことを、前記第1の負荷から受信した前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより監視し、
監視している前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電のオンオフを切り替える。
本発明の電源供給制御方法によれば、複数の通信設備を安定した状態で稼働するための電源電力供給操作を無人で行うことが可能になる。例えば、前記第1の負荷への電源電力供給を開始した後で、前記第2の負荷への電源電力供給を開始する場合には、前記第1の負荷への通電開始の影響で一時的に主電源の出力電圧が低下したり、電圧が変動する可能性がある。しかし、本発明の通信設備の電源供給制御方法では、前記第1の負荷の状態が所定の状態に安定するまで待機した後で前記第2の負荷への電源電力供給を開始できる。これにより、主電源の出力電圧が安定した状態で前記第2の負荷への電源電力供給を開始することになり、前記第2の負荷の動作を安定した状態で起動することができる。また、負荷毎にそれよりも上流側の負荷状態を実際に監視することにより、各負荷への通電の順序に間違いが生じるのを避けることができる。また、複数の負荷に対して事前に定めた順番で順次に電源電力を供給するので、主電源が過負荷になるのを避けることが容易になる。
(3)本発明の電源供給制御プログラムは、通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷に対して共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源から電源電力をそれぞれ供給するための制御を行う所定のコンピュータが実行可能な電源供給制御プログラムであって、
事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定する手順と、
前記複数の負荷の中で、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷が安定運転状態になったことを、前記第1の負荷から受信した前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより監視する手順と、
監視している前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電のオンオフを切り替える手順と、
を有する。
本発明の電源供給制御プログラムを所定のコンピュータで実行してシステムを制御することにより、複数の通信設備を安定した状態で稼働するための電源電力供給操作を無人で行うことが可能になる。例えば、前記第1の負荷への電源電力供給を開始した後で、前記第2の負荷への電源電力供給を開始する場合には、前記第1の負荷への通電開始の影響で一時的に主電源の出力電圧が低下したり、電圧が変動する可能性がある。しかし、本発明の通信設備の電源供給制御プログラムでは、前記第1の負荷の状態が所定の状態に安定するまで待機した後で前記第2の負荷への電源電力供給を開始できる。これにより、主電源の出力電圧が安定した状態で前記第2の負荷への電源電力供給を開始することになり、前記第2の負荷の動作を安定した状態で起動することができる。また、負荷毎にそれよりも上流側の負荷の状態を実際に監視することで、各負荷への通電の順序に間違いが生じるのを避けることができる。また、複数の負荷に対して事前に定めた順番で順次に電源電力を供給するので、主電源が過負荷になるのを避けることが容易になる。
(4)本発明の電源供給制御システムは、通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷と、前記複数の負荷のそれぞれに対して電源電力を供給可能な共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源と、前記主電源から前記複数の負荷に対する電力供給を制御する制御部とを有する電源供給制御システムであって、
前記主電源から前記複数の負荷のそれぞれに対する電源電力供給有無を切り替える制御可能な複数のスイッチ部と、
前記複数のスイッチ部の下流側にそれぞれ接続される1つ以上の前記負荷のそれぞれの前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより、前記負荷が安定運転状態になったことを監視する複数の負荷監視部と、
前記複数の負荷監視部の監視状況に基づいて、前記複数のスイッチ部のそれぞれのオンオフを順次に制御するスイッチ制御部と、
を備え、
前記スイッチ制御部は、事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定すると共に、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷の状態を監視する前記負荷監視部の出力に基づき、前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電を制御する前記スイッチ部のオンオフを切り替える構成を有する。
本発明の電源供給制御システムによれば、複数の通信設備を安定した状態で稼働するための電源電力供給操作を無人で行うことが可能になる。例えば、前記第1の負荷への電源電力供給を開始した後で、前記第2の負荷への電源電力供給を開始する場合には、前記第1の負荷への通電開始の影響で一時的に主電源の出力電圧が低下したり、電圧が変動する可能性がある。しかし、本発明の電源供給制御システムは前記第1の負荷の状態が所定の状態に安定するまで待機した後で前記第2の負荷への電源電力供給を開始できる。これにより、主電源の出力電圧が安定した状態で前記第2の負荷への電源電力供給を開始することになり、前記第2の負荷の動作を安定した状態で起動できる。また、前記複数の負荷監視部は、前記複数のスイッチ部の下流側の電源ラインに接続された上位の負荷の状態を監視するので、順番が先のスイッチ部が切り替わる前に前記第2の負荷への電力供給を開始するのを確実に防止できる。更に、ヒューズの断線などの影響で前記第1の負荷への電力供給ができないような場合に、前記第1の負荷の動作が起動していない状態で前記第2の負荷の動作が起動するのを防止できる。また、複数の負荷に対して事前に定めた順番で順次に電源電力を供給するので、主電源が過負荷になるのを避けることが容易になる。
本発明の通信設備の電源供給制御装置、電源供給制御方法、電源供給制御プログラム、及び電源供給制御システムによれば、複数の通信設備を安定した状態で稼働するための電源電力供給操作を無人で行うことが可能になる。また、人間が操作する必要がないので、誤操作の発生も防止できる。
本発明の第1実施形態の電源供給制御装置を含む通信システムの構成例を示すブロック図である。 図1に示した電源供給制御装置の動作例を示すタイムチャートである。 本発明の第2実施形態の電源供給制御装置を含む通信システムの構成例を示すブロック図である。 図3に示した電源供給制御装置の内部構成を示すブロック図である。 供給開始順序データの構成例を示す模式図である。 通信設備毎の負荷条件データの構成例を示す模式図である。 本発明の第2実施形態の電源供給制御装置における供給開始制御の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態の電源供給制御装置における供給停止制御の手順を示すフローチャートである。 供給開始制御の変形例を示すフローチャートである。
本発明の実施形態について各図を参照しながら以下に説明する。
<<第1実施形態>>
-<通信システムの構成例>
本発明の第1実施形態の電源供給制御装置100を含む通信システムの構成例を図1に示す。この通信システムは、例えば公衆電話回線のサービスをユーザに提供するために利用される。勿論、それ以外の用途の通信設備にも本発明を適用できる。
図1に示した通信システムは、複数の互いに独立した通信設備12-1、12-2、12-3、及び12-4を有している。これらの通信設備12-1~12-4は、動作するためにそれぞれ直流の電源電力を必要とする。図1の例では、電源供給制御装置100は負荷側電源ライン15-1を経由して通信設備12-1に電源電力を供給する。また、電源供給制御装置100は負荷側電源ライン15-2を経由して通信設備12-2に電源電力を供給する。また、電源供給制御装置100は負荷側電源ライン15-3を経由して通信設備12-3に電源電力を供給する。また、電源供給制御装置100は負荷側電源ライン15-4を経由して通信設備12-4に電源電力を供給する。
主電源11は、例えば蓄電池であり、直流の電源電力を電源ライン13及びアースライン14を経由して負荷側に供給できる。図1に示した電源供給制御装置100は、複数の通信設備12-1~12-4の動作を起動する時に、これらの通信設備12-1~12-4を制御対象の負荷として、適切な順序で、且つ適切な条件で共通の主電源11から負荷側電源ライン15-1~15-4を介して各通信設備12-1~12-4に電源電力を供給する。なお、図1の例では1つの主電源11から各負荷に電源電力を供給する場合を想定しているが、例えば同じ系統に属する正極性の主電源、及び負極性の主電源を利用し、これら複数の主電源から各負荷に電源電力を供給してもよい。
なお、電源供給制御装置100については、制御対象の複数の通信設備12-1~12-4の動作を停止する時に、適切な順序で、且つ適切な条件で主電源11からの電源電力供給を遮断するように構成を変更することも可能である。
各通信設備12-1~12-4を起動する順序、及び切り替える条件を適切に定めることで、電源供給制御装置100は各通信設備12-1~12-4を起動する時に安定した運転状態にすることができる。また、電源供給制御装置100は複数の通信設備12-1~12-4への電源電力供給開始のタイミングをずらすことにより、同じタイミングで大きな電源電流が流れるのを避けることができ、主電源11が過負荷になるのを防止できる。これにより、電源供給制御装置100は各通信設備12-1~12-4の誤動作を避けることができる。
図1に示した電源供給制御装置100の場合には、負荷側電源ライン15-1~15-4の下流にそれぞれ接続する通信設備12-1~12-4の種類や特性が予め固定されている場合を想定している。また、複数の通信設備12-1~12-4を起動する順序については、通信設備12-1が1番目、通信設備12-2が2番目、通信設備12-3が3番目、通信設備12-4が4番目に固定されている。そのため、複数の通信設備12-1~12-4を起動する時の電力供給開始順序は、電源供給制御装置100の回路構成により、固定的に定めてある。
電源ライン13と負荷側電源ライン15-1との間は、ヒューズ16-1及びスイッチSW1の直列回路を介して接続されている。同様に、電源ライン13と負荷側電源ライン15-2との間は、ヒューズ16-2及びスイッチSW2の直列回路を介して接続されている。電源ライン13と負荷側電源ライン15-3との間は、ヒューズ16-3及びスイッチSW3の直列回路を介して接続されている。電源ライン13と負荷側電源ライン15-4との間は、ヒューズ16-4及びスイッチSW4の直列回路を介して接続されている。
スイッチSW1~SW4は、それぞれ例えばリレーのように個別にオンオフ制御が可能な接点を有している。図1のようにスイッチSW1の接点を開いた状態では、通信設備12-1に電源電力は供給されず、スイッチSW1の接点が閉じると主電源11からの電源電力が負荷側電源ライン15-1を介して通信設備12-1に供給され通信設備12-1が起動を開始する。
上記と同様に、スイッチSW2の接点が閉じると主電源11からの電源電力が通信設備12-2に供給され、スイッチSW3の接点が閉じると主電源11からの電源電力が通信設備12-3に供給され、スイッチSW4の接点が閉じると主電源11からの電源電力が通信設備12-4に供給される。
図1に示した電源供給制御装置100は、4つの互いに独立した監視制御部17-1、17-2、17-3、及び17-4を備えている。
1番目の監視制御部17-1は、その制御対象の負荷である1番目の通信設備12-1に対する電源電力供給のオンオフを制御する。そのために、監視制御部17-1は負荷側電源ライン15-1よりも上位の電源ライン13の電源の状態、具体的には電圧を監視し、その状態を通信設備12-1の特性に合わせて事前に定めた条件と比較し、その結果に基づいて制御信号SG5を生成してスイッチSW1のオンオフを切り替える。つまり、電源ライン13の電圧が通信設備12-1の起動開始条件を満たすと、監視制御部17-1がスイッチSW1の接点を閉じて通信設備12-1に対する電源電力供給を開始する。
2番目の監視制御部17-2は、その制御対象の負荷である2番目の通信設備12-2に対する電源電力供給のオンオフを制御する。そのために、監視制御部17-2は通信設備12-2よりも先に電力供給が開始される1番目の通信設備12-1自体の負荷状態、具体的には運転状態を監視して、その状態を通信設備12-2の特性に合わせて事前に定めた条件と比較し、その結果に基づいて制御信号SG6を生成してスイッチSW2のオンオフを切り替える。つまり、2番目の通信設備12-2よりも1つ前に起動を開始するように順序が定められた1番目の通信設備12-1が起動を開始してからの運転状態が2番目の通信設備12-2の起動開始条件を満たすと、監視制御部17-2がスイッチSW2の接点を閉じて通信設備12-2に対する電源電力供給を開始する。
3番目の監視制御部17-3は、その制御対象の負荷である3番目の通信設備12-3に対する電源電力供給のオンオフを制御する。そのために、監視制御部17-3は通信設備12-3よりも先に電力供給が開始される2番目の通信設備12-2自体の負荷状態、具体的には運転状態を監視して、その状態を通信設備12-3の特性に合わせて事前に定めた条件と比較し、その結果に基づいて制御信号SG7を生成してスイッチSW3のオンオフを切り替える。つまり、3番目の通信設備12-3よりも1つ前に起動を開始するように順序が定められた2番目の通信設備12-2が起動を開始してからの運転状態が3番目の通信設備12-3の起動開始条件を満たすと、監視制御部17-3がスイッチSW3の接点を閉じて通信設備12-3に対する電源電力供給を開始する。
4番目の監視制御部17-4は、その制御対象の負荷である4番目の通信設備12-4に対する電源電力供給のオンオフを制御する。そのために、監視制御部17-4は通信設備12-4よりも先に電力供給が開始される3番目の通信設備12-3自体の負荷状態、具体的には運転状態を監視し、その状態を通信設備12-4の特性に合わせて事前に定めた条件と比較し、その結果に基づいて制御信号SG8を生成してスイッチSW4のオンオフを切り替える。つまり、4番目の通信設備12-4よりも1つ前に起動を開始するように順序が定められた3番目の通信設備12-3が起動を開始してからの運転状態が4番目の通信設備12-4の起動開始条件を満たすと、監視制御部17-4がスイッチSW4の接点を閉じて通信設備12-4に対する電源電力供給を開始する。
なお、監視制御部17-1が監視する電源の状態については、電圧の代わりに電流を監視しても良いし、電圧及び電流の両方を監視しても良いし、電圧及び電流のいずれかの変動分を監視しても良い。
また、電源供給制御装置100の制御対象となる各通信設備12-1~12-4は、正常な運転状態でない時にはその状態を表す警報信号を出力することができる。また、各通信設備12-1~12-4は、正常な運転状態になると状態が正常であることを表す操作部のランプを点灯したり、その状態を画面表示に反映したり、標準的なインタフェースを用いて所定の信号を外部に出力できる場合もある。したがって、各監視制御部17-2~17-4は、通信設備12-1~12-3がそれぞれ出力する警報信号の状態を監視したり、所定のセンサやインタフェースなどを用いてランプ点灯の有無や画面表示の状態を監視するように構成することが想定される。
-<動作例>
図1に示した電源供給制御装置100の動作例を図2に示す。図2において、縦軸は各スイッチSW1~SW3のオンオフ(ON/OFF)状態、又は各通信設備12-1~12-3の状態変化を表し、横軸は時間tを表している。
図1に示した通信システムにおいては、1番目の通信設備12-1、2番目の通信設備12-2、3番目の通信設備12-3、・・・に対して、この順番で電源電力供給を開始する必要がある。したがって、図1の電源供給制御装置100は、図2に示すように時刻t11でスイッチSW1をオフからオンに切り替え、その後の時刻t21でスイッチSW2をオフからオンに切り替え、その後の時刻t31でスイッチSW3をオフからオンに切り替える。
図2に示した時刻t11は、監視制御部17-1が監視信号SG1で監視している電源ライン13の電源状態と、監視制御部17-1が保持している電源条件の情報との比較に基づいて決定される。
一方、各通信設備12-1~12-3は、動作が停止しているオフ(OFF)状態から、電源電力の供給開始により起動中状態ST1に遷移し、ある程度の時間が経過すると安定運転状態ST2になる。なお、起動中状態ST1が継続する時間の長さは必ずしも一定ではない。起動中状態ST1では、各負荷側電源ライン15-1~15-3に突入電流が流れたり、一時的に処理の負荷が大きくなるのが一般的であるため、主電源11に対する負荷も大きくなることが想定される。また、安定運転状態ST2では処理の負荷が安定して各負荷側電源ライン15-1~15-3に流れる消費電流も比較的小さくなり且つ安定する。例えば、各通信設備12-1~12-3の出力する警報信号がオフになった状態が安定運転状態ST2に相当する。
したがって、1番目の通信設備12-1の状態は、時刻t11でオフから起動中状態ST1に遷移し、その後ある程度の時間を経過すると、つまり時刻t12になると起動中状態ST1から安定運転状態ST2に遷移する。
2番目の監視制御部17-2は1番目の通信設備12-1の状態を監視し、その状態が事前に定めた状態になった時にスイッチSW2をオフからオンに切り替える。したがって、2番目の監視制御部17-2は例えば図2に示した時刻t12で1番目の通信設備12-1の状態が起動中状態ST1から安定運転状態ST2に遷移したことを検知した後の時刻t21でスイッチSW2をオフからオンに切り替える。
したがって、2番目の通信設備12-2の状態は、時刻t21でオフから起動中状態ST1に遷移し、その後ある程度の時間を経過すると、つまり時刻t22になると起動中状態ST1から安定運転状態ST2に遷移する。
3番目の監視制御部17-3は2番目の通信設備12-2の状態を監視し、その状態が事前に定めた状態になった時にスイッチSW3をオフからオンに切り替える。したがって、3番目の監視制御部17-2は例えば図2に示した時刻t22で2番目の通信設備12-2の状態が起動中状態ST1から安定運転状態ST2に遷移したことを検知した後の時刻t31でスイッチSW3をオフからオンに切り替える。
したがって、3番目の通信設備12-3の状態は、時刻t31でオフから起動中状態ST1に遷移し、その後ある程度の時間を経過すると、つまり時刻t32になると起動中状態ST1から安定運転状態ST2に遷移する。
図2に示した時刻t21は、監視制御部17-2が監視信号SG2で監視している1番目の通信設備12-1の実際の動作状態と、監視制御部17-2が保持している負荷条件を表す情報との比較に基づいて決定される。ここで、1番目の通信設備12-1が起動を開始し安定運転状態ST2になるのは通信設備12-1への電源電力供給が開始された後になるので、下位の2番目の通信設備12-2に対する電源電力供給が開始される時刻t21は、確実に時刻t11より後になり、起動の順序が入れ替わることはない。また、例えばヒューズ16-1が断線していれば、スイッチSW1がオンになっても通信設備12-1が動作を停止したままになるので、下位の2番目の通信設備12-2に対して電源電力供給が開始されることもない。
図2に示した時刻t31は、監視制御部17-3が監視信号SG3で監視している2番目の通信設備12-2の実際の動作状態と、監視制御部17-3が保持している負荷条件を表す情報との比較に基づいて決定される。ここで、2番目の通信設備12-2が起動を開始し安定運転状態ST2になるのは通信設備12-2への電源電力供給が開始された後になるので、下位の3番目の通信設備12-3に対する電源電力供給が開始される時刻t31は、確実に時刻t21より後になり、起動の順序が入れ替わることはない。また、例えばヒューズ16-2が断線していれば、スイッチSW2がオンになっても通信設備12-2が動作を停止したままになるので、下位の3番目の通信設備12-3に対して電源電力供給が開始されることもない。
図1に示した電源供給制御装置100においては、複数の通信設備12-1~12-4に対する電源電力供給開始の順序が、電源供給制御装置100の回路構成により固定的に定まる。したがって、電源電力供給開始の順序を入れ替えるためには電源供給制御装置100の回路構成、すなわちハードウェアを変更する必要があり電源供給制御装置100を汎用的な用途で利用することはできない。そこで、ソフトウェアの変更により汎用的に利用可能な電源供給制御装置を別の実施形態として以下に説明する。
<<第2実施形態>>
-<通信システムの構成例>
本発明の第2実施形態の電源供給制御装置100Bを含む通信システムの構成例を図3に示す。図3において、図1中の構成と共通の構成要素は同一の符号を付けて示してある。すなわち、図3の通信システムにおいて電源供給制御装置100B以外の構成は図1と同様である。
図3に示した通信システムは、図1の通信システムと同様に複数の通信設備12-1~12-4を制御対象とし、図3中の電源供給制御装置100Bは通信設備12-1~12-4に対する電源電力供給の開始及び停止を適切に制御する機能を有する。
図3中の電源供給制御装置100Bは、図1に示した複数の監視制御部17-1~17-4と同等の機能を実現するものであるが、ソフトウェアで制御することにより回路構成を変更しなくても汎用的な用途で使用できる。この電源供給制御装置100Bは、例えば一般的なパーソナルコンピュータの本体に、複数の監視信号SG1~SG4を監視するための入力インタフェース、複数のスイッチSW1~SW4を制御するための出力インタフェース、及び制御用の専用のプログラム及びデータを組み込むことで実現できる。
-<電源供給制御装置の内部構成>
図3に示した電源供給制御装置100Bの内部構成を図4に示す。
図4に示すように、電源供給制御装置100Bは上位電源監視部26、複数の上位負荷監視部21-1~21-3、負荷条件比較部22、不揮発性記憶部23、切替順序決定部24、及び複数のスイッチ制御部25-1~25-4の各機能を備えている。また、不揮発性記憶部23は事前に決定されたデータとして、供給開始順序データTB1、及び通信設備毎の負荷条件データTB2を保持している。
図4に示した上位電源監視部26は、監視信号SG1の電圧等の信号を処理する電気回路、アナログ/デジタル(A/D)変換器、コンピュータ本体の処理機能、及び監視用のソフトウェアにより実現できる。また、上位負荷監視部21-1~21-3は、各通信設備12-1~12-3から警報信号などを監視信号SG2~SG4としてそれぞれ取り込むための入力インタフェース、コンピュータ本体の処理機能、及び監視用のソフトウェアにより実現できる。また、負荷条件比較部22及び切替順序決定部24は、コンピュータ本体の処理機能、及び本発明の処理手順を実現するプログラムにより実現できる。不揮発性記憶部23としては、コンピュータ本体に付属するハードディスクや、不揮発性の内部メモリなどの記憶装置を利用できる。各スイッチ制御部25-1~25-4は、スイッチSW1~SW4のオンオフを制御可能なコンピュータの出力インタフェースとして構成できる。
供給開始順序データTB1は、電源供給制御装置100Bが制御対象とする負荷である複数の通信設備12-1~12-4に対する電源電力の供給開始順序を定めた定数データである。この供給開始順序データTB1の内容については、主電源11の仕様及び通信設備12-1~12-4の仕様に基づいて設計者により適切な値が事前に決定され、不揮発性記憶部23上に保持される。
通信設備毎の負荷条件データTB2は、電源供給制御装置100Bが制御対象とする負荷である複数の通信設備12-1~12-4のそれぞれについて、上位の負荷が十分に安定した状態であるとみなしうる負荷条件、例えば警報信号が現れていない安定運転状態ST2と一致するかどうかを識別するために必要な条件を表すデータを規定したものである。なお、1番目の通信設備12-1を制御対象とする時には、それより上位の負荷が存在しないので、上位負荷の代わりに主電源11の出力電圧などを監視対象とする。つまり、1番目の通信設備12-1に対する供給開始順序データTB2は、電源電力供給開始のための電圧などの電源条件を規定したものである。この通信設備毎の負荷条件データTB2の内容については、主電源11の仕様及び通信設備12-1~12-4の仕様に基づいて設計者により適切な値が事前に決定され、不揮発性記憶部23上に保持される。
切替順序決定部24は、不揮発性記憶部23から読み出した供給開始順序データTB1の内容に従い、通信設備12-1~12-4のそれぞれに対する電源電力の供給開始順序を決定する。
負荷条件比較部22は、切替順序決定部24が決定した順序に従ってスイッチSW1~SW4の切替順序を制御すると共に、各スイッチSW1~SW4を切り替えるタイミングを決定するために、監視信号SG1~SG4の各時点の負荷状態と、通信設備毎の負荷条件データTB2の内容とを比較する。そして、その比較結果に応じて負荷条件比較部22がスイッチSW1~SW4のオンオフを順次に切り替える。
-<供給開始順序データの構成例>
供給開始順序データTB1の構成例を図5に示す。
図5に示した供給開始順序データTB1は、制御対象の負荷である各通信設備12-1、12-2、12-3、・・・を表す番号1、2、・・・、Nと、各通信設備12-1、12-2、・・・、12-Nの種類を表す情報A1、A2、・・・、ANと、各通信設備12-1、12-2、・・・、12-Nの開始順序を表す番号1、2、・・・、Nとで構成されるN組のデータを含んでいる。
したがって、通信設備12-1、12-2、12-3、・・・の順番に、電力供給を開始すれば良いことを、切替順序決定部24が供給開始順序データTB1の内容から認識できる。また、供給開始順序データTB1の内容を変更すれば、電源電力の供給開始順序を入れ替えることができるので、電源供給制御装置100Bの回路構成に変更を加えることなく様々な仕様の通信設備に対応できる。なお、供給開始順序データTB1の構成は必要に応じて変更できる。
-<通信設備毎の負荷条件データの構成例>
通信設備毎の負荷条件データTB2の構成例を図6に示す。
図6に示した通信設備毎の負荷条件データTB2は、制御対象の負荷である各通信設備12-1、12-2、12-3、・・・を表す番号1、2、・・・、Nと、各通信設備12-1、12-2、・・・、12-Nの種類を表す情報A1、A2、・・・、ANと、各通信設備12-1、12-2、・・・、12-Nの電源供給状態を切り替える負荷条件とで構成されるN組のデータを含んでいる。
図6に示した例では、1番目の通信設備12-1への電源供給状態を切り替える条件は、それよりも1つ上位の監視対象通信設備において、「正常運転」の検出が時間T1だけ継続した状態である。また、2番目の通信設備12-2への電源供給状態を切り替える条件は、それよりも1つ上位の監視対象通信設備において、「正常運転」の検出が時間T2だけ継続した状態である。他の通信設備についても同様であり、個別に切り替える条件が定めてある。
但し、各通信設備12-1~12-Nに相当する負荷の中で最初に電源電力供給を開始する負荷については、それより上位の負荷が存在しないので、負荷条件を表すデータの代わりに主電源11の出力電圧などの電源条件を規定するデータを採用する。
したがって、例えば負荷条件比較部22が2番目の通信設備12-2への電源電力供給を開始しようとする際には、電源供給制御装置100Bは上位負荷監視部21-1から入力される監視信号SG2から該当する負荷の実際の運転状態などを把握し、「正常運転」を検出した状態が時間T2だけ継続した時点で、スイッチSW2を切り替える。
通信設備毎の負荷条件データTB2の各部に登録する内容を変更すれば、電源供給制御装置100Bは電源電力供給を開始する負荷条件を通信設備ごとに個別に変更できる。したがって、電源供給制御装置100Bは制御対象の通信システムの仕様が変更された場合でも、通信設備毎の負荷条件データTB2のデータ変更だけで適切に対応できる。
-<供給開始制御の手順>
本発明の第2実施形態の電源供給制御装置100Bにおける供給開始制御の手順を図7に示す。
すなわち、図4に示した電源供給制御装置100Bを実現するコンピュータの本体が、図7の内容に相当する制御プログラムを実行することにより、制御対象の負荷であるN個の通信設備12-1~12-Nに対する電源電力の供給開始を適切に制御する。なお、図4の例では4系統の通信設備12-1~12-4だけを制御する場合を想定しているが、制御対象の設備総数Nの変更に合わせて必要な構成要素の数は増減できる。
図7に示した手順では、電源供給制御装置100Bは例えば図4~図6に示した供給開始順序データTB1、及び通信設備毎の負荷条件データTB2を使用する。図7に示した手順について以下に説明する。
最初のステップS11では、切替順序決定部24が供給開始順序データTB1の内容を読み込み、その内容に従いN個の通信設備の供給開始順序を特定する。
次のステップS12では、電源条件比較部22がN系統の通信設備等の中から処理対象を特定する番号nを「1」に初期化する。
ステップS13では、上位負荷が存在しない1番目の系統の通信設備等を処理対象とするので、負荷条件比較部22は上位電源監視部26を用いて負荷状態の代わりに電源ライン13の電圧を、監視信号SG1の電圧Vxとして逐次入力する。
ステップS14では、負荷条件比較部22は通信設備毎の負荷条件データTB2のうち1番目の系統の条件を参照し、この条件とステップS13で入力した監視電圧Vxとを比較する。比較結果が条件を満たさない場合はステップS13~S15の処理を繰り返し、比較結果が条件を満たしたらステップS15からS16に進む。
ステップS16では、負荷条件比較部22は、スイッチSW1、SW2、・・・の中で切替順序がn番のスイッチSWnの接点を閉じるようにスイッチ制御部25-1、25-2、・・・のいずれかを制御し、n番の通信設備12-nへの電源電力供給を開始する。ここで電源電力の供給開始により、n番の通信設備12-nは動作を起動することができる。
ステップS17では、負荷条件比較部22は番号nに1を加算してこの内容を更新する。
ステップS18では、負荷条件比較部22は制御対象の全ての通信設備に対する処理が終了したか否かを識別し、終了していない場合は次のステップS19以降の処理に進み、終了するまで処理を繰り返す。
ステップS19では、負荷条件比較部22は今回のn番の処理対象よりも1つ前に切り替えるm番(m=n-1)のスイッチSWmの下流側に接続されているm番の上位通信設備の負荷状態、具体的には運転状態を表す信号をm番目の上位負荷監視部21-mから入力して監視する。
ステップS20では、負荷条件比較部22は今回処理対象のn番の通信設備に割り当てられた電源の切替条件を通信設備毎の負荷条件データTB2から取得し、ステップS19の負荷状態と比較する。ステップS20の比較結果が条件を満たさない場合はステップS19~S21の処理を繰り返し、条件を満たしたらステップS21からS16に進み、n番のスイッチを閉じる。
したがって、図7に示した処理手順を実行することにより、例えば図2と同じように各スイッチSW1、SW2、・・・を切り替えることができ、事前に決めた順序で且つ事前に決めた負荷の条件に従うタイミングで、複数の通信設備12-1、12-2、・・・に対する電源電力の供給開始を制御できる。そのため、通信システムに含まれる複数の通信設備12-1~12-4のそれぞれを安定した状態で起動することが容易になり、主電源11が過負荷になったり、主電源11の出力が不安定になるのを避けることができる。
-<供給停止制御の手順>
本発明の第2実施形態の電源供給制御装置100Bにおける供給停止制御の手順を図8に示す。
すなわち、図4に示した電源供給制御装置100Bを実現するコンピュータの本体が、図8の内容に相当する制御プログラムを実行することにより、制御対象の負荷であるN個の通信設備12-1~12-Nに対する電源電力の供給停止を適切に制御する。
図8に示した手順では、電源供給制御装置100Bは図4に示した供給開始順序データTB1の代わりに供給終了順序データTB3を使用し、通信設備毎の負荷条件データTB2とは内容が異なる通信設備毎の負荷条件データTB4を使用する。
図8の手順で使用する供給終了順序データTB3は、例えば図5に示した供給開始順序データTB1における「開始順序」の代わりに、「停止順序」を表す番号のデータを保持するように構成される。また、図8の手順で使用する通信設備毎の負荷条件データTB4は、図6に示した通信設備毎の負荷条件データTB2における「負荷条件」として、各スイッチを閉から開に切り替える時の負荷条件のデータを保持するように構成される。
また、図8において、図7中の手順と共通のステップは同一のステップ番号を付けて示してある。図8に示した手順について以下に説明する。
最初のステップS11Bでは、切替順序決定部24が供給終了順序データTB3の内容を読み込み、その内容に従いN個の通信設備の供給終了順序を特定する。
次のステップS12では、負荷条件比較部22がN系統の通信設備等の中から処理対象を特定する番号nを「1」に初期化する。
ステップS13では、上位負荷が存在しない1番目の系統の通信設備等を処理対象とするので、負荷条件比較部22は上位電源監視部26を用いて電源ライン13の電圧を、監視信号SG1の電圧Vxとして逐次入力する。
ステップS14Bでは、負荷条件比較部22は通信設備毎の負荷条件データTB4のうち1番目の系統の条件を参照し、この条件とステップS13で入力した監視電圧Vxとを比較する。比較結果が条件を満たさない場合はステップS13~S15の処理を繰り返し、比較結果が条件を満たしたらステップS15からS16Bに進む。
ステップS16Bでは、負荷条件比較部22は、スイッチSW1、SW2、・・・の中で切替順序がn番のスイッチSWnの接点を開くようにスイッチ制御部25-1、25-2、・・・のいずれかを制御し、n番の通信設備12-nへの電源電力供給を終了する。ここで電源電力の供給終了により、n番の通信設備12-nは動作を停止する。
ステップS17では、負荷条件比較部22は番号nに1を加算してこの内容を更新する。
ステップS18では、負荷条件比較部22は制御対象の全ての通信設備に対する処理が終了したか否かを識別し、終了していない場合は次のステップS19以降の処理に進み、終了するまで処理を繰り返す。
ステップS19では、負荷条件比較部22は今回のn番の処理対象よりも1つ前に切り替えるm番(m=n-1)のスイッチSWmの下流側に接続されたm番の上位負荷の状態をm番目の上位負荷監視部21-mから入力してその負荷状態を監視する。
ステップS20Bでは、負荷条件比較部22は今回処理対象のn番の通信設備に割り当てられた電源の切替条件を通信設備毎の負荷条件データTB4から取得し、ステップS19の負荷状態と比較する。ステップS20Bの比較結果が条件を満たさない場合はステップS19~S21の処理を繰り返し、条件を満たしたらステップS21からS16に進み、n番のスイッチを開く。
したがって、図8に示した処理手順を実行することにより、例えば図2に示した動作とは逆に、各スイッチSW1、SW2、・・・をオンからオフに順番に切り替えることができ、事前に決めた順序で且つ事前に決めた負荷条件に従うタイミングで、複数の通信設備12-1、12-2、・・・に対する電源電力の供給停止を制御できる。そのため、通信システムに含まれる複数の通信設備12-1~12-4のそれぞれを安定した状態で停止することが容易になる。
-<供給開始制御の変形例>
図7に示した「供給開始制御」の変形例を図9に示す。
すなわち、図4に示した電源供給制御装置100Bを実現するコンピュータの本体が、図9の内容に相当する制御プログラムを実行することにより、制御対象の負荷であるN個の通信設備12-1~12-Nに対する電源電力の供給開始を適切に制御する。
図9に示した手順では、電源供給制御装置100Bは図4に示した通信設備毎の負荷条件データTB2とは内容が異なる通信設備毎の負荷条件データTB2Bを使用する。図9の手順で使用する通信設備毎の負荷条件データTB2Bは、図6に示した通信設備毎の電源条件データTB2における「負荷条件」として、負荷条件比較部22が上位負荷を「正常運転」として認識するために必要な第1条件と、負荷条件比較部22が「正常運転」を認識してからn番目の負荷への電源電力供給を開始するまでに必要な経過時間を表す第2条件との両方のデータを保持するように構成される。
また、図9において、図7中の手順と共通のステップは同一のステップ番号を付けて示してある。図9に示した手順について以下に説明する。
図9の各ステップS11~S13では、既に説明した動作を電源供給制御装置100Bのコンピュータ本体が実行する。
図9のステップS14Cでは、負荷条件比較部22は通信設備毎の負荷条件データTB2Bのうち1番目の系統の条件を参照し、監視電圧Vxが正常値になった後の経過時間を事前に定めた条件と比較する。この比較結果が条件を満たさない場合はステップS13~S15の処理を繰り返し、比較結果が条件を満たしたらステップS15からS16に進む。
図9の各ステップS16~S19では、既に説明した動作を電源供給制御装置100Bのコンピュータ本体が実行する。
図9のステップS20Cでは、負荷条件比較部22は今回処理対象のn番の通信設備に割り当てられた負荷条件を通信設備毎の負荷条件データTB2Bから取得して監視状態と比較する。すなわち、負荷条件比較部22は上位負荷の状態が「正常運転」か否かを識別し、更に「正常運転」を認識してからの経過時間が事前に定めた時間に到達したか否かを識別する。ステップS20Cの比較結果が条件を満たさない場合はステップS19~S21の処理を繰り返し、条件を満たしたらステップS21からS16に進み、n番のスイッチを閉じる。
したがって、図9に示した処理手順を実行することにより、例えば図2と同じように各スイッチSW1、SW2、・・・を切り替えることができ、事前に決めた順序で且つ事前に決めた負荷の条件に従うタイミングで、複数の通信設備12-1、12-2、・・・に対する電源電力の供給開始を制御できる。そのため、通信システムに含まれる複数の通信設備12-1~12-4のそれぞれを安定した状態で起動することが容易になり、主電源11が過負荷になったり、主電源11の出力が不安定になるのを避けることができる。
-<電源供給制御装置の利点>
図1に示した電源供給制御装置100においては、複数の監視制御部17-1~17-4の回路接続状態の構成により、制御対象の負荷である通信設備12-1~12-4への電源電力供給を開始する順序を事前に固定することができる。また、電源電力供給を開始する条件や停止する条件を事前に決定して各監視制御部17-1~17-4に組み込むことができる。また、各監視制御部17-1~17-4は、制御対象の負荷よりも状態が先に切り替わる上位負荷の状態を監視するので、1つの負荷への通電を開始してから当該通信設備の処理上の負荷が安定し、電源電圧及び消費電流も安定した後で、次の負荷の通電を開始できる。そのため、通電開始時に負荷に流れる突入電流などの影響を受けにくくなり、主電源11の電源容量に大きな余裕がない場合でも、複数の負荷を安定した状態で起動することが可能になる。また、各ヒューズ16-1~16-4が断線した場合に、それを制御に反映することができる。
また、図3に示した電源供給制御装置100Bは、回路構成に変更を加えることなく様々な仕様の通信設備を制御するために利用できる。すなわち、制御対象の負荷である通信設備12-1~12-4への電源電力供給を開始する順序が図4に示した供給開始順序データTB1により定まり、電源電力供給を開始する条件が通信設備毎の負荷条件データTB2により定まるので、共通のハードウェアを利用し、データの修正だけで様々な用途に適用できる。
また、図6に示した通信設備毎の負荷条件データTB2のように、当該負荷の電源電力供給を開始するための負荷条件として、上位負荷の運転状態が正常運転になっているかどうかを表す条件を含めることにより、安定した制御が可能になる。例えば、2番目の通信設備12-2の通電開始条件を識別する際に、その上位にある1番目の通信設備12-1が警報信号を出力していない状態では、通信設備12-1が安定した動作状態であり、その処理上の負荷が安定し、主電源11に流れる負荷電流及び電源電圧も安定していると考えられる。したがって、1番目の通信設備12-1が正常運転とみなしうる負荷条件を満たしたタイミングは、2番目の通信設備12-2の通電を開始するのに適切なタイミングである。
また、図9に示した処理手順を採用する場合には、監視対象の上位負荷の状態が「正常運転」になり、更にその時点から事前に定めた時間を経過した後で、各ステップS20C、S21、S16が実行され、制御対象の負荷への通電が開始される。したがって、制御の安定度を高めることが可能である。例えば、上位負荷への通電が開始された後で、上位負荷から警報信号が断続的に出力されるような場合でも、所定時間経過するまで更に待機することで、上位負荷の状態が十分に安定した後で下位の負荷への通電を開始できる。そのため、人間が操作に介入しなくても、安定した状態で複数の通信設備12-1~12-4の動作を起動できる。
また、例えば図6に示した通信設備毎の負荷条件データTB2は、通信設備毎にそれぞれ独立した負荷条件のデータを含んでいるので、通電を開始する時の負荷状態を表す条件を各通信設備の固有の特性に合わせて適正化することが可能である。
11 主電源
12-1,12-2,12-3,12-4 通信設備
13 電源ライン
14 アースライン
15-1,15-2,15-3,15-4 負荷側電源ライン
16-1,16-2,16-3,16-4 ヒューズ
17-1,17-2,17-3,17-4 監視制御部
21-1,21-2,21-3,21-4 上位負荷監視部
22 負荷条件比較部
23 不揮発性記憶部
24 切替順序決定部
25-1,25-2,25-3,25-4 スイッチ制御部
26 上位電源監視部
100,100B 電源供給制御装置
SW1,SW2,SW3,SW4 スイッチ
SG1,SG2,SG3,SG4 監視信号
SG5,SG6,SG7,SG8 制御信号
ST1 起動中状態
ST2 安定運転状態
TB1 供給開始順序データ
TB2,TB2B,TB4 通信設備毎の負荷条件データ
TB3 供給終了順序データ

Claims (5)

  1. 通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷に対して共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源から電源電力をそれぞれ供給するための通信設備の電源供給制御装置であって、
    前記主電源から前記複数の負荷のそれぞれに対する電源電力供給有無を切り替える制御可能な複数のスイッチ部と、
    前記複数のスイッチ部の下流側に接続される1つ以上の前記負荷のそれぞれの前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより、前記負荷が安定運転状態になったことを監視する複数の負荷監視部と、
    前記複数の負荷監視部の監視状況に基づいて、前記複数のスイッチ部のそれぞれのオンオフを順次に制御するスイッチ制御部と、
    を備え、
    前記スイッチ制御部は、事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定すると共に、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷の状態を監視する前記負荷監視部の出力に基づき、前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電を制御する前記スイッチ部のオンオフを切り替える、
    通信設備の電源供給制御装置。
  2. 前記スイッチ制御部は、前記第2の負荷に対する通電を制御するための前記第1の負荷のそれぞれの前記信号による正常な運転状態の検出が継続する前記所定時間の情報を負荷毎に個別に保持する切替条件保持部を備える、
    請求項1に記載の通信設備の電源供給制御装置。
  3. 通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷に対して共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源から電源電力をそれぞれ供給するための電源供給制御方法であって、
    事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定し、
    前記複数の負荷の中で、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷が安定運転状態になったことを、前記第1の負荷から受信した前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより監視し、
    監視している前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電のオンオフを切り替える、
    電源供給制御方法。
  4. 通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷に対して共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源から電源電力をそれぞれ供給するための制御を行う所定のコンピュータが実行可能な電源供給制御プログラムであって、
    事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定する手順と、
    前記複数の負荷の中で、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷が安定運転状態になったことを、前記第1の負荷から受信した前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより監視する手順と、
    監視している前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電のオンオフを切り替える手順と、
    を有する電源供給制御プログラム。
  5. 通信設備を構成し、正常な運転状態であるか否かを表す信号を外部に出力する複数の独立した負荷と、前記複数の負荷のそれぞれに対して電源電力を供給可能な共通の主電源、又は同じ系統に属する複数の主電源と、前記主電源から前記複数の負荷に対する電力供給を制御する制御部とを有する電源供給制御システムであって、
    前記主電源から前記複数の負荷のそれぞれに対する電源電力供給有無を切り替える制御可能な複数のスイッチ部と、
    前記複数のスイッチ部の下流側にそれぞれ接続される1つ以上の前記負荷のそれぞれの前記信号による正常な運転状態の検出が所定時間に亘って継続するか否かにより、前記負荷が安定運転状態になったことを監視する複数の負荷監視部と、
    前記複数の負荷監視部の監視状況に基づいて、前記複数のスイッチ部のそれぞれのオンオフを順次に制御するスイッチ制御部と、
    を備え、
    前記スイッチ制御部は、事前に定めた状態に従い、前記複数の負荷に対する通電切替順序を特定すると共に、切替対象の第2の負荷よりも前記通電切替順序が先の第1の負荷の状態を監視する前記負荷監視部の出力に基づき、前記第1の負荷の状態が安定運転状態になった後で、前記第2の負荷に対する通電を制御する前記スイッチ部のオンオフを切り替える、
    電源供給制御システム。
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