JP7373197B2 - 手袋 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 令和1年9月9日に米国開催のNational Safety Councilで公開 令和1年9月19日にhttps://www.showagroup.com/us/en/s-tex-376sc及びhttps://www.showagroup.com/us/en/s-tex-377scで発表
本発明は、手袋に関する。
油作業等に好適に用いることができる保護用の手袋として、例えばゴム層を有する手袋本体に合成樹脂製腕カバー部(カフ)を加熱溶着した手袋が知られている(特開2005-23449号公報参照)。このようなカフ付の手袋を着用することで、手や腕を汚れや薬剤汚染、擦傷などの危険性から保護することができる。
上記手袋を着用して作業した後は、上記手袋を脱ぐこととなるが、例えば他方の手(着脱したい手袋を着用している手とは反対の手)でこの手袋の指先を持ち、指先方向(カフとは反対の方向)に引っ張ることで手袋を外す。ところで、作業後の上記手袋の外面には油汚れ等が通常付着しているから、特に一方の手袋を脱いだ後に他方の手袋を脱ぐ場合、素手で他方の手袋の指先部分を持つこととなるが、この外面の汚れにより作業者の素手が汚れることが避けられない。あるいは、裾部を持って手袋を脱ぐこともできるが、この場合にあっては汚れが裾部に付着し易く、この裾部の汚れによって衣服が汚れるおそれがある。また、脱いだときに裾部に汚れが付着していると、その手袋を再度装着する際に、装着する手とは反対の手にこの汚れが付着するおそれがある。さらに、この反対の手に手袋を装着するときは、裾部を汚れた手袋で持たざるを得ず、裾がさらに汚れたり衣類が汚れたりするおそれがある。このため、片手でも容易に着脱することができる手袋が求められている。
特開2005-23449号公報
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、カフを備えながら、片手でも容易に着脱することができる手袋の提供を目的とする。
本発明者らが、カフを備える手袋の着脱し難さについて鋭意検討したところ、主に以下の2点に起因していることが分かった。1点目として、カフは、図7に示すように、通常、帯状の生地100の端部101を斜めに切り取り、腕側の端縁100aの周長を手首側の端縁100bの周長よりも長くとることで腕側を手首側よりも広くとる。図7の帯状の生地100の一対の側辺100cを連結して作られたカフ110(図8参照)では、生地100の一対の側辺100cの接合部110c付近に位置し、腕から離れ易い部分110aと、腕から離れ易い部分110aとは反対側に位置し、手袋を装着する際に腕に沿い易い部分110bとが生じ、手袋を着脱する際の腕への接触の仕方が異なる。このため、腕に沿い易い部分110bでは手袋を装着する際に衣服が手袋内に入りにくく、衣服が汚れやすくなる。また、摩擦力が不要に大きい場所が生じ、手袋の着脱し難さが生じる。2点目として、手袋本体とカフとの接合部において手袋外表面とカフ外表面が向かい合うように接合した場合、接合部が手袋内面に張り出す。これにより手袋を着脱する際、カフと手袋本体との接合位置でカフの手袋本体側の端部に手が当たり易い。特にこの接合位置では手袋の径が絞られている場合が多く、この絞りに合わせてカフの端部も内側へ傾斜し易く、この内側へ曲がったカフの端部に手が当接することで着脱し難さが生じる。さらに本発明者らは検討を重ね、カフの形状と、カフ及び手袋本体の曲げ剛性とを調整することで、上述の2つの着脱し難さが解消することをつきとめ、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様に係る手袋は、本体部、5本の有底筒状の指収容部、及び筒状の裾部を有する手袋本体と、上記手袋本体の裾部に接合されているカフとを備え、上記本体部が、着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成され、上記5本の指収容部が、着用者の第1指乃至第5指をそれぞれ覆うよう上記本体部から延設され、上記裾部が、上記5本の指収容部とは反対方向に延設され、上記カフが、上記裾部から上記5本の指収容部とは反対方向に突出するよう配設されており、掌側から見た上記カフの投影図が、上記裾部から離れるに従って拡幅しており、かつ上記突出方向に平行な対称軸を有する線対称図形であり、上記カフの曲げ剛性が上記手袋本体の裾部の曲げ剛性より大きく、その差が1.0gf・cm/cm以上である。
当該手袋は、掌側から見たカフの投影図が裾部から離れるに従って拡幅しており、かつ上記カフの突出方向に平行な対称軸を有する線対称図形であるので、掌側から見た場合にカフの横方向の対称性が高く、かつ手を挿入する側へ向かって広がっている。つまり、この形状を採用することで、当該手袋は、手袋を着脱する際の摩擦力が場所によらず均一化され易くなる。従って、当該手袋は、不要に摩擦力が大きい部分が生じ難いので、着脱し難さを抑止できる。また、当該手袋は、カフの曲げ剛性を手袋本体の裾部の曲げ剛性より上記下限以上大きくする。このようにカフの曲げ剛性を手袋本体の裾部の曲げ剛性より大きくとることで、カフと手袋本体との接合位置付近が内側に曲がる際に、主として手袋本体の裾部が内側に曲がり、カフが内側に曲がることを抑止できる。従って、カフと手袋本体との接合位置でそれぞれの端縁に手が当たり易くなることを抑止できる。以上の点から当該手袋は着脱し易い。
上記カフが直円錐台状であるとよい。このように上記カフを直円錐台状とすることで、不要に摩擦力が大きい部分をさらに生じ難くすることができるので、当該手袋をさらに着脱し易いものとすることができる。
上記手袋本体が、繊維製の糸からなる生地を手袋状に編成したインナー手袋と、このインナー手袋の外面の一部又は全部を覆うコート層とを有し、上記コート層の主成分が樹脂又はゴムであり、上記コート層が上記カフと掌側で接合されているとよい。当該手袋は油作業等の汚れ防止が求められる環境で好適に用いることができる。従って、このように手袋本体に樹脂又はゴムを主成分とするコート層を設け、コート層をカフと掌側で接合させることで、汚れ防止効果を高めることができる。また、コート層により滑り止め、防水性といった機能を当該手袋に付与し易い。
上記コート層の主成分がニトリルブタジエンゴム又はクロロプレンゴムであるとよい。このようにコート層の主成分をニトリルブタジエンゴムとすることで、比較的低コストで耐油性を高めることができる。
上記カフが、上縁と下縁とを縦断する接合部を有する2つ以上のパーツにより構成されているとよい。このようにカフを上縁と下縁とを縦断する接合部を有する2つ以上のパーツにより構成することで、接合部を起点に2つ以上のパーツが外側に向かって膨らんだ状態に固定し易い。従って、当該手袋をさらに着脱し易いものとすることができる。
上記手袋本体が、ポリアラミド製、延伸ポリエチレン製、金属製又はガラス繊維製の耐切創糸を含むとよい。このように手袋本体に耐切創糸を用いることで、切り傷や擦傷などの危険性に対する当該手袋の保護能力を高めることができる。
上記手袋本体が、有機繊維製の糸により編成された有機繊維領域を有し、上記有機繊維領域が、手袋本体の裾部の端縁を起点とし、指先側へ1mm以上連続しているとよい。このように手袋本体の裾部の端縁を有機繊維で構成することで、無機繊維で構成する場合に比べ皮膚への刺激を低減することができる。
上記カフが合成皮革製又は人工皮革製であるとよい。合成皮革や人工皮革は、比較的曲げ剛性が高く、かつ耐油性及び汚れ防止効果を有するので、保護用の手袋としての機能を維持しつつ、当該手袋を着脱し易いものとすることができる。
上記手袋本体と上記カフとが縫製により接合されており、上記縫製がオーバロック縫いであるとよい。このように手袋本体とカフとの縫製をオーバロック縫いとすることで、手袋を着脱する際に接合部が手に当接することによる刺激を低減できると共に、手が引っ掛かることを抑止できるので、当該手袋を着脱し易いものとすることができる。
上記手袋本体と上記カフとの接合部において、上記カフの接合前の周長が上記手袋本体の接合前の周長より大きいとよく、その差としては1mm以上が好ましい。このようにカフ側の周長を長くとることで、当該手袋の着脱の容易性を維持しつつ、汚れ防止効果を高められる。
ここで、「直円錐台」とは、底面の円の中心と頂面の円の中心とを結ぶ線が、底面に垂直である円錐台を指す。また、「カフが直円錐台状である」とは、変形し得るカフを直円錐台の形状に整えることができることを意味する。また、「接合」とは、縫製や接着等により2つの物が固定されていることを言う。
「曲げ剛性」は純曲げ試験により算出できる。具体的には、曲げ剛性は、公知の純曲げ試験機(例えばカトーテック社製KES-FB2)により測定することができ、最大曲率:K=+/-2.5cm-1、繰り返し回数5回のとき、手袋外面側が凸に(手袋内面側が凹に)曲がるときの曲率0.5及び1.5の値から計算される。試験片としては、裾部を含む手袋本体の皺のない部分から5cm×5cmで切り出したもの、カフから手袋の長さ方向に5cm×1cmで切り出したものを用いる。接合後の屈曲の曲げ剛性を想定するために、上記試験片を手袋の周囲長方向が取付治具に挟まれるように、かつ最初の動きが手袋外面側が凸に(手袋内面側が凹に)曲がるようにセットし、純曲げ試験を行う。試験片は5つの手袋から各1枚ずつ合計5枚用意し、それぞれの測定結果を算術平均して曲げ剛性とする。なお手袋本体の裾部が、例えばインナー手袋のみの部分とインナー手袋に第1コート層が形成されている部分とを有するなど、複数の部分を持つ場合は、裾部の周囲に対して最も多く占める部分から試験片を切り出すものとする。試験結果が試験機の測定レンジを外れる場合は、試験片の幅を調整して試験を実施するものとする。
以上説明したように、本発明の手袋は、カフを備えながら、片手でも容易に着脱することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る手袋を手の甲側から見た模式的平面図である。 図2は、図1の手袋を掌側から見た模式的平面図である。 図3は、図2の手袋のA-A線での模式的部分拡大断面図であり、掌側の手袋本体とカフとの接合部を示す。 図4は、図1のカフを構成する第1パーツ及び第2パーツの展開図である。 図5は、図2の手袋のB-B線での模式的部分拡大図であり、カフの接合部の構造を示す。 図6は、図4とは異なるカフを構成するパーツの展開図である。 図7は、従来のカフを構成する生地を示す模式的平面図である。 図8は、従来のカフの形状を示す模式的斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係る手袋について詳説する。
[手袋]
図1及び図2に示す手袋1は、手袋本体10とカフ20とを備える。
<手袋本体>
手袋本体10は、本体部10a、5本の有底筒状の指収容部10b、及び筒状の裾部10cを有する。本体部10aは、着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成され、5本の指収容部10bは、着用者の第1指乃至第5指をそれぞれ覆うよう本体部10aから延設され、裾部10cは、指収容部10bとは反対方向に延設されている。
また、手袋本体10は、厚さ方向に見ると、図3に示すように、繊維製の糸を編成したインナー手袋11と、このインナー手袋11の外面の一部を覆う第1コート層12と、この第1コート層12の外面の一部を覆う第2コート層13とを有する。
手袋本体10と、後述するカフ20とは、図3に示すように、縫製により接合されている。例えば以下の手順で接合することができる。図3に示すように、まず手袋本体10の裾部10c側の端縁S1と、裾部10cと接合する側のカフ20の端縁S2とを、手袋本体10の外表面がカフ20の外表面と接するように重ね合わせる。具体的には、カフ20の表裏を逆(裏返し)にして、手袋本体10の外側からカフ20の腕側の端縁が手袋本体10の指先側に位置するように重ねることで、手袋本体10の裾部10c側の端縁S1と、裾部10cと接合する側のカフ20の端縁S2とを重ねる。この状態で手袋本体10及びカフ20を縫い糸31で縫製した後、カフ20の表裏を戻すと、図3に示す構成とすることができる。
図3の構成では、手袋本体10及びカフ20の重ね合わせた端縁(端縁S1及び端縁S2)から縫い糸31が手袋本体10及びカフ20を貫通する位置(図3の貫通位置P)まで、手袋本体10とカフ20とが接している。この接している部分が手袋本体10とカフ20との接合部32に相当する。この接合部32は、手袋本体10の裾部10cの端縁S1(カフ20の手袋本体10側の端縁S2)に沿って全周にわたって帯状に位置している。
上記縫製がオーバロック縫いであるとよい。このオーバロック縫いは、オーバロックミシン、インターロックミシン等により行うことができる。オーバロック縫いで縫製すると、図3に示すように、手袋本体10及びカフ20の重ね合わせた端縁が縫い糸31により包み込まれるようにロックされる。このように手袋本体10とカフ20との縫製をオーバロック縫いとすることで、当該手袋1を着脱する際に接合部32が手に当接することによる刺激を低減できると共に、手が引っ掛かることを抑止できるので、当該手袋1を着脱し易いものとすることができる。
また、手袋本体10は、その製造時に裾部10cで裁断されて長さが調整される。このため、そのままでは裾部10c側の端縁でインナー手袋11の繊維のほつれが発生するおそれがある。オーバロック縫いでは、端縁が縫い糸31で包み込まれるため、このようなほつれ防止に対しても有効である。
さらに、インナー手袋11の繊維として後述する耐切創糸を用いる場合、裾部10c側の端縁から耐切創糸が飛び出し易く、この飛び出した耐切創糸により手肌が刺激を受け不快な触感となる場合がある。これに対しオーバロック縫いとすることで、裾部10c側の端縁を包み込むようにロックできるので、この不快感を低減することができる。
オーバロック縫いの縫い糸31としては、ルーパー糸及び針糸が使用される。上記ルーパー糸の総繊度の下限としては、200dtexが好ましく、300dtexがより好ましい。上記ルーパー糸の総繊度が上記下限未満であると、上記端縁を十分に包み込めないおそれがある。一方、上記ルーパー糸の総繊度の上限は特に限定されないが、上記ルーパー糸の総繊度は、例えば1500dtex以下とされる。また、上記針糸の総繊度は、上記ルーパー糸と同様とすることができる。
オーバロック縫いのスティッチ幅の下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、スティッチ幅の上限としては、3mmが好ましく、2mmがより好ましく、1.5mmがさらに好ましい。ステッチ幅が上記下限未満であると、縫製の際の多数の針刺しにより手袋本体10やカフ20の強度が低下するおそれがある。逆に、スティッチ幅が上記上限を超えると、上記端縁を十分に包み込めないおそれがあるとともに、接合部32で手袋本体10の裾部10cとカフ20との密着性が低下するおそれがある。
縫製回数は、上記端部の包み込み具合に応じて調整すればよく、1回でもよいが、複数回行うことが好ましい。また、オーバロック縫いのかがり幅は特に限定されないが、上記端縁の包み込み易さの観点等から3mm以上10mm以下とすることが好ましい。これにより手袋本体10の端縁とカフ20の端縁とにずれが生じた場合であっても両者を接合することができる。
(インナー手袋)
インナー手袋11は、繊維製の糸からなる生地を手袋状に編成したものである。具体的には、インナー手袋11は、シームレス編みや、編み生地や織り生地、不織布を縫製することで手袋状に編成されている。また、インナー手袋11は、本体部10a、5本の指収容部10b、及び裾部10cを有し、手袋本体10の全体形状と同様の形状を呈する。
インナー手袋11に使用する糸の繊維としては、既知の合成繊維、天然繊維、特殊繊維等を挙げることができる。
上記合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアラミド、レーヨン等を挙げることができる。上記天然繊維としては、綿、麻、絹等が挙げられる。上記特殊繊維としては、ガラス繊維、ステンレスやタングステンなどの金属繊維等を挙げることができる。
インナー手袋11に使用する糸の繊維の少なくとも一部にポリアラミド、延伸ポリエチレン、ガラス繊維又は金属繊維が用いられていることが好ましい。これらの糸は繊度に対して耐切創性を向上させることができる耐切創糸である。換言すれば、手袋本体10が、ポリアラミド製、延伸ポリエチレン製、金属製又はガラス繊維製の耐切創糸を含むことが好ましい。このように手袋本体10に耐切創糸を用いることで、切り傷や擦傷などの危険性に対する当該手袋1の保護能力を高めることができる。また、これらの中でも耐切創性が高い金属製又はガラス繊維製の耐切創糸を含むことがより好ましい。
手袋本体10は、このインナー手袋11に、有機繊維製の糸により編成された有機繊維領域11aを有する。この有機繊維領域11aは、裾部10cの端部に帯状に形成され、全周にわたって配置されている。この有機繊維領域11aは、無機繊維を含まない有機繊維のみの帯状体である。上記有機繊維としては、上述の合成繊維、天然繊維等を挙げることができる。一方、上記無機繊維としては、上述のガラス繊維、金属繊維などの特殊繊維等を挙げることができる。
有機繊維領域11aは、手袋本体10の裾部10cの端縁から、その編み目又は織り目1つ分以上指先側へ形成されているとよい。具体的には、手袋本体10の裾部10cの端縁を起点とし、指先側へ1mm以上連続していることが好ましく、3mm以上連続していることがより好ましい。手袋本体10の端縁は切断された繊維の端部が露出する場合がある。このように手袋本体10の裾部10cの端縁を有機繊維で構成することで、無機繊維で構成する場合に比べ皮膚への刺激を低減することができる。なお、裾部10cの端縁を起点として指先側へ連続する距離とは、有機繊維領域11aの外表面に沿って連続する距離を意味する。従って、図3に示す有機繊維領域11aのように手袋本体10の裾部10cの端部で屈曲がある場合にあっては、上記連続する距離は、裾部10cの端縁から裾部10cの屈曲部の先端(図3の接合部32の下端)を経て指先側へ向かう経路の長さを指す。
一方、手袋本体10の裾部10cの端縁を起点とする指先側への連続距離の上限としては、30mmが好ましく、20mmがより好ましく、15mmがさらに好ましく、10mmが特に好ましい。上記連続距離が上記上限を超えると、インナー手袋11に付与された機能が不十分となるおそれがある。つまり、例えばインナー手袋11を編成する糸として耐切創糸や特殊繊維が用いられている場合、手袋本体10に必要な耐切創性や耐摩耗性を確保することが困難となるおそれがある。
また、有機繊維領域11aについて、手袋本体10とカフ20とが縫製により接合されている場合、手袋本体10とカフ20とを縫い糸31が貫通する位置(複数ある場合は最も指先側の位置)から指先側へ1mm以上連続していることが好ましい。このように縫い糸31が貫通する位置から一定の範囲を有機繊維で構成することで、後述するカフ20の曲げ剛性と手袋本体10の裾部10cの曲げ剛性との差を容易に確保することができる。従って、当該手袋1をさらに着脱し易いものとすることができる。
(コート層)
第1コート層12及び第2コート層13の主成分は樹脂又はゴムである。当該手袋1は油作業等の汚れ防止が求められる環境で好適に用いることができる。従って、このように手袋本体10に樹脂又はゴムを主成分とするコート層を設けることで、汚れ防止効果を高めることができる。
また、コート層により滑り止め、防水性といった機能を当該手袋1に付与し易い。当該手袋1にあっては、第1コート層12により防水性が付与され、第2コート層13により滑り止め性が付与されている。
上記コート層の主成分としては、付与する機能に応じて適宜決定されるが、上記樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EvOH)、ポリビニルアルコール(PVA)等を挙げることができる。また、上記ゴムとしては、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等を挙げることができる。中でも上記コート層の主成分としては、ニトリルブタジエンゴム又はクロロプレンゴムが好ましい。このようにコート層の主成分をニトリルブタジエンゴム又はクロロプレンゴムとすることで、比較的低コストで耐油性を高めることができる。
上記コート層は、カフ20と掌側で接合されているとよい。当該手袋1では、第1コート層12がカフ20の外面と接するように接合されている。このようにコート層をカフ20と掌側で接合させることで、汚れ防止効果をさらに高めることができる。
このとき、カフ20と接合されるコート層(第1コート層12)は、掌側の全部にわたってカフ20と接合されている必要はない。接合部における手袋本体10の掌側での第1コート層12がカフ20と接合されている長さ(接合長)の下限としては、掌側の半周長の1/2が好ましく、2/3がより好ましく、3/4がさらに好ましい。第1コート層12のカフ20との接合長が上記下限未満であると、例えば掌側から水や油といった液状の汚れが垂れてきた際に、手袋本体10の内面への浸透を十分に抑止できないおそれがある。一方、第1コート層12のカフ20との接合長の上限は特に限定されるものではなく、第1コート層12は、手の甲側も含む全周にわたってカフ20と接合していてもよい。このようにコート層を全周にわたってカフ20と接合させることで、液体の侵入を高い確度で抑止できる。
第1コート層12は、上述のように当該手袋1に防水性を付与するためのコート層である。図1及び図2に示す当該手袋1では、第1コート層12は、手袋本体10の甲側の裾部10cの一部を除く全面に形成されているが、少なくとも本体部10aと指収容部10bとの掌側、及び指収容部10bの指先側半分の甲側の防水性を維持できるように形成されていればよい。これにより通常の使用状態であれば把持対象物との接触部分がカバーできる。また、第1コート層12が指収容部10bからカフ20との接合部32に至るまで連続して形成されていれば、液体の侵入を高い確度で抑止できる。
第2コート層13は、上述のように当該手袋1に滑り止め性を付与するためのコート層である。滑り止め性を付与する方法としては、粒子により外面に凹凸を付ける方法、第2コート層13を発泡層とする方法、第2コート層13の製造時に硬化前の滑り止め層に潮解性粒子を塗布し加熱後に除去することで凹形状を形成する方法、第2コート層13の製造中に溶剤で膨潤させて凹凸模様をつける方法などを挙げることができる。中でも発泡層とする方法及び潮解性粒子を用いる方法が、第2コート層13内に空隙ができ柔軟性が高まるため好ましい。
上記コート層は、例えばインナー手袋11を凝固剤へ浸漬する工程(凝固剤浸漬工程)、及び凝固剤に浸漬したインナー手袋11を樹脂又はゴムの組成物を含む原料コンパウンドに浸漬し、浸漬により付着した原料コンパウンドを熱により固化することで上記コート層を形成する工程(熱固化工程)を備える製造方法により形成することができる。これらの工程は、コート層ごとに行われる。すなわち、第1コート層12を形成した後に第2コート層13が形成される。他の方法として、インナー手袋11に撥水処理、撥油処理又はその両方を施し、原料コンパウンドを塗布し、それを熱により固化させる方法を用いてもよい。
上記凝固剤浸漬工程では、インナー手袋11を手型に被せ、凝固剤へインナー手袋11の掌や指先、もしくはインナー手袋11全体など所望の部位を浸漬する。凝固剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸、クエン酸等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも短時間で凝固効果が得られる点で硝酸カルシウムが好ましい。また、上記凝固剤の溶媒としては、例えばメタノール、水等が挙げられる。
上記熱固化工程では、凝固剤を十分に滴下させた後、上記コート層の主成分である樹脂又はゴムの組成物を含む原料コンパウンドにインナー手袋11の掌や指先、もしくはインナー手袋11全体など所望の部位を浸漬し、熱により浸漬により付着した原料コンパウンドを固化することで上記コート層を形成する。なお、滑り止め性を有する第2コート層13を形成する場合は、この熱固化工程で例えば上述のいずれかの方法により第2コート層13に滑り止め性を付与する。
<カフ>
カフ20は、手袋本体10の裾部10cから5本の指収容部10bとは反対方向に突出するよう配設され、接合されている。カフ20は、直円錐台状である。
カフ20は直円錐台状であるので、掌側から見たカフ20の投影図は、裾部10cから離れるに従って拡幅、つまりカフ20の突出方向に沿って幅が漸増しており、かつカフ20の突出方向に平行な対称軸を有する線対称図形である。上記投影図は、当該手袋1では、等脚台形となる。このように上記投影図が等脚台形となるようにカフ20を構成することで、不要に摩擦力が大きい部分を生じ難くすることができるので、当該手袋1を着脱し易いものとすることができる。
カフ20は、2つのパーツ(第1パーツ21及び第2パーツ22)により構成されている。第1パーツ21及び第2パーツ22は、図4に示すように、それぞれ帯状で同一形状であり、カフ20の上縁及び下縁を形成する一対の端縁は同心円の弧の一部により構成されている。第1パーツ21及び第2パーツ22は、一対の側辺をそれぞれ接合することで筒状に形成される。つまり、2つのパーツは、カフ20の上縁と下縁とを縦断する一対の接合部23を有する。一対の接合部23は直円錐台であるカフ20の中心軸を挟んで向かい合うように配設されている。このようにカフ20を上縁と下縁とを縦断する接合部23を有する2つのパーツ(第1パーツ21及び第2パーツ22)により構成することで、接合部23を起点に2つのパーツが外側に向かって膨らんだ状態に固定し易い。つまり、カフ20が直円錐台の形状で安定し易い。従って、当該手袋1をさらに着脱し易いものとすることができる。
接合部23では、図5に示すように、第1パーツ21の端部21a及び第2パーツ22の端部22aが、その外面同士が接するようにカフ20の内面20a側に向かって折り曲げられ、接合されている。つまり、接合部23はカフ20の内面20a側に向かって突出している。
この接合部23は、図1及び図2に示すように、円錐台の母線方向に設けられているとよい。接合部23を母線方向に設けることで、接合部23の長さを短くできるうえ、カフ20を直円錐台の形状とし易い。
接合部23の接合方法は特に限定されないが、手袋本体10とカフ20との接合部32の接合方法と同様とできる。中でも接合部23の接合方法としては、オーバロック縫いによる縫製が好ましい。当該手袋1を着脱する際に接合部23が手に当接することによる刺激を低減できると共に、適度な剛性を有するためカフ20を直円錐台の形状で安定させ易い。
カフ20としては、編布、織布又は不織布の生地の表面を樹脂又はゴムでコーティングした合成皮革及び人工皮革等を挙げることができる。カフ20として合成皮革又は人工皮革を用いる場合、カフ20はコーティング面を外面として配置される。
上記生地には、インナー手袋11に使用する糸と同様の繊維を用いることができる。また、コーティングに用いる樹脂及びゴムとしては、第1コート層12と同様のものを用いることができる。中でも加工のし易さの観点から、上記樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンが好ましく、上記ゴムとしては、ニトリルゴム、クロロプレンゴムが好ましい。
カフ20は、合成皮革製又は人工皮革製であることが好ましい。合成皮革や人工皮革は、比較的曲げ剛性が高く、かつ耐油性及び汚れ防止効果を有するので、保護用の手袋としての機能を維持しつつ、当該手袋1を着脱し易いものとすることができる。
手袋本体10とカフ20との接合部32において、カフ20の接合前の周長は手袋本体10の接合前の周長より大きい。このようにカフ20側の周長を長くとることで、手袋本体10とカフ20との密着性が向上し、水や油といった液状の汚れが内面に侵入しにくくなるとともに、当該手袋1の着脱が容易となる。
手袋本体10とカフ20との接合部32における上記周長の差(接合前のカフ20の周長-接合前の手袋本体10の周長)の下限としては、1mmが好ましく、3mmがより好ましく、5mmがさらに好ましい。一方、上記周長の差の上限は、手袋本体10の裾部10cの伸縮性に依存する。例えば裾部10cの周囲の一部に編み構造を含む場合は、弱い力で伸縮するため上記上限としては、70mmが好ましく、50mmがより好ましい。また、裾部10cの周囲の全部が第1コート層12を含む場合は伸縮に比較的力を要するため、上記上限としては、20mmが好ましく、15mmがより好ましく、12mmがさらに好ましい。上記周長の差が上記下限未満であると、接合が困難になるとともに、接合部32に対して裾部10cの生地が余ることによってタックが生じ、液状の汚れが内面に侵入するおそれがある。逆に、上記周長の差が上記上限を超えると、手袋本体10が収縮しようとする力が強くなり、カフ20が内側に折れ易くなり、当該手袋1の着脱性が低下する。
カフ20の下縁の周長は、上縁の周長より大きい。ここで、図8に示すように、従来のカフ110にあっては腕から離れ易い部分110aと腕に沿い易い部分110bとがあり、対称性が悪い。このような従来のカフ110では形状の対称性が悪いため、下縁の周長と上縁の周長との差をより大きくとると、対称性の悪さを助長し、作業時に邪魔になり易い。このため、下縁の周長と上縁の周長との差は比較的小さくとらざるを得ず、着脱性が悪くなり易い。これに対し、当該手袋1では、カフ20は直円錐台状であり、下縁の周長と上縁の周長との差を比較的大きくとることができ、当該手袋1の着脱性を高められる。
カフ20の下縁の周長と上縁の周長との差の下限としては、6cmが好ましく、7cmがより好ましい。上記周長の差が上記下限未満であると、当該手袋1の着脱性向上効果が不十分となるおそれがある。一方、上記周長の差の上限は、特に限定されないが、作業性の悪化を防止する観点から、例えば15cm以下とされる。
カフ20の長さ(直円錐台の高さ)の下限としては、4cmが好ましく、5cmがより好ましく、6cmがさらに好ましい。一方、カフ20の長さの上限としては、15cmが好ましく、10cmがより好ましい。カフ20の長さが上記下限未満であると、カフ20の径が急激に大きくなるため、作業性を阻害するおそれがある。逆に、カフ20の長さが上記上限を超えると、カフ20が肘関節に当たり易くなり、作業性を阻害するおそれがある。
また、当該手袋1では、カフ20の上縁の周長と下縁の周長との差を比較的大きくとることができる。換言すればカフ20の下縁の周長を大きくとった場合でも上縁の周長を比較的小さくとることができる。一方、手袋本体10の手首付近の最細部(手袋本体10の周長が最小となる位置)での周長は比較的細い方が手袋の中で手がずれにくい。当該手袋1では、手袋本体10の最細部から接合部32までの周長の広がりを比較的小さくしても、カフ20の下縁の周長を大きくとることができるので、作業性と着脱性を両立できる。なお、従来の手袋にあっては、カフの下縁の周長を大きくするためには、最細部、裾部、カフの上縁も合わせて大きくする必要があり、この場合、作業性が悪くなってしまう。逆に、一般に、手袋の着脱性を維持しながら作業性を向上させるためには、手首部から裾部までの周長の広がりを大きくする必要がある。従来の手袋では、そのような構造では作業中に手袋本体の最細部である手首付近で手袋本体が折れてカフがずれ動き、作業性が低下してしまう。これに対し、本発明の手袋1では上述のように作業性を維持しながら着脱性を向上させることができる。
手袋本体10の最細部とカフ20の上縁との周長の差の上限としては、6cmが好ましく、4cmがより好ましい。上記周長の差が上記上限を超えると、カフ20のずれ動き防止効果が不十分となるおそれがある。一方、上記周長の差の下限としては、特に限定されないが、当該手袋1の着脱性を阻害しないよう例えば0cmとされる。
手袋本体10の最細部からカフ20の上縁までの距離の上限としては、10cmが好ましく、7cmがより好ましい。上記距離が上記上限を超えると、当該手袋1の着脱性が低下するおそれがある。一方、上記距離の下限としては、特に限定されず、0cmであってもよいが、1cmが好ましい。
カフ20の曲げ剛性の下限としては、3.0gf・cm/cmが好ましく、4.0gf・cm/cmがより好ましい。カフ20の曲げ剛性が上記下限未満であると、カフ20が立体形状を保ちにくく、当該手袋1の着脱時に手に引っ掛かり易くなるおそれがある。一方、カフ20の曲げ剛性の上限は、特に限定されないが、カフ20が硬くなり過ぎると手袋本体10との接合が難しくなってくるため、通常は例えば20gf・cm/cmとされる。
カフ20の曲げ剛性は、手袋本体10の裾部10cの曲げ剛性より大きい。カフ20の曲げ剛性と手袋本体10の裾部10cの曲げ剛性との差の下限としては、1.0gf・cm/cmであり、1.5gf・cm/cmがより好ましい。上記差が上記下限未満であると、手袋本体10とカフ20との接合部32が直円錐台の側面よりも大きく内側に向き易くなり、当該手袋1の着脱時に手に引っ掛かり易くなるおそれがある。一方、上記差の上限としては、特に限定されないが、カフ20が硬くなり過ぎると手袋本体10との接合が難しくなってくるため、通常は例えば15gf・cm/cmとされる。
[当該手袋の着脱方法]
当該手袋1は、従来の手袋と同様に、装着することができる。すなわち、当該手袋1は、カフ20の下縁側の開口から手を挿入することで容易に装着することができる。
当該手袋1を脱ぐ方法としては、例えば腕を強く上から下へ振る方法を用いることができる。当該手袋1は、不要に摩擦力が大きい部分が生じ難いので、手を強く振る程度の遠心力により当該手袋1を手から抜き去ることが可能である。
あるいは、当該手袋1を脱ぐ別の方法として、例えばテーブル等の台上に当該手袋1の掌を押し当て、当該手袋1から手を抜き去ってもよい。当該手袋1は不要に摩擦力が大きい部分が生じ難いので、上記台にある程度強く掌を押し当てることで、上記台と当該手袋1の掌との間の摩擦力の方が作業者の手と当該手袋1の内面との摩擦力より大きくすることができる。このため、当該手袋1を上記台上に固定したまま、手のみを当該手袋1から抜き去ることが可能である。
また、手を抜き去った後に上記台上に置かれている当該手袋1は、カフ20の下縁側の開口が立体的に開いているうえに、当該手袋1では手と当該手袋1とに不要に摩擦が大きい部分が生じにくいため、当該手袋1は再度装着し易い。
当該手袋1は、いずれの方法であっても片手のみで着脱することができるので、外面の汚れが作業者の素手や衣服に付着し難い。
<利点>
当該手袋1は、掌側から見たカフ20の投影図が裾部10cから離れるに従って拡幅しており、かつカフ20の突出方向に平行な対称軸を有する線対称図形であるので、掌側から見た場合にカフの横方向の対称性が高く、かつ手を挿入する側へ向かって広がっている。つまり、この形状を採用することで、当該手袋1は、手袋を着脱する際の摩擦力が場所によらず均一化され易くなる。従って、当該手袋1は、不要に摩擦力が大きい部分が生じ難いので、着脱し難さを抑止できる。また、当該手袋1は、カフ20の曲げ剛性を手袋本体10の裾部10cの曲げ剛性より1.0gf・cm/cm以上大きくする。このようにカフ20の曲げ剛性を手袋本体10の裾部10cの曲げ剛性より大きくとることで、カフ20と手袋本体10との接合位置付近が内側に曲がる際に、主として手袋本体10の裾部10cが内側に曲がり、カフ20が内側に曲がることを抑止できる。従って、カフ20と手袋本体10との接合位置でそれぞれの端縁に手が当たり易くなることを抑止できる。以上の点から当該手袋1は着脱し易い。
また、当該手袋1ではカフ20を直円錐台状とすることで、不要に摩擦力が大きい部分をさらに生じ難くすることができるので、当該手袋1をさらに着脱し易いものとすることができる。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
上記実施形態では、カフが直円錐台状である場合を説明したが、カフの形状は直円錐台状に限定されるものではない。カフの掌側から見た投影図が裾部から離れるに従って拡幅しており、かつカフの突出方向に平行な対称軸を有する線対称図形であれば、他の形状を採用することもできる。例えば、図8に示すカフのパーツ24により構成されるカフを採用することもできる。このパーツ24は、形状が等しい2つの等脚台形から構成され、短辺である上底同士及び長辺である下底同士が連続するように一方の側辺で連結されている。このパーツ24では、他方の側辺同士を接合することでカフを構成できる。上記カフは、他方の側辺同士が接合される接合部が、掌と甲との境界に位置するように手袋本体に接合することで、掌側から見たカフの投影図が上記カフの突出方向に平行な対称軸を有する線対称図形となるようにすることができる。ただし、図6に示す展開図を有するカフでは上縁と下縁とを縦断する接合部の位置の手袋本体側末端部で、上縁が鈍角な折れ線を形成する。この点、手袋本体との接合のし易い、図4に示す展開図を有するカフとすることが好ましい。
上記実施形態では、手袋本体が2つのコート層(第1コート層及び第2コート層)を有する場合を説明したが、コート層の層数は2に限定されるものではなく、1あるいは3以上であってもよく、コート層を有する合成皮革や人工皮革などであってもよい。また、コート層を有さない手袋本体も本発明の意図するところである。コート層を有さない手袋本体としては、例えば皮製や発泡層を有し通気性がある合成皮革製、人工皮革製のものなどを挙げることができる。ただし、水、油等の液状の汚れを防止する点から手袋本体が樹脂又はゴムを主成分とするコート層を有するものが好ましい。
上記実施形態では、第1コート層が防水層、第2コート層が滑り止め層として機能する場合を説明したが、各コート層の機能はこれに限定されるものではない。なお、滑り止め層については、その性質上、最外層に設けられる。
また、上記実施形態では、第1コート層及び第2コート層がインナー手袋の外面の一部を覆う場合を説明したが、例えば第1コート層がインナー手袋の外面の全部を覆ってもよい。この場合、第2コート層は、第1コート層の外面の一部を覆うものとしてもよいし、第1コート層の全部を覆うものとしてもよい。
上記実施形態では、手袋本体とカフとをオーバロック縫いで接合する場合を説明したが、手袋本体の裾部を裁断するときに合せてオーバロック縫いを施し、ほつれや不快感を防止した後に、手袋本体とカフとを縫製する方法で接合することもできる。
上記実施形態では、手袋本体とカフとが縫製により接合されている場合を説明したが、手袋本体とカフとの接合方法は縫製に限定されるものではない。手袋本体とカフとは、接着剤、熱溶着、ウェルダー溶着等の他の方法で接合されていてもよい。
上記実施形態では、手袋本体が有機繊維領域を有する場合を説明したが、有機繊維領域は必須の構成要素ではなく、省略可能である。例えばインナー手袋自体が有機繊維製の糸で編成されている場合、有機繊維領域を新たに設ける必要はない。
上記実施形態では、カフが2つのパーツで構成されている場合を説明したが、カフの構成はこれに限定されるものではない。1つのパーツで構成されているカフや、3つ以上のパーツで構成されているカフも本発明の意図するところである。なお、縫製時間が余分にかかるため、パーツ数は2が好ましい。
以上のように、本発明の手袋は、カフを備えながら、片手でも容易に着脱することができる。
1 手袋
10 手袋本体
10a 本体部
10b 指収容部
10c 裾部
11 インナー手袋
11a 有機繊維領域
12 第1コート層
13 第2コート層
20 カフ
20a 内面
21 第1パーツ
21a 端部
22 第2パーツ
22a 端部
23 接合部
24 カフのパーツ
31 縫い糸
32 接合部
S1、S2 端縁
P 貫通位置
100 生地
100a 腕側の端縁
100b 手首側の端縁
100c 一対の側辺
101 端部
110 カフ
110a 腕から離れ易い部分
110b 腕に沿い易い部分
110c 接合部

Claims (5)

  1. 本体部、5本の有底筒状の指収容部、及び筒状の裾部を有する手袋本体と、
    上記手袋本体の裾部に接合されているカフと
    を備え、
    上記本体部が、着用者の掌及び手の甲を覆うよう袋状に形成され、
    上記5本の指収容部が、着用者の第1指乃至第5指をそれぞれ覆うよう上記本体部から延設され、
    上記裾部が、上記5本の指収容部とは反対方向に延設され、
    上記カフが、上記裾部から上記5本の指収容部とは反対方向に突出するよう配設されており、
    上記手袋本体の裾部側の端縁と上記裾部と接合する側の上記カフの端縁とが、上記手袋本体の外表面が上記カフの外表面と接するように重ね合わせて接合され、上記手袋本体の裾部の端縁が上記手袋本体の内面側に位置しており、
    上記手袋本体が、金属製又はガラス繊維製の耐切創糸を含む一方で、有機繊維製の糸により編成された金属繊維及びガラス繊維を含まない有機繊維領域を有し、
    上記有機繊維領域が、手袋本体の裾部の端縁を起点とし、指先側へ1mm以上連続している手袋。
  2. 上記手袋本体が、
    繊維製の糸からなる生地を手袋状に編成したインナー手袋と、
    このインナー手袋の外面の一部又は全部を覆うコート層と
    を有し、
    上記インナー手袋に上記有機繊維領域が設けられており、
    上記コート層の主成分が樹脂又はゴムであり、
    上記コート層が上記カフと掌側で接合されている請求項1に記載の手袋。
  3. 上記コート層の主成分がニトリルブタジエンゴム又はクロロプレンゴムである請求項2に記載の手袋。
  4. 上記有機繊維領域が、裾部の端部に帯状に形成され、全周にわたって配置されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の手袋。
  5. 上記有機繊維領域が、無機繊維を含まない請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の手袋。
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