JP7371604B2 - 高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法 - Google Patents

高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高圧水素ガス環境用として好適な鋼材およびその製造方法に係り、とくに高圧水素ガス環境下における鋼材の耐水素透過特性の向上に関する。
近年、クリーンなエネルギー源として、また、エネルギーの多様化の観点から、世界的に水素が大きく注目されている。特に、高圧水素ガスを燃料源とする燃料電池自動車に対する期待は大きく、燃料電池自動車の開発が世界的に広く進められており、一部では、すでに実用化されている。
燃料電池自動車は、従来のガソリンの代わりに水素をタンクに詰めて走行する。そのため、ガソリンスタンドに代わって燃料補給を行う水素ステーションが必要となる。燃料電池自動車の普及のためには、燃料補給を行う水素ステーションを一般市街地に数多く建設することが肝要となる。
水素ステーションでは、高圧で貯蔵する水素蓄圧器から車載の水素燃料タンクへ水素を、差圧式で直接充填する形式が一般的である。車載の水素燃料タンクへの充填圧力は、航続距離をガソリン車並とするために、70MPa級とすることが目標とされている。そのため、水素ステーションの蓄圧器の設計圧力は、それより高い82MPa級とする必要があるとされている。このようなことから、水素ステーションの蓄圧器には、高圧水素ガス環境下で、水素を安全に貯蔵、供給できることが要求されることになる。
また、水素ガスを大量に輸送するために、パイプラインを利用することも考えられる。この場合、輸送圧力は10MPa級となり、ラインパイプは、10MPa級、場合によってはさらに高圧の水素ガス圧に晒されることになる。
このように、高圧水素ガスを貯蔵、供給するための水素ステーションの蓄圧器や、水素ガスの大量輸送に利用されるラインパイプ等の水素用鋼構造物は、高圧水素ガス環境に晒されながら使用される。
鋼構造物用の材料としては、まず、低価格でかつ高強度であるという利点を有する低合金系鋼材が考えられる。しかし、低合金系鋼材は、水素が侵入すると脆化する、いわゆる「水素脆化」しやすいという問題がある。
このため、高圧水素ガス環境下で使用される鋼構造物には、従来から、低合金鋼より水素脆化しがたい、SUS316L等のオーステナイト系ステンレス鋼が利用されてきた。しかし、SUS316L等のオーステナイト系ステンレス鋼は鋼材のコストが高いことに加えて、強度が低いため、高い水素圧に耐えうるように設計すると、肉厚が厚くなり、水素用構造物自体の価格も高価となる。そのため、水素用鋼構造物向けとして、より安価で、かつ高圧水素ガス環境にも耐えうる低合金系鋼材が強く要望されてきた。
このような要望に対し、例えば、特許文献1には、高圧水素環境用鋼が提案されている。特許文献1に記載された高圧水素環境用鋼は、高圧水素環境下で使用される鋼であって、質量%で、C:0.03~0.18%、Si:0.1~0.5%、Mn:0.2~1.8%、P:0.025%以下、S:0.002~0.02%、Sol.Al:0.01~0.10%、Ca:0.001~0.10%、あるいはさらにV:0.03~0.3%を含み、Ca/S:1.5未満または11以上で、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有する鋼である。特許文献1に記載された技術では、拡散性水素のトラップサイトとして、MnSやCa系複合介在物、さらにはVCを形成して、拡散性水素を非拡散性水素として、拡散性水素濃度を低減し拡散性水素による脆化を抑制する、としている。
また、特許文献2には、耐高圧水素環境脆化特性に優れた低合金高強度鋼が提案されている。特許文献2に記載された低合金高強度鋼は、質量%で、C:0.10~0.20%、Si:0.10~0.40%、Mn:0.50~1.20%、P:0.005%以下、S:0.005%以下、Cr:0.20~0.80%、Cu:0.10~0.50%、Mo:0.10~1.00%、V:0.01~0.10%、B:0.0005~0.005%、N:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する高強度鋼であり、920℃以上での焼き入れを行ったのち、600~640℃の範囲という比較的高い温度で焼戻し処理を行い、引張強さ:900~950MPaの極めて狭い範囲に調整することが好ましいとしている。これにより、45MPa水素雰囲気中でも、優れた伸び、絞り特性を示す、耐高圧水素環境脆化特性に優れた低合金高強度鋼となるとしている。
また、特許文献3には、耐高圧水素環境脆化特性に優れた低合金高強度鋼が提案されている。特許文献3に記載された低合金高強度鋼は、質量%で、C:0.10~0.20%、Si:0.10~0.40%、Mn:0.50~1.20%、P:0.005%以下、S:0.002%以下、Ni:0.75~1.75%、Cr:0.20~0.80%、Cu:0.10~0.50%、Mo:0.10~1.00%、V:0.01~0.10%、B:0.0005~0.005%、N:0.01%以下を含有し、さらに、Nb:0.01~0.10%及びTi:0.005~0.050%のうち1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するCr-Mo系高強度低合金鋼であり、1000~1100℃で焼ならし、880~900℃の温度範囲から焼入れを行い、その後560~580℃という比較的高い温度で焼戻し処理を行い、調質後の結晶粒度番号が8.4以上の粒度で、引張強さ:900~950MPaの極めて狭い範囲に調整することが好ましいとしている。これにより、45MPa水素雰囲気中でも、優れた伸び、絞り特性を示す、耐高圧水素環境脆化特性に優れた低合金高強度鋼となるとしている。
また、特許文献4には、高圧水素ガス環境用低合金鋼が提案されている。特許文献4に記載された低合金鋼は、質量%で、C:0.15~0.60%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.05~3.0%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Al:0.005~0.10%、Mo:0.5~3.0%、V:0.05~0.30%、O(酸素):0.01%以下、N:0.03%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなる組成を有し、かつ引張強さ:900MPa以上である高圧水素ガス環境用低合金鋼である。なお、上記した組成に加えてさらに、B:0.0003~0.003%を含有してもよいとしている。その際、N:0.010%以下に調整することが好ましいとしている。特許文献4に記載された技術によれば、Vを添加し、さらに既存の鋼よりもMo含有量を増加させ、焼戻し温度を高くして、V-Mo系炭化物を活用することで、粒界の炭化物形態が改善され、耐水素環境脆化特性が大きく向上するとしている。
また、特許文献5には、耐水素性に優れた高圧水素ガス貯蔵容器用鋼が提案されている。特許文献5に記載された高圧水素ガス貯蔵容器用鋼は、質量%で、C:0.12~0.15%、Si:0.01~0.10%、Mn:0.30~0.60%、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Cr:2.00~2.50%、Mo:0.90~1.20%、V:0.20~0.35%、Nb:0.01~0.06%、Ti:0.002~0.030%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、MC系炭化物析出指数MCI=(0.24V+0.06Mo)/Cが0.70以上を満足する組成を有する鋼である。特許文献5に記載された技術によれば、上記した組成を有する鋼に、鋼板製造時に、焼準処理の後に長時間の応力除去焼鈍を施すことで、MC系炭化物(Mo、V)Cが微細かつ高密度に分散析出し、鋼の耐水素脆化特性等の耐水素性が向上するとしている。
また、特許文献6には、高圧水素貯蔵用鋼材が提案されている。特許文献6に記載された鋼材は、質量%で、C:0.05~0.12%、Si:0.01~0.50%、Mn:0.6超~1.8%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、Al:0.01~0.08%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、金属組織が面積分率90%以上のベイナイト主体組織で、ベイナイト中に平均粒径50nm以下で、平均アスペクト比3以下のセメンタイトが分散析出している鋼材である。特許文献6に記載された技術によれば、アスペクト比が小さく微細なセメンタイトを分散させることにより、高圧水素雰囲気からの水素侵入量を低減することができ、さらに母材靭性も向上し、水素による脆化が抑制されるとしている。
また、特許文献7には、高圧水素貯蔵容器用高強度鋼材が提案されている。特許文献7に記載された高強度鋼材は、質量%で、C:0.05~0.15%、Si:0.01~0.50%、Mn:0.6超~2.5%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、Al:0.01~0.08%を含有し、且つPcmが0.19以上で、残部Fe及び不可避的不純物からなり、金属組織が面積分率70%以上の下部ベイナイトと面積分率3%以下の島状マルテンサイトを備え、引張強さが780MPa以上を有する高強度鋼材である。特許文献7に記載された技術によれば、下部ベイナイト組織としセメンタイトを微細析出させて、また粗大セメンタイトおよび島状マルテンサイトの生成を抑制して、水素侵入を抑制し、高圧水素環境下での脆化や延性低下を防止させるとしている。
また、特許文献8には、高圧水素環境中での耐疲労き裂進展特性に優れる鋼材が記載されている。特許文献8に記載された鋼材は、質量%で、C:0.05~0.60%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.3~3.0%、P:0.001~0.040%、S:0.0001~0.010%、N:0.0001~0.0060%、Al:0.01~1.5%を含有し、さらにTi:0.01~0.20%、Nb:0.01~0.20%、V:0.01%以上0.05%未満の1種または2種以上を含有し、かつ、B:0.0001~0.01%、Mo:0.005~2.0%、Cr:0.005~3.0%の1種または2種以上を含有する成分組成と、体積率で95%以上が焼戻しマルテンサイトであり、Ti、Nb、Vのいずれか1種以上と炭素、窒素のいずれか1種以上とを有する直径100nm以下の析出物の密度が50個/μm2以上であり、旧オーステナイト粒径が3μm以上である組織を有する鋼材である。特許文献8に記載された技術によれば、80MPa以上の高圧水素環境下で疲労き裂進展速度を従来鋼より飛躍的に低減でき、高圧水素環境下で使用される水素用蓄圧器等の使用寿命を改善でき、高圧水素環境下で使用される水素貯蔵容器の安全性を向上できるとしている。
特開2005-2386号公報 特開2009-46737号公報 特開2009-275249号公報 特開2009-74122号公報 特開2010-37655号公報 特開2012-107332号公報 特開2012-107333号公報 特許第5633664号公報
特に、高圧水素ガス環境下で使用する水素用蓄圧器のような鋼構造物では、水素の充填、放出を繰り返し行うため、構造物(容器)に繰返し応力が与えられる。そのため、水素用蓄圧器のような鋼構造物を設計する際には、応力による疲労破壊を考慮することが必須となる。高圧水素ガス環境下で使用する鋼構造物の疲労破壊は、鋼材中へ水素ガスが侵入し、鋼材が水素脆化することにより引き起こされる。
そこで、本発明者は、鋼材への水素ガスの侵入(水素透過量)を抑制できれば、鋼材の水素による脆化が抑制され、高圧水素ガス環境下で使用する鋼構造物の長寿命化が達成でき、水素用鋼構造物の安全性が向上するものと考えた。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、高圧水素ガス環境下で水素の透過量を少なくできる、耐水素透過特性に優れた高圧水素ガス環境用鋼材およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高圧水素ガス環境」とは、鋼構造物内部に収容された水素ガスの圧力が30MPa~110MPaの範囲である場合をいうものとする。また「耐水素透過特性に優れた」とは、高圧水素ガス環境下(圧力:100MPa、50℃)における鋼材の水素透過曲線を測定し、定常状態での水素透過量が、250×1010(H2/s)以下である場合をいうものとする。
本発明者は、上記した目的を達成するために、耐水素透過特性に及ぼす化学成分など各種要因について、鋭意検討した。その結果、本発明者は、鋼材中に、所定量以上のNi、Cu、Moを含有させることが、鋼材の、高圧水素ガス環境下における耐水素透過特性の向上に有効であることを見出した。
本発明者の検討によれば、Ni、Cu、Moはいずれも、水素が鋼材表面での物理吸着状態から化学吸着状態へと変化する際のエネルギー障壁および化学吸着状態から鋼材中に侵入する際のエネルギー障壁を著しく上昇させる作用を有する。鋼材に所定量以上のNi、Cu、Moを含有させることにより、水素を含む雰囲気から鋼材への水素侵入量を著しく少なくすることができ、それにより、鋼材の耐水素透過特性が向上するものと本発明者は推察した。
さらに、Ni、Cu、Moを含有することにより、鋼材の結晶格子に歪みが生じる。その歪みに水素がトラップされることにより、水素原子の移動が妨害され、その結果、耐水素透過特性が向上するものと、本発明者は推察した。
本発明者の更なる検討によれば、このような効果は、0.5%以上のNi、0.2%以上のCuおよび0.2%以上のMoを含有させることにより、顕著となる。そこで、本発明では、質量%で、Ni:0.5%以上5.0%以下を含み、さらにCu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下を含有する組成を有する鋼材、とした。そして、このような鋼材製の水素用鋼構造物であれば、高圧水素ガス環境下であっても、使用寿命の長期間化や、鋼構造物の安全性の向上が期待できることを知見した。
本発明は、かかる新たな知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
[1]質量%で、C:0.04%以上0.50%以下、Si:0.05%以上0.50%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、N:0.0005%以上0.0080%以下、O:0.01%以下を含み、さらにNi:0.5%以上5.0%以下、Cu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、引張強さ:560MPa以上で、高圧水素ガス環境下における耐水素透過特性に優れることを特徴とする高圧水素ガス環境用鋼材。
[2]前記組成に加えてさらに、質量%で、Cr:0.1%以上2.5%以下、W:0.05%以上2.00%以下、Nb:0.005%以上0.100%以下、Ti:0.005%以上0.100%以下、V:0.005%以上0.200%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする[1]に記載の高圧水素ガス環境用鋼材。
[3]前記組成に加えてさらに、質量%で、Nd:0.005%以上1.000%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする[1]または[2]に記載の高圧水素ガス環境用鋼材。
[4][1]ないし[3]のいずれかに記載の高圧水素ガス環境用鋼材製であることを特徴とする高圧水素ガス環境用構造物。
[5]前記高圧水素ガス環境用構造物が、ラインパイプ又は蓄圧器であることを特徴とする[4]に記載の高圧水素ガス環境用構造物。
[6]質量%で、C:0.04%以上0.50%以下、Si:0.05%以上0.50%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、N:0.0005%以上0.0080%以下、O:0.01%以下を含み、さらに、Ni:0.5%以上5.0%以下、Cu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材を、Ac3変態点以上に加熱し、熱間圧延を施して所定形状の鋼材としたのち、該鋼材に、
次に示すA処理、
A処理:前記熱間圧延に引き続き、(Ar3変態点-50℃)以上の温度から冷却速度:1~200℃/sで、600℃以下の冷却停止温度まで冷却する加速冷却処理、
B処理、
B処理:前記熱間圧延に引き続き、(Ar3変態点-50℃)以上の温度から冷却速度1~200℃/sで、250℃以下の冷却停止温度まで冷却し、さらにAc1変態点以下の温度で焼戻しする直接焼入れ焼戻し処理、
C処理、
C処理:前記熱間圧延終了後、250℃以下の温度まで冷却したのち、再び、Ac3変態点以上に加熱したのち、水焼入れまたは油焼入れし、さらにAc1変態点以下の温度で焼戻しする再加熱焼入れ焼戻し処理
のうちの1つの処理を行い、引張強さ:560MPa以上で、高圧水素ガス環境下における耐水素透過特性に優れる鋼材とすることを特徴とする高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。
[7]質量%で、C:0.04%以上0.50%以下、Si:0.05%以上0.50%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、N:0.0005%以上0.0080%以下、O:0.01%以下を含み、さらに、Ni:0.5%以上5.0%以下、Cu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材を、Ac3変態点以上に加熱して、熱間加工により継目無鋼管としたのち、250℃以下の温度まで冷却し、その後Ac3変態点以上に加熱したのち、水焼入れまたは油焼入れし、さらにAc1変態点以下の温度で焼戻しする再加熱焼入れ焼戻し処理を行い、引張強さ:560MPa以上で、高圧水素ガス環境下における耐水素透過特性に優れる継目無鋼管とすることを特徴とする高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。
[8]前記組成に加えてさらに、質量%で、Cr:0.1%以上2.5%以下、W:0.05%以上2.00%以下、Nb:0.005%以上0.100%以下、Ti:0.005%以上0.100%以下、V:0.005%以上0.200%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする[6]または[7]に記載の高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。
[9]前記組成に加えてさらに、質量%で、Nd:0.005%以上1.000%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする[6]ないし[8]のいずれかに記載の高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。
本発明によれば、従来よりも、高圧水素ガス環境下で水素の透過量が少ない耐水素透過特性に優れた高圧水素ガス環境用鋼材を、安定して提供でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、高圧水素ガス環境下で使用される蓄圧器やラインパイプ等の鋼構造物を長寿命化でき、水素用鋼構造物の安全性が向上するという効果もある。
本発明高圧水素ガス環境用鋼材は、質量%で、C:0.04%以上0.50%以下、Si:0.05%以上0.50%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、N:0.0005%以上0.0080%以下、O:0.01%以下を含み、さらにNi:0.5%以上5.0%以下、Cu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基本組成を有する。以下、とくに断らない限り、組成における質量%は単に%で記す。
まず、組成の限定理由について説明する。
本発明高圧水素ガス環境用鋼材は、所定量以上のNi、Cu、Moを含有することを特徴とする。Ni、Cu、Moはいずれも、水素を含む雰囲気から鋼材への水素侵入量を著しく少なくする作用を有する重要な元素であり、本発明では、Ni:0.5%以上5.0%以下、Cu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下含有させる。
Ni:0.5%以上5.0%以下
Niは、本発明における重要な元素であり、鋼材への水素侵入量を低減する作用を有する。このような効果は、Niを0.5%以上含有させることで顕著となる。一方、Ni含有量が5.0%を超えると、材料コストの高騰を招き、経済的に不利となる。このため、Ni含有量は0.5以上5.0%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.75%以上、より好ましくは1.0%以上である。
Cu:0.2%以上5.0%以下
Cuは、Niと同様に、本発明において重要な元素であり、鋼材への水素侵入量を低減させる作用を有する。このような効果は、Cuを0.2%以上含有させることで顕著となる。一方、Cu含有量が5.0%を超えると、鋼素材加熱時や溶接時に割れが生じやすくなる。このため、Cu含有量は0.2%以上5.0%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.75%以上、さらに好ましくは1.0%以上である。なお、Ni、Moを0.5%以上含有させることで鋼材への水素侵入量が充分低くできる場合には、Cu含有量は0.5%未満であっても問題はない。
Mo:0.2%以上5.0%以下
Moは、Ni、Cuと同様に、本発明において重要な元素であり、鋼材への水素侵入量を低減させる作用を有する。このような効果は、Moを0.2%以上含有させることで顕著となる。一方、Mo含有量が5.0%を超えると、材料コストの高騰を招き、経済的に不利となる。このため、Mo含有量は0.2%以上5.0%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.75%以上、さらに好ましくは1.0%以上である。Ni、Cuを0.5%以上含有させることで鋼材への水素侵入量が充分小さくなる場合には、Mo含有量は0.5%未満であっても問題は無い。
上記したNi、Cu、Mo以外に、本発明鋼材は、C:0.04%以上0.50%以下、Si:0.05%以上0.50%以下、Mn:0.5%以上2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.01%以上0.10%以下、N:0.0005%以上0.0080%以下、O:0.01%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる。
C:0.04%以上0.50%以下
Cは、焼入れ性を向上させる元素であり、本発明では、適度な焼入れ性を得るためにCは0.04%以上含有させる。一方、C含有量が0.50%を超えると、母材および溶接熱影響部の靭性を低下させるとともに、溶接性を低下させる。このため、C含有量は0.04%以上0.50%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.10%以上0.45%以下である。
Si:0.05%以上0.50%未満
Siは、製鋼段階における脱酸剤として作用するとともに、焼入れ性を向上させる元素であり、本発明では、Siは0.05%以上含有させる。一方、Si含有量が0.50%以上になると、粒界を脆化させ、低温靭性を低下させる。このため、Si含有量は0.05%以上0.50%未満の範囲に限定した。なお、好ましくは0.15%以上0.40%以下である。
Mn:0.5%以上2.0%以下
Mnは、焼入れ性を向上させる元素であり、本発明では、Mnは0.5%以上含有させる。一方、Mn含有量が2.0%を超えると、粒界強度を低下させ、低温靭性を低下させる。このため、Mn含有量は0.5以上2.0%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.8%以上1.5%以下である。
P:0.05%以下
Pは、不純物元素として、できるだけ低減させることが望ましいが、0.05%までは許容できる。Pは、結晶粒界に偏析しやすく、0.05%を超えて含有すると、隣接結晶粒間の接合強度を低下させ、低温靭性を低下させる。このため、P含有量は0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.03%以下である。
S:0.01%以下
Sは、不純物元素として、できるだけ低減させることが望ましいが、0.01%までは許容できる。Sは、結晶粒界に偏析しやすく、また、非金属介在物であるMnSを生成しやすく、0.01%を超える含有は、隣接結晶粒間の接合強度を低下させ、介在物量を増加させて、低温靭性を低下させる。このため、S含有量は0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.005%以下である。
Al:0.01%以上0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用するとともに、Al系窒化物の微細析出物として析出し、鋼素材の加熱時にオーステナイト粒をピンニングし、粒の粗大化を抑制する作用を有する元素であり、本発明では、Alは0.01%以上含有させる。一方、Al含有量が0.10%を超えると、鋼板に表面疵が発生し易くなる。このため、Al含有量は0.01%以上0.10%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02%以上0.08%以下である。
N:0.0005%以上0.0080%以下
Nは、Nb、Ti、Alなどの窒化物形成元素と結合して窒化物を形成する元素であり、微細析出物を形成し、加熱時にオーステナイト粒をピンニングし、粒の粗大化を抑制し、組織を微細化し、低温靭性を向上させる。このような効果を得るために、本発明では、Nは0.0005%以上含有させる。一方、N含有量が0.0080%を超えると、固溶N量が増加し、母材および溶接熱影響部の靭性が低下する。このため、N含有量を0.0005%以上0.0080%に限定した。なお、好ましくは、0.0020%以上0.0050%以下である。
O(酸素):0.01%以下
O(酸素)は、Alなどと酸化物を形成し、材料の加工性に影響を及ぼすため、できるだけ低減させることが好ましいが、0.01%以下であれば許容できる。O含有量が0.01%を超えると、介在物量が増加し、加工性を低下させる。このため、O含有量は0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.005%以下である。
上記した成分が基本の成分であり、本発明鋼材では、上記した組成に加えてさらに、所望する特性に応じて、Cr:0.1%以上2.5%以下、W:0.05%以上2.00%、Nb:0.005%以上0.100%以下、Ti:0.005%以上0.100%以下、V:0.005%以上0.200%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Nd:0.005%以上1.000%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることができる。
Cr、W、Nb、Ti、V、Bはいずれも、焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じて、選択して1種または2種以上を含有できる。
Cr:0.1%以上2.5%以下
Crは、焼入れ性を向上させて、強度増加に寄与する元素であり、本発明では含有させる場合には、0.1%以上とする。一方、Cr含有量が2.5%を超えると、溶接性が低下する。このため、含有させる場合には、Cr含有量は0.1%以上2.5%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.5%以上1.5%以下である。
W:0.05%以上2.00%以下
Wは、焼入れ性を向上させる元素であり、本発明では含有させる場合には、0.05%以上とする。一方、W含有量が2.00%を超えると、溶接性が低下する。このため、含有させる場合には、W含有量は0.05%以上2.00%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.20%以上1.50%以下である。
Nb:0.005%以上0.100%以下
Nbは、焼入れ性を向上させるとともに、Nb系炭窒化物として微細析出し、加熱時にオーステナイト粒をピンニングし、粒の粗大化を抑制する作用を有する元素である。このような効果は、Nbを0.005%以上含有させることで顕著となる。一方、Nb含有量が0.100%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。このため、Nbを含有させる場合は、Nb含有量は0.005%以上0.100%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.010%以上0.050%以下である。
Ti:0.005%以上0.100%以下
Tiは、焼入れ性を向上させるとともに、Ti系炭窒化物として微細析出し、加熱時にオーステナイト粒をピンニングし、粒の成長を抑制する作用を有する元素である。このような効果は、Ti含有量を0.005%以上とすることで顕著となる。一方、Ti含有量が0.100%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。このため、含有させる場合は、Ti含有量は0.005以上0.100%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.010%以上0.050%以下である。
V:0.005%以上0.200%以下
Vは、焼入れ性を向上させるとともに、V系炭化物として微細析出し、加熱時にオーステナイト粒をピンニングし、粒の粗大化を抑制する。このような効果は、Vを0.005%以上含有させることで顕著となる。一方、V含有量が0.200%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。このため、含有させる場合には、V含有量は0.005%以上0.200%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.010%以上0.150%以下である。
B:0.0005%以上0.0050%以下
Bは、焼入れ性の向上を介して、強度増加に寄与する元素である。このような効果は、Bを0.0005%以上含有させることで顕著となる。一方、B含有量が0.0050%を超えると、母材靭性の低下を招く。このため、含有させる場合には、B含有量は0.0005%以上0.0050%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0010%以上0.0020%以下である。
また、Nd、Ca、Mg、REMはいずれも、介在物(硫化物)の形成を介して靭性等の材質向上に寄与する元素であり、必要に応じ選択して1種または2種以上を含有できる。
Nd:0.005%以上1.000%以下
Ndは、S系介在物を形成し、Sの粒界偏析量を低減させて、低温靭性等の材質向上に寄与する元素であり、このような効果は、Ndを0.005%以上含有させることにより顕著となる。一方、Nd含有量が1.000%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。このため、含有させる場合には、Nd含有量は0.005%以上1.000%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.010%以上0.500%以下である。
Ca:0.0005%以上0.0050%以下
Caは、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、加工性、低温靭性等の材質向上に寄与する元素である。つまり、Caは、Sと結合しCaSを形成して、圧延によって展伸しやすい介在物であるMnSを、圧延により展伸しにくい球状介在物であるCaSへと介在物の形態を制御する。このような効果は、Caを0.0005%以上含有させることにより顕著となる。一方、Ca含有量が0.0050%を超えると、鋼材の清浄度が低下し、靭性等の材質が低下する。このため、含有させる場合には、Ca含有量は0.0005%以上0.0050%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0010%以上0.0020%以下である。
Mg:0.0005%以上0.0050%以下
Mgは、脱硫剤として作用し、介在物(硫化物)の形成によってS量の低減、靭性等の材質向上に寄与する元素であり、このような効果は、Mgを0.0005%以上含有させることにより顕著となる。一方、Mg含有量が0.0050%を超えると、鋼材の清浄度の低下を招く。このため、含有させる場合には、Mg含有量は0.0005%以上0.0050%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0010%以上0.0020%以下である。
REM:0.0005%以上0.0050%以下
REM(希土類金属)は、鋼中でREM(O、S)を生成し、結晶粒界の固溶S量を低減させることによって、耐SR割れ特性を改善する作用を有する元素であり、このような効果は、REMを0.0005%以上含有させることにより顕著となる。一方、REM含有量が0.0050%を超えると、鋳片の沈殿晶帯にREM硫化物が著しく集積し、材質の劣化を招く。このため、含有させる場合には、REM含有量は0.0005%以上0.0050%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0010%以上0.0020%以下である。
なお、上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
本発明高圧水素ガス環境用鋼材は、上記した組成を有していれば、その組織はとくに限定する必要はないが、所望の強度に応じて、マルテンサイト、フェライトおよびパーライト、あるいはベイナイト、およびそれらの混合した組織、がいずれも好適である。
つぎに、本発明高圧水素ガス環境用鋼材の好ましい製造方法について説明する。
まず、上記した組成の溶鋼を、転炉、電気炉・真空溶解炉等の常用の溶製炉で溶製し、連続鋳造法で所定形状の鋳片、あるいは造塊法等で得た鋼塊を熱間圧延して所定形状の鋼片とし、鋼素材とする。
得られた鋼素材は、ついで、加熱炉に装入される。加熱温度は、Ac3変態点以上とする。加熱温度がAc3変態点未満では、被圧延材の変形抵抗が高くなり圧延装置への負荷が多大となるうえ、一部未変態組織が残存するため、その後の処理によっても、所望の特性を確保できなくなる。
所定の温度に加熱された鋼素材は、ついで、熱間圧延を施され、所定の寸法形状の鋼材とされる。ここでいう「鋼材」は、薄板、厚板、鋼管を含むものとする。ここでいう「熱間圧延」は、所定寸法形状の鋼材とすることができればよく、とくにその圧延条件については限定されない。鋼材が継目無鋼管である場合には、熱間圧延は穿孔圧延を含む圧延とする。
上記した組成を有し、所定の寸法形状に圧延された鋼材に、A処理:熱間圧延に引続き、加速冷却処理、を行うか、あるいは、B処理:熱間圧延に引続き、直接焼入れ焼戻し処理、を行うか、あるいは、C処理:熱間圧延終了後、250℃以下の温度まで冷却した後、再加熱し焼入れ焼戻しする再加熱焼入れ焼戻し処理、を行うことが好ましい。
つぎに、A処理:加速冷却処理、B処理:直接焼入れ焼戻し処理、C処理:再加熱焼入れ焼戻し処理について、それぞれ説明する。
なお、製造条件における温度の規定は鋼材中心部とする。但し、中心部近傍はほぼ同様の温度履歴となるので、中心そのものに限定するものではない。
(A処理:加速冷却処理)
上記した組成を有する鋼素材を、Ac3変態点以上に加熱し、所定寸法形状の鋼材に熱間圧延したのち、得られた鋼材に、引続き、(Ar3変態点-50℃)以上の冷却開始温度から、冷却速度:1~200℃/sで冷却停止温度:600℃以下の冷却停止温度まで冷却する加速冷却処理を行う。冷却は、熱間圧延終了後、直ちに行われることが好ましい。冷却開始温度が(Ar3変態点-50℃)未満では、冷却開始前にオーステナイトの変態量が多くなり、加速冷却後に所望の特性を得ることができなくなる。このため、冷却開始温度は(Ar3変態点-50℃)以上の温度に限定した。また、加速冷却の冷却速度が1℃/s未満では冷却が遅すぎ、所望の特性を得ることができない。一方、通常の冷却手法では、200℃/sを超えることはない。このため、加速冷却処理の冷却速度は1~200℃/sの範囲に限定した。なお、冷却速度は、板厚(肉厚)中心での平均冷却速度である。冷却手段は特に限定する必要はなく、水冷等とすることが好ましい。また、加速冷却の冷却停止温度が600℃超えの高温では、所望の変態が完了しないため、所望の特性を得ることができない。このため、加速冷却の冷却停止温度は600℃以下の温度に限定した。
(B処理:直接焼入れ焼戻し処理)
上記した組成を有する鋼素材を、Ac3変態点以上に加熱し、所定寸法形状の鋼材に熱間圧延したのち、引続き(Ar3変態点-50℃)以上の温度から1~200℃/sの範囲の冷却速度で250℃以下の冷却停止温度まで冷却する焼入れ処理と、引続きAc1変態点以下の焼戻し温度で焼戻しする焼戻し処理を行う。冷却は、熱間圧延終了後、直ちに行われることが好ましい。鋼素材の加熱温度がAc3変態点未満では、一部未変態組織が残存するため、熱間圧延および焼入れ、焼戻し後に所望の鋼組織を得ることができない。このため、熱間圧延前の加熱温度はAc3変態点以上とする。また、熱間圧延後の焼入れの開始温度が(Ar3変態点-50℃)未満であると、焼入れ前のオーステナイトの変態量が多く、焼入れ、焼戻し後に所望の鋼組織を得ることができない。このため、熱間圧延後、(Ar3変態点-50℃)以上から冷却を開始し、焼入れを行う。(Ar3変態点-50℃)以上から焼入れる際の冷却速度は、所望の組織を得るため、1~200℃/sとする。なお、該冷却速度は、板厚中心での平均冷却速度である。冷却手段は特に限定する必要はなく、水冷等により行えばよい。また、焼入れの冷却速度が1℃/s未満では冷却が遅すぎ、所望の特性を得ることができない。一方、通常の冷却手法では、冷却速度は200℃/sを超えることはない。また、該焼入れを250℃超えの温度で停止すると、所望のマルテンサイト変態、ベイナイト変態が完了しないため、焼戻し後に所望の鋼組織を得ることができない。このため、焼入れ処理は、250℃以下の温度まで冷却する焼入れとすることとする。焼入れ後は、引き続きAc1変態点以下の温度で焼戻しする。焼戻し温度がAc1変態点を超えると、一部オーステナイトに変態するため、焼戻し後に所望の鋼組織を得ることができなくなる。
(C処理:再加熱焼入れ焼戻し処理)
上記した組成を有する鋼素材を、Ac3変態点以上に加熱し、熱間圧延して所定寸法形状の鋼材とし、一旦、250℃以下の温度まで冷却する。所望のマルテンサイト変態、ベイナイト変態を完了させ、また焼戻し後に所望の鋼組織を得るため、熱間圧延後の冷却は250℃以下の温度まで行うとした。好ましくは、100℃以下、より好ましくは50℃以下である。室温まで冷却してもよい。冷却速度はとくに限定されないが、1~200℃/sの範囲とすることが好ましい。ついで、冷却された鋼材を、Ac3変態点以上の焼入れ加熱温度に再加熱したのち、引続き(Ar3変態点-50℃)以上の焼入れ開始温度から、冷却速度:0.5~100℃/sで250℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理と、ついで、Ac1変態点以下の温度で焼戻しする、再加熱焼入れ焼戻し処理を行う。
なお、焼入れ処理は、冷媒を、例えば水あるいは油とし、被冷却材である高温に加熱された鋼材に、冷却速度:0.5~100℃/sとなるように、冷媒を吹き付けるか、あるいは加熱された鋼材を、冷媒を貯めた浴槽中に浸漬することにより、行うことが好ましい。また、焼戻し処理は、焼戻し加熱炉等で加熱された鋼材を大気中あるいは保護雰囲気中で放冷すればよい。
焼入れ加熱温度が、Ac3変態点未満では、一部未変態組織が残存するため、焼入れ、焼戻し後に所望の特性を得ることができなくなる。このため、焼入れ加熱温度はAc3変態点以上とする。また、焼入れ開始温度が(Ar3変態点-50℃)未満では、焼入れ開始前にオーステナイトが変態を開始するため、焼入れ、焼戻し後に所望の特性を得ることができない。このため、焼入れ開始温度は、(Ar3変態点-50℃)以上の温度に限定した。また、焼入れ冷却速度は、所望の特性を得るとともに、焼割れを防止するため、0.5~100℃/sに限定した。焼入れ冷却停止温度が、250℃を超える高温では、所望の変態が完了しないため、焼戻し処理後に所望の特性を得ることができない。そのため、焼入れ停止温度は250℃以下の温度に限定した。
焼入れ処理後は、引続き鋼材をAc1変態点以下の焼戻し温度に加熱し、焼戻しする焼戻し処理を行う。焼戻温度がAc1変態点を超えると、一部オーステナイトに変態するため、焼戻し処理後に所望の特性を得ることができなくなる。
なお、上記した、Ac3変態点(℃)、Ar3変態点(℃)およびAc1変態点(℃)は、次式を用いて算出したものを使用するものとする。
Ac3(℃)=854-180C+44Si-14Mn-17.8Ni-1.7Cr、
Ar3(℃)=910-310C-80Mn-20Cu-15Cr-55Ni-80Mo、
Ac1(℃)=723-14Mn+22Si-14.4Ni+23.3Cr
ここで、各元素記号は、各元素の鋼中含有量(質量%)である。
なお、鋼材が継目無鋼管である場合には、鋼素材としてビレットをAc3変態点以上に加熱し、公知の造管方法である、マンネスマン-プラグミル方式またはマンネスマン-マンドレルミル方式で、熱間加工および造管して継目無鋼管とし、一旦室温まで冷却した後、Ac3変態点以上の焼入れ加熱温度に再加熱したのち、引続き(Ar3変態点-50℃)以上の焼入れ開始温度から、冷却速度:0.5~100℃/sで250℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理を行い、ついで、Ac1変態点以下の温度で焼戻しする、上記した再加熱焼入れ焼戻し処理を行うことが好ましい。
上記した製造方法で製造された耐水素透過性能に優れた鋼材は、高圧水素ガス環境中で使用される水素用鋼構造物向けとして好適である。ここでいう「水素用鋼構造物」としては、水素ステーションなどで使用される蓄圧器(水素用蓄圧器)、水素ガス輸送用のラインパイプ(水素用ラインパイプ)等が例示できる。
水素ステーションなどで使用される蓄圧器としては、鋼材のみを用いるタイプ1、鋼材に炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)を巻く、タイプ2およびタイプ3が知られている。これらのタイプは、例えば、圧縮天然ガス自動車燃料容器に関する各規格、ISO 11439、ANSI/NGVや、高圧ガス保安法 容器保安規則例示基準別添9などに記載される容器の構造についての区分である。なお、蓄圧器は、例えば上記した組成を有する鋼材を、所定形状に成形後、再加熱焼入れ焼戻し処理を行うことにより製造することが好ましい。蓄圧器に貯蔵される水素の圧力は、35MPa程度または70MPa程度である。
また、水素輸送用のラインパイプとしては、継目無鋼管、電縫鋼管、またはUOEタイプの鋼管を用いることが好ましい。なお、電縫鋼管、UOEタイプの鋼管をラインパイプとして使用する場合には、加速冷却処理、直接焼入れ焼戻し処理、再加熱焼入れ焼戻し処理がいずれも適用可能である。また、継目無鋼管を使用する場合には、再加熱焼入れ焼戻し処理が好適である。ラインパイプでは、使用する水素の圧力としては、10MPa程度である。
以下、実施例に基づいて、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、厚さ100mmのスラブ(鋼素材)とした。
得られたスラブ(鋼素材)を、加熱温度:1100℃に加熱し、熱間圧延して厚鋼板(板厚:38mm)としたのち、得られた厚鋼板に、(1)再加熱焼入れ焼戻し処理、または(2)加速冷却処理、または(3)直接焼入れ焼戻し処理を施した。なお、温度測定は、鋼板の板厚中心部に挿入した熱電対を用いて行った。
(1)再加熱焼入れ焼戻し処理は、次のとおりとした。
熱間圧延後の厚鋼板を一旦室温まで冷却したのち、表2に示す焼入れ加熱冷却条件、焼戻し条件で、再加熱焼入れ焼戻し処理を行った(鋼板No.1~No.16、鋼板No.21~No.24)。なお、焼入れ処理は、水冷、あるいは油冷とした。
(2)加速冷却処理は、次のとおりとした。
熱間圧延を施して得られた厚鋼板に、冷却することなく引続き、表2に示す加速冷却条件で加速冷却処理を行った(鋼板No.17、No.18)。なお、加速冷却処理後の焼戻し処理は行なかった。
(3)直接焼入れ焼戻し処理は、次のとおりとした。
熱間圧延を施して得られた厚鋼板に、冷却することなく引続き、表2に示す直接焼入れ冷却条件、焼戻し条件で直接焼入れ焼戻し処理を行った(鋼板No.19、No.20)。
得られた厚鋼板について、引張試験、水素透過試験、さらには組織観察を実施した。試験方法は次のとおりとした。
(1)引張特性
得られた厚鋼板から、JIS Z 2241(2011)に準拠して、圧延方向を試験片長手方向(引張方向)とする全厚引張試験片(JIS 1号A号試験片)を採取し、引張試験を行い、引張強さを測定した。
(2)水素透過試験
得られた厚鋼板の板厚1/4位置から、板厚4.6mmの高圧水素透過試験用の試験片(板厚4.6mmのディスク状試験片:大きさ50mmφ)を採取し、両面にPdをめっき(厚み:74nm)して試験に供した。
得られた試験片の片面を、水素ガス環境(圧力:100MPa、温度:50℃)に晒し水素導入面とし、もう一方の面を真空として、試験片に水素を導入した。水素の導入口は、2.54mmφとした。水素導入開始直後から、水素導入面の反対面から抜けてくる水素を質量分析計(Q-mass:Quadrupole Mass Spectrometer;四重極形質量分析計)で時間連続的に分析し、水素透過曲線を求めた。得られたそれぞれの水素透過曲線から、定常状態に達した時の水素透過量(H2/s)を求めた。なお、水素透過量の単位は、(試験片を1秒当たりに透過する水素分子の個数)である。また、水素透過曲線が時間と共に増加し、ある時間経過後、時間に対してほぼ変化しなくなった状態を定常状態と判断した。なお、定常状態における水素透過量が、250×1010(H2/s)以下の場合を耐水素透過特性に優れるとした。定常状態における水素透過量が、250×1010(H2/s)以下であれば、継目無鋼管やUOEなどの鋼管を製造するプロセスで製造可能な板厚範囲で、LBB(Leak Before Break;破裂前漏洩)が成立する水素用蓄圧器あるいは水素用ラインパイプの水素用鋼構造物の設計をすることが可能になる。
(3)組織観察
得られた鋼板の板厚中央部から、組織観察用試験片を採取し、研磨し腐蝕(ナイタール液)し、光学顕微鏡(倍率:200倍)で観察し、組織の同定と、画像解析により組織分率を算出した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0007371604000001
Figure 0007371604000002
本発明例はいずれも、引張強さ:560MPa以上の高強度を有し、定常状態における水素透過量が、250×1010(H2/s)以下で、耐水素透過特性に優れた鋼材(厚鋼板)となっている。
一方、本発明範囲を外れる比較例は、耐水素透過特性が低下している。
以上のように、本発明によれば、耐水素透過特性に優れた製品(水素用鋼構造物)を製造することができることを確認できた。
なお、付言すれば、上記した再加熱焼入れ焼戻し処理は、水素用蓄圧器用鋼材(継目無鋼管等)製造時の熱処理を模擬し、上記した加速冷却処理あるいは直接焼入れ焼戻し処理は、水素用ラインパイプのパイプ用鋼材(UOEタイプの鋼管等)製造時の条件を模擬している。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.04%以上0.50%以下、 Si:0.05%以上0.50%以下、
    Mn:0.5%以上2.0%以下、 P :0.05%以下、
    S :0.01%以下、 Al:0.01%以上0.10%以下、
    N :0.0005%以上0.0080%以下、 O :0.01%以下
    を含み、さらに、Ni:0.5%以上5.0%以下、Cu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材を、Ac3変態点以上に加熱し、熱間圧延を行って所定形状の鋼材としたのち、該鋼材に、下記に示すA処理、B処理、C処理のうちの1つの処理を行い、引張強さ:560MPa以上で、高圧水素ガス環境下における耐水素透過特性に優れる鋼材とすることを特徴とする高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。

    A処理:前記熱間圧延に引き続き、(Ar3変態点-50℃)以上の温度から冷却速度:1~2
    00℃/sで、600℃以下の冷却停止温度まで冷却する加速冷却処理、
    B処理:前記熱間圧延に引き続き、(Ar3変態点-50℃)以上の温度から冷却速度1~200℃/sで、250℃以下の冷却停止温度まで冷却し、さらにAc1変態点以下の温度で焼戻しする直接焼入れ焼戻し処理、
    C処理:前記熱間圧延終了後、250℃以下の温度まで冷却したのち、再び、Ac3変態点以上に加熱したのち、水焼入れまたは油焼入れし、さらにAc1変態点以下の温度で焼戻しする再加熱焼入れ焼戻し処理
  2. 質量%で、
    C :0.04%以上0.50%以下、 Si:0.05%以上0.50%以下、
    Mn:0.5%以上2.0%以下、 P :0.05%以下、
    S :0.01%以下、 Al:0.01%以上0.10%以下、
    N :0.0005%以上0.0080%以下、 O :0.01%以下
    を含み、さらに、Ni:0.5%以上5.0%以下、Cu:0.2%以上5.0%以下、Mo:0.2%以上5.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材を、Ac3変態点以上に加熱して、熱間加工により継目無鋼管としたのち、250℃以下の温度まで冷却し、その後Ac3変態点以上に加熱したのち、水焼入れまたは油焼入れし、さらにAc1変態点以下の温度で焼戻しする再加熱焼入れ焼戻し処理を行い、引張強さ:560MPa以上で、高圧水素ガス環境下における耐水素透過特性に優れる継目無鋼管とすることを特徴とする高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cr:0.1%以上2.5%以下、W:0.05%以上2.00%以下、Nb:0.005%以上0.100%以下、Ti:0.005%以上0.100%以下、V:0.005%以上0.200%以下、B:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項またはに記載の高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nd:0.005%以上1.000%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の高圧水素ガス環境用鋼材の製造方法。
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