JP7369619B2 - 変性植物油及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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本発明は、変性植物油及びその製造方法に関し、また該変性植物油を用いたゴム組成物及びタイヤに関する。
ゴム組成物に配合される軟化剤として石油由来のオイルに代えて植物油を用いることが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、一般に植物油は炭素-炭素二重結合を含むため、ゴム成分の架橋を阻害し、ゴム組成物の耐摩耗性等が損なわれることがある。
ところで、特許文献2には、ゴム成分に低発熱性を付与するための添加剤として、テトラジン化合物又はその塩を含むものが開示されている。該テトラジン化合物はジエン系ゴムの二重結合との間でディールス・アルダー反応を起こすことにより、変性ポリマーを生成し、シリカをゴム成分中に分散させることができると記載されている。しかしながら、テトラジン化合物により植物油を変性すること、及びそれにより得られた変性植物油をゴム組成物に配合することにより耐摩耗性を改良することは知られていなかった。
特開2014-65799号公報 WО2017/057758号
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、ゴム組成物の耐摩耗性を改良することができる変性植物油、及びそれを用いたゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る変性植物油は、炭素-炭素二重結合を含む植物油にテトラジン化合物を反応させてなるものである。
本発明の実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、該変性植物油1~50質量部と、シリカ10~120質量部と、を含むものである。
本発明の実施形態に係るタイヤは、該ゴム組成物を用いて作製されたものである。
本発明の実施形態に係る変性植物油の製造方法は、炭素-炭素二重結合を含む植物油とテトラジン化合物とを加熱混合することを含むものである。
本発明の実施形態によれば、ゴム組成物の耐摩耗性を改良することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[変性植物油]
本実施形態に係る変性植物油は、炭素-炭素二重結合を含む植物油にテトラジン化合物を反応させたものである。
植物油は、植物から採取された油であり、グリセリンに3分子の脂肪酸がエステル結合してなるトリアシルグリセロールを主成分とする。この植物油を構成する脂肪酸(構成脂肪酸ともいう。)には一般に不飽和脂肪酸が含まれ、そのため炭素-炭素二重結合を持つ。本実施形態では、かかる炭素-炭素二重結合を含む植物油が用いられる。植物油は、常温(23℃)で液体であるものが好ましい。
植物油の脂肪酸組成は、不飽和脂肪酸が含まれていれば特に限定しないが、植物油の構成脂肪酸100質量%中の不飽和脂肪酸の含有量が35質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50~95質量%であり、70~95質量%でもよく、80~90質量%でもよい。
不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群から選択される少なくとも1種のC18不飽和脂肪酸を含むことが好ましく、植物油の構成脂肪酸100質量%中のC18不飽和脂肪酸の含有量は35質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50~95質量%であり、70~95質量%でもよく、80~90質量%でもよい。なお、脂肪酸組成はヘキサン溶媒で脂質を抽出し、シリカゲルを充填した固相抽出カラムで単離した後、それぞれの脂肪酸を酸または塩基触媒を含むメタノールに溶解させて脂肪酸メチルを作成して、キャピラリーカラムDB-23を用いてGC(ガスクロマトグラフィー)分析をすることで測定できる。
植物油の具体例としては、大豆油、あまに油、ひまわり油、サフラワー油、ぶどう油、とうもろこし油、綿実油、ごま油、なたね油、こめ油、落花生油、オリーブ油、パーム油等が挙げられ、これらをいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
テトラジン化合物は、テトラジン環を含む化合物の総称であり、テトラジン及びその誘導体である。テトラジン化合物としては、植物油と反応することで変性させることができるものであれば特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を用いることが好ましい。
式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキルチオ基、アラルキル基、アリール基、アリールチオ基、複素環基又はアミノ基を表し、これら各基はそれぞれ1個以上の置換基を有してもよい。
アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。アルキル基の炭素数は1~8であることが好ましい。より好ましいアルキル基は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状アルキル基である。
アルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。アルキルチオ基の炭素数は1~8であることが好ましい。より好ましいアルキルチオ基は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状アルキルチオ基である。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、1-ナフチルメチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ビフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、テトラヒドロキノリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基等の含窒素複素環基; フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基等の含酸素複素環基; チエニル基、ベンゾチエニル基等の含硫黄複素環基; オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等の窒素原子と酸素原子を含む複素環基; チアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子と硫黄原子を含む複素環基が挙げられる。これらの中でも、芳香族性を持つ複素環基である複素芳香環基が好ましく、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、フリル基、又はチエニル基である。
アミノ基としては、1級アミノ基(-NH)だけでなく、炭化水素基(好ましくはアルキル基)を1つ又は2つ有する2級又は3級アミノ基でもよい。なお、2級又は3級アミノ基の場合、該炭化水素基の炭素数は合計で15以下であることが好ましい。
これらのアルキル基、アルキルチオ基、アラルキル基、アリール基、アリールチオ基、複素環基及びアミノ基の各基は、それぞれ1個以上の置換基を有してもよい。該置換基としては、特に限定はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。該置換基は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個有していてもよい。
式(1)で表されるテトラジン化合物の塩としては、特に限定されず、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩; ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩; ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
一実施形態において、テトラジン化合物としては、植物油の炭素-炭素二重結合との間でのディールス・アルダー反応の反応性を大きくできることから、式(1)中のR及びRが、それぞれ独立にアリール基又は複素環基であることが好ましく、より好ましくは複素環基であり、更に好ましくは含窒素複素芳香環基であり、特に好ましくはピリジル基である。
実施形態に係る変性植物油は、植物油にテトラジン化合物を反応させることにより得られる。詳細には、植物油とテトラジン化合物とを加熱混合することにより変性植物油を製造することができる。
植物油に対するテトラジン化合物の添加量は、特に限定しないが、植物油100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.25質量部以上であり、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、上限は5質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは2質量部以下である。
植物油とテトラジン化合物を加熱混合には、例えば、植物油にテトラジン化合物を添加し、加熱条件下で撹拌すればよく、その際の温度は、特に限定されず、例えば80~190℃であることが好ましく、より好ましくは90~160℃であり、100~150℃でもよい。加熱混合する時間としても、特に限定されず、例えば10秒間から60分間でもよく、30秒間から20分間でもよく、1分間から10分間でもよい。
植物油とテトランジン化合物とを加熱混合することにより、植物油の炭素-炭素二重結合とテトラジン化合物との間でディールス・アルダー反応が進行する。詳細には、式(1)で表されるテトラジン化合物の場合、下記反応式に示すように、式(2)で表される植物油の二重結合部位と、式(1)のテトラジン化合物とがディールス・アルダー反応を起こし、次いで脱窒素化が進行した後、空気中の酸素で酸化されることで、式(3)で表される六員環構造を有する変性植物油が生成されると考えられる。
式(3)中のR及びRは式(1)と同じである。
[ゴム組成物]
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分と、上記変性植物油と、シリカとを含むものである。かかる変性植物油を配合することにより、ゴム組成物の耐摩耗性を改良することができる。その理由は、これにより限定されることを意図するものではないが、次のように推測される。すなわち、植物油とテトラジン化合物とを反応させることにより、植物油中の炭素-炭素二重結合を減らし、シリカと親和性の高い変性植物油が得られるので、ゴム組成物中でのシリカの分散性を向上することができ、耐摩耗性が改善すると考えられる。また、シリカの分散性を改善することにより、ウェットグリップ性(湿潤路面におけるグリップ性能)や低発熱性などのタイヤ性能の改善にもつながる。
ゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム等、ゴム組成物において通常使用される各種が挙げられ、これらはいずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ジエン系ゴムは、NR、BR及びSBRからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくはNR及び/又はSBRを含むことである。なお、上記で列挙した各ジエン系ゴムの具体例には、その分子末端又は分子鎖中にアミノ基やヒドロキシ基などの官能基が導入されることで、当該官能基により変性された変性ジエン系ゴムも含まれる。
上記変性植物油の配合量は、ゴム成分100質量部に対して1~50質量部であることが好ましく、より好ましくは5~40質量部であり、更に好ましくは10~30質量部である。
充填剤としてのシリカとしては、特に限定されず、例えば、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカを用いてもよい。
シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して10~120質量部であることが好ましく、より好ましくは20~110質量部であり、更に好ましくは30~100質量部である。
充填剤としてはシリカ単独でもよいが、シリカとともにカーボンブラックを配合してもよい。カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができる。例えば、SAF級(N100番台)、ISAF級(N200番台)、HAF級(N300番台)、FEF級(N500番台)(ともにASTMグレード)等が挙げられる。これら各グレードのカーボンブラックは、いずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、特に限定されず、ゴム成分100質量部に対して、20質量部以下でもよく、1~15質量部でもよく、2~10質量部でもよい。
本実施形態において、充填剤はシリカを主成分としており、充填剤の50質量%超がシリカであることが好ましく、より好ましくは充填剤の80質量%超がシリカである。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記成分の他に、シランカップリング剤、酸化亜鉛、鉱物油、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
シランカップリング剤としては、スルフィドシランやメルカプトシランなどが挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、特に限定されないが、シリカ配合量に対して2~20質量%であることが好ましい。
加硫剤としては、硫黄が好ましく用いられる。加硫剤の配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。また、加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸塩系などの各種加硫促進剤が挙げられ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1~7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。例えば、第一混合段階(ノンプロ練り工程)で、ゴム成分に対し、シリカ及び変性植物油とともに、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を添加混合する。次いで、得られた混合物に、最終混合段階(プロ練り工程)で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合して未加硫のゴム組成物を調製することができる。
このようにして得られたゴム組成物は、タイヤ用、防振ゴム用、コンベアベルト用などの各種ゴム部材に用いることができる。
[タイヤ]
本実施形態に係るタイヤは、上記ゴム組成物を用いて作製されたものである。該ゴム組成物をタイヤに用いる場合、その適用部位としては、トレッド部、サイドウォール部などのタイヤの各部位が挙げられ、好ましくはタイヤの接地面を構成するトレッドゴムに用いることである。すなわち、一実施形態に係るタイヤは、上記ゴム組成物からなるトレッドゴムを備えたものである。タイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラックやバスの重荷重用タイヤなど各種用途、各種サイズの空気入りタイヤが挙げられる。
上記ゴム組成物からなるトレッドゴムを備える空気入りタイヤは、常法に従い、該ゴム組成物を押出加工等によって所定の形状のトレッドゴムに成形し、他の部品と組み合わせてグリーンタイヤを作製した後、例えば140~180℃でグリーンタイヤを加硫成形することにより、製造することができる。
一実施形態において、空気入りタイヤのトレッドゴムには、キャップゴムとベースゴムとの2層構造からなるものと、両者が一体の単層構造のものがあるが、接地面を構成するゴムに好ましく用いられる。すなわち、単層構造のものであれば、当該トレッドゴムが上記ゴム組成物からなり、2層構造のものであれば、キャップゴムが上記ゴム組成物からなることが好ましい。
以下、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1:変性大豆油の調製]
大豆油100gをビーカーに入れてオイルバスにて120℃まで加熱し、温度が一定になった後、テトラジン化合物(東京化成工業(株)製、3,6-ジ(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン)を1.0g加えて5分間撹拌した。撹拌後、室温で放冷することにより変性大豆油を得た。
テトラジン化合物は赤色を有する化合物であり、大豆油と加熱混合することでテトラジン化合物由来の赤色が消失した。このことから大豆油の二重結合とのディールス・アルダー反応が進行したことが分かる。
[製造例2:変性あまに油の調製]
大豆油をあまに油に代え、その他は製造例1と同様にして変性あまに油を得た。この場合も、テトラジン化合物はあまに油と加熱混合することで赤色が消失しており、あまに油の二重結合とのディールス・アルダー反応が進行したことが分かる。
[製造例3:変性ひまわり油の調製]
大豆油をひまわり油に代え、その他は製造例1と同様にして変性ひまわり油を得た。この場合も、テトラジン化合物はひまわり油と加熱混合することで赤色が消失しており、ひまわり油の二重結合とのディールス・アルダー反応が進行したことが分かる。
製造例1~3で用いた植物油の詳細は以下の通りである。
・大豆油:カネダ株式会社製大豆油、脂肪酸組成:オレイン酸25質量%、リノール酸52質量%、リノレン酸7質量%(C18不飽和脂肪酸の含有量:84質量%、不飽和脂肪酸の含有量:84質量%)。
・あまに油:カネダ株式会社製あまに油、脂肪酸組成:オレイン酸18質量%、リノール酸20質量%、リノレン酸50質量%(C18不飽和脂肪酸の含有量:88質量%、不飽和脂肪酸の含有量:90質量%)。
・ひまわり油:カネダ株式会社製ひまわり油、脂肪酸組成:オレイン酸84質量%、リノール酸8質量%(C18不飽和脂肪酸の含有量:92質量%、不飽和脂肪酸の含有量:92質量%)。
[第1実施例:ゴム組成物及び評価]
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く配合剤を添加し混練した(排出温度=160℃)。次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練した(排出温度=90℃)。これによりゴム組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・SBR:JSR(株)製「JSR1502」
・NR:RSS#3
・テトラジン化合物:東京化成工業(株)製、3,6-ジ(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン
・石油系オイル:JXTGエネルギー(株)製「プロセスNC140」
・大豆油、あまに油、ひまわり油:カネダ株式会社製の大豆油、あまに油、ひまわり油(脂肪酸組成は上記のとおり)
・変性大豆油、変性あまに油、変性ひまわり油:製造例1~3での調製品
・シリカ:エボニックインダストリーズ社製「Ultrasil VN3」
・シランカップリング剤:エボニックインダストリーズ社製「Si69」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・老化防止剤:住友化学株式会社製「アンチゲン6C」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS-20」
・ワックス:日本精鑞(株)製「OZOACE0355」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「5%油入微粉末硫黄」
・加硫促進剤1:住友化学株式会社製「ソクシノールCZ」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
得られた各ゴム組成物について、160℃×30分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、ウェットグリップ性、低発熱性、及び耐摩耗性を評価した。各測定・評価方法は以下の通りである。
・ウェットグリップ性:東洋精機(株)製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪み10%、動歪み1%、温度0℃の条件で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で示した。指数が大きいほど、tanδが大きく、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
・低発熱性:温度を60℃に変え、その他はウェットグリップ性と同様にしてtanδ測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、発熱しにくく、タイヤでの転がり抵抗が小さくて転がり抵抗性能(即ち、低燃費性)に優れることを示す。
・耐摩耗性:JIS K6264に準拠し、岩本製作所(株)製のランボーン摩耗試験機を用いて、荷重40N、スリップ率30%%の条件で摩耗減量を測定し、摩耗減量の逆数について比較例1の値を100とした指数で示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
Figure 0007369619000003
結果は表1に示す通りである。比較例1に対し、石油系オイルを植物油に置き換えた比較例2~4では、低発熱性が向上したものの、耐摩耗性とウェットグリップ性が悪化した。これに対し、植物油をテトラジン化合物で変性した変性植物油を配合した実施例1~5であると、比較例2~4に対して耐摩耗性とウェットグリップ性が改善され、低発熱性についても更なる向上効果がみられた。また、実施例1~5は、比較例1に対して、ウェットグリップ性を維持しながら、耐摩耗性を同等以上に改善することができ、更に低発熱性を顕著に改善することができた。なお、比較例5に示すように、テトラジン化合物と植物油をゴム組成物の混練時に添加した場合、比較例2に対してウェットグリップ性を改善することはできたが、耐摩耗性の改善効果が不十分であった。
[第2実施例:ゴム組成物及び評価]
シリカ及びシランカップリング剤の配合量を増量し、その他は第1実施例と同様にゴム組成物を調製し、試験片を作製した後、ウェットグリップ性、低発熱性、及び耐摩耗性を評価した。各測定・評価方法は上記のとおりであるが、ここではいずれも比較例6の値を100とした指数で表示した。
Figure 0007369619000004
表2に示すように、シリカを高充填配合した場合にも、第1実施例と同様、植物油をテトランジン化合物で変性した変性植物油を用いた実施例6,7であると、比較例7で見られたような耐摩耗性とウェットグリップ性の悪化を伴うことなく、比較例6に対してウェットグリップ性を維持しつつ耐摩耗性と低発熱性を改善することができた。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (5)

  1. 炭素-炭素二重結合を含む植物油に下記一般式(1)で表される化合物又はその塩であるテトラジン化合物を反応させてなる変性植物油であって、
    前記植物油は、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群から選択される少なくとも1種のC18不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含み、構成脂肪酸100質量%中の前記C18不飽和脂肪酸の含有量が35質量%以上である、変性植物油。
    式中、R 及びR は、それぞれ独立に複素環基又はアリール基を表し、これら各基はそれぞれ1個以上の置換基を有してもよい。
  2. 前記植物油100質量部に対する前記テトラジン化合物の量が0.1~10質量部である、請求項1に記載の変性植物油。
  3. ゴム成分100質量部に対して、請求項1又は2に記載の変性植物油1~50質量部と、シリカ10~120質量部と、を含む、ゴム組成物。
  4. 請求項3に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
  5. 炭素-炭素二重結合を含む植物油と下記一般式(1)で表される化合物又はその塩であるテトラジン化合物とを加熱混合することを含む、変性植物油の製造方法であって、
    前記植物油は、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群から選択される少なくとも1種のC18不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含み、構成脂肪酸100質量%中の前記C18不飽和脂肪酸の含有量が35質量%以上であり、前記植物油100質量部に対する前記テトラジン化合物の量が0.1~10質量部である、変性植物油の製造方法。
    式中、R 及びR は、それぞれ独立に複素環基又はアリール基を表し、これら各基はそれぞれ1個以上の置換基を有してもよい。
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