JP7369253B2 - シリンダ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に用いられるシリンダに関する。
内燃機関のシリンダは、その内周面が鋳鉄製のものが主流である。例えば、鋳鉄製のシリンダライナをアルミ合金製ブロックで鋳包んだ構造、鋳鉄製モノブロック構造、鋳鉄製乾式ライナまたは鋳鉄製湿式ライナを挿入した構造、が挙げられる。
一方で、シリンダの内周面に耐摩耗性に優れる溶射やめっき等のコーティングが施されたものや、アルミ合金の直摺動とするものも存在する。
これら、いずれの構造においても、CO排出量および化石燃料の使用量削減が要求されており、そのため、シリンダ内周面の粗さ、構造制御による摩擦低減技術が検討されている。
例えば特許文献1には、複雑な加工を行うことなく摩擦平均有効圧を低減させることが可能な内燃機関のシリンダとして、その内壁面を上方領域と下方領域と、行程中央部領域に画成し、行程中央部領域の表面粗さは、上方領域及び下方領域の表面粗さよりも大きいシリンダ、が開示されている。
特許文献2にはホーニング加工されたシリンダライナの内周表面において、軸方向にうねりを有することで、ピストンとシリンダライナ間の潤滑状態が良好に維持されることが開示されている。
また特許文献3には、シリンダライナのピストンリング摺動面に、該ピストンリングの摺動方向に沿って波状の凹凸面で形成され、第1ピストンリングの摺動行程の中央部近傍においてウェーブを最も深く形成することで、シリンダライナの潤滑性能を改善させることが開示されている。
更に特許文献4には、シリンダ内壁面のうち行程中央部領域に凹部が形成され、行程中央部領域の面積のうち全凹部の面積の合計を1~80%とし、行程中央部領域以外の領域には凹部が形成されていない内壁面とすることで、ピストンリングとシリンダ内壁面との往復動摩擦を低減させることが開示されている。
特開2019-78267号公報 実開平4-106560号公報 特公昭60-001504号公報 特許第5513945号公報
上記特許文献1には、シリンダライナの内壁面と、ピストンリングとの摺動速度が大きい領域である行程中央部領域では、摩擦損失における潤滑油のせん断抵抗の影響が大きくなることがわかる、と記載されており、内燃機関の摩擦損失は、仕事量の大きな行程中央部付近において顕著である。そこで、オイル消費(LOC)性能を悪化させることなく、行程中央部付近の摩擦を低減させることが、CO排出量の削減には有効であり、上記特許文献1では、行程中央部の表面粗さを大きくすることが提案されている。しかしながら、砥石を調整したホーニング加工後プラトー加工により形成したプラトー面の表面粗さでは、摩擦低減効果が十分に得られず、改善の余地があった。
また、上記特許文献2のように、シリンダの内周表面に単にうねりが存在し、軸方向にうねりピッチが10~20mmであり、うねり深さが1~5μmでは、ピストンリングの挙動に影響を及ぼす可能があり、摩擦低減の効果が十分に得られず、改善の余地があった。
また、上記特許文献3のように、シリンダライナの内面のウェーブ深さが0.005~0.1mmでは、オイル消費性能と摩擦特性が悪化する虞があった。
更に、上記特許文献4のように、複数個形成された凹部の面の最大高さRyが0.1μm以上30μm以下では、摩擦低減の効果が十分に得られず、改善の余地があった。
本発明では、既に提案されたものとは異なる方法で、より高い摩擦低減効果を得ることができるシリンダを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を進め、シリンダ内周面のうち行程中央領域において、ホーニング加工溝を有するとともに、ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい凹溝を一定数以上有するように表面加工することで、高い摩擦低減効果を得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、シリンダ内周面に溝加工を有するシリンダであって、
前記溝加工は、ホーニング加工溝、及び該ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい凹溝を含み、
前記ホーニング加工溝及び前記凹溝はシリンダ周方向に延在し、且つシリンダ軸方向と垂直な方向に対して傾斜角を有し、
前記シリンダ内周面は、クランク角50°以上140°以下におけるオイルリングの摺動領域において、シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択し得る、シリンダである。
前記ホーニング加工溝及び前記凹溝は、上記クランク角50°以上140°以下におけるオイルリングの摺動領域において、凹溝同士が交差する箇所を有する形態が好ましい。
また、前記選択された4mmの長さにおいて、更に以下の(i)~(vi)に示すパラメータのうち、少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(i)包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さWが0.28μm以上である、
(ii)(包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さW)×(うねりモチーフの平均長さAW)が80μm以上300μm以下である、
(iii)(包絡うねり曲線のコア部のレベル差Rke)/(粗さ曲線のコア部のレベル差Rk)が0.6以下である、
(iv)(包絡うねり曲線の突出谷部の平均深さRvke)/(粗さ曲線の突出谷部の平均深さRvk)が0.9以下である、
(v)(包絡うねり曲線の、突出山部の平均高さRpke+コア部のレベル差Rke+突出谷部の平均深さRvke)/(粗さ曲線の、突出山部の平均高さRpk+コア部のレベル差Rk+突出谷部の平均深さRvk)が0.9以下である、
(vi)(包絡うねり曲線の突出谷部の平均深さRvke)/(包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さW)が1.0以下である。
また、前記シリンダ内周面は、上死点(TDC)を含むクランク角0°以上50°未満におけるオイルリングの摺動領域において、シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択できない形態が好ましい。
本発明のように行程中央領域に、ホーニング加工溝に加えて凹溝を形成させることによ
り、摺動面の摩擦を従来水準よりも低減させて燃費を改善できるシリンダを提供できる。そして、好ましい形態として、上死点(TDC)付近には凹溝を少なくする、または凹溝を存在させないことで、オイル消費性能との両立を図ることができる。
本実施形態に係るシリンダライナの断面模式図である。 本実施形態に係るシリンダライナの内周面の一部を拡大した、拡大模式図である。 実施例で行ったフリクション試験の、試験機の断面模式図である。
本発明の一実施形態は、シリンダ内周面に溝加工を有するシリンダであって、前記溝加工は、ホーニング加工溝、及び該ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい凹溝を含み、前記ホーニング加工溝及び前記凹溝はシリンダ周方向に延在し、且つシリンダ軸方向と垂直な方向に対して傾斜角を有し、前記シリンダ内周面は、クランク角50°以上140°以下におけるオイルリングの摺動領域(以下、中央領域とも称する。)において、シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択し得る、シリンダである。本実施形態について、図1を用いて説明する。
図1は、シリンダライナの断面図である。シリンダは、鋳鉄製のシリンダライナをアルミ合金製ブロックで鋳包んだ構造であってよく、鋳鉄製モノブロック構造であってよく、鋳鉄製乾式ライナまたは鋳鉄製湿式ライナを挿入した構造であってもよいが、以下シリンダライナを用いる形態で説明を行う。
シリンダライナ10は、典型的には鋳鉄製のシリンダライナであるが、アルミニウム合金や銅合金により形成されてもよく、その材質は特段限定されない。
シリンダライナ10は、内燃機関のシリンダブロックに設置されて、その内部をピストンが図1に記載の上下方向(シリンダライナ軸方向)に摺動する。なお、図1において、燃焼室側が図中「上」であり、クランク室側が図中「下」である。
図1に記載の一点鎖線1はオイルリングの上死点(TDC)を、一点鎖線2はオイルリングの下死点(BDC)を示す。
図1のシリンダライナ10の内周面は溝加工を有し、溝加工はホーニング加工溝、及び該ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい凹溝を含む。
ホーニング加工溝は、既知の方法によりホーニングされた加工溝であってよく、ホーニング加工の回数や、ホーニング加工で用いる砥石の形状、種類、粒度等は特に限定されない。また、ホーニング加工によりシリンダライナの内周面にクロスハッチが形成されてもよい。クロスハッチを形成する場合、その角度(鋭角)は2°以上が好ましく、5°以上であってよく、10°以上であってよい。また通常60°以下であり、45°以下であってよく、30°以下であってよく、15°以下であってよい。
ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい凹溝は、例えばシリンダライナ表面を研削すること、塑性加工すること、エッチングすること、レーザー加工すること、などにより形成することができる。本実施形態では、オイルポケットとなり得る凹溝を形成することで、ピストン、ピストンリングとの摺動時の接触面積を低減させ、油膜のせん断抵抗を低減することができる。
凹溝は、ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい限り、特にその大きさは限定されないが、例えば溝幅は通常100~300μmであり、30μm以上であってよく、50μm以上であってよく、800μm以下であってよく、500μm以下であってよい。溝深さは通常1.0~2.0μmであり、0.5μm以上であってよく、0.7μm以
上であってよく、3.0μm以下であってよく、2.5μm以下であってよい。一例では溝幅が200μm程度であり、深さが1.0μm程度である。
本実施形態では仕事量の大きい行程中央付近において摩擦を低減させるため、シリンダライナ10の内周面のうち、クランク角50°以上140°以下におけるオイルリング摺動領域である中央領域3において、上記凹溝を有する。このことについて、図2を用いて説明する。
図2は、図1の中央領域3における破線領域4を拡大した拡大模式図である。
破線領域4は、図中細線で表されるホーニング加工溝と、図中太線で表される凹溝を有する。ホーニング加工溝及び凹溝は、シリンダの周方向に延在しており、且つシリンダ軸方向と垂直な方向に対して傾斜角を有する。ホーニング加工溝の傾斜角の角度は特に限定されない。
一方で、凹溝の傾斜角も特に限定されないが、2°以上であってよく、5°以上であってよく、10°以上であってよい。また通常60°以下であり、45°以下であってよく、30°以下であってよく、15°以下であってよい。なお、凹溝は、上記クランク角50°以上140°以下におけるオイルリングの摺動領域において、凹溝同士が交差することで、摺動環境がより均一となるため好ましい。
本実施形態では、シリンダ軸方向に、凹溝が4カ所以上存在するように4mmの長さ41を選択することができる。図2において長さ41には凹溝が5カ所存在する。このように、単にシリンダ内周面に凹溝を有するのではなく、中央領域においてシリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択し得るよう、凹溝を形成することで、ピストン、ピストンリングとの摺動時の接触面積を低減させ、油膜のせん断抵抗を低減することができる。
凹溝が5カ所以上存在するように4mmの長さ41を選択することができる形態でもよく、凹溝が6カ所以上存在する形態でもよい。一方で凹溝が多すぎるとオイル消費性能が悪化する場合があることから、長さ4mmに存在する凹溝の上限は20カ所以下であることが好ましい。
なお、凹溝は、シリンダ内周面の真円度を測定した際に、外周側に向かって陥没して検出されることから、シリンダ内周面の真円度を測定することでも、凹溝の存在を把握することができる。
前記選択された4mmの長さにおいて、更に以下の(i)~(vi)に示すパラメータのうち、少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(i)包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さWが0.28μm以上である、
(ii)(包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さW)×(うねりモチーフの平均長さAW)が80μm以上300μm以下である、
(iii)(包絡うねり曲線のコア部のレベル差Rke)/(粗さ曲線のコア部のレベル差Rk)が0.6以下である、
(iv)(包絡うねり曲線の突出谷部の平均深さRvke)/(粗さ曲線の突出谷部の平均深さRvk)が0.9以下である、
(v)(包絡うねり曲線の、突出山部の平均高さRpke+コア部のレベル差Rke+突出谷部の平均深さRvke)/(粗さ曲線の、突出山部の平均高さRpk+コア部のレベル差Rk+突出谷部の平均深さRvk)が0.9以下である、
(vi)(包絡うねり曲線の突出谷部の平均深さRvke)/(包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さW)が1.0以下である。
(i)の平均深さWを充足することで、保油性を高めることができ、好ましい。平均深さ
Wは0.4以上であることが好ましく、上限は特に限定されないが通常1.0以下である。
(ii)のW×AWの値を充足することで、更なる摩擦低減効果を得ることができ、好ましい。W×AWの値は90以上であることが好ましく、270以下であることが好ましい。
(iii)のRke/Rkの値を充足することで、更なる摩擦低減効果を得ることができ、好ましい。Rke/Rkの値は0.5以下であることが好ましく、下限は特に限定されないが、通常0.1以上である。
(iv)のRvke/Rvkの値を充足することで、油膜のせん断抵抗を低減することができ、好ましい。Rvke/Rvkの値は0.7以下であることが好ましく、下限は特に限定されないが、通常0.05以上である。
(v)の(Rpke+Rke+Rvke)/(Rpk+Rk+Rvk)の値を充足することで、シリンダ表面の凹溝の形状が好適なものとなり、好ましい。(Rpke+Rke+Rvke)/(Rpk+Rk+Rvk)の値は0.75以下であることが好ましく、下限は特に限定されないが、通常0.1以上である。
(vi)のRvke/Wの値を充足する、すなわち従来のホーニング加工を施したシリンダ内周面よりもWに対してRvkeの値を小さくすることで、摩擦低減効果を得ることができ、好ましい。Rvke/Wは0.75以下であることが好ましく、下限は特に限定されないが、通常0.1以上である。
なお、Rke、Rvke、Rpke、W、AWを含むモチーフパラメータの測定は、ISO12085に準じて行われ、シリンダ周方向4カ所で計測した値の平均を採用する。なお、ISOに規定される評価長さは3.2mmであり、測定対象である4mmのうち、任意の3.2mmにおいて測定すればよい。
Rk、Rvk、Rpkを含む粗さパラメータの測定条件は、ISO4287に準じて行われ、シリンダ周方向4カ所で計測した値の平均を採用する。なお、ISOに規定される評価長さは4.0mmである。
本実施形態に係るシリンダライナの内周面は、上記中央領域3において、ホーニング加工溝及び凹溝が特定の要件を充足して存在する限り、それ以外の部分は特に限定されない。内周面全面がホーニング加工されていてもよく、溶射による溶射被膜等の被膜処理を有していてもよい。
そのうち、前記シリンダ内周面は、上死点(TDC)を含むクランク角0°以上50°未満におけるオイルリングの摺動領域(以下、上死点領域とも称する。図1においては符号5の領域である。)において、シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択できない形態が、オイル消費を低減する観点から好ましく、前記凹溝が存在しない形態であることがより好ましい。
加えて、下死点(BDC)を含むクランク角140°を超え180°以下におけるオイルリングの摺動領域(以下、下死点領域とも称する。図1においては符号6の領域である。)において、シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択できない形態が好ましい。また、下死点領域に凹溝が存在する場合、凹溝が油圧の発生を妨げることから、摩擦特性が悪化する場合があるため、凹溝が存在しない形態であることがより好ましい。
なお、中央領域3のうち、特にクランク角が80°~110°におけるオイルリングの摺動領域において、シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択し得ることが、更なる摩擦低減効果を得る観点から好ましい。
本実施形態のシリンダ内周面を形成するにあっては、上記要件を充足するように、ホーニング加工溝、及び凹溝を形成する手段を適宜適用すればよい。
なお、シリンダライナを配置しないシリンダブロックであっても、シリンダライナの内周面と同様に、シリンダブロックの内周面を加工することができる。
シリンダのボア径は特段限定されず、様々なボア径のシリンダに対し上記凹溝形状を適用できるが、製造面からボア径は50mm以上であることが好ましく、60mm以上であることがより好ましく、また250mm以下であることが好ましく、200mm以下であることがより好ましい。
以下、本発明について、実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
鋳鉄材を用いて、内径(ボア径)φ83mm、肉厚1.5mmのシリンダライナを準備した。このシリンダライナの内周面は、ホーニング加工(クロスハッチ:鋭角20°)によりRvkが0.05~0.07(実施例1~3)、0.39~0.44(実施例4~5)、0.52~0.54(実施例6~9)、となるように仕上げた。
(実施例1~9)
次に、シリンダライナにピストンリングを装着したピストンの、オイルリングの上死点の位置をクランク角0°、オイルリングの下死点の位置をクランク角180°として、シリンダライナ内周面におけるクランク角80°以上110°以下の摺動領域に対し、実施例1~3は粗さを小さく、鏡面状態に近くなるまでホーニング加工し、実施例4~9は通常の粗さとなるようホーニング加工を施し、その後、ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい凹溝を形成した。なお、実施例1~3は、凹溝の深さを適宜変更し、また、実施例4~9は、凹溝の深さを均一とした。
なお、凹溝の形成は、シリンダライナ軸方向と垂直な方向に対し、平均2.5°の傾斜角を有していた。また、上記加工により、実施例1~9に係るシリンダライナのクランク角80°以上110°以下の領域において、シリンダ軸方向に、凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択することができた。一方で、実施例1~9に係るシリンダライナのクランク角0°以上50°未満の領域、及び140°を超え180°以下の領域において、シリンダ軸方向に、凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択することができなかった。
選択された、凹溝が4カ所以上存在する長さについて、シリンダライナ内周面の輪郭曲線を取得し、Rk、Rpk、Rvk,Rke、Rpke、Rvke、W、AWの値をそれぞれ算出した。結果を表1に示す。
(比較例1~5)
表面にホーニング加工を施すことで、表2の粗さとなるように、シリンダライナの内周表面を加工した。なお、比較例1~5に係るシリンダライナの表面のいずれの領域においても、シリンダ軸方向に、凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択することができなかった。
上記得られた実施例1~9及び比較例1~5に係るシリンダライナに対し、以下のフリクション試験を実施した。
<フリクション試験>
フリクション試験は単気筒浮動ライナ試験機(1サイクル中のピストン、ピストンリングのフリクション変化をとらえる試験機)にて大気開放モータリング評価にて実施した。フリクション試験においては、ボア径83mmでストローク86mmのクランク式単気筒モータリング試験機20(浮動ライナ方式)を使用した。図3に、フリクション試験に用
いたクランク式単気筒モータリング試験機の断面模式図を示す。シリンダライナ21はストッパ23により径方向の挙動が制限され、軸方向のみ可動できる構造である。シリンダライナ21に取り付けられたセンサ24によりシリンダライナ21に作用する軸方向の摺動摩擦力を検出する。この摺動摩擦力の1サイクル当たりの摩擦トルクを排気量で除した摩擦平均有効圧力(FMEP:Friction Mean Effective Pressure)により評価した。
試験条件は冷却水温が80℃、エンジンオイルの温度が80℃とし、エンジンオイルが10W-30(粘度分類:SAE J300)を用い、評価回転数は600rpmから2000rpmの間を測定した。
これらの結果より、当該領域に適切に凹溝を形成することで、摩擦を低減させることができた。
Figure 0007369253000001
Figure 0007369253000002
10 シリンダライナ
1 オイルリングの上死点(TDC)
2 オイルリングの下死点(BDC)
3 中央領域
4 破線領域
41 長さ
5 上死点領域
6 下死点領域
20 クランク式単気筒モータリング試験機
21 シリンダライナ
23 ストッパ
24 センサ

Claims (7)

  1. シリンダ内周面に溝加工する工程、を有するシリンダの製造方法であって、
    前記溝加工は、ホーニング加工溝と、塑性加工によって形成された加工溝であって、該ホーニング加工溝よりも溝幅及び溝深さが大きい凹溝と、を含み、
    前記ホーニング加工溝及び前記凹溝はシリンダ周方向に延在し、且つシリンダ軸方向と垂直な方向に対して傾斜角を有し、
    前記シリンダ内周面は、クランク角50°以上140°以下におけるオイルリングの摺動領域において、
    凹溝同士が交差する箇所を有し、
    シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択し得て、
    前記選択された4mmの長さにおいて、(包絡うねり曲線の突出谷部の平均深さRvke)/(包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さW)が1.0以下である、
    シリンダの製造方法。
  2. 前記選択された4mmの長さにおいて、包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さWが0.28μm以上である、請求項1に記載のシリンダの製造方法。
  3. 前記選択された4mmの長さにおいて、(包絡うねり曲線のうねりモチーフの平均深さW)×(うねりモチーフの平均長さAW)が80μm以上300μm以下である、請求項1又は2に記載のシリンダの製造方法。
  4. 前記選択された4mmの長さにおいて、(包絡うねり曲線のコア部のレベル差Rke)/(粗さ曲線のコア部のレベル差Rk)が0.6以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシリンダの製造方法。
  5. 前記選択された4mmの長さにおいて、(包絡うねり曲線の突出谷部の平均深さRvke
    )/(粗さ曲線の突出谷部の平均深さRvk)が0.9以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシリンダの製造方法。
  6. 前記選択された4mmの長さにおいて、(包絡うねり曲線の、突出山部の平均高さRpke+コア部のレベル差Rke+突出谷部の平均深さRvke)/(粗さ曲線の、突出山部の平均高さRpk+コア部のレベル差Rk+突出谷部の平均深さRvk)が0.9以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシリンダの製造方法。
  7. 前記シリンダ内周面は、上死点(TDC)を含むクランク角0°以上50°未満におけるオイルリングの摺動領域において、シリンダ軸方向に、前記凹溝が4カ所以上存在する4mmの長さを選択できない、請求項1~6のいずれか1項に記載のシリンダの製造方法。
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