JP7368382B2 - 錠剤用の崩壊剤としてのポリ(メタ)アクリル酸ポップコーン重合物 - Google Patents

錠剤用の崩壊剤としてのポリ(メタ)アクリル酸ポップコーン重合物 Download PDF

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Description

本発明は、医薬錠剤用の崩壊剤としての、水不溶性、非膨潤性のポリ(メタ)アクリル酸ポップコーンポリマーの使用に関する。
アクリル酸ポップコーンポリマーはそれ自体公知である(J.W. Breitenbachら、「Die Makromolekulare Chemie」[Macromolecular Chemistry]、175巻、2597~2604頁(1974年)又はJ.W. Breitenbach、「Makromolekulare Chemie」[Macromolecular Chemistry]、177巻、2787~2792頁(1976年)を参照されたい)が、それらの使用については記載されていない。
EP-A 177 812には、シード材料としてのN-ビニル-2-ピロリドンから得られたポップコーンポリマーを使用した固定層中での重合による、カルボン酸及びその誘導体、例えばアクリル酸誘導体をベースとしたポップコーンポリマーの製造が記載されている。そのようなポリマーは、吸着剤としての、又は植物保護剤のための配合助剤としての使用が意図され、タンニンの吸着が具体的に記載されている。
錠剤の崩壊及び溶解速度を改善するための崩壊剤の使用は、長い間公知であった。
この目的での有用性が証明されている崩壊剤は、例えばUS 6,677,417に記載されているような架橋ポリビニルピロリドンであり、これはPVP又はクロスポビドンとしても知られる。架橋ポリビニルピロリドンは、ポップコーンポリマーである。クロスポビドンは、優れた崩壊特性を有するが、高価である。
より安価な市販の崩壊剤は、例えば、架橋カルボキシメチルデンプンのナトリウム塩であるクロスカルメロース-Na、又はデンプングリコール酸ナトリウムであるが、これらの崩壊効果は、クロスポビドンのものほど顕著ではない。
崩壊剤としての陽イオン交換樹脂型の架橋ポリアクリル酸の使用も、公知である。そのような樹脂は、薬局方から、ポラクリリンカリウムNFとして公知である。この型の市販の製品の例は、Dow ChemicalsからのAmberlite TM IRP 88であり、これはジビニルベンゼンと架橋したメタクリル酸をベースとする。崩壊効果は、ここでは水和に関連する膨潤挙動に起因する。しかし、そのようなポラクリリン樹脂の水性懸濁液は比較的高いpH値を有し、このことは、加水分解感受性の活性化合物についてのこれらの適合性が低いことを意味する。
崩壊剤としてのデンプン誘導体又はポラクリリン樹脂の使用については、K.A.Khan及びC.T Rhodes、J. of Pharmaceutical Sciences、64巻、3号、447~451頁(1975年)も参照されたい。
EP-A 1035 196、EP-A 1314776及びEP-A 972825には、架橋ポリアクリレート及びペレット製剤のための崩壊剤としてのその使用が開示されており、架橋ポリアクリレートは30秒以下のゲル化時間を有することが意図されている。しかし、そのような速さでゲル化する架橋ポリアクリレートは、錠剤の崩壊時間に関して不利である。
本発明の目的は、クロスポビドンに匹敵する有効性の崩壊効果を有するが、より安価に入手可能であり、同等の安価な製品、例えばデンプン誘導体よりも優れた崩壊効果を有し、加水分解感受性の原薬にも使用することができる、錠剤崩壊剤を見出すことであった。
したがって、医薬剤形、特に錠剤用の崩壊剤としての、水不溶性、低膨潤性ポリアクリレートの使用が見出された。本発明の解釈上、「ポリアクリレート」は、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらの混合物をベースとしたポリマーを指す。
ポリアクリレートが最大20重量%のコモノマー構造成分を含有することも可能である。コモノマーは、メタクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びエチルアクリレート、ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートからなる群から選択されてもよい。
純粋なアクリル酸又はメタクリル酸から得られたポリマーが、特に好ましい。
本発明の文脈における「水不溶性」は、20℃、標準気圧で、ポリマーの1%(m/m)未満が水中に溶解することを意味する。本発明の文脈における「低膨潤性」は、ポリマー粒子径の水中でのパーセント変化が、ヘキサデカン中の粒子径の変化と比較して50%未満であることを意味する。ポリマー粒子径のパーセント変化は、以下により詳細に記載するように、ISO 13320:2009により決定することができる。
本発明により使用されるポリアクリレートは、ポップコーンポリマーである。
本発明により使用されるポリマーは、更に、ゆっくりとゲル化を受ける。「ゆっくりと」は、ゲル化時間が少なくとも30秒を超えることを意味する。ゲル化時間は、先行技術から公知のように実施することができる。このことは、撹拌により生じる試験液中の渦がもはや目に見えなくなるまでの時間を決定することを伴う。使用された試験液は、0.9重量%の塩化ナトリウム溶液である。
ゲル化時間の決定は、EP-A 1035196、[0028]に記載されているように実施することができる。塩化ナトリウム水溶液は、分析グレードの塩化ナトリウムを脱イオン水中に、最終溶液中0.9%の塩濃度まで溶解することにより調製される。この0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液は、吸水性ポリマーの特徴付けに一般的に使用される参照試験液(「試験液」)である。温度制御された部屋(20℃)において、吸水性架橋ポリアクリレートポリマー(3g)を55mmの内径を有するビーカー(100ml)に移す。ビーカーを電磁撹拌装置の上に置き、磁気撹拌棒(45mm×8mm)を、撹拌のために加える。撹拌速度は600±20rpmに調節され、ビーカーは試験液(50g)で素早く充填される。試験液の添加が完了するとすぐに、この時間を、ゼロ時間、すなわち、ゲル化時間の測定の起点となる時間として設定する。吸水性ポリマーによるゲルの形成の結果として、撹拌(撹拌渦)がもはや目に見えなくなる、すなわち撹拌渦がもはや存在しなくなる場合に、時間測定を停止する。急速なゲル化を受けるポリマーの事例では、ビーカーへのポリマー及び試験液の添加について順序を逆にすることが必要であり得る。
本発明により使用されるポリ(メタ)アクリレートは、重合を増殖させることにより得られる。この型の重合は、ポップコーン重合としても公知である。ポップコーン重合は、ポリマー鎖のインタールーピング(interlooping)の結果として、強力な物理的架橋をもたらす。結果として生じるポリマー粒子は、カリフラワー状の構造を有する。
重合は、好ましくは酸素の非存在下で実施される。「酸素の非存在下で」は、重合装置中の気相中の酸素濃度が、フリーラジカルが自発的に形成し得るが、自発的に形成されたフリーラジカルが酸素とすぐに反応しないほどに低いことを意味する。重合容器中の酸素の非存在は、不活性ガス、例えば窒素又はアルゴンを流すことにより達成することができる。
本発明の一実施形態では、モノマー混合物に対して0.05重量%から1重量%の範囲内である溶解した酸素の完全な除去のために、還元剤、例えば亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、アスコルビン酸又は還元剤の混合物を添加することも有利であり得る。
開始剤の非存在下での重合が好ましい。フリーラジカル重合は、よって、好ましくは開始重合として実施されない。フリーラジカル開始剤を使用する場合、フリーラジカル開始剤は少量のみである(例えばJ.W. Breitenbachら、「Die Makromolekulare Chemie」[Macromolecular chemistry], 175巻、2597~2604頁(1974年))。本発明によると、固形医薬剤形のための崩壊剤としては、よって、自発的なフリーラジカル重合により得られたポリアクリレートが好ましい。
重合は、水性媒体中で実施される。好ましい一実施形態では、重合は、水溶液からの沈殿重合として実施される。
水溶液中のモノマーの濃度は、総混合物に対して、5重量%から90重量%であってもよく、好ましくは10重量%から80重量%であってもよい。好ましい一実施形態では、モノマー濃度は、10重量%から40重量%未満の範囲内である。特に好ましい一実施形態では、モノマー濃度は、10重量%から30重量%の範囲内である。
ポリマーは、好ましくは、架橋剤を更に含む。好適な架橋剤は全て、分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。特に好適なものは、メチレンビスアクリルアミド、N,N'-アクリロイルエチレンジアミン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルジメチルマロネート、スクロースのポリアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、及び架橋剤の混合物である。少なくとも三官能性である架橋剤が好ましい。スクロースのポリアリルエーテル、及び特にペンタエリトリトールトリアリルエーテルが、架橋剤として特に好ましい。
架橋剤の量は、モノマーの量に対して、0.1重量%から15重量%、好ましくは0.5重量%から10重量%、特に好ましくは1重量%から5重量%であってもよい。
金属イオンは、ポップコーン形成を妨げることがある。したがって、錯化剤の存在下で重合を実施することが有利であり得る。好適な錯化剤の例は、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩及びピロリン酸ナトリウムである。
重合温度は、広範囲内で変動してもよく、例えば約20から200℃、好ましくは50から150℃であってもよい。
重合は、不活性ガス、例えば好ましくは窒素を流して実施される。反応圧力は、適切に調節される。
シード材料を使用する場合、平均粒子径は、RetschからのCamsizer P4機器を使用した動画像解析により決定すると、0.5から2mmの範囲内である。
アクリル酸のポップコーンポリマーを使用することが好ましい。ペンタエリトリトールトリアリルエーテルを架橋剤として有するアクリル酸のポップコーンポリマーを使用することが、特に好ましい。
ポップコーンポリマーはまた、重合後、部分的に中和されてもよい。中和は、適用分野に依存して、0から80%の程度であってもよい。部分的な中和は、アルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム溶液(例えば1重量%から25重量%)又はアンモニア水溶液(例えば1重量%から25重量%)を使用して実施してもよい。
重合の終了時、形成されたポップコーンポリマー粒子は、通例の様式で、例えば濾過又は遠心分離により、分離されてもよい。
ポップコーンポリマー粒子は、次いで、水で更に洗浄され、残留モノマー又は他の混入物を除去されてもよい。水性ポリアクリル酸ポップコーン懸濁液は、1%未満の残留アクリル酸含有量を有する(HPLCにより決定)。
錠剤崩壊剤として使用するために、ポップコーンポリマーは、好ましくは摩砕により、粉砕される。このことに適切なものは、粉末の製造のために使用される通例の磨砕機である。
磨砕により得られたポリマー粉末は、次いで、篩い分けにより分画されてもよい。錠剤崩壊剤として使用するために、100から200μmの篩分画を使用することが好ましい。
好ましい一実施形態では、100μm未満、100~200μm、及び200~500μmの粒子径を有する篩分画も、ポップコーンポリマー粒子の形成を開始するためのシード材料として使用してもよい。そのようなシード材料は、モノマーの量に対して0.1重量%から10重量%の量で使用してもよい。
打錠賦形剤は、第1の及び主要な充填剤、結合剤、潤滑剤及び崩壊剤からなる。活性化合物の量が非常に低い場合(例えばアルカロイド、ホルモン、ビタミン等の事例では)、充填剤が使用される。これらは、錠剤が必要なサイズ/必要な質量を達成することを確実にする。使用されるこれらの例は、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン及びコムギデンプン、ラクトース、微結晶セルロース、並びに、例えばロゼンジについて、グルコース、マンニトール及びソルビトールである。結合剤(例えば微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン等)は、造粒において粉末粒子の凝集に更に役立ち、錠剤の固体性に影響する。潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム等)の目的は、ダイ穴の内壁と錠剤の外側面との間の摩擦を低減することにより、錠剤のダイからの圧出を容易にすることである。これらは、下パンチが詰まるのを予防するように、ダイ穴と下パンチとの間の摩擦も低減する。崩壊剤(例えばクロスポビドン、クロスカルメロース-Na、デンプングリコール酸Na等)の添加は、安定な錠剤へのプレス(より強力な粒子付着)とすることに対して、及びその後の胃腸管中での錠剤の崩壊に対して、有益な効果を有する。
直接打錠は、事前に製造された顆粒をプレスするのではなく、粉末状の原薬と賦形剤との混合物を、前処理することなくプレスすることを意味するものとして理解される。直接打錠は作業量が低いことを特徴とするため、この方法をこの試験系列において採用した。
30秒超のゲル化時間を有するポップコーンポリマー型の架橋ポリ(メタ)アクリル酸生成物は、30秒未満のゲル化時間を有する架橋ポリアクリレート、例えば先行技術から公知のものよりも、崩壊剤として良好に機能することが、驚くべきことに見出された。
本発明により使用されるポップコーンポリマーはまた、デンプン又はセルロースの誘導体をベースとした従来の市販の崩壊剤よりも、崩壊剤として明白に良好に機能する。中和度が低いポリマーの場合、Amberlite IRP 88と比較してより低いpHは、更なる利点である。本発明により使用されるポリアクリレートポップコーンポリマーは、加水分解感受性の活性化合物の安定性に過度に影響することなく、良好な崩壊効果を示す。
しかし、加水分解感受性の活性化合物を用いない場合、本発明により使用されるポリマーの崩壊効果は、非常に特に有利なものである。そのような場合、中和度を著しく増大することができ、このことは驚くべきことに、有意により良好な崩壊効果をもたらす。
本発明は、したがって、特に以下の実施形態によって特徴付けられ、各実施形態は、それが関連する実施形態の全ての特性を包含する。
実施形態1:
固形医薬剤形用の崩壊剤としての、粉末状の、架橋、水不溶性、低膨潤性ポリアクリレートの使用。
実施形態2:
ポリアクリレートがポップコーンポリマーである、実施形態1に記載の使用。
実施形態3:「低膨潤性」が、ポリマー粒子径の水中でのパーセント変化が、ヘキサデカン中の粒子径の変化と比較して50%未満であることを意味する、実施形態1又は2に記載の使用。
実施形態4:ポリアクリレートが、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらの混合物の構造成分からなる、実施形態1から3のいずれかに記載の使用。
実施形態5:ポリアクリレートが、最大20重量%のコモノマー構造成分を含有する、実施形態1から4のいずれかに記載の使用。
実施形態6:コモノマー構造成分が、(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びエチルアクリレート、ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートからなる群から選択される、実施形態1から5のいずれかに記載の使用。
実施形態7:100から200μmの範囲内の平均粒子径を有する粉末状のポリアクリレートが使用される、実施形態1から6のいずれかに記載の使用。
実施形態8:ポリアクリレートが、架橋剤からの構造成分を更に含む、実施形態1から7のいずれかに記載の使用。
実施形態9:架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド、N,N'-アクリロイルエチレンジアミン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルジメチルマロネート、スクロースのポリアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1から8のいずれかに記載の使用。
実施形態10:架橋剤が、少なくとも三官能性である、実施形態1から9のいずれかに記載の使用。
実施形態11:架橋剤が、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルである、実施形態1から10のいずれかに記載の使用。
実施形態12:ポリアクリレートが、アクリル酸又はメタクリル酸の量に対して、0.1重量%から15重量%の架橋剤を含有する、実施形態1から11のいずれかに記載の使用。
実施形態13:ポリアクリレートが、アクリル酸又はメタクリル酸の量に対して、0.5重量%から10重量%の架橋剤を含有する、実施形態1から12のいずれかに記載の使用。
実施形態14:ポリアクリレートが、アクリル酸又はメタクリル酸の量に対して、1重量%から5重量%の架橋剤を含有する、実施形態1から13のいずれかに記載の使用。
実施形態15:ポリアクリレートが、30秒未満のゲル化時間を有する、実施形態1から14のいずれかに記載の使用。
実施形態16:ポリアクリレートが、30秒未満のゲル化時間を有し、ゲル化時間が、撹拌により生じる試験液中の渦がもはや目に見えなくなった後の時間として決定され、0.9重量%の塩化ナトリウム溶液が試験液として使用される、実施形態1から15のいずれかに記載の使用。
実施形態17: 実施形態1から16のいずれかに記載の使用における固形医薬剤形であって、崩壊剤として粉末状の水不溶性架橋ポリアクリレートを含む、医薬剤形。
実施形態18:崩壊剤として、剤形の総重量に対して、ポリアクリレートを、0.1重量%から50重量%、好ましくは0.2重量%から20重量%、より好ましくは0.5重量%から5重量%、特に0.5重量%から2重量%の量で含む、実施形態17に記載の固形医薬剤形。
実施形態19:実施形態1から18のいずれかに記載の使用におけるポリアクリレートの製造方法であって、水性媒体中のフリーラジカル重合による、方法。
実施形態20: 水性媒体中のフリーラジカル重合によって行われ、前記重合が、ラジカル開始剤を添加せずに行われる、実施形態19に記載の方法。
実施形態21:重合が、水性媒体中、酸素の非存在下で行われる、実施形態19又は20に記載の方法。
実施形態22:重合が、水性媒体中、還元剤の存在下で行われる、実施形態19から21のいずれかに記載の方法。
実施形態23:重合が、水性媒体中、還元剤の存在下で行われ、還元剤が、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、アスコルビン酸又はそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態19から22のいずれかに記載の方法。
実施形態24:重合が、水性媒体中、0.05重量%から1重量%の還元剤の存在下で行われる、実施形態19から23のいずれかに記載の方法。
実施形態25:重合が、シード材料の存在下で実施され、使用されるシード材料が、本発明により使用されるポリアクリレートの粒子分画からなる、実施形態19から24のいずれかに記載の方法。
実施形態26:重合が、錯化剤の存在下で実施される、実施形態19から25のいずれかに記載の方法。
実施形態27:重合が、錯化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩又はピロリン酸ナトリウムの存在下で実施される、実施形態19から26のいずれかに記載の方法。
実施形態28:ポリアクリレートが部分的に中和されている、実施形態19から27のいずれかに記載の方法。
実施形態29:ポリアクリレートが、アルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム溶液、又はアンモニア水溶液で部分的に中和されている、実施形態19から28のいずれかに記載の方法。
実施形態30:ポリアクリレートが、最大80%の中和度に調節される、実施形態28又は29のいずれかに記載の方法。
ペンタエリトリトールトリアリルエーテル(PETAE)は、Perstorp GmbHから市販されている。製造元のデータ:ジアリルエーテル含有量:4.0~16.0%、トリアリルエーテル含有量:75.0~84.0%、及びテトラアリルエーテル含有量:5.0~12.0%。
Demin.水=脱イオン水
ポップコーンポリマーAの製造:
撹拌装置、還流冷却器及び計量装置を備えた3リットルのガラス反応器に、1086gの脱イオン水、450gのアクリル酸、22.5gのペンタエリトリトールトリアリルエーテル(PETAE)及び2.25gのピロリン酸ナトリウムを仕込み、180rpmの撹拌速度で撹拌しながら50℃に加熱した。加熱期間から重合の終了までの間、窒素を溶液中に通過させ、窒素は、管を撹拌装置の基部まで下方に延長することにより、反応混合物中へと導入した。流速は、20L/時間であった。反応混合物の温度が50℃に達したら、1.04gの亜ジチオン酸ナトリウムを添加した。混合物を50℃に保持した。最初のポップコーンポリマー粒子は、亜ジチオン酸ナトリウムを添加した60分後に形成し、その後に加熱を進め、更に70分持続させた。この時間の間、混合物の撹拌を続けた。水性懸濁液を、次いで、更に1時間、50℃で撹拌し、濾別した。ポリマーを2000mlの3部の水で洗浄し、混入物、例えば可溶性ポリマー及び残留モノマーを除去した。生成物を減圧下で12時間、75℃で乾燥させた。ポップコーンポリマーの収率は93%であった。ポップコーンポリマーは、非常に不均質な粒子径分布を示し、5~10cmのサイズの粒子を含んだ。生成物をVorwerk Thermomixで4分、最大速度で磨砕し、次いで篩い分けした。100~200μmの篩分画を、崩壊剤として試験した。
ポップコーンポリマーBの製造:
ポップコーンポリマーBを、ポップコーンポリマーAの製造と類似した様式であるが、4.50gの100~200μmの篩分画のポリマーAをシードとして初回の仕込みに添加して、製造した。最初のポップコーンポリマー粒子は、ちょうど10分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は91%であった。シードの使用は、ほぼ1mmの平均粒子径を有する、明白により微細な生成物をもたらした。
ポップコーンポリマーCの製造:
ポップコーンポリマーCを、ポップコーンポリマーBの製造と類似した様式で製造したが、2.25gのピロリン酸ナトリウムを使用することなく製造した。最初のポップコーンポリマー粒子は、10分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は88%であった。
ポップコーンポリマーDの製造:
ポップコーンポリマーDを、ポップコーンポリマーAの製造と類似した様式であるが、2.25gの200~500μmの篩分画のポリマーAをシードとして初回の仕込みに添加して、製造した。最初のポップコーンポリマー粒子は、20分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は94%であった。
ポップコーンポリマーEの製造:
ポップコーンポリマーEを、ポップコーンポリマーの製造と類似した様式であるが、反応器に90gのアクリル酸のみを最初に仕込み、製造した。最初のポップコーン粒子が形成したら、残りの360gのアクリル酸を、2時間の期間にわたり一定の添加速度で計量し、このことは亜ジチオン酸ナトリウムの添加の10分後に発生した。ポップコーンポリマーの収率は95%であった。
ポップコーンポリマーFの製造:
ポップコーンポリマーFを、ポップコーンポリマーAの製造と類似した様式であるが、4.50gの100μm未満の篩分画のポリマーAをシードとして初回の仕込みに添加して、製造した。最初のポップコーンポリマー粒子は、30分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は92%であった。
ポップコーンポリマーGの製造:
ポップコーンポリマーGを、ポップコーンポリマーFの製造と類似した様式であるが、ポリマーを部分的に中和して、製造した。部分的な中和は、重合後に300gの25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を水性懸濁液に添加し、続いて室温で1時間撹拌することにより達成した。最初のポップコーンポリマー粒子は、30分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は91%であった。
ポップコーンポリマーHの製造:
ポップコーンポリマーHを、ポップコーンポリマーBの製造と類似した様式であるが、450gのアクリル酸の代わりに450gのメタクリル酸を使用して、製造した。最初のポップコーンポリマー粒子は、23時間後に認められた。反応混合物を、次いで、8時間、80℃で撹拌した。濾過、乾燥及び磨砕は、689によるものであった。ポップコーンポリマーの収率は62%であった。
ポップコーンポリマーIの製造:
ポップコーンポリマーIを、ポップコーンポリマーBの製造と類似した様式であるが、ポリマーを部分的に中和して、製造した。部分的な中和は、重合後に420gの25重量%の水酸化カリウム水溶液を水性懸濁液に添加し、続いて室温で1時間撹拌することにより達成した。最初のポップコーンポリマー粒子は、30分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は96%であった。
ポップコーンポリマーJの製造:
ポップコーンポリマーJを、ポップコーンポリマーFの製造と類似した様式であるが、以下の量の出発原料:1050gの脱イオン水、250gのアクリル酸、12.5gのPETAE、1.25のピロリン酸ナトリウム、シードとしての2.50gの100μm未満の篩分画のポリマーA、及び0.58の代替の亜ジチオン酸ナトリウムを使用して、製造した。最初のポップコーンポリマー粒子は、20分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は85%であった。
ポップコーンポリマーKの製造:
ポップコーンポリマーKを、ポップコーンポリマーJの製造と類似した様式であるが、2.50gの100~200μmの篩分画のポリマーAをシードとして使用して、製造した。最初のポップコーンポリマー粒子は、20分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は76%であった。
ポップコーンポリマーLの製造:
ポップコーンポリマーLを、ポップコーンポリマーBの製造と類似した様式であるが、以下の量の出発原料:1300gの脱イオン水、300gのアクリル酸、15.0gのPETAE、1.50gのピロリン酸ナトリウム、シードとしての3.00gの100~200μmの篩分画のポリマーA、及び0.69gの亜ジチオン酸ナトリウムを使用して、製造した。ポリマーを、更に部分的に中和させた。
部分的な中和は、重合後に200gの25重量%の水酸化カリウム水溶液を水性懸濁液に添加し、続いて室温で1時間撹拌することにより達成した。最初のポップコーンポリマー粒子は、35分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は85%であった。
ポップコーンポリマーMの製造:
ポップコーンポリマーMを、ポップコーンポリマーJの製造と類似した様式であるが、2.50gの100μm未満の篩分画のポリマーAをシードとして使用し、ポリマーを部分的に中和して、製造した。部分的な中和は、重合後に167gの25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を水性懸濁液に添加し、続いて室温で1時間撹拌することにより達成した。最初のポップコーンポリマー粒子は、30分後に認められた。ポップコーンポリマーの収率は90%であった。
比較対象:ゲルポリマーC1の製造:
撹拌装置及び還流冷却器を備えた2リットルのガラス反応器に、室温、窒素雰囲気下で、605gの脱イオン水、400gのアクリル酸、20gのPETAE、及び5gの5重量%の過酸化水素水溶液を仕込んだ。混合物を180rpmで撹拌し、30℃に加熱した。25重量%の水酸化ナトリウム水溶液(266.6g)を、20分にわたり計量添加した。このことに続けて、28.2gのL(+)-アスコルビン酸水溶液(28gの水中、0.2gのL(+)-アスコルビン酸)を添加した。非常に顕著な発熱及び粘度の増大が、数秒以内に観察された。撹拌速度を20rpmに低減した。粘度は増大し続け、均質な透明ゲルが形成された。ゲルを2時間撹拌し、次いで、反応器から除去し、粉砕し、凍結乾燥させた。ゲルポリマーの収率は99%であった。生成物をVorwerk Thermomixで4分間、最大速度で磨砕し、次いで篩い分けした。100~200μmの篩分画を、崩壊剤として試験した(表3)。
プラセボ錠剤の製造:
以下で報告された全ての崩壊時間は、以下のように得られたプラセボ錠剤に対して試験した:
錠剤の製剤化(直接打錠):
467.50mgのLudipress LCE(96.5%ラクトース一水和物、3.5%ポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)30))、30mgの崩壊剤(ポップコーンポリマー及びゲルポリマー、Amberlite IRP 88、Ac-Di-Sol、Primojel、Kollidon CL)、及び2.50mgのステアリン酸マグネシウム。全ての出発原料を0.8mmメッシュスクリーンにより篩い分けし、ターブラミキサー中で10分間混合した。錠剤を、Korsch XP1偏心プレスで18kNでプレスし、これらの製剤の一部の事例では6及び12kNで、プレスした。崩壊時間を、Erweka ZT 74(崩壊試験装置)を使用して、0.08N HCl(pH1.1)、リン酸緩衝液(pH6.8)、及び脱イオン水中で決定した。
Erweka ZT 74を用いた崩壊時間の測定は、以下の方法により実施した:1000mlビーカー(低形(low-sided form))を800mlの所望の試験媒体(例えば0.08N HCl、リン酸緩衝液、脱イオン水)で充填し、水浴中で放置し、36~38℃で熱平衡化する。測定バスケット(measurement basket)の番号付けされた管の各々の中へと、錠剤又はカプセル剤を入れ(製剤あたり6重で決定)、関連ディスク(associated disk)をこの上に置く。この測定バスケットを、ホルダー内で、充填されたビーカーの上に懸垂し、測定を開始する。バスケットを、錠剤の残厚が全ての管内で最大0.2mmのみとなるまで、上下に動かす。センサーは、盤中の作り付けの磁石の距離により信号を発生させる。試料が崩壊した時点で、可能な限り最も小さい距離に達し、この時間を記録する。全ての検体が崩壊した時点で、試験は終了に達し、崩壊時間を決定する。測定バスケットは、次いで、自動的にスイッチが切れる。
ゲル化時間の決定
ゲル化時間を、EP-A 1035196、[0028]に記載されているように決定する。正確な方法は、概説において上記されている。
ヘキサデカン及び水中の粒子径分布(PSD)の決定
測定を、ISO 13320:2009に従い、Mastersizer 3000(静的光散乱法/フラウンホーファー回折)を使用して実施した。
方法1:水性
水性試料についての測定ユニットは、Hydro MVユニットである。
Hydroユニット中の測定について、初期化ステップ及びバックグラウンド測定の後、試料(マイクロスパーテル)を、Hydroユニットに直接、2~15%の最適レーザー掩蔽に達するまで添加した。試料の添加後、試料を完全に分散させるためのおよそ30秒の待機時間が、測定の開始前に観察された。Hydro MVユニット中の分析及び評価のためのパラメータ:
撹拌速度:1500rpm
超音波:なし
評価モデル:フラウンホーファー
分析モデル:ユニバーサル
Figure 0007368382000001
方法2:ヘキサデカン中
ヘキサデカンについての測定ユニットは、SVセルユニットである:
SVセルユニット中の測定について、初期化及びバックグラウンド測定の後、試料(1スプーンスパチュラの試料とヘキサデカンを10mlのねじ口ボトル中で均質化する)を、2~15%の最適レーザー掩蔽に達するまで滴下添加した。セル測定ユニットを機器中へと導入した後、測定を開始した。SVセルユニット中の分析及び評価のためのパラメータ:
撹拌速度:1500rpm
超音波:なし
評価モデル:フラウンホーファー
分析モデル:ユニバーサル
Figure 0007368382000002
結果を以下の表に列挙する。
Figure 0007368382000003
ポリアクリル酸ポップコーンポリマーMは、安価な崩壊剤製品、例えば現在市販されているAc-Di-Sol及びPrimojelよりも良好に機能した。
Figure 0007368382000004
ポリマーは、同一の量のモノマー及び架橋剤を使用して製造されたが、これらは著しく異なるものであった。表2の結果は、ゲルポリマーが急速かつ実質的に、水中で膨潤することを示す。ポップコーンポリマーは僅かのみかつ非常にゆっくりと膨潤するが、より良好な崩壊効果を示す。
加えて、本発明のポリマーの崩壊効果を、一般的に使用される市販のAmberlite(商標)IRP 88の崩壊効果と比較した。結果を表3に示す。
Figure 0007368382000005
Figure 0007368382000006
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)固形医薬剤形用の崩壊剤としての、粉末状の、架橋、水不溶性、低膨潤性ポリアクリレートの使用。
(2)前記ポリアクリレートがポップコーンポリマーである、(1)に記載の使用。
(3)前記ポリアクリレートが、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらの混合物の構造成分からなる、(1)又は(2)に記載の使用。
(4)前記ポリアクリレートが、最大20重量%のコモノマー構造成分を含有する、(1)から(3)のいずれかに記載の使用。
(5)前記コモノマー構造成分が、(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びエチルアクリレート、ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートからなる群から選択される、(1)から(4)のいずれかに記載の使用。
(6)100から200μmの範囲内の平均粒子径を有する粉末状のポリアクリレートが使用される、(1)から(5)のいずれかに記載の使用。
(7)前記ポリアクリレートが、架橋剤からの構造成分を更に含む、(1)から(6)のいずれかに記載の使用。
(8)前記架橋剤が、少なくとも三官能性である、(1)から(7)のいずれかに記載の使用。
(9)前記架橋剤が、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルである、(1)から(8)のいずれかに記載の使用。
(10)前記ポリアクリレートが、アクリル酸又はメタクリル酸の量に対して、0.1重量%から15重量%、好ましくは0.5重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から5重量%の三官能性の架橋剤を含有する、(1)から(9)のいずれかに記載の使用。
(11)崩壊剤として粉末状の水不溶性架橋ポリアクリレートを含む、(1)から(10)のいずれかに記載の使用における固形医薬剤形。
(12)(1)から(10)のいずれかに記載の使用におけるポリアクリレートの製造方法であって、水性媒体中のフリーラジカル重合による方法。
(13)水性媒体中のフリーラジカル重合によって行われ、前記重合が、ラジカル開始剤を添加せずに行われる、(12)に記載の方法。
(14)前記重合が、水性媒体中、酸素の非存在下で行われる、(12)又は(13)に記載の方法。
(15)前記重合が、水性媒体中、還元剤の存在下で行われる、(12)から(14)のいずれかに記載の方法。

Claims (8)

  1. 固形医薬剤形用の崩壊剤としての、粉末状の、架橋、水不溶性、低膨潤性ポリアクリレートの使用であって、前記ポリアクリレートがポップコーンポリマーであり、前記ポリアクリレートが、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらの混合物の構造成分からなる、使用
  2. 前記ポリアクリレートが、最大20重量%のコモノマー構造成分を含有し、前記コモノマー構造成分が、(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びエチルアクリレート、ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
  3. 100から200μmの範囲内の平均粒子径を有する粉末状のポリアクリレートが使用される、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記ポリアクリレートが、架橋剤からの構造成分を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 前記架橋剤が、少なくとも三官能性である、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
  6. 前記架橋剤が、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
  7. 前記ポリアクリレートが、アクリル酸又はメタクリル酸の量に対して、0.1重量%から15重量%、好ましくは0.5重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から5重量%の三官能性の架橋剤を含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 崩壊剤として請求項1から7のいずれか一項に定義されるポリアクリレートを含む、固形医薬剤形。
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