添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、ウェーハ1を切削する本実施形態に係る切削装置2を示す斜視図であり、切削装置2において本実施形態に係る切削ブレードの監視方法が実施される。ウェーハ1は、例えば、シリコン、SiC(シリコンカーバイド)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板である。
ウェーハ1の表面には互いに交差する複数の分割予定ラインが設定されており、分割予定ラインにより区画された各領域にはIC(Integrated Circuit)等のデバイスが形成されている。最終的に、ウェーハ1が分割予定ラインに沿って切削され分割されることで、個々のデバイスチップが形成される。
例えば、ウェーハ1の表面から裏面に至る領域を分割予定ラインに沿って切削すると、該表面から該裏面に至る分割溝が形成されてウェーハ1が分割される。ただし、ウェーハ1に切削を実施する場合、ウェーハ1の表面から裏面に至る分割溝を形成しなくてもよく、切削により裏面に至らない溝が形成されてもよい。裏面に至らない溝が切削により形成される場合、さらに、切削または切削以外の方法で該溝の底部からウェーハ1の裏面に至る分断溝等が形成されてウェーハ1が分断される。
例えば、ウェーハ1は、環状フレーム5に貼られた粘着テープ3と一体化されてフレームユニット7が形成される。ウェーハ1は、フレームユニット7の状態で搬送され、切削される。
図1に示す通り、切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備えている。基台4の中央上部には、X軸移動テーブル6と、該X軸移動テーブル6をX軸方向(加工送り方向)に移動させるX軸方向移動機構と、X軸方向移動機構を覆う排水路20と、が設けられている。該X軸方向移動機構は、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール12を備えており、X軸ガイドレール12には、X軸移動テーブル6がスライド可能に取り付けられている。
X軸移動テーブル6の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール12に平行なX軸ボールねじ14が螺合されている。X軸ボールねじ14の一端部には、X軸パルスモータ16が連結されている。X軸パルスモータ16でX軸ボールねじ14を回転させると、X軸移動テーブル6はX軸ガイドレール12に沿ってX軸方向に移動する。
X軸移動テーブル6上には、ウェーハ1を吸引、保持するための保持テーブル8が設けられている。保持テーブル8は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、保持テーブル8の上面に垂直な回転軸の周りに回転可能である。また、保持テーブル8は、上述したX軸方向移動機構によりX軸方向に送られる。
保持テーブル8の表面(上面)は、ウェーハ1を吸引、保持する保持面8aとなる。この保持面8aは、保持テーブル8の内部に形成された吸引路(不図示)を介して吸引源(不図示)に接続されている。該保持面8aの周囲には、粘着テープ3を介してウェーハ1を保持する環状フレーム5を固定するためのクランプ10が配設されている。
基台4の上面には、ウェーハ1を切削する2つの切削ユニット18を支持する支持構造22が、X軸方向移動機構を跨ぐように配置されている。支持構造22の前面上部には、2つの切削ユニット18をそれぞれY軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向に移動させる切削ユニット移動機構が設けられている。
切削ユニット移動機構は、支持構造22の前面に配置されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール24を備えている。Y軸ガイドレール24には、切削ユニット18のそれぞれに対応する2つのY軸移動プレート26がスライド可能に取り付けられている。それぞれのY軸移動プレート26の裏面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール24に平行なY軸ボールねじ28が螺合されている。
Y軸ボールねじ28の一端部には、Y軸パルスモータ28aが連結されている。Y軸パルスモータ28aでY軸ボールねじ28を回転させると、対応するY軸移動プレート26は、Y軸ガイドレール24に沿ってY軸方向に移動する。Y軸移動プレート26の表面(前面)には、それぞれ、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール30が設けられている。それぞれのZ軸ガイドレール30には、Z軸移動プレート32がスライド可能に取り付けられている。
Z軸移動プレート32の裏面側(後面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール30に平行なZ軸ボールねじ34が螺合されている。Z軸ボールねじ34の一端部には、Z軸パルスモータ36が連結されている。Z軸パルスモータ36でZ軸ボールねじ34を回転させれば、Z軸移動プレート32は、Z軸ガイドレール30に沿ってZ軸方向(切り込み送り方向)に移動する。
2つのZ軸移動プレート32のそれぞれの下部には、ウェーハ1を加工する切削ユニット18と、保持テーブル8に保持されたウェーハ1を撮像できる撮像ユニット(カメラ)38と、が固定されている。Y軸移動プレート26をY軸方向に移動させれば、切削ユニット18及び撮像ユニット38はY軸方向(割り出し送り方向)に移動し、Z軸移動プレート32をZ軸方向に移動させれば、切削ユニット18及び撮像ユニット38はZ軸方向(切り込み送り方向)に移動する。
図2を用いて切削ユニット18について説明する。図2には、切削ユニット18の斜視図が模式的に示されている。切削ユニット18は、Y軸方向に平行な回転軸を構成するスピンドル54を備える。スピンドル54の先端部にはブレードマウント56が取り付けられており、スピンドル54の先端にはブレードマウント56により円環状の切削ブレード58が装着される。
スピンドル54の他端側にはスピンドルハウジング54a(図3等参照)に収容されたモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。該回転駆動源を使用してスピンドル54を回転させると、スピンドル54に装着された切削ブレード58を回転できる。
図4(A)は、切削ブレード58を模式的に示す正面図である。切削ブレード58は、例えば、円盤状の基台58bと、基台58bの外周部に固定された円環状の切刃部58aと、を有している。基台58bの中央部には、この基台58bを貫通する略円形の装着穴が設けられており、切削ブレード58を切削ユニット18に装着する際には、該装着穴にスピンドル54に装着されたブレードマウント56のボス部が突き通される。
切削ブレード58の外周を構成する切刃部58aは、金属または樹脂等で形成された結合材と、該結合材に固定されたダイヤモンド等で形成された複数の砥粒と、を含み、砥石部とも呼ばれる。結合材からは砥粒が表出しており、切削ブレード58を回転させながらウェーハ1に切り込ませると、表出した該砥粒がウェーハ1に接触してウェーハ1が切削される。
ウェーハ1を切削して切断する場合、切削ブレード58の切刃部58aの下端がウェーハ1の下面よりも下方に達するように、切削ユニット18の高さが調整される。また、ウェーハ1に下面側に至らない溝を形成する場合、切刃部58aの下端がウェーハ1の上面及び下面の間の高さに位置付けられるように切削ユニット18の高さが調整される。
切削ブレード58でウェーハ1を切削すると、砥粒に欠けや脱落が生じる。しかしながら、結合材が徐々に消耗して新たな砥粒が次々と表出するため、切削ブレード58の切削能力は維持される。このとき、切削ブレード58の径は徐々に小さくなっていく。そのため、切削ブレード58の切刃部58aの下端の高さは変化する。
そこで、切削装置2では、切削ブレード58の切刃部58aの下端の位置を検出して、切削ブレード58の切刃部58aの下端がウェーハ1の下面より下側に到達するようにZ軸方向移動機構を調整するセットアップ工程が所定のタイミングで実施される。切削ユニット18の下方には、図1に示す通り、セットアップ工程に使用される刃先検出ユニット40が設けられている。
図2に示す通り、切削ユニット18は切削ブレード58を囲うブレードカバー50を備える。ブレードカバー50はスライド可能であり、切削ブレード58の交換が実施される際に、交換作業を妨げないようにスライドして待避する。ブレードカバー50には、ウェーハ1の切削中にウェーハ1及び切削ブレード58に切削水を供給する切削水供給機構が組み込まれている。
ウェーハ1を切削ブレード58で切削すると、ウェーハ1及び切削ブレード58の摩擦等により熱が生じる。また、切削されたウェーハ1からは、加工屑が生じる。そこで、切削により生じる熱及び加工屑を除去するために、切削が実施される間、ウェーハ1及び切削ブレード58には、切削水が供給される。該切削水は、例えば、純水である。
切削水は、切削ユニット18の外部の切削水供給源(不図示)から切削水供給路(不図示)を通じて高圧で供給される。ブレードカバー50には、切削水供給路の一端が接続される接続部52dが設けられている。切削ユニット18は、切削ブレード58が間に配されるように切削ブレード58の両側方に沿ってそれぞれ伸張する一対の切削水供給ノズル52aを備える。一対の切削水供給ノズル52aには、切削ブレード58に向いた複数の噴出口(不図示)が形成されている。
また、切削ユニット18は、切削ブレード58の加工送り方向前側にウェーハ1に向けて切削水を噴出する切削水供給ノズル52cを備える。さらに、切削ユニット18は、前方から切削ブレード58に向けて切削水を噴出する切削水供給ノズル52bを備える。切削水供給ノズル52bは、切削ブレード58に向いた噴出口(不図示)を有する。ウェーハ1を切削ブレード58で切削する際には、切削水供給ノズル52a,52b,52cからウェーハ1及び切削ブレード58に切削水が供給される。
切削装置2は、保持テーブル8に保持されたウェーハ1の切削を実施する際、該切削ユニット18をZ軸方向に沿って下降させて切削ユニット18を所定の高さ位置に位置付ける。そして、切削ブレード58を回転させるとともにX軸方向移動機構を作動させて保持テーブル8を加工送り方向に移動させ、切削ブレード58をウェーハ1に切り込ませて該ウェーハ1を切削する。
切削装置2は、さらに、制御ユニット46を備えている。制御ユニット46は、切削ユニット18、保持テーブル8、各移動機構、撮像ユニット38、刃先検出ユニット40等の切削装置2の各構成要素を制御する機能を有する。
制御ユニット46は、例えば、データを処理できるプロセッサであり、コンピュータプログラムで表される機能を実行するように構成された回路を有する処理装置である。制御ユニット48は、プロセッサとしてマイクロプロセッサ、CPU(Central Processing Unit)等を備え、該プログラムがハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶装置に格納されている。そして、該プログラム等のソフトウェアと該処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
また、図1に示す通り、切削装置2は表示ユニット42を有する。表示ユニット42は制御ユニット46に電気的に接続されており、実施される切削の条件、切削加工の結果、及び各種の警告等を表示する。表示ユニット42は、タッチパネル付きディスプレイパネルでもよい。この場合、切削装置2の使用者又は管理者は該タッチパネルを用いて制御ユニット46に加工条件等の情報を入力できる。
切削装置2の上部には、制御ユニット46に電気的に接続された警報ランプ44が配設される。警報ランプ44は、例えば、緑色のランプと、赤色のランプと、を有する。制御ユニット46は、切削装置2が正常な稼働状況にあるときは該緑色のランプを点灯させて、切削装置2が正常であることを使用者又は管理者に報知する。その一方で、切削装置2に何等かの問題が生じたときには、制御ユニット46は赤色のランプを点灯させて、その旨を使用者又は管理者に報知する。
表示ユニット42及び警報ランプ44は、切削装置2の使用者又は管理者に警告や各種情報を発する報知部として機能できる。なお、該報知部はこれに限定されず、他の方法で使用者又は管理者に警告等を発してもよい。例えば、切削装置2はブザーを備え、警告音を発して警告等を発してもよい。
切削装置2でウェーハ1を切削する間に、切削ブレード58の切刃部58aに欠けが生じる場合がある。切削ブレード58に許容されない大きさの欠けが生じていると、ウェーハ1を適切に切削できず所望の加工結果が得られないだけでなく、ウェーハ1に損傷を生じさせる場合がある。そこで、切削ブレード58を監視し、許容されない大きさの欠けが生じた際に速やかに該欠けを検出することが望まれる。次に、切削ブレード58を監視し、切削ブレード58に生じる欠けを検出する検出ユニット60について説明する。
図2に示す通り、切削ユニット18のブレードカバー50には、検出ユニット60が組み込まれている。図3には、検出ユニット60の側面図が模式的に示されている。検出ユニット60の溝状の本体60aはブレードカバー50の上部に組み込まれており、ウェーハ1を切削する切削ブレード58の切刃部58aの上端58cを挟むように配設されている。検出ユニット60の本体60aは、昇降機構60bにより昇降可能であり、監視対象の切削ブレード58の径に応じて適切な高さに位置付けられる。
溝状の本体60aの切削ブレード58の切刃部58aに面した一方の内壁には、窓状の発光部66が設けられ、他方の内壁には該発光部66に対向する位置に窓状の受光部68が設けられている。すなわち、受光部68は、切削ブレード58の切刃部58aを挟んで発光部66と対面している。
発光部66には光ファイバー等の光学部品を介して光源62が接続されており、光源62を作動させると発光部66が光を発する。光源62には、発光量を調節する機能を有する調光器(不図示)が接続されていてもよい。また、受光部68は、光ファイバー等の光学部品を介して受光素子等を備える光電変換部64に接続されている。発光部66で発せられた光が受光部68に到達して受光されると、光電変換部64の該受光素子等では該光の受光量に応じた電圧値の電気信号を出力する。
発光部66から該切削ブレード58の切刃部58aに光を照射すると、該光の一部が切削ブレード58により遮られる。そして、切削ブレード58に遮られなかった該光の他の一部が受光部68で受光される。ここで、切削ブレード58の切刃部58aに欠けが生じている場合、光は該欠けを通過するため、発光部66で発せられ受光部68で受光される光の受光量は該欠けを通過した光の分だけ増大し、光電変換部64が出力する電気信号の電圧値もその分だけ上昇する。
そのため、光電変換部64が出力する電気信号の電圧値に基づいて切削ブレード58の切刃部58aの欠けの有無を判別できる。例えば、切削ブレード58を回転させながら該電気信号の電圧値を監視するとき、電圧値に一時的な上昇が観測される場合、切削ブレード58の切刃部58aにおいて電圧値が一時的に上昇したときに該光が照射された部分に欠けが生じていると判定できる。
ここで、該電気信号の電圧値の上昇量は、切削ブレード58に生じた欠けの大きさに対応する。例えば、欠けに光が照射される際、切削ブレード58の切刃部58aの外周から見て深い領域にまで該欠けが達している場合に該電圧値の上昇量が大きく、該欠けの外周から見て浅くなる場合に該電圧値の上昇量が小さくなる。そして、切削ブレード58を回転させながら該電圧値の時間変化を取得すると、該電圧値の時間変化に基づいて該欠けの形状を推定でき、該欠けが形成された切削ブレード58の形状を推定できる。
そこで、本実施形態に係る切削装置2では、切削ブレード58を回転させながら光電変換部64が出力する電気信号の電圧値を蓄積し、該電圧値の時間変化から切削ブレード58の形状を表す図形を形成する。形成された図形を表示ユニット42に表示させると、切削装置2の使用者及び管理者等は切削ブレード58の形状を視覚的に理解できる。例えば、欠けが生じる前後で切削ブレード58の形状を比較でき、さらに、切削ブレード58の形状の経時変化を確認できる。そのため、欠けの形成過程の詳細な解析が可能となる。
ここで、切削ブレード58に生じる欠けについて説明する。図4(A)には、切削ブレード58の正面図が模式的に示されている。検出ユニット60は、例えば、切削ブレード58の切刃部58aの上端付近の領域58dに発光部66から光を照射し、該光を受光部68で受光する。この場合、領域58dにおける欠けの有無を判定できる。切削ブレード58を回転させながら領域58dに光を照射し続けると、切削ブレード58の外周に沿って欠けの有無を判定できる。
図4(B)には、切刃部58aの領域58dに欠けが生じていない場合の切刃部58aの拡大図が模式的に示されている。切刃部58aに欠け等の損傷が生じていない切削ブレード58を使用すると、ウェーハ1を適切に切削できる。また、図4(C)には、比較的小さな欠け78aが生じた切刃部58aの拡大図が模式的に示されており、図4(D)には、比較的大きな欠け78bが生じた切刃部58aの拡大図が模式的に示されている。
例えば、図4(C)に示すように、欠け78aの深さ80aが十分に小さい場合、ウェーハ1を切削ブレード58で十分な品質で切削できる。その一方で、図4(D)に示すように、欠け78bの深さ80bが大きい場合、切削ブレード58でウェーハ1を切削すると加工精度が必要な水準に達しないばかりか、ウェーハ1に損傷を与えるおそれもある。そこで、切削ブレード58の切刃部58aに大きな欠けが生じた際、該欠けの発生が早期に検出されることが望まれる。
次に、切削装置2の制御ユニット46について、切削ブレード58の形状を表す図形を作成するための構成及び切削ブレードの形状変化を示す解析用画面を作成するための構成について説明する。図3には、制御ユニット46に含まれる各部を模式的に示すブロック図が示されている。各部の機能は、例えば、制御ユニット46として機能する処理装置等において、ソフトウェアにより実現される。
検出ユニット60の光電変換部64は、制御ユニット46に電気的に接続されている。光電変換部64は、発光部66で発せられ受光部68で受光される光の受光量に応じた電圧値の電気信号を制御ユニット46の記憶部72に出力する。
記憶部72は、検出ユニット60から該電気信号が入力されたとき、該電気信号が入力された時間とともに該電気信号の電圧値を記憶する。そして、各時間における該電気信号の電圧値を蓄積していく。この場合、電気信号の電圧値の時間変化が記憶部72に蓄積されることとなる。例えば、切削ブレード58を回転させながら該電気信号の電圧値を記憶部72に蓄積すると、該電圧値の時間変化に切削ブレード58の切刃部58aの各部の情報が含まれるようになる。
ここで、毎分数万回の回転速度で回転する切削ブレード58の切刃部58aの各領域において閾値を超える大きさの欠けの発生を検出するために、検出ユニット60による検出動作も高い頻度で実施される。例えば、検出のサンプリング周波数は250kHz程度とされる。
図5(A)は、該電気信号の電圧値の時間変化の一例を示すグラフである。図5(A)に示す波形82は、切削ブレード58を1回転するときの電圧値の時間変化を表している。電圧値は、発光部66から発せられた光のうち切削ブレード58の切刃部58aで遮られる量により決まる。
ここで、切削ユニット18に切削ブレード58が装着される際の切削ブレード58の回転軸と、切削ブレード58の中心と、の僅かなずれにより、回転軸から切削ブレード58の外周までの径は全周で一定とはならない。その上、ウェーハ1の切削を進める過程で切刃部58aに偏摩耗が生じる場合がある。そのため、切刃部58aに欠けが生じていない場合においても図5(A)に例示された波形82の通り、受光量は一定とはなりにくい。
波形82の極大部84は、発光部66及び受光部68の間に切削ブレード58の径の最も小さな部分の外周が位置しているときの該電気信号の電圧値を表している。また、波形82の極小部86は、発光部66及び受光部68の間に切削ブレード58の径の最も大きな部分の外周が位置しているときの該電気信号の電圧値を表している。
そして、波形82の極大部84における電圧値と極小部86における電圧値との差88が切削ブレード58の偏心量に相当する電圧値の差となる。なお、切削ブレード58をドレッシングボードでドレッシングすると、切削ブレード58の偏心が緩和されてこの差88が小さくなり、波形82が平坦に近づく。切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じているか否かを判定する際には、切削ブレード58の偏心に起因して波形82に現れる要素を排除すると判定の精度を高められる。
切削ブレード58の切刃部58aに欠けが発生している場合、受光部68に到達して受光される光の受光量が上昇する。そのため、切刃部58aに欠けが生じていると、図5(A)に示す波形82には欠けの大きさに対応した大きさのピーク90a,90bが現れる。例えば、ピーク90aの高さ92aは、欠けの深さに対応する。また、ピーク90aの幅は切削ブレード58の回転方向における欠けの長さに対応する。すなわち、波形82に現れたピーク90aから欠けの形状に関する情報が得られる。
したがって、光電変換部64から出力される電気信号の電圧値を記憶部72に蓄積すると、該電圧値の時間変化から切削ブレード58の形状を推定できる。制御ユニット46は、記憶部72が記憶する該電気信号の電圧値の時間変化に基づいて切削ブレード58の形状を表す図形を形成する図形形成部74を備える。図形形成部74が形成する切削ブレード58の形状を表す図形は、例えば、切削装置2の表示ユニット42に表示できる
図形形成部74が切削ブレード58の形状を表す図形を形成する過程について説明する。図5(B)に例示される図形98は、図5(A)に示した該電気信号の電圧値の時間変化を表す波形82に基づいて形成される切削ブレード58の形状を表す図形である。なお、図形98には、切削ブレード58の偏心については反映されていない。
図5(A)に示された波形82では、ピーク90aと、ピーク90bと、が現れている。波形82が切削ブレード58の1回転に相当する時間で取得されている場合、ピーク90aが観測されてからピーク90bが観測されるまでに切削ブレード58が3分の1回転乃至2分の1回転していることが波形82から理解される。そして、ピーク90aは、ピーク90bよりも大きい。
したがって、波形82で表された該電気信号の電圧値の時間変化から、図5(B)に例示する通り、切削ブレード58の切刃部58aには、2つの欠け100a,100bが生じていることがわかる。そして、2つの欠け100a,100bは互いに、3分の1回転乃至2分の1回転分離れた位置に生じていることがわかる。さらに、波形82に現れたピーク90aに対応する欠け100aは、ピーク90bに対応する欠け100bよりも大きいことがわかる。
図形形成部74は、このように、記憶部72に蓄積された該電圧値の時間変化から切削ブレード58の形状を推測し、図5(B)に示されるような切削ブレード58の形状を表す図形98を形成する。制御ユニット46は、形成された図形98を表示ユニット42に表示させることができる。
例えば、ウェーハ1を切削する切削ブレード58の形状を常に監視し、該形状を表す図形を表示ユニット42に表示させる場合、切削ブレード58に欠けが生じていない間には欠けのない切削ブレード58の形状を表す図形が表示され続ける。そして、切削ブレード58に欠けが生じたとき、表示ユニット42には、実物の該欠けの形状及び大きさを反映した該欠けを含む図形が表示される。
なお、図形形成部74は、切削ブレード58の形状を表す図形をリアルタイムに形成する必要はない。例えば、記憶部72から過去の任意の時間における該電圧値の時間変化を読み出し、該任意の時間における切削ブレード58の形状を表す図形を形成することができる。この場合、切削装置2の使用者等は制御ユニット46を操作して、必要に応じて過去の特定の時間における切削ブレード58の形状に関する情報を後から取得して、切削ブレード58に生じる欠けの原因を詳細に解析できる。
制御ユニット46は、さらに、記憶部72が記憶する該電気信号の電圧値の時間変化から切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じているか否かを判定する判定部76を備える。制御ユニット46は、該欠けが生じていると判定部76が判定する場合に、表示ユニット42に該欠けが生じているとの警告画面を表示させ、または、警報ランプ44を作動させ、切削装置2の使用者等にその旨を報知してもよい。
なお、切削ブレード58の欠けの大きさの閾値は、切削装置2の使用者等が切削装置2で実施される加工の内容に応じて任意に設定できる値である。例えば、該閾値は、切削ブレード58によるウェーハ1の切削を適切に実施できない程度の欠けの大きさに相当する値に設定される。閾値を超えない大きさの欠けが切削ブレード58に生じても、十分にウェーハ1の切削を実施できる場合、切削ブレード58による切削が継続されてもよい。
制御ユニット46は、判定部76が切削ブレード58に該欠けが生じていると判定する場合に切削ブレード58の形状変化を示す解析用画面を形成し、該解析用画面を該表示ユニット42に表示させる解析用画面形成部94をさらに有する。本実施形態に係る切削装置2では、切削ブレード58に欠けが生じた場合に、欠けの要因を解析するために解析用画面を表示ユニット42に表示させる。切削装置2の使用者等は、該解析用画面を使用して切削ブレード58の形状変化に関する情報を取得できる。
図6は、解析用画面96を表示する表示ユニット42を模式的に示す正面図である。解析用画面96には、例えば、図形形成部74が形成する切削ブレード58の形状を示す複数の画像が含まれる。例えば、欠けが生じている切削ブレード58の形状を表す図形と、欠けが生じていると判定される前の切削ブレード58の形状を表す図形と、が解析用画面96に含まれる。この場合、切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じるに至る過程を解析できる。
より詳細には、図形形成部74は、判定部76が切削ブレード58に該欠けが生じていると判定する場合に記憶部72が記憶する該電気信号の電圧値の時間変化に基づいて該欠けが生じていると判定された切削ブレード58の形状を表す第1の図形を形成する。また、欠けが生じていると判定される前の切削ブレード58の形状を表す第2の図形を形成する。例えば、該第2の図形は、切削ブレード58に欠けが生じていると判定される一定時間前における切削ブレード58の形状を表す図形である。
さらに、図形形成部74は、複数の第2の図形を形成してもよい。この場合、図形形成部74は、切削ブレード58に欠けが生じていると判定されるまでの一定時間毎の切削ブレード58の形状を表す図形を形成する。
解析用画面96には、該第1の図形と、該第2の図形と、が含まれる。例えば、図6に例示される解析用画面96には、該第2の図形として図形98a,98b,98cが含まれており、該第1の図形として図形98dが含まれている。図6に示す解析用画面96では、該欠けが生じていると判定される前の切削ブレード58の形状を表す図形98a,98b,98cに特に損傷等が生じていない。そのため、何等かの突発的な要因により切削ブレード58に欠けが生じたことが推定される。
例えば、切削ブレード58で切削されるウェーハ1の表面1aに異物が付着しており、該異物を切削ブレード58で切削したことが考えられる。または、分割予定ラインに形成されていたTEG(Test Element Group)等のパターンにより切削ブレード58に欠けが生じたことが考えられる。
また、解析用画面96から、欠けが少しずつ進行して該欠けが閾値を超える大きさに成長したことが確認される場合がある。例えば、解析用画面96に表示される図形98a,98b,98cに徐々に成長していく欠けが見られ、さらに欠けが成長して該閾値を超える大きさとなる場合がある。この場合、最初に小さな欠けを生じさせた要因があり、ウェーハ1を切削ブレード58で切削するうちに該小さな欠けが成長したことが考えられる。そのため、最初に小さな欠けを生じさせた要因について解析が必要であることがわかる。
さらに、切削装置2の管理者及び使用者は、制御ユニット46を操作して、任意の時間における切削ブレード58の形状を表す図形を記憶部72に蓄積された該電圧値の時間変化に基づいて図形形成部74に形成させ、解析用画面96に表示させることもできる。したがって、切削ブレード58に生じる欠けの要因を迅速かつ容易に、多角的かつ詳細に解析できる。
また、解析用画面96では、閾値を超える大きさの欠けが形成されたと判定される前の切削ブレード58の形状を表す第2の画像と、閾値を超える大きさの欠けが形成されたと判定された切削ブレード58の形状を表す第1の画像と、が順番に表示されてもよい。例えば、表示ユニット42に表示される解析用画面96において、4つの図形98a,98b,98c,98dが順番にコマ送り動画として表示されてもよい。この場合、欠けの成長過程等を直感的に把握しやすくなる。
このように、解析用画面96は、切削ブレード58に生じた欠けの要因の解析に有用である。なお、解析用画面96は、切削装置2の筐体等に組付けられた表示ユニット42に表示されなくてもよい。例えば、有線又は無線を介して切削装置2に接続されたコンピュータのモニタに表示されてもよい。この場合、切削装置2から離れた場所にいる者でも切削ブレード58の欠けの要因の解析が可能となる。
以上に説明する通り、本実施形態に係る切削装置2では、光電変換部64から出力される電気信号の電圧値を記憶部72に蓄積すると、図形形成部74で該電圧値の時間変化に基づいて切削ブレード58の形状を表す図形を形成できる。該図形は、切削ブレード58に生じる欠けの要因の解析に有用である。そして、該欠けの要因を効率良く解析できるため、切削装置2を停止させる時間を短縮化できる。
欠けの要因を解析できると、切削ブレード58に欠けを生じさせないように、加工条件の変更や切削ブレード58の改良を実施できるため、切削ブレード58を長寿命化でき切削ブレード58の交換のために切削装置2を停止させる時間も短縮化できる。すなわち、本実施形態に係る切削装置2は、ウェーハ1の切削効率をも向上できる。
次に、切削装置2を使用して切削ブレード58を監視する本実施形態に係る切削ブレードの監視方法について説明する。図7(A)は、本実施形態に係る切削ブレードの監視方法の一例の各ステップの流れを示すフローチャートであり、図7(B)は、本実施形態に係る切削ブレードの監視方法の他の一例の各ステップの流れを示すフローチャートである。
図7(A)に示す切削ブレードの監視方法では、切削ブレード58の形状を表す図形を形成し、これを表示ユニット42に表示させる。切削装置2の使用者等は表示ユニット42に表示される該図形を確認することで、切削ブレード58の状態を監視できる。以下、各ステップについて説明する。
該切削ブレードの監視方法では、まず、切削ブレード58の切刃部58aに検出ユニット60の発光部66から光を照射し受光部68で該光を受光し、光電変換部64に該光の受光量に応じた電圧値の電気信号を出力させる照射ステップS10を実施する。
このとき、切削ブレード58はスピンドル54の周りに回転させておく。切削ブレード58が回転していると検出ユニット60の発光部66と受光部68の間に切刃部58aの各領域が次々に差し掛かるため、切刃部58aの全周において切削ブレード58を監視できる。切削装置2では、回転する切削ブレード58によりウェーハ1の切削を実施してもよい。
光電変換部64は、該光の受光量に応じた電圧値の電気信号を制御ユニット46の記憶部72に出力する。そして、照射ステップS10の後には、照射ステップS10にて出力された該電気信号の該電圧値の時間変化を記憶部72に記憶させる記憶ステップが実施される。
記憶部72には、該電気信号の該電圧値が次々に入力される。記憶部72では、これを時間毎に記憶していく。すると、該電圧値の時間変化が記憶部72に記憶されることとなる。例えば、切削ブレード58が1回転する間の時間変化を記憶部72から取得すると、ある時間における切削ブレード58の形状を表す図形を形成できる。
本実施形態に係る切削ブレードの監視方法では、記憶ステップS20の後、記憶ステップS20において記憶部72に記憶された該電気信号の該電圧値の該時間変化に基づいて切削ブレード58の形状を表す図形を形成する図形形成ステップS40が実施される。形成された該図形は、表示ユニット42に表示できる。そして、図形形成ステップS40の後、図形形成ステップS40で形成された該図形を表示ユニット42に表示させる図形表示ステップS50が実施される。
ここで、図形形成ステップS40では、照射ステップS10で光が照射されてから間もない切削ブレード58の形状を表す図形が形成され、図形表示ステップS50では、該図形が表示ユニット42に表示されてもよい。この場合、ほぼリアルタイムで切削ブレード58を表示ユニット42で監視することができる。
または、切削装置2に何等かの不具合が生じてウェーハ1の切削が停止された場合に、図形形成ステップS40では、不具合が生じる前後の切削ブレード58の形状を表す図形が作成されてもよい。そして、図形表示ステップS50では、不具合が生じる前後の切削ブレード58の形状を表す図形が表示ユニット42に表示されてもよい。この場合、切削装置2の使用者等は、表示ユニット42を確認することで切削装置2の不具合の原因が切削ブレード58に存在するか否かを判別することができる。
すなわち、図形形成ステップS40では欠けが生じていない切削ブレード58の形状を表す図形のみが形成されてもよく、図形表示ステップS50では、該図形のみが表示ユニット42に表示されてもよい。したがって、本実施形態に係る切削ブレードの監視方法は、切削ブレードに起因しない不具合が切削装置2に生じた場合にも該不具合の原因の候補を絞る上で有用である。
なお、本実施形態に係る切削ブレードの監視方法では、切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じているか否かが判定されてもよい。そして、該欠けが生じていると判定される場合に、切削ブレード58の形状を表す図形を形成して欠けの要因の解析に有用な解析用画面が形成されてもよい。図7(B)には、本実施形態に係る切削ブレードの監視方法の変形例について、各ステップの流れが示されている。
該変形例においても、照射ステップS10及び記憶ステップS20は同様に実施される。そして、記憶ステップS20の後、図形形成ステップS40の前に、記憶部72に記憶された該電気信号の電圧値の時間変化から切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じているか否かを判定する判定ステップS30が実施される。
判定ステップS30では、記憶部72に記憶された電気信号の電圧値の時間変化に基づいて欠けの発生を検知する。例えば、該時間変化を表す波形に欠けの発生を示すピークが確認される場合、ピークの高さが評価される。そして、判定部76は、ピークの高さが閾値を超えている場合、切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じていると判定する。
または、図形形成部74により切削ブレード58の形状を表す図形がリアルタイムに形成されている場合、判定ステップS30では、判定部76が切削ブレード58に生じた欠けの大きさを該図形に現れた欠けの図形に基づいて評価してもよい。そして、判定部76は、切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じているか否かを判定する。
判定ステップS30において、切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じていない場合、ウェーハ1の切削を継続して実施してもよい。この場合、定期的に判定ステップS30を実施することで、切削ブレード58に該欠けが生じた際に速やかに該欠けの発生を検出できる。
そして、判定ステップS30が実施された後、図形形成ステップS40が実施される。図形形成ステップS40では、上述の通り、記憶ステップS20において記憶部72に記憶された該電気信号の電圧値の時間変化に基づいて表示ユニット42に表示できる切削ブレード58の形状を表す図形を図形形成部74に形成させる。ここで、切削ブレード58に欠けが生じる前後における切削ブレード58の形状を表す図形が形成されると、生じた該欠けの要因を解析する際に有利となる。
そこで、判定ステップS30において切削ブレード58に該欠けが生じていると判定された場合、切削ブレード58の形状を表す該図形として、第1の図形と、第2の図形と、を図形形成部74に形成させる。ここで、該第1の図形とは、切削ブレード58に欠けが生じていると判定された時点の該切削ブレード58の形状を表す図形であり、該第2の図形とは、該切削ブレード58に欠けが生じていると判定される前の該切削ブレード58の形状を表す図形である。
例えば、切削ブレード58に欠けが生じていると判定された時点から所定の時間だけ前に記憶部72に記憶された該電圧値の時間変化を記憶部72から読み出し、図形形成部74に該電圧値の時間変化に基づいて第2の図形を形成させる。
ここで、図形形成ステップS40では、複数の第2の図形が形成されてもよい。この場合、さらに該所定の時間だけ前に記憶部72に記憶された該電圧値の時間変化を記憶部72から読み出し、図形形成部74に次の第2の図形を形成させる。複数の第2の図形を形成し、第1の図形とともに該複数の第2の図形を確認すると、切削ブレード58の形状変化を検証して、閾値を超える大きさの欠けが生じる過程に基づいて該欠けの要因を詳細に解析できる。
そして、判定ステップS30にて切削ブレード58に該欠けが生じていると判定された場合(S31)に、図形形成ステップS40の後に、切削ブレード58の形状変化を示す解析用画面96を形成する解析用画面形成ステップS32を実施する。解析用画面96については、図6を用いて説明した通りである。すなわち、解析用画面形成ステップS96で形成される解析用画面96は、図形形成ステップS40で形成される該第1の図形と、該第2の図形と、を含む。
そして、解析用画面形成ステップS32の後に図形表示ステップS50が実施される。図形表示ステップS50は、上述の通り、図形形成ステップS40で形成された図形を表示ユニット42に表示させる。切削ブレード58に閾値を超える大きさの欠けが生じていると判定されている場合(S31)、図形形成ステップS40では該第1の図形及び該第2の図形が形成されており、解析用画面形成ステップS32が実施されて解析用画面96が形成されている。
そこで、図形表示ステップS50では、解析用画面96を表示ユニット42に表示させることにより図形形成ステップS40で形成された該図形として該第1の図形及び該第2の図形を表示ユニット42に表示させる。該第1の画像及び該第2の画像を含む解析用画面96が表示ユニット42に表示されていると、切削ブレード58の発生した欠けの要因を容易に解析できる。
ここで、図形表示ステップS50では、表示ユニット42に表示される解析用画面96において該第1の図形と、該第2の図形と、を順番に表示させてもよい。すなわち、第1の図形及び第2の図形によりコマ送り動画を形成して表示ユニット42に表示させてもよい。この場合、切削ブレード58に生じる欠けの成長過程をより直感的に把握できる。
また、図7(B)にフローが示された切削ブレードの監視方法では、判定ステップS30において切削ブレード58に該欠けが生じていると判定されない場合(S31)、図7(A)にフローが示された切削ブレードの監視方法と同様に各ステップが進行する。
なお、本発明は、上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、ウェーハ1を切削する切削ブレード58に発光部66から発せられた光を照射して、該光を受光部68で受光する場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、本発明の一態様に係る切削装置及び切削ブレードの監視方法では、ウェーハ1を切削していない状態の切削ブレード58に該光が照射されてもよい。
ウェーハ1を切削ブレード58で切削しながら切削ブレード58に該光を照射すると、切削の過程でリアルタイムに切削ブレード58を監視できる。しかしながら、ウェーハ1を切削ブレード58で切削する際には、切削ブレード58及びウェーハ1に切削水が供給されるため、該光が切削ブレード58に付着する切削水の影響を受ける場合がある。そこで、ウェーハ1を切削しておらず切削水が供給されていない状態の切削ブレード58に光を照射して切削ブレード58を監視する。この場合、切削水の影響を排除できる。
また、検出ユニット60を使用して切削ブレード58に該光を照射する場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、刃先検出ユニット40は、検出ユニット60と同様に構成されるため、検出ユニット60に代えて刃先検出ユニット40を使用して切削ブレード58を監視してもよい。ただし、刃先検出ユニット40は、ウェーハ1を切削ブレード58で切削している間には使用できないため、この場合においてもウェーハ1を切削していない状態の切削ブレード58が監視される。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。