JP7366398B2 - 熱線流量計測シート及びその計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2次元面内の気流の流速分布を計測するための熱線流量計測シート及びその計測方法に関し、特に、比較的広い2次元面内であっても精度良く計測することのできる熱線流量計測シート及びその計測方法に関する。
気流によって奪われる熱量からその流量やこれを断面積で除した流速(風速)を計測する熱線流量計(「流速計」「風速計」、以下、同じ。)が知られている。例えば、細いワイヤに通電して発生するジュール熱と、気流の流量に対応して当該ワイヤから奪われる放熱とのバランスによってワイヤは一定温度となるが、かかる温度をワイヤの電気抵抗値から求め、流量や流速を計測するのである。このような熱線流量計を2次元面内に複数配置させることで、当該面内の流量分布や流速、風速分布を得ることが出来る。
例えば、特許文献1では、自動車のデフロスタ装置でダッシュボードのエアー吹出し口からフロントガラスの内側表面に向けて吹き出されるエアーの風速分布を測定する風速分布測定システムを開示している。かかるシステムでは、フロントガラスの内側表面の複数の各測定点に熱線流量計をそれぞれ与えてエアーの風速分布を計測するとしている。
ここで、2次元面内の気流の流速分布を計測するために、当該面内に複数の熱線流量計を配置する場合、これら複数の熱線流量計の間で温度補正を行うことでより計測精度を高めることが出来る。
特許文献2では、半導体微細加工技術を用いてシリコン基板上に形成した熱線流量センサ及び半導体温度センサについて、配線を埋め込んだフレキシブルシート上に複数個配列した熱線流量計測シートが開示されている。多数の流量及び温度センサチップを有しながら、これらが配線を埋め込んだフレキシブルシート上に配置されていることから、配線による流れや温度の乱れが生じることなく、緻密で正確な測定を行うことができるとともに、各流量検出位置で流量検出と同時に温度を検出することができ、熱線流量センサの出力に対する正確な温度補正を容易に行い得るとしている。
特開2007-108137号公報 特開平8-233845号公報
上記したような2次元面内の気流の流速分布を計測するために熱線流量計を複数配置した場合、特に、比較的広い2次元面内の計測の場合、気流の流速分布を精度良く計測するには、各熱線流量計の温度補正が必要である。一方、熱線流量計の数が多くなるとその温度補正は複雑となり、精度の良い温度補正が難しい。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、比較的広い2次元面内であっても気流の流速分布を精度良く計測できる熱線流量計測シート及びその計測方法を提供することにある。
本発明は、2次元面内の気流の流速分布を計測するための熱線流量計測シートであって、シートヒータの上に、温度により抵抗値を変化させる感温センサをマトリクス状に複数与えた計測部を有することを特徴とする。
かかる発明によれば、比較的広い2次元面内であっても感温センサの温度補正を精度良く出来て、気流の流速分布を精度良く計測できるのである。
上記した発明において、前記シートヒータ及び前記計測部の間には絶縁性フィルムが与えられていることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、比較的広い2次元面内であっても感温センサの温度補正を精度良く出来て、気流の流速分布を精度良く計測できるのである。
上記した発明において、前記感温センサは、導電粒子と樹脂との混合物であり、抵抗温度係数を1×10-2/℃よりも大とすることを特徴としてもよい。または、抵抗温度係数を1×10-2/℃よりも小さなシート体に前記感温センサを構成する部分を与えたことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、感温センサの感度を高め得て、気流の流速分布を精度良く計測できるのである。
上記した発明において、前記シートヒータは単一幅の配線を複数回折り返し2次元面内での温度制御を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、比較的広い2次元面内であっても感温センサの温度補正を精度良く出来て、気流の流速分布を精度良く計測できるのである。
更に、本発明は、2次元面内の気流の流速分布を計測するための熱線流量計測方法であって、シートヒータの上に、温度により抵抗値を変化させる感温センサをマトリクス状に複数与え、前記シートヒータによって前記感温センサを加熱しておいて、これに気流を接触させ、奪われる熱量分布を計測することを特徴とする。
かかる発明によれば、比較的広い2次元面内であっても感温センサの温度補正を精度良く出来て、気流の流速分布を精度良く計測できるのである。
本発明による(a)実施例及び(b)比較例における熱線流量計測シートのシートヒータを示す下面図である。 本発明による実施例における熱線流量計測シートの計測部を示す上面図である。 本発明による実施例における熱線流量計測シートの要部の側断面図である。 計測部の作製手順を示す上面図である。 感温センサ部分の上面図である。 感温センサ及び配線の温度と抵抗値との関係を示すグラフである。 熱線流量計測シート及びその駆動機構のブロック図である。 室温での熱線流量計測シートの(a)各感温センサの抵抗値一覧表及び(b)抵抗値の三次元グラフである。 シートヒータ23V印加時の熱線流量計測シートの(a)サーモグラフィー、(b)各感温センサの抵抗値一覧表及び(c)抵抗値の三次元グラフである。 気流供給時の(a)気流の供給エリア(方形)を示す斜視図、(b)各感温センサの抵抗値一覧表及び(c)抵抗値の三次元グラフである。 気流供給時の(a)気流の供給エリア(円形)を示す斜視図、(b)各感温センサの抵抗値一覧表及び(c)抵抗値の三次元グラフである。 本発明による他の実施例における熱線流量計測シートの要部の側断面図である。
以下に、本発明による1つの実施例である熱線流量計測シートについて、図1乃至図3を用いて説明する。
図1(a)に示すように、熱線流量計測シート10は、薄膜基板2を基体としたシートヒータ1を含む。特に、シートヒータ1の二次元面内での発熱分布を均一にし得るような材料と配置の組み合わせとすることが好ましい。例えば、シートヒータ1は、薄膜基板2の下側の主面上に導電層3を形成したものを好適に用い得る。
薄膜基板2は、その上に導電層3を形成できる絶縁性材料からなり、シートヒータ1としての加熱に耐え得るシート体である。薄膜基板2の材料としては、ガラス、樹脂フィルム、繊維、紙、ゴム類、絶縁コートされた金属などが用いられる。薄膜基板2としては、特に絶縁性フィルムを用いると、熱線流量計測シート10として後述する感温センサの温度補正を精度良くできて好ましい。薄膜基板2の厚さは薄くすることで熱容量を低下させて、感温センサによる測定を精度よくできる。例えば、0.01mm~20mmの範囲内で適宜設定される。薄過ぎると機械強度を不足させて導電層3の形成を難しくし、厚過ぎると熱容量を大きくして加熱に過度のエネルギーを必要とする。薄膜基板2の大きさに特に制限はなく、広範囲の流速分布を計測するよう面積の大きな熱線流量計測シート10を得ることができる。
導電層3は、電圧を印加して電流を流すことで発熱する抵抗体である。つまり、ジュール熱Q、抵抗R、電流I、時間tとして、Q=RItのジュール熱を得てシートヒータ1の所望の範囲を均一に加熱するのである。導電層3の材料としては、通電によりジュール熱を発するものであれば特に限定されない。各種金属膜、導電性酸化物、導電性のペーストを印刷して固定した膜などを例示できる。
例えば、導電層3を単一幅の配線として薄膜基板2上の主面内に複数回折り返して形成することで、面状に均一な発熱を得て2次元面内での温度制御を与えることができる。ここで、導電層3は、幅W、折り返しの長さLを有し、折り返すことで隣り合う配線同士のギャップGを有する。このとき、導電層3は加熱しようとする領域全体に亘って配置されるようにする。つまり、長さLを加熱しようとする範囲の長さと同等とするとともに、幅W及びギャップGを各々複数並べられた合計の寸法を加熱しようとする範囲の幅と同等となるようにする。ここで、幅Wは、例えば、0.1mm~50mmの範囲で適宜設定される。幅Wが小さ過ぎると抵抗を大きくし過ぎてしまい、大き過ぎると適切な回数の折り返しができなくなる。また、ギャップGは、均一な加熱のために小さくすることが好ましく、例えば、0.05mm~10mmの範囲で適宜設定される。ギャップGが小さ過ぎると折り返した隣り合う配線同士で短絡する可能性を生じ、大き過ぎると導電層の配線された部分と配線されていない部分との間(幅Wの部分とギャップGの部分との間)に温度の隔たりを生じてしまう。
他方、図1(b)に示すように、導電層103を薄膜基板102の全体に亘って配置するよう幅広のものとしたシートヒータ101の場合、通電に位置の偏りを生じて面内での均一な発熱を却って難しくしてしまう。よって、導電層3は、上記したような単一幅の配線として折り返すことが好ましい。
図2に示すように、感温センサ12は、シートヒータ1の上側の主面上(つまり、導電層3の形成された面の反対側の面)にマトリクス状に複数配置されて熱線流量計測シート10の計測部11とされる。計測部11は多点で計測するため、タッチパネル等で用いられるパッシブマトリクスを用いて感温センサ12を配置する。すなわち、X方向及びY方向のそれぞれに向けて延びる複数のX配線13及びY配線14が配置され互いに絶縁される。つまり、X配線13及びY配線14の交点では両者の間に絶縁層15(図4参照)が設けられて短絡を防止される。
X配線13及びY配線14の材料としては、高い導電性を有するものであれば特に制限されないが、温度による電気抵抗の変化が小さい、すなわち温度抵抗係数が1×10-2/℃以下のものを好適に用い得る。このような材料として、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、銅合金、ニッケル合金、などの金属材料が例示される。また、ITO、IZOなどの導電性酸化物や、導電性ペーストを印刷して固定した膜であっても、上記した温度抵抗係数を有するものであればよい。
感温センサ12は、X配線13及びY配線14の各交点の近傍にそれぞれ配置される。感温センサ12は温度によってその電気抵抗値(以下、単に「抵抗値」と称する。)を変化させる材料で形成され、X配線13及びY配線14のそれぞれに電気的に接続される。また、感温センサ12は小さな面積で大きな抵抗値の変化を得られるよう、例えば、単一幅の配線として折り返して配置することが好ましい。また、感温センサ12はX配線13及びY配線14の抵抗値よりも十分大きな抵抗を有することが求められ、例えばX配線13及びY配線14の最大の抵抗値の50倍以上の抵抗値を有することが好ましい。感温センサ12の抵抗値がこれよりも小さいとパッシブマトリクスの留意点として知られるクロストークを大きくしてしまい、パッシブマトリクスを正常に動作させることが難しくなる。
感温センサ12の材料は、上記したように温度変化に対する抵抗値の変化を大きくするものが求められる。例えば、抵抗温度係数を1×10-2/℃よりも大きくするように材料が選定されると好ましい。抵抗温度係数は一般に温度に対する抵抗値の変化が線形であることを前提として算出されるが、本実施例の感温センサ12の材料としては温度に対する抵抗値の変化を線形とする必要はない。つまり、抵抗温度係数を1×10-2/℃よりも大きくする材料と同等以上の抵抗値の変化を示す温度依存性を有しており、且つ、繰り返しの温度変化に対しても同じ抵抗値の変化を示す材料であればよい。なお、抵抗温度係数が小さ過ぎるとX配線13及びY配線14の抵抗温度係数と近くなり、感温センサ12として動作させることが困難となる。
感温センサ12に上記した抵抗温度係数を付与する材料としては、例えば、樹脂と導電粒子との混合物を用い得る。樹脂の温度変化に対する体積膨張率は導電粒子の材料となる金属などよりも大きい。そのため、このような混合物によれば、温度変化によって導電粒子同士の内部での接触状態を変化させるため、抵抗温度係数を金属膜などに比べて著しく大きくし得る。また、このような混合物によれば、混錬したペーストを印刷又は塗布することで感温センサ12を容易に必要な形状に形成できる。導電粒子の材料としては、導電性を有するものであり、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、銅合金、ニッケル合金、などの金属材料やITO、IZOなどの導電性酸化物、またはグラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブなどの炭素系材料が例示される。
図3に示すように、熱線流量計測シート10は、シートヒータ1と計測部11とが熱的に近接して配置されることが好ましい。他方、シートヒータ1の導電層3と、計測部11の感温センサ12とは互いに絶縁される。そのため、絶縁性の薄膜基板2を挟んだ両側に導電層3と感温センサ12とが配置されることが特に適している。なお、同図はそれぞれの部材の厚さ方向の配置をわかりやすく示したものであり、厚さ方向と直行する方向の配置は実際とは異なる(特にX配線13及びY配線14)。なお、感温センサ12は、導電層3の配線された位置の真裏にあたる位置に導電層3に沿って並ぶよう配置されることも好ましい。感温センサ12の各々について導電層3との一定の位置関係を与えたことで感温センサの温度補正を精度良く出来る。
以上のような構成により、熱線流量計測シート10は、その主面に沿った2次元面内の気流の流速分布を感温センサ12の抵抗値から計測することができる。すなわち、シートヒータ1によってマトリクス状に配置された感温センサ12を加熱しておいて、これに接触する気流によって奪われる熱量分布を計測することで、気流の流速分布を計測することができる。
なお、熱線流量計測シート10は、シートヒータ1や計測部11の配線を保護する保護層を設けると、劣化を抑制され得て好適である。
[動作試験]
上記したような熱線流量計測シートを製作して動作試験を行ったので、その詳細について図1、図4乃至図11を用いて説明する。
まず、動作試験に用いる熱線流量計測シートを製作した。
再び図1(a)を参照すると、薄膜基板2として厚み50μmのポリエチレンナフタレートのフィルム(帝人株式会社製 Q65HA)を用いた。表面に銀ペースト(太陽インキ製造株式会社製 ELEPASTE AF6100 L10)を120メッシュのスクリーンマスクを用いてスクリーン印刷機(ミノグループCUBE1515)で印刷した後に、加熱炉(ヤマト科学株式会社製 DE411)を用いて120℃で30分間加熱して銀ペーストを硬化させ、導電層3を形成した。導電層3の長さWは13cm、幅Wは0.9cm、ギャップGは0.1cmとし、12回折り返し部分を設けた。これによって幅13cm、奥行13cmの領域に導電層3を配置した。形成した導電層3の厚みを接触式段差計(株式会社小坂研究所製 ET4000)で測定したところ、58μmであった。また導電層3全体の電気抵抗をテスター(FLUKE社製 FLUKE 28-II工業用マルチメーター)で計測したところ15Ωであった。
次いで、図4に示すように、導電層3を形成したシートヒータ1の導電層3と反対側の面に、計測部11を形成した。
まず、図4(a)に示すように、薄膜基板2上にY配線14を形成した。詳細には、640メッシュのスクリーンマスクを用いて銀ペーストをスクリーン印刷し、加熱炉を用いて120℃で30分間加熱して硬化させた。Y配線14の幅は0.5mm、長さは13cmとした。またマトリクスを形成するためにY配線は1cmピッチで13本平行に並べた状態とした。形成したY配線の厚みを接触式段差計で測定したところ、8μmであった。Y配線1本あたりの抵抗値をテスターで計測したところ30Ωであった。
次に、図4(b)に示すように、絶縁層15をY配線14の上に形成した。詳細には、200メッシュのスクリーンマスクを用いてポリイミドインク(サンワ化学株式会社製 ARE-1200)を1mm×1mmのドット状にスクリーン印刷し、加熱炉を用いて150℃で30分間加熱して硬化させた。形成した絶縁層15の厚みを接触式段差計で測定したところ、15μmであり、Y配線14の表面を十分に被覆できた。
さらに、図4(c)に示すように、X配線13を絶縁層15上でY配線14と交差するよう形成した。詳細には、250メッシュのスクリーンマスクを用いて銀ペーストをスクリーン印刷し、加熱炉を用いて120℃で30分間加熱して硬化させた。X配線13の幅は0.5mm、長さは13cmとした。またマトリクスを形成するためにX配線は1cmピッチで13本平行に並べた状態とした。形成したX配線の厚みを接触式段差計で測定したところ22μmであった。X配線1本あたりの抵抗値をテスターで計測したところ11Ωであった。
最後に、図4(d)に示すように、感温センサ12を形成して熱線流量計測シート10を得た。詳細には、グラファイト粉末をポリイミドインク(サンワ化学株式会社製ARE-1200)と1:1の重量比で混錬した感温センサ用のグラファイトインクを調整した。このグラファイトインクを、150メッシュのスクリーンマスクを用いて印刷し、加熱炉を用いて150℃で30分間加熱して硬化させた。形成した感温センサ12の厚みを接触式段差計で測定したところ、40μmであった。感温センサ12は、X配線13及びY配線14とそれぞれ電気的に接続させた。1つあたりの感温センサ12の抵抗値をテスターで計測したところ、12kΩであった。
なお、図5に示すように、感温センサ12は、単一幅の配線として折り返して配置した。すなわち、長さLsを7.5mm、幅Wsを0.75mm、ギャップGsを0.35mmとして6回折り返し部分を設けた。これにより、幅7.35mm、奥行7.5mmの領域に感温センサ12を配置した。
グラファイトインクによって形成した感温センサ12と、銀ペーストによって形成したX配線13及びY配線14の電気抵抗の温度依存性を評価した。この評価のために、ガラス基板上に上記した感温センサ12と同じ形状にグラファイトインクを印刷して硬化させた素子とし、その両端をソースメーター(KEITHLEY社製2602B)へと接続した。この素子を加熱炉内に装入して23℃から120℃まで温度を変化させて各温度での抵抗値を測定した。また、X配線13及びY配線14に用いた銀ペーストも、同様の形状に印刷し、ソースメーターと接続して加熱炉内で同様に温度を変化させて抵抗値を測定した。
図6に示すように、感温センサの温度変化に伴う抵抗値の変化は非線形であったが、この抵抗値の変化は繰り返しの温度変化に対して安定性を有し、23℃から120℃までを10往復させた場合であっても、各点における抵抗値の誤差は±5%以内におさまった。直線に近い23℃から80℃までの領域を直線に近似して、傾きである抵抗温度係数を求めたところ、2.7×10-2/℃となった。一方でX配線及びY配線に用いた銀ペーストの温度変化に伴う抵抗値の変化は感温センサに比べて小さく、23℃から80℃までの範囲で近似した抵抗温度係数は6.2×10-3/℃であった。感温センサの抵抗値の変化がX配線及びY配線よりも充分に大きいため、熱線流量計測シート10は適切に動作し得ると考えられた。
図7に示すように、熱線流量計測シート10の導電層3は、直流電源21(MCH-K3010DN)にワニ口クリップで接続され、直流電圧を印加可能とされた。また、熱線流量計測シート10の感温センサ12を含む計測部11は、FPC(Flexible Printed Circuit:フレキシブルプリント基板)22を介して、専用の駆動回路23へ接続された。計測部11はその表面の端部にX配線13及びY配線14をそれぞれ13本ずつ集約しており、これをFPC22に接続された。また、駆動回路23は、各X配線13及び各Y配線14の間の抵抗値、すなわち各感温センサ12の抵抗値を高速でスキャンしつつ計測できる。そして、抵抗値を計測するためのチップ抵抗器と、計測するラインをスキャンするためのマルチプレクサを備える。また、駆動用ソフトウェア24は駆動回路23から計測結果を受け取り、各感温センサ12の抵抗値を感温センサ12の配置に従って作成された表に入力して出力することができる。
図8には、室温中に配置された熱線流量計測シート10の計測結果を示す。X配線13及びY配線14のそれぞれ13本ずつによるマトリクスである計169点の感温センサ12の抵抗値が計測された。各感温センサ12は、それぞれX1~X13とY1~Y13との符号の組み合わせでマトリクス上の位置を表示した。その結果を図8(a)の13×13のセルを有する表に示した。その結果、各抵抗値は12±1kΩのほぼ均一な分布となった。また、図8(b)に示すように、各抵抗値をXY平面の対応する位置上にZ軸方向に示して、隣り合う抵抗値と直線で結んで3次元グラフとして表示した。これによって、抵抗値を高さの変化として視覚的に示し、抵抗値の均一な分布が観察された。
次いで、直流電源21によって導電層3に23Vの電圧を印加したところ、およそ1.5Aの電流が生じた。電圧の印加を開始して1分経過後の熱線流量計測シート10の表面をサーモグラフィーで観測し、その結果を図9(a)に示した。表面の温度は1分経過後から約70℃で安定した。また、その状態での各感温センサ12の抵抗値を図9(b)の表及び図9(c)の3次元グラフに示した。各感温センサ12の抵抗値は38±1kΩとなり、熱線流量計測シート10の表面が均一な温度に加熱されて抵抗値も均一に上昇していることが確認された。
さらに、図10(a)に示すように、このように加熱された熱線流量計測シート10の気流供給エリアA1に気流を供給した。すなわち、感温センサ12の位置でX方向にはX13側の端部近傍かつY方向の全域を気流供給エリアA1とし、エアブロー装置を用いて風速4m/秒の室温の気流を供給した。図10(b)及び(c)に示すように、マトリクス上のX13の近傍において抵抗値が減少し温度が低下していることが判った。つまり、熱線流量計測シート10が気流供給エリアA1において冷却されており、他の部分よりも気流の速度が高いという気流の速度分布に対応する結果を得た。
同様に、図11(a)に示すように、加熱された熱線流量計測シート10のマトリクスの中央近傍に円形の気流供給エリアA2を設け、エアブロー装置を用いて風速2m/秒の気流を供給した。図11(b)及び(c)に示すように、マトリクス上の中央近傍において抵抗値が減少し温度が低下していることが判った。つまり、熱線流量計測シート10が気流供給エリアA2において冷却されており、他の部分よりも気流の速度が高いという気流の速度分布に対応する結果を得た。
以上のように、動作試験において、熱線流量計測シート10は、マトリクス状に配置された感温センサ12によって気流の速度分布に対応した抵抗値を示すことが確認された。
なお、図12に示すように、他の実施例としての熱線流量計測シート10’として、シートヒータ1と計測部11’とを別々のシート体として作製することもできる。すなわち、シートヒータ1は上記した実施例と同様に作製し、計測部11’をこれとは別の薄膜基板2’上に作製し、これらを両面テープなどの粘着層4で貼り付けるのである。この場合、シートヒータ1により計測部11’を加熱しやすいように、シートヒータ1は導電層3側の面を計測部11’に向けて配置される。
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく改変例について説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例を見出すことができるだろう。
1 シートヒータ
2 薄膜基板
3 導電層
10 熱線流量計測シート
11 計測部
12 感温センサ
13 X配線
14 Y配線

Claims (6)

  1. 2次元面内の気流の流速分布を計測するための熱線流量計測シートであって、
    通電によりジュール熱を発する抵抗体膜を絶縁性の薄膜基板の一方の主面に与えたシートヒータの前記薄膜基板の他方の主面上に、温度により抵抗値を変化させる抵抗変化材料の膜からなる感温センサをXY平面内でマトリクス状に複数配置させてなり、
    前記シートヒータは前記XY平面内に面状に均一な発熱を得るように単一幅の前記抵抗体膜を前記一方の主面内でX方向左右に延びるとともに複数回左右交互に端部で折り返してY方向に蛇行するように与えられており、前記感温センサを前記X方向左右に延びる前記抵抗体膜に沿って前記薄膜基板を間に挟んで並ぶよう配置されていることを特徴とする熱線流量計測シート。
  2. 前記感温センサは、温度に対する抵抗値の変化を線形から外れる一方で、繰り返しの温度変化に対して同じ抵抗値の変化を示すことを特徴とする請求項1記載の熱線流量計測シート。
  3. 前記抵抗変化材料は、導電粒子と樹脂との混合物からなり抵抗温度係数を1×10 -2 /℃よりも大とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱線流量計測シート。
  4. 前記感温センサは、前記抵抗変化材料を単一幅の配線として折り返して配置された前記膜からなることを特徴とする請求項記載の熱線流量計測シート。
  5. 2次元面内の気流の流速分布を計測するための熱線流量計測方法であって、
    通電によりジュール熱を発する抵抗体膜を絶縁性の薄膜基板の一方の主面に与えたシートヒータの前記薄膜基板の他方の主面上に、温度により抵抗値を変化させる抵抗変化材料の膜からなる感温センサをXY平面内でマトリクス状に複数配置させてなり、
    前記シートヒータは前記XY平面内に面状に均一な発熱を得るように単一幅の前記抵抗体膜を前記一方の主面内でX方向左右に延びるとともに複数回左右交互に端部で折り返してY方向に蛇行するように与えられており、前記温度センサを前記X方向左右に延びる前記抵抗体膜に沿って前記薄膜基板を間に挟んで並ぶよう配置されていて
    前記シートヒータによって前記感温センサを加熱しておいて、これに気流を接触させ、奪われる熱量分布を計測することを特徴とする熱線流量計測方法。
  6. 前記感温センサは、温度に対する抵抗値の変化を線形から外れる一方で、繰り返しの温度変化に対して同じ抵抗値の変化を示すことを特徴とする請求項5記載の熱線流量計測方法。



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