以下に添付図面を参照して、本実施の形態の詳細を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態の半導体装置10の一例を示す模式図である。
図1は、半導体装置10の平面図の一例を示す模式図である。図1には、半導体装置10を、厚み方向Zから視認したときの平面図を示した。
半導体装置10は、セル領域10Aと、外周領域10Bと、を備える。セル領域10Aは、シリコン等の半導体基板に複数の縦型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-effect Transistor)が二次元平面に沿って配列された領域である。外周領域10Bは、半導体装置10における、セル領域10A以外の領域である。
図2は、図1の領域Aの拡大模式図である。図3Aは、図2のA1-A1’断面図である。図3Bは、図2のA2-A2’断面図である。図4は、図2のB-B’断面図である。
図3Aに示すように、半導体装置10は、半導体層12と、ゲートソース領域14と、を備える。
ゲートソース領域14は、半導体層12上に設けられ、ゲート電極16およびソース電極18を含む。
図2に示すように、ゲート電極16は、矢印Y方向に延伸して配置されたライン状の電極領域である。また、半導体装置10には、ライン状のゲート電極16が、矢印Y方向に直交する矢印X方向に沿って、間隔を隔てて複数配置されている。
なお、矢印Y方向および矢印X方向は、半導体層12の厚み方向Zに直交する二次元平面上の方向であり、互いに直交する方向である。以下では、矢印Y方向を、ゲート電極16の延伸方向Yと称して説明する場合がある。
図3Aに戻り説明を続ける。半導体層12は、ドレイン層20と、スーパージャンクション部22と、ベース層28と、第1コンタクト領域30と、ソース領域32と、を含む。
ドレイン層20は、ドレイン電極として機能する層である、ドレイン層20は、例えば、n型の不純物をドープされたn+ドレイン層である。
スーパージャンクション部22は、第1導電型の第1半導体カラム24と、第2導電型の第2半導体カラム26とが、半導体層12の厚み方向Zに交差する交差方向(矢印X方向)に沿って交互に配置された構成である。詳細には、第1半導体カラム24と第2半導体カラム26とは、ゲート電極16の延伸方向Yに直交する交差方向(矢印X方向)に、交互に配列されてなる。なお、以下では、交差方向を、交差方向Xと称して説明する場合がある。
第1の導電型は、例えば、n型である。第2の導電型は、例えば、p型である。本実施の形態では、第1の導電型がn型であり、第2の導電型がp型である場合を、一例として説明する。このため、本実施の形態では、スーパージャンクション部22は、p型カラムである第2半導体カラム26と、n型カラムである第1半導体カラム24と、を交互に配置したスーパージャンクション構造である。
第1半導体カラム24は、例えば、第1の導電型の不純物(例えば、リン、ヒ素等)を含有する。第2半導体カラム26は、例えば、第2の導電型の不純物(ホウ素等)を含有する。
第2半導体カラム26のゲートソース領域14側端面には、ベース層28が接触配置されている。ベース層28は、第2の導電型(本実施の形態ではp型)のベース層であり、第2半導体カラム26ごとに設けられている。
ベース層28のゲートソース領域14側には、第1コンタクト領域30およびソース領域32が設けられている。
第1コンタクト領域30は、ベース層28より不純物濃度の高い第2導電型の領域である。具体的には、本実施の形態では、第1コンタクト領域30は、p+コンタクト領域である。第1コンタクト領域30は、第1コンタクト領域30のゲートソース領域14側の端面を介して、ソース電極18に電気的に接続される。
ソース領域32は、第1導電型の領域である。具体的には、本実施の形態では、ソース領域32は、n+ソース領域である。ソース領域32は、ベース層28上に設けられ、第1コンタクト領域30を介して交差方向Xに間隔を隔てて配置されている。
第1コンタクト領域30のゲートソース領域14側端面上には、ソース電極18が設けられている。すなわち、第1コンタクト領域30のゲートソース領域14側端面は、ソース電極18に電気的に接続されている。また、ソース領域32は、ソース領域32のゲートソース領域14側端面の一部を介してソース電極18に接続されている。また、ソース領域32のゲートソース領域14側端面の一部は、ゲート絶縁膜を介して、ゲート電極16に接続されている。
ゲート電極16は、半導体層12のゲートソース領域14側端面における、ソース領域32と、該ソース領域32に対して第1半導体カラム24を介して交差方向Xに隣接する他のソース領域32と、の間の領域に、ゲート絶縁膜を介して配置されている。このため、ソース領域32のゲートソース領域14側端面の一部と、ベース層28のゲートソース領域14側端面と、第1半導体カラム24のゲートソース領域14側端面は、ゲート絶縁膜を介してゲート電極16に電気的に接続されている。
図2に戻り説明を続ける、上述したように、ゲート電極16は、延伸方向Yに延伸されて配置されたライン状の電極である。また、ゲート電極16は、延伸方向Yに交差する交差方向Xに間隔を隔てて複数配列されている。ソース電極18は、ゲート電極16上および交差方向Xに配列された複数のゲート電極16間を埋めるように配置されている。このため、半導体層12のゲートソース領域14側端面における、交差方向Xに隣接するゲート電極16間の領域が、ソース電極18にコンタクトするコンタクト領域Cとして機能する。
本実施の形態の半導体装置10は、更に、第2コンタクト領域34を備える。第2コンタクト領域34は、ソース領域32における、コンタクト領域Cに対向する対向面に設けられている。また、第2コンタクト領域34は、ベース層28より不純物濃度の高い、第2導電型のp+領域である。また、第2コンタクト領域34の延伸方向Yの端部は、延伸方向Yに隣接する第1コンタクト領域30に接触配置されている。
このため、図2に示すように、ソース領域32のコンタクト領域Cに対向する対向面は、第1コンタクト領域30および第2コンタクト領域34の少なくとも一方によって覆われた状態となる。
図3A、図3B、図4を用いて詳細に説明する。
上述したように、図3Aは、図2中のA1-A1’断面図である。言い換えると、図3Aは、半導体装置10を、第1コンタクト領域30を交差方向Xに横切る位置で、厚み方向Zに沿って切断した断面図の一例である。
図3Aに示すように、第2コンタクト領域34は、ソース領域32の表面(外周面)における、ソース電極18とのコンタクト領域Cに対向する対向面Fに設けられている。詳細には、第2コンタクト領域34は、ソース領域32の外周面における、ソース電極18とのコンタクト領域Cに対向する対向面Fの内、平面視でコンタクト領域Cに重なる領域を覆うように配置されている。
平面視でコンタクト領域Cに重なる領域とは、半導体装置10をゲートソース領域14側から厚み方向Zに視認したときに、交差方向Xおよび延伸方向Yの二次元平面における位置および範囲が重なる事を意味する。
図3Bは、上述したように、図2中のA2-A2’断面図である。言い換えると、図3Bは、半導体装置10を、ゲート電極16の延伸方向Yに隣接する2つの第1コンタクト領域30の間を交差方向Xに横切る位置で、厚み方向Zに沿って切断した断面図の一例である。
図3Bに示すように、第2コンタクト領域34は、ソース領域32の表面(外周面)における、ソース電極18とのコンタクト領域Cに対向する対向面Fに設けられている。詳細には、第2コンタクト領域34は、ソース領域32の外周面における、ソース電極18とのコンタクト領域Cに対向する対向面Fの内、平面視でコンタクト領域Cに重なる領域を覆うように配置されている。
図4は、上述したように図2中のB-B’断面図の一例である。第2コンタクト領域34は、ソース領域32の外周面における、コンタクト領域Cに対向する対向面Fの内、平面視でコンタクト領域Cに重なる領域に設けられている。
なお、図4に示すように、第2コンタクト領域34は、外周領域10Bに配置された第1コンタクト領域30における、コンタクト領域Cに対向する対向面に、更に設けられていてもよい。詳細には、図4に示すように、第2コンタクト領域34は、ソース領域32におけるコンタクト領域Cに対向する対向面Fと、外周領域10Bに配置された第1コンタクト領域30における、コンタクト領域Cに対向する対向面F’と、の双方に、配置されていてもよい。
上述したように、本実施の形態の半導体装置10は、第2コンタクト領域34を備える。第2コンタクト領域34を設けることで、半導体装置10には、平面視でコンタクト領域Cに重なる全領域に、延伸方向Yに沿って第2コンタクト領域34および第1コンタクト領域30によるp+領域が連続して形成された状態となる。
なお、第2コンタクト領域34は、第1コンタクト領域30と同じ種類の不純物が同じ濃度でドープされた領域であることが好ましい。
次に、本実施の形態の半導体装置10の作用を、図5を用いて説明する。
図5は、半導体装置10の一部を拡大して模式的に示した立体図である。詳細には、図5は、図2の領域Dを拡大して示した立体図の一例である。
半導体装置10のドレイン層20に逆バイアスを印加すると、第2半導体カラム26の厚み方向Zの中心部でホール電流が発生する(ステップS1)。発生したホール電流は、ベース層28の表面に到達すると、ソース領域32に沿って、ゲート電極16の延伸方向Yに流れる(ステップS2)。
本実施の形態では、ソース領域32における、ソース電極18とのコンタクト領域Cに対向する対向面Fに、第2コンタクト領域34が設けられている。このように、ソース領域32の直下にp+領域である第2コンタクト領域34が配置されているため、p+領域である第1コンタクト領域30におけるホール電流の引き上げを促進させることが可能となる。また、ソース領域32の直下の第2コンタクト領域34が配置されているため、ホール電流の、半導体装置10のチャネル領域の端部表面の近傍への集中が抑制される。
そして、ホール電流は、ソース領域32の直下に設けられた第2コンタクト領域34を介して、第1コンタクト領域30へ流れ込む(ステップS3)。
ここで、従来の比較半導体装置では、ドレイン層20への逆バイアスの印加により、ホール電流の一部が、チャネル領域の端部表面の近傍へ集中していた。
図6および図7は、従来の比較半導体装置100の一例を示す模式図である。図6は、比較半導体装置100の平面図の一例を示す模式図である。図6は、比較半導体装置100における、図1の半導体装置10の領域Aの部分に相当する部分を拡大した模式図である。図7は、図6に示す比較半導体装置100の、B-B’断面図である。
図6および図7に示すように、比較半導体装置100は、第2コンタクト領域34を備えない点以外は、本実施の形態の半導体装置10と同様の構成である。
比較半導体装置100のドレイン層20に逆バイアスを印加すると、第2半導体カラム26の厚み方向Zの中心部で発生したホール電流の大部分は、第1コンタクト領域30に直接流れ込む。しかし、比較半導体装置100では、一部のホール電流が、チャネル領域の端部表面の近傍に集中する。このようホール電流の集中は、ゲート閾値の変動、および、ソース-ドレイン間のリーク電流増加、などが発生し、比較半導体装置100の特性に変動を生じさせていた。
図8A~図10は、ホール電流の集中の実験結果を示す図である。
図8Aは、本実施の形態の半導体装置10の模式図である。図8Bは、比較半導体装置100の模式図である。
図9は、半導体装置10および比較半導体装置100の、ソース領域32の直下の領域の不純物濃度の測定結果を示す図である。図9の縦軸は、不純物濃度を示し、横軸は、厚み方向Zの深さを示す。
図9中、線図40は、図8Bに示す比較半導体装置100のF-F’断面における不純物濃度の測定結果を示す線図である。線図42は、図8Aに示す半導体装置10のF-F’断面における、不純物濃度の測定結果を示す線図である。線図44および線図46については後述する。
図9に示すように、半導体装置10におけるソース領域32の直下には、不純物濃度の高いp型の領域である第2コンタクト領域34が形成されていた。一方、比較半導体装置100におけるソース領域32の直下には、第2コンタクト領域34は形成されていなかった。
このような構成の半導体装置10および比較半導体装置100の各々のドレイン層20へ、逆バイアスを印加すると、図8Aおよび図10に示す結果が得られた。詳細には、図8Bに示すように、比較半導体装置100では、広い範囲でホール電流の集中が発生していた(図8B中、ホール電流集中領域E1参照)。一方、図8Aに示すように、本実施の形態の半導体装置10では、比較半導体装置100よりホール電流の集中範囲が狭かった(ホール電流集中領域E2参照)。
図10の縦軸は、ホール電流密度を示す。図10の横軸は、半導体装置10および比較半導体装置100の各々の半導体層12のゲートソース領域14側端面における、ゲート電極16の延伸方向Yに平行であり、且つ、ソース領域32とベース層28との境界を通るライン(図8A中ラインL1、図8B中ラインL2参照)上における位置を示す。
図10中、線図50は、図8Bに示す比較半導体装置100の、上記ラインL2における延伸方向Yの位置とホール電流密度との関係を示す線図である。線図52は、図8Aに示す半導体装置10の、上記ラインL1における延伸方向Yの位置とホール電流密度との関係を示す線図である。線図54および線図56については後述する。
図10に示すように、線図52で表される本実施の形態の半導体装置10は、線図50で表される比較半導体装置100に比べて、ホール電流密度が低く、ホール電流の集中が抑制されていた。
これは、本実施の形態の半導体装置10は、第2コンタクト領域34を備えた構成であるため、第1コンタクト領域30におけるホール電流の引き上げが促進されるためと考えられる。
このため、本実施の形態の半導体装置10では、ホール電流の集中が抑制されると考えられる。
以上説明したように、本実施の形態の半導体装置10は、第2コンタクト領域34を備える。第2コンタクト領域34は、ソース領域32におけるソース電極18とのコンタクト領域Cに対向する対向面Fに設けられ、ベース層28より不純物濃度の高い第2導電型のコンタクト領域である。
このため、本実施の形態の半導体装置10は、ホール電流の集中が抑制され、ゲート閾値の変動、および、ドレイン-ソース間のリーク電流増加を抑制することができる。
従って、本実施の形態の半導体装置10は、特性変動の抑制を図ることができる。
なお、第2コンタクト領域34は、セル領域10A内の少なくとも一部のMOSFETにおける、ソース領域32の直下(コンタクト領域Cとの対向面F)に設けられた構成であればよく、全てのソース領域32の直下に設けられた形態に限定されない。
例えば、第2コンタクト領域34は、半導体装置10のセル領域10Aにおける、少なくともセル領域10Aの周縁に配置されたMOSFETのソース領域32について、ソース領域32の直下に第2コンタクト領域34を配置した構成であってもよい。
なお、第2コンタクト領域34は、セル領域10Aに含まれる全てのMOSFETのソース領域32の直下、および外周領域10Bの第1コンタクト領域30の直下に配置されていてもよい。すなわち、第2コンタクト領域34は、平面視で半導体装置10におけるコンタクト領域Cの全領域を覆うように配置されていてもよい。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、ソース領域32を分割して配置することで、特性変動の抑制を実現する形態を説明する。
なお、上記実施の形態と同じ部分については、同じ符号を付与して詳細な説明を省略する場合がある。
図11は、本実施の形態の半導体装置11の二次元平面図である。図11は、図1に示す半導体装置11の領域Aの拡大模式図である。図12は、図11のB-B’断面図である。
なお、図11における、第1コンタクト領域30を交差方向Xに横切る位置で厚み方向Zに沿って切断した断面図、および、ゲート電極16の延伸方向Yに隣接する2つの第1コンタクト領域30の間を交差方向Xに横切る位置で厚み方向Zに沿って切断した断面図は、各々、第2コンタクト領域34を備えない点以外は、上記実施の形態の図3A、図3Bと同様である。
すなわち、半導体装置11は、上記実施の形態の半導体装置10と同様に、半導体層12と、ゲートソース領域14と、を備える。但し、本実施の形態の半導体装置11は、第2コンタクト領域34を備えない構成である。
図11に示すように、本実施の形態では、ソース領域32は、分割ソース領域32Aからなる。
詳細には、本実施の形態の半導体装置11では、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、ゲート電極16の延伸方向Yに少なくとも3以上の領域に分割された複数の分割ソース領域32Aからなる。
単位セル領域Qとは、動作領域であるセル領域10A(図1参照)を、動作単位である縦型MOSFET1つ分の領域毎に分割した、各領域を示す。言い換えると、単位セル領域Qは、セル領域10Aの二次元平面(延伸方向Yおよび交差方向Xからなる二次元平面)を、交差方向Xに1つのゲート電極16を含む長さごとに区切り、且つ、延伸方向Yに該長さごとに区切ることで形成される、各区画領域である。
上記実施の形態では、図2および図4に示すように、1つの単位セル領域Qには、1つのゲート電極16と2つのソース領域32とが配置されていた。一方、本実施の形態では、図11および図12に示すように、1つの単位セル領域Qに対して、3つ以上の分割ソース領域32Aが配置されてなる。
すなわち、本実施の形態では、単位セル領域Qごとに、3つ以上の分割ソース領域32Aが、ゲート電極16の延伸方向Yに沿ってソース領域32と交互に配列された構成である。
ここで、上記実施の形態で説明したように、単位セル領域Qに含まれるソース領域32は、通常、延伸方向Yに2つ配列された構成である(図2、図4参照)。一方、本実施の形態の半導体装置11は、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、延伸方向Yに3つ以上に分割された複数の分割ソース領域32Aから構成されている。このため、1つの単位セル領域Qに含まれる、複数の分割ソース領域32Aの各々の面積は、従来および上記実施の形態に比べて小さくなる。
なお、図11および図12には、1つの単位セル領域Qに含まれる分割ソース領域32Aが、ゲート電極16の延伸方向Yに沿って3つに分割された形態を一例として示した。しかし、1つの単位セル領域Qに含まれる分割ソース領域32Aは、3つ以上であればよく、分割数は3つに限定されない。
次に、本実施の形態の半導体装置11の作用を、図13を用いて説明する。
図13は、半導体装置11の一部を拡大して模式的に示した立体図である。詳細には、図13は、図11の領域Gを拡大して示した立体図の一例である。
半導体装置11のドレイン層20に逆バイアスを印加すると、第2半導体カラム26の厚み方向Zの中心部でホール電流が発生する(ステップS10)。発生したホール電流は、ベース層28の表面に到達すると、複数の分割ソース領域32Aの配列方向に沿って、ゲート電極16の延伸方向Yに流れる(ステップS11)。このとき、本実施の形態では、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、少なくとも3以上の分割ソース領域32Aに分割されている。このため、延伸方向Yに隣接する1つの分割ソース領域32Aと第1コンタクト領域30とからなる1ブロック当りのホール電流が減少し、ホール電流の、半導体装置10のチャネル領域の端部表面の近傍への集中が抑制される。そして、ホール電流は、第1コンタクト領域30へ流れ込む(ステップS12)。
また、図13、および図9~図10には、ホール電流の集中の実験結果を示した。
図9中、線図44は、図13に示す本実施の形態の半導体装置11のF-F’断面における、不純物濃度の測定結果を示す線図である。図9の線図44に示すように、半導体装置11における分割ソース領域32Aの直下には、不純物濃度の高いp型の領域である第2コンタクト領域34は形成されていなかった。
図13に示すように、本実施の形態の半導体装置11のドレイン層20へ、逆バイアスを印加すると、図13に示すホール電流集中領域E3が得られた。図13に示すように、本実施の形態の半導体装置11は、図8Bに示す比較半導体装置100に比べて、ホール電流の集中の範囲が狭かった。
また、図10中、線図54は、図13に示す半導体装置11の、ラインL3における延伸方向Yの位置とホール電流密度との関係を示す線図である。ラインL3は、半導体装置11の半導体層12のゲートソース領域14側端面における、ゲート電極16の延伸方向Yに平行であり、且つ、分割ソース領域32Aとベース層28との境界を通るラインである。
図10に示すように、線図54で表される本実施の形態の半導体装置11は、線図50で表される比較半導体装置100に比べて、ホール電流密度が低く、ホール電流の集中が抑制されていた。
これは、本実施の形態の半導体装置11は、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、ゲート電極16の延伸方向Yに少なくとも3以上の領域に分割された複数の分割ソース領域32Aからなる構成であるためと考えられる。すなわち、ホール電流の集中が、分割された複数の分割ソース領域32Aによって分割されるためと考えられる。
このため、本実施の形態の半導体装置11では、ホール電流の集中が抑制されると考えられる。
以上説明したように、本実施の形態の半導体装置11は、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、ゲート電極16の延伸方向Yに少なくとも3以上の領域に分割された複数の分割ソース領域32Aからなる。
このため、本実施の形態の半導体装置10は、ホール電流の集中が抑制され、ゲート閾値の変動、および、ドレイン-ソース間のリーク電流増加を抑制することができる。
従って、本実施の形態の半導体装置11は、特性変動の抑制を図ることができる。
(第3の実施の形態)
なお、半導体装置を、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせた構成としてもよい。すなわち、単位セル領域Qに含まれるソース領域32を3以上の領域に分割された複数の分割ソース領域32Aからなる構成とすると共に、第2コンタクト領域34を備えた構成としてもよい。
図14は、本実施の形態の半導体装置13の二次元平面図である。図14は、図1に示す半導体装置13の領域Aの拡大模式図である。図15は、図14のB-B’断面図である。図16は、第3の実施の形態の半導体装置の立体図である。
なお、図14における、第1コンタクト領域30を交差方向Xに横切る位置で厚み方向Zに沿って切断した断面図、および、ゲート電極16の延伸方向Yに隣接する2つの第1コンタクト領域30の間を交差方向Xに横切る位置で厚み方向Zに沿って切断した断面図は、各々、上記実施の形態の図3A、図3Bと同様である。
図11に示すように、本実施の形態では、ソース領域32は、分割ソース領域32Aからなる。本実施の形態の半導体装置13では、第2の実施の形態の半導体装置11と同様に、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、ゲート電極16の延伸方向Yに少なくとも3以上の領域に分割された複数の分割ソース領域32Aからなる。
また、本実施の形態の半導体装置13には、第1の実施の形態の半導体装置10と同様に、第2コンタクト領域34が設けられている。第2コンタクト領域34は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、第2コンタクト領域34は、分割ソース領域32A(ソース領域32)における、コンタクト領域Cに対向する対向面Fに設けられている。また、第2コンタクト領域34は、第1コンタクト領域30に接触配置され、且つ、ベース層28より不純物濃度の高い、第2導電型のp+領域である。
このため、図14に示すように、分割ソース領域32Aの各々のコンタクト領域Cに対向する対向面は、第1コンタクト領域30および第2コンタクト領域34の少なくとも一方によって覆われた状態となる。
図15を用いて詳細に説明する。図15に示すように、第2コンタクト領域34は、分割ソース領域32Aの外周面における、コンタクト領域Cに対向する対向面Fの内、平面視でコンタクト領域Cに重なる領域に設けられている。
そして、第2コンタクト領域34は、交差方向Xまたは延伸方向Yに隣接する第1コンタクト領域30に接触配置され、ベース層28より不純物濃度の高いp+領域である。
このため、第2コンタクト領域34を設けることで、第2コンタクト領域34および第1コンタクト領域30によって、平面視でコンタクト領域Cに重なる全領域に、p+領域が連続して形成された状態となる。
なお、第1の実施の形態と同様に、第2コンタクト領域34は、外周領域10Bに配置された第1コンタクト領域30における、コンタクト領域Cに対向する対向面F’に、更に設けられていてもよい。詳細には、図15に示すように、第2コンタクト領域34は、分割ソース領域32Aにおけるコンタクト領域Cに対向する対向面Fと、外周領域10Bに配置された第1コンタクト領域30における、コンタクト領域Cに対向する対向面F’と、の双方に、配置されていてもよい。
また、第1の実施の形態と同様に、第2コンタクト領域34は、半導体装置10のセル領域10Aにおける、少なくともセル領域10Aの周縁に配置されたMOSFETの分割ソース領域32Aについて、分割ソース領域32Aの直下に第2コンタクト領域34を配置した構成であってもよい。
次に、本実施の形態の半導体装置13の作用を、図16を用いて説明する。
半導体装置13のドレイン層20に逆バイアスを印加すると、第2半導体カラム26の厚み方向Zの中心部でホール電流が発生する。発生したホール電流は、ベース層28の表面に到達すると、複数の分割ソース領域32Aの配列方向に沿って、ゲート電極16の延伸方向Yに流れる。また、ホール電流は、分割ソース領域32Aの直下に設けられた第2コンタクト領域34を介して、第1コンタクト領域30へ流れ込む。
本実施の形態では、分割ソース領域32Aの直下にp+領域である第2コンタクト領域34が配置されているため、p+領域である第1コンタクト領域30におけるホール電流の引き上げを促進させることが可能となる。また、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、少なくとも3以上の分割ソース領域32Aに分割されている。このため、延伸方向Yに隣接する1つの分割ソース領域32Aと第1コンタクト領域30とからなる1ブロック当りのホール電流が減少し、ホール電流の、半導体装置10のチャネル領域の端部表面の近傍への集中が抑制される。このため、ホール電流の集中が抑制される。
図9~図10には、ホール電流の集中の実験結果を示した。
図9中、線図46は、図14に示す本実施の形態の半導体装置13のA1-A1’断面における、不純物濃度の測定結果を示す線図である。図9の線図46に示すように、半導体装置11における分割ソース領域32Aの直下には、不純物濃度の高いp型の領域である第2コンタクト領域34が形成されていた。
本実施の形態の半導体装置13のドレイン層20へ、逆バイアスを印加すると、ホール電流集中領域は発生しなかった。
また、図10中、線図56は、図14、図15、および図16に示す半導体装置13の、ラインにおける延伸方向Yの位置とホール電流密度との関係を示す線図である。このラインは、半導体装置13の半導体層12のゲートソース領域14側端面における、ゲート電極16の延伸方向Yに平行であり、且つ、分割ソース領域32Aとベース層28との境界を通るラインである。
図10に示すように、線図56で表される本実施の形態の半導体装置13は、線図50で表される比較半導体装置100に比べて、ホール電流密度が低く、ホール電流の集中が抑制されていた。また、線図56で表される本実施の形態の半導体装置13は、線図52および線図54で表される上記実施の形態の半導体装置10および半導体装置11に比べて、ホール電流密度が更に低く、ホール電流の集中が更に抑制されていた。
これは、本実施の形態の半導体装置13は、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、ゲート電極16の延伸方向Yに少なくとも3以上の領域に分割された複数の分割ソース領域32Aからなる構成であり、且つ、第2コンタクト領域34を備えた構成であるためと考えられる。
このため、本実施の形態の半導体装置13では、ホール電流の集中が更に抑制されると考えられる。
以上説明したように、本実施の形態の半導体装置13は、第2コンタクト領域34を備える。また、半導体装置13は、単位セル領域Qに含まれるソース領域32が、ゲート電極16の延伸方向Yに少なくとも3以上の領域に分割された複数の分割ソース領域32Aからなる。
このため、本実施の形態の半導体装置10は、ホール電流の集中が抑制され、ゲート閾値の変動、および、ドレイン-ソース間のリーク電流増加を抑制することができる。
従って、本実施の形態の半導体装置13は、特性変動の抑制を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態および変形例を説明したが、これらの実施の形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。