JP7365748B2 - アルカリ水電解用隔膜の製造方法 - Google Patents
アルカリ水電解用隔膜の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7365748B2 JP7365748B2 JP2019222898A JP2019222898A JP7365748B2 JP 7365748 B2 JP7365748 B2 JP 7365748B2 JP 2019222898 A JP2019222898 A JP 2019222898A JP 2019222898 A JP2019222898 A JP 2019222898A JP 7365748 B2 JP7365748 B2 JP 7365748B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diaphragm
- water electrolysis
- resin
- alkaline water
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/36—Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
Description
無機粒子を含むアルカリ水電解用隔膜においては、無機粒子の脱落が発生し、安定性ならびに量産性が低下する問題があった。そのため、無機粒子の脱落が抑制され、安定性ならびに量産性に優れた隔膜が求められていた。
水分定量方法(I):気化式カールフィッシャー
樹脂混合液のサンプル量 0.2g
窒素流量 600mL/min
気化温度 200℃
測定時間 30分
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法は、有機高分子樹脂(R)と無機粒子とを含む樹脂混合液であって、下記水分定量方法(I)で測定された水の含有量が該有機高分子樹脂(R)100質量%に対して21質量%以下である該樹脂混合液を用いて塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を、該有機高分子樹脂(R)に対する非溶媒に浸漬する凝固工程とを含む。
水分定量方法(I):気化式カールフィッシャー
樹脂混合液のサンプル量 0.2g
窒素流量 600mL/min
気化温度 200℃
測定時間 30分
上記塗膜形成工程では、上記有機高分子樹脂(R)[以下、単に樹脂(R)という場合がある]と上記無機粒子とを含む樹脂混合液を用いて塗膜を形成する。上記樹脂混合液では、上記水分定量方法(I)で測定された水の含有量が該有機高分子樹脂(R)100質量%に対して21質量%以下である。
上記塗膜形成工程は、無機粒子分散液調製工程ならびに樹脂混合液調製工程を含むことが好ましい。
上記無機粒子分散液調製工程では、上記無機粒子を溶媒と混合して上記無機粒子分散液を調製する。後述の樹脂混合液調製工程において上記無機粒子を上記樹脂(R)と混合する場合、予め上記無機粒子を溶媒に分散させた無機粒子分散液を調製してから上記樹脂(R)と混合することが好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法では、上記無機粒子を使用することにより、好ましくは、上記無機粒子間あるいは上記無機粒子と上記樹脂(R)との空隙部分に電解液が満たされてイオン透過性を発揮するアルカリ水電解用隔膜を製造することができる。また、上記無機粒子を含むことにより、好ましくはアルカリ水電解用隔膜が親水化し、水の電気分解において発生する酸素ガスや水素ガスが隔膜に付着して電気分解の妨げになることを抑制することができる。
本明細書中、アスペクト比とは、最長径aと最短径bとの比(a/b)を意味し、粉体状の無機粒子をSEMで観察し、得られた画像の任意の10粒子において、解析ソフト等を使用して、各粒子の最長径aと最短径bとの比(a/b)を測定し、それらの比の単純平均値をその粒子のアスペクト比として求めることができる。
上記無機粒子を分散させるための溶媒としては、後に混合する上記樹脂(R)を溶解し得る性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、トルエン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、上記無機粒子の分散性が良好となる点で、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
上記無機粒子分散液中の上記無機粒子に対する上記溶媒の使用量は、上記無機粒子100質量部に対して、50~100質量部が好ましく、50~90質量部がより好ましく、50~80質量部がさらに好ましい。
上記無機粒子分散液には分散剤を添加しても良い。上記分散剤としては、カチオン系界面活性剤;アニオン系面活性剤;カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基等の親水性官能基を有する従来公知の顔料分散剤等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、分子内に炭素数5以上の炭化水素鎖を有するカチオン系界面活性剤がより好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、分子内に炭素数5以上の炭化水素鎖を有するアニオン系界面活性剤がより好ましい。
ポリマー顔料分散剤としては、親水性官能基を有するポリマーであれば特に制限されないが、炭素数が5以上の炭化水素鎖を主鎖または側鎖に有するポリマーであることが好ましく、さらに構成単位(繰り返し単位)として炭素数が5以上の炭化水素鎖を含むポリマーであることがより好ましく、構成単位として炭素数が5以上のポリエステルあるいはポリエーテルを含むポリマーであることがさらに好ましい。
また、後者の場合、炭素数が5以上の炭化水素鎖を含む構成単位のみを繰返し単位として含むブロックと他の構成単位から構成されるブロックとからなるポリマーであっても、分子内に、炭素数が5以上の炭化水素鎖を含む構成単位と他の構成単位とがランダムに繋がった構造のポリマーであってもよい。
上記分散剤の使用量は、溶媒100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、1.2~8.0質量部がより好ましく、1.5~5.0質量部以下がさらに好ましい。このようにすることにより、無機粒子の分散安定性をより効果的に向上できる。
上記樹脂混合液調製工程では、上記無機粒子分散液調製工程で調製された上記無機粒子分散液に、上記樹脂(R)を混合して樹脂混合液を調製する。
有機高分子樹脂(R)は好ましくは上記無機粒子を保持し、上記無機粒子を保持する隔壁として機能でき、上記無機粒子の親水性表面の減少を最小限なものとしながら、アルカリ溶液中で隔膜から上記無機粒子が脱落するのを抑制することができる。
上記樹脂混合液を混合する方法としては、上記無機粒子分散液調製工程で記載した混合分散の手段と同様の手段が挙げられる。
上記樹脂混合液を調製する場合には、溶媒を使用しても良い。使用する溶媒としては、上記樹脂(R)を溶解する性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、トルエン等が挙げられる。なかでも、上記無機粒子と上記樹脂(R)がより均一に分散・混合できる点で、上記無機粒子分散液の調製に使用した溶媒と同じ溶媒が好ましい。
上記無機粒子分散液と上記樹脂溶液とを混合する場合、上記無機粒子分散液中の溶媒と上記樹脂溶液中の溶媒との合計含有量は、上記無機粒子分散液と上記樹脂溶液との合計質量100質量%に対して、30~75質量%であることが好ましい。より好ましくは、35~70質量%であり、さらに好ましくは、40~65質量%である。アルカリ水電解用隔膜の空隙率を好ましい範囲に調整するためにはこのような割合で溶媒を用いることが好ましい。
上記樹脂混合液には、親水性添加剤を添加しても良い。上記親水性添加剤としては、有機親水性添加剤であっても良く、無機親水性添加剤であってもよい。上記有機親水性添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、分子量10万未満のポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、デキストラン等の水溶性ポリマー;界面活性剤;グリセリン;糖類等が挙げられる。上記無機親水性添加剤としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム等が挙げられる。親水性添加剤の使用量は、分散液中の無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましい。
好ましくは上記無機粒子分散液調製工程ならびに上記樹脂混合液調製工程を経て得られた、上記樹脂(R)と上記無機粒子とを含む上記樹脂混合液では、下記水分定量方法(I)で測定された水の含有量が上記樹脂(R)100質量%に対して21質量%以下である。上記水の含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。上記樹脂混合液の上記水の含有量を上記範囲とすることにより、最終的に得られるアルカリ水電解用隔膜を、無機粒子の脱落が抑制され、安定性ならびに量産性に優れたものとすることができる。
水分定量方法(I):気化式カールフィッシャー
樹脂混合液のサンプル量 0.2g
窒素流量 600mL/min
気化温度 200℃
測定時間 30分
なお、上記樹脂混合液では、上記樹脂(R)を含んでいるため、通常のカールフィッシャー装置では、脱水溶剤で樹脂が凝固して電極に付着するため測定が困難である。本発明では、気化式カールフィッシャーにて、溶媒と水分のみを揮発させて定量することにより、上記樹脂混合液中の水分の定量が可能となった。
上記樹脂混合液を用いて塗膜を形成する方法としては、例えば、上記樹脂混合液を基材上に塗布する方法や、上記樹脂混合液中に基材を浸漬させ、上記樹脂混合液が含浸した基材を得る方法等が挙げられる。なかでも、簡便に塗膜を形成できる点で、上記樹脂混合液を基材上に塗布する方法が好ましい。
多孔性支持体を含むアルカリ水電解用隔膜を製造する場合は、上記基材として多孔性支持体を使用してもよい。上記多孔性支持体は、多孔質の有機ポリマーであり、イオン透過性を阻害せず、アルカリ水電解用隔膜の支持体となり得る部材である。上記多孔性支持体は、シート状の部材であることが好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法は、上記塗膜を、上記樹脂(R)に対する非溶媒に浸漬する凝固工程を含む。上記塗膜を非溶媒に浸漬させることにより、上記塗膜中に非溶媒が拡散し、非溶媒に溶解しない上記樹脂(R)が凝固する。一方、非溶媒に溶解しうる塗膜中の溶媒は、塗膜から溶出する。このように相分離が生じることにより、上記樹脂(R)(及び無機粒子)が凝固し、多孔質膜が形成される。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法では、上記非溶媒に浸漬する時の上記塗膜の水の含有量が、上記樹脂(R)100質量%に対して27質量%以下であることが好ましい。換言すれば、水の含有量が、上記樹脂(R)100質量%に対して27質量%以下である上記塗膜を、上記非溶媒に浸漬することが好ましい。
ここで、上記図1を用いて説明すると、上記塗膜13を凝固工程に付すまでの工程17は、絶対湿度20g/m3以下の環境で1分以内であることが好ましい。工程17の絶対湿度は、17g/m3以下がより好ましく、15g/m3以下がさらに好ましい。また、工程17に要する時間は、0.5分以内であることがより好ましく、0.25分以内であることがさらに好ましい。工程17をこのように制御することにより、塗膜の吸湿を抑えた状態で非溶媒に浸漬できる。そして、無機粒子の脱落がより抑制され、安定性ならびに量産性に優れたアルカリ水電解用隔膜を提供できる。
上記非溶媒としては、上記樹脂(R)を実質的に溶解しない性質を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、イオン交換水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;又はこれらの混合溶媒等が好ましく使用できる。経済性と廃液処理の観点からはイオン交換水が好ましい。また上記非溶媒は、上述した成分以外に、塗膜中に含まれる溶媒と同様の溶媒を少量含んでいてもよい。
上記塗膜の乾燥温度としては、60~120℃が好ましい。
乾燥時間としては、0.5~120分が好ましく、1~60分がより好ましく、1~30分がさらに好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の製造方法で得られるアルカリ水電解用隔膜は、有機高分子樹脂(R)と無機粒子とを含む。上記アルカリ水電解用隔膜は、多孔性支持体を含んでいてもよい。有機高分子樹脂(R)、無機粒子、多孔性支持体については、上記アルカリ水電解用隔膜の製造方法の項で示した好ましい形態を含む形態と同じ態様である。
上記アルカリ水電解用隔膜が上記多孔性支持体を含む場合は、上記無機粒子の含有量は、好ましくはアルカリ水電解用隔膜100質量%中30~50質量%、より好ましくは32~48質量%、さらに好ましくは35~45質量%である。
また、有機ポリマーに対して、上記無機粒子を150体積%以上(即ち、有機ポリマーの体積の1.5倍の体積量以上)含むことが好ましい。ここで有機ポリマーとは、上記アルカリ水電解用隔膜が上記多孔性支持体を含む場合は、上記樹脂(R)と上記多孔性支持体とを含み、上記アルカリ水電解用隔膜が上記多孔性支持体を含まない場合は、上記樹脂(R)を指す。
また、上記アルカリ水電解用隔膜は、上述した単膜層2は無くても良く、無機粒子と上記樹脂(R)と上記多孔性支持体とが一体化した支持体層3としての複合体であってもよい。上記複合体とすることにより、アルカリ水電解用隔膜の強度と靭性を向上させることができる。
空隙率(%)=[1-(実測密度値)/(計算密度値)]×100
実測密度値は、得られた隔膜の任意の場所から切り出した試験片について、質量と体積を測定し、質量を体積で除すことにより算出できる。体積は、試験片の縦方向の長さ、横方向の長さを、ノギスを用いて測定、膜厚を上記膜厚測定方法に基づき測定することにより算出できる。また、試験片の質量は、体積を測定した試験片について小数点以下4桁の精密天秤を用いて測定できる。
また、上述した多孔性支持体を含む場合、上記アルカリ水電解用隔膜の厚みは、好ましくは50~2000μm、より好ましくは100~1000μm、さらに好ましくは100~500μm、最も好ましくは150~300μmである。
上記アルカリ水電解用隔膜は、アルカリ水電解装置の部材として用いられる。上記アルカリ水電解装置としては、例えば、陽極、陰極、及び、陽極と陰極の間に配置された上記アルカリ水電解用隔膜を含むものが挙げられる。より具体的には、上記アルカリ水電解装置は、上記アルカリ水電解用隔膜によって隔てられた、陽極が存在する陽極室と、陰極が存在する陰極室とを有する。
陽極、及び陰極としては、ニッケル又はニッケル合金等を含む導電性基体等、公知の電極が挙げられる。
上記アルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置を用いて行う水の電気分解の方法は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、上述したアルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置に、電解液を充填し、電解液中で電流を印加することにより行うことができる。
上記電解液としては、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の電解質を溶解したアルカリ性水溶液が用いられる。上記電解液における電解質の濃度は、特に限定されないが、電解効率がより一層向上し得る点で、20~40質量%であることが好ましい。
また、電気分解を行う場合の温度としては、電解液のイオン伝導性がより向上し、電解効率がより一層向上し得る点で、50~120℃が好ましく、80~90℃がより好ましい。電流の印加条件は、公知の条件・方法で行うことができる。
(1.水酸化マグネシウム分散液の調製)
水酸化マグネシウム(平均粒子径0.28μm)とN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)を質量比1:1となるよう混合し、ジルコニアメディアボールを入れた密閉式のポットミルにて、室温で6時間分散処理を行うことにより水酸化マグネシウム分散液を調製した。
ポリスルホン樹脂(BASF社製、品番ウルトラゾーンS3010、25℃での接触角80~90°)を30質量%の濃度で80~100℃にてN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)に熱溶解させた。
上記で得られた水酸化マグネシウム分散液とポリスルホン樹脂溶解液とを、固形分が48質量%かつ水酸化マグネシウム100質量部に対してポリスルホン樹脂(PSU)が25質量部になるように計量し、自転公転ミキサー(シンキー社製、品番あわとり練太郎ARE-500)にて室温で1000rpmで約10分間混合した。得られた混合液を、SUSの200メッシュで濾過することで塗液を得た。
塗液の水の含有量を、平沼産業社製気化式カールフィッシャー(型番AQ-2200)にて、下記の条件で測定した。
水分定量方法(I):気化式カールフィッシャー
樹脂混合液のサンプル量 0.2g(容器底面積2.5cmφ)
窒素流量 600mL/min
気化温度 200℃
測定時間 30分
陽極液 HYDRANAL Coulomat AK(Honeywell社製)
陰極液 HYDRANAL Coulomat CG-K(Honeywell社製)
塗液の水分は樹脂に対して4.2質量%であった。
ポリフェニレンサルファイド不織布(東レ社製、トルコンペーパー#100)上に、乾燥後の隔膜の厚みが全体で250μmになるように塗布し、不織布に塗液を完全に含浸させた。
塗液を含浸させた不織布を、絶対湿度15g/m3以下の環境で0.25分以内に水を満たした水槽に浸漬した。その後、室温にて10分間水浴させ、塗液を凝固させて膜を形成し、水浴後、得られた膜を水から取り出した。
膜を取り出した後の水槽内の水の濁りを目視で観察した。水の濁りは観察されなかった。
水浴後、水から取り出した膜を、乾燥機にて80℃で、30分間乾燥し、不織布と水酸化マグネシウム及びポリスルホン樹脂を含む膜との複合体からなるアルカリ水電解用隔膜1を得た。
アルカリ水電解用隔膜1の厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定した。任意10点を測定し、その平均値を膜厚とした。膜厚は273μmであった。
アルカリ水電解用隔膜1について、リキッドポロシメーター(Porous Materials社製)を用いてバブルポイント値を測定した。具体的には、2.5cmφの隔膜をイソプロパノール中に室温で1時間浸漬させて十分に湿潤させた後、フッ素系溶剤であるGalwick(Porous Materials社製)を隔膜上に満たした。隔膜に対するガス圧を昇圧させていき、イソプロパノールの液膜が破壊されて、Galwickが膜を透過して天秤でその重量を観測した時点のガス圧をバブルポイント値とした。上記隔膜のバブルポイント値は、550kPaであった。
アルカリ水電解用隔膜1について、下記測定方法によりイオン伝導度を測定した。その結果、176mS/cmであった。
(測定方法)
測定用の隔膜試料を2枚準備する。
各隔膜試料を用いて、以下のセル構成で形成したセルを25℃の恒温槽内で30分静置した後、以下の測定条件で交流インピーダンス測定を行い、得られた切片成分(Ra)と測定サンプルを入れない場合の切片成分(Rb)および上記膜厚測定方法により得られた膜厚の値を用いて、下記式によりイオン伝導度を測定する。
隔膜試料2枚について上記測定を行い、得られた測定値(2点)の平均値を算出し、これを隔膜のイオン伝導度とする。
[イオン伝導度(mS/cm)]=[膜厚(cm)]÷[(Ra-Rb)×1000×1.77]
(測定条件)
・セル構成
作用極:Ni板
対極 :Ni板
電解液:30質量%水酸化カリウム水溶液
サンプル前処理:上記電解液に1晩浸漬
測定有効面積:1.77cm2
・交流インピーダンス測定条件
印加電圧:10mV vs.開回路電圧
周波数領域:100kHz~100Hz
アルカリ水電解用隔膜1をアルカリ液に浸漬し、膜成分の脱落を目視で観察したところ、膜成分の脱落は観察されなかった。
アルカリ水電解用隔膜1については、上記の各評価結果より、総合的に膜として優れていた。
塗液の水分を樹脂に対して13.7質量%とした以外は実施例1と同様にして、アルカリ水電解用隔膜2を得た。膜厚は288μmであった。
凝固工程にて膜を取り出した後の水槽内の水の濁りを目視で観察したところ、水の濁りは観察されなかった。アルカリ水電解用隔膜2の表面光沢の有無を目視で観察したところ、アルカリ水電解用隔膜2の表面は、表面光沢を有していた。実施例1と同様にして測定したアルカリ水電解用隔膜2のバブルポイント値は460kPa、イオン伝導度は174mS/cmであった。
アルカリ水電解用隔膜2をアルカリ液に浸漬し、膜成分の脱落を目視で観察したところ、膜成分の脱落は観察されなかった。
アルカリ水電解用隔膜2については、上記の各評価結果より、総合的に膜として優れていた。
塗液の水分を樹脂に対して21.0質量%とした以外は実施例1と同様にして、アルカリ水電解用隔膜3を得た。膜厚は287μmであった。
凝固工程にて膜を取り出した後の水槽内の水の濁りを目視で観察したところ、水の濁りは僅かに観察された。アルカリ水電解用隔膜3の表面光沢の有無を目視で観察したところ、アルカリ水電解用隔膜3の表面は、表面光沢をやや有していた。実施例1と同様にして測定したアルカリ水電解用隔膜3のバブルポイント値は410kPa、イオン伝導度は189mS/cmであった。
アルカリ水電解用隔膜3をアルカリ液に浸漬し、膜成分の脱落を目視で観察したところ、膜成分の脱落はほとんど観察されなかった。
アルカリ水電解用隔膜3については、上記の各評価結果より、総合的に膜としてやや優れていた。
塗液の水分を樹脂に対して30.5質量%とした以外は実施例1と同様にして、アルカリ水電解用隔膜11を得た。膜厚は265μmであった。
凝固工程にて膜を取り出した後の水槽内の水の濁りを目視で観察したところ、水の濁りが観察された。アルカリ水電解用隔膜11の表面光沢の有無を目視で観察したところ、アルカリ水電解用隔膜11の表面は、表面光沢はなかった。実施例1と同様にして測定したアルカリ水電解用隔膜11のバブルポイント値は300kPa、イオン伝導度は190mS/cmであった。
アルカリ水電解用隔膜11をアルカリ液に浸漬し、膜成分の脱落を目視で観察したところ、膜成分の脱落が確認された。
アルカリ水電解用隔膜11については、上記の各評価結果より、総合的に膜として劣っていた。
塗液の水分を樹脂に対して35.7質量%とした以外は実施例1と同様にして、アルカリ水電解用隔膜12を得た。膜厚は264μmであった。
凝固工程にて膜を取り出した後の水槽内の水の濁りを目視で観察したところ、水の濁りが観察された。アルカリ水電解用隔膜12の表面光沢の有無を目視で観察したところ、アルカリ水電解用隔膜12の表面は、表面光沢はなかった。実施例1と同様にして測定したアルカリ水電解用隔膜12のバブルポイント値は270kPa、イオン伝導度は169mS/cmであった。
アルカリ水電解用隔膜12をアルカリ液に浸漬し、膜成分の脱落を目視で観察したところ、膜成分の脱落が確認された。
アルカリ水電解用隔膜12については、上記の各評価結果より、総合的に膜として劣っていた。
12 樹脂混合液
13 塗膜
14 コーター
15 ローラー
16 非溶媒
17 塗膜を凝固工程に付すまでの工程
18 水槽
19 ローラー
1 アルカリ水電解用隔膜
2 単膜層
3 支持体層
Claims (1)
- 有機高分子樹脂(R)と無機粒子とを含む樹脂混合液であって、下記水分定量方法(I)で測定された水の含有量が該有機高分子樹脂(R)100質量%に対して21質量%以下である該樹脂混合液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
該塗膜を、該有機高分子樹脂(R)に対する非溶媒に浸漬する凝固工程とを含み、
前記塗膜を、絶対湿度20g/m 3 以下の環境で前記基材に形成されてから1分以内に前記凝固工程に付す、アルカリ水電解用隔膜の製造方法。
水分定量方法(I):気化式カールフィッシャー
樹脂混合液のサンプル量 0.2g
窒素流量 600mL/min
気化温度 200℃
測定時間 30分
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019222898A JP7365748B2 (ja) | 2019-12-10 | 2019-12-10 | アルカリ水電解用隔膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019222898A JP7365748B2 (ja) | 2019-12-10 | 2019-12-10 | アルカリ水電解用隔膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021090909A JP2021090909A (ja) | 2021-06-17 |
JP7365748B2 true JP7365748B2 (ja) | 2023-10-20 |
Family
ID=76311384
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019222898A Active JP7365748B2 (ja) | 2019-12-10 | 2019-12-10 | アルカリ水電解用隔膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7365748B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024048235A1 (ja) * | 2022-09-01 | 2024-03-07 | 株式会社日本触媒 | アルカリ水電解用隔膜、アルカリ水電解セル、及び、アルカリ水電解方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019179678A (ja) | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 株式会社日本触媒 | 電気化学素子用隔膜、及びその用途 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63311159A (ja) * | 1987-06-15 | 1988-12-19 | Kansai Electric Power Co Inc:The | ガス電極型ガス濃度検出器用隔膜の製造方法 |
-
2019
- 2019-12-10 JP JP2019222898A patent/JP7365748B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019179678A (ja) | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 株式会社日本触媒 | 電気化学素子用隔膜、及びその用途 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021090909A (ja) | 2021-06-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6752974B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜、その製造方法、及び無機有機複合膜の製造方法 | |
JP7114726B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜 | |
JP5553778B2 (ja) | 電気化学デバイス用材料 | |
WO2020158719A1 (ja) | 電極付きアルカリ水電解用隔膜、その製造方法、及び水電解装置 | |
JPS6350436B2 (ja) | ||
Vetrivel et al. | Cellulose acetate nanocomposite ultrafiltration membranes tailored with hydrous manganese dioxide nanoparticles for water treatment applications | |
Chakrabarty et al. | Nano-fibrous sulfonated poly (ether ether ketone) membrane for selective electro-transport of ions | |
Yuan et al. | Polyamide nanofiltration membrane fine-tuned via mixed matrix ultrafiltration support to maximize the sieving selectivity of Li+/Mg2+ and Cl–/SO42– | |
JP6481330B2 (ja) | アルカリ水電気分解隔膜用基材 | |
JP7232110B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法 | |
Makanjuola et al. | Novel technique for fabrication of electrospun membranes with high hydrophobicity retention | |
JP7365748B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜の製造方法 | |
JP7284001B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法 | |
JP7284015B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法 | |
JP7273650B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法 | |
JP2022176792A (ja) | アルカリ水電解用隔膜、及びその製造方法 | |
JP7129903B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜 | |
JP7166118B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜 | |
Zhao et al. | Biomimetic strategy for electrophoretic deposition of composite ferroelectric poly (vinylidene, fluoride-co-hexafluoropropylene)–ferrimagnetic NiFe2O4 films | |
JP7260298B2 (ja) | アルカリ水電解用隔膜 | |
WO2024048235A1 (ja) | アルカリ水電解用隔膜、アルカリ水電解セル、及び、アルカリ水電解方法 | |
JP6985159B2 (ja) | 無機有機複合膜の製造方法 | |
Ismail et al. | Fabrication of PVDF/HMO mixed matrix membrane: effect of HMO loading on oil/water separation | |
JP2022082168A (ja) | アルカリ水電解用隔膜 | |
JP2022063055A (ja) | アルカリ水電解用隔膜、及び、その製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220906 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230620 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230704 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230808 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20231003 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20231009 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7365748 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |