JP7365260B2 - シュリンクフィルム包装容器の製造法 - Google Patents
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Description
シュリンク包装を開封しやすくするため、フィルムにミシン目を設けたり(特許文献1)、フィルムに開封きっかけとなるU字型等の切り込みを設け、その上に開封時の持ち手となるテープを貼ったりする(特許文献2)等の工夫が行われている。
開封きっかけとなる切込み(以下、切り込み)を設け、その上から開封時の持ち手となるラベルを貼付するシュリンクフィルム包装方法は、次の様に行われていた(特許文献2)。(1)シュリンクフィルムに、切込みを設ける。(2)切込みに、ラベルを貼る 。(3)シュリンクフィルムで製品を包む。(4)熱処理を行い、シュリンクフィルムを収縮させる。
この方法では、(1)シュリンクフィルムとラベルの熱収縮性が異なるため、シュリンクフィルムにシワが発生し易い、(2)製品をシュリンクフィルムで包むときに、位置決めを行う必要がある、(3)一般的に、位置決めをするための光電管マークを設ける必要があり、シュリンクフィルムの価格が高くなる、(4)光電管マークの部分を商品に残らないように切り落とすので、ゴミが発生する、(5)処理速度が遅い、(6)熱処理時の熱の掛かり方により、切り込みの形状に歪が生じる場合がある、などの問題があった。これらの問題のうち、(1)や(6)の問題は、包装する製品が方形ではなく、製品の場所によりシュリンクフィルムが収縮する率が異なる場所がある形状、例えば上部に細い首部が存在し、胴体部が首部に比べて太いビン型の形状の製品では、上部の首部と下部の胴体部の収縮率が大きく異なるので、ラベルをシュリンク前に貼るとしわが発生し、問題は深刻である。
ここで、ラベルはシュリンク包装を開封するときの持ち手部となること及び、異物等の侵入防止の2つの機能を担っている。したがって、ラベルは切り込み部に確実に貼付されている必要がある。
従って、本発明の課題は、シュリンクフィルム包装をしたのちに、切り込み部を設けるシュリンク包装容器の製造法であって、使用者が開封しやすい位置に確実にラベルを貼付できる切り込み部を設けることができる製法を提供することにある。
[1](1)熱可塑性樹脂製容器全体をシュリンクフィルムで被覆するシュリンク包装工程、次いで
(2)シュリンク包装した容器を覆うシュリンクフィルムの胴体部表面に、レーザー加工してレーザーパターンによる切り込み開封部を設ける工程を有する易開封性シュリンクフィルム包装容器の製造法であって、
前記切り込み開封部におけるシュリンクフィルムと容器本体の隙間が2mm以下であり、
前記レーザー加工が、レーザー出力(W)、レーザーのスキャン速度(mm/秒)及びシュリンクフィルムの厚さ(μm)の関係から次式で得られるK値を1.15以上3.30以下とするレーザー加工であることを特徴とする易開封性シュリンク包装容器の製造法。
[3]前記シュリンクフィルムが、ポリプロピレン樹脂、又はポリプロピレン・ポリエチレン複合樹脂である[1]又は[2]記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
[4]前記レーザー加工によるマーカーパターンが、連続的なU字状又は円弧状のパターンである[1]~[3]のいずれかに記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
[5]前記シュリンクフィルムの厚みが、10~20μmである[1]~[4]のいずれかに記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
[6]前記レーザー出力が9~27Wであり、スキャン速度が400~1500mm/秒である[1]~[5]のいずれかに記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
また、シュリンクフィルムの厚みを変更した場合、生産ラインの速度(生産性)を変えることなく、切込みを設ける条件を容易に設定できる:切り込みの形状が変わった場合、即ち切り込みの長さが変わった場合の、切り込みを設ける条件を容易に設定できる:包装する製品が大きくなり、生産速度を落とす場合に、適切な切込みを設けるための条件を容易に設定できる、例えば、レーザー出力を下げ、機械の長寿命化、省エネルギー化できる条件を見つけやすい、などの効果も得られることが判った。
(2)シュリンク包装した容器を覆うシュリンクフィルムの胴体部表面に、レーザー加工してレーザーパターンによる切り込み開封部を設ける工程を有する易開封性シュリンクフィルム包装容器の製造法であって、
前記切り込み開封部におけるシュリンクフィルムと容器本体の隙間が2mm以下であり、
前記レーザー加工が、レーザー出力(W)、レーザーのスキャン速度(mm/秒)及びシュリンクフィルムの厚さ(μm)の関係から次式で得られるK値を1.15以上3.30以下とするレーザー加工であることを特徴とする。
このような熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン・ポリエチレン複合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル・スチレン複合樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。このうち、食品、医薬品、サプリメントなどの容器として汎用されているポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン・ポリエチレン複合樹脂が特に好ましい。更に、内容物が液体であり、容器の胴体部分を押して変形させることで使用したりする場合は、容器の復元性、柔らかさ、弾性の点からポリエチレン樹脂が好ましい。
用いられるシュリンクフィルムは、熱収縮性プラスチックフィルムであればよく、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリスチレン樹脂及びこれらの混合樹脂等が挙げられる。中でも、環境負荷及びコストの点からポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレン・ポリエチレン複合樹脂(PP/PE)が好ましい。特にフィルムの透明性、防湿性、開封時のフィルムの破断性の点からポリプロピレン樹脂が好ましい。
容器におけるレーザー加工により切り込み開封部を設ける部位は、容器の底部などではなく、ラベルの剥がしやすさ、見やすさなどの点から、容器の胴体部が好ましい。また、本発明に用いる容器は、前記のように、上部に細い首部が存在し、胴体部が首部に比べて太いビン型の形状の容器であるのが好ましいので、切り込み開封部は、そのようなビン型の容器の頭部から肩部に設けるのがより好ましく、図1に示すように、容器の太さが変化する部分、すなわち容器の肩部に設けるのが特に好ましい。
切り込みの高さは、6~60mmが好ましく、10~22mmがより好ましく、14~18mmがより好ましい。切り込みの幅は、5~55mmが好ましく、8~20mmがより好ましく、10~14mmがより好ましい。切り込みの高さ(H)と幅(W)の比(W/H)は、0.2~1.2が好ましく、0.4~1.0がより好ましく、0.5~0.8がより好ましい。
レーザーの種類は、固体レーザー、半導体レーザー、液体レーザー、気体レーザー等があるが、レーザーの発振効率が良く、高い連続出力を得ることができる点から気体レーザーが好ましい。更に、気体レーザーの中でも、表面に傷がつきにくい点でCO2レーザーが良い。
本発明では、工程(1)で設けられたシュリンクフィルムの厚みに応じて、前記K値が1.15以上3.30以下になるように、レーザー出力とスキャン速度を調整する。容器を損傷させず、切り込み部を確実に設ける点から、より好ましいK値は、1.20以上3.22以下であり、さらに好ましいK値は、1.40以上3.00以下であり、特に好ましいK値は、1.50以上2.90以下である。
ラベルはシュリンク包装を開封するときの持ち手部となること及び、異物等の侵入防止の2つの機能を担っている。切り込み部に着実に貼付され、上記2つの機能を果たすことができるものであれば、材料や厚み等は特に限定されない。
(1)シュリンクフィルム
シュリンクフィルムの材料にはポリプロピレン(PP)又は、ポリプロピレンとポリエチレンの複合(PP/PE)を用いた。試験に用いたシュリンクフィルムの材料と厚みは下記表1のとおりである。
尚、シュリンクフィルムの厚みはシュリンク前の値である。
図1に示したようなポリエチレン製容器を、微小脱気孔を設けたシュリンクフィルムで包んだ後、熱処理することによりシュリンク包装を行った。尚、熱処理条件は150℃、6秒とした。シュリンク包装後における、シュリンクフィルムと容器との隙間は、切り込みを設けようとした箇所で0.05mm以下であった。
シュリンク包装したものを、機械にセットし、レーザーマーカー(LP-430U CO2LASER MARKER、パナソニック社)を用いて、シュリンクフィルムに切り込みを設けた。尚、レーザーの焦点距離は185mmとした。
切込みを設けた後、容器への傷の有無(傷)、シュリンクフィルムの切れの有無(切れ)、切り込み形成部のフィルムの縮みの有無(縮み)を目視評価した。評価は表2記載のスコアにしたがって行った。結果を表3に示す。また、実施例で得られたシュリンクフィルム包装された容器の形態を示す写真を図2に示す。
Claims (6)
- (1)熱可塑性樹脂製容器全体をシュリンクフィルムで被覆するシュリンク包装工程、次いで
(2)シュリンク包装した容器を覆うシュリンクフィルムの胴体部表面に、レーザー加工してレーザーパターンによる切り込み開封部を設ける工程を有する易開封性シュリンクフィルム包装容器の製造法であって、
前記切り込み開封部におけるシュリンクフィルムと容器本体の隙間が2mm以下であり、
前記レーザー加工が、レーザー出力(W)、レーザーのスキャン速度(mm/秒)及びシュリンクフィルムの厚さ(μm)の関係から次式で得られるK値を1.15以上3.30以下とするレーザー加工であることを特徴とする易開封性シュリンク包装容器の製造法。
- 前記切り込み開封部位が、容器の頭部から肩部に設けられる請求項1記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
- 前記シュリンクフィルムが、ポリプロピレン樹脂、又はポリプロピレン・ポリエチレン複合樹脂である請求項1又は2記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
- 前記レーザー加工によるマーカーパターンが、連続的なU字状又は円弧状のパターンである請求項1~3のいずれか1項記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
- 前記シュリンクフィルムの厚みが、10~20μmである請求項1~4のいずれか1項記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
- 前記レーザー出力が9~27Wであり、スキャン速度が400~1500mm/秒である請求項1~5のいずれか1項記載の易開封性シュリンク包装容器の製造法。
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