本発明によるモータ駆動装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
[一実施形態]
一実施形態によるモータ駆動装置について図1~図6を用いて説明する。図1は、本実施形態によるモータ駆動装置の構成を示す図である。
本実施形態によるモータ駆動装置10は、モータ12を駆動させ得る。ここでは、3相のモータコイル、即ち、U相のモータコイル13Uと、V相のモータコイル13Vと、W相のモータコイル13Wとがモータ12に備えられている場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。モータコイル一般について説明する際には、符号13を用い、個々のモータコイルについて説明する際には、符号13U、13V、13Wを用いる。
モータ駆動装置10には、コンバータ部14が備えられている。コンバータ部14は、交流電源16から開閉器18を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換する。コンバータ部14は、例えば公知のパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)コンバータであるが、これに限定されるものではない。
交流電源16は、例えば、多相の相電圧を供給する多相交流電源、より具体的には、3相交流電源であるが、これに限定されるものではない。
開閉器18は、交流電源16からモータ駆動装置10への交流電圧の供給をオン/オフするためのものである。開閉器18としては、例えば、電磁接触器、ブレーカ等を用い得るが、これに限定されるものではない。
コンバータ部14には、整流回路20が備えられている。整流回路20は、交流電源16から開閉器18を介して供給される交流電圧を直流電圧に整流する。
コンバータ部14には、平滑コンデンサ22が更に備えられている。平滑コンデンサ22は、整流回路20の後段に備えられている。平滑コンデンサ22は、整流回路20によって整流された直流電圧を平滑化する。整流回路20の正極側は、平滑コンデンサ22の一端に接続されている。整流回路20の他端は、平滑コンデンサ22の他端に接続されている。平滑コンデンサ22の一端は、コンバータ部14の正極側の出力端子24Pに接続されている。平滑コンデンサ22の他端は、コンバータ部14の負極側の出力端子24Nに接続されている。
モータ駆動装置10には、直流電圧検出部(直流電圧センサ、直流電圧検出器)26が更に備えられている。直流電圧検出部26は、コンバータ部14の正極側の出力端子24Pと負極側の出力端子24Nとの間の直流電圧を検出し得る。
モータ駆動装置10には、インバータ部(インバータ回路)28が更に備えられている。インバータ部28は、コンバータ部14から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、当該交流電圧をモータ12に供給することによりモータ12を駆動させ得る。
上述したように、モータ12には、3相のモータコイル13U、13V、13Wが備えられている。このため、インバータ部28には、モータ12の各相に対応して、パワー素子部30U、30V、30Wが備えられている。
パワー素子部30Uは、U相のモータコイル13Uに対応している。パワー素子部30Uには、上アーム側のスイッチング素子(上アーム側スイッチング素子)32Uuと、下アーム側のスイッチング素子(下アーム側スイッチング素子)32Udとが備えられている。パワー素子部30Uには、上アーム側のダイオード34Uuと、下アーム側のダイオード34Udとが更に備えられている。
パワー素子部30Vは、V相のモータコイル13Vに対応している。パワー素子部30Vには、上アーム側のスイッチング素子32Vuと、下アーム側のスイッチング素子32Vdと、上アーム側のダイオード34Vuと、下アーム側のダイオード34Vdとが備えられている。
パワー素子部30Wは、W相のモータコイル13Wに対応している。パワー素子部30Wには、上アーム側のスイッチング素子32Wuと、下アーム側のスイッチング素子32Wdと、上アーム側のダイオード34Wuと、下アーム側のダイオード34Wdとが備えられている。ダイオード一般について説明する際には、符号34を用い、個々のダイオードについて説明する際には、符号34Uu、34Ud、34Vu、34Vd、34Wu、34Wdを用いる。また、上アーム側のダイオード一般について説明する際には、符号34uを用い、個々の上アーム側のダイオードについて説明する際には、符号34Uu、34Vu、34Wuを用いる。また、下アーム側のダイオード一般について説明する際には、符号34dを用い、個々の下アーム側のダイオードについて説明する際には、符号34Ud、34Vd、34Wdを用いる。
パワー素子部30Uに備えられた上アーム側のスイッチング素子32Uu、即ち、スイッチング素子Aは、コンバータ部14の正極側の出力端子24PとU相のモータコイル13Uとを接続し得る。パワー素子部30Vに備えられた上アーム側のスイッチング素子32Vu、即ち、スイッチング素子Cは、コンバータ部14の正極側の出力端子24PとV相のモータコイル13Vとを接続し得る。パワー素子部30Wに備えられた上アーム側のスイッチング素子32Wu、即ち、スイッチング素子Eは、コンバータ部14の正極側の出力端子24PとW相のモータコイル13Wとを接続し得る。
パワー素子部30Uに備えられた下アーム側のスイッチング素子32Ud、即ち、スイッチング素子Bは、コンバータ部14の負極側の出力端子24NとU相のモータコイル13Uとを接続し得る。パワー素子部30Vに備えられた下アーム側のスイッチング素子32Vd、即ち、スイッチング素子Dは、コンバータ部14の負極側の出力端子24NとV相のモータコイル13Vとを接続し得る。パワー素子部30Wに備えられた下アーム側のスイッチング素子32Wd、即ち、スイッチング素子Fは、コンバータ部14の負極側の出力端子24NとW相のモータコイル13Wとを接続し得る。
スイッチング素子一般について説明する際には、符号32を用い、個々のスイッチング素子について説明する際には、符号32Uu、32Ud、32Vu、32Vd、32Wu、32Wdを用いる。また、上アーム側のスイッチング素子一般について説明する際には、符号32uを用い、個々の上アーム側のスイッチング素子について説明する際には、符号32Uu、32Vu、32Wuを用いる。また、下アーム側のスイッチング素子一般について説明する際には、符号32dを用い、個々の下アーム側のスイッチング素子について説明する際には、符号32Ud、32Vd、32Wdを用いる。スイッチング素子32は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を用い得るが、これに限定されるものではない。FET(Field Effect Transistor)をスイッチング素子32として用いるようにしてもよい。
上アーム側のスイッチング素子32uと、下アーム側のスイッチング素子32dとは、互いに直列に接続されている。上アーム側のスイッチング素子32uの第1端子には、上アーム側のダイオード34uのカソードが接続されている。スイッチング素子32が例えばIGBTである場合、第1端子はコレクタであり、スイッチング素子32が例えばFETである場合、第1端子はソース/ドレインの一方である。上アーム側のスイッチング素子32uの第2端子には、上アーム側のダイオード34uのアノードが接続されている。スイッチング素子32が例えばIGBTである場合、第2端子はエミッタであり、スイッチング素子32が例えばFETである場合、第2端子はソース/ドレインの他方である。下アーム側のスイッチング素子32dの第1端子には、下アーム側のダイオード34dのカソードが接続されている。下アーム側のスイッチング素子32dの第2端子には、下アーム側のダイオード34dのアノードが接続されている。
スイッチング素子32Uuの第2端子と、ダイオード34Uuのアノードと、スイッチング素子32Udの第1端子と、ダイオード34Udのカソードとに接続されたノード36Uは、U相の配線38Uに接続されている。
スイッチング素子32Vuの第2端子と、ダイオード34Vuのアノードと、スイッチング素子32Vdの第1端子と、ダイオード34Vdのカソードとに接続されたノード36Vは、V相の配線38Vに接続されている。
スイッチング素子32Wuの第2端子と、ダイオード34Wuのアノードと、スイッチング素子32Wdの第1端子と、ダイオード34Wdのカソードとに接続されたノード36Wは、W相の配線38Wに接続されている。ノード一般について説明する際には、符号36を用い、個々のノードについて説明する際には、符号36U、36V、36Wを用いる。
配線38U、38V、38Wは、多相交流電圧をインバータ部28からモータ12に供給するためのものである。配線一般について説明する際には、符号38を用い、個々の配線について説明する際には、符号38U、38V、38Wを用いる。
U相のモータコイル13Uは、上アーム側のスイッチング素子32Uuの第2端子と、下アーム側のスイッチング素子32Udの第1端子とに、配線38Uを介して接続されている。V相のモータコイル13Vは、上アーム側のスイッチング素子32Vuの第2端子と、下アーム側のスイッチング素子32Vdの第1端子とに、配線38Vを介して接続されている。W相のモータコイル13Wは、上アーム側のスイッチング素子32Wuの第2端子と、下アーム側のスイッチング素子32Wdの第1端子とに、配線38Wを介して接続されている。
インバータ部28は、上アーム側のスイッチング素子32uと、下アーム側のスイッチング素子32dとを適宜スイッチングさせることにより、コンバータ部14から出力される直流電圧を交流電圧に変換してモータ12を駆動させる。
モータ駆動装置10には、電流センサ(電流検出部、電流検出器)46U、46V、46Wが更に備えられている。電流センサ一般について説明する際には、符号46を用い、個々の電流センサについて説明する際には、符号46U、46V、46Wを用いる。電流センサ46U、46V、46Wには、抵抗器40U、40V、40Wと、A/Dコンバータ44U、44V、44Wとがそれぞれ備えられている。抵抗器一般について説明する際には、符号40を用い、個々の抵抗器について説明する際には、符号40U、40V、40Wを用いる。A/Dコンバータ一般について説明する際には、符号44を用い、個々のA/Dコンバータについて説明する際には、符号44U、44V、44Wを用いる。
抵抗器40U、40V、40Wは、配線38U、38V、38Wにそれぞれ備えられている。抵抗器40の一端は、配線38の一部を介してノード36に接続されており、抵抗器40の他端は、配線38の他の部分を介してモータコイル13に接続されている。
A/Dコンバータ44Uの一方の入力端子は、抵抗器40Uの一端に接続されており、A/Dコンバータ44Uの他方の入力端子は、抵抗器40Uの他端に接続されている。A/Dコンバータ44Vの一方の入力端子は、抵抗器40Vの一端に接続されており、A/Dコンバータ44Vの他方の入力端子は、抵抗器40Vの他端に接続されている。A/Dコンバータ44Wの一方の入力端子は、抵抗器40Wの一端に接続されており、A/Dコンバータ44Wの他方の入力端子は、抵抗器40Wの他端に接続されている。
A/Dコンバータ44U、44V、44Wは、抵抗器40U、40V、40Wの両端の電圧に応じたアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する。電流センサ46U、46V、46Wは、A/Dコンバータ44U、44V、44Wから出力されるデジタル信号を制御装置54にそれぞれ供給する。
モータ駆動装置10には、ダイナミックブレーキ回路48が更に備えられている。ダイナミックブレーキ回路48は、モータ12の相間を抵抗器50U、50V、50Wを介して短絡し、モータ12の回転エネルギーを抵抗器50U、50V、50Wによって熱消費させ、モータ12を速やかに停止させるためのものである。ダイナミックブレーキ回路48は、配線38U、38V、38Wのうちの電流センサ46U、46V、46Wとモータ12との間の部分に接続されている。
ダイナミックブレーキ回路48には、抵抗器50U、50V、50Wが備えられている。抵抗器一般について説明する際には、符号50を用い、個々の抵抗器について説明する際には、符号50U、50V、50Wを用いる。抵抗器50Uの一端は、配線38Uのうちの抵抗器40Uとモータコイル13Uとの間の部分に接続されている。抵抗器50Vの一端は、配線38Vのうちの抵抗器40Vとモータコイル13Vとの間の部分に接続されている。抵抗器50Wの一端は、配線38Wのうちの抵抗器40Wとモータコイル13Wとの間の部分に接続されている。
ダイナミックブレーキ回路48には、スイッチ52U、52Vが更に備えられている。スイッチ一般について説明する際には符号52を用い、個々のスイッチについて説明する際には、符号52U、52Vを用いる。スイッチ52は、例えば、不図示のリレーの接点であるが、これに限定されるものではない。スイッチ52Uの一端は、抵抗器50Uの他端に接続されている。スイッチ52Vの一端は、抵抗器50Vの他端に接続されている。スイッチ52Uの他端と、スイッチ52Vの他端と、抵抗器50Wの他端とが、互いに接続されている。
スイッチ52が閉じられていない際には、モータ12の相間は短絡されていない。スイッチ52が閉じられると、モータ12の相間が抵抗器50を介して短絡される。
モータ駆動装置10には、スイッチング回路(制御回路)66が更に備えられている。スイッチング回路66は、インバータ部28に備えられたスイッチング素子32のスイッチングを制御するためのものである。スイッチング回路66は、制御部60から供給される信号(指令)に基づいて、スイッチング素子32の第3端子(ゲート)に電圧を印加することによって、スイッチング素子32をスイッチングする。
モータ駆動装置10には、制御装置54が更に備えられている。制御装置54は、モータ駆動装置10の全体の制御を司る。制御装置54には、演算部56と、記憶部58とが備えられている。演算部56は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され得るが、これに限定されるものではない。記憶部58には、例えば、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとが備えられている。揮発性メモリとしては、例えばRAM(Random Access Memory)等が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えばROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。プログラム、データ、テーブル70(図3参照)等が、記憶部58に記憶され得る。
演算部56には、制御部60と、取得部62と、判定部64とが備えられている。制御部60と、取得部62と、判定部64とは、記憶部58に記憶されているプログラムが演算部56によって実行されることによって実現され得る。
制御部60は、スイッチ52の開閉を制御し得る。また、制御部60は、スイッチング回路66を用いて、スイッチング素子32をスイッチングさせ得る。制御部60は、故障診断の際、以下のような制御を行い得る。制御部60は、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、複数の上アーム側のスイッチング素子32uのうちの少なくともいずれかと、複数の下アーム側のスイッチング素子32dのうちの少なくともいずれかとをオン状態にする。
図2は、故障診断の際における電流の例を示すグラフである。図2には、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、上アーム側のスイッチング素子32Uuと下アーム側のスイッチング素子32Vdとをオン状態にした場合の例が示されている。図2の横軸は時間を示しており、図2の縦軸は電流を示している。電流Imは、故障診断の際にモータ12に流れる電流を示している。電流Idは、故障診断の際にダイナミックブレーキ回路48に流れる電流を示している。電流Iは、故障診断の際に配線38に流れる電流、より具体的には、故障診断の際に抵抗器40に流れる電流を示している。
モータコイル13に大きなインダクタンスが存在するため、スイッチング素子32をオン状態にした際、モータ12に流れる電流Imは緩やかに上昇する。一方、ダイナミックブレーキ回路48には大きなインダクタンスが存在しないため、スイッチング素子32をオン状態にした際、ダイナミックブレーキ回路48に流れる電流Idは急激に上昇する。故障診断の際には、電流Imと電流Idとを加算することによって得られる電流Iが、電流センサ46によって検出される。
スイッチング素子32をオン状態にしたタイミングからの経過時間が十分に短い際においては、電流Imは十分に小さい。従って、スイッチング素子32をオン状態にしたタイミングからの経過時間が十分に短いタイミングにおいて電流センサ46によって電流値を取得すれば、ダイナミックブレーキ回路48に流れる電流と同程度の電流値を取得することが可能である。従って、本実施形態では、スイッチング素子32をオン状態にしたタイミングからの経過時間が十分に短いタイミングにおいて、電流センサ46によって電流値を取得する。
制御部60は、上述したように、以下のような制御を行う。制御部60は、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、複数の上アーム側のスイッチング素子32uのうちの少なくともいずれかと、複数の下アーム側のスイッチング素子32dのうちの少なくともいずれかとをオン状態にする。そして、制御部60は、オン状態にする上アーム側のスイッチング素子32uと、オン状態にする下アーム側のスイッチング素子32dとの組み合わせを順次切り換える。
故障診断を行う際にオン状態にするスイッチング素子32の組み合わせとしては、例えば、以下のような組み合わせが挙げられる。
例えば、上アーム側のスイッチング素子32Uu、即ち、スイッチング素子Aと、下アーム側のスイッチング素子32Vd、即ち、スイッチング素子Dとをオンにする組み合わせが挙げられる。また、下アーム側のスイッチング素子32Ud、即ち、スイッチング素子Bと、上アーム側のスイッチング素子32Vu、即ち、スイッチング素子Cとをオン状態にする組み合わせが挙げられる。また、上アーム側のスイッチング素子32Vu、即ち、スイッチング素子Cと、下アーム側のスイッチング素子32Wd、即ち、スイッチング素子Fとをオンにする組み合わせが挙げられる。また、下アーム側のスイッチング素子32Vd、即ち、スイッチング素子Dと、上アーム側のスイッチング素子32Wu、即ち、スイッチング素子Eとをオン状態にする組み合わせが挙げられる。また、上アーム側のスイッチング素子32Uu、即ち、スイッチング素子Aと、下アーム側のスイッチング素子32Wd、即ち、スイッチング素子Fとをオンにする組み合わせが挙げられる。また、下アーム側のスイッチング素子32Ud、即ち、スイッチング素子Bと、上アーム側のスイッチング素子32Wu、即ち、スイッチング素子Eとをオン状態にする組み合わせが挙げられる。なお、オン状態にする上アーム側のスイッチング素子32uと、オン状態にする下アーム側のスイッチング素子32dとの組み合わせは、上記に限定されるものではない。複数の上アーム側のスイッチング素子32uをオン状態とし、1つの下アーム側のスイッチング素子32dをオン状態とするようにしてもよい。また、1つの上アーム側のスイッチング素子32uをオン状態とし、複数の下アーム側のスイッチング素子32dをオン状態とするようにしてもよい。
このように、制御部60は、オン状態にする上アーム側のスイッチング素子32uと、オン状態にする下アーム側のスイッチング素子32dとの組み合わせを順次切り換える。取得部62は、上記のような組み合わせ毎の電流値を、電流センサ46U、46V、46Wから供給される信号に基づいて取得する。
記憶部58には、故障箇所及び故障内容と、上記のような組み合わせ毎の電流値との関係を示すテーブル70が記憶されている。
図3は、テーブルの例を示す図である。テーブル70には、例えば、故障箇所及び故障状態と、組み合わせ毎の電流値との関係が示されている。図3において、太線で囲まれている箇所は、正常な場合に得られる電流値とは異なる電流値であることを示している。簡略化のため、様々な故障箇所及び故障状態のうちの一部が抜き出されて図3に示されている。
ADオンとは、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、スイッチング素子A(スイッチング素子32Uu)とスイッチング素子D(スイッチング素子32Vd)とをオン状態にした場合を意味する。
BCオンとは、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、スイッチング素子B(スイッチング素子32Ud)とスイッチング素子C(スイッチング素子32Vu)とをオン状態にした場合を意味する。
CFオンとは、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、スイッチング素子C(スイッチング素子32Vu)とスイッチング素子F(スイッチング素子32Wd)とをオン状態にした場合を意味する。
DEオンとは、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、スイッチング素子D(スイッチング素子32Vd)とスイッチング素子E(スイッチング素子32Wu)とをオン状態にした場合を意味する。
AFオンとは、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、スイッチング素子A(スイッチング素子32Uu)とスイッチング素子F(スイッチング素子32Wd)とをオン状態にすることを意味する。
BEオンとは、ダイナミックブレーキ回路48によってモータ12の相間を短絡した状態で、スイッチング素子B(スイッチング素子32Ud)とスイッチング素子E(スイッチング素子32Wu)とをオン状態にすることを意味する。
「U相電流:正常」とは、U相電流が正常であること、即ち、U相の配線38Uに備えられた電流センサ46Uによって取得される電流値が所定範囲内であることを意味する。具体的には、U相の配線38Uに備えられた電流センサ46Uによって取得される電流値が、電流過小閾値以上、電流過大閾値未満であることを意味する。電流過大閾値は、配線38に流れる電流が過大であることを判定するための閾値である。電流過小閾値は、配線38に流れる電流が過小であることを判定するための閾値である。
「V相電流:正常」とは、V相電流が正常であること、即ち、V相の配線38Vに備えられた電流センサ46Vによって取得される電流値が所定範囲内であることを意味する。
「U相電流:0」とは、U相電流が0であること、即ち、U相の配線38Uに備えられた電流センサ46Uによって取得される電流値が0であることを意味する。
「V相電流:0」とは、V相電流が0であること、即ち、V相の配線38Vに備えられた電流センサ46Vによって取得される電流値が0であることを意味する。
「U相電流:大」とは、U相電流が過大であること、即ち、U相の配線38Uに備えられた電流センサ46Uによって取得される電流値が過大であることを意味する。より具体的には、電流センサ46Uによって取得される電流値が、電流過大閾値以上であることを意味する。
「V相電流:大」とは、V相電流が過大であること、即ち、V相の配線38Vに備えられた電流センサ46Vによって取得される電流値が過大であることを意味する。より具体的には、電流センサ46Vによって取得される電流値が、電流過大閾値以上であることを意味する。
「U相電流:小」とは、U相電流が過小であること、即ち、U相の配線38Uに備えられた電流センサ46Uによって取得される電流値が過小であることを意味する。より具体的には、電流センサ46Uによって取得される電流値が、電流過小閾値未満であることを意味する。
「V相電流:小」とは、V相電流が過小であること、即ち、V相の配線38Vに備えられた電流センサ46Vによって取得される電流値が過小であることを意味する。より具体的には、電流センサ46Vによって取得される電流値が、電流過小閾値未満であることを意味する。
図3に示すように、正常な場合、即ち、故障診断の対象となる部位に故障が存在していない場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は正常となる。また、BCオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は正常となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、ダイナミックブレーキ回路48のうちのU相に対応する部分に断線が生じている場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、BCオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、ダイナミックブレーキ回路48に備えられたU相の抵抗器50Uの抵抗値が過小である場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は過大となる。また、BCオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は過大となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、ダイナミックブレーキ回路48に備えられたU相の抵抗器50Uの抵抗値が過大である場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過小となる。また、BCオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過小となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、スイッチング素子A、即ち、上アーム側のスイッチング素子32Uuにおいて断線が生じている場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、BCオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は正常となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、スイッチング素子A、即ち、上アーム側のスイッチング素子32Uuにおいて短絡が生じている場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は正常となる。また、BCオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、CFオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過小となる。また、DEオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過大となる。また、AFオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、スイッチング素子B、即ち、下アーム側のスイッチング素子32Udにおいて断線が生じている場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は正常となる。また、BCオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、スイッチング素子B、即ち、下アーム側のスイッチング素子32Udにおいて短絡が生じている場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、BCオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は正常となる。また、CFオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過大となる。また、DEオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過小となる。また、AFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は正常となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、直流電圧検出部26が直流電圧を過大に検出している場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過小となる。また、BCオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は過小となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は過小となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は過小となる。また、AFオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、直流電圧検出部26が直流電圧を過小に検出している場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は過大となる。また、BCオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は過大となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は過大となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は過大となる。また、AFオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、U相に備えられた電流センサ46Uが電流を過大に検出している場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は正常となる。また、BCオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は正常となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は過大となり、V相電流は0となる。
図3に示すように、U相に備えられた電流センサ46Uが電流を過小に検出している場合には、以下のようになる。即ち、ADオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は正常となる。また、BCオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は正常となる。また、CFオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、DEオンにおいて、U相電流は0となり、V相電流は正常となる。また、AFオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は0となる。また、BEオンにおいて、U相電流は過小となり、V相電流は0となる。
上述したように、様々な故障箇所及び故障状態のうちの一部が抜き出されて図3に示されている。例えば、ダイナミックブレーキ回路48のうちのV相、W相に対応する部分に断線が生じている場合の電流値も、テーブル70に含まれている。また、ダイナミックブレーキ回路48に備えられたV相、W相の抵抗器50V、50Wの抵抗値が過小である場合の電流値も、テーブル70に含まれている。また、ダイナミックブレーキ回路48に備えられたV相、W相の抵抗器50V、50Wの抵抗値が過大である場合の電流値も、テーブル70に含まれている。また、スイッチング素子C、Eにおいて断線が生じている場合の電流値も、テーブル70に含まれている。また、スイッチング素子C、Eにおいて短絡が生じている場合の電流値も、テーブル70に含まれている。また、スイッチング素子D、Fにおいて断線が生じている場合の電流値も、テーブル70には含まれている。また、スイッチング素子D、Fにおいて短絡が生じている場合の電流値も、テーブル70に含まれている。また、V相、W相の電流センサ46V、46Wが電流を過大に検出している場合の電流値も、テーブル70に含まれている。また、V相、W相の電流センサ46V、46Wが電流を過小に検出している場合の電流値も、テーブル70に含まれている。
判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、故障箇所及び故障内容を判定する。より具体的には、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、ダイナミックブレーキ回路48のうちのいずれの相に対応する部分に断線が生じているかを判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、複数の抵抗器50のうちのいずれが過小であるかを判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、複数の抵抗器50のうちのいずれが過大であるかを判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、複数の上アーム側のスイッチング素子32uのうちのいずれに断線故障が生じているかを判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、複数の下アーム側のスイッチング素子32dのうちのいずれに断線故障が生じているかを判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、複数の上アーム側のスイッチング素子32uのうちのいずれに短絡故障が生じているかを判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、複数の下アーム側のスイッチング素子32dのうちのいずれに短絡故障が生じているかを判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、直流電圧検出部26の検出異常を判定し得る。また、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、電流センサ46の検出異常を判定し得る。
本実施形態によるモータ駆動装置10の動作の例について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態によるモータ駆動装置の動作の例を示すフローチャートである。図4には、オン状態とするスイッチング素子32の組み合わせを切り換えつつ、上記のような組み合わせ毎の電流値を取得する処理の例が示されている。
ステップS1において、制御部60は、オン状態とするスイッチング素子32の組み合わせを決定する。この後、ステップS2に遷移する。
ステップS2において、制御部60は、スイッチ52を閉じる。これにより、モータ12の相間がダイナミックブレーキ回路48によって短絡される。この後、ステップS3に遷移する。
ステップS3において、制御部60は、決定した組み合わせでスイッチング素子32をオン状態にする。この後、ステップS4に遷移する。
ステップS4において、取得部62は、電流センサ46からの出力に基づいて電流値を取得する。この後、ステップS5に遷移する。
ステップS5において、制御部60は、スイッチ52を開くとともに、スイッチング素子32をオフ状態にする。所定時間が経過した後、ステップS6に遷移する。
ステップS6において、制御部60は、所定の複数の組み合わせでの電流値の取得が全て完了したか否かを判定する。所定の複数の組み合わせでの電流値の取得が全て完了していない場合には(ステップS6においてNO)、ステップS7に遷移する。
ステップS7において、制御部60は、オン状態とするスイッチング素子32の組み合わせを変更する。この後、ステップS2以降の処理が繰り返される。
所定の複数の組み合わせでの電流値の取得が全て完了した場合には(ステップS6においてYES)、図4に示す処理が完了する。
本実施形態によるモータ駆動装置10の動作の例について図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6は、本実施形態によるモータ駆動装置の動作の例を示すフローチャートである。図5及び図6には、故障箇所及び故障内容を特定する処理の例が示されている。なお、説明を簡略化すべく、判定部64によって実行される様々な判定のうちの一部の判定が図5及び図6に示されている。
ステップS11において、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、正常な場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。即ち、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、モータ駆動装置10に故障が生じていない場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、正常な場合の電流値に合致する場合(ステップS31においてYES)、ステップS12に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、正常な場合の電流値に合致しない場合(ステップS11においてNO)、ステップS13に遷移する。
ステップS12において、判定部64は、正常、即ち、モータ駆動装置10に故障が生じていないと判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS13において、判定部64は、以下のような処理を行う。判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得した電流値が、ダイナミックブレーキ回路48のうちのU相に相当する部分に断線が生じている場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得した電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得した電流値が、ダイナミックブレーキ回路48のうちのU相に相当する部分に断線が生じている場合の電流値に合致する場合(ステップS13においてYES)、ステップS14に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得した電流値が、ダイナミックブレーキ回路48のうちのU相に相当する部分に断線が生じている場合の電流値に合致しない場合(ステップS13においてNO)、ステップS15に遷移する。
ステップS14において、判定部64は、ダイナミックブレーキ回路48のうちのU相に相当する部分に断線が生じていると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS15において、判定部64は、以下のような処理を行う。判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の抵抗器50Uの抵抗値が過大である場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の抵抗器50Uの抵抗値が過大である場合の電流値に合致する場合(ステップS15においてYES)、ステップS16に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の抵抗器50Uの抵抗値が過大である場合の電流値に合致しない場合(ステップS15においてNO)、ステップS17に遷移する。
ステップS16において、判定部64は、ダイナミックブレーキ回路48のうちのU相の抵抗器50Uの抵抗値が過大であると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS17において、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の抵抗器50Uの抵抗値が過小である場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の抵抗器50Uの抵抗値が過小である場合の電流値に合致する場合(ステップS17においてYES)、ステップS18に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の抵抗器50Uの抵抗値が過小である場合の電流値に合致しない場合(ステップS17においてNO)、ステップS19に遷移する。
ステップS18において、判定部64は、ダイナミックブレーキ回路48のうちのU相の抵抗器50Uの抵抗値が過小であると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS19において、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Aが断線している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Aが断線している場合の電流値に合致する場合(ステップS19においてYES)、ステップS20に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Aが断線している場合の電流値に合致しない場合(ステップS19においてNO)、ステップS21に遷移する。
ステップS20において、判定部64は、スイッチング素子A、即ち、スイッチング素子32Uuが断線していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS21において、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Aが短絡している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Aが短絡している場合の電流値に合致する場合(ステップS21においてYES)、ステップS22に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Aが短絡している場合の電流値に合致しない場合(ステップS21においてNO)、ステップS23に遷移する。
ステップS22において、判定部64は、スイッチング素子A、即ち、スイッチング素子32Uuが短絡していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS23において、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Bが断線している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Bが断線している場合の電流値に合致する場合(ステップS23においてYES)、ステップS24に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Bが断線している場合の電流値に合致しない場合(ステップS23においてNO)、ステップS25に遷移する。
ステップS24において、判定部64は、スイッチング素子B、即ち、スイッチング素子32Udが断線していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS25において、判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Bが短絡している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Bが短絡している場合の電流値に合致する場合(ステップS25においてYES)、ステップS26に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、スイッチング素子Bが短絡している場合の電流値に合致しない場合(ステップS25においてNO)、ステップS27に遷移する。
ステップS26において、判定部64は、スイッチング素子B、即ち、スイッチング素子32Udが短絡していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS27において、判定部64は、以下のような処理を行う。判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、直流電圧検出部26が直流電圧を過大に検出している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、直流電圧検出部26が直流電圧を過大に検出している場合の電流値に合致する場合(ステップS27においてYES)、ステップS28に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、直流電圧検出部26が直流電圧を過大に検出している場合の電流値に合致しない場合(ステップS27においてNO)、ステップS29に遷移する。
ステップS28において、判定部64は、直流電圧検出部26が直流電圧を過大に検出していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS29において、判定部64は、以下のような処理を行う。判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、直流電圧検出部26が直流電圧を過小に検出している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、直流電圧検出部26が直流電圧を過小に検出している場合の電流値に合致する場合(ステップS29においてYES)、ステップS30に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、直流電圧検出部26が直流電圧を過小に検出している場合の電流値に合致しない場合(ステップS29においてNO)、ステップS31に遷移する。
ステップS30において、判定部64は、直流電圧検出部26が直流電圧を過小に検出していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS31において、判定部64は、以下のような処理を行う。判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の電流センサ46Uが電流を過大に検出している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の電流センサ46Uが電流を過大に検出している場合の電流値に合致する場合(ステップS31においてYES)、ステップS32に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の電流センサ46Uが電流を過大に検出している場合の電流値に合致しない場合(ステップS31においてNO)、ステップS33に遷移する。
ステップS32において、判定部64は、U相の電流センサ46Uが電流を過大に検出していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS33において、判定部64は、以下のような処理を行う。判定部64は、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の電流センサ46Uが電流を過小に検出している場合の電流値に合致するか否かを、上記のような組み合わせ毎に取得された電流値と、テーブル70とに基づいて判定する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の電流センサ46Uが電流を過小に検出している場合の電流値に合致する場合(ステップS33においてYES)、ステップS34に遷移する。上記のような組み合わせ毎に取得された電流値が、U相の電流センサ46Uが電流を過小に検出している場合の電流値に合致しない場合(ステップS33においてNO)、図5及び図6に示す処理が完了する。
ステップS34において、判定部64は、U相の電流センサ46Uが電流を過小に検出していると判定する。この場合、図5及び図6に示す処理が完了する。
上述したように、説明を簡略化すべく、判定部64によって実行される様々な判定のうちの一部の判定が図5及び図6に示されている。例えば、ダイナミックブレーキ回路48のうちのV相、W相に対応する部分に断線が生じているか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、ダイナミックブレーキ回路48に備えられたV相、W相の抵抗器50V、50Wの抵抗値が過小であるか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、ダイナミックブレーキ回路48に備えられたV相、W相の抵抗器50V、50Wの抵抗値が過大であるか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、スイッチング素子C、Eにおいて断線が生じているか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、スイッチング素子C、Eにおいて短絡が生じているか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、スイッチング素子D、Fにおいて断線が生じているか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、スイッチング素子D、Fにおいて短絡が生じているか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、V相、W相の電流センサ46V、46Wが電流を過大に検出しているか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。また、V相、W相の電流センサ46V、46Wが電流を過小に検出しているか否かの判定も、判定部64によって行われ得る。
このように、本実施形態によれば、故障診断の際、オン状態にする上アーム側のスイッチング素子32uとオン状態にする下アーム側のスイッチング素子32dとの組み合わせが順次切り替えられる。そして、電流センサ46からの出力に基づいて、上記のような組み合わせ毎の電流値が取得される。一方、故障箇所及び故障内容と、上記のような組み合わせ毎の電流値との関係を示すテーブル70が記憶部58に記憶されている。そして、組み合わせ毎に取得部62によって取得された電流値と、テーブル70とに基づいて、故障箇所及び故障内容が判定される。本実施形態によれば、このように構成されているため、多様な故障診断を行うことができる。
[変形実施形態]
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
上記実施形態では、U相、V相、W相の各々の配線38U、38V、38Wに電流センサ46U、46V、46Wが備えられている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、U相、V相、W相のうちの2つの相の配線38に電流センサ46が備えられるようにしてもよい。
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
モータ駆動装置(10)は、上アーム側スイッチング素子(A、C、E)と下アーム側スイッチング素子(B、D、F)とを含むパワー素子部(30U、30V、30W)を複数有し、直流電圧を多相交流電圧に変換するインバータ部(28)と、前記多相交流電圧を前記インバータ部からモータ(12)に供給するための配線(38U、38V、38W)に備えられ、前記配線における電流値を検出する電流センサ(46U、46V、46W)と、前記配線のうちの前記電流センサと前記モータとの間の部分に接続され、抵抗器(50U、50V、50W)及びスイッチ(52U、52V)を有し、前記スイッチを閉じることにより前記抵抗器を介して前記モータの相間を短絡し得るダイナミックブレーキ回路(48)と、故障診断の際、前記ダイナミックブレーキ回路によって前記モータの相間を短絡した状態で、複数の前記上アーム側スイッチング素子のうちの少なくともいずれかと、複数の前記下アーム側スイッチング素子のうちの少なくともいずれかとをオン状態にする制御部(60)であって、オン状態にする前記上アーム側スイッチング素子とオン状態にする前記下アーム側スイッチング素子との組み合わせを順次切り替える制御部と、前記電流センサからの出力に基づいて、前記組み合わせ毎の前記電流値を取得する取得部(62)と、故障箇所及び故障内容と、前記組み合わせ毎の前記電流値との関係を示すテーブル(70)が記憶された記憶部(58)と、前記組み合わせ毎に前記取得部によって取得された前記電流値と、前記テーブルとに基づいて、故障箇所及び故障内容を判定する判定部(64)とを備える。
前記判定部は、前記ダイナミックブレーキ回路のうちのいずれの相に対応する部分に断線が生じているかを判定し得るようにしてもよい。
前記判定部は、複数の前記抵抗器のうちのいずれが過小であるかを判定し得るようにしてもよい。
前記判定部は、複数の前記抵抗器のうちのいずれが過大であるかを判定し得るようにしてもよい。
前記判定部は、前記複数の上アーム側スイッチング素子のうちのいずれに断線故障が生じているかを判定し得るようにしてもよい。
前記判定部は、前記複数の下アーム側スイッチング素子のうちのいずれに断線故障が生じているかを判定し得るようにしてもよい。
前記判定部は、前記複数の上アーム側スイッチング素子のうちのいずれに短絡故障が生じているかを判定し得るようにしてもよい。
前記判定部は、前記複数の下アーム側スイッチング素子のうちのいずれに短絡故障が生じているかを判定し得るようにしてもよい。
前記直流電圧を検出する電圧検出部(26)を更に備え、前記判定部は、前記電圧検出部の検出異常を判定し得るようにしてもよい。
前記判定部は、前記電流センサの検出異常を判定し得るようにしてもよい。