以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、外観検査装置1の全体構成を示す模式図である。図1に示される外観検査装置1は、部品であるワークの表面状態を検査する装置である。外観検査装置1は、ワークの表面状態を検査することにより、ワークの良否を判定する。ワークの表面状態を検査するとは、ワークの表面に、所定の不良項目に該当する不良が生じているか否かを検査することをいう。所定の不良項目とは、例えば、カケ、クラック、汚れ(シミ)、スアナ、クロカワ、研磨不良、ガタ、カット不良等である。カケとは、ワークWの一部がカケ落ちて凹部分が生じる不良である。クラックとは、スジ状の凹部分が生じる不良である。汚れ(シミ)とは、例えば洗浄不足による汚れ残りの不良である。スアナとは、丸状の凹部分が生じる不良である。クロカワとは、研磨残りの部分(十分に研磨できていない部分)における変形・縮率の不良である。研磨不良とは、部分的に削りすぎた部分の不良である。ガタとは、アシ部の高さばらつきにより生じる不良である。カット不良とは、面取りバランスが悪化した不良である。具体的な検査方法については後述する。図1に示されるように、外観検査装置1は、検査ユニット10と、コントローラ90(制御装置)とを有する。
図2は、外観検査装置1に含まれる検査ユニット10を模式的に示す斜視図である。図1及び図2に示されるように、検査ユニット10は、投入コンベア11(コンベア)と、ワーク位置決めカメラ12(カメラ)と、アクチュエータ13と、ワーク移動ポケット14(載置部)と、良品整列コンベア15と、不良品排出箱16と、レーザ変位計20(第1のレーザ変位計)と、撮像部30(第1の撮像部)と、レーザ変位計40(第2のレーザ変位計)と、撮像部50(第2の撮像部)と、ロボット60と、ハンド61と、を含んで構成されている。レーザ変位計20及び撮像部30は、ワークW(図2参照)がハンド61によって保持されている状態における検査に係る保持時検査ユニットである。レーザ変位計40及び撮像部50は、ワークWがハンド61によって保持されていない状態における検査であって保持時検査ユニットによる検査においてハンド61に保持される面を検査面とする検査に係る非保持時検査ユニットである。外観検査装置1に含まれる各構成は、コントローラ90に制御される。外観検査装置1は、コントローラ90の制御に応じて部品であるワークWの表面状態を検査する。ワークWは、例えば磁性部品である。
図3は、検査対象であるワークWを模式的に示す斜視図である。図3に示されるように、ワークWはアーチ状に形成されている。図3に示されるように、ワークWは、アーチ状に形成された外R面Woと、外R面Woの裏面であってアーチ状に形成された内R面Wi(裏面)と、ワークWの長さ方向の両端面であるA端面Waと、ワークWの幅方向の両端面であるB端面Wbと、A端面Waの下端と内R面Wiの端部とを連結するハネアゲ面Wy及びアシ部Wxと、を有する。外R面Woは、後述するハンド61に保持される面である。
図4は、各検査工程におけるワークWの検査箇所を説明する図である。ワークWを検査する工程としては、大きく、ロボット60に装着されたハンド61によりワークWを保持した状態においてレーザ変位計20及び撮像部30によって所定の検査面の検査を行う第1工程(図4(a)及び図4(b))と、ハンド61によりワークWが保持されていない状態においてレーザ変位計40及び撮像部50によって所定の検査面の検査を行う第2工程(図4(c)及び図4(d))と、第1工程及び第2工程の検査結果に基づきワークWの表面状態の良否を判定する第3工程と、を含む。第1工程では、ワークWの外R面Woがハンド61に保持される面とされる。このため、第1工程では、ワークWの外R面Wo以外が検査箇所(検査面)とされる。例えば、図4(a)に示されるレーザ変位計20による検査では、内R面Wi及びアシ部Wxが検査箇所とされ、内R面Wi及びアシ部Wxにおけるクロカワ、研磨不良、ガタ等が検出される。また、図4(b)に示される撮像部30による検査では、内R面Wi、A端面Wa、B端面Wb、及びハネアゲ面Wyが検査箇所(検査面)とされ、これらの検査箇所におけるカケ、クラック、汚れ(シミ)、スアナ、クロカワ、研磨不良等が検出される。第2工程では、第1工程においてハンド保持面とされ検査ができていない外R面Woが検査箇所(検査面)とされる。例えば、図4(c)に示されるレーザ変位計40による検査では、外R面Roが検査箇所とされ、外R面Woにおけるクロカワ、研磨不良、ガタ等が検出される。また、図4(d)に示される撮像部50による検査では、外R面Woが検査箇所(検査面)とされ、外R面Woにおけるカケ、クラック、汚れ(シミ)、スアナ、クロカワ、研磨不良、カット不良等が検出される。
図2に戻り、投入コンベア11は、作業者が検査ユニット10に投入したワークWを搬送するコンベアである。投入コンベア11は、作業者によって投入されたワークWを、例えばアクチュエータ13の近傍であるピックアップ位置まで搬送する。投入コンベア11は、ワークWをピックアップ位置まで搬送すると、当該ワークWがハンド61によって把持されてロボット60によって移動させられるまで(ピックアップされるまで)、停止する。投入コンベア11は、ピックアップ位置においてワークWがピックアップされると、次のワークWがピックアップ位置まで搬送されるように、動作を開始する。投入コンベア11は、例えば作業者がワークWを投入しやすい高さ及び長さとされている。投入コンベア11は、検査ユニット10が稼働中は常に稼働していてもよいし、コントローラ90からの制御信号を受信した場合にのみ所定時間稼働してもよい。
ワーク位置決めカメラ12は、投入コンベア11を流れるワークWの姿勢(向き・傾き・輪郭)を撮像するカメラである。ワーク位置決めカメラ12は、例えばピックアップ位置に搬送されたワークWを上方から撮像可能な位置に設けられている。ワーク位置決めカメラ12は、撮像した画像(ワークWの姿勢を示す画像)をコントローラ90に送信する。
アクチュエータ13は、上述した保持時検査ユニットを構成するレーザ変位計20及び撮像部30による検査エリア、及び、非保持時検査ユニットを構成するレーザ変位計40及び撮像部50による検査エリア間において、ワークWを載置するワーク移動ポケット14を移動させるアクチュエータである。アクチュエータ13は、例えば単軸アクチュエータである。単軸アクチュエータを用いることで、直線的な部品の移動が簡便な構成で可能となる。これにより、検査エリアを短距離で接続することができ、部品の動線を短くするための効率的な外観検査装置の各構成要素の配置(装置レイアウトの最適化)や検査時間の短縮を図ることができる。アクチュエータ13は、ロボット60の動作を妨げない位置に配置されている。アクチュエータ13は、コントローラ90の制御に応じて動作する。
良品整列コンベア15は、ロボット60によって搬送されてきたワークWを外部に排出するように搬送するコンベアである。ロボット60によって良品整列コンベア15に搬送されてくるワークWは、コントローラ90において良品であると判定されたワークである(詳細は後述)。良品整列コンベア15は、例えば作業者がワークWを取り出しやすい高さ及び長さとされている。良品整列コンベア15は、検査ユニット10が稼働中は常に稼働していてもよいし、コントローラ90からの制御信号を受信した場合にのみ所定時間稼働してもよい。
不良品排出箱16は、ロボット60によって搬送されてきた不良品のワークWを収納する箱である。ロボット60によって搬送されてくるワークWは、コントローラ90において不良品であると判定されたワークである(詳細は後述)。不良品排出箱16は、例えば作業者がワークWを出し入れしやすい位置に設置されている。不良品排出箱16においては、不良項目(例えばクロカワ等)別にワークWが配列されていてもよい。
レーザ変位計20は、ワークWの検査面に対してレーザ光を照射すると共に該検査面からの反射光を受光することにより該検査面までの距離を測定する。レーザ変位計20は、検査面における深さ方向の異常(凸凹が生じる研磨不良・クロカワ等)を好適に検知することができる。レーザ変位計20は、投入コンベア11の近傍であって、極力、投入コンベア11におけるワークWのピックアップ位置から撮像部30までの動線上にあることが好ましい。レーザ変位計20は、図6に示されるように、ハンド61に保持されるワークWの外R面Wo以外の箇所を検査面として、ワークWの下方からワークWに対してレーザ光を照射する。レーザ変位計20は、測定結果をコントローラ90に送信する。
撮像部30は、ワークWの検査面を撮像する。撮像部30は、カメラと照明とを含んで構成されている。撮像部30は、照明における光る箇所及び波長を変えながら、検査面の撮像を行う。撮像部30は、検査面における寸法・面積・色の異常を好適に検知することができる。撮像部30は、極力、レーザ変位計20の近傍に配置される。撮像部30は、図7に示されるように、ハンド61に保持されるワークWの外R面Wo以外の箇所を検査面として、水平方向に対向するワークWを撮像する。撮像部30は、撮像結果をコントローラ90に送信する。
レーザ変位計40は、ワークWの検査面に対してレーザ光を照射すると共に該検査面からの反射光を受光することにより該検査面までの距離を測定する。レーザ変位計40は、検査面における深さ方向の異常(凸凹が生じる研磨不良・クロカワ等)を好適に検知することができる。レーザ変位計40は、アクチュエータ13によって移動するワーク移動ポケット14に載置されているワークWに対して検査を行う。図11に示されるように、ワーク移動ポケット14に載置されているワークWは、外R面Woが露出している。レーザ変位計40は、図11に示されるように、ワークWの上方からワークWに対して(詳細には露出している外R面Woに対して)レーザ光を照射する。レーザ変位計40は、測定結果をコントローラ90に送信する。
撮像部50は、ワークWの検査面を撮像する。撮像部50は、カメラと照明とを含んで構成されている。撮像部50は、照明における光る箇所及び波長を変えながら、検査面の撮像を行う。撮像部50は、検査面における寸法・面積・色の異常を好適に検知することができる。撮像部50は、アクチュエータ13によって移動するワーク移動ポケット14に載置されているワークWに対して検査を行う。上述したように、ワーク移動ポケット14に載置されているワークWは、外R面Woが露出している。撮像部30は、図12に示されるように、ワークWの上方からワークW(詳細には露出している外R面Wo)を撮像する。撮像部50は、撮像結果をコントローラ90に送信する。
図5は、ロボット60及びハンド61を模式的に示す斜視図である。ロボット60は、多関節アームを有する、例えばシリアルリンク型のロボットである。図5に示されるように、多関節アームは、基台62と、旋回部63と、アーム64,65と、リスト66よ、エンド部67と、複数のモータ(不図示)とを有している。ロボット60は、多関節アームの先端部に設けられたエンド部67にハンド61を装着している。ロボット60は、コントローラ90の制御に応じて、ハンド61によりワークWを吸着すると共に、ハンド61を移動させることによりワークWを所定の検査領域に移動させる。
基台62は床面に固定され、ロボット60全体を支持する。旋回部63は基台62上に設けられ、基台62を通る鉛直な軸線Ax1まわりに旋回可能である。旋回部63にはアーム64の基端部が接続されている。アーム64は、旋回部63とアーム64との接続部を通る軸線Ax2まわりに揺動可能である。軸線Ax2は軸線Ax1に直交している。アーム64の先端部にはアーム65の基端部が接続されている。アーム65は、アーム64とアーム65との接続部を通る軸線Ax3まわりに揺動可能である。軸線Ax3は軸線Ax2に平行である。アーム65の先端部にはリスト66の基端部が取り付けられている。アーム65の先端部及びリスト66は、アーム65の中心軸線に沿う軸線Ax4まわりに旋回可能である。リスト66は、アーム65とリスト66との接続部を通る軸線Ax5まわりに揺動可能である。軸線Ax5は、軸線Ax4に直交している。リスト66の先端部にはエンド部67が設けられている。エンド部67は、エンド部67の中心軸線に沿う軸線Ax6まわりに旋回可能である。エンド部67には、リスト66の逆側からエンドエフェクタであるハンド61が装着可能とされている。ハンド61は、エンド部67に一体化されていてもよい。上述した軸線Ax1~Ax6まわりに対応する構成が旋回可能となるように、モータ(不図示)が設けられている。
ハンド61は、ロボット60のエンド部67に装着されワークWを保持する。ハンド61は、ワークWを吸着可能に構成された2つの吸着ノズル61a,61bを有する。吸着ノズル61a(第1の吸着ノズル)及び吸着ノズル61b(第2の吸着ノズル)は、互いに異なるワークWを同時に吸着可能に構成されている。吸着ノズル61aは、検査完了前のワークWを吸着するための吸着ノズルである。吸着ノズル61aは、ロボット60のθ軸と同芯となるように設けられている。吸着ノズル61bは、検査完了後のワークWを吸着するための吸着ノズルである。吸着ノズル61bは、伸縮可能に構成されている。吸着ノズル61a,61bは、エンド部67が軸線Ax6まわりに旋回することによって互いの位置を入れ替えることが可能に構成されている(詳細は後述)。
コントローラ90は、ワークWの所定の検査面を検査するために外観検査装置1に含まれる各構成を制御すること(制御処理)と、検査結果に基づきワークWの表面状態を判定すること(判定処理)とを実行可能に構成されている。以下、制御処理及び判定処理について詳細に説明する。
制御処理では、コントローラ90は、所定の検査面にレーザ変位計20,40からのレーザ光が照射されると共に所定の検査面が撮像部30,50に撮像されるようにロボット60を制御する。具体的には、コントローラ90は、最初に、投入コンベア11のピックアップ位置に停止しているワークWの外R面Woがハンド61(詳細には吸着ノズル61a)によって吸着されるようにロボット60を制御する。この際、コントローラ90は、ワーク位置決めカメラ12から取得したワークWの姿勢を示す画像に基づき、吸着ノズル61aによるワークWの吸着位置及び吸着角度を決定してもよい。すなわち、後述する判定処理においては、撮像部30,50の撮像結果と、予め記憶されているワークWの良品の画像であるマスタ画像とが比較されてワークWの良否が判定されるところ、コントローラ90は、ワーク位置決めカメラ12から取得したワークWの姿勢を示す画像を考慮して、撮像結果におけるワークWの向きとマスタ画像におけるワークWの向きとが同様になるように吸着ノズル61aによってワークWが吸着されるように、ロボット60を制御してもよい。このような向き合わせ(アライメント)に用いるマスタ画像は、ワークWの輪郭を示すアライメント用のマスタ画像である。アライメント用のマスタ画像は、上述した良品の画像であるマスタ画像と異なっていてもよいし、同じであってもよい。
そして、コントローラ90は、ワークWが吸着ノズル61aによって吸着された状態において保持時検査ユニットを構成するレーザ変位計20及び撮像部30によるワークWの検査が行われるようにロボット60を制御する。具体的には、コントローラ90は、図6に示されるように、ハンド61に保持されるワークWの内R面Wi等の箇所を検査面としてレーザ変位計20による検査が行われる位置にワークWが移動するようにロボット60を制御する。この場合、レーザ変位計20による検査はコントローラ90の制御に応じて行われてもよいし、予め定められたタイミングで行われてもよい。さらに、コントローラ90は、図7に示されるように、ハンド61に保持されるワークWの内R面Wi等の箇所を検査面として撮像部30による検査が行われる位置にワークWが移動するようにロボット60を制御する。この場合、撮像部30による検査はコントローラ90の制御に応じて行われてもよいし、予め定められたタイミングで行われてもよい。ここで、コントローラ90は、撮像部30によって内R面Wiを撮像する際、アーチ状に形成されているワークWのRを考慮して、撮像部30に対するワークWの角度が複数回変更されるように、ロボット60を制御してもよい。例えば、コントローラ90は、内R面Wiの撮像時において3つの異なる角度から内R面Wiが撮像されるように、ロボット60を制御してもよい。
コントローラ90は、保持時検査ユニットによるワークWの検査が完了すると、保持時検査ユニットによって検査することができていない、ハンド61の保持面である外R面Woが露出した状態(上面側となった状態)でワークWがワーク移動ポケット14に載置されるように、ロボット60を制御する。そして、コントローラ90は、ワークWを載置するワーク移動ポケット14が非保持時検査ユニットによる検査エリアに移動するようにアクチュエータ13を制御する。すなわち、コントローラ90は、ワーク移動ポケット14が非保持時検査ユニットを構成するレーザ変位計40及び撮像部50の検査エリアを移動するようにアクチュエータ13を制御する。このように、外R面Woが露出したワークWが非保持時検査ユニットによる検査エリアを移動することにより、レーザ変位計40による外R面Woの検査(図11参照)及び撮像部50による外R面Woの検査(図12参照)が行われる。この場合、レーザ変位計40及び撮像部50による検査はコントローラ90の制御に応じて行われてもよいし、予め定められたタイミングで行われてもよい。
ここで、検査ユニット10においては、ハンド61の複数の吸着ノズル61a,61bを用いてワーク移動ポケット14に載置するワークWの切り替えを効率的に行うことができる。以下、載置するワークWの切り替えに関するコントローラ90の制御について説明する。コントローラ90は、検査完了前のワークW1が吸着ノズル61aによって吸着された状態において保持時検査ユニットを構成するレーザ変位計20及び撮像部30によるワークW1の検査が行われるようにロボット60を制御する。そして、コントローラ90は、保持時検査ユニットによるワークW1の検査が完了するまでに、検査完了後(保持時検査ユニット及び非保持時検査ユニットの双方の検査が完了している)のワークW2を載置するワーク移動ポケット14が保持時検査ユニットによる検査エリアに移動するようにアクチュエータ13を制御する(図7参照)。そして、コントローラ90は、保持時検査ユニットによるワークW1の検査の完了後において、吸着ノズル61bによって検査完了後のワークW2が吸着され(図8参照)、ワークW2に替えてワークW1がワーク移動ポケット14に載置されるように(図9参照)、前記ロボット60を制御する。さらに、コントローラ90は、ワークW1を載置するワーク移動ポケット14が非保持時検査ユニットによる検査エリアに移動するようにアクチュエータ13を制御すると共に、吸着ノズル61bによって吸着された検査完了後のワークW2が良品整列コンベア15又は不良品排出箱16に排出されるようにロボット60を制御する。
図10は、上記ワークの差し替え時における吸着ノズル61a,61bの動作を説明する図である。図10(a)に示されるように、吸着ノズル61aによって吸着されたワークW1について保持時検査ユニットによる検査が完了すると、図10(b)に示されるように、吸着ノズル61bによって検査完了後のワークW2が吸着される。そして、図10(c)に示されるように、エンド部67が軸線Ax6まわりに旋回することによって吸着ノズル61a,61bの位置が変更され、ワークW2に替えてワークW1がワーク移動ポケット14に載置される。最後に、図10(d)に示されるように、検査完了後のワークW2が吸着ノズル61bに吸着された状態で、ワークW2が良品整列コンベア15又は不良品排出箱16に向けて排出される。
判定処理では、コントローラ90は、レーザ変位計20,40の測定結果及び撮像部30,50の撮像結果を取得し、取得した測定結果及び撮像結果に基づきワークWの表面状態の良否を判定する。コントローラ90は、レーザ変位計20,40の測定結果が示す深さ方向の情報(厚さ・深さ)が所定の正常範囲内であるか否かを判定する。また、コントローラ90は、撮像部30,50の撮像結果が示す寸法、面積、色の濃淡等の情報が所定の正常範囲内であるか否かを判定する。コントローラ90は、撮像部30,50の撮像結果と、ワークWの良品の画像であるマスタ画像とを比較することによって、寸法、面積、色の濃淡等の情報が正常であるか(マスタ画像と同様であるか)を判定してもよい。各不良項目のうち、例えばカケ、クラック、スアナ、バリについては、撮像部30,50の撮像結果が示す寸法に応じて判定が可能である。また、例えばシミについては、撮像部30,50の撮像結果が示す濃淡及び面積に応じて判定が可能である。また、例えばガタ不良については、レーザ変位計20,40の測定結果が示す寸法に応じて判定が可能である。また、例えばクロカワ、研磨不良、カット不良については、レーザ変位計20,40の測定結果及び撮像部30,50の撮像結果の双方を用いて判定が可能である。具体的には、クロカワについては撮像結果が示す面積と測定結果が示す深さとから判定が可能であり、研磨不良については撮像結果が示す幅と測定結果が示す深さとから判定が可能であり、カット不良については撮像結果が示す寸法と測定結果が示す深さとから判定が可能である。
コントローラ90は、レーザ変位計20の測定結果に基づく良否判定、撮像部30の撮像結果に基づく良否判定、レーザ変位計40の測定結果に基づく良否判定、及び、撮像部50の撮像結果に基づく良否判定を所定の順番で行い、いずれかの良否判定で不良となった時点で、その後の良否判定を行うことなくワークWが不良品排出箱に16排出されるようにロボット60を制御してもよい。コントローラ90は、不良と判定したワークWについて、不良項目を特定し(例えばクロカワ等)、不良品排出箱16における不良項目別の排出位置に不良と判定したワークWが排出されるようにロボット60を制御してもよい。
コントローラ90のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ90は、ハードウェア上の構成として、例えば図13に示す回路900を有する。回路900は、プロセッサ901と、メモリ902と、ストレージ903と、入出力ポート904と、ドライバ905とを有する。ドライバ905は、検査ユニット10のロボット60や各種アクチュエータを駆動するための回路である。入出力ポート904は、外部信号の入出力を行うのに加え、ドライバ905に対する信号の入出力も行う。プロセッサ901は、メモリ902及びストレージ903の少なくとも一方と協議してプログラムを実行し、入出力ポート904を介した信号の入出力を実行することで、上述した機能モジュールを構成する。
なお、コントローラ90のハードウェア上の構成は、必ずしもプログラムの実行により機能モジュールを構成するものに限られない。例えばコントローラ90は、専用の論理回路により、又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)によりこれらの機能モジュールを構成するものであってもよい。
次に、外観検査装置1によるワークWの外観検査処理(外観検査方法)について、図14を参照して説明する。
図14に示されるように、外観検査処理では、最初に、投入コンベア11にワークWが投入される(ステップS1)。ワークWは投入コンベア11を流れ、ピックアップ位置に到達する。この状態で、コントローラ90によって、ワークW1の外R面Woがハンド61によって吸着される(ピックアップされる)ようにロボット60が制御される(ステップS2)。つづいて、コントローラ90によって、ワークW1が吸着ノズル61aによって吸着された状態においてレーザ変位計20によるワークW1の検査(内R面Wi等のレーザ検査)が行われるようにロボット60が制御される(ステップS3,図6に示される第1レーザ工程(第1工程))。
つづいて、コントローラ90によって、ステップS3の検査の結果、良否判定が合格か否かが判定される(ステップS4)。ステップS4において不良品であり検査不合格の場合には、コントローラ90によって、不良品排出箱16にワークWが排出されるようにロボット60が制御される(ステップS13)。
一方で、ステップS4において良品であると判定された場合には、コントローラ90によって、ワークW1が吸着ノズル61aによって吸着された状態において撮像部30によるワークW1の検査(内R面Wi等のカメラ検査)が行われるようにロボット60が制御される(ステップS5,図7に示される第1撮像工程(第1工程))。
つづいて、コントローラ90によって、ステップS5の検査の結果、良否判定が合格か否かが判定される(ステップS6)。ステップS6において不良品であり検査不合格の場合には、コントローラ90によって、不良品排出箱16にワークWが排出されるようにロボット60が制御される(ステップS13)。
一方で、ステップS6において良品であると判定された場合には、コントローラ90によって、ハンド61の保持面である外R面Woが露出した状態(上面側となった状態)でワークWがワーク移動ポケット14に載置されるようにロボット60が制御される(ステップS7)。そして、コントローラ90は、ワークWを載置するワーク移動ポケット14が非保持時検査ユニットによる検査エリアに移動するようにアクチュエータ13を制御する。
これにより、アクチュエータ13によって非保持時検査ユニットによる検査エリアを移動するワークWについて、レーザ変位計40による外R面Woの検査(外R面Woのレーザ検査)が実行される(ステップS8,図11に示される第2レーザ工程(第2工程))。
つづいて、コントローラ90によって、ステップS8の検査の結果、良否判定が合格か否かが判定される(ステップS9)。ステップS9において不良品であり検査不合格の場合には、コントローラ90によって、不良品排出箱16にワークWが排出されるようにロボット60が制御される(ステップS13)。
一方で、ステップS9において良品であると判定された場合には、アクチュエータ13によって非保持時検査ユニットによる検査エリアを移動するワークWについて、撮像部50によるワークW1の検査(外R面Woのカメラ検査)が実行される(ステップS10,図12に示される第2撮像工程(第2工程))。
つづいて、コントローラ90によって、ステップS10の検査の結果、良否判定が合格か否かが判定される(ステップS11)。ステップS11において不良品であり検査不合格の場合には、コントローラ90によって、不良品排出箱16にワークWが排出されるようにロボット60が制御される(ステップS13)。一方で、ステップS11において良品であり検査合格の場合には、コントローラ90によって、良品整列コンベア15にワークWが排出されるようにロボット60が制御される。
次に、本実施形態に係る外観検査装置1の作用効果について説明する。
本実施形態に係る外観検査装置1は、ワークWの表面状態を検査する装置であって、ワークWの検査面に対してレーザ光を照射すると共に該検査面からの反射光を受光することにより該検査面までの距離を測定するレーザ変位計20,40と、ワークWの検査面を撮像する撮像部30,50と、多関節アームを有し、該多関節アームの先端にワークWを保持するハンド61が装着されたロボット60と、コントローラ90と、を備え、コントローラ90は、所定の検査面にレーザ変位計20,40からのレーザ光が照射されると共に所定の検査面が撮像部30,50に撮像されるようにロボット60を制御することと、レーザ変位計20,40の測定結果及び撮像部30,50の撮像結果を取得することと、取得した測定結果及び撮像結果に基づきワークWの表面状態の良否を判定することと、を実行するように構成されている。
本実施形態に係る外観検査装置1では、ワークWの表面状態の良否を判定するに際して、レーザ変位計20,40によるワークWの検査面の測定結果、及び、撮像部30,50によるワークWの検査面の撮像結果が考慮される。これにより、ワークWの検査面について、レーザ変位計20,40によって深さ方向の異常(凸凹)が検知されると共に、撮像部30,50によって寸法、面積、色の濃淡等の異常が検知される。このように、レーザ変位計20,40の測定結果及び撮像部30,50の撮像結果を用いることにより、例えばレーザ変位計20,40のみを用いて表面状態の欠陥を検知する場合と比較して、より様々な不良に係る表面状態の欠陥を検知することができる。このことで、高精度にワークWの表面状態の検査を行うことができる。また、本実施形態に係る外観検査装置1では、多関節アームの先端に装着されたハンド61でワークWを保持するロボット60が、コントローラ90によって制御されている。具体的には、所定の検査面にレーザ光が照射されると共に所定の検査面が撮像されるように、ロボット60が制御されている。すなわち、検査面が、コントローラ90に制御されたロボット60によって設定されている。このように、多関節アームを有するロボット60によって検査面が設定されることにより、所望の検査面となるように検査面を細かく変更すること等が可能となる。このことで、ワークWの表面を漏れなく検査することが可能になり、より高精度にワークWの表面状態を検査することができる。
外観検査装置1は、レーザ変位計20及び撮像部30は、ワークWがハンド61によって保持されている状態における検査に係る保持時検査ユニットであり、レーザ変位計40及び撮像部50は、ワークWがハンド61によって保持されていない状態における検査であって保持時検査ユニットによる検査においてハンド61に保持される外R面Woを検査面とする検査に係る非保持時検査ユニットであってもよい。このように、ワークWがハンド61によって保持されている際の検査に係る構成と、ワークWがハンド61によって保持されていない際において保持されている際の保持される面(外R面Wo)を検査面とする検査に係る構成とに分けられることにより、上述したようにロボット60を用いてワークWの表面を漏れなく検査しながら、ロボット60を用いる際の保持面についても適切に検査することができる。これにより、より高精度にワークWの表面状態を検査することができる。
外観検査装置1は、ワークWを載置可能に構成されたワーク移動ポケット14と、保持時検査ユニットによる検査エリア、及び、非保持時検査ユニットによる検査エリア間においてワーク移動ポケット14を移動させるアクチュエータ13と、を更に備え、コントローラ90は、ハンド61に保持される面(外R面Wo)が露出した状態でワークWがワーク移動ポケット14に載置されるようにロボット60を制御することと、外R面Woが露出した状態のワークWを載置するワーク移動ポケット14が非保持時検査ユニットによる検査エリアを移動するようにアクチュエータ13を制御することと、をさらに実行するように構成されていてもよい。アクチュエータ13によって保持時検査ユニットによる検査エリア及び非保持時検査ユニットによる検査エリア間をワーク移動ポケット14が移動することにより、両エリア間におけるワークWの移動を円滑に行い、両エリアにおけるワークWの表面状態の検査を容易に行うことができる。そして、ハンド61に保持される面が露出した状態のワークWが非保持時検査ユニットによる検査エリアを移動することにより、非保持時検査ユニットによる検査エリアを移動するワークWについて、ハンド61に保持される面を検査面として非保持時検査ユニットを構成するレーザ変位計40及び撮像部50による検査を適切に行うことができる。
ハンド61は、ワークWを吸着可能に構成された複数の吸着ノズル61a,61bを有していてもよい。吸着ノズル61a,61bによってワークWを保持する構成を採用することにより、保持する面を1面とすることができ、例えば2面以上を挟持するような場合と比較して、保持時検査ユニットによって検査できる面を多くすることができる。このことで、検査の効率を向上させることができる。
ハンド61は、互いに異なるワークWを吸着可能に構成された吸着ノズル61a,61bを有していてもよい。互いに異なるワークWを吸着する吸着ノズル61a,61bが設けられていることにより、例えば、ワーク移動ポケット14に載置するワークWを切り替える際に、ワークWを保持していない吸着ノズルでワーク移動ポケット14に載置されているワークWを吸着しワーク移動ポケット14から移動させると共に、元々ワークWを保持していた吸着ノズルが吸着するワークWをワーク移動ポケット14に載置することが可能になり、ワークWの切り替えを効率的に行うことができる。すなわち、例えば吸着ノズルが1つしかない場合には、ワーク移動ポケット14に載置されているワークWを吸着ノズルで吸着して該ワークWを移動先に置いた後に、新たなワークWを吸着してワーク移動ポケット14に移動させる必要があるのに対して、吸着ノズルが2つ設けられた構成においては、同時に2つのワークWを吸着することができるので、上述したように例えばワーク移動ポケット14に載置するワークWの切り替えを効率的に行うことができる。以上のように、上述した構成によれば、検査をより効率的に行うことができる。
コントローラ90は、検査完了前のワークW1が吸着ノズル61aによって吸着された状態において保持時検査ユニットによるワークW1の検査が行われるようにロボット60を制御することと、保持時検査ユニットによるワークW1の検査が完了するまでに、検査完了後のワークW2を載置するワーク移動ポケット14が保持時検査ユニットによる検査エリアに移動するようにアクチュエータ13を制御することと、保持時検査ユニットによるワークW1の検査の完了後において、吸着ノズル61bによってワークW2が吸着されワークW2に替えてワークW1がワーク移動ポケット14に載置されるようにロボット60を制御することと、ワークW1を載置するワーク移動ポケット14が非保持時検査ユニットによる検査エリアに移動するようにアクチュエータ13を制御することと、吸着ノズル61bによって吸着されたワークW2が排出されるようにロボット60を制御することと、をさらに実行するように構成されていてもよい。このような制御によれば、上述した2つの吸着ノズル61a,61bを用いて、検査完了後のワークW2の排出と、検査途中のワークW1の移動とを共に円滑に行うことができる。
ワークWは、アーチ状に形成されており、コントローラ90は、保持時検査ユニットの撮像部30によって内R面Wiを撮像する際、内R面Wiのアールを考慮して、撮像部30に対するワークWの角度が複数回変更されるように、ロボット60を制御してもよい。このように、アーチ状に形成された面を撮像するに際して、アーチ状のアールを考慮して異なる角度でワークWの撮像が行われることにより、例えば各領域における撮像時の焦点距離のばらつきを抑えることが可能になる。このことで、アーチ状に形成された面についても適切に検査を行うことができる。また、アールを考慮して角度を変えながら撮像が行われることにより、例えばワークWにおける複数の検出面と撮像部30とを適切に正対させて撮像を行うことが可能になり、検出精度を向上させることができる。
コントローラ90は、レーザ変位計20の測定結果に基づく良否判定、撮像部30の撮像結果に基づく良否判定、レーザ変位計40の測定結果に基づく良否判定、及び、撮像部50の撮像結果に基づく良否判定を所定の順番で行い、いずれかの良否判定で不良となった時点で、その後の良否判定を行うことなくワークWが排出されるようにロボット60を制御してもよい。これにより、不良であることが確定したワークWについてさらなる良否判定を行う必要がなく、検査時間を短縮することができる。
コントローラ90は、撮像部30,50の撮像結果と、ワークWの良品の画像であるマスタ画像とを比較することにより、表面状態の良否を判定してもよい。これにより、検査対象であるワークWの良否判定を適切且つ簡易に行うことができる。
外観検査装置1は、投入されたワークWを搬送する投入コンベア11と、投入コンベア11を流れるワークWの姿勢を撮像するワーク位置決めカメラ12と、を更に備え、コントローラ90は、ワーク位置決めカメラ12から取得するワークWの姿勢を考慮して、撮像結果におけるワークWの向きとワークWの輪郭を示すアライメント用のマスタ画像におけるワークWの向きとが同様になるようにハンド61によってワークWが保持されるように、ロボット60を制御してもよい。これにより、ハンド61によって保持されるワークWの向きを予め定めた向きとすることができ、ワークWの良否判定をより正確に行うことができる。
外観検査装置1は、複数の不良項目についての検査を行い、コントローラ90は、複数の不良項目のうち少なくとも一つの不良項目について、レーザ変位計20,40の測定結果及び撮像部30,50の撮像結果の双方を用いて良否を判定してもよい。例えば研磨不良等については、深さ方向及び幅方向(面積)の双方の情報がなければ高精度に良否判定を行うことができないところ、レーザ変位計の測定結果(深さ方向の情報)及び撮像部の撮像結果(面積)の双方の情報に基づき、研磨不良等の不良項目についての良否判定を行うことにより、特定の不良項目についても高精度に良否判定を行うことができる。
外観検査装置は、複数の不良項目についての検査を行い、コントローラ90は、不良と判定したワークWについて、不良項目別の排出位置に排出されるように、ロボット60を制御してもよい。これにより、不良と判定されたワークWは不良項目別に配列されることになり、どのような不良がどれだけ生じたかをわかりやすくすることができる。
なお、外観検査装置1においては、図1に示されるように、投入コンベア11におけるワークWのピックアップ位置から撮像部30による検査箇所までの動線上にレーザ変位計20が設けられており、さらに、撮像部30による検査箇所の直下にワーク移動ポケット14がセットされて、その後、アクチュエータ13によって移動させられるワーク移動ポケット14に載置されたワークWに対してレーザ変位計40及び撮像部50による検査が行われることにより、ワークWの姿勢変更回数を少なくしながら、ワークWの移動距離及び移動時間を短くして効率よく円滑に検査を行うことができる。