次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明する。
以下の説明において、方向は、図1の紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10内に、転写媒体の一例としての用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90とを備えている。
給紙部20は、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21内の用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙搬送装置22を主に備えている。
画像形成部30は、露光部40と、4つのプロセス部50と、転写ユニット70と、ベルトクリーナ60と、定着ユニット80とから主に構成されている。
露光部40は、複数のプロセス部50の上側に配置されており、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。そして、露光部40では、レーザビームがポリゴンミラーや反射鏡で反射されたり、レンズを通過したりして出射され、感光体51の表面上に高速走査にて照射される。
複数のプロセス部50は、前後方向に並んで配列されている。プロセス部50は、感光体51と、帯電部52と、現像部54と、供給ローラ55と、現像剤の一例としてのトナーを収容するためのトナー収容室56とを備えている。さらに、プロセス部50は、感光体51上のトナーを一時的に回収するドラムクリーナ57と、感光体51の表面の電位を低下させるための除電光を出射する除電器58とを備えている。
プロセス部50は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色のトナーが入った50K,50Y,50M,50Cの符号で示すものが用紙Pの搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。なお、本明細書および図面において、トナーの色に対応した感光体51や現像部54などを特定する場合には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれに対応させて、K、Y、M、Cの記号を付することとする。
図2に示すように、感光体51は、アルミニウムなどの導電体からなる素管51Aと、当該素管51Aの表面上に設けられる感光層51Bとを有している。感光層51Bは、樹脂に電荷発生材料、電子輸送材料および正孔輸送材料を分散させた正帯電性の有機感光層により形成されている。素管51Aはカラープリンタ1のアース電位に接続されている。
帯電部52は、帯電ワイヤ52Aと、当該帯電ワイヤ52Aと感光体51との間に設けられ、複数のスリットを有するグリッド電極52Bとを備えている。
現像部54は、感光体51に接触し、感光体51上の静電潜像にトナーを供給する現像ローラである。現像部54は、感光体51上の静電潜像をトナーで現像している。現像部54は、感光体51の回転方向において、帯電部52の下流、かつ、後述する転写部74の上流に配置されている。なお、本実施形態では、トナーを現像部54から感光体51に供給する際には、現像部54と供給ローラ55との間でトナーが摺接されることなどによって、トナーがプラスに帯電されるようになっている。
現像部54は、図示せぬ接離機構によって、感光体51に対して近接・離間可能となっている。具体的に、カラーモードにおいては、すべての現像部54K,54Y,54M,54Cが、それぞれ対応する感光体51K,51Y,51M,51Cに接触して各感光体51K,51Y,51M,51Cにトナーを供給する。また、モノクロモードにおいては、ブラック用の現像部54Kのみが感光体51Kに接触し、その他の3色の現像部54Y,54M,54Cは、対応する感光体51Y,51M,51Cから離間する。さらに、後述するクリーニング処理などにおいては、すべての現像部54K,54Y,54M,54Cは、それぞれ対応する感光体51K,51Y,51M,51Cから離間する。
図1に示すように、ドラムクリーナ57は、回転可能なクリーニングローラである。ドラムクリーナ57は、各感光体51に対応するように各感光体51に隣接して複数設けられている。詳しくは、ドラムクリーナ57は、感光体51の回転方向において、転写部74の下流、かつ、帯電部52の上流に配置されている。
ドラムクリーナ57には、トナーとは逆極性の保持バイアスが印加されるようになっており、これにより、感光体51上に付着するトナーをドラムクリーナ57で一時的に保持することが可能となっている。また、ドラムクリーナ57には、トナーと同極性の吐出バイアスが印加されるようになっており、これにより、ドラムクリーナ57で保持したトナーを感光体51に吐き出す、つまり移動させることが可能となっている。
除電器58は、感光体51の表面電位を当該感光体51の軸線方向の略全体にわたって一律に低下させるものであり、感光体51の軸線方向の略全体に対して光を照射するように構成されている。より詳しくは、除電器58は、軸線方向において感光層51Bの略全体に対して光を照射する。そして、除電器58が光を照射している状態で感光体51を回転動作することにより、感光層51B全体の表面電位を一律に低下させることができる。除電器58は、感光体51の回転方向において、転写部74の下流、かつ、帯電部52の上流に配置されている。詳しくは、除電器58は、感光体51の回転方向において、転写部74の下流、かつ、ドラムクリーナ57の上流に配置されている。なお、本実施形態では、感光体51の表面電位が感光層51Bの表面電位と等しいものとして説明する。
転写ユニット70は、給紙部20と各プロセス部50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、転写部74とを備えている。
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光体51に接している。
転写部74は、感光体51に担持されたトナー像を用紙Pに転写する転写ローラである。転写部74は、各感光体51に対応して4つ配置されている。転写部74は、搬送ベルト73の内側に配置され、各感光体51との間で搬送ベルト73を挟持している。この転写部74には、トナーとは逆極性の転写電圧が印加される。
ベルトクリーナ60は、搬送ベルト73に摺接して、搬送ベルト73上に付着したトナー等を回収する装置であり、搬送ベルト73の下方に対向して配置されている。ベルトクリーナ60は、摺接ローラ61と、回収ローラ62と、ブレード63と、廃トナー収容器64とを備えている。
摺接ローラ61は、搬送ベルト73の外周面に接触するように配置され、搬送ベルト73の内周面に配置されたバックアップローラ65との間に回収バイアスが印加されることで搬送ベルト73上の付着物を回収している。
回収ローラ62は、摺接ローラ61に摺接するローラであり、摺接ローラ61上に付着した付着物を回収している。そして、回収ローラ62上の付着物は、当該回収ローラ62に摺接するように配置されたブレード63によって削り取られて、廃トナー収容器64内に入り込むようになっている。
定着ユニット80は、各プロセス部50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
また、カラープリンタ1は、画像形成部30から排出された用紙Pを、表裏反転した状態で、再度画像形成部30に搬送する再搬送機構DXをさらに備えている。これにより、このカラープリンタ1では、用紙Pの片面のみに印字を行う片面印字モードと、用紙Pの両面に印字を行う両面印字モードとを切替可能となっている。
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光体51の表面が、帯電部52により一様にプラスに帯電された後、露光部40で露光される。これにより、感光層51Bの内部でプラスとマイナスの電荷が生じて、マイナスの電荷が表面に輸送されることで、表面に帯電されたプラスの電荷がマイナスの電荷で打ち消され、静電潜像が形成される。その後、現像部54によって現像カートリッジ53内のトナーが、感光体51上の静電潜像に供給されることで、感光体51上にトナー像が担持される。
次に、搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光体51と各転写部74との間を通過することで、各感光体51上に担持されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
排紙部90は、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ91を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ91によって搬送され、本体筐体10の外部に排出される。
なお、両面印字モードでは、画像形成部30によって片面が印字された用紙Pが、再搬送機構DXによって表裏反転した状態で画像形成部30の上流側に戻される。その後は、画像形成部30によって用紙Pの裏面に印字が行われ、両面印字された用紙Pが排紙部90によって本体筐体10の外部に排出される。
図2に示すように、カラープリンタ1は、制御部100と、温度センサ200と、ワイヤバイアス回路210と、グリッドバイアス回路220と、ドラム駆動機構230と、現像バイアス回路240と、転写バイアス回路250と、除電器駆動回路260と、クリーニングバイアス回路270とを備えている。温度センサ200は、本体筐体10の内部または外部の温度を検出するセンサであり、検出した温度を制御部100に出力する。
ワイヤバイアス回路210は、各帯電部52の帯電ワイヤ52Aにワイヤ電流を印加する回路である。グリッドバイアス回路220は、各帯電部52のグリッド電極52Bに、帯電電圧の一例としてのグリッド電圧Vgを印加する回路である。ドラム駆動機構230は、感光体51を回転させるための機構であり、モータ、ギヤ、クラッチなどを備えている。現像バイアス回路240は、各現像部54に現像バイアスを印加する回路である。
転写バイアス回路250は、各転写部74に転写電圧を印加する回路であり、除電器駆動回路260は、各除電器58を駆動する回路である。クリーニングバイアス回路270は、各ドラムクリーナ57にクリーニング電圧を印加する回路である。
制御部100は、CPU、ROM、RAMなどを有し、予め用意されたプログラムや温度センサ200から入力される信号などに従い、印字指令の受信や、前述した給紙部20、画像形成部30(前述した各回路210~270)および排紙部90を制御するように構成されている。制御部100は、用紙Pにトナー像を形成する画像形成制御などを実行する機能を有する他、転写部74を通過した後の感光体51の表面電位が0またはトナーの極性と同極性の電位となるように、除電光の光量を制御する機能を有している。
具体的に、制御部100は、ワイヤバイアス制御部110と、グリッドバイアス制御部120と、ドラム駆動部130と、現像バイアス制御部140と、転写バイアス制御部150と、除電器制御部160と、クリーニングバイアス制御部170とを備えている。言い換えると、制御部100は、ROMに記憶されているプログラムに従って動作することで、ワイヤバイアス制御部110、グリッドバイアス制御部120、ドラム駆動部130、現像バイアス制御部140、転写バイアス制御部150、除電器制御部160およびクリーニングバイアス制御部170として機能している。
ワイヤバイアス制御部110は、ワイヤバイアス回路210を制御することで、各帯電ワイヤ52Aに印加するワイヤ電流を制御する機能を有している。具体的に、ワイヤバイアス制御部110は、印字制御時において、帯電ワイヤ52Aに印加するワイヤ電流の値が、グリッド電極52Bに流れるグリッド電流と、感光体51に流れる感光体電流を足した値となるように、ワイヤバイアス回路210を制御している。ここで、グリッド電流の値は、後述するグリッド電圧Vgの目標値Vgtの設定に応じて変化するが、印字制御の開始から終了までは、一定となっている。また、感光体電流の値は、感光体51の帯電前の表面電位次第で変動する。
グリッドバイアス制御部120は、グリッドバイアス回路220を制御することで、各グリッド電極52Bに印加するプラスのグリッド電圧Vgを制御する機能を有している。具体的に、グリッドバイアス制御部120は、温度センサ200で検出した温度T、後述する濃度補正処理によって変更される現像バイアスの目標値、感光体51の劣化度合などに基づいて、グリッド電圧Vgの目標値Vgtを決定する。そして、グリッドバイアス制御部120は、決定した目標値Vgtに相当するグリッド電圧Vgを、グリッドバイアス回路220を介してグリッド電極52Bに印加する。
詳しくは、グリッドバイアス制御部120は、前述した条件に応じて、グリッド電圧Vgの目標値Vgtを、最小値から最大値までの間で任意に設定する。ここで、最小値は、第1帯電目標値の一例であり、最大値は、第2帯電目標値の一例である。つまり、グリッドバイアス制御部120は、グリッド電圧Vgの目標値Vgtを、第1帯電目標値と、第1帯電目標値よりも大きな第2帯電目標値とに設定する処理を実行可能となっている。
ドラム駆動部130は、ドラム駆動機構230を制御することで、感光体51の回転を制御する機能を有している。
現像バイアス制御部140は、現像バイアス回路240を制御することで、現像部54に印加する現像バイアスを制御する機能を有している。具体的に、現像バイアス制御部140は、搬送ベルト73に形成したトナーのテストパターンの濃度をセンサで検出した結果などに基づいて、現像バイアスの目標値を決定する。そして、現像バイアス制御部140は、決定した目標値に相当する現像バイアスを、現像バイアス回路240を介して現像部54に印加する。
転写バイアス制御部150は、転写バイアス回路250を制御することで、各転写部74に印加するマイナスの転写電圧を制御する機能を有している。具体的に、転写バイアス制御部150は、メディアタイプMT、シート幅Bs、第1印字モードM1、第2印字モードM2、温度Tに基づいて、転写部74に流れる転写電流Aの目標値Atを決定する。
ここで、メディアタイプMTは、用紙Pの種類を示す情報であり、例えば、厚紙、普通紙などの情報である。また、シート幅Bsは、用紙Pの幅を示す情報である。また、第1印字モードは、用紙Pの片面のみに印字する片面印字モードか、用紙Pの両面に印字する両面印字モードかを示す情報である。また、第2印字モードは、カラーモードであるか、モノクロモードであるかを示す情報である。転写バイアス制御部150は、転写電流Aの目標値Atを決定すると、転写電流Aが目標値Atとなるように、転写部74に印加する転写電圧を制御する。
詳しくは、転写バイアス制御部150は、前述した条件に応じて、転写電流Aの目標値Atを、最小値から最大値までの間で任意に設定する。ここで、最小値は、第1転写目標値の一例であり、最大値は、第2転写目標値の一例である。つまり、転写バイアス制御部150は、転写電流Aの目標値Atを、第1転写目標値と、前記第1転写目標値よりも大きな第2転写目標値とに設定する処理を実行可能となっている。
除電器制御部160は、グリッド電圧Vgの目標値Vgt、転写電流Aの目標値At、および、温度センサ200で検出した温度Tに基づいて除電器駆動回路260を制御することで、除電器58から出射する除電光の光量の目標値である目標光量Lを設定する機能を有している。具体的に、除電器制御部160は、グリッド電圧Vgの目標値Vgtが第1帯電目標値、転写電流Aの目標値Atが第1転写目標値、温度Tが第1閾値TH1以下である場合に、除電光の目標光量Lを基準光量Lbに設定する処理を実行する。ここで、第1閾値TH1は、カラープリンタ1が設置されうる環境の平均的な温度、例えば25℃などに設定することができる。
除電器制御部160は、グリッド電圧Vgの目標値Vgtが前回の目標値よりも大きくなった場合には、除電光の目標光量Lを前回の目標光量よりも大きな値に設定する第1光量増加処理を実行する。詳しくは、除電器制御部160は、グリッド電圧Vgの目標値Vgtが大きな値に設定されるほど、除電光の目標光量Lを大きな値に設定する。そして、除電器制御部160は、第1光量増加処理において、グリッド電圧Vgの目標値Vgtが第2帯電目標値(最大値)に設定されている場合には、除電光の目標光量Lを、基準光量Lbに第1増加量L1を加算した値にする処理を実行する。つまり、第1増加量L1は、第1光量増加処理における最大の増加量である。
また、除電器制御部160は、転写電流Aの目標値Atが前回の目標値よりも大きくなった場合には、除電光の目標光量Lを前回の目標光量よりも大きな値に設定する第2光量増加処理を実行する。詳しくは、除電器制御部160は、転写電流Aの目標値Atが大きな値に設定されるほど、除電光の目標光量Lを大きな値に設定する。そして、除電器制御部160は、第2光量増加処理において、転写電流Aの目標値Atが第2転写目標値(最大値)に設定されている場合には、除電光の目標光量Lを、基準光量Lbに第2増加量L2を加算した値にする処理を実行する。つまり、第2増加量L2は、第2光量増加処理における最大の増加量である。
また、除電器制御部160は、温度センサ200で検出した温度Tが所定の閾値よりも大きくなった場合には、除電光の目標光量Lを前回の目標光量よりも大きな値に設定する第3光量増加処理を実行する。詳しくは、除電器制御部160は、温度Tが大きくなるほど、除電光の目標光量Lを大きな値に設定する。
より詳しくは、除電器制御部160は、温度Tが、前述した第1閾値TH1以下である場合には、第3光量増加処理での除電光の目標光量Lの増加量を0にする。また、除電器制御部160は、温度Tが、前述した第1閾値TH1より大きく、かつ、第1閾値TH1よりも大きな第2閾値TH2以下である場合には、温度Tが大きくなるほど、第3光量増加処理での除電光の目標光量Lの増加量を大きくする。
ここで、第2閾値TH2は、カラープリンタ1が設置されうる環境のうち高温の環境下に対応した温度、例えば45℃などに設定することができる。また、温度Tと比較する閾値は、前述した第1閾値TH1および第2閾値TH2を含む他、第1閾値TH1から第2閾値TH2の間に設定される複数の閾値も含んでいる。
そして、除電器制御部160は、温度Tが第2閾値TH2よりも大きい場合には、第3光量増加処理での除電光の目標光量Lの増加量を第3増加量L3(最大値)にする。つまり、除電器制御部160は、第3光量増加処理において、温度Tが第2閾値TH2よりも大きい場合には、除電光の目標光量Lを、基準光量Lbに第3増加量L3を加算した値にする処理を実行する。
各光量増加処理における各増加量L1~L3の関係は、L2>L3>L1となっている。つまり、第3増加量L3は、第1増加量L1よりも大きい。また、第2増加量L2は、第3増加量L3よりも大きい。
基準光量Lbと各増加量L1~L3は、例えば、除電器58の最大の出力(100%)に対する割合、つまりデューティ比として設定することができる。基準光量Lbと各増加量L1~L3の関係は、以下の式(1)のような関係となっている。
Lb+L1+L2+L3 = 100(%) ・・・(1)
具体的には、例えば、Lb=40(%)、L1=10(%)、L2=30(%)、L3=20(%)とすることができる。なお、本実施形態では、基準光量Lbを、3つの増加量L1~L3のうち最も大きな第2増加量L2よりも大きい値としたが、本発明はこれに限定されず、Lb≦L2としてもよい。
クリーニングバイアス制御部170は、クリーニングバイアス回路270を制御することで、各ドラムクリーナ57に印加するクリーニング電圧を制御する機能を有している。具体的に、クリーニングバイアス制御部170は、画像形成動作においては、クリーニング電圧をマイナスの保持バイアスに設定し、クリーニングモードにおいては、クリーニング電圧をプラスの吐出バイアスに設定する。
なお、図示は省略するが、制御部100は、ベルトクリーナ60の摺接ローラ61にトナーとは逆極性の回収バイアスを印加するための回路を介して、摺接ローラ61に印加する回収バイアスを制御可能となっている。
次に、制御部100の動作について説明する。
図3に示すように、制御部100は、まず、印字指令があるか否かを判断する(S1)。ステップS1において印字指令がないと判断した場合(No)、制御部100は、本処理を終了する。
ステップS1において印字指令があると判断した場合(Yes)、制御部100は、メディアタイプMT、シート幅Bs、第1印字モードM1、第2印字モードM2、温度Tおよびグリッド電圧Vgの目標値Vgtを取得する(S2)。詳しくは、制御部100は、メディアタイプMT、シート幅Bs、第1印字モードM1および第2印字モードM2の情報を、印字指令から取得する。また、制御部100は、温度Tを温度センサ200から取得する。また、制御部100は、前回実行した濃度補正処理や印字処理などで設定したグリッド電圧Vgの目標値Vgtを、図示せぬ記憶部から取得する。
ステップS2の後、制御部100は、メディアタイプMT、シート幅Bs、第1印字モードM1、第2印字モードM2および温度Tに基づいて、転写電流Aの目標値Atを設定する(S3)。ステップS3の後、制御部100は、温度T、グリッド電圧Vgの目標値Vgtおよび転写電流Aの目標値Atに基づいて、除電光の目標光量Lを設定する(S4)。
ステップS4の後、制御部100は、除電器58をONにして(S5)、ステップS4で設定した目標光量Lの除電光が出射されるように、除電器58の出力を制御する。ステップS5の後、制御部100は、印字処理を実行して(S6)、本処理を終了する。
なお、図3における図示は省略するが、制御部100は、印字指令を受けた後、印字処理を開始する前に、印字準備処理を実行する。また、制御部100は、印字処理の終了後、ウォーミングアップの後、濃度補正処理の後などの適宜なタイミングで、クリーニング処理を実行する。ここで、クリーニング処理は、ドラムクリーナ57で回収したトナーを、感光体51および搬送ベルト73を介してベルトクリーナ60に移動させる処理である。以下に、印字準備処理、印字処理およびクリーニング処理について、図4および図5に示すタイムチャートを参照して詳細に説明する。
図4に示すように、制御部100は、印字指令を受けると(時刻t1)、前述したステップS2~S4の処理を行うことで、除電光の目標光量Lを設定する。詳しくは、制御部100は、ステップS4においてグリッド電圧Vgの目標値Vgtが前回の目標値よりも大きい場合には、第1光量増加処理により目標光量Lを前回の目標光量Lよりも増加した値に設定する。また、制御部100は、ステップS4において転写電流Aの目標値Atが前回の目標値よりも大きい場合には、第2光量増加処理により目標光量Lを前回の目標光量Lよりも増加した値に設定する。さらに、制御部100は、温度Tが所定の閾値(例えば第1閾値)よりも大きくなった場合には、第2光量増加処理により目標光量Lを前回の目標光量Lよりも増加した値に設定する。
つまり、制御部100は、グリッド電圧Vgをグリッド電極52Bに印加するよりも前(時刻t2よりも前)に、第1光量増加処理を実行する。また、制御部100は、転写電流Aを転写部74に印加するよりも前(時刻t3よりも前)に、第2光量増加処理を実行する。
ステップS4の後、制御部100は、プロセスモータ、帯電部52、現像部54、除電器58およびドラムクリーナ57をONにする(時刻t2)。ここで、プロセスモータは、感光体51などを回転させるためのモータである。また、時刻t2においてドラムクリーナ57に印加するバイアスは、マイナスの保持バイアスである。
詳しくは、時刻t2において、制御部100は、現在のグリッド電圧Vgの目標値Vgtに対応したグリッド電圧Vgを、グリッド電極52Bに印加する。また、時刻t2において、制御部100は、現在の現像バイアスの目標値に対応した現像バイアスを、現像部54に印加する。さらに、制御部100は、ステップS4で設定した目標光量Lが除電器58から出射されるように、目標光量Lに対応した電流を除電器58に印加する。
時刻t2の後、詳しくは、感光体51の外周面のうち帯電部52によって帯電された部位が転写部74を通過するタイミング以降のタイミングで、制御部100は、転写部74をONにする(時刻t3)。詳しくは、印字処理の前の印字準備処理においては(時刻t3~t4間)、制御部100は、印字処理時に印加する転写電流(目標値At)よりも小さな転写電流を、転写部74に印加する。
時刻t3の後、制御部100は、現在の転写電流Aの目標値Atに対応した転写電流Aを、転写部74に印加する(時刻t4)。つまり、制御部100は、転写電流Aの目標値を、印字準備処理時における小さな目標値から、印字処理時における大きな目標値Atに変更する。なお、このような転写電流の大きさ変更するタイミングは、後で詳述する。
時刻t4の後、制御部100は、適宜なタイミングで、給紙や感光体51の露光を行うことで、用紙Pに対して印字を行う。印字が完了すると、制御部100は、転写部74をOFFにした後(時刻t5)、プロセスモータ、帯電部52、現像部54、除電器58およびドラムクリーナ57をOFFにする(時刻t6)。
図5に示すように、クリーニング処理を行う場合には、制御部100は、まず、ベルトクリーナ60をONにする(時刻t11)。時刻t11の後、制御部100は、プロセスモータ、帯電部52、除電器58、ドラムクリーナ57をONにする(時刻t12)。詳しくは、時刻t12において、制御部100は、プロセスモータ、帯電部52および除電器58の状態を印字処理時と同じ状態とするが、ドラムクリーナ57には、プラスの吐出バイアスを印加する。
これにより、ドラムクリーナ57で保持されていたトナーが感光体51上に移動する。なお、印字処理の後にクリーニング処理を行う場合には、図に破線で示すように、プロセスモータ、帯電部52および除電器58を印字処理時と同じ状態のままにしてもよい。
時刻t12の後、制御部100は、転写部74をONにする(時刻t13)。詳しくは、制御部100は、ドラムクリーナ57から感光体51上に移動したトナーが転写部74に到達する以前に、転写部74をONにする。これにより、感光体51上のトナーが搬送ベルト73上に移動する。ここで、クリーニング処理時における転写電流の目標値は、例えば、印字処理時と同じ目標値Atとすればよい。
時刻t13の後、制御部100は、ドラムクリーナ57をOFFにする(時刻t14)。時刻t14の後、制御部100は、ドラムクリーナ57にマイナスの保持バイアスを印加する(時刻t15)。これにより、転写部74において搬送ベルト73に転写されなかった感光体51上のトナーをドラムクリーナ57で回収することができる。
時刻t15の後、詳しくは、ドラムクリーナ57から移動した感光体51上のトナーがすべて転写部74を通過した後、制御部100は、転写部74をOFFにする(時刻t16)。時刻t16の後、制御部100は、ドラムクリーナ57をOFFにし(時刻t17)、その後、プロセスモータ、帯電部52、除電器58およびベルトクリーナ60をOFFにする(時刻t18)。
次に、前述したように設定される除電光によって、転写後の感光体51の表面電位が0よりも大きくなる原理について図6および図7を参照して詳細に説明する。なお、現像部54およびドラムクリーナ57については、感光体51の表面電位の変動等に大きな影響を及ぼさないため、図示は適宜省略する。
ここで、図6および図7では、感光体51の表面電位を2点鎖線で示し、感光層51B内に残留した電荷(以下、「残留電荷」とも称する。)をドットのハッチングで示すこととする。また、感光層51Bのうち残留電荷が多い部分ほど、高密度のドットのハッチングで示すこととする。
図6(a)に示すように、前回の印字処理から十分時間が経っている状態では、感光体51の表面電位が0Vで、感光層51B内の残留電荷がほとんどない状態となっている。この状態において、印字準備処理が開始され、図4の時刻t2のタイミングになると、感光体51の表面が帯電部52によって帯電されていくとともに、除電器58から感光体51に除電光が出射される。
これにより、感光体51の表面のうち帯電部52を通過した領域における表面電位は、ある程度高めの電位V1となる。一方、除電器58から感光体51への除電光の出射により、感光層51B内にプラスとマイナスの電荷が発生するが、感光体51の表面のうち除電光が当たる部分の表面電位が0Vであるため、電荷が移動するためのドライビングフォースがなく、発生したプラス、マイナスの電荷同士が再結合して消滅する。これにより、感光層51Bの所定部位が除電器58を通過しても、この所定部位内には、残留電荷がほとんど存在しない。
その後、図4の時刻t3のタイミングになると、図6(b)に示すように、転写部74に、印字処理時よりも小さな転写電流が印加される。これにより、感光体51の表面のうち転写部74を通過した領域における表面電位は、電位V1よりも若干小さな電位V2となる。
図6(c)に示すように、表面電位が電位V2となる感光体51の表面の所定領域が除電器58を通過すると、この所定領域に対応した感光層51Bの所定部位内に、多量の電荷が発生して、多量の残留電荷が残る。なお、以下の説明では、便宜上、感光層51Bのうち除電器58を通過して多量の残留電荷が残った部分を、多量電荷部分C1とも称する。また、除電器58を通過した後の感光体51の表面電位は、除電光の出射により、電位V2よりも小さな電位V3になる。
図6(d)に示すように、多量電荷部分C1が帯電部52を通過すると、帯電部52に起因したドライビングフォースが多量電荷部分C1内の残留電荷に働くことで、マイナスの残留電荷が感光体51の表面に寄せられるとともに、プラスの残留電荷が素管51Aを介して外部に流れていく。これにより、感光層51Bのうち多量電荷部分C1であった部分の内部に残る残留電荷が少なくなる。なお、以下の説明では、感光層51Bのうち帯電部52を通過した部分であって、かつ、多量電荷部分C1よりも内部の残留電荷の数が少なくなった部分を、中量電荷部分C2とも称する。なお、帯電部52を通過した後の感光体51の表面電位は、電位V3から電位V1に戻る。
その後、図4の時刻t4のタイミングになると、図6(e)に示すように、転写部74に、印字準備処理時よりも大きな転写電流Aが印加される。詳しくは、中量電荷部分C2が転写部74に到達した時点以降のタイミングになると、転写部74に、印字準備処理時よりも大きな転写電流Aが印加される。
これにより、中量電荷部分C2内のプラスの残留電荷が、転写部74を介して外部に流れていくとともに、マイナスの残留電荷が素管51Aを介して外部に流れていく。これにより、感光層51Bのうち中量電荷部分C2であった部分の内部に残る残留電荷が少なくなるが、除電光の目標光量を温度などの条件によって適宜設定することにより、転写後の感光層51B内に残留電荷を確実に残すことが可能となっている。なお、以下の説明では、感光層51Bのうち転写部74を通過した部分であって、かつ、中量電荷部分C2よりも内部の残留電荷の数が少なくなった部分を、少量電荷部分C3とも称する。
ここで、例えば除電光の目標光量の設定値を一定にした場合には、温度などの条件が変化すると、感光層51B内の残留電荷の変化が変わることがある。例えば、温度が高温である場合には、感光層51Bの所定部位の移動中の経過時間に応じて残留電荷が減る量が常温時よりも大きくなる。この場合、感光層51Bのうち転写部74を通過した部分に残留電荷がほとんど存在しなくなってしまい、転写部74を通過後の感光体51の表面電位が、マイナスになることがある。これに対し、本実施形態では、除電光の目標光量Lの設定値を温度などの条件に応じて変化させることで、転写後の感光層51B内に残留電荷を存在させることができるので、転写後の感光体51の表面電位は、電位V2よりも小さなプラスの電位V4となる。
なお、その後に除電器58を通過した後の感光体51の表面電位は、除電光の出射により、電位V4よりも小さな電位V3になる。ここで、除電器58は、感光層51B内の電荷の移動によって表面電位を下げるため、感光体51の特性によって、低下させることができる表面電位の下限値が決まっている。
つまり、除電光の出射により表面電位を0にすることはできず、ある下限値までしか下げられない。本実施形態では、この下限値をV3とする。言い換えると、本実施形態では、表面電位がV3以上の場合には、除電光の出射により、表面電位は、V3までしか最大下がらない。また、表面電位がV3未満である場合には、除電光を出射しても、表面電位は下がらず、除電光出射前の値に維持される。
その後、図6(f)に示すように、感光体51への露光が開始されると(図の太線の矢印参照)、中量電荷部分C2が露光されることになる。これにより、感光層51Bの露光された部分に新たな多数の電荷が発生し、マイナスの電荷が感光体51の表面に移動するとともに、プラスの電荷が素管51Aを介して外部に流れていく。そのため、感光体51の表面のうち露光された部分の表面電位が、電位V1よりも小さな電位V5に下がるとともに、感光層51B内に残る残留電荷の量は露光前の量と同等以上となる。なお、本実施形態では、感光層51Bが露光されても感光層51B内の残留電荷の量がほとんど変わらない例を示している。
その後、感光層51Bのうち露光された部分が転写部74を通過すると、この部分は、中量電荷部分C2よりも残留電荷の量が少ない少量電荷部分C3となる。このように、転写後の感光層51B内に残留電荷が残ることで、感光体51の表面電位は、0よりも大きな電位V6となる。なお、除電器58を通過した後の感光体51の表面電位は、電位V6と略同等の電位となる。
クリーニング処理においては、図5の時刻t12~t13の期間中、感光体51の表面電位と感光層51B内の残留電荷の状態は、図7(a)に示すような状態となっている。つまり、感光層51Bのうち除電光が照射される箇所から下流であって、かつ、帯電部52で帯電される箇所から上流の部分は、多量電荷部分C1となっている。また、感光層51Bのそれ以外の部分は、中量電荷部分C2となっている。
図5の時刻t12~t13の期間中において、ドラムクリーナ57から感光体51の表面に移動したトナーTNが、図7(b)に示すように、転写部74に到達すると、転写部74がONになる。この際、転写部74のONの影響を受ける感光層51Bの部位は、中量電荷部分C2であるため、転写後の感光層51Bの部位は、中量電荷部分C2に対して少しだけ電荷量の少ない少量電荷部分C3となる。つまり、図6(e)のときと同じ状態となるため、転写後の感光体51の表面電位は、0よりも大きな電位V4となる。
なお、本実施形態では、ドラムクリーナ57から感光体51の表面に移動したトナーTNが転写部74に到達したときに転写部74をONにしたが、ドラムクリーナ57から感光体51の表面に移動したトナーTNが転写部74に到達する前に転写部74をONにしてもよい。詳しくは、クリーニング処理において、帯電部52によって最初に帯電された感光体51の表面の一部が転写部74に到達したときから、ドラムクリーナ57から感光体51の表面に移動したトナーTNが転写部74に到達するまでの間であれば、どのようなタイミングで転写部74をONにしてもよい。
次に、感光体51の所定の部位における残留電荷量と表面電位の推移について、図8~図10を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における感光体51の状態は、図6(e),(f)のときの状態を示す。
グリッド電圧Vgの目標値Vgtが第1帯電目標値、転写電流Aの目標値Atが第1転写目標値、温度Tが第1閾値TH1以下である場合(以下、「基準時」とも称する。)には、除電光の目標光量Lを基準光量Lbに設定することで、感光体51の所定部位における残留電荷量と表面電位は、図8(a),(b)に2点鎖線で示すように推移する。具体的に、図8(a)に示すように、除電光が出射された所定部位は、残留電荷量が最も高くなる。その後、所定部位が帯電部52の直前まで移動すると、この移動の時間中に所定部位内においてプラス、マイナスの残留電荷の再結合およびマイナスの残留電荷と表面電位との打ち消しが行われることで、残留電荷量が少し減るが、このときの所定部位内の残留電荷量は、除電光出射時と略同程度となる。
所定部位が帯電されると、所定部位内の残留電荷量が大幅に減る。その後、所定部位が露光部40で露光されて転写部74の直前まで移動すると、この移動の時間中に所定部位内の残留電荷量が少し減るが、このときの所定部位内の残留電荷量は、帯電時と略同程度となる。詳しくは、所定部位が露光部40で露光されると、残留電荷量が同等以上となるが、露光部40から転写部74までの移動によって、残留電荷量が少し減っている。
所定部位が転写部74を通過すると、所定部位内の残留電荷量がある程度減るが、残った電荷量は、0よりも多い量となる。その後、所定部位に再び除電光が出射されると、残留電荷量が増える。
図8(b)に示すように、感光体51の露光の開始前において、所定部位に除電光が照射されると、所定部位の表面電位が電位V3となる。その後、所定部位が帯電部52の直前まで移動すると、この移動の時間中に残留電荷が少し減ることで表面電位が少し下がるが、このときの所定部位の表面電位は、除電光出射時と略同程度となる。
所定部位が帯電されると、所定部位の表面電位が大幅に上がって、電位V1となる。その後、所定部位が露光部40で露光されると、所定部位のうち露光された部分の電位が、大幅に下がって電位V5となる。そのため、所定部位が露光部40を通って転写部74の直前まで移動してきたときには、所定部位の露光部分の表面電位は電位V5となっている。
所定部位が転写部74を通過すると、所定部位の露光部分の表面電位がある程度下がるが、所定部位内に残留電荷が残っていることにより、所定部位の露光部分の表面電位は、0よりも大きな電位V6となる。その後、所定部位に再び除電光が出射されると、所定部位の露光部分の表面電位は、転写後の表面電位と略同じ電位V6に維持される。
図8(a),(b)に実線で示すグラフは、前述した基準時に比べ、温度条件だけが変わったときのグラフである。詳しくは、温度Tが第2閾値TH2よりも大きく、その他の条件が基準時と同じ場合には、除電光の目標光量LをLb+L3に設定することで、感光体51の所定部位における残留電荷量と表面電位は、図8(a),(b)に実線で示すように推移する。
ここで、温度が高温である場合には、所定部位の移動中の経過時間に応じて残留電荷量が減る量が基準時よりも大きくなる。そのため、除電光の目標光量Lを、基準光量Lbよりも大きくすることで、除電光の出射直後の所定部位内の残留電荷量を基準時よりも大きくしている。これにより、所定部位内の残留電荷量は、図8(a)の実線で示すように推移して、転写後において基準時と同程度の量となる。また、このように除電光の出射直後の所定部位内の残留電荷量を基準時よりも大きくすることで、所定部位の表面電位が、図8(b)に実線で示すように推移して、転写後において基準時と同程度の電位となる。
図9(a),(b)に実線で示すグラフは、前述した基準時に比べ、転写電流Aの目標値Atだけが変わったときのグラフである。詳しくは、転写電流Aの目標値Atが第2転写目標値に設定され、その他の条件が基準時と同じ場合には、除電光の目標光量LをLb+L2に設定することで、感光体51の所定部位における残留電荷量と表面電位は、図9(a),(b)に実線で示すように推移する。なお、図9(a),(b)に2点鎖線で示すグラフは、基準時におけるグラフである。
ここで、転写電流Aの目標値Atが大きい場合には、転写前から転写後における所定部位内の残留電荷量の減少量が基準時よりも大きくなる。そのため、除電光の目標光量Lを、基準光量Lbよりも大きくすることで、除電光の出射直後の所定部位内の残留電荷量を基準時よりも大きくしている。これにより、所定部位内の残留電荷量は、図9(a)の実線で示すように推移して、転写後において基準時と同程度の量となる。また、このように除電光の出射直後の所定部位内の残留電荷量を基準時よりも大きくすることで、所定部位の表面電位が、図9(b)に実線で示すように推移して、転写後において基準時と同程度の電位となる。
図10(a),(b)に実線で示すグラフは、前述した基準時に比べ、グリッド電圧Vgの目標値Vgtだけが変わったときのグラフである。詳しくは、グリッド電圧Vgの目標値Vgtが第2帯電目標値に設定され、その他の条件が基準時と同じ場合には、除電光の目標光量LをLb+L1に設定することで、感光体51の所定部位における残留電荷量と表面電位は、図10(a),(b)に実線で示すように推移する。なお、図10(a),(b)に2点鎖線で示すグラフは、基準時におけるグラフである。
ここで、グリッド電圧Vgの目標値Vgtが大きい場合には、帯電前から帯電後における所定部位内の残留電荷量の減少量が基準時よりも大きくなる。そのため、除電光の目標光量Lを、基準光量Lbよりも大きくすることで、除電光の出射直後の所定部位内の残留電荷量を基準時よりも大きくしている。これにより、所定部位内の残留電荷量は、図10(a)の実線で示すように推移して、転写後において基準時と同程度の量となる。また、このように除電光の出射直後の所定部位内の残留電荷量を基準時よりも大きくすることで、所定部位の表面電位が、図10(b)に実線で示すように推移して、転写後において基準時と同程度の電位となる。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
温度などの条件が変わった場合であっても、転写部74を通過した後の感光体51の表面電位が0またはトナーの極性と同極性の電位となるように除電光の目標光量Lを制御するので、適切な濃度のトナー像を用紙Pに転写することができる。また、温度などの条件に応じて除電光の目標光量Lの設定値を変更することで、除電光の目標光量Lを不必要に大きくする必要がないので、電力消費を抑えることができるとともに、感光層51Bの劣化を抑えることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、除電器58を、感光体51の回転方向において、転写部74の下流、かつ、ドラムクリーナ57の上流に配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、除電器は、ドラムクリーナ57の下流、かつ、帯電部52の上流に配置されていてもよいし、現像部の下流、かつ、転写部の上流に配置されていてもよい。
前記実施形態では、第1増加量L1、第2増加量L2および第3増加量L3を、それぞれ光量増加処理における最大の増加量としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光量増加処理において、帯電電圧などのパラメータが大きくなるにつれて増加量を所定量ずつ段階的に増加していく場合には、所定量に相当する増加量を第1増加量等としてもよい。なお、この場合、第2帯電目標値は、帯電電圧の目標値の最大値ではなく、第1帯電目標値の次に高い値である。また、第2転写目標値は、転写電流の目標値の最大値ではなく、第1転写目標値の次に高い値である。また、温度が第1閾値よりも大きい場合に、基準光量に第3増加量を加算する。
前記実施形態では、トナーの極性をプラスとしたが、本発明はこれに限定されず、トナーの極性はマイナスであってもよい。この場合、前述した電圧等の極性を逆にすればよい。
前記実施形態では、帯電電圧として、グリッド電極52Bに印加するグリッド電圧Vgを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、帯電電圧は、帯電ワイヤに印加する電圧であってもよい。また、帯電部は、前記実施形態のようなスコロトロン方式のものに限らず、例えば、コロトロン方式のものや、感光体に接触する帯電ローラなどであってもよい。
前記実施形態では、感光体として感光体ドラムを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
前記実施形態では、露光部として、レーザビームによって露光する装置を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、露光部は、LEDによって露光する装置であってもよい。
前記実施形態では、現像部として、感光体に接触する現像ローラを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、現像部は、感光体とは非接触な状態で感光体に現像剤を供給するものであってもよい。
前記実施形態では、転写部として、転写ローラを例示したが、本発明はこれに限定されず、転写部は、導電性ブラシや導電性板バネなど、転写電流が印加されるものであればよい。
前記実施形態では、転写媒体の一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば中間転写ベルトであってもよい。
前記実施形態では、帯電電圧の目標値、転写電流の目標値および温度に基づいて除電光の目標光量を設定したが、本発明はこれに限定されず、少なくとも帯電電圧の目標値に基づいて除電光の目標光量を設定すればよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えばモノクロのプリンタ、複写機、複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、帯電電圧の印加と同時に除電処理を実行したが、本発明はこれに限定されず、帯電電圧を印加する前に除電処理を実行してもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。