JP7360525B1 - 旗竿地取扱方法およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】検出を含む旗竿地の取扱を、コンピュータを利用して行うことが可能な、旗竿地取扱方法およびプログラムを提供する。【解決手段】(a)に示す旗竿地1は、旗1aと竿1bとに分割可能であるけれども、その境目が不明であり、合理的な根拠での分割が要望される。(b)は、四角形などの他の形状の土地2を示す。旗竿地1や他の形状の土地2は、筆ごとに境界を繋げるような線分を、ベクトルデータでポリゴン化された筆界図に、筆ポリゴンとして含まれる。旗竿地1や土地2は、単純な幾何図形ではないけれども、筆ポリゴンでの形状の違いを表すために歪み度の概念を導入して定量化する。歪み度の基準は、筆ポリゴンを囲む最小の長方形であるMRR(minimal rotated rectangle)1c,2cを生成して評価する。【選択図】図1

Description

本発明は、一筆の土地の形状に基づいて呼称される旗竿地を取り扱う旗竿地取扱方法およびプログラムに関する。
従来から、土地の活用は、登記された一筆の土地に基づいて行われている。一筆の土地は、隣接する土地とともに、公図に記載され、一つの地番が与えられている。一筆の土地を複数に分割する分筆や、複数の筆を結合する合筆も可能であるが、所定の手続が必要となる。公図には、土地の登記状態の現状が反映される。公図に記載されている一筆の土地には、旗竿地と呼称されるものが存在する。旗竿地は、建物を建てる敷地とするなど、土地の本来の利用に供する「旗」の部分が直接は道路に面しておらず、「竿」の部分を介して道路に連絡する。建築基準法の第43条は原則として、建築物の敷地が道路に2m以上面していること(接道義務)を規定しているので、旗竿地に建築物を新たに建てる場合は「竿」の部分でこの規定を満たす必要がある。地域によっては、条例でさらに規制される場合がある。旗竿地は、土地の分筆の際に、規制を最低限で満たすなどの人為的な理由や、地形などの理由で生成されていると考えられるが、あまり有効に活用されない場合が多い。特に都市化が進んだ地域などでは、利用に関して再検討すべき対象になり得る。
土地などの不動産の活用に、コンピュータを利用する技術も多く提案されている。ベクトルデータでポリゴン化された電子住宅地図を、縮尺を変えても建物と番地等とを円滑に表示可能にする技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。ポリゴンについては、「連続した3つ以上の線分で構成された閉図形であり、たとえば土地(敷地)や建物等を描画するためのものである。」と記載されている(特許文献2の明細書0027段落)。特許文献2では、ポリゴン化した物件の情報に基づき、物件形状の希望も含めて、不動産の活用を支援する技術が提案されている。また、ポリゴン化した土地情報に基づき、土地形状の不整形度を評価するアルゴリズムが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。具体的には、不整形地との重なりが最大となるような形状、位置、および角度を有し、面積が不整形地に等しい矩形(等積矩形)と、不整形地との非共通部分(陰地)の面積を用いて、土地の不整形度を評価する技術が提案されている。
特許第3799107号公報 特許第4082622号公報 特開2021-140556号公報
特許文献1のようなポリゴン化された電子住宅地図は、建物表示を、縮尺率を変えて行うことができるので、広い範囲の表示から建物を探し、探した建物を拡大して表示することなどが可能でも、登記されている敷地を表示対象とすることはできない。特許文献2のような不動産活用の支援も、敷地形状として、特許文献2の図7に、三角形、正方形、長方形などの一般的な幾何形状が例示されているが、それらをどのように判断するかは不明である。特許文献3は、等積矩形を用いて土地の不整形度を判断しているが、旗竿地のような特定の幾何形状を持つ土地を検出し、面積等の属性を評価するものではない。
本発明の目的は、検出を含む旗竿地の取扱を、コンピュータを利用して行うことが可能な、旗竿地取扱方法およびプログラムを提供することである。
本発明は、登記済みの複数の筆が地番毎に区分される地番地図ポリゴンデータから、歪み度が予め定める基準を越える筆ポリゴンを旗竿地の候補として抽出し、
抽出した筆ポリゴンが道路に接続される間口ラインを検出し、
間口ラインが単一で、旗と竿の面積の比率と、間口から旗と竿の境界までの距離とに関する基準を満たす筆ポリゴンを、旗竿地として検出する、
ことを特徴とする旗竿地取扱方法である。
また本発明で、前記歪み度は、各地番の筆ポリゴンを囲む最小の長方形を生成し、生成した長方形に基づいて算出する、
ことを特徴とする。
また本発明で、前記歪み度は、前記筆ポリゴンの面積に対する前記長方形の面積の倍数として算出する、
ことを特徴とする。
また本発明は、前記旗竿地として検出した筆ポリゴンに対し、前記算出された間口ラインから一定の距離となる長円を、距離を順次変化させながら生成し、筆ポリゴンと共通部分となる長円の長さの変化が最も大きくなる間口ラインからの距離を境目として、旗と竿とに分割する、
ことを特徴とする。
さらに本発明は、コンピュータに、
登記済みの複数の筆が地番毎に区分される地番地図ポリゴンデータから、歪み度が予め定める基準を越える筆ポリゴンを抽出する手順、
抽出した筆ポリゴンが道路に接続される間口ラインを算出する手順、および
間口ラインが単一で、旗と竿の面積の比率と、間口から旗と竿の境界までの距離とに関する基準を満たす筆ポリゴンを、旗竿地として検出する手順
を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、歪み度を基準に抽出した筆ポリゴンから、道路に接続される間口ラインを検出し、単一の間口ラインを有し、旗と竿の面積の比率や、間口から旗と竿の境界までの距離に関する基準を満たすものを、旗竿地の候補として検出する。数値的な基準を元に旗竿地を取扱うことができるため、コンピュータを利用した一括で高速な処理が実行可能となる。
また本発明によれば、旗竿地の候補となる筆ポリゴンの抽出は、筆ポリゴンと、筆ポリゴンに外接する最小の長方形との面積の乖離度を基準に行うので、筆ポリゴンの形状データと道路ポリゴンデータ(もしくは道路ポリゴン縁のラインデータ)が利用可能であれば、容易に実行することができる。
また本発明によれば、旗竿地は、旗の部分と竿の部分とが離れているので、両方を囲む長方形は、最小のものでもかなり面積が大きくなり、面積の倍数としての歪み度も大きくなり、簡単に検出することができる。
また本発明によれば、間口ラインに基づく長円と、筆ポリゴンとの共通部分の長さの変化から、境目を設定し、旗と竿とを分割することができる。それにより、当該筆のうち、建築に供することが可能な旗部分の面積を、筆の総面積から区別して算出可能となる。
さらに本発明によれば、コンピュータを利用して筆境界と道路縁との共通部分を取ることにより、各筆の間口ラインを検出することができる。それにより、当該筆が接道義務を満たす再建築可能な土地であるかを数値的に判断可能となる。
図1は、本発明の一実施例で、旗竿地1と他の形状の土地2との歪み度を比較して示す図である。 図2は、図1のような旗竿地1の候補を、歪み度に従って表示する例を示す地図である。 図3は、図1のような旗竿地1の候補を検出する方法の手順を示すフローチャートである。 図4は、検出された旗竿地1の候補を、旗と竿とに分割するアルゴリズムの途中の段階を示す地図である。 図5は、検出された旗竿地1の候補を、旗と竿とに分割する考え方を示す地図である。 図6は、検出された旗竿地1の候補を、旗と竿とに分割する方法の手順を示すフローチャートである。 図7は、旗竿地1の候補のような形状を持つ多数の筆に対して分割アルゴリズムを適用し、一定の基準を満たす筆を可視化した地図である。
以下、図1から図7で本発明の一実施例について説明する。各図について、対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略したり、説明対象の図には記載されていない部分について、他の図に記載されている参照符を付して言及したりする場合がある。
図1は、本発明の一実施例で、旗竿地1と他の形状の土地2との歪み度を比較して示す。図1(a)に示す旗竿地1は、旗1aと竿1bとに分割可能であるけれども、その境目が不明であり、合理的な根拠での分割が要望される。図1(b)は、四角形などの他の形状の土地2を示す。旗竿地1や他の形状の土地2は、複数の筆が地番毎に区分される、地番地図(あるいは筆界図)ポリゴンデータから取り出されたものである。旗竿地1や土地2は、単純な幾何図形として定義できないために歪み度の概念を導入して定量化する。歪み度の基準は、筆ポリゴンに外接する最小の長方形であるMRR(minimal rotated rectangle)1c,2cを生成して評価する。
MRR1c,2cに基づく評価の一つは、
MRR Ratio = MRRの面積/筆の面積
として算出される面積の乖離度である。旗竿地1などの敷地は、四角形でなく多角形なので、値が大きくなる。MRR Ratio は、図1(a)の旗竿地1で1.81、図1(b)の土地2で1.04となる。
図2は、図1のような旗竿地1の候補を、歪み度に従ってポリゴン地図10に表示する例を示す。ポリゴン地図10は、ポリゴン化された筆界図に道路を含めた地番地図ポリゴンである。市街地のある範囲11は、たとえば「○町□丁目」などの地区名で指定され、
旗竿地の候補について、MMR Ratioで塗り分けた状態が示される。色が濃い筆ほど、MMR Ratioで評価される歪み度が大きい。旗竿地1の候補を歪み度に基づき塗り分けて示すことで、ポリゴン地図10で範囲11外となる他の地域も含めて旗竿地1のような形状の筆を人が目視で探すよりも、検出を容易に行うことができる。
図3は、図1のような旗竿地1を検出する方法の手順を示す。この手順は、インターネットに接続され、ソフトウエアやデータをインターネット経由で取得可能な、パーソナルコンピュータなどで動作するプログラムとして実行される。プログラムはR言語で形成されるが、PythonやPostGISのような、他の言語でも同等の動作は可能である。ステップa1では、インターネット経由で各種パッケージを読み込む。アルゴリズムの実行に必要なRパッケージは、データフレームを操作するためのパッケージである「dplyr」、現実世界の事物をコンピュータ上で表現し、操作および加工を行うためのパッケージである「sf」,アルゴリズム実行結果を可視化するためのパッケージである「mapview」で、
国際規格ISO-19125-1:2004に準拠する。
ステップa2では、地番地図ポリゴンとして、たとえば図2のポリゴン地図10のデータを読込む。ステップa3では、地番地図ポリゴンで、旗竿地1を検出する範囲11について、筆ポリゴン識別番号を設定する。筆ポリゴン識別番号は、たとえば範囲11内の地番の昇順リストに付す順番である。
ステップa4では、筆ポリゴン識別番号に対応する歪み度を算出する。ステップa5では、歪み度が基準値以上となっているか否かを判断する。本実施例では、MMR Ratio>1.2という基準値を用いている。基準値については、実行結果を参照しつつ、必要に応じて修正する。歪み度が基準値を越えていると、ステップa6で間口ラインを算出する。
図4は、図3のステップa5のような判断で検出された旗竿地1の候補を、旗と竿とに分割するアルゴリズムの途中の段階を示す。図4(a)は、旗竿地1の竿1bが道路20に接続される部分として、道路20の外側線21,22の一方の外側線21と竿1bを囲むポリゴンとの重複部分を、間口ライン1dとして検出した状態を示す。具体的には、旗竿地1の境界線と、道路縁との共通部分を取ることで、間口の位置と個数を特定する。
図3のステップa7では、間口ライン1dの数が1であるか否かを判断する。間口ライン1dの数が1であれば、ステップa8で、その筆ポリゴン識別番号に対応する筆ポリゴンを旗竿地1であるとして検出する。ステップa9では、次のポリゴン識別番号が存在するか否かを地番の昇順リストを参照して判断する。次の筆ポリゴン識別番号が存在していれば、ステップa4に戻り、ステップa4以下をそのポリゴン識別番号に変更して繰り返す。ステップa5で歪み度が基準値を越えないと判断される場合、およびステップa7で間口ライン数が1でない、すなわち0または2以上であると判断される場合は、ステップa9に移行する。ステップa9で、次の筆ポリゴン識別番号が存在しないと判断される場合、範囲11内での旗竿地1の検出は終了する。
図4(b)は、間口ライン1dを基に、旗竿地1の筆ポリゴンを旗1aと竿1bとに分割する途中の段階を示す。この分割は、間口ライン1dから一定の距離となる長円1e,1f,1g,1hを、距離を順次増加させながら生成して行う。
図5は、図4(b)に続いて、間口ライン1dからの距離を増やしながら、長円1p,1q,1rを生成した状態を示す。長円1p,1q,1rと旗竿地1の筆ポリゴンとの共通部分の長さである、長円1p,1q,1rが旗竿地1内にある部分の長さは、長円1pから長円1rに移行する段階で最も増大する。長円の生成は、旗竿地1の全体を覆うまで、順次距離を増やしながら行われるが、共通部分の長さが最も増大するのは、増大の手前の長円1pの共通部分であり、これが境目1zとなる。このように決定される境目1zで、旗竿地1は旗1aと竿1bとに分割される。
図6は、図4(b)および図5のように、旗竿地1を旗と竿に分割する方法の手順を示す。ステップb1で間口ライン1dを読込み、ステップb2で距離の初期値を、たとえば0.5mに設定する。ステップb3では、間口ライン1dから設定された距離だけ離れる長円をバッファとして生成する。ステップb4では、バッファの外周で筆ポリゴン内にある部分を縁として検出する。ステップb5では、距離が最終地に達しているか否かを判断する。距離の最終値は、旗竿地1の筆ポリゴンを長円が覆い得る長さとする。最終値に達していなければ、その距離での縁の長さをリストに残し、ステップb6で次の距離、たとえば0.5mなどを増加させた距離を設定し、ステップb3に戻り、ステップb3以下を繰り返す。
ステップb5で、距離が最終値に達していると判断されれば、ステップb7で、ステップb6で残したリストから、長円の縁と旗竿地の共通部分の増加率が最大となる距離を抽出する。ステップb8では、抽出した距離の手前となる距離の長円の縁を旗1aと竿1bとの境目1zとして決定する。なお、距離は順次増やすのではなく、長円が旗竿地1を覆い得る最大値から順次減らすように変化せてもよい。
旗1aと竿1bとを境目1zで分割した旗竿地1の表示は、図7の範囲11のように、検出を希望する地区に対して行うことができる。本実施例では、「旗の面積が竿の面積よりも大きく、旗と竿の境界が間口から5m以上離れている」という基準を設け、それを満たす筆を更に抽出した上で、図7に可視化している。基準値については、実行結果を参照しつつ、必要に応じて修正する。また、範囲11内で、特定の筆ポリゴンを指定して、その筆ポリゴンだけ表示するようにすることもできる。
1 旗竿地
1a 旗
1b 竿
1c,2c MMR
1d 間口ライン
1e,1f,1g,1h,1p,1q,1r 長円
1z 境目
10 ポリゴン地図
11 範囲
12 指標
20 道路
21,22 外側線

Claims (5)

  1. 登記済みの複数の筆が地番毎に区分される地番地図ポリゴンデータから、歪み度が予め定める基準を越える筆ポリゴンを旗竿地の候補として抽出し、
    抽出した筆ポリゴンが道路に接続される間口ラインを検出し、
    間口ラインが単一で、旗と竿の面積の比率と、間口から旗と竿の境界までの距離とに関する基準を満たす筆ポリゴンを、旗竿地として検出する、
    ことを特徴とする旗竿地取扱方法。
  2. 前記歪み度は、各地番の筆ポリゴンを囲む最小の長方形を生成し、生成した長方形に基づいて算出する、
    ことを特徴とする請求項1記載の旗竿地取扱方法。
  3. 前記歪み度は、前記筆ポリゴンの面積に対する前記長方形の面積の倍数として算出する、
    ことを特徴とする請求項2記載の旗竿地取扱方法。
  4. 前記旗竿地として検出した筆ポリゴンに対し、前記算出された間口ラインから一定の距離となる長円を、距離を順次変化させながら生成し、筆ポリゴンと共通部分となる長円の長さの変化が最も大きくなる間口ラインからの距離を境目として、旗と竿とに分割する、
    ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の旗竿地取扱方法。
  5. コンピュータに、
    登記済みの複数の筆が地番毎に区分される地番地図ポリゴンデータから、歪み度が予め定める基準を越える筆ポリゴンを抽出する手順、
    抽出した筆ポリゴンが道路に接続される間口ラインを算出する手順、および
    間口ラインが単一で、旗と竿の面積の比率と、間口から旗と竿の境界までの距離とに関する基準を満たす筆ポリゴンを、旗竿地として検出する手順
    を実行させるためのプログラム。
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