JP2007093904A - 地図統合装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地図記号、地図図形の異なる複数地図を統合する。
【解決手段】複数電子地図122内の地図図形の地図座標に基づき電子地図122間で物理的にマッチする地図図形の組が検出され、マッチする地図図形の組が統一図形に統一される。種々の地図記号の概念の階層的論理関係を定義した階層分類辞書118が用意される。複数電子地図122内の地図記号の地図座標に基づき、電子地図間で物理的にマッチする地図記号の組が検出され、地図記号の記号名称と階層分類辞書118内の記号名称の階層的論理関係に基づき、電子地図122間で論理的にマッチする地図記号の組が検出され、物理的にも論理的にもマッチする地図記号の組が統一記号に統一される。地図図形マッチングでは、地図に数値行列がオーバレイされ、マッチ結果に応じ数値行列の数値を変更することで、マッチ結果の妥当性が検査される。
【選択図】図1

Description

本発明は、地図表記の異なる複数の地図を一つの地図に纏めるための装置及び方法に関する。
現在、用途に応じた様々なデザインの地図が存在する。地図の構成要素は種々あるが、地図情報を提供するための主たる構成要素には、地図記号(すなわち、特定の地物分類に属する地物を示す標識、ピクトグラム又は文字列)と地図図形(すなわち、道路、建物、地区などの個々の地物の形状と位置を示す図形)の2種類がある。地図が異なると、そこで使われる地図記号も異なる。例えば、国土地理院発行の地形図では、主として地理学上の地物分類を表す地図記号が使われているが、カーナビゲーション用地図や市街案内図などでは、別の地図記号、特に、生活利便の観点からの地物分類(例えば、商業施設の細かい業種分類など)を表す地図記号や、更には、個々の地物の固有名称(例えば屋号、商標、サービスマークなど)を表す地図記号が広く用いられる。また、地図が異なれば、地図図形も異なり、特にその正確性が異なる。例えば、国土地理院発行の地形図や或る種の住宅地図では、地図図形は実物にかなり忠実な正確性の高いものであるのに対し、別の種類の観光案内図や道路地図では、地図図形の分かり易さが重視され、正確さは犠牲にされている。
ところで、既存の地図では対応しきれない地図に対する新しいニーズが今後発生していくであろう。例えば、誰でも容易に理解できるバリアフリーな地図記号を用いたバリアフリー地図、災害の種類に応じて防災施設を一目で分かるよう表示できる防災地図などに対するニーズが増大するかもしれない。そのため、新たなニーズに応え得る新デザインの地図を自動的に作成するための技術の重要性が増している。
新たなニーズに応える地図の作成に貢献する一つの技術として、特許文献1に記載された発明が知られている。特許文献1に開示された地図情報取得装置は、実際の場所をカメラで撮影した画像から、その場所の特徴量を抽出し、その特徴量を、その場所の位置情報に関連付けて地図情報として記憶する。
特開2002−297611号公報
上述した特許文献1に開示された従来技術によれば、実際の場所を撮影して得られた画像から把握されるその場所の特徴を、地図情報に組み入れて、それを例えば障害者向けの道案内のような用途に活用することができる。これは、地図に対する新たなニーズに応えるための一つのアプローチである。
また、別のアプローチとして、既存の異なる地図を統合することにより、それぞれの地図の利点が活かされたより合目的的な地図を再編するという方法も有用である。しかしながら、既存の異なる地図を統合しようとしたとき、上述したように地図が異なると地図記号及び/又は地図図形が異なるという問題が、このアプローチを困難にしている。
従って、本発明の目的は、地図記号及び/又は地図図形が異なる複数の地図を統合できるようにすることにある。
本発明の一つの側面に従えば、複数の電子地図を統合するための装置は、前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図図形を入力し、前記地図図形の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図図形の組を検出し、検出された前記物理的にマッチする地図図形の組をそれぞれ統一地図図形に統一する地図図形統一手段と、種々の地図記号の記号名称が表す概念の階層的論理関係を定義した階層分類辞書と、前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図記号を入力し、前記地図記号の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図記号の組を検出し、前記地図記号の記号名称と前記階層分類辞書に定義された前記記号名称の階層的論理関係とに基づいて、前記複数の電子地図間で論理的にマッチする地図記号の組を検出し、検出された前記物理的及び論理的の双方でマッチする地図記号の組をそれぞれ統一地図記号に統一する地図記号統一手段とを備える。
この地図統合装置において、前記地図図形統一手段は、数値行列を有し又は生成し、前記数値行列を前記重ね合わされるべき領域にオーバレイし、オーバレイされた前記数値行列の中から、前記領域内の各地図図形に重なる数値を検出し、前記数値行列内の前記各地図図形に重なる数値を、前記各地図図形にマッチする相手側の地図図形が検出されたか否かに応じて変更し、前記変更された数値をもつ前記数値行列に基づいて、前記マッチする地図図形の組の検出結果の妥当性を検査する、ように構成されることができる。
また、前記数値行列は、元来、各行及び各列の数値の合計が同一の所定値となるようなものであってよい。そして、前記地図図形統一手段は、前記妥当性を検査するために、前記変更された数値をもつ前記数値行列の各行及び各列の数値の合計が前記所定値と一致するか否かを判断する、ように構成されることができる。
また、前記地図記号統一手段は、前記物理的にマッチする地図記号の組を検出するために、前記地図記号の地図座標に基づいて前記複数の電子地図の地図記号間の物理距離を求め、前記物理距離と所定の物理マッチ閾値とを比較する、ように構成されることができる。
さらに、前記地図記号統一手段は、前記論理的にマッチする地図記号の組を検出するために、前記階層分類辞書に定義された前記記号名称の階層的論理関係に基づいて、前記複数の電子地図の地図記号の記号名称間の論理距離を求め、前記論理距離と所定の論理マッチ閾値とを比較する、ように構成されることができる。
本発明の別の側面に従えば、複数の電子地図を統合するための装置は、前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図図形を入力し、前記地図図形の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図図形の組を検出し、検出された前記物理的にマッチする地図図形の組をそれぞれ統一地図図形に統一する地図図形統一手段と、前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図記号を入力し、前記地図記号の地図座標と記号名称とに基づいて、前記複数の電子地図間で物理的及び論理的にマッチする地図記号の組を検出し、検出された前記物理的及び論理的の双方でマッチする地図記号の組をそれぞれ統一地図記号に統一する地図記号統一手段とを備える。そして、前記地図図形統一手段は、数値行列を有し又は生成し、前記数値行列を前記重ね合わされるべき領域にオーバレイし、オーバレイされた前記数値行列の中から、前記領域内の各地図図形に重なる数値を検出し、前記数値行列内の前記各地図図形に重なる数値を、前記各地図図形にマッチする相手側の地図図形が検出されたか否かに応じて変更し、前記変更された数値をもつ前記数値行列に基づいて、前記マッチする地図図形の組の検出結果の妥当性を検査する。
本発明はまた、上記地図統合装置に採用されたと同様の原理に基づく地図統合方法及び地図統合用コンピュータプログラムも提供する。
さらに、本発明は、上記地図統合装置で地図図形統一及び地図記号統一に採用されたと同様の原理に基づく地図図形統一装置及び地図記号統一装置も提供する。
本発明によれば、複数の地図間で地図記号及び/又は地図図形を統一して、それらの地図を統合することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる地図統合装置の全体構成を示す。
図1に示すように、地図統合装置100は、電子地図作成部102と、線形変換/記号抽出部104と、地図記号管理部106と、地図連結部108と、地図統合表示インタフェース110とを有する。地図統合装置100は、典型的には、コンピュータプログラムを実行する1又は複数のコンピュータにより実現される特定用途ハードウェアによっても、または、特定用途ハードウェアとコンピュータとの組み合わせによっても実現できる。地図記号管理部106は、記憶装置を有し、その記憶装置上に、地図データベース112、地図記号データベース114、地図記号辞書115(絵柄辞書116及び階層分類辞書118)を有する。
この地図統合装置100は、元来は別個に存在する複数の地図を入力して、それら複数の地図を電子的に統合し、統合された地図を出力することができる。複数の地図を統合する処理には、地図の主たる2種類の構成要素である地図記号と地図図形をそれぞれ統合する処理が含まれる。地図記号の統合処理では、本発明の一つの原理に従い、地図記号辞書115を参照して、異なる地図の中から、物理位置(地理座標)の点で互いにマッチするだけでなく、論理的(意味的)な概念の点でも互いにマッチする地図記号がサーチされ、そして、見つかった互いにマッチする地図記号が統合される。また、地図図形の統合処理では、異なる地図の中から、物理位置(地理座標)の点で互いにマッチする地図図形がサーチされ、そして、見つかった互いにマッチする地図図形が統合されるが、その際に、本発明の別の原理に従い、特別な構造の方陣(数値の行列)を用いて、地図図形の統合結果が妥当であるか否かがチェックされる。
以下、この地図統合装置100の構成と機能について、より詳細に説明する。
この地図統合装置100は、統合対象の地図として、非電子地図120と電子地図122のいずれも入力可能である。ここで、電子地図122は、電子データ化された地図であって、そのデータ構造は、典型的には、例えば、個々の地図記号と個々の地図図形が個別の電子データとして構成され、地図記号のレイヤーと地図図形のレイヤーは別レイヤーに分離されており、地図記号のデータは絵柄のデータと名称のデータを含んでいる。他方、非電子地図120は、電子地図122のような構成にはなっていない地図であり、例えば、紙媒体上に印刷された地図や航空写真などである。電子地図122が入力される場合には、その電子地図122は地図データベース112に登録される。非電子地図120が入力される場合には、電子地図作成部102によって、その非電子地図120のイメージが読み取られ、上述したデータ構造の電子地図に変換されて、地図データベース112に登録される。
線形変換/記号抽出部104は、地図データベース112から、各電子地図を読み出し、各電子地図に線形変換を施して、各電子地図の縮尺と方角を、一定の縮尺と方角に正規化し、正規化された電子地図を地図データベース112に登録し直す。また、線形変換/記号抽出部104は、各電子地図の中から地図記号を抽出し、抽出された地図記号を地図記号データベースに登録する。
地図記号管理部106は、地図記号辞書115を作成し管理する。地図記号辞書115は、階層分類辞書118と絵柄辞書116から構成される。階層分類辞書118は、地図記号の名称によって表象される概念に基づいて、多数の地図記号を、その意味関係に従って階層的に整理した辞書である。絵柄辞書116は、地図記号とそれに対応する絵柄との組合せを定義した辞書である。地図記号辞書115は、地図記号から、その絵柄と意味属性とが整合するよう一体的に管理されるべき性質を帯びる(その具体例は図6参照)。
ここで、各地図記号は絵柄と名称を有する。地図記号の絵柄とは、地図記号の表示イメージ、すなわち、地図上に表示される絵、ピクトグラム又は文字列などである。地図記号の名称とは、典型的には、その地図記号が表す地物分類の名称、例えば「病院」や「工場」などであるが、場合によっては、「鈴木医院」や「山田鉄工所」のような地物の固有名称(つまり屋号、商標、サービスマーク等)である場合もあり、更には、地物分類の名称と地物の固有名称とのセットである場合もある。なお、地図記号の名称が、地物の固有名称(例えば「鈴木医院」)を表す場合には、そこには、その地物が属する地物分類の名称(例えば「病院」)も論理的に内包しているといえる。以下の説明では、分かり易くするために、地図記号の名称は、地物の固有名称(例えば「鈴木医院」)とその地物が属する地物分類の名称(例えば「病院」)とのセットであるとする。また、以下の説明では、地図記号の名称と地物の固有名称とを区別するために、前者を「記号名称」といい、後者を「地物名称」という。
さて、絵柄辞書116には、多数の地図記号の絵柄が格納されている。また、階層分類辞書118には、多数の地図記号の記号名称が、それぞれの記号名称が表す地物分類の概念(意味)の階層的関係に従って関連付けられて、格納されている。そして、絵柄辞書116内の絵柄と、階層分類辞書118内の記号名称とは、同じ地図記号に対応するもの同士で互いに関連付けられている。上述したように、絵柄辞書116と階層分類辞書118は両者合わせて、地図記号辞書115を構成する。
地図記号管理部106は、地図データベース112から各電子地図122を読み出し、その電子地図122から地図記号の絵柄と記号名称を取り出し、絵柄を絵柄辞書116に登録し、記号名称を階層分類辞書118に登録することができる。また、地図記号管理部106は、ユーザから任意の地図記号の入力を受けて、そのユーザ入力された地図記号の絵柄を絵柄辞書116に登録し、記号名称を階層分類辞書118に登録することができる。その場合、地図記号管理部106は、ユーザ入力された地図記号には記号名称しか含まれておらず、絵柄が含まれていなかった場合には、地図記号辞書115を参照して、そのユーザ入力された記号名称に概念的に整合する絵柄を、絵柄辞書116内の登録済み絵柄から作成して、それを絵柄辞書116に追加的に登録することもできる。
地図連結部108は、地図データベース112と地図記号データベース114から、統合したい(つまり連結したい)複数の電子地図及びそれらの電子地図の地図記号とを読み出しそれらの複数の電子地図を自動的に統合(つまり連結)する。ここで、複数の地図を統合(連結)するとは、或る地図の全域を別の地図の全域又は一部の領域に重ね合わせて両地図を統合すること、及び、或る地図の一部の領域を別の地図の一部の領域に重ね合わせて両地図を連結することなどを含む意味である。さて、地図の統合の処理は、地図図形の統一処理と、地図記号の統一処理とを含む。地図図形の統一処理では、地図連結部108は、上述したように、特別な構造の方陣(数値の行列)を用いて、地図図形の統合結果が妥当であるか否かをチェックする。また、地図記号の統一処理では、地図連結部108は、上述したように、地図記号辞書115を参照して、物理位置(地理座標)の点で互いにマッチするだけでなく、論理的(意味的)な概念の点でも互いにマッチする地図記号を異なる電子地図中から見つけ出して統合する。
地図統合表示インタフェース110は、この地図統合装置100のグラフィカルユーザインタフェースをディスプレイ装置に表示する。
次に、この地図統合装置100の各部の動作を具体的に説明する。
図2は、電子地図作成部102の動作の流れを示す。
電子地図作成部102は、イメージスキャナ(図示せず)を有し、図2のステップ130で、入力された非電子地図120のイメージをそのイメージスキャナで読み取り、ステップ132で、その地図イメージ上の各地図図形の輪郭線を追跡し、ステップ134で、追跡された輪郭線の細線データを作成する。ステップ136で、その輪郭線の細線データが、より単純な折れ線データに近似され、ステップ138で、その折れ線データから、個々の地物の輪郭に相当する閉多角形のベクトルデータ(つまり、個々の地図図形)が生成される。ステップ140で、各閉多角形のベクトルデータつまり各地図図形に、固有の識別コードが割り当てられて、各地図図形が論理的に識別可能に個別化される。ステップ142で、各地図図形に対して、図形属性(例えば、地物名称や地物分類やテナント情報など)が付加される。こうして、基礎的な電子地図(すなわち、地図記号は載っていないが、地図図形は載っている白地図のようなもの)が出来上がる。その後、ステップ144で、その基礎的な電子地図上に、上記各地図図形に付加された図形属性に基づいて、所定の地物分類または地物名称をもつ地図図形の位置又はその近傍位置に、その地図図形を示す地図記号が追加される。こうして、地図図形と地図記号の双方を含んだ電子地図が完成し、この電子地図は、地図データベース112に登録される。
図3は、線形変換/地図記号抽出部104の動作の流れを示す。
図3に示すように、線形変換/地図記号抽出部104は、ステップ150で、地図データベース112から各電子地図を読み出し、その電子地図に基準点を設定し、ステップ152で、その基準点を中心にその電子地図を回転させて、東西南北の基準方位がその電子地図上の一定の方向に一致させ(例えば、北の方位を電子地図上の上方向に一致させる)。ステップ154で、その電子地図が拡大または縮小されて、その電子地図の縮尺が一定の縮尺に一致させられる。こうして、正規化された電子地図が出来上がり、この正規化された電子地図は、再び地図データベース112に格納され直す。その後、ステップ156〜159で、その正規化された電子地図から地図記号が抽出され、抽出された地図記号が地図記号データベース114に登録される。
図4Aから図4Cは、上述した図3のステップ156〜159の動作を具体的に例示している。
すなわち、ステップ156では、図4Aに示すように、電子地図122内から所定サイズの領域160が選択され、ステップ158では、図4Bに示すように、選択された領域160内が探索されて、その領域160内の地図記号162,164,166がピックアップされる。そして、ステップ159では、図4Cに示すように、ピックアップされた地図記号162,164,166のリスト168が、地図記号データベース114に登録される。登録された各地図記号162,164,166のレコードには、図4Cに示すように、各地図記号の絵柄、地理座標(例えば、緯度経度座標)、並びに記号名称から得られる地物分類及び地物名称が含まれる。
上述したステップステップ156〜159の動作(図4Aから図4Cに示した動作)は、電子地図122上で選択される領域160を移動させながら繰り返し実行され、最終的には、電子地図122の全域から全ての地図記号がピックアップされて地図記号データベース114に登録される。
図5、図6及び図7は、地図記号管理部106の動作を説明している。このうち、図5は、辞書作成及び地図記号選定の動作の流れを示し、図6は、地図記号辞書115の構造の具体的例を示す。図7は、地図記号カスタマイズの動作の流れを示す。
辞書作成及び地図記号選定の動作については、図5に示すように、地図記号管理部106は、ステップ170で、地図データベース112から読み出した電子地図122、又は別途に入力された電子地図122から、地図記号を抽出する。地図記号の抽出方法は、図4A〜図4Cを参照して説明したと同様な方法を用いることができる。抽出された各地図記号には、絵柄172と記号名称174とが含まれている。ステップ176で、各地図記号の絵柄の特徴量178が算出される。特徴量には、絵柄の色の特徴を表すRGB値ヒストグラム、或は、絵柄の形状の特徴を表す濃度のフーリエ解析結果などが採用できる。その後、ステップ180で、絵柄の特徴量に基づいて、互いに類似する絵柄(特徴量において近い絵柄)が、抽出された地図記号の絵柄の集合の中から検索され、抽出された地図記号の絵柄が、類似する絵柄のグループに分類される。ステップ182で、同じ地図記号に対応する絵柄と地図名称同士が関連付けられ、そして、絵柄は、その特徴量とともに、上述した類似絵柄グループに分類された状態で、絵柄辞書116に登録される。なお、絵柄辞書116上で、絵柄が類似絵柄グループに分類されることで、或る絵柄に一致または類似する絵柄を絵柄辞書116から検索する作業が容易になる。
ステップ184で、記号名称の意味する概念、特に、記号名称から得られる地物分類の概念に基づいて、抽出された地図記号の記号名称(地物分類)が、概念の階層的な論理関係をもって互いに関連付けられた形に、整理される。例えば、図6に例示するように、上位概念階層に属する地物分類「公的施設」の下位に、中位概念階層に属する地物分類「医療施設」、「運動施設」及び「学習施設」が関連付けられ、さらに、中位概念階層の地物分類「医療施設」の下位に、下位概念階層に属する地物分類「動物病院」及び「総合病院」が関係付けられるというように、地物分類の概念の階層的な論理関係のデータ構造体の中に、抽出された地図記号の記号名称(地物分類)が組み込まれる。そして、この記号名称(地物分類)の概念関係データ構造体が、階層分類辞書118に登録される。
上記のようにして、互いに関連付けられた絵柄辞書116と階層分類辞書118からなる地図記号辞書115が用意される。地図記号辞書115内では、図6に例示するように、絵柄辞書116に登録されている各絵柄194と、階層分類辞書118に登録されている各記号名称(地物分類)192とが、互いに関連付けられて、各地図記号190を構成している。そして、階層分類辞書118に登録されている記号名称(地物分類)192間の階層的な概念関係に沿ったリンク196により、複数の地図記号190が互いに関係付けられている。
ここで、異なる地図記号同士が概念的に近いか遠いか(概念的に似ているか否か)の程度、つまり異なる地図記号間の論理距離は、階層分類辞書118上の概念関係に沿った記号名称間の距離により計測又は計算することができる。すなわち、階層分類辞書118上で上下位で隣り合う概念階層間の論理距離(親子論理距離又は垂直論理距離)を第1の値(例えば「1」)に、また、同位で隣り合う概念階層間の論理距離(兄弟論理距離又は又は水平論理距離)を第2の値(例えば「2」)に予め定めることができる。そして、異なる地図記号間の論理距離は、階層分類辞書118上でのその異なる地図記号の記号名称間に存在する垂直論理距離と水平論理距離との和として計算することができる。例えば、図6に示した例では、「公的施設」と「医療施設」間の論理距離は、垂直論理距離1単位分の「1」であり、「公的施設」と「総合病院」間の論理距離は、垂直論理距離2単位分の「2」であり、「総合病院」と「動物病院」間の論理距離は、水平論理距離1単位分の「2」であり、また、「総合病院」と「運動施設」間の論理距離は、垂直論理距離1単位と水平論理距離1単位分の和「3」であると計算される。このように階層分類辞書118上で定義された概念関係に基づいて計算される地図記号間の論理距離は、後述するように、地図記号同士のマッチング処理で利用される。
再び図5を参照する。上記のようにして地図記号辞書115が用意された後に、ステップ186で、ユーザからの使用地図記号の選択指示に従って、地図記号辞書115に登録された地図記号の中から、統合辞書に使用されることになる地図記号群(統合辞書用地図記号)188が選択される。統合辞書用地図記号188は、地図統合装置100の記憶装置(図示省略)に格納され保存される。その場合、統合辞書用地図記号188は、地図記号辞書115からは分離された別データの形で記憶装置に格納されてもよいし、或は、地図記号辞書115内の各絵柄及び/又は各記号名称(地物分類)に、統合辞書用として選択されたことを示すフラグを付加するなどの方法で、地図記号辞書115に内包される形で格納されてもよい。
また、地図記号のカスタマイズを行なう場合には、図7に示すように、地図記号管理部106は、ステップ200で、ユーザから入力された追加したい地図記号を受け取る。このとき、入力される地図記号は、記号名称と絵柄の双方を含んでいても良いし、或は、絵柄は無く、記号名称だけであってもよい。ステップ202で、入力された地図記号が絵柄を含んでいるか否かがチェックされる。その結果、絵柄が無く記号名称だけであった場合には、制御はステップ204へ進み、そこでは、入力された記号名称を検索キーとして、階層分類辞書118から、その入力名称に概念的にマッチする登録済み記号名称がサーチされる。マッチするか否かは、階層分類辞書118上の階層的な概念関係に沿って測った相互間の論理距離がゼロか又は或る閾値より小さいか否かで判断することができる。
ステップ204のサーチの結果、マッチした登録済み記号名称が見つからなかった場合には、制御はステップ208に進み、そこでは、絵柄辞書116中の登録済み絵柄を利用して、その入力名称にふさわしいであろう新たな絵柄が作成される。ここで、新しい絵柄の作成方法としては、例えば、入力名称に概念的に類似する(すなわち、階層分類辞書118上の論理距離において近傍に位置する)他の登録済み記号名称に関連付けられた登録済み絵柄を複数選んで、それら選ばれた絵柄を組み合わせる方法や、或いは、入力名称に概念的に類似する他の登録済み記号名称に関連付けられた登録済み絵柄と、その登録済み絵柄に絵柄的に類似する(すなわち、絵柄辞書116上で同じ類似絵柄グループに属する)他の登録済み絵柄とを複数選んで、それら選ばれた絵柄を組み合わせる方法などを用いることができる。作成された新しい絵柄は絵柄辞書116に追加登録され、また、入力名称は階層分類辞書118に追加登録され、その際、その新しい絵柄と入力名称は、同じ地図記号に係るものとして、互いに関連付けられて登録される。
また、ステップ206のサーチの結果、入力名称にマッチする登録済み地図記号が見つかった場合には、その入力名称(地図記号)は登録済みであるとみなせるので、入力地図記号の追加登録は行われない(ステップ210)。
また、上述したステップ202で、入力された地図記号に記号名称と絵柄の双方が含まれていた場合には、制御はステップ212へ進み、そこでは、入力された絵柄を検索キーとして、絵柄辞書116から、入力絵柄に絵柄特徴的にマッチする登録済み絵柄がサーチされる。ここで、入力絵柄にマッチするか否かの判断は、絵柄間の特徴量における距離(特徴距離)がゼロか又は所定の閾値より小さいかにより判断することができる。ステップ212のサーチの結果、マッチした登録済み絵柄が見つからなかった場合には、制御はステップ216に進み、そこでは、入力された地図記号の絵柄と記号名称が、相互に関係付けられて、絵柄辞書116と階層分類辞書118にそれぞれ登録される。
ステップ212のサーチの結果、マッチした登録済み絵柄が見つかった場合には、制御はステップ218に進み、そこでは、見つかった登録済み絵柄に関係付けられた階層分類辞書118中の登録済み記号名称と、入力された記号名称がマッチするかチェックされ、マッチすれば、入力された地図記号は既に登録済みとみなされるので、入力された地図記号の追加登録は行われない。他方、記号名称がマッチしなかった場合には、入力された記号名称と登録済絵柄とが、新たに関連付けられて、階層分類辞書118と絵柄辞書116にそれぞれ登録し直される。
以上のようにして。電子地図122から自動的にピックアップされた地図記号だけでなく、ユーザが任意に入力した地図記号も、地図記号辞書115に追加登録することができる。
次に、図1に示した地図連結部108の動作について説明する。地図連結部108は、地図データベース112から複数の正規化された電子地図を読み出して、これらの電子地図を統合するものである。ここで、地図統合の主要処理は、地図記号の統一処理と、地図図形の統一処理とから構成される。以下では、まず、地図記号の統一処理について説明し、その後に、地図図形の統一処理について説明する。
図8は、地図連結部108が行う地図記号の統一処理の流れを示す。
図8に示すように、ステップ220で、地図連結部108は、地図データベース112から、統合したい複数(例えば2つ)の電子地図を読み出し、それらの電子地図から、重なり合う領域を抽出する。すなわち、図9に例示するように、2つの地図230,232を統合する場合、それらの地図230,232から、それぞれ、重ね合わされる領域234,236が抽出される(以下、一方の領域234を「基準領域」、他方の領域236を「参照領域」という)。その後、ステップ221で、図9に例示するように、基準領域234に存在する全ての地図記号240,242,244のリスト250と、参照領域236に存在する全ての地図記号246,248のリスト252とが、地図記号データベース114から読み出される。そして、図10に例示するように、基準領域234内の地図記号(以下、「基準地図記号」という)240,242,244の各々に対して、物理的にマッチする(すなわち、物理的に近傍に位置する)参照領域236内の地図記号(以下、「参照地図記号」という)が検出される。物理的にマッチするか否かの判断は、地図記号データベース114に登録されている両地図記号の地理座標から計算される両地図記号間の距離(物理距離)が、所定の物理マッチ閾値r内であるか否かで判断することができる。図10に示した例では、物理マッチ閾値rが「1」と定められている場合、第1の基準地図記号240に対しては、物理的にマッチするものとして、1つの参照地図記号246が検出され、第2の基準地図記号242に対しては1つの参照地図記号248が検出され、また、第3の基準地図記号244に対しては、第2の基準地図記号242の場合と同じ1つの参照地図記号248が検出される。
その後、ステップ222で、基準地図記号240,242,244の各々について、それに物理的にマッチする参照地図記号が一つずつ物理距離の近い順に選択される。そして、ステップ223にて、選択された参照地図記号が、対応する基準地図記号に対して、論知的にマッチする(すなわち、記号名称が表す概念において論理的な近傍に位置する、つまり、概念的に同一又は類似である)か否かが判断され、論理的にマッチすると判断された参照地図記号だけが検出される。論理的にマッチするか否かは階層分類辞書118に登録されている両地図記号の概念の論理関係から計算される両地図記号間の論理距離が、所定の論理マッチ閾値n以下であるか否かにより判断することができる。例えば、図11に例示するように、論理マッチ閾値nが「1」と定められている場合、第1の基準地図記号240に関しては、これに物理的にマッチしている参照地図記号246は論理的にもマッチしているので再び検出され、第2の基準地図記号242に関しても、これに物理的にマッチしている参照地図記号248は論理的にもマッチしているので再び検出される。これに対し、第3の基準地図記号244に関しては、これに物理的にマッチしている参照地図記号248は論理的にはマッチしていないので、検出されない。このようにして、基準地図記号240,242,244の各々に対して物理的にも論理的にもマッチする参照地図記号だけが、再び検出されることになる。
再び図8を参照して、ステップ224にて、基準地図記号240,242,244の各々について、物理的にも論理的にもマッチする参照地図記号の間でマッチ評価(物理距離と論理距離の双方を総合的に評価して、マッチ度つまり距離の近さを判断すること)が行われて、最もマッチした一つの参照地図記号が最終的に検出される。マッチ評価は、例えば、物理距離と論理距離の和(単純和、重み付け和、或いは二乗和など)が最も小さいものを選ぶという方法で行うことができる。こうして最終的に検出された参照地図記号とそれにマッチする基準地図記号との組の各々は、同じ地物を表すものとみなされる。例えば、図11の例では、第1の基準地図記号240とこれにマッチする参照地図記号246の組は、同じ地物「あらき動物病院」を表すものとみなされ、第2の基準地図記号242とこれにマッチする参照地図記号248の組は、同じ地物「松原中学校」を表すものとみなされる。他方、第3の基準地図記号244については、これにマッチする参照地図記号は存在しない。
その後、ステップ225で、各基準地図記号とこれにマッチする各参照地図記号との組のそれぞれが、統一地図記号に統一され、その統一地図記号が、統合された地図の地図記号として地図記号データベース114に登録される。地図記号の統一は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、互いにマッチする基準地図記号と参照地図記号の記号名称(地物分類)が、階層分類辞書118上で同位の概念階層に位置する場合には、基準地図記号と参照地図記号の内の予め定められた一方(この実施形態では、基準地図記号とする)の記号名称(地物分類)に関連付けられた統合地図用地図記号(図5のステップ186で選択された統合地図用地図記号群188に登録されているもの)が、当該地図記号の組に対する統一地図記号として選ばれる。また、互いにマッチする基準地図記号と参照地図記号の記号名称(地物分類)が、階層分類辞書118上で上下関係にある異なる概念階層に位置する場合には、下位の方の記号名称(地物分類)に関連付けられた統合地図用地図記号が、当該組に対する統一地図記号として選ばれる。また、或る基準地図記号にマッチする参照地図記号が存在しない場合には、その基準地図記号の記号名称(地物分類)に関連付けられた統合地図用地図記号が、統一地図記号として選ばれる。
例えば、図12に例示するように、第1の基準地図記号240(地物分類「動物病院」)とこれに対応する参照地図記号246(地物分類「医療施設」)については、階層分類辞書118においてより下位にある地物分類「動物病院」に対応する統合地図用地図記号(この実施形態では、基準地図記号がそれに該当するものとする)240が、統一地図記号として選ばれる。また、第2の基準地図記号242(地物分類「小中学校」)とこれに対応する参照地図記号248(地物分類「学習施設」)についても、より下位の地物分類「小中学校」に対応する統合地図用地図記号(この実施形態では、基準地図記号がそれに該当するものとする)242が、統一地図記号として選ばれる。第3の基準地図記号244については、これに対応する参照地図記号は存在しないから、この基準地図記号244の地物分類「運動施設」に対応する統合地図用地図記号(この実施形態では、基準地図記号がそれに該当するものとする)244が、統一地図記号として選ばれる。その結果として、図13に例示するように、統一地図記号240,242,244のリスト262が、地図記号データベース114に登録される。
以上のようにして、重ね合わされる領域内の地図記号について統一地図記号が決定されると、統合されるべき複数地図の重ね合わされない領域内に存在する上記地図記号と同じ地図記号についても、同じ統一地図記号が適用される。さらに、重ね合わされない領域内に存在する他の地図記号については、それら他の地図記号の記号名称にそれぞれ関連付けられた統合地図用地図記号(この実施形態では、基準地図記号がそれに該当するものとする)が、それら他の地図記号に対する統一地図記号として選択される。このようにして、統合されるべき複数地図に存在する全ての地図記号に対して、統一地図記号が決定される。そして、決定された全ての統一地図記号は、統合地図の地図記号として地図記号データベース114に登録される。
次に、地図図形の統一処理について説明する。図14は、地図図形の統一処理の流れを示す。
図14に示すように、ステップ270で、地図連結部108は、地図データベース112から読み出された統一対象の複数の電子地図から、互いに重ね合わされるべき領域を選択する。ステップ272で、選択された領域の各々において、そこに存在する地図図形が、或る程度に単純な閉多角形(すなわち、主要な辺が直交する2方向に沿うような閉多角形)に変換される。例えば、図15Aに例示するように、選択された或る領域290に、複雑な閉多角形である2つの地図図形291,292が存在していたとすると、それが図15Bに例示するように、より頂点数が少ない閉多角形の地図図形294,296に近似される。図15Cに一つの地図図形296を例にとり例示するように、それらの地図図形294,296の各頂点は、その頂点の地理座標(Xi,Yi)で定義されている。そして、図15Dに例示するように、地図図形294,296はそれぞれ、始点となる頂点から終点となる頂点まで全ての頂点を順次に連結したデータ形式で定義され、そのように定義された地図図形のリスト298が、地図データベース112に改めて登録される。
再び図14を参照して、その後のステップ274で、予め用意されている升目の細かさが異なる複数種類の方陣の中から、選択された領域に適した細かさの升目をもつ方陣が選択される。或いは、選択された領域に適した細かさの升目をもつ方陣が作成される。ここで、方陣とは、一つの領域を垂直方向と水平方向をN個ずつ升目に分け、それぞれの升目に異なる数値を割り当てててなる、N×Nサイズの数値の行列であり、かつ、いずれの行及びいずれの列も、その升目の数値の合計が同一の所定値であり、さらに、升目の数値の変化(例えば入れ替え、欠損又は重複など)が生じた場合には、その変化した升目に属する行又は列における升目の数値の合計が上記所定値とは異なる値になるようになっている。この方陣は、後に詳述するように、地図図形の統一結果が妥当であったか否かを検査するために使用される。
図16Aは、3×3サイズの方陣の例を示す。図16Aに示す方陣300は、1から9までの数値が、9個の升目に1対1で割り当てられており、その行も列も、升目の数値の合計が「15」になる。そして、いずれかの升目の数値が変化すると、すなわち、例えば、図16Bに示すように任意の2つの升目の数値が入れ替わったり、或いは、図16Cに示すように任意の升目の数値が欠損したり、或いは、図16Dに示すように任意の複数の升目の数値が重複したりすると、その変化した升目の行又は列における升目の数値の合計が「15」以外の値となる。また、図17は、5×5サイズの方陣の例を示している。この5×5サイズの方陣309は、1から25までの数値が、25個の升目に1対1で割り当てられており、その行も列も、升目の数値の合計が「65」になる。これらの例以外のサイズの方陣も作成可能である。
方陣を選択する場合、ステップ270で選ばれた領域にその方陣を重ね合わせたとき、1つの升目のサイズが、その領域内の最も小さい地図図形の領域サイズ以下になることが望ましい。その理由は、後に詳述するように、各地図図形の領域に含まれる升目がどれであるかということに基づいて、地図図形の統一結果の妥当性が検査されるからである。
再び、図14を参照して、その後、ステップ276で、もし、選択された各領域の地図図形の主要な辺の方向に対して、方陣の行又は列の方向が傾いている場合には、両方向が一致するように、その領域又は方陣が回転させられる。その後、ステップ278で、選択された領域の各々に、方陣がマッピングされ(オーバレイされる)、各地図図形に対して、位置的に重なり合う升目が対応付けられ、地図図形毎に、対応する升目の数値がピックアップされる。なお、或る升目が複数の地図図形に股がるときには、その升目は、最も大きい面積をもって重なり合う一つの地図図形に対応付けられる。例えば、統合される複数の地図の一方から図18Aに例示するような領域(以下、「基準領域」という)290が選択され、他方の地図から図19Aに例示するような領域(以下、「参照領域」という)302が選択された場合を想定すると、それぞれの領域290,302に対して同じ方陣300がオーバレイされる。その結果、図18Bに例示するような、基準領域290内の地図図形294,296にそれぞれ対応付けられた升目数値のリスト307と、図19Bに例示するような、参照領域302内の地図図形304,306,308にそれぞれ対応付けられた升目数値のリスト310とが得られる。
再び図14を参照して、その後、ステップ280で、基準領域と参照領域間での地図図形の物理的なマッチングが行われる。このマッチングは、基準領域内の各地図図形(以下、「基準地図図形」という)と、参照領域内の各地図図形(以下、「参照地図図形」という)との間の物理的なマッチ度(すなわち、地図座標におけるマッチ度)が計算され、その物理的なマッチ度が所定の図形マッチ閾値以上であれば、両地図図形は互いにマッチする(すなわち、同一の地物に対応するものである)とみなして、その互いにマッチした基準地図図形と参照地図図形の組を検出する、という方法で行うことができる。マッチ度は、両地図図形の頂点間の物理距離が、所定の頂点マッチ閾値以内か否かを判断することで、頂点同士が一致しているか否かを判断し、そして、一致した頂点の数の全頂点数に示す割合を求め、その割合をマッチ度とする方法で、計算することができる。
例えば、図20Aに例示するように、基準領域290内の基準地図図形294,296の各々に対して、参照領域302内の参照地図図形304,306,308の各々がマッチするかどうかがチェックされる。その場合、図20Bに基準地図図形296と参照地図図形306,308との間のマッチチェックを取り上げて例示するように、基準地図図形296は一方の参照地図図形306に対して、その6つの頂点のうち5つの頂点が位置的に一致している(物理距離が所定の頂点マッチ閾値以下である)から、両図形間のマッチ度は5/6=0.83と計算される。また、基準地図図形296は他方の参照地図図形308に対して、その6つの頂点のうち1つの頂点だけが位置的に一致している(物理距離が所定の頂点マッチ閾値以下である)から、両図形間のマッチ度は1/6=0.13と計算される。そして、上記図形マッチ閾値が例えば3/4=0.75であったならば、マッチ度がその図形マッチ閾値を超えていた参照地図図形306と基準地図図形296とが互いにマッチすると判断される。同様にして、基準地図図形294と参照地図図形304とが互いにマッチすると判断される。しかし、参照地図図形308については、これにマッチする基準地図図形は無いということになる。
再び図14を参照して、その後、ステップ282で、上述したマッチングの結果が妥当であったか否かが検査される。この検査では、全ての基準地図図形と全ての参照地図図形とが、重複することなしに1対1でマッチしたかどうかがチェックされ、その結果、そうであったならばマッチングの結果は妥当であり、そうでなかったならば(例えば、或る地図図形にマッチする相手図形が無かったり、或いは、複数の地図図形が同じ相手図形にマッチしているなど)、マッチングの結果は妥当でないと判断される。この検査では、上述したステップ278の方陣マッピングの結果、つまり図18B及び図19Bに例示した地図図形毎の対応升目数値を示したリスト307,310と、方陣300を利用して、次のようにて行われる。すなわち、マッピングの結果、マッチする相手図形が無かった地図図形に対応する升目の数値は、上記リストから削除される。また、同じ相手図形にマッチした複数の地図図形については、その複数の地図図形の中から、マッチ度が最も高い一つの地図図形が代表図形として選ばれ、他の地図図形に対応する升目の数値は、代表図形に対応する升目の数値のいずれかと同じ値に変更される。このようにして、各地図図形に対応する升目の数値がマッチング結果に応じて削除又は変更された後、方陣300上の升目に、その削除又は変更された数値が当てはめ直され、そして、その方陣300の各行と各列の数値の合計が計算される。その結果、数値の合計が上記所定値とは異なる値になった行又は列が出てきた場合、マッチング結果は妥当でないと判断され、いずれの行も列も数値の合計が上記所定値であった場合には、マッチング結果は妥当であると判断される。さらに、マッチング結果は妥当でないと判断された場合、上記所定値とは異なる値になった行又は列に存在する升目に対応した地図図形についてのマッチング結果に問題があると判断される。
例えば、図20A〜図20Cに示した例の場合、基準領域290に関しては、上述したような升目数値の削除や変更は生じない。しかし、参照領域302に関しては、一つの参照地図図形308について、マッチした相手図形が無いために、図21Aに示すような元の内容であった升目数値リスト310は、そこから参照地図図形308に対応する升目の数値が削除されて、図21Bに示すような内容の升目数値リスト312に変更される。そして、変更後の升目数値リスト312上の升目数値が方陣300の升目に当てはめ直され、その結果、図21Aに示すような元の方陣300が、図21Bに示すような数値が一つ欠損した方陣314に変更される。そして、変更後の方陣の各行と各列の数値合計が計算され、その結果、合計値が所定値「15」に一致しない行と列が出てくるので、マッチング結果は妥当でないと判断される。さらに、妥当でない原因は、問題の行と列に位置する升目に対応付けられている地図図形308にあると判断される。このような方法により、マッチング結果の妥当性を簡単に検査することができる。
以上の検査結果で、マッチング結果が妥当でないという判断結果が出た場合には、ユーザによりマニュアルでマッチング結果を必要に応じて修正するなり、そのまま承認するなどして、マッチング結果を確定させることができる。また、マッチング結果が妥当であるという判断結果が出た場合には、そのマッチング結果をそのまま確定させることができる。
再び図14を参照して、マッチング結果が確定した後、ステップ284で、互いにマッチした地図図形の組のそれぞれについて、統一された地図図形が生成される。ここでは、例えば、確定したマッチング結果において、マッチした基準地図図形と参照地図図形のうちの予め定めた一方(例えば、基準地図図形)を統一地図図形として選ぶ、或いは、マッチした基準地図図形と参照地図図形を組み合わせて統一地図図形を合成するなどの方法で、統一地図図形を得ることができる。
以上のようにして、統合対象の複数の地図の重ね合わされる領域の地図図形が統一される。重ね合わされる領域の統一地図図形と、それ以外の領域の元の地図の地図図形とが、統合地図の地図図形として、地図データベース112に登録される。そして、地図データベース112に登録された統合地図の地図図形と、地図記号データベース114に登録された統合地図の地図記号とを合わせることで、統合地図が完成する。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
本発明の一実施形態にかかる地図統合装置の全体構成を示すブロック線図。 電子地図作成部102の動作を示すフローチャート。 線形変換/地図記号抽出部104の動作を示すフローチャート。 図3のステップ156〜159の動作を具体的に例示する説明図。 地図記号管理部106の辞書作成及び地図記号選定の動作を示すフローチャート。 地図記号辞書115の構造の具体例を示すデータ構造図。 地図記号管理部106の地図記号カスタマイズの動作を示すフローチャート。 地図連結部108の地図記号の統一処理の動作を示すフローチャート。 図8のステップ220の領域選択の具体例を示す説明図。 図8のステップ221の物理的近傍判断の具体例を示す説明図。 図8のステップ223の論理的近傍判断の具体例を示す説明図。 図8のステップ225の地図記号統一の具体例を示す説明図。 統一された地図記号のリストの例を示すデータ構造図。 地図連結部108の地図図形の統一処理の動作を示すフローチャート。 図14のステップ272の地図図形変換の具体例を示す説明図。 3×3サイズの方陣の例を示す説明図。 5×5サイズの方陣の例を示す説明図。 図14のステップ278の方陣マッピングの具体例を示す説明図。 図14のステップ278の方陣マッピングの具体例を示す説明図。 図14のステップ280の地図図形マッチングの具体例を示す説明図。 図14のステップ282のマッチング結果検査の具体例を示す説明図。
符号の説明
102 電子地図作成部
104 線形変換/記号抽出部
106 地図記号管理部
108 地図連結部
112 地図データベース
114 地図記号データベース
115 地図記号辞書
116 絵柄辞書
118 階層分類辞書
162,164,166,190 地図記号
234 基準領域
236 参照領域
240,242,244 基準地図記号
246,248 参照地図記号
192 記号名称(地物分類)
194 絵柄
196 記号名称(地物分類)の階層的概念関係のリンク
291,292 地図図形
300,309 方陣
290 基準領域
302 参照領域
294,296 基準地図図形
304,306,308 参照地図図形

Claims (11)

  1. 複数の電子地図を統合するための装置において、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図図形を入力し、前記地図図形の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図図形の組を検出し、検出された前記物理的にマッチする地図図形の組をそれぞれ統一地図図形に統一する地図図形統一手段と、
    種々の地図記号の記号名称が表す概念の階層的論理関係を定義した階層分類辞書と、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図記号を入力し、前記地図記号の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図記号の組を検出し、前記地図記号の記号名称と前記階層分類辞書に定義された前記記号名称の階層的論理関係とに基づいて、前記複数の電子地図間で論理的にマッチする地図記号の組を検出し、検出された前記物理的及び論理的の双方でマッチする地図記号の組をそれぞれ統一地図記号に統一する地図記号統一手段と
    を備えた地図統合装置。
  2. 請求項1記載の地図統合装置において、
    前記地図図形統一手段は、数値行列を有し又は生成し、前記数値行列を前記重ね合わされるべき領域にオーバレイし、オーバレイされた前記数値行列の中から、前記領域内の各地図図形に重なる数値を検出し、前記数値行列内の前記各地図図形に重なる数値を、前記各地図図形にマッチする相手側の地図図形が検出されたか否かに応じて変更し、前記変更された数値をもつ前記数値行列に基づいて、前記マッチする地図図形の組の検出結果の妥当性を検査する地図統合装置。
  3. 請求項2記載の地図統合装置において、
    前記数値行列は、元来、各行及び各列の数値の合計が同一の所定値となっており、
    前記地図図形統一手段は、前記妥当性を検査するために、前記変更された数値をもつ前記数値行列の各行及び各列の数値の合計が前記所定値と一致するか否かを判断する地図統合装置。
  4. 請求項1記載の地図統合装置において、
    前記地図記号統一手段は、前記物理的にマッチする地図記号の組を検出するために、前記地図記号の地図座標に基づいて前記複数の電子地図の地図記号間の物理距離を求め、前記物理距離と所定の物理マッチ閾値とを比較する地図統合装置。
  5. 請求項1記載の地図統合装置において、
    前記地図記号統一手段は、前記論理的にマッチする地図記号の組を検出するために、前記階層分類辞書に定義された前記記号名称の階層的論理関係に基づいて、前記複数の電子地図の地図記号の記号名称間の論理距離を求め、前記論理距離と所定の論理マッチ閾値とを比較する地図統合装置。
  6. 複数の電子地図を統合するための装置において、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図図形を入力し、前記地図図形の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図図形の組を検出し、検出された前記物理的にマッチする地図図形の組をそれぞれ統一地図図形に統一する地図図形統一手段と、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図記号を入力し、前記地図記号の地図座標と記号名称とに基づいて、前記複数の電子地図間で物理的及び論理的にマッチする地図記号の組を検出し、検出された前記物理的及び論理的の双方でマッチする地図記号の組をそれぞれ統一地図記号に統一する地図記号統一手段と
    を備え、
    前記地図図形統一手段は、数値行列を有し又は生成し、前記数値行列を前記重ね合わされるべき領域にオーバレイし、オーバレイされた前記数値行列の中から、前記領域内の各地図図形に重なる数値を検出し、前記数値行列内の前記各地図図形に重なる数値を、前記各地図図形にマッチする相手側の地図図形が検出されたか否かに応じて変更し、前記変更された数値をもつ前記数値行列に基づいて、前記マッチする地図図形の組の検出結果の妥当性を検査する地図統合装置。
  7. 請求項6記載の地図統合装置において、
    前記数値行列は、元来、各行及び各列の数値の合計が同一の所定値となっており、
    前記地図図形統一手段は、前記妥当性を検査するために、前記変更された数値をもつ前記数値行列の各行及び各列の数値の合計が前記所定値と一致するか否かを判断する地図統合装置。
  8. 複数の電子地図を統合するための方法において、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図図形の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図図形の組を検出するステップと、
    検出された前記物理的にマッチする地図図形の組をそれぞれ統一地図図形に統一するステップと、
    種々の地図記号の記号名称が表す概念の階層的論理関係を定義した階層分類辞書を参照するステップと、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図記号の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図記号の組を検出するステップと、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図記号の記号名称と前記階層分類辞書に定義された前記記号名称の階層的論理関係とに基づいて、前記複数の電子地図間で論理的にマッチする地図記号の組を検出するステップと、
    検出された前記物理的及び論理的の双方でマッチする地図記号の組をそれぞれ統一地図記号に統一するステップと
    を有する地図統合方法。
  9. 複数の電子地図を統合するための方法において、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図図形の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図図形の組を検出するステップと、
    検出された前記物理的にマッチする地図図形の組をそれぞれ統一地図図形に統一するステップと、
    数値行列を得るステップと、
    前記数値行列を前記重ね合わされるべき領域にオーバレイし、オーバレイされた前記数値行列の中から、前記領域内の各地図図形に重なる数値を検出するステップと、
    前記数値行列内の前記各地図図形に重なる数値を、前記各地図図形にマッチする相手側の地図図形が検出されたか否かに応じて変更し、前記変更された数値をもつ前記数値行列に基づいて、前記マッチする地図図形の組の検出結果の妥当性を検査するステップと、
    前記複数の電子地図の重ね合わされるべき領域に含まれる地図記号の地図座標と記号名称とに基づいて、前記複数の電子地図間で物理的及び論理的にマッチする地図記号の組を検出するステップと、
    検出された前記物理的及び論理的の双方でマッチする地図記号の組をそれぞれ統一地図記号に統一するステップと
    を有する地図統合方法。
  10. 複数の電子地図間で地図記号を統一するための装置において、
    種々の地図記号の記号名称が表す概念の階層的論理関係を定義した階層分類辞書と、
    前記複数の電子地図に含まれる地図記号を入力し、前記地図記号の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図記号の組を検出し、前記地図記号の記号名称と前記階層分類辞書に定義された前記記号名称の階層的論理関係とに基づいて、前記複数の電子地図間で論理的にマッチする地図記号の組を検出し、検出された前記物理的及び論理的の双方でマッチする地図記号の組をそれぞれ統一地図記号に統一する地図記号統一手段と
    を備えた地図記号統一装置。
  11. 複数の電子地図間で地図図形を統一するための装置において、
    前記複数の電子地図に含まれる地図図形を入力し、前記地図図形の地図座標に基づいて、前記複数の電子地図間で物理的にマッチする地図図形の組を検出し、検出された前記物理的にマッチする地図図形の組をそれぞれ統一地図図形に統一する地図図形統一手段と、
    数値行列を有し又は生成し、前記数値行列を前記重ね合わされるべき領域にオーバレイし、オーバレイされた前記数値行列の中から、前記領域内の各地図図形に重なる数値を検出し、前記数値行列内の前記各地図図形に重なる数値を、前記各地図図形にマッチする相手側の地図図形が検出されたか否かに応じて変更し、前記変更された数値をもつ前記数値行列に基づいて、前記マッチする地図図形の組の検出結果の妥当性を検査する検査手段と
    を備えた地図図形統一装置。
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