JP7360361B2 - 直流電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電動機の構造に係り、特に、ブラシ付きDCモータのブラシホルダ構造に適用して有効な技術に関する。
自動車分野においては、エンジン制御技術の高度化が進み、マイコン制御によりブラシ付きDCモータを駆動してスロットル開度を制御することで空気流入量を調整する電子制御スロットルシステムが広く普及している。
ブラシ付きDCモータは、ブラシを介して整流子に通電することで、磁石が発生する磁界との作用によってトルクを発生する。整流子を用いたブラシ付きDCモータでは整流切り替え時に電磁ノイズを発生させている。この電磁ノイズを低減させるために様々な手法が用いられている。
一方、システムに搭載されるアクチュエータにおいては、小型化の要求が高まり、ノイズ低減部品に与えられるスペースに限りがあるため、ノイズ低減部品の設計や仕様の自由度を低下させている。
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には「直流モータのケース内に配置されたバネを給電端子とブラシとの間の直接通電回路として用い、省スペースにインダクタを構成した直流モータ」が開示されている。
特開2019-187204号公報
ブラシ付きDCモータでは、整流切り替え時に発生する電磁ノイズが、ラジオノイズ等に伝播することで製品性を低下させる。このため、ブラシ近傍にチョークコイルやコンデンサといったノイズ低減部品を搭載し電磁ノイズの低減を図っている。
上記特許文献1では、バネをインダクタとして構成することによって、電磁ノイズを低減する手法を用いている。このため、バネ部で得られるインダクタンスは、ブラシ接触圧力で設計されるバネの形状に依存してしまい、自由に素子容量を設定することができずに所望のノイズ低減効果を得られないことがある。
そこで、本発明の目的は、ブラシホルダ構造を有する直流電動機において、整流切り替え時に発生する電磁ノイズを低減するノイズ低減部品を搭載しつつ、ノイズ低減部品の設計及び仕様の自由度が高く、かつ、直流電動機の小型化が可能なブラシホルダ構造及びそれを用いた直流電動機を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、筐体の内面に装着された磁石と、前記磁石の内側に配置され、軸受を介して前記筐体に回転自在に支持されたシャフトと、前記シャフトに固定され、前記磁石の内面と任意の間隙を保持して配置されたコイルおよび整流子と、電源の電磁ノイズを除去するチョークコイルおよび前記チョークコイルを介して前記整流子に給電する少なくとも一対のブラシとバネを有するブラシホルダと、整流切り替え時に発生する電磁ノイズを低減するノイズ低減部品と、を備え、前記ノイズ低減部品は、前記ブラシホルダの前記ブラシおよび前記バネの配置面とは反対側の面に配置されるとともに、前記ブラシホルダに設けられた貫通穴を貫通して前記バネと電気的に接続して配置され、前記ノイズ低減部品の前記バネ側の端部は、前記バネの弾性により前記ブラシホルダに着脱可能に装着されていることを特徴とする。
本発明によれば、ブラシホルダ構造を有する直流電動機において、整流切り替え時に発生する電磁ノイズを低減するノイズ低減部品を搭載しつつ、ノイズ低減部品の設計及び仕様の自由度が高く、かつ、直流電動機の小型化が可能なブラシホルダ構造及びそれを用いた直流電動機を実現することができる。
これにより、ブラシ付きDCモータの小型化と電磁ノイズ低減を両立できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る直流電動機の構造を示す縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る直流電動機の分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブラシホルダの構造を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブラシホルダの構造を示す背面斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブラシホルダの構造を示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブラシホルダの構造を示す部分断面図である。(図4のC-C’断面図)
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
図1から図6を参照して、本発明の実施例1に係る直流電動機について説明する。なお、以下では代表的な直流電動機として、エンジンへの空気流入量を調整する電子制御スロットルに搭載されるブラシ付きDCモータを例に説明する。
図1は、本実施例の直流電動機1の構造を示す断面図であり、シャフト5に沿って切断した縦断面を示す。図2は、本実施例の直流電動機1の分解斜視図であり、図1の直流電動機1をA-B方向に分解した状態を示している。
直流電動機1は、外部給電端子26a,26b間への給電によって回転トルクを発生し、取付けられたモータギア19を介してシステム側へ回転トルクを伝える。直流電動機1は、ケース及び磁気回路を形成する役割を有するヨーク2を有する。
ヨーク2の内面にはマグネットステー27及び複数個のマグネット3が装着され、永久磁石として磁束を発生する。更にマグネット3の内側には、マグネット3の内面と任意の隙間を保持してアーマチャ4が収容されている。アーマチャ4の径方向中央部にはモータギア19に接続されたシャフト5が備えられている。
シャフト5は、軸受6及び軸受20を介してフロントブラケット7及びリアブラケット21に回転自在に支持され、アーマチャコア8とマグネット3で発生するトルクを出力する。フロントブラケット7及びリアブラケット21はヨーク2に取り付けられる。
アーマチャ4は、図2に示すように、シャフト5にアーマチャコア8及び整流子9が固定されて構成される。アーマチャコア8の周方向外周部に形成された複数のスロット10間に跨ってアーマチャコイル11が巻回される。整流子9は樹脂等の絶縁材により筒状に形成され、整流子9の外周部には導電材からなる複数の整流子片12を備える。整流子片12には複数のスロット10間に巻回されたアーマチャコイル11が電気的に接合される。
図3は、本実施例のブラシホルダ13の構造を示す斜視図であり、図4は、図3のブラシホルダ13を裏面側から見た背面斜視図である。
ブラシホルダ13は、図1及び図2に示すように、ヨーク2の内部に収容されている。ブラシホルダ13は、樹脂材などの絶縁性材料によって成型され、整流子片12に給電する少なくとも一対のブラシ14とバネ15が配置される。ブラシホルダ13にはさらに、電磁ノイズを除去するためのチョークコイル16が配置される。
ブラシ14は、チョークコイル16を介して直流電動機1の外部給電端子26と電気的に接続される。ブラシ14は、ブラシホルダ13に配置されたブラシボックス28(図2参照)に保持され、バネ15の弾性によって整流子片12の外周面に摺接され、整流子片12を介してアーマチャコイル11に給電する。これにより、外部給電端子26とアーマチャコイル11が電気的に接続され、回路を形成する。
ブラシホルダ13には、バネ15を搭載し位置を規制するバネホルダ29が配置される。バネホルダ29に配置されたバネ15は通電可能な材料で構成され、弾性力によってブラシと14と接続端子31とを電気的に接続させる。接続端子31は、溶接等によってノイズ低減素子32に電気的に接続される。ノイズ低減素子32は、高抵抗素子やコンデンサなどから低減すべきノイズ帯によって選択される。
ノイズ低減素子32の配線端部33は、金属で形成されたヨーク2またはフロントブラケット7に電気的に接続され、ヨーク2またはフロントブラケット7を介して、もう一組のノイズ低減素子32との閉回路を形成する。
図5は、本実施例のブラシホルダ13の構造を示す分解斜視図である。図6は、図4のC-C’断面図であり、接続端子31近傍からシャフト5の軸と平行に切断した断面を示している。
本実施例ではノイズ低減素子32は、ブラシホルダ13へ設置する前に接続端子31と溶接などによって電気的に接続される。設置前に電気的に接続することで、ブラシホルダ13に溶接などに必要な電極用スペースが不要となり、配置場所が限定される小型のブラシホルダ13への搭載構造に適する。これにより、省スペースでノイズ低減素子32の容量を最大限に得ることが可能となる。
ノイズ低減素子32は、接続端子31と電気的に接続された後、ブラシホルダ13に設置された貫通穴30に接続端子31の端部が挿入される。貫通穴30はバネ端部34の弾性力を保持する樹脂壁35の構造を兼ねている。挿入された接続端子31は、バネ端部34とバネ弾性力で接触することで電気的に接続される。
配線端部33は、ヨーク2またはフロントブラケット7に接続することでノイズ低減用の閉回路を得る。配線端部33の接続方法は、ヨーク2とフロントブラケット7を加締めなどによって機械的に固定する際に、同時に配線端部33を加締める方式やブラシホルダ13とフロントブラケット7間に挟み込むことで接触させると良い。
また、本実施例においては、接続端子31を用いてバネ15と接続しているが、例えばノイズ低減素子32の配線を直角に曲げて貫通穴30を通すことで、直にバネ15とノイズ低減部品とを電気的に接続してもよい。
以上説明したように、本実施例の直流電動機1は、筐体となるヨーク2の内面に装着された磁石(マグネットステー27及び複数個のマグネット3)と、磁石(マグネットステー27及び複数個のマグネット3)の内側に配置され、軸受6,20を介して筐体となるフロントブラケット7及びリアブラケット21に回転自在に支持されたシャフト5と、シャフト5に固定され、磁石(マグネットステー27及び複数個のマグネット3)の内面と任意の間隙を保持して配置されたコイル(アーマチャコイル11)および整流子9と、電源の電磁ノイズを除去するチョークコイル16およびチョークコイル16を介して整流子9に給電する少なくとも一対のブラシ14とバネ15を有するブラシホルダ13と、整流切り替え時に発生する電磁ノイズを低減するノイズ低減部品(接続端子31,ノイズ低減素子32,配線端部33)を備えており、ノイズ低減部品は、ブラシホルダ13のブラシ14およびバネ15の配置面とは反対側の面に配置されるとともに、ブラシホルダ13に設けられた貫通穴30を貫通してバネ15と電気的に接続して配置され、ノイズ低減部品のバネ側の端部(接続端子31の端部)は、バネ15の弾性によりブラシホルダ13に着脱可能に装着されている。
また、ノイズ低減部品は、ノイズ低減素子32と、ノイズ低減素子32に接続される接続端子31を有しており、接続端子31が貫通穴30を貫通して配置され、接続端子31の端部がバネ15の弾性によりブラシホルダ13に着脱可能に装着されている。
本実施例では、ブラシホルダ13におけるノイズ低減素子32の配置面(図4に示す背面側)と電機子回路の配置面(図3に示す表面側)とを分岐しているため、ノイズ低減素子32の脱着による仕様分けが容易である。例えば、システムによってはノイズ低減素子32が無くとも良い状況がある。その場合、部品削減による低コスト化を図るのが好ましいが、ノイズ低減素子32を電機子回路に用いている場合には容易に削減することが出来ない。本実施例では、ノイズ低減素子32を着脱可能な構造とすることで、ブラシホルダ13の形状をシステム仕様毎に変える必要がない。
以上説明したように、バネ15を用いてノイズ低減用回路を電機子回路から分岐させてノイズ低減素子32を配置することで、特に小型なブラシ付きモータにおいても素子容量の選択を容易とし、低ノイズ化による品質向上を図ることができる。また、ノイズ低減素子32を配置しない場合でもブラシホルダ13への挿入方式を採用することによって仕様分けができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…直流電動機、2…ヨーク、3…マグネット、4…アーマチャ、5…シャフト、6…軸受、7…フロントブラケット、8…アーマチャコア、9…整流子、10…スロット、11…アーマチャコイル、12…整流子片、13…ブラシホルダ、14…ブラシ、15…バネ、16…チョークコイル、19…モータギア、20…軸受、21…リアブラケット、26,26a,26b…外部給電端子、27…マグネットステー、28…ブラシボックス、29…バネホルダ、30…貫通穴、31…接続端子、32…ノイズ低減素子、33…配線端部、34…バネ端部、35…樹脂壁。

Claims (5)

  1. 筐体の内面に装着された磁石と、
    前記磁石の内側に配置され、軸受を介して前記筐体に回転自在に支持されたシャフトと、
    前記シャフトに固定され、前記磁石の内面と任意の間隙を保持して配置されたコイルおよび整流子と、
    電源の電磁ノイズを除去するチョークコイルおよび前記チョークコイルを介して前記整流子に給電する少なくとも一対のブラシとバネを有するブラシホルダと、
    整流切り替え時に発生する電磁ノイズを低減するノイズ低減部品と、を備え、
    前記ノイズ低減部品は、前記ブラシホルダの前記ブラシおよび前記バネの配置面とは反対側の面に配置されるとともに、前記ブラシホルダに設けられた貫通穴を貫通して前記バネと電気的に接続して配置され、
    前記ノイズ低減部品の前記バネ側の端部は、前記バネの弾性により前記ブラシホルダに着脱可能に装着されていることを特徴とする直流電動機。
  2. 請求項1に記載の直流電動機であって、
    前記ノイズ低減部品は、ノイズ低減素子と、前記ノイズ低減素子に接続される接続端子を有し、
    前記接続端子が前記貫通穴を貫通して配置され、前記接続端子の端部が前記バネの弾性により前記ブラシホルダに着脱可能に装着されていることを特徴とする直流電動機。
  3. 請求項2に記載の直流電動機であって、
    前記ノイズ低減素子は、整流切り替え時に発生する電磁ノイズのノイズ帯に応じて選択される高抵抗素子またはコンデンサであることを特徴とする直流電動機。
  4. 請求項2または3に記載の直流電動機であって、
    前記ノイズ低減部品は、前記ブラシホルダに配置される前に、前記ノイズ低減素子を溶接により前記接続端子に接続することで構成されることを特徴とする直流電動機。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の直流電動機であって、
    エンジンへの空気流入量を調整する電子制御スロットルに搭載されるブラシ付きDCモータであることを特徴とする直流電動機。
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