<概念を示す形態>
図1は、本発明の概念を示す形態における光測定装置100の構成を模式的に示す図である。
図1に示されるように、光測定装置100は、第1のレンズ110と、位相調整部120と、第2のレンズ130と、検出器140とを備えている。なお、第1のレンズ110および第2のレンズ130は、後述するように、省略することもできる。すなわち、被測定物200からの物体光のビーム径が位相調整部120の光軸方向断面の面積と比較して、位相調整部として機能できる程度に十分に大きい場合には、第1のレンズ110および第2のレンズ130は、必須の構成要素ではない。
図1に示されるように、光測定装置100の測定対象物として、被測定物200が、第1のレンズ110の前方に、配置されている。被測定物200には、たとえば液体や生体などが挙げられるが、光が透過や反射する被測定物であればこの限りでない。光源の光Eが被測定物200を透過または反射すると、物体光E1が生じる。すなわち、物体光E1とは、光源の光Eが被測定物200を透過または反射した際に得られる光である。
図1に示されるように、第1のレンズ110、位相調整部120、第2のレンズ130および検出器140が、物体光E1の光軸上に一直線状に設けられている。例えば、透過の場合に被測定物200が光源の光Eに対して、垂直に配置されている場合は被測定物200内での屈折が生じないため、光源の光Eと物体光E1の光軸が一致する場合もある。
なお、第1のレンズ110および第2のレンズ130の光軸は、光源の物体光E1の光軸と重なるように設けられている。反射の場合においては、光源の光Eを被測定物200に対して照射し、被測定物200からの反射光である物体光E1を第1のレンズ110に対して垂直に入射することで、以降の位相調整部120、第2のレンズ130および検出器140を物体光E1の光軸上に一直線状に設けることができる。また、光源の光Eには、たとえば、0.78μmから2.5μm程度の近赤外光が用いられる。なお、光源の光Eには、これ以外にも紫外光(0.01μm~0.38μm程度)や可視光(0.38μm~0.78μm程度)、中赤外光(2.5μm~25μm程度)、遠赤外光(25μm~100μm程度)を用いても良い。
図1に示されるように、第1のレンズ110は、被測定物200および位相調整部120の間に設けられている。また、第1のレンズ110は、物体光E1の光軸に沿って設けられている。第1のレンズ110には、光源の光Eが被測定物200を透過または反射して得られる光である物体光E1が入射する。第1のレンズ110は、入射される物体光E1を平行光束へ変換する。第1のレンズ110は、ガラスまたは樹脂部材により形成される。
図1に示されるように、位相調整部120は、第1のレンズ110および第2のレンズ130の間に設けられている。また、位相調整部120は、物体光E1の光軸上に設けられている。位相調整部120には、第1のレンズ110により平行光束に変換された物体光E1が、入射する。位相調整部120は、第1のレンズ110により入射される物体光E1の一部の位相を調整する。位相調整部120は、光源の光Eが被測定物200を透過または反射して得られる光である物体光E1に基づいた信号光E(S)と、信号光E(S)との干渉光E2(後述)を得るための参照光E(R)と、信号光E(S)と参照光E(R)の間の位相差を調整する。
ここでは、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より上側(紙面上側)の物体光E1と、当該位相調整部120の中心より下側(紙面下側)の物体光E1とに異なる変調を与えることで、両者の間に位相差を設ける。例えば、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より上側(紙面上側)の物体光E1と、当該位相調整部120の中心より下側(紙面下側)の物体光E1の両者を変調して位相差を与えても良い。または、当該位相調整部120の中心より上側(紙面上側)の物体光E1のみを変調することで当該位相調整部120の中心より上側(紙面上側)の位相を調整し、当該位相調整部120の中心より下側(紙面下側)の物体光E1の位相を調整しなくても良い。
ただし、これに限定されず、位相調整部120は、物体光E1の光路の中心より下側(紙面下側)の物体光E1の位相を調整し、物体光E1の光路の中心より上側(紙面上側)の物体光E1の位相を調整しないものとしてもよい。その他、光路の中心部の物体光E1の位相を調整し、外周部の物体光E1の位相を調整しないものとしてもよいし、反対に光路の中心部の物体光E1の位相を調整しないで、外周部の物体光E1の位相を調整しても良い。
位相調整部120は、例えば、当該位相調整部120の中心より上側(紙面上側)もしくは下側(紙面下側)の片側の物体光E1のみを変調した場合においては、当該位相調整部120により位相が調整された後の物体光E1を参照光E(R)とし、当該位相調整部120により位相が調整されない物体光E1を信号光E(S)として、出射する。
このとき、位相調整部120は、物体光E1の位相調整後の参照光E(R)の光量と、位相が調整されない信号光E(S)の光量とが同等になるように、調整して、出射する。
位相調整部120は、たとえば、空間光変調器により構成される。空間光変調器(SLM :Spatial Light Modulator)は、光の位相を2次元的に制御することができる。空間光変調器は、内部に液晶部を備えている。空間光変調器では、内部に設けられた液晶部の屈折率を制御することで、入射する光の一部の光路長を変更する。この結果、空間光変調器に入力される光の位相が、調整される。このとき、空間光変調器は、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)の光量と、位相が調整されない信号光E(S)の光量とが同等になるように、当該空間光変調器を制御する、または、制御しないチャネルを微調整する。また、併せて被測定物200、第1のレンズ110、第2のレンズ130、検出器140の位置も調整する。ここでは、空間光変調器部は、制御するチャネルで、位相シフトを与える。
空間光変調器が透過型である場合、その特長として、光の位相を支配的に変調することができる点、空間ごとに制御できる点、高い光利用効率を得られる点、小型にできる点、簡単なコンピュータで制御することができる点などが、挙げられる。なお、空間光変調器は、透過型に限らず、反射型であってもよい。
また、空間光変調器の液晶部(不図示)の代わりに微小光学素子を用いても良い。微小光学素子には、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)や、シリコンデバイス、化合物デバイスが用いられる。
図1に示されるように、第2のレンズ130は、位相調整部120および検出器140の間に設けられている。第2のレンズ130は、参照光E(R)および信号光E(S)の光路上に設けられている。第2のレンズ130は、位相調整部120から出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とを集光する。
これにより、位相調整部120により出射される参照光E(R)および信号光E(S)の干渉した光(干渉光E2)を、検出器140で検出することができる。具体的には、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。この干渉光E2は、検出器140に入射する。第3のレンズ130は、ガラスまたは樹脂部材により形成される。
図1に示されるように、検出器140は、第2のレンズ130と向かい合うように、設けられている。検出器140は、物体光E1の光軸上に設けられている。検出器140には、第2のレンズ130により集光された干渉光E2が、入射する。より具体的には、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)の干渉光E2が、検出器140に入射する。検出器140は、参照光E(R)と、信号光E(S)との干渉光E2を検出し、その検出した干渉光E2に基づいて被測定物200の屈折率や反射光強度分布を導出する。
より具体的には、検出器140では、まず、干渉光E2の光強度の変化から被測定物200の屈折率を導出する。検出器140は、たとえば、受光素子により構成される。なお、位相調整部120で調整する位相変化量を操作して検出器140で得られた干渉光から、被測定物200の吸光度を算出してもよい。
なお、一般に光強度は、光線軸の中心をピーク強度として分布している。このため、通常、検出器140は、光軸に対応する光強度の変化から被測定物200の屈折率を導出する。しかし、これに限定されず、検出器140は、光軸以外の分布(たとえば、裾の部分)に対応する光強度の変化から被測定物200の屈折率を導出してもよい。
次に、光測定装置100の動作について説明する。図2は、光測定装置100の動作を説明するための図である。
図2の矢印Y1~4に示されるように、第1のレンズ110、位相調整部120、第2のレンズ130および検出器140の位置を調整する。また、位相調整部120の制御するチャネルを調節することで光の分岐量を調整する。このように、光軸の調整と光の分岐量を互いに独立に制御することにより、2光線(位相調整部130により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S))の位置調整と光量の均一化を容易に行える。
一般に、マイケルソン型やマッハ・ツェンダ型と比較して、光軸の調整や、各アームに相当する光量を均一にすることに工夫が必要な准共通光路型の干渉構造においては、位置調整と光量の均一化が重要な要素である。これにより、検出器140で検出される干渉光E2による干渉縞の明暗度の調整を、よりはっきりさせるように改善することができる。
まず、光源(不図示)の光Eを被測定物200に照射する。被測定物200に入射した光源の光は、被測定物200に対して透過または反射する。
そして、光源の光Eが被測定物200を透過または反射して得られる物体光E1が、第1のレンズ110に入射する。
第1のレンズ110は、入射される物体光E1を平行光束へ変換する。第1のレンズ110により平行光束にされた物体光E1は、位相調整部120に入射する。
位相調整部120は、たとえば、当該位相調整部120の中心より上側(紙面上側)の物体光E1の位相を調整する。一方、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より下側(紙面下側)の物体光E1の位相を調整しない。位相調整部120は、当該位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とを、第2のレンズ130へ向けて出射する。
なお、たとえば、位相調整部120の光軸方向断面の面積が被測定物200からの物体光E1のビーム径と比較して同程度に小さい場合、第1のレンズ110を省略することができる。すなわち、位相調整部120に入射する物体光E1は平行光束であるとみなせるような場合、物体光E1を平行光束に変換することなく、物体光E1を位相調整部120内に入射させることができる。被測定物200が位相調整部120より遠方に配置されている場合も、同様の理由から、第1のレンズ110を省略することができる。
次に、第2のレンズ130は、位相調整部120から出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とを集光する。これにより、位相調整部120により出射される参照光E(R)および信号光E(S)が干渉する。具体的には、参照光E(R)と、信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。干渉光E2は、検出器140に入射して、検出器140内のフォトダイオード等で検出される。
検出器140は、参照光E(R)と、信号光E(S)の干渉光E2を検出し、その検出された干渉光E2に基づいて、被測定物200の屈折率を導出する。
以上、光測定装置100の動作について説明した。
以上の通り、光測定装置100は、位相調整部120と、検出器140とを備えている。位相調整部120は、光源の光Eが被測定物200を透過または反射して得られる光である物体光E1に基づいた信号光E(S)と、信号光E(S)との干渉光E2を得るための参照光E(R)の間の位相差を調整する。検出器140は、位相調整部120により出力される信号光E(S)および参照光E(R)の干渉光E2を検出して、その干渉光E2に基づいて、被測定物200の屈折率を導出する。ここでは、検出器140は、位相調整後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)との干渉光E2に基づいて、被測定物200の屈折率を導出する。そして、光源の光または物体光の光軸は、一直線状に設けられ、位相調整部120および検出器140は、光源の光Eまたは物体光E1の光軸上に設けられている。
このように、光測定装置100では、光源の光または物体光の光軸は、一直線状に設けられ、位相調整部120および検出器140は、光源の光Eまたは物体光E1の光軸上に設けられている。この位相調整部120は、たとえば、空間光変調器の屈折率を制御することで、参照光E(R)と信号光E(S)の位相を調整する。このため、図8で示したOCTのように、参照光ミラーを移動させて光路長を調整する等の機械的な調整部品が必要なくなる。これにより、光測定装置100では、図8に示したOCTと比較してより簡単な構成で、物体光E1に基づいた信号光E(S)と、信号光E(S)と異なる位相の参照光E(R)とを得ることができる。したがって、光測定装置100によれば、簡素な構成で、被測定物200の屈折率を導出することができる。
また、光測定装置100では、図8で示したOCTのように、光を2分割するビームスプリッタやハーフミラーを必要としないので、各部材の配置の調整が簡単にできる。そのため、明暗度の高い干渉縞を得ることが容易になり、その結果として測定精度の向上につながる。
また、光測定装置100では、位相調整部120により出力される参照光E(R)および信号光E(S)の全てを、干渉光E2の生成に用いている。このため、図8に示されるOCTのように、参照光や反射光の一部を使用しないことはない。ゆえに、検出器140で検出される干渉光E2の光強度を、図8に示されたOCTのような構成と比較して大きくすることができる。また、位相調整部120のチャネル等を操作することで、参照光E(R)と信号光E(S)の光量の均一化を図ることができる。
また、光測定装置100では、図8で示したOCTのように、参照光ミラーを必要としないので、各部材の配置の調整を簡便に行うことができる。また、光測定装置100では、図8で示したOCTのように、ビームスプリッタやハーフミラーを必要しない。これにより、光測定装置100では、図8に示したOCTと比較して小さくすることができる。また、図8に示したOCTと比較して少ない部品点数で光測定装置100を構成できる。
また、光測定装置100において、位相調整部120は、物体光E1の位相を調整した光E(R)を参照光として、位相が調整されない光E(S)を信号光として、参照光E(R)および信号光E(S)の間の位相差を調整する。
このように、光測定装置100では、位相調整部120が、位相を調整した参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)の間の位相差を調整する。このため、前述した内容と同様に、簡素な構成で、被測定物200の屈折率を測定することができる。
また、光測定装置100において、位相調整部120は、空間光変調器により構成されている。空間光変調器は、液晶部を有し、液晶部の屈折率を部分的に変更することにより、入射する光の一部の光路長を変更する。これにより、空間光変調器に入力される光の一部の位相が、出力時に変更される。この結果、既存の製品である空間光変調器を用いて、光測定装置100を簡単に作成することができる。
光測定装置100において、液晶部は、微小光学素子により形成することもできる。これにより、位相調整部120に入射する光のうちで、液晶部を透過する光量を、より細かく正確に調整することができる。ゆえに、位相調整部120により出射される2光線(位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S))の光量を、容易に均一化することができる。したがって、検出器140で検出される干渉光E2による干渉縞の明暗度をより明瞭にすることができる。これにより、光測定装置100の測定精度を向上できる。
また、光測定装置100において、被測定物200および検出器140の間に、複数の位相調整部120や、光軸方向に沿って柱状に延在する位相調整部120を光源の光Eの光軸上に沿って直列に配列してもよい。これにより、参照光および信号光の間の位相差をより大きくとることができる。
また、本発明の第1の実施の形態における光計測装置100において、光源(不図示)および検出器140は、好ましくは可視域に対応している。ここで、波長は短いほど、位相変化量を大きくすることができることが知られている。したがって、光源(不図示)および検出器140に可視域の光を用いることで、より効率よく位相変化量を大きくすることができる。この結果、複数の位相調整部を直列に多段に配置することなく、大きな位相変化量を得ることができる。
<第1の実施の形態>
図3は、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100Aの構成を模式的に示す図である。なお、図3では、図1および図2で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1および図2に示した符号と同等の符号を付している。
図3に示されるように、光測定装置100Aは、第1のレンズ110と、位相調整部120Aと、第2のレンズ130と、検出器140Aとを備えている。なお、第1のレンズ110および第2のレンズ130は、後述するように、省略することもできる。すなわち、光源300からの光源光Eのビーム径が位相調整部120Aの光軸方向断面の面積と比較して、位相調整部として機能できる程度に十分に大きい場合には、第1のレンズ110および第2のレンズ130は必須の構成要素ではない。
図3に示されるように、光測定装置100Aの測定対象物として、被測定物200Aが第1のレンズ110および位相調整部120Aの間に配置されている。被測定物200Aには、たとえば液体や生体などが挙げられるが、光が透過や反射する被測定物であればこの限りでない。
ここで、図1と図3を対比する。図3では、被測定物200Aは、第1のレンズ110および位相調整部120Aの間に設けられている点で、図1と相違する。このとき、被測定物200Aは、位相調整部120Aの中心の下側(図3の紙面下側)の領域のみに対して、向かい合っている。同様に、被測定物200Aは、第1のレンズ110の光軸の下側(図3の紙面下側)の領域のみに対して、向かい合っている。
図3に示されるように、光源300は、第1のレンズ110に向かい合うように設けられている。光源300は、たとえば赤外光等の光を光源光Eとして出射する。
図3に示されるように、第1のレンズ110、位相調整部120A、第2のレンズ130および検出器140Aが、光源光Eの光軸に沿って、設けられている。光源の光Eの光軸は、一直線状に設けられている。
なお、光源の光Eには、前述と同様に、たとえば、0.78μmから2.5μm程度の近赤外光が用いられる。なお、光源の光Eには、これ以外にも紫外光(0.01μm~0.38μm程度)や可視光(0.38μm~0.78μm程度)、中赤外光(2.5μm~25μm程度)、遠赤外光(25μm~100μm程度)を用いても良い。
図3に示されるように、第1のレンズ110は、光源300および位相調整部120Aの間に設けられている。また、第1のレンズ110は、光源光Eの光軸上に設けられている。第1のレンズ110には、光源光Eが入射する。第1のレンズ110は、入射される光源光Eを平行光束へ変換する。第1のレンズ110は、ガラスまたは樹脂部材により形成される。
図3に示されるように、被測定物200Aは、第1のレンズ110の光軸の下側(図3の紙面下側)の領域および位相調整部120Aの中心の下側(図3の紙面下側)の領域間に設けられている。すなわち、被測定物200Aは、位相調整部120Aの中心の下側の領域のみに対して、向かい合っている。同様に、被測定物200Aは、第1のレンズ110の光軸の下側の領域のみに対して、向かい合っている。被測定物200Aには、光源光Eが入射する。光源光Eが被測定物200Aを透過して得られる光である物体光E1は、位相調整部120Aの中心の下側領域に入射する。ただし、後で、図4を用いて説明するように、第1のレンズ110からの光源光Eを取り出して被測定物200Aに照射して、その反射光を位相調整部120Aに入射する機構を備えれば、被測定物200Aの反射光を取り扱うこともできる。
図3に示されるように、位相調整部120Aは、第1のレンズ110および第2のレンズ130の間に設けられている。また、位相調整部120Aは、光源光Eおよび物体光E1の光軸上に設けられている。位相調整部120Aの上側の領域には、第1のレンズ110により平行光束に変換された光源光Eが、入射する。位相調整部120Aの下側の領域には、光源光Eが被測定物200Aを透過して得られる光である物体光E1が、入射する。位相調整部120Aは、物体光E1の位相を調整する。位相調整部120Aは、光源の光が被測定物200を透過または反射して得られる光である物体光E1に基づいた信号光E(S)と、信号光E(S)との干渉光E2(後述)を得るための参照光E(R)と、信号光と参照光の間の位相差を調整する。
ここでは、位相調整部120Aは、当該位相調整部120Aの中心より上側(図3の紙面上側)の領域の光源光Eと、当該位相調整部120Aの中心より下側(図3の紙面下側)の領域の物体光E1に異なる変調を与えることで、両者の間に位相差を設ける。具体的には、位相調整部120Aは、当該位相調整部120Aの中心より上側(図3の紙面上側)の領域で、入射する光源光Eの位相を調整し、当該位相調整部120Aの中心より下側(図3の紙面下側)の領域で、入射する物体光E1の位相を調整しないものとする。したがって、位相調整部120Aは、当該位相調整部120Aにより位相が調整された後の光源光Eを参照光E(R)として上側の領域から出力し、物体光E1を信号光E(S)として下側の領域から出力する。ただし、これに限定されない。被測定物200Aは物体光E1の光の中心より上側(図3の紙面上側)に配置してもよい。この場合、位相調整部120Aは、光源光Eの光路の中心より下側(図3の紙面下側)の光源光Eの位相を調整し、光源光Eの中心より上側(図3の紙面上側)の物体光E1の位相を調整しないものとしてもよい。
このとき、位相調整部120Aは、参照光E(R)の光量と信号光E(S)の光量とが同等になるように、調整して、出射する。
位相調整部120Aとして、たとえば、空間光変調器(SLM :Spatial Light Modulator)は、光の位相を2次元的に制御することができる。空間光変調器は、内部に液晶部を備えている。空間光変調器では、内部に設けられた液晶部の屈折率を制御することで、入射する光の一部の光路長を変更する。この結果、空間光変調器に入力される光の位相が、調整される。このとき、空間光変調器は、位相調整部120Aにより出力される参照光E(R)および信号光E(S)の光量が同等になるように、当該空間光変調器を制御する、または、制御しないチャネルを微調整する。また、併せて被測定物200A、第1のレンズ110、第2のレンズ130、検出器140Aの位置も調整する。ここでは、空間光変調器は、制御するチャネルで、位相シフトを与える。
空間光変調器が透過型である場合、その特長として、光の位相を支配的に変調することができる点、空間ごとに制御できる点、高い光利用効率を得られる点、小型にできる点、簡単なコンピュータで制御することができる点などが、挙げられる。
また、空間光変調器の液晶部(不図示)の代わりに微小光学素子を用いても良い。微小光学素子には、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)や、シリコンデバイス、化合物デバイスが用いられる。
図3に示されるように、第2のレンズ130は、位相調整部120Aおよび検出器140の間に設けられている。第2のレンズ130は、位相調整部120Aから出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。
これにより、位相調整部120により出力される参照光E(R)および信号光E(S)が干渉した光(干渉光E2)を、検出器140Aで検出することができる。具体的には、位相調整部120Aにより出力される参照光E(R)と信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。この干渉光E2は、検出器140Aに入射する。
図3に示されるように、検出器140Aは、第2のレンズ130と向かい合うように、設けられている。検出器140Aは、光源300の光Eの光軸上に設けられている。検出器140Aには、第2のレンズ130により結像された干渉光E2が、入射する。より具体的には、参照光E(R)と、信号光E(S)の干渉光E2が、検出器140Aに入射する。
検出器140Aは、位相調整部120Aにより出力される参照光E(R)と信号光E(S)の干渉光E2を検出し、その検出した干渉光E2に基づいて、被測定物200Aの光軸方向の光強度分布を取得する。検出器140Aは、たとえば、受光素子により構成される。
次に、光測定装置100Aの動作について説明する。
図2を用いて説明した内容と同様に、第1のレンズ110、位相調整部120A、第2のレンズ130および検出器140Aの位置を調整する。このように、光軸調整と光の分岐量を互いに独立に制御することにより、2光線(参照光E(R)および信号光E(S))の光量を容易に均一化することができる。したがって、検出器140Aで検出される干渉光E2による干渉縞の明暗度をより明瞭にすることができる。
まず、光源300の光が第1のレンズ110に入射する。第1のレンズ110は、入射される光源光Eを平行光束へ変換する。第1のレンズ110により平行光束にされた光源光Eのうちで上側は、位相調整部120Aの上側に入射する。ここで、第1のレンズ110により平行光束にされた光源光Eのうちで下側に、被測定物200Aを配置して光を被測定物200Aに入射する。
光源光Eが被測定物200Aを透過すると、物体光E1が生じる。この物体光E1は、位相調整部120Aの下側に入射する。
位相調整部120Aは、当該位相調整部120Aの上側(図3の紙面上側)に入射する光源光Eの位相を調整していく。一方、位相調整部120は、当該位相調整部120Aの下側(図3の紙面下側)に入射する物体光E1の位相を調整しない。
位相調整部120Aは、上側の領域から、位相調整後の参照光E(R)を出力し、下側の領域から、位相が調整されない信号光E(S)を、第2のレンズ130に向けて、出射する。
位相調整部120Aにより出力された参照光E(R)および信号光E(S)は、第2のレンズ130に入射する。
次に、第2のレンズ130は、位相調整部120Aから出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120Aにより位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とを集光する。これにより、位相調整部120Aにより出射される信号光E(S)および参照光E(R)が干渉する。具体的には、位相調整部120Aにより出力される参照光E(R)と、信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。
干渉光E2は、検出器140Aに入射し、検出器140A内のフォトダイオード等で検出される。
検出器140Aは、参照光E(R)および信号光E(S)の干渉光E2に基づいて、被測定物200Aの光軸方向の光強度分布を取得する。
以上、光測定装置100Aの動作について説明した。
次に、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100Aの変形例である光測定装置100AAの構成を説明する。図4は、光測定装置100AAの構成を模式的に示す図である。なお、図4では、図1~3で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1~3に示した符号と同等の符号を付している。
図4に示されるように、光測定装置100AAは、第1のレンズ110と、位相調整部120Aと、第2のレンズ130と、検出器140Aと、外側のミラー180と、内側のミラー190a~190dとを備えている。なお、第1のレンズ110および第2のレンズ130は、後述するように、省略することもできる。すなわち、光源300からの光源光Eのビーム径が位相調整部120Aの光軸方向断面の面積と比較して、位相調整部として機能できる程度に十分に大きい場合には第1のレンズ110および第2のレンズ130は、必須の構成要素ではない。
図4に示されるように、光測定装置100AAの測定対象物として、被測定物200Aが、第1のレンズ110および位相調整部120Aの間であって、第1のレンズ110および位相調整部120Aの下方側に配置されている。
ここで、図3と図4を対比する。図3では、被測定物200Aは、第1のレンズ110および位相調整部120Aの間に設けられている。これに対して、図4では、被測定物200Aが、第1のレンズ110および位相調整部120Aの間であって、第1のレンズ110および位相調整部120Aの下方側に配置されている。この点で、図3および図4は互いに相違する。このとき、図4では、被測定物200Aは、第1のレンズ110および位相調整部120Aの双方に対して向かい合わない。
また、図4では、外側のミラー180および内側のミラー190a~190dが設けられている点で、図3と相違する。
以下、図4に示される各構成について説明する。ただし、図3と重複する構成については、簡単な説明とするか、説明を省略する。
図4に示されるように、第1のレンズ110、位相調整部120A、第2のレンズ130および検出器140Aが、光源光Eの光軸に沿って、設けられている。光源光Eの光軸は、一直線状に設けられている。
図4に示されるように、外側のミラー180は、第1のレンズ110および位相調整部120Aの間であって、第1のレンズ110および位相調整部120Aの上方側に配置されている。また、外側のミラー180および被測定物200Aは、互いに向かい合うように配置されている。外側のミラー180は、内側のミラー190aおよび190bと向かい合うように配置されている。外側のミラー180には、内側のミラー190aにより反射される光源光Eが、入射される。また、外側のミラー180は、ミラー190aにより反射された光源光Eを、内側のミラー190bへ向けて出射する。
図4に示されるように、内側のミラー190a~190dは、第1のレンズ110および位相調整部120Aの間に設けられている。内側のミラー190a、190cは、第1のレンズ110により出射される光源光Eを分割する。より具体的には、内側のミラー190aは、入射される光源光Eを、外側のミラー180の方向へ反射する。内側のミラー190bは、外側のミラー180により反射されて戻ってきた光Eを、位相調整部120Aの方向へ出射する。また、内側のミラー190cは、入射される光源光Eを、被測定物200Aの方向へ反射する。内側のミラー190dは、被測定物200Aにより反射されて戻ってきた光E1を、位相調整部120Aの方向へ出射する。
位相調整部120Aの上側の領域には、第1のレンズ110により出射された物体光E1が、外側のミラー180および内側のミラー190a、190bを介して、入射する。また、位相調整部120Aの下側の領域には、光源光Eが被測定物200Aを反射して得られる光である物体光E1が、内側のミラー190c、190dを介して、入射する。位相調整部120Aは、物体光E1の位相を調整していく。位相調整部120Aは、光源の光が被測定物200を反射して得られる光である物体光E1に基づいた信号光E(S)と、信号光E(S)との干渉光E2を得るための参照光E(R)の間の位相差を調整する。
以上、光測定装置100AAの構成を説明した。
次に、光測定装置100AAの動作について説明する。
まず、光源300の光が第1のレンズ110に入射する。第1のレンズ110は、入射される光源光Eを平行光束へ変換する。第1のレンズ110により平行光束にされた光源光Eのうちで上側は、内側のミラー190aにより反射され、外側のミラー180側に進行する。外側のミラー180に入射された光源光Eは、外側のミラー180によって反射された後、内側のミラー190bを介して、位相調整部120Aの上側に入射する。
第1のレンズ110により平行光束にされた光源光Eのうちで下側は、内側のミラー190cにより反射され、被測定物200A側に進行する。
光源光Eが被測定物200Aにより反射されると、物体光E1が生じる。この物体光E1は、内側の190dを介して、位相調整部120Aの下側に入射する。
位相調整部120Aは、当該位相調整部120Aの上側(図4の紙面上側)に入射する光源光Eの位相を調整していく。一方、位相調整部120は、当該位相調整部120Aの下側(図4の紙面下側)に入射する物体光E1の位相を調整しない。
位相調整部120Aは、第2のレンズ130に向けて、上側の領域から位相調整後の参照光E(R)を出射し、下側の領域から位相が調整されない信号光E(S)を出射する。
以降の動作は、図3を用いて説明した通りである。
以上、光測定装置100AAの動作について説明した。
ここで、図4の例のように、例えば反射光を扱う場合では、被測定物200Aの反射光である信号光E(S)と位相調整部120Aで調整した後の参照光E(R)との光学的距離が等しければ信号光E(S)と参照光E(R)は干渉し、検出器140Aは、信号光E(S)と参照光E(R)の干渉光E2を得る。
次に、被測定物200Aの別の位置からの干渉光E2を得るために、この別の位置の反射点と光学的に等距離となるように位相調整部120Aの上側に入射する光源光の位相を調整する。このように、検出器140Aが、位相調整部120Aで与える位相を連続的に調整させて干渉光E2を検出することにより、被測定物200Aの光軸方向の反射光強度分布を得ることができる。
以上の通り、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100A、100AAは、位相調整部120Aと、検出器140Aとを備えている。位相調整部120は、光源の光Eが被測定物200を透過または反射して得られる光である物体光E1に基づいた信号光E(S)と、信号光E(S)との干渉光E2を得るための参照光E(R)の間の位相差を調整する。検出器140Aは、位相調整部120Aにより出力される信号光E(S)および参照光E(R)の干渉光E2を検出して、その干渉光E2に基づいて、被測定物200Aの反射光強度分布を導出する。ここでは、検出器140Aは、位相調整後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)との干渉光E2に基づいて、被測定物200Aの反射光強度分布を導出する。そして、光源の光または物体光の光軸は、一直線状に設けられ、位相調整部120Aおよび検出器140Aは、光源の光Eまたは物体光E1の光軸上に設けられている。
このように、光測定装置100A、100AAでは、光源の光または物体光の光軸は、一直線状に設けられ、位相調整部120Aおよび検出器140Aは、光源の光Eまたは物体光E1の光軸上に設けられている。この位相調整部120Aは、たとえば、空間光変調器の屈折率を制御することで、参照光E(R)と信号光E(S)の位相を調整する。このため、図8で示したOCTのように、参照光ミラーを移動させて光路長を調整する等の機械的な調整部品が必要なくなる。これにより、光測定装置100A、100AAでは、図8に示したOCTと比較してより簡易な構成や方法で、信号光E(S)と、信号光E(S)と異なる位相の参照光E(R)とを得ることができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100によれば、簡素な構成で、被測定物200の反射光強度分布を導出することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100Aでは、図8で示したOCTのように、光を2分割するビームスプリッタやハーフミラーを必要としないので、各部材の配置の調整が簡単にできる。そのため、明暗度の高い干渉縞を得ることが容易になり、その結果として測定精度の向上につながる。
また、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100A、100AAでは、位相調整部120Aにより出力される参照光E(R)および信号光E(S)の全てを、干渉光E2の生成に用いている。このため、図8に示されるOCTのように、参照光や反射光の一部を使用しないことはない。ゆえに、検出器140Aで検出される干渉光E2の反射光強度を、図8に示されたOCTのような構成と比較して大きくすることができる。また、位相調整部120Aのチャネル等を操作することで、光量の均一化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100Aでは、図8で示したOCTのように、参照光ミラーを必要としないので、各部材の配置の調整を簡便に行うことができる。また、光測定装置100Aでは、図8で示したOCTのように、ビームスプリッタやハーフミラーを必要しない。これにより、光測定装置100Aでは、図8に示したOCTと比較して小さくすることができる。また、図8に示したOCTと比較して少ない部品点数で光測定装置100Aを構成できる。
また、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100A、100AAにおいて、位相調整部120Aは、空間光変調器により構成されている。空間光変調器は、液晶部を有し、液晶部の屈折率を部分的に変更することにより、入射する光の一部の光路長を変更する。これにより、空間光変調器に入力される光の一部の位相が、出力時に変更される。この結果、既存の製品である空間光変調器を用いて、光測定装置100A、100AAを簡単に作成することができる。
また、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100A、100AAにおいて、液晶部は、微小光学素子により形成することもできる。これにより、位相調整部120Aに入射する光のうちで、液晶部を透過する光量を、より細かく正確に調整することができる。ゆえに、位相調整部120Aにより出射される2光線(位相調整部120Aにより出力される参照光E(R)と信号光E(S))の光量を、容易に均一化することができる。したがって、検出器140Aで検出される干渉光E2による干渉縞の明暗度をより明瞭にすることができる。これにより、光測定装置100A、100AAの測定精度を向上できる。
また、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100A、100AAにおいて、被測定物200Aおよび検出器140Aの間に、複数の位相調整部120Aや、光軸方向に沿って柱状に延在する位相調整部120Aを光源の光Eの光軸上に沿って直列に配列してもよい。これにより、参照光E(R)および信号光E(S)の間の位相差をより大きくとることができる。
また、本発明の第1の実施の形態における光測定装置100A、100AAにおいて、光源(不図示)および検出器140Aは、好ましくは可視域に対応している。ここで、波長は短いほど、位相変化量を大きくすることができることが知られている。したがって、光源(不図示)および検出器140Aに可視域の光や可視域を検知できる検出器を用いることで、より効率よく位相変化量を大きくすることができる。この結果、複数の位相調整部を直列に多段に配置しなくとも、大きな位相変化量を得ることもできる。もちろん、前述のように紫外光や近赤外光や中赤外光、遠赤外光を用いても良い。本発明の第1の実施の形態における光測定装置100A、100AAにおいて、位相調整部120Aは、光源光Eの位相を調整した光を参考光E(R)として、物体光E1の位相が調整されない光を信号光E(S)として、信号光E(S)および参照光E(R)の間の位相差を調整する。検出器140Aは、信号光E(S)および参照光E(R)の干渉光E2に基づいて、被測定物200Aの反射光強度分布を取得する。
このように、光測定装置100A、100AAでは、位相調整部120Aが、光源光Eの位相を調整した光を参考光E(R)として、物体光E1の位相が調整されない光を信号光E(S)として、信号光E(S)および参照光E(R)の間の位相差を調整する。このため、被測定物200Aの光軸方向の反射光強度分布を測定することができる。
<第2の実施の形態>
図5は、本発明の第2の実施の形態における光測定装置100Bの構成を模式的に示す図である。なお、図5では、図1~図4で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1~図4に示した符号と同等の符号を付している。
図5に示されるように、光測定装置100Bは、第1のレンズ110と、位相調整部120Bと、第2のレンズ130と、検出器140Bとを備えている。なお、第1のレンズ110および第2のレンズ130は、図1を用いて説明した内容と同様に、省略することもできる。
図5に示されるように、光測定装置100Bの測定対象物として、被測定物200Bが第1のレンズ110および位相調整部120Bの間に配置されている。被測定物200Bには、たとえば液体や生体などが挙げられるが、光が透過や反射する被測定物であればこの限りでない。
ここで、図3と図5を対比する。図5では、励起光ER(Excitation Ray)が被測定物200Bに入射している点で、図3と相違する。
図5に示されるように、第1のレンズ110、位相調整部120B、第2のレンズ130および検出器140Bが、光源光Eの光軸に沿って、設けられている。
図5に示されるように、被測定物200Bは、第1のレンズ110の光軸の下側(図5の紙面下側)および位相調整部120Bの中心の下側(図5の紙面下側)の間に設けられている。すなわち、被測定物200Bは、位相調整部120Bの下側のみに対して、向かい合っている。同様に、被測定物200Bは、第1のレンズ110の下側のみに対して、向かい合っている。被測定物200Bには、光源光Eおよび励起光ERが入射する。励起光ERを被測定物200Bに入射することにより、被測定物200Bの屈折率が変化する。
励起光ERには、たとえば、紫外線や、可視光や、X線が用いられる。励起光ERが被測定物200Bに入射すると、被測定物200Bは励起光ERのエネルギーを吸収して励起状態となり、屈折率も変化する。光源光Eおよび励起光ERが被測定物200Aを透過または反射して得られる光である励起物体光E4は、位相調整部120Aの下側に入射する。
図5に示されるように、位相調整部120Bは、第1のレンズ110および第2のレンズ130の間に設けられている。また、位相調整部120Bは、光源光Eおよび励起物体光E4の光軸上に設けられている。位相調整部120Bの上側の領域には、第1のレンズ110により平行光束に変換された光源光Eが、入射する。位相調整部120Bの下側の領域には、光源光Eおよび励起光ERが被測定物200Aを透過または反射して得られる光である励起物体光E4が、入射する。位相調整部120Bは、入射する光の位相を調整していく。
位相調整部120Bは、光源光Eおよび励起光ERが被測定物200Bを透過または反射して得られる光である励起物体光E4を信号光E(S)とし、光源光Eに対して位相を調整した光を参照光E(R)として、信号光E(S)および参照光E(R)の間の位相差を調整する。
ここでは、位相調整部120Bは、当該位相調整部120Bの中心より上側(紙面上側)の領域の光源光Eと、当該位相調整部120Bの中心より下側(紙面下側)の領域の励起物体光E4に異なる変調を与えることで、両者の間に位相差を設ける。具体的には、位相調整部120Bは、当該位相調整部120Bの中心より上側(紙面上側)の領域で、入射する光源光Eの位相を調整し、当該位相調整部120Bの中心より下側(紙面下側)の領域で、入射する励起物体光E4の位相を調整しないものとする。したがって、位相調整部120Bは、当該位相調整部120Aにより位相が調整された後の光源光Eを参照光E(R)として上側の領域から出力し、励起物体光E4を信号光E(S)として出力する。
ただし、これに限定されない。被測定物200Bは光源光Eの中心より上側(紙面上側)に配置してもよい。この場合、位相調整部120Bは、光源光Eの光路の中心より下側(紙面下側)の光源光Eの位相を調整し、光源光Eの中心より上側(紙面上側)の励起物体光E4の位相を調整しないものとしてもよい。
このとき、位相調整部120Bは、参照光E(R)の光量と信号光E(S)の光量とが同等になるように、調整して、出射する。なお、位相調整部120Bは、第1の実施の形態で説明した位相調整部120Aと同様に、たとえば、空間光調整器により構成される。空間光調整器の詳細は、第1の実施の形態で説明した内容と同様である。
図5に示されるように、第2のレンズ130は、位相調整部120Bおよび検出器140Bの間に、設けられている。第2のレンズ130は、位相調整部120Bから出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。これにより、位相調整部120Bにより出力される参照光E(R)および信号光E(S)が干渉した光(干渉光E2)を、検出器140Bで検出することができる。
具体的には、位相調整部120Bにより出力される参照光E(R)と信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。この干渉光E2は、検出器140Bに入射する。
図5に示されるように、検出器140Bは、第2のレンズ130と向かい合うように、設けられている。検出器140Bは、光源光Eの光軸上に設けられている。検出器140Bには、第2のレンズ130により結像された干渉光E2が、入射する。より具体的には、参照光E(R)と信号光E(S)の干渉光E2が、検出器140Bに入射する。
検出器140Bは、位相調整部120Bにより出力される参照光E(R)と信号光E(S)の干渉光E2を検出し、その検出した干渉光E2に基づいて、被測定物200Bの屈折率変化を導出する。検出器140Bは、スペクトル測定器により構成される。スペクトル測定器は、干渉光E2のスペクトル領域での光強度を検出する。
次に、光測定装置100Bの動作について説明する。
図2を用いて説明した内容と同様に、第1のレンズ110、位相調整部120B、第2のレンズ130および検出器140Bの位置を調整する。このように、光軸調整と光の分岐量を互いに独立に制御することにより、2光線(信号光および参照光)の光量を容易に均一化することができる。したがって、検出器140Bで検出される干渉光E2によるスペクトル領域での干渉縞の明暗度をより明瞭にすることができる。
まず、光源300の光が第1のレンズ110に入射する。第1のレンズ110は、入射される光源光Eを平行光束へ変換する。第1のレンズ110により平行光束にされた光源光Eのうちで上側は、位相調整部120Bの上側に入射する。第1のレンズ110により平行光束にされた光源光Eのうちで下側は、被測定物200Bに入射する。なお、励起光ERにより励起状態になった被測定物200Bは、すぐに基底状態に戻る。そのため、光源300には超短光パルス光源を用いることが一般的である。
つぎに、図5に示されるように、光源光Eおよび励起光ERが被測定物200Aに入射する。励起光ERを被測定物200Bに入射することにより、被測定物200Bの屈折率を変化させることができる。
光源光Eおよび励起光ERが被測定物200Aを透過または反射すると、励起物体光E4が生じる。この励起物体光E4は、位相調整部120Bの下側に入射する。
位相調整部120Bは、当該位相調整部120Bの上側(図5の紙面上側)に入射する光源光Eの位相を調整する。一方、位相調整部120Bは、当該位相調整部120Bの下側(図5の紙面下側)に入射する励起物体光E4の位相を調整しない。
次に、位相調整部120Bは、上側の領域から、位相調整後の参照光E(R)を出力し、下側の領域から、位相が調整されない信号光E(S)を、第2のレンズ130に向けて出射する。
位相調整部120Bにより出力された参照光E(R)および信号光E(S)は、第2のレンズ130に入射する。
次に、第2のレンズ130は、位相調整部120Bから出射される信号光E(S)および参照光E(R)を集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120Bにより位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とを集光する。これにより、位相調整部120Aにより出射される信号光E(S)および参照光E(R)が干渉する。
具体的には、位相調整部120Bにより位相が調整された参照光E(R)と、信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。
干渉光E2は、検出器140Bに入射する。検出器140Bは、信号光E(S)および参照光E(R)の干渉光E2に基づいて、被測定物200Bの屈折率変化を導出する。このとき、検出器140Bは、干渉光E2によって生じるスペクトル領域での干渉縞を検出し、励起光ERの入射の有無によるスペクトル干渉縞の差異から被測定物200Bで生じた屈折率変化を導出する。
以上、光測定装置100Bの動作について説明した。
なお、上述では、位相調整部120Aは、上側(紙面上側)の領域で、入射する光源光Eの位相を調整し、下側(紙面下側)の領域で、入射する励起物体光E4の位相を調整しないものとした。しかしながら、位相調整部120Bは、光源300の光Eおよび励起光ERが被測定物200Bを透過または反射して得られる光である励起物体光E4に対して位相を調整した光E4を信号光E(S)とし、光源300の光Eを参照光E(R)として、信号光E(S)および参照光E(R)を出力してもよい。これによっても、上述した内容と同様の効果を奏することができる。
以上の通り、本発明の第3の実施の形態における光測定装置100Bにおいて、励起光ERが被測定物200Bに入射される。また、位相調整部120Bは、光源300の光Eおよび励起光ERが被測定物200Bを透過または反射して得られる光である励起物体光E4を信号光E(S)とし、光源300の光Eに対して位相を調整した光を参照光E(R)として、信号光E(S)および参照光E(R)の間の位相差を調整する。検出器140Bは、信号光E(S)および参照光E(R)の干渉光E2に基づいて、被測定物200Bの屈折率変化を導出するためのスペクトル測定器である。
このように、光測定装置100Bでは、位相調整部120Bが、光源300の光Eおよび励起光ERが被測定物200Bを透過または反射して得られる光である励起物体光E4を信号光E(S)として、位相調整後の光源光Eを参照光E(R)として、信号光E(S)および参照光E(R)の間の位相差を調整する。このため、被測定物200Bの屈折率変化を測定することができる。このとき、光測定装置100Bでは、励起光ERを被測定物200Bに入射している。このため、被測定物200Bの屈折率を励起光ERによって変化させることができる。これにより、被測定物200Bから出射する光の光路の位相が変化し、干渉光E2に基づくスペクトル領域の干渉縞が変化する。この結果、スペクトル測定器である検出器140Bは、スペクトル干渉縞の変化から、被測定物200Bの屈折率変化を検出することができる。
<第3の実施の形態>
図6は、本発明の第3の実施の形態における光測定装置100Cの構成を模式的に示す図である。なお、図6では、図1~図5で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1~図5に示した符号と同等の符号を付している。
図6に示されるように、光測定装置100Cは、第1のレンズ110と、位相調整部120Cと、第2のレンズ130と、非線形光学結晶150と、検出器140Cとを備えている。なお、第1のレンズ110および第2のレンズ130は、図1を用いて説明した内容と同様に、省略することもできる。
図6に示されるように、光測定装置100Cの測定対象物として、被測定物200Cが第1のレンズ110の前方に配置されている。被測定物200Cには、たとえば液体や生体などが挙げられるが、光が透過や反射する被測定物であればこの限りでない。
ここで、図1と図6を対比する。図6では、非線形光学結晶150が、第2のレンズ130および検出器140Cの間に設けられている点で、図1と相違する。また、この非線形光学結晶150には、分散パルスPDが入射されている。
図6に示されるように、第1のレンズ110、位相調整部120C、第2のレンズ130、非線形光学結晶150および検出器140Cが、光源光としてのパルス光PLの光軸に沿って、設けられている。また、後述のパルス物体光E6の光軸は、一直線状に設けられている。
図6に示されるように被測定物200Cには、パルス光PL(Pulsed light)が光源光として入射する。そして、被測定物200Cからは、パルス光PLが被測定物200Cを透過または反射して得られる光であるパルス物体光E6が、出射される。なお、パルス光PLは、超短光パルス光源を用いることが一般的である。パルス光PLが被測定物200Cに入射することにより、非線形の相互作用を引き起こすことができる。
図6に示されるように、位相調整部120Cは、第1のレンズ110および第2のレンズ130の間に設けられている。また、位相調整部120Cは、パルス物体光E6の光軸上に設けられている。位相調整部120Cの上側(図6の紙面上側)および下側(図6の紙面下側)の双方の領域には、第1のレンズ110により平行光束に変換されたパルス物体光E6が、入射する。位相調整部120Cは、入射する光の一部の位相を調整する。
位相調整部120Cは、パルス光PLが被測定物200Cを透過または反射して得られる光であるパルス物体光E6を信号光E(S)とし、パルス物体光E6に対して位相を調整した光を参照光E(R)として、信号光E(S)および参照光E(R)の間の位相差を調整する。
ここでは、位相調整部120Cは、当該位相調整部120Cの中心より上側(図6の紙面上側)の物体光E6と、当該位相調整部120Cの中心より下側(図6の紙面下側)のパルス物体光E6とに異なる変調を与えることで、両者の間に位相差を設ける。例えば、位相調整部120Cは、当該位相調整部120Cの中心より上側(図6の紙面上側)のパルス物体光E6と、当該位相調整部120Cの中心より下側(図6の紙面下側)のパルス物体光E6の両者を変調して、位相差を与えても良い。あるいは、位相調整部120Cは、当該位相調整部120Cの中心より上側(図6の紙面上側)のパルス物体光E6のみを変調することで中心より上側(図6の紙面上側)の位相を調整し、当該位相調整部120Cの中心より下側(図6の紙面下側)のパルス物体光E6の位相を調整しなくても良い。
ただし、これに限定されず、位相調整部120Cは、パルス物体光E6の光路の中心より下側(紙面下側)の物体光E6の位相を調整し、パルス物体光E6の光路の中心より上側(紙面上側)のパルス物体光E6の位相を調整しないものとしてもよい。位相調整部120Cは、例えば、当該位相調整部120Cの中心より上側(図6の紙面上側)もしくは下側(図6の紙面下側)の片側のパルス物体光E6のみを変調した場合においては、次のように信号光E(S)を出射する。すなわち、この場合、位相調整部120Cは、当該位相調整部120Cにより位相が調整された後の物体光を参照光E(R)とし、当該位相調整部120Cにより位相が調整されない物体光を信号光E(S)として、出射する。
このとき、位相調整部120Cは、位相調整部120Cにより位相が調整された後の参照光E(R)の光量と、位相が調整されない信号光E(S)の光量とが同等になるように、調整して、出射する。なお、位相調整部120Cは、第1の実施の形態で説明した位相調整部120Aと同様に、たとえば、空間光調整器により構成される。空間光調整器の詳細は、第1の実施の形態で説明した内容と同様である。
図6に示されるように、第2のレンズ130は、位相調整部120Cおよび非線形光学結晶150の間に、設けられている。第2のレンズ130は、パルス物体光E6の光軸上に設けられている。第2のレンズ130は、位相調整部120Cから出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120Cにより位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が変更されない信号光E(S)とを集光する。
これにより、位相調整部120Cにより出力される参照光E(R)および信号光E(S)が干渉した光(干渉光E2)を、検出器140Cで、検出することができる。具体的には、位相調整部120Cにより位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が変更されない信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。この干渉光E2は、非線形光学結晶150に入射する。
図6に示されるように、非線形光学結晶150は、第2のレンズ130および検出器140Cの間に設けられている。非線形光学結晶150には、干渉光E2が入射する。また、併せて、分散パルスPDが、非線形光学結晶150に入射する。これにより、和周波C8が発生する(C8)。
なお、和周波C8の発生は、二次の非線形光学効果に基づくものである。すなわち、和周波C8の発生は、たとえば、ω1、ω2の2つの周波数の光が非線形光学結晶に入射した場合に、その和の周波数となるω1+ω2の分極波を生じる。
より具体的には、位相調整部120Cにより位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)の干渉光E2が、非線形光学結晶150に入射する。そして、さらに、分散パルスPDが非線形光学結晶150に入射すると、位相調整後の参照光E(R)と、分散パルスPDの周波数の和である和周波と、位相が調整されない信号光E(S)と分散パルスPDの周波数の和である和周波が発生する。
ここで、分散パルスPDは、あらかじめ分散媒質を通過させておくことで、中心周波数が時間的に変化し、存続時間が長くなる。参照光E(R)は位相調整されているので、非線形光学結晶150に入射する時間は信号光E(S)とは異なる。これにより、中心周波数が時間的に変化し、存続時間が十分長くなった分散パルスPDに対して、参照光E(R)と信号光E(S)は異なる時間で重なる。
以上から、参照光E(R)と信号光E(S)が分散パルスPDと重なる時の分散パルスPDの瞬時周波数が異なるため、周波数が異なる2つの和周波C8が発生する。この2つの和周波C8は、検出器140Cに入射する。
図6に示されるように、検出器140Cは、非線形光学結晶150からの和周波発生を検出できる位置に設けられている。検出器140Cは、パルス物体光E6の光軸上に設けられている。検出器140Cには、非線形光学結晶150により発生された和周波C8が入力する。
ここで、和周波C8のスペクトルには発生する時のパルス物体光E6の位相情報が反映されている。非線形光学結晶150上で、参照光E(R)と信号光E(S)が分散パルスPDと重なる時間は異なっているため、それぞれの重なる点において分散パルスPDの瞬時周波数も異なる。それゆえ、それぞれの和周波スペクトルの持つ位相情報も異なり、中心周波数の異なる2つの和周波スペクトルが発生する。このスペクトルの差を利用することで、パルス物体光E6のスペクトル位相の連続した値を導出し、このスペクトル位相より被測定物200Cの屈折率を算出する。
検出器140Cは、和周波C8に基づいて、被測定物200Bの屈折率を算出する。より具体的には、検出器140Cは、和周波C8の発生により生じるスペクトル領域干渉に基づいて、被測定物200Cの屈折率を算出する。検出器140Cは、たとえば、スペクトル測定器により構成される。スペクトル測定器は、和周波C8のスペクトル領域での光強度を検出する。
スペクトル測定器の時間分解能が、参照光E(R)で位相を調整した分の時間よりも十分に大きいならば、スペクトル測定器は、2つの和周波スペクトルを同時に検出し、2つのスペクトルが干渉したスペクトル領域の干渉縞を測定できる。
なお、スペクトル位相の導出にあたっては、非線形光学結晶150に分散パルスPDを入射せずに、干渉光E2のみを入射した時に発生する第二高調波のスペクトル領域の干渉縞をあらかじめ取得しておく。その第二高調波の干渉像から導出できる参照光E(R)で調整した位相の量を、2つの和周波スペクトルによるスペクトル領域の干渉縞の情報から差し引くことで、スペクトル位相を抽出できる。
次に、光測定装置100Cの動作について説明する。
図2を用いて説明した内容と同様に、第1のレンズ110、位相調整部120C、第2のレンズ130、非線形光学結晶150および検出器140Cの位置を調整する。このように、光軸調整と光の分岐量を互いに独立に制御することにより、2光線(信号光および参照光)の光量を容易に均一化することができる。したがって、検出器140Cで検出される和周波C8による干渉縞の明暗度をより明瞭にすることができる。また、位相のシフト量に応じた結像位置(検出器140Cにおける和周波C8の結像の位置)のずれの差分を簡単に解消することができる。
まず、パルス光PCが光源光として被測定物200Cに入射する。パルス光PCが被測定物200Cを透過または反射すると、パルス物体光E6が発生する。すなわち、パルス物体光E6は、被測定物200Cがパルス光PCを透過または反射して得られる光である。
そして、パルス物体光E6が、第1のレンズ110に入射する。第1のレンズ110は、入射されるパルス物体光E6を平行光束へ変換する。第1のレンズ110により平行光束にされたパルス物体光E6は、位相調整部120Cに入射する。
位相調整部120Cは、たとえば、当該位相調整部120Cの上側(図6の紙面上側)に入射するパルス物体光E6の位相を調整する。一方、位相調整部120Cは、当該位相調整部120Cの下側(図6の紙面下側)に入射するパルス物体光E6の位相を調整しない。
次に、位相調整部120Cは、上側の領域から、位相が調整された後の参照光E(R)を出力し、下側の領域から、位相が調整されない信号光E(S)を出力する。
なお、たとえば、位相調整部120Cの光軸方向断面の面積が被測定物200Cからのパルス物体光E6のビーム径と比較して小さい場合、第1のレンズ110を省略することができる。すなわち、位相調整部120Cに入射するパルス物体光E6は平行光束であるとみなせるような場合、パルス物体光E6を平行光束に変換することなく、パルス物体光E6を位相調整部120C内に入射させることができる。被測定物200Cが位相調整部120Cより遠方に配置されている場合も、同様の理由から、第1のレンズ110を省略することができる。 位相調整部120Cにより出力された信号光E(S)および参照光E(R)は、第2のレンズ130に入射する。
次に、第2のレンズ130は、位相調整部120Bから出射される信号光E(S)および参照光E(R)を、非線形光学結晶150に集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120Cにより位相が調整された後の参照光E(R)と、位相調整部120Cにより位相が調整されない信号光E(S)との干渉光E2を、非線形光学結晶150に集光する。また、さらに、分散パルスPDを非線形光学結晶150に入射する。これにより、第2のレンズ130の集光により生成された干渉光E2と、分散パルスPDとが、非線形光学結晶150内に入射する。すなわち、位相調整部120Cにより出射される信号光E(S)と、位相調整部120Cにより出射される参照光E(R)と、分散パルスBPとが、非線形光学結晶150内に入射する。これにより、参照光E(R)と、信号光E(S)と、分散パルスBPとの間の2つの和周波C8が発生する。
和周波C8は、検出器140Cに入射する。検出器140Cは、和周波C8に基づいて、被測定物200Cの屈折率を導出する。より具体的には、検出器140Cは、和周波C8の発生により生じるスペクトル領域干渉に基づいて、被測定物200Cの屈折率を導出する。このとき、検出器140Cは、和周波C8によって生じるスペクトル領域干渉を検出し、スペクトル領域干渉から被測定物200Cの屈折率を導出する。なお、具体的な導出方法は、第2の実施の形態と同様である。
ここで、分散パルスPDの中心周波数は時間的に変化している。このため、被測定物200Cの屈折率の導出において、非線形光学結晶150上で、分散パルスPDと参照光とで発生する和周波C8と分散パルスPDと信号光とで発生する和周波C8の周波数は異なる。
検出器140Cにおいては、前記の周波数が異なる2つの和周波のスペクトル領域での干渉縞を測定する。これにより、スペクトル位相の連続した値を導出する。
以上、光測定装置100Cの動作について説明した。
以上の通り、本発明の第3の実施の形態における光測定装置100Cは、非線形光学結晶150をさらに備えている。非線形光学結晶150は、位相調整部120Cおよび検出器140Cの間に設けられている。光源の光は、励起光を含むパルス光PLである。位相調整部120Cは、被測定物200Cがパルス光PLを透過または反射して得られる光であるパルス物体光E6を信号光E(S)とし、パルス物体光E6に対して位相を調整した光E6を参照光E(R)として、信号光E(S)および参照光E(R)の間の位相を調整する。非線形光学部品150には、参照光E6(R)と、信号光E(S)とが入射されるとともに、分散パルスPDが入射される。検出器140Cは、非線形光学部品150を透過された後の信号光E(S)、参照光E(R)および分散パルスPD間で発生した2つの和周波C8に基づいて、被測定物200Cの屈折率を導出するスペクトル測定器である。
このように、光測定装置100Cでは、位相調整部120Cが、位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)との双方を出力する。このため、前述した内容と同様に、簡素な構成で、被測定物200Cの屈折率を測定することができる。
このとき、光測定装置100Cでは、位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)と、分散パルスPDとが、非線形光学結晶150に入射している。このため、非線形光学結晶150内で、参照光E(R)と、信号光E(S)と、分散パルスPDとの間の2つの和周波C8を、発生させることができる。これにより、検出器140Cで、発生した2つの和周波C8によるスペクトル領域での干渉縞に基づいて、被測定物200Cの屈折率を導出することができる。このとき、検出器140Cは、和周波C8によって生じるスペクトル領域の干渉縞を検出し、スペクトル領域干渉から被測定物200Cの屈折率を導出することができる。
<第4の実施の形態>
図7は、本発明の第4の実施の形態における光測定装置100Dの構成を模式的に示す図である。なお、図7では、図1~図6で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1~図6に示した符号と同等の符号を付している。
図7に示されるように、光測定装置100Dは、第1のレンズ110と、偏光ビームスプレッタ160と、位相調整部120Cと、第2のレンズ130と、第1の検出器141と、第3のレンズ170と、第2の検出器142とを備えている。なお、第1のレンズ110、第2のレンズ130および第3のレンズ170は、図1を用いて説明した内容と同様に、省略することもできる。
図7に示されるように、光測定装置100Dの測定対象物として、被測定物200が第1のレンズ110の前方に配置されている。被測定物200には、たとえば液体や生体などが挙げられるが、光が透過や反射する被測定物であればこの限りでない。光源の光Eが被測定物200を透過または反射すると、物体光E1が生じる。すなわち、物体光E1とは、光源の光Eが被測定物200を透過または反射した際に得られる光である。
ここで、図1と図7を対比する。図7では、偏光ビームスプレッタ160が第1のレンズ110および位相調整部120の間に設けられている点で、図1と相違する。また、図1では、1つの検出器140しか設けられていない。これに対して、図7では、2つの検出器141、142が設けられている。この点で、図1および図7は互いに相違する。さらに、図7では、第3のレンズ170が設けられている点で、図1と相違する。
図7に示されるように、第1のレンズ110、偏光ビームスプレッタ160、位相調整部120、第2のレンズ130、第1の検出器141が、光源光Eの光軸に沿って、設けられている。光源光Eの光軸は、一直線状に設けられている。また、第3のレンズ170および第2の検出器142が、偏光ビームスプレッタ160により分岐される光E1の光軸に沿って、設けられている。偏光ビームスプレッタ160により分岐される光E1の光軸は、一直線状に設けられている。
図7に示されるように、第1のレンズ110は、被測定物200および偏光ビームスプレッタ160の間に設けられている。また、第1のレンズ110は、物体光E1の光軸上に設けられている。第1のレンズ110には、光源光Eが入射する。そして、第1のレンズ110は、入射される物体光E1を平行光束に変換して、偏光ビームスプレッタ160へ出射する。
図7に示されるように、偏光ビームスプレッタ160は、第1のレンズ110および位相調整部120の間に、設けられている。偏光ビームスプレッタ160は、第1のレンズ110により出射される物体光E1を2方向に分割する。偏光ビームスプレッタ160により分割された物体光E1の一方は、位相調整部120、第2のレンズ130および第1の検出器141の方向へ向けて、偏光ビームスプレッタ160により出射される。偏光ビームスプレッタ160により分割された物体光E1の他方は、第3のレンズ170および第2の検出器142の方向へ向けて、偏光ビームスプレッタ160により出射される。
図7に示されるように、位相調整部120は、偏光ビームスプレッタ160および第2のレンズ130の間に設けられている。また、位相調整部120は、物体光E1の光軸上に設けられている。位相調整部120の上側(図7の紙面上側)および下側(図7の紙面下側)の双方の領域には、偏光ビームスプレッタ160により出射される物体光E1が、入射する。位相調整部120は、入射する光の一部の位相を調整する。位相調整部120は、光源の光が被測定物200を透過または反射して得られる光である物体光E1に基づいた信号光E(S)と、信号光E(S)との干渉光E2を得るための参照光E(R)の間の位相差を調整する。
ここでは、図1を用いて説明した内容と同様に、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より上側(図7の紙面上側)の物体光E1と中心より下側(図7の紙面下側)の物体光E1に異なる変調を与えることで、両者の間に位相差を設ける。例えば、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より上側(図7の紙面上側)の物体光E1と中心より下側(図7の紙面下側)の物体光E1の両者を変調して位相差を与えても良い。あるいは、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より上側(図7の紙面上側)の物体光E1のみを変調することで中心より上側(図7の紙面上側)の位相を調整し、当該位相調整部120の中心より下側(図7の紙面下側)の物体光E1の位相を調整しなくても良い。
ただし、これに限定されず、位相調整部120は、物体光E1の光路の中心より下側(図7の紙面下側)の物体光E1の位相を調整し、物体光E1の光の中心より上側(図7の紙面上側)の物体光E1の位相を調整しないものとしてもよい。位相調整部120は、例えば、当該位相調整部120の中心より上側(図7の紙面上側)もしくは下側(図7の紙面下側)の片側の物体光E1のみを変調した場合においては、位相調整部120は、当該位相調整部120により位相が調整された後の物体光E1を参照光E(R)とし、当該位相調整部120により位相が調整されない物体光E1を信号光E(S)として、出射する。
このとき、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より上側(図7の紙面上側)の領域から出射される位相調整後の参照光E(R)の光量と、当該位相調整部120の中心より下側(図7の紙面下側)の領域から出射される信号光E(S)の光量とが同等になるように、調整して出射する。なお、位相調整部120は、図1を用いて説明したように、空間光変調器により構成される。空間変調器の構成等の詳細な説明は、図1を用いた説明の通りであるため、省略する。
図7に示されるように、第2のレンズ130は、位相調整部120および第1の検出器141の間に、設けられている。第2のレンズ130は、位相調整部120から出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とを集光する。
これにより、位相調整部120により出射される参照光E(R)および信号光E(S)の干渉した光(干渉光E2)を、検出器141で検出することができる。具体的には、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が発生する。この干渉光E2は、第1の検出器141に入射する。
図7に示されるように、第1の検出器141は、第2のレンズ130に向かい合うように、設けられている。第1の検出器141には、第2のレンズ130により集光された干渉光E2が入射する。第1の検出器141は、参照光E(R)および信号光E(S)の干渉光E2を検出し、その検出した干渉光E2に基づいて、被測定物200の光強度分布や屈折率を導出する。
図7に示されるように、第3のレンズ170は、光源の光Eの光路に直交する方向に沿って、設けられている。第3のレンズ170は、偏光ビームスプレッタ160に向かい合うように、設けられている。第3のレンズ170は、偏光ビームスプレッタ160により分岐された物体光E1を、第2の検出器142へ向けて集光する。
図7に示されるように、第2の検出器142は、第3のレンズ170に向かい合うように、設けられている。第2の検出器142は、第3のレンズ170により集光された光に基づいて、被測定物200の光強度分布や屈折率を導出する。
次に、光測定装置100Dの動作について説明する。
まず、光源の光Eが被測定物200に入射する。光源光Eが被測定物200を透過または反射すると、物体光E1が発生する。
そして、物体光E1が、第1のレンズ110に入射する。第1のレンズ110は、入射される物体光E1を平行光束へ変換する。第1のレンズ110により平行光束にされた物体光E1は、偏光ビームスプレッタ160に入射する。
偏光ビームスプレッタ160は、物体光E1を2方向に分岐する。偏光ビームスプレッタ160により分割された物体光E1の一方は、位相調整部120、第2のレンズ130および第1の検出器141の方向へ向けて、偏光ビームスプレッタ160により出射される。偏光ビームスプレッタ160により分割された物体光E1の他方は、第3のレンズ170および第2の検出器142の方向へ向けて、偏光ビームスプレッタ160により出射される。
偏光ビームスプレッタ160により分割された物体光E1の一方は、位相調整部120に入射する。位相調整部120は、物体光E1の一部の位相を調整する。具体的には、たとえば、位相調整部120は、当該位相調整部120の上側の領域(図7の紙面上側)で物体光E1の位相を調整し、当該位相調整部120の下側の領域(図7の紙面下側)で物体光E1の位相を調整しない。
位相調整部120は、当該位相調整部120の上側の領域から、位相が調整された後の参照光E(R)を出力し、当該位相調整部120の下側の領域から、位相が調整されない信号光E(S)を出射する。位相調整部120により出力された信号光E(S)および参照光E(R)は、第2のレンズ130に入射する。
第2のレンズ130は、位相調整部120から出射される信号光E(S)および参照光E(R)を、第1の検出器141に集光する。すなわち、第2のレンズ130は、位相調整部120により位相が調整された後の参照光E(R)と、位相が調整されない信号光E(S)とを集光する。これにより、位相調整部120から出射される信号光E(S)および参照光E(R)が、干渉する。具体的には、参照光E(R)と信号光E(S)が干渉して、干渉光E2が発生する。干渉光E2は、第1の検出器141に入射する。
検出器141は、参照光E(R)および信号光E(S)の干渉光E2を検出して、その検出された干渉光E2に基づいて、被測定物200の光強度分布や屈折率を導出する。
偏光ビームスプレッタ160により分割された物体光E1の他方は、第3のレンズ170に入射する。
第3のレンズ170は、偏光ビームスプレッタ160により分割された物体光E1の他方を、第2の検出器142に集光する。そして、検出器142は、入射された光に基づいて、被測定物200の光強度分布や屈折率を導出する。
以上、光測定装置100Dの動作について説明した。
なお、図7に示す構成を基本構成として、たとえば、図3に示したように、被測定物を光路の途中に配置すれば、被測定物の光軸方向の光強度分布を取得することができる。また、図7に示す構成を基本構成として、図4に示される構成を組み合わせることにより、被測定物の光軸方向の反射光強度分布を測定することができる。また、図7に示す構成を基本構成として、図5に示される構成を組み合わせることにより、励起光の入射の有無によるスペクトル干渉縞の差異から被測定物で生じた屈折率変化を導出することができる。さらに、図7に示す構成を基本構成として、図6に示される構成を組み合わせることにより、被測定物の屈折率を測定することができる。
以上の通り、本発明の第4の実施の形態における光測定装置100Dは、偏光ビームスプリッタ160を備えている。偏光ビームスプリッタ160は、被測定物200および第1の検出器141の間に、光源の光Eに沿って設けられている。偏光ビームスプリッタ160は、物体光E1を分割する。これにより、偏光ビームスプリッタ160により分岐された複数の光を用いて、被測定物200の屈折率を測定することができる。
また、本発明の第4の実施の形態における光測定装置100Dは、複数の位相調整部120をさらに備えてもよい。このとき、複数の位相調整部120は、偏光ビームスプリッタ160により分割された複数の物体光E1の光軸に沿って設けられる。複数の位相調整部120は、複数の物体光E1の各々の位相を調整する。これにより、互いに位相が異なる複数の干渉光E2を生成することができる。
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態におけるマッハ・ツェンダ型の変調器の構成を説明する。この変調器の基本的な構成は、図1に示した光測定装置100と同様であるが、被測定物200を配置せずに光源光Eが変化しないままに、強度が一定の連続光が、図1の物体光E1のように第1のレンズ110の方向に進行する。以下の説明では、図1の物体光E1を、連続光として説明する。
すなわち、図1に示した構成のように、第1のレンズ110と、位相調整部120と、第2のレンズ130と、検出器140とを備えることで、変調器として機能させることもできる。
まず、図1において、被測定物200を配置しない構成とする。この場合、光源光Eは変化せずに、強度が一定の連続光E1が、図1の物体光E1のように第1のレンズ110の方向に進行し、第1のレンズ110に入射する。
第1のレンズ110は、強度が一定の連続光E1を平行光束に変換する。そして、第1のレンズ110により平行光束に変換された連続光E1は、位相調整部120に入射する。
位相調整部120は、たとえば、当該位相調整部120の中心より上側(紙面上側)の連続光E1の位相を調整する。一方、位相調整部120は、当該位相調整部120の中心より下側(紙面下側)の連続光E1の位相を調整しない。
位相調整部120は、当該位相調整部120により位相が調整された後の信号光E(S)と、位相が調整されない参照光E(R)とを、第2のレンズ130へ向けて出射する。
ここで、上述の「概念を示す形態」では、位相調整部120により位相が調整された後の光を、参照光E(R)とし、位相が調整されない光を、信号光E(S)とした。一方、本実施の形態では、位相調整部120により位相が調整された後の光を、信号光E(S)とし、位相が調整されない光を、参照光E(R)とした。
次に、第2のレンズ130は、位相調整部120から出射される参照光E(R)および信号光E(S)を集光する。これにより、位相調整部120により出射される参照光E(R)および信号光E(S)が干渉する。具体的には、参照光E(R)と、信号光E(S)とが干渉して、干渉光E2が、変調光として発生する。すなわち、連続光E1が第1のレンズ110、位相調整部120および第2のレンズ130を経ることにより、強度変化のある変調光(干渉光E2)となる。変調光(干渉光E2)は、検出器140に入射する。
検出器140は、受信部として、参照光E(R)と、信号光E(S)の変調光(干渉光E2)を受信する。そして、検出器140は、変調光(干渉光E2)を検出し、その検出された変調光(干渉光E2)に基づいて、位相調整部120で与えた電気信号の変調に応じた変調信号を受信する。なお、第1のレンズ110、第2のレンズ130は、図1を用いて説明した内容と同様に、省略することもできる。
一般に、光の干渉を利用した、マッハ・ツェンダ型の変調器として、キャリア・プラズマ効果を利用した電気光学変調器がある。電気光学変調器は、キャリア・プラズマ効果を利用して、キャリア濃度が変化する電気的な構造が作り込まれた光導波路等に対して、電圧などの電気信号の入力により屈折率に時間的な変化を与える。光導波路の屈折率が変化した結果、光導波路を伝搬する光に対して、位相変化が生じる。この位相変化は、マッハ・ツェンダ干渉計などに組み込むことで、強度変化へと変換される。入力する連続光は、マッハ・ツェンダ干渉計により強度を変調され、変調光として出力する。
このようなマッハ・ツェンダ型変調器は、マッハ・ツェンダ干渉計を構成する2本のアームを備える。2本のアームは、それぞれ分岐等のない一本の光路になっている。マッハ・ツェンダ型変調器に入力された連続光は、分岐されて2本のアームを伝搬した後、光カプラ等で再び結合されて出力される。また、2本のアームには、それぞれの光路中の屈折率を変化させる構造が備わっている。例えば、光導波路では屈折率を変化させるための電極が、当該アームのほぼ全領域にわたって設けられている。そして、各電極を介して各アームに電界を印加し、その光導波路の屈折率を変化させることで、各アームを伝搬する光の位相を変化させ、各アームを伝搬してきた光に位相差を生じさせ、これらを干渉させることで、出力される光の強度を変化させている。
図1における物体光E1を強度が一定の連続光として、第1のレンズ110を通過後の連続光を位相調整部120により、たとえば、当該位相調整部120の上側の領域(紙面上側)で連続光の位相を調整し、当該位相調整部120の下側の領域(紙面下側)で連続光の位相を調整しない。この時、外部からの電圧などの電気信号の入力により屈折率を時間的に変化させ、位相を時間的に調整する。これら位相を調整した光と位相を調整しない光を第2のレンズ130により、受信部として配置した検出器140に集光する。検出器140で検出する干渉光は、マッハ・ツェンダ型変調器と同様に、位相調整部120で与えた電気信号の変調に応じた変調信号となる。
その他にも、位相調整部120により位相を調整し、検出器140で得た信号をフーリエ変換して情報を取得することもできる。
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2015年3月25日に出願された日本出願特願2015-062054を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。