以下、本発明に係る画像形成装置について具体的に説明する。なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において画像形成装置の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。すなわち、特段の記載がない限り、後述する実施例に記載された画像形成装置の構成だけに限定する意図はない。
(画像形成装置)
図1は本発明の実施形態の一例である画像形成装置60の断面図である。本実施形態は電子写真方式を用いたカラー画像形成装置であり、近年は多種多様なシート材への適応性やプリント生産性に優れるという利点から4色の画像形成部を中間転写ベルト上に並べて配置した中間転写タンデム方式が主流となっている。本実施例では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色により画像を形成する。勿論、色数は4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。以下に本発明の実施形態の一例である画像形成装置におけるシートに画像を形成する画像形成プロセスを説明する。
シートSは、シート収納部62に積載される形で収納されており、給紙手段6により画像形成タイミングに合わせて給紙される。給紙手段63により送り出されたシートSは搬送パス64を通過し、レジストローラ65へと搬送される。レジストローラ65では、シート収納部62から搬送されてくるシートSの傾きを補正した後、中間転写ベルト61上に形成されたトナー像に合わせて、所定のタイミングにてシートSを二次転写部へと搬送する。二次転写部は、対向する二次転写内ローラ66および二次転写外ローラ67により形成されるシートSへのトナー像転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで中間転写ベルト61上に形成されているトナー像をシートS上に転写させる。中間転写ベルト61上へのトナー像の形成する作像プロセスについては次に記述する。
画像形成部600は、主に感光体1、帯電手段としての帯電ローラ2、現像装置3、一次転写手段としての一次転写ローラ4、および感光体クリーナ5などから構成され、同様の構成がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色分並列で配置されている。画像形成部600の上方にはトナー補給装置605が配置されており、各色の画像形成部に対応する現像剤補給容器10(10Y、10M、10C、10K)が備えられている。トナー補給装置605については詳細を後述する。
作像プロセスとしては、まず、予め帯電ローラ2により表面を一様に帯電した感光体1に対し、露光装置68により送られてきた画像情報の信号に基づいた静電潜像が形成される。続いて、感光体1上に形成された静電潜像が、現像装置3によるトナー現像を経て、感光体1上にトナー像として顕在化する。その後、一次転写ローラ4により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト61上にトナー像が転写される。感光体1上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ5により回収される。また、現像装置3から消費された分のトナーは、現像剤補給容器10より供給されて、再び次の画像形成に備える。中間転写ベルト61は従動ローラ7(7a、7b)、テンションローラ6および二次転写内ローラ66等のローラによって張架され、図1中の矢印Xの方向へと搬送駆動される。先述したY、M、CおよびKの各画像形成装置により並列処理される各色の画像形成プロセスは、該中間転写ベルト61上に一次転写された上流色のトナー像上に重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト61上に形成され、二次転写部へと搬送される。
以上のようなプロセスを以って、二次転写部においてシートS上にフルカラーのトナー像が二次転写される。その後、シートSは定着器9へと搬送される。定着器9は、対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナー像を溶融固着させる。定着装置9により定着処理を受けたシートSは、排出トレイに601排出され画像形成動作が終了となる。
(トナー補給装置)
図2は画像形成装置60の外観図、図3はトナー補給装置605の斜視図である。画像形成装置60の正面側には、手動で開閉可能となっている前カバー70が備えられており、前カバー70を開くことでトナー補給装置605にアクセス可能な構成となっている(図2(b))。トナー補給装置605は、着脱可能な現像剤補給容器10(10Y、10M、10C、10K)、現像剤補給容器トレイ610、現像剤補給容器駆動装置611、現像剤補給容器用交換扉612、交換扉ロック解除装置613、内カバー620で構成される。現像剤補給容器トレイ610は、現像剤補給容器10を画像形成装置に装着する際のガイド機能と、装着された際に現像剤補給容器10を保持する機能をもつ。現像剤補給容器駆動装置611は現像剤補給容器10を回転動作させる機能を備え、現像剤補給容器10は回転することで現像剤補給容器10内のトナーを現像装置3へと搬送(補給)する機能を有する。内カバー620には、各色の現像剤補給容器に対応した着脱口621が設けられており、現像剤補給容器10の着脱は図3(b)で示すように、着脱口621を通り、矢印A方向で行われる。なお、図3(b)はシアン色の現像剤補給容器10Cの場合を示した図であり、他の色の現像剤補給容器の場合も同様の構成となっている。現像剤補給容器用交換扉612は、着脱口621(開口部)を開閉する扉であり、現像剤補給容器10の着脱は、現像剤補給容器用交換扉612が開いている場合にのみ可能となる。交換扉ロック解除装置613は、閉まっている状態の現像剤補給容器用交換扉612をロックする機能と、そのロックを解除する機能を有する装置であり、ロック解除のための駆動力は現像剤補給容器駆動装置611から受け取る。現像剤補給容器用交換扉612は、前カバー70のすぐ内側に備えられており、現像剤補給容器用交換扉が開閉動作するときは、前カバー70が開状態にある時に限られる。前カバー70の開閉状態は、前カバー開閉検知センサ71により検出される。以下では、トナー補給装置605の各部の詳細構成について説明する。
まず、図4、図5を用いて現像剤補給容器駆動装置611について説明する。図4(a)は、現像剤補給容器駆動装置611の斜視図、図4(b)は、現像剤補給容器駆動装置611の駆動伝達部のみを抽出した部品図である。現像剤補給容器駆動装置611は、駆動ベース650、駆動モータ652、ピニオンギア655、減速ギア656、伝達ギア657、駆動シャフト654、駆動ギア651、駆動カバー653、扉開閉検知センサ639、現像剤補給容器装着検出センサ640等で構成される。駆動モータ652は、駆動ベース650に固定され、駆動モータ652のモータシャフトにはピニオンギア655が圧入されている。減速ギア656は、駆動ベース650および駆動カバー653に対して回転自在に保持されており、ピニオンギア655と伝達ギア657の各々とギアの歯が噛み合う位置関係に配設されている。駆動シャフト654は、駆動ベース650に回転自在に保持されており、駆動シャフト654の一方の端部には伝達ギア657、もう一方の端部には駆動ギア651が固定されている。以上により、駆動モータ652の回転駆動が、ピニオンギア655、減速ギア656、伝達ギア657、駆動シャフト654を介して駆動ギア651まで伝達されることになる。扉開閉検知センサ639は、現像剤補給容器用交換扉612の開閉状態を検知するセンサであって、詳細は後述する交換扉ロック解除装置613の構成説明で記述する。現像剤補給容器装着検出センサ640は、装着部としての現像剤補給容器トレイ610に現像剤補給容器10が装着されることで、センサの光路が遮蔽される構成になっている。これにより、トナー補給装置605に現像剤補給容器10が装着されているかどうかを検出可能となっている。図5は、現像剤補給容器駆動装置611による現像剤補給容器10の回転駆動の動作を表した図である。図5に示す通り、現像剤補給容器10が装置に装着されている場合は、現像剤補給容器10に備えられているカートリッジギア11と駆動ギア651とはギアの歯が噛み合う位置関係に配設されており、駆動ギア651の回転により現像剤補給容器10が回転する構成となっている。
次に、図6、図7を用いて現像剤補給容器用交換扉612の構成と動作について説明を行う。図6は現像剤補給容器用交換扉612の斜視図、図7は現像剤補給容器用交換扉612近傍を側面方向から見た動作説明図である。現像剤補給容器用交換扉612は回動中心穴612a、ロック爪部612b、回転止め部612cを備える。回動中心穴612aは、内カバー620に備えられた回転軸620aに係合され、これにより現像剤補給容器用交換扉612は、内カバー620に回転自在に保持される。図7(a)は現像剤補給容器用交換扉612が閉まった状態、図7(b)は現像剤補給容器用交換扉612が開閉途中の状態、図7(c)は現像剤補給容器用交換扉612が開いた状態を示す。図7(a)に示す通り、現像剤補給容器用交換扉612が閉まっている状態の時は、ロック爪部612bがラッチ631と係合されているため、現像剤補給容器用交換扉612が内カバー620に対して回動することなく、現像剤補給容器用交換扉612が閉まった状態で保持される。なお、ラッチ631は、交換扉ロック解除装置613を構成する一部品であり、詳細は交換扉ロック解除装置613の構成説明で記述する。図7(b)に示す通り、ラッチ631とロック爪部612bの係合が解除されると、現像剤補給容器用交換扉612は回動可能となる。この時、現像剤補給容器用交換扉612の重心位置は、扉が開く側に設計されているため、ラッチ631とロック爪部612bの係合が解除されると自然と現像剤補給容器用交換扉612は扉が開く方向に回動する。そして、図7(c)に示す通り、内カバー620に設けられた回転止め部620bと回転止め部612cが突き当たる位置まで、現像剤補給容器用交換扉612が回動し、現像剤補給容器用交換扉612の姿勢は規定される。この状態が、現像剤補給容器用交換扉612が開いた状態となる。
次に、図8~10を用いて交換扉ロック解除装置613(開閉機構)について説明する。図8(a)は、交換扉ロック解除装置613の斜視図、図8(b)は、交換扉ロック解除装置613を部分的に拡大した装置下面方向から見た斜視図である。交換扉ロック解除装置613は、ラッチ631、解除装置ベース632、シャフト633、ラッチ駆動部材634、ラッチばね635、シャフトばね636、伝達ギア638で構成される。ラッチ631は、解除装置ベース632に回動自在に保持されており、その端部にはラッチばね635が張架されている。ラッチばね635は引っ張りばねであって、もう一方の端部は解除装置ベース632に固定されている。シャフト633は、一方の端部の近傍で解除装置ベース632に回転自在かつ、軸方向にもスライド自在に保持される。そして、シャフト633のもう一端側の近傍には、ワンウェイギア638が固定されている。シャフトばね636は、圧縮ばねであって、片方の端部はシャフト633で支持され、もう片方の端部は解除装置ベース632に支持される。これにより、シャフト633は、解除装置ベース632に対して図8(b)の矢印方向の力が常に付勢されることになる。ラッチ駆動部材634はシャフト633に保持されつつ、解除装置ベース632に対しては、軸方向の位置が固定されるように配設されている。つまり、シャフト633は、ラッチ駆動部材634に対しても軸方向にスライド自在な関係となっている。以下では、図9を用いて、シャフト633とラッチ駆動部材634の関係についてもう少し詳細に説明する。図9は、シャフト633とラッチ駆動部材634のみを抽出した説明図であり、説明のため図9(b)、(c)では、ラッチ駆動部材634の形状の一部を切り取った図となっている。図9(d)は、図9(a)の矢印方向からみた図となっている。図9に示す通り、ラッチ駆動部材634は概円筒形状をしており、円筒内部をシャフト633が通る形で、シャフト633に保持される。さらに、シャフト633には駆動伝達部633aが、ラッチ駆動部材634には、駆動伝達部634aとラッチ駆動部634bが備えられている。駆動伝達部633aと駆動伝達部634aの形状は図9(d)に示す通り、内歯と外歯の歯車のような関係になっており、シャフト633の回転駆動がラッチ駆動部材634へと伝達可能する関係になっている。なお、前述した通り、シャフト633とラッチ駆動部材634の軸方向の相対位置はスライド可能な関係にあるため、駆動が伝達可能なのは、駆動伝達部633aと駆動伝達部634aの軸方向位置が同じ場合に限る。当然ではあるが、軸方向の位置が異なる場合は、駆動力の伝達が不可能となることになる。
交換扉ロック解除装置613の画像形成装置本体への組み付けは、解除装置ベース632が内カバー620に固定され、シャフト633の解除装置ベース632に保持されている側と反対側の端部が、駆動ベース650に回動自在かつ、軸方向にスライド自在に保持される。この時、図10に示す通り、伝達ギア638は駆動ギア651とギアの歯が噛み合う位置関係に配設され、駆動ギア651の回転方向に応じて、シャフト633に回転駆動が伝達する構成となっている。さらに、シャフト633の端部は、扉開閉検知センサ639の検知領域を遮蔽可能な位置関係となっている。
次に、図11、図12を用いて現像剤補給容器用交換扉612を開閉させる際の交換扉ロック解除装置613の一連の動作について説明する。図11(a)は、現像剤補給容器用交換扉612が閉まっている状態を示す図である。前述した通り、現像剤補給容器用交換扉612が閉まっている状態では、現像剤補給容器用交換扉612に備えられたロック爪部612bが、ラッチ631によって保持されているため、現像剤補給容器用交換扉612が回動することなく閉まった状態を維持することを可能としている。ラッチ631は、ラッチばね635により付勢されているため、外力が加わることがない限りこの姿勢を保つようになっている。シャフト633は、シャフトばね636により装置本体手前側(現像剤補給容器用交換扉612側)に付勢され、シャフト633の端部が閉まった状態の現像剤補給容器用交換扉612と当接することで(図11(a)のP点)、軸方向の位置が規定されている。この時、シャフト633の反対側の端部は、扉開閉検知センサ639の検知領域を遮蔽する位置関係となっており、これにより現像剤補給容器用交換扉612が閉まっている状態と判断している。また、シャフト633の駆動伝達部633aとラッチ駆動部材634の駆動伝達部634aとは、噛み合うスラスト位置関係にあるため(図9(b)参照)、シャフト633とラッチ駆動部材634とは駆動伝達可能な位置関係にある。図11(b)は、現像剤補給容器用交換扉612を開ける動作をさせた状態の時を示す図である。現像剤補給容器用交換扉612を開けるためには、まず、駆動モータ652によって、駆動ギア651を図10D方向に回転させる。駆動ギア651の回転により、ワンウェイギア638、シャフト633へと回転駆動が伝達し、シャフト633は図12に示したE方向へと回動することになる。このとき、シャフト633とラッチ駆動部材634は駆動が伝達する位置関係にあるため、ラッチ駆動部材634も同様のE方向に回動する。ラッチ駆動部材634の回動により、ラッチ駆動部634bがラッチ631の後端部(図12_631a)が押し下げられ、ラッチ631も図12のF方向に回動して図11(b)の状態となる。図11(b)の状態では、ラッチ631が、回動することで、現像剤補給容器用交換扉612のロック爪部612bとの係合が外れた状態となっている。これにより、前述した通り、現像剤補給容器用交換扉612は自重により扉が開く方向へと回動を始める。また、シャフト633は、現像剤補給容器用交換扉612による軸先端部でのスラスト位置規制がなくなるため、シャフトばね636により装置本体手前側(現像剤補給容器用交換扉612側)へとスラスト移動する。なお、シャフトバネ636によるシャフト633をスラスト移動させる力は、現像剤補給容器用交換扉612を回動させるための補助的な機能を果たす。現像剤補給容器用交換扉612は、自重により回動することは前述した通りだが、たとえば、回動部に異物が挟まり自重では回動しにくい状態にあっても、「シャフトバネ636によるシャフト633をスラスト移動させる力=現像剤補給容器用交換扉612を開く方向に押す力」となるので、確実に現像剤補給容器用交換扉612を開くことが可能となる。図11(c)は、現像剤補給容器用交換扉612が開いた状態を示す図である。現像剤補給容器用交換扉612による位置規制を解除されたシャフト633は、解除装置ベース632に設けられた632aに突き当たるまでスラスト移動し、現像剤補給容器用交換扉612が開いている状態における位置が規定される。このとき、シャフト633に設けられた駆動伝達部633aとラッチ駆動部材634に設けられた駆動伝達部634aは、回転駆動が伝達しない位置関係となっている。これにより、ラッチ駆動部634bから入力されていたラッチ631を回動させる力が解除されるので、ラッチ631はラッチばね635により、図11(a)と同じ姿勢に戻る。また、シャフト633の扉開閉検知センサ639側の端部は、扉開閉検知センサ639の検知領域から離間する位置関係となっており、これにより現像剤補給容器用交換扉612が開いている状態と判断している。開いている現像剤補給容器用交換扉612を再び閉まった状態に戻す際には、開いている現像剤補給容器用交換扉612を手動で閉めることで行う。この時、シャフト633の先端部とラッチ631は現像剤補給容器用交換扉612により自然と押されて、それぞれ図11(a)に示した状態へと戻る。
以上により、現像剤補給容器用交換扉612の開動作の制御を現像剤補給容器用の駆動と同一駆動源を用いて行うことを可能としている。
次に、トナー補給装置の制御構成について説明する。図13は、トナー補給装置に関する動作を制御する制御構成40を示すブロック図である。図13に示す通り、制御構成40は、CPU400、システムコントローラ410、表示パネル73、前カバー制御部421、トナー補給制御部422、現像装置制御部423、現像剤補給容器回転制御部424で構成される。制御手段としてのCPU400は、ROM401、RAM402及びEEPROM403を有する。ROM401には、画像形成装置60の全体を制御するための制御プログラムが保存されている。RAM402は、CPU400の作業領域として使用されるとともに、画像データなどの種々のデータを一時的に保存するために使用される揮発性の記憶デバイスである。EEPROM403は、不揮発性の記憶デバイスであり、現像器3内のトナー残量等の種々のデータを保存する。CPU400は、ROM401に保存されている制御プログラムをRAM402へ読み出して実行することによって、画像形成装置60の全体を制御する。CPU400は、不図示の制御ブロックや各種ドライバを介して、前カバー制御部421、トナー補給制御部422、現像装置制御部423の各駆動系に電気的に接続されている。前カバー制御部421では、前カバー70の開閉状態を検出制御している。トナー補給制御部422では、トナー補給動作や現像剤補給容器用交換扉の開閉制御を行っている。現像装置制御部423は現像装置3内のトナー濃度制御などを行っている。現像剤補給容器回転制御部424は現像剤補給容器10の回転位置の制御などを行っている。
(現像剤補給容器
次に、現像剤補給容器10の構成について、図14、図15を用いて説明する。ここで、図14(a)は現像剤補給容器10の全体斜視図、図14(b)は現像剤補給容器10の排出口4a周辺の部分拡大図である。また、図15は現像剤補給容器10の断面斜視図である。
現像剤補給容器10は、図14(a)に示すように、中空円筒状に形成され内部に現像剤を収容する内部空間を備えた収容部2(容器本体とも呼ぶ)を有している。本例では、円筒部2kと排出部4c(図5参照)、ポンプ部3a(図5参照)が、現像剤を収容する機能を有する。さらに、現像剤補給容器10は、収容部2の長手方向(現像剤搬送方向)の一端側にフランジ部4(非回転部とも呼ぶ)を有している。また、円筒部2kは、このフランジ部4に対して回転可能に構成されている。
(フランジ部)
このフランジ部4には、図15に示すように、円筒部2kから搬送されてきた現像剤を一時的に収容するための中空の排出部(現像剤排出室)4cが設けられている。そして、排出部4cの下方には、傾斜リブ6aが搬送する現像剤を排出する後述するシャッタ4bに設けられた排出口4aを有し、排出口4aの上部には、排出口4aと現像剤補給容器10の内部とを連絡する排出前の現像剤を一定量貯留可能な貯留部4dが設けられている。
フランジ部4には、排出口4aを開閉するシャッタ4bが設けられている。シャッタ4bは、現像剤補給容器10のトナー補給装置605への装着動作に伴い、円筒部2kの回転軸線方向へ現像剤補給容器10に対して相対的にスライドする。その結果、シャッタ4bの移動に伴って排出口4aも移動し、排出口4aと貯留部4dが連通することで開封動作が完了する。
また、図15に示すように、円筒部2kから螺旋状の凸部(搬送突起)2cにより搬送されてきた現像剤を、排出部4cへと搬送するための板状の搬送部材6が設けられている。この搬送部材6は、収容部2の一部の領域を略2分割するように設けられており、円筒部2kとともに一体的に回転する構成となっている。そして、この搬送部材6にはその両面に円筒部2kの回転軸線方向に対し、排出部4c側に傾斜した傾斜リブ6aが複数設けられている。『搬送部』としての傾斜リブ6aは、円筒部2kの内部で円筒部2kと一体となって回転しつつ現像剤を搬送する部位である。
上記の構成により、搬送突起2cにより搬送されてきた現像剤は、円筒部2kの回転に連動してこの板状の搬送部材6により鉛直方向で下方から上方へと掻き上げられる。その後、円筒部2kの回転が進むに連れて、重力によって搬送部材6の表面上を滑り落ち、やがて傾斜リブ6aによって排出部4c側へと受け渡される。本構成においては、この傾斜リブ6aは、円筒部2kが半周する毎に現像剤が排出部4cへと送り込まれるように、搬送部材6の両面に設けられている。
(円筒部)
次に、円筒部2kについて図14、図15を用いて説明する。
『現像剤収容室』としての円筒部2kは、現像剤を収容可能な部屋である。円筒部2kは、図14、図15に示すように、円筒部2kの内面には、収容された現像剤を自らの回転に伴い、現像剤排出室として機能する排出部4c(排出口4a)に向けて搬送する搬送部として機能する螺旋状に突出した搬送突起2cが設けられている。また、円筒部2kは、上述した材質の樹脂を用いてブロー成型法により形成されている。
(ポンプ部)
次に、往復動に伴いその容積が可変なポンプ部3aについて図15を用いて説明する。本例のポンプ部3aは、排出口4aを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。言い換えると、ポンプ部3aは、排出口4aを通して現像剤補給容器10の内部に向かう気流と現像剤補給容器10から外部に向かう気流を交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。ポンプ部3aは、少なくとも排出口4aに対して圧力を作用させるために円筒部2kの内部の容積を現像剤補給容器10の長手方向に変更可能な部位である。
そして、本例では、ポンプ部3aとして、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ部(蛇腹状ポンプ)を採用している。具体的には、図15に示すように、蛇腹状のポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。従って、このポンプ部3aは、補給装置201から受けた駆動力により、圧縮、伸張を交互に繰り返し行うことができる。
(駆動力受け機構)
次に、搬送突起2cを備えた円筒部2kを回転させるための回転駆動力をトナー補給装置605から受ける、現像剤補給容器10の駆動力受け機構(駆動力受部、駆動力受け部)について説明する。現像剤補給容器10には、図14(a)に示すように、トナー補給装置605の駆動源ギア651(駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動力受け機構として機能するギア部2dが設けられている。このギア部2dは、円筒部2kと一体的に回転可能な構成となっている。
(駆動力変換機構)
次に、現像剤補給容器10の駆動力変換機構(駆動変換部)について説明する。なお、本例では、駆動力変換機構の例としてカム機構を用いた場合について説明する。現像剤補給容器10には、ギア部2dが受けた円筒部2kを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部3aを往復動させる方向の力へ変換する駆動力変換機構として機能するカム機構が設けられている。つまり、本例では、ギア部2dが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器10側で往復動力へ変換することで、円筒部2kを回転させる駆動力とポンプ部3aを往復動させる駆動力を、1つの駆動力受部(ギア部2d)で受ける構成としている。
ここで、図16(a)はポンプ部3aが使用上で最大限に伸張された状態の部分図、図16(b)はポンプ部3aが使用上で最大限に収縮された状態の部分図、図16(c)はポンプ部の図である。図16(a)、(b)に示すように、回転駆動力をポンプ部3aの往復動力に変換する為に介する部材としては往復動部材3bを用いている。具体的には、駆動ギア651から回転駆動を受けた駆動力受部(ギア部2d)と、一体となっている全周に溝が設けられているカム溝2eが回転する。このカム溝2eについては後述する。このカム溝2eには、往復動部材3bから一部が突出した係合突起3cがカム溝2eに係合している。
そして、『駆動力変換部』としてのカム溝2e、往復動部材3bは、ギア部2dが傾斜リブ6aを回転させるためにも受けた回転駆動力を、ポンプ部3aが現像剤補給容器10の長手方向に動作して現像剤を搬送する搬送駆動力へと変換する。なお、本例では、この往復動部材3bは図16(c)に示すように、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように(ガタ程度は許容する)回転規制部3fによって規制されている。このように、回転が規制されることで、カム溝2eの溝に沿って(図15(b)の矢印X方向もしくは逆方向)往復動するように規制されている。
さらに、係合突起3cはカム溝2eに複数の個所で係合するように設けられている。具体的には、円筒部2kの外周面に2つの係合突起3c(係合部)が約180°対向するように設けられている。
ここで、係合突起3cの配置個数については、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部3aの伸縮時の抗力により駆動力変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われない恐れがあるため、後述するカム溝2e形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
つまり、駆動ギア300から入力された回転駆動力でカム溝2eが回転する。カム溝2eに沿って係合突起3cが矢印X方向もしくは逆方向に往復動作をする。このことで、ポンプ部3aが伸張した状態(図16(a))とポンプ部3aが収縮した状態(図16(b))を交互に繰り返すことで、現像剤補給容器10の容積可変を達成することができる。
(現像剤補給工程)
次に、現像剤補給容器10による現像剤補給工程について説明する。図17は前述の駆動力変換機構(係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)における、カム溝2eの展開図を示したものである。カム溝2eの詳細については後述する。
本例では、後述のように、ポンプ部動作による吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)と排気工程(排出口4aを介した排気動作)とポンプ部非動作による動作停止工程(排出口4aから吸排気が行われない)が行われる。そして、駆動力変換機構が回転駆動力を往復動力へ変換する構成となっている。以下、吸気工程と排気工程と動作停止工程について、順に、詳細に説明する。
(吸気工程)
まず、吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)について説明する。上述した駆動力変換機構(カム機構)によりポンプ部3aが最も縮んだ状態の図16(b)からポンプ部3aが最も伸びた状態の図16(a)になることで、吸気動作が行われる。つまり、この吸気動作に伴い、現像剤補給容器10の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、排出部4c)の容積が増大する。
その際、現像剤補給容器10の内部は排出口4aを除き実質密閉された状態となっており、さらに、排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器10の現像剤Tを収容し得る部位の容積増加に伴い、現像剤補給容器10の内圧が減少する。このとき、現像剤補給容器10の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのため、現像剤補給容器10外にあるエアーが、現像剤補給容器10内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器10内へと移動する。
その際、排出口4aを通して現像剤補給容器10外からエアーが取り込まれるため、排出口4a近傍に位置する現像剤Tを解す(流動化させる)ことができる。具体的には、排出口4a近傍に位置する現像剤に対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤Tを適切に流動化させることができる。更に、この際、エアーが排出口4aを介して現像剤補給容器10内に取り込まれるため、現像剤補給容器10の内圧はその容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍を推移することになる。
このように、現像剤Tを流動化させておくことにより、後述する排気動作時に、現像剤Tが排出口4aに詰まってしまうことなく、排出口4aから現像剤をスムーズに排出させることが可能となるのである。従って、排出口4aから排出される現像剤Tの量(単位時間当たり)を、長期に亘り、ほぼ一定とすることが可能となる。
なお、吸気動作が行われる為に、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びた状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びる状態の途中で停止したとしても、現像剤補給容器10の内圧変化が行われれば吸気動作は行われる。
(排気工程)
次に、排気工程(排出口4aを介した排気動作)について説明する。ポンプ部3aが最も伸びた状態の図16(a)からポンプ部3aが最も縮んだ状態の図16(b)になることで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤補給容器10の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、排出部4c)の容積が減少する。その際、現像剤補給容器10の内部は排出口4aを除き実質密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。従って、現像剤補給容器10の現像剤Tを収容し得る部位の容積が減少していくことで現像剤補給容器10の内圧が上昇する。
このとき、現像剤補給容器10の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、現像剤Tは現像剤補給容器10内外の圧力差により、排出口4aから押し出される。つまり、現像剤補給容器10から補給装置201へ現像剤Tが排出される。現像剤Tとともに現像剤補給容器10内のエアーも排出されていくため、現像剤補給容器10の内圧は低下する。以上のように、本例では、1つの往復動式のポンプ部3aを用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤排出に要する機構を簡易化することができる。
(カム溝)
次に、本実施例の最も特徴的であるカム溝2eについて図17、図18、図19を用いて説明する。図17は駆動力変換機構部の展開図であり、円筒部2kの1回転分の展開図となっている。また図18は、円筒部2kの部分斜視図である。図19は図17で示すD-D断面線における部分断面図である。図16から図18に示すように、現像剤補給容器10を周回し、かつ現像剤補給容器10の回転方向に沿って蛇行するようにカム溝2eが現像剤補給容器10に設けられている。
ここで、図17において、矢印Aは円筒部2kの回転方向(カム溝2eの移動方向)、矢印Bはポンプ部3aの伸張方向、矢印Cはポンプ部3aの圧縮方向を示す。また、カム溝2eは、ポンプ部3aの伸縮の際に使用される第1のカム溝2pと、後述するロック部2mが配置された第2のカム溝2nから構成される。第2のカム溝2nは第1のカム溝2pに接続されている。
第1のカム溝2pはポンプ部3aを圧縮させる際に使用されるカム溝2gと、ポンプ部3aを伸張させる際に使用するカム溝2hと、前述したポンプ部3aが往復動作しないカム溝(ポンプ部非動作部)2iで構成される。
前述の往復動部材3bは、第1カム溝2pと第2カム溝2nに沿って一部が係合しつつ移動することで現像剤補給容器10の長手方向に往復動する。また、往復動部材3bの一部である係合突起3cは、現像剤補給容器10が生産された際の初期位置として第2カム溝2nに係合している。すなわち、現像剤補給装置への装着歴の現像剤補給容器10に関して係合突起3cは第2カム溝2nに収められている。その後、画像形成装置に装着された後、現像剤補給容器10が駆動されカム溝2eがA方向に移動することで第1カム溝2pに合流し、その後は第1カム溝2pのみに係合しつつ動作する。
また、第1カム溝2pと第2カム溝2nとの接続部は、カム溝2gのC方向下流側の端部にて接続される構成となっている。
また、第2のカム溝2n上にはロック部2mが設けられている。図19に示す通り本実施例のロック部2mは、断面が台形形状となっており、回転方向に傾斜したロック面2m1と、抑制壁2m2を有している。ここでロック面2m1の傾斜角度をα1(現像剤補給容器10の回転中心からロック面2m1と第2カム溝2nの交点を結ぶ線に対するロック面の角度)、抑制壁の傾斜角度をα2(現像剤補給容器10の回転中心からロック面2m1と第2カム溝2nの交点を結ぶ線に対する抑制壁の角度)、ロック部2mの段差量をKとする。
次に係合突起3cとカム溝2p、2nの実際の動作について説明する。前述した通り現像剤補給容器10を初めて使用する際には係合突起3cは第2カム溝2nに対して円筒部2kの回転方向下流側の位置にある(図17参照)。本例では係合突起3cは180度対向側に2か所設けられているため、2つある第2カム溝2nのそれぞれに配置されている。
図17に示すようにカム溝2n内に係合突起3cが係合している状態からカム溝2eがA方向へ回転すると、係合突起3cは第2カム溝2nに沿ってA方向とは逆方向へ相対移動する。そして、係合突起3cはカム溝2n、ロック部2mを通って第1カム溝2pへ移動する。ロック部2mについての機能の詳細は後述する。その後、ポンプ部3aの動作としては、係合突起3cがカム溝2iを通過する際にはポンプ動作は行われず前述した動作停止工程となる。また、カム溝2hを通過する際にはポンプ部3aは伸長する方向(B方向)に動き、前述した吸気工程、更にカム溝2gを通過する際にはポンプ部3aは圧縮する矢印C方向に動き、前述した排気工程となる。この時のポンプ部3aの往復動作の振幅は図17で示すHとなる。また、第1カム溝2pへ移動した係合突起3cは、カム溝2i→カム溝2h→カム溝2gを通過し、その後は定常的に第1カム溝2p上を移動することとなる。
ここで、ロック部2mの機能について詳細を説明する。係合突起3cは現像剤補給容器10が生産されてから物流を経て本体内で使用されるまでは図17に示すように第2カム溝2n内で、かつロック部2mよりも回転方向下流側(矢印Aの下流方向)に位置している。物流による振動により円筒部2kが回転した場合であっても、ロック部2mに係合突起3cが当接することでそれ以上回転しないよう回転が抑制されるようにしている。具体的には物流により生じる回転力に対し、係合突起3cがロック面2m1に当接することで回転抵抗を受け、物流での回転力<ロック面2m1による回転抵抗力となるように設定している。これによりロック部2mに係合突起3cが当接した際には、係合突起3cとカム溝2eとの相対回転を抑制する。この回転抵抗力はロック面2m1の傾斜角α1と段差量Kで調整することができる。傾斜角α1を小さくしていくことで、回転方向に対してより急な傾斜で係合突起3cが当接することになるため回転抵抗力が増加する。傾斜角α1については、0°にしてしまうと係合突起3cが完全にロックしてしまい、ロック部2mを乗り越えることができなくなってしまうため、傾斜角α1>0°である必要がある。傾斜角α1については物流により生じる回転力と乗り越えの際のトルク上昇のバランスをみて適宜設定することができる。
また、本実施形態では段差量Kを大きくすることでも回転抵抗力を上げることができる。図19に示すように係合突起3cは回転規制部3fにより外側を抑えられている。したがって、係合突起3cがロック部2mを乗り越える際には係合突起3cが変位して回転規制部3fの一部を変形させることとなる。この際、回転規制部3fの変形量が増加するに伴い、変形に対する弾性力は増加していく。そのため、段差量Kを大きく設定することで、回転規制部3fの変形量が増加し、それにより弾性力も増加する。その結果、ロック部2mを乗り越えるための回転抵抗力は増加する。この段差量Kについても傾斜角α1との組み合わせで、物流で生じる回転力と乗り越えの際のトルク上昇のバランスをみて適宜設定することができる。
次にロック部2mにおいてロック面2m1の反対側に設けられている抑制壁2m2について説明する。抑制壁2m2の機能は、係合突起3cが第1カム溝2pから第2カム溝2nへ移動しないように抑制するものである。ロック面2m1の傾斜角度α1の場合と同様、傾斜角α2の大きさに応じて回転抵抗力が変化する。傾斜角α2が小さくなれば回転抵抗力が増加し、傾斜角α2が大きくなれば回転抵抗力が減少する。通常図17に示すようにカム溝2eの移動方向が矢印Aで動作する場合は係合突起3cが第1カム溝2pに移動した後はそもそも第1カム溝2pから第2カム溝2nへ移動することはない。ただ、何らかの目的により反対方向(第2の方向)に回転させた際にはこの抑制壁2m2により係合突起3cが第2カム溝2nへ移動するのを抑制することができる。
以上の構成とすることにより、係合突起3cは生産時に第2カム溝2nに位置するように組み立てられた後、物流による振動で係合突起3cとカム溝2eが相対回転したとしても、ロック部2mにより回転が抑制され、第2カム溝2nから第1カム溝2pへの移動を防ぐことができる。前述したように、第1カム溝2pと第2カム溝2nとの接続部は、カム溝2gのC方向下流側の端部にて接続される構成となっており、これにより係合突起3は第2カム溝2nから第1カム溝2pに移動した後はその後、カム溝2i→カム溝2hの順に移動する。その際ポンプ部3bは係合突起3cが第1カム溝2n上にいる際には縮状態となっており、その後カム溝2hを移送する際に伸長するよう動作する。
(現像剤補給容器の交換時における制御動作フロー)
次に、本実施例の特徴である、現像剤補給容器交換時の動作フローについて、図20に示す現像剤補給容器交換時の制御シーケンスのフローチャートと、図21に示す駆動力変換機構部の展開図と、を用いて説明する。
まず、画像形成装置が現像剤補給容器交換の動作信号を検知する(S800)。なお、動作信号を検知する状況は2つあり、1つは現像剤補給容器残量検出手段で現像剤補給容器10内部にトナーが入っていないことを検知した場合で、現像剤補給容器残量検出手段としては、例えば、現像装置3内のトナー検知センサ(31)で検出されたトナー濃度から推定する手段等が挙げられる。もう一つは、ユーザーが意図的に新品の現像剤補給容器を交換する場合で、その際はユーザーが表示パネル73(図2参照)を操作することで現像剤補給容器交換の動作信号が発信される。本発明の効果は、ユーザーが新品に交換後、意図的に別の新品に交換した際に発生するので、以降その状況を前提に説明する。従って、最初に装着した新品は、図17に示すように、往復動部材3bの一部である係合突起3cが、現像剤補給容器10が生産された際の初期位置として第2カム溝2nに係合している。
次に、前カバー開閉検知センサ71を監視して(S801)、前カバー70が開いていることを検出したら、交換対象となる現像剤補給容器に対応する駆動モータ652を正回転させる(S802)。以降、駆動モータ652の通常補給時に現像剤補給容器10を回転させる方向を正回転方向、現像剤補給容器用交換扉612を開動作させるための回転方向を逆回転方向と定義する。
駆動モータ652を正回転させたら、次に現像剤補給容器10の現像剤補給容器回転検知センサ32を監視する(S803)。現像剤補給容器10が所定量正回転したことを検知したら、駆動モータ652の回転を停止する(S804)。ここで、前述の所定量は、図21(a)に示すように、往復動部材3bの係合突起3cが第2カム溝2nに沿ってA方向の逆方向に移動して、ロック部2mを乗り越えて第1カム溝2iに合流するまでの回転量に設定する。
次に、交換対象となる現像剤補給容器に対応する駆動モータ652を逆回転させる(S805)と、現像剤補給容器10もA方向の逆方向に回転(第1の回転方向とは反対方向の第2の回転方向への回転)する。そして、図21(b)に示すように、往復動部材3bの係合突起3cも第1カム溝2iに沿ってA方向に移動して、ロック部2mに当接する。この際、前述のように、抑制壁2m2の機能により、係合突起3cはロック部2mを乗り越えずに、第1カム溝2pに合流する。それ以降は、係合突起3cは第1カム溝のみに係合しつつ移動する。
駆動モータ652を逆回転させたら、交換対象となっているステーションの扉開閉検知センサ639を監視する(S806)。扉開閉検知センサ639の監視により対象現像剤補給容器用交換扉612が開いたことを検出したら、駆動モータ652を停止して終了する(S807、S808)。
以上により、現像剤補給容器を装置本体内で回転させるための駆動モータを逆回転させて交換用扉を開放させる画像形成装置に、往復動部材の抑制部による抑制作用が正回転の時のみ解除される現像剤補給容器を使用する構成であって、ユーザーが新品の現像剤補給容器を画像形成装置に装着後、補給動作を始める前に何らかの理由で別の新品の補給容器に交換する場合であっても、最初に駆動モータを正回転させて抑制部による抑制作用を解除した後に、駆動モータを正回転させて補給容器の交換用扉を開放させる。これにより、往復動部材のロックによるトルクエラーの発生を防止することができる。