以下、本実施形態について説明する。まず、画像形成装置について概要を説明し、続いて、この画像形成装置に搭載される現像剤補給装置並びに現像剤補給容器について説明する。
[画像形成装置]
本実施形態の現像剤補給容器(所謂、トナーカートリッジ)が挿抜可能な現像剤補給装置を搭載した画像形成装置として、電子写真方式を採用した画像形成装置について図1を用いて説明する。
画像形成装置100は、まず原稿台ガラス102の上に置かれた原稿101を読み取って画像情報を取得する、あるいは装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から送信された画像情報を取得する。そして、取得した画像情報に応じた光像を光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、電子写真感光体(以下、感光体104)上に結像させることにより、感光体104に静電潜像が形成される。この静電潜像は、乾式の現像器(1成分現像器)201aにより現像剤としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて可視化される。
なお、本実施形態では現像剤補給容器1から補給すべき現像剤として1成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。
具体的には、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器を用いる場合、現像剤として1成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤を用いて現像を行う2成分現像器を用いてもよく、その場合、現像剤として非磁性トナーを補給することなる。なお、この場合、現像剤として非磁性トナーとともに磁性キャリアも併せて補給する構成であってもよい。
記録材(以下、シートと呼ぶ)は、カセット105~108に積載された状態で収容されている。これらカセット105~108のうち、装置本体に設けられた操作部(不図示)から操作者が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基に、最適なサイズのシートPが収容されているカセットが選択される。そして、選択されたカセット105~108のいずれかから、給送分離装置105A~108AによりシートPが1枚ずつ搬送される。なお、シートPとしては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
給送分離装置105A~108Aにより搬送された1枚のシートPは、搬送部109を経由してレジストレーションローラ110まで搬送される。レジストレーションローラ110は、感光体104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させてシートPを転写帯電器111へ搬送する。転写帯電器111は、感光体104上に形成された現像剤によるトナー像をシートPに転写する。そして、分離帯電器112は、トナー像の転写されたシートPを感光体104から分離する。その後、搬送部113により搬送されたシートPは、定着部114において加熱及び加圧される。これにより、シートP上のトナー像が定着される。
シートPの片面のみに画像形成する片面印刷の場合、トナー像が定着されたシートPは排出反転部115を通過して、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。他方、シートPの両面に画像形成する両面印刷の場合、片面にトナー像が定着されたシートPは、排出反転部115を通って、排出ローラ116により一部が装置外へ一度排出される。その後、シートPの終端がフラッパ118を通過すると、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングで、フラッパ118が制御されると共に排出ローラ116が逆回転されることにより、シートPは装置本体内へ戻される。そして、再給送搬送部119,120を経由してレジストレーションローラ110まで搬送され、片面印刷の場合と同様にしてトナー像が定着されて排出トレイ117へ排出される。
上記構成の画像形成装置100において、感光体104の周りには現像手段としての現像器201a、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、現像器201aは原稿101の画像情報に基づき光学部103により感光体104に形成された静電潜像に現像剤を付着させることにより現像するものである。また、一次帯電器203は、感光体104上に所望の静電像を形成するため感光体表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光体104に残留している現像剤を除去するためのものである。
[現像剤補給装置]
次に、現像剤補給容器1を着脱可能な現像剤補給装置201について、図1乃至図4を用いて説明する。ここで、図2(a)は現像剤補給装置201の部分断面図、図2(b)は現像剤補給容器1が挿抜可能な装着部10の外観斜視図、図2(c)は装着部10の断面図を示している。また、図3は、制御系並びに、現像剤補給容器1と現像剤補給装置201を部分的に拡大した断面図を示している。図4は、制御系による現像剤補給の流れを説明するフローチャートである。
現像剤受入れ装置としての現像剤補給装置201は、図1に示すように、現像剤補給容器1を装着可能な装着部10と、現像剤補給容器1から排出された現像剤を一時的に貯留するホッパ10aと、現像器201aと、を有している。現像剤補給容器1は、図2(c)に示すように、装着部10に対して図中矢印M方向に挿入される構成となっている。現像剤補給容器1の回転軸線方向(長手方向)は、ほぼこの挿入方向と一致する。なお、現像剤補給容器1の装着部10からの離脱方向(抜き出す方向)は、図中矢印M方向と反対方向である。
現像器201aは、図1及び図2(a)に示すように、現像ローラ201fと、撹拌部材201cと、送り部材201d、201eとを有している。そして、現像剤補給容器1から補給された現像剤は撹拌部材201cにより撹拌され、送り部材201d、201eにより現像ローラ201fに送られて、現像ローラ201fにより感光体104に供給される。
なお、現像ローラ201fには、ローラ上の現像剤コート量を規制する現像ブレード201g、現像器201aとの間の現像剤の漏れを防止するために現像ローラ201fに接触配置された漏れ防止シート201hが設けられている。
装着部10には、図2(b)に示すように、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部4(後述する図6(a)参照)に当接することでフランジ部4の回転方向への移動を規制する、回転方向規制部(保持機構)11が設けられている。
装着部10は現像剤補給容器1が装着された際に、図3に示すように、現像剤補給容器1の排出口4aと連通することにより、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れる現像剤受入れ口13を有する。そして、現像剤補給容器1の排出口4aから現像剤が現像剤受入れ口13を通してホッパ10aに供給される。ホッパ10aは、現像器201aへ現像剤を搬送するための搬送スクリュー10bと、現像器201aと連通した開口10cと、ホッパ10a内に収容されている現像剤の量を検出する現像剤センサ10dを有している。現像剤補給容器1から排出された現像剤は、ホッパ10aによって現像器201aへと供給される。
なお、本実施形態において、現像剤受入れ口13の直径は、装着部10内での現像剤による汚れを可及的に防止する目的より、微細口(ピンホール)として約2mmに設定されている。なお、現像剤受入れ口13の直径は排出口4aから現像剤が排出できる直径であればよい。
また、装着部10は、図2(b)、図2(c)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有している。この駆動ギア300は、駆動モータ500(図3参照)から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部10にセットされた状態にある現像剤補給容器1(詳しくは後述する現像剤収容部2)に対し回転駆動力を付与する機能を有している。
図3に示すように、駆動モータ500は、制御装置600によりその動作を制御される。制御装置600は、現像剤センサ10dから入力された現像剤残量情報に基づき、駆動モータ500の動作を制御する。制御装置600は、駆動モータ500の制御の他、画像形成装置100全体の制御を行う。このような制御装置600は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するものである。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
なお、本実施形態において、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化させるため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する構成となっている。したがって、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を現像剤補給容器1に付与する構成に比して、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化を図ることができる。
[現像剤補給容器の着脱方法]
次に、現像剤補給容器1の着脱方法について説明する。まず、操作者は装着部10に設けられた交換カバー(不図示)を開いて、現像剤補給容器1を装着部10へ挿入する。操作者によって装着部10の奥まで現像剤補給容器1が挿入されると、現像剤補給容器1の現像剤補給装置201への装着が完了する。その後、操作者は交換カバーを閉じる。ここで、現像剤補給容器1が装着された状態では、現像剤補給容器1のフランジ部4が装着部10に保持、固定されている。
現像剤補給容器1内の現像剤が空となったような場合、操作者は交換カバーを開き、装着部10から現像剤補給容器1を離脱させる(取り出す)。そして、現像剤が充填されている別の現像剤補給容器1を装着部10へと挿入、装着した後、交換カバーを閉じる。こうして、操作者は現像剤補給容器1の交換作業を行う。
[現像剤補給装置による現像剤補給制御]
次に、現像剤補給装置201による現像剤補給制御について、図4のフローチャートに基づき説明する。この現像剤補給制御は、制御装置(CPU)600により各種機器を制御することにより実行される。本実施形態では、現像剤センサ10dの出力に応じて制御装置600が駆動モータ500の作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ10a内に一定量以上の現像剤が収容されないように構成している。
具体的には、まず、現像剤センサ10dがホッパ10a内の現像剤収容量をチェックする(S100)。そして、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量未満である場合、つまり、現像剤センサ10dにより現像剤が検出されなかった場合(S100のNo)、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤の補給動作を実行する(S101)。
現像剤補給動作の結果、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量に達した場合、つまり現像剤センサ10dにより現像剤が検出された場合(S100のYes)、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤の補給動作を停止する(S102)。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給工程が終了する。
このような現像剤補給工程は、画像形成に伴い現像剤が消費されてホッパ10a内の現像剤収容量が所定値未満となると、繰り返し実行される構成となっている。
なお、現像剤補給装置201は、上述したような、現像剤補給容器1から排出された現像剤をホッパ10a内に一時的に貯留し、その後、現像器201aへ補給するものに限られない。例えば、図5に示すような現像剤補給装置であってもよい。図5は、現像剤補給装置の別の実施形態を示す拡大断面図である。
図5に示す現像剤補給装置は、図3に示した現像剤補給装置からホッパ10aを省き、現像剤補給容器1から現像器800へ直接的に現像剤を補給する。この場合の現像器800は、非磁性トナー及び磁性キャリアを含んだ2成分現像剤を用いて画像形成を行うタイプの現像器である。現像器800は、現像剤が補給される撹拌室と、現像スリーブ800aへ現像剤を供給する現像室とを有し、撹拌室と現像室には現像剤搬送方向が互いに逆向きとなる撹拌スクリュー800bが設置されている。そして、撹拌室と現像室は現像剤搬送方向の両端部において互いに連通していることから、現像剤はこれら2つの部屋を循環搬送される。撹拌室には現像剤中のトナー濃度を検出する磁気センサ800cが設置されており、この磁気センサ800cの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御できるようにしている。
[現像剤補給容器]
次に、現像剤補給容器1について図6(a)乃至図7(c)を用いて説明する。ここで、図6(a)は現像剤補給容器1の外観斜視図、図6(b)は現像剤補給容器1の排出口4a周辺の部分拡大図、図6(c)は現像剤補給容器1を装着部10に装着した状態を示す正面図である。また、図7(a)は現像剤補給容器1の部分断面斜視図、図7(b)は現像剤補給容器1の部分断面側面図、図7(c)は現像剤貯留部近傍の部分拡大図である。
現像剤補給容器1は、図6(a)に示すように、カバー4eを有している。カバー4eは、外観上の見た目を向上させる目的と後述するポンプ部3a及び往復動部材3bを保護するために、後述するフランジ部4、ポンプ部3a、往復動部材3bの全体を覆うようにして組み付けられている。そして、現像剤補給容器1は、中空円筒状に形成され内部に現像剤を収容する内部空間を備えた現像剤収容部2を有している。現像剤収容部2は、長手方向(回転軸線方向)の一端部が開口しており、後述するように、回転することによって内部に収容されている現像剤が開口した一端部側に向けて搬送されるようになっている。また、現像剤補給容器1は、現像剤収容部2の一端部側が挿入され、現像剤補給装置201(図1参照)に非回転に装着されるフランジ部4を有している。現像剤収容部2(詳しくは円筒部2k)は、このフランジ部4に対して相対回転可能に一端部が挿入されている。なお、円筒部2kの断面形状は、現像剤補給工程において現像剤収容部2の回転動作に影響を与えなければ、非円形状としてもよい。例えば、楕円形状や多角形状であってもよい。
なお、本実施形態では、図7(b)に示すように、円筒部2kの全長L1が約460mm、外径R1が約60mmに設定されている。また、後述の現像剤排出室4cが設置されている領域の長さL2は約21mmである。ポンプ部3aの全長L3(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約29mmであり、図7(c)に示すように、ポンプ部3aの全長L4(使用上の伸縮可能範囲の中で最も縮んだ状態のとき)は約24mmである。
[現像剤補給容器の材質]
本実施形態では、後述するように、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1の容積を変化させることにより、排出口4aから現像剤を排出させる構成となっている。よって、現像剤補給容器1の材質としては、容積の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有したものを採用するのが好ましい。
また、本実施形態の現像剤補給容器1は、現像剤の排出時、現像剤補給装置201(図1参照)とは排出口4aを通じてのみ連通しており、排出口4aを除き外部から密閉される構成としている。つまり、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1の容積を減少、増加させて排出口4aから現像剤を排出する構成を採用していることから、安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。
そこで、本実施形態では、現像剤収容部2とフランジ部4の材質をポリスチレン樹脂とし、ポンプ部3aの材質をポリプロピレン樹脂としている。なお、使用する材質に関して、現像剤収容部2とフランジ部4は容積可変に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他の樹脂を使用することが可能である。また、金属製であっても構わない。
また、ポンプ部3aの材質に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤補給容器1の容積を変化させることができる材料であればよい。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
なお、樹脂材料の厚みを調整するなどして、ポンプ部3a、現像剤収容部2、現像剤排出室4cのそれぞれが上述した機能を満たすのであれば、それぞれを同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に成形されたものを用いても構わない。
以下、現像剤補給容器1における、フランジ部4、円筒部2k、ポンプ部3a、駆動受け機構、駆動変換機構の構成について、順に説明する。
[フランジ部]
フランジ部4には、図7(a)乃至図7(c)に示すように、円筒部2kから搬送されてきた現像剤を一時的に収容するための中空の現像剤排出室4cが設けられている。この現像剤排出室4cの底部には、現像剤排出室4cから現像剤の排出を許容する排出口4aが形成されている。排出口4aの上部には、排出前の現像剤を一定量貯留可能な現像剤貯留部4dが設けられている。
なお、排出口4aの周囲には、孔のあいた開口シール5aが設けられている。シール部材としての開口シール5aは両面テープで現像剤排出室4cに貼り付けられ、シャッタ8と現像剤排出室4cとに当接してこれらの隙間を封止した状態に挟持されることで、排出口4a周りから現像剤が漏れるのを防止する。
また、フランジ部4には排出口4aを開閉するシャッタ8が設けられている。シャッタ8は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に未装着状態で排出口4aを閉じ、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着状態で排出口4aを開くようになっている。即ち、シャッタ8は、現像剤補給容器1の現像剤補給装置201への挿抜動作に伴い排出口4aを開閉し得る。これにより、未装着時の現像剤補給容器1からの現像剤漏れの防止と、装着時の現像剤補給容器1からの現像剤供給とを実現する。なお、現像剤補給容器1は現像剤補給装置201への装着時、フランジ部4側を先頭に装着部10に挿入される。
フランジ部4は、現像剤補給容器1が装着部10に装着されると、実質的に不動となるように構成されている。具体的には、フランジ部4が自ら円筒部2kの回転方向へ回転することがないように、図2(b)に示す回転方向規制部11が設けられている。したがって、現像剤補給容器1が装着部10に装着された状態では、フランジ部4に設けられている現像剤排出室4cも、円筒部2kの回転方向へ回転することが実質阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。なお、現像剤補給容器1は装着時、フランジ部4側を先頭に装着部10に挿入される。一方、円筒部2kは現像剤補給装置201により回転方向への規制を受けずに、現像剤補給工程において回転する構成となっている。
さらに、図7(a)乃至図7(c)に示すように、円筒部2kから螺旋状の凸部(搬送突起)2cにより搬送されてきた現像剤を、現像剤排出室4cへと搬送するための板状の搬送部材6が設けられている。この搬送部材6は、現像剤収容部2の一部の領域を略二分割するように設けられており、円筒部2kとともに一体的に回転する構成となっている。そして、この搬送部材6にはその両面に円筒部2kの回転軸線方向に対し、現像剤排出室4c側に傾斜した傾斜リブ6aが複数設けられている。傾斜リブ6aは、円筒部2kの内部で円筒部2kと一体となって回転しつつ現像剤を搬送する部位である。また、本実施形態において、搬送部材6の端部には規制部7が設けられている。規制部7については後述する。
上記の構成により、搬送突起2cにより搬送されてきた現像剤は、円筒部2kの回転に連動してこの板状の搬送部材6により鉛直方向下方から上方へと掻き上げられる。その後、円筒部2kの回転が進むに連れて、重力によって搬送部材6の表面上を滑り落ち、やがて傾斜リブ6aによって現像剤排出室4c側へと受け渡される。本構成においては、この傾斜リブ6aは、円筒部2kが半周する毎に現像剤が現像剤排出室4cへと送り込まれるように、搬送部材6の両面に設けられている。
[円筒部]
次に、現像剤収容室として機能する円筒部2kについて、図6(a)乃至図7(c)を用いて説明する。円筒部2kの内面には、図6(a)乃至図7(c)に示すように、収容された現像剤を自らの回転に伴い、現像剤排出室として機能する現像剤排出室4c(排出口4a)に向けて搬送する手段として機能する、螺旋状に突出した搬送突起2cが設けられている。円筒部2kは、上述した材質の樹脂を用いてブロー成型法により形成されている。
また、円筒部2kは、図7(b)乃至図7(c)に示すように、フランジ部4の内面に設けられたリング状のシール部材のフランジシール5bを圧縮した状態で、フランジ部4に対して相対回転可能に固定されている。これにより、円筒部2kは、フランジシール5bと摺動しながら回転するため、回転中において現像剤が漏れることなく、また、気密性が保たれる。つまり、排出口4aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、現像剤の補給中における、現像剤補給容器1の容積可変を所望の状態にすることができるようになっている。なお、本実施形態の場合、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態で、円筒部2kは駆動モータ500により所定の一方向に回転駆動される。
[ポンプ部]
図7(a)乃至図7(c)に示されるポンプ部3aは、前記ギア部2dが受けた駆動力により現像剤収容部2の内圧が大気圧よりも低い状態と高い状態とに交互に繰り返し切り替わるように動作する。
本実施形態では前述したように小さな排出口4aから現像剤を安定的に排出させるために、現像剤補給容器1の一部に上記したポンプ部3aを設けている。ポンプ部3aはその容積が可変可能な樹脂製の容積可変型ポンプとなっている。具体的には、ポンプ部3aとして、伸縮可能な蛇腹状の伸縮部材で構成されているものを採用している。具体的には、蛇腹状のポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。
このポンプ部3aの伸縮動作により現像剤補給容器1内の圧力を変化させ、その圧力を利用して現像剤の排出を行っている。具体的には、ポンプ部3aを縮める際には現像剤補給容器1内が加圧状態となり、その圧力に押し出される形で現像剤が排出口4aから排出される。またポンプ部3aを伸ばす際には現像剤補給容器1内が減圧状態になり、外部から排出口4aを介してエアーが取り込まれる。この取り込まれたエアーにより排出口4a付近の現像剤が解れ、次の排出がスムーズに行われるようになっている。以上のような伸縮動作をポンプ部3aが繰り返し行うことで現像剤の排出が行われる。本実施形態のように、蛇腹状のポンプ部3aを採用した場合、伸縮量に対する容積変化量のばらつきを少なくすることができるので、安定した容積可変動作を行うことが可能となる。
[駆動受け機構]
次に、搬送突起2cを備えた円筒部2kを回転させるための回転駆動力を現像剤補給装置201から受ける、現像剤補給容器1の駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)について説明する。
現像剤補給容器1には、図6(a)に示すように、現像剤補給装置201の駆動ギア300(駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)として機能するギア部2dが設けられている。このギア部2dは、円筒部2kと一体的に回転可能な構成となっている。従って、駆動ギア300からギア部2dに入力された回転駆動力は、図8(a)及び図8(b)に示すような往復動部材3bを介してポンプ部3aへ伝達される仕組みとなっている。具体的には、駆動変換機構で後述する。本実施形態の蛇腹状のポンプ部3aは、その伸縮動作を阻害しない範囲内で、回転方向へのねじれに強い特性を備えた樹脂材を用いて製造されている。
なお、本実施形態では、円筒部2kの長手方向(現像剤搬送方向)側にギア部2dを設けているが、このような例に限られるものではなく、例えば、現像剤収容部2の長手方向他端側、つまり最後尾側に設けても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本実施形態では、現像剤補給容器1の駆動入力部と現像剤補給装置201の駆動部間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、このような例に限られるものではなく、例えば、公知のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、駆動入力部として非円形状の凹部を設け、一方、現像剤補給装置201の駆動部として前述の凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成としても構わない。
[駆動変換機構]
次に、現像剤補給容器1の駆動変換機構(駆動変換部)について説明する。なお、本実施形態では、駆動変換機構の例としてカム機構を用いた場合について説明する。
現像剤補給容器1には、ギア部2dが受けた円筒部2kを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部3aを往復動させる方向の力へ変換する駆動変換機構(駆動変換部)として機能するカム機構が設けられている。つまり、本実施形態では、ギア部2dが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器1側で往復動力へ変換することで、円筒部2kを回転させる駆動力とポンプ部3aを往復動させる駆動力を、1つの駆動入力部(ギア部2d)で受ける構成としている。これにより、現像剤補給容器1に駆動入力部を2つ別々に設ける場合に比して、現像剤補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化することが可能となる。更に、現像剤補給装置201の1つの駆動ギアから駆動を受ける構成としたため、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。
ここで、図8(a)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分図、図8(b)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分図、図8(c)はポンプ部の部分図である。図8(a)及び図8(b)に示すように、回転駆動力をポンプ部3aの往復動力に変換する為に介する部材としては往復動部材3bを用いている。具体的には、駆動ギア300から回転駆動を受けた駆動入力部(ギア部2d)と、一体となっている全周にカム溝2eが設けられている円筒部2kが回転する。現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態で、このカム溝2eには、往復動部材3bから一部が突出した係合部としての往復動部材係合突起3cが係合している。本実施形態では、図8(c)に示すように、往復動部材3bが円筒部2kの回転方向へ自ら回転することがないように(ガタ程度は許容する)、カバー4eに弾性変形可能に設けられた回転規制部3fによって回転方向への移動が規制されている。このように、回転方向が規制されることで、カム溝2eの溝に沿って(図7(b)の矢印X方向もしくは逆方向)往復動するように規制されている。さらに、往復動部材係合突起3cは、カム溝2eに複数係合するように設けられている。具体的には、2つの往復動部材係合突起3cが円筒部2kを挟んで約180°対向するように設けられている。
往復動部材係合突起3cは、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部3aの伸縮時の抗力により駆動変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われない恐れがあるため、後述するカム溝2e形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
以上のように、駆動ギア300から入力された回転駆動力で円筒部2kが回転することで、カム溝2eに沿って往復動部材係合突起3cが矢印X方向もしくは逆方向に往復動作する。これに応じて、ポンプ部3aが伸張した状態(図8(a))と、ポンプ部3aが収縮した状態(図8(b))を交互に繰り返して、現像剤補給容器1の容積可変を達成することができる。
[駆動変換機構の設定条件]
駆動変換機構は、円筒部2kの回転に伴い単位時間当たりに現像剤排出室4cへ搬送される現像剤搬送量が、現像剤排出室4cからポンプ部作用により単位時間当たりに現像剤補給装置201へ排出される量よりも多くなるように駆動変換している。これは、現像剤排出室4cへの搬送突起2cによる現像剤の搬送能力に対してポンプ部3aによる現像剤の排出能力の方が大きいと、現像剤排出室4cに存在する現像剤の量が次第に減少してしまうからである。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201への現像剤補給に要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。また、本実施形態では、駆動変換機構は、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aが複数回往復動するように、駆動変換している。これは以下の理由による。
円筒部2kを現像剤補給装置201内で回転させる構成の場合、駆動モータ500は円筒部2kを常時安定して回転させるために必要な出力に設定するのが好ましい。ただし、画像形成装置100における消費エネルギーを可能な限り削減するためには、駆動モータ500の出力を極力小さくする方が好ましい。ここで、駆動モータ500に必要な出力は、円筒部2kの回転トルクと回転数から算出されることから、駆動モータ500の出力を小さくするには、円筒部2kの回転数を可能な限り低く設定するのが好ましい。
しかしながら、円筒部2kの回転数を小さくしてしまうと、単位時間当たりのポンプ部3aの動作回数が減ってしまうことから、単位時間当たりに現像剤補給容器1から排出される現像剤の量が減ってしまう。つまり、画像形成装置100から要求される現像剤の補給量を短時間で満足させるには、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量では不足してしまう恐れがある。
そこで、ポンプ部3aの容積変化量を増加させれば、ポンプ部3aの1周期当たりの現像剤排出量を増やすことができるため、画像形成装置本体からの要求に応えることが可能となるが、このような対処方法では以下のような問題がある。つまり、ポンプ部3aの容積変化量を増加させると、排気工程における現像剤補給容器1の内圧(正圧)のピーク値が大きくなるため、ポンプ部3aを往復動させるのに要する負荷が増大してしまう。
このような理由から、本実施形態では、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを複数周期動作させている(例えば2周期)。これにより、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを1周期しか動作させない場合に比して、ポンプ部3aの容積変化量を大きくすることなく、単位時間当たりの現像剤の排出量を増やすことが可能となる。そして、現像剤の排出量を増やすことができた分、円筒部2kの回転数を低減することが可能となる。したがって、このような構成とすることにより、駆動モータ500をより小さい出力に設定できるため、画像形成装置100での消費エネルギーの削減に貢献することができる。
[駆動変換機構の配置位置]
本実施形態では、図8(a)及び図8(b)に示すように、駆動変換機構(往復動部材係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)を、現像剤収容部2の外部に設けている。つまり、駆動変換機構を、円筒部2k、現像剤排出室4cの内部に収容されている現像剤と接触することがないように、円筒部2k、現像剤排出室4cの内部空間から隔てられた位置に設けている。これにより、駆動変換機構を現像剤収容部2の内部空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。即ち、駆動変換機構の摺擦箇所への現像剤の侵入により、現像剤の粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となることや、駆動変換機構を動作させるトルクがアップすることなど、を抑制し得る。
図9に、上記した駆動変換機構として機能するカム溝2eの一例を示す。本実施形態では、現像剤収容部2の一回転当たりにポンプ部3aが二往復動作するカム溝2eを示している。図9において、矢印Aは現像剤収容部2の回転方向、矢印Bはポンプ部3aの伸長方向(第一方向)、矢印Cはポンプ部3aの圧縮方向(第二方向)を示す。
図9に示すように、第一溝としてのカム溝2eは、ポンプ部3aを圧縮動作(排気動作)させ現像剤収容部内から排気するための排気用溝としてのカム溝2gを有する。また、カム溝2eは、ポンプ部3aを伸長動作(吸気動作)させ現像剤収容部内に吸気するための吸気用溝としてのカム溝2hを有する。ここでは、ポンプ部3aを二往復動作させるために、カム溝2gとカム溝2hは二個ずつ形成されている。さらに、カム溝2eは、ポンプ部3aを圧縮動作(排気動作)も伸長動作(吸気動作)もさせない動作停止状態に維持するためのカム溝2iを有している。そして、本実施形態の場合、現像剤収容部2(詳しくは円筒部2k)には係合溝として、これらカム溝2gとカム溝2hとカム溝2iとを有する一連のカム溝2eの他に、カム溝2eに接続された第二溝としての移動規制カム溝2nが形成されている。移動規制カム溝2nについては後述する。なお、本実施形態の場合、カム溝2iは後述する非動作溝であり、カム溝2gの圧縮方向下流端(第二方向下流端)とカム溝2hの伸長方向上流端(第一方向上流端)とを接続する接続溝でもある。
ここで、非動作溝としてのカム溝2iについて述べる。本実施形態の場合、駆動モータ500(図3参照)が制御されると現像剤収容部2が回転し、これによりポンプ部3aが往復動作して現像剤補給容器1からほぼ一定量の現像剤が排出される。しかしながら、駆動モータ500による制御だけではポンプ部3aの容積可変量を毎回同じにすることが難しいために、現像剤補給容器1から排出される現像剤量が安定しない。例えば、上記したカム溝2eにカム溝2iを設けずに、ポンプ部3aを圧縮動作させるためのカム溝2gと、ポンプ部3aを伸長動作させるためのカム溝2hとでカム溝2eを構成した場合を考える。この場合、ポンプ部3aの圧縮動作と伸長動作とを切り替えるためには、伸長動作や圧縮動作の途中で駆動モータ500を停止させる必要がある。ただし、駆動モータ500を停止しても現像剤収容部2は惰性で回転し続け、現像剤収容部2が停止するまでポンプ部3aも連動して往復動作し続ける。現像剤収容部2が惰性で回転する距離は現像剤収容部2の回転速度に依存し、現像剤収容部2の回転速度は駆動モータ500にかかるトルクに依存する。このことから、現像剤補給容器1内の現像剤量によって駆動モータ500にかかるトルクが変わると、現像剤収容部2の回転速度も変わることから、ポンプ部3aを同じ位置で停止させることが難しくなる。
上記点に鑑み、ポンプ部3aを同じ位置で停止させるためには、現像剤収容部2が回転中でもポンプ部3aを往復動させない領域をカム溝2eに設ければよい。そこで、カム溝2eは、現像剤収容部2が回転してもポンプ部3aを圧縮動作も伸長動作もさせないために、現像剤収容部2の回転方向(図9の矢印A方向)に延びるストレート状のカム溝2iを有している。そうであるから、ポンプ部3aを同じ位置で停止させることができるのであれば、カム溝2eはカム溝2iを有していなくてもよい。本実施形態の場合、カム溝2iは、往復動部材係合突起3cをカム溝2gからカム溝2hに案内するように、カム溝2gとカム溝2hとを接続している。
[搬送部材]
上述したように、現像剤を現像剤収容部2から現像剤排出室4cへと搬送する搬送部材6は、現像剤収容部2と一体的に回転するように現像剤収容部2内に設けられている。ただし、本実施形態の場合、図7(a)乃至図7(c)に示すように、搬送部材6は規制部7を有している。規制部7は、搬送部材6のポンプ部3a側の端部に一体で設けられている。そのため、円筒部2kと一体で回転する搬送部材6の回転動作に伴い、規制部7も連動して回転する。
規制部7は、回転位相によりフランジ部4に設けられた現像剤貯留部4d上を覆うことが可能な形状となっており、回転に連動して現像剤貯留部4dの上部を覆ったり、覆わなかったりを定期的に繰り返すよう動作する。具体的に説明すると、円筒部2kより搬送された現像剤は現像剤貯留部4d内とその上部近傍に貯留され、その後、規制部7の回転により現像剤貯留部4dの上部の現像剤は、規制部7によって押し退けられる。その状態で、ポンプ部3aを圧縮する排気動作が行われると、現像剤貯留部4d内の現像剤のみが排出される。このとき、規制部7が現像剤貯留部4dの上部を覆っている間は、周囲から現像剤貯留部4dの内部への現像剤の流入が抑制され、現像剤貯留部4dの内部以外の現像剤は排出されない。
こうして規制部7により現像剤貯留部4dの上部が覆われることで、現像剤貯留部4d内への現像剤の流入を防ぎ、現像剤貯留部4d内の現像剤粉面を一定の高さに保つことが可能となる。そして、ポンプ部3aの排気動作時は、上述のように現像剤貯留部4d内の現像剤が排出されるので、現像剤補給容器1の内外の空間が連通し、その後、エアーのみが放出される。すると、現像剤補給容器1の内外に圧力差が生じて、現像剤が排出され続けることが抑制される。
以上のことから、規制部7を設けた本実施形態は排気動作時に、常に現像剤貯留部4d内に貯留された一定量の現像剤を現像剤補給装置201へ排出可能であり、安定した補給精度で現像剤を排出可能な構成であると言える。
そして、現像剤を排出した後には現像剤貯留部4dには壁面への付着分を除き、現像剤貯留部4d内に現像剤はほとんど貯留されていない。ここからさらに搬送部材6が回転することで、再び現像剤貯留部4dへ現像剤が搬送され、同様の工程が繰り返される。よって、排出の初期から後期まで、安定した補給精度で現像剤を排出することが可能となる。
次に、上述したポンプ部3aによる現像剤補給工程について説明する。現像剤補給工程として、上述のように、ポンプ部3aが伸長動作する吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)と、ポンプ部3aが圧縮動作する排気工程(排出口4aを介した排気動作)と、ポンプ部3aが伸長動作も圧縮動作もしない動作停止工程とがある。以下、吸気工程と排気工程と動作停止工程について、順に説明する。
[吸気工程]
まず、吸気工程について説明する。上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部3aが最も縮んだ状態(図8(b)参照)から、ポンプ部3aが最も伸びた状態(図8(a)参照)になることで、吸気動作が行われる。この吸気動作に伴い、現像剤を収容し得る現像剤補給容器1の容積が増大する。この際に、現像剤補給容器1内は排出口4aを除き実質密閉された状態となり、さらに、排出口4aが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器1の容積増加に伴い、現像剤補給容器1の内圧が減少する。このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなって、現像剤補給容器1内外の圧力差により、エアーが現像剤補給容器1の外部から内部へ排出口4aを通って吸気される。
こうして、排出口4aを通じて現像剤補給容器1外からエアーが取り込まれるため、排出口4a近傍にある現像剤を解す(流動化させる)ことができる。具体的には、現像剤貯留部4dに貯留されている現像剤に対してエアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤を適切に流動化させることができる。なお、エアーが排出口4aを介して現像剤補給容器1内に取り入れられるため、現像剤補給容器1の内圧はその容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍を推移する。こうすると、単位時間当たりに排出される現像剤の量が長期に亘りほぼ一定となる。このようにして、現像剤を流動化させておくことにより、後述する排気動作時に、現像剤が排出口4aに詰まってしまうことなく、排出口4aから一定量の現像剤をスムーズに排出させることが可能となる。
なお、吸気動作が行われるために、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びた状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びる状態の途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば吸気動作は行われる。つまり、吸気工程とは、往復動部材係合突起3cが図9に示すカム溝2hに係合している状態のことである。
[排気工程]
次に、排気工程について説明する。ポンプ部3aが最も伸びた状態(図8(a)参照)から、ポンプ部3aが最も縮んだ状態(図8(b)参照)になることで、排気動作が行われる。この排気動作に伴い、現像剤を収容し得る現像剤補給容器1の容積が減少する。その際に、現像剤補給容器1内は排出口4aを除き実質密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口4aが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。したがって、現像剤補給容器1の容積が減少していくことで現像剤補給容器1の内圧が上昇する。このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、現像剤は現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aから押し出される。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201へ現像剤が排出される。そして、現像剤とともに現像剤補給容器1内のエアーも排出されるため、現像剤補給容器1の内圧が低下する。以上のように、本実施形態では、1つの往復動式のポンプ部3aを用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤排出に要する機構を簡易化することができる。
なお、排気動作が行われるために、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮んだ状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮む状態の途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば排気動作は行われる。つまり、排気工程とは、往復動部材係合突起3cが図9に示すカム溝2gに係合している状態のことである。
[動作停止工程]
本実施形態では、上述したように現像剤センサ10dや磁気センサ800cの検出結果に基づいて、制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成である(図3、図5参照)。この構成では、現像剤補給容器1から排出される現像剤量がトナー濃度に直接影響を与えるので、画像形成装置100が必要とする現像剤量を現像剤補給容器1から補給する必要がある。このとき、現像剤補給容器1から排出される現像剤量を安定させるために、ポンプ部3aにより毎回決まった量で現像剤補給容器1の容積を可変するのが望ましい。そこで、本実施形態では、上述したように、円筒部2kが回転動作中でもポンプ部3aが往復動しない動作停止状態に維持するためのカム溝2iをカム溝2eに設けている(図9参照)。したがって、動作停止工程とは、往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合している状態のことである。
なお、ポンプ部3aが動作停止工程であっても、規制部7は搬送部材6の回転に伴って回転する。ただし、ポンプ部3aが動作停止工程である場合、規制部7が現像剤貯留部4dの上方に到達していない範囲にある。この場合、ポンプ部3aは動作停止工程であるため、現像剤貯留部4dの近傍で内圧の変化が生じない。したがって、ポンプ部3aによる吸気も排気も行われず、また規制部7が現像剤の搬送を妨げないことから、搬送部材6によって搬送された現像剤が現像剤貯留部4dに貯留され得る。
ところで、従来の現像剤補給容器1では、上述したように、円筒部2kの外周面に往復動部材3bを往復動させるための一連の経路であるカム溝2eが形成されている。そして、現像剤補給容器1が未装着状態であるとき、ポンプ部3aは装着後の初回動作時に吸気動作するように最も縮んだ状態に初期設定されていた。また、往復動部材係合突起3cはカム溝2hに対しカム溝2hにおける移動方向(図9の矢印B方向)最上流から係合可能に、カム溝2iあるいはカム溝2hに係合されていた。
これは以下の理由による。即ち、現像剤補給容器1は運搬時などに、現像剤補給容器1内において現像剤が移動されて現像剤貯留部4dに入り込むことがある。そして、現像剤貯留部4dに入り込んだ現像剤は運搬中や保管中に固まって解れ難くなる。そこで、現像剤を排出させる前に外部からエアーを取り込んで現像剤を解す吸気を行うために、ポンプ部3aが最も縮んだ状態で、且つ往復動部材係合突起3cがカム溝2iあるいはカム溝2hに係合された状態で、現像剤補給容器1は製造され出荷されている。
しかしながら、従来の現像剤補給容器1では、ユーザが新品の現像剤補給容器1を現像剤補給装置201に装着し初回動作させた際に、現像剤補給容器1から一定量の現像剤が排出されないことがあった。これは、現像剤補給容器1がユーザの手元に届くまでの運搬中などに、円筒部2kが回転されてしまい、その場合に、カム溝2eに沿って往復動部材3bが移動し、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から伸長されてしまうからである。即ち、運搬中に何らかの要因(例えば振動)で円筒部2kが回転されることにより、往復動部材係合突起3cがカム溝2gに移動されることで、ポンプ部3aが伸長される。ポンプ部3aが伸長状態である現像剤補給容器1を装着した場合、円筒部2kを回転させても、現像剤貯留部4dの現像剤が抵抗となってポンプ部3aによる吸気動作を行い得ず、現像剤が解れていないまま現像剤を排出させようとする。そもそも、ポンプ部3aが伸長状態であると、現像剤貯留部4dの現像剤が抵抗となるので、ポンプ部3aを縮めることも難しい。こうして、従来の現像剤補給容器1では、運搬中に円筒部2kが回転されることに起因して現像剤が排出され難くなることがあった。運搬中において、円筒部2kは装着時の回転方向(図9の矢印A方向)だけでなく、装着時の回転方向と反対方向にも回転され得る。なお、以下の説明において単に回転方向という場合は、装着時の回転方向(図9の矢印A方向)のことを指す。
本実施形態では上記点に鑑み、現像剤補給容器1の初回動作時に現像剤貯留部4dの現像剤を解す吸気動作から開始すべく、例え現像剤補給容器1の運搬中に円筒部2kが回転されても、ポンプ部3aの圧縮状態を維持できるようにした。以下、本実施形態の現像剤補給容器1について、図9乃至図11を用いて説明する。
本実施形態の現像剤補給容器1は、ポンプ部3aを圧縮動作させるためのカム溝2gと、ポンプ部3aを伸長動作させるためのカム溝2hと、カム溝2iとを有する一連のカム溝2eの他に、カム溝2eから分岐された移動規制カム溝2nが形成されている。移動規制カム溝2nは、往復動部材係合突起3cを吸気用のカム溝2hへ案内可能にカム溝2eから回転方向下流側に向けて分岐されている。即ち、本実施形態の場合、未装着状態(装着前)の新品の現像剤補給容器1において、ポンプ部3aが最も縮んだ状態で、往復動部材3bの往復動部材係合突起3cが移動規制カム溝2nに係合されている。そして、装着状態で円筒部2kが回転駆動された場合に、移動規制カム溝2nに係合されていた往復動部材係合突起3cがカム溝2hに対しカム溝2hにおける移動方向(矢印B方向)最上流から係合可能に、移動規制カム溝2nがカム溝2eから分岐されている。ここでは、移動規制カム溝2nの回転方向上流側が、カム溝2hにおける移動方向最上流でカム溝2hに接続するカム溝2i、言い換えれば、カム溝2gにおける移動方向最下流でカム溝2gに接続するカム溝2iから分岐されている(分岐箇所2X参照)。
図9に示す実施形態では、移動規制カム溝2nが、カム溝2iとの分岐箇所2Xから円筒部2kの回転方向下流側に向けて、円筒部2kの回転軸線方向においてカム溝2iと同じ位置に、カム溝2iの延長線D上に形成されている。また、本実施形態では、2つの往復動部材係合突起3cが円筒部2kを挟んで約180°対向するように設けられていることから(図8(a)参照)、2つの移動規制カム溝2nが円筒部2kの回転方向において約180°ずれた位置に形成されている。
図9に示すように、装着後の初回動作時、円筒部2kが回転方向へ回転されることにより、往復動部材係合突起3cは移動規制カム溝2nに沿って回転方向とは逆方向へ移動する。そして、往復動部材係合突起3cは、移動規制カム溝2n、カム溝2iを通ってカム溝2hへ移動する。往復動部材係合突起3cが移動規制カム溝2nを移動する際に、ポンプ部3aは動作されることのない上述した動作停止工程となり、動作停止工程は往復動部材係合突起3cがカム溝2hに到達するまで維持される。
往復動部材係合突起3cがカム溝2hに到達すると、それ以降、往復動部材係合突起3cがカム溝2hに沿って移動するので、ポンプ部3aが伸長動作する吸気工程となる。その後、往復動部材係合突起3cがカム溝2gに到達すると、それ以降、往復動部材係合突起3cがカム溝2gに沿って移動するので、ポンプ部3aは圧縮動作する排気工程となる。さらに、円筒部2kが回転されると、往復動部材係合突起3cは移動規制カム溝2nとカム溝2iとの分岐箇所2Xに到達するが、往復動部材係合突起3cは移動規制カム溝2nに侵入することなくカム溝2iに侵入する。このように、往復動部材係合突起3cは移動規制カム溝2nを通過した以降、移動規制カム溝2nに戻ることなくカム溝2eに沿ってのみ移動する。
本実施形態の場合、移動規制カム溝2nの分岐箇所2Xの反対側は、往復動部材係合突起3cが回転方向下流側からカム溝2eに侵入しないように閉鎖されている。他方、移動規制カム溝2nの分岐箇所2X側には、図9及び図10に示すように、移動規制カム溝2nの経路を塞ぐように、抑制部としてのロック部2mが設けられている。ポンプ部3aは初期状態として、装着後の初回動作時に吸気動作するように最も縮んだ状態に設定され、往復動部材係合突起3cはロック部2mよりも回転方向下流側で移動規制カム溝2nに係合されている。
ロック部2mは、図11に示すように、移動規制カム溝2nの底面から突出するように形成されている。ロック部2mは、円筒部2kの回転方向(矢印A方向)に関し、下流側に上流側が高くなるように傾斜したロック面2m1(傾斜面)を有し、上流側に下流側が高くなるように傾斜した抑制面2m2とを有する。図11において、ロック面2m1の傾斜角度(円筒部2kの回転中心Oからロック面2m1と移動規制カム溝2nとの交点を結ぶ直線Uに対する角度)を傾斜角α1で示した。また、抑制面2m2の傾斜角度(円筒部2kの回転中心Oから抑制面2m2と移動規制カム溝2nとの交点を結ぶ直線Jに対する角度)を傾斜角α2で示した。さらに、移動規制カム溝2nの底面からロック部2mの上端面までの高さを段差量Kで示した。なお、ロック部2mは、移動規制カム溝2nの深さが円筒部2kの回転方向の下流側よりも上流側が浅くなる段差として形成されていてもよい。
ロック部2mについて説明する。上述のように、現像剤補給容器1が未装着状態であるときの初期状態として、往復動部材係合突起3cはロック部2mよりも回転方向下流側で移動規制カム溝2nに係合されている。現像剤補給容器1が未装着状態である場合には、円筒部2kの回転によって往復動部材係合突起3cがロック部2mに当接することで、円筒部2kがそれ以上回転しないように、円筒部2kの回転が抑制される。即ち、ロック面2m1に当接した往復動部材係合突起3cがロック部2mを乗り越えるのに必要な乗り越えトルクが、運搬時に円筒部2kに生じ得るであろう最大トルクよりも大きくなるように、ロック面2m1が形成されている。なお、乗り越えトルクは駆動モータ500のトルクよりも小さい。それ故、駆動モータ500によって円筒部2kが回転された場合には、往復動部材係合突起3cはロック部2mを乗り越えて、上記のように、カム溝2iを通ってカム溝2hへ移動し得る。
上記の乗り越えトルクは、ロック面2m1の傾斜角α1と段差量Kとにより所望の大きさに調整され得る。傾斜角α1を小さくすると、回転方向に対してより急な傾斜で往復動部材係合突起3cがロック面2m1に当接することになるため、乗り越えトルクは大きくなる。ただし、傾斜角α1が「0°」に近いほど、駆動モータ500によって円筒部2kが回転された場合に、往復動部材係合突起3cがロック面2m1によりロックされてロック部2mを乗り越えられなくなる。かといって、傾斜角α1が「90°」に近くなるほど、運搬時に円筒部2kに生じ得るであろう最大トルクが付加された場合に、往復動部材係合突起3cがロック部2mを乗り越えてしまい得る。そこで、ロック面2m1の傾斜角α1は0°より大きく90°よりも小さい範囲で、運搬時に円筒部2kに生じ得るであろう最大トルクと駆動モータ500のトルクとのバランスに基づいて設定される。例えば、傾斜角α1は30°以上50°以下に設定されるのが好ましい。
また、上記の乗り越えトルクは、段差量Kを大きくすることによって大きくし得る。即ち、図11に示すように、往復動部材3bはカバー4eに設けられた回転規制部3fにより外側から内側に向けて抑え付けられている。それ故、往復動部材係合突起3cがロック部2mを乗り越える際には、回転規制部3fの一部が往復動部材係合突起3cによって弾性変形する。この際に、ロック部2mの移動に応じて回転規制部3fの変形量は大きくなるが、この回転規制部3fの変形量が大きければ大きくなるほど、往復動部材係合突起3cがロック部2mを乗り越える際の乗り越えトルクが大きくなる。回転規制部3fの変形量は段差量Kが大きいほど大きくなる。したがって、この段差量Kについても傾斜角α1と組み合わせ、運搬時に円筒部2kに生じ得るであろう最大トルクと駆動モータ500のトルクとのバランスに基づいて設定される。
また、ロック部2mには、抑制面2m2が設けられている。抑制面2m2は、駆動モータ500によって円筒部2kが回転されてロック部2mを乗り越えた往復動部材係合突起3cが、移動規制カム溝2nを通過した以降、カム溝2eから移動規制カム溝2nに戻らないように、往復動部材係合突起3cの移動を抑制する。これは、装着状態で何らかの目的により、駆動モータ500により円筒部2kを逆回転させたような場合に、往復動部材係合突起3cがカム溝2eから移動規制カム溝2nへ移動されないようにするためである。それ故、抑制面2m2の傾斜角α2はロック面2m1の傾斜角α1よりも、小さく設定されるのが好ましい。例えば、傾斜角α2は10°以上30°以下に設定されるのが好ましい。
以上のように、本実施形態ではポンプ部3aを伸縮動作させるカム溝2eから、運搬中に例え円筒部2kが回転されたとしてもポンプ部3aが伸縮動作しないように、往復動部材3bの往復動部材係合突起3cを係合する移動規制カム溝2nが分岐されている。移動規制カム溝2nには、運搬中の円筒部2kの回転によって往復動部材係合突起3cがカム溝2eに移動せず、駆動モータ500による円筒部2kの回転によって往復動部材係合突起3cがカム溝2eに移動できるようにロック部2mが設けられている。即ち、移動規制カム溝2nに往復動部材係合突起3cを係合させておくことで、運搬中にポンプ部3aは伸縮動作せず、ポンプ部3aは最も縮んだ状態に維持される。これにより、運搬中に円筒部2kが回転されることに起因して現像剤が排出され難くなることを抑制できる。
また、移動規制カム溝2nはカム溝2eのうちポンプ部3aを伸長動作(吸気動作)させるカム溝2hに対し、カム溝2hにおいて往復動部材係合突起3cが移動する移動方向の上流側でカム溝2eに接続されている。そのため、装着後の円筒部2kの回転によって、往復動部材係合突起3cは移動規制カム溝2nを通過し、カム溝2iを介してカム溝2hに移動する。その後、往復動部材係合突起3cはカム溝2hを移動することから、排気動作に先んじてポンプ部3aを吸気動作させることができる。こうしてポンプ部3aを確実に吸気から動作させることにより、運搬中に例え現像剤貯留部4dに貯留された現像剤が固まっていたとしても、エアーにより解すことができ、装着後すぐに一定量の現像剤を補給できる。このように、現像剤の安定的な排出が容易な構成で実現できる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態では(図9参照)、移動規制カム溝2nの分岐箇所2Xと反対側がカム溝2eに接続されていない例を示したが、これに限らず、分岐箇所2Xと反対側がカム溝2eに接続されていてもよい。例えば、図9において、移動規制カム溝2nが回転方向下流側でカム溝2hに接続されていてもよい。ただし、そうする場合には、往復動部材係合突起3cがカム溝2hと移動規制カム溝2nとを行き来できないように、カム溝2hと移動規制カム溝2nとの間を遮蔽する遮蔽部を設ける必要がある。
なお、上述した実施形態では(図9参照)、往復動部材係合突起3cがカム溝2hに対しカム溝2hにおける移動方向(矢印B方向)最上流から係合可能に、移動規制カム溝2nがカム溝2eに接続されている例を示したが、これに限らない。例えば、往復動部材係合突起3cがカム溝2hの経路途中から係合可能に、図9において点線で示すように、移動規制カム溝2nがカム溝2hの経路途中に接続されるように形成されていてもよい。この場合、移動規制カム溝2nは、カム溝2hとの分岐箇所2XAから円筒部2kの回転方向下流側に向けて延びるように形成されている。
この場合、分岐箇所2XAは、往復動部材係合突起3cがカム溝2gに沿って伸長方向の最上流から最下流まで移動した際に往復動部材3bが移動する範囲H(100%)のうち、10%以上50%以下の範囲に設けられるのが好ましい。これは、移動規制カム溝2nAとカム溝2hとの分岐箇所2XAがカム溝2hの最下流に近ければ近いほど、往復動部材係合突起3cが移動規制カム溝2nAからカム溝2hに移動してからの、ポンプ部3aの吸気動作が十分に確保できないからである。ポンプ部3aの吸気動作が十分に確保できなければ、運搬時に現像剤貯留部4dに貯留された現像剤を十分に解すことが難しくなる。
また、上述した実施形態では(図9参照)、移動規制カム溝2nが分岐箇所2Xから円筒部2kの回転方向下流側に向けて、円筒部2kの回転軸線方向においてカム溝2iと同じ位置に形成されたものを例に示したが、これに限らない。例えば、図12に示すように、移動規制カム溝2nBは、円筒部2kの回転軸線方向においてカム溝2eと重ならない位置に形成され、この移動規制カム溝2nBと上記の分岐箇所2Xとを繋ぐように、連絡溝2rが形成される。連絡溝2rは、分岐箇所2Xからカム溝2hにおける移動方向上流側に、且つ回転方向下流側に向け延びるようにして、移動規制カム溝2nBの回転方向上流端と、カム溝2iの回転方向下流端とを連絡している。
このような構成の場合、装着後の初期動作時にポンプ部3aの伸長量を、連絡溝2rを設けた分だけ大きく確保することができる。即ち、未装着状態で移動規制カム溝2nBに係合される往復動部材係合突起3cは、装着後の円筒部2kの回転に伴い、連絡溝2rを通過した後にカム溝2iに移動し、さらにカム溝2hに向け移動する。往復動部材係合突起3cが連絡溝2rを移動すると、往復動部材3b(図8(a)参照)が図中矢印B方向に移動する。つまり、ポンプ部3aが伸長されるので吸気が行われることになる。このように、装着後の初期動作時において、連絡溝2rの長さの分だけ現像剤補給容器1内をより減圧できるので、外部から排出口4aを介して取り込まれるエアーを増やせる。その結果、例え運搬時に現像剤貯留部4dに現像剤が固まって解れ難くなっていたとしても、現像剤を確実に解して安定的に排出させ得る。