JP7356707B2 - アミノ酸-n-カルボン酸無水物の製造方法 - Google Patents

アミノ酸-n-カルボン酸無水物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、安全かつ効率的にアミノ酸-N-カルボン酸無水物を製造する方法と、得られたアミノ酸-N-カルボン酸無水物を用いてペプチドを製造する方法に関するものである。
ペプチドは2以上のアミノ酸がペプチド結合で結合した構造を有し、生体内で酵素、構造タンパク質、情報伝達物質などとして機能する。近年、低分子医薬に代わり、抗体医薬などとしてペプチドの需要は高まっている。
ペプチドの合成方法としては、固相合成法や、形質転換体に製造させる方法が主に用いられる。しかし、固相合成法は担体に固定化したペプチド鎖を一アミノ酸残基ごと伸長していくものであることから、長鎖ペプチドの製造方法には適さない。形質転換体を用いる方法には、精製に手間がかかるという欠点がある。
その他、ペプチドの合成中間体としてアミノ酸-N-カルボン酸無水物(NCA)が知られている。NCAは極めて求電子性が高く、アミンを開始剤とすることにより生成する化合物がアミノ基を有するためにリビング重合が起こり、特に分子量の揃ったホモポリアミノ酸の製造に適している。ところがNCAは、主にアミノ酸とホスゲンを反応させることにより合成される(特許文献1)。ホスゲンは水と容易に反応して塩化水素を発生させたり、毒ガスとして利用された歴史があるなど、非常に有毒なものである。
そこで、ホスゲンを用いないNCAの製造方法が種々検討されている。例えば特許文献2には、アミノ酸と超臨界状態または液化状態の二酸化炭素を反応させるNCAの製造方法が開示されている。しかし超臨界状態または液化状態の二酸化炭素を得るには大規模な設備が必要であり、この方法は大量生産に適さない。
また、ジフェニルカーボネートを使ってアミノ酸のα-アミノ基をフェノキシカルボニル基でウレタン化した後、カルボン酸を使って環化することによりNCAを製造する方法が知られている(非特許文献1)。しかしこの方法は、ウレタン化のためアミノ酸をオニウム塩にする必要があり、環化のためにジフェニル酢酸が必要であるなど低コストといえるものではない。また、ジフェニルカーボネート自体をホスゲンで製造するか、或いは、エチレンオキサイドと二酸化炭素とを反応させてエチレンカーボネートを生成させ、エチレンカーボネートとメタノールとを反応させてジメチルカーボネートを得、ジメチルカーボネートとフェノールとを反応させてジフェニルカーボネートを製造するという煩雑な工程が必要となる(特許文献3)。
ところで本発明者は、ハロゲン化炭化水素とアルコールとを酸化的光反応に付すことによるハロゲン化ギ酸エステルの製造方法(特許文献4)や、酸素存在下、クロロホルムに光照射してホスゲンを含有する混合物を得る工程、ホスゲンを単離することなくアルコールを前記混合物と反応させる工程を具備するハロゲン化ギ酸エステルの製造方法を開発している(特許文献5)。
特開昭63-301854号公報 特開平11-29560号公報 特開2003-342233号公報 国際公開第2015/156245号パンフレット 特開2013-181028号公報
遠藤剛ら,JSR TECHNICAL REVIEW,No.117/2017,pp.1-7
上述したように、アミノ酸-N-カルボン酸無水物(NCA)はペプチドの合成中間体として有用であるが、その製造にはホスゲンが必要であるか、或いは非常に煩雑な工程が必要である。また、従来方法ではアミノ酸からNCAを製造できても、ペプチドのC末端アミノ酸をNCA化した例は無かった。その理由としては、ペプチドのC末端アミノ酸残基のα-アミノ基はペプチド結合を形成し、その求核性が低下しているため、ホスゲンと反応しないことが考えられる。
そこで本発明は、安全かつ効率的にアミノ酸-N-カルボン酸無水物を製造する方法と、得られたアミノ酸-N-カルボン酸無水物を用いてペプチドを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、酸素の存在下、ハロゲン化メタンとアミノ酸またはペプチドとを光反応に付すことで、アミノ酸-N-カルボン酸無水物を安全かつ効率的に製造できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] アミノ酸-N-カルボン酸無水物を製造するための方法であって、
前記アミノ酸-N-カルボン酸無水物は下記式(II)で表されるものであり、
ハロゲン化メタン、および下記式(I)で表されるアミノ酸化合物を含む組成物に、酸素存在下で高エネルギー光を照射する工程を含むことを特徴とする方法。
Figure 0007356707000001
[式中、
1は、反応性基が保護されているアミノ酸側鎖基を示し、
2は、H、またはP1-[-NH-CHR3-C(=O)-]m-(式中、R3は、反応性基が保護されているアミノ酸側鎖を示し、P1はアミノ基の保護基を示し、mは1以上の整数を示し、mが2以上の整数の場合、複数のR3は互いに同一であっても異なってもよい)を示す。]
[2] 前記ハロゲン化メタンがクロロホルムである上記[1]に記載の方法。
[3] 更に、高エネルギー光を照射せずに前記組成物を攪拌する工程を含む上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記組成物に、前記ハロゲン化メタンおよび前記アミノ酸化合物に加えて、塩基を添加する上記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記高エネルギー光が180nm以上、280nm以下の波長の光を含む上記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] ペプチドを製造するための方法であって、
上記[1]~[5]のいずれかに記載の方法により前記式(II)で表される前記アミノ酸-N-カルボン酸無水物を製造する工程、および、
前記アミノ酸-N-カルボン酸無水物と下記式(III)で表されるアミノ酸化合物とを反応させる工程を含む方法。
Figure 0007356707000002
[式中、
4は、反応性基が保護されているアミノ酸側鎖基を示し、
5は、-OP2または-[-NH-CHR6-C(=O)-]n-OP2(式中、R6は、反応性基が保護されているアミノ酸側鎖を示し、P2はカルボキシ基の保護基を示し、nは0以上の整数を示し、nが2以上の整数の場合、複数のR6は互いに同一であっても異なってもよい)を示す。]
本発明方法では、ホスゲンや一酸化炭素といった毒性が極めて高い化合物や、高価な触媒を原料化合物として使う必要が無い。また、アミノ酸だけでなく、ペプチドのC末端アミノ酸残基もアミノ酸-N-カルボン酸無水物に変換することができる。その結果、本発明方法は、ペプチドとペプチドを液相でペプチド結合する方法に適用できる可能性もある。よって本発明は、有用なアミノ酸-N-カルボン酸無水物を安全かつ効率的に製造できる技術として、産業上極めて有用である。
図1は、本発明方法で用いられる反応装置の構成の一例を示す模式図である。
本発明に係るアミノ酸-N-カルボン酸無水物の製造方法では、ハロゲン化メタン、および式(I)で表されるアミノ酸化合物(以下、「アミノ酸化合物(I)」と記載する)を含む組成物に、酸素存在下で高エネルギー光を照射する。
1.ハロゲン化メタン
本発明に係る反応においてハロゲン化メタンは、おそらく高エネルギー光と酸素により分解され、ハロゲン化カルボニルまたはハロゲン化カルボニル様の化合物に変換され、アミノ酸化合物(I)のアミノ基をクロロカルボニル化し、更に塩化水素が脱離してアミノ酸-N-カルボン酸無水物(以下、「NCA」と略記する)が生成すると考えられる。或いは、ハロゲン化カルボニルがアミノ酸化合物(I)のカルボキシ基と反応した後、アミノ基との間で環化反応が進行する可能性もあり得る。いずれにしても、本発明ではたとえ有害なハロゲン化カルボニルが生成しても、ハロゲン化カルボニルは反応性が極めて高いためにアミノ酸化合物(I)と直ぐに反応し、反応液外へは漏出しないか、或いは漏出してもその漏出量は僅かである。なお、例えばハロゲン化カルボニルであるホスゲンは非常に毒性が高く、その運搬などには厳しい規制が課せられているが、ハロゲン化メタンは勿論それほど危険ではない。
特に常温常圧で液体であるハロゲン化メタンは有機溶媒などとして大量に消費される一方で、大気に放出されると大気汚染やオゾン層の破壊といった環境汚染の原因となる。本発明は、かかるハロゲン化メタンを光分解することで有用な化合物を製造する技術であり、工業的にもまた環境科学的にも寄与するところは大きい。
ハロゲン化メタンは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードからなる群より選択される1種以上のハロゲノ基で置換されたメタンである。上述した通り、本発明においてハロゲン化メタンは高エネルギー光と酸素により分解され、ハロゲン化カルボニルと同等の働きをすると考えられる。よって、2以上の上記ハロゲノ基を有するハロゲン化メタンが好ましい。
具体的なハロゲン化メタンとしては、ポリハロゲン化メタンが好ましい。ハロゲン化メタンとしては、例えば、トリフルオロメタン等のフルオロメタン;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのクロロメタン;ジブロモメタン、ブロモホルム等のブロモメタン;ヨードメタン、ジヨードメタン等のヨードメタン;クロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ブロモフルオロメタン等を挙げることができる。
ハロゲン化メタンは目的とする化学反応や所期の生成物に応じて適宜選択すればよく、また、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。好適には、製造目的化合物に応じて、ハロゲン化メタンは1種のみ用いる。ハロゲン化メタンの中でもクロロ基を有する化合物が好ましい。
本発明方法で用いるハロゲン化メタンは、例えば溶媒としていったん使用したハロゲン化メタンを回収したものであってもよい。その際、多量の不純物や水が含まれていると反応が阻害されるおそれがあり得るので、ある程度は精製することが好ましい。例えば、水洗により水や水溶性不純物を除去した後、無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウムなどで脱水することが好ましい。但し、水が含まれていても反応は進行すると考えられるので、生産性を低下させるような過剰な精製は必要ない。かかる水含量としては、0質量%以上が好ましく、0.0001質量%以上がより好ましく、また、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下がよりさらに好ましい。また、上記再利用ハロゲン化メタンには、ハロゲン化メタンの分解物などが含まれていてもよい。
2.アミノ酸化合物(I)
本発明で用いるアミノ酸化合物(I)は、アミノ酸またはN末端が保護されているペプチドである。アミノ酸としては、タンパク質を構成するアミノ酸を挙げることができる。アミノ酸化合物(I)がアミノ酸である場合、式(I)においてR2はHである。
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸;AspとGluの酸性アミノ酸;Lys、Arg、Hisの塩基性アミノ酸を挙げることができる。中性アミノ酸は、脂肪族アミノ酸;Proのイミノ酸;Phe、Tyr、Trpの芳香族アミノ酸に分類される。脂肪族アミノ酸は、更に、Gly;Ala;Val、Leu、Ileの分枝アミノ酸;Ser、Thrのヒドロキシアミノ酸;Cys、Metの含硫アミノ酸;Asn、Glnの酸アミドアミノ酸に分類される。また、Tyrはフェノール性水酸基を有することから、芳香族アミノ酸のみでなくヒドロキシアミノ酸に分類してもよい。更に、別の観点からは、タンパク質を構成するアミノ酸を、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Cys、Met、Pro、Pheの疎水性の高い非極性アミノ酸類;Asn、Gln、Ser、Thr、Tyrの中性の極性アミノ酸類;Asp、Gluの酸性の極性アミノ酸類;Lys、Arg、Hisの塩基性の極性アミノ酸類に分類することもできる。その他、サルコシン等、20種のタンパク質構成アミノ酸以外のアミノ酸も用いることができる。
アミノ酸の側鎖基に含まれる反応性基は保護されている。側鎖反応性基の保護基としては、酸性条件で安定な保護基が好ましい。例えば、セリンやトレオニンの側鎖水酸基の保護基としては、ベンジル基やt-ブチル基を挙げることができる。システインのスルフヒドリル基の保護基としては、4-メチルベンジル基やt-ブチル基を挙げることができる。フェノールの水酸基の保護基としては、t-ブチル基が挙げられる。トリプトファンのインドール環は、必要であればホルミル基で保護してもよい。アスパラギン酸やグルタミン酸の側鎖カルボキシ基の保護基としては、メチルエステル基やベンジルエステル基が挙げられる。リシンの側鎖アミノ基の保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基が挙げられる。アルギニンの側鎖グアニジノ基の保護基としては、p-トルエンスルホニル基が挙げられる。ヒスチジンの側鎖イミダゾリル基の保護基としては、ベンジルオキシメチル基、t-ブトキシメチル基、2,4-ジニトロフェニル基が挙げられる。
式(I)においてR2がP1-[-NH-CHR3-C(=O)-]m-である場合、アミノ酸化合物(I)はペプチドとなる。当該ペプチドを構成するアミノ酸残基数は特に制限されず、反応が進行する範囲で適宜調整すればよいが、例えば、mとしては200以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下がより更に好ましい。
上記アミノ酸および上記ペプチドを構成するアミノ酸の絶対配置は特に制限されないが、L-アミノ酸が好ましい。
反応組成物におけるハロゲン化メタンとアミノ酸化合物(I)との量比は、適宜調整すればよい。例えばアミノ酸化合物(I)がアミノ酸である場合、ハロゲン化メタンに対するアミノ酸の割合を0.5mg/mL以上、100mg/mL以下とすることができる。アミノ酸化合物(I)がペプチドである場合、ハロゲン化メタン1モルに対するアミノ酸化合物(I)のモル比([アミノ酸化合物(I)]/[ハロゲン化メタン])を0.001以上1以下とすることが好ましい。上記モル比は、0.01以上がより好ましく、0.1以上がよりさらに好ましく、また、0.8以下がより好ましく、0.5以下がよりさらに好ましい。上記モル比が大き過ぎる場合には、相対的にアミノ酸化合物(I)の量が多くなるため未反応のアミノ酸化合物(I)が増加する一方で、上記モル比が小さ過ぎる場合には、未反応のハロゲン化メタンが増加して、反応系外へハロゲン化カルボニル化合物が放出されてしまう虞があり得る。
3.塩基
本発明方法によれば、塩基を用いなくても、反応条件の調整によりNCAが得られ得る。しかし、塩基を用いない場合には、反応の進行に伴ってアミノ酸化合物(I)のアミノ基と生じた酸から塩が生じ、アミノ酸化合物(I)のアミノ基の求核性が低下することがある。このような場合には、塩基を用いることが好ましい。特にアミノ酸化合物(I)としてペプチドが用いられる場合には、アミノ基の求核性がペプチド結合により低下しているため、塩基を用いることが好ましい。但し、最終物に塩基が残留すると品質が損なうおそれがあり得るため、塩基を使わないこともできる。
塩基としては、有機塩基および無機塩基のいずれも用いることができるが、有機塩基が好ましい。有機塩基としては、複素環式芳香族アミン、複素環式脂肪族アミンや非求核性強塩基を挙げることができる。「複素環式芳香族アミン」は、少なくとも一つの複素環を含み且つ少なくとも一つのアミン官能基を有している芳香族化合物をいう。複素環式芳香族アミンとしては、例えば、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,3-ルチジン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、3,5-ルチジン、2-クロロピリジン、3-クロロピリジン、4-クロロピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジンなどの、ピリジンおよびその誘導体などを挙げることができる。
「複素環式脂肪族アミン」は、少なくとも一つの複素環を含み且つ少なくとも一つのアミン官能基を有している環状脂肪族化合物をいう。複素環式脂肪族アミンとしては、例えば、モルホリン、4-メチルモルホリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)、キヌクリジンが挙げられる。
「非求核性強塩基」とは、立体的な障害により窒素原子上の孤立電子対の求核性が弱いが塩基性の強い塩基をいう。例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、および1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)を挙げることができる。また、塩基性度が比較的高い塩基を用いてもよい。例えば、アセトニトリル中における塩基性度(pKBH+)が20以上の塩基として、TBD(pKBH+:25.98)、MTBD(pKBH+:25.44)、DBU(pKBH+:24.33)、DBN(pKBH+:23.89)、およびTMG(pKBH+:23.30)を用いることができる。
無機塩基は、反応液にそのまま添加してもよいが、無機塩基の水溶液を用い、二相系で反応させてもよい。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸カルシウムなどアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどアルカリ金属炭酸水素塩などを挙げることができる。無機塩基水溶液の濃度は適宜調整すればよいが、例えば、0.05g/mL以上、2g/mL以下とすることができる。
上記塩基は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記塩基の使用量は、反応が良好に進行する範囲で適宜調整すればよいが、例えば、上記アミノ酸化合物(I)に対して1.5倍モル以上10倍モル以下とすることができる。一般的に、上記塩基の使用量が多いほど収率が高くなるので、上記割合としては2.0倍モル以上が好ましく、3.0倍モル以上がより好ましく、4.0倍モル以上がよりさらに好ましい。なお、塩基性条件下ではNCAが重合する傾向があるが、本発明方法においてはアミノ酸化合物(I)に対して過剰に用いられるハロゲン化メタンの光分解により生じるハロゲン化カルボニル化合物により組成物は酸性に保たれ、NCAが重合するほど塩基性になることはないと考えられる。
4.反応条件
本発明方法は、上記ハロゲン化メタンとアミノ酸化合物(I)を含む組成物に、酸素存在下で高エネルギー光を照射する工程を含む。
上記ハロゲン化メタンとアミノ酸化合物(I)との混合態様は特に限定されない。例えば、反応器中、各化合物の全量を予め混合しておいてもよいし、数回に分割して添加してもよいし、任意の速度で連続的に添加してもよい。また、上記ハロゲン化メタンとアミノ酸化合物(I)の一方または両方が常温常圧で液体でない場合には、これら原料化合物を適度に溶解でき、且つ本発明反応を阻害しない溶媒を用いてもよい。かかる溶媒としては、例えば、n-ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;アセトニトリルなどのニトリル系溶媒を挙げることができる。
酸素源としては、酸素を含む気体であればよく、例えば、空気や、精製された酸素を用いることができる。精製された酸素は、窒素やアルゴン等の不活性ガスと混合して使用してもよい。コストや容易さの点からは空気を用いることが好ましい。高エネルギー光照射によるハロゲン化メタンの分解効率を高める観点からは、酸素源として用いられる気体中の酸素含有率は約15体積%以上100体積%以下であることが好ましい。酸素含有率は上記ハロゲン化メタンなどの種類によって適宜決定すればよい。例えば、上記ハロゲン化メタンとしてジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のクロロメタンを用いる場合は、酸素含有率15体積%以上100体積%以下が好ましく、ジブロモメタンやブロモホルムなどのブロモメタンを用いる場合は、酸素含有率90体積%以上100体積%以下が好ましい。なお、酸素(酸素含有率100体積%)を用いる場合であっても、反応系内への酸素流量の調節により酸素含有率を上記範囲内に制御することができる。酸素を含む気体の供給方法は特に限定されず、流量調整器を取り付けた酸素ボンベから反応系内に供給してもよく、また、酸素発生装置から反応系内に供給してもよい。
なお、「酸素存在下」とは、上記各化合物が酸素と接している状態か、上記組成物中に酸素が存在する状態のいずれであってもよい。従って、本発明に係る反応は、酸素を含む気体の気流下で行ってもよいが、生成物の収率を高める観点からは、酸素を含む気体はバブリングにより上記組成物中へ供給することが好ましい。
酸素を含む気体の量は、上記ハロゲン化メタンの量や、反応容器の形状などに応じて適宜決定すればよい。例えば、反応容器中に存在する上記ハロゲン化メタンに対する、反応容器へ供給する1分あたりの気体の量を、5容量倍以上とすることが好ましい。当該割合としては、25容量倍以上がより好ましく、50容量倍以上がよりさらに好ましい。当該割合の上限は特に制限されないが、500容量倍以下が好ましく、250容量倍以下がより好ましく、150容量倍以下がよりさらに好ましい。また、反応容器中に存在する上記ハロゲン化メタンに対する、反応容器へ供給する1分あたりの酸素の量としては、5容量倍以上25容量倍以下とすることができる。気体の流量が多過ぎる場合には、上記ハロゲン化メタンが揮発してしまう虞があり得る一方で、少な過ぎると反応が進行し難くなる虞があり得る。酸素の供給速度としては、例えば、0.1L/分以上、10L/分以下とすることができる。
上記組成物に照射する高エネルギー光としては、短波長光を含む光が好ましく、紫外線を含む光がより好ましく、より詳細には180nm以上500nm以下の波長の光を含む光が好ましく、ピーク波長が180nm以上500nm以下の範囲に含まれる光がより好ましい。なお、高エネルギー光の波長またはピーク波長は上記ハロゲン化メタンの種類に応じて適宜決定すればよいが、400nm以下がより好ましく、300nm以下がよりさらに好ましい。照射光に上記波長範囲の光が含まれている場合には、上記ハロゲン化メタンを効率良く酸化的光分解できる。例えば、波長280nm以上315nm以下のUV-Bおよび/または波長180nm以上280nm以下のUV-Cを含む光またはピーク波長がこの範囲に含まれる光を用いることができ、波長180nm以上280nm以下のUV-Cを含む光またはピーク波長がこの範囲に含まれる光を用いることが好ましい。
光照射の手段は、上記波長の光を照射できるものである限り特に限定されないが、このような波長範囲の光を波長域に含む光源としては、例えば、太陽光、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられる。反応効率やコストの点から、低圧水銀ランプが好ましく用いられる。
照射光の強度や照射時間などの条件は、出発原料の種類や使用量によって適宜設定すればよい。例えば、光源から上記組成物の最短距離位置における所望の光の強度としては、1mW/cm2以上、50mW/cm2以下が好ましい。光の照射時間としては、0.5時間以上10時間以下が好ましく、1時間以上6時間以下がより好ましく、2時間以上4時間以下がよりさらに好ましい。光照射の態様も特に限定されず、反応開始から終了まで連続して光を照射する態様、光照射と光非照射とを交互に繰り返す態様、反応開始から所定の時間のみ光を照射する態様など、いずれの態様も採用できる。光照射と光非照射とを交互に繰り返す場合には、求核性官能基含有化合物のハロゲノカルボニル化と更なる求核性官能基含有化合物との反応が交互に行われ、求核性官能基含有化合物とそのハロゲノカルボニル体が適度な化学量論比となり、反応が良好に促進される。また、光源とハロゲン化メタンとの最短距離としては、1m以下が好ましく、50cm以下がより好ましく、10cm以下または5cm以下がより更に好ましい。当該最短距離の下限は特に制限されないが、0cm、即ち、光源をハロゲン化メタン中に浸漬してもよい。
反応時の温度も特に限定はされず、適宜調整すればよいが、例えば、20℃以上120℃以下とすることができる。当該温度としては、40℃以上がより好ましく、50℃以上がよりさらに好ましく、また、100℃以下がより好ましく、80℃以下がよりさらに好ましい。
光照射の態様も特に限定されず、反応開始から終了まで連続して光を照射する態様、光照射と光非照射とを交互に繰り返す態様、反応開始から所定の時間のみ光を照射する態様など、いずれの態様も採用できる。光照射と光非照射とを交互に繰り返す場合には、高エネルギー照射下ではハロゲン化メタンが分解して生じたハロゲン化カルボニル化合物によりアミノ酸化合物(I)のアミノ基がハロゲン化カルボン化され、光非照射下では環化反応が進行し、全体としてNCAの収量や収率の増加が期待される。
本発明の製造方法に使用できる反応装置としては、反応容器に光照射手段を備えたものが挙げられる。反応装置には、攪拌装置や温度制御手段が備えられていてもよい。図1に、本発明の製造方法に使用できる反応装置の一態様を示す。図1に示す反応装置は、筒状反応容器6内に光照射手段1を有するものである。筒状反応容器6内に、上記各原料化合物を添加し、当該反応容器6内に酸素を含有する気体を供給または上記組成物に酸素を含有する気体をバブリングしながら(図示せず)、光照射手段1より光を照射して反応を行う。前記光照射手段1をジャケット2等で覆う場合、該ジャケットは、前記短波長光を透過する素材であることが好ましい。また、反応容器の外側から光照射を行ってもよく、この場合、反応容器は、前記短波長光を透過する素材であることが好ましい。前記短波長光を透過する素材としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、石英ガラス等が好ましく挙げられる。
上記反応後の生成物は、従来公知の方法で精製をしてもよい。精製方法としては、蒸留、出発原料化合物の減圧留去、カラムクロマトグラフィー、分液、抽出、洗浄、再結晶などが挙げられる。
5.生成化合物
本発明により得られる式(II)で表されるNCA(以下、「NCA(II)」という)は、非常に高い求電子性を示すことから、特にアミノ酸から製造されるNCAに開始剤としてアミンを反応させると開環重合が進行し、分子量分布の狭いモノポリアミノ酸が得られる。
Figure 0007356707000003
[式中、R7は開環重合反応を阻害しないn価の有機基を示し、nは1以上、3以下の整数を示す。]
一価の上記有機基としては、例えば、置換基αを有してもよいC1-20アルキル基を挙げることができる。置換基αとしては、C1-6アルコキシル基、C1-7アシル基、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、およびカルバモイル基から選択される1以上の置換基を挙げることができる。ハロゲノ基としては、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択される1以上のハロゲノ基を挙げることができる。
式(IV)において、nが2である場合、R7としては置換基αを有してもよいC1-20アルキレン基を挙げることができる。或いは、アミン化合物(IV)として、下記式(V)で表されるアミン化合物を用いることができる。
Figure 0007356707000004
[式中、
8とR9は、独立して-(CR1213q1-または-(-O-(CR1213q2-)q3-(式中、R12とR13は、独立して、HまたはC1-6アルキル基を表し、q1は0以上、10以下の整数を表し、q2は1以上、10以下の整数を表し、q3は1以上、10以下の整数を表し、q1またはq2が2以上の整数である場合、複数のR12またはR13は互いに同一であっても異なっていてもよい)を表し、
10とR11は、独立して、ハロゲノ基、C1-20脂肪族炭化水素基、C1-20アルコキシル基、C3-20シクロアルキル基、C6-20芳香族炭化水素基、C7-20アラルキル基、C6-20芳香族炭化水素オキシ基、またはC3-20シクロアルコキシル基を表し、
Xは下記に示す基を表し、
Figure 0007356707000005
(式中、
14とR15は、独立して、H、ハロゲノ基、置換基αを有してもよいC1-20脂肪族炭化水素基、置換基αを有してもよいC1-20アルコキシル基、置換基βを有してもよいC6-20芳香族炭化水素基を表すか、或いはR14とR15が結合して、C3-20炭素環または5-12員複素環を形成してもよく、
16とR17は、独立して、HまたはC1-6アルキル基を表し、r1が2以上の整数である場合、複数のR15またはR16は互いに同一であっても異なっていてもよく、
18~R25は、独立して、ハロゲノ基、置換基αを有してもよいC1-20脂肪族炭化水素基、置換基αを有してもよいC1-20アルコキシル基、または置換基βを有してもよいC6-12芳香族炭化水素基を表し、
26は置換基αを有してもよいC1-9アルキレン基を表し、
r1は1以上、20以下の整数を表し、
r2は1以上、500以下の整数を表す。)
p1とp2は、独立して、0以上、4以下の整数を表し、
置換基αは、C1-6アルコキシル基、C1-7アシル基、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、およびカルバモイル基から選択される1以上の置換基であり、
置換基βは、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシル基、C1-7アシル基、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、およびカルバモイル基から選択される1以上の置換基である。]
式(IV)において、nが2である場合、R7としては置換基αを有してもよいC1-20アルキリデン基または置換基βを有してもよいフェニレン基を挙げることができ、nが3である場合、R7としては置換基αを有してもよいC1-20アルキリジン基または置換基βを有してもよいフェニリジン基を挙げることができる。置換基αと置換基βは、上記と同義を示す。
また、原料として用いるアミノ酸化合物(I)がペプチドである場合、NCA(II)とアミノ酸化合物(III)とを反応させることにより、ペプチド鎖を伸長することができる。
Figure 0007356707000006
[式中、R1、R3~R5、P1およびmは、上記と同義を示す。]
NCA(II)とアミノ酸化合物(III)との割合は特に制限されず適宜調整すればよいが、例えば、NCA(II)1モルに対するアミノ酸化合物(III)のモル比を0.8以上、1.2以下とすることができる。当該モル比としては、0.9以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、また、1.1以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。
上記反応の溶媒は、反応を阻害せず、且つNCA(II)とアミノ酸化合物(III)に対して適度な溶解性を示すものであれば特に制限されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、t-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の水と混和する非プロトン性極性溶媒などを挙げることができる。
反応条件は適宜調整すればよい。例えば反応温度は5℃以上、80℃以下とすることができ、常温であってもよい。反応時間は予備実験で決定したり、NCA(II)とアミノ酸化合物(III)のうちより少ない原料化合物の消費が確認されるまでとすることができるが、例えば、10分間以上、10時間以下とすることができる。反応終了後は通常の後処理をすればよく、また、再結晶やクロマトグラフィーなどにより目的ペプチドを精製してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: フェニルアラニン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000007
直径42mm、容量100mLの筒状反応容器内に、直径30mmの石英ガラスジャケットを装入し、さらに石英ガラスジャケット内に低圧水銀ランプ(「UVL20PH-6」SEN Light社製,20W,φ24×120mm)を装入した反応システムを構築した。当該反応システムの模式図を図1に示す。なお、当該低圧水銀ランプからの照射光には波長254nmのUV-Cが含まれ、管壁から5mmの位置における波長254nmの光の照度は6.23~9.07mW/cm2であった。反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)、L-フェニルアラニン(413mg,2.5mmol)、およびピリジン(0.5mL,6.3mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを4回繰り返した。次いで、反応液を1H NMRで分析した結果、目的化合物であるフェニルアラニン-N-カルボン酸無
水物の生成を確認することができた(収率:37%)。
実施例2: フェニルアラニン-N-カルボン酸無水物の合成
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)とL-フェニルアラニン(413mg,2.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを12回繰り返した。
次いで、不溶成分を濾別し、濾液から溶媒の一部を留去した後、貧溶媒としてヘキサンを加えた。生じた沈殿を濾過により回収し、真空乾燥することにより、目的化合物であるフェニルアラニン-N-カルボン酸無水物を得た(単離収率:38%)。
かかる結果の通り、塩基を用いなくても、反応条件の検討により目的のアミノ酸-N-カルボン酸無水物が得られることが明らかになった。
実施例3: フェニルアラニン-N-カルボン酸無水物の合成
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)、L-フェニルアラニン(413mg,2.5mmol)、およびピリジン(1.0mL,12.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを4回繰り返した。
次いで、反応液に塩酸とジクロロメタンを加えて分液し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮した。濃縮液へヘキサンとテトラヒドロフランを加えて生じた沈殿を濾取することにより、目的化合物を得た(単離収率:40%)。
実施例4: イソロイシン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000008
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)、L-イソロイシン(656mg,5.0mmol)、およびピリジン(1.0mL,12.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを4回繰り返した。
次いで、反応液に塩酸とジクロロメタンを加えて分液し、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮した。濃縮液へヘキサンとテトラヒドロフランを加えて生じた
沈殿を濾取することにより、目的化合物を得た(単離収率:10%)。
実施例5: ロイシン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000009
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)、L-ロイシン(328mg,2.5mmol)、およびピリジン(0.5mL,6.3mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを4回繰り返した。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL,2.5mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるロイシン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:40%)。
実施例6: ロイシン-N-カルボン酸無水物の合成
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)、およびL-ロイシン(328mg,2.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを12回繰り返した。
反応液を1H NMRで分析した結果、目的化合物であるロイシン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:9%)。
実施例7: メチオニン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000010
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)、L-メチオニン(746mg,5.0mmol)、およびピリジン(1.0mL,12.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを4回繰り返した。
反応液を1H NMRで分析した結果、目的化合物であるメチオニン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:25%)。
参考例: フェニルアラニン-N-アセチル-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000011
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(40mL,500mmol)、N-アセチル-L-フェニルアラニン(518mg,2.5mmol)、およびピリジン(1.0mL,12.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を10分間照射した後に照射せず反応液を20分間撹拌するサイクルを4回繰り返した。
反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるフェニルアラニン-N-アセチル-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:16%)。
従来、ホスゲンを用いたアミノ酸のN-カルボン酸無水物化反応では、ペプチドのC末端アミノ酸残基やN-アシル化アミノ酸をN-カルボン酸無水物化した例は無かった。その理由としては、α-アミノ基がペプチド化されたりアシル化されると、孤立電子対の求核性が低下してホスゲンと反応しなくなることが考えられる。
それに対して本発明方法によれば、上記の通りN-アセチルアミノ酸でもN-カルボン酸無水物化できることが実証できた。よって、本発明方法によればペプチドのC末端アミノ酸残基もN-カルボン酸無水物化でき、N-カルボン酸無水物化合物とアミン化合物との反応機構は以下の通りであるので、液相でのペプチド同士の結合も可能になり得、延いてはペプチド化合物の低コストでの大量合成が可能になり得る。よって本発明は、ペプチドの大量合成に寄与可能なものとして、産業上極めて優れている。
Figure 0007356707000012
実施例9: Phe-N-カルボン酸無水物の合成 - 有機塩基の添加効果
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(30mL,370mmol)、L-フェニルアラニン(413mg,2.5mmol)、および4-メチルモルホリン(0.68mL,6.25mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計8回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL,2.5mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるフェニルアラニン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:62%)。
実施例10: Phe-N-カルボン酸無水物の合成 - 混合溶媒の使用
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(30mL,370mmol)、アセトニトリル(30mL,570mmol)、およびL-フェニルアラニン(826mg,5.0mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計8回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(320μL,5.0mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるフェニルアラニン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:>99%)。
実施例11: Phe-N-カルボン酸無水物の合成 - スケールアップ
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(60mL,740mmol)、アセトニトリル(60mL,1.1mol)、およびL-フェニルアラニン(6.6g,40mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプを用いて、UV-Cを含む高エネルギー光を5時間照射した。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(2.56mL,40mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるフェニルアラニン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:>99%)。
実施例12: Phe-N-カルボン酸無水物の合成 - 温度効果
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびL-フェニルアラニン(413mg,2.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、X℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを、応時間が2時間の場合は8回、反応時間が3時間の場合は12回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL,2.5mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるフェニルアラニン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた。結果を表1に示す。
Figure 0007356707000013
表1に示される結果の通り、温度が高いほど反応は良好に進行することが明らかとなった。温度が低くなると反応が進行し難くなる理由としては、アミノ酸の塩酸塩がより生じ易くなることが考えられる。
実施例13: ロイシン-N-カルボン酸無水物の合成
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(60mL,740mmol)、アセトニトリル(60mL,1.1mol)、およびL-ロイシン(2.6g,20mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプを用いて、UV-Cを含む高エネルギー光を4時間照射した。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(1.28mL,20mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるロイシン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:85%)。
実施例14: メチオニン-N-カルボン酸無水物の合成
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびL-メチオニン(373mg,2.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計8回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL,2.5mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるメチオニン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:53%)。
実施例15: グリシン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000014
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびグリシン(375mg,5.0mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、60℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計12回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(320μL,5.0mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるグリシン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:56%)。
実施例16: アラニン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000015
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびL-アラニン(445mg,5.0mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計12回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(320μL,5.0mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるアラニン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:64%)。
実施例17: バリン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000016
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびバリン(293mg,2.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計8回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL,2.5mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるバリン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:93%)。
実施例18: チロシン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000017
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびL-チロシン(906mg,5.0mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計12回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(320μL,5.0mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるチロシン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:60%)。
実施例19: サルコシン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000018
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびサルコシン(445mg,5.0mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計12回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(320μL,5.0mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるサルコシン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:62%)。
実施例20: プロリン-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000019
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,287mmol)、およびL-プロリン(576mg,5.0mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。溶液の撹拌条件下、低圧水銀ランプからUV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射し、続いて10分間照射を止めるサイクルを計12回繰り返し、反応を行った。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(320μL,5.0mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるプロリン-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:24%)。
実施例21: ロイシン-N-アセチル-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000020
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,288mmol)、およびN-アセチル-L-ロイシン(433mg,2.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射した後に照射せず反応液を5分間撹拌するサイクルを12回繰り返した。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL,2.5mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるロイシン-N-アセチル-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:47%)。
実施例22: バリン-N-アセチル-N-カルボン酸無水物の合成
Figure 0007356707000021
実施例1で用いた反応システムの反応容器内に精製したクロロホルム(15mL,186mmol)、アセトニトリル(15mL,288mmol)、およびN-アセチル-L-バリン(398mg,2.5mmol)を入れ、攪拌混合した。当該反応液を攪拌しつつ、70℃で0.5L/minの酸素ガスをバブリングで吹き込んだ。低圧水銀ランプの電源のオン/オフにより、UV-Cを含む高エネルギー光を5分間照射した後に照射せず反応液を5分間撹拌するサイクルを12回繰り返した。
次いで、反応液に内部標準としてジクロロメタン(160μL,2.5mmol)を添加し、1H NMRで分析した結果、目的化合物であるバリン-N-アセチル-N-カルボン酸無水物の生成を確認することができた(収率:32%)。
1: 光照射手段, 2: ジャケット, 3: ウォーターバス,
4: 撹拌子, 5: 熱媒または冷媒, 6: 筒状反応容器

Claims (6)

  1. アミノ酸-N-カルボン酸無水物を製造するための方法であって、
    前記アミノ酸-N-カルボン酸無水物は下記式(II)で表されるものであり、
    ハロゲン化メタン、および下記式(I)で表されるアミノ酸化合物を含む組成物に、酸素存在下で高エネルギー光を照射する工程を含むことを特徴とする方法。
    Figure 0007356707000022
    [式中、
    1、アミノ酸側鎖基を示し(但し、当該アミノ酸鎖基が反応性基を含む場合には、当該反応性基は保護されている。)
    2は、H、またはP1-[-NH-CHR3-C(=O)-]m-(式中、R3は、反応性基が保護されているアミノ酸側鎖を示し、P1はアミノ基の保護基を示し、mは1以上の整数を示し、mが2以上の整数の場合、複数のR3は互いに同一であっても異なってもよい)を示す。]
  2. 前記ハロゲン化メタンがクロロホルムである請求項1に記載の方法。
  3. 更に、高エネルギー光を照射せずに前記組成物を攪拌する工程を含む請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記組成物に、前記ハロゲン化メタンおよび前記アミノ酸化合物に加えて、塩基を添加する請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記高エネルギー光が180nm以上、280nm以下の波長の光を含む請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. ペプチドを製造するための方法であって、
    請求項1~5のいずれかに記載の方法により前記式(II)で表される前記アミノ酸-N-カルボン酸無水物を製造する工程、および、
    前記アミノ酸-N-カルボン酸無水物と下記式(III)で表されるアミノ酸化合物とを反応させる工程を含む方法。
    Figure 0007356707000023
    [式中、
    4、アミノ酸側鎖基を示し(但し、当該アミノ酸鎖基が反応性基を含む場合には、当該反応性基は保護されている。)
    5は、-OP2または-[-NH-CHR6-C(=O)-]n-OP2(式中、R6は、反応性基が保護されているアミノ酸側鎖を示し、P2はカルボキシ基の保護基を示し、nは0以上の整数を示し、nが2以上の整数の場合、複数のR6は互いに同一であっても異なってもよい)を示す。]
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